第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りである。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社経営の基本方針

 当社グループの企業理念に基づき、私たちの使命を顧客創造として、お客様が外食に求める「家庭では味わえない美味しい料理」と「気持ちよいサービス」「清潔で楽しいお店」を実現させるために、「最高の料理」「最高のサービス」「最高の空間」の3つの「ご馳走」品質を向上させ、当社グループのコンセプトである「ご馳走カンパニー」の実現を経営の基本方針としております。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、全て直営店舗で、154店舗を展開しております。今後につきましては、収益の見込まれる物件を厳選し、直営店舗で東海地区、関東地区、関西地区、九州地区への拡大を目指してまいります。

 そのために人材確保と早期育成、安定した店舗の調理及び接客サービスのレベルの向上に取り組んでまいります。

 

(3) 目標とする経営指標

 当社グループは、高い収益性を維持し企業価値を向上させていくため、原価率の低減やコスト管理に努めることにより、事業活動の成果を図ることができる、売上高経常利益率を経営指標として掲げております。

 

(参考) 目標経営指標の推移

 

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

2023年12月期

2024年12月期

売上高経常利益率(%)

1.5

9.8

5.2

7.3

9.8

2023年12月期より連結財務諸表を作成しているため、2022年12月期以前は個別ベース、2023年12月期以降は連結ベースの財務数値により計算しています。

 

(4) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが属する外食業界におきましては、人流の回復に加え、インバウンド需要の拡大含め、外食需要は総じて堅調に推移いたしました。また、人手不足の常態化とともに、人件費やエネルギー価格の上昇、継続する原材料価格の高騰や、物流の2024年問題に起因する配送費の増加が見込まれ、今後も厳しい状況が続くものと予想しております。このような環境の下、お客様に愛される店舗や業態および商品サービスの価値づくりを通じて、「ご馳走カンパニー」のコンセプト実現を目指します。そして、企業価値をより一層高めていくため、以下の施策を重要施策として取り組んでまいります。

 

① 新規出店

 出店した地域で長くお客様に愛される店舗の実現のため、収益力の高い物件を厳選しながら、ステーキ業態の関東、関西、九州地区への出店を継続していくとともに、新たな出店地域への事業展開にも取り組んでまいります。また、とんかつ業態の出店拡大と他地域への展開も取り組んでまいります。

② 新業態開発

 既存業態以外の新たな事業の柱を育てていくため、海外進出も視野に入れた業態開発をすべく体制を構築し、新業態開発への取り組みを強化してまいります。

③ 人材確保と人財育成

 社員採用は新卒・中途を含めて、さらにパートナー(パート、アルバイト)採用も安定してできるように採用市場の変化に柔軟に対応して、採用と定着のバランスを適切にとり、将来の人的資源の確保に努めてまいります。また、トレーニングと研修を強化して、採用後の早期戦力化を目指すとともに、次世代を担う幹部社員育成にも取り組んでまいります。

④ 店舗力の強化

 着実に地域のお客様に愛され続ける店舗を実現するために「心地よいひととき」を過ごしていただき、「おいしい料理と気持ちよいサービス」を提供してまいります。また、接客サービス力の向上に加えて、人員配置の適正化とロス低減のため、発注精度と食材管理を強化し、収益力と生産性の向上に取り組んでまいります。

⑤ 商品開発力の強化

 気候変動等による国内外の肉原料や農作物の調達リスクをコントロールすべく、食材仕入先の開拓を継続し、ファクトリー(自社工場)と子会社(株式会社松屋栄食品本舗)による仕入・商品開発・商品製造までを一貫して行う当社グループの強みを活かし、「ご馳走カンパニー」としての商品開発に取り組んでまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、経営理念「仲間の物心両面の幸福と社会の発展貢献」の実践により、「食」を通じて、地球に、社会に、地域に、人に優しいサステナブルな社会の実現と企業価値の向上を目指します。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、主体性を持って経営することをモットーとして常日頃から実践しており、全員経営、衆知経営、自主責任経営を徹底しております。その上で、コンプライアンスを重視し、コーポレート・ガバナンスを充実するために、株主を始めとするステークホルダーに対する経営責任と説明責任を明確にするとともに、収益力の向上と企業価値の増大を目指しながら、株主、取引先、従業員の物心両面の幸福をもたらすよう経営に努めております。

 なお、詳細につきましては、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。

 

