第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は事業を継続的に発展させていくために、経営理念を全従業員に徹底することにより企業体質の一層の強化と、商品のレベルアップ、お客様への「おもてなし」の充実を図り、この理念を実現することを経営の基本方針としております。

(経営理念)

「人間の生命を支える最も基本的な飲食を通し、より多くのお客様に、よりおいしく・よりよいサービス・より速く、をもって私達の『真心』を提供し、お客様の『感謝と喜び』を頂くことを私達の使命と致します。」

 

(2)経営戦略等及び経営環境

回転寿司業界においては、競合他社との差別化の流れの中で、グルメ回転寿司の業態と低価格回転寿司の業態の二極化が今後も続くものと考えております。グルメ回転寿司及び立ち寿司業態に属する当社は、同業態の競合他社との差別化を図るために、「より高価な食材を新鮮で食べ応え充分な状態で市場価格よりもずっとお得感のある価格帯で」提供することを目指しており、この実現のために産地の開拓、素材の吟味、商品開発など当社独自の商品力の向上に邁進し、さらに、立ち寿司により近い技術の向上に取り組んでいくことを経営戦略としております。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

外食業界におきましては、原材料やエネルギー価格の高騰、労働力不足や人件費の上昇、物価高騰による消費者の節約志向の高まりなど、引き続き先行き不透明な状況が続くことが予想されます。

このような状況の中、当社は「既存ブランドの商品・サービスを磨き上げ、より多くのお客様に銚子丸劇場を楽しんでいただく」をテーマとし、以下の項目に取り組んでまいります。

 

① 既存業態の徹底的な磨き上げ

 「すし銚子丸」の強みである「職人の握る寿司」「本まぐろ」「光物」「目利き」「おもてなしの舞台」をより強化・特化し、徹底的に商品品質にこだわり、「新鮮」「高品質」「安全」「安定供給」「ローコスト」を追求してまいります。

また、小回りの利く仕入体制を構築し、ブランド全体では仕掛けができないような良質な小ロット商材も仕入れることで、より魅力的な商品作りをすすめるとともに、サスティナブルで安定供給可能な原料調達基盤の構築を目指してまいります。

 

② 出店戦略

 既存の「すし銚子丸」ブランドについては、特に神奈川地区をはじめとする未展開エリアでの出店を強化し、新規顧客層の獲得を図るとともに、人件費をはじめ様々な経費の上昇に耐え得る収益性を確保するために、席数増加・作業性・イメージアップ・省力化を重視した大規模・中規模改装を計画的に実施してまいります。並行して、不採算店舗の退店及び好立地へのリロケーションを推進することで、利益体質の強化に努めてまいります。

新業態の「Standing鮨Bar Yasuke」については、既存業態と顧客バッティングしない都内を中心としたエキナカ立地へ出店し、日常的に利用できる身近な寿司ブランドを確立することでファン層の拡大を目指してまいります。

 

③ DX戦略

 タッチパネルによるフルオーダー化により集積したデータから注力すべきポイントを抽出し、お客様に喜ばれる商品施策やサービスを確立することで、ムリのないオペレーション・ムラのないサービス・ムダのない食材管理を実現し、売上と利益の最大化を図ってまいります。

 2023年11月より導入した「縁アプリ」で蓄積した顧客データを基に顧客属性に合わせたピンポイントの販売促進施策の実施、アプリ会員への特典施策の充実、店舗からのダイレクトマーケティングを新たに展開することにより、来店客数の増大を図ってまいります。

 また、デジタルマーケティングにも着手し、より効率的・効果的なブランディングを行うことで新規顧客層の開拓にも注力してまいります。

店舗におけるDXも積極的に進め、ご来店の際の利便性を向上させるためのテーブル決済の導入など、よりスムーズなオペレーションシステムの構築に努めてまいります。

 

④ 人財戦略

 人を増やす「採用」、技術者を育てる「育成」、長く働き続けることができる職場環境を作る「リテンション」を3つのテーマとし、優秀な人財の確保を推進してまいります。

 成長戦略を見据えた適正人財と適正人員数の採用、未来人財育成のための配転教育を実施するとともに、従業員の中・長期的な能力開発をすすめるために、キャリアデベロップメントプログラムと新しい評価制度を導入してまいります。

