文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、グループの考え方の原点である「私たちの考え方」に基づき、「人と時代をつなぐ三越伊勢丹グループ」を実現するために、今まで培ってきた暖簾、顧客、その他有効資産に加えてIT・店舗・人の力を活用し、マッチングプラットフォーマーとして、世界中のモノ・コトとお客さまのつなぎ手となることを目指しております。その実現に向けて、時代や環境にあわせて自ら“変化”をしてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、お客さまのご満足の最大化実現及び収益安定化に向けて、再投資原資となる営業利益をはじめとした複数の経営指標を持ち、その向上に取り組んでおります。
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言により当社グループ店舗は、お客さまや従業員の安心・安全を第一に考える中、4月より臨時休業(一部店舗は部分休業や時間短縮)を実施しておりました。百貨店事業およびその他事業の売上高が大幅に減少する等の影響が及び、先行きが見通せない状況にあります。収束の兆しや、その後の景気回復動向、第2波、第3波の可能性等を見極め、2021年3月期の通期連結業績予想、及び中期に目指す経営指標について、現在、再検討を進めております。
(3)経営環境および対処すべき課題
①企業構造
当社グループは、純粋持株会社である当社を中心に、主要事業である百貨店事業を中心とした各事業会社により構成されています。グループ共通方針や考え方の下、コーポレート機能を集約し、横串に統括機能を果たすことでグループガバナンスを効かせております。グループポリシーに沿ってセントラルで効率性を追求した上で、各社の自主独立性や採算性を基本とし、事業を行っております。また各社間の連携やシナジーについても重要視しています。
現在、事業構成の大半が百貨店事業であり、小売業を中心とした事業ポートフォリオとなっております。今後、事業ポートフォリオの組み換えや、その他事業の育成・拡大に向けた資源の再配分や企業構造の再構築を検討してまいります。
中期経営計画の早期・確実な達成に向けて、当社傘下の事業会社へ権限と責任を委譲し、経営の意思決定を迅速化するとともに機動的な業務執行体制の構築を目指してまいりました。このたび、コーポレート・ガバナンス体制の一層の強化のため、監査役会設置会社から指名委員会等設置会社へ企業統治の形態を移行いたしました。経営における監督と執行の分離をより明確にし、取締役会による監督機能の強化と執行のスピードアップを図ってまいります。
②市場環境
人口減少・少子高齢化、グローバル化、デフレ、税と社会保障など、山積する日本の問題がある中で、企業を取り巻く環境は急速に変化しています。また、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、厳しい経済状況が一定期間続くことは避けられません。百貨店業界は、渡航禁止による訪日外国人の大幅減少、ウイルスの感染拡大を防止するための消費行動の減少により、さらにマイナス基調にて推移しています。海外においても、グローバル規模での感染拡大により、老舗百貨店やその他小売業の倒産が相次ぎ、業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。
新型コロナ感染症拡大~収束の過程で、社会や経済の在り方が大きく変わっていくことが予想され、今回の経験が、生活におけるデジタル技術等の利用を加速させる契機となる可能性があります。世界でデジタルシフトが一気に進み、デジタルを活用した社会活動が飛躍的に増加する中で、百貨店事業は、古い事業構造が残ったままとなれば、これから進む経済社会構造の変化に対応できず、淘汰される可能性があります。このようなリスクを踏まえて、主体的・積極的にビジネスの在り方に対応し、今までの古い百貨店ビジネスモデルから、スピードをもって新たな小売モデルへの転換が必要です。
③競合他社との比較
消費者マインドが大きく変化し、安心・安全重視や新しいコミュニケーションの取り方、生活様式・働き方・消費行動の変化を見据え、顧客との新しい向き合い方に迅速に取り組む必要があります。店舗にご来店いただくビジネスモデルから、店舗(オフライン)とEC(オンライン)をシームレスに行き来することや、オンラインで完結できる環境の整備等、多様な購買方法への対応が不可欠です。当社は、中期経営計画にて掲げた目指す姿「オンラインとオフラインのマッチングプラットフォーマー」の実現に向けたビジネスモデル改革にいち早く着手しています。新型コロナウイルス感染症の影響で、店舗リモデル等は一部延期や絞り込みをするものの、オンラインとオフラインのシームレス化、カスタマー・リレーションシップ・マネージメント(CRM)やマーケティングのための顧客基盤の強化は継続し、加えて、デジタルを活用した「安心・安全なお買物」の提供や、One to Oneサービスの拡充、EC事業の強化等を進めてまいります。
