第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度の日本経済は、政府や日本銀行の経済・金融政策の効果もあり、企業業績や雇用が改善に向かいましたものの、年度後半には世界経済減速の懸念などにより先行き不透明感が強まり、景気回復のペースは減速基調となりました。

小売業界におきましては、実質賃金の伸び悩みや消費の二極化の進展に加え、年度後半からの株価下落や先行き不透明感を反映し、節約志向が強まるなど消費マインドは急速に低下し、個人消費全体は力強さを欠く展開となりました。

このような状況の中、当社グループは「2014~2016年度 中期経営計画」に基づき、百貨店を核に複数の事業を展開するマルチリテイラーとしての発展に向け、既存事業の競争力と収益力の一段の強化をはかるとともに、M&Aなど経営資源の成長分野への重点的な投入を進めてまいりました。

百貨店事業では、幅広い顧客層に支持される魅力的な店づくりと生産性の高い店舗運営体制の構築を目指す「新百貨店モデル」の確立に向けた取り組みとして、松坂屋名古屋店、大丸札幌店などの重点店舗の大型改装を実施いたしました。また、堅調な富裕層マーケット、拡大を続ける訪日外国人マーケットへの対応も併せて強化してまいりました。

パルコ事業では、ICT(情報通信技術)の活用や店舗改装の推進、また都市部での新たな商業拠点の拡大による収益力向上に向け、昨年3月に福岡パルコ本館を増床し、名古屋「PARCO midi」を開業いたしました。さらに、今年2月には新たに札幌ゼロゲートを開業いたしました。

また、マルチリテイラーとしての発展に向け、昨年4月には株式会社千趣会と資本業務提携契約を締結し、同社を持分法適用関連会社化いたしました。両社のグループ資産、ノウハウを活用し、相互販売、商品開発などに取り組んでおります。

店舗を核に地域とともに発展するビジネスモデルの構築(アーバンドミナント戦略)に向けては、銀座六丁目10地区市街地再開発、松坂屋上野店南館建替え計画に加え、大丸心斎橋店本館建替え計画、宇田川町15地区開発(渋谷パルコ建替え計画)などを推進しております。

オムニチャネル・リテイリングの推進では、「クリック&コレクト」「スナップダイアリー」などのサービスとともに、千趣会との提携によるシナジー創出に取り組んでまいりました。

海外事業につきましては、技術支援を進めてきた「上海新世界大丸百貨」が昨年5月に全面開業いたしました。また、JFRプラザが台湾で展開する雑貨小売店「PLAZA TOKYO」は、今年3月に合計9店舗となりました。パルコでは、ICT活用による店舗事業の優位性拡大及び ECを軸とした海外事業の強化に向け、㈱アパレルウェブと業務・資本提携をいたしました。

併せて、より強固な経営体質の構築に向けあらゆる経費構造の見直しをはかり、経営効率の向上に取り組みました。

以上のような諸施策に取り組みました結果、当連結会計年度の売上高は1兆1,635億64百万円(前年比1.2%増)、営業利益は480億38百万円(同13.9%増)、経常利益は479億10百万円(同18.4%増)、当期純利益は263億13百万円(同31.8%増)となりました。

期末配当金につきましては、1株につき14円とさせていただきました。なお、中間配当額13円を加えた年間配当額は1株につき27円となり、株式併合後の基準で換算いたしますと、前年比2円の増配となります。

セグメントの業績は、以下のとおりであります。

 

<百貨店事業>

「新百貨店モデル」の確立に向けた取り組みとして、各店舗改装においてマーケット変化に対応した商品カテゴリー、売場構成の見直しを進め、競争力・収益力の強化をはかってまいりました。松坂屋名古屋店では、「地域のお客様に愛される上質な進化型百貨店」を目指し、昨年3月より第3期改装計画を進めてまいりました。昨年10月には南館4~6階に「ヨドバシカメラ」を導入し、今年4月には、メンズフロアの改装を実施し北館を「松坂屋ジェンタ」の名称でオープンさせるなど、幅広い世代のお客様にご来店いただける百貨店としての体制を整えました。また、大丸札幌店では、昨年10月より1階へのラグジュアリーブランド導入、2階での婦人雑貨フロア改装を順次実施いたしました。

