第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社グループは、長期に目指す姿を「お客さまの暮らしを豊かにする“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」と定め、次の成長に向けた2024年度までの中期経営計画を策定いたしました。その中核となる3つの重点戦略「高感度上質戦略」「個客とつながるCRM戦略」「連邦戦略」を推進し、企業価値の向上を目指してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループでは、お客さまのご満足の最大化と収益の安定化に向けて、営業利益をはじめとした複数の経営指標を掲げ、その達成に向けて取り組んでおります。

グループ営業利益については、2024年度に株式会社三越伊勢丹ホールディングス発足後の最高益となる350億円を目指してまいります。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

①企業構造

当社グループは、持株会社である当社を中心に、主要事業である百貨店事業を中心とした各事業会社により構成されています。現在、事業構成の大半が百貨店事業であり、小売収入を中心とした事業ポートフォリオとなっており、グループ横断で収支構造改革や百貨店を中心に事業モデル改革を進めることで、利益体質の強化を図ってまいります。百貨店の強みを生かした不動産事業、金融事業の収益化を進めることで、より強固な事業ポートフォリオの構築を目指してまいります。

また、コーポレート・ガバナンス体制の強化のため、機関設計として指名委員会等設置会社を選択しております。取締役会議長に社外取締役を選任し、経営課題の長期視点での討議や社外取締役中心のミーティングセッションを実施するなど、一層の実効性向上に取り組んでおります。

今後も、企業活動の透明性を高め、コンプライアンスに徹し、当社グループに関わるすべてのステークホルダーの皆さまに対する提供価値の向上に努め、皆さまからより一層信頼される企業グループを目指してまいります。

 

②市場環境

当社グループを取り巻く経営環境は大きく変化し、そのスピードも加速しております。国内環境では、少子高齢化、共働き世代の増加等、社会構造の変化により消費市場が縮小しております。また、所得と消費の二極化、デジタル化の加速、リアルでの提供価値の変化、気候変動等の社会課題が深刻化している影響を受け、お客さまのライフスタイルや価値観の多様化が進んでおります。

また、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、消費市場は大きな転換期を迎えており、より柔軟かつ迅速に対応していく必要性が高まっていることに加え、ウクライナ情勢の緊迫化と、資源・エネルギー価格の高騰や為替リスクの高まり等、百貨店事業に影響を与える不透明な状況が増しております。このような環境変化を当社グループの持続的成長の機会と捉え、事業環境の変化に対応した事業構造の変革に取り組んでまいります。

 

③競合他社との比較

長期に目指す姿の実現に向けて、「再生」から「展開」、「展開」から「結実」への3つのフェーズで戦略を推進いたします。再生フェーズでは、「科学の視点」と、「マスから個へのマーケティングへの転換」により識別顧客を蓄積いたします。展開フェーズでは、識別顧客に向けたグループ全社による「連邦戦略」により、お客さまの幅広いニーズにお応えし、結実フェーズにおいては、「連邦戦略」を発展させて、百貨店とグループ会社の魅力と価値で包み込む「まち化」につなげてまいります。

当社グループは、首都圏をはじめ、全国の大都市中心地に不動産を保有しており、結実フェーズにおける「まち化」に向けた取り組みとして、憧れと共感の象徴となる両本店のあり方の検討をスタートさせるとともに、社内の経営レベルでのプロジェクトの推進や、社内横断によるグランドデザインの構想プロジェクトを進めてまいります。

 

④顧客動向・顧客基盤

国内市場は、少子高齢化の加速等により人口減少が進む一方、中長期的には、金融資産を保有する生活に余裕のある層の増加が見込まれます。また、新型コロナウイルス感染症拡大を背景に、社会貢献や環境改善と保護等に対する要求が高まるとともに、消費に対する新たな嗜好性が醸成されることが見込まれます。

当社グループでは、外商顧客や、三越伊勢丹・カスタマープログラムでの上位ランクのお客さまの売上高は堅調なことから、従来のマスマーケティングから「個」のマーケティングへの転換や、三越伊勢丹アプリ会員等の識別顧客の拡大、ロイヤルティの高い顧客層を増やすことを軸に進め、百貨店の再生に取り組んでまいります。

また、社会に対する企業の責任として、変化する社会のさまざまな課題に向きあい、企業活動を通じてその解決に貢献することで、かかわりのあるすべての人々の豊かな未来と、持続可能な社会の実現に向け役割を果たすことを目指してまいります。ESG、CSR、CSV等のサステナビリティの視点も踏まえ、変化する社会からの課題、要請に応えていくため、社内に「サステナビリティ推進会議」を創設しており、具体的な取り組みにつなげてまいります。

 

⑤新型コロナウイルス感染症の影響及び対応

新型コロナウイルス感染症の拡大により、お客さまのライフスタイル、価値観は大きく変化しております。また、リモートワークの定着など、デジタル技術の生活のあらゆる部分への急速な浸透により、消費スタイルも大きく変容し、当社グループの業績にも大きな影響をもたらしております。

一方、ワクチン接種が進んだことで感染者数は減少に転じ、経口抗ウイルス薬の普及に伴い新型コロナウイルス感染症の沈静化が進み、世界的な人の往来も期待されます。今後も、お客さまと従業員の安全を最優先にして、社会生活のインフラを支える事業として、グループ一丸となってお客さまのご期待にお応えできるように努力してまいります。

 

(4)中長期的な経営戦略

所得と消費の二極化、デジタル化の加速、環境意識の高まりなど社会の変化に加え、新型コロナウイルス感染症の長期化やウクライナ情勢の緊迫化などにより、社会・経済活動の不透明な状況が続いております。また、当社では、事業活動に支障をきたす事象とその恐れを含めて、自然災害やデータセンター運用、海外事業展開等をグループ経営への影響度が大きいリスクとして捉えております。

今後も続く不確実で厳しい事業環境において、新たなビジネスモデルの確立が必須であるとの認識のもと、2021年11月、新たな中期経営計画(2022年度~2024年度)を策定いたしました。

長期に目指す姿「お客さまの暮らしを豊かにする、“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」の実現に向けて、百貨店事業を早期に再生し、2024年度には、経営統合後の最高益を達成するため、“高感度上質消費の拡大・席巻、最高の顧客体験の提供”を基本戦略に据え、重点戦略の推進と基盤の整備を着実に実行してまいります。

 

■重点戦略

①高感度上質戦略

両本店を憧れと共感の象徴へと進化させるべく、伊勢丹新宿本店はファッション、三越日本橋本店は伝統・文化・暮らしに注力した商品やサービスの展開に向け、店づくりの計画に着手いたします。

また、外商セールスと外商バイヤーとの連携に加え、デジタルを活用した提案力向上により、個客のニーズに幅広くお応えする組織営業体制へと進化させてまいります。

三越伊勢丹グループ百貨店の店舗間連携により、全国の高感度上質消費を拡充いたします。

 

②個客とつながるCRM戦略

エムアイカード以外のクレジットカードや現金決済のアプリ会員獲得を強化し、つながる個客の数を拡大するとともに、利用額の拡大に向け、エムアイカード会員へのポイントインセンティブ施策等を、首都圏から全国の三越伊勢丹グループ百貨店に展開拡大いたします。

 

