当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
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(単位:百万円、%) |
2026年2月期 中間連結会計期間(3−8月) |
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実績 |
対前年 |
対4月公表数値 |
||
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増減高 |
増減率 |
増減高 |
||
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総額売上高 |
622,574 |
12,105 |
2.0 |
△22,426 |
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売上収益 |
219,925 |
10,557 |
5.0 |
△4,475 |
|
売上総利益 |
107,531 |
△915 |
△0.8 |
△2,469 |
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販売費及び一般管理費 |
79,350 |
3,380 |
4.4 |
△650 |
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事業利益 |
28,181 |
△4,295 |
△13.2 |
△1,819 |
|
その他の営業収益 |
2,938 |
△5,968 |
△67.0 |
838 |
|
その他の営業費用 |
1,144 |
△874 |
△43.3 |
△956 |
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営業利益 |
29,975 |
△9,389 |
△23.9 |
△25 |
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親会社の所有者に 帰属する中間利益 |
18,354 |
△10,740 |
△36.9 |
△146 |
当中間連結会計期間の連結業績は、主に、昨年度に大きく伸長した百貨店事業の免税売上高が大幅に減少したものの、ショッピングセンター(SC)事業やデベロッパー事業が堅調に推移した結果、売上収益は前年同期比5.0%増の219,925百万円、事業利益は前年同期比13.2%減の28,181百万円、営業利益は前年同期比23.9%減の29,975百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比36.9%減の18,354百万円となりました。
なお、4月公表数値に対しては、売上収益が主に百貨店事業を中心に大きく減少し、販管費の削減に努めたものの、事業利益、営業利益ともに減少となりました。
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善等を背景に個人消費が堅調に推移するなど、総じて緩やかな回復を見せました。一方、米国の通商政策の影響や地政学リスクの高まり等により不確実性が高まっており、内外経済の先行きや物価上昇による消費マインドへの下押し圧力について、引き続き注視する必要があると認識しています。
こうしたなか、当社グループは、昨年度からスタートした中期経営計画(2024‐2026年度)において、百貨店事業・SC事業など「リテール事業の深化」、飛躍的成長に向けた「グループシナジーの進化」、これらの戦略の実効性を高める「グループ経営基盤の強化」に集中して取り組んでいます。
「リテール事業の深化」では、特に高質・高揚消費層へのコンテンツ拡充として、百貨店事業では、松坂屋名古屋店において既存顧客の深耕や次世代顧客に対応した大型改装を昨年来実施しており、8月末に本館のリニューアルが完了しました。また、日本の美意識・文化・伝統を伝える大阪・関西万博のオフィシャルストアは、引き続き多くのお客様の好評を得ています。SC事業では、渋谷PARCOや広島PARCO、仙台PARCOなど基幹店において大規模改装を推進しました。特に渋谷PARCOでは、「グローバルニッチ」をテーマにした約80区画の大規模リニューアルを行い、世界初、日本初となるIPコンテンツストアをオープンしました。
「グループシナジーの進化」では、重点エリアと位置づける名古屋エリアでの競争優位性のさらなる向上に向け、店舗の大型リニューアルや新たな商業施設の開発に加え、地域のステークホルダーとの協業体制を強化し、街の賑わいを創出する地域イベントを開始しました。グループ顧客基盤の拡大に向けては、昨年度に発行を開始したGINZA SIXカード、PARCOカードに続き、3月に博多大丸カードを新たに発行しました。自社コンテンツの保有・開発については、株式会社コメ兵とのリユース合弁会社「株式会社JFR & KOMEHYO PARTNERS」を設立し、ブランド買取専門店「MEGRUS(めぐらす)」を8月に松坂屋名古屋店、大丸東京店にオープンしました。また、株式会社パルコではゲームパブリッシング事業に本格参入し、新レーベル「PARCO GAMES(パルコゲームズ)」を8月に立ち上げました。国内外の気鋭なインディーゲーム計3タイトルの発売を2025年冬に予定しております。
「グループ経営基盤の強化」では、財務戦略において、中長期的な資本収益性の向上、自己資本の適正化を目的に、総額150億円の自己株式取得を実施しました。また事業を通じて社会課題の解決を目指すサステナビリティ経営を推進するため、2021年5月に続き「サステナビリティボンド」の発行を行いました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
2024年9月1日付のグループ内組織再編に伴い、従来、「その他」に含まれていた株式会社J.フロントONEパートナーの運営事業の一部を「デベロッパー事業」の株式会社パルコスペースシステムズ他へ移管しました。これに伴い、前連結会計年度の期首(2024年3月1日)より移管されたものとみなし、遡及修正しています。
<百貨店事業>
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(単位:百万円、%) |
2026年2月期 中間連結会計期間(3−8月) |
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実績 |
対前年 |
対4月公表数値 |