堅調な富裕層マーケットへの対応としては、「お得意様ゴールドカード」の新規口座開拓を継続して推進いたしました。また、増加する訪日外国人のお客様への対応では、訪日観光シーズンに合わせた販促、動員施策などを各店で実施いたしました。

千趣会との取り組みでは、同社のファッションブランド「Kカラット」のショップを大丸神戸店と松坂屋名古屋店において期間限定で展開し、次年度に向けての商品開発、シナジー創出のための協業体制の構築を進めました。また、大丸松坂屋百貨店の紳士服プライベートブランド「トロージャン」を6年ぶりにリモデルいたしました。

なお、大丸心斎橋店では本館建替え工事のため昨年12月30日をもって本館の営業を一時休止いたしました。今後、設計者W・M・ヴォーリズの歴史的建築の価値継承と建物の安全性向上を通じ、地域の発展に貢献する新たな本館の構築を進めてまいります。

以上のような諸施策に取り組みました結果、売上高は7,632億22百万円(前年比0.4%増)となり、営業利益は287億86百万円(同24.1%増)となりました。

 

<パルコ事業>

ショッピングセンター事業では、福岡パルコの本館増床、名古屋「PARCO midi」の開業や、札幌ゼロゲートの出店など、都心型店舗での売場面積の増加に加え、既存パルコ店舗におけるターゲット層の拡大をテーマとした改装の推進や、「カエルパルコ」、「ポケットパルコ」などのICTを活用した店舗施策が奏功し、売上高は前年を上回りました。さらに専門店事業における新規出店や新業態開発、総合空間事業における工事受注増加が寄与しましたことから、売上高は2,810億50百万円(前年比2.5%増)となり、営業利益は125億82百万円(同2.7%増)となりました。

 

<卸売事業>

食品部門における水産・畜産分野の取扱い縮小による減収がありましたが、電子デバイス部門や自動車部品部門が順調に推移いたしました。この結果、売上高は578億49百万円(前年比2.6%減)となりましたものの、売上総利益率の向上と販売費及び一般管理費の見直しにより、営業利益は13億15百万円(同23.2%増)となりました。

 

<クレジット事業>

取扱い手数料率見直しの影響がありましたが、カード会員口座の拡大、外部加盟店でのカード利用促進などの収益拡大策によって売上高は104億55百万円(前年比0.7%増)となり、カード更新費用の一時的増加により、営業利益は27億3百万円(同21.1%減)となりました。

<その他事業>

その他事業では、通信販売業のJFRオンラインなどが減収となりましたが、.フロント建装が好調に推移したことにより、売上高は1,047億39百万円(前年比7.6%増)、営業利益は28億7百万円(同16.1%増)となりました。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ39億85百万円減の281億47百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は367億99百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、法人税等の支払額が増加したことなどにより78億51百万円の収入減となりました。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」は397億41百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、投資有価証券及び有形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより234億69百万円の支出増となりました。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」は10億41百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、社債の発行や長期借入金の新規調達などにより265億46百万円の支出減となりました。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

その他事業

685

106.6

(注)1  上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2  上記以外のセグメントについては該当事項はありません。

 

(2)受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

その他事業

41,572

155.7

(注)1  上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2  上記以外のセグメントについては該当事項はありません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

品名

販売高(百万円)

前年同期比(%)

百貨店事業

衣料品

306,364

98.4

身回品

77,513

99.4

家庭用品

33,636

91.5

食料品

181,678

99.2

食堂・喫茶

22,783

99.6

雑貨

111,787

113.8

サービス・その他

29,547

100.3

763,222

100.4

 

 

パルコ事業

 

 

 

