第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下の通りです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行が判断したものであります。その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれており、将来の業績等を保証し又は約束するものではありません。

 

(1)経営理念

 

あおぞらミッション(存在意義)

・新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する

 

あおぞらビジョン(目指す姿)

・時代の変化に機動的に対応し、常に信頼され親しまれるスペシャリティー高い金融グループであり続ける

 

あおぞらアクション(行動指針)

・ユニークで専門性の高い金融サービスを提供する

・迅速に行動し、粘り強く丁寧に対応する

・チームワークを重視し、みんなで楽しく仕事をする

・仲間の多様な生き方、考え方、働き方を尊重し、仲間の成長を支援する

・過去を理解し未来志向で今日の課題に取り組む

・創意工夫で新規領域にチャレンジする

・社会のサステナブルな発展に積極的に貢献する

 

(2)経営環境

 

 現在、日本経済は歴史的な転換点を迎えています。株式市場では、堅調な企業業績、東証による資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の要請、海外投資家による日本株買い等を背景に、日経平均株価は34年ぶりに史上最高値を更新しました。金融政策では、賃金の上昇を伴う2%の物価安定目標の実現が見通せる状況になったとして、マイナス金利の解除、17年ぶりの利上げが実施されています。わが国の経済は、バブル崩壊後の長期低迷やコロナ禍による混乱を克服し、幅広い分野において、投資を起点とした好循環が期待できる環境が整いつつあり、長期的な成長軌道への着実な一歩を踏み出しています。

 個人においては、インフレーションの定着、人生100年時代、新NISAの導入を始めとする政策の後押し等を背景として、貯蓄から投資への資金シフトの機運が高まっております。一方、企業においては、資本効率の改善を通じた企業価値向上に向けた経営戦略の策定・実践が急務となっており、事業ポートフォリオの再構築、サプライチェーンの最適化、成長投資によるトップラインの向上などのテーマのもと、エクイティ及びデットファイナンスやM&A等の企業活動は着実に活発化しております。

 欧米では中央銀行は高い政策金利を維持しているなか、インフレ鈍化や景気鈍化を受けた利下げが期待されます。また、米国オフィス不動産市況は、金利上昇ペースの落ち着きや在宅勤務からオフィスへの一部回帰も見られ、未だ流動性が極めて低い状況にあるものの、徐々に売買事例が出始めております。

 

 

(3)対処すべき課題

 

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれており、将来の業績等を保証し又は約束するものではありません。

 

 当行グループは、サステナビリティの推進を経営戦略と一体として捉え、ビジネス及び事業者としての活動に「社会的価値」の観点を組み込み、社会・お客さま・株主・従業員をはじめとする全てのステークホルダーへの貢献と、持続可能な社会の実現、当行グループの企業価値の向上を目指しております。

 

サステナビリティ推進の基本的な考え方について

<サステナビリティ推進の基本的な考え方>

様々なステークホルダーとの対話を通じて、現在及び未来の課題に創造力を働かせ、経済的価値と社会的価値を両立するためのチャレンジを続ける

 

1.サステナビリティ全般

(1)ガバナンス

① サステナビリティ推進体制

 取締役会の監督のもと、サステナビリティ委員会を中心とした推進体制を構築し、経営戦略と一体化したサステナビリティの取り組みを推進しております。

 取締役会は、サステナビリティに関する知見・経験を含む、多様性を備えた取締役で構成されており、当行グループが注力する特長のある分野における経営目標である「あおぞらサステナビリティ目標」の設定および見直しの決議を行うほか、定期的な進捗状況の確認を行っております。

 また、「あおぞらサステナビリティ目標」の進捗・達成状況は、業務執行役員の報酬を決定するにあたり重要な定性的評価として考慮しております。

 

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<2023年度の「サステナビリティ委員会」及び「グループサステナビリティ連絡会」の開催状況>

 

サステナビリティ委員会

グループサステナビリティ連絡会

メンバー

CEO(議長)、サステナビリティ推進担当役員(副議長)、全業務執行役員、常勤監査役ほか

サステナビリティ推進担当役員(議長)、グループ会社社長、関連施策の関係部ほか

開催回数

8回

4回

主な議題

・業務運営計画におけるサステナビリティ推進の取り組み

・サステナビリティ推進施策の進捗報告

・人権方針・環境方針・投融資方針の改訂

・社会貢献活動方針の制定

・あおぞらESG支援フレームワークの拡張

・あおぞらサステナビリティ目標の一部修正

・ポートフォリオカーボン分析

・Financed Emissions計測・開示に関する対応

・サステナビリティ情報の第三者保証取得に向けた対応

・人権尊重の取り組み(人権課題マップの作成)

(左記事項のグループ各社への情報共有に加え)

・社会貢献活動の具体的な取り組み方針に関する共有

・ISSBサステナビリティ開示基準に関する情報共有

・グループ各社における「環境・社会に配慮した投融資方針」の策定に関する検討・対応

 

 

② サステナビリティ方針体系

 経営理念を実践するための行動規範である「倫理・行動基準」のもと、人権方針・環境方針などの各種サステナビリティ関連方針を定めております。

<2023年度の取り組み>

・国際基準への対応やサプライチェーンにおける責任明確化の動きなどを踏まえ、人権方針および環境方針を改訂

・トランジション・ファイナンスへの取り組み、人権の尊重や生物多様性保全の観点から、環境・社会に配慮した投融資方針を改訂

・グループにおける寄付・ボランティア等の社会貢献活動の意義・位置づけを明確化するため、社会貢献活動方針を制定

 

今後も世の中の動きに応じて順次見直しを図ってまいります。

 

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(2)戦略

① サステナビリティ重点項目(マテリアリティ)

 当行グループのマテリアリティは、「経営理念実現のために、社会の潮流やステークホルダーからの期待・要請と、当行グループの企業経営に対する重要性を踏まえた注力すべき課題」と定義しております。

地球規模で対応が求められるグローバル課題として「気候変動への対応」・「人権の尊重」を、注力するビジネスを通じて社会的価値・経済的価値を生み出す観点から「産業構造転換の促進」・「企業の金融サービスへのアクセス拡大」・「DXの推進」・「事業・財産の形成、次世代への継承」を、当行グループの持続可能性に不可欠な経営基盤として「ガバナンス・コンプライアンス」・「人的資本の持続可能性向上」をマテリアリティとして選定しております。

