第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は創業以来、創意工夫を凝らし、新たな常識を創ることで様々な価値をお客様に提供してきたことに加え、地域におけるヘルスケアネットワークを構築するという想いで、お客様の「健康でいたい」、「美しくありたい」という想いに対してお応えし続けてまいりました。今後も、当社ならではの魅力的な商品・サービス、価値や体験を通して、お客様の想いを実現することが当社の役割であると考え、経営の基本方針として、グループ理念、グループビジョン及びグループスローガンを、更に深めて実現していく姿と捉え、変更せずに継続して以下のように設定しております。

 


 

 

(2)目標とする経営指標

当社は、「価値を共創し分かち合う」を基本的な考え方として、持続的な成長のために、その事業が持続的に稼げるかを優先的な評価軸とし、あらゆるステークホルダーと価値を共創し、その事業で獲得した収益を還元することを基本的な考えと捉えております。

この考えに基づき、アジアNo.1のドラッグストアとなり、美と健康の分野でのリーディングポジションの確立を目指すべく、グループ経営目標を以下のように設定しております。

 


<補足 – グループ経営目標に関して>

・売上高:

従来のグループ経営目標(2026年3月期)は、M&Aなどの連合体構想を含んだ目標値を設定しておりました。今回の新たなグループ経営目標では、オーガニックグロースによる売上高を明確にするため、連合体構想分を「+α」として分けて設定し、新たな目標値といたしました。

・EBITDAマージン:

当社の事業が生み出す中期的なキャッシュベースの収益力を示すものとして、新たな経営目標に設定しております。

・ROE(自己資本当期純利益率):

当社は、企業価値向上の重要指標にROEを掲げております。新たな計画では目標を10%以上から12%以上へと引き上げ、より高い収益力の向上、財務健全性と資本効率の両立を柱として、設定しております。

・配当性向(連結):

当社は、株主の皆様への利益還元を経営の最重要項目の一つと位置づけており、今後もより一層の充実を図るべく累進配当を基本に配当性向の新たな目標として30%から50%に引き上げております。

※ 累進配当:原則として減配をせず、配当の維持もしくは増配を行う配当政策

 

 

(3)経営環境

① 市場環境

わが国経済は、雇用・所得環境が改善し、景気は緩やかに回復している一方で、エネルギー価格や原材料価格の上昇による消費の減速懸念や、国際情勢不安も重なり、先行き不透明な状況が続いております。

 

② 競合他社の状況

ドラッグストア業界においては、業種・業態を超えた競合企業の新規出店、商勢圏拡大に向けた新たなエリアへの侵攻、M&Aによる規模拡大、同質化する異業種との競争、それらが要因となる狭小商圏化など厳しい状況が継続しております。

 

③ 顧客動向

少子高齢化や都市部への人口流入など社会構造が変化を続ける環境の中で、お客様のライフスタイルや嗜好・ニーズも常に変化し、多様化しております。そのような状況において、当社は、美と健康に対する感度の高いお客様に多くご利用いただいており、大都市圏を中心とした店舗とアプリ・ECを通して、高い価値を提供しております。

インバウンドに関しましては、新型コロナウイルス感染症の落ち着きとともに徐々に回復基調となり、大都市圏の店舗を中心に海外のお客様に多くご利用いただいております。また、訪日されていない海外のお客様についても、各国に展開する当社店舗や越境ECをご利用いただいております。

 

④ 法改正

今後、定期的に実施される調剤報酬及び医療用医薬品の価格(薬価)の改定により一定程度の影響を受ける可能性もありますが、引き続き調剤併設化の推進や技術料の獲得を進めることで、調剤事業の拡大と影響の最小化に努めております。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

当社は、少子高齢化、消費動向の変化や競合企業の新規出店・M&Aによる規模拡大など、常に変化する経営環境に対応し、持続可能な経営を実践していくため、経営の前提として、当社グループの成長を支える基盤となる「人間性尊重の職場」、「ガバナンスの充実・強化」、当社グループがさらに成長するための戦略となる「美と健康への貢献」、「地球環境の保全」と区分し、それに紐づくマテリアリティを4つに再整理し、当社グループが更に成長するための新たな3つの重点戦略と連動させ、推進しております。それぞれの内容は、以下のとおりです。

 


 

 

< 重点戦略 >

当社は、物価上昇や各種コスト上昇圧力の高まりや、業界で続く再編加速など、変化の激しい経営環境に対し、「価値を共創し分かち合う」という基本的な考え方に基づいた3つの重点戦略を、2031年3月期のグループ経営目標達成に向けて新たに設定いたしました。詳細は以下のとおりです。

 


当社を取り巻く経営環境は、国内の人口減少や価値観の多様化のほか、競合他社の再編加速や激しい出店攻勢など、依然として厳しい環境にあります。このような状況においてもお客様に選ばれ続ける企業を目指すべく、事業ドメインである美と健康の分野で当社にしか出来ない新しい価値をお客様に提供してまいります。

そのために、当社の強みである魅力的な商品・サービス、価値や体験、大都市圏を中心とした店舗網、そして1.5億超のお客様接点からもたらされるクローズドな情報などを活用し、ドラッグストアと調剤事業のシームレスな連携によるお客様の利便性向上と、当社ならではのBtoBを含む事業領域の拡張を進めてまいります。

 


当社のプラットフォームを支える基盤への投資を積極的に行うことで、収益の持続的な獲得を目指してまいります。具体的には、デジタル技術によるお客様の利便性追求と運営効率化、そして事業領域拡張に向けたシステム投資を積極的に図ってまいります。

また、大都市圏を中心とする重点エリアへの出店強化とM&A推進による事業規模の拡大、調剤併設化の推進、ASEANを中心とした新規国進出による海外事業の拡大を目指すほか、人的資本への投資として、従業員にとって働きやすい労働環境、働きがい・やりがいのある環境の整備や、プロフェッショナル、グローバル人材の継続的な育成と従業員エンゲージメントの向上を図ってまいります。

 


当社グループ理念・グループビジョンの実現と企業価値の向上に資する持続可能な経営に向け、大きく変化する経営環境における当社の取組むべき課題を捉え直すことで、マテリアリティを4つの区分に再整理いたしました。その取組みとして、ステークホルダーへの安定的な還元、コーポレートガバナンスの充実、環境・社会への対応(気候変動対応、地域医療サポート)、資本市場からの要請対応(資本コスト経営、最適資本構成検討)を行ってまいります。特定したマテリアリティは次のとおりです。

 


目指す姿   :人々の美と健康に対する課題を解決し、地域医療をはじめとする社会に

大きな安心と喜びを届ける会社

非財務KPI:グループ会員4,500万人

 


目指す姿  :従業員の身近で大切な人にも、働いてほしいと思ってもらえるような、

魅力的な会社

非財務KPI:従業員意識調査 3.94pt

 


目指す姿   :事業活動により排出するCO2排出量を実質ゼロにし、エシカル社会に

貢献する会社

非財務KPI:CO2排出量40%削減(2022年3月期比)、PB商品環境配慮型比率 60%

 


目指す姿   :規律ある経営を実現するマネジメントシステムを確立し、ステークホルダーと

向き合う経営を実践する会社

非財務KPI:独立社外取締役比率 50%以上

 