ショッピングセンター事業

248,078

101.8

専門店事業

14,196

109.7

総合空間事業

12,423

112.7

その他事業

6,352

98.2

281,050

102.5

卸売事業

化成品・資材

26,139

100.2

食品

18,546

85.9

電子・家電

12,881

118.6

その他

282

33.7

57,849

97.4

クレジット事業

クレジットカードの発行及び運営等

10,455

100.7

その他事業

建装工事請負・家具製造販売業

38,317

134.0

通信販売業

24,265

88.8

情報サービス・事務処理業務受託業

6,034

96.7

不動産賃貸・駐車場・リース業

8,141

105.2

人材派遣業

21,071

103.1

その他

6,908

99.3

104,739

107.6

調整額

△53,752

合計

1,163,564

101.2

(注)  上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

(1) 対処すべき課題

厳しい経営環境のなか競争に勝ち残り、ビジョンとして掲げる小売業界のリーディングカンパニーとしての地位確立に向け、2016年度は「2014~2016年度 中期経営計画」の最終年度として、連結営業利益500億円を達成するとともに、2017年度からスタートする次期中期経営計画での大きな飛躍に繋げる1年と位置付け、以下の取り組みを進めてまいります。

■マルチリテイラーとしての競争力・収益力の抜本的強化

百貨店を中心とした競争力のある事業で構成される小売グループを目指し、これまでパルコ、スタイリングライフ・ホールディングス、フォーレストの株式取得を進め、また、昨年4月には、千趣会を持分法適用関連会社化するなど、事業の幅を広げてまいりました。各事業での革新に取り組むとともに、グループシナジー創出をはかり、グループ全体の競争力・収益力を強化してまいります。

(百貨店事業)

「新百貨店モデル」の確立を目指し、各店舗の地域特性に合わせたマーケット対応力の強化、収益性向上に向けた運営体制の見直しを推進してまいります。2016年度には、松坂屋名古屋店などの重点店舗での改装を中心に、マーケット変化に対応した幅広いお客様に支持される売場づくりにより、店頭の魅力化に取り組んでまいります。また、新たにご来店されたお客様にカード会員となっていただく取り組みを強化しております。カード情報の分析をもとに、それぞれのお客様の嗜好に合わせた情報をタイムリーかつ適切に提供することにより再来店を促進し、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)による固定客づくりを進めてまいります。

百貨店事業の強みである富裕層マーケットへの対応では、新規外商口座の開拓強化を継続するとともに、そのニーズを捉えた品揃え、接客サービス両面での充実に取り組んでまいります。また、今後とも増加が予想される訪日外国人のお客様への対応でも、優良顧客向けサービスの導入など、より一層の強化をはかってまいります。

(パルコ事業)

今年8月から建替えのため休業する渋谷パルコ、11月に閉店する千葉パルコの影響を、「都心型」「コミュニティ型」それぞれの店舗別政策の推進、ICTを活用した情報発信や、インバウンド対応を含めたテナントMDの改編で補いつつ、都市部の深耕と店舗優位性の拡大に取り組んでまいります。

今年初夏に仙台パルコの新館、秋には広島で2店舗目となるゼロゲートがオープンいたします。また、2017年秋に建替えオープンする松坂屋上野店新南館へのパルコ業態の出店のほか、ゼロゲートの京都、三宮への出店など次年度以降の成長に向けた開発計画推進にも取り組んでまいります。

また、関連事業につきましても、新規案件の取り組み強化及び外部展開の拡大を推進してまいります。

(千趣会との業務提携推進)

マルチリテイラーとしての強みを活かすため、大丸松坂屋百貨店、千趣会のプライベートブランドを共同で企画し、相互に展開する取り組みとして、今年3月から千趣会のブランド「Kカラット」の実店舗を大丸松坂屋百貨店へ出店するとともに、大丸松坂屋百貨店のブランド「ソフール」を千趣会のECサイトで展開しております。

