記載された事項で、将来に関するものは、有価証券報告書提出日現在(2019年5月27日)、入手可能な情報に基づく当社の経営判断や予測によるものです。
(1) 経営方針
当社グループは持株会社体制の下、大丸、松坂屋、パルコの店舗ネットワークや顧客基盤などの経営資源を最適かつ有効活用するとともに、時代の変化に的確に対応し、顧客満足の最大化と効率経営の徹底を通じ、百貨店事業、パルコ事業をはじめ既存事業各社の競争力と収益力の向上をはかってまいります。
加えて、より成長性のある分野に資源配分を行っていくなど、競争力と収益力に優れた事業群でバランス良く構成されるポートフォリオへの見直しを進め、“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”という新たなグループビジョンの実現に挑戦してまいります。
(2) 経営目標
新グループビジョン実現に向けた取り組みを通じ、「2017-2021年度 中期経営計画」の最終年度である2021年度には、営業利益560億円、営業利益率10%、ROE8%の達成を目指しています。
(3) 対処すべき課題
取り巻く環境がこれまでにないスピードで変化し続ける中、当社グループは非連続な成長へと大きく経営の舵を切り、グループビジョン“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”の実現に向け、「2017-2021年度 中期経営計画」を推進しており、計画スタートから2年が経過いたしました。
この2年間を振り返りますと、GINZA SIX(ギンザ シックス)や上野フロンティアタワーなど従来にない新たな複合商業施設を開業させるなど、事業ポートフォリオ変革に向けた取り組みを着実に推進してまいりましたものの、百貨店事業、不動産事業を除く他の事業では当初計画との乖離が生じており、将来のグループ全体の成長実現に向け、さらに実行力を高めて取り組む必要があると認識しています。
迎えた2019年度は、世界経済では先行き不透明感が増し、国内では消費増税が予定されるなど当社グループを取り巻く環境は一層厳しさを増すことが予想されます。さらに、デジタル技術の進展や消費に対する価値観の変化を背景に、業種や業態内の競合激化にとどまらず、既存のマーケットや産業自体が衰退する中、従来は存在しなかった新たな商品やサービス、産業に置き換わるなど、想定を上回るスピードで変化しています。
中期経営計画の3年目となる今年度は、今中期経営計画で掲げる業績目標の達成を確かなものとするため、非連続な成長の実現、事業ポートフォリオの変革に向けた成長戦略の具現化に、一段とスピードをあげて取り組んでいく必要があると認識しています。加えて、持続可能な社会の実現と事業の持続的な成長を目指すESGへの取り組みは経営の中核課題であり、あらゆる企業活動においてESG視点での取り組みが求められるものと認識しています。
こうした認識のもと、グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け、今秋開業予定の大丸心斎橋店新本館、新生渋谷パルコなどの大型再開発を成功させるとともに、クレジット金融事業など重点3事業や新規事業領域の拡大、お客様のライフタイム・バリューの最大化を目指す「ライフタイム・サービスハブ構想」の具現化に加え、百貨店事業における新顧客戦略の全社展開や外商ビジネスモデルの改革、パルコ事業における店舗事業改革によるパルコブランドの再構築などの成長戦略を着実に推進してまいります。
また、これらの成長戦略を支える経営基盤の強化に向け、戦略を推進する人財強化、資本の効率的活用による経営体質の強化、グループ業務システムの革新による生産性向上などに取り組んでまいります。株主の皆さまにおかれましては、なにとぞ一層のご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。
(4) グループ成長戦略
①マルチサービスリテイラー戦略
高効率かつ成長性が高い事業と位置づける重点3事業の強化をはかるとともに、グループビジョン実現に向け新規事業領域の拡大にスピードをあげて取り組んでまいります。
1)重点3事業における事業領域及び収益の拡大
・クレジット金融事業においては、中長期の成長実現に向け、顧客とのさらなる関係強化に向けたカード商品の開発や今後予想されるキャッシュレスをはじめとする決済手段の多様化への対応など、新たな決済サービスの提供に取り組んでまいります。あわせて、優良な顧客基盤・店舗資産など当社グループの強みを活用し、顧客のライフステージに応じた新たな金融サービスの提供に取り組んでまいります。
・人材派遣事業においては、成長が期待される人材紹介事業の強化や、労働市場のグローバル化への対応強化など事業領域の拡大をはかってまいります。
・建装事業においては、デザイン事業の強化など事業領域の拡大をはかるとともに、大丸心斎橋店新本館を含むグループ内外の内装工事の受注拡大をはかるほか、体制強化による収益管理の徹底に継続して取り組んでまいります。
2)グループビジョン実現に向けた新規事業領域の拡大
・「暮らし方の多様化」「楽しみ方の多様化」に対応した新たなサービスの具現化、事業ポートフォリオ変革に向けた新規事業領域の拡大に取り組むとともに、シェアリングなど消費者の価値観変化に対応する事業の開発、他社とのアライアンスを進めてまいります。
②アーバンドミナント戦略
百貨店・パルコの基幹店舗及び不動産事業部を中心に、グループリソースを最大限活用し「店舗を核に地域とともに成長するビジネスモデル」の構築を進めてまいります。
1)基幹店舗を中心とした街づくり推進
・街の魅力度向上、エリア間競争力の強化に向け、重点エリアを中心とした店舗の周辺開発に取り組んでまいります。あわせて地域・行政との連携強化によるイベントの実施など街の賑わい創出に取り組んでまいります。
2)新たな商業施設モデルの具現化
・大丸心斎橋店新本館において、新たな百貨店ビジネスモデルの具現化による収益拡大に取り組んでまいります。
・新生渋谷パルコにおいて、パルコとしてのストアブランド進化の具現化に取り組むとともに、錦糸町パルコ、サンエー浦添西海岸 PARCO CITY、川崎ゼロゲート(仮称)など新業態開発を着実に推進してまいります。
③IoT時代におけるICT戦略
お客様との生涯にわたる関係を強固なものとし、お客様のライフタイム・バリューの最大化を目指すための仕組みである「ライフタイム・サービスハブ構想」の具現化を進めてまいります。あわせてグループ各社の戦略を支えるICT基盤の構築に取り組んでまいります。
1)お客様のライフタイム・バリューの最大化に向けた顧客データベースの構築
・グループ各社の顧客データを統合し一元的に管理するデータベースの構築を進めるとともに、統合データベースを活用した新たな商品やサービスの提供、事業開発の具現化に取り組んでまいります。
2)グループ各社の戦略を支えるICT基盤の構築
・グループ各社におけるデジタル技術を活用した事業戦略の立案・実行支援とともに、各社の状況に応じた情報セキュリティの対応強化など、成長戦略の推進とグループITの健全性を両立させるICT基盤の構築に取り組んでまいります。
④百貨店事業、パルコ事業の革新
<百貨店事業>
大丸心斎橋店新本館における新たな百貨店ビジネスモデルの具現化、新顧客戦略の全社展開、外商ビジネスモデルの変革を通じ、競争力・収益力の強化に取り組んでまいります。
1)新たな百貨店ビジネスモデルの具現化
・2019年秋開業予定の大丸心斎橋店新本館において、成長性と収益性を兼ね備えた新たな店舗運営モデルの具現化に取り組んでまいります。
2)新顧客戦略の展開による顧客基盤の拡大とCRM強化
・モバイルアプリの導入により顧客基盤の拡大をはかるとともに、顧客データを活用し顧客のライフステージに即したパーソナルな商品・サービスの提供に取り組んでまいります。
3)外商ビジネスモデルの改革による顧客基盤拡大
・デジタル技術を活用した新たな商品・サービスに関する情報発信や、お客様のニーズ・購買特性に応じた最適な営業活動の推進により顧客基盤の拡大に取り組んでまいります。