 女性が働きやすい職場環境及びキャリアアップ支援体制の整備と女性正社員の採用強化、女性店長・女性管理職の積極的な登用に取り組んでまいります。

また、経営理念に基づく目指すべき姿をモデル店として具現化し、全従業員が体感・共感・共有できる研修環境を整備し全店に波及させることで、幅広い人財が活躍できる土壌の形成と誰もが挑戦できる社風づくりに努めてまいります。

 

⑤ 海外事業

 当社は、ロイヤルホールディングス株式会社、及び双日株式会社との3社にて、米国での共同事業展開に関する合弁事業契約を締結し、2024年3月に合弁会社を設立いたしました。米国における日本食レストランは堅調な増加傾向にあり、特にカリフォルニア州は米国最大の日本食レストラン数を誇り、米国の日本食ブームの火付け役としての役割を果たしています。

 まずは現地での寿司業態の開発を進め、2025年度中にカリフォルニア州にて1号店の出店を行うとともに、その後の多店舗展開の礎を作り上げてまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は事業を継続的に発展させていくためには、安定した財務基盤を維持しつつ、売上高を着実に増加させ、適正な利益の確保を図っていくことが、必要であると考えております。そのために、売上高経常利益率、自己資本比率、ROEを重要な経営指標として位置付け、その向上に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

当社は、経営理念の下に、日本食の代表とも言える「寿司」事業を営む企業として、日本の食文化、特に魚食文化と、その源となる海洋環境を守り育てることを社会的責任の一つと考えております。この理念を実現するために、SDGs委員会を中核として、様々な社会・環境問題に対して当社の方針や目標を策定し、取組みを行ってまいります。

 

(1)ガバナンス

サステナビリティ経営の強化を目的として、執行部門の最高意思決定機関である経営会議の直下にSDGs委員会を設置しております。同委員会は、社長を委員長として業務執行取締役、執行役員、部室長で構成されており、また、同委員会内に環境部会、食文化部会、人財部会を設置しております。同委員会では、サステナビリティに関する方針や「マテリアリティ」などの重要課題を協議検討するとともに、3部会を中心として具体的対応策やその進捗状況の確認等を行い、その状況を適宜取締役会に報告しております。

 

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(2)戦略

① 移行リスク

イ.環境規制の強化により、原材料調達コストの大幅な上昇が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

ロ.環境課題に対する対応が遅れることにより、ステークホルダーからの信用失墜、ブランド価値棄損、お客様離れが発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 物理リスク

イ.気候変動をはじめとする環境の変化により、原材料となる食材の漁獲、収穫、生産の状況が悪化し、不足、途絶、市場価格の大幅な上昇などが発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

ロ.地球温暖化の影響と思われるアニサキスや、その他の食中毒など、水産物の安全性に関わる問題が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 機会

当社は、サステナビリティの観点を経営に取り込むことは、事業リスクの低下や新たな事業機会の創出が期待でき、また、ステークホルダーからの評価が向上することで投資の拡大や企業イメージの向上、顧客の獲得などにつながることから、サステナビリティを巡る課題への対応を重要な経営課題であると認識しており、これらの課題に積極的に取り組むこととしております。

 

④ リスクと機会に対処する取組みのマテリアリティ

イ.当社の貢献可能性と、当社のステークホルダーにとっての重要度の2軸でマトリクスを作成し、SDGsの17の目標の位置付けを検討し、当社のマテリアリティMAPを策定しております。

 

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ロ.マテリアリティMAPに基づいて、当社が取り組むべき課題と具体的な施策を明示したマテリアリティ一覧表を作成し、その実現に努めております。

 

