(1)会社経営の基本方針
当社グループは、企業理念「おいしさと楽しさを創造し、笑顔あふれる社会づくりに貢献すると同時に、全社員・パートナーの物心両面の幸せを追求する」を礎とし、事業領域を「ニッポンの美味しさ・楽しさを提供する企業グループ」と定めると共に、「社員・パートナーの意識の高さにおいて外食産業日本一(まずは東海エリアNo.1)」を社内目標として掲げ、内部体制の充実を伴った着実な成長を基本とし、中長期的観点では、フィロソフィを共有する組織パワーが、規模拡大の基盤であることを徹底し、事業展開します。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、健全な成長と経営の安定性を確保するため、上表の連結業績数値の他、重視する経営指標とその目標値として、①連結売上高対経常利益率4.0%、②外食事業の直営店1店舗当たりの平均月商890万円(第47期目標値、第44期実績は766万円)、③連結ネットDEレシオ1.0を採用しています。
なお、実際の業績は、当社グループを取り巻く諸環境の変化や、当社グループが目指す事業領域の拡大等々、様々な要因により、本数値目標と異なる結果となる可能性があります。
(3)経営環境および中長期的な会社の経営戦略
国内の外食マーケットは、マクロ的な観点では大きな拡大は見込めず、更には同業他社や中食等との競合激化も避けられない状況にありますが、独自性に強みがある業態には伸びる余地があると考えます。また、インバウンド消費や、海外マーケットにも成長の可能性を見いだすことが出来ます。
当社グループは、「中華・ラーメンのレストランチェーン展開企業」から、M&A等も活用することで周辺事業へも進出し「ニッポンの美味しさ・楽しさを提供する企業グループ」へと事業領域を拡大しています。また、ホールディングス機能の拡充とともに、各子会社の自立を促進しつつ、シナジー効果も創出することでグループの全体の成長を図り、企業規模拡大が収益拡大に直結できるよう、製造食材の販売事業の拡大、フランチャイズシステムの採用、経営人材の育成、および内部管理体制を強化し、着実なスクラップアンドビルドも実施し、収益力の向上を図ります。
加えて、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進および労務環境への充分な配慮と積極的な向上は、企業規模拡大における重点課題であり、重要な経営戦略として捉え推進します。
(4)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
今後の経済動向は、物価高や円安、地政学リスクの影響により不透明感が強まると見込まれます。賃上げや訪日客回復が追い風となる一方、実質賃金の伸び悩みや物価上昇による消費抑制が懸念されます。
外食産業では、原材料費や人件費の高騰が続く中、価格改定による客数減少や生活防衛意識による外食控えが懸念されます。業態・立地による業績差も顕著で、柔軟かつ迅速な対応が求められます。
このような状況下で当社グループは、引き続き「社員・パートナーの意識の高さにおいて外食産業日本一(まずは東海エリアNo.1)」を目標として掲げ、内部体制の充実を伴った着実な成長を基本とします。
中長期的観点では、フィロソフィを共有する組織パワーが、規模拡大の基盤であることを徹底し、中期計画を確実に達成する体制を整備し、具体的には、以下を着実に推進します。
1.労働環境を整え、顧客に選ばれる独自の業態力を磨き、1店舗当たりの売上・利益を伸ばし、店舗数を増やす
2.投資の推進、①働く環境、②DX、③製造部門、④店舗、⑤M&A
3.関東エリアの重点拡充、FC店舗の比率を高め、プロデュース店を含めた外販を拡大
4.海外出店および食品輸出の推進
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。
(1)経営環境
様々な社会課題の顕在化やステークホルダーの価値観の変容に伴い、ESG(Environment:環境 Social:社会 Governance:企業統治)を重視した経営や、経済価値と社会価値の双方を創出するサステナビリティ経営が求められています。
サステナビリティは、我が国のコーポレートガバナンスコードやスチュワードシップコードでは、「ESG要素を含む中長期的な持続可能性」として位置付けられており、当社も継続的に取り組んできました。
サステナビリティとは、すなわち、地球環境や自然を保護し、企業や人間社会の持続的成長と自然環境との共存を図る考えを大切にし、事業活動を継続していくことです。
さて、2025年4月1日は、当社にとって大きなターニングポイントになりました。この日、当社は「フジヤマ55」を経営する「株式会社55style(以下、55styleといいます)」の全株式を取得し55styleは当社グループの一員となりました。
フジヤマ55は「つけ麺」、名古屋名物の「台湾まぜそば」、「二郎系ラーメン」に工夫を凝らし、人気商品に高め、根強いリピーターを継続して獲得し、売上を伸ばしています。
また、同社の澤 竜一郎社長は「ラーメン職人」としてラーメン業界で有名で、「日本のラーメンを世界に広めたい」という夢を持っており、国内外にフジヤマ55のファンが多く存在し、海外フランチャイジー希望者からのオファーが続々とあります。
一方、当社グループでは、セントラルキッチンの役目を果たす食品製造子会社である桶狭間フーズ株式会社の工場を新築し、機械設備も充実させ、海外に向けて輸出も出来る国際品質基準を備えた工場と製品による、業容拡大を意図しており、「ラーメンを通じて世界に貢献したい」と考えてきました。
ちょうど、パズルの隙間を埋め合うように、両社の目的は合致し、この程、当社は中期5か年計画である「WR2030(ワールド・ラーメン・ニーゼロサンゼロ)」を策定、公表し活動していくこととしました。
(2)中期5か年経営計画「WR2030(ワールド・ラーメン・ニーゼロサンゼロ)」
当社は2025年5月14日、中期5か年計画「WR2030(ワールド・ラーメン・ニーゼロサンゼロ)」を新たに策定、公表しました。そのテーマを「日本の本物ラーメンを世界へ、世界中の人々をNIPPONへ!世界中へ日本の本物のラーメンのおいしさ楽しさを売り拡げ、世界中からNIPPONの本物を味わい楽しむ人々を集める」としました。
その経営戦略として、次の5つを掲げ、実行していきます。
1.理念の共有、働く環境の更なる改善、毎期5.0%以上の賃上げ実施、多様な人材の活躍、委託FC制度の積極推進
2.2025年4月連結子会社化した55styleの「フジヤマ55」の海外展開を加速、全グループ体制でバックアップ
3.土地確保済みの桶狭間フーズ㈱名古屋センター新設棟への大型投資、国際品質基準の認証取得、コア食材の輸出
4.社内に技術理論教育機関WRC(ワールド・ラーメン・カレッジ)の新規開校、2025年5月開設「RDセンター」での開発、訓練の推進
5.国内既存業態の差別化、投資継続による既存店売上高の伸長、関東エリアへの重点的な出店
当社において、特徴的なことは、「外国人材の活躍」です。当社に勤務する外国人正社員は男性21名、女性15名、合計36名が勤務しています。そのうち外国人店長は男性12名、女性8名です。また、社員を経験して、日本で委託FCのオーナーとなった8名のうち、半数の4名は外国人です。
若い時に国を出られた外国人の方は、日本語を学び、人一倍の努力をして店長になり、さらには、委託FCのオーナーになられています。
