第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、次のような経営理念の下、その実現に向けた経営を目指しています。

 

[経営理念]

当社グループは、髪に関する悩みを抱える全てのお客様に対して、総合毛髪企業としてそのお客様に最も適した最高の品質と最良のサービスを提供することによって、その悩みの解決に努めるとともに、「お客様に満足頂ける毛髪文化を創造する」ことを経営理念としております。

 

[経営戦略]

当社グループは、この経営理念の実現に向けて、製品開発力の強化、生産体制の整備、カウンセリング・接客・技術等の営業面でのサービス体制の充実を図るとともに、コンプライアンス体制のさらなる強化、企業情報の積極的開示を行っていくことで、株主や投資家を始めとしたステークホルダーから信頼され、支持される経営を目指します。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、売上の拡大と効率的な経営を推進して、総合毛髪事業の拡大と収益力や資本効率の向上を目指しております。

そのため、売上高、売上高経常利益率、ROE(自己資本利益率)の3つを目標とする経営指標としております。

売上高につきましては、営業基盤を継続的に拡大させることで着実に引き上げてまいります。売上高経常利益率につきましても、収益構造を見直し、効率的かつ効果的な収益体制を実現することで着実に引上げてまいります。さらには、ROEにつきましても、自社の資本コストを的確に把握した上で、株主の皆さまからお預かりした資本を効率的に活用して企業価値を向上させ高めてまいります。

なお、目標とする経営指標の設定事由や2026年3月期の見通しは次の通りです。

 

[経営指標の設定事由]

目標とする経営指標

設定した事由

売上高

最も分かり易い指標であり、かつ当社グループは限界利益率が高く売上高の増加が利益の増加に直結するため設定

売上高経常利益率

経費節減の結果や財務活動を含めた収益力が確認できるため設定

ROE(自己資本利益率)

コーポレートガバナンス・コードや議決権行使助言会社の動向を踏まえ設定

 

 

 [2026年3月期の見通し]
次期の業績見通しとして、連結売上高47,623百万円(当連結会計年度比9.9%増)、営業利益2,778百万円(同27.4%増)、経常利益2,844百万円(同26.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,464百万円(同78.2%増)を見込んでおります。

<目標とする経営指標に係る過年度推移グラフ>


 

(3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

今後の経済見通しにつきましては、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費が持ち直したことやインバウンド需要の拡大などを背景に、景気は緩やかな回復基調で推移したものの、為替相場の変動や原材料価格の高騰、物価上昇による消費マインドの減退懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 

当社の属する毛髪業界及びその隣接業界を含めた新規参入企業や同業他社との競合激化などにより、当社を取り巻く事業環境は引き続き厳しいものと考えております。

 

 

<国内毛髪業市場の動向>

(単位:億円)

 


注.事業者売上高ベース

(出所)(株)矢野経済研究所「ヘアケアマーケティング総鑑」

 

<国内毛髪業市場におけるシェア>

 


 

         <男性市場>                     <女性市場>

 

 注.事業者売上高ベース

(出所)(株)矢野経済研究所「ヘアケアマーケティング総鑑」

 

国内毛髪業市場において、男性市場でトップシェア、女性市場で第2位となっております。

 

2008年秋のリーマンショック以降の消費の低迷に加え、隣接市場との競争激化によって低迷しておりましたが、各社の女性用ウィッグ強化策や男性顧客へのリピート販売が実を結び2012年度以降拡大に転じてまいりました。しかし、2016年度以降は新規参入企業や中小事業者の低価格品が市場に多く出回った影響から市場は一転して減少傾向となり、直近年度も、コロナ禍の影響を強く受けた2020年度対比では増加したものの、コロナ禍前の市場規模には戻っていません。

 

 

[アートネイチャーAdvanceプランの概要]

2023年度を初年度とする中期経営計画では、「毛髪業界におけるトップブランドの位置付けを確固たるものにすると共に、「美と健康」に係る新領域の事業に事業領域を拡大する」という目標に向かって「前に進む」ことから、「アートネイチャーAdvanceプラン」としています。将来への見通しが不確実な昨今においても、当社グループの強みを活かし、中期経営計画でさまざまな課題に挑戦していくことで、業績や毛髪業界シェアを伸長させると共に、新領域の事業を獲得し拡充することで、「次代を切り拓くアートネイチャー」を飛躍させてまいります。

 


 

 

   アートネイチャーAdvanceプランで目標とする経営指標は次の通りです。

経営指標

2025年3月期

(実績)

2026年3月期

(目標)

事業毎の方針

売上高

43,340百万円

47,623百万円

・男性向け事業では、生涯お付き合いいただける、「真のアートネイチャーファン(コアファン)」の拡大を目指します。

・女性向け事業では、女性向け既製品事業を含めたオールアートネイチャーでレディースシェアNo.1を目指します。

・女性向け既製品事業では、ブランディングと人財育成の強化で、お客様のリピート販売の増強を目指します。

・通販事業では、選択と集中による売上拡大と、将来の成長に向けた基盤強化を目指します。

売上高経常利益率

5.2%

6.0%

・上述により業績を伸長させると共に、付加価値の高い業務への集中によって、生産性や効率性を更に高めてまいります。

ROE

3.1%

5.5%

 

 

   なお、当社では事業ポートフォリオに関する基本方針等を策定し、経営資源の配分、事業毎の方針を次のように

  決定しております。

 

 

  [事業ポートフォリオに関する基本方針]
    事業ポートフォリオに関する基本方針は「経営資源を効率的に活用して、事業を成長させる」としております。

  各事業は「効率性」と「成長性」の観点から、「注力」「育成」「基盤」「改善」の4象限に分類し、分類された

  領域の基本的な配分方針を踏まえ、経営資源を配分しております。なお、基本的な経営資源の配分方針は次の通り

  となっております。
  

  [事業ポートフォリオの位置付けと基本的な経営資源の配分方針]
    事業ポートフォリオの位置付けと基本的な経営資源の配分方針は次表の通りです。

 

位置付け

配分方針

基盤領域

安定的な事業価値向上に貢献

収益源として事業を長期に維持するために配分する

注力領域

更なる収益拡大を見込む

収益の拡大を加速するために配分する

育成領域

3年以内の注力領域転換を期待

効率の向上を加速するために配分する

改善領域

早期に抜本的な収益構造の改善が必要な領域

左述に従い配分する

 

 

  [事業ポートフォリオに関する見直し]
    事業ポートフォリオに係る方針等(基本方針の変更、経営資源の配分、戦略の実行、見直し等)は、取締役会に

  おいて、中期経営計画の策定、年度の事業計画及び予算案の策定の中で審議しております。また、事業ポートフォ

  リオに係る開示等は、取締役会において、中期経営計画並びに事業計画及び予算案と共に審議しております。
 

  [事業ポートフォリオの区分]
    事業ポートフォリオの区分は次表の通りです。縦軸の成長性は「事業別売上高成長率」、横軸の効率性は「事業

  別投下資本利益率(ROIC)」とし、縦軸の区分は「毛髪業3か年平均市場成長率」、横軸の区分は「想定加重平均

  資本コスト(WACC)直近3か年平均」としております。


 

  [事業ポートフォリオ 前中期経営計画(2020-2022)と本中期経営計画(2023-2025)の対比]
    青:男性向け事業、オレンジ:女性向け事業、紫:女性向け既製品事業

 


 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題とその対応策

当社グループの属する国内毛髪関連市場は、高齢化社会の進展、定年延長、女性労働の活性化、アンチエイジング志向の高まりなどにより需要の拡大が見込める一方で、毛髪業界のみならず、隣接業界との競合関係も厳しさを増していくものと推察されます。こうした環境下において、安定的な成長と企業価値の向上を目指すべく以下の課題に重点的に取り組んでまいります。

 

[お客様の数を増やす]

業績伸長においては、国内外の市場でお客様の数を増やすことが最も重要なことです。当社はお客様のニーズに応えた最高の品質の製品と最良のサービスを開発し、定期的に市場投入すると同時に、お客様に対してより効果的な反響が得られるような広告宣伝を工夫し、需要の掘り起こしを図ってまいります。

オーダーメイドウィッグ事業(メンズ及びレディース部門)では、お客様満足の向上に注力し「アートネイチャーの真のファン」の数を増やすと共に、お客様の定着化に向けた施策を実践することで安定的な成長を目指します。

女性向け既製品ウィッグ事業では、オーダーメイドウィッグ事業との連携を強化し、女性向け営業体制を一本化することで、業績の拡大を目指します。

通信販売事業では、新商品の投入により商品ラインアップを増やし、商品を拡充すると共に、当社商品を取り扱うECサイトを増やす等、販路を拡大することで、業績拡大を目指します。

また、海外市場においては、シンガポール、タイ、マレーシアにおける当社ブランドの浸透と、地域に根差した販売施策によって潜在需要の掘り起こしを行い、業績の拡大に取り組みます。

 

 

<オーダーメイドウィッグ事業の流れ>

オーダーメイドウィッグ事業では、髪にまつわるさまざまな課題を抱えている方や、ウィッグでおしゃれを楽しみたい方などへ向けて、テレビや新聞、インターネットなどのさまざまな広告媒体を利用して広告宣伝を行い、その結果、当社商品・サービスに関心を持って当社にコンタクトいただいた方を新規のお客様として取り込んでいく「反響営業」と言われる営業活動を行っています。「反響営業」によって当社商品やサービスをご利用いただいたお客様に対して、全国サロンでの充実したアフターサービスや、お客様のニーズに合わせたさまざまな提案を行うことで、お客様と当社の間に信頼関係を築き、リピート受注につなげていきます。