また、当社グループは、首都圏や地方大都市中心地に優良不動産を保有しております。本店所在地の新宿や日本橋エリアをはじめ、地方大都市エリアは利便性が高く、店舗を営むにあたり集客が見込めます。不動産事業を推進していくにあたり、保有不動産を最大限有効活用することで、周辺エリアのバリューアップやその他関連事業への拡大、波及に貢献できるものと考えます。
④顧客動向・顧客基盤
国内市場は、人口減少、少子高齢化、世帯数の減少等の加速が見込まれ、顧客数や消費量の減少は免れません。一方、訪日外国人の増加によるインバウンド需要の増加や、グローバル化、世界規模での富裕層の増加等により、顧客層の拡大は見込まれます。また、顧客嗜好の多様化により、消費の二極化や一層のニーズ多様化が進むことが想定され、消費ニーズに対応できない店舗や企業は淘汰されることが予想されます。
当社は、多様化する顧客嗜好やニーズにお応えするため、グループにおけるマーケティングを強化してまいりました。点在していた顧客データベースを整理し、顧客情報を一元化できるよう再構築を行ってきました。お客さまの情報を共通IDにより一元管理し顧客情報をベースとすることで、顧客を徹底的に理解し、One to Oneを強化しグループCRMを進めてまいります。結果、顧客満足度向上により、購買額アップ・購買頻度アップに繋げてまいります。また、将来的に蓄積した情報が増えた段階で、それらに外部情報(匿名情報等)を加えてマーケティングを強化し、新規事業の創出にも繋げていきます。
⑤新型コロナウイルス感染症の影響および対応
世界規模で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症により、百貨店業界をはじめとした小売事業は2020年に入り大幅なマイナス基調にて推移しています。この未曽有の危機の中、当社は事業継続計画に基づく緊急対策本部において、グループ全体で必要となる様々な対応をスピードをもって進めてまいりました。緊急事態宣言下における外出自粛要請に応え、お客さま、従業員の安心・安全を第一に考え、4月に入り臨時休業(一部店舗は部分休業や時間短縮)を実施いたしました。あわせて、足元業績が悪化して推移する中、一定のリスクシナリオを想定して十分な手元流動性を確保すべく、資金調達を行っております。
また、第2波、第3波の可能性を踏まえ、「安心・安全志向」「働き方改革」「デジタルシフト」等、生活様式や消費行動の大きな変化が見込まれます。安心・安全の取組みを徹底するとともに、お客さまのニーズにお応えする価値提供や、新しいコミュニケーションの在り方を再設定してまいります。加えて今後も予測される外出や消費行動の自粛、訪日外国人の渡航自粛の長期化など、経営上の大きなマイナス影響を踏まえ、事業計画の見直しなど機動的な対応を行います。
(4)中長期的な会社の経営戦略
百貨店業界は、人口減少や少子高齢化による市場の縮小に加え、顧客志向の多様化や他業種による競合の増加もあり、近年、売上高が減少しています。また、昨今はグローバル化や訪日外国人によるインバウンド需要が百貨店業界の売上高に占めるシェアが高くなり、これらを意識したサービスや品揃えや店舗作りにも対応が必要となっております。加えて、このたびの新型コロナウイルスに代表される感染症や、台風や地震等の自然災害などによる影響を大きく受け、これらのリスクを想定し、内需主導成長を実現していく必要があります。
デジタルを活用した社会活動が飛躍的に増加する中で、古い事業構造が残ったままとなれば、これから進む経済社会構造の変化に対応できず、淘汰される可能性があります。当社はこのようなリスクを踏まえて、主体的・積極的にビジネスの在り方や生活様式の変更に対応し、今までの古い百貨店ビジネスモデルから、新たな小売モデルへの転換が必要です。
このような変化に対応するため、当社グループは、3ヶ年計画において掲げている目指す姿「オンラインとオフライン(店舗)のマッチングプラットフォーマー」の実現に向けたデジタル化をはじめとした各施策を継続して推進していきます。あわせて、抜本的コスト構造改革、基盤整備を継続しつつ、ビジネスモデル改革に向けた取組みや、アフターコロナを見据えた変化に向けて、重点戦略を確実に加速させてまいります。
重点取組① 「収支構造改革の推進」
重点戦略の一つとして、徹底したコスト構造改革を継続してまいります。今まで当たり前としてきた常識、ノウハウ、仕組み、業務、全ての項目において聖域なく見直し、ビジネスモデル改革と連動した抜本的なコスト構造改革を進めることにより、宣伝費、地代家賃、人件費の抜本的な販売管理費の削減を進めております。あわせて、今回の新型コロナウイルス感染症による甚大な影響を鑑み、お客さまや従業員の安心・安全に向けた取組みを確保しつつ、追加のコスト削減策の実行や、投資をゼロベースで見直しする等、危機感をもって取り組んでまいります。