< キャッシュアロケーションの基本方針 >

中期経営計画の実現に向けたキャッシュアロケーションについて、2031年3月期までに獲得した営業キャッシュフローのうち、運転資本増加額を除くキャッシュを次の割合に基づき配分してまいります。

 

・成長投資(割合45%)

出店・改装、中小型M&A、人的資本・無形資産投資、海外事業、気候変動対応等

成長投資への配分割合を45%へ設定いたしました。更なる成長に向けて、既存事業の拡充として、出店・改装、中小型M&Aのほか各種アライアンス、新規事業、DX、人的資本、海外展開、気候変動対応などに優先して投資を実行してまいります。

 

・株主還元(割合45%)

配当、自己株取得等

より一層の充実に向けて株主還元への配分割合を45%へ設定いたしました。このうち、当社の配当政策については、株主の皆様への利益還元を経営の最重要項目の一つと位置付けております。そのため、当社では経営基盤の強化と収益力向上に努め、累進配当を基本として、配当性向(連結)50%、DOE(純資産配当率(連結))6%を目指します。また、自己株式の取得は、財務状況や株価水準などを勘案し、機動的に実施してまいります。

 

・財務基盤強化(割合10%)

有事対応等

既存事業拡大及び成長戦略への投資を支え、安定した収益基盤の構築を図るべく、投資規模や事業リスク拡大に応じて安定的に資金を確保します。

 


 

 

また、当社は引き続き、オーガニックグロースによる成長だけでなく、連合体構想の実現による規模拡大を図っており、その際には負債活用による資金調達も視野に入れて検討を進めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社の企業価値向上に資するサステナビリティは、「①顧客価値の最大化→②経済価値の創出→③適正な還元=社会・環境価値の創出」の好循環により、マテリアリティを解決し、世の中から必要とされる持続的な成長企業となることです。


 

①顧客価値の最大化

当社の事業活動は、お客様への付加価値の高い商品の提供に加え、お客様の「美と健康」を思い、応援している、心のこもった情報の提供や、デジタルを駆使した新たな買い物体験の提供など、人々の「美と健康」に対する課題解決に寄り添うことで、様々な価値を感じていただいております。

 

②経済価値の創出

当社は、そのように人々の「美と健康」に対する課題解決に寄り添うことで、人々に様々な価値を感じていただき、その結果として、経済価値を得ることができています。この価値は、様々なものがありますが、例えば、店舗での接遇で得られた当社従業員の経験や知識、当社グループのファンの証ともいえるグループ会員への登録、国内外を問わず商品やサービス利用者からのコメントなどによる「マツキヨココカラ」の認知度の向上やブランディングの強化、そして、売上・利益となるお金など、様々な対価を経営資源として得ることができています。

 

③適正な還元=社会・環境価値の創出

当社は、こうして得られた経営資源を、お客様、株主・投資家様、従業員、お取引先様、地域社会、地球環境、あらゆるステークホルダーの皆様へ適正に分かち合い、還元することにより、社会・環境価値を得ることができています。

 


 

 

当社は、「人々の美と健康の課題を解決するという本業を通じて、社会に貢献することで、社会と当社、双方の持続可能性を向上させる」一連の好循環が、企業価値向上に資するサステナビリティと考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

(1)推進体制(ガバナンス) 

当社は、持続可能経営の推進を図るため、「サステナビリティ委員会(構成:代表取締役社長(委員長)をはじめ、常勤取締役及び監査役、当社の全部門長、その他委員長の指名者)」を設置し、当委員会を中心に次のように実践します。

 

意思決定・監督

① マテリアリティを特定します。

② マテリアリティに紐づく目指す姿やKPIを設定します。

執行

③ 各目指す姿やKPIの達成に向けて各部門が執行します。

管理・報告

④ サステナビリティ委員会は、各目指す姿やKPIの進捗レビュー・モニタリングし、マテリアリティ及び各目指す姿やKPIを再評価します。

⑤ 上記の持続可能経営の実践サイクルの状況は、サステナビリティ委員会より、定期的に取締役会へ報告・提言します。

 

持続可能経営の実践サイクル

 


 

 

 

 

 

(2)持続可能な社会の実現に向けた価値創造プロセス(戦略・目標)

当社は、人々の美と健康の課題を解決するという本業を通じて得た経済価値を、人権や地球・環境、社会、ガバナンスにおける課題解決に向けて、適正に還元することで、社会と当社の双方の持続可能性を向上させる持続可能な経営を実践していくことで、企業価値を創造してまいります。

 

〇当社経営の4つの前提

当社は、グループ理念、グループビジョンの実現に向けた経営の前提として、当社グループの成長を支える基盤となる、「人間性尊重の職場(人間・人権:Human)」、「ガバナンスの充実・強化(ガバナンス:Governance)」、そして、当社グループが更に成長するための戦略となる、「美と健康への貢献(社会:Society)」、「地球環境の保全(地球・環境:Environment)」を特定し、これら「H・E・S・G」のサイクルにより、当社の企業価値を創造してまいります。

 

〇当社の4つのマテリアリティ

当社は、2021年の経営統合時に特定した5つのマテリアリティを、特定から経過した時間と新中期経営計画の策定による未来との整合の観点から見直しました。

その結果、従前のマテリアリティでも重要課題は網羅されており、変更の必要はないことを確認した一方で、未来との整合を踏まえ4つに見直しました。そして、それに紐づく目指す姿と主なKPIを設定しております。

 

<マテリアリティの主な変更点>

主な変更点は次のとおりです。

1つ目は、マテリアリティの発展的統一として、新中期経営計画におけるプラットフォーム構想は、より多くの人々の「美と健康」の課題解決にむけて、接点やつながりを実現し、社会プレゼンスを高める必要があるため、従前の「お客様」や「地域医療」の概念を更に拡げ、「社会の美と健康を考える」へ変更しております。

2つ目は、新たな重点戦略「社会貢献・還元」の実現には、本質的なガバナンスの実践が必須になると考えており、当社の強い意志も反映すべく、「ガバナンス・コンプライアンスの充実」を「ガバナンスの実効性」へ変更しました。なお、「コンプライアンス」は、ガバナンスの構成要素となることを考慮し、言葉としては外れておりますが、ガバナンスの実効性を高めることにより、コンプライアンスを一層強化する位置づけとして整理しております。

 

経営の前提

美と健康への貢献

(社会:Society)

人間性尊重の職場

(人間・人権:Human)

地球環境の保全

(地球・環境:Environment)

ガバナンスの

充実・強化

(ガバナンス:Governance)

マテリアリティ

社会の美と健康を

考える

従業員の成長

地球の健康を

考える

ガバナンスの

実効性

目指す姿

人々の美と健康に対する課題を解決し、地域医療をはじめとする社会に大きな安心と喜びを届ける会社

従業員の身近で大切な人にも、働いてほしいと思ってもらえるような、魅力的な会社

事業活動により排出するCO2排出量を実質ゼロにし、エシカル社会に貢献する会社

規律ある経営を実現するマネジメントシステムを確立し、ステークホルダーと向き合う経営を実践する会社

 

主なKPI

目標時期

2030年度

・グループ会員数4,500万人

・従業員意識調査 3.94P

・CO2排出量40%削減(2021年度比)

・PB環境配慮型比率60%以上

 