 


 

 

[新領域の事業を開拓し拡充する]

次代のアートネイチャーの礎を築くために、既存事業以外の新領域の事業に挑むことが重要です。これまで取り組んできた、比較的安い価格帯のウィッグ事業、医薬品販売事業、医療関連サポート事業を着実に軌道に乗せると共に、国内外のM&Aや新規事業の立ち上げ等により、「美と健康」に係る新領域の事業を開拓し拡充することで、当社グループの更なる成長を図ってまいります。

 

[高水準の人財を安定的に確保し続ける]

業績伸長や新領域の開拓を支えるために、採用を強化して高水準の人財を安定的に確保し続けることが重要です。当社では、採用の募集ルート形態を多様化すると共に、採用間口の拡大も検討しており、安定的な採用体制の構築を進めてまいります。また、社員一人ひとりが活き活きと働いて、最大限のパフォーマンスを発揮できるように様々な施策を講じています。例えば、次世代育成支援対策推進法に基づく子育てサポート企業として「くるみん」の認定を取得するなど、ダイバーシティマネジメントを推進しているのもその一つです。「働き方改革」の中では、長時間労働の撲滅や仕事と家庭の両立を支援する仕組み等のワークライフ・バランスを重視するとともに、健康経営を積極的に推進しております。今後も様々な施策を実践していくことで、従業員との一体感を醸成し、より働き甲斐のある職場を作っていくことで、従業員の更なる定着化も進めてまいります。

 

[お客様ニーズへの対応力や本社の企画・経営管理力を向上する]

採用の強化と同様に、業績の伸長や新規事業の成功のためには、多岐に亘るお客様ニーズへの対応力と本社における企画力や経営管理力を引き上げることが重要です。当社では、正社員の約8割に当たる1853名(2025年3月31日現在)が理容師または美容師の資格保有者です。これら営業部門の従業員については、「技術力」「接客力」「商品提案力」といった基礎能力を引き上げ、お客様ニーズを満たし、お客様から信頼され共感される人財の育成を目指してまいります。また、営業部門以外の従業員についても、様々な企画立案やグループ会社の経営管理を担える人財を育成するとともに、各分野のエキスパートになるために、教育研修制度の確立と自己研鑽を支援する仕組みを構築してまいります。

 

<現場人財の育成に向けた取組み>

職種別研修

スタイリスト技術研修/新任店長研修/各技能スキル勉強会・セミナー ほか

階層別研修

新卒・中途新人研修/本社CDP/アセスメント研修 ほか

その他

社内語学研修 ほか

 

 

<本社人財の育成に向けた取組み>

2025年3月期

新規事業人財を育成する

2026年3月期

データアナリストやマーケティング人財を育成する

 

 

                                                    [中長期的な企業価値を維持・拡大させる]

当社グループの中長期的な企業価値をより向上させるためには、サステナビリティを推進することが重要です。営業体制ではシステム投資による業務効率化等により、一人当たり売上高等の労働生産性を向上させてまいります。同様に、生産体制では生産拠点分散、原材料備蓄等により、生産安定性を、管理体制ではシステムと各種制度の刷新等により、事務効率性を向上させてまいります。なお、生産拠点分散として、バングラデシュに子会社を設立し、2026年3月期の新工場稼働に向け準備しております。また、その他、コーポレートガバナンス・コードのサステナビリティ項目(「気候変動」、「人権尊重」、「人的資本」の各項目)の推進や、本部各部の主要ポストの後継者育成も実践してまいります。

当社グループでは、SDGsに係る様々な取組みを実践しておりますが、新たに「新たな自社店舗体制の構築」に挑むとともに、IR活動等を通じて、市場との対話を強化してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

[サステナビリティを巡る取組みについての基本方針]

私たちアートネイチャーグループは、「ふやしたいのは、笑顔です。」をモットーに、「アートネイチャーの行動規範」に基づき、「持続可能な社会の実現」と「持続的な企業価値の向上」を目指してまいります。なお、その取組みにあたっては、地球環境への配慮や人権の尊重などサステナビリティを巡る課題に対して、環境、社会、ガバナンスの全ての面で検討を重ね、ステークホルダーの皆さまと共に、積極的に推進してまいります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティを巡る課題への取組みを経営上の重要課題と認識しています。その諸課題については、各種委員会や主要会議体を経て、少なくとも年1回は取締役会に審議・報告する体制としております。

 

(2)戦略

 当社グループでは、中期経営計画「アートネイチャーAdvanceプラン」において、サステナビリティの推進を重点課題とし、短期的な視点において必要な施策を実施するとともに、その水準を維持・拡大すべく、長期的な視点に立った施策も併せて実践することとしております。主な戦略は次の通りです。

 

営業体制

● システム投資による業務効率化等により、一人当たり売上高等の労働生産性を向上してまいります。

生産体制

● 生産拠点分散、原材料備蓄等により、生産安定性を向上してまいります。

管理体制

● システムと各種制度の刷新等により、事務効率性を向上してまいります。

全般

● コーポレートガバナンス・コードのサステナビリティ項目(「気候変動」、「人権尊重」、「人的資本」の各項目)を推進して参ります。

 

● 本社機能を維持・強化すべく、本部各部の主要ポストの後継者育成を推進してまいります。

 

● リスキリングを通して、本社及び店舗の人財育成を推進してまいります。

 

 

 また、当社グループにおける、人材育成方針及び社内環境整備方針は次の通りです。

[人材育成方針]
  当社グループは、人員を主に理美容師の中途採用で確保しております。今後の業績伸長や新領域の開拓を支えるためには、採用を強化して高水準の人財を安定的に確保し続けることが重要です。そこで採用の募集ルート形態を多様化すると共に、採用間口の拡大も検討しており、安定的な採用体制の構築を進めております。また、成長性の高い女性市場での事業展開を支える人財として、女性社員の育成に積極的に取組み、今後も積極的に重要ポストにも登用して行きたいと考えております。例えば、当社の管理職(店長を含む)に占める女性割合を2026年3月期には22.0%以上とする事を目標としております。更に、女性向け市場への対応の一環として、女性の社外取締役を選任し、女性の意見を積極的に経営に反映させ、女性の執行役員を登用し、主に女性向けの商品開発や市場開拓に存分に力を発揮してもらっております。

 

 

[社内環境整備方針]
  当社グループは、社員がワークライフ・バランスを整えながら働ける環境を整備する事を目標として、社員一人ひとりが活き活きと働いて、最大限のパフォーマンスを発揮できるように様々な施策を講じています。例えば、当社は女性活躍推進法に基づく優良企業として「えるぼし」の認定を取得するなど、ダイバーシティマネジメントを推進しているのもその一つです。また、「働き方改革」の中で、長時間労働の撲滅や仕事と家庭の両立を支援する仕組み等のワークライフ・バランスを重視するとともに、健康経営を積極的に推進しております。例えば、システムのDX化を推進することで従業員の業務効率化を実現し、2026年3月期までの3年間で116,000時間の業務時間を削減することを目標としております。今後も様々な施策を実践していくことで、従業員との一体感を醸成し、より働き甲斐のある職場を作っていくことで、従業員の更なる定着化も進めてまいります。
 

(3)リスク管理

 気候変動などの地球環境問題への配慮に係る事項については、第2.事業の状況 3.事業等のリスク(2)TCFDの提言に基づく「気候変動リスク」を参照願います。

 

(4)指標及び目標

 気候変動などの地球環境問題への配慮に係る事項については、第2.事業の状況 3.事業等のリスク(2)TCFDの提言に基づく「気候変動リスク」を参照願います。

 

[サステナビリティを巡る課題への取組み]

サステナビリティを巡る課題への取組みは次の通りです。

 

課題

具体的な取組み

気候変動などの地球環境問題への配慮

当社グループでは、環境保全・社会貢献活動への積極的な取組みを規定し適切に運用しており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しTCFDに基づく開示(4要素11項目に基づく対応の開示、詳細は3.事業等のリスク参照)を実践しました。このTCFDに基づき、気候変動に係る検討事項は、リスクマネジメント委員会を経て、取締役会で報告する体制としております。

人権の尊重

当社グループでは、人格や個性を尊重する職場環境の整備、異なる文化的伝統や風習の尊重を規定し適切に運用しており、2023年4月には「アートネイチャーグループの人権基本方針(以下、人権基本方針、当社ウェブサイトに掲載予定)」を策定しました。この人権基本方針に基づき、人権の尊重に係る検討事項は、コンプライアンス委員会を経て、取締役会で報告する体制としております。

従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇

法令のみならず、就業規則を初めとする人事関連諸規程で規定し適切に運用しており、当社グループが掲げる「健康経営推進」の中で、取締役会で報告する体制としております。

取引先との公正・適正な取引

当社グループでは、健全な業務運営、法令遵守、フェアで透明なビジネス、適正価格、倫理重視、反社遮断を規定し適切に運用しており、コンプライアンス委員会を経て、取締役会で報告する体制としております。