③連邦戦略

「建装事業」「住環境事業」「PM*1/CM*2/デザイン事業」を柱とする株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザイン、「広告出稿」「イベント出店支援」を柱とする株式会社スタジオアルタなど、三越伊勢丹グループ各社による外部企業へのサービス提供を本格化いたします。

 

■グループ基盤

①デジタル改革

化粧品「meeco(ミーコ)」や定期食品宅配「ISETAN DOOR(イセタンドア)」を中心としたオンラインの売上の拡大と収支基盤の安定化に取り組んでまいります。接客や営業支援等のデジタル化を通じて、顧客データなどの蓄積と利活用とリアル店舗の融合による、新たな体験を提供してまいります。

 

②CRE・事業モデル改革

経営レベルでのプロジェクトに加え、社内横断グランドデザインプロジェクトの発足により、将来の両本店の在り方の検討をスタートし、高感度上質拠点ネットワークにおける憧れと共感の象徴となるまちづくりを推進いたします。

 

③収支構造改革

「百貨店の科学」を進化させ、収益性と生産性の最大化を図ります。経費コントロールによる販管費の削減と、マルチタスク化や内製化等による要員のコントロールで事業収支構造を継続的に見直し、再設計いたします。

 

■経営基盤

①システム・データ基盤

三越伊勢丹アプリや三越伊勢丹リモートショッピングアプリ、3D計測ツールなどを営業活動において活用することで商品提案力を強化いたします。

 

②人財基盤

従業員全員の「個に寄り添うCDP*3」の推進と経営人財、各領域における専門性の高い人財の育成による人財力の最大化に加え、従業員満足度調査の継続実施によるエンゲージメントの強化により、タテ割り意識なく、協働しながら貢献することにやりがいと誇りを持てる風土を醸成いたします。

 

今後も不安定な事業環境・経営環境が予想されますが、百貨店事業を通じて培った、「のれん」の価値とお客さまを、三越伊勢丹グループの強みとして再認識し、長期に目指す姿の実現に向け着実に進んでまいります。

 

また、当社グループは企業活動を通じて社会課題解決に貢献し、豊かな未来と持続可能な社会の実現を支えるべく、サステナビリティへの取り組みを進めています。「人・地域をつなぐ」「持続可能な社会・時代をつなぐ」「従業員満足度の向上」の3つをマテリアリティ(重要課題)として定め、個別の取り組みに加え、当社としてサステナビリティにどのように向き合い、社会に何を提供し、貢献していくかを明確化し、社外・社内に発信してまいります。

 

  *1 PM=プロジェクト・マネジメント

  *2 CM=コンストラクション・マネジメント

  *3 CDP=キャリア・ディベロップメント・プログラム

 

(5)TCFD提言に沿った情報開示

当社グループは気候変動対応を、企業活動を営んでいくうえでの重要課題に位置付けています。気候変動対応をより積極的に推進していくため「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」(以下、TCFD)に賛同し、環境変化を踏まえ、定量的な情報をもとに、評価、分析の見直しを図ってまいります。

 

①ガバナンス(気候変動に関するガバナンス)

当社グループでは、気候変動問題を重要課題と捉え、他のリスクと同様に企業を取り巻くリスクの未然防止対策を講じ、リスクが顕在化した際に迅速な対応を実行するためのリスクマネジメント体制を敷き、その責任者としてCRO(チーフ・リスク・オフィサー)を設置しています。

CROは、代表執行役社長(CEO)の参謀的役割として気候関連のリスクと機会の評価と管理、気候関連問題をはじめとする企業のリスクについて最高位の責任を負い、取締役会への説明責任を有し、報告・モニタリングを行っています。取締役会は、協議・決議された内容の報告を受け、対応方針および実行計画等についての論議、監督を行っています。

また、CEOを議長とする「サステナビリティ推進会議」を執行役会の直下に置き、トップのリーダーシップのもと、グループ全体のサステナビリティを推進しています。CROはCAOを兼任し「サステナビリティ推進会議」の副議長およびその下部組織である「サステナビリティ推進部会」の部会長として、統括・指揮を行っています。

 


 

サステナビリティ推進会議

三越伊勢丹グループのサステナビリティ活動の方向性、重点取り組み等について、グループ全体での推進・浸透を図る会議体。CEOを議長とし、部門長、関係会社代表者で構成。

 

サステナビリティ推進部会

サステナビリティ推進会議傘下の部会で、CAOを議長とし、各社・各店総務部長などの所属長からなるサステナビリティ施策推進のための会議体。

 

サステナビリティ推進会議・推進部会の主な活動内容

・グループ全体のサステナビリティを推進するにあたり、リスク・機会の確認や必要な方針策定

・気候変動対応を含むマテリアリティに関する長期計画とKPIの進捗確認

・グループ各社におけるESGへの取り組みについての事例共有、議論、モニタリング

・ESGにおける最新の知見を共有化

 

②戦略

当社グループでは、2つの将来の姿を思い描き、いずれの場合においても適切に対応できるようにシナリオ分析を行いました。

いずれのシナリオも国際エネルギー機関(IEA)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表しているシナリオをベースに進めました。

具体的には、気候変動対策が思うように進んでいない現在の延長線上の「4℃の世界」、気候変動対策が進みパリ協定の目標が実現した「2℃未満の世界」を定め、それぞれの世界が当社グループに与える財務的な影響等を洗い出し、リスクと機会の双方から検討したうえで適切な対応を講じてまいります。

 

参照シナリオ

Representative Concentration Pathway 8.5/2.6℃〜4.8℃   IPCC2015年

Stated Policies Scenario                 WEO

Reference Technology Scenario                           IEA

Sustainable Development Scenario                        WEO

Beyond 2℃ Scenario                                     IEA

Representative Concentration Pathway 2.6/0.3〜1.7℃     IPCC2014年

World Energy Outlook                                    IEA

国交省「気候変動を踏まえた治水計画のあり方提言」

 

 


 

③リスク管理

当社グループでは、気候変動に関するリスク(移行リスク・物理的リスク)・機会の双方について、以下のプロセスにもとづいて評価、分析、対応しています。

また当社グループは、気候変動に係るリスク・機会について、「サステナビリティ推進会議」において検討を行い、各社・各部門への共有を図っております。

1.当社グループに影響を与えると考えられる、気候変動に関するリスク・機会を抽出

2.抽出したリスク・機会をお客さま・お取組先・地域社会・投資家などのステークホルダーに与える影響度と、リスク・機会発生の可能性の2軸でプロット

3.プロットされた項目毎の影響度について、定量面・定性面双方の視点から検討し、重要度を確定

 

 

④指標と目標

・環境中期目標:2030年における温室効果ガス排出量を2013年度比▲50%

・環境長期目標:2050年における温室効果ガス排出量実質ゼロ

・環境長期目標の実現に向けて、再生可能エネルギーへの切り替え計画、お取組先へのアセスメント実施、SBTの認証取得等について、併せて検討・実施してまいります。

 


 

温室効果ガス(GHG)排出量

 

バウンダリ
 ※1

単位

 2017年
3月期

2018年
3月期

2019年
3月期

2020年
3月期

2021年
3月期

GHG
排出量
※2、3

GHG Scope1

グループ

t-CO2

27,281

25,644

24,234

22,573

17,030

GHG Scope2

210,705

187,581

175,458

152,628

123,237

小計(Scope1・2)