・独立社外取締役比率50%以上

主な取組み

・戦略的出店エリアへの選択と集中

・DXによる利便性追求と運営効率化

・連合体構想に向けたM&Aや業務提携

・健康管理と健康投資の充実/労働環境の整備

・人的資本に投じた投資対効果の可視化

・多様な人材活躍に向けた継続的・計画的育成

 

・スコープ1・2の削減計画の実現 ‐次世代車への切替え、再エネ電力の調達

・スコープ3の削減計画の検討・実行

・株主還元の充実/政策保有株式の解消

・IR/SRを経た情報開示の進化

・情報セキュリティ・デジタルリスク対策強化

 

 

(3)TCFD提言(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同

当社は、持続可能な経営の実践に向け、マテリアリティのひとつに「地球の健康を考える」を掲げております。気候変動への対応を重要な経営課題として認識し、環境負荷を低減し、地球の健康を維持するため、当社グループだけでなくステークホルダーの皆さまと繋がりながら、低炭素社会への貢献・当社PB商品の環境配慮型へのシフト・事業を通じたエシカル消費の普及など、取組みを進めております。

地球温暖化による気候変動が全世界的な課題である現在、当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同し、TCFDが推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」について次のとおり設定いたしました。環境負荷低減に継続して取組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

 

① ガバナンス

当社は、事業活動を通じて持続可能な社会への貢献を目指し、代表取締役社長を委員長として、常勤取締役、常勤監査役、全室長が委員として構成する「サステナビリティ委員会」(年4回開催)を設置しております。

同委員会を中心に次の体制により、気候変動への対応を推進してまいります。

機関及び部門

役割

取締役会

・サステナビリティ委員会の監督

・気候変動にかかる重要方針や事項の審議・意思決定

サステナビリティ委員会

・気候変動対応の執行状況の進捗管理、報告

・取締役会への報告、提言(年4回・必要に応じて適宜)

・気候変動対応にかかる各分析や対策等の審議・評価

総務企画室(同委員会事務局)

及び関係各部

・気候変動に関するリスクと機会の分析

・事業戦略への影響の把握

・気候変動の緩和や適応につながる対策検討及び情報開示

 

 

② 戦略

気候変動に伴うリスク及び機会は、GHG(温室効果ガス)排出に関する規制等の低炭素社会への「移行」に起因するものと、気象災害の激甚化等の気候変動による「物理的」変化に起因するものが考えられます。当社では、これらのリスクや機会による影響を次のとおり整理しております。

当社は、グループの小売事業を中心にリスクと機会について、IEAのNZEシナリオ及びIPCCが想定するシナリオに基づき、炭素価格の導入や電力価格の上昇による店舗コストの増加、気象災害の激甚化による当社への影響分析を行っております。

区分

リスク

財務影響

移行

炭素価格の導入・引き上げ、GHG(温室効果ガス)排出規制強化

・店舗運営コストの増加

・原材料調達コストの増加

・製造コストの増加

約35億円(年間)

※カーボンプライシング制度導入による影響額を記載しております。NZEシナリオに基づき炭素価格1t当たり140ドルで算出しております。

電力価格の上昇

・エネルギーコストの増加

・原材料調達コストの増加

・製造コストの増加

フロン規制強化

・店舗のノンフロン設備等への投資コストの増加

約8億円(年間換算)

※対象店舗数に1店舗当たりの平均設備投資額を500万円として算出しております。

プラスチック規制強化

・プラスチック規制に対応した代替原材料の調達コストの増加

当社グループの事業及び財務への影響がやや大きくなることが想定される。

消費者思考の変化

・環境配慮への遅れによるブランドイメージの低下

当社グループの事業及び財務への影響が軽微であることが想定される。

物理的

気象災害の激甚化

・価値創造の源泉となる従業員の被害

・店舗自体への被害、店舗休業による売上の減少

当社グループの事業及び財務への影響がやや大きくなることが想定される。

平均気温上昇

・店舗における電気使用量の増加

約7億円(年間)

※空調・冷蔵設備の電力使用量に対し増加率10%で算出しております。

 

 

 

区分

リスク

財務影響

機会

炭素価格の導入・引き上げ、GHG(温室効果ガス)排出規制強化

・低排出量エネルギー源使用による炭素価格増加時の運営コストの削減

約17億円(年間)

※CO2排出量削減率50%及びNZEシナリオに基づき算出しております。

省エネルギー設備投資

・低排出量エネルギー源使用による電力消費の削減

約12億円(年間)

※省エネルギー設備導入可能店舗比率及び使用電力量削減率30%で算出しております。

消費者思考の変化

・環境配慮型商品・サービスの開発による売上の増加

約18億円

※2030年度の売上高目標、PB商品売上高構成比及びPB商品環境配慮型比率におけるKPIを全て達成した前提で、かつ売上増加率2%として算出しております。

 

 

③ リスク管理

現在、当社における気候関連リスクは、当社のリスク管理の一環で実施するリスクアセスメントの項目に「気候変動リスク対策の遅れ」として組み込み、全社リスクのうちの一つとして統合し管理しております。また、当社は、マテリアリティとして「地球の健康を考える」を特定しており、そのリスクの優先度を高めております。

 当社は、②戦略に記載のリスクと機会を、サステナビリティ委員会の事務局となる総務企画室とその関係する部門にて、引き続き分析を進めてまいります。その結果や対策は、サステナビリティ委員会にて審議し、同委員会より取締役会へ報告します。この結果を踏まえて、必要に応じて社内のリスクアセスメントの項目を更新し、他のリスクと同様に社内のリスクマネジメント実施計画に則り執行するというプロセスを実践してまいります。

 

④ 指標及び目標

当社はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、ガバナンス、戦略、リスク管理について公表しております。当社のマテリアリティ「地球の健康を考える」に紐づく各目標として目指す姿を2050年度グループ全体(店舗・オフィス含む)でCO2排出量実質ゼロ、PB商品環境配慮型比率100%を目指し、エシカル社会に貢献する会社となります。また、KPIを2030年度グループ全体(店舗・オフィス含む)でCO2排出量40%削減(21年度比)、PB商品環境配慮型比率60%以上、サプライチェーン全体での省エネルギー・省資源化の推進してまいります。

評価機関「CDP(気候変動)」に情報開示し、第三者として評価をしていただき、気候変動への取組みは2年連続で「B」評価を獲得しました。

具体的な対応は、サステナビリティ委員会にワーキンググループとして、タスクチームを設置し、当チームを中心に、気候変動が当社に及ぼす影響を分析してまいります。

 

(4)人的資本に関する「戦略」並びに「指標及び目標」

当社グループは、グループ理念に基づきグループビジョン・グループ経営目標を達成するために、組織・人材戦略を経営上の重要テーマと捉え、人的資本の価値を最大限にするよう努力しております。なぜならば、事業戦略の実行や、デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革するのも全て人が行うものであり、従業員の理解や納得が得られたときに価値を最大限にできると認識しているからです。

本編においては、当社グループの人的資本経営の考え方と変化、従業員に対する思いと実績を次の3つに分けて説明させていただきます。

・《人権尊重、多様な人材が活躍できる職場》

・《働きやすい労働環境、働きがいのある会社》

・《従業員等の健康管理、健康投資》

 

 