自然災害等への危機管理

当社グループでは、リスク関連諸規程で規定し、全社的な訓練も実施しており、「自然災害」のみならず、様々な「事業等のリスク」に係る検討事項は、リスクマネジメント委員会を経て、取締役会で報告する体制としております。

 

 

 

 

 <当社のSDGsの取組み>

 

 ① SDGsとは
    SDGsとは2015年9月に国連サミットで採択された、2016年から2030年までの国際目標です。格差の問題、持続可
  能な消費や生産、気候変動対策を含む全ての国に適用される普遍的な17の目標と169のターゲットから構成され

  ています。
 

 ② 当社の考え方
   当社グループでは「ふやしたいのは、笑顔です。」をモットーに、1967年の会社設立以来、総合毛髪事業を通じ
  て、毛髪文化の創造に取り組んでいます。このような事業活動において、例えば、当社が取り扱う「ウィッグを中
  心とした総合毛髪商品」は、お客様の社会における活躍を支援し、QOL向上に資するものであり、SDGsが目指す

 「誰一人取り残さない」世界の実現と親和性が高いものと考えます。
   そこで当社グループでは、「持続可能な未来の実現に向け、全ての人々の笑顔をふやしていく」を取組み方針と
  して掲げ、SDGsの目標達成に向けて事業活動に挑み続けます。

 


 

 

 

 ③ 現在の取組み
  (a) 社会との関わり

 

 

健康経営の推進

当社では健康経営を掲げ、長時間労働抑制のためのNO残業デーや定休日の設定の他、禁煙施策、メタボ対策、健康診断の受診促進、ストレスチェック、病気治療と仕事の両立支援ガイドの作成など、従業員が健康でいきいきと働くための健康管理をサポートしています。

ピンクリボン運動

2008年より乳がんの早期診断・早期治療の大切さを伝えるピンクリボン運動を推進しています。当社では認定NPO法人乳房健康研究会が主催する認定資格制度であるピンクリボンアドバイザー認定者が多数在籍しております。

女性活躍の推進

当社の従業員の半数以上は女性であり、事業活動の上で女性の活躍はなくてはなりません。育児を理由とする時短勤務を小学校卒業まで認める制度の導入の他に、1時間単位での有給取得制度、男性の育児休業取得の推進、傷病休暇の見直し、婦人科健診受診の促進など、ワークライフ・バランスを重視した働き方の推進に取り組んでいます。

平等な社会実現

当社では、平等な社会の実現に向けて、ジェンダー平等に係る社内規程の見直しの他、障害者支援体制の強化、ユニバーサルデザインやカラーの採用などに取り組んでいます。

がん罹患者の社会活躍の促進

当社では、がん罹患者の社会活躍を推進すべく、医療用ウィッグや医療向けサポート商品の販売によるがん罹患者のQOL向上に向けたサービスを全国のサロンやジュリア・オージェ店舗などで実践すると共に、医療従事者向けの勉強会を定期的に実施しています。

 

 

  (b) 環境との関わり

 

プラスチックの削減

当社では、ウィッグの使用素材について、非プラスチック素材の情報収集・採用検討の他、生分解性素材を用いた試作検証、プラスチック代替素材の共同開発への参画など、脱プラスチックへの取組みを実施しています。また、備品容器の非プラスチック素材への変更をすすめ、プラスチックの削減につなげています。

省エネルギーへの

取組み

本社施設のみならず、店舗においても照明のLED化の他、節水シャワーヘッドの導入など、省エネルギーへの取り組みを実施しています。また、空調に設定温度を設け、NO残業デーの実施やウォームビズ、クールビズなどにも取り組み、エネルギー使用量の削減に努めています。

廃棄物の発生防止

当社では、廃棄物を減らすべく、社内印刷の内製化による紙資源廃棄の削減の他、契約書などの帳票の電子化などに取り組んでいます。

 

 

 

 ④ 今後へ向けた取組み 重要課題の設定
   当社では、これまでの取組みに加え、事業環境における将来予測等を加味し、社会と当社グループの双方にとっ
  て重要性の高い項目を取り組むべき重要課題として選定しました。

 

重要課題

対応方針

内容

新しいサービス体制の構築

「すべての人々に」「質の高い」インフラとアクセスを提供することであらゆる地域のすべての人々に当社の商品・サービスを提供する

当社では、主力のオーダーメイドウィッグ事業等において、主にお客様に店舗へご来店いただくことで商品・サービスの提供を行っております。今後の高齢化の進展、労働人口の減少に鑑み、店舗の在り方や商品・サービスの提供方法を検討してまいります。

 

 

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループにおける事業等のリスクについて記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針であります。本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本書提出日現在(2025年6月23日)において判断したものであります。

 

(1)主要なリスク

 ① リスクの分類

 当社グループの業績等に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは以下の通りです。災害、政治・経済、社会・技術、オペレーション、製品・製造、財務の計6分類に分け、リスクを洗い出しています。

 

分類

記号

リスク項目

詳細

災害

A

自然災害リスク

地震、津波、風水害、気候変動

B

感染症リスク

感染症の長期蔓延

政治・経済

C

政治リスク

法規制等の政策転換、政治・経済の混乱、テロ・戦争

D

金融リスク

為替変動、金利変動

E

市場リスク

景気変動、消費者ニーズ・トレンド・志向・購買行動の変化、競合激化

社会・技術

F

レピュテーションリスク

風説・風評

G

技術革新リスク

技術革新

H

IT・システムリスク

サイバー攻撃、システム障害

オペレーション

I

情報漏洩リスク

個人情報の漏洩

J

人的資本リスク

採用難、人財確保、少子高齢化

K

コンプライアンスリスク

法令違反、ハラスメント、人権尊重

L

知的財産リスク

知的財産権の侵害・被侵害

製品・製造

M

製造物責任リスク

製品の欠陥、設計不良、品質不良

N

サプライチェーンリスク

仕入、調達、在庫、生産、販売

O

生産リスク

製造、生産コスト、設備・機械

財務

P

投資リスク

事業投資の失敗(新規事業、設備投資、研究開発、システム投資、他社との連携、M&A)

 

 

 

 

 

 

 ② リスク・マトリックス及び分類基準

 リスク・マトリックスは影響度(縦軸)と発生可能性(横軸)を掛け合わせて、リスクを計量します。マトリックス上のリスクについては、「影響度」により重みをつけた優先順位で対応し、ピンク>イエロー>グリーンのエリア順に重要性を評価します。各エリア内での優先順位は枠内の番号で示しています。各リスク項目の配置については、「③ 各リスクのリスクシナリオと対策の状況」をご参照ください。

 


 

※1 影響度(縦軸)

 影響度については、当社の見解に基づき、①から③の順に重要度を考え測定します。複数の項目に亘る場合には、該当する項目の中で一番高い重要度を採用します。

 

影響度

 

①事業継続性

②経済的損失

③信用毀損

大規模な業務の停止

年間10億円以上

組織に係る不正・法令違反

中規模な業務の停止

年間3億円以上10億円未満

従業員に係る不祥事

小規模な業務の停止

年間3億円未満

外部からの誹謗中傷

 

 

※2 発生可能性(横軸)

 発生可能性については、当社の見解に基づき、予想され得る発生頻度を考え測定します。

発生可能性

10年に1回未満

10年に1回以上

3年に1回以上

 

 

 

 

 ③ 各リスクのリスクシナリオと対策の状況

 各リスクのリスクシナリオ及び対策は以下の通りです。なお、将来事項に関する記述につきましては当連結会計年度において当社グループが判断したものです。

 

<分類:災害>

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

A

自然災害リスク

リスクシナリオ

・大規模な地震や津波の発生、気候変動に伴う大型台風、洪水等の水害など様々な自然災害の発生のリスクが年々高まっており、製造拠点や販売拠点等が直接的な損害を受けたり、またはIT・システムの継続に支障が生じたり、販売・生産・物流インフラの機能が停止する等により、事業活動が中断し、業績に影響を及ぼす可能性があります。


・当社グループでは、先ず、本社及び販売拠点が集中している首都圏エリアにおいて、地震をはじめとした大規模災害等が発生した場合には、事業活動が中断することにより、業績に影響を及ぼす可能性、または資産が毀損する可能性があります。
 

・第二に、物流拠点が、大規模災害等により、建物が全壊または交通手段が遮断された場合には、当社グループ内外との間の受発注や物流に支障を来す可能性があります。

 

・第三に、海外製造拠点のあるフィリピン、海外製造委託先のある中国等アジア地域において、予期せぬ自然災害が発生した場合には、当社グループの設備面での直接的な損害のほか、原材料調達や工場操業の中断や遅延等により、多額の復旧費用が発生する可能性があります。また、自然災害の影響により製品の生産や物流に遅延や停止が発生した場合、業績への影響を及ぼす可能性があります。

対策

・大規模災害等発生時の対応をマニュアルとして整備した上で、BCP(事業継続計画)を策定しています。具体的には、危機管理対策本部の設置や、本社被災時の本社機能の移転、IT・システムの切替稼働等、様々な想定に基づいた事業継続の為のマネジメントに取り組んでおり、定期的な検証・改善を実施する事でBCPの実効性を高めています。全国各拠点の役職員が適切な行動を取れるよう定期的な訓練や教育を実施しています。
 