今後は、オリジナル・ファッションブランドとして「Kカラット」の売上拡大に向け、自社の店舗やサイトにとどまらず、路面店、外部商業施設、外部ECサイトへの出店を目指してまいります。また、千趣会の強みであるブライダル、ベビー・マタニティ分野でも共同の取り組みを進め、シナジーの創出をはかってまいります。

■オムニチャネル・リテイリングの推進

大丸松坂屋百貨店、パルコ、千趣会などの多様なチャネルを活用し、オムニチャネル・リテイリングを推進してまいります。2016年度は、千趣会のノウハウ活用による百貨店のWEB通販事業の基盤強化を早期に実現するとともに、大丸松坂屋百貨店と千趣会が共同でマーケティング、商品企画、プロモーション、顧客情報活用などを行い、店舗、ウェブの垣根を越えた商品、サービスを提供することにより、多様化する顧客ニーズ、購買スタイルへの対応をはかってまいります。加えて、展開商品の拡大や、「Kカラット」に続く新しい共同ブランドの開発に向けた取り組みも推進してまいります。

■店舗を核に地域とともに成長するビジネスモデルの構築(アーバンドミナント戦略)

グループ店舗の立地するエリアが厳しい地域間競争に勝ち残るため、大丸松坂屋百貨店、パルコ、大丸コム開発などが一体となって街づくりを進め、賑わいを創出し地域とともに成長する「アーバンドミナント戦略」を推進してまいります。

(銀座六丁目10地区市街地再開発(銀座再開発プロジェクト))

銀座再開発プロジェクトは、東京都中央区銀座にある「松坂屋銀座店」跡地を含む2つの街区で構成された敷地面積約9,080㎡を一体的に整備する再開発事業です。

売場面積約46,000㎡(約13,900坪)の商業施設や、1フロア貸室面積約6,100㎡(約1,850坪)の大規模なオフィスなどから構成される、銀座地区最大級かつワールドクラスクオリティの大規模複合施設として2017年4月の開業を目指しております。

(松坂屋上野店南館建替え計画)

松坂屋上野店では、2014年春に本館の改装を完了し、2017年秋の完成を目指して、百貨店、パルコ、TOHOシネマズ、オフィスなどで構成する新南館を建設中です。松坂屋上野店が位置する御徒町地区では店舗周辺の自社物件を中心に開発を進めており、今後とも地域と一体となり来街者の増加、賑わいの創出に取り組んでまいります。

(大丸心斎橋店本館建替え計画)

大阪・心斎橋地区の新たな賑わい創出と地域のさらなる活性化に向け、大丸心斎橋店本館の営業を昨年末に一時休止し、本館建替え工事に着手いたしました。新本館は地下3階、地上11階建ての建物に約40,000㎡の売場を展開し、2019年秋の開業を目指しております。また、2021年春には本館・北館を接続、一体化させ、回遊性の向上をはかってまいります。併せて、グループ一体での店舗周辺開発により、引き続き地域の活性化を推進してまいります。

(宇田川町15地区開発(渋谷パルコ建替え計画))

昨年12月に渋谷パルコパート1、パート3を含む宇田川町15地区、敷地面積約5,380㎡の都市再生特別地区の都市計画を決定し、同地区にてオフィス商業複合施設の開発を予定しております。店舗を起点に街の回遊性を高め、賑わいの創出、ファッションや演劇文化の育成、情報発信を推進してまいります。

(名古屋栄地区)

松坂屋とパルコが隣接する名古屋栄地区では、パルコが2014年10月に名古屋ゼロゲート、昨年3月に「PARCO midi」を開業するなど、同地区での面の拡がりを創出するとともに、松坂屋名古屋店、名古屋パルコともマーケット変化に対応した改装計画を進めております。今後も、地域活性化に向けた開発と店舗競争力の強化に取り組んでまいります。