237,986

213,224

199,691

175,201

140,267

GHG Scope3(15カテゴリ)

3,462,866

3,419,360

3,089,695

2,703,028

計(Scope1・2・3)

3,676,090

3,619,051

3,264,896

2,843,295

 

※1 バウンダリ:環境に係るバウンダリ(グループ)は、㈱三越伊勢丹ホールディングス、㈱三越伊勢丹、国内グループ百貨店及び国内関係会社(一部)です。

※2 集計範囲の修正及び排出係数を固定係数から調整後変動係数に変更したことで、CO2排出量及びエネルギー使用量は過去に遡り変更しました。

※3 Scope1~3:当社グループGHG排出量算定規程、及びScope3カテゴリ別算定方法により算定し、2021年3月期の排出量については第三者機関の検証を受けています。

 

 

2 【事業等のリスク】

本報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。但し、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。また、文中における将来に関する事項は当社グループが当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(当社グループのリスクマネジメント推進体制について)

当社グループでは、外部環境の変化により事業を取り巻くリスクが多様化・複雑化する今日において、事業活動に負の影響を及ぼすような事象と、企業の持続的な成長を妨げる要因をリスクとして幅広く定義し、分析・評価を行い一層の対応の強化を図ることで、レジリエンスの高い企業経営を実現してまいります。

平時におけるリスクへの備えと発生時の適切な対応によるリスクの低減のための組織の構築、事業の対応計画を策定し推進することでグループとしてのリスクマネジメント力を強化しております。

当社グループの掲げる事業計画を達成し、将来にわたって持続的な成長を可能にするとともにお客さま、お取組先、従業員の安心、安全を最優先としてリスクマネジメントを推進してまいります。

 

※リスクマネジメント体制

 


 

当社グループではリスクの管理体制の枠組みとして3つのディフェンスラインを整備し、さらに各組織を5つのレイヤーに分類した上でリスクマネジメントにおける役割と責任を明確化し、実効性のあるリスクマネジメント体制の実現を図っております。その実践のための最高機関として、当社グループCEOを議長とするコンプライアンス・リスクマネジメント推進会議を設置するとともに、具体的な対策の立案と推進、検証のPDCAサイクルを回すための部会として、リスク対策部会、コンプライアンス推進部会、サイバーリスク対策プロジェクトと新型感染症(コロナ)対策本部会議の4つの部会を設置し、当社グループの統合的なリスクマネジメントの体制を構築しております

 

(リスクの分析・評価について)

リスクを分析・評価するに際し、日々変化する外部環境、当社グループの事業特性と事業戦略を考慮し、多角的かつ多面的なリスクの把握に努めております。事業を取り巻く事象を5つのカテゴリー(①災害・外部リスク、②経営戦略リスク、③財務リスク、④人事・労務リスク、⑤オペレーショナルリスク)に分類し、リスクの分析と評価を行います。そしてリスクが顕在化した際には、物的損害、人的損害、財務・経営戦略遂行の阻害、レピュテーション毀損などの損害を被ると捉えております。

以下の記載においては、主要な事業領域(百貨店事業)を中心とする当社グループ経営全体への影響度と発生可能性を想定した主要なリスクを記載しております。

 

 

区分

リスク項目

影響度

物的損害

人的損害

財務、経営戦略遂行の阻害

レピュテーション毀損

災害・外部リスク

自然災害・事故

 

感染症

 

 

情報セキュリティ

 

 

経営戦略リスク

デジタル社会への対応

 

 

 

 

サステナビリティ経営の推進

 

 

 

ビジネスモデルの変化への対応

 

 

 

海外事業におけるリスク

財務リスク

企業(被)買収

 

 

 

 

資金調達

 

 

 

人事・労務リスク

人材確保の激化

 

オペレーショナルリスク

商品取引上のリスク

 

 

個人情報の漏洩・紛失等

 

 

 

 

(1,災害・外部リスク)

(1) 自然災害・事故:影響度 大

(リスク)

当社グループは、百貨店事業を中心として店舗による事業展開を行っております。このため、地震、台風といった自然災害により、店舗の営業継続に悪影響をきたす可能性があります。

特に、首都直下型の大地震が発生した場合、首都圏に基幹店が集中している当社グループは、お客さま、従業員及び建物等に甚大な損害を受ける恐れがあり、それにより当社グループの業績や財務状況に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。また、東日本大震災後に現出した電力の使用制限や消費の自粛、放射能による食料品汚染など、大規模災害が当社グループの営業活動に影響を及ぼす可能性があります。

更に近年の地球環境の変化に伴い、台風や集中豪雨といった災害規模と被害が甚大化するケースが増加しております。洪水や浸水、強風によりお客さま、従業員及び建物等に被害や営業停止による営業損失を与える可能性があります。また全国各地からの供給網により成り立っている百貨店事業において商品供給や物流にも影響を与える可能性があり、当社グループの事業活動全体に影響を及ぼす可能性があります。

そして、当社グループでは消防法に基づいた火災発生の防止を徹底して行っております。しかし、店舗にて火災が発生した場合、お客さま、従業員の罹災による人命の危機の発生および人的資源の喪失、建物等固定資産や棚卸資産への被害、そして被害者に対する損害賠償責任等が発生します。さらに、これらの被害以外にも法令違反が発覚した際の罰則処分、営業停止に伴う営業損失により当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(対 応)

・当社グループでは、地震、台風等の今後想定される大規模災害への対応計画及び発生後におけるBCPを策定しており、これらの計画とBCPに基づいた災害時の組織体制の策定と対策、訓練を実施しております。

・防災・減災対策と災害発生時の初動・復旧・復興にむけた行動想定や実効性向上のための各店舗および事業所での定期的な訓練、安否確認システムの導入、ITツールを活用した情報共有を実施しております。

・複数のリスクに対応したBCPを策定しどのような災害が起きても継続すべき業務を重要継続業務と定め、そのガイドラインの策定と更新を随時行っております。

・各店舗にて消防署と協力の上、火災を想定した消防訓練の実施や設備点検、更には自衛消防隊設置による平時からの安全管理を実施しております。

 

(2) 感染症:影響度 大

(リスク)

2020年度より新型コロナウィルス感染症の発生により、感染拡大防止のための特別措置法の改正および措置等が行われ、主要な経済活動地域に対して度重なる人流の制限や政府から4度の緊急事態宣言が発令されました。更に変異株の発生や感染状況等に対して、解除の延長および各地方自治体によるまん延防止措置が実施されました。当社グループでは、お客さまと従業員の安心、安全を第一に感染対策を実施して営業を継続しておりますが、今後感染状況が長期化した場合、国内の消費マインドの低迷やインバウンド需要の回復の遅れ等により当社グループの業績や財務に影響を与える可能性があります。

(対 応)

・日本百貨店協会等の業界ガイドラインに基づいた対応基準の適用を行っております。

・基礎的な感染症対策の重要性を強く認識し、グループ全店舗等に繰り返し周知徹底を行っております。

・各店舗にて体温検査・消毒といったお客さまの安全確保のための感染防止対策と従業員の活動エリアでの感染対策を徹底しております。

・感染者確認の際には該当従業員の最終出勤日および行動範囲を把握した上で、当該範囲に対する適時消毒を実施し各店舗のホームページ等への感染者発生情報等の速やかな情報開示手続きに務めております。