・物流拠点を横浜、大阪、新潟の三箇所に設置し、商材(備品)の分散保管を実施する等、大規模災害発生時における事業継続の体制を整えております。
 

・海外製造拠点では、一定の原材料在庫をストックすることで、予期せぬ自然災害による原材料供給の一時的な寸断に備えております。また、災害時のバックアップとなるよう、世界各国に分散している製造拠点と製造委託先において生産アイテムの共通化に取り組んでおります。

 

 

 

 

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

B

感染症リスク

リスクシナリオ

・感染力及び罹患した場合の重篤性からみた危険性が高い感染症の蔓延や、感染症に対する厳格な防疫措置政策の実践により、原材料の供給停止や工場の生産停止等、事業活動が中断し、業績への影響を及ぼす可能性があります。
 
・当社グループでは、先ず国内では、感染症の長期蔓延により、集団感染や行動制限等が発生した場合、事業活動全体が中断、または遅延する可能性があります。


・また海外では、生産拠点の所在地で大規模な感染症が流行した場合、自社工場や委託先工場の生産停止や遅滞等により、顧客への製品供給の停滞や遅滞等で業績への影響を及ぼす可能性があります。

対策

・当社グループでは、危機管理対策本部において国内における感染症の蔓延防止対策や発生時の対応について定期的に方針を決定の上、全役職員へ周知しています。また、全国各拠点での感染状況を本社にて一元管理し、人員調整や物資の支援等、必要な対策を講じています。
 
・また、海外では、各国政府の法令・指導に基づきながら、感染防止措置を講じておりますが、万一、生産停止や遅延等が発生した場合も複数の他拠点でカバーできる体制を整備しております。 

 

 

<分類:政治・経済>

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

C

政治リスク

リスクシナリオ

・グローバルで事業活動をおこなう企業にとって、拠点のある国や地域において、法規制等の政策の転換、政治・経済の混乱、テロ、戦争等が発生した場合、企業活動に予期しない影響を及ぼす可能性があります。
 

・当社グループでは、フィリピンの製造拠点やアジア地域の製造委託先等の拠点のある国や地域で、政治・経済の混乱、テロ、戦争、内乱、クーデター、日系企業への暴動等が発生した場合、製造拠点からの輸出入に影響が生じる等、事業活動が中断、停滞、または遅延する可能性があります。

対策

・グローバルで政治・経済情勢や法規制の動向を定期的にモニタリングし、エリア毎の事業環境の変化や業績影響を把握するよう努めております。
 
・また、カントリーリスクを分散させる為、製造拠点や製造委託先の複数国への設置や、一部国内移管にも取り組んでおり、今般、バングラデシュへの新工場設立に着手しました。

 

 

 

 

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

D

金融リスク

リスクシナリオ

・グローバルで事業活動をおこなう企業にとって、金利や外国為替相場の変動は業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
 
・当社グループでは、生産活動の大半を日本以外のフィリピンの製造拠点及び中国等アジア地域の製造委託先で行っており、事業活動において製造原価及び製品の調達価格が為替レートの変動による影響を受けます。
 
・海外製造拠点の現地通貨建ての業績及び財産の状況が各会計年度の為替レートの変動による影響を受けます。中国等アジア地域の製造委託先からの製品調達は外貨建てで行っており、製品の仕入価格が為替レートの変動による影響を受けます。 

対策

・海外の製造拠点との輸出入における為替レート変動に伴う製造原価への換算影響を本社で把握し管理しております。
 
・また、製造委託先からの仕入れにおいては、スポットでの支払いではなく、予め決済に必要な数か月分程度の外貨を継続的に購入し、急激な為替変動リスクによる影響を軽減しています。 

 

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

E

市場リスク

    中

リスクシナリオ

・消費者ニーズ、トレンド、志向、購買行動の変化に伴い、市場全体の低迷、隣接市場の成長等の市場リスクは時々刻々と変化しており、その変化に合わせるように自らを変化させ適応できなければ業績に影響を及ぼす可能性があります。
 
・日本国内におけるヘアケア市場(毛髪業市場、植毛市場、発毛・育毛剤市場、ヘアケア剤市場)は育毛や発毛へのニーズの高まりやEC購買の増加等によって、医薬品販売やAGAクリニック等の異業種の参入が進んでいます。当社グループが属する毛髪業の市場規模は漸減しており、これに伴い、今後は同業他社のみならず異業種とも競合が激化する可能性があります。
 
・また、毛髪業以外の競合会社が既存の毛髪商品に限らず競争力のある新製品を発売した場合、また価格競争が更に激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

対策

・製販一体のビジネスモデルの強みを活かして、顧客のニーズをきめ細やかに汲み取り、競合に対していち早く競争力のある新製品・新サービスを市場投入する事で、継続的に顧客満足度を高めています。
 
・また、景気変動、社会情勢、マーケット動向、消費者ニーズ、他社動向等を適時適切にフォローし、組織・制度の見直し、商品開発・販売戦略・販促施策等に反映しています。特に中期経営計画、年度事業計画策定といった定期的な事業計画見直しの際に、外部環境の影響を精緻に捉えた戦略策定を実現するよう努めております。 

 

 

 

<分類:社会・技術>

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

F

レピュテーションリスク

リスクシナリオ

・マスコミ報道やインターネット上の書き込み及びデマ拡散等によって企業に関する否定的な風説や風評が広まり、企業の信用やブランドの価値が低下する可能性があります。特に近年ではSNSの普及により、個人による情報発信も容易になっているため、ネガティブな情報は瞬時に拡大し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
 
・ 当社グループの主力製品であるオーダーメイドウィッグは顧客同士で情報交換がされにくいという特徴を有するため、当社に対する否定的な風説や風評が、マスコミ報道、インターネット上の書き込み等により流布した場合、顧客や社会はそれが正確な事実に基づいたものであるか否かの確認が難しい事から、ネガティブイメージの拡散によりブランド価値が毀損し当社グループの社会的信用を低減させる可能性があります。 

対策

 ・ブランド価値の維持向上のために事実関係を示すポジションペーパー、ステイトメント(声明文)を作成し、適切かつ積極的な外部への情報開示を行いネガティブイメージの拡散リスクを低減させるよう努めています。
また、外部に対しては、取引先企業及び人物の調査や、インターネットでの企業の悪評や誹謗中傷のチェック等、様々な経営リスクを回避すべくモニタリングを実施しています。
 
・更に従業員に対しては、ITリテラシーを高める教育コンテンツを定期的に発信するなど、内部からの情報漏洩リスクを低減させています。
 
・仮に風評被害が発生した場合には、レピュテーションリスクに係る法人向け保険への加入等により、業績影響を最小限に抑えるべく対策を講じています。

 

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

G

技術革新リスク

リスクシナリオ

・新技術による競争優位性の低下や既存技術の陳腐化等により、市場での競争力やブランド価値が低下し業績に影響を及ぼす可能性があります。
 
・当社グループの製品は、現時点で同業他社の技術と比べ優位性があると自負しておりますが、技術は日々進歩するものであり、同業他社にて当社を上回る技術が開発された場合、または異業種の技術革新により当社グループの顧客の購買動機を解消するような新商品が市場に投入された場合には、当社グループの競争優位性が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。 

対策

・常に同業のみならず周辺領域の情報、マーケット動向、消費者ニーズを調査すると共に、対象顧客区分ごとに定期的な新商品投入を行うことで、技術の陳腐化、競争力の低下、ブランド価値の低下が発生しないように取り組んでおります。

 

 

 

 

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

H

IT・システムリスク

リスクシナリオ

 ・社会のデジタル化が進む中、第三者による不正アクセスやコンピュータウイルス等によるサイバー攻撃は世界的に増加傾向にあり、その攻撃手口も巧妙化してきています。また、企業におけるあらゆる事業活動がIT・システムに依存しているため、管理体制の不備等によってIT・システムが正常に稼働しなかった場合、事業の継続に大きな影響を及ぼします。
 
・当社グループにおいても、サイバー攻撃やIT・システムの管理体制の不備等によって、大規模なサーバーダウンやシステム障害が発生したり、重要データの改ざん、漏洩、消失等が発生した場合、事業活動が中断し、業績に影響を及ぼすだけでなく資産が毀損する可能性もあります。

対策

 ・IT・システムの管理体制としてはクラウドサービスを除く主要なサーバーはデータセンターに構築し、安定的に稼働できる体制を整えています。また、サイバーセキュリティ対策の維持、向上のため、脆弱性診断や脅威情報の収集・分析、定期的な訓練の実施等、コンピュータウイルス等の侵入の未然防止のみならず、外部からのサイバー攻撃に対する多層的な防御措置を講じています。また、IT・システムに不具合が発生した場合速やかなシステム復旧をおこなう等、運用・保守に係る社内の手続きを整備しています。

 

 

<分類:オペレーション>

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

I

情報漏洩リスク

リスクシナリオ

 ・企業の事業活動においては、経営上の機密情報、取引先の情報、顧客や従業員の個人情報等の様々な情報を取り扱っているため、厳格な情報の保護・管理が求められております。
 
・当社グループでは、様々な情報を保有しているため当社もしくは業務委託先より外部に情報が漏洩した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループが個人の身体的特徴等の機微情報を取り扱っている事から、顧客の個人情報の漏洩が発生した場合には、その補償等による直接的な損害のみならず、社会的信用が大きく失墜する可能性があります。