<パルコ事業>
店舗事業、不動産事業の再構築をはかるとともに周辺事業、新規事業など新たな事業領域への進出による収益源の創出に取り組んでまいります。
1)店舗事業改革の実行によるパルコブランドの再構築
・パルコ創業50周年、パルコ各店における周年イベントの強化をはかるとともに、店舗事業の強化に向け主要店舗の改装を推進してまいります。
2)2019年度新規開業案件の成功
・新生渋谷パルコ、錦糸町パルコ、サンエー浦添西海岸 PARCO CITY、川崎ゼロゲート(仮称)など異なる4つの業態の新規開業案件の成功に向け着実に取り組んでまいります。
3)店舗事業に貢献する各事業の再強化・基盤整備
・新生渋谷パルコ開業に合わせたエンターテインメント事業の再強化や、総合空間事業におけるパルコ新規開発案件の管理業務受託をはかってまいります。
⑤ESG戦略
新たに策定したサステナビリティ方針のもと、「持続可能な社会」及び「企業の持続的成長」の実現に資する5つのマテリアリティ(重要課題)の目標達成に向けた取り組みを推進してまいります。あわせて、コーポレートガバナンス機能の継続的な強化を通じグループの持続的成長及び中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
1)マテリアリティ(重要課題)において設定した目標達成に向けた取り組みの推進
・5つのマテリアリティの目標達成に向けた取り組みを着実に実行するとともに、ESG活動の社内外への理解促進に向けた説明会の開催や社外への発信強化に取り組んでまいります。
※当社が特定した5つのマテリアリティ:①「低炭素社会への貢献」 ②「サプライチェーン全体のマネジメント」③「地域社会との共生」 ④「ダイバーシティの推進」 ⑤「ワークライフバランスの実現」
・ESG視点による大丸心斎橋店新本館、新生渋谷パルコの店づくりを推進してまいります。
・災害等における事業継続計画(BCP)の見直しに取り組むとともに、地域社会への貢献・支援策の立案に取り組んでまいります。
2)グループガバナンス機能のさらなる強化
・当社グループのコーポレートガバナンスの中心として、経営の透明性・健全性・遵法性を継続して確保するとともに、グループ各社における戦略実行に向けた迅速な意思決定及び内部統制の精度向上によりコーポレートガバナンスの強化に取り組んでまいります。
経営基盤の強化
<グループ人財政策>
・持続的な成長実現に向け人財開発企業を目指し、多様な人材の採用や専門人材の育成、創造と挑戦を引き出す人事制度への転換、ワークライフバランスの実現、働き方の多様化への対応など、人財マネジメントの再構築に取り組んでまいります。
<グループ財務政策>
・株主資本コストを継続して上回る資本効率の高い経営体質の構築に向け、戦略投資の実施や株主還元の充実、自己資本拡充のバランスを踏まえた資本政策を推進してまいります。また、2019年1月から国際会計基準に適用された新リース会計基準に確実に対応してまいります。
<グループ業務システム変革>
・成長戦略を支える基盤構築に向け、百貨店事業などグループ各社におけるRPA化(ロボティック・プロセス・オートメーション)の適用拡大により業務の自動化を推進するとともに、卸売事業などグループ各社における後方業務のシェアードサービス拡大により生産性向上をはかってまいります。
<コンプライアンス・マネジメントの整備・強化>
・教育や研修を通じたコンプライアンスに対する意識向上、コンプライアンス遵守に関するチェック体制の整備・強化に加え、不正事案の再発防止策の策定・徹底などグループ・コンプライアンス経営のさらなる強化に取り組んでまいります。
(5) 株式会社の支配に関する基本方針
①基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務及び事業の内容や当社グループの企業価値の源泉を十分に理解し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、これを向上していくことを可能とする者であることが必要であるものと考えております。
当社は、当社が上場会社であることから、当社の株主のあり方については、一般的には金融商品取引所における自由な市場取引を通じて決まるものであり、特定の株主または特定の株主グループによって当社株式の一定規模以上の取得行為(以下「大量取得行為」といいます。)が行われる場合であっても、当該大量取得行為が当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概にこれを否定するものではなく、これに応じるか否かについては、最終的には株主の皆さまのご判断に委ねられるべきものと考えております。
しかしながら、大量取得行為の中には、その目的等からして当社グループの企業価値に対する明白な侵害をもたらすもの、株主の皆さまに当社株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、当社取締役会や株主の皆さまが大量取得者の提案内容等について検討し、または当社取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないものなど、当社グループの企業価値を毀損する重大なおそれをもたらすものも想定されます。
このような当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大量取得行為を行う者(以下「大量取得者」といいます。)は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては不適切であり、当社は、このような大量取得行為に対しては、大量取得者による情報提供並びに当社取締役会による検討及び評価といったプロセスを確保するとともに、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の毀損を防止するため、当社取締役会及び株主の皆さまが大量取得者の提案内容を検討するための十分な時間を確保することこそが、株主の皆さまから当社経営の負託を受けた当社取締役会の責務であると考えております。
②基本方針の実現に資する取り組み
当社グループは、大丸・松坂屋の創業以来、その企業理念、伝統精神である「先義後利(義を先にして利を後にする者は栄える)」、「諸悪莫作 衆善奉行(諸悪をなすなかれ、多くの善行を行え)」、「人の利するところにおいて、われも利する」に基づき、永年にわたって呉服商、百貨店業を営んでまいりました。
当社は、当社グループの企業価値の源泉は、これらの理念、精神に基づくことにより築き上げられてきた、お客様及び社会との信頼関係にあるものと考えております。
そこで、当社は、これらの理念、精神に共通する「お客様第一主義」、「社会への貢献」を体現するため、当社グループの基本理念として「時代の変化に即応した高質な商品・サービスを提供し、お客様の期待を超えるご満足の実現を目指す」、「公正で信頼される企業として、広く社会への貢献を通じてグループの発展を目指す」ことを掲げ、この基本理念に基づき、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保及び向上に資するため、当社グループのビジョンとして“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”を掲げ、さまざまな施策に取り組んでおります。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、現在のところ、大量取得者が出現した場合の具体的な取り組み、いわゆる買収防衛策について特にこれを定めてはおりません。
しかしながら、大量取得者が出現した場合には、当社グループの企業価値の毀損を防止するため、大量取得者の属性、大量取得行為の目的、大量取得者が提案する財務及び事業の方針、株主の皆さま及び当社グループのお客様・お取引先様・従業員・当社グループを取り巻く地域社会その他のステークホルダーに対する対応方針など、大量取得者に関するこれらの情報を把握した上で、当該大量取得行為が当社グループの企業価値に及ぼす影響を慎重に検討する必要があるものと考えます。