重点取組② 「小売(百貨店)事業のビジネスモデル改革」
環境の変化・お客さまのニーズの変化に対応していくため、当社は新しい小売事業のビジネスモデルの確立を目指しています。そのために「店舗モデル改革」「オンラインとオフラインのシームレス化・EC事業の拡大」「カスタマー・リレーションシップ・マネージメント(CRM)の推進・マーケティング強化」を推進していきます。
多様化するニーズや消費者のデジタルシフトに対応するため、店舗のみでなく、お客さまがオンラインとオフラインを自由に行き来し、どこでも「最新で最高の顧客体験」を提供できるよう「オンラインとオフラインのシームレス化」を推進してまいります。2020年6月に新しいシームレスサイト・アプリを立ち上げ、新アプリを活用することで、オンラインでも伊勢丹新宿本店の主力ブランド中心に購入できることを目指していきます。先ずは伊勢丹新宿本店の商品を中心にスタートし、店舗に置けない品揃えも含め幅広い商品へ拡充し、充実させていきます。また、店舗へご来店いただけないお客さまへお応えするため、オンラインで完結できるEC事業へも注力し、強化してまいります。
あわせて、デジタル会員化を進め、お客さまとの関係性強化、One to oneを実現することで、欲しい情報を欲しい時に提供できる環境を整備し、顧客満足度向上を目指します。将来的に蓄積した購買をはじめとした様々な情報によりマーケティングを一層強化し、新規事業の創出にもつなげていきます。
店舗モデル改革に向けては、お客さまのニーズを的確に把握し、商品展開やMDバランスを適正化し、リアル店舗ならではの「価値」「体験」を提供することで顧客支持の高い商業施設を目指します。そのための業務フローの見直しや、店舗リモデルを進めてまいります。
重点取組③ 「不動産事業・金融事業への取り組み強化」
国内におけるグループ保有不動産の有効活用による中長期的な収益拡大に向けた事業の検討を進め、不動産事業の強化を図ってまいります。不動産価値最大化に向けて、地域の再開発へ参画することで街づくりに関わりつつ、商業を核とした当社ならではのコンセプトでの複合用途化によりバリューアップを実現し、新たな事業展開を検討してまいります。
金融事業につきましては、当社のカード会社「株式会社エムアイカード」を中心に、決済手段の多様化への対応やお客さまのウォレットシェア拡大に向けて、新たな金融サービスメニュー拡充の方向性を検討しております。既存の百貨店カードの再構築を図りつつ、新たなチャネル開拓を進め外部顧客の取扱高を拡大させることで、決済手段にとどまらず、情報やマーケティング基盤として確立していきます。
あわせてコンプライアンス、リスクマネジメント、情報管理体制などの内部統制システムの強化に取り組み、企業価値の向上と持続的成長をめざしてまいります。また、社会に対する企業としての責任として、変化する社会のさまざまな課題に向きあい、企業活動を通じてその解決に貢献することで、かかわりのあるすべての人々の豊かな未来と、持続可能な社会の実現に向け役割を果たすことを目指しています。CSRにおいても、ESG、SDGsの視点も踏まえ、変化する社会からの課題、要請に応えていくため、社内にサステナビリティ推進会議を創設して取り組んでおります。加えて、労働人口の減少が避けられない中、従業員がパフォーマンスを高めて生産性を上げられるよう、働きやすい環境を整備し従業員満足度(ES)向上にも取組み、結果的に顧客満足度向上につながるよう努めてまいります。
本報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。但し、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。また、文中における将来に関する事項は当社グループが当連結会計年度末において判断したものであります。
2020年に入り、新型コロナウイルス感染症の拡大防止として、政府より大都市を中心とする一層の不要不急の外出自粛要請がなされました。感染リスクによる不安が消費行動に及び、その結果訪日外国人を含む来店者数が減少するなどし、これまでになく消費行動全体への影響が長引くことが懸念されます。
なお、当社グループでは、社会的影響力の大きい新型感染症を以下(4)の自然災害・事故等におけるリスクの地震・大規模水害と同様に、緊急時対応の項目として事業継続計画に位置付けております。