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⑤ 多様な人財の育成と活用

イ.人財育成方針

企業文化としての経営理念を実現し、顧客並びに地域の皆様に感謝され喜ばれる人財の育成に努めております。

育成した人材が良質な外食体験を提供することにより、お客様だけでなく、劇団員一人ひとりが接客業の喜びを感じるとともに、人としても成長していく、そして、その力によって更なる良質な外食体験が生み出されて、お客様の感謝と喜びが増大していく、このような循環を達成することこそが経営理念を実現した姿であると考えております。

ロ.社内環境整備方針

すべての銚子丸社員について、その社員人生に寄り添い、採用→育成→リテンション→ロングテール→ハッピーリタイヤメントまでの各ステージで、該当する個々の社員満足度をより高めることができる環境を目指しております。

 

 

(3)リスク管理

当社のリスク管理は、危機管理委員会にて行っておりますが、サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについて、SDGs委員会の中でより詳細な検討を行い、共有しております。

 

(4)指標及び目標

  人的資本に関する指標及び目標

指標

第46期

第47期

第48期

目標(第49期)

女性正社員比率

9.5%

13.4

15.3

17.0

女性管理職比率

7.7%

12.9

9.3

15.0

女性店長人数

1

2

4

10

男女平均賃金の格差

(男性の賃金に対する女性の賃金割合)

77.5%

74.6

68.5

75.0

男性育児休暇取得率

91.7%

100.0

100.0

100.0

65歳以上の社会保険適用従業員雇用数

109

127

133

135

 

 

3【事業等のリスク】

当社の事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項は、以下のとおりです。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、リスク発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社への投資は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で判断される必要があると考えております。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が入手可能な情報及び合理的であると考えられる一定の前提に基づいて判断したものです。

 

(1)当社の事業に影響を与える外的要因について

① 外食業界の動向及び競合他社との競争について

当社の属する外食産業は、多様化する外食ニーズの中で、業界各社の競争がより激しさを増しております。寿司業界においても、大手チェーン店の相次ぐ出店や異業種からの参入等による競争が激化しております。

このような状況の中で当社は、経営理念に掲げる「私達の『真心』を提供し、お客様の『感謝と喜び』を頂くことを私達の使命と致します。」を徹底し、今後も競合他社との差別化に向けた諸施策を講じながら収益力の向上に努めてまいる所存であります。しかしながら、今後、外食市場の縮小や他の外食事業者や中食事業者を含めた競合他社との競争が更に激化した場合に、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 食材について

当社は寿司事業のみの単一事業を営んでいるため、水産物や米等、原材料となる食材に関して市場価格変動に伴う当社仕入価格の変動や市場流通量の大幅な減少に伴う定番品目の欠品等が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。特にまぐろをはじめとした主要品目については、世界情勢や為替、漁獲状況等の影響により、市場価格が大きく変動する事態も想定されるものと考えております。当社は、まぐろをはじめとした主要品目の仕入に関して、固定価格での長期契約の締結や仕入経路の多様化等によって、仕入価格上昇や欠品が発生するリスクの低減を図る方針でありますが、こうした施策が必ずしも期待どおりの効果を生む保証はありません。

また、近年、地球温暖化の影響と思われるアニサキス等、寄生虫の食中毒の発生が増加傾向にあります。当社は品質管理について、常に厳格かつ万全な管理に努めておりますが、取り扱う食材のうち、特にこれら水産物の安全性に係る問題が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 人件費・光熱費等について

昨今の労働人口減少により、労働市場が逼迫しており、優秀な人材確保の為の賃金上昇圧力が高まっております。また、世界情勢が不安定な中で、世界的なエネルギー危機を背景とする燃料価格の高止まりや、円安による物価上昇が顕在化しております。今後、人件費や電気代の補助終了に伴い光熱費等の諸経費が急激に上昇した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 自然災害・事故等について

地震や台風等の自然災害や火災・事故などにより、店舗の営業に支障が生じたり従業員が被害を受ける可能性があります。これに伴う売上高の減少、営業拠点の修復又は代替のための費用発生等が、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 感染症について

新型コロナウイルス感染症をはじめとした感染症等が発生・拡大した場合、又は収束が長引いた場合には、外出自粛などにより当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ その他の外的要因について