したがって、このような場合には、当社は、当社社内取締役から独立した立場にある社外取締役及び有識者をメンバーとする独立委員会を設置し、その勧告意見を踏まえた上で、当該大量取得者が前記の基本方針に照らして不適切な者であると判断されるときは、必要かつ相当な対応を講じることにより、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保する所存であります。
④具体的な取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社グループで策定するさまざまな施策は、当社グループの基本理念に基づいて策定されており、当社グループの企業価値の源泉であるお客様及び社会との信頼関係のさらなる構築を目指すものであります。したがって、これらの施策は、基本方針の内容に沿うものであり、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであると考えております。
また、基本方針に照らして不適切な者であると判断される大量取得者に対して必要かつ相当な対応を講じることについては、当社社内取締役からの独立性が確保されている独立委員会の勧告意見を踏まえて判断することにより、その判断の公正性・中立性・合理性が担保されており、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうものではないとともに、当社の会社役員の地位の維持をその目的とするものではないと考えております。
当社グループはリスクを環境変化の中での「不確実性」と定義し、プラス面(機会)、マイナス面(脅威)の両面があるとしています。従って、マイナス面のリスク(不確実性)に対し適切にリスクヘッジする一方、マーケットの変化を見極め、プラス面のリスク(不確実性)に対して積極的なリスクテイクができれば、今後の企業の持続的成長につながると考えています。
当社グループでは、リスク管理経営に係る執行役社長の諮問機関として、執行役社長を委員長とし、執行役などをメンバーとするリスクマネジメント委員会を設置しています。委員会では、外部・内部環境分析をもとに定期的にリスク(不確実性)について論議し、リスク(不確実性)の洗い出し及び評価を行い、対応策のモニタリングを行っています。本年度は当社グループを取り巻くリスク(不確実性)として、「戦略」「ファイナンス」「オペレーション」「ハザード」の4つのカテゴリーから137項目のリスク(不確実性)を認識しました。
認識した個々のリスクについては分析・評価を行い、当社グループの業績及び財務状況への影響が非常に大きいと考えるリスクは、戦略に反映させて優先的に取組んでいます。
当社グループを取り巻く環境は想定を大幅に上回るスピードで変化しており、「シェアリングエコノミーの進展に係るリスク」「テクノロジーの進化に係るリスク」は小売業を中核とする当社グループに非常に大きな影響を与えています。将来的には「サーキュラーエコノミー」というさらに大きなリスクへの進展が見込まれる「シェアリングエコノミー」の波はとりわけ大きく、欧米においては既存のマーケットや産業を破壊するデジタル・ディスラプターが出てきており、日本でもその波が大きくなるのは近いと考えられます。さらに「ESG(環境・社会・ガバナンス)の重要性向上に係るリスク」は、投資家のみならず社会全体で関心が高まっており、その視点で企業が峻別されることが当たり前となっていることから、企業の対応が必須となりつつあります。また、近年、異常気象や台風・豪雨など地球温暖化に起因すると思われる災害が頻発していることを受け、「災害に係るリスク」に対しては、認識の強化をしております。
以上、4項目の最も重要と考えるリスクに加え、世界の政情不安や経済の減速を鑑み、その影響が高いと考えられるファイナンスに係る5項目、その他主要なリスク5項目とあわせ、計14項目を有価証券報告書提出日現在において投資家の皆さまの判断に影響を与える可能性がある主要なリスクと捉え、以下にリスク認識および対策を記載しています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があり、事業等のリスク(不確実性)はこれらに限られるものではありません。
①シェアリングエコノミーの進展に係るリスク
所有から共有へという消費者の価値観の変化を伴った「シェアリングエコノミー」の波は大きさを増しており、欧米においては、既存のマーケットを破壊するデジタル・ディスラプターが出現しています。この流れは日本においても急速に顕在化してきており、テクノロジーの革新スピードを勘案すると、日本においてこのリスクが中期的に拡大する可能性が非常に高いと想定されます。このリスクが顕在化した場合、当社グループにとって小売事業を中核とするグループ全体が衰退するという非常に大きな影響が想定されます。
一方で、消費者の価値観の変化を潜在需要掘り起こしの機会と捉え、既存の当社グループのリソースと組み合わせるなどシェアリングを切り口とした新たなビジネスを創出できれば、既存顧客の需要拡大や新規顧客の獲得につながり、将来的には中核の小売事業の次の柱となる新たな事業へと育成することが可能となります。
当社グループでは、その実現に向けて国内外の市場調査などを踏まえたうえで、モノやスキルなどの新たなシェアリングサービス事業の検討をスタートさせており、中期的にはマルチサービスリテイラーの一翼を担う新規事業の創出につなげていきたいと考えています。また、すでにクラウド・ファンディングにより新しいエンタテインメントや地域活性化につながるサービスの開発を行う取組みをスタートしています。
②テクノロジーの進化に係るリスク
テクノロジーの進化およびその進化がもたらすビジネスの変革のスピードは加速度的に増し、すでに顕在化している「テクノロジーの進化に係るリスク」は、業界の垣根を破壊するデジタル・ディスラプターの攻勢や、消費者と商品・サービスを直接つなげるスマートフォンを活用したサービスの飛躍的な進歩により、リアル店舗の小売事業を中核とする当社グループに中期的に非常に大きな影響を与えると想定されます。また、ビッグデータなどの活用の遅れ、情報システムの脆弱性を突いたサイバー攻撃などについても、当社グループの業務運営への支障、生産性向上の妨げとなる可能性があります。
一方で、5Gのサービス開始に伴い、スマートフォンを活用してリアル店舗と連携したサービスの構築や情報提供ができれば、既存顧客の潜在需要の掘り起こし、新規顧客の獲得につながります。また、ブロックチェーンやVR(仮想現実)・AR(拡張現実)、AI(人工知能)などのテクノロジーを適切に活用することができれば、業務の自動化による人手不足の解消、業務の効率化が可能となります。
当社グループでは、顧客の統合データベースの基盤を構築し、スマートフォンの活用による顧客生涯価値の最大化に向けたサービスの取組みを進めており、中期的には、購買データを活用しマネタイズするビジネスモデルの構築や、キャッシュレス社会に対応した新たな決済手段の導入による顧客利便性の向上の実現を目指しております。また、リアル店舗においては、VR・ARを活用した新たな顧客体験の提供、人的サービスをテクノロジーに置き換えることによる省力化と利便性向上など、既存のビジネスとテクノロジーを融合した新たなサービスを創出しています。情報システムの安全性の確保については、重要システムの脆弱性診断やネットワーク通信調査などにより早期に問題を発見し、対策を講じる仕組みを確立しています。
③ESGの重要性向上に係るリスク
ESGに対する取組みの重要性が今後益々高まることは避けられず、環境、社会、ガバナンスの3つの課題への対応は必須となり、今すぐ対応が求められる喫緊のリスクに加えて将来に向けて今から取組みを始めるリスクまで、長期的にリスクが顕在化する可能性があります。なかでも気候変動など環境問題は対応を誤ると大きなレピュテーション低下につながるリスクと考えています。また、ダイベストメントが世界的な潮流になる中、日本の環境問題への認識は諸外国と比較して低いと指摘されていることもあり、企業としては決して避けては通れない課題となっています。「ESGの重要性向上に係るリスク」が顕在化した場合、消費者離れ、地域社会との関係悪化や投資の対象から外れるなどの事態が生じ、グループ全体が衰退するという非常に大きな影響が想定されます。