||
|
増減高 |
増減率 |
増減高 |
||
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売上収益 |
129,612 |
2,333 |
1.8 |
△4,388 |
|
事業利益 |
16,001 |
△4,071 |
△20.3 |
△4,099 |
|
営業利益 |
16,649 |
△2,718 |
△14.0 |
△3,751 |
当中間連結会計期間の百貨店事業の業績は、売上収益が前年同期比1.8%増の129,612百万円、事業利益が前年同期比20.3%減の16,001百万円、営業利益が前年同期比14.0%減の16,649百万円となりました。為替の変動等に伴いラグジュアリーブランドをはじめとした高額品を中心に免税売上高が減少した一方、国内顧客の売上は堅調に推移しました。店舗別では、大丸梅田店が特に大阪・関西万博の開幕以降に入店客が大幅に増加するなど、売上が好調に推移しました。一方で、大丸心斎橋店や大丸京都店は免税売上高の減少影響などにより減収となりました。事業利益、営業利益は、手数料の増加や業務委託費増加の影響もあり、減益となりました。
なお、4月公表数値に対しては、免税売上高を中心に売上収益が大きく減少し、販管費の削減に努めたものの、事業利益、営業利益ともに減少しました。
不確実性の高い経営環境の中、中期経営計画に基づく重点戦略を着実に推進しております。具体的には、当社らしいコンテンツの拡充に向けて、大阪・関西万博オフィシャルストアでは社員の目利き力を活かし、有名作家とコラボしたアート作品やデザイナーズブランドと手掛けたアパレルや雑貨などのオリジナル商品を開発し、好評を得ています。また、株式会社大丸松坂屋百貨店が運営するファッションサブスクリプションサービス 「AnotherADdress(アナザーアドレス)」では、従来の個人会員に加え、法人向けの新サービス「AnotherADdress.biz」を開始しました。
また、当社の強みである富裕層ビジネス分野で競争優位性を各エリアにおいて確立するため、顧客基盤の拡大に向けた新規顧客開拓、催事・体験コンテンツの充実、お客様とのコミュニケーション強化に向けたタッチポイントの充実など、当社独自の体験価値を提供する外商組織への深化を図る取組みを推進してまいります。
<SC事業>
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(単位:百万円、%) |
2026年2月期 中間連結会計期間(3−8月) |
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実績 |
対前年 |
対4月公表数値 |
||
|
増減高 |
増減率 |
増減高 |
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売上収益 |
33,114 |
1,303 |
4.1 |
214 |
|
事業利益 |
8,325 |
489 |
6.2 |
525 |
|
営業利益 |
9,538 |
2,420 |
34.0 |
1,338 |
当中間連結会計期間のSC事業の業績は、売上収益が前年同期比4.1%増の33,114百万円、事業利益が前年同期比6.2%増の8,325百万円、営業利益が前年同期比34.0%増の9,538百万円となりました。
売上収益は、国内に加え、免税取扱高の好調持続による店舗賃貸収入の伸長や、決済手数料収入等の増加などにより前年同期比で増加しました。この結果、事業利益、営業利益ともに増益となりました。
なお4月公表数値に対しては、営業収益が計画を上回ったことに加え、コストの抑制に努めた結果、事業利益、営業利益ともに増加しました。
中期経営計画の重点戦略として、店舗事業を構造的に進化させるビルフレーム改革の取組みを推進しております。具体的には、昨年11月に建替リニューアル5周年を迎えた渋谷PARCOの大型改装を推進し、7月に人気漫画の世界初の体験型公式ショップ、人気ゲーム会社国内初となる旗艦店などがオープンし、「グローバルニッチ」のテーマに基づく日本発のコンテンツを強化しました。また、広島PARCOではエンタテインメントフロアをオープン、仙台PARCOでエンタテインメントショップを含む開業来、最大規模の大型改装を実施しました。
また、「コンテンツ事業の拡大」については、8月に、PARCO4店舗(池袋・名古屋・心斎橋・広島)で人気を博している飲食店の初めての海外店舗が、香港の大型商業施設「Langham Place(ランガムプレイス)」にオープンしました。加えて、ファッション・エンタテインメント・アートなどカルチャー領域の事業を通じて培ったパルコ独自の目利き力と創造性を活かしたゲームパブリッシング事業に本格参入し、新レーベル「PARCO GAMES(パルコゲームズ)」を立ち上げました。
<デベロッパー事業>
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(単位:百万円、%) |
2026年2月期 中間連結会計期間(3−8月) |
|||
|
実績 |
対前年 |
対4月公表数値 |
||
|
増減高 |
増減率 |
増減高 |
||
|
売上収益 |
43,293 |
4,235 |
10.8 |
2,793 |
|
事業利益 |
4,447 |
98 |
2.3 |
1,847 |
|
営業利益 |
4,459 |
145 |
3.4 |
1,759 |
当中間連結会計期間のデベロッパー事業の業績は、売上収益が前年同期比10.8%増の43,293百万円、事業利益が前年同期比2.3%増の4,447百万円、営業利益が前年同期比3.4%増の4,459百万円となりました。
売上収益は、主に、株式会社J.フロント建装のラグジュアリーブランド工事の受注増、株式会社パルコスペースシステムズの工事受注増などにより大幅な増収となりました。この結果、事業利益、営業利益ともに増益となりました。
なお4月公表数値に対しては、売上総利益の増加に加え、コストの抑制などにより、事業利益、営業利益ともに増加しました。
当社における重点エリア戦略として、2026年度竣工・開業予定の「ザ・ランドマーク名古屋栄」および「(仮称)心斎橋プロジェクト(大阪・心斎橋)」における開発計画は着実に進行しています。また、「(仮称)天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト」は、地域の皆様と共に、グループ各社が連携して再開発計画を推進しています。これらの計画をはじめ、引き続き、リテール事業を中核に各エリアにおけるプレゼンス向上、シナジー創出に取り組んでまいります。