 ・グループ全体の感染対策の一元化と連携を図るべく一連の拡大防止対応プロセスを集中管理し、コロナ対策本部会議への報告と感染状況に応じた対策の更新を随時実施しております。

 

(3) 情報セキュリティ:影響度 大

(リスク)

当社グループは多岐にわたる事業活動やサービス提供の中で、お客さま、お取組先の様々な情報を日々お預かりし管理しております。昨今、日本企業が国内外からのサイバー攻撃を受ける事例が増加しており、当社グループでも情報セキュリティガバナンスの更なる強化は急務となっております。サイバー攻撃等によるシステムの破壊や停止、そして不正アクセス犯罪等による個人情報や機密情報の漏洩が発生した場合、システムの停止と復旧に時間を要することにより広範な業務に支障をきたすことを余儀なくされます。加えて、社会的信用の失墜による売上の減少や賠償金等の支払い負担など、当社グループの業績や財務に影響を与える可能性があります。

(対 応)

・当社グループでは、情報セキュリティガバナンス強化としてサイバーリスク対策プロジェクトを設置し、日常の業務活動の中で技術的及び人的・組織的な対策の強化を図っております。

技術的対策では、サイバー攻撃を防御、監視、検知、駆除するためのセキュリティツールの導入・運用を強化しております。

人的・組織的対策では、情報セキュリティに関する従業員のリテラシー向上策として、システム部門における専門的なセキュリティ人材の育成や、従業員へのセキュリティ教育及び訓練を適時実施しております。

 

(グループ連携組織CSIRTについて)

二次被害防止の範囲を含めたリスクの局限化のため、初動と組織連携による十分な対応ができるよう、CSIRT(Computer security incident response team)の設置、迅速な行政等への報告、外部専門機関との情報連携などの体制を構築したことに加えて、定期的に訓練を実施する等、さらに実効性を向上させる取り組みを行い、情報資産の保全を強化しております。

 

(2,経営戦略リスク)

(1) デジタル社会への対応:影響度 大

(リスク)

当社グループでは、デジタル社会への変化に対応するために、店舗とオンラインをシームレスにつなぐオンラインサイト・アプリの提供や、デジタルツールを利用した業務効率化を進めております。また、事業活動を通じて蓄積したデータを使ってお客さまやお取組先への新たな価値提供を目指すなど、デジタルテクノロジーを活用したビジネスの変革(DX)に取り組んでおります。一方で、デジタル社会への対応には内部リスクと外部リスクが存在しております。

内部リスクとしては、DXを実行する社内リソースの不足により、デジタル社会を前提としたお客さまのご要望に迅速に対応できないことや、業務効率化、経営効率化が進まずに事業全体の業績や財務状況、今後の経営計画の実行への悪影響を与える可能性があります。また、新システム導入や更改、日々のシステム運用の中で不測の障害が発生することで、実店舗およびオンライン上の営業活動に支障をきたす可能性があります。

外部リスクとしては、デジタル社会の負の側面としてオンライン上での詐欺犯罪が増加しております。当社グループのECサイトにおいても不正利用の発生件数の増加傾向が見られ、対応が不十分な場合は財務に損失を与える可能性があります。

 

(対 応)

・デジタルテクノロジーやデータの活用に長けた専門組織の設置と人材育成や、各部門へのデジタル人材の配置を行い、グループ全体としてDXを実行する社内リソースの強化を図っております。

・システム部門による障害発生の事前防止活動とともに、システム部門と営業部門が一体となり障害発生時の損失を極小化する対応力向上を図っております。

・オンライン上の不正な行為を抑止する技術的対策の導入を、より一層強化してまいります。

・仮想空間プラットフォーム、AIを組み合わせた顧客データ分析など、新しいデジタルテクノロジーを活用したビジネス価値創造に持続的に取り組み、デジタル社会の発展に適応してまいります。

 

(2) サステナビリティ経営の推進:影響度 大

(リスク)

昨今世界各地において気候変動による自然災害の頻発・甚大化や格差の拡大等、様々な環境・社会課題が顕在化してきております。そのような背景から各企業はサーキュラーエコノミー社会の推進、人権の尊重、地域社会への貢献、ESG経営、SDGsへの取り組みといったような社会的責任の追及に根差したビジネスモデルを推進しております。しかし、このような社会の潮流に対して当社グループの対応が不十分であり、且つ遅れをとった際には、時代とともに地域とお客さまと進化してきた百貨店事業の根幹を否定することとなり、社会的な信用の失墜や資金調達が困難となることから企業経営の存続と財務状況に悪影響を与える可能性があります。

そして、気候変動による環境規制の強化やエネルギー価格高騰による設備費増や商品価格への影響は、当社グループビジネスの財務に影響を与える可能性があります。

(対 応)

・当社グループではサステナビリティを推進するにあたり基本方針を策定し、CEOを議長とするサステナビリティ推進会議を組織し定例会議を実施しております。また、従業員に向けた教育を実施し、当社グループを取り巻く環境への理解を深め、社内での様々な環境や社会に対する課題解決への取り組み施策を実施しております。

・当社グループはTCFDへ賛同しており、気候変動拡大によるリスクの把握と当社の財務への影響を分析し、情報開示を行っております。そして「三越伊勢丹グループ2030年環境中期目標」及び「三越伊勢丹グループ2050年環境長期目標」を設定し、低炭素社会の実現に向けた様々な取り組みを推進しております。 

・当社グループのサステナビリティの基本方針に適合した各店舗での商品・サービスの提供及び建物への新技術の導入を進め環境負荷削減を推進しております。

 ・責任ある調達を実現するためにお取組先に対し「サステナビリティ調達に関するアンケート」を実施しサプライチェーン上の課題抽出を図っております。

 

(3) ビジネスモデルの変化への対応:影響度 大

(リスク)

当社グループの主要事業である百貨店事業は、マスマーケティング型のビジネスモデルに重きを置いておりましたが、近年のデジタル化の加速と情報化社会の進化によりお客さまの価値観、消費行動は大きく変化を遂げております。このような時代の変化に対応したビジネスモデルへの転換が遅れますと、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

更に、同業・異業態の小売業他社との競争があり、現在では業界外部・内部からの業界再編の動きが活発化しております。また、業界自体の需要は事業展開する国内・海外各国における気候状況や政治状況、景気動向・消費動向等の経済情勢、少子高齢化といった人口動態の変化や所得の二極化といった社会情勢に大きな影響を受けます。従って、これらの要因や不測な社会情勢の変化に対し当社グループの対応が不十分でありますと業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(対 応)

・当社グループは中期経営計画にて上記のリスクを加味した上で新しいビジネスモデルの確立が必須であるという認識のもと、多岐にわたる事業の強化を図ってまいります。

・基本戦略として "高感度上質"戦略を策定し、生活にこだわりを持ち上質で豊かな生活を求めるお客さまに向けた実店舗構築や外商改革を進めるとともに、全国のお客さまに向けた、デジタル技術を駆使した、新たな購買体験等の提供を促進しております。