対策

・情報管理については、社内管理体制の整備や従業員への教育等の対策を講じております。社内管理体制の整備については、ネットワーク及び取り扱う情報資産を適切に保護するための基本事項を定めており、重要データへのアクセス権限の設定、業務用端末における外部記憶媒体の利用制御、会社指定デバイス以外からの社内環境への接続制限等、利用者以外がアクセスできないような措置を講じています。また、業務委託先での個人情報管理については、当社の定める個人情報保護基準の充足確認や、定期的な委託先の見直し等をおこない、厳しく選定・管理をおこなっています。当社は取得した個人情報の保護に最大限の注意を払い、2006年にプライバシーマークを取得し、以後定期的に更新取得しております。
 
・また、従業員に対しては、ITリテラシーや個人情報への理解を深める教育コンテンツを定期的に発信すると共に、定期的な自己点検や内部監査等も実施し、情報セキュリティ意識を向上させ、内部からの情報漏洩リスクを低減させています。 

 

 

 

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

J

人的資本リスク

リスクシナリオ

・少子高齢化に伴う労働人口の減少や個人のキャリアや働き方に対する価値観の多様化等により、人財の「質」と「量」の獲得競争が激化しています。
 
・当社グループでは、顧客の対応に当たるスタイリストは理美容師免許を有していることが必要であり、また今後の事業拡大のためには、海外事業や新規事業に対応する人財、DXスキルを保有する人財の確保に加え、将来の経営の意思決定を担う重要ポジションの充足が必要です。しかしながら、当社グループがこれらの必要な人財を一定数確保できない場合、事業戦略の遂行等が計画通りに進まず業績に影響を及ぼす可能性があります。
 
・また、人事制度の設計・運用や人財施策が不十分である場合、またはその人財が十分に力を発揮できる組織や環境を構築できない場合には、従業員のエンゲージメントが低下し離職が増加する等、業績に影響を及ぼす可能性があります。 

対策

・経営上の重点施策として人的資本への投資に努めており、安定的な採用体制の構築を進め、新卒採用、経験者の中途採用を計画的に行っております。人材育成方針に基づき、人財への積極的な教育投資にも努めており、社内での教育研修制度を確立し、現場及び本社の次世代リーダー人財の育成を進めています。また、経営上の根幹に係る重要職務分掌を特定の人物に依存しない組織体制の構築や、各世代のキャリア意識醸成に継続的に取り組んでいます。
 
・また、社員の定着化に向けて、人事制度や人財施策の見直しを積極的に進めています。具体的には、労働市場の動向等を鑑み、人事制度の改定や拡充、処遇の改善等人事制度の構築にも取り組んでおります。
更には、多様な人材がワークライフ・バランスを整えながら活き活きと働けるよう、様々な取組を行っております。具体的には、健康経営の推進や、女性活躍推進法に基づく「えるぼし」の認定の取得、次世代育成支援対策推進法に基づく「くるみん」の認定の取得等、ダイバーシティ・マネジメントを推進しております。 

 

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

K

コンプライアンスリスク

リスクシナリオ

 ・企業のコンプライアンスに係る社会的な要請は年々高まっており、当社グループとしても、法令遵守や人権尊重を実践しながら、健全な事業活動を行う必要があります。
 
・当社グループ、もしくはその役職員が、法令違反、ハラスメントの発生等のコンプライアンス上の重大な問題を引き起こした場合には、社会的信用の失墜のみならず、業績に影響を及ぼす可能性があります。

対策

・アートネイチャーグループのモットーである「ふやしたいのは、笑顔です」の下、広く社会から信頼される経営や企業活動、また働き甲斐のある職場づくりのために「アートネイチャーグループの行動規範」を制定し、法令等のルールや企業倫理を十分に認識し業務の遂行に努めています。また、年2回のコンプライアンス委員会の開催、コンプライアンス・リーダーの任命、役職員に対しての情報周知や講習等を通して、コンプライアンス意識の維持向上をしております。
 
・仮に、役職員によるコンプライアンス違反の疑い等の発生、もしくは発生の可能性がある場合には、社内外の相談窓口の設置等により、通報・相談しやすい体制を整備しています。 

 

 

 

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

L

知的財産リスク

リスクシナリオ

・顧客価値の源泉となる独自の知的財産については、その特性に応じた適切な保護・管理が企業にとって必要となっています。
 
・当社グループの製品ブランド及び関連する商標権や製品技術の特許権等の知的財産権に関して第三者による侵害が生じた場合、当社グループは適切な対抗措置をもって対応しますが、これが認められなかった場合、損害を被る可能性があります。
 
・一方で、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合、その補償が必要となり、社会的信用の失墜のみならず、業績に影響をもたらす可能性があります。 

対策

・保有する知的財産権については、その特性に応じて適切な保護・活用を行っております。一方で、他社が保有する知的財産権については 、 製品開発の各フェーズで入念な調査・確認を実施し、その権利を侵害していないかを確認の上で商品化しております 。
 
 ・万一、他社から知的財産権の侵害を指摘された場合には、非侵害の主張等の交渉・訴訟対応を行うための専門人財を配置するとともに、その事案に応じて、弁護士、特許事務所と連携し適切に対応する体制を整えております。

 

 

<分類:製品・製造>

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

M

製造物責任リスク

リスクシナリオ

・製品およびサービスに欠陥が発生した場合、企業はその欠陥に起因した損害に対して賠償責任を負い、対応費用の発生やブランド価値の毀損等が発生する可能性があります。
 
・当社グループが開発、製造する全ての製品や備品について、製造物責任賠償のリスクを内包しております。特に当社グループの主力製品であるオーダーメイドウィッグは頭部に直接装着するため、万一、製品の欠陥、設計不良、品質不良等により、顧客の健康に多大な影響等を及ぼした場合、その補償や社会的信用の失墜のみならず、業績に影響を及ぼす可能性があります。

対策

 ・製品、備品の開発にあたってはパッチテストを行う等、品質、安全性を検証しております。主力製品であるオーダーメイドウイッグにおいては社員モニターによる実使用検証を行い、装着感のみならず使用時に起こりうる不具合の検証等も行っております。
 
・また、顧客との契約締結時には丁寧な製品説明と共に、一部製品については事前にパッチテスト等を実施しております。更には、発売後も製品、備品等アイテム区分ごとに、全国の店舗で発生したユーザーからの声を共有する体制を構築しており、その声に応えるべく改善に取り組んでおります。なお、万一、問題が発生した場合には、製造物責任による損害賠償請求に備え、保険への加入により、業績影響を最小限に抑えるべく対策を講じています。

 

 

 

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

N

サプライチェーンリスク

リスクシナリオ

・グローバルで事業活動を行う企業にとって、自然災害や感染症等の環境要因、テロ、戦争や政治的な不安等の地政学的要因、サイバー攻撃やシステム障害等の技術的要因等によって、各国、各地域における仕入、調達、在庫、生産、販売に係る物流上の問題が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
 
・当社グループにおける主力製品のサプライチェーンはグローバルに展開しておりますが、何らかの要因により物流上の問題が発生した場合、製品出荷の遅延や停滞等が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。 

対策

・仕入、調達、在庫、生産の状況を常にモニタリングしており、サプライヤーと共有しております。また、主力製品であるオーダーメイドウイッグの原材料は、原則として国内複数業者から仕入れる方針としており、品質の維持のみならず、安定的な仕入を実現しております。また、各拠点で発生する局所的な災害等へ対応できる体制を整備しています。

 

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

O

生産リスク

リスクシナリオ

・グローバルで事業活動を行う企業にとって、原材料の調達不能や価格高騰、設備の老朽化、生産効率や操業度の低下等、生産に伴うさまざまなリスクがあり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
 
・当社グループにおいては、為替の影響により原材料調達コストが変動する場合、または製造拠点の人件費や物価の高騰等により製造コストが変動する場合、製造原価が引きあがり、利益を圧迫する等、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 

対策

 ・原材料の仕入・調達や製造に係るコストの増大に備える為、製造拠点や製造委託先を複数国に設置し、各国の情勢をモニタリングすることで、リスク低減に努めております。
 
・また、更なる供給体制の安定化に向けて、より安価、安定的に仕入・調達が可能な代替原材料の探索や、生産工程の一部機械化の本格導入へ向けた取り組みなど、生産性と品質の向上を両立する生産体制を目指しています。
 
・なお、製造原価が利益を大きく圧迫する状況となった場合、適正利益を確保できるよう製品等の価格改定を検討してまいります。

 

 

 

 

 

<分類:財務>

 

記号

リスク項目

影響度

発生可能性

P

投資リスク

リスクシナリオ

・新規事業や設備、新商品の研究開発や、新規システム導入等への投資のほか、他社との連携や企業買収等、事業投資の失敗に伴い、業績に影響を及ぼす可能性があります。
 
・当社グループでは、事業の拡大のため、店舗の新規出店、移転・リニューアルに係る投資を積極的に行っていますが、事業環境の変化等から、一部投資額を回収できなかったり、店舗減損等の損失が発生する可能性があります。
 
・また、積極的なM&Aや事業提携などの戦略投資を図っておりますが、M&Aや事業提携において予想出来ない不確実な要素が顕在化した場合、あるいは想定外の事象や環境変化が発生した場合、当初意図した成果が得られなかったり、潜在リスクが顕在化する等により、のれんの減損、追加費用の発生等が発生する可能性があります。 