一方で、従来型CSRの範疇に留まらず「CSV(共通価値の創造)」の発想へ転換し、事業活動を通じた社会課題の解決ができれば、売上の拡大や集客力の向上に加え顧客および投資家に対するレピュテーションの向上につながり、当社グループの持続的成長が可能となります。
「先義後利」「諸悪莫作、衆善奉行」を社是として常に広く社会への貢献を通じてグループの発展を目指す当社グループでは、ESGの取組みについて、2018年度にステークホルダーの意見も取り入れたうえで、「低炭素社会への貢献」「サプライチェーン全体のマネジメント」「地域社会との共生」「ダイバーシティの推進」「ワーク・ライフ・バランスの実現」という5つのマテリアリティ(重要課題)を決定しました。それぞれについて2050年の目標を設定し、その達成を目指し、CSVの考えのもと事業活動を通じて社会課題の解決を図っています。なかでも「低炭素社会への貢献」は最重要課題と位置づけ、新しく建替える大丸心斎橋店本館をモデル店舗に再生可能エネルギーへの切替えによるCO2削減をスタートさせるとともに、環境、社会に優しい活動を通じてお客様および地球への負担を低減する取組みを強化しています。環境、社会双方に係る「サプライチェーン全体のマネジメント」については「お取引先様行動原則」を定め、今後当社グループと取引のある多数のお取引先様とともに、環境や人権などに配慮した調達を進めていく予定です。「地域社会との共生」については、小売店舗を核にエリア全体の魅力化に取組み、地域とともに成長するビジネスモデルを創るという当社グループ独自の取組みを推進しています。「ダイバーシティの推進」「ワーク・ライフ・バランスの実現」は、小売事業を中核とする当社グループにとって生産性向上のために重要な課題であると認識しており、なかでも女性活躍推進については具体的な数値目標を定めて取組んでいます。また、シニア、障がい者の活用も積極的に行っています。「ワーク・ライフ・バランスの実現」については、在宅勤務制度の導入や男性の育児休職有給休暇取得の推進などにより、働きやすい環境づくりに努めています。これらの取組みを支えるコーポレートガバナンスについては、指名委員会等設置会社へ機関変更するとともに、複数の社外取締役を選任して経営監督機能を強化し、透明性の高い経営を進めています。これらESGの取組みについては、「ESG説明会」などを通じて社外に対し積極的に情報を開示しています。
④災害などに係るリスク
異常気象や自然災害をはじめ「災害などに係るリスク」は年々高まり、中期的にも継続するとともに規模の拡大が見込まれます。台風、地震などの自然災害、火災・停電などの事故が発生し、インフラの休止により事業活動が停止した場合や施設の改修に多額の費用が発生した場合、消費マインドが落ち込んだ場合など、当社グループの業績および財務状況への非常に大きな影響が想定されます。加えて、システム障害が発生した場合、売上の逸失や重要データの消失につながる可能性があります。
当社グループでは拡大する災害に備え、取締役会、経営会議において過去の経験も踏まえながらソフト・ハード両面から対応策の優先順位について論議・共有をしたうえで、行動レベルまで落とし込まれたBCP計画を再構築しました。それをもとに、対策本部の設置、訓練の強化、災害備蓄品の整備を進めるとともに、積極的な設備更新を行っています。また、決済を中心とする重要なデータを処理する関西のデータセンターのバックアップセンターを関東に設け、想定外の災害が起こった場合であっても被災地区以外の店舗の営業に差支えがないように備えています。これら事前の対策により災害による被害の最小化、当社グループの業績および財務状況への影響の低減に努めています。さらに、早期に事業を復旧することにより、社会的インフラとしての役割を果たす取組みを進めています。
⑤消費税増税、五輪後の不況発生に係るリスク
間近に迫った消費増税、五輪後の反動などにより、増税後すぐのタイミングから数年に渡り複合的な消費不況が起こる可能性は高く、増税前の駆け込み需要の取り込みや、五輪後の消費の落ち込みへの対応策などを構築できなければ、当社グループの業績及び財務状況への大きな影響が想定されます。
一方で、消費増税に左右されない外国人富裕層への対応を強化するとともに、教育の無償化や住宅ローン減税の延長、プレミアム商品券の発行など消費増税後の手厚い政策を踏まえ対応策を講じることで、新たな消費を生み出すことが可能となります。
当社グループでは、富裕層に向けた高額品の新規催事を開催するなど百貨店を中心に消費増税前の駆け込み需要を取り込むための施策を講じております。また、増税後についても増税の影響を受けにくい最寄品の強化などに加え、外国人富裕層については、旅行者のみならず商圏拡大という発想で固定客化に向けた取組みを推進しています。
⑥顧客の変化、特に少子高齢化・長寿命化に係るリスク
すでに顕在化している「顧客の変化、特に少子高齢化、長寿命化に係るリスク」は、数年後にボリュームの大きい団塊世代が75歳に突入することから、より深刻になると見込まれます。この大きな変化への対応は不可欠であり、かつ競合との競争激化が必至であることから、対応が後手に回れば当社グループの業績及び財務状況への大きな影響が想定されます。
一方で、近い将来に到来する「人生100年時代」は、従来は一直線であったライフステージを複数の人生の節目や転機を伴うマルチステージへと変化させます。それに伴い暮らし方の新たなマーケットが生まれるため、こうした変化に対応していくことができれば、当社グループの新たな成長機会が拡大します。
当社グループでは、少子高齢化や家族構成など家族のあり方の変化に伴う暮らし方や楽しみ方の多様化に対応するため、グループの顧客データを統合したデータベースの活用により新たな商品・サービスを生み出し、生涯価値の最大化を図ります。その第一弾として2018年度、子育て世代の不安・不満を解消し教育の充実と長時間保育を両立させる保育園を設立し、2019年度より運営を開始しています。
⑦所得の二極化に係るリスク
すでに顕在化している「所得の二極化に係るリスク」は、各種統計から判断すると今後もさらに進展が見込まれ、当社グループの既存事業を支えてきた従来の中間層の減少は避けられません。これにより中間価格帯の商材の落ち込みがさらに深まり、当社グループの業績及び財務状況への非常に大きな影響が想定されます。
一方で、当社グループが得意としている富裕層マーケットは拡大しており、フローリッチと言われる従来の富裕層とは異なるライフスタイルや嗜好を持つ富裕層、アジア圏からの外国人富裕層が増加しています。これら新たな富裕層へのニーズに的確に応えることができれば、新しい成長の機会が拡大します。
当社グループでは、富裕層の多様化する興味・関心に対応する資産価値のある商品・サービスを開発しています。また、富裕層のニーズに合わせて、従来の人的対応にICTを活用した支援システムを組み合わせお得意様営業活動を高度化しています。顧客アプローチについてもWEBマガジン、自社サイト、リアル店舗を融合させた新たな対応を行っております。一方で、外国人富裕層については、アプリを活用して固定客化を促進しています。当社グループの中核事業である小売事業の中間層マーケット衰退への対策として、消費性向にかげりが見られる婦人服ボリュームゾーンなど従来型のカテゴリーを圧縮し、消費性向に勢いがあるウェルネス、ビューティ、フーズ、サービスなど新たな消費ニーズを捉えたカテゴリーに主軸を移すことで、再成長へとつなげる取組みを進めています。
⑧減損に係るリスク