・百貨店事業以外のビジネスとして首都圏及び地域の保有不動産の再開発や新興国での不動産プロジェクトへの参入といった事業の強化を行っております。

 

(4) 海外事業におけるリスク:影響度 中

(リスク)

当社グループでは、百貨店事業では東南アジア、中国、台湾、米国での店舗の営業の他、不動産事業においても海外に参画しております。これらの売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のため円換算されており為替変動の影響を受けております。また事業展開をする各国において、事業・投資の許可、税制等、さまざまな政府規制や法制度の適用を受けております。

そして海外での事業展開には、従業員の安全管理上の問題、海外現地法規制への対応不備による違反金の支払い義務の発生、コミュニケーション不足、テロ・戦争・政治・宗教その他の要因による政治・経済的情勢不安や社会的混乱、現地のガバナンス不全等の地政学リスクが内在しております。

これらのリスクにより、当社財務への損害だけでなく、海外実店舗の物的・人的損害の発生や事業の停止・撤退を余儀なくされる可能性があります。また、商品供給網においても、現地法人やお取組先を介してのグローバルな取引が多くあり、商品供給の停滞、遅延が発生する可能性がございます。

特に、直近のウクライナ情勢による影響は、商品価格の高騰及び商品供給のリードタイムの長期化や停滞、エネルギーコストの高騰、海外駐在員の安全等、当面の間、注視する必要があると捉えております。

(対 応)

・当社グループ従業員の海外赴任前教育等による安全教育機会の提供を実施しております。

・海外拠点とのリモート会議やタイムリーな現地リスク情報の共有等、定期的なコミュニケーションを実施し連携を図っております。

・事件事故や有事の発生時におけるレポートラインの確立と、日本と海外拠点が一体となった組織的対応の実施計画を策定しております。

・資金管理等においては銀行のシステムを利用し日本側からのモニタリング体制を構築しております。

・ガバナンス強化の一環として、海外拠点を対象に内部通報制度を導入し社外の通報窓口を設置し運用しております。

 

(3,財務リスク)

(1) 企業(被)買収:影響度 大

(リスク)

外部環境として、事業の多角化や再構築を図る企業が増加傾向にあることや業界再編の動きが活発化しており、企業買収・合併はグローバルに増加しております。当社グループの取り巻く様々な状況及び理由から、企業価値や株価向上に繋がらない短期的な視点での敵対的買収や中長期的な価値向上に資さない買収が発生する可能性がございます。

(対 応)

・事業ポートフォリオの明確化とIRポリシーを制定し、お客さま・株主の皆様への情報公開を積極的に行っております。

・企業価値向上を目的とした経営戦略、財務の具体的なKPI、収支構造改革を公表し実行に移しており、財務戦略としては「事業の収益性」、「バランスシートの内容の最適化」、「資本の効率性」の3要素を推進し、さらなる営業キャッシュ・フローの創出を図ってまいります。

 

(2) 資金調達:影響度 中

(リスク)

当社グループでは、多角化した事業を展開しております。今後の経営計画として不動産事業の強化を目指しており国内不動産の有効活用や海外不動産案件の参画を目指しております。そのため、保有不動産の建て替え、改修等で今後多くの資金需要が発生する可能性がございます。当社グループの業績の悪化や格付けの変更、更には政策の転換による金融市場における資金調達コストの上昇等により資金調達が困難になった場合は、当社グループの財務状況への悪影響と事業計画の実行の遅延及び戦略の変更を余儀なくされる可能性がございます。

 

(対 応)

・将来の投資への備えと不測の事態にも対応しうる財務基盤の強化に努めており、具体的には純有利子負債÷EBITDAの具体的な目標数値を設定し、その実現を目指すと共に営業キャッシュ・フロー、投資キャッシュ・フロー、有利子負債削減、株主還元のバランスの取れたキャッシュアロケーションを実施してまいります。

・潤沢な資金調達を可能とするために、資金調達手法の多角化を推進しております。

 

(4,人事・労務リスク)

 (1) 人材確保の激化:影響度 大

(リスク)

 人材獲得競争の激化が国内のみならずグローバルに発生しており、当社グループにおいても昨今のデジタル技術の進化に伴うデジタル人材や新規事業を始める際に各分野の専門的知見をもつ人材の育成、確保は急務と認識しております。更に、ダイバーシティ&インクルージョンの推進としてハイブリッド勤務の導入を実施するなど個人のライフスタイル、ライフステージに対応した人事制度の設計を行っております。しかし、当社グループが、競争が激化する中で人事制度の設計不備等により、高度なスキルを有する人材の確保が図れなかった際には当社グループの目指す経営目標の達成や事業の存続に影響を及ぼす可能性があります。

(対 応)

・全従業員が部署や事業を通して従来の縦割り型から脱却を図り協業しやりがいと誇りを持てる風土を醸成することを当社の人事制度の方向性として定めております。

・定期的な人事制度の見直し及び、従業員のモチベーションの向上を図るべく教育制度やグループ内出向及び外部出向を拡充しており、自己啓発や公募制度を通した社内外での人材交流の活発化を行うことで人材強化を達成する制度設計を実施しております。

・ライフワークバランスを尊重し個人のライフスタイルに合わせた多種多様な働き方を認める各種制度を実施しております。

 

(5,オペレーショナルリスク)

(1) 商品取引上のリスク:影響度 大

(リスク)

当社グループは、百貨店事業を中心として事業展開を行っております。当該事業は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律を始めとする経済法や各種消費者保護法、また営業許認可に関わる各種業法の適用を受け、お取組先との取引においても、消費者との取引においても、競争力や情報量の格差に乗じた不当な拘束等を排除し公正な取引を行うことが求められています。これらの法規制を遵守できなかった場合、社会的信用の失墜、行政処分による当社グループの活動の制限、売上の減少や損害賠償金の支払い、罰金・課徴金の支払い等による財務上の損失が発生するなど、当社グループの事業継続に大きな影響が生じることが考えられます。

なかでも食料品販売から飲食サービスまで多岐にわたる食品衛生に関わる事業においては、アレルギー表記の不備等が原因となる食物アレルギー有症事故や、調理者の健康管理不良や食材管理不良等に伴う食中毒が発生した場合、お客さまへの重篤な健康被害、営業停止や罰則などの行政処分、社会的信用の失墜による売上の減少や損害賠償金等の支払いが発生し財務状況に悪影響を与える可能性がございます。

(対 応)

・グループ全体の商品取引における法令遵守体制を構築するために、下請代金支払遅延等防止法や不当景品類及び不当表示防止法、特定商取引に関する法律に則したガイドラインやマニュアルを整備し、法改正やオペレーションの見直し等時宜に適った改定を行い、社内に周知しております。

・コンプライアンス推進部会を組織しており定例会議を開催し、法改正等への対応の指針の策定と社内懸念事項の報告及び解決に向けた取り組みを強化しております。

・従業員やお取組先から派遣いただく社員に対し、法令、社内規程、倫理観を重視したコンプライアンスカルチャーを醸成するため様々な教育実施と、法令違反や社内規程に反する行為がないかの定期的な点検の実施を行っております