対策

 ・新規出店、移転・リニューアル等に際して、投資額に応じた会議体において、出店物件の概要、店舗の事業計画、本社の支援策等を踏まえ、損益計画の妥当性及び投資回収の実現性等を審議した上で、投資判断を行っております。
 
・また、他社との資本提携や企業買収等に際して、対象会社の財務内容や契約内容の確認、経営者との面談等の事前審査を基に、当社との戦略の適合性、事業計画の蓋然性、投資額の妥当性、シナジー効果やリスク度合いを考慮した上で、投資判断を行い、リスク対策を講じております。投資後も他のグループ会社と同様に、経営成績やガバナンス状況等を確認し、必要に応じて適切な対応を実践しております。

 

 

 

 (2)TCFDの提言に基づく「気候変動リスク」

 当社は、この度、自然災害リスクに内包されている気候変動リスクについて、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)*1の提言への賛同を表明しています。気候変動に真摯に向き合い、事業に影響する機会・リスクへの理解を深化させ、TCFD提言に基づく気候変動関連の積極的な情報開示に努めてまいります

 TCFD提言は、気候変動に伴うリスクと機会が財務を含む会社経営にどのような影響を及ぼすかを的確に把握すべく、4つの開示要素である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に沿って情報開示することを推奨しています。当社は、TCFD提言が求める4つの情報開示項目に基づいた情報開示の更なる拡充に取り組んでまいります。

[注]*1Task Force on Climate-related Financial Disclosures:2015年に金融安定理事会(FSB)により設立された、気候変動が事業に与えるリスクと機会の財務的影響に関する情報開示を企業に推奨する国際的イニシアチブ。

 

  ① ガバナンス

当社では気候変動・環境への対応を経営上の重要課題と認識しています。その諸課題については、代表取締役会長兼社長を最高責任者とするリスクマネジメント委員会が、社内各部署と連携し、具体的な対応方針を協議・決議します。リスクマネジメント委員会での協議・決議事項については少なくとも半年に1回、取締役会に上程または報告されます。取締役会は業務執行において協議・承認されたサステナビリティ推進に関する取り組み施策の進捗を監督し、少なくとも年に1回気候変動に関する議題を取り扱います。

また、代表取締役会長兼社長は、リスクマネジメント委員会の最高責任者として、気候変動課題を含む、外部環境や経営環境の変化に伴い発生が予想される様々な全社的リスクマネジメントの最終的な責任を負っています。

 

 

サステナビリティ推進体制

 


 

 

 

サステナビリティ推進体制における会議体とその最高責任者、開催頻度及び役割

 

会議体および体制

最高責任者

開催頻度

役割

取締役会

代表取締役会長兼社長

毎月1回

経営方針や重要な経営事項を審議・決定する。また、業務執行において協議・承認されたサステナビリティ推進に関する取り組み施策の進捗を監督する。少なくとも年に1回気候変動に関する議題を取り扱う。

リスクマネジメント委員会

代表取締役会長兼社長

半年に
1回

気候変動課題を含む、外部環境や経営環境の変化に伴い発生が予想される様々な全社的リスクを特定・評価し、特に重要なリスクについては具体的な対応策を協議する。決議事項や報告事項については少なくとも半年に1回、取締役会に上程または報告する。

リスクマネジメント委員会事務局

(経営企画部)

 

リスクマネジメント委員会運営に際しての事務局機能を担う。リスクマネジメントへの取り組みの全体計画などの枠組み立案、推進組織の運営、助言を行う。

 

 

  ② リスク管理

当社では、代表取締役会長兼社長を最高責任者とする「リスクマネジメント委員会」にてリスク管理を行っています。リスクマネジメント委員は、まず各部と協議の上で事業運営に影響を及ぼしうるリスクを抽出・特定し、続いてそのリスクの優先順付けをしたのち、特に重要なリスクに関しては具体的な対応方針を協議します。

リスクマネジメント委員会は協議・決議事項を、少なくとも半年に1回取締役会へ上程・報告します。気候変動関連リスクについても、リスクマネジメント委員会が全社的なリスク管理プロセスに統合して管理を行っています。

 

 


 

  ③ 戦略

当社では、TCFD提言に基づき、気候変動関連のリスク・機会の把握を目的にシナリオ分析を行いました。シナリオ分析では、国際エネルギー機関 (IEA) 等の科学的根拠等に基づき1.5°Cシナリオと4°Cシナリオを定義し、2030年(移行リスク)と2050年(物理リスク)時点で事業に影響を及ぼす可能性がある気候関連のリスクと機会の重要性を評価しました。

 

 

シナリオ群の定義

 

項目

1.5℃シナリオ

4℃シナリオ

対象範囲

海外連結子会社まで

対象年

移行リスク:2030年,物理リスク:2050年

主な参照先

移行面

IEA NZE*1

IEA STEPS*2

物理面

IPCC SSP1-1.9*3

IPCC RCP8.5*4

 

 

*1 IEA NZE(Net Zero Emissions by 2050 Scenario):IEAが示した世界のエネルギー部門が2050年までにCO2排出量をネットゼロにする道筋を示す規範的なシナリオ

*2 IEA STEPS(Stated Policies Scenario):IEAが示した各国政府が公表している政策を反映した保守的なシナリオ

*3 IPCC SSP1-1.9:IPCCの第6次評価報告書にて示した気温上昇 を約 1.5℃以下に抑える気候政策を導入することで、21 世紀半ばに CO2 排出が正味ゼロとなり、世界の平均気温が産業革命前に比べて 1.0~1.8℃(平均 1.4℃)に抑えるシナリオ

*4 IPCC RCP8.5:IPCCが第5次評価報告書にて示した21世紀末(2081~2100年)に世界の平均気温が産業革命前に比べて3.2~5.4°C(平均4.3°C)上昇するシナリオ

 

 

リスク機会の特定及び評価

 当社は、2022年度より当社の海外連結子会社までを対象に気候変動に関連する移行・物理リスクを精査し、事業への影響度を評価しています。その結果、自社に関連のあるリスクとして「炭素価格」「プラスチック規制」「エネルギーミックス」「異常気象の激甚化」を特定しています。2023年度には、2022年度において影響度が大きいと評価したリスクを対象に定量的な分析に基づく再評価を行いました。その結果、各移行・物理リスクによる財務的な影響度は「小」であると評価しました。今後も自社に関連性のあるリスクの低減および気候変動によって生まれる事業機会の獲得については継続的に行っていきます。

 

[影響度]

大: 大規模な業務の停止

中: 中規模な業務の停止

小: 小規模な業務の停止

 

[世界観]

1.5℃の世界観 (移行リスクは2030年、物理リスクは2050年):

・炭素税の導入等、厳しい気候変動対策を実施し、抜本的な社会変革を達成

・CO2排出規制/プラスチック規制/気候関連開示義務の強化、EV補助金促進

 

4℃の世界観 (移行リスクは2030年、物理リスクは2050年):

・厳しい気候変動対策実施せず

・CO2排出規制/プラスチック規制/気候関連開示義務の強化なし

 

 

 

リスク機会一覧

影響度および発生可能性をもとに重要度の高い気候変動関連リスク・機会を特定しました。

 

リスク/機会

項目

事業インパクト

1.5℃

4℃

移行リスク

炭素価格

炭素税導入に伴い、自社におけるエネルギー消費に課税され、操業コストが増加する

小*1

小*1

移行リスク

プラスチック規制

プラスチック規制によって石油由来プラスチックではなくバイオ・再生可能プラスチックを利用する必要が発生し、調達コストが増加する

小*2

小*2

移行リスク

エネルギーミックス

エネルギーミックス(電源構成)の変化によって、電力価格が上昇し、操業コストが増加する(炭素税+再エネの比率が高まる)

小*3

小*3

物理リスク

異常気象の激甚化

異常気象の激甚化による、人工毛髪等の取引先の製造拠点被災の影響で、商品供給に支障が出る

小*4

小*4

物理リスク

異常気象の激甚化

異常気象の激甚化による、ウィッグの製造拠点被災の影響で、商品製造・供給に支障が出る

小*4

小*4

物理リスク

異常気象の激甚化

異常気象の激甚化による、配送拠点被災の影響で、在庫被害や商品供給への支障が出る

小*4

小*4

 

(財務影響評価の根拠)

*1 炭素価格による影響については2030年時点のScope1,2排出量に対して、1t-CO2あたりの炭素価格を乗じて試算。

*2 プラスチック規制による影響については2030年時点の人工毛髪購入量に対して、バイオ・再生プラスチック利用率および単価の上昇率を乗じて試算。

*3 エネルギーミックスによる影響については2030年時点の電力使用量に対して、エネルギーミックスの変化に伴う電力料金の変化率を乗じて試算。

*4 異常気象の激甚化による影響については調達先・製造拠点・配送拠点の浸水リスクを把握し、各拠点の営業停止に伴う想定被害額と洪水発生頻度を乗じて試算。各拠点の浸水リスクの評価については、国土交通省の浸水ナビ、世界資源研究所のAqueduct 3.0を使用。

 

 

 

対応策

気候変動によるリスクを低減しつつ、気候変動によって生まれる事業機会を獲得していきます。

 