経営環境の変化に対応した機動的な見直しを継続するとともに、経営戦略と一体化したPDCAサイクルを構築し、課題の解決に向けた取り組みをグループ一丸となって着実に推進してまいります。

 

マテリアリティを選定した背景及び課題解決に向けた取り組み

項目

マテリアリティとして選定した背景

課題解決に向けた主な取り組み

気候変動への

対応

<機会・リスク>

企業におけるグリーントランスフォーメーション(GX)やトランジションの促進、再生可能エネルギーの普及、革新的な新技術・新分野の創出など、脱炭素社会の実現に向けた動きをファイナンス等から支援することは、当行グループが果たすべき重要な役割であり新たなビジネス拡大の機会であると同時に、対応の遅れは企業経営に大きな影響を及ぼすリスクになる

・環境ファイナンスを含むサステナブルファイナンスの推進、脱炭素コンサルティングを通じた企業の脱炭素化支援

・事業者としてのCO2排出量(Scope1,2)の削減、投融資ポートフォリオにおける排出量(Scope3)の段階的な計測・削減

・気候変動シナリオ分析の拡充等によるリスク管理態勢の高度化、レジリエンスの向上

人権の尊重

<リスク>

人権侵害への関与・放置は、法令違反や行政処分の対象となるリスクに加え、社会的な批判やレピュテーションのリスクに晒される可能性があり、企業として人権侵害を行わないことは当然ながら、当行グループが関与するあらゆる事業及びサプライチェーンから人権侵害・差別・腐敗等を排除し、改善が必要な場合は対話を通じた適切な働きかけを行うことが極めて重要である

・国際規範を踏まえた人権デュー・デリジェンス態勢の構築・実践(人権課題マップの作成)

・職場における人権意識の更なる向上、ハラスメントの排除

・贈収賄・腐敗防止の徹底

産業構造転換の促進

<機会>

あおぞら型投資銀行ビジネスの推進を通じて、産業構造の変革期において、ユニークで付加価値のある金融サービスの提供と経営に対する積極的な関与により、新たな挑戦に取り組むお客さまの構造転換を支援していくことは、当行グループが果たすべき重要な役割でありビジネス拡大の機会である

・エンゲージメント投資、M&A、LBOファイナンス、トランジション支援、不動産ビジネス等を通じた構造転換の支援

・地域金融機関ネットワークを通じた地域金融機関および地域金融機関のお取引先の経営課題解決の支援

 

 

 

項目

マテリアリティとして選定した背景

課題解決に向けた主な取り組み

企業の金融サービスへのアクセス拡大

(スタートアップ/事業再生)

<機会>

全ての個人・企業が、経済活動のチャンスを捉えるために必要な金融サービスを利用できる機会を確保すること、特にスタートアップ企業の成長支援及び地域における事業再生・再チャレンジ支援の2つの領域に注力し、企業の成長と地域社会の活性化へ貢献することは、当行グループが果たすべき重要な役割でありビジネス拡大の機会である

・ベンチャーキャピタルあおぞら企業投資によるベンチャーデットを中心とした資金支援

・成長ステージに応じたビジネス拡大、企業価値拡大に資する事業支援(GMOあおぞらネット銀行、B Spark)

・あおぞら債権回収の再生ファンドを通じた事業再生・再チャレンジ支援

・地域金融機関などのパートナーとの連携強化、事業再生債権投資の実施、再生のステージに応じたソリューション提供の強化

DXの推進

<機会>

加速度的に進むデジタル技術の高度化は、既存事業領域の喪失や生活スタイルの転換など、全ての企業・個人に不可逆かつ広範な影響を及ぼしており、社内においてデジタルトランスフォーメーション(DX)を進め、業務の生産性向上、商品・サービスの品質向上を図るとともに、お客さまのDXを支援するサービスに注力することは、企業競争力を高め、かつ新たなビジネス拡大の機会である

・法人向けDX支援会社B Spark、次世代テックバンクGMOあおぞらネット銀行によるDXソリューションの提供、スタートアップ企業の成長支援

・「BANK」アプリ、非対面型サービスにおけるUI/UXおよび顧客利便性の向上

・多様な情報資産(データ)の適切な管理・蓄積・活用、デジタルマーケティングの強化

・コミュニケーションのフラット化、業務効率性・生産性の向上、場所に捉われない働き方の推進

・DX人材の育成

事業・財産の形成、次世代への承継

<機会>

国内の少子高齢化が進む中、個人として豊かな人生を過ごし、資産を次世代へ繋ぐこと、国内産業競争力の源泉である中小企業の後継者難・人材難を解決し、次世代へ事業を継承することは、当行グループが果たすべき重要な役割でありビジネス拡大の機会である

・「あおぞらコアファンド」の提供等による中長期的な資産形成支援

・事業承継、財産承継、不動産の活用など、お客さまの幅広いニーズに合わせた「非金融領域サービス」の拡充

ガバナンス・コンプライアンス

<リスク>

不適切な企業統治やコンプライアンスの軽視、信用不安の惹起、システム障害への対応の遅れ等は、金融機関の事業活動に関わる全てのステークホルダーと、企業経営の持続可能性に重大な影響を及ぼすリスクであり、外部環境の変化に対応した適切なリスクガバナンス態勢の強化、コンプライアンスリスク管理の高度化等を通じた、経営の規律の維持と健全性の確保が極めて重要である

・透明性の高いコーポレート・ガバナンスの構築

・リスク管理態勢の高度化、財務健全性の維持、コンプライアンスの強化

・オペレーショナルレジリエンス態勢の強化(サイバーセキュリティ・危機管理)

・内部監査ガバナンスの強化・実効性の向上

・危機管理体制・手法の高度化、多拠点対応の実施

 

 

 

項目

マテリアリティとして選定した背景

課題解決に向けた主な取り組み

人的資本の持続可能性向上

<機会・リスク>

人事制度や職場環境整備の遅れ等により、人材の不足・流出に直面すること、次世代へのスキル・ノウハウの承継が円滑に進まないことは、当行グループの企業経営の持続可能性に重大な影響を及ぼすリスクである一方、専門性が高くユニークな金融サービスの提供など当行グループの価値創造を支える人的資本への様々な投資を継続することは、企業競争力を高めるために重要である

・ビジネス戦略と整合した人材育成・採用・配置、注力分野への人的リソースのシフト(人材分析にHR-Techを導入し、戦略的人的資源管理を推進)