■財務戦略の強化

中長期的な企業価値の向上を実現するため、「財務戦略」の立案と推進の強化に取り組んでまいります。具体的には、売上高や営業利益といった収益視点とともに、バランスシートや資本コストを意識した資産効率、資本効率の視点による経営管理をより一層強化し、フリー・キャッシュフローの創出とROEの向上を基軸とした財務施策を実践してまいります。また、財務体質の改善と金融資本市場の動向を踏まえ、成長戦略を推進するための原資を機動的に確保するとともに、開発案件、店舗改装投資、M&Aに対する投資判断基準や、不採算・低収益事業に対する撤退基準を明確にし、グループとして最適な経営資源配分を実施してまいります。

■コーポレートガバナンスの強化

最良のコーポレートガバナンス実現によるグループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、昨年12月に「コーポレートガバナンス方針書」を制定し、開示いたしました。また、同日にコーポレートガバナンス報告書も併せて開示いたしました。

方針書の中では、コーポレートガバナンス・コードで開示が求められている原則(「グループ理念」、「コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方」、「取締役・監査役・執行役員の人事・報酬」など)を含め「株主との関係」、「情報開示」、「取締役会等の役割・責務」など当社グループのコーポレートガバナンスのあるべき姿について記載しております。また、役員選任基準、役員報酬の決定方針、政策保有株式に関する基本方針などの情報も併せて開示しております。

今後は、1)社外役員の知見のさらなる活用、議案の経営戦略議論への集中による取締役会の実効性向上、2)人事・報酬委員会強化、経営人材強化による経営人事機能の向上を重点課題として取り組んでまいります。

■グループビジョン・次期中期経営計画の策定

2017年度以降のさらなるグループ成長に向け、将来のあるべき姿・方向性を示す新たなグループビジョン、及び次期中期経営計画の策定を進めてまいります。

(2) 株式会社の支配に関する基本方針

① 基本方針の内容

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務及び事業の内容や当社グループの企業価値の源泉を十分に理解し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、これを向上していくことを可能とする者であることが必要であるものと考えております。

当社は、当社が上場会社であることから、当社の株主の在り方については、一般的には金融商品取引所における自由な市場取引を通じて決まるものであり、特定の株主又は特定の株主グループによって当社株式の一定規模以上の取得行為(以下「大量取得行為」といいます。)が行われる場合であっても、当該大量取得行為が当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概にこれを否定するものではなく、これに応じるか否かについては、最終的には株主の皆さまのご判断に委ねられるべきものと考えております。

しかしながら、大量取得行為の中には、その目的等からして当社グループの企業価値に対する明白な侵害をもたらすもの、株主の皆さまに当社株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、当社取締役会や株主の皆さまが大量取得者の提案内容等について検討し、又は当社取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないものなど、当社グループの企業価値を毀損する重大なおそれをもたらすものも想定されます。

このような当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大量取得行為を行う者(以下「大量取得者」といいます。)は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては不適切であり、当社は、このような大量取得行為に対しては、大量取得者による情報提供並びに当社取締役会による検討及び評価といったプロセスを確保するとともに、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の毀損を防止するため、当社取締役会及び株主の皆さまが大量取得者の提案内容を検討するための十分な時間を確保することこそが、株主の皆さまから当社経営の負託を受けた当社取締役会の責務であると考えております。

 

② 基本方針の実現に資する取組み

当社グループは、大丸・松坂屋の創業以来、その企業理念、伝統精神である「先義後利(義を先にして利を後にする者は栄える)」、「諸悪莫作 衆善奉行(諸悪をなすなかれ、多くの善行を行え)」、「人の利するところにおいて、われも利する」に基づき、永年にわたって呉服商、百貨店業を営んでまいりました。

当社は、当社グループの企業価値の源泉は、これらの理念、精神に基づくことにより築き上げられてきた、お客さま及び社会との信頼関係にあるものと考えております。

そこで、当社は、これらの理念、精神に共通する「お客さま第一主義」、「社会への貢献」を体現するため、当社グループの基本理念として「時代の変化に即応した高質な商品・サービスを提供し、お客さまの期待を超えるご満足の実現を目指す」、「公正で信頼される企業として、広く社会への貢献を通じてグループの発展を目指す」ことを掲げ、この基本理念に基づき、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保及び向上に資するため、当社グループのビジョンである「百貨店事業を核とした、質・量ともに日本を代表する小売業界のリーディングカンパニーの地位の確立」を目指し、さまざまな施策に取り組んでおります。