当社の目指すところは、この先、外国人の方が母国に戻り、当社のフランチャイジーとして独立され、まさしく、「一国一城の主」になり夢を叶えることです。それを、会社を上げてバックアップしていきたいと考えています。
調理ノウハウは既に当社店舗で修得されているため、その先は、飲食店経営のノウハウ等を学び、複数店経営者を目指していただきます。そのために、当社は「WRC(ワールド・ラーメン・カレッジ)」を本年7月に社内組織として立ち上げ、店舗オペレーションや飲食店経営のノウハウを学んでいただきます。「WRC」は、その役割だけでなく、社員研修、国内・海外FC研修等で学びの場として機能していく構想です。
国籍を問わず成功の機会を得られるように、そして、会社は新しい国々へ、新しい地域へ出店でき事業拡大できる、そんなボーダーレスでジェンダーレスな企業、サステナビリティなビジネス環境を、この先も築いていきます。
(3)ガバナンス
① 基本的な考え方
当社は、2007年12月より倫理綱領を定めており、その中で、サステナビリティを巡る課題への対応を明確にし、第41期(2022年3月期)を開始期とする中期経営計画においてSDGs(持続開発目標)の課題を取り上げることを開始しました。また、企業理念・社訓・倫理綱領・JBイレブングループフィロソフィに、地球環境への配慮、社会的責任の行使、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適切な取引、自然災害への危機管理などについて、明文化し取り組んできました。
② サステナビリティ関連のリスクおよび機会の監視・管理組織体制
サステナビリティ関連のリスクおよび機会を監視・管理するための体制として、取締役会、監査等委員会、経営会議、コンプライアンス委員会等に加え、サステナビリティ委員会を昨年3月に立ち上げました。
取締役会は経営の基本方針や重要課題、法令で定められた重要事項を決定するための最高意思決定機関と位置づけ、原則月1回開催しています。監査等委員会は原則月1回開催し適法性、妥当性の観点からリスクの監視を行い、部長代理以上・子会社社長が出席する経営会議を月1回開催、コンプライアンス委員会、さらにはサステナビリティ委員会を開催し、ガバナンスを強化しています。
サステナビリティ委員会では、サステナビリティを巡る課題リスクの掌握と監視のみならず、収益機会にも繋がる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、諸テーマについて積極的・能動的に取り組んできました。
本委員会は事業を通じた「社会課題の解決」と「企業成長ESG課題を認識のうえ、人間性(働く人の幸せを実現する)、社会性(社会貢献に資する)、 永続性(実状に即し論拠に立脚)に合致した戦略の立案を図り、代表取締役社長執行役員(以下、社長執行役員という)へ答申します。社長執行役員は本委員会の答申に基づき、中期経営計画等を立案し、取締役会の承認を経て決定します。
加えて、本委員会は戦略の立案に加えて、モニタリングなどを通じ、グループ全体におけるサステナビリティ推進状況の審議・検討を行っています。
③ サステナビリティ基本方針
次のとおり「サステナビリティ基本方針」を定め、本方針に則り事業活動を推進します。
(サステナビリティ基本方針)
「当社は、企業理念『おいしさと楽しさを創造し、笑顔あふれる社会づくりに貢献すると同時に、全社員・パートナーの物心両面の幸せを追求する』との認識を具現化すべくステークホルダーの皆様とコミュニケーションを図り、持続可能な社会の発展に貢献し、中長期的な企業価値の向上を目指します。」
(4)戦略
① サステナビリティに関する戦略
当社グループは、持続可能な社会づくりに貢献すべく、ESGを重視した経営に取り組むとともに、SDGsも踏まえたサステナビリティ活動を推進していきます。
特に飲食業としての事業特性を認識し、食品廃棄ロスの低減、食品廃棄物のリサイクル、マイクロプラスチックによる海洋汚染防止等に対して、具体的な活動を実施しています。
製麺工場の廃棄品(小麦製品)を家畜飼料用に提供することによる資源循環のほか、プラスチックストローの紙ストローへの変更、テイクアウト用袋への生分解性プラスチックの導入、産地との共存共栄、地産地消によるフードマイレージ(食品の輸送距離)低減等です。
直近では、エアコン消費電力削減のために器具設置を行い、食品廃油低減については実験を終了し、次のステップに進んでいます。
また、当社では創業以来、老人ホームでのラーメン提供を継続してきました。老人ホームへのらーめん訪問は、創業者夫妻が「らーめん」を通じた地域社会への貢献が何かできないかと検討し、1982年(昭和57年)の創業以来、欠かさず老人ホームを訪問し、温かいラーメンを入居者の方にご提供してきました(新型コロナウイルス蔓延下では、冷凍ギョーザを施設にご提供しました)。
今後のサステナビリティ重要課題への取り組みについては、新設した「サステナビリティ委員会」で検討協議を行い、マテリアリティ、KPIを設定し、推進していきます。
② 人的資本に関する戦略
当社は1971年の創業以来、「人の成長=企業の成長」という理念のもと、人的資本を尊重して企業経営に取り組んできました。具体的には、2008年に企業理念を「おいしさと楽しさを創造し、笑顔あふれる社会づくりに貢献するとともに、一人ひとりの成長と幸せを実現する」(2021年に改定し現行のものへ)として制定し、さらには、「倫理綱領」「社訓」「フィロソフィ」を定め、会社および全従業員の目指すべき道、心の持ち様、行動指針等を共有し取り組んできました。
(当社グループの目指すもの)
(企業理念)「おいしさと楽しさを創造し、笑顔あふれる社会づくりに貢献すると同時に、全社員・パートナーの物心両面の幸せを追求する」
(倫理綱領)1.私たちは、透明性が高く開かれた経営を行います。
2.私たちは、笑顔あふれる社会づくりに貢献する安全な商品・心かようサービスを提供します。
3.私たちは、人格・個性を尊重し、自律を育み、一人ひとりが挑戦し成長する風土を作ります。
4.私たちは、社会責任を自覚し、法令、社会規範を遵守するとともに、反社会的勢力とは関係を持ちません。
5.私たちは、地球環境との調和を図り、次世代に豊かな環境を継承します。
(社 訓) 一、われわれは、常に感謝の心をもって、お客様に最善を尽くします。
一、われわれは、プロフェッショナルとして、常に学び、考え行動します。
一、われわれは、何事にも計画性をもって、確実に実践します。
一、われわれは、優れた感性を磨き、限りなき明日を創造します。
一、われわれは、人の和を大切にし、若さと活力で会社の発展をはかります。
一、われわれは、自己の革新につとめ、相互の向上をはかり人材を育てます。
一、われわれは、小さな積み重ねを大切にし、たゆみなく努力します。
(フィロソフィ)全101項目「こころの手帳」を作成、経営目的実現への行動指針を明示するもの。
第一章 おいしさと楽しさを創造する
(1)経営のこころ(15項目)
(2)JBイレブングループでは一人ひとりが経営者(20項目)
第二章 笑顔あふれる社会づくりに貢献する
(1)日々の仕事を進めるにあたって(20項目)
(2)より良い仕事をする(19項目)
第三章 全社員・パートナーの物心両面の幸せを追求する
(1)一人ひとりが心を高め成長する(15項目)
(2)人生を考え、実践し、幸せになる(12項目)
(多様な人材の活躍推進)
2025年3月31日現在
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区分 |
内訳A/人(比率%) |
内訳B/人(比率%) |
合計(人) |
