第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

記載された事項で、将来に関するものは、有価証券報告書提出日現在(2023年5月26日)、入手可能な情報に基づく当社の経営判断や予測によるものです。

 

(1) 経営方針

当社グループは持株会社体制の下、大丸、松坂屋、パルコの店舗ネットワークや顧客基盤などの経営資源を最適かつ有効活用するとともに、時代の変化に的確に対応し、顧客満足の最大化と効率経営の徹底を通じ、百貨店事業、SC事業をはじめ既存事業各社の競争力と収益力の向上をはかってまいります。

加えて、より成長性のある分野に資源配分を行っていくなど、競争力と収益力に優れた事業群でバランス良く構成されるポートフォリオへの見直しを進め、“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”というグループビジョンの実現に挑戦してまいります。

 

(2) 経営目標

2021年4月13日に、当社グループは「2021~2023年度 中期経営計画」を策定いたしました。

1.経営数値目標

本中期経営計画より、資本収益性を管理する指標として新たにROIC(投下資本利益率)を採用いたします。

2023年度に連結営業利益385億円、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)7%、ROIC4.6%、また、サステナビリティの目標として、温室効果ガス排出量40%削減、女性管理職比率26%達成を目指してまいります。

 

2.財務政策

3年間で1,900億円以上の営業キャッシュ・フロー(使用権資産に係る減価償却費を含む)を創出し、うち600億円を成長投資と設備投資に充当いたします。投資は2023年度までに利益貢献する案件及び「デベロッパー戦略」に優先的に充当いたします。

有利子負債残高(除くリース負債)は2023年度末に2,250億円に圧縮いたします。

連結配当性向30%以上を目途に株主還元を実施し、自己株式取得も適宜検討してまいります。

 

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

サステナビリティ経営を基軸とする中期経営計画(2021-2023年度)をスタートさせ、2年が経過しました。

2022年度は、度重なる感染症拡大や行動制限等による影響が縮小に向かうなか、“攻めの経営”への転換を図り、重点戦略に基づく集中投資、経営構造改革などを推進しました。これらの結果、主に年度中盤以降、売上収益は着実に回復基調を辿り、また有利子負債の削減などにより財務体質は改善しました。

事業を取り巻く環境は、社会・経済活動の正常化が進む一方、地政学リスクの顕在化や世界的なインフレの進行、供給制約の長期化による景気後退懸念の高まりなど不確実性が一層増しています。「コロナ禍による消費行動の変化」「既存の事業モデルの衰退」に加え、これらのリスクに対し、「短期」「中長期」の両面から対応する必要があると認識しています。

 

中期経営計画の最終年度となる2023年度は、回復基調にある国内消費やインバウンド需要を着実に捉え、「早期の収益力回復」を図るため、各事業において重点戦略・施策の推進にスピードを上げて取り組みます。また、不確実性の高い事業環境を踏まえ、経営構造改革における固定費削減では、当初計画に対しさらなる効果創出を図るとともに、変動費など経費管理を徹底してまいります。

 

2023年度の業績目標について、当初想定以上に水光熱費等の高騰が見込まれること、国内消費やインバウンド需要の動向を見極める必要があることから、期初時点では営業利益目標を慎重に設定しました。今後の事業環境変化を踏まえ、各戦略・施策を着実に推進することにより、経営目標の達成を目指してまいります。

 

また、コロナ禍による消費行動の変化が加速するなか、事業ポートフォリオ変革の重要性が一層高まっています。こうしたなか、サステナビリティ経営を基軸に、2030年を見据えたグループ将来像を定め、既存事業のビジネスモデル変革、非商業分野での事業成長や新規事業の創出など「再成長への道筋」を明確にいたします。また、これらの中長期戦略に基づき、2024年度から始動する次期中期経営計画の策定に取り組んでまいります。

 

(1)「早期の収益力回復」に向けた重点戦略、経営構造改革の加速推進

1)リアル×デジタル戦略

基幹店舗への集中投資による店舗の魅力化、デジタルを活用したオンラインビジネスの強化に取り組みます。

また、グループ顧客データベースの統合活用に向け、名古屋・心斎橋など重点エリアにおける相互送客の促進などグループ顧客基盤の拡大に取り組みます。

①店舗の魅力化

・各地域での競争優位性の確立に向け、百貨店事業では顧客支持の高い重点カテゴリーのさらなる強化を図るほか、独自の催事・イベントを強化します。また、美や健康、環境を切り口とした新規コンテンツの開発を進める一方、実用性商材を扱う売場を効率化するなどマーケット変化への対応を加速します。

・渋谷や池袋、名古屋、心斎橋PARCOなど基幹店舗への集中投資に加え、来店価値向上に向け、新しさや楽しさを体験できる売場開発やプロモーションの展開、国内外への情報発信強化に取り組みます。また、地域密着型の新たな商業施設を開業します。

②オンラインビジネスの強化

・百貨店WEBや化粧品メディアコマースの商品・ブランドの拡充などに加え、ファッションサブスクリプション事業でのメンズラインのサービス開始、オンラインを活用した地域産品の販路拡大などCSV視点の事業活動を強化します。

・SC事業では、従来のオンラインストアを刷新し、ショップや販売メニューの充実、越境ECへの対応など顧客やショップの利便性向上、付加価値の高いサービス提供に取り組みます。

 

2)プライムライフ戦略

富裕層マーケットへの対応強化に向け、顧客基盤の拡大、新たなコンテンツの開発、店頭・外商・WEBなど多様な顧客接点を通じた顧客政策の進化を図ります。

①顧客基盤の拡大

・百貨店事業では、他社提携やオンライン入会、お得意様向け専用サイトの会員登録の促進による顧客基盤の拡大とともに、アプリを活用した訪日外国人の顧客固定化に取り組みます。

②新たな商品・サービスの開発

・百貨店事業では、主力カテゴリーのさらなる強化に加え、希少性の高いコンテンツの開発やロイヤルティを高めるサービスの構築、また決済・金融事業では業務提携等を通じた顧客のライフステージに応じた金融サービスの開発・提供を他社との連携により推進します。

③顧客政策の進化

・お得意様向け専用サイトやオンライン接客などデジタルを活用した営業活動の強化、またデータ分析・活用範囲の拡大によるCRMの進化を図ります。

 

3)デベロッパー戦略

重点エリアでの大型開発プロジェクトの推進に加え、保有不動産の有効活用、事業基盤の強化を図ります。

また、本年3月から始動した新たな事業推進体制のもと、グループ全体最適、保有資産の高度利用の観点から、当社が事業基盤を有する7都市の重点エリア(※)を中心とする長期の開発計画を策定、推進します。

※札幌、東京、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡

①重点エリアにおける大型開発プロジェクトの推進

・名古屋栄地区、大阪心斎橋地区の大型開発プロジェクトに加え、福岡天神地区における「(仮称)天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト」を、地域や他社との連携により推進します。

②保有不動産の有効活用

・保有不動産の特性に応じたレジデンス物件の開発、竣工による収益貢献を図ります。

③事業基盤の強化

・資産の入替え、アセットマネジメントビジネスの受託体制整備など事業基盤の強化に取り組みます。

 

4)経営構造改革

固定費削減において当初計画に対し、さらなる効果創出に取り組みます。加えて、想定以上に水光熱費等の高騰が続くなか、変動費の管理徹底を図ります。

①固定費削減

・この間推進してきた組織・要員構造改革、グループ共同購買や賃借物件の見直し等の効果とあわせ、業務委託領域の見直し、後方業務の効率化など経費構造改革のさらなる見直しを図ります。

②経営効率、資産効率の向上

・2024年度以降の「再成長」を見据え、将来性や成長性、投下資本に対する収益性に基づく事業基盤の絞り込みによる経営効率の向上、非事業用資産の見極めによる資産効率の向上を図ります。

 

(2)2030年を見据えたグループ将来像、「再成長」への道筋の明確化

コロナ禍を契機に、日常生活においてデジタル活用が進む一方で、地域や人との繋がり、場所や空間、感動の共有などリアルならではの体験価値が再認識され、また社会・環境課題への意識の高まりなど、消費行動の変化が加速しています。

お客様のくらし方や楽しみ方が多様化するなか、2030年を展望し「持続可能な社会とくらしのあたらしい幸せの実現」に向けたグループ将来像を定め、事業を通じた社会課題の解決、従来の事業領域や商品・サービスにとらわれない新たな価値創造に取り組んでまいります。

また、これらの具現化に向け、当社が有する店舗資産、顧客や地域、お取引先様との繋がり、事業ノウハウなどの経営資源を最大限活用し、既存事業のビジネスモデル変革、非商業分野での事業成長や新規事業の創出など「再成長」に向けた中長期の経営戦略、次期中期経営計画の策定に取り組んでまいります。

 

<「再成長」に向けた経営課題、方向性>

1)既存事業のビジネスモデル変革

百貨店・SC事業のビジネスモデル変革に向け、重点エリアでの顧客交流、海外顧客や次世代顧客への対応強化による顧客基盤の拡大、環境・社会価値の創出に向けた新規ビジネスの開発に取り組みます。

 

2)非商業分野での事業成長

デベロッパー事業では、多様な都市生活提案と魅力的な街づくりへの貢献を目指し、重点エリアにおける長期の開発計画、また建築内装事業の拡大、資産の入替えやアセットマネジメントによる収益の多元化など長期戦略を立案、推進します。

決済・金融事業では、グループ決済基盤の確立に向けた計画策定、顧客データを活用した付加価値の高いサービスの開発など金融ビジネスの成長戦略を再構築します。

 

3)新規事業の創出

eスポーツ、サブスクリプション事業など今後成長が期待される事業の育成や参入、また、リアル店舗と仮想空間を掛け合わせ、お客様に新しい体験を提供するなど、デジタル技術を活用した新規事業の創出に取り組みます。

また、これら戦略の実効性を高めるため、地域や他社との提携、事業買収、CVCファンドとの事業共創など社内外の多様な知見を活用します。

 

(3)中長期の成長実現に向けた経営基盤の強化

2030年を見据えたグループ将来像、事業ポートフォリオ変革の実効性を高める経営基盤強化に取り組んでまいります。特に、当社が目指すサステナビリティ経営の実現に向け、多様性を積極的に推進し、新たな価値を生み出す“人財”への重点投資を通じて、人と組織の持続的成長を図る「人的資本経営」を推進いたします。

 

1)グループ人財戦略

高度専門人財の採用強化や能力開発、次世代を担う人財育成、女性活躍の推進に加え、一人ひとりの意思意欲や潜在能力を引き出す配置やリスキリング(新たなスキルの獲得)など人財投資の強化を図ります。

また、グループ将来像、事業ポートフォリオ変革を見据え、求められる人財や能力の可視化に基づく育成・採用、配置政策の立案、従業員エンゲージメントの向上など、経営戦略と連動した人財戦略の推進にスピードを上げて取り組みます。

 

2)グループ財務戦略

事業ポートフォリオ変革、各事業の収益性を伴った成長実現に向け、各事業との連携による投下資本利益率(ROIC)向上への計画策定、社内浸透などグループ経営管理の高度化に取り組みます。また、資本市場等の動向等をふまえ、営業キャッシュ・フローの創出、戦略投資資金の確保、有利子負債のコントロールなど財務体質の強化を図ります。

 

3)グループシステム戦略

経営管理の高度化、業務の効率化を目指すグループ共通会計システムについて、次期中期経営計画での本格稼働を見据え、各社への導入を進めます。また、グループ全体最適及び情報セキュリティや事業継続への対応強化の観点から、新ネットワークの構築、投資計画・プロセスの一元管理など、グループITガバナンスを強化推進します。

 

4)コーポレートガバナンスの強化

中長期的な成長実現・企業価値の向上を目指し、事業ポートフォリオ変革に向けた経営の意思決定、執行の迅速化を図るとともに、取締役会による監督機能の強化などガバナンスの高度化に取り組みます。