(2)戦略

 当社グループは、肉原料や野菜、ステーキソースに至るまで、こだわった食材の調達力、商品開発力、自社工場で製造できる強みを追求し、製販一体による商品価値の向上によって当社グループのコンセプトである「ご馳走」を提供しております。そして、市場では流通しない不揃い品等の加工が必要な食材も使用することで、食材ロスの低減とともに低コストの仕入を実現しております。さらに、環境配慮モデル店舗の設置や使い捨てプラスチック製ストローの削減、沖縄県石垣島でのマングローブ植樹活動などの環境に配慮した取り組みを行っております。

 また、当社グループは従業員を仲間として大切に思い、人の成長を通じて会社の成長発展をしていきたい理念のもと経営しています。人材の多様性確保や人材育成に関し、性別や年齢、社会的身分等に関係なく活躍できる教育研修の仕組みや、各種社内制度を導入するとともに、一斉休業日の導入はじめ働きやすい環境を整備しております。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、リスク管理委員会を全社的なリスクを総括的に管理する部門とし、既存の「品質保証管理規程」、「災害対策規程」、「情報セキュリティ管理規程」等の徹底を図るとともに、必要なリスク管理規程を新たに制定しております。併せて、関連規程に基づきマニュアルやガイドラインを制定し、危機が発生した場合、事業の継続を確保するための体制を整備しております。

 なお、詳細につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、「お客様の立場で顧客創造し、仲間の物心両面の幸福と社会の発展貢献」という経営目的のもと、「ご馳走カンパニー」の実現による持続的な企業価値向上のため、「(2)戦略」の記載事項はじめとする各種取組みを行っております。

 

 なお、人材の多様性確保を含む人材育成等に関する指標及び目標につきましては、現時点では「非正規雇用労働者の正規雇用化人数」、「育児休業取得率」、「外国人従業員人数」等を念頭に、目標とすべき指標等を継続して検討しております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 外食業界の動向について

 当社グループの属する外食業界は、既に成熟した業界であり、市場規模の拡大は見込めない傾向にあります。併せて、中食業界の拡大等により、競争が激化しており、依然として厳しい状況が継続しております。また、外食業界は景気動向の影響を受けやすく、景気動向によっては業績が大きく左右されることが考えられます。

 当社グループといたしましては、食材へのこだわり、それを活かす商品開発、楽しい店づくり等により他社との差別化を図る方針であります。しかしながら、当社グループと同様のコンセプトを持つ競合他社の増加等により競争が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料価格の高騰について

 当社グループは豪州産牛肉を主に使用しており、国内の商社を通してメニューに使用する食材(部位)の必要量を確保しておりますが、豪州における干ばつ・洪水等の天候不順、為替相場の大幅な変動、セーフガードの発動による関税引き上げ等が発生した場合や、米国等でBSE等が発生し、牛肉輸入の代替先として豪州産牛肉が選定された場合は、同牛肉の仕入価格が上昇する可能性があります。その場合には仕入コストが増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、その他の食材についても、仕入価格の高騰、数量の確保が困難に陥った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 店舗展開について

 ①新規出店について

 当社グループは、東海地区、関東地区、関西地区、九州地区の1都2府12県下に154店舗を展開しております。当社グループは、今後も成長を継続させていくために関東・関西・九州地区への出店を強化するとともに、新たなエリアへの出店拡大にも取り組む方針であります。今後の出店において、当社グループの出店基準に見合う物件の確保が容易に出来ない場合や、出店拡大に関して人員確保や多店舗運営等に支障が生じた場合には、出店後に計画どおり収益が確保できない事態が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ②差入保証金について

 当社グループは、新規出店に際して、原則として自社物件の取得は行わず、賃貸物件による新規出店を基本方針としております。物件の賃借に当たっては、賃貸人に対して、差入保証金を差し入れた上で土地、建物を賃借しております。

 当社グループは、出店時に顧問弁護士の指導を受けて賃貸人と契約書を締結しており、出店後においては、賃貸人との良好な関係を保持してまいりましたので、現在までのところ閉店等に伴い差入保証金が回収できなかった事例はありません。

 しかしながら、今後、賃借物件の地主・家主の経済的破綻等により差入保証金等の一部又は全額の回収が不能となることがある他、店舗営業の継続に支障等が生じる可能性があります。また、当社グループの都合で賃貸借契約を中途解約する場合には、契約上の返済条件の規定から差入保証金等を放棄せざるを得なくなる場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ③店舗に係る損失について