・キャリア構築の支援、働きやすさの向上と働きがいの追求

・多様なバックグラウンド・価値観を持つ人材が活躍できる職場環境の整備、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの向上

 

(3)リスク管理

① リスクアペタイト・フレームワーク/トップリスク

当行グループでは、事業戦略・財務計画の達成に向けた適切なリスクコントロールを行い、持続的な企業価値の向上を図るために、リスクアペタイト・フレームワークを整備しております。

また、リスクの要因別に「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナル・リスク」等のリスクカテゴリーに分類し、各リスク特性に応じた管理を行った上で、リスクを全体として把握・評価しリスクを制御していく、統合的なリスク管理態勢を構築しております。

トップリスクの認識においては、サステナビリティに関するリスクをトップリスクの各項目の中に落とし込み、取締役会やマネジメント・コミッティー、サステナビリティ委員会における業務運営計画の議論等に活用しております。サステナビリティに関するリスクとしては、具体的に以下のリスクを特定しております。

・与信費用の増加:気候変動や人権尊重に関して対応が遅れた投融資先の企業価値低下

・当行の構造転換やビジネスモデルの転換の遅れ:サステナビリティ推進に消極的との外部評価による、ESG評価低下に伴う外貨調達コストの上昇、サステナブルファイナンス機会の逸失

当行グループのトップリスク運営等の詳細については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

② 環境・社会に配慮した投融資

 「環境・社会に配慮した投融資方針」において、環境・社会に対し、負の影響を及ぼす可能性のある問題について、「セクター横断的」または「特定セクター」に係る取り組み方針を定めており、負の影響を及ぼす企業やプロジェクトの投融資を禁止、抑制するとともに、環境・人権課題等の社会的課題を抱え、ステークホルダーの期待に配慮した適切な対応を行わない企業と取引することのリスクを低減しております。

 

環境・社会に対し負の影響を及ぼす可能性のあるセクターへの取り組み方針

セクター横断

与信禁止

投融資を禁止する事業等

・ラムサール条約指定湿地へ負の影響を与える事業

・ユネスコ指定世界遺産へ負の影響を与える事業(当該国政府およびユネスコから事前同意がある場合を除く)

・ワシントン条約に違反する事業(各国の留保事項には配慮)

・児童労働・強制労働・人身取引を行っている事業

・所在国の法令に関して違法な行為、所在国の環境や人権の法整備が遅れている場合においては国際的な環境や人権に関する規範に反する行為、および公序良俗に反する行為を伴う、または、目的とする事業、および反社会的勢力

慎重に

与信判断

・先住民族の地域社会へ負の影響を与える事業

・非自発的住民移転に繋がる土地収用を伴う事業

・保護価値の高い地域へ負の影響を与える事業

・紛争地域における人権侵害を引き起こす、または助長する事業

 

 

 

環境・社会に対し負の影響を及ぼす可能性のあるセクターへの取り組み方針

プロジェクトファイナンス

(赤道原則)

・赤道原則の適用対象となるプロジェクトに対する融資やプロジェクトファイナンスアドバイザリーサービスを検討する際には、原則の要求事項が遵守されていることを確認する

 

特定セクター

(与信の制限・禁止)

石炭火力発電

石炭火力発電所の新設や発電設備の拡張に対するファイナンスには取り組まない。なお、二酸化炭素回収・利用・貯留技術等の脱炭素社会への移行に資するお客さまの取組みを支援する投融資については、前向きに取り組んでいく

石炭鉱業

新規の炭鉱開発に対する投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認する。環境への影響が大きい山頂除去採掘(Mountain Top Removal, MTR)方式で行う炭鉱採掘事業、発電事業向けに一般炭を供給する新規の炭鉱開発に対する投融資は行わない

石油・ガス

オイルサンド、シェールオイル・シェールガス、石油・ガスパイプライン、北極圏(北緯66度33分以北の地域)での開発に対する投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認する

大規模水力発電

新規の大規模水力発電(堤防の高さ15m以上かつ出力30,000KW以上)に対する投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認する

森林伐採

木材、紙、パルプなど森林伐採を伴う事業に対する投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認する

パーム油

アブラヤシ農園開発に対して投融資を行う際には、お客さまにNDPE(No Deforestation, No Peat, No Exploitation(森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ))を遵守する旨の公表を求める。パーム油の流通等関連する事業に対し投融資を検討する際には、RSPO (Roundtable on Sustainable Palm Oil)の認証等、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認する

たばこ製造

たばこ製造への投融資を検討する際には、児童労働・強制労働や健康被害に対する、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認する

非人道兵器

クラスター弾等の非人道兵器の製造に対する投融資は行わない

原子力・プラスチック・船舶・鉱山

関連する事業への投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮への取り組み状況や取り組み姿勢を情報収集する

 

 

(4)指標と目標

① あおぞらサステナビリティ目標

 経済的価値と社会的価値の創出に向け、グループ全体に共通する経営目標として、「あおぞらサステナビリティ目標」を設定、公表しております。

 あおぞらサステナビリティ目標は、あおぞら型投資銀行ビジネスの推進や気候変動への対応など4つのカテゴリーから構成されており、当行グループが注力する特長のある分野を中心に、中長期的な数値目標を設定し、環境・社会に対する持続的な貢献を目指しております。

 

あおぞらサステナビリティ目標の進捗状況

 「あおぞらサステナビリティ目標」の進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」に記載しております「あおぞらサステナビリティの進捗」をご参照ください。

 

2.気候変動

(1)ガバナンス

気候変動への対応は、サステナビリティへの取り組みの重要な要素として、取締役会の監督のもと、サステナビリティ委員会を中心とした推進体制を構築し、経営戦略と一体化した取り組みを推進しております。サステナビリティの推進に関するガバナンスについては「1.サステナビリティ全般 (1)ガバナンス」をご参照ください。

(2)戦略

カーボンニュートラルに向けた動きが世界中で加速する中で、金融機関として脱炭素社会の実現に向けて果たすべき役割を強く認識し、「気候変動への対応」をマテリアリティとして選定しております。マテリアリティの詳細は、「1.サステナビリティ全般 (2)戦略」をご参照ください。

気候変動関連の機会とリスクへの具体的な認識・取り組みは以下の通りです。なお、当行グループでは、短期を0~3年、中期を3~10年、長期を10~30年と定義しております。短期については、中期経営計画と合わせた期間(~3年)としております。