当社は寿司事業のみの単一事業を営んでいるため、寿司に関する消費者の嗜好の変化が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)出店について

① 出店戦略について

当社は、2025年2月28日現在、千葉県内に39店舗、東京都内に36店舗、埼玉県内に10店舗、神奈川県内に6店舗の計91店舗(「すし銚子丸」「すし銚子丸 雅」「江戸前すし百萬石」「鮨Yasuke」「Standing 鮨 Bar Yasuke」及び「鮨元」業態、すべて直営)を展開しております。今後におきましても、これらの各業態の特徴を活かし一都三県のロードサイド並びに商業施設内・ビルイン・駅中・駅前等の繁華街立地をメインとした都心部への出店について積極的に検討していく方針であります。

当社は、出店にあたって、周辺人口、近隣道路環境、敷地状況、競合店状況、及び契約条件等の諸条件を総合的に検討した上で、出店候補地の選定を行っております。予め当社の希望する条件で絞り込んだ出店候補地に対して、物件所有者との交渉を行っており、当該交渉期間は長期化する場合があります。

また、当社の出店条件に合致した物件がなく計画通りの出店ができない場合や、出店後において立地環境等に多大な変化が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 敷金・保証金等について

当社は、出店に際して、敷金・保証金等を差し入れた上で土地、建物を賃借しており、賃借物件の地主・家主の経済的破綻等により敷金・保証金等の回収が不能となった場合や、当社の都合による賃貸借契約の中途解約により契約条件に従って敷金・保証金等を放棄せざるを得なくなった場合等には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)事業体制について

① 人財確保及び育成について

当社は店舗数増加等による業容と組織の拡大において、これを担う人財の量的・質的な確保及び育成が重要な課題であると考えております。会社財産としての「優秀な人財」の安定確保と早期戦力化及び定着率向上のためには、働き方改革の推進による労働環境の改善と給与体系の見直しによる人件費の増加が今後の飛躍に向けた事業基盤構築のために不可欠な負担であるとの認識のもとで、人財の確保・育成を推進しております。しかしながら、今後、労働法令の改正や労働市場の逼迫によって当社の想定を上回る人件費の増加があった場合や、新規出店を担う人財確保及び育成ができない場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 鮮魚の配送について

当社では、水産物卸売市場の休業日を除き、早朝に水産物卸売市場で仕入れた鮮魚を、当日中に配送し、店舗で加工して提供するための仕入及び物流体制を構築しております。このような体制を構築していることが他社の回転寿司店舗との差別化要因の一つであると考えており、今後こうした体制を維持継続できなくなった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの体制を維持するためには、水産物卸売市場から開店前に仕入品を店舗に配送できることが前提となるため、出店用地の選定に制約が生じる場合があります。

 

(4)法的規制等について

① 法的規制について

当社の事業に関連する法的規制としては、「食品衛生法」「消防法」及び「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(いわゆる食品リサイクル法)等があります。このうち食品衛生法においては、飲食店を経営するにあたり厚生労働省令が定めるところの都道府県知事の許可を受けなければならない旨が規定されています。

今後、これらの法的規制が強化された場合、それに対応するための新たな費用の発生等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 衛生管理について

当社では、衛生管理を重要な経営管理項目として位置づけており、衛生管理室が、各店舗の衛生評価・教育並びに外部の専門業者との連携による食材・調理器具の検体採取や従業員の検便検査等を定期的に実施しております。さらに、その実施結果に基づいて各店舗に対する衛生管理指導を行うなど衛生管理体制を整備しております。また、食品衛生法の改正により2020年6月からHACCPに沿った衛生管理が制度化されましたが、これを契機として当社はより安全性の高い衛生管理体制の構築を進めております。

当社は、今後とも一層の衛生面の管理を強化していく方針でありますが、外食産業の中でも生鮮食材を取り扱う業態として食中毒事件等が発生した場合には、企業としての存続そのものに重大な影響を及ぼす可能性があります。

また同業他社で食中毒事件等が発生した場合には、消費者による寿司業界全体に対する不安感を与えてしまうことから、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)について