《人権尊重、多様な人材が活躍できる職場》

① 女性管理職比率

従業員のキャリアサポートを支援する専門部署であるキャリア支援課の責任者に、海外事業会社で代表取締役社長を経験したプロパーの女性従業員が着任しております。キャリアパスが浸透した影響により、本社で勤務する女性従業員が増加しております。キャリア支援課と各部門が一体となり、管理職への育成や登用を進めてまいります。

職場環境の整備も進めており、仕事と育児の両立が図られるように次の制度を導入しております。

・1日4時間まで休憩が取得できる「フレキシブル育児・介護休憩制度」

・始業・終業時間や休憩時間を一定のルール内で設定できる「育児スーパーフレックスタイム制度」

また、当社グループでは女性の積極的な登用を目的として、チャレンジ店長制度(注1)を導入して多くの店長を育成しております。グループ内の調剤薬局の店舗数が、1,000店舗を超える規模に拡大しております。ドラッグストア店舗に限らず、調剤薬局でもチャレンジ薬局長を積極的に登用し、2025年度末にはKPIの25.0%達成を目指しております。

(注1)チャレンジ店長制度:教育担当及び近隣店舗のトレーナー店長によるサポートのもと、店長候補者に店長を実体験させながら店長業務を習得させて店長に昇進させる研修制度

 

女性管理職比率の実績と目標(%)


※参考情報:2023年度全国平均 12.7%

 

当社グループとして、女性をはじめ多様な人材が活躍できる職場環境の整備に取り組んだ結果、次の主要な 小売事業会社で「えるぼし3段階」(注2)の認定を得ています。

株式会社マツモトキヨシ

株式会社ココカラファインヘルスケア

株式会社マツモトキヨシ甲信越販売

株式会社愛安住

株式会社マツモトキヨシ九州販売

株式会社MCCソレイユ

株式会社マツモトキヨシ中四国販売

(2024年度新規取得)

 

 

 

また、「えるぼし2段階」の認定を次の事業会社で得ております。

株式会社マツモトキヨシ東日本販売

(2024年度新規取得)

 

 

 

引き続き、グループ全体に好事例を共有してまいります。

(注2)女性の活躍推進状況に応じて認定される制度

 


 

② 男女間賃金差異

社会問題として取り上げられることが多い男女間賃金差異について、当社グループ実績は全従業員ベースで2023年度52.5%から2024年度54.1%と高まりました。正規雇用労働者、パート・有期労働者ともに高まりましたが、優秀な人材の非正規社員から正規社員への登用や、管理職への登用が進み、賃金差異は毎年高まっています。

2022年度に導入された特定目的型の週休3日制度により、働き方の選択肢が増加し、生活の変化に応じた働き方やワークライフバランスの改善につながっております。多様な人材が多様な働き方で活躍できる環境の整備につながり、男女間の賃金格差の是正につながっております。

 

男女間賃金差異:男性労働者の平均給与を100としたときの女性労働者の割合


 

週休3日制利用人数


 

 

週休3日制利用イメージ


 

③ 障がい者雇用率

障がいの有無に関わらず「誰もが生き生きと働き続けられる企業」を目指し、多様な人材が能力を発揮できる新しいワークスタイルを創造し、企業や社会に貢献できる事業を推進するために特例子会社「株式会社MCCソレイユ」を設立しております。

店舗では期限チェックや清掃、本社では経理作業補助、郵便物の仕分けや印刷業務、物流センターでは商品仕分け業務など、幅広い業務を受託し、障がい者雇用を促進してまいりました。経営統合した2021年度の雇用率は2.30%でしたが、全国3,400を超える店舗網と各本社支社における雇用が進んだ結果、2024年度には障がい者雇用率が2.58%(法定雇用率2.50%)に上昇いたしました。

2026年7月には、障がい者の法定雇用率が2.70%に引き上げられることが決定しています。当社グループでは、全国各地の店舗・薬局において、従業員が営業や接客に集中できる環境を整備するため、店舗運営支援チームを増設し、更なる活躍の場を提供いたします。その一環として、店舗運営支援チームのチームリーダーを社内公募し、厳正な審査を経て計15名を登用いたしました。

引き続き、業務の幅を広げながら多様な人材が多様な活躍ができる環境を、整備してまいります。

 

④ 高年齢者再雇用

株式会社MCCソレイユと同じく機能会社の「株式会社MCCアソシエ」は、グループ内における優れた人材を多方面で活用することで、持続可能な地域社会の実現に貢献すべく事業を展開しています。一般労働者派遣事業・有料職業紹介事業に加え、定年を迎えた従業員を再雇用し、グループ内のドラッグストアや薬局、事務部門などへ派遣し、優秀な人材が長く活躍できる環境を提供しています。働きやすい労働環境と働きがいのある会社を実現するため、グループ従業員との面談も行っています。現場のニーズや課題を正確に把握し、その解決に取り組むことで従業員のやりがいを創出しております。

店舗支援事業では、グループ内の人材を活用し、一部店舗にて主に商品陳列業務を請け負っています。2023年4月には、ドライバーとしての機能を有するデリバリー課が新設され、拡大する店舗宅配業務の支援を行っています。労働者減少という社会課題の解決に直面する中、株式会社MCCアソシエは2025年度には店舗支援事業において3,000名を超える従業員が活躍しています。今後も引き続き事業の多元化に挑戦し、グループ内外の人材の適材適所への貢献を通じて、あらゆる人材が活躍できる環境を整備してまいります。

 

 

《働きやすい労働環境、働きがいのある会社》

① 従業員意識調査

経営統合後における従業員の意識や職場の現状を把握するため、従業員意識調査を毎年実施しています。経営統合1年目の調査では、5.00P満点3.40Pでした。しかし経営統合3年目となる2024年5月の調査では、3.45Pと上昇しております。2024年5月調査では、グループ全体で23,071名から回答を得ており、回答率は98.9%と高い水準を維持しています。

前回調査結果を踏まえ、年度の節目における経営層からのメッセージ配信に加え、賞与支給やベースアップのタイミングにおいてもメッセージを配信することで、従業員の帰属意識や一体感の醸成、そしてモチベーション向上につなげてまいりました。さらに労使共同施策として、グループ各社の経営層と従業員が自由闊達に意見交換できるコミュニケーション集会を都道府県別に実施し、グループ間の垣根を越えた交流を促進しています。

今後、グループ各社の経営層やマネジメント層が積極的に従業員とのコミュニケーションを図り、成功事例を全事業会社に水平展開することで、グループ全体の従業員満足度向上を目指して取り組んでまいります。

 

従業員意識調査結果(5.00P満点)


 

② 男性育児休業取得率

少子化対策と多様な働き方につなげるために、男性育児休業を推進しております。当社グループとして、ロールモデルの情報発信や育児休業前に面談を実施し、安心して復職することができることを共有しております。取組により、2024年度の取得率は54.1%と前年度から4.1%上昇し、平均取得日数は45日間と前年度から7日長くなりました。(厚生労働省発表:2023年度全国平均取得率46.2%)

2025年度を期日とする目標として50%を掲げておりましたが、2年前倒しで達成しております。取得率だけでなく、取得日数も長くなっております。男女問わず育児休業の取得を当たり前とする意識が浸透しております。

引き続き、夫婦がお互いに協力しながら育児できる職場環境の整備に取組んでまいります。

 