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2023年5月26日)において当社グループが判断したものであります。

 

(1)リスクマネジメントの考え方と体制

・リスクマネジメント

当社グループは、リスクを「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しています。そして、リスクマネジメントを「リスクを全社的な視点で合理的かつ最適な方法で管理することにより企業価値を高める活動」と位置づけ、リスクのプラス面・マイナス面に適切に対応することにより、企業の持続的な成長につなげています。

 

・リスクマネジメント体制

当社は、代表執行役社長の諮問機関として、代表執行役社長を委員長、執行役などをメンバーとするリスクマネジメント委員会を設置しており、リスクの抽出及び評価、戦略に反映させるリスクの決定など重要事項を審議し、リスクマネジメントを経営の意思決定に活用しています。なお、同委員会での審議内容については、適時に取締役会に報告します。

同委員会には、リスク管理担当役員を長とする事務局を置き、委員会で決定した重要な決定事項を事業子会社に共有し、ERM(全社的リスクマネジメント)を推進しています。また、リスクを戦略の起点と位置づけ、リスクと戦略を連動させることにより、リスクマネジメントを企業価値向上につなげるよう努めています。

なお、効果的なリスクマネジメントを行うため、次のとおり3ラインを構築しています。

・第1ライン(事業子会社などの業務執行部門):自らリスクの特定及び必要な対策を行う。

・第2ライン(持株会社の各部門):業務執行部門から独立した立場でリスクマネジメントの支

 援・指導・モニタリングを行う。

・第3ライン(内部監査部門):業務執行部門及び持株会社の各部門などから独立した立場でリ

 スク管理機能及び内部統制システムの有効性について監査を行う。

 

リスクマネジメント体制図

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(2)リスクマネジメントプロセス

当社グループでは、下記のプロセスにより、リスクマネジメントを推進しています。具体的には、外部・内部環境分析や、取締役、経営層および実務責任者の認識をもとに当社グループにとって重要度の高いリスクの抜け漏れが生じないように努めています。

中期的に当社のグループ経営において極めて重要度が高いものは、「企業リスク」と位置づけ「グループ中期経営計画」の起点としています。

また、「企業リスク」を受けて識別した年度リスクを「JFRグループリスク一覧」にまとめ、「リスクマップ」を用いて評価を行い、優先度をつけて対応策を実行しています。「企業リスク」「JFRグループリスク一覧」は、半年に一度の頻度で、リスクを取り巻く環境変化と対応策の進捗についてモニタリングを行い、リスクマネジメント委員会で論議後、その内容を取締役会に報告しています。

 

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下図は当社グループが、中長期にわたりJFRグループの成長・存続を左右する最重要のリスクと位置づけている「企業リスク」です。

その中でも「1.サステナビリティ経営の高度化」「2.既存の事業モデルの衰退」「3.加速度を増すデジタル化への対応」「4.ポストコロナにおける消費行動の変化」は、当社のグループ経営に及ぼす影響が極めて大きいため、中期経営計画において最優先で対応すべきリスクと位置づけています。

 

影響が極めて大きく、最優先で対応しているリスク

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上記リスク以外の「企業リスク」

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(3)直近の環境変化とリスク認識

当社グループの経営にとって未曾有の打撃をもたらしてきた新型コロナウイルス感染症の影響は、政府がコロナ対策と経済正常化の両立に舵を切ったことに伴い、徐々に小さくなっています。2023年度に入り、感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられ、外国人渡航者に対する水際対策も撤廃されるなど、コロナ禍による経済社会活動への制約は段階的に解消され、景気が感染状況に左右されないアフターコロナ期に着実に移行しています。

その一方で、国際社会は世界的な物価高に直面しており、米欧を中心に政策金利の引き上げが行われてきました。その効果もあり、物価上昇は鈍化しましたが、他方で複数の金融機関が経営危機に陥るなど、金利引き上げの悪影響も顕在化しつつあります。また、ウクライナ情勢や米中対立の激化など地政学リスクも高まっており、当面不安定かつ不透明な情勢が継続していくと認識しております。

一方、我が国に目を転じますと、景気の本格回復に向け金融緩和を継続しており、これが一因となり昨年度は急激な円安が進展しました。この円安は物価高に拍車をかけ、消費者心理を確実に冷やしました。足許、円安自体は終息する方向にありますが、物価は引続き高止まっており、この傾向が続く場合には、個人消費が想定通りに回復しない可能性があります。

さらに、諸外国が景気後退に陥り、株価をはじめとする資産価格が暴落する場合には、我が国もその影響を受け、より一層の消費停滞につながっていくなど、当社グループの業績にも大きな影響を与える可能性があります。

このように、本年度も先行き不透明、かつ極めて厳しい経営環境の中で事業活動を強いられる ことになります。

この3年間にわたる新型コロナウイルス感染症の影響は、消費者の価値観や消費行動、小売業に求めるものなどの変化を加速させてきました。人々の価値観、生活スタイルや消費行動、さらには都市のあり方も大きく変わってきており、当社グループも新しい事業モデルへの進化が不可避な状況です。

その対応策として、中期経営計画(2021‐2023年度)に基づき、コロナ危機からの「完全復活」と2024年度以降の「再成長」に向けた重点戦略(リアル×デジタル戦略、プライムライフ戦略、デベロッパー戦略)と経営構造改革の推進、中長期の成長を支える経営基盤強化を進めてきました。さらに「早期の収益力回復」に向けた重点戦略と、経営構造改革を加速させるとともに、事業ポートフォリオの変革に向け、グループ将来像を定め、既存事業のビジネスモデル変革、非商業分野での事業成長や新規事業の創出など「再成長への道筋」の明確化、中長期の成長実現に向けた経営基盤の強化に取り組んでまいります。

また、コロナ禍によって、持続可能な社会への意識が高まっており、多くの企業も改めて自社の存在意義を再定義しようとしています。幸いにも、当社グループは、300年、400年前から続いている、「先義後利」「諸悪莫作、衆善奉行」という、サステナビリティ経営につながる社是を有しており、今後も持続的な成長に向けて着実に歩みを進めてまいります。

上記の環境変化を踏まえて更新した「企業リスク」は、有価証券報告書提出日現在において、皆様の投資等の判断に影響を与える可能性があるリスクと認識しており、当社グループのリスク定義(企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある)に則し、リスク認識および対応策を次頁以降に記載いたします。

 

 

サステナビリティ経営の高度化

影響度

非常に大

将来の見通し(*)

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当社の

リスク認識

地球温暖化や海洋汚染など地球環境問題の深刻化、生物多様性の喪失、サプライチェーン上の人権問題など、企業を取り巻く環境への不確実性が高まる中、サステナビリティ経営への要請は、当社にとって重要性が高く、最上位に位置づけるリスクです。ステークホルダーの期待は、当社が持続可能な社会の実現に企業としていかに貢献するかであり、その期待に応える取り組みなしには当社自体の持続的な成長も望めないと考えています。

マイナス面

 

プラス面

・ステークホルダーの離反、格付・ブランド力の低下

 

・持続的な成長、当社グループのプレゼンス向上

対応策

 

当社グループが掲げるサステナビリティ経営は、事業を通じて社会課題解決と企業の利益を両立する、CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)を実践することです。

当社グループでは、ステークホルダーの「Well-Being Life(心身ともに豊かなくらし)」の実現に向けて7つのマテリアリティ(※重要課題)を特定し、対応を図っています。

 

※「脱炭素社会の実現」「サーキュラー・エコノミーの推進」「サプライチェーン全体のマネジメント」「お客様の健康・安全・安心なくらしの実現」 「地域社会との共生」「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」 「ワーク・ライフ・インテグレーションの実現」

 

環境問題や人権問題などについては企業の基本姿勢としてそれらの解決に向けて積極的に取り組む必要があります。

一方でこういった問題の解決も含め、上記マテリアリティの中にビジネスチャンスを見出すことで、社会的価値と経済的価値の両方を同時に生み出すことも可能です。当社グループは、事業を通じて出会う多くの顧客、地域社会、お取引先様など重要なステークホルダーと連携し、社会課題を解決し付加価値を生み出す潜在的ニーズを発掘することで、CSVを実践しています。

サーキュラー・エコノミー(循環型経済)の伸長を見通して、ファッションサブスクリプション事業(定額制のファッションレンタルサービス)を拡大しました。また、地域社会との共生の一環として、地域コミュニティやパートナーと協働した地域開発、地産地消の推進等を通じた賑わいのある街づくり、地域の魅力向上に取り組みました。

今後もグループ将来像を見据えた新たな価値創造に取り組み、ステークホルダーのWell-Being Lifeを実現していきます。

 

(*)中期経営計画期間内のリスク変化を、当社グループへの影響度や対応策等を考慮して見通したもの。

 

 

既存の事業モデルの衰退

影響度

非常に大

将来の見通し

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当社の

リスク認識

当社グループの各事業は、対面型のビジネスモデルが中心です。対面ビジネスは新型コロナウイルス感染症で大きな制約を受けましたが、この間に生じたお客様、お取引先様などの変化は、既存の事業モデルを取り巻く環境に非常に大きな影響を及ぼしました。この影響を回避するためには、事業モデルの変革と、主力事業へ過度に依存しない事業ポートフォリオへの転換が不可欠です。

マイナス面

 

プラス面

・大型店舗型小売業の業績低迷によるグループ全体の活力の低下

 

・大型店舗型小売業の事業モデルの抜本的な変革による再成長

対応策

 

既存事業モデルを取り巻く環境変化に対し、当社グループでは以下の方向で取り組みを進めています。

一つ目は顧客接点のデジタル化です。アプリ会員の拡大によりカード顧客に限定しない顧客づくりを行い、お客様一人ひとりに最適化された情報を提供します。場所・時間の制約のないデジタルにおいて顧客と販売員がつながり店舗と同様の付加価値サービスを提供することにより、従来の対面型ビジネスの弱みの克服に取り組んでいます。また、デジタルでの接点を通じて得られる行動データを分析することにより、マーケティングの精度向上につなげています。さらに、好きな時に買い物がしたいという顧客ニーズに応えるため、オンラインストアをリニューアルするなど、UX(体験価値)向上、OMO(リアル店舗とオンラインの融合)を強化しています。

二つ目は、店舗の役割の見直しです。都市の店舗において、物を販売する以外にリアルな体験や新たな物との出会い、人とのつながりなど様々な価値を提供することが可能です。当期はアミューズメント要素の導入や、オリジナルの動員催事を開催し多くのお客様に来店いただくことができました。好立地な場所の強みを活かして様々な情報を発信するメディア機能、価値の高いモノ・コトを紹介するギャラリー機能、エンタテインメント機能、ソリューション機能なども継続して強化しており、店舗の魅力化と収益の多元化の実現に努めています。

三つ目は、百貨店・SC事業に依存しない事業ポートフォリオへの転換に向け、デベロッパー事業や決済・金融事業の強化、新規事業開発を進めていきます。新設のCVC「JFR MIRAI CREATORS FUND」やM&Aを活用した他社提携、協働による事業開発に取組みます。

これらの変革をスピーディに推進することで、当社事業の完全復活、再成長への道筋を確かなものとしていきます。

 

 

 

 

加速度を増すデジタル化への対応

影響度

非常に大

将来の見通し

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当社の

リスク認識

EC化の進展などデジタルシフトによる消費行動の変化は、従来のリアル店舗に依存したビジネスからの変革や新たな事業領域でのビジネスモデル構築の必要性を高めました。

デジタル化への対応方法やスピードと、それを支える人財の育成は、当社グループ全体の成長を左右する重要なものであり、また同時に業務の生産性向上においても極めて重要なものであると考えています。

マイナス面

 

 

プラス面

 

・グループ全体の成長の停滞

・デジタル化の遅延による競争力の低下

 