 当社グループは退店基準に基づき、業績の回復が困難となった店舗、賃貸借契約期間が満了し契約更新が困難な店舗については、店舗の退店を行っております。店舗の退店が発生した場合には、賃借物件の違約金の発生や固定資産の除却損が発生いたします。

 また今後、商圏人口、交通量、競合店状況の変化によって店舗の業績が悪化した場合や、店舗閉鎖に伴い遊休資産が発生した場合には、減損損失を計上する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 「ブロンコビリー」業態への依存について

 当社グループの主力カテゴリーは、ステーキハウス「ブロンコビリー」の運営であり、今後も同業態を中心に規模を拡大していく方針でありますが、一方で、「ブロンコビリー」に次ぐ新規業態の開発を積極的に行い、多店舗化に向けた経営体制の確立を強化する所存であります。しかしながら、当社グループが提供する商品や展開する店舗等のコンセプトが消費者の嗜好に合わなくなった場合には、来客数が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、BSE、食肉商社の偽装等、牛肉に起因した問題が発生した場合には、複数業態を展開している外食事業者と比較して、業績に多大な影響を受ける可能性があります。そのため、当社グループのコンセプトが消費者の支持を得られなくなった場合や、特定の食材に起因した問題が発生した場合には、来客数が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 人材について

 ①人材の確保と育成について

 当社グループは、新規の店舗展開と既存店の店舗運営及び内部管理体制を強化するために、優秀な人材を確保していくことが必要であり、求人・採用活動のレベルアップ、採用後の従業員に対する研修等を含めた従業員教育の充 実、自己啓発の推奨等で、人材育成に取り組んでおります。

 しかしながら、人材の確保及び育成が当社グループの計画通りに進まない場合は、予定している店舗展開が未達成となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ②人件費について

 当社グループは、従業員のうちパートタイマーが多くを占めており、当社グループの出店エリアにおいて労働者数の減少や同業他社等の増加により労働需給が逼迫している地域があります。そのため、当社グループは時間給を引き上げることで、パートタイマーを確保せざるを得ない地域があり、人件費の増加要因となっております。

 当社グループは、既存のパートタイマーの業務処理能力を高めるために必要な教育を行い、定着率を高めるために労働環境の改善に引き続き取り組んでまいりますが、環境の変化によって人員の確保が困難になった場合、更なる時間給の引き上げが必要となり、給料や社会保険料等の負担増加等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 商品表示について

 外食業界におきましては、一部企業の産地偽装や賞味期限の改ざんが発生する等、食の安全性や信頼性に消費者の信用を失う事件が発生しております。当社グループは、事業規模の大きな信頼ある納入業者から仕入を行い、適正な商品表示に努めております。しかしながら表示内容に重大な誤り等が発生した場合、社会的信用の低下により来客数が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 特定地域に対する依存度について

 ①災害リスクについて

 当社グループは、主として東海地区、関東地区、関西地区、九州地区において、事業活動を行っております。いずれの地区も、今後その発生が予測されている南海トラフ地震の防災強化地域内に位置しております。将来、これらの地域で地震等の大規模災害が発生した際には、営業店舗及びファクトリー(自社工場)の損傷等による営業日数・営業時間の減少により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ②感染症リスクについて

 感染症の発生により地域経済の混乱、低迷による雇用環境の悪化及び個人所得の減少や外出自粛により来客数が著しく減少する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ③経済的ダメージによる消費環境の悪化について

 上記のみならず、何らかの理由により雇用環境の悪化及び個人所得の減少により来客数が著しく減少する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 法的規制等について

 ①食品衛生法について

 当社グループのファクトリー(自社工場)に関する主な法規制としては、「食品衛生法」があります。工場で製造しているハンバーグやステーキソース等に関して十分な品質管理等を実施しており、併せて万一の場合に備えて製造物責任賠償に係る保険に加入しております。

 しかし仮に、食品事故の発生等により、食品営業許可証の取消や営業停止処分等を含む行政指導を受けた場合、あるいは保険の補償範囲を超える多額の損害賠償金が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ②食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)について

 2001年5月1日に施行された「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」により、年

間100トン以上の食品廃棄物を排出する食品関連事業者は、食品廃棄物の発生量の抑制、減量及び再生利用を通じて、食品循環資源の再生利用等の実施率を向上させることが義務付けられております。