男性育児休業取得率(%)


※参考情報:厚生労働省発表 2023年度全国平均 46.2%

補足:2024年度全国平均はまだ公表されておりません

 

③ 身だしなみ基準の自由化

2024年10月から、『身だしなみ基準を自由化』しました。実際の運用開始に先立ち、3ヶ月のトライアル期間を設け、その期間中に寄せられた多くの従業員の声をマニュアルにして周知・開始いたしました。

運用開始以降は、髪型や髪色、髭、化粧・メイク等を通じて、自分らしさを表現する場が広がり多様性がより深化しました。多様性が広がり、従業員がより輝き、前向きに業務に当たることで、お客様・患者様・ご利用者様により良いサービスの提供に繋がっています。

身だしなみ基準の自由化により、多様性を受け入れる環境が促進され、企業価値の向上につながっています。

 

④ アスリート支援プログラム

従業員が健康で働き続けられることは、従業員自身とご家族にとって幸せなことであり、会社の持続的な成長にもつながると考えています。さらに、従業員一人ひとりの才能を活かして、自らの夢と掲げた目標に向かってチャレンジを継続していることが、健康維持・増進や従業員の健康への取組の模範となると考え、社内制度として「個人アスリート支援プログラム」を運用しています。

デフサッカー・デフフットサル日本代表選手をはじめ、ポールスポーツ競技で世界大会出場選手、トレイルランニングで年代別世界ランキング1位の選手、女子ボクシングで2021年東京オリンピック女子フライ級銅メダル獲得の選手と、世界で活躍する総勢4名のスポーツアンバサダーを支援しております。

本年は、東京2025デフリンピックやデフフットサルワールドカップが予定されており、スポーツアンバサダーの更なる活躍が期待されます。

 

《従業員等の健康管理、健康投資》

持続的な成長のためには、従業員の健康が不可欠です。お客様にとって最も親切なお店であるためには、まず働く従業員の健康が前提となります。

 

① マツキヨココカラ&カンパニー健康宣言

「グループ理念」に基づき、お客様の健康のために奉仕し、健康増進をサポートするためには、従業員自身が健康であることが不可欠です。健康でなければ、お客様にとって最も親切なお店になることはできないと考えております。

当社は、会社の成長を支える従業員とご家族の心身の健康を重要な経営資源の一つと考え、健康維持・増進に対する積極的な支援と組織的な健康づくりの推進により、従業員一人ひとりがいきいきと豊かで健康な社会生活を営みながら、地域医療及び経済の発展に貢献する企業を目指します。

 

健康経営の推進体制

 

従業員の健康管理を推進するため、代表取締役社長を責任者とする「健康管理推進タスクチーム」を設置し、健康管理を経営の視点から考えて戦略的に実践しています。

また、2023年12月にウエルネスサポートセンターを設立し、2024年4月には部レベルに組織を変更しました。自社内の保健師を増員したうえで、健康保険組合・安全衛生委員会・労働組合ともさらに連携を強化し、健康経営を推進しております。

 

 


 

 

 

健康経営の取り組みに対する評価

 

当社グループの健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践する健康経営の取り組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に6年連続で認定され、また「大規模法人部門」に認定された3,400法人のうち上位500位内である「ホワイト500」として、初めて認定を受けました。

 

 


 

② 健康診断受診率及び特定保健指導実施率

生産性の向上につながるパフォーマンスを発揮するため、心身の健康は不可欠です。心身の健康状態を知る上で、健康診断は欠かせません。健康診断の受診を促し、受診率は100.0%を達成しております。

また、測定データと健康保険組合の各種データを活用し、特定保健指導を実施しております。いわゆるメタボリックシンドローム該当者またはその予備群の従業員に対して、専用アプリを用いて日常生活における運動(歩数、消費カロリー等)や体組成(体重など)、循環(血圧など)などを計測・記録して、日々の健康状態を管理しております。

日々の健康状態のデータと過去のエビデンスデータを組み合わせ活用した特定保健指導が行えるように、当社グループの管理栄養士に対し、継続的な研修を実施してきました。その結果、2024年度の実施率は49.8%と前年度から12.0%上昇いたしました。従業員の健康維持だけでなく医療費の削減につながるため、引き続き「持続可能な生活改善」に重点を置いた支援を行い、リバウンドや再始動となる方の削減を目指します。なお、当社グループ外からの保健指導も受託しており、管理栄養士の職域の拡大にも取組んでおります。

 

特定保健指導実施率の実績と目標(%)


※参考情報:2024年度の健康診断結果を用いた特定保健指導を継続実施しております。

 

 

ストレスチェック及びプレゼンティーズム

健康状態は、身体ばかりでなく心も重要な要素です。2022年度以降、従業員に対してストレスチェックを実施しており100.0%の実施率となっております。ストレスチェックの実施だけではなく、集中力や意欲といったパフォーマンスが低下する状態を把握すべくプレゼンティーズムを踏まえた集団分析を行っておりますが、2024年度のプレゼンティーズムの結果は23.2%と前年度から0.8%低下しました。

健康維持、増進活動に対する支援の一環として、2024年7月に保健師による健康相談窓口を開設して、心身の不調や健康診断結果に関する疑問や不安など、健康に関する課題に対して相談できる環境を整備しております。健康相談窓口では、電話やオンラインを使用した相談だけではなく、オフィスで対面相談も実施していますので、ストレスチェックとプレゼンティーズムのスコアを確認して従業員が自ら相談できる環境を整備することで健康に対する意識を高めてウェルビーイングの向上を目指してまいります。

 

プレゼンティーズムの実績と目標(%)


 

現在、企業経営における「人的資本経営」の重要度は加速度的に高まっています。同時に、企業における取り扱う商品やサービスは同質化が進んでおりますので企業が持つ特徴は、従業員が持つコミュニケーション能力、チームワーク能力、問題解決能力、独創性、ストレス耐性への依存度が高まっています。更には、働く人の仕事に対する意欲が多様化していく中、モチベーションを高め、企業のミッション実現へと導いていくことが、企業の重要な役割へとなってきました。

当社グループは、グループ理念の「未来の常識を創り出し、人々の生活を変えていく」とグループビジョン「美しさと健やかさを、もっと楽しく、身近に。」を理想とする姿として少しでも近づけるよう様々な施策を講じて人的資本経営を後押ししてきました。毎年、人的資本に関する情報をまとめて振り返りを行っておりますが、その都度人的資本経営の目指すべきことは企業としての社会的役割・存続意義の実現であり、そのための源泉は「従業員エンゲージメント(企業と従業員の相互理解)」の向上であることを認識しております。

これからもミッションの実現に向けて様々な変化を起こしていきます。同時に、従業員エンゲージメントの測定を通じて従業員と対話し、相互理解の状態を実現し続けることで、当社グループ一丸となって成長してまいります。※データは全て連結会社(国内)の実績を使用しております。

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには以下のようなものがあります。

ただし、文中の将来に関する記載は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、以下の記載は必ずしもすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。

なお、各リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響については合理的に予見することが困難であるため記載しておりませんが、当社グループはこれらのリスクに対する管理体制を「第4提出会社の状況 4コーポレートガバナンスの状況等」に記載のとおり整備し、リスクマネジメント活動を行っております。

 