当社グループは、事業活動上、店舗用土地・建物を始めとする事業用固定資産を保有または賃借しています。新会計基準IFRS16号の適用を機に、資産の賃借についても保有資産と同様に使用権資産として財政状態計算書に計上が必要となり、2019年度以降、「減損に係るリスク」が顕在化した場合、減損規模が大きくなる可能性が高まります。したがって、当社グループが保有および賃借する資産が経済、競合などの外部環境変化や既存店舗モデルの陳腐化などによる収益性の低下、地価の下落などに直面した場合、減損を認識しなければならず、当社グループの財務状況への非常に大きな影響が想定されます。
当社グループでは、事前の対策として、グループへの影響が高いと思われる一定金額以上の投資案件について投資計画検討委員会において損益計画の妥当性、投資回収の実現性を審査しています。スタンダードプランに加え案件特有のリスクを反映したプランについても検証し、投資判断に誤りが生じないよう努めています。また、不測の事態を招かぬよう、事後の対策として、再生計画検討委員会において減損の有無について判断し早期に対策を講じることで、財務状況への影響を最小化しています。加えて、減損リスクを意識することで、資産収益性を高める取組みを加速させ、キャッシュフロー創出力および企業価値の向上を促進していきます。
⑨資金調達に係るリスク
世界的な景気減速懸念から金融市場は大きく変動する傾向があり、中期的に「資金調達に係るリスク」が顕在化する可能性は高まると考えられます。当社グループは、出店、改装、M&Aなどに関する資金を金融機関からの借入および、社債、コマーシャル・ペーパーの発行などにより金融市場から調達しており、金融機関による貸付枠や信用供与枠などの条件変更、当社グループの信用格付の大幅な引下げ、投資家の投資意欲の減退が生じた場合、適時に適切な条件で必要な資金を調達できず、当社グループの財務状況への非常に大きな影響が想定されます。
当社グループでは、事業活動に必要となる資金は、自ら創出した資金でまかなうことを基本方針としております。その上で、事業投資などで必要資金が生じる場合には、財務の健全性維持を勘案し、主として社債の発行及び金融機関からの借入などにより資金調達を行っております。資金調達については、事業年度毎に資金調達方針を定め、資金調達手段を多様化することや、金融機関からの借入などの間接金融と社債の発行などの直接金融、並びに短期調達と長期調達の適正なポートフォリオの構築に取り組んでおります。また、急激な金融市場の変動に備えるため、金融機関、格付機関、債券投資家と日常的に意思疎通を密にすることにより、調達環境が不透明な状況にあっても適切に調達できる環境を整えています。加えて、ESGを重視した経営を行うことで、効率的・効果的な資金調達を行う環境を整えています。さらに、コミットメントラインの設定によって不測の事態への備えも実施しています。
⑩金利の変動に係るリスク
景気の減速、金融緩和政策などにより長期間、低金利が継続しているものの、中期的には「金利の変動に係るリスク」が顕在化する可能性はやや高まると想定されます。当社グループは、金融債権や有利子負債を保有しており、金利の大幅な変動は、調達手段、支払利息額や受取利息額、金融資産・負債の評価を変容させ、業績および財務状況にも影響が想定されます。
当社グループは、自己資本に加え金融市場の動向を把握した上で戦略的な資金調達を行っております。具体的には、適切な金利水準による資金調達を実施するために、市場動向の把握、損益の視点を加えた調達手段の選択など、調達・運用の両面でポートフォリオを的確に行うことにより、支払利息の削減や受取利息の増加、金融資産の適正化につなげています。また、低金利での安定的な資金を戦略的に確保することで、複数の事業における新たな投資やM&Aを促進し、グループ全体の業績の向上につなげています。
⑪株式相場の変動に係るリスク
EUの政情不安や米中貿易摩擦などにより景気減速の兆候が見られ、中期的に「株式相場の変動に係るリスク」はやや高まると想定されます。株式相場が下落すると、当社グループの中核事業である百貨店顧客の名目的な資産減少から消費マインドの低下を招き、業績および財務状況への非常に大きな影響が想定されます。また、当社グループの株価が下落すると、新株発行により調達できる資金の減少につながります。さらに、当社グループは金融資産の一部として国内企業の株式などの有価証券を保有していることから、株価下落などの株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する持分や年金資産が少なからず減少する可能性があります。
当社グループでは、株価変動を支える対策として顧客とのつながりを強化するため、グループの顧客情報を統合した顧客基盤を構築し、顧客のニーズに柔軟に応えることで需要を喚起する対策を講じています。また、自己株式の取得により株価を適正水準に保つことや、資産全体や年金資産に占める株式の割合を適正に保つことにより、財務の安定化を図っています。国内企業の株式などの有価証券については、保有合理性のある株式以外を削減することにより、株式相場の変動による資産価値の変動を防いでいます。
⑫為替の変動に係るリスク
米国の金融政策の変更、EUの政情不安などファンダメンタルズに変化が見られるものの為替相場は安定傾向にありますが、中期的には「為替の変動に係るリスク」はやや高まると想定されます。当社グループの中核事業である小売事業に占めるインバウンド売上のシェアは年々上がっており、過度に円高が進行した場合、中国をはじめとする一般訪日外国人の来店客数及び購入金額が減少し、当社グループの業績に大きな影響を与えます。一方、当社グループは一部の商品や原材料を海外から調達しており、長期にわたり円安が継続した場合には、商品、原材料の仕入れ価格や店頭の商品価格に少なからず影響を受けます。
当社グループでは、インバウンドについては受け身の対応ではなく商圏拡大という発想で外国人富裕層の固定客化を進め、円高によるインバウンドの落ち込みを防いでいます。また、一部の商品や原材料の調達については実需に基づく為替予約取引の活用や、海外の商品調達先を分散するなどの対策を講じ、リスクの低減に努めています。
⑬情報管理に係るリスク
SNSの進展などの背景もあり、すでに顕在化している「情報管理に係るリスク」は今後もさらに高まっていくことが想定されます。当社グループは多数のお客様からお預かりしている個人情報および営業機密を有しており、他企業から機密情報を受け取ることもあります。これらの情報が不正または過失により外部に流出した場合、当社グループの信頼性や企業イメージが著しく低下するとともに、損害賠償など対応のための多額の費用負担が発生し、当社グループの業績および財務状況への大きな影響が想定されます。
当社グループでは、不正または過失による個人情報や営業機密の流出などが生じないよう、基本方針・基本規程・ガイドラインなどからなる「情報セキュリティポリシー」を整備したうえで、全従業員に対して教育を実施し、個人情報保護を厳格に行っています。また、業務監査を通じて継続的なモニタリングも行っています。知的財産については法務部門による管理を徹底し、リスクの低減に努めています。
⑭法規制及び法改正に係るリスク
小売事業を中核として複数の事業を展開する当社グループは、様々な法規制の適用を受けています。マルチサービスリテイラー戦略に基づき事業領域を拡大していることから対応すべき法規制も増える傾向にあり、すでに顕在化している「法規制および法改正に係るリスク」は、今後もさらに高まっていくことが想定されます。法規制や法改正への対応には新たな対応コストが発生することに加え、事業活動が制限を受ける場合、ビジネスの転換や縮小を招き、当社グループの業績および財務状況への大きな影響が想定されます。
当社グループでは、第一に担当部署が中心となり、適宜外部の専門家を活用しながら法務部門がサポートすることで法を遵守しています。あわせて、法務部門から法改正に関する動向を経営層へ発信・周知することにより、法改正への対応を推進・強化しています。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 当期の経営成績