項目

事業インパクト

対応策

炭素価格

炭素税導入に伴い、自社におけるエネルギー消費に課税され、操業コストが増加する

・店舗・事務所での省エネ設備の導入
・再生可能エネルギーへの切り替え
・EV車両の導入
・各国の炭素税等の環境規制に関する情報収集・対策

プラスチック規制

プラスチック規制によって石油由来プラスチックではなくバイオ・再生可能プラスチックを利用する必要が発生し、調達コストが増加する

・プラスチック利用の削減
・新素材の開発 

エネルギーミックス

エネルギーミックス(電源構成)の変化によって、電力価格が上昇し、操業コストが増加する(炭素税+再エネの比率が高まる)

・再エネ資源の推進による電力価格削減
・店舗・事務所での省エネ設備の導入 

異常気象の激甚化

・異常気象の激甚化による、人工毛髪等の取引先の製造拠点被災の影響で、商品供給に支障が出る

・異常気象の激甚化による、ウィッグの製造拠点被災の影響で、商品製造・供給に支障が出る

・異常気象の激甚化による、配送拠点被災の影響で、在庫被害や商品供給への支障が出る

・生産拠点の複数化
・原材料の調達先の多様化
・製品在庫の確保
・損害保険への加入
・BCP(事業継続計画)整備による
 レジリエンス強化 

 

 

  ④ 指標と目標

当社は、2021年度より気候変動関連リスク機会の評価指標として温室効果ガス排出量の算定を行っております。2022年度からはScope1,2排出量に加え、Scope3排出量の算定を実施いたしました。また組織範囲を国内のみからグループ全体へと拡大しています。

 

 

算定の前提と算定方法

[組織範囲] グループ全体

[時間的範囲] 各社の会計期間に従う

[温室効果ガス] 7ガス

 

 

Scope1,2排出量(tCO2eq)

 

2022年度

2023年度

組織範囲

国内

グループ全体

国内

グループ全体

Scope1

256

442

209

434

Scope2

5,729

6,881

5,576

6,734

合計*1

5,984

7,324

5,785

7,167

(参考)ロケーション基準*2

5,706

6,859

5,587

6,745

 

*1:マーケット基準で算定。マーケット基準とは、電力会社やメニューごとの排出係数を用いる算定方法。また購入した証書による削減も算定に含む。

*2:ロケーション基準:国や地域の平均的な排出係数を用いる算定方法。

 

 

Scope3排出量(tCO2eq)

 

2022年度

2023年度

Scope3合計

42,092

41,729

Cat1 購入した製品・サービス

33,683

31,757

Cat2 資本財

4,705

6,349

Cat3 Scope1,2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動

1,102

1,068

Cat4 輸送・配送(上流)

1,298

1,213

Cat5 事業から出る廃棄物

156

178

Cat6 出張

503

508

Cat7 雇用者の通勤

629

638

Cat12 販売した製品の廃棄

17

17

 

※1:Cat8,9,10,11,13,14,15については、事業との関連が薄い、もしくは関連がないため算定対象外としている

※2:2022年度においてCat12の活動量の集計に誤りがあったため、データを修正している。

 

 

削減目標

 当社では気候変動リスクを緩和するため、2021年度に当社単体を対象とする温室効果ガス削減目標を設定しました。2022年度より温室効果ガス排出量の算定対象範囲をグループ全体まで拡大したことを踏まえ、削減目標についてもグループ全体を対象とするよう見直し、2030年に2022年比で売上高あたりのScope1,2排出量を20%以上削減、2050年にカーボンニュートラルを達成するという目標を設定しました。目標達成に向け、省エネ活動や省エネ設備の導入・更新を推進し、再生可能エネルギーの導入も検討しています。

 

実績

目標

 

2022年度

(基準年)

2023年度

2030年度

2050年度

Scope1,2排出量(tCO2eq)

7,324

7,167

-

0

売上高(百万円)

43,209

42,850

-

-

売上高あたり(tCO2eq/百万円)

0.169

0.167

0.136

0

削減率(%)

-

1.3%

20%

100%

 

 

 

 

(3)人権の尊重

 ① 人権方針

 世界的に「ビジネスと人権」への関心が高まっており、当社グループは「人権の尊重」への取り組みを深化させるため、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の指針に沿って、2023年4月に「アートネイチャーグループの人権基本方針」を制定しました。本基本方針は、当社グループのすべての役職員に適用します。また、当社グループの事業活動に関係するすべての取引関係者に対しても、本基本方針への支持を期待します。

※「アートネイチャーグループの人権基本方針」(当社ウェブサイト) 

  https://corp.artnature.co.jp/ja/sustainability/social/rights/policy.html

 

 ② 人権デュー・ディリジェンス

 当社グループの事業活動における人権リスクについては、人権に対する負の影響を特定・分析・評価し、その予防措置及び是正措置を講じています。その内容については、コンプライアンス統括室が取りまとめ、代表取締役社長を委員長とし、コンプライアンス担当役員、常勤監査役、管理本部長、経営企画部長および、社外ほっとライン窓口対応弁護士、その他委員長が任命する役職員を委員とするコンプライアンス委員会に少なくとも1年に1回報告し、さらに取締役会に報告する体制となっています。

 

<人権デュー・ディリジェンスの体制図>

 


 

 ③ 救済措置

 救済措置については、サプライヤーをはじめ、すべてのステークホルダーから当社グループの事業活動における人権侵害への苦情・通報を受け付け・対応する人権相談窓口を設置し、サプライチェーン全体での取り組みを強化しています。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費が持ち直したことやインバウンド需要の拡大などを背景に、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、為替相場の変動や原材料価格の高騰、物価上昇による消費マインドの減退懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような状況のもと、当社では、中期経営計画「アートネイチャーAdvanceプラン」2年目を迎え、当社グループの強みを活かして、さまざまな課題に挑戦し、業績や毛髪業界シェアを伸長させるとともに、新領域の事業を獲得し拡充することで、「次代を切り拓くアートネイチャー」に飛躍させるべく、事業活動を実施してまいりました。

その結果、当連結会計年度の売上高は、43,340百万円(前連結会計年度比1.1%増)となりました。しかしながら、利益面では売上高が前年同期比増加したものの、為替の影響、人件費の増加、物価高の影響等により売上原価、販売費および一般管理費が増加し、営業利益は2,181百万円(同17.8%減)、経常利益は2,249百万円(同17.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は821百万円(同43.8%減)となりました。

 

<男性向け売上高>

男性向け売上高については、新規売上は効果的な広告宣伝の実施、リピート売上についても顧客定着策の推進等を実施した結果、23,167百万円(前連結会計年度比1.5%増)となりました。

 

<女性向け売上高>

女性向け売上高については、リピート売上は来店顧客数の増加等により、前年同期比増加したものの、新規売上が新規顧客獲得の苦戦により前年同期比減少した結果、12,570百万円(同1.7%減)となりました。

 

<女性向け既製品売上高>

女性向け既製品売上高については、効果的な新規出店に加え、出店先商業施設向けの販促活動が奏功したことや新商品の販売好調等により、6,076百万円(同7.4%増)となりました。

 

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比172百万円減少し、49,678百万円となりました。これは、現金及び預金が減少したこと等により流動資産が968百万円減少した一方、その他無形固定資産が増加したこと等により固定資産が796百万円増加したことによるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末比357百万円減少し、22,623百万円となりました。これは、未払金が減少したこと等により流動負債が248百万円減少したことに加えて、退職給付に係る負債が減少したこと等により固定負債が108百万円減少したことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末比184百万円増加し、27,055百万円となりました。これは、主に利益剰余金が減少した一方、退職給付に係る調整累計額が増加したこと等によるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は以下のとおりであり、現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末比1,183百万円減少し、18,025百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益1,499百万円に加え、減価償却費1,164百万円、減損損失750百万円、退職給付に係る負債の増加182百万円があった一方、法人税等の支払607百万円、棚卸資産の増加61百万円、その他の営業支出651百万円等により2,580百万円の資金収入(前連結会計年度は2,137百万円の資金収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得による支出1,768百万円、無形固定資産の取得による支出825百万円、敷金及び保証金の差入による支出110百万円等により2,909百万円の資金支出(前連結会計年度は2,165百万円の資金支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

配当金の支払911百万円等により911百万円の資金支出(前連結会計年度は919百万円の資金支出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

A.生産実績

当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)の生産実績を示すと、次のとおりであります。

 

品目

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

枚数(枚)

前年同期比(%)

オーダーメイドウィッグ

64,814

97.3

 

(注) 当社グループは、取り扱う品種が多品種であり、販売価格による表示が困難なため、生産数量にて記載しております。

 

B.受注実績

当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)の受注状況を示すと、次のとおりであります。

 

品目

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

オーダーメイドウィッグ

23,305

103.1

11,866

103.5

 

 

 

C.販売実績

当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

男性向け事業(百万円)

23,167

101.5

女性向け事業(百万円)

12,570

98.3

女性向け既製品事業(百万円)

6,076

107.4

報告セグメント計(百万円)

41,814

101.3

その他(百万円)

1,526

96.0

合計(百万円)

43,340

101.1

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、連結会計年度末における資産・負債並びに連結会計年度における収益・費用の報告金額及び開示に与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、見積りには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。

 