当社グループの主要なセグメントである、百貨店業の需要は、事業展開する国内・海外各国における気候状況や景気動向・消費動向等の経済情勢、同業・異業態の小売業他社との競争状況等に大きな影響を受けます。従って、これらの要因により、当社グループの業績や財務状況に、悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのセグメントのうち、百貨店業は東南アジア、中国、台湾、米国、欧州で店舗を営業しています。これらの売上高、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のため円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける場合があります。
また、海外における事業展開には、以下のようないくつかのリスクが内在しています。
1) 予期しない法律または規制の変更
2) 不利な政治または経済要因
3) 潜在的に不利な税制度
4) テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱
当社グループは、事業展開をする各国において、事業・投資の許可等、さまざまな政府規制の適用を受けています。また、独占禁止、消費者、租税、為替管理、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けています。これらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限される可能性や、費用の増加につながる可能性があります。これらの規制は、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、百貨店業を中心として、店舗による事業展開を行っています。このため、自然災害・事故等により、店舗の営業継続に悪影響をきたす可能性があります。
当社グループでは、大規模災害等への対応及び発生後における事業継続計画の策定などに積極的に取り組んでおります。しかし、首都直下型の大地震が発生した場合、首都圏に基幹店が集中している当社グループは、従業員及び建物等に甚大な被害を被る恐れがあり、それにより当社グループの業績や財務状況に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。また、東日本大震災後に現出した電力の使用制限や消費の自粛、放射能による食料品汚染など、大規模災害が当社グループの営業活動に影響を及ぼす可能性があります。
火災については、消防法に基づいた火災発生の防止を徹底して行っております。しかし、店舗において火災が発生した場合、被害者に対する損害賠償責任、従業員の罹災による人的資源の喪失、建物等固定資産や棚卸資産への被害、消防法による規制等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
※新型感染症の拡大防止への対応について
感染症拡大状況における消費行動の変化や、特措法に基づく行政および各自治体からの事業所使用制限等の要請を受けての営業自粛を行う場合、その程度および期間に対して、当社グループの業績や財務状況に相当程度の影響を被る可能性があります。そのため、今般の新型感染症を非常時と位置づけ、CEOを本部長とした対策本部を設置し、感染状況の確認、初動対応、および感染拡大防止策を講じながら、顧客と従業員、従業員の家族の生命・健康の確保を前提とした、事業の継続、再開に向けた意思決定を行いました。
その中において、緊急事態宣言の発令下においては、来店利用客および従業員等の感染リスクと、経営維持・存続のための売上等収入確保の必要性などを勘案し、当社グループの事業継続計画を基に事業継続を検討した結果、首都圏百貨店店舗での52日間の休業をはじめとした営業自粛を行いました。
あわせて、事業再開にあたっては、日本百貨店協会等の業界ガイドラインに基づいた社会的距離の確保・マスクの着用・手洗いの基本事項をはじめとする感染拡大防止対策を実施し、お客さまおよび従業員の安全確保に努めております。
当社グループでは、百貨店業を中心として、消費者向け取引を行っています。これらの事業において欠陥商品や食中毒を引き起こす商品等、瑕疵のある商品を販売した場合、公的規制を受ける可能性があるとともに、製造物責任や債務不履行による損害賠償責任等による費用が発生する場合があります。更に消費者からの信用失墜による売上高の減少等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また当社グループでは、百貨店業の外商部門やその他事業の卸売業を中心として、法人向けの取引を行っております。これらの事業は契約先1社当たりの販売額が高額であり、製造物責任や債務不履行による損害賠償責任等により費用が発生した場合や、契約先の倒産による売掛金の回収が不能となった場合の費用の発生等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、調達方針および商品取引基準による契約締結による商品取引上のリスク低減対策を講じるとともに、年間取扱商品と同様に、催事・イベント・プロモーション・外販等に至るまでの多様な商品提供においても、事故防止のための点検をはじめとした品質管理体制を構築しています。