当連結会計年度の日本経済は、国内企業収益の堅調な動きを背景に設備投資の増加や雇用情勢の改善などにより緩やかな回復基調で推移しましたものの、年度後半は海外経済の不確実性の高まりから景気減速懸念が強まり、企業収益の改善に足踏みが見られるなど安定感を欠く状況となりました。個人消費については、雇用・所得環境の改善が続くとともに、高額品消費が堅調に推移するなど明るい材料が見られましたものの、社会保障費負担の増加に伴う先行き不安や天候不順、大規模な自然災害による影響も加わり一進一退の状況となりました。
このような状況の中、当社グループは「2017~2021年度 中期経営計画」の2年目の取り組みとして、グループビジョン “くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。” の実現を目指し、事業ポートフォリオの変革に向け、①事業領域の拡大を目指す「マルチサービスリテイラー戦略」、②店舗を核に、地域とともに成長を目指す「アーバンドミナント戦略」、③あらゆるものがネットにつながる「IoT時代に向けたICT戦略」、④百貨店・パルコをはじめとする既存事業の革新、⑤ESG視点によるCSRの再構築、⑥成長を支える経営基盤強化に取り組みました。
①「マルチサービスリテイラー戦略」では、事業領域の拡大への取り組みとして、高質な幼児保育サービスを提供する認可外保育園の開園準備を進めたほか、経営効率の高い重点3事業(クレジット金融事業、人材派遣事業、建装事業)においては、新たな経営体制のもと中期経営計画達成に向けた新プランを策定するとともに、攻めと守りの両面から戦略を着実に推進するための人材・組織基盤強化に取り組みました。
②「アーバンドミナント戦略」では、各エリア戦略に基づく基幹店舗の周辺開発に加え、地域と連携したイベントの実施など街の魅力度向上に努めるとともに、当社グループが持つ都市部の好立地の強みを活かし不動産賃貸事業の拡大をはかりました。あわせてGINZA SIX(ギンザ シックス)、上野フロンティアタワーに続く大型再開発計画の成功に向け、2019年秋に開業予定の大丸心斎橋店新本館、新生渋谷パルコの再開発を着実に推進しました。
③「IoT時代に向けたICT戦略」では、お客様との生涯にわたる関係を強固なものとし、新たな商品やサービスの提供を通じて、お客様のライフタイム・バリューの最大化を目指す「ライフタイム・サービスハブ構想」の確立に向け、グループ各社の顧客データをグループ共通資産として統合的に活用していくための顧客データベースの構築に着手いたしました。あわせて、セキュリティ強化を主軸としたグループ各社のITインフラ整備に継続して取り組むなど、攻めと守りの両面からICT戦略を推進しました。
④中核事業である百貨店事業・パルコ事業の革新に向けた取り組みでは、百貨店事業における新編集売場の開発に加え、インバウンド需要や富裕層マーケットに対応する商品・サービスの拡充など収益力向上に取り組むとともに、新たな百貨店ビジネスモデルの具現化に向け大丸心斎橋店新本館の開発を推進しました。また、パルコ事業ではコト消費・サービスなど時代変化に対応した新たなテナントの導入や、スマートフォン・アプリ「POCKET PARCO」を起点としたお客様とのコミュニケーション向上をはかるとともに、新生渋谷パルコ、錦糸町パルコなどの開発案件に継続して取り組みました。
⑤持続可能な社会の実現に向けたESGの取り組み(「環境(Environment)、社会(Society)、ガバナンス(Governance)」)では、当社グループとして企業活動における最上位概念と位置づけ、ESGの全体方針となる「サステナビリティ方針」の策定とともに、「低炭素社会への貢献」をはじめとする「持続可能な社会の実現」に向け5つの重要課題を特定し、中長期の目標達成に向けた行動計画の立案など全社的な取り組みをスタートさせました。
⑥経営基盤の強化に向けた取り組みでは、財務政策においては、資本効率の高い経営体質の構築に向け、百貨店基幹店舗における店舗B/Sによる経営管理に継続して取り組むとともに、新たに各事業会社の資本適正化の計画を推進しました。また、フリーキャッシュ・フローの増大をはかるため、投資・撤退基準にもとづく事業運営による投資効率の向上と収益改善に努めました。加えて、適正な資産評価による効率経営の実践を目指し、国際会計基準(IFRS)にもとづく新リース会計基準への対応を進めました。
経営効率向上を目指すグループ業務システム革新においては、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の適用拡大による営業・後方部門の業務自動化を推進したほか、情報セキュリティの強化、生産性向上に向けたビジネスツールの導入などオフィス環境のインフラ整備に取り組みました。
グループ組織人事改革においては、非連続な成長の実現に向け人事政策の基軸を新たな価値を生み出す“人財力”に転換し、その推進をグループとして一層強化するため、5月に人財戦略統括部を新設いたしました。加えて、中期経営計画の目標達成に向け、新たな事業領域をリードできる専門人材の獲得をはじめ、一人ひとりの能力、適性、意志・意欲に応じたグループレベルでの最適配置、発明体質への転換にむけた組織風土の醸成などに継続して取り組みました。コンプライアンス・マネジメントの取り組みにおいては、法令違反事案等の再発防止に向けマニュアルの整備や研修の実施などコンプライアンス体制の強化とともに、定期的かつリアルタイムな活動報告にもとづく改善策の実行など運用面の強化、徹底に努めました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、当期の連結業績は、売上収益については百貨店事業、不動産事業、クレジット金融事業が増収となりましたものの、前年の連結子会社売却による減収影響のほか、卸売事業、建装事業の不振もあり、2.1%減の4,598億40百万円となりました。営業利益については、不動産事業が増益となりましたものの、百貨店事業におけるPOSレジ更新費用をはじめとする販売費及び一般管理費の増加や、パルコ事業における地方店舗の営業終了決定に伴う損失計上のほか、前年の固定資産売却益や連結子会社の株式売却益計上による反動減も加わったことから、17.5%減の408億91百万円と減収減益となり、税引前利益は12.7%減の421億26百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は4.0%減の273億58百万円となりました。また、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は6.8%(対前年0.7pt減)、親会社所有者帰属持分比率は40.1%(同1.4pt増)となりました。
なお期末配当金につきましては、1株あたり18円とさせていただきました。この結果、中間配当金17円と合わせた年間配当金は1株につき35円となり、前期に実施いたしました記念配当(中間・期末各1円)を除いた普通配当では8年連続の増配となりました。
セグメント業績
<百貨店事業>
店舗戦略の基軸を集客力の強化、顧客基盤の拡大と位置づけ、店舗の提供価値向上と収益力向上に取り組みました。集客力の強化への取り組みでは、大丸札幌店・婦人服フロアにおいて、「コスメ」「フーズ」「グッズ」からなる新編集売場として「KiKiYOCOCHO(キキヨコチョ)」をオープンさせました。また、「アーバンドミナント戦略」のもと、重点エリアを中心とする店舗周辺の開発とあわせ、地域や行政などと連携したイベントの開催など各店舗が立地するエリアの魅力度向上、賑わいの創出に取り組みました。
顧客基盤拡大の取り組みでは、ID顧客の拡大に向け、大丸東京店にモバイルアプリを先行導入するとともに、顧客との関係強化をはかる新顧客戦略の基盤づくりを進めました。また、拡大する富裕層マーケットに対応するため新規口座開拓に継続して取り組むとともに、新たな外商ビジネスモデルの構築に向け、ICTを活用した業務支援システムの整備・構築を推進いたしました。また、訪日外国人客の増加に着実に対応するため、基幹店舗における化粧品売場の拡大やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用した情報配信による集客力の強化、モバイル決済対応売場の拡大に取り組みました。