2001年5月に施行された「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)により、年間100トン以上の食品廃棄物を排出する外食事業者(食品関連事業者)は、食品廃棄物の発生量の抑制、減量及び再生利用を通じて2029年度までの食品廃棄物の再利用等の実施率は業種全体で50%を達成するよう目標が設定されております。

当社におきましては、排出量の把握とその抑制策、再生利用策、及び減量策等の具体的な対応策を実施しておりますが、今後同法に関して追加的な対応が必要となった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 短時間労働者の雇用について

当社では従業員に占める短時間労働者の比率が高いため、今後、労働法令の改正等、あるいは厚生年金保険等、パート・アルバイト社員の処遇に関連した法改正が行われた場合には、人件費負担の増加により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)個人情報の管理について

当社は、顧客からのアンケート情報等を収集し、顧客満足度の把握及びサービス向上に努めております。個人情報の管理に関しては万全を期しておりますが、何らかの理由で個人情報が漏洩した場合には、損害賠償請求の発生や社会的信用の低下等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社は、当事業年度より決算日を5月15日から2月末日に変更しております。これに伴い、決算期変更の経過期間となる当事業年度は、2024年5月16日から2025年2月28日までの9か月13日間の変則決算となるため、前事業年度との比較については記載しておりません。

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度における我が国の経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の高まりにより、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、米国や中国の経済停滞懸念、国際情勢不安や地政学的リスクの高まりなど依然として先行きの不透明な状況が続いております。

外食業界におきましては、個人消費の回復とともに価格改定の動きが活発化し、業界全体は堅調に推移しました。一方で、原材料やエネルギー価格の高騰、労働力不足や人件費の上昇、物価高騰による消費者の節約志向の高まりなど、引き続き厳しい経営環境が続いております。

このような状況の中、当社は、「お客さまに真心を提供し、感謝と喜びをいただく」ことを理念に、中期的経営課題に対する重点施策に取り組んでまいりました。

(課題① 収益構造・運営オペレーションの改革)

お客さまに快適な環境をご提供するとともに、オペレーションの効率化を目的として6店舗の大規模改装を実施しました(2024年6月 桜木店、同年7月 宇喜田店・板橋東新町店、同年10月 経堂店、同年12月 南柏店、2025年2月 保木間店)。また、新業態への取組として、完全予約制の本格江戸前高級寿司をコンセプトとした「鮨元」(2024年6月 千葉県市川市)、エキナカ出店の立ち食い鮨業態「Standing 鮨 Bar Yasukeエキュート赤羽みなみ店」(2024年7月 東京都北区)、フードコート内出店の「アリオ橋本店」(2025年1月 神奈川県相模原市)の3店舗を出店しました。これにより、当事業年度末の店舗数は91店舗となりました。

(課題② DX戦略)

銚子丸公式の「縁アプリ」へ、おすすめメニュー表示、お気に入り店舗の混雑確認と順番待ち予約機能などの機能を追加することで、お客さまの利便性向上と新規顧客の開拓を図るとともに、会員データの分析から、よりお客さまに喜ばれる商品やサービスの開発に繋げてまいりました。また、社内各種システムとデータを有機的に結合することで、運営オペレーションを効率化させるための統合基盤開発を計画に沿ってすすめております。

(課題③ 人財戦略)

新規採用・中途採用の強化、教育プログラムのブラッシュアップ、階層別研修の充実、女性活躍推進のための環境整備など人財強化施策をすすめてまいりました。また、店舗休業日を設けることで従業員の休日を増やすとともに、お客さまへより良いサービスを提供できる体制づくりを行いました。

(課題④ 商品・販売戦略)

毎月のキャンペーンの充実、創業祭販促の拡充、「縁アプリ」を活用した情報発信、地域別イベントや生本まぐろ解体ショーの全店同時開催などにより来店動機を高めるとともに、銚子丸ならではの商材・商品を追求し、お客さまの満足度向上へ繋げてまいりました。