(6) データ・センター運用上のリスク
当社グループが事業を展開するための各種システムは、主にデータ・センターのコンピューター設備で一括管理しています。当該データ・センターでは、電源・通信回線の二重化、耐震工事、不正侵入抑止等の対策を講じていますが、完全にリスク回避できるものではありません。自然災害や事故等により甚大な設備の損壊があった場合、通信回線や電力供給に支障が出た場合、不正侵入や従業員の過誤による障害が起きた場合、業務の遂行に支障をきたし、グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループではこれらのデータ・センター運用上のリスクを軽減するため、各種システムを安全性の高いデータ・センター仕様の外部施設へ設置しております。
当社グループでは百貨店業、クレジット・金融・友の会業、情報処理サービス業を中心に、顧客の個人情報を保有・処理しております。当社グループ個人情報保護方針に基づいて、これらの個人情報管理の重要性を認識したうえ、社内管理体制を整備して、厳重に行っておりますが、犯罪等により外部に漏洩した場合、顧客個人に支払う損害賠償による費用の発生や、当社グループの社会的信用の失墜による売上高の減少が考えられ、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、不正アクセス等への対応として、セキュリティインシデントに対処するための組織CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を構築し情報資産の保全を強化しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、米中による関税引き上げの一部発動による対立で、両国経済の減速が世界経済の減速に波及するリスクの中で推移しました。国内は、2019年10月に消費税率の引き上げにより、個人消費の駆け込み需要はあったものの、その後反動減が続き、厳しい環境下で推移しました。また、夏季は長梅雨で長雨と低気温が続き、一方、冬は記録的暖冬となる等、小売業において天候不順や自然災害がマイナス影響を及ぼしました。雇用・所得は、比較的安定して推移しましたが、1月下旬以降は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、訪日外国人の急減に加え、日本国内もウイルスの感染拡大を防止するために消費行動を自粛する動きが高まり、内外需要とも急速に落ち込み、不確実性が高まりました。
このような中にあって、当社グループは2018年11月に発表した「三越伊勢丹グループ3ヶ年計画」において掲げた目指す姿「オンラインとオフラインのマッチングプラットフォーマー」の実現に向けて、2019年度は、ビジネスモデルの革新に取り組んでまいりました。私たちの原点である「人と時代をつなぐ三越伊勢丹グループ」の確立に向け、お客さまとモノ・コト・情報を「オフライン(店舗)とオンライン(デジタル)でマッチング(つなぐ)」することで新たな価値を創造してまいります。
また、2019年度は、伊勢丹相模原店、伊勢丹府中店、新潟三越など収益力に課題のあった大型店舗を営業終了し、加えて三越恵比寿店の営業終了を決定するなど、大規模構造改革に一定の目途をつけました。引き続き、ビジネスモデル転換に向けた事業基盤の整備、抜本的コスト構造改革を進めてまいります。
当連結会計年度の連結決算につきましては、売上高は1,119,191百万円(前連結会計年度比6.5%減)、営業利益は15,679百万円(前連結会計年度比46.4%減)、経常利益は19,771百万円(前連結会計年度比38.2%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は11,187百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益13,480百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
百貨店業
百貨店業におきましては、消費税増税前の駆け込み需要や基幹店のリモデル効果があり、宝飾品等の高額品は好調に推移しました。また、コスト構造改革に本格着手し、販売管理費の削減をいたしました。一方、想定を超える消費税増税の反動減、台風や新型コロナウイルス感染症予防の対策として行った店舗の営業自粛や営業時間の短縮が大きく影響し、既存店ベースで前年実績を大幅に下回りました。