なお、大丸山科店については昨今の経済環境の変化と競合激化が進む中、業績の改善を見通すことは困難であるとの判断から、2019年3月31日をもって営業を終了いたしました。
以上のような諸施策に取り組みましたものの、店舗所在エリアにおいて度重なる自然災害等の発生により営業時間の短縮や臨時休業を余儀なくされたほか、衣料品販売の苦戦などもありましたことから、売上収益は0.4%増の2,754億41百万円の微増収にとどまりました。営業利益につきましては、前年の固定資産売却益の反動減に加え、大丸心斎橋店再開発に伴う減価償却費のほか、POSレジの更新、空調・昇降機など店舗設備に関する安全安心投資に加え、将来の成長に向けた先行投資に伴う販売費及び一般管理費の増加により、9.2%減の241億94百万円となりました。
<パルコ事業>
パルコのストアブランド強化に向け、店舗事業において食品や飲食、ヘルス&ビューティ、コト消費関連など成長分野の強化に向けた改装に加え、新たなショップやブランドの発掘と育成を目的としたスペース「UP NEXT(アップ・ネクスト)」の導入を推進いたしました。お客様とのさらなる関係性強化では、スマートフォン・アプリ「POCKET PARCO」の機能拡充などによるCRM戦略を推進いたしました。また、新たな商業施設モデルの具現化に向け、原宿ゼロゲート・三宮ゼロゲートを開業させるとともに、錦糸町パルコ、新生渋谷パルコ、サンエー浦添西海岸 PARCO CITY、大丸心斎橋店北館出店などの開発案件に継続して取り組みました。
なお、店舗を取り巻く商業環境の変化などを勘案した結果、宇都宮パルコについては2019年5月31日をもって、また熊本パルコについては、建物の老朽化と商業環境の変化などを勘案した結果、建物賃貸借契約の満了にあわせ2020年2月29日をもって営業を終了することを決定いたしました。
以上のような諸施策に取り組みましたものの、専門店事業において不採算店舗の閉鎖を進めたことや、衣料品販売、地方・郊外店の苦戦などもあり、売上収益は1.8%減の899億69百万円となりました。営業利益につきましては、売上収益減に伴う売上総利益の減少に加え、上記2店舗の営業終了決定に伴う損失などを計上しましたことから、53.7%減の54億45百万円となりました。
<不動産事業>
上野、名古屋、京都、心斎橋、神戸など重点エリアを中心に、賃貸床面積拡大を通じた不動産賃貸事業の強化に取り組みました。大型再開発案件として2017年度に開業したGINZA SIX(ギンザ シックス)や上野フロンティアタワーが順調に推移し、年度を通じて業績向上に寄与したほか、大丸京都店・大丸神戸店の周辺開発に取り組みました。また、名古屋栄エリアの魅力化に貢献すべく日本生命栄町ビル(仮称)の商業開発に加え、錦三丁目25番街区の開発に名古屋市と共同で推進していくことを決定するなど資産の有効活用、事業拡大への取り組みを着実に推進しました。
以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は26.6%増の169億95百万円、営業利益は前年の固定資産売却益計上による反動減がありましたものの、12.9%増の46億64百万円となりました。
<クレジット金融事業>
カード会員の新規獲得を積極的に進めるとともに、カード利用率、取扱高の向上に取り組みました。これらの結果、加盟店手数料収入、割賦販売利息収入等が増加し、売上収益は3.9%増の105億73百万円となりました。しかしながら、営業利益については発行済みカードの更新費用や支払い手数料増加に加え、決済・金融サービスを機軸とする中長期の成長実現に向けた体制強化、専門人材の採用などの先行投資による経費が増加しましたことから、13.9%減の23億60百万円となりました。
<その他>
人材派遣事業のディンプルは、グループ外企業の受託契約増加に伴う売上及び売上総利益の増加により増収増益となり、建装事業のJ.フロント建装は、前年の大型物件計上の反動減による影響などから減収となりましたものの、利益管理の徹底により増益となりました。しかしながら、卸売事業の大丸興業は主力の電子デバイス部門の苦戦により大幅な減収減益となりましたことから、その他の売上収益は11.5%減の1,042億50百万円、営業利益は26.1%減の35億7百万円となりました。
②財政状態
当連結会計年度末の資産合計は1兆295億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ72億25百万円増加いたしました。一方、負債合計は5,610億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ103億73百万円減少いたしました。なお、有利子負債残高は1,743億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ98億24百万円減少いたしました。
資本合計は、4,684億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ175億98百万円増加いたしました。
③キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ132億24百万円減の256億59百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は348億70百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、棚卸資産や営業債権及びその他の債権の増加などにより222億9百万円の収入減となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は268億36百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、有形固定資産の取得による支出の増加などにより78億6百万円の支出増となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は212億74百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、長期借入金の返済による支出の減少などにより97億74百万円の支出減となりました。
④生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
その他 |
722 |
96.3 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
その他 |
36,285 |
104.2 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記以外のセグメントについては該当事項はありません。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
内訳 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
百貨店事業 |
大丸松坂屋百貨店 |
246,178 |
100.8 |
|
博多大丸 |
19,743 |
99.0 |
|
|
下関大丸 |
4,680 |
94.9 |
|
|
高知大丸 |
4,838 |
92.5 |
|
|
計 |
275,441 |
100.4 |
|
|
パルコ事業 |
ショッピングセンター事業 |
50,315 |
99.6 |
|
専門店事業 |
19,754 |
93.1 |
|
|
総合空間事業 |
14,158 |
99.0 |
|
|
その他事業 |
5,741 |
102.4 |
|
|
計 |
89,969 |
98.2 |
|
|
不動産事業 |
不動産賃貸業・テナント業 |
16,995 |
126.6 |
|
クレジット金融事業 |
クレジットカードの発行及び運営等 |
10,573 |
103.9 |
|
その他 |
卸売業 |
33,077 |