A.貸倒引当金等の引当金

貸倒引当金等の重要な引当金の計上基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)3.会計方針に関する事項(3) 重要な引当金の計上基準」をご参照ください。

 

B.退職給付に係る負債

従業員に対する退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務の見込額に基づき計上しております。

 

C.固定資産の減損

固定資産の減損については、管理会計上の区分や投資の意思決定を行う際の単位や事業の相互補完性等を考慮して合理的にグルーピングを行い、当該資産グループ単位で減損の兆候を把握しております。減損の兆候がある資産グループについては、その資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には減損を認識し、帳簿価額を回収可能価額まで減額して減損損失を計上しております。

 

 

D.繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産は将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高く税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で計上しております。また、繰延税金資産は毎期見直しており、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除の全部又は一部が将来の税金負担額を軽減する効果を有さなくなったと判断した場合、計上していた繰延税金資産のうち回収可能性がない金額を取り崩しております。

 

E.資産除去債務

資産除去債務の計上基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(資産除去債務関係)」をご参照ください。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

A.経営成績等の分析

2024年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画の2025年3月期の状況は以下のとおりです。

当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

なお、当連結会計年度の主要な指標の計画比は以下のとおりです。

指標

2025年3月期(計画)

2025年3月期(実績)

2025年3月期(計画比)

売上高

45,001百万円

43,340百万円

3.7%減

営業利益

2,911百万円

2,181百万円

25.1%減

経常利益

2,949百万円

2,249百万円

23.7%減

親会社株主に帰属する

当期純利益

1,509百万円

821百万円

45.8%減

ROE(自己資本利益率)

5.7%

3.1%

2.6ポイント減

 

(注) 2025年3月期(計画)には、2024年5月15日に発表いたしました業績予想を記載しております。なお、業績予想の修正を2025年1月30日に発表しております。

 

 

B.キャッシュ・フローの状況の分析

a.キャッシュ・フローの概況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりであります。

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

自己資本比率(%)

55.8

52.4

53.5

53.3

53.8

時価ベースの自己資本比率(%)

50.4

49.7

53.1

50.9

49.7

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

492.6

 

(注) 各指標の算出は、以下の算式によります。

自己資本比率=自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率=時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率=有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ=キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値に期末発行済株式数(自己株式除く)を乗じて算出しております。

※ キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。

※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

b.財務政策

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。

なお、当連結会計年度末において、取引銀行3行と5,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高-百万円、借入未実行残高5,000百万円)。

 

(3) 経営者の問題認識と今後の方針

[経営者の問題意識]

当社グループの経営者は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。当社グループを取り巻く外部環境は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費が持ち直したことやインバウンド需要の拡大などを背景に、景気は緩やかな回復基調で推移したものの、為替相場の変動や原材料価格の高騰、物価上昇による消費マインドの減退懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような経営環境の中、将来に亘って持続的な成長を果たすために、新規のお客様の獲得に加え、既存のお客様の定着に向けた諸施策を、全社一丸となって取り組んでいく所存です。

 

[財務戦略の基本的な考え方]

次代を切り拓くアートネイチャーの礎を築くために、既存領域及び新領域の事業にバランスよく配分するとともに、安定的な経営を目指して、成長投資(含む設備投資)、手元資金、株主還元に振り向けることを財務戦略の基本的な考え方としています。

 

 

[成長投資]

事業

基本的な方針

オーダーメイド

ウィッグ事業

お客様満足の向上に注力し「アートネイチャーの真のファン」の数を増やすと共に、お客様の定着化に向けた施策を実践することで、安定的な成長を目指してまいります。メンズ部門においては、製品の差別化戦略を推進するべく、ソフト(人)・ハード(設備)両面の体制を整備してまいります。また、レディース部門においては、女性向け事業間の連携を強化し、ハイブリッド店舗の展開を強化してまいります。

女性向け既製品事業

出店数の拡大と共に、既存顧客に対する販売戦略を強化してまいります。また、オーダーメイドウィッグとの連携を強化することで、更なる業績の拡大を目指してまいります。

通信販売事業

アートネイチャーブランドの認知拡大に向けた取り組みを強化するとともに、新商品の投入により商品ラインアップや当社商品を取り扱うECサイトを増やす等、販路を拡大することで、業績拡大を目指してまいります。

海外事業

アフターコロナにおける営業を展開し、シンガポール、タイ、マレーシアにおける当社ブランドの浸透と、地域に根差した販売施策によって潜在需要を掘り起こし、業績の拡大に取り組んでまいります。

生産部門関連

確立された開発フローに沿って新製品の開発を計画的に進めるとともに、海外生産子会社での一層の生産性向上と、さらなる原価低減に取り組み、生産から販売までの一貫体制の充実を図るべく投資を実践してまいります。また、生産体制では生産拠点分散、原材料備蓄等により、生産安定性を向上させるべく取り組んでまいります。

管理部門関連

各部門の戦略を実現していくため、お客様のニーズに的確に対応できるカウンセラー、スタイリストや販売スタッフの育成に向けた研修の充実と、マネジメント層の育成など人財教育のために投資を実践してまいります。また、設備については、安定的な設備の更新に努めることを基本方針として投資を実践してまいります。さらに、システムと各種制度の刷新等により、事務効率性を向上させ、コーポレートガバナンス・コードのサステナビリティ項目(「気候変動」、「人権尊重」、「人的資本」の各項目)の推進や、本部各部の主要ポストの後継者育成も実践してまいります。

 

 

[資金保有方針]

当社では、前受金残高を手元資金で担保するとともに、月商の約2.5ヶ月分とあわせて「岩盤資金」を維持することを基本方針としております。残りの現預金については、「戦略資金」と位置づけ、M&A等の積極的な事業投資に活用いたします。さらに、今後増加予定のフリーキャッシュフローのうち、配当原資を差し引いた金額を、追加の「戦略資金」として位置づけます。

 

[株主還元]

当社では、安定配当の維持に努めることを基本方針としております。また、連結配当性向40%以上を基本に年間配当28円を下限として、連結業績に応じた配当水準の向上(1円単位で増配)を図ります。但し、ROE10%超を達成する迄は、連結配当性向50%以上を基本とすること等を配当方針として定めております。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発活動は、総合毛髪事業において、最高の品質と最良のサービスを提供することにより、お客様に満足頂ける毛髪文化を創造していくために、「ウィッグ・増毛商品」、「育毛・備品」の研究開発に注力しております。なお、研究開発活動をセグメントに配分することは困難なため、「ウィッグ・増毛商品」、「育毛・備品」に分けて以下記載しております。

 

(1) 「ウィッグ・増毛商品」

「ウィッグ・増毛商品」分野では、当社商品開発部を中核としてANフィリピン社及びANMP社の各製造子会社の研究開発セクションと連携して、高度化・多様化するお客様ニーズに対応することにより、お客様の満足を得られる商品を提供することが出来るよう、メンズ・レディース製品、ウィッグのベース及び毛髪素材の開発やウィッグのベースに対する植毛方法の改良に取り組んでおります。

また、各製造子会社では、当社商品開発部の依頼による試作の他、既存製品の改良や品質向上に向けた取り組みを行っております。

当連結会計年度における「ウィッグ・増毛商品」の研究開発の成果としましては、男性向け新増毛商品として、2024年6月に、快適なフィット感と通気性を追求したメンズウィッグ「ARTSera LINE(アートセラライン)」、2024年11月に、柔らかい肌ざわりと耐久性を併せ持つメンズウィッグ「QUALIA CLOUD(クオリアクラウド)」、更に同月、結び目の色を抜く独自技術を採用し、まるで地肌から生えたように自然に増やせる「Clear MRP(クリアマープ)」を発売しました。

女性向け新増毛商品として、2024年9月に「生え際の自然な仕上がり」「つむじのボリューム」「格別なつけやすさ」のお悩み解消3拍子が揃ったレディースウィッグ「ジャスミー」を新ブランドとして発売、2025年3月に、周囲 360°に施された新・装着機能「ぐるっとキャッチ」とフック構造が前髪と自然に馴染み自毛との一体感をアップする「キャッチ イン フロント」、アーチ状の特殊ネットが後頭部の髪を立ち上げる「ボリュームライン」の特長を備え、どの角度から見ても美しく、快適な着け心地を実現したレディースウィッグ「ジャスミー ラウンドフィット」を発売しました。

 

(2) 「育毛・備品」

「育毛・備品」分野では、ウィッグの装着部材(粘着剤・テープ・ストッパー等)やメンテナンス商品(トリートメント、スタイリング剤等)の開発に加え、お客様の毛髪や頭皮の状態にあったシャンプー、トリートメント、コンディショナーや、育毛剤、健康食品等、通販向け商品を含めたヘアケア及びスキンケア関連商品の開発を幅広く行っております。

当連結会計年度においては、2024年11月にiPS細胞培養上清液を採用した新ブランド「Laips(ライプス)」から、頭皮と頭髪に潤いを与えるヘアトリートメント「Laips(ライプス)ヘッドパック」、2025年3月にまつ毛にハリ、コシを与え、目元をくっきり魅せるまつ毛美容液「Laips(ライプス)アイラッシュアンプル」を発売しました。

 

 

以上により、当連結会計年度における研究開発費は125百万円を計上しております。主な内訳は、「ウィッグ・増毛商品」分野で95百万円、「育毛・備品」分野で29百万円であります。