・デジタルの活用によるビジネスモデルの変革

・業務の効率化、ペーパーレス化

対応策

 

デジタル化への対応策として、マーケティングの高度化に向けた統合データベースの活用や、テクノロジー活用による新ビジネスモデル構築を推進しました。さらにメタバース・WEB3.0関連企業への出資やパルコでのNFTでの取り組み等も積極的に進めており、今後はグループの既存事業の対応と新規事業の創出、両方につなげていきたいと考えています。

業務の生産性向上の視点としては、事務所移転を行い、リモート会議に適したブースの設置、インターネット接続環境の改善などにより、リモートワーク勤務においてもコミュニケーションの質と量を向上させるためのオフィス環境の整備を行いました。

デジタル人財育成の観点では、JFRグループデジタル戦略で掲げている、カスタマーデータドリブン経営の実践による3つの戦略への寄与を目的として、その実現を支えるために必要となる「データ活用」と「ビジネスデザイン」の強化のため、「データアナリスト」「デジタルデザイナー」の育成を始めています。

 

(*1)メタバース:「メタ(超)」「ユニバース(宇宙)」の造語。仮想空間やそこでコミュニケーションを行えるサービスプロダクト全般

WEB3.0:主にブロックチェーン技術によって実現されようとしている、新しい分散型のウェブ世界

NFT:Non-Fungible-Token(ノン・ファンジャブル・トークン)。唯一無二性をブロックチェーン技術を利用して証明する技術

 

 

 

 

 

ポストコロナにおける消費行動の変化

影響度

非常に大

将来の見通し

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当社の

リスク認識

 

2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に変更されることになり、経済社会活動への制約が解消に向い、景気への影響は徐々に小さくなっていくと考えます。コロナ禍を契機として、「自分がどうありたいか」を重視する価値観への変化や社会的価値に重きを置いた消費行動が進み、生活者のサステナビリティ志向が拡大し、シェアリングエコノミー市場も広がりを見せています。

多岐に渡るモノ・サービスを扱う事業を展開する当社グループでは、ポストコロナの消費の行方に目配りをし、どう適応していくのかを見極めて事業を展開していくことが重要です。

消費行動・ニーズの変容に適応できないなど、リスクが顕在化し、業績が急速に悪化することで、固定資産の減損や、繰延税金資産の減額が必要となる場合には、経営成績や財政状態等に更に悪影響を及ぼす会計・税務上のリスクも存在しています。

 

マイナス面

 

プラス面

・消費者ニーズとのアンマッチによる顧客離反

 

・新規マーケットの創造

対応策

 

当社グループでは、「自分がどうありたいか」を重視する価値観の台頭に対応するビジネスを検討しています。一例として、化粧品OMOショッピングサイト「DEPACO」がECとメディア機能が融合した「メディアコマース」としてリニューアルオープンしました。メディアでお客様は有益な情報を得ながら、同じサイト内を回遊して便利にお買い物ができる構造になっています。お客様の購買体験の魅力化や利便性向上に資するOMOについては今後も進めていきます。また、ラグジュアリー、時計、アートなど、商品そのものが持つ価値やその背景が豊かな生活につながるような商品はお客様に支持され、順調に売上を拡大しています。

社会的価値に貢献することに重きを置いた消費行動に応えるものとしては、サステナブルをキーワードとした商品・サービスの開発に力を入れています。サーキュラーエコノミーの取り組みとして、ファッションサブスクリプションのアナザーアドレスはメンズラインを2023年3月よりスタートし、さらに促進していきます。また、地域社会への貢献として地域のステークホルダーとの共創、中小企業との連携による地域魅力発信なども推進しています。

会計・税務上のリスクである固定資産の減損は、将来キャッシュ・フローの見積りについて、また繰延税金資産の回収可能性の評価は、将来課税所得の見積りについて、事業計画を基礎としており、適正な計画を維持すべく適時に見直しを行っています。

 

 

 

■戦略リスク

 

 

 

 

都市の分散化(都市と地方のリバランス)

影響度:大

将来の見通し

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リスク認識

・当社グループが保有する不動産は全国に点在しているため、それぞれの立地の特性や動向は、事業を展開していく上で常に注視すべき重要なリスクと捉えています。

・多くの都市がインフラ更新の時期を迎えており、また、将来の人口減を見据え、魅力的な街づくりを模索している中、その都市の特徴を捉え、都市開発に貢献していくことができれば、地域の発展とJFRグループ収益の拡大という両面を実現できると考えています。

対応策

・2022年10月にデベロッパー事業の組織再編として、デベロッパー新会社「J.フロント都市開発株式会社」をJFR直下に設置することを発表、2023年3月から稼働を開始しました。

・また、グループ各社が保有する不動産の戦略的活用を迅速かつ円滑に進めるため、2023年3月よりJFRに「CRE戦略統括部」を新設し、経営戦略統括部の配下にあった「CRE企画部」の機能を移管しました。

・上記組織再編を通じ、従来以上にグループの全体最適、かつ中長期の視点から機動的かつ迅速な意思決定を可能とし、地域との共生や魅力的な街づくりを推進しています。

 

 

 

 

加速する所得の二極化

影響度:大

将来の見通し

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リスク認識

・ロシアのウクライナ侵攻に起因する物価高は、中間層に打撃を与えています。消費行動はシビアになっており、需要の取込が一層難しくなっています。

・一方で、富裕層は世界的に増加しており、日本においても増加しています。その中には、若年層やパワーカップルも含まれており、高い購買力を有しております。

・お客様一人ひとりのニーズを捉え、いかに対応できるかが重要な課題となっています。

対応策

・マスマーケットの商品・サービスは、適正規模に見直し、細分化を図っています。

・一方で、拡大する富裕層マーケットにおいては、ラグジュアリー、アート、時計など需要の高いカテゴリーを強化し、富裕層のニーズに対応しています。

・戦略的に改装投資を行い、対象商品を充実させるとともに、現代アートにおける当社プレゼンスを高め、ギャラリーとの協業による希少性の高い商品の提供も実施しています。

 

 

 

 

顧客の変化、特に少子高齢化・長寿命化

影響度:大

将来の見通し

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リスク認識

・コロナ禍で婚姻数も低下し、2022年度は出生者数が統計史上最低を更新しました。

・岸田政権では、抜本的な少子化対策を検討していますが、その成果が表れ消費の担い手となるまでには相応の期間が必要となります。

・当面は、人口減が継続し、高齢化が進展する社会を前提に、当社グループの戦略を検討していく必要があると認識しています。

対応策

・少子化、所得の二極化と呼応して子ども市場も二極化している中、当社グループは、上質な子供服・用品市場や教育事業へ重点的に対応しています。英語教育を特徴とする保育事業に参入しているのもその一環です。

・一方、「ライフシフト(人生100年時代への移行)」が進み、経済力があり生活を楽しむシニア層が増加しています。シニア層の外商顧客に対して、係員が寄り添いオンラインでの商品紹介・販売を通じて利便性を高めています。

 

■戦略リスク

 

 

 

 

外国人マーケットの不透明さ

影響度:大

将来の見通し

0102010_012.png

 

 

リスク認識

・2023年度に入り、外国人渡航者に対する水際対策が撤廃されました。今後は、中国人渡航者の増加や諸外国との定期便の増加が予想され、近い将来インバウンド消費はコロナ前の水準まで回復する見込みです。

・更に、日本政府は、2030年の訪日外国人旅行者数6,000万人、同消費額15兆円を目標としており、中長期的にインバウンド消費は拡大していくと予想しています。

対応策

・大丸心斎橋店では、インバウンド顧客専用のVIPラウンジを設置し対応を強化しました。

・また、「越境EC」において、日本の優れたビューティーケア商品の紹介・販売を通じた新たなインバウンドでの売れ筋商品の育成・発掘に取組んでいます。

・また、現状の物販だけにとどまらず、旅行サロンを運営しているラグジュアリーツアーの提供など、新たなコンテンツを開発、提供出来るよう検討しています。

 

 

 

 

業際を超えた再編、M&Aの加速

影響度:大

将来の見通し

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リスク認識

・上場企業における事業の選択と集中の必要性の高まり、非上場企業における経営者の高齢化に伴う事業承継ニーズの増加、継続する金融緩和による良好な資金調達環境等を背景に、M&Aニーズは高まっており、今後M&Aは一段と増加すると考えています。

・ステークホルダーの価値観が大きく変わっていく中、M&Aは、確実に必要性・重要性が高まっており、攻めと守りの両方の観点から、注力すべき領域と認識しています。

対応策

・攻めの観点では、JFRグループのCVCを設立し、スタートアップ企業との資本・業務提携によるR&D強化を実践しています。

・また、eスポーツチーム「SCARZ」を運営する「株式会社XENOZ」を買収し子会社化することにより、今後成長が期待されるeスポーツ事業に本格的に参入するとともに、パルコや百貨店など既存事業とのシナジー創出、新たな価値創造に取り組んでいます。

・守りの観点では、グループ事業の選別と経営資源配分の最適化を進め、成長性や資本効率性を高めることにより、企業価値を向上させていきます。

 

 

 

 

ニューノーマル時代の働き方、人財・組織改革の進展

14

影響度:大

将来の見通し

0102010_014.png

 

 

リスク認識

・労働力人口の減少、雇用の流動化進展を背景に、専門人財をはじめとする獲得競争が激化する中、企業成長を支える、人財の獲得と人財の質向上は、企業の主要な課題です。

・企業には人財を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出す投資を続けることにより企業価値を向上させていくことが求められます。人財が十分に力を発揮できる組織の構築も重要であり、人財・組織改革の進展は今後の企業経営に深く関わるリスクです。

対応策

・当社の人財価値基準である「人財力主義」に基づき人的資本を可視化し、戦略遂行に必要な人財ビジョン実現に向けた効果的な人財投資をすることを通じて、グループビジョンの実現を後押しし、従業員を含むステークホルダーのWell-being Lifeの実現に努めます。

・人財確保・育成に向けて、高度専門人財の採用強化や公募を活用したグループ人財交流を進めていますが、今後はリスキリングを含む人財育成・教育の強化に重点的に資源投下を行っていきます。

 

■ハザードリスク

 

 

 

 

頻発する自然災害・疫病

10

影響度:非常に大

将来の見通し

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リスク認識

・南海トラフ地震や首都直下地震など巨大地震の発生リスクは高まっています。また巨大台風や集中豪雨など異常気象による自然災害についても、発生頻度、被害規模ともに増大しています。

・新型コロナウイルス感染症については、感染状況の収束、社会活動の正常化が見通されるものの、新たな変異株の感染再拡大や新たな疫病の発生など類似のパンデミック(世界的な大流行)の可能性があります。

・このようなリスクが顕在化し、人的被害、事業活動の停止、サプライチェーンの分断、施設改修に係る費用の発生など事業運営に重大な支障が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

・事業継続を脅かす自然災害等のリスクに対し、事業継続計画に基づき重要業務(資金、支払業務等)、重要インフラ(システム等)確保の観点から業務継続体制を整備し、定期的な訓練の実施等により体制を強化していきます。

・新型コロナウイルス感染症の対応分析をふまえ、今後新たな感染症が発生した際にも、人命の安全確保や事業への影響の極小化、平時における体制整備に関する事項などを定めた「新型感染症対応マニュアル」に基づき対応していきます。また、感染症の動向を注視し、流行の予兆が見られる場合には、複数のシナリオによる影響分析を行い能動的に対応していきます。

 

 

 

 

情報セキュリティの重要性向上

11

影響度:大

将来の見通し

0102010_016.png

 

 

リスク認識

・リモートワークの定着、クラウドやモバイル利用などの業務が拡大していく一方、サイバー攻撃や不正アクセスなどの手法の多様化、高度化が急速に進展しており、当社グループを取り巻くサイバーリスクは一層深刻化しています。また、当社グループは顧客情報や個人情報を多く保有しており、情報の保管、取り扱いについてより堅牢な仕組みの導入やシステムセキュリティ対策が必須となっています。