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取締役 |
女性取締役数2人(28.6%) |
男性取締役数5人(71.4%) |
取締役合計7人 |
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社員 |
女性社員数30人(18.8%) |
男性社員数130人(81.2%) |
社員合計160人 |
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社員 |
外国人社員数35人(21.9%) |
日本人社員数125人(78.1%) |
社員合計160人 |
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外国人社員 |
外国人女性社員15人(42.9%) |
外国人男性社員20人(57.1%) |
外国人社員合計35人 |
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管理職 |
女性管理職数1人(3.6%) |
男性管理職数27人(96.4%) |
管理職数合計28人 |
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店長 |
女性店長数19人(24.1%) |
男性店長数60人(75.9%) |
店長数合計79人 |
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店長 |
外国人店長数20人(25.3%) |
日本人店長数59人(74.7%) |
店長数合計79人 |
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外国人店長 |
同女性店長数8人(40.0%) |
同男性店長数12人(60.0%) |
外国人店長数合計20人 |
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業務委託FC オーナー |
外国人FCオーナー4人(50%) |
日本人FCオーナー4人(50%) |
委託FCオーナー数8人 |
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本有価証券報告書「従業員の状況」で開示した数値 |
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男女平均賃金の格差(男性の賃金に対する女性の賃金割合) |
2023年度 84.4% |
2024年度 59.0% |
― |
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男性育児休業 取得率 |
2023年度 0.0% |
2024年度 40.0% |
― |
上表のように当社では多様な人材が活躍しており、新入社員からFCオーナーに至るまで、人材育成の好循環の体制構築と機能発揮に努めていきます。
また、本有価証券報告書「従業員の状況」には、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女平均賃金の格差を開示しています。
(人材育成方針)
当社では人材育成を目的として、下記の新入社員を対象とした教育体系のほか、店長研修、社外研修、国内業界視察研修、アメリカ研修など、職位や経験、スキルに応じた研修会を実施し、知識や技術向上を図っています。
■ 研修体系図
■ 報奨制度
当社では正社員、パートナー(パート・アルバイトのこと)を対象として各種報奨制度を設け、全員による経営参画を図っています。
(イレブン賞) 業績向上に貢献したスタッフに贈られる賞です。期末には年間大賞の選出もあります。
(社 長 賞) 自ら宣言・実行し挑戦し、PDCAするも失敗した者を表彰します。
(フィロソフィ賞) JBイレブンフィロソフィの実践を通じたこころの充実・成長を表彰します。
(サンクス賞) サンクス賞は、役員・社員・パートナー一人ひとりがお互いに認め合い、具体的に賞賛や感謝を伝える賞です。
■ パートナー任用制度・ユニットマネージャー制度・ユニットマネージャーミーティング
当社ではパートナーの正社員への登用に注力するとともに、社員、パートナーの経営参画意識を醸成し店舗運営の改善向上を目的としたユニットマネージャー制度、ユニットマネージャーミーティングを導入し、店長や社員、パートナーの自主性発揮による人材育成を尊重しています。
(5)リスク管理
① リスクマネジメント体制
当社は、経営に係るさまざまなリスクを審議するため、主要なリスクの状況について定期的にモニタリング、評価・分析し、必要な指示、監督を行うとともに、その内容を定期的に取締役会に報告する体制を下図のとおり、整えています。
② サステナビリティ関連のリスクおよび機会を識別・評価・管理するために用いるプロセス
当社においては、マクロの環境変化や、影響の大きさ、時期などを総合的に勘案して組織横断的な管理が必要なリスクを特定しており、そのうち事業リスクについては、
(サステナビリティ関連リスク)
・エネルギーコストの高騰について
・食材コストの高騰と調達困難可能性について
・食材の安全性および安定供給について
・当社グループの名古屋センターおよび有松工場の運営について
・危機管理体制について
・異物混入について
・BCPについて
・特定地域に対する依存度について
・情報セキュリティについて
・従業員の悪質なイタズラ行為について
・食品衛生法について
・食品循環資源の再利用等の促進に関する法律について
・産業廃棄物について
・海外法令認識未熟による法令違反リスク
(人的資本関連リスク)
・日本人採用の困難性
・外国人労働者増加に伴うリーガルリスク(入管法等)
・外国語が壁となる安全衛生ルール等の徹底困難
・海外FC増加に伴うブランド棄損
(気候変動リスクへの適応とその緩和)
気候変動によるリスクが顕在化した場合には、原材料の調達リスクは増大し、生産活動は停滞します。その結果、当社としては食材の仕入れが困難になり、調達コストが増大化します。また、脱炭素への取り組みが遅延し、また排出権取引制度の導入や炭素税が導入された場合には、さらなるコスト増加が見込まれます。当社グループとしましては、TCFD提言(気候関連財務情報開示タスクフォース Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の動向にも意を払いつつ、前向きに取り組んでいきます。
(6)指標及び目標
(人的資本・多様性)
当社グループは、現時点において人的資本に関する指標及び目標は定めていません。実績については、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの事業展開上のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる主な事項を記載しています。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載をしています。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める所存ですが、当社株式に関する投資判断は、本項記載事項および本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。また、下記の記載は当社株式への投資に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、その点も併せてご留意願います。