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを

   防止するための取組み

当社は、現在のところ、大量取得者が出現した場合の具体的な取組み、いわゆる買収防衛策について特にこれを定めてはおりません。

しかしながら、大量取得者が出現した場合には、当社グループの企業価値の毀損を防止するため、大量取得者の属性、大量取得行為の目的、大量取得者が提案する財務及び事業の方針、株主の皆さま及び当社グループのお客さま・お取引先さま・従業員・当社グループを取り巻く地域社会その他のステークホルダーに対する対応方針など、大量取得者に関するこれらの情報を把握した上で、当該大量取得行為が当社グループの企業価値に及ぼす影響を慎重に検討する必要があるものと考えます。

したがって、このような場合には、当社は、当社社内取締役から独立した立場にある社外役員及び有識者をメンバーとする独立委員会を設置し、その勧告意見を踏まえた上で、当該大量取得者が前記の基本方針に照らして不適切な者であると判断されるときは、必要かつ相当な対抗措置を講じることにより、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保する所存であります。

 

④ 具体的な取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

当社グループで策定するさまざまな施策は、当社グループの基本理念に基づいて策定されており、当社グループの企業価値の源泉であるお客さま及び社会との信頼関係の更なる構築を目指すものであります。したがって、これらの施策は、基本方針の内容に沿うものであり、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであると考えております。

また、基本方針に照らして不適切な者であると判断される大量取得者に対して必要かつ相当な対抗措置を講じることについては、当社社内取締役からの独立性が確保されている独立委員会の勧告意見を踏まえて判断することにより、その判断の公正性・中立性・合理性が担保されており、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうものではないとともに、当社の会社役員の地位の維持をその目的とするものではないと考えております。

 

4【事業等のリスク】

当社グループの事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下に記載しております。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

① 事業環境におけるリスク

当社グループの主要なセグメントである百貨店事業及びパルコ事業は、景気動向・消費動向・金融動向等の経済情勢、同業・異業態の小売業他社との競合や交通アクセスの変化等により大きな影響を受けます。これらの事業環境の要因が、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 法規制及び法改正におけるリスク

当社グループは、大規模小売店舗の出店、独占禁止、下請取引、消費者保護、各種税制、環境・リサイクル関連等において法規制の適用を受けております。また、将来の税制改正に伴う消費税率の引き上げ等により個人消費の悪化につながる場合があります。従って、これらの法規制及び法改正により事業活動が制限されたり、費用の増加や売上高の減少を招き、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 自然環境の変化・事故等におけるリスク

地震・洪水・台風等の自然災害、不測の事故や新型インフルエンザ発生等により、営業機会を喪失したり、業務遂行に支障をきたす可能性があります。また、暖冬・冷夏等の異常気象により、主力商品である衣料品、食料品等の売上の減少につながることもあり、自然環境の変化・事故等が、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 商品取引におけるリスク

当社グループの主要なセグメントである百貨店事業及びパルコ事業は、消費者と商品取引を行っております。提供する商品については、適正な商品であることや安全性等に十分留意しておりますが、万一欠陥商品や食中毒を引き起こす商品等、瑕疵のある商品を販売した場合、公的規制を受ける可能性があるとともに、製造物責任や債務不履行による損害賠償責任等による費用が発生する場合があります。更に当社グループに対する信用失墜による売上高の減少等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは、百貨店事業の外商部門をはじめとして、法人向け等の掛売取引を行っております。これらの取引については与信管理を十分に行っておりますが、取引先の倒産による売掛金の回収が不能となった場合の費用の発生等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 情報管理におけるリスク