・当社グループにおいては、情報セキュリティについて重要性が増しており対応の優先度が高いリスクの一つと位置づけています。しかしながら、外部からの攻撃や人為的なミス、委託先の管理不備等により重要情報の外部流出やサービスの大規模停止などのリスクが顕在化した場合、被害の規模によっては当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

・当社グループ共通のシステムインフラの整備・高度化、情報システムの安全稼動及び堅牢性の高いセキュリティの構築を継続して推進していきます。サイバーインシデントは年々多様化・複雑化してきており、ハード・ソフト両面での一層の取り組みが必要であると考えています。

・セキュリティ型ネットワークの構築や新認証基盤(多要素認証)の拡大などグループ共通のシステムインフラの整備を推進していくとともに、新ソリューションや外部監視サービスを活用した監視体制の強化、脆弱性に関する管理対象範囲の拡大、対応品質の向上による情報漏洩等の未然防止などセキュリティ運用の高度化を推進していきます。また、グループセキュリティガイドラインの改訂、セキュリティインシデント対応体制の強化などリスクの最小化に向けた取り組みを推進していきます。同時に、IT担当者を対象としたインシデント対応訓練の実施、全従業員を対象とした情報セキュリティe-ラーニングや標的型攻撃メール訓練の継続的実施などにより、セキュリティ意識とリテラシーの向上を図っていきます。

 

■ファイナンスリスク

 

 

 

 

資金調達マネジメントの重要性の向上

12

影響度:大

将来の見通し

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リスク認識

・日本銀行総裁の交代により、今後の金融政策の変更、及び資金調達環境の変化を注視していく必要があります。

・新型コロナウイルス感染症の事業に対する影響は沈静化傾向にあるとみており、緊急に資金を調達する必要性は低下してきていますが、資金調達マネジメントは、グループ全体の成長を支える経営基盤構築のためにも引き続き影響度が大きなリスクです。

対応策

・当社は、従来から事業特性を勘案して、固定金利での長期調達比率を高くしており、金利上昇によって急激に支払利息が増加するなど、短期的に大きな影響を受けることのない仕組みを導入しております。

・一方で、今後は成長戦略の推進に伴う大型投資を想定しており、資金需要の面からも支払利息が増加していく可能性があるとみています。新規での資金調達局面においては、調達手段を適切に選択することにより、金融費用を極力抑制する施策に取り組んでいきます。

 

 

 

 

環境変化に対応できるコスト構造の必要性

13

影響度:非常に大

将来の見通し

0102010_018.png

 

 

リスク認識

・ウクライナ侵攻に端を発する原材料・物価高、世界経済の減速など当社グループの業績に打撃を与える環境変化が起こっていますが、今後も社会情勢の変化による企業影響の先行きは不透明です。

・このような状況下で、損益分岐点を引き下げ、環境変化に対応できる体制への変革は、事業基盤を強固にし、再成長に向かうため、対応への成否が問われる非常に重要なリスクです。

対応策

・コスト削減策として、働き方の見直しを伴う事務所再編、業務委託など経費構造改革や要員構成見直し、グループ横断で経費を管理する体制を強化などに取り組んできました。

・今後は、固定費を中心とした構造改革の推進に加えて、エネルギー価格の高騰などを踏まえて、変動費を中心とした管理可能経費の削減にも注力し、利益確保につながる経費対策を実施していきます。

 

 

JFRグループ「企業リスク」一覧

 

分類

番号

項目

影響度

将来の

見通し

(*)

マイナス面

プラス面

対応策

サステナビリティ

経営の高度化

非常に大

0102010_019.png

・ステークホルダーの離反、格付・ブランド力の低下

・持続的な成長、当社グループのプレゼンス向上

・社会的価値と経済的価値を両立するCSV実践

・マテリアリティへの対応

既存の事業モデルの衰退

非常に大

0102010_020.png

・大型店舗型小売業の業績低迷によるグループ全体の活力の低下

・大型店舗型小売業の事業モデルの抜本的な変革による再成長

・顧客接点のデジタル化

・店舗の役割の見直し

・事業ポートフォリオの転換に向けた既存事業強化、事業開発

加速度を増すデジタル化への対応

非常に大

0102010_021.png

・グループ全体の成長の停滞

・デジタル化の遅延による競争力の低下

・デジタル活用によるビジネスモデルの変革

・業務の効率化、ペーパーレス化

・統合データベース活用

・メタバースなど新たな市場でのビジネスモデルの構築

・デジタル人財の育成

ポストコロナにおける消費行動の変化

非常に大

0102010_022.png

・消費者ニーズとのアンマッチによる顧客離反

・新規マーケットの創造

・購買体験の魅力化や利便性向上に資するOMO促進

・サステナブルな商品・サービス開発

・事業計画の適正な適時見直しの実施

都市の分散化

(都市と地方のリバランス)

0102010_023.png

・都心立地の従来型商業施設の集客力低下

・都市のニーズ、街づくりへの貢献を通じた事業展開

・グループ不動産の戦略的活用を迅速かつ円滑に進めるため、組織を再編

・エリアとの共生、多様な都市生活提案と複合再開発による魅力的な街づくりの推進

加速する所得の二極化

0102010_024.png

・マスマーケットの縮小による売上減少

・新たな中間層需要の掘り起こし

・新富裕層マーケットの開拓

・マスマーケットの商品・サービスの適正規模への見直し、細分化

・ラグジュアリー、アート、時計など需要の高いカテゴリーの強化、希少性の高い商品の提供

顧客の変化、特に少子高齢化・長寿命化

0102010_025.png

・国内市場規模の縮小

・シニアマーケットの拡大

・上質な子供服用品、教育事業への重点対応

・シニア顧客の買い物の利便性向上やウェルネスなど関心の高いカテゴリーの強化

外国人マーケットの不透明さ

0102010_026.png

・インバウンド売上回復の遅延

・インバウンド売上の回復、拡大

・ECやライブコマースの展開による外需獲得

・インバウンド顧客専用ラウンジ設置

・越境ECによるインバウンドでの売れ筋商品の育成・発掘

・ラグジュアリーツアーの提供など、新たなコンテンツの開発、提供準備

業際を超えた再編、

M&Aの加速

0102010_027.png

・当社グループの敵対的買収

・事業ポートフォリオの組み換え

・M&A活用による新規事業への参入、既存ビジネスとのシナジー

・既存事業の選別、経営資源配分の最適化

・スタートアップ企業との資本・業務提携によるR&D強化

・eスポーツ事業に本格的に参入

14

ニューノーマル時代の働き方、人財・

組織改革の進展

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・優秀人財の流出、人財獲得競争での劣後

・従業員のモチベーション低下

・従業員のエンゲージメント、組織力の向上

・事業戦略の推進、イノベーションの創出

・「人財力主義」に基づく人財投資を通じた従業員のWell₋Being Life実現

・専門人財の採用環境整備、グループ人財交流、人財教育

 

 

分類

番号

項目

影響度

将来の

見通し

(*)

マイナス面

プラス面

対応策

10

頻発する自然災害・疫病

非常に大

0102010_029.png

・お客様・従業員の人命損傷

・事業継続の危機

・事業の安定運営

・実践的なBCP訓練の継続的な実施

・事業継続計画の定期的な見直しの実施

・新たな感染症への備えの強化

11

情報セキュリティの重要性向上

0102010_030.png

・個人情報の漏洩、訴訟・損害賠償の発生、社会的信用失墜

・業務の遅延・停滞

・業務やシステムの安定稼動

・業務の効率化、リモートワークの推進

・グループ共通のシステムインフラの整備、高度化の推進

・セキュリティ運用の高度化推進と対応体制の強化

・グループセキュリティガイドラインの見直しと訓練等を通じた従業員のセキュリティ意識、リテラシーの向上

ファイナンス

12

資金調達マネジメントの重要性の向上

0102010_031.png

・資金コストの高止まり

・資金コストの引下げ

・成長戦略推進のサポート

・固定金利での長期調達

・新規資金調達局面での適切な調達手段の選択

13

環境変化に対応できるコスト構造の必要性

非常に大

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・収益性の低下

・投資の抑制

・事業ポートフォリオの変革

・事業基盤の強化

・オフィス再編、要員構成の見直しなどによるコスト削減

・グループ横断での経費管理体制の強化

(*)中期経営計画期間内のリスク変化を、当社グループへの影響度や対応策等を考慮して見通したもの。

 

:影響が極めて大きく最優先で対応しているリスク

 

 

(4)TCFD提言に沿った情報開示

JFRグループが目指すサステナビリティ経営

当社グループは300年、400年という歴史の中で数々の危機に遭遇してきました。そうした状況に直面するたびに、「先義後利」「諸悪莫作、衆善奉行」という社是に立ち返り、お客様や社会の変化を機敏に捉えながら事業活動を愚直に実践してきたことが、今日の経営につながっています。社会との共存なくして企業の発展はありません。いま経営には、一層の長期視点により、社会に存在意義を放つ将来のあるべき企業像を描くことが不可欠となっています。環境や社会、人権などの課題から目を背けて企業活動を行うことができないのは明らかです。そのような課題の解決に向けたサステナビリティの概念を企業戦略や事業戦略に組み込むことにより、将来の成長に向けた持続可能な経営の枠組みを獲得できるものと考えています。

このような考えのもと、当社は、2021年度からスタートした中期経営計画において、社是を基軸にサステナビリティを経営の中核に据え、事業活動を通じた社会課題の解決に取り組むことを明確にしました。特定した7つのマテリアリティそれぞれについて、リスクと機会の両面を捉え、ビジネスチャンスを創出することで、社会価値と経済価値を両立するCSV(共通価値の創造)を実践するとともに、お客様、従業員、お取引先様などすべてのステークホルダーの「Well-Being Life」を実現していきます。(図1・表1)

 

図1 サステナビリティ経営の全体像

 

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表1 JFRグループが取り組む7つのマテリアリティ

マテリアリティ

2030年度目標

JFRグループの持続可能な社会の実現に向けた

コミットメント

脱炭素社会の実現

脱炭素社会をリードし次世代へつなぐ地球環境の創造

私たちは、かけがえのない地球環境を次世代に引き継ぐため、再生可能エネルギーの調達拡大や、省エネルギーの徹底等に全社一丸となって取り組み、脱炭素社会の実現に貢献します。

サーキュラー・

エコノミーの推進

サーキュラー・エコノミーの推進による未来に向けたサステナブルな地球環境と企業成長の実現

私たちは、お取引先様やお客様との協働により、新たな環境価値を生み出すための革新的なビジネスモデルを創造し、サーキュラー・エコノミーにおける競争優位性を獲得します。

サプライチェーン全体のマネジメント

 

お取引先様とともに創造するサステナブルなサプライチェーンの実現

私たちは、お取引先様とサステナビリティに対する考え方を共有し、共に社会的責任を果たすことを通じて、サプライチェーン全体で持続可能な未来の社会づくりに貢献します。

お取引先様とともに創造するサプライチェーン全体での脱炭素化の実現

私たちは、お取引先様とともに、環境に配慮した製品やサービスの調達等に取り組むと同時に、再生可能エネルギー化、省エネルギー化に取り組み、サプライチェーン全体での脱炭素社会の実現に貢献します。

お取引先様とともにサプライチェーンで働く人々の人権と健康を守るWell-Beingの実現

私たちは、お取引先様とともに、サプライチェーンで働く人々の人権が守られ、健康に働き続けることができる職場環境づくりを実現します。

地域社会との共生

地域の皆様とともに店舗を基点とした人々が集う豊かな未来に向けた街づくりの実現

私たちは、地域のコミュニティ、行政、NGO・NPOとともに、店舗を基点として、地域資産をいかした持続可能な街づくりに貢献します。また、地域の魅力を発掘・発信することで、街に集う人々にワクワクするあたらしい体験を提供します。