その中でも、お客さまの価値観や市場環境が大きく変化している中で、デジタルを活用した最高レベルのサービスを提供するために業務フロー・販売手法をはじめ店舗ビジネスモデルの抜本的な見直しを行い、当期は基幹店において以下の取り組みに具体的に着手しました。
伊勢丹新宿本店においては、新しい価値の創出と差別化を行い、心の豊かさを創造できるようリモデルを行いました。化粧品フロアは、リアルな場の体験価値向上のために、2019年9月に本館2階にスキンケアを中心としたフロアが、11月には本館1階にメイクアップ・フレグランスフロアが完成しました。婦人靴フロアでは商品・コトの充実に加え、デジタルを活用した新サービスも導入しました。ジュエリーやウォッチについても体験価値向上に取り組みました。
三越日本橋本店においては、2018年度からのリモデルを通じて、環境、サービス、商品を磨き上げてまいりました。2018年10月の第1期リモデルオープンに続き、本館では2019年5月に屋上日本橋庭園、8月に紳士フロア、ウォッチギャラリー、11月にジュエリーギャラリー、2020年3月に三越コンテンポラリーギャラリーがオープンしました。特選ブティックも改装を終え、第2期リモデルが完成いたしました。新館では、2月に「ビックカメラ日本橋三越」に加え、理美容室と写真室もオープンいたしました。また、3月には三越が保有する文化財や歴史資料の展示スペース「三越アーカイブス日本橋」がオープンいたしました。
店舗だけでは提供できない商品の拡大や購買手段の多様化を進めるため、新たなオンラインビジネスに取り組んでいます。2019年10月には、ワイシャツオンラインカスタムオーダーサービス「Hi TAILOR(ハイ・テーラー)」、SNSやメールで贈り物ができるオンラインギフトブティック「MOO:D MARK by ISETAN(ムードマークバイイセタン)」、三越伊勢丹クオリティの商品を集めた「三越伊勢丹ふるさと納税」を立ち上げ、2020年3月にはスタイリストがチャットでカウンセリングし定期的に洋服をお届けする「DROBE(ドローブ)」をスタートさせています。
なお、限られた経営資源を新たな成長分野へ再配分するため、収益性に課題のあった伊勢丹相模原店・伊勢丹府中店・新潟三越の営業を終了し、また、三越恵比寿店の営業終了を決定いたしました。店舗の営業終了に伴うご不便につきまして、深くお詫び申しあげるとともに今までの支援やご愛顧に心より御礼申しあげます。
このセグメントにおける、売上高は1,035,589百万円(前連結会計年度比6.8%減)、営業利益は2,203百万円(前連結会計年度比85.6%減)となりました。
クレジット・金融・友の会業
クレジット・金融・友の会業におきましては、株式会社エムアイカードが、百貨店カードおよび外部企業との提携カードの新規会員獲得やカードの利用促進による取扱高の拡大に取り組みました。
その結果、ショッピング総取扱高は1兆681億円(前年比97.5%)となりました。これは、通販分野やコンビニ・スーパーでの利用促進施策により取扱高が大きく伸長する一方、期中におけるグループ百貨店の営業終了(伊勢丹相模原店・伊勢丹府中店)や消費税増税後の売上減および2月以降の新型コロナウイルスの影響による売上減により、グループ百貨店内での取扱高が減少し、前述の結果となりました。
また、営業拡大の取り組みの一環として、外部企業との提携カードの発行にも注力しており、当年度においては新たに14社との提携カードを発行し、今後の取扱高および収益の拡大につなげてまいります。
このセグメントにおける、売上高は38,595百万円(前連結会計年度比1.3%減)、営業利益は5,669百万円(前連結会計年度比11.7%減)となりました。
不動産業
不動産業におきましては、グループの成長の一翼を担うべく事業の更なる強化を図ってまいりました。
前年度は株式会社三越伊勢丹不動産による分譲マンションの販売実績があったため、当年度はその反動減を主な要因として、売上高・営業利益ともに前年実績には及びませんでした。
レジデンス事業においては、保有する12物件を中心に引き続き高稼働を維持し、安定的な収益を確保いたしました。
また、建装・デザイン事業においては、受注物件数が増えたことで、業績も堅調に推移いたしました。
海外においては、野村不動産株式会社とフィリピン大手不動産会社Federal Land Incorporatedとの共同事業による、フィリピンでの複合不動産開発プロジェクトに継続して取り組み、レジデンスの販売に加え、2021年に予定する商業施設棟の開業準備を進めております。
このセグメントにおける、売上高は35,399百万円(前連結会計年度比26.7%減)、営業利益は5,970百万円(前連結会計年度比23.3%減)となりました。
その他