当社グループが保有する個人情報や機密情報の管理・保護については、社内体制を整備し厳重に行っておりますが、不測の事故又は事件により情報が漏洩した場合には、当社グループの信用低下を招き、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ システムリスク

当社グループが事業を展開するための各種システムは、主に外部委託先のデータ・センターで集中管理しております。当該データ・センターは、耐震設計、電源・通信回線の二重化、自家発電装置、不正侵入防止などの安全対策を講じております。しかしながら、想定を越える自然災害や事故によって、設備の損壊やシステムの停止、各事業所との通信障害が起きた場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 保有固定資産に関するリスク

当社グループは、事業活動上、店舗用土地・建物を始めとする事業用固定資産を保有しておりますが、事業収益・キャッシュ・フローの悪化や地価の下落に伴う減損損失の発生などにより、当社グループの業績や財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 海外での事業活動におけるリスク

当社グループは、主に卸売事業セグメントを中心に、海外での事業活動を行っております。この海外での事業活動において、予期しえない自然災害や景気変動、通貨価格の変動、テロ・戦争・内乱等による政治的・社会的混乱、並びに法規制や租税制度の変更等が、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 重要な訴訟等のリスク

当連結会計年度において、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等はありませんが、将来、重要な訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 事業提携・資本提携・企業買収等のリスク

当社グループは、事業の拡大や競争力強化のため、他社との事業提携・資本提携及び他社の買収等を行うことがあります。これらの意思決定に際しては、必要かつ十分な検討をしておりますが、経済環境の変化等の影響により、期待した収益や成果を充分に得られず、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

<連結子会社>

賃貸借に関する契約

会社名

事業所名

賃借先

賃借物件

面積

賃料

㈱大丸松坂屋百貨店

大丸 東京店

㈱鉄道会館

建物

64,657㎡

年額      5,330百万円

大丸 大阪・梅田店

大阪ターミナルビル㈱

建物

95,101㎡

(1)定額賃借料

年額      6,186百万円

(2)比例賃借料

売上高85,000百万円を超過した額の1.5%

㈱博多大丸

東館

(エルガーラ)

㈱西日本新聞社

㈱西日本エルガーラビル

㈱西日本新聞会館

建物

15,155㎡

年額      1,041百万円

本館

㈱西日本新聞会館

紙与不動産㈱

建物

31,258㎡

年額      1,257百万円

 

6【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

① 概要

当連結会計年度は、幅広い顧客層に支持される魅力的な店づくりと生産性の高い店舗運営体制の構築を目指す「新百貨店モデル」の確立に向けた取り組みとして、松坂屋名古屋店、大丸札幌店などの重点店舗の大型改装を実施いたしました。また、堅調な富裕層マーケット、拡大を続ける訪日外国人マーケットへの対応も併せて強化してまいりました。

パルコ事業では、ICT(情報通信技術)の活用や店舗改装の推進、また都市部での新たな商業拠点の拡大による収益力向上に向け、昨年3月に福岡パルコ本館を増床し、名古屋「PARCO midi」を開業いたしました。さらに、今年2月には新たに札幌ゼロゲートを開業いたしました。

また、マルチリテイラーとしての発展に向け、昨年4月には株式会社千趣会と資本業務提携契約を締結し、同社を持分法適用関連会社化いたしました。両社のグループ資産、ノウハウを活用し、相互販売、商品開発などに取り組んでおります。

店舗を核に地域とともに発展するビジネスモデルの構築(アーバンドミナント戦略)に向けては、銀座六丁目10地区市街地再開発、松坂屋上野店南館建替え計画に加え、大丸心斎橋店本館建替え計画、宇田川町15地区開発(渋谷パルコ建替え計画)などを推進しております。

オムニチャネル・リテイリングの推進では、「クリック&コレクト」「スナップダイアリー」などのサービスとともに、千趣会との提携によるシナジー創出に取り組んでまいりました。

この結果、連結売上高は増収、連結営業利益、連結経常利益、連結当期純利益の各利益段階でも増益となりました。

 