お客様の健康・安全・

安心なくらしの実現

未来に向けたお客様の心と身体を満たすWell-Beingなくらしの実現

私たちは、お客様の心身ともに健康なくらし、安心なくらしに寄り添う高質で心地よい商品やサービスを提供することにより、お客様それぞれの自分らしいWell-Beingと心豊かなワクワクする未来を提案します。

未来を見据え安全・安心でレジリエントな店づくりの実現

私たちは、防災や感染症リスク、BCP(事業継続)に対応し、店舗のレジリエンスを高めます。また、それと同時にデジタルを活用したオペレーションを構築することで、安全・安心に配慮した新しい顧客接点を創造し、社会の期待に応える店づくりを推進します。

ダイバーシティ&

インクルージョンの推進

すべての人々がより互いの多様性を認め個性を柔軟に発揮できるダイバーシティに富んだ社会の実現

私たちは、多様性と柔軟性をキーワードにステークホルダーすべての人がダイバーシティの本質である異なる個性や視点を大切にし、多様な能力を発揮できる企業をつくります。また、多様な個性や能力が相互に影響し、機能し合うこと(インクルージョン)により、イノベーションを生み出し、多様なお客様の期待に応え事業の成長を目指します。

ワーク・ライフ・インテグレーションの実現

多様性と柔軟性を実現する未来に向けた新しい働き方による従業員とその家族のWell-Beingの実現

私たちは、ニューノーマル時代の新しい働き方として、多様性と柔軟性をキーワードにした働き方を促進し、同時に心身の健康を保ちます。これにより、従業員と家族のWell-Beingを実現し、組織の生産性向上につなげます。

 

②「JFRグループ 2050年ネットゼロ」実現に向けた対応策

昨今、気候変動が極めて深刻なレベルまで進行し、将来世代はもちろんのこと、現世代の私たちを含め人類がその危機に晒されています。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2018年、「1.5℃特別報告書」において、

「1.5℃目標の達成には2050年までのネットゼロ※1 が必要である」との科学的指標を示し、また、SBT(Science Based Targets)イニシアチブ※2 が、2021年、科学的知見に基づいた「企業ネットゼロ基準」を公表しました。今や、遅くとも2050年までの1.5℃目標達成に向けたネットゼロの必要性は、企業にとって看過できない状況となっています。

以上の社会情勢を踏まえ、当社グループは、気候変動をサステナビリティ経営上の重要課題と位置づけており、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、対策に取り組んでいます。当社グループは、2019年に、Scope1・2・3温室効果ガス排出量削減目標において、SBTイニシアチブによる認定を取得しました。2021年には、2030年のScope1・2温室効果ガス排出量削減目標を、従来の40%から60%削減(基準年2017年度比)に引き上げ、SBTイニシアチブが定める「1.5℃目標」として認定を再取得しました。また、2023年2月には、Scope1・2・3温室効果ガス排出量について、2050年までの「ネットゼロ目標」の認定を取得しました。

当社グループは、マテリアリティ(表1)に掲げている「脱炭素社会の実現」と「サーキュラー・エコノミーの推進」の両輪で取り組み、バリューチェーン全体で2050年までのネットゼロを目指します。

具体的には、省エネの徹底や店舗の再生可能エネルギー切り替え拡大等によるScope1・2温室効果ガス排出量削減、お取引先様やお客様との協働によるScope3温室効果ガス排出量削減に取り組むとともに、3R強化やサーキュラー型ビジネスの拡大等の取り組みを推進していきます。

 

※1 温室効果ガスの排出量を徹底して削減し、残りの排出量について、森林吸収やCCS(CO2の回収・貯留)等による

   除去量を差し引いて実質ゼロにすること

※2 企業が最新の気候科学に沿った野心的な排出削減目標の設定を可能にすることを目的として、2014年、CDP、

   国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)の4団体が共同で設立

 

 

③TCFD提言が推奨する4つの開示項目に沿った情報開示

当社グループは、2019年、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の最終報告書(TCFD提言)に賛同しました。TCFD提言は、世界共通の比較可能な気候関連情報開示の枠組みであり、企業に対し、4つの項目「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」に沿って開示することを推奨しています。(表2)

当社グループは、TCFD提言を気候変動対応の適切さを検証するガイドラインとして活用するとともに、機関投資家等との積極的な対話を実施し、効果的な情報開示を行っていきます。

 

表2 TCFD提言が企業に求める4つの開示推奨項目

開示項目

具体的な開示内容

ガバナンス

(a)取締役会が気候関連課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、監視対象

(b)経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス、モニタリング方法

リスク管理

(a)気候関連リスクの特定・評価プロセスの詳細

(b)重要な気候関連リスクの管理プロセスの詳細

(c)全社リスク管理の仕組みへの統合状況

戦略

(a)短期・中期・長期のリスク・機会の詳細

(b)リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度

(c)関連するシナリオに基づくリスク・機会および財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス

指標と目標

(a)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標

(b)温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)

(c)気候関連リスク・機会の管理に用いる目標および実績

出典:気候関連財務情報開示タスクフォース「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(最終版)」(2017年)

 

<ガバナンス(環境課題に対するガバナンス)>

(a)取締役会が気候関連課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、監視対象

当社グループでは、サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、環境課題に関する具体的な取り組みについて、業務執行の最高意思決定機関であるグループ経営会議で協議・決議しています。また、年2回以上開催されるサステナビリティ委員会において、グループ経営会議で協議・決議された環境課題への対応方針等を共有し、当社グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行っています。

取締役会は、グループ経営会議およびサステナビリティ委員会で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループの環境課題への対応方針および実行計画等についての論議・監督を行っています。(図2)

なお、当社は、取締役候補者の選任にあたり、取締役に期待する専門性および経験等についてスキルマトリックスで明確にしており、その項目の一つに「環境」を掲げています。事業活動を通じた環境課題の解決に向けた中長期目標を含む環境計画に対し、具体的な行動計画や定期的なレビュー、継続的改善の取り組み状況を適切に監督できる取締役を選任することで、環境課題に対する取り組みの実効性を高めています。

 

(b)経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス、モニタリング方法

代表執行役社長は、グループ経営会議の長を担うと同時に、直轄の諮問委員会であるリスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会の委員長も担っており、環境課題に係る経営判断の最終責任を負っています。グループ経営会議およびサステナビリティ委員会で協議・決議された内容は、最終的に取締役会へ報告を行っています。(表3・表4)

 

図2 JFRグループ 環境マネジメント体制

 

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表3 JFRグループの環境マネジメントにおける会議体および実行主体と役割

会議体および実行主体

役割

会議体

取締役会

業務執行において論議・承認された環境課題に関する取り組みの進捗を監督する。毎月開催。

グループ経営会議

業務執行の最高意思決定機関として、全社的な経営に係る方針や施策について協議・決議する。リスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会で論議された環境課題を含む包括的なリスク・機会に対する全社的な経営方針等についても協議・決議を行い、決議した事項は取締役会へ報告される。毎週開催。

リスクマネジメント委員会

環境課題を含む包括的なリスク・機会の特定、評価および対応策等について協議を行うとともに、事業会社のリスク対応のモニタリングを実施する。委員会での協議内容は取締役会へ報告される。年3回開催。

サステナビリティ委員会

グループ経営会議で協議・決議された環境課題を含むサステナビリティに係るより詳細な課題への具体的な対応策を協議する。気候関連についてはリスク・機会を踏まえたグループ長期計画とKGI/KPIに基づく各事業会社の進捗状況のモニタリング等を実施する。また、気候関連に精通した有識者との対話も行う。協議内容は取締役会へ報告される。年2回以上開催。

実行主体

代表執行役社長

グループ経営会議の長を担うと同時に、リスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会の委員長を担う。気候関連のリスク・機会の特定・評価・対応、環境課題解決に向けたグループ全体の取り組み推進など、環境課題に係る経営判断の最終責任を負う。

事業会社

経営会議での決議事項、リスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会での協議内容を受け、各事業会社における環境課題への具体的施策を計画・実行するとともに、その進捗状況をJFRグループのリスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会へ報告する。

サステナビリティ推進部

サステナビリティ経営を推進するためのグループ方針等について立案・提案を行う。気候関連については、リスクおよび機会に関する情報を収集するとともに、中・長期的な取り組みの方向性等を立案し、グループ経営会議やサステナビリティ委員会へ報告する。

 

表4 サステナビリティ委員会における気候変動に関する主な議題

 

2021年度

4月

・Scope3温室効果ガス削減に向けたお取引先様との取り組み

・2021年度サステナビリティ実行計画

・2021年度お取引先様アセスメント(環境含む)実施概要

・サステナビリティ方針の改定

・グループ全体の2020年度KPI進捗状況

9月

・外部講師講演「ESG情報開示の重要性」

・お取引先様アセスメント(環境含む)実施

・グループ全体の2021年度上期KPI進捗状況

2022年度

4月

・外部講師講演「ESG・サステナビリティ経営」

・2022年度サステナビリティ実行計画

・2021年度お取引先様アセスメント(環境含む)結果

・グループ全体の2021年度KPI進捗状況

9月

・グループ全体の2022年度上期KPI進捗状況

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<リスク管理>

(a)気候関連リスクの特定・評価プロセスの詳細

当社グループは、リスクを戦略の起点と位置づけ、「企業経営の目標達成に影響を与える不確実性であり、プラスとマイナスの両面がある」と定義しており、企業が適切に対応することで、持続的な成長につながると考えています。

当社グループは、気候関連リスク・機会は、自社の事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、下記のプロセスを通じて気候関連リスク・機会を特定し、その重要性を評価しています。(図3)

はじめに、当社グループは、サプライチェーン・プロセスの活動項目である「商品調達」「輸送・配送」「店舗販売」「商品、サービスの利用」「廃棄」の活動項目ごとに、気候関連リスク・機会を網羅的に抽出します。次に、網羅的に抽出した気候関連リスク・機会の中から、当社にとって重要な気候関連リスク・機会を特定します。最後に、特定した気候関連リスク・機会について、「自社にとっての重要性(影響度×緊急度)」と、「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの評価基準に基づき評価しています。

 

(b)重要な気候関連リスクの管理プロセスの詳細

当社グループは、環境課題に係るリスクについて、サステナビリティ委員会の中でより詳細に検討を行い、各事業会社と共有化を図っています。各事業会社では、気候変動の取り組みを実行計画に落とし込み、各事業会社社長を長とする会議の中で論議しながら実行計画の進捗確認を行っています。その内容について、グループ経営会議やリスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。(表5)

 

 

(c)全社リスク管理の仕組みへの統合状況

当社グループは、リスクを全社的に管理する体制を構築することが重要であることを踏まえ、リスクマネジメント委員会を設置しています。リスクマネジメント委員会では、毎年実施する環境分析をもとに、リスクが顕在化する可能性の程度・時期や事業への影響の観点で、気候関連を含む包括的なリスク・機会を特定し、対応策を審議しています。また、中期的に当社グループ経営において極めて重要度が高いものは「企業リスク」として中期経営計画に反映し、対応しています。リスクマネジメント委員会での協議内容は、グループ経営会議に報告されるとともに、サステナビリティ委員会に共有されます。

なお、上記一連のプロセスにおけるリスクマネジメント委員会、サステナビリティ委員会での協議内容、グループ経営会議での決議事項については、それぞれ適時取締役会に報告しており、取締役会による監督体制の下、当社グループの戦略に反映し、対応しています。

(※全社リスク管理の仕組みは15-17ページ参照)

 

 

図3 JFRグループ リスク管理プロセス

表5 JFRグループ リスク管理体制

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リスク管理プロセス

担当する会議体および実行主体

リスクの識別・

評価・絞り込み

・取締役会

・グループ経営会議

・リスクマネジメント委員会

(経営に係るリスク全般が対象)