その他の事業におきましては、株式会社三越伊勢丹システム・ソリューションズの業務内製化による外注費等の削減効果や、株式会社三越伊勢丹ギフト・ソリューションズの事業構造見直しおよび株式会社スタジオアルタの収益改善等により営業利益が大きく改善いたしました。
その他の個別事業につきましては、旅行事業の株式会社三越伊勢丹ニッコウトラベル(株式会社ニッコウトラベルと株式会社三越伊勢丹旅行が2019年4月に経営統合)において、上期は大型連休特需もあり、海外事業における主力のクルーズ船ツアーが好調に推移いたしましたが、年度末にかけて世界的な新型コロナウイルス感染症の影響で、海外旅行を中心に大幅に減収という結果となりました。
美容事業の株式会社ソシエ・ワールドにおいては、主力であるエステティック事業の競合環境激化や新規顧客の獲得が低迷したことと、新型コロナウイルス感染症による影響を受け、売上高は前年実績を下回る結果となりました。今後の業績回復に向け、不採算店舗の閉鎖、さらなるコスト削減に取り組んでまいります。
引き続き「お客さまの生活のさまざまなシーンでお役に立つこと」の実現に向けて、新たな価値提供を目指してまいります。
このセグメントにおける、売上高は82,418百万円(前連結会計年度比7.4%減)、営業利益は1,618百万円(前連結会計年度は営業損失302百万円)となりました。
当連結会計年度末の総資産は1,223,800百万円となり、前連結会計年度末に比べ23,626百万円減少しました。これは主に、今後の新型コロナウイルスの業績への影響に対応すべく手元資金を充分に確保したために現金及び預金が増加している一方で3月の売上高急減により受取手形及び売掛金が減少したことと、株式市場全体の株価下落により保有する投資有価証券の時価が減少したことなどによるものです。
負債合計では673,639百万円となり、前連結会計年度末から11,927百万円増加しました。これは主に、前述の手元資金確保に向けコマーシャル・ペーパーを追加発行したことで有利子負債が増加している一方で、売掛金同様に3月の売上高急減に伴い支払手形及び買掛金が減少したことなどによるものです。
また、純資産は550,161百万円となり、前連結会計年度末から35,553百万円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により利益剰余金が減少したことと、中長期的な資本効率向上を目的に約100億円の自己株式取得を実施したことなどによるものです。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて26,511百万円増加し、76,659百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、16,281百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が12,005百万円減少しました。これは主に、税金等調整前当期純損失と減益になり、また法人税等の支払額が増加したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、9,965百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が12,484百万円減少しました。これは主に、前連結会計年度においては本社不動産等の取得があったこともあり、有形固定資産の取得による支出が減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、20,259百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ支出が29,323百万円減少しました。これは主に、前述したコマーシャル・ペーパーの発行による収入が増加したことなどによるものです。
当社及び当社の関係会社においては、その他事業の一部に実績がありますが、当社グループ全体の事業活動に占める比重が極めて低いため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表」の「追加情報」に記載しております。
(a) 繰延税金資産
将来の利益計画に基づいた課税所得の見積りを行い、税務上の繰越欠損金を含む、将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は、外部の情報源に基づく情報等を含む、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しておりますが、新型コロナウイルスの影響により、店舗休業や外出自粛などが想定以上に長期化した場合など、将来の不確実な経済条件の変動等により、利益計画及び課税所得の見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(b) 固定資産の減損処理