(1)事業環境に関するリスク

① 競合状況の発生、競争の進化について

当社グループは、同業のドラッグストアに加えて、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ディスカウントストア等の小売業や、ネット通販等の店舗を持たないeコマース企業とも競合しています。これらの企業との競争が激化することにより当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、これらの企業との競争のために、各種販売促進策、PB(プライベートブランド)商品を含む商品・サービスの品揃えの強化や品質の向上、多様な店舗フォーマットの開発やデジタル・マーケティングの推進を実施しています。

 

② インバウンド需要について

当社グループの店舗をご利用される外国人観光客は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行以前の水準まで回復しつつありますが、今後もこれらの国における政治・経済情勢や自然災害・伝染病等の発生によって、日本への渡航規制等による訪日外国人の減少が起きた場合には、インバウンド需要が減少して当社グループの事業計画や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法的規制について

ⅰ)許認可・免許等に関する規制等について

当社グループは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「医薬品医療機器等法」という。)」に基づき、医薬品、医療機器等を販売するための店舗販売業許可、薬局開設許可、高度管理医療機器等販売業許可等が必要であり、医薬品等の販売や陳列等についても広く規制されております。介護事業については、介護保険法に基づく居宅介護支援事業者指定、訪問介護(介護予防)指定等を受けております。その他にも労働関連規制、個人情報保護規制等様々な法規制の適用を受けています。そのため、これらの法規制の改正及び予期し得ない処罰・訴訟の提起による対応コストの増加、社会的信用の低下等により当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ⅱ)出店に関する規制等について

当社グループは、1,000㎡超の店舗の新規出店及び既存店の増床等について、「大規模小売店舗立地法」による規制を受け、都道府県知事(政令指定都市においては市長)への届出が義務付けられています。また、「大規模小売店舗立地法」の規制に準じて、地方自治体との調整が必要になる場合があります。このため、新規出店及び既存店の増床等において、出店地域によっては出店政策に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 薬剤師等の確保について

医薬品医療器等法上、薬剤師が薬局を、薬剤師又は医薬品登録販売者が店舗販売業の店舗を、実地に管理しなければならないとされ、また、医薬品の販売は薬剤師又は医薬品登録販売者が行わなければならないとされています。更に、「薬剤師法」では、調剤業務は薬剤師が行わなければならないとされています。このため、店舗展開においては薬剤師及び医薬品登録販売者を確保することが重要となり、十分に確保できない場合には当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、雇用条件や職場環境の改善等を行うとともに、積極的な採用活動を通じて安定した人材確保に努めています。

 

⑤ 人材の確保と育成について

代表取締役をはじめとする取締役及び従業員は、当社グループ経営に重要な役割を果たしています。取締役等の経営幹部が業務執行できない事態が生じた場合、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

従業員については、事業拡大に応じた、人材の確保、育成、教育を行っていますが、他社からの引き抜き等により人材確保が十分にできなかった場合には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、優れた人材を確保することによる採用コスト・人件費の増加や、従業員の育成において継続的に研修コストの増加が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 調剤の事業環境について

調剤業務における売上高となる、医療用医薬品の価格(薬価)と調剤報酬は法令により定められています。今後、薬価基準や調剤報酬の改定が行われた場合、また医薬分業率が変動するなど外的環境が著しく変化した場合には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、将来の社会保障、法改正を見据え「専門医療機関連携薬局」への対応や「地域包括ケアモデル」の拠点拡大を進めます。

 

(2)事業運営に関するリスク

① 医薬品の販売について

当社グループの店舗のうち、調剤専門薬局及び調剤併設店舗においては、調剤監査システム導入等の万全な管理体制の下、調剤過誤の発生防止に細心の注意を払っています。また、要指導医薬品及び一般用医薬品についても、販売時における適正な情報収集と情報提供を行い、正しい服用方法、濫用防止に努めています。

しかしながら、調剤薬の不具合や調剤過誤等により、将来、訴訟を提起されるようなことがあった場合には、経済的損失を被るだけでなく、当社グループの社会的信用を損なう等の理由により、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 商品の安全性について

近年消費者による、商品の安全性に対する要求が一段と高まっております。今後品質問題等により商品の生産・流通に問題が生じた場合及び当社グループが販売する商品に問題が生じ社会的信用を低下させた場合には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、お客様・患者様からの信頼を高めるため、品質管理・商品管理体制を引き続き強化してまいります。

 

③ PB商品について

当社は、PB商品の開発・販売を行っています。開発にあたっては消費者ニーズの分析や販売動向の予測を行い、新商品の開発や商品力の強化を進めています。また、関係法令を遵守し、取引先を含めた品質管理の徹底、外装やパッケージ等の表示・表現等の適正化を図っています。

しかしながら、当社PB商品に起因する事故等が発生した場合や、PB商品が消費者ニーズに合致しなくなった場合には、当社に対する信頼の低下、売上高の低迷等により、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 店舗展開について

出店候補地については、同業のドラッグストアだけでなく、他の小売店や飲食店等との競合が発生し、思うように確保できない場合があります。また、出店交渉の進捗状況、賃貸人側の事情、「大規模小売店舗立地法」に基づく届出の進捗等により着工が遅れる場合もあります。このような場合、出店遅延や出店計画の変更などの発生により、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、店舗賃貸借契約においては、敷金や保証金、建設協力金等の預託・貸付を行うことがあります。与信には十分な注意を払っていますが、賃貸人が倒産等の状況に至った場合、敷金や保証金、建設協力金等を回収できなくなることにより、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 情報漏えい、システム障害等について

当社グループは、「個人情報の保護に関する法律」に定められている個人情報取扱事業者として個人情報の取り扱いに係る義務の遵守が求められます。当社グループにおいては、膨大な会員情報や調剤に関する情報等の個人情報を保有しているため、内部管理体制の強化を図り、個人情報の管理については細心の注意を払っています。同様に、当社グループは様々な機密情報を保有しているため、情報ネットワークやシステムには安全対策を施していますが、外部からの不正アクセスやコンピューターウイルスによる攻撃、従業員その他の関係者の悪意又は過失による流出といった事態により、これらの情報が漏えいした場合は、損害賠償請求や社会的信用の低下等により、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、何らかの理由により情報システムや物流システムに障害が発生した場合には、店舗での営業、その他重要な業務やサービスの停止等を引き起こし、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 保有資産の価値の変動について

当社グループは、店舗をはじめとする事業用の資産や企業買収の際に生じるのれん等の様々な有形・無形の資産を保有しております。これらの資産について、店舗の収益性及びその他事業環境の変化等により、減損処理が必要になった場合には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

2021年10月1日付けで実施した株式会社ココカラファインとの経営統合により発生した、のれん及び無形資産については、今後の事業環境等の変化により、期待する効果が得られないと判断された時は、減損処理を行う場合があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、有価証券等の金融資産を保有しており、その時価の変動によっては評価損が発生する可能性があります。

 

⑦ 介護事業について

介護事業については、老人福祉法、介護保険法等の法的規制を受けております。法改正により介護報酬額が改定された場合は、商品・サービスの設計及び料金体系の見直しが必要となります。また、人を対象とした事業であるため、施設内での事故や感染症、食中毒等が発生した場合、様々な対策を講じていますが、営業継続が困難となる可能性があります。加えて介護福祉士・看護師・ケアマネージャー等の資格を持った専門職員が不足するリスクがあり、その場合当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 海外事業について