・万が一、事件・事故が発生した際には各ガイドラインとレポートラインに則った関連部署間での連携による解決を図り、その後事例を社内にて共有し再発防止に努めております

・食品衛生の基本となるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画書を策定し、お取組先まで共有することで食品衛生確保の網羅性を図っております。計画書に基づいた日々の記録と保管を徹底し、定期的な点検を実施することで、法令遵守と食中毒予防の両面からお客さまの安全確保に取り組んでおります。

・アレルギー有症事故を予防するため、正しいアレルギー情報を提供するためのマニュアルと社内体制を整備しております。アレルギー情報が正しく提供されていることを定期的に点検すると共に、お客さまとも積極的なリスクコミュニケーションを日々推進しております。

 

(2) 個人情報の漏洩・紛失等:影響度 大

(リスク)

昨今、旧来の個人情報保護の観点のみならず、個人情報を用いたビジネスの拡大や新規ビジネスの創出に伴う個人情報の漏洩・不適切利用事案の増加から、消費者の個人情報保護への意識と利用状況への関心が高まっております。また個人情報に関する各国法も相次いで整備される中、越境移転も踏まえた、厳重な管理体制や厳格な目的内利用の仕組みの構築が、企業に求められております。

当社グループでは百貨店業、クレジット・金融・友の会業、情報処理サービス業を中心に、多くのお客さまの個人情報をお預かりし管理しておりますが、犯罪等により外部に漏洩した場合や管理体制の不備により紛失した場合、また個人情報の保護に関する法律等の法令違反が発覚した場合には、損害賠償費用や罰金などの費用の発生、さらには当社グループの社会的信用の失墜による売上の減少が考えられ、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 

(対 応)

・適切な個人情報の取得及び利用のための自主基準やマニュアルを策定し、これらに基づいて管理システム・社内管理体制を整備し、実店舗からオンライン環境に至る全ての事業環境において日々厳重に個人情報の管理を実施しております。

・個人情報を含む情報セキュリティ体制の策定と周知の徹底を行い、さらに継続的な見直しとモニタリングを実施しております。

・対応スキルの維持向上を目的として従業員に向けた教育を実施しリテラシーと意識の向上を図っております。

・行政によるデジタル社会の形成に向けた法整備状況、個人情報の保護に関する法律を始めとした法規制やガイドライン等への対応を図っております。

・外部の専門団体に加盟し、他社発生事象の情報共有を含め専門的な知見からなる指摘を受けながら外部環境変化に即した制度設計を図っております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前期比(%)を記載せずに説明しております。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済の状況は、新型コロナウイルス感染症拡大により、企業の経済活動や個人の消費活動が制限される等の影響を受け、2021年7-9月期の実質GDPはマイナス成長となりました。その後、ワクチン接種が進んだことで感染者数は減少し、2021年9月末には緊急事態宣言が解除され、経済活動の回復が進んだことから、2021年10-12月期の実質GDPはプラス成長に転じました。 

しかしながら、年明け以降はオミクロン株の流行に伴う感染再拡大によって、まん延防止等重点措置の適用による人流抑制等の影響で、消費マインドが再び後退局面を迎えるなど、厳しい事業環境が続きました。

また、ウクライナ情勢の緊迫化に伴い、原油等のエネルギーや穀物の価格が高騰するなど先行きが不透明な状況が続いております。

このような状況のなか、当社グループは、2021年11月に新たな中期経営計画(2022年度-2024年度)を策定し、長期に目指す姿を「お客さまの暮らしを豊かにする、“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」とし、ただちにその取り組みをスタートさせました。

長期に目指す姿の実現に向けては、再生・展開・結実の3つのステップで戦略を推進いたします。再生フェーズでは、「科学の視点」と「パーソナルマーケティング」によりビジネスモデルを変革し、百貨店の再生と識別顧客を増加させてまいります。展開フェーズでは、識別顧客に向けてグループ全社による「連邦戦略」で、お客さまの幅広いニーズにお応えいたします。結実フェーズでは、連邦戦略を発展させ三越伊勢丹まち化モデルを確立いたします。

具体的には、まず「高感度上質店舗の構築」として、伊勢丹新宿本店はファッション、三越日本橋本店は伝統・文化・暮らし、に注力した店づくりの計画に着手いたしました。

「(個人)外商の改革」に向けた取り組みとしては、2021年度下期に外商バイヤーを設置し、外商セールスと外商バイヤーが連携して、お客さまのご要望を感動的に解決、関心事に対して革新的に提案する等、ダイレクトマーケティングを両本店で先行して着手いたしました。加えて、お客さまのニーズに幅広くお応えするため、従来は取扱いのなかった商品やサービスの拡大に取り組みました。2022年4月には、これらの取り組みを深化させるため、両本店の個人外商組織と法人外商組織を統合した「外商統括部」を新設いたしました。

国内の高感度上質消費の拡大に向けては、拠点ネットワークの構築、すなわち両本店と支店、首都圏店舗と地域店、母店と中小型店、それぞれの店舗間連携を強化いたしました。その連携強化に向け、デジタルネットワークとセールスネットワークを構築するとともに、コンテンツの拡充にも取り組みました。 

2021年10月、松山三越が、地元企業との協業による食・美・健康をテーマとした新たなコンテンツの拡充や、リモートショッピング等を提供するデジタルサロンを設置し、百貨店とテナントショップのハイブリッド店舗としてリニューアルオープンいたしました。さらに、高松三越を母店とする三越徳島店、名古屋三越栄店を母店とする三越豊田店について、2022年4月のオープンに向けた準備を進めてまいりました。三越豊田店はデジタルサロン、三越徳島店では外商サロンを設置する等、母店のみならず全国の三越伊勢丹グループ百貨店の店舗間連携により、全国の高感度上質消費の拡充を進めます。

「個客とつながるCRM*1戦略」では、つながる個客数の拡大に向け、2021年5月より首都圏店舗、2022年2月からは全国の三越伊勢丹グループ百貨店において、エムアイカード以外のクレジットカードや現金決済の利用による「三越伊勢丹アプリ」会員へのエムアイポイント付与を開始いたしました。

また、つながる個客の利用額の向上に向け、「三越伊勢丹・カスタマープログラム」を全国の三越伊勢丹グループ百貨店に導入いたしました。今後は、「エムアイカード連携三越伊勢丹アプリ会員」へのポイントインセンティブ施策等、首都圏で先行している取り組み施策を全国の三越伊勢丹グループ百貨店に拡大いたします。

「連邦戦略」では、“連邦推進体制”の確立に向け、2021年度下期に準備組織を発足いたしました。ただちに、百貨店リモデル業務や販促業務のグループ内製化、グループコンテンツを外部企業に向けて販売する“グループ連邦外販”に着手し、2022年1月に開催された「SCビジネスフェア2022」では、グループリソースのカタログ化によるパッケージ提案を行いました。今後は、更なる外部委託コストの削減、BtoB外販による収益の拡大に向けた取り組みを進めます。

CRE観点*2での「まちづくり開発」では、高感度上質拠点ネットワークにおける、憧れと共感の象徴となる両本店の将来の在り方の検討を開始いたしました。「新宿三丁目駅前西地区市街地再開発準備組合」への参画、経営レベルでのプロジェクトに加え、若手従業員を中心とした社内横断グランドデザインプロジェクト活動を進めました。2022年度は、景観やデザインを含む、まちづくりのコンセプトフレームの策定に着手いたします。