82.8 |
|
建装工事請負・家具製造販売業 |
28,178 |
90.6 |
|
|
人材派遣業 |
22,741 |
101.4 |
|
|
その他 |
20,251 |
83.0 |
|
|
計 |
104,250 |
88.5 |
|
|
調整額 |
△37,389 |
- |
|
|
合計 |
459,840 |
97.9 |
|
(注)1 セグメント間の取引については、「調整額」欄で調整しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績等
a)売上収益
売上収益は、百貨店事業、不動産事業、クレジット金融事業が増収となりましたものの、前年の連結子会社売却による減収影響のほか、卸売事業、建装事業の不振もあり、前連結会計年度に比べ100億75百万円減の4,598億40百万円となりました。
b)営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ86億55百万円減の408億91百万円となりました。
c)税引前利益
税引前利益は、前連結会計年度に比べ61億45百万円減の421億26百万円となりました。
d)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ11億28百万円減の273億58百万円となりました。
e)キャッシュ・フロー
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持並びに健全な財政状況を目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保に努めております。
また、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資、投融資資金は、主に手許資金と営業活動によるキャッシュ・フローに加え、社債の発行及び金融機関からの借入などにより調達しております。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は348億70百万円の収入となりました。一方、「投資活動によるキャッシュ・フロー」は268億36百万円の支出、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は212億74百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」は、前連結会計年度末に比べ132億24百万円減の256億59百万円となりました。
今後も、利益水準やキャッシュ・フローの動向等を考慮し、適切な利益配分や設備投資を行っていく予定であります。
f)財政状態
当連結会計年度の資産合計は1兆295億73百万円となり、大丸心斎橋店本館や渋谷パルコ再開発に係る建設仮勘定の増加などにより前連結会計年度末に比べ72億25百万円増加いたしました。一方、負債合計は5,610億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ103億73百万円減少いたしました。なお、有利子負債残高は1,743億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ98億24百万円減少いたしました。
資本合計は4,684億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ175億98百万円増加いたしました。
これらの結果、資産合計営業利益率(ROA)は、4.0%、親会社所有者帰属持分比率は、40.1%となりました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループは、事業活動に必要となる資金は、自ら創出した資金でまかなうことを基本方針としております。その上で、事業投資等で必要資金が生じる場合には、財務の健全性維持を勘案し、主として社債の発行及び金融機関からの借入などにより資金調達を行っております。
グループ子会社については、原則として金融機関からの資金調達を行わず、キャッシュマネジメントシステムを利用したグループ内ファイナンスにより、資金調達の一元化と資金効率化を推進しております。
また、適切な現預金残高を維持することに加え、一時的な資金不足に備え、主要取引銀行とのコミットメントライン契約及び当座借越契約、並びにコマーシャル・ペーパー発行枠を確保することにより、充分な流動性を確保しております。
なお、資金調達に係るリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
2)経営目標の達成状況
「2017~2021年度 中期経営計画」最終年度である2021年度において目標として掲げております経営数値目標の達成状況は以下のとおりです。
引き続き「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の成長戦略に取り組み、経営目標の達成に努めてまいります。
|
|
2017年度 |
2018年度 |
2021年度(目標) |
|
連結営業利益(百万円) |
49,546 |
40,891 |
56,000 |
|
連結営業利益率(%) |
10.5 |
8.9 |
10.0 |
|
連結ROE(%) |
7.5 |
6.8 |
8.0以上 |
|
|
2017~2018年度累計 |
2017~2021年度累計 |
|
連結営業キャッシュ・フロー(百万円) |
91,949 |
260,000以上 |
|
投資キャッシュ・フロー(百万円) |
△45,867 |
△200,000 |
|
フリー・キャッシュ・フロー(百万円) |
46,082 |
60,000以上 |
経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(表示組替)
日本基準では、営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失に表示していた項目を、IFRSでは金融収益又は金融費用、その他の営業収益及びその他の営業収費用等に表示しております。
(売上収益の純額表示に関する事項)
当社グループにおいては、取引の当事者として提供される財又はサービス自体の付加価値を高める機能を有し、取引に係る重要なリスクを負担している取引以外の取引について、日本基準では、売上高を計上し関連する売上原価を総額で認識しておりますが、IFRSでは、対象となる取引が他社の代理人であると判断されるため、売上収益を純額で認識しております。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、売上収益が665,313百万円減少しております。
<連結子会社>
賃貸借に関する契約
|
会社名 |
事業所名 |
賃借先 |
賃借物件 |
面積 |
賃料 |
|
㈱大丸松坂屋百貨店 |
大丸 大阪・梅田店 |
大阪ターミナルビル㈱ |
建物 |
95,101㎡ |
(1)定額賃借料 年額 6,186百万円 (2)歩合賃借料 売上高85,000百万円を超過した額の1.5% |
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大丸 東京店 |
㈱鉄道会館 |
建物 |
64,657㎡ |
(1)定額賃借料 年額 5,330百万円 (2)歩合賃借料 直前3事業年度の年間最高売上高を超過した額の1% |
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㈱博多大丸 |
本館 |
㈱西日本新聞会館 紙与不動産㈱ |
建物 |
31,258㎡ |
年額 1,206百万円 |
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東館 (エルガーラ) |
㈱西日本新聞社 ㈱西日本エルガーラビル ㈱西日本新聞会館 |
建物 |
15,155㎡ |
年額 1,041百万円 |
特記すべき事項はありません。