・サステナビリティ委員会

(環境課題に係るリスクが対象)

リスク対応

・事業会社

モニタリング・報告

・取締役会

・グループ経営会議

・リスクマネジメント委員会

(経営に係るリスク全般が対象)

・サステナビリティ委員会

(環境課題に係るリスクが対象)

 

 

<戦略>

(a)短期・中期・長期のリスク・機会の詳細

当社グループは、気候関連リスク・機会は、長期間にわたり自社の事業活動に影響を与える可能性があるため、適切なマイルストーンにおいて検討することが重要であると考えています。それを踏まえ、当社グループは、中期経営計画の実行期間である2023年度までを短期、SBTにおける目標達成年度である2030年度までを中期、SBTネットゼロ目標年度である2050年度までを長期と位置づけました。(表6)

当社グループは、気候関連リスク・機会に対し、ネットゼロを実現する2050年までを見据えたバックキャスティングにより、当社グループの戦略を策定し、対応しています。

 

表6 JFRグループにおける気候関連リスクと機会の検討期間の定義

気候関連リスク・機会の

検討期間

JFRグループの定義

短期

2023年度まで

中期経営計画の実行期間

中期

2030年度まで

SBTにおける目標達成年度までの期間

長期

2050年度まで

SBTネットゼロ目標年度までの期間

 

(b)リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度

当社グループは、気候変動が当社グループに与えるリスク・機会とそのインパクトの把握、および2030年度時点の世界を想定した当社グループの戦略のレジリエンスと、さらなる施策の必要性の検討を目的に、シナリオ分析を実施しています。

シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること」を想定した1.5℃/2℃未満シナリオ、および、新たな気候関連政策・規制は導入されない世界を想定した4℃シナリオの2つの世界を想定しています。(表7)

この2つのシナリオを踏まえ、当社グループは、サプライチェーン・プロセスの活動項目ごとに、TCFD提言に沿って、気候関連リスク・機会を抽出しました。その上で、気候変動がもたらす移行リスク(政策規制、技術、市場、評判)や物理リスク(急性、慢性)、また、気候変動への適切な対応による機会(資源効率、エネルギー源、製品およびサービス、市場、レジリエンス)を特定しました。(表8)

 

表7 参照した既存シナリオ

想定される世界

既存シナリオ

1.5℃/2℃未満シナリオ

「Net‐Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA、2022年)

「Representative Concentration Pathways (RCP2.6)」(IPCC、2014年)

4℃シナリオ

「Stated Policy Scenario(STEPS)」(IEA、2022年)

「Representative Concentration Pathways (RCP8.5)」(IPCC、2014年)

 

 

表8 JFRグループにおける気候関連リスク・機会の概要

気候関連

リスク・機会の

種類

発現時期

JFRグループの気候関連リスク・機会の概要

リスク

移行リスク

政策

規制

 

・炭素税等の導入に伴うコストの増加

・地政学的リスクに伴うエネルギー調達コストの増加

技術

・再エネ調達の分散化と創エネ(PPAなど)によるコストの増加

・環境性能の高い物件の開発と設備導入に係るコストの増加

・高効率省エネルギー機器導入に係る投資の増加

市場

 

・再エネ由来電力需要増による再エネ調達コストの増加

・環境配慮型商品の需要増等、マーケット変化への対応遅れによる成長機会の喪失

評判

 

・環境課題への対応遅れや、消費行動多様化への対応遅れによるレピュテーションの低下

・投資家からの環境情報開示要求への対応不備による資金調達への悪影響

・レピュテーション低下による人財採用および従業員エンゲージメントへの悪影響

物理リスク

急性

 

・自然災害による物流ルートの断絶

・自然災害による店舗休業に伴う収益の減少

慢性

 

・降雨量等気象パターンの変化に伴う農畜水産物の収量・品質の不安定化による調達コストの増加

・気候変動に起因する感染症リスクによる従業員の健康被害の増加

機会

資源効率

 

・省エネルギー施策の強化によるエネルギー調達コストの減少

・環境価値の高い店舗への転換によるエネルギー調達コストの減少

エネルギー源

・高効率省エネルギー機器導入によるエネルギー調達コストの減少

・創エネルギー導入によるエネルギー調達コストの減少

・再エネに係る新たな政策・制度の進展による再エネ調達コストの減少

製品および

サービス

 

・サステナブルなライフスタイルを提案することによる新規顧客の獲得に伴う収益の拡大

・環境配慮型商品・サービスの需要増への対応によるサプライチェーン全体の脱炭素化および収益の拡大

市場

・グリーンボンド等による資金調達先の拡大

・サーキュラー型ビジネスへの新規参入による新たな成長機会の拡大

・小売業の枠を超えた事業ポートフォリオの再構築と、環境配慮型商品市場への参入・拡大による収益力の向上

・環境価値の高い店舗への転換による新たなテナントの獲得機会増に伴う収益の拡大

レジリエンス

 

・再エネ・省エネ・創エネ推進および調達先の多様化に伴うエネルギーレジリエンスの向上

 

(c)関連するシナリオに基づくリスク・機会および財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス

当社グループは、網羅的に抽出・特定した気候関連リスク・機会の中から、「自社にとっての重要性(影響度×緊急度)」と、「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの評価基準に基づき、その重要性を評価しました。特に重要性が高いと評価した項目について、2030年度を想定した1.5℃/2℃未満シナリオ、および4℃シナリオの2つのシナリオにおける財務影響を定量、定性の両側面から評価し、それぞれの対応策を策定しました。(表9)

なお、定性的財務影響については、矢印の傾きによって3段階で表示しています。

 

表9 JFRグループにとって特に重要な気候関連リスク・機会、および2030年度の財務影響

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JFRグループの事業および財務への影響が非常に大きくなることが想定される

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JFRグループの事業および財務への影響がやや大きくなることが想定される

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JFRグループの事業および財務への影響が軽微であることが想定される

 

JFRグループにとって特に重要な

気候関連リスク・機会

財務影響

対応策

1.5℃/2℃未満

シナリオ

4℃

シナリオ

リスク

・炭素税等の導入に伴うコストの増加

約14億円※1

約9億円※1

●2050年ネットゼロ目標達成に向けた店舗における積極的な省エネ施策や再エネ切り替え拡大による温室効果ガス排出量削減

・環境性能の高い物件の開発と設備導入に係るコストの増加

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●グリーンボンド等を活用した資金調達

●コスト効率的な設備導入

・高効率省エネルギー機器導入に係る投資の増加

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●インターナルカーボンプライシングの導入検討

●コスト効率的かつ計画的な投資の検討

・再エネ由来電力需要増による再エネ調達コストの増加

約7億円※2

約3億円※2

●再エネ調達手法の分散化による再エネ調達リスクの低減と中長期的なコストの低減

●自社施設への再エネ設備導入等、再エネ自給率の向上

・自然災害による店舗休業に伴う収益の減少

約52億円※3

約103億円※3

●BCP整備による店舗・事業所のレジリエンス強化

●店舗の防災性能の向上

機会

・高効率省エネルギー機器導入によるエネルギー調達コストの減少

約5億円※4

●高効率省エネルギー機器への適切なタイミングでの更新

・サステナブルなライフスタイルを提案することによる新規顧客の獲得に伴う収益の拡大

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●シェアリング・アップサイクル等サーキュラー型ビジネスの拡大

・環境配慮型商品・サービスの需要増への対応によるサプライチェーン全体の脱炭素化および収益の拡大

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●環境配慮型包装資材への切り替え等、環境配慮型製品・サービスの取扱い拡大

●廃棄物削減のためのAI需要予測サービスの導入等、お取引先様との協働による脱炭素に向けた取り組み

・サーキュラー型ビジネスへの新規参入による新たな成長機会の拡大

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●M&AやCVC投資を有効活用したサーキュラー型ビジネスの立ち上げ

●中期経営計画で策定した「リアル&デジタル戦略」の推進による販売チャネルの多様化

・環境価値の高い店舗への転換による新たなテナントの獲得機会増に伴う収益の拡大

約10億円※5

●新規開発物件の環境認証の取得(ZEB、CASBEE等)

●RE100実現に向けた店舗の再エネ化の促進

※CVC(Corporate Venture Capital):将来性のあるスタートアップ企業への投資を通じて、事業共創を効率的・効果的に推進する仕組み。当社は、2022年度、「JFR MIRAI CREATORS Fund」を設立し、オープンイノベーションを推進。

 

(2030年度時点を想定した定量的財務影響の算出根拠)

※1 2030年度時点のJFRグループScope1・2温室効果ガス排出量に1t-CO2あたりの炭素

   価格を乗じて試算

※2 2030年度時点のJFRグループ電気使用量に通常の電気料金と比較した1kWhあたりの

   再エネ由来電気料金価格高を乗じて試算

※3 過去の自然災害による店舗休業に伴う売上損失額に洪水発生頻度を乗じて試算

※4 2030年度時点のJFRグループ省エネルギー量にエネルギー調達コストを乗じて試算

※5 2030年度時点のJFRグループ不動産収益に環境認証取得ビルの新規成約賃料変動率を

   乗じて試算

 

当社グループは、マテリアリティ「脱炭素社会の実現」に向け、当社グループの事業活動について、上記シナリオを前提に気候変動がもたらす影響を分析し、その対応策を検討し、当社グループの戦略レジリエンス(強靭性)を検証しています。

 

 

JFRグループ 2050年ネットゼロ移行計画

当社グループは、2050年ネットゼロの実現に向け、1.5℃/2℃未満シナリオおよび4℃シナリオのいずれのシナリオ下においても、中長期視点から戦略レジリエンスを強化していく必要があると考えています。

そのため、当社グループは、2050年ネットゼロ実現に向けた移行計画を策定しました。(図4)同計画では、事業戦略において、マイナスのリスクに対しては適切な回避策を策定する一方、プラスの機会に対しては、マーケット変化へ積極的に対応する等、新たな成長機会の獲得を目指すため、短期・中期・長期的視点から、具体的取り組みを明確化しています。

 

図4 2050年ネットゼロ移行計画

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<指標と目標>

(a)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標

当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3温室効果ガス排出量、および事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率の2つの指標を定めています。

また、役員報酬では、業績連動株式報酬を決定する非財務指標の一つとして、Scope1・2温室効果ガス排出量削減率目標を設定し、気候変動問題に対する執行役の責任を明確化しています。

(※役員報酬と非財務指標は86ページ参照)

 

(b)温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)

当社グループは、2017年度から、グループ全体の温室効果ガス排出量の算定に取り組んでいます。当社グループの2022年度Scope1・2温室効果ガス排出量は、約11万t-CO2(2017年度比43.5%削減)、Scope3温室効果ガス排出量は、約277万t-CO2(2017年度比5.5%削減)を見込んでいます。また、再エネ比率は33.6%となる見通しです。(表10・図5・6・7)

なお、2022年度のScope1・2・3温室効果ガス排出量および再エネ電力使用量は、第三者保証を取得する見込みです。

 

表10 JFRグループ Scope1・2・3温室効果ガス排出量実績および見通し

(単位:t-CO2

 

2017年度

2021年度

2022年度見通し

実績※1

実績※1

見通し

2017年度比

(基準年度比)

Scope1・2排出量 合計

194,154

122,812

109,792

▲43.5%

内訳

Scope1排出量

16,052

14,004

13,715

▲14.6%

Scope2排出量

178,102

108,808

96,077

▲46.1%

Scope3排出量※2 合計

2,927,320

2,420,492

2,766,700

▲5.5%

再エネ比率(%)

20.3

33.6

※1 LRQAによる第三者保証を取得。

2 「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインver3.3(2023年3月 環境省

  経済産業省)」・IDEAv2.3(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)に基づき算出

 