「収支構造改革」では、「百貨店の科学」の視点で、経費や要員などをコントロールするための基準や規律の策定に取り組みました。経費については、売上減少に伴う変動費減少に加え、固定費削減により、損益分岐点売上高を引き下げてきました。要員については、グループ全体での業務オペレーションの見直しによる要員配置の最適化、従業員のマルチタスク化による業務の内製化を進めました。今後も、百貨店の再生に向け、収益性と生産性の最大化に向けた取り組みを進めます。

「サステナビリティ」の取り組みについては、2021年11月に発刊した「三越伊勢丹ホールディングスサステナビリティレポート2021」において、中長期の取り組み目標を掲げ、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明いたしました。主な取り組みとして、伊勢丹新宿本店では、AIスマート空調による省エネ化へのトライアルを推進中のほか、伊勢丹浦和店では、2022年3月に100%実質再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを行いました。また、三越伊勢丹では、彩りある豊かな未来へ向けて「想像力を働かせ、真摯に考えることからスタートする」という想いを込めた「think good」という合言葉のもと、百貨店の本業を通じたサステナビリティ活動をスタートいたしました。今後も、お客さま、お取組先、地域社会など、あらゆるステークホルダーの皆さまとともに、持続可能で豊かな未来を実現すべく、当社独自の取り組みの拡大を進めます。

上記の取り組みを進めた結果、当連結会計年度の連結決算につきましては、売上高は418,338百万円(前連結会計年度は816,009百万円)、営業利益は5,940百万円(前連結会計年度は営業損失20,976百万円)、経常利益は9,520百万円(前連結会計年度は経常損失17,171百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,338百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失41,078百万円)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は493,775百万円減少し、営業利益は114百万円増加し、経常利益及び税金等調整前当期純利益は155百万円増加しております。

 

  *1 CRM=カスタマー・リレーションシップ・マネジメント

  *2 CRE=コーポレート・リアル・エステート

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

百貨店業

第2四半期までは新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の適用に伴い、首都圏店舗を中心に部分的な休業や時短営業を余儀なくされる等、厳しい事業環境が続き、来店客数、売上ともに低迷いたしました。2021年9月末の緊急事態宣言解除後は、感染者数が低水準で推移し来店客数が回復、第3四半期の首都圏店舗においては、コロナ前水準の2019年度を上回る売上高となりました。2022年1月にはまん延防止等重点措置が再び適用され、月末にかけて連日過去最大の感染者数を更新して推移した影響を受け、回復基調にあった来店客数、売上高が再び減少いたしましたが、2月以降は増加に転じて推移いたしました。

国内百貨店では、首都圏店舗で先行導入している「三越伊勢丹アプリ」「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」を2022年2月から三越伊勢丹グループ百貨店でも導入・トライアルし、店舗間連携の構築およびつながる個客数の拡大と利用額の向上に向けた取り組みを進めました。

海外百貨店では、ゼロコロナ政策を続ける中国の各店で回復にバラつきがあったものの、経済活動の再開が順調に進んだシンガポール、米国が業績回復を牽引し、全体では営業黒字となりました。ローマ三越につきましては、新型コロナウイルス感染症による日本人観光客低迷の長期化が想定されるため、2021年7月に閉店いたしました。

オンラインでは、各事業での会員数、売上の拡大に努めたほか、三越伊勢丹オンラインについては収支構造改革を実行し、宣伝費や物流費の最適化、コンタクトセンターの内製化等に着手し、外部委託コストの削減に取り組みました。化粧品ECサイト「meeco(ミーコ)」では、高単価のスキンケアアイテムや限定品が好調で、会員数についてもミレニアル世代を中心に順調に拡大しております。ふるさと納税事業は、外商顧客を中心にエムアイカード会員へのアプローチ強化、バイヤー厳選による品揃えの強化により会員数や寄付金額が伸長いたしました。また、ギフトECサイトの「MOO:D MARK by ISETAN(ムードマークバイイセタン)」は、気軽に贈り物ができるソーシャルギフトとして、上質かつ幅広いテイストの品揃えが20-30代の女性を中心に支持され、会員数、売上高ともに大きく伸長いたしました。「仮想都市のコミュニケーションプラットフォーム」がコンセプトのVRを活用したスマートフォン向けアプリ「REV WORLDS(レヴワールズ)」では、出店ブランド数が約450、出品アイテム数は約1,250まで拡大し、百貨店店舗と連動した化粧品、クリスマスキャンペーン企画等の展開、外部企業との連携によるコンテンツの拡充にも取り組みました。

これらの取り組みの結果、百貨店業における営業損失は前期から改善いたしました。

このセグメントにおける売上高は373,932百万円(前連結会計年度は752,131百万円)、営業損失は6,339百万円(前連結会計年度は営業損失30,302百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は487,787百万円減少し、営業損失は33百万円減少しております。

 

クレジット・金融・友の会業

株式会社エムアイカードでは、百貨店カードおよび外部企業との提携カードの新規会員獲得や利用促進による取扱高の拡大に取り組みました。第2四半期までは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け計画を下回って推移いたしました。緊急事態宣言解除後の9月末以降は、低迷が続いていた交通・旅行・飲食領域を中心にカード利用が回復したことで取扱高は堅調に推移し、営業施策費の最適化、外部委託費等のコスト削減を進めました。

これらの取り組みの結果、クレジット・金融・友の会業の営業利益は前期を上回る結果となりました。

今後は、決済データを活用した販促アプローチや、百貨店カードのラインナップと付帯サービスの強化、「連邦戦略」による外部企業とのアライアンス推進による会員基盤の拡大に取り組みます。また、カード決済データを利活用したデータマーケティング等の新規ビジネス開発にも着手し、より一層の収益基盤の拡大を目指します。

このセグメントにおける売上高は30,498百万円(前連結会計年度は32,542百万円)、営業利益は6,070百万円(前連結会計年度は営業利益4,450百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は2,449百万円減少し、営業利益は80百万円増加しております。

 

不動産業

不動産業では、保有物件における賃料収入が安定的に推移いたしました。

株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザインでは、主要事業の建装・デザイン事業において、コロナ禍での工事延期等の影響を受け、2022年3月期の完工物件は減少いたしましたが、グループ内における店舗リモデル工事の請負や、売上原価の圧縮に努めた結果、営業黒字となりました。今後は、「連邦戦略」の一翼を担うグループ企業として収益基盤の拡大を目指します。

このセグメントにおける売上高は18,072百万円(前連結会計年度は28,367百万円)、営業利益は5,579百万円(前連結会計年度は営業利益5,440百万円)となりました。なお、不動産業セグメントにおいては収益認識会計基準等の適用による売上高及び営業利益への影響は軽微であります。

 

その他

株式会社三越伊勢丹ビジネス・サポートでは、グループ内物流事業において、百貨店の売上回復に伴い商品等の荷受業務・館内搬送業務が増加いたしました。グループ外物流事業については、既存クライアントからのスポット業務が増加したほか、製造原価の見直し、新規クライアントの獲得に向けた積極的な営業活動を展開した結果、増収増益となりました。