<決済・金融事業>
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(単位:百万円、%) |
2026年2月期 中間連結会計期間(3−8月) |
|||
|
実績 |
対前年 |
対4月公表数値 |
||
|
増減高 |
増減率 |
増減高 |
||
|
売上収益 |
6,620 |
131 |
2.0 |
△655 |
|
事業利益 |
449 |
△613 |
△57.7 |
△598 |
|
営業利益 |
429 |
△471 |
△52.3 |
△568 |
当中間連結会計期間の決済・金融事業の業績は、売上収益は前年同期比2.0%増の6,620百万円、事業利益が前年同期比57.7%減の449百万円、営業利益が前年同期比52.3%減の429百万円となりました。
売上収益は、ポイント費が増加したものの、カード取扱高、加盟店事業での取扱高の拡大などにより増収となりました。事業利益、営業利益は、新カード発行に伴う会員獲得費用や広告宣伝費の増加、グループカード集約化のための人件費増などにより、減益となりました。
4月公表数値に対しては、売上収益がカード取扱高の計画未達に伴い減少した結果、事業利益、営業利益ともに減少しました。
こうした中、カード会員獲得については2月にPARCOカード、3月に博多大丸カードの新規発行によりグループ内カード集約が完了し、カード会員規模の拡大に向け、各社と連携した獲得施策を推進しています。また、カード取扱高の拡大に向けて、利用促進施策に加え、与信枠の拡大および適正化などを実施しています。加えて、昨年度より強化を図ってきたファイナンス分野では、大丸松坂屋カードのファイナンス残高が過去最高水準となりました。加盟店事業では、重点エリアを中心に加盟店獲得を進めており、グループ商業施設のアクワイアリング拡大などにより取扱高が増加しています。また、業界課題である不正利用については各種施策の効果により縮小しており、引き続き対策等を実施していきます。
(2)財政状態の分析
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(単位:百万円、%) |
2025年2月期 |
2026年2月期 中間連結会計期間 |
増減高 |
|
流動資産 |
241,045 |
225,394 |
△15,651 |
|
非流動資産 |
923,101 |
914,713 |
△8,388 |
|
資産合計 |
1,164,147 |
1,140,108 |
△24,039 |
|
流動負債 |
341,341 |
326,345 |
△14,996 |
|
非流動負債 |
399,570 |
396,312 |
△3,258 |
|
負債合計 |
740,911 |
722,657 |
△18,254 |
|
親会社の所有者に帰属する持分 |
409,646 |
404,885 |
△4,761 |
|
親会社所有者帰属持分比率 |
35.2 |
35.5 |
0.3 |
|
資本合計 |
423,235 |
417,450 |
△5,785 |
当中間連結会計期間末の資産合計は1,140,108百万円となり、前連結会計年度末に比べ24,039百万円減少しました。一方、負債合計は722,657百万円となり、前連結会計年度末に比べ18,254百万円減少しました。資本合計は417,450百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,785百万円減少しました。
(3)キャッシュ・フローの状況
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(単位:百万円) |
2025年2月期 中間連結会計期間 |
2026年2月期 中間連結会計期間 |
増減高 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
48,982 |
33,548 |
△15,434 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△9,970 |
△4,605 |
5,365 |
|
フリーキャッシュ・フロー |
39,011 |
28,943 |
△10,068 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△51,071 |
△42,851 |
8,220 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
△12,059 |
△13,908 |
△1,849 |
|
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|
|
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|
|
2025年2月期 |
2026年2月期 中間連結会計期間 |
増減高 |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
54,975 |
40,958 |
△14,017 |
当中間連結会計期間末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末(54,975百万円)に比べ14,017百万円減の40,958百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは33,548百万円の収入となりました。前中間連結会計期間との比較では、法人所得税の支払額の増加などにより15,434百万円の収入減となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは4,605百万円の支出となりました。前中間連結会計期間との比較では、前年の連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得の反動などにより5,365百万円の支出減となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは42,851百万円の支出となりました。前中間連結会計期間との比較では、自己株式の取得による支出が増加した一方、社債の発行による収入などにより8,220百万円の支出減となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
特記事項はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。