 

① 気候変動に関する機会

機会の事例

時間軸

・国内外におけるグリーンエネルギーファイナンス、トランジション・ファイナンス、脱炭素イノベーションファイナンス等の取り組み拡大、脱炭素化の促進

・あおぞらESG支援フレームワークローンの取り組み増加、お客さまの脱炭素への移行支援ニーズを捉えたソリューション提供機会の拡大

・ESGを考慮した投資信託である「十年十色」、「満天観測」の継続的販売、インパクト関連投資信託の新規設定

・取引先のサステナビリティ推進体制構築へのアドバイス、関係構築・強化

・環境関連事業を展開する企業(ベンチャー企業含む)との協業による新たなビジネス機会の発掘

・あおぞら型投資銀行ビジネスとの更なるシナジー発揮(産業構造転換支援)

短期~中期

・水素・アンモニア、CCS、DAC等エネルギー関連の新技術開発に対するファイナンス機会の増加

・製造・運輸セクターでの抜本的な原燃料転換や省エネ推進に対するファイナンス機会の増加

・“脱炭素社会実現への貢献“という新たな価値観を共有する個人のお客さまとの多様な取引機会の増加

中期~長期

 

② 気候変動に関するリスク(移行リスク、物理的リスク)

気候変動は、当行グループに影響を与える全てのリスクに関与するため、統合的リスク管理の枠組みにて以下のようなリスクを認識しております。今後の環境変化に応じて、リスクの分類や各種事例について見直しを行ってまいります。

リスクの分類

移行リスクの事例

時間軸

物理的リスクの事例

時間軸

信用リスク

・政策、技術の進歩、消費者の嗜好変化等により、お客さまの業績や財務状況が悪化し、与信ポートフォリオが毀損し、損失を被るリスク

短期~長期

・自然災害によるお客さまの業績悪化や担保棄損に伴い、与信ポートフォリオが毀損し、損失を被るリスク

・熱中症や疫病のパンデミック等の発生頻度が高まり、当行又は当行のお客さまの事業に重大な悪影響が生じるリスク

短期~長期

市場リスク

・お客さまの収益減少や既存資産の減損等により、保有有価証券、金融派生商品等の価値が変動し、損害を被るリスク

短期~長期

・異常気象の影響による市場の混乱、市場参加者の中長期的な見通しや期待の変化により、保有有価証券の価格等が変動し、損失を被るリスク

短期~長期

 

 

 

リスクの分類

移行リスクの事例

時間軸

物理的リスクの事例

時間軸

流動性リスク

・移行リスクへの対応の遅延などによる当行の信用悪化による資金調達手段の限定、預金流出・資金繰り悪化のリスク

短期~長期

・異常気象で被災した顧客の資金需要の高まり、復旧・復興に向けた資金流出の増加によるリスク

短期~長期

オペレーショナル・リスク

・CO2削減対策や事業継続性強化のための設備費用の増加

短期~長期

・異常気象による被災に伴う本支店やデータセンターにおける業務の中断、損害が発生するリスク

短期~長期

 

風評リスク

・気候変動への対応不足やステークホルダーから不適切または不十分と評価されることにより当行のレピュテーションが悪化するリスク

・環境への配慮が不十分なお客さまとの取引継続や、当行の移行遅延による評判悪化、雇用への悪影響のリスク

短期~長期

・異常気象の影響を受けたお客さまの支援不足による評判の悪化、事業の中断リスク

短期~長期

 

③ シナリオ分析

2050年までを対象とした定量的なシナリオ分析は以下の通りです。

 

移行リスク

物理的リスク

シナリオ

IEA(国際エネルギー機関) World Energy Outlook STEPS(3℃)シナリオ、NZE(1.5℃)シナリオ

IPCC(気候変動に関する政府間パネル) RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)/RCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)

分析手法

パラメーターや公開情報などを基に将来の投資負担の増加についても考慮に加え、取引先企業の業績影響への度合い(信用力低下の程度)を把握し、引当コストの増加額を試算

河川氾濫、高潮による浸水被害における建物損傷率を算出し、使途物件の損傷に起因した引当コストの増加額を試算

(物件の棄損による直接被害と事業停滞期間による影響)

分析対象

電力、エネルギー、自動車、不動産(ノンリコースローン、REITを除く)、素材セクター*

(当該対象向け貸出金が貸出金残高全体に占める割合18.4%)※2023年3月末時点

国内外の不動産ノンリコースローンの担保物件

(当該ノンリコースローンが貸出金残高全体に占める割合15.1%)※2021年6月末時点

分析結果

・電力セクターにおいては、炭素価格上昇に伴うコスト増に加えて、GHG排出削減技術の開発および電源構成の変化が重要であることを確認

・エネルギーセクター、自動車セクターにおいては脱炭素社会への移行に向けた市場ニーズの変化への対応が重要であることを確認

・素材セクターにおいては、炭素価格上昇に伴うコスト増の影響を比較的受けやすいことを確認

災害の影響を受けにくい立地や堅牢な担保物件が多いことから、洪水/高潮による被害の可能性が認められた物件は限定的であることを確認

 

 

 

 

移行リスク

物理的リスク

増加が予想される引当コスト

現時点における引当コストとの比較において、2040年まで最大200億円程度増加し、2050年にはネットゼロ社会への移行の進展に伴い財務状況が改善するため最大40億円の増加と予想

2050年までの期間において10億円程度の増加と予想

財務的影響への評価等

分析対象セクターにおける将来の投資負担について検討を実施したこと等により、前年度に比べて引当コストの試算結果が増加

自然災害や異常気象の増加等に起因する影響は顕在化の前提が数年単位で変化する性質のものではないことから、2023年度は新たな分析は実施していない

今後は状況の変化を見極め、必要に応じて適宜見直しを行っていく

* 移行リスクの分析対象:気候変動による影響度に基づいたリスクマップを用いて与信ポートフォリオにおける重要なセクターの特定を行い、素材セクター、不動産セクター(ノンリコースローン、REITを除く)に加えて、エクスポージャーは比較的大きくないものの影響度が大きい電力・エネルギーセクター、自動車セクターを対象として選定

 