なお、将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、様々な要因によって実際の結果と異なる可能性があります。
(1)当社グループの事業展開について
① 経営成績の変動について
当社グループは、「ラーメン・中華のレストランチェーン展開企業」から「ニッポンの美味しさ・楽しさを提供する企業グループ」へと事業領域を拡大しつつ、それぞれの業態力を磨くことで、お客様から優先的に選択される業態競争力の確立に努めています。
また、従来のラーメン中華の直営店の他、喫茶等の分野への展開、フランチャイズシステムによるフランチャイジー店の拡大も進めると同時に、中食分野や、食材の外販事業等へも進出することで収益構造の改革を進めています。
しかしながら、この戦略が事業環境の変化により思いどおりの成果をあげることができなかった場合や、より付加価値の高い品質・サービス・価格を提供する競合店舗が出現した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、それら既存事業の補完および相乗効果、成長性を高めるための投資案件(「M&A」、「グローバル化」を含む)に取り組んでいくことによる、新たなリスク発生の可能性もあります。
② 事業用定期借地契約および定期借家契約の満了による退店について
当社グループは、店舗出店用地確保およびテナント入居時において、通常、賃貸人との間でそれぞれ事業用定期借地契約、定期借家契約を締結しています。これらの契約は、契約期間の満了時に、当社グループ側の継続契約意志の有無にかかわらず、賃貸人から一方的に当初契約期間の満了とともに契約が打ち切られることもあります。
当社グループは、当初の契約時に契約期間内に投資額を回収できるかどうかの事前検証を実施し適切な投資を実行するとともに、契約後も適法適切な早期の資産償却を進めていますが、当初の契約期間内に全ての資産償却を完了するものではありません。
また、契約期間満了後も店舗営業を継続すべく賃貸人とのコミュニケーションを図り友好関係を構築していますが、賃貸人の都合により契約の継続が出来なかった場合には、移転利用等の出来ない資産の残存簿価に対する損失が発生することとなり、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 営業不振による退店および減損会計の適用について
当社グループは、経営の健全性を保つためスクラップアンドビルドを重要な経営戦略の一つと考えており、新規出店を進める一方で、収益性の低い店舗の撤退を進めています。
新規出店物件の選定に当たっては、商圏人口・交通量・競合店状況等の立地条件や賃借料・敷金(保証金)等の経済条件を基に、売上および利益等の業績予想を勘案し出店を決定していますが、出店した店舗が当初の計画通りの収益を計上できず、販売促進等による売上の拡大、また、経費の削減に努めても業績の回復が図れない場合には、業態転換、店舗転貸または退店等撤退(スクラップ)する方針としています。
このような場合には、店舗撤退に伴う損失が発生することとなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、同様の問題で減損会計の適用により減損損失を計上した場合も、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ エネルギーコストの高騰について
当社グループは、各拠点において省エネ対策とエネルギーコスト削減に随時施策を講じていますが、原油価格の高騰等の影響により、電気料金、ガス料金等のエネルギーコストが大幅に上昇した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 中華料理と中国産食材・加工食品との関連について
中国産食材・加工食品において、残留農薬、抗菌剤など使用禁止物質の混入等の事実が発覚し、更には衛生管理など「安心・安全」に関する諸問題の多発で中国製品の信頼性が問われています。中国の食品工場での食品安全管理においては、未だ信頼性が改善した状況ではなく、日本の消費者からは敬遠される傾向にあります。
当社グループは、ラーメン、ギョーザ、チャーハンを主力商品とする中華料理の分野で事業展開していますが、今後新たな中国産食材の問題発生があった場合には、中国産食材に対して不安と風評が広がり、中華料理を敬遠する傾向が強まることで、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 食材の安全性および安定供給について
食品の不正表示・偽装表示等、消費者の信頼を損なう不祥事が相次ぎ、食の安全に対する関心が一段と高まり、以前にも増して安全な食材の確保が重要になってきました。
当社グループは、仕入先から各食材の製品規格書の提出を求め、原産地・アレルギー物質・添加物などの確認を行うとともに、常に安全な食事を提供するために衛生管理マニュアル等に基づく教育・管理の徹底、衛生監査の実施および食品安全委員会の設置により、お客様の信頼に応えるべく努力をしています。
しかしながら、食材の安全性に関わる不安・風評などにより、お客様に不安感を持たれた場合等には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 原材料確保の困難および同価格の高騰について
当社グループが使用する原材料等で、鶏卵や油脂等、代替の利かない主要な原材料がありますが、鳥インフルエンザ等の影響によりそれらの確保が困難となる場合があります。また天候や為替相場など様々な要因によりそれら仕入コストは、大きく変動する可能があります。特に昨今、様々な要因により、価格の変動幅が大きくなっています。
こうした原材料確保や同価格の変動が経営成績に与える影響を極力抑制するための各種施策を実施していますが、価格上昇の影響を全て回避することは困難であり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 特定取引先への依存について
当社グループは、主要食材の仕入れに関して、発注業務合理化および食材の安定供給を目的として、特定取引先に仕入先を集約したことにより、特定取引先からの仕入高割合が非常に高くなっています。
従いまして、特定取引先からの仕入れが何らかの要因により継続できない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 当社グループの名古屋センターおよび有松工場の運営について
当社グループの店舗では、当社グループ会社の生産拠点である名古屋センターおよび有松工場で生産する加工食材の使用比率が高く、今後においても売上原価の低減や品質の向上・安定を図るため、名古屋センターおよび有松工場での製品化を積極的に拡大する計画です。
しかしながら、名古屋センターおよび有松工場において、地震等の大規模災害に罹災する等、また加工設備の停止など何らかの事故が発生し、店舗への供給遅れあるいは供給停止が生じた場合に、特定商品の販売中止や、回復に時間を要して店舗休業などに至ったときは、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 製造食材の販売事業について
当社グループの製造食材の販売事業は、個人消費の動向や他社との競合に伴う市場の変化等の要因のほか、価格競争の激化やお客さまの嗜好の変化による影響を受けやすいため、積極的な商品開発や販促活動をする計画です。