当社グループは、マーケットの拡大が期待できる地域として特に東アジア地域に重点を置いて海外事業を展開しておりますが、これらの地域において、政治・経済情勢、対日感情、労働環境、法的規制等の変化や、労働問題、大規模なデモ活動、テロ行為、自然災害、感染症の流行等が発生した場合、当社グループの事業計画や業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)自然災害、重大な感染症、気候変動等について

当社グループのドラッグストア及び調剤薬局等において、大地震や台風等の自然災害、著しい天候不順、予期せぬ事故等が発生した場合、客数低下による売上減のみならず、店舗等に物理的な損害が生じ、当社グループの販売活動・流通・仕入活動が妨げられる可能性があります。また、国内外を問わず、災害、事故、暴動、テロ活動並びに当社グループとの取引先や仕入・流通ネットワークに影響を及ぼす何らかの事故等が発生した場合も同様に、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ライフライン(医療機関)の一翼を担うドラッグストア・調剤薬局を中核事業とする当社グループは、未知のウイルス感染症の流行などが発生した場合、お客様、患者様や従業員の人命、安全を確保した上で、地域及び社会への責任を果たすため、感染症流行時における営業継続への対策を講じていますが、感染拡大や蔓延状況に応じて、営業時間の短縮や、営業店舗の限定等の措置をとる可能性があり、その場合当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、地球温暖化による気候変動が世界的な課題である現在、当社グループにおいても、気候変動をサスティナビリティ経営上の最重要課題であると捉え、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しております。当社グループでは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同し、気候関連リスクをリスク管理の一環として実施するリスクアセスメントに「環境問題」として組み込み、全社リスクのうちの一つとして管理しております。また、マテリアリティとして「地球の健康を考える」を特定しており、そのリスクの優先度を高めております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)におけるわが国経済は、賃上げや各種政策の効果もあり、雇用・所得環境が改善する中、景気が緩やかに回復しておりますが、物価上昇の継続による消費の減速懸念や地政学リスクの高まり、金融資本市場の変動等による下振れリスクにより、先行き不透明な状況が続いております。

ドラッグストア業界におきましても、業種・業態を越えた競合企業の新規出店、商勢圏拡大に向けた新たなエリアへの侵攻、M&Aによる規模拡大、同質化する異業種との競争、それらが要因となる狭小商圏化など、当社を取り巻く経営環境は厳しい状況が継続しております。

このような環境の中、当社グループの重点戦略は国内とグローバルに分け設定し、国内戦略として「お客様のライフステージに応じた価値提供」を戦略テーマに3つの重点戦略、①利便性の追求-お客様との繋がりの深化、②独自性の追求-体験やサービス提供の新化、③専門性の追求-トータルケアの進化と、グローバル戦略として「アジア市場での更なるプレゼンス向上」を戦略テーマに④グローバル事業の更なる拡大を重点戦略として設定し取組んでおり、特に当期においては、長期的な業績向上に向け、人的資本やシステム等への成長投資を進めました。

PB(プライベートブランド)商品につきましては、当社グループ初のメンズスキンケア・ヘアケアプライベートブランドとなる「KNOWLEDGE(ナレッジ)」の販売を開始し、順次ラインナップを拡大いたしました。また、「nake(ネイク)」や「RECiPEO(レシピオ)」から新商品の追加展開を行うなど既存ブランドの育成も推進いたしました。この他、当社グループの顧客接点を活用し、店舗とアプリ・オンラインストアを融合する施策の推進や、デジタルを活用した新しい調剤サービス「マツキヨココカラMe」の開始等を通して、お客様の利便性の向上を図っております。

2025年3月末現在における当社グループの顧客接点数は、1億5,808万となり、国内店舗数は3,499店舗(うち調剤薬局数1,002店舗、健康サポート薬局数120店舗)となりました。

さらに、当社が展開する「マツモトキヨシ」のブランドは、世界最大のブランディング専門会社であるインターブランド社によるグローバルに展開される日本発のブランド価値評価ランキング「Best Japan Brands 2025」において73位にランクインし、2025年も日本のドラッグストアとしてナンバーワンブランドの評価をいただきました。あわせて、当社の健康経営についても、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する取組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が共同で選出する「健康経営優良法人2025(大規模法人部門(ホワイト500))」に認定されました。

 

これらの結果、当連結会計年度における主な経営成績は次のとおりであります。

 


 

セグメントの業績概況について

<マツモトキヨシグループ事業>

マツモトキヨシグループ事業では、4つの重点戦略に対して、以下の取組みを実行いたしました。

①利便性の追求-お客様との繋がりの深化として、社会全体のデジタル化が進み、お客様のライフスタイルが変化しつつある中で、一人ひとりのお客様と深く繋がっていくことでニーズを的確に捉え最も身近な存在となることが必要と考えております。そのため、デジタルと店舗網を活用した届ける仕組みづくり、様々な買い物スタイルの提供など、利便性を追求していくことで、お客様により深く寄り添う企業を目指しております。

②独自性の追求-体験やサービス提供の新化として、激しい競争環境の中で、お客様との様々な接点から蓄積されたデータと高いマーケティング分析力を活かし、お客様の価値観に基づいた商品・サービスや店舗モデルの開発、メーカー様向け広告配信事業の展開など、マツモトキヨシグループならではの独自性を追求していくことで、お客様に選ばれる企業を目指しております。

③専門性の追求-トータルケアの進化として、少子高齢化が進み、健康長寿社会の実現を目指すわが国においては、様々なお客様のライフステージに応じた質の高いサービスを提供することで、地域社会により大きな安心と喜びを提供していくことが求められていると考えております。そのため、セルフメディケーションの推進やオンラインを活用した服薬指導・接客などに加え、心と身体の両面でのビューティーケアなど、専門性を追求していくことで、地域包括ケアシステムを支え、すべての人がいつまでも美しく、健康で心豊かな生活を送れるよう取組んでおります。

④グローバル事業の更なる拡大では、アジアを中心とした新たな進出国の開拓や海外店舗展開、越境EC事業の拡大を図るため、海外SNSの活用やグローバル会員獲得によるアプローチ強化、グローバルで活躍する人材の開発、海外で支持される商品の開発などに積極的に取組むことで、美と健康への意識が高まっているアジア地域での事業規模拡大とプレゼンス向上を目指しております。

PB商品につきましては、「matsukiyo」からフェムケア特化の新ブランド「FEMRISA(フェムリサ)」や、新発想の美容おやつ「BEAU DOLCE(ボウドルチェ)」の展開を開始したほか、グローバルPBである「ポリュバリアシリーズ」の新商品を多数発売し、グローバルなブランド育成も積極的に推進いたしました「matsukiyoLAB」の「免疫ケアシリーズ」からブランド初となる2つの機能性表示を取得した新商品を発売したほか、サステナブルロカボライン等シリーズのラインナップの充実も進めました。

2025年3月末現在におけるマツモトキヨシグループの国内店舗数は1,938店舗(うち調剤薬局数461店舗、健康サポート薬局数33店舗)となり、薬局経営支援サービスである調剤サポートプログラムの加盟店舗数は250店舗まで拡大いたしました。また、海外店舗展開として、グアムに新規出店し、海外店舗数は、タイ王国で29店舗、台湾で24店舗、ベトナム社会主義共和国で13店舗、香港で12店舗、グアムで1店舗の合計79店舗となりました。