(3)リスク管理

気候変動リスクについて、「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナル・リスク」といった既存の金融リスク分類の中で、金融リスクを誘引する「ドライバー」として、既存のリスク管理の枠組みに統合する形で管理しております。また、気候変動リスクを「トップリスク」の各項目の中に落とし込み、リスクアペタイトや業務運営計画の議論に活用し、リスク管理の高度化に取り組んでおります。

個別案件の取り上げに際しては、「環境・社会に配慮した投融資方針」に基づき対応しております。同方針は、ビジネス環境や社会的な要請および事業活動の変化等に応じて、マネジメント・コミッティー、サステナビリティ委員会における議論を通じて随時見直しております。

<環境・社会に配慮した投融資方針の主な内容>

・与信禁止への該当が疑われる与信案件については、クレジットコミッティーまたは投資委員会が個別案件ごとの背景や特性等も総合的に勘案し取引の可否を判断

・新設の石炭火力発電所に対するファイナンスおよび既存発電設備の拡張に対するファイナンスには取り組まない方針

・赤道原則に基づき、大規模な開発プロジェクトに融資する際に、当該プロジェクトの環境・社会リスクを 特定、評価、管理

・案件検討時に、入手可能な場合は取引先の温室効果ガス(GHG)排出量に係る情報を把握

・気候変動と自然資本/生物多様性を一体的に理解し、対応を進めていく必要性を認識

 

(4)指標と目標

気候変動への対応に関する「指標と目標」につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」に記載しております「あおぞらサステナビリティの進捗」をご参照ください。

 

 

3.人的資本・多様性

 (1)戦略

 当行グループは、経営理念として「新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する」ことを掲げ、従業員数約2,400名のコンパクトな規模ながら高い専門性と提案力を武器に質の高い金融サービスを提供しております。それを担う「人財」こそが価値創造の源泉であり、当行グループの「人的資本」であると考えております。

 経営戦略である中期経営計画において、「育てる」「変わる」「再生する」の3つの場面においてお客さまのお役に立つことを目指す「あおぞら型投資銀行ビジネス」に注力し、お客さまや地域社会が抱える課題の解決に取り組んでおり、この経営戦略を実現するための人材戦略として、成長・注力分野への人材シフトを進めてまいります。また、多様で優秀な「人財」の採用・育成や従業員への還元、エンゲージメント向上にも力を入れ、経済環境の変化に関わらず長期的な人的資本への投資を継続してまいります。経営戦略と連動した人材戦略の実践を通じ、従業員の能力を最大限に高めるとともに生産性向上を図ることで、当行グループの中長期的な企業価値向上を目指してまいります。

 

① 人材戦略を支える人的資本投資

(イ)人的資本への投資強化

 当行グループでは、人的資本投資として外的報酬だけではなく内的報酬の側面も重視しております。

 外的報酬面では、ベアや人材戦略に沿った「人財」の採用・育成施策だけではなく、2020年度から「あおぞらアクション」に掲げている「チームワークとチャレンジ」をキーワードに人事制度改革に取り組んでおり、キャリアコースや世代間の壁をなくし、年齢・性別などに関わらず優秀な人材の登用につなげることを目指しております。併せて、挑戦する人・成果をあげて活躍する人により報いるため処遇の見直しを行い、競争力のある報酬制度の維持に努めております。

 内的報酬面では、従業員エンゲージメント向上に向け、従業員が働く環境の整備やウェルビーイング向上に向け、さまざまなキャリア構築支援に長年取り組んでおります。
 こうした人的資本への投資強化の結果、2023年度は全体の業績は厳しいながらも顧客関連ビジネス利益は好調な結果となったほか、従業員の定着率の高さにもつながっております。今後も人的資本投資を継続的に強化することで、「あおぞら型投資銀行ビジネス」を中心とする顧客関連ビジネスを推進し、1人当たりビジネス利益など中期経営計画の達成を目指してまいります。そして優秀な人材に「選ばれる」働きがいのある会社、すべてのステークホルダーの皆さまに選ばれる会社となれるよう努めてまいります。

 

(ロ)人材の採用と人材配置

 経営戦略実現のための人材戦略の一環で、ビジネス環境の変化に適応しつつ主体的に行動でき、「チームワークとチャレンジ」を体現できる「人財」や、あおぞら型投資銀行ビジネスおよびDXなど注力分野に必要なスキルセットを持つ「人財」の確保に努めております。
 当行グループの採用戦略として、新卒採用ではポテンシャルの高い新卒を厳選して採用しております。キャリア採用にも長年注力し、多様な経験値・価値観をもち、専門性が高いキャリア採用者が即戦力として活躍しております(当行におけるキャリア採用者比率39%)。2024年度からアルムナイ採用(当行グループ退職者の再雇用)、リファラル採用(従業員による採用者紹介)を制度化し、採用力の強化を図ってまいります。

 人材登用においては、新卒採用やキャリア採用に関係なく、多様な価値観・経験値を持つ少数精鋭の「人財」が真に活躍できることが当行の特長であります。すでに、2020年度の人事制度改革で一般職を廃止しキャリアコースの垣根をなくしております。その結果、キャリアコースは全国総合職、地域総合職、IT競争力を強化する目的で創設されたIT職の3職種に集約いたしました。さらに専門性を重視するポジションに関して、職務内容・スキル・経験に応じた契約型のプロフェッショナル職、スペシャリスト職(「ジョブ型」)も雇用しております。全ての採用者は将来の幹部候補あるいは高度専門人財として登用しております。人材配置については、個々の従業員の適正・能力・キャリア志向を勘案し最適な人材配置を心掛けていることに加え、従業員のスキル・経験・キャリア志向・評価やパーソナリティ特性など人材のアセスメントデータを可視化し分析することで、戦略的な採用や人材配置に活かしております。

 

(ハ)人材の育成戦略

 当行の人材育成の特長は、従業員の多様なキャリアプランと主体性を尊重し、様々な育成プログラムを提供することで、従業員一人ひとりのチャレンジを後押しする点となっております。従業員が自らの課題やありたい姿と向き合い、主体的に成長を目指すことが狙いであります。

 人材育成方針としては、若手層は人事部による階層別研修、ビジネススキルを学ぶ研修と配属先での専門プログラムによる教育と実践を通じ、早期の戦力化を図っております。また、新卒8年目までに営業現場を含む3部署で多様な業務経験を積むことで、将来の幹部候補として多様なキャリア構築の機会を提供し、中長期的な視点で育成しております。30代~40代の中堅層・管理職層は、マネジメント力の強化に加え専門性を磨くための人材配置を行っております。これらを通じて、社会最適とお客さまファーストの視点を持ち、価値創造の源泉となる「人財」育成を目指しております。