② 連結売上高

連結売上高は、卸売事業で前年実績を下回ったものの、百貨店事業、パルコ事業、クレジット事業およびその他事業で前年実績を上回り、前連結会計年度に比べ140億35百万円増の1兆1,635億64百万円となりました。

 

③ 連結営業利益

連結営業利益は、前連結会計年度に比べ58億71百万円増の480億38百万円となりました。

 

④ 連結経常利益

連結経常利益は、前連結会計年度に比べ74億30百万円増の479億10百万円となりました。

 

⑤ 連結当期純利益

連結当期純利益は、前連結会計年度に比べ63億46百万円増の263億13百万円となりました。

 

⑥ キャッシュ・フローに関する分析

当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持並びに健全な財政状況を目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保に努めております。

また、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資、投融資資金は、主に手許資金と営業活動によるキャッシュ・フローに加え、社債の発行及び金融機関からの借入などにより調達しております。

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は367億99百万円の収入となりました。一方、「投資活動によるキャッシュ・フロー」は397億41百万円の支出、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、長短借入金の返済などにより10億41百万円の支出となりました。

この結果、当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」は、前連結会計年度末に比べ39億85百万円減の281億47百万円となりました。

今後も、利益水準やキャッシュ・フローの動向等を考慮し、適切な利益配分や設備投資を行っていく予定であります。

 

⑦ 財政状態に関する分析

財政状態につきましては、資産効率、資金効率向上の観点からグループ保有資産の有効活用に努めるとともに、グループ資金一元管理を推進するなど財務体質強化への取り組みを進めた結果、資産合計は前連結会計年度に比べ6億51百万円増の1兆191億46百万円となりました。一方、負債合計は5,785億52百万円、純資産合計は、4,405億94百万円となりました。

これらの結果、総資産営業利益率(ROA)は、4.7%、自己資本比率は、37.6%となりました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2  事業の状況  4  事業等のリスク」に記載しております。

 

(4)経営戦略の現状と見通し

当社グループは持株会社体制の下、大丸、松坂屋、パルコの店舗ネットワークや顧客基盤などの経営資源を最適かつ有効活用するとともに、時代の変化に的確に対応し、顧客満足の最大化と効率経営の徹底を通じ、百貨店事業、パルコ事業をはじめ既存事業各社の競争力と収益力の向上をはかってまいります。

加えて、より成長性のある分野に資源配分を行っていくなど、競争力と収益力に優れた事業群でバランス良く構成されるマルチリテイラーとしての発展を通じ、ビジョンとして掲げる「百貨店事業を核とした、質・量ともに日本を代表する小売業界のリーディングカンパニーの地位確立」に挑戦してまいります。

当社グループは、「2014~2016年度 中期経営計画」をスタートさせております。

厳しい経営環境のなか、競争に勝ち残り、ビジョンとして掲げる小売業界のリーディングカンパニーとしての地位確立に向け、新百貨店モデルの確立に向けた取り組みをさらに推し進めるとともに、パルコやスタイリングライフ・ホールディングス、フォーレストを加えたマルチリテイラーとしての取り組みを強化することにより、お客様の幅広いニーズにお応えし、グループの競争力・収益力を抜本的に強化します。これにより、企業価値を向上させるとともに、2017年以降の成長の原資を稼ぎ出します。

加えて、今後、当社グループの経営資源を活用することにより中長期的に成長が見込まれる分野として、店舗を核に地域とともに成長するビジネスモデル(アーバンドミナント戦略)の基盤構築と、オムニチャネル・リテイリングの推進に取り組みます。

また、M&Aや外部との事業提携にも積極的に取り組み、マルチリテイラーとしての事業の幅の拡大をはかってまいります。

なお、これらの戦略を実行するにあたっては、人材重視、ダイバーシティ尊重のマネジメントを推進し、創造と挑戦を尊ぶ企業文化を醸成します。加えて、グループの拡大、人材の多様化が進む中、コンプライアンス経営とCSR経営を徹底します。