また、同事業に関係する当社グループの仕入・流通ネットワークに影響する何らかの事象が発生し、当社グループの販売活動や流通・仕入活動が阻害された場合、さらに異物混入などによる人的被害があった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 人件費について
当社グループは、労働人口の減少に伴う人手不足による賃金上昇、最低賃金の継続的な引き上げ、および短時間労働者に対する社会保険の適用拡大等が人件費の増加要因となると考えています。
当社グループは、上記社会情勢に対応するため、DXの推進による業務の効率化を図ることや、勤務日数や労働時間等を適切に管理することにより人件費を抑制するとともに、既存の従業員の業務処理能力を高めるために必要な教育を行い、定着率を高めるため労働環境の改善に取り組んでいます。
しかしながら、この取り組みの成果が思い通りのものにならず、人員が確保できなかった場合は、更なる給与や時間給の引き上げが必要となるうえに、営業時間の短縮または、臨時休業を行わざるを得ないことも想定され、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 人材の確保と育成について
当社グループは、今後も事業展開を積極的に行う方針であり、事業展開に必要な人材を確保していく必要があります。そのため、当社グループは中期経営計画に基づいた人員計画を策定し、さまざまな雇用形態の社員を採用する等の人事制度を導入し、より効果的に人材を確保し、早期戦力化を実現するための採用ならびに育成を行っています。
しかしながら、人材の確保および育成が計画どおりに進まない場合には、一部営業の休止をせざるを得なかったりする等、当社グループの事業展開が制約される可能性があり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 危機管理体制について
当社グループは、以下の事項に対し、危機管理体制の確立により体系的なリスク管理を行い、経営の安定を図る必要があると考えています。
・自然災害リスク
地震、台風、津波、噴火、異常気象、感染症の流行(パンデミック)等
・法務リスク
知的財産権等に関する紛争、各種訴訟など
・サービス・製造物・販売物等の責任リスク
食中毒事故、サービス上のミス・トラブル・クレーム、商品上の不良・欠陥、返品・リコールなど
・社会的リスク
風評、反社会的組織対応、社員の不正・犯罪行為、各種ハラスメントなど
・政治・カントリーリスク
海外を含む法律の制定・改正、税制の改正、通商問題、戦争・争乱など
・労務管理上のリスク
重篤な労働災害の発生、ストライキなど
以上の危機問題に対して、コンプライアンス委員会、サステナビリティ委員会、および食品安全委員会等の設置やプロジェクトチームを編成する等、発生防止の訓練や具体的対策を含む危機管理体制の構築を進めています。
しかしながら、当社グループの現時点における対策は必ずしも万全なものではなく、今後更に検討を加え各対策の充実に向けて努力を継続しますが、その対策にもかかわらず実際に重大な危機問題が発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 情報セキュリティについて
当社グループは、通信ネットワークに生じる障害、コンピュータシステム上のハードウェアおよびソフトウェアの不具合・欠陥、サーバーの機能停止、その他情報システム上の不具合によって、事業活動に支障を来す可能性があります。また、様々な事業活動を通じて、顧客や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理については、様々な社内対策を進めていますが、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等が不測の事態により発生する可能性があります。同様に、契約、技術、人事等に関する当社グループの機密情報が第三者に漏えい、不正使用される可能性もあります。
これら情報セキュリティ上の問題により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 特定地域に対する依存度について
当社グループは、主として東海地区において事業活動を行っているため、この地区において、地震等の大規模災害が発生した際には、営業店舗および自社工場、ならびに本社の損傷等による事業活動の停滞により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑯ 重要な訴訟事件等について
現時点では会社の経営成績に重要な影響を与える訴訟は発生していません。当社グループではコンプライアンスを重視し、リスク管理体制を強化していますが、今後、事業を遂行していくうえで取引先・お客様等から事業に重要な影響を与える訴訟を起こされた場合、これらの訴訟の帰趨によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 従業員の悪質なイタズラ行為について
飲食店やコンビニエンスストアで働く店員等による、店内での悪ふざけ行為や悪質なイタズラ画像のソーシャルネットワークシステムへの投稿により、顧客からの苦情が殺到するといった不祥事が相次ぎ、食品の安全管理が問われています。
当社グループは、常に安全な食事を提供するために衛生管理マニュアル等に基づく教育・指導を実施するとともに、従業員による悪質なイタズラ行為等については、賞罰委員会を通じて懲戒処分とする等、従業員の規律を高め、顧客の信頼に応えるべく努力をしていますが、不祥事が発生した場合には、企業ブランドの失墜、当該店舗の閉店へと派生する場合もあり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑱ フランチャイズ展開について
当社グループは、直営店舗の他に、フランチャイズシステムによるフランチャイジー店舗の拡大を目指しています。フランチャイジー加盟店の減少や業績の悪化により、フランチャイジー展開が計画通りに実現できない場合、ロイヤリティ収入等が減少する可能性があります。
また、フランチャイジー企業等とは、契約によって当社の定める商品・サービス等の品質を提供することや、店舗運営の指導や管理に努めていますが、直営店とは異なり、資本的にも、労働契約的にも、当社による直接の経営権はない為、フランチャイジー店舗において、万一当社の定めた商品・サービス・品質に満たないものが提供された場合、また、何らかの事由により、フランチャイジー店舗に対して保有する債権の回収が出来なかった場合等には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑲ ショッピングセンターへの出店について
近年、ショッピングセンター等の大規模な商業施設が全国的に多数展開され、多くの集客をする一方で、商業施設同士の競合が激しさを増しショッピングセンターを取り巻く環境は年々厳しくなっています。
当社グループは、今後においても郊外店の出店を優先し、ショッピングセンター等への出店は減少させる計画ですが、ショッピングセンター等商業施設に出店を検討する場合は、他の商業施設との競合状態等の把握に努め、優位にあると認められる物件を選定し出店する方針です。
しかしながら、出店先のショッピングセンター等が他の商業施設との競合により集客力が低下した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑳ 敷金・保証金について