(c)気候関連リスク・機会の管理に用いる目標および実績

当社グループは、世界全体の1.5℃目標達成のため、2018年に長期的な温室効果ガス排出量削減目標を設定し、2019年にScope1・2・3温室効果ガス排出量削減目標について「SBTイニシアチブ」による認定を取得しました。2021年には、マテリアリティの進化に伴い、2030年のScope1・2温室効果ガス排出量削減目標を従来の40%から60%削減(基準年2017年度比)に引き上げ、SBTイニシアチブが定める「1.5℃目標」として認定を再取得しました。また、2023年2月には、Scope1・2・3温室効果ガス排出量について、2050年までの「ネットゼロ目標」の認定を取得しました。(表11)

これらの長期目標達成のため、当社グループは、2019年度から、自社施設における再生可能エネルギー由来電力の調達を開始し、2020年10月に「RE100」に加盟し、2050年までに、事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率100%を目指します。また、その中間目標として、2030年までに、事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率60%を目指します。

今後も、2050年までのネットゼロの実現に向け、再生可能エネルギー由来電力の調達拡大に取り組みます。

 

※事業活動で使用する電力を2050年までに100%再生可能エネルギーにすることを目標とする国際的イニシアチブ

 

 

 

表11 JFRグループの気候関連リスク・機会の管理に用いる目標

 

指標

目標年度

目標内容

温室効果ガス排出量

2050年

Scope1・2・3温室効果ガス排出量ネットゼロ

2030年

Scope1・2温室効果ガス排出量60%削減(2017年度比)※1

Scope3温室効果ガス排出量40%削減(2017年度比)※1

事業活動で使用する

電力に占める

再エネ比率

2050年

事業活動で使用する電力に占める再エネ比率100%※2

2030年

事業活動で使用する電力に占める再エネ比率60%

   ※1 SBT認定取得

   ※2 2020年 RE100に加盟

 

図5 Scope1・2排出量

図6 Scope3排出量

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図7 再エネ比率

 

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今後も、当社グループは、取締役会による監督体制のもと、環境マネジメントにおけるガバナンスの強化を進め、中長期の目標達成に向けた実行計画の立案・実行等、全社的な取り組みを進めていきます。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態及び経営成績の状況

① 当期の経営成績

(単位:百万円、%)

2023年2月期

対前年

対10月予想

増減高

増減率

増減高

総額売上高

998,755

132,836

15.3

23,755

売上収益

359,679

28,195

8.5

13,679

売上総利益

169,536

21,694

14.7

1,536

販売費及び一般管理費

144,682

8,559

6.3

682

事業利益

24,854

13,136

112.1

854

その他の営業収益

4,540

△6,528

△59.0

740

その他の営業費用

10,336

△3,070

△22.9

6,036

営業利益

19,059

9,679

103.2

△4,441

親会社の所有者に

帰属する当期利益

14,237

9,916

229.4

△1,763

 

当連結会計年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ感染症)による影響が徐々に緩和され、内需を中心に緩やかに持ち直しの動きがみられた一方で、ウクライナ情勢など地政学リスクの顕在化、急激な為替変動や物価上昇など不安定な状況が続きました。

企業業績は、社会・経済活動が正常化に向かうなかで、コロナ禍からの需要回復に伴い、サービス業などの収益に改善の動きがみられたものの、海外景気の減速や資源価格の高騰、資材供給不足による生産活動の停滞など一進一退の状況となりました。

個人消費は、行動制限等の緩和に伴い、主に年度中盤以降において、対面型サービス消費や観光需要が回復するなどコロナ感染症による影響が縮小に向かう一方で、物価上昇等により節約意識が高まるなど、先行き不透明感が強まりました。

「2021-2023年度 中期経営計画の進捗」といたしましては、当社は、コロナ禍による未曾有の経営環境に直面するなか、2021年度より、サステナビリティ経営を基軸とする中期経営計画(2021-2023年度)をスタートさせました。本計画では、コロナ危機からの「完全復活」を果たし、2024年度以降の「再成長」に着手する期間と位置づけています。

中期経営計画の2年目となる当年度は、昨年度までのコロナ感染症の拡大や行動制限等による影響が縮小に向かうなか、完全復活への足取りを確かなものとし、2024年度以降の再成長に繋げるため、“攻めの経営”に転じる年度と位置づけ、本計画で掲げる重点戦略・施策を推進しました。

サステナビリティへの取り組みでは、主に、7つのマテリアリティ(重要課題)において、重点戦略と一体化した活動に加え、中長期目標に基づく温室効果ガスの排出量削減、お取引先様との協働による環境・社会課題の解決に取り組みました。

「完全復活」「再成長」に向けた重点戦略、経営構造改革の推進について、重点戦略に基づく施策や戦略投資、完全復活への最重要施策である経営構造改革を着実に推進しました。

「リアル×デジタル戦略」について、店舗の魅力化に向け、百貨店事業では重点カテゴリーの拡充に加え、地域・店舗特性を活かした売場・店づくりを推進しました。SC事業では基幹店において大規模改装を推進したほか、各店において大型プロモーションを拡大展開しました。デジタル活用の取り組みでは、主に、アプリ会員数拡大による顧客接点のデジタル化を進めるとともに、潜在顧客の発掘などデータ活用の高度化を図りました。

「プライムライフ戦略」では、富裕層マーケットへの対応を強化するため、主に百貨店外商を基盤に、重点カテゴリーの拡充、また店頭・オンラインの両面から希少性の高い商品・サービス提案の充実を図るとともに、顧客層の拡大などに取り組みました。

 

「デベロッパー戦略」では、主に、重点エリアである名古屋栄地区や大阪心斎橋地区の大型複合施設の開発に加え、新たに、福岡天神地区において地域や他社との連携による再開発の検討を進めました。また、保有不動産の有効活用に向けレジデンス事業に参入しました。

「経営構造改革」では、固定費削減について組織・要員構造改革の効果創出に加え、宣伝手法のデジタル化や資材等のグループ共同購買、賃借物件の見直しなどにより、当初計画以上の削減を図りました。また、経営効率・資産効率の向上に向け、非事業用資産の売却を進めたほか、松本PARCOの営業終了(2025年2月末予定)を決定しました。

同時に、2030年を見据えた「再成長」への取り組みを加速させるため、当年度より、持株会社において「グループデジタル」「グループCRE」「事業ポートフォリオ変革」など経営戦略の立案、推進機能の強化を図りました。

これらを通じ、グループデジタル戦略では、顧客データベースの分析・活用によるグループ顧客基盤の拡大、デジタル技術を活用した新規事業計画の立案、グループ横断のデジタル人財育成計画の策定、実行に取り組みました。

グループCRE戦略では、保有不動産の価値最大化に向けた基本方針・戦略を定めたほか、グループ全体最適の視点から迅速な意思決定を行い、さらなる事業成長を図るため、デベロッパー事業の再編を決定しました。

事業ポートフォリオ変革への取り組みでは、スタートアップ企業との共創による新規事業の創出、経営人財の育成、創造と挑戦を促す企業風土への進化を目指し、CVCファンドを設立しました。また、今後成長が期待されるeスポーツ事業への参入、SC事業など各事業とのシナジー創出を目的に、株式会社XENOZの株式を取得しました。

中長期の成長実現を支える経営基盤強化として、グループ人財戦略では、重点戦略に基づく高度専門人財の採用強化や能力開発、中堅・若手社員や女性活躍の推進に向けたグループ横断のプロジェクトの推進など人財への投資を強化しました。また、従業員の意思・意欲を反映した公募型の人財配置、組織・人財の多様性を高めるグループ人財交流を推進しました。

グループ財務戦略では、コロナ感染症による事業環境の変化、業績進捗や見通しなどを見極め、フリーキャッシュ・フローの確保、手許現預金の適正化や有利子負債の削減など財務体質の改善を図りました。また、各事業の投下資本利益率(ROIC)向上への取り組みに加え、税務ガバナンスの強化及び税務コストの適正化を目的に、連結納税制度を導入しました。

グループシステム戦略では、各事業における重点戦略の推進支援とあわせ、経営管理の高度化に向けたグループ共通会計システムの開発を進めたほか、情報セキュリティや事業継続への対応強化を図りました。

以上のような諸施策に取り組みました結果、当期の連結業績について、売上収益は3,596億

79百万円(対前年8.5%増)となりました。

また、年度を通じた売上収益の改善に加え、固定費削減の効果や経費節減により、事業利益は

248億54百万円(対前年112.1%増)となりました。営業利益は百貨店・パルコ店舗の減損損失や松本PARCOの営業終了決定に伴う事業整理損を計上したものの、190億59百万円(対前年103.2%増)、税引前利益は168億73百万円(対前年172.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は142億37百万円(対前年229.4%増)と大幅増益となりました。

なお、配当金につきましては、年間配当金は前年実績に比べ2円増配の1株当たり31円(前年実績29円)とさせていただきました。

 

セグメント業績

<百貨店事業>

(単位:百万円、%)

2023年2月期

対前年

対10月予想

増減高

増減率

増減高

売上収益

215,754

25,015

13.1

6,154

事業利益

12,834

11,036

613.7

934

営業利益

7,529

12,123

△1,571

 

感染症拡大や行動制限等による影響が縮小に向かうなか、主に年度中盤以降において、これまで控えられていた消費行動が回復に向かい、また訪日外国人観光客が増加するなか、この間推進してきた戦略投資の効果創出により、入店客数、売上高は着実に改善しました。

重点戦略への取り組みでは、主に、基幹店を中心にラグジュアリーや時計、アートなど重点カテゴリーの拡充に加え、大丸梅田店での大型キャラクター集積ゾーンの構築など各店の店舗特性を活かした魅力的な売場、店づくりを推進しました。

また、デジタル活用の取り組みでは、アプリを通じた顧客接点のデジタル化の推進に加え、データ分析・活用を通じた潜在顧客の発掘など顧客政策の進化を図りました。また、リアル店舗や販売サービス力など百貨店の強みを活かしたコスメのメディアコマース「DEPACO(デパコ)」を新たにスタートさせました。

富裕層マーケットへの対応を強化するため、重点カテゴリーの拡充やお得意様ラウンジなど上質な店舗環境の構築、また店頭・お得意様専用サイトでの希少性の高い商品やサービス提案の充実を図るとともに、顧客層の拡大などに取り組みました。

経営構造改革への取り組みでは、新たな店舗運営モデルを見据えた組織・要員構造改革の効果創出、業務委託領域の見直しなど経費構造の見直しに取り組みました。

以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は2,157億54百万円(対前年13.1%増)の増収となりました。営業利益は店舗の減損損失を計上したものの75億29百万円(前年は営業損失45億94百万円)となり、黒字に転換しました。

 

<SC事業>

(単位:百万円、%)

2023年2月期

対前年

対10月予想

増減高

増減率

増減高

売上収益

54,361

1,805

3.4

△902

事業利益

5,382

1,538

40.0

△234

営業利益

3,733

1,678

81.6

△2,460

 

前期の店舗休業やエンタテインメント拠点での入場制限等の反動、また年度中盤以降において個人消費が回復に向かうなか、基幹店を中心とした戦略改装やプロモーション強化などにより、入店客数、テナント取扱高は着実に改善しました。

重点戦略への取り組みでは、時代変化やコロナ禍による生活スタイルの変化を見据え、池袋PARCOではグランドフロア改装やエリアとの親和性の高いコンテンツの拡充、名古屋PARCOではジェンダーレス、エイジレスをテーマとした大規模改装を推進しました。また、各店において独自性の高いポップアップストアやキャラクターとのコラボレーション企画、地元連携による共同企画を展開しました。また、テナントとの協働によるアプリ会員の拡大、店舗・オンラインストアの買い回りの向上などの基盤整備を進めました。なお、津田沼PARCOは本年2月末に営業を終了しました。