 特に管理職層には、“人材育成を管理職の基本業務”とすることを掲げ更なる意識向上を図ってまいります。シニア層にはマインドセットや新たな処遇や働き方を選択できる機会を提供し、自ら活躍しつつ経験や知見を次世代につなぐことを重要な役割と位置づけております。

 研修は、コーチングなど有資格者を含む人材や専門性の高い業務に精通した従業員により、プログラムの大半を内製化している点が特長であります。また、時代の変化を見据え、一部の研修は外部セミナーや外部講師も取り入れ、実践的で質の高い研修を提供しております。専門性を活かし社会の役に立つことで、一人ひとりが自分の仕事に自信を持つ「人財」育成に努めてまいります。

 

② 人材の多様性確保に向けた環境整備

 

<多様性確保に向けた人材育成・環境整備方針>

方針

取組内容

能力のみならず

多様性を重視した

採用と人材登用

・新卒、キャリア採用を両輪とする採用活動の継続

・女性総合職の採用強化

・多様性に配慮した人材登用の推進

女性従業員の

キャリア形成支援

・未経験業務へのチャレンジ促進

・女性向けリーダー育成研修などによるキャリア形成支援

すべての従業員が活躍できる環境の整備

・外的報酬・内的報酬両面での人的資本投資に注力

・従業員エンゲージメント向上に向けた取組の継続

・障がいのある従業員が安心して働ける環境づくり

 

(イ)中核人材の登用等における多様性の確保について

 当行では2021年度より人材育成・環境方針を整備するとともに女性・外国人・キャリア採用者の管理職比率に目標を設定し、中核人材の登用等における多様性確保に向けた取組強化を進めております。すでに当行におけるキャリア採用者の管理職比率は54%に達しており、経営の意思決定層における多様性の確保につなげております。

 

(ロ)女性従業員の活躍推進に向けた取組

 当行では女性従業員が育児・介護による退職を防ぐため様々な施策に取り組んできた結果、女性の勤続年数が16年超と男性より長いことが特徴であります。従業員の性別割合もほぼ拮抗しており、多くの女性従業員が各職場で活躍しております。

 今後一層の女性活躍推進に向け、当行では女性管理職比率に加え、独自に女性管理職候補となる女性調査役(係長級)比率に目標を定め中核人材プールの拡充に努めております。役員を含めあらゆる意思決定層に継続的に女性人材を輩出し、当行における女性管理職比率を2028年3月末までに20%以上を目標とし、長期的には25%以上に引き上げていくことを目指しております。

 2020年度には、誰もがキャリアアップを目指せるよう一般職を廃止し総合職に統合することで、キャリアコースによる役割や業務範囲の制限を完全に撤廃する人事制度改革を行いました。

 2023年度からは新たに女性管理職や管理職手前の女性調査役をサポートする施策として、旧一般職が多い職場向けの女性リーダー研修や部門を超えたネットワーク作りの支援などを実施しております。また、女性従業員の育児を理由とした退職を避けるため、職場復帰を控えた育児休業取得者向けイベントやキャリアコンサルタントによる育児と仕事の両立についての相談も多く実施しております。また、前述のアルムナイ制度を通じて退職した従業員が再度活躍できる場を提供しております。

 女性従業員の中には固定化した役割を超え、新たな業務へのチャレンジを後押しする経験領域拡大施策の活用や転居を伴う異動の実現に加え、地方支店に居ながらリモートで本店業務に従事するなど新しい働き方に取り組むケースが出ております。このような女性活躍推進に向けた取組を通じて、旧一般職の女性従業員の中から管理職に昇格する例も着実に増えております。

 

(ハ)男性育休取得促進に向けた取組

 当行では女性の育児休業取得率は100%で推移しております。一方で男性の取得率は、過去2年間で大幅に伸びたものの100%に達しておらず、その改善が課題と認識しております。当行が昨年導入した「産後パパ育休」制度は、4週間まで有給、かつ分割取得や休業中の一時的な就業を可能とするなど休暇取得のハードルの低さが特長ですが、2024年度からは同制度を改訂し対象者に対して年5日以上の育休取得を義務化いたしました。これにより、男女を問わず育児と仕事の両立に対する職場の理解浸透を図り、当行における男性育休取得率100%のあおぞらサステナビリティ目標達成を実現してまいります。

 

(ニ)従業員のファイナンシャルウェルネスの向上

 従業員が能力を最大限発揮し活躍するためには経済的にも安定し将来の生活に不安がない状態で働けることが大切です。こうした考えから、当行では従業員のファイナンシャルウェルネスの実現に向けた制度を整備しております。

 まず、初任給水準の2年連続引き上げや3年連続ベア実施などにより物価上昇に配慮した報酬体系を用意しております。また、退職後の生活への備えとして、企業年金制度の整備はもちろん、マネープランの考え方や退職金・企業年金制度を説明する研修を実施し理解を深める機会を設けております。さらに福利厚生の一環で、若年層には奨学金返済支援手当や家賃補助など手厚い経済的支援を実施しております。従業員の能力開発や経験領域拡大を目的として副業もすでに解禁しております。各種制度の拡充を通じて、従業員と家族の経済的安定性を支え、安心して働ける環境を整えております。

(2)指標と目標

 人的資本・多様性に関する「指標と目標」につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」に記載しております「あおぞらサステナビリティの進捗」をご参照ください。

 

3【事業等のリスク】

 当行及び当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクは以下のとおりです。まず、トップリスク(今後1年間で経営上重大な影響があるリスク)について記載し、その後に主要な個別リスクについて記載しております。

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当行及び当行グループが判断したものです。当行グループはこれらリスクの発生の可能性を認識したうえで、それぞれのリスクの発生の回避及び発生した場合への対応に努めております。リスク管理については、マネジメントコミッティー及びALM委員会、統合リスクコミッティー、クレジットコミッティー、投資委員会、CAPEX委員会、顧客保護委員会等により遂行され、定期的に取締役会に報告されております。

 

<トップリスク>

 2024年度の業務運営において、当行グループを取り巻く環境が与える多くのリスクファクターのうち、以下の項目を当行グループのトップリスクとして認識しております。

 当行グループは、トップリスクを踏まえてリスクアペタイトや業務運営計画策定の議論を行い、リスク管理の高度化に取り組んでおります。

 