当社グループは、土地・建物等の賃貸借契約による出店を方針としており、1店舗を除き、全ての店舗において土地または建物を賃借しています。それら賃借に関する差入保証金は賃貸借契約の終了をもって返還されますが、賃貸先の状況によっては、当該店舗に係る差入保証金返還や建設協力金回収、店舗営業継続に支障が生じる可能性があります。
また、店舗の不採算等により賃貸借契約満了前に契約解除を行った場合には、当該契約に基づく差入保証金の一部または全部が返還されないこと等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
M&Aについて
当社は、2025年4月1日に株式会社55styleの全株式を取得し、連結子会社化しました。同社については、現時点では、管理面における様々な潜在リスクが内在していると思われます。これらについては、順次解決を図っていますが、解決する前に重大な事象が表面化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法的規制等について
① 食品衛生法について
当社グループの主な法的規制として、工場および店舗での営業全般に関して、食品衛生法の規制を受けています。当社グループでは、食品衛生法に基づき、所轄保健所から営業許可を取得し、名古屋センター、有松工場および直営店舗に食品衛生責任者を配置しています。また、HACCP(ハサップ)に従うシステム運営の他、衛生管理マニュアル、スタッフハンドブック等で全従業員に対し、衛生管理について周知徹底させていますが、当社グループ営業活動において、当該法令に抵触した場合は営業停止等の行政処分を受けることになります。
現在のところ、会社設立以来行政処分の対象となる事由は発生していませんが、衛生管理諸施策にもかかわらず、行政処分がなされた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
|
許認可等 |
営業許可証 |
|
有効期間 |
5~8年 |
|
関連法令 |
食品衛生法 |
|
関連諸官庁等 |
厚生労働省・各保健所 |
② 食品循環資源の再利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)について
2001年5月に施行された「食品循環資源の再利用等の促進に関する法律」(以下「食品リサイクル法」という)により年間100トン以上の食品廃棄物を排出する外食事業者は、食品廃棄物の発生量の抑制、減量及び再生利用を通じて、排出する食品残渣物の20%を削減することが義務付けられています。2007年6月には食品関連事業者(特に食品小売業、外食事業)に対する指導監督の強化と取組みの円滑化を目的として改定され、定期報告などの措置が創設されました。
当社グループは、食品リサイクル法の対象となる外食事業者であり、同法に基づき食品廃棄物の減量等に努めています。しかしながら、再生利用等の目標が達成できず当局の指導を受けた場合や自社で処理を行うための設備を新たに購入する等の必要性が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 産業廃棄物について
当社グループの店舗、名古屋センターおよび有松工場にて排出される事業系産業廃棄物は、認可を受けた産業廃棄物業者に収集運搬および処理を委託していますが、委託した業者が認可取り消しになり当社グループが知らずに委託していた場合、または委託した業者が不法投棄した場合、あるいは委託した業者が無認可の下請け業者を使用していた場合等、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の違反行為をしたとき、当社グループも排出事業者責任があるとして罰則を受けた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 個人情報について
当社グループは、事業の過程において顧客、株主、取引先および従業員等の個人情報を保有しています。当社グループは、個人情報の漏洩および個人情報への不正なアクセスを重大なリスクと認識し、情報セキュリティに最善の対策を講じ、周知徹底しています。しかしながら、個人情報が外部へ漏洩するような事態が発生した場合には、信用低下による売上の減少や損害賠償による費用の発生等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 法令遵守について
当社グループは、フィロソフィおよび倫理綱領の制定、コンプライアンス委員会の設置等、法令遵守体制の整備を行っています。しかしながら、従業員による法令違反が発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)有利子負債への依存について
当社グループの新規出店および業態転換等による改装の設備投資資金は、主に金融機関からの借入金により調達しており、総資産に対する有利子負債比率は下表のとおり高水準です。今後は、資金効率の改善と自己資本の充実により、財務体質の強化に努める方針ですが、店舗収益悪化により借入金の返済額負担の増加、また、金融情勢の変化による借入金に対する金利負担の増大により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
最近における当社グループの総資産に占める有利子負債比率等は、下表のとおりで推移しています。
|
|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
|
有利子負債残高(千円) |
3,525,909 |
3,129,326 |
2,731,801 |
2,411,146 |
1,858,802 |
|
(対総資産比率) |
66.1% |
54.6% |
51.7% |
45.7% |
35.4% |
|
純資産額(千円) |
783,586 |
1,265,562 |
1,095,060 |
1,347,487 |
2,116,095 |
|
自己資本(千円) |
778,802 |
1,262,535 |
1,080,290 |
1,335,454 |
2,114,749 |
|
(自己資本比率) |
14.6% |
22.0% |
20.4% |
25.3% |
40.3% |
|
総資産額(千円) |
5,332,764 |
5,732,298 |
5,288,634 |
5,273,382 |
5,253,625 |
|
支払利息(千円) |
20,651 |
21,568 |
18,406 |
16,608 |
23,224 |
(1)経営成績等の状況の概要
① 当期の経営成績
当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)の経済概況は、米国経済のK字回復や円安が継続し、国内では、物価上げ・賃上げ・利上げの局面となり、インバウンド消費も拡大しました。外食産業全般では、値上げによる増収の一方、原材料・物流費等の高騰や深刻な人手不足問題等が続きました。
このような環境下で当社グループは、コロナ禍で痛んだ資本の増強を完了し、営業面では、企業理念を中心に据えた組織強化を図りつつ、着実な出店・業態の整理・店舗リニューアル投資とともに、フランチャイズ事業の拡大に努める一方、中食店舗は不採算店を整理した上、子会社間での営業譲渡により全19店舗を外食店に統合しました。