 当社グループは、年間100トン以上の食品廃棄物を排出する食品関連事業者に該当しており、現在食品廃棄物の内、廃油の回収、特定店舗での生ゴミの回収による生ゴミの堆肥化を進めております。

 しかしながら、同法の排出量削減の基準等が引き上げられた場合、新たな対応に伴う追加コスト等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ③パートタイマーについて

 当社グループは、従業員のうちパートタイマーが多くを占めております。今後、厚生年金、健康保険の適用基準が拡大あるいはパートタイム労働法による保険料負担の増加等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ④法令遵守について

 当社グループは、行動憲章の制定、コンプライアンス委員会の設置等、法令遵守体制の整備と研修を行っております。

 しかしながら、役職員等に法令違反が発生した場合には、社会的信用の低下により来客数が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 個人情報の管理について

 当社グループでは、店舗で行っている販促サービスとしての顧客情報と、お客様からのメールや電話等で取得した情報及び社員、パートタイマー等の個人情報を取り扱っております。当該個人情報の管理は、取得時は利用目的をあらかじめ説明し、取得後にはデータの漏洩、滅失又は毀損が発生しないように万全を期しております。

 しかしながら、何らかの理由により個人情報が漏洩した場合には、損害賠償請求の発生や社会的信用の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) BSE問題について

 当社グループの主要メニューであるステーキ・ハンバーグには牛肉が使用されておりますが、2001年9月にBSE

(牛海綿状脳症)に感染した牛が国内で初めて発見され、消費者の牛肉に対する不安感の増大から、当社グループを含め牛肉を食材として使用する外食業界は業績に多大な影響を受けました。また、2003年12月には米国内においてもBSEに感染した牛が発見され、一時輸入停止措置が講じられましたが、2006年7月には輸入が再開されました。

 当社グループは管理が行き届いた豪州産牛肉を主に使用しており、これまでのところ、同国内においてBSEに感染した牛は発見されておりません。しかしながら、今後、輸入原産地においてBSE問題が発生した場合には、牛肉の調達ができないことによる営業休止や調達コストの増加等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、「食を通じて人を幸せにしたい」という想いを込めて、「ご馳走カンパニー」の実現という長期ビジョンを掲げ、持続的な付加価値創造と企業価値向上に取り組んでおります。

 当連結会計年度(自2024年1月1日至2024年12月31日)の経営環境は、堅調な企業業績、雇用や所得環境の改善など、緩やかに回復してまいりましたが、為替相場の円安、原材料の価格高騰、物価上昇に伴う節約志向、消費マインド冷え込みの懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 外食業界におきましても、人流の回復に加え、インバウンド需要の拡大含め、外食需要は総じて堅調に推移いたしました。そして、人手不足の常態化とともに、人件費やエネルギー価格の上昇、継続する原材料価格の高騰や、物流の2024年問題に起因する配送費の増加が見込まれ、引き続き厳しい経営環境が続いております。

 

 こうした状況下、当社グループにおきましては、原料の調達幅を広げ、数量限定での高品質なお買い得ステーキの投入を加速させ、引き続き高付加価値商品の魅力を提供してまいりました。さらに、これまで冬季限定の福袋を夏季にも販売することで集客の改善にも努めてまいりました。また、従業員の採用と定着及び教育を着実に進めることで、お客様へ提供する商品サービスの品質を改善しながら客数増に努めてまいりました。

 そして、子会社の株式会社松屋栄食品本舗で製造を本格稼働した店舗向けソース・ドレッシングなど、ご家庭でもブロンコビリーを味わえるように、従来の冷蔵保存版ソース・ドレッシングに加え、常温保存可能な「ブロンコビリードレッシング」シリーズ4種を2024年12月から一部地域の量販店でも販売開始いたしました。また、松屋栄食品本舗で拡張された当社向けの製造ラインで更なる商品品質向上と店舗数増加に対応できるようにグループとしての生産体制を強化してまいりました。

 

 さらに、愛知県下で「かつ雅」等のとんかつ専門店を11店舗展開しております株式会社レ・ヴァンを子会社化したことにより、地元に密着したブランド力と実績は、当社の「とんかつ業態」の愛知県下での営業基盤を確固たるものにできるとともに、レ・ヴァンにおいても当社グループの食材調達力・工場加工力を活用することで収益力の向上に繋がると考えております。シナジー効果を発揮し「とんかつ業態」の成長基盤を固め、当社グループ一層の成長を目指してまいります。