以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は543億61百万円(対前年3.4%増)となりました。営業利益は松本PARCOの営業終了(2025年2月末予定)決定に伴う事業整理損や店舗の減損損失等を計上したものの、37億33百万円(対前年81.6%増)となりました。

 

<デベロッパー事業>

(単位:百万円、%)

2023年2月期

対前年

対10月予想

増減高

増減率

増減高

売上収益

54,670

4,037

8.0

△1,854

事業利益

2,947

△187

△6.0

361

営業利益

3,695

△1,016

△21.6

86

 

グループ保有不動産の最大活用と不動産ポートフォリオの変革に向けた重点戦略を推進しました。主に、保有不動産を活用した非商業施設の開発としてレジデンス事業に参入したほか、当社が基盤を有する重点エリアにおいて大型複合施設の開発を計画、推進しました。具体的には、2026年の竣工・開業を目指す名古屋栄地区「(仮称)錦三丁目25番街区計画」、大阪心斎橋地区「(仮称)心斎橋プロジェクト」に加え、新たに、福岡天神地区において魅力的で質の高い街づくりへの貢献を目指し、地域や他社との連携による再開発の検討を進めました。

また、さらなる事業成長を図るため、持株会社直下に「.フロント都市開発株式会社」を設置し、現在、株式会社パルコが運営するデベロッパー事業を同社に承継することを決定しました。本事業再編を通じて、グループ全体最適の視点から迅速な意思決定を行う体制を構築するとともに、専門人財の育成・確保、事業に適した経営管理やリスクマネジメントによるガバナンスの強化を一層進めてまいります。

以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は既存物件の営業終了による影響があったものの、グループ内外の内装・設備工事や施設管理業務等の増加により、546億70百万円(対前年8.0%増)となりました。営業利益は前期の固定資産売却益の反動等により、36億95百万円(対前年△21.6%減)となりました。

 

<決済・金融事業>

(単位:百万円、%)

2023年2月期

対前年

対10月予想

増減高

増減率

増減高

売上収益

12,889

1,852

16.8

90

事業利益

3,486

1,580

82.9

215

営業利益

3,485

1,515

76.9

184

 

決済事業において、百貨店事業及び外部加盟店での取扱高の回復に加え、独自のポイントプログラム(QIRAポイント)の認知度向上に向け、会員向けの独自イベントの実施など特別体験の提供に取り組みました。また、グループ商業施設での決済環境の整備など加盟店事業の強化を図りました。

金融事業では、保険代理店事業の強化に加え、他社連携による投信積立サービスなど金融サービスの拡充に取り組みました。

以上のような諸施策に取り組みました結果、売上収益は128億89百万円(対前年16.8%増)、営業利益は34億85百万円(対前年76.9%増)となりました。

 

<その他>

(単位:百万円、%)

2023年2月期

対前年

対10月予想

増減高

増減率

増減高

売上収益

55,922

△5,833

△9.4

4,175

事業利益

924

△328

△26.2

155

営業利益

899

△300

△25.0

33

 

卸売業の大丸興業株式会社は、主に自動車部品部門の受注回復などにより増収増益となりましたものの、前期末において人材派遣事業を連結範囲から除外した影響等により、売上収益は559億22百万円(対前年△9.4%減)、営業利益は8億99百万円(対前年△25.0%減)となりました。

 

 

② 財政状態

(単位:百万円、%)

2022年2月期

2023年2月期

増減高

流動資産

234,884

201,860

△33,024

非流動資産

958,022

919,092

△38,930

資産合計

1,192,907

1,120,953

△71,954

流動負債

347,413

317,953

△29,460

非流動負債

483,373

431,589

△51,784

負債合計

830,787

749,542

△81,245

親会社の所有者に帰属する持分

350,368

359,385

9,017

親会社所有者帰属持分比率

29.4

32.1

2.7

資本合計

362,120

371,410

9,290

 

当連結会計年度末の資産合計は1兆1,209億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ

719億54百万円減少いたしました。一方、負債合計は7,495億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ812億45百万円減少いたしました。なお、有利子負債残高(含むリース負債)は感染症拡大の影響に備え確保していた手許現預金の適正化を実施し、返済を進めたことなどから、4,139億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ881億60百万円減少いたしました。

資本合計は、3,714億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ92億90百万円増加いたしました。

 

③ キャッシュ・フロー

(単位:百万円)

2022年2月期

2023年2月期

増減高

営業活動によるキャッシュ・フロー

49,866

65,480

15,614

投資活動によるキャッシュ・フロー

△5,289

△13,371

△8,082

フリーキャッシュ・フロー

44,577

52,109

7,532

財務活動によるキャッシュ・フロー

△80,392

△105,694

△25,302

現金及び現金同等物の増減額

△35,815

△53,585

△17,770

現金及び現金同等物の期末残高

93,278

39,874

△53,404

 

当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ534億

4百万円減の398億74百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は654億80百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、税引前利益が増益になったことなどにより156億14百万円の収入増となりました。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」は133億71百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、有形固定資産の取得による支出が増加したことに加え、投資不動産や子会社株式の売却による収入の反動などにより80億82百万円の支出増となりました。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」は1,056億94百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、社債の償還など有利子負債の返済を進めたことにより253億2百万円の支出増となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

1)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

デベロッパー事業

750

123.2

(注)1  請負工事につきましては生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。

2  上記以外のセグメントについては該当事項はありません。

 

2)受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

デベロッパー事業

39,495

117.5

(注)1  上記以外のセグメントについては該当事項はありません。

 

3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

内訳

販売高(百万円)

前年同期比(%)

百貨店事業

大丸松坂屋百貨店

198,347

113.4

博多大丸

14,076

112.3

その他

3,330

100.3

215,754

113.1

SC事業

パルコ

54,297

110.3

その他

64

1.9

54,361

103.4

デベロッパー事業

パルコ

7,025

86.6

J.フロント建装

28,142

119.0

パルコスペースシステムズ

18,204

102.1

その他

1,298

124.2

54,670

108.0

決済・金融事業

JFRカード

12,889

116.8

その他

卸売業

38,732

111.8

その他

17,190

63.4

55,922

90.6

調整額

△33,919

96.3

合計

359,679

108.5

(注)1 セグメント間の取引については、「調整額」欄で調整しております。

2 販売高は、売上収益を記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容

当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  3.重要な会計方針」に記載しております。

また、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)経営成績等

 セグメントごとの情報については、(1)財政状態及び経営成績の状況 ① 当期の経営成績に記載しております。

 

a)売上収益

売上収益は、前連結会計年度に比べ281億95百万円増の3,596億79百万円となりました。

 

b)営業利益

営業利益は、前連結会計年度に比べ96億79百万円増の190億59百万円となりました。

 

c)税引前利益

税引前利益は、前連結会計年度に比べ106億83百万円増の168億73百万円となりました。

 

d)親会社の所有者に帰属する当期利益

親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ99億16百万円増の142億37百万円となりました。

 

e)財政状態

当連結会計年度末の資産合計は1兆1,209億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ719億54百万円減少いたしました。一方、負債合計は7,495億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ812億45百万円減少いたしました。なお、有利子負債残高(含むリース負債)は感染症拡大の影響に備え確保していた手許現預金の適正化を実施し、返済を進めたことなどから、4,139億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ881億60百万円減少いたしました。

資本合計は、3,714億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ92億90百万円増加いたしました。

これらの結果、資産合計営業利益率(ROA)は、1.6%、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、4.0%、親会社所有者帰属持分比率は、32.1%となりました。

f)キャッシュ・フロー

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は654億80百万円の収入となりました。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は133億71百万円の支出、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は1,056億94百万円の支出となりました。

この結果、当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ534億4百万円減の398億74百万円となりました。

今後も、利益水準やキャッシュ・フローの動向等を考慮し、適切な利益配分や設備投資を行っていく予定であります。

 

g)資本の財源及び資金の流動性

(資本政策の基本方針)

当社は、フリーキャッシュ・フローの増大とROEの向上が持続的な成長と中長期的な企業価値を高めることに繋がるものと考えています。その実現に向けて、経営環境及びリスクへの備えを勘案した上で「戦略投資の実施」「株主還元の充実」及び「自己資本の拡充」のバランスを取った資本政策を推進します。

また、有利子負債による資金調達はフリーキャッシュ・フロー創出力と有利子負債残高を勘案して行うことを基本とし、資金効率と資本コストを意識した最適な資本・負債構成を目指します。

フリーキャッシュ・フロー、ROEの向上には、収益を伴った売上拡大を実現する「事業戦略」及び投下資本収益性を向上させる「財務戦略(資本政策を含みます。)」が重要です。併せて、基幹事業の強化、事業領域の拡大・新規事業の積極展開等に経営資源を重点配分することにより、営業利益の最大化と営業利益率を持続的に向上させていくことが重要であると考えております。

なお、中期経営計画の達成における重要財務指標として、資本効率性はROE、事業収益性は連結営業利益及びROIC、収益性・安全性はフリーキャッシュ・フロー、財務健全性は親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)の各指標を重視しております。

 

(資金調達の状況)

当社グループでは、事業活動に必要となる資金は、グループで創出した資金でまかなうことを基本方針としております。その上で、事業投資等で必要資金が生じる場合には、財務の健全性維持を勘案し、主として社債の発行及び金融機関からの借入などにより持株会社が一元的に資金調達を行っております。

グループ子会社は金融機関からの資金調達を行わず、キャッシュ・マネジメントシステムを利用したグループ内ファイナンスにより必要資金の調達を行うことで、グループ資金の効率化を推進しております。

当連結会計年度については、上記方針に基づき、金融機関からの長期借入金により55億円を調達いたしました。一方、感染症拡大の影響に備え確保していた手許現預金の適正化を実施し、短期借入金240億円及び長期借入金151億円を返済したことに加え、無担保普通社債200億円及びコマーシャル・ペーパー150億円の償還を進めた結果、有利子負債残高(除くリース負債)は、前連結会計年度末に比べ686億円減少し、2,491億円となりました。また、コミットメントラインについても、設定額を2,000億円から1,000億円へと引き下げを実施いたしました。

なお、資金調達に係るリスクについては、「第2  事業の状況  2  事業等のリスク」に記載しております。

(財務政策)

「2021-2023年度 中期経営計画」における財務政策については、「第2  事業の状況  1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

(配当政策)

当社の剰余金の配当に関する基本方針並びに当期の配当実績については、「第4  提出会社の状況  3  配当政策」に記載しております。

 

2)経営目標の達成状況

「2021-2023年度 中期経営計画」2年度目である2022年度において目標として掲げております経営数値目標の達成状況は以下のとおりです。

引き続き「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の成長戦略に取り組み、経営目標の達成に努めてまいります。

 

2022年度実績

2023年度目標

連結営業利益(IFRS)

19,059百万円

38,500百万円

連結ROE

4.0%

7.0%

連結ROIC

2.7%

4.6%

温室効果ガス排出量※

(算定中)

△40%

女性管理職比率

22.2%

26.0%

※2017年度比 Scope1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出),Scope2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)、2022年度実績は算定中

 

4【経営上の重要な契約等】

<連結子会社>

賃貸借に関する契約

会社名

事業所名

賃借先

賃借物件

面積

賃料

㈱大丸松坂屋百貨店

大丸 大阪・梅田店

大阪ターミナルビル㈱

建物

95,101㎡

(1)定額賃借料

年額      6,186百万円

(2)歩合賃借料

売上高85,000百万円を超過した額の1.5%

大丸 東京店

㈱JR東日本クロスステーション

建物

64,657㎡

(1)定額賃借料

年額      5,330百万円

(2)歩合賃借料

直前3事業年度の年間最高売上高を超過した額の1%

㈱博多大丸

本館

㈱西日本新聞ビルディング

紙与不動産㈱

建物

31,258㎡

年額      1,266百万円

東館

(エルガーラ)

㈱西日本新聞ビルディング

建物

15,155㎡

年額      1,041百万円

 

5【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。