株式会社三越伊勢丹ニッコウトラベルでは、新型コロナウイルス感染症拡大により厳しい事業環境が続きました。国内旅行については、百貨店外商顧客を中心に個人手配旅行が堅調な一方で、海外旅行については、オミクロン株の感染拡大やウクライナ情勢の緊迫化によるツアー催行中止等の影響を受け、依然厳しい事業環境が続いております。

「連邦戦略」によるグループ連携強化、「収支構造改革」によるコスト最適化等により、食品卸売事業の株式会社センチュリートレーディングカンパニーは営業黒字に転換し、株式会社三越伊勢丹ギフト・ソリューションズは、減収ながらも増益となりました。

このセグメントにおける売上高は49,571百万円(前連結会計年度は63,656百万円)、営業利益は462百万円(前連結会計年度は営業損失619百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は3,539百万円減少し、営業利益への影響は軽微であります。

 

当連結会計年度末の総資産は1,168,574百万円となり、前連結会計年度末に比べ29,728百万円減少しました。これは主に、有利子負債の返済に伴い現預金が減少したことなどによるものです。

負債合計では650,914百万円となり、前連結会計年度末から39,113百万円減少しました。これは主に、総資産減少と同様に有利子負債の返済などによるものです。

また、純資産は517,660百万円となり、前連結会計年度末から9,385百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて18,324百万円減少し84,472百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

    (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、37,914百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が36,716百万円増加しました。これは主に、売上高の増加及び収支構造改革等により、税金等調整前当期純利益(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失30,997百万円)が増加したことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、17,371百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が12,633百万円増加しました。これは主に、前連結会計年度は連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入があったことなどによるものです。

 

   (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、39,927百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が69,660百万円増加しました。これは主に、前連結会計年度は長期借入金による資金調達があった一方で、当連結会計年度は長期借入金およびコマーシャルペーパーの返済を行ったことなどによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績及び受注実績

当社及び当社の関係会社においては、その他事業の一部に実績がありますが、当社グループ全体の事業活動に占める比重が極めて低いため、記載を省略しております。

 

  b.販売実績

販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(百万円)

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

百貨店業

749,522

372,065

クレジット・金融・友の会業

20,464

17,629

不動産業

26,505

16,199

その他

19,517

12,442

合計

816,009

418,338

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 「収益認識に関する会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、前期比(%)は記載しておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  注記事項」の(重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営成績の分析
 1)概要

 当社グループの当連結会計年度の経営成績の概要として、連結売上高は418,338百万円(前連結会計年度は売上高816,009百万円)、連結営業利益は5,940百万円(前連結会計年度は営業損失20,976百万円)、連結経常利益は9,520百万円(前連結会計年度は経常損失17,171百万円)を計上しました。特別損益及び税金費用等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は12,338百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失41,078百万円)となりました。

以下、連結財務諸表に重要な影響を与えた要因について分析します。

 2)売上高

 連結売上高は、418,338百万円となりました。新型コロナウイルス感染症の拡大により、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が適用され、部分休業や時短営業、外出自粛による消費低迷の影響を受けましたが、お客さまと従業員の安全・安心を最優先に感染防止策を講じながらの営業継続により、総額売上高(「収益認識に関する会計基準」等の適用前の売上高)との比較では96,104百万円の増加となりました。

 3)販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費は237,745百万円となりました。各社で収支構造改革を進め、人件費、業務委託費、宣伝費などの経費削減を進めてまいりました。

 4)営業外損益

 営業外損益は3,580百万円の利益となりました。営業外収益には持分法による投資利益2,326百万円、固定資産受贈益1,864百万円等を計上しました。また、営業外費用には固定資産除却損1,605百万円等を計上しました。

 5)特別損益

 特別利益として8,431百万円を計上いたしました。主な内容は固定資産売却益4,920百万円等です。また特別損失として6,834百万円を計上いたしました。主な内容は新型コロナウイルス感染症による損失3,126百万円、減損損失1,522百万円、店舗閉鎖損失1,343百万円等です。

 6)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、充分な流動性の確保及び財務健全性の維持を常にめざし、安定的な営業キャッシュ・フローの創出と幅広い資金調達手段の確保に努めております。

運転資金及び収益基盤拡大に必要な投融資資金は、営業キャッシュ・フローに加え、銀行借入金、社債、コマーシャル・ペーパー等により賄っております。

 また、一時的な資金不足に備え、主要取引銀行とのコミットメントライン契約及び当座借越契約、並びにコマーシャル・ペーパー発行枠により、充分な流動性を確保しております。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社は、2021年5月12日開催の執行役会において、以下の連結子会社の全株式(発行済株式数の100.0%)をTBCグループ株式会社(以下、TBC)に譲渡することを決定し、同日付で譲渡契約を締結、2021年7月1日に譲渡を完了いたしました。この株式譲渡により、SWPホールディングス株式会社、株式会社ソシエ・ワールド及び台湾施舒雅美容世界股份有限公司は当社グループの連結子会社ではなくなりました。

 

(1)株式譲渡の理由

SWPホールディングス株式会社は子会社である株式会社ソシエ・ワールドを通じて百貨店を中心とする店舗において、エステティック事業やヘア事業・アイビューティー事業を展開しておりました。
 本事業を取巻く環境変化、今後の事業の方向性を勘案した結果、今般以下の連結子会社の全株式をTBCに譲渡することが適切であると判断いたしました。

 

(2)株式譲渡の相手先の名称

 TBCグループ株式会社

 

(3)株式譲渡の時期
    ① 契約締結日    2021年5月12日
    ② 株式譲渡実行日  2021年7月1日

 

(4)当該子会社の名称、事業内容及び当社との取引関係

  ① SWPホールディングス株式会社

   ・事業内容      理容業、美容業、化粧品の輸入・製造・販売等を営む会社の株式の保有
               当該会社の事業活動の支配及び管理
   ・当社との取引関係  当社との間で資金の貸付等の取引関係

  ② 株式会社ソシエ・ワールド

   ・事業内容      理容業、美容業、化粧品の輸入・製造・販売等
    ・当社との取引関係  当社との間で業務委託等の取引関係

 

(5)譲渡株式数、譲渡価額及び譲渡後の所有株式数

   ① SWPホールディングス株式会社

   ・譲渡株式数  61,401株
          (議決権所有割合:100.0%)

・譲渡価額   譲渡相手先との譲渡契約における守秘義務を踏まえ、開示を差し控えさせて頂きます。当該価額については、譲渡相手先との交渉により決定しており、公正価額と認識しております。

   ・譲渡後の所有株式数  0株(議決権所有割合:0%)

   ② 株式会社ソシエ・ワールド

    ・譲渡株式数  1株
          (当社とSWPホールディングス株式会社の所有株式数を合算した議決権所有割合:100.0%)

・譲渡価額   譲渡相手先との譲渡契約における守秘義務を踏まえ、開示を差し控えさせて頂きます。当該価額については、譲渡相手先との交渉により決定しており、公正価額と認識しております。

     ・譲渡後の所有株式数  0株(議決権所有割合:0%)

 

(6)譲渡損益

  当連結会計年度において、2,240百万円を関係会社株式売却益として特別利益に計上しております。

 

5 【研究開発活動】

特に記載する事項はありません。