トップリスク項目

リスクの内容

対応策

参照箇所

 

1.与信費用の増加

•米国や欧州の中央銀行の利下げの遅れに伴う景気悪化や日本銀行の利上げの遅れに伴うインフレ加速、金利・株価・為替の急変動による経済環境の悪化、米国金利高止まり・在宅勤務シフトの定着化等による米国不動産市況の一層の悪化

•米大統領選に代表される選挙集中年であり、ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ガザ紛争の激化など地政学リスクの高まりを受けた市場環境の変化

•気候変動や人権尊重に関して対応が遅れた投融資先の企業価値低下

•貸出運営方針・投資方針を遵守、取上げ先のビジネスリスクを慎重に分析、ポートフォリオの分散に留意し、選別的に良質な案件を取り上げる

•海外の不動産ノンリコースローンについては、対象地域の不動産市況を注視しつつ、米国オフィスのワークアウト案件の極大回収を推進

•与信集中リスク回避のための各種ガイドラインの設定、ストレステストを含めた資本コントロールを行う

•適時に取引先、案件の状況を分析し、予兆の把握に努め、プロアクティブな与信管理を行う

•あおぞらESG支援フレームワークを通じたお客さまのサステナブルファイナンスの取り組み支援、脱炭素コンサルティング営業の推進

•CO2多排出業種のお客さまに対するトランジションファイナンス提供

 

1.事業戦略におけるリスク

(4)海外業務に関連するリスク

2.信用リスク

(1)不良債権残高及び与信関連費用の増加

(2)特定先及び特定業種への集中リスク

(3)貸倒引当金が不十分となるリスク

(4)海外向けエクスポージャーに関するリスク

(5)ローン債権等に対する投資に関連するリスク

9.環境・社会課題に係るリスク

(1)環境・社会課題に配慮しない投融資等に係るリスク

(2)気候変動に係るリスク

 

 

2.保有有価証券の評価損益の悪化

•他金融機関の経営不安や地政学的緊張に起因する金融市場の混乱

•米国や欧州の中央銀行の利下げの遅れに伴う景気悪化や日本銀行の利上げの遅れに伴うインフレ加速、金利・株価・為替の急変動による経済環境の悪化、米国・欧州金利の高止まりによる当行有価証券の含み損状態の継続

•米大統領選に代表される選挙集中年であり、ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ガザ紛争の激化など地政学リスクの高まりを受けた市場環境の変化

•金利・株・クレジットに分散を図った効率的で流動性の高いポートフォリオを構築し、市場動向・金融環境を踏まえた機動的なリスクコントロールを実施

•リスク量・損失に関する各種協議ポイントの設定により、早い段階で適切な対応が図れる態勢を整備

•計画策定時にヘッジポジションを含めた期間収益の管理強化

2.信用リスク

(6)エクイティ投資の推進に伴うリスク

3.市場リスク

(1)トレーディング及び投資業務における市場リスク

(2)金利変動によるリスク

4.流動性リスク

(2)市場流動性リスク

3.調達の不安定化

•米大統領選に代表される選挙集中年であり、ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ガザ紛争の激化など地政学リスクの高まりを受けた市場環境の変化

•米国や欧州の中央銀行の利下げの遅れに伴う景気悪化や日本銀行の利上げの遅れに伴うインフレ加速、金利・株価・為替の急変動による調達環境の悪化

•金融市場の混乱による市場流動性低下等による資金繰りの悪化・調達コストの上昇

•当行グループの風評が悪化した場合等、SNSを通じた情報伝達により、想定を上回る規模・スピードでの資金繰りの悪化

•サバイバル期間や足元の調達状況をもとに設定した流動性バッファーの目標金額やリミット額を設定、定期的なクレジットラインの確認やストレステストによるモニタリング・検証、日々の調達に関連する市場環境等の確認により、外貨調達の不安定化の予兆を察知、対応可能とする態勢構築

•緊急時に利用可能な外貨調達ファシリティを設定する等対応策を多様化

4.流動性リスク

(1)資金流動性リスク

4.サイバー攻撃、システム障害等の危機発生

•サイバー攻撃、重大なシステム障害等(サードパーティを含む)の影響により、当行グループの業務の一部もしくは全体への深刻な影響

•お客さまへのサービス提供の停止、情報漏洩、不正送金の発生、及びそれらによる当行グループの企業価値の棄損

•サイバー攻撃に関する役職員全員の知識向上、技術的対策の進化、検知能力強化、ビジネス部門を含めた復旧訓練の実施

•システム変更に係るビジネス部門との情報共有し、ビジネス部門も含めたシステム障害時発生時の対応訓練の実施

•オペレーショナル・レジリエンス確保に向けたフレームワークの拡充

5.オペレーショナル・リスク

(2)システム障害リスク

(5)災害等に対する危機管理及び業務継続に関するリスク

(11)従業員又は外部者による不正や過失等によって損失が発生する可能性

 

 

5.大規模災害等の危機発生

•自然災害、テロ、武力攻撃、パンデミック等の影響による、当行グループの業務の一部もしくは全体への深刻な影響

•お客さまへのサービス提供の停止による社会機能維持への影響、当行グループの企業価値の低下

•災害発生に備えた、危機管理体制、業務継続計画(BCP)の整備

•定期的な訓練実施と役職員の啓蒙による、危機対応力の強化、実効性確保

•オペレーショナル・レジリエンス確保に向けたフレームワークの拡充

5.オペレーショナル・リスク

(2)システム障害リスク

(5)災害等に対する危機管理及び業務継続に関するリスク

6.社会構造・産業構造の変化に伴う競争力の低下

•コロナ禍を経た世界的な産業構造の転換や生成AIなど急速なデジタル技術の進展等、不可逆的な環境変化対応への遅れによる成長機会の逸失または、当行の得意分野の環境変化による新たなリスクの顕在化

•他業種からの銀行業進出による競争激化や銀行業務範囲規制緩和への対応の遅れ、金融商品のコモディティ化による収益力の低下

•サステナビリティ推進に消極的との外部評価による、ESG評価低下に伴う外貨調達コストの上昇、サステナブルファイナンス機会の逸失

•前述の複合的な要因による当行グループの企業価値の棄損

 