 

 そして、店舗面では既存店の強化に取り組むとともに、「ブロンコビリー」の北関東初出店として群馬県に1店舗(前橋店)、その他、埼玉県に1店舗(東松山店)、愛知県に1店舗(稲沢重本店)、大阪府に1店舗(河内長野店)、兵庫県に1店舗(姫路飾磨店)の計5店舗を開店し、2店舗を閉店いたしました。また、新業態として居酒屋業態の「信貴や」を愛知県に1店舗開店いたしました。その結果、店舗数はステーキ・ハンバーグ業態「ブロンコビリー」139店舗、とんかつ業態「かつひろ」、「かつ雅」等14店舗、居酒屋業態「信貴や」1店舗のグループ合計154店舗となっております(2024年12月末日現在)。

 

 以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は245億20百万円(前連結会計年度末227億61百万円)となり、17億59百万円増加いたしました。その主な要因は、投資その他の資産の長期預金が10億円、新規出店等により有形固定資産が4億18百万円、原材料及び貯蔵品が2億85百万円増加し、流動資産の現金及び預金が2億61百万円減少したことなどによるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は44億46百万円(前連結会計年度末41億14百万円)となり、3億31百万円増加いたしました。その主な要因は、未払金が2億40百万円、未払法人税等が1億7百万円増加したことなどによるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は200億74百万円(前連結会計年度末186億46百万円)となり、14億28百万円増加し、自己資本比率は81.6%(前連結会計年度末81.5%)となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加と配当金の支払い等により利益剰余金が13億88百万円増加したことなどによるものであります。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の業績は、売上高266億17百万円(前年同期比13.9%増)、営業利益25億31百万円(前年同期比53.9%増)、経常利益26億円(前年同期比52.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益17億15百万円(前年同期比71.0%増)となりました。

 なお、当社グループは飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ7億12百万円増加し、当連結会計年度末には73億36百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は26億68百万円(前年同期比4.8%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を24億15百万円計上(前年同期比66.6%増)、減価償却費が8億75百万円(前年同期比0.7%増)、減損損失が1億76百万円(前年同期比22.4%減)及び法人税等の支払額が6億47百万円(前年同期比163.9%増)あったこと等によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は13億91百万円(前年同期比27.9%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が10億77百万円(前年同期比2.0%増)あったこと等によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は5億64百万円(前年同期比9.9%減)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が2億2百万円(前年同期比41.8%減)及び配当金の支払額が3億24百万円(前年同期比35.2%増)あったこと等によります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 仕入実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、「生産実績」に代えて「仕入実績」を記載いたします。

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

前年同期比

(%)

飲食事業(千円)

8,063,499

102.5

合計

8,063,499

102.5

(注)金額は、仕入価格によっております。

 

b. 受注実績

当社グループは一般消費者への直接販売を主としており、また、生産についても見込生産を行っておりますので、記載すべき事項はありません。

 

c. 販売実績

当社グループは、飲食事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績の内訳を地域別に記載しております。

なお、当社グループは一般顧客を対象とした店舗販売ですので、特定の販売先はありません。

地域別

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

直営店

 

 

東海地区

12,073,730

117.5

関東地区

9,129,569

111.2

関西地区

4,271,635

113.6

九州地区

619,666

111.2

その他

522,893

90.8

合計

26,617,496

113.9

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析

① 経営成績等

 財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」をご参照下さい。

 経営成績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」をご参照下さい。

 

② キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの概況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち、主なものは商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規出店、工場設備及びシステム関連投資等によるものであります。運転資金及び設備投資は自己資金にて調達しております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、当連結会計年度末の会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(店舗有形固定資産の減損処理)

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、高い収益性を維持し企業価値を向上させていくため、原価率の低減及びコスト管理に努めることにより、事業活動の成果を図ることができる、売上高経常利益率を経営指標として取り組んでおります。

 当連結会計年度における売上高経常利益率は、8.8%(経常利益23億20百万円)を計画し取り組み、計画より売上高が0.8%上回ったことにより、経常利益率は、9.8%と計画より1.0pt上回りました。

 当連結会計年度の業績は、売上高266億17百万円(前年同期比13.9%増)、営業利益25億31百万円(前年同期比53.9%増)、経常利益26億円(前年同期比52.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益17億15百万円(前年同期比71.0%増)となりました。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。