当連結会計年度の出退店等としては、プロデュース事業の店舗を含み、出店6店舗(愛知県3店舗・埼玉県・静岡県・奈良県)、業態転換2店舗、改装5店舗、および退店30店舗(愛知県22店舗・岐阜県5店舗・静岡県・三重県・兵庫県)でした。
以上の結果、当連結会計年度末のグループ店舗数は97店舗(直営店84店舗、フランチャイズ店12店舗、およびプロデュース店1店舗、前期末比24店舗減少)となり、それらの内訳は下表のとおりです。
(単位:店舗)
|
部門/業態等 |
当連結会計年度末 店舗数 |
前期 末比 |
関東 地区 |
東海 地区 |
関西 地区 |
中国 地区 |
九州 地区 |
|
|
合 計 |
97 |
-24 |
10 |
73 |
8 |
3 |
3 |
|
|
ラーメン部門 |
小計 |
52 |
±0 |
4 |
47 |
- |
1 |
- |
|
|
一刻魁堂 |
39 |
-1 |
3 |
35 |
- |
1 |
- |
|
|
有楽家 |
12 |
+1 |
1 |
11 |
- |
- |
- |
|
|
ロンフーエアキッチン |
1 |
±0 |
- |
1 |
- |
- |
- |
|
中華部門 |
小計 |
17 |
±0 |
1 |
7 |
5 |
1 |
3 |
|
|
ロンフーダイニング |
17 |
±0 |
1 |
7 |
5 |
1 |
3 |
|
その他部門 |
小計 |
28 |
-24 |
5 |
19 |
3 |
1 |
- |
|
|
コメダ珈琲店 |
10 |
+1 |
4 |
6 |
- |
- |
- |
|
|
鯱ひげ |
4 |
+3 |
- |
4 |
- |
- |
- |
|
|
ドン・キホーテ |
1 |
±0 |
- |
1 |
- |
- |
- |
|
|
ドンキカフェ |
0 |
-1 |
- |
- |
- |
- |
- |
|
|
50年餃子 |
0 |
-26 |
- |
- |
- |
- |
- |
|
|
一刻魁堂(フランチャイズ店) |
4 |
±0 |
- |
4 |
- |
- |
- |
|
|
有楽家(フランチャイズ店) |
3 |
+1 |
- |
3 |
- |
- |
- |
|
|
ロンフーダイニング(フランチャイズ店) |
1 |
±0 |
- |
- |
- |
1 |
- |
|
|
50年餃子(フランチャイズ店) |
4 |
-2 |
1 |
- |
3 |
- |
- |
|
|
プロデュース店 |
1 |
±0 |
- |
1 |
- |
- |
- |
外食事業では、各業態での売価見直しを進め、主力業態「一刻魁堂」「ロンフーダイニング」のリブランディング改装、「有楽家」の出店等を推進した結果、外食直営店の既存店売上高は前年同期比104.4%と伸張しました。
費用面では、原材料価格の高騰が続き売上原価率32.6%と同0.6ポイント悪化した一方で、売上の増加等により、エネルギーコストが同0.4ポイント、人件費が同0.1ポイントそれぞれ低減しました。
以上により、当連結会計年度の売上高は7,969百万円(前年同期比4.3%の増収)と過去最高を更新しました。
利益面では、営業利益184百万円(同38.6%の増益)、経常利益193百万円(同35.7%の増益)となりました。
また、中食事業直営店「50年餃子」全店舗および外食事業直営店1店舗に対して減損損失65百万円を計上した他、業態転換・改装・退店に伴う固定資産除却損37百万円、および同売却損9百万円、合計112百万円を特別損失に計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は57百万円(同27.9%の減益)となりました。
なお、当社は、当連結会計年度の最終時期である2025年3月に、2025年4月1日付にて株式会社55styleの全株式を取得する契約を締結し、同日に実行しています。
部門別の状況は、次のとおりです。
(ラーメン部門)
当部門は、ラーメンを主体とした外食直営事業で構成されます。
当連結会計年度の新規出店は「有楽家」2店舗(瀬戸店、浦和駅西口店)で、「一刻魁堂」1店舗(緑店)が業態転換によりその他部門へ移りました。また、「一刻魁堂」4店舗(尾張旭店、西尾店、豊田インター店、豊田南店)を改装し、「有楽家」1店舗(豊川インター店)を直営店からフランチャイズ店へ切替えた結果、前掲の表のとおり当連結会計年度末の当部門の店舗数は52店舗(前期末比増減なし)となりました。
主力の「一刻魁堂」では、リブランディング改装や売価の見直しを進め、新規にスマートフォンアプリを導入し顧客の利便性向上を図りました。「有楽家」では、業態力向上を図る諸施策と同時に原材料の値上がりに対処しました。「ロンフーエアキッチン」は、中部国際空港の就航便数の増加に伴った回復がみられました。
以上の結果、当部門の既存店売上高は前年同期比105.1%となり、客数は同99.7%となりました。
また、部門合計の売上高は4,556百万円(前年同期比2.2%の増収)となり、連結売上高全体に占める割合は57.2%(同1.2ポイントの減少)となりました。
(中華部門)
当部門は、前期までに業態の統合が進み、外食直営事業の「ロンフーダイニング」業態のみとなっています。
当連結会計年度は、改装1店舗(ららぽーと磐田店)を実施し、新規出店および退店等はありませんでした。前掲の表のとおり当連結会計年度末の当部門の店舗数は17店舗(前期末比増減なし)で、全店舗が大商圏型ショッピングセンターおよび駅ビル内の立地です。主力商品の強化を含め、売価見直しをしました。
以上の結果、当部門の既存店売上高は前年同期比101.4%となり、客数は同98.0%となりました。
また、部門合計の売上高は1,527百万円(前年同期比1.4%の増収)となり、連結売上高全体に占める割合は19.2%(同0.5ポイントの減少)となりました。
(その他部門)
当部門は、ラーメン・中華以外の外食直営事業として、洋食店「鯱ひげ」「ドン・キホーテ」および当社グループがフランチャイジーとして運営する喫茶店の「コメダ珈琲店」、また中食直営事業として無人販売所「50年餃子」および製造食材の「卸売り事業」、ならびに当社直営ブランドの「フランチャイズ事業」からの収益等により構成されます。
当連結会計年度の外食事業直営店舗では、「鯱ひげ」1店舗(あつたnagAya店)および「コメダ珈琲店」1店舗(浜松浜名店)を新規出店し、2店舗(中川篠原店・緑店)を「鯱ひげ」へと業態転換しました。一方で、中食直営事業の「50年餃子」7店舗(西尾米津店・安城百石店・あま蜂須賀店、一宮大毛店、岡崎河原店、DCM春日井西店、清水屋小牧店)を退店し、19店舗(東海加木屋店、豊田福受店、刈谷一ツ木店、大府共和インター店、東浦生路店、西尾今川店、弥富国道1号店、羽島足近店、大垣大垣インター南店、各務原いちょう通り店、垂井国道21号店、春日井松河戸店、清須一場店、朝日国道1号店、岡崎石工団地店、半田青山店、港区本宮店、尾張旭東印場店、土岐国道19号店)を外食店へと統合しました。
「フランチャイズ事業」では、「有楽家」1店舗(豊川インター店)を直営店からフランチャイズ店へ切替え、「50年餃子」1店舗(大和郡山高田町店)を新規に出店する一方、同3店舗(尼崎武庫川店・田原赤石店・浜北区中条店)を退店した他、「プロデュース店」1店舗(愛知県)を出店し、1店舗(愛知県)を退店しました。
これらの結果、前掲の表のとおり当連結会計年度末の当部門の店舗数は28店舗(前期末比24店舗減少)となりました。
当連結会計年度の外食事業直営店舗では、各業態で売上高が好調に推移した結果、同既存店売上高は前年同期比105.7%となり、客数は同99.8%となりました。