当社グループは重要な店舗資産を有しており、営業活動から生ずる損益が継続してマイナスである資産グループについては、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能価額の算定にあたっては、外部の情報源に基づく情報等を含む、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しておりますが、新型コロナウイルスの影響により、店舗休業や外出自粛などが想定以上に長期化した場合など、将来の不確実な経済条件の変動等により、利益計画の見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績の概要として、連結売上高は1,119,191百万円(前連結会計年度比6.5%減)、連結営業利益は15,679百万円(前連結会計年度比46.4%減)、連結経常利益は19,771百万円(前連結会計年度比38.2%減)を計上しました。特別損益及び税金費用等を控除した親会社株主に帰属する当期純損失は11,187百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益13,480百万円)となりました。以下、連結財務諸表に重要な影響を与えた要因について分析します。
連結売上高は、1,119,191百万円となりました。当社グループは2018年11月に発表した「三越伊勢丹グループ3ヶ年計画」において掲げた目指す姿「オンラインとオフラインのマッチングプラットフォーマー」の実現に向けて、2019年度は、ビジネスモデルの革新に取り組んでまいりました。
2019年10月に消費税率の引き上げにより、個人消費の駆け込み需要はあったものの、その後反動減が続き、厳しい環境下で推移しました。また、夏季は長梅雨で長雨と低気温が続き、一方、冬は記録的暖冬となる等、小売業において天候不順や自然災害がマイナス影響を及ぼしました。雇用・所得は、比較的安定して推移しましたが、1月下旬以降は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、訪日外国人の急減に加え、日本国内もウイルスの感染拡大を防止するために消費行動を自粛する動きが高まり、内外需要とも急速に落ち込んだ結果、計画値を下回りました。
3)販売費及び一般管理費
連結の販売費及び一般管理費は307,023百万円(前連結会計年度比3.8%減)となりました。各社でコスト構造改革を進め、人件費、地代家賃を中心に販売管理費を削減いたしました。
営業外損益は4,092百万円の利益となりました。営業外収益には未回収商品券受入益5,928百万円、固定資産受贈益5,231百万円などを計上しました。また、営業外費用には商品券回収損引当金繰入額5,873百万円などを計上しました。
特別利益として9,751百万円を計上いたしました。主な内容は固定資産売却益6,637百万円などです。また特別損失として31,826百万円を計上いたしました。主な内容は減損損失10,844百万円、事業構造改善費用8,928百万円、店舗閉鎖損失6,988百万円などです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの運転資金需要の主なものは、商品、原材料等の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また投資資金需要の主なものは、店舗のリモデル・設備の修繕・新規開発等の設備投資等であります。
当社グループは、現3ヶ年計画期間中においては、事業活動及び事業投資に必要となる資金は、営業キャッシュ・フローでまかなうことを基本方針とし、健全な財務基盤の維持に努めております。
また、適切な現預金残高を維持することと、一時的な資金不足に備え、主要取引銀行とのコミットメントライン契約及び当座借越契約、並びにコマーシャル・ペーパー発行枠を確保することにより、十分な流動性を確保しております。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローに関しては、新型コロナウイルスによる内外需要の急激な落ち込みにより収益が悪化し、営業キャッシュ・フローが昨年度に比べ大幅に減少しましたが、先行きの不確実性を鑑み、当連結会計年度末までにコマーシャル・ペーパー300億円を追加発行いたしました。加えて、有価証券報告書提出日現在までに、金融機関と追加のコミットメントライン契約を締結することにより、手元流動性の充実を図っております。現在の状況が長期化した場合の対応として、設備投資の削減や追加の経費削減にも取り組んでまいります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
特に記載する事項はありません。