 これらの結果、当事業年度の売上高は173億88百万円、営業利益は10億52百万円、経常利益は10億70百万円、当期純利益は5億82百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、40億3百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動におけるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、6億16百万円の収入となりました。これは、法人税等の支払額が7億25百万円あったものの、税引前当期純利益が8億62百万円、減価償却費が4億35百万円及び売上債権の減少額が2億95百万円となったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、10億31百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6億87百万円及び無形固定資産の取得による支出3億29百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、17億59百万円の支出となりました。これは自己株式の取得による支出18億92百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社は一般顧客(最終消費者)へ直接販売する飲食業を行っておりますので、生産実績は記載しておりません。

 

b.受注実績

当社は一般顧客(最終消費者)へ直接販売する飲食業を行っておりますので、受注実績は記載しておりません。

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年5月16日

至 2025年2月28日)

前年同期比(%)

寿司事業(千円)

17,388,182

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産)

当事業年度末における資産は20億44百万円減少し、107億98百万円となりました。主な内訳は次のとおりであります。

流動資産は23億32百万円減少し、57億42百万円となりました。これは主に、現金及び預金の減少21億75百万円、売掛金の減少2億95百万円によるものであります。

固定資産は2億88百万円増加し、50億56百万円となりました。これは主に、建物(純額)の増加1億19百万円、ソフトウェアの増加2億84百万円によるものであります。

(負債)

当事業年度末における負債は6億4百万円減少し、29億28百万円となりました。主な内訳は次のとおりであります。

流動負債は4億81百万円減少し、25億51百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少4億54百万円、未払金の減少2億66百万円、短期借入金の純増2億82百万円によるものであります。

固定負債は1億23百万円減少し、3億77百万円となりました。これは主に、長期未払金の減少1億53百万円によるものであります。

(純資産)

当事業年度末における純資産は14億39百万円減少し、78億70百万円となりました。主な内訳は、自己株式の取得18億92百万円によるものであります。

b.経営成績の分析

当事業年度は新業態への取組として、完全予約制の本格江戸前高級寿司をコンセプトとした「鮨元」(2024年6月 千葉県市川市)、エキナカ出店の立ち食い鮨業態「Standing 鮨 Bar Yasukeエキュート赤羽みなみ店」(2024年7月 東京都北区)、フードコート内出店の「アリオ橋本店」(2025年1月 神奈川県相模原市)の3店舗を出店しました。これにより期末時点の店舗数は91店舗となりました。

売上高につきましては、価格改定と改装効果などにより173億88百万円となりました。

売上原価は67億15百万円で、原価率は38.6%となりました。

販売費及び一般管理費は一律3万円のベースアップによる給与及び手当の増加などにより96億20百万円となりました。

以上により営業利益は10億52百万円、売上高営業利益率は6.1%となりました。

経常利益は10億70百万円、売上高経常利益率は6.2%となりました。

不採算店舗の減損損失1億99百万円を計上した結果、当期純利益につきましては5億82百万円、売上高当期純利益率は3.3%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況

当事業年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 4 [経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社は新規出店及び店舗改装の設備資金は、原則として内部留保及び営業活動によるキャッシュ・フローの範囲内で賄っております。運転資金として、納税資金を金融機関からの借入金で調達をしております。当事業年度末のリース債務を含む有利子負債残高は4億94百万円(前事業年度末残高は1億98百万円)となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。また、この財務諸表の作成に当たりまして、将来事象の結果に依存するため確定できない金額について、仮定の適切性、情報の適切性及び金額の妥当性に留意しながら会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積りと異なる場合があります。

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

a.固定資産の減損損失

 固定資産の減損損失につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご覧ください。

b.繰延税金資産の回収可能性

 当社は、将来の利益計画に基づいた課税所得の見積りを行い、将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を計

上しております。繰延税金資産の回収可能性は決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しており

ますが、消費の動向や事業環境の変動等により、利益計画及び課税所得の見直しが必要となった場合、当社の翌

事業年度以降の財務諸表において繰延税金資産の金額に重要な影響が及ぶ可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 特記事項はありません。