また、「フランチャイズ事業」では、外食フランチャイズ店およびプロデュース店の収入増加に伴い同133.5%と伸長した一方、中食事業「50年餃子」同53.7%、「卸売り事業」同83.2%とそれぞれ減少しました。
以上の結果、当部門合計の売上高は1,885百万円(前年同期比12.4%の増収)となり、連結売上高全体に占める割合は23.7%(同1.7ポイントの増加)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,381百万円となりました。
なお、連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動により得られた資金は100百万円となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益81百万円、および減価償却費290百万円の一方で、未払消費税等の減少額101百万円、および未払費用の減少額78百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動により支出した資金は409百万円となりました。これは、主に出店および改修等に伴う有形固定資産の取得による支出392百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動により得られた資金は152百万円となりました。これは、主に株式の発行による収入724百万円、および長期借入れによる収入100百万円の一方で、長期借入金の返済による支出645百万円によるものです。
③ 生産、受注および販売の実績
当社グループは、飲食事業ならびにこれらの付帯業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しています。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績を品目別に示すと、次のとおりです。
|
品目 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
麺 |
173,966 |
100.4 |
|
チャーシュー |
270,484 |
135.1 |
|
ギョーザ |
197,056 |
105.1 |
|
マーボーミンチ |
88,349 |
157.9 |
|
その他 |
319,530 |
92.9 |
|
合計 |
1,049,387 |
109.2 |
(注)1 上記は名古屋センター、有松工場における生産実績です。
2 金額は製造原価によって表示しています。
3 その他は、タレ・調味料等です。
b.受注実績
当社グループは、受注販売をしていないため、該当項目はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を部門別に示すと、次のとおりです。
|
部門 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
ラーメン部門 |
4,556,124 |
102.2 |
|
中華部門 |
1,527,466 |
101.4 |
|
その他 |
1,885,633 |
112.4 |
|
合計 |
7,969,224 |
104.3 |
(注)その他は、食材売上、その他部門の売上およびFCロイヤルティ収入です。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態および経営成績等の状況に関する分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末における流動資産は2,070百万円となり、前連結会計年度末に比べ58百万円減少しました。主な要因は、現金及び預金が156百万円減少した一方で、売掛金40百万円、および未収入金34百万円が、それぞれ増加したことによるものです。
固定資産は3,183百万円となり、前連結会計年度末に比べ38百万円増加しました。主な要因は、出店および改修等により有形固定資産が53百万円増加したことによるものです。
流動負債は1,376百万円となり、前連結会計年度末に比べ470百万円減少しました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金213百万円、未払消費税等101百万円、未払費用78百万円、および預り金50百万円が、それぞれ減少したことによるものです。
固定負債は1,760百万円となり、前連結会計年度末に比べ317百万円減少しました。主な要因は、長期借入金が332百万円減少したことによるものです。
b.経営成績
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①当期の経営成績」に記載のとおりです。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.資金需要
当社グループの運転資金需要の主なものは、店舗食材などの原材料の仕入、販売費および一般管理費等の営業・本社費用であります。また、設備資金需要の主なものは、新規出店・店舗改装、名古屋センターおよび有松工場の投資費用等です。
運転資金および設備資金については、増資による資金調達および、金融機関からの借入れにより調達しています。
c.財務政策
当社グループは現在、運転資金については、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分については増資による資金調達および金融機関からの借入れによる資金調達を行っています。設備資金については事業計画に基づき、長期借入金により、調達しています。当連結会計年度末現在、1年以内返済予定の長期借入金の残高は422百万円、長期借入金の残高は1,435百万円となっています。
なお、当社グループではバランスシートの改善として下記のとおり取り組んでいます。
(イ)新規出店先条件の的確な判断や収益性の向上が図れない店舗の業態転換、または退店などの設備投資の効率的な配分。
(ロ)各業態の成長性および収益性の一層の向上と多店舗化を推進する一方、借入金返済等により有利子負債を削減し、健全な財務体質確立。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(1)業務提携について
|
相手先 |
締結年月日 |
契約期間 |
契約の内容 |
|
株式会社グルメ杵屋 |
2005年2月14日 |
自 2005年2月14日 至 2006年2月13日 以降1年ごとの自動更新 |
業務・資本・人事提携に係わる基本協定 |
|
株式会社 Genki Global Dining Concepts (注) |
2010年9月15日 |
自 2010年9月15日 至 2011年9月14日 以降1年ごとの自動更新 |
業務提携 |
(注)2024年8月1日付で、元気寿司株式会社は株式会社 Genki Global Dining Conceptsに社名を変更しました。
(2)株式譲渡契約について
当社は2025年3月19日開催の取締役会において、株式会社55styleの全株式を取得し、子会社化することを決議し、2025年3月19日付で株式譲渡契約を締結、2025年4月1日に全株式を取得して子会社化が完了しました。
詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)(取得による企業結合)」をご参照ください。
該当事項はありません。