マツモトキヨシグループでは、マスクや検査キットなど、新型コロナウイルス関連商品の反動減はあったものの、都市部や繁華街、商業施設内等の人流の拡大や訪日外国人観光客の増加により、化粧品を中心として売上が好調に推移いたしました。

 


 

<ココカラファイングループ事業>

ココカラファイングループ事業では、「利便性の追求-お客様との繋がりの深化」「独自性の追求-体験やサービス提供の新化」「専門性の追求-トータルケアの進化」という3つの国内重点戦略に対して、マツモトキヨシグループと同様の取組みを実行いたしました。

ココカラファイングループでは、マスクや検査キットなど、新型コロナウイルス関連商品の反動減や売上構成比の高い調剤事業における薬価改定の影響等があったものの、ロイヤルカスタマーの醸成に向けた効率的かつ効果的な販促策の実施により化粧品の売上が伸長し、全体の売上を押し上げました。

2025年3月末現在におけるココカラファイングループの国内店舗数は1,561店舗(うち調剤薬局数541店舗、健康サポート薬局数87店舗)となりました。

 


 

 

[国内店舗の出店・閉店の状況]

国内店舗の出店・閉店の状況は次のとおりであります。

                                                                            (単位:店舗)

 

2024年3月31日現在の店舗数

出店

閉店

2025年3月31日現在の店舗数

マツモトキヨシグループ

1,904

55

21

1,938

ココカラファイングループ

1,560

25

24

1,561

合計

3,464

80

45

3,499

 

 

 

<管理サポート事業>

管理サポート事業では、当社グループ会社が取り扱う商品の仕入や当社グループ会社の経営管理・統轄、その間接業務の受託業務、当社グループ会社からの配当金収入及び、外部への商品供給・施工業務・広告宣伝等を行っており、業務活動の範囲も拡大しております。

 


 

 

これらの結果、セグメントの業績は次のとおりであります。

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

マツモトキヨシ

グループ事業

売上高

633,117

667,226

34,109

5.4

 

セグメント利益

51,741

57,952

6,210

12.0

 

ココカラファイン

グループ事業

売上高

386,845

391,026

4,180

1.1

 

セグメント利益

21,795

23,805

2,009

9.2

 

管理サポート

事業

売上高

636,534

655,142

18,607

2.9

 

セグメント利益

30,259

20,185

△10,073

△33.3

 

調整額

売上高

△633,966

△651,768

△17,802

 

セグメント利益

△28,090

△19,860

8,229

 

合計

売上高

1,022,531

1,061,626

39,095

3.8

 

セグメント利益

75,705

82,082

6,376

8.4

 

 

 

 

売上及び仕入の状況は次のとおりであります。

① 事業部門別売上状況

当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2024年4月1日
   至 2025年3月31日

金額(百万円)

前期比(%)

マツモトキヨシグループ事業

666,958

105.4

ココカラファイングループ事業

390,979

101.1

管理サポート事業

3,688

121.5

合計

1,061,626

103.8

 

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

② 地区別売上状況

当連結会計年度の売上実績を地区ごとに示すと、次のとおりであります。

地区別

当連結会計年度
(自 2024年4月1日
   至 2025年3月31日

金額(百万円)

前期比(%)

備考

店舗売上

 

 

 

 

北海道・東北エリア

(129店舗)

32,734

103.3

1店減

関東エリア

(1,488店舗)

515,437

105.1

22店増

甲信越・北陸エリア

(243店舗)

58,557

100.4

1店増

東海エリア

(318店舗)

70,077

99.8

1店減

関西エリア

(740店舗)

215,115

103.1

9店増

中国・四国エリア

(218店舗)

44,493

99.6

1店増

九州・沖縄エリア

(283店舗)

68,813

104.2

2店増

海外エリア

(24店舗)

4,679

101.1

1店増

合計

(3,442店舗)

1,009,909

103.6

 34店増

 

(注)1.地区別売上状況は管理サポート事業を除いております。また、上記の金額には営業収入(テナントからの受取家賃及びフランチャイジーからのロイヤルティ収入等)は含まれておりません。

2.店舗数は2025年3月31日現在であります。

 

 

③ 商品別売上状況

当連結会計年度の売上実績を商品グループごとに示すと、次のとおりであります。

商品グループ別

当連結会計年度
(自 2024年4月1日
  至 2025年3月31日

金額(百万円)

前期比(%)

店舗売上

 

 

医薬品

368,752

101.9

化粧品

353,375

106.6

日用品

194,168

100.6

食品

93,613

105.7

合計

1,009,909

103.6

 

(注)商品別売上状況は管理サポート事業を除いております。また、上記の金額には営業収入(テナントからの受取家賃及びフランチャイジーからのロイヤルティ収入等)は含まれておりません。

 

④ 主要顧客別売上状況

該当事項はありません。

 

⑤ 商品別仕入状況

当連結会計年度の仕入実績を商品グループごとに示すと、次のとおりであります。

商品グループ別

当連結会計年度
(自 2024年4月1日
  至 2025年3月31日

金額(百万円)

前期比(%)

店舗仕入

 

 

医薬品

210,232

99.9

化粧品

236,013

104.1

日用品

140,170

99.1

食品

80,585

101.9

合計

667,001

101.4

 

(注)商品別仕入状況は管理サポート事業を除いております。

 

(2)財政状態

(資産)

当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末に比べて119億67百万円減少して7,127億80百万円となりました。これは主に、商品が55億94百万円、投資有価証券が34億46百万円増加したものの、未収還付法人税等が86億46百万円、のれんが64億78百万円、現金及び預金が59億70百万円減少したこと等によるものであります。

 

(負債)

負債につきましては、182億89百万円減少して1,912億80百万円となりました。これは主に、買掛金が20億94百万円増加したものの、1年内返済予定の長期借入金が184億円、その他の固定負債が11億69百万円減少したこと等によるものであります。

 

(純資産)

純資産につきましては、63億22百万円増加して5,214億99百万円となりました。これは主に、資本剰余金が272億24百万円減少、自己株式が35億95百万円増加したことによる純資産の減少があったものの、利益剰余金が378億41百万円増加したこと等によるものであります。

 

(3)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,117億50百万円となり、前連結会計年度末と比較して59億70百万円減少となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は、814億72百万円(前期は635億6百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益838億94百万円の計上等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、207億92百万円(前期は227億60百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出88億34百万円、無形固定資産の取得による支出56億24百万円、関係会社株式の取得による支出49億98百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、666億62百万円(前期は182億73百万円の使用)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出309億53百万円、長期借入金の返済による支出184億円、配当金の支払による支出168億31百万円等によるものであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主に営業活動により得られた資金を新規出店に係る設備投資に充当しております。

 

(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

・当連結会計年度の財政状態及び経営成績に関する分析・検討内容

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績及び(2)財政状態」に記載のとおりであります。

・経営成績に重要な影響を与える要因

「3 事業等のリスク 」に記載のとおりであります。

・セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績及び(2)財政状態」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。  

・資本の財源及び資金の流動性

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計方針及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。