•ビジネスの現場でデータや情報を利活用できる人材(DX人材)を育成し、当行自身及びお客さまのDXに取組み

•GMOあおぞらネット銀行の「銀行API」や「BaaS byGMOあおぞら」等の取組により、お客様のDX加速を支援

•当行グループ全体でビジネス及び事業者としてのサステナビリティに関する取組みを推進

•事業者としての2030年カーボンニュートラルに向けての施策を推進

•2050年投融資ポートフォリオのカーボンニュートラルに向けたPCAFスタンダードに基づくGHG排出量の測定・開示範囲の拡大及び中間目標の設定検討

•国際基準を踏まえた人権デューデリジェンス実施体制の構築

1.事業戦略におけるリスク

(1)事業戦略の推進に伴うリスク

8.日本の金融サービス業界に関連するリスク

(2)日本の金融サービス市場の競争激化

9.環境・社会課題に係るリスク

(1)環境・社会課題に配慮しない投融資等に係るリスク

(2)気候変動に係るリスク

7.金融犯罪への対応不備、内部不正や情報漏洩の発生

•マネー・ロンダリング、テロ資金供与、拡散金融等の金融犯罪対策の不備、その他外為法上の経済制裁措置への対応や反社会的勢力排除態勢の不備並びにインサイダー取引規制違反、顧客情報の漏洩等により、刑罰や行政処分を受けるリスク、及び当行グループの企業価値の毀損

•お客さま本位の業務運営に悖る行為や、社会規範等から逸脱した役職員の不適切な行為による、企業価値の毀損、損失の発生リスク

 

•年次のコンプライアンス・プログラムにおいて、法令・行内ルールの周知、モニタリング、研修等の計画設定と進捗状況を確認

•倫理行動基準について、従業員からの誓約書の徴求、研修の実施、トップメッセージ等の発信継続により一層の浸透・定着を推進

•マネロン等防止の顧客管理体制整備と経済制裁対象者対応の継続的な実効性確保、マネロンガイドライン並びに外国為替ガイドライン等を踏まえた更なる高度化の推進

•インサイダー取引未然防止・情報管理について、研修等の実施により役職員への周知を継続

5.オペレーショナル・リスク

(8)法令等遵守に関するリスク

(9)金融犯罪に関するリスク

(10)外為法上の経済制裁措置等に関するリスク

(11)従業員又は外部者による不正や過失等によって損失が発生する可能性

8.人材リソースのサステナビリティ

•ビジネス環境の変化に対応できる人材や注力ビジネスに必要なスキルセットを有する人材の不足・流出により、当行グループの戦略策定や持続的成長ができず、収益機会を逃す

•注力分野へのリソースシフトに向けて、戦略的な人事異動と処遇の見直し、外部採用活動の強化及び多様化による人材登用の継続、従業員の自律的なキャリア形成の後押しなど、継続的な人的資本投資の実施

•従業員の働きがい向上を実現するため、従業員アンケートやエンゲージメントサーベイによる満足度の把握と、それを受けた人事制度の見直しや新規施策の企画立案・実施

5.オペレーショナル・リスク

(6)人材に関するリスク

 

<主要な個別リスク>

 

1.事業戦略におけるリスク

(1)事業戦略の推進に伴うリスク

 当行グループは、経営資源の効率的な管理活用と健全なリスクテイクを通じ、持続的かつ安定的な収益を積み上げ、自己資本充実と企業成長を図り、「新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する」という当行グループの経営理念実現に向けて、各業務を遂行してまいります。しかしながら、このような事業戦略の推進に際しては、以下のようなリスクがあります。

・今後注力していく事業分野において、想定通りに業績を伸ばすことができるとは限りません。

・戦略の遂行に伴う経営資源の配分の見直し等が成功するとは限りません。

・業務の推進においては、実務を遂行する人材を確保する必要がありますが、必要な人材を十分に確保できるとは限りません。

・国内外の地震や台風等の自然災害やテロ・犯罪等の発生により、各業務において十分な事業活動が行えるとは限りません。

・国内の経済状況が悪化した場合、あるいは、金融市場の著しい変動等が生じた場合、想定通りに業績を伸ばすことができるとは限りません。

・長期膠着を想定するウクライナや中東での紛争による影響深刻化、あるいは、これら地域以外での武力衝突リスクが国際政治の不安定化等により顕在化すれば、事業環境が大きく悪化し、想定通りに業績を伸ばすことができるとは限りません。

 

(2)事業法人のお客さまとの取引の推進におけるリスク

 当行グループは、「あおぞら型投資銀行ビジネス」に引続き重点的にリソースを配分してまいります。事業法人のお客さまの事業再編や事業再生ニーズ、サステナビリティへの取組に対し、お客さまの事業を深く理解したうえで、通常の貸出取引のみならず、資本性資金やサステナブルファイナンスなど、お客さまのニーズに沿ったデットからエクイティに至る適切なファイナンスの提供等、信用供与の円滑化に努めております。また、それぞれのお客さまのニーズに応じて、オーダーメイド型で付加価値の高い金融ソリューションの提供を通じ、引き続き顧客基盤の拡充に注力してまいります。しかしながら、当行グループがこうした事業金融の推進を行うにあたっては以下のようなリスクがあります。

・地政学リスクの顕在化の影響が、一部のお取引先の事業活動や信用状態に悪影響を与え、当行グループの収益力の低下及び与信費用の増加につながり当行グループの財務状況にも影響を与える可能性があります。

・インフレの昂進や、それに伴う金融政策の変更が、一部のお取引先の事業活動や信用状態に悪影響を与え、当行グループの収益力の低下及び与信費用の増加につながり当行グループの財務状況にも影響を与える可能性があります。

・当行グループの基準に見合う顧客層との取引が期待通りに拡充できるとは限らず、当行グループが目指す資産の質、収益が確保できない可能性があります。

・当行グループは、法人顧客基盤が国内大手銀行グループよりも小さく、また営業拠点数、営業人員数も少ないことから新規の顧客獲得等に限界がある可能性があります。

・我が国においては、オーバーバンキングによる厳しい競争の結果、当行グループの事業法人貸出においてリスクに応じた適正なプライシングを行うことが困難な状況になっております。当行グループは、継続的な付加価値の提供を通じたお客さまとの信頼関係構築により付帯取引を獲得し、総合的な収益性の確保に努めておりますが、個別の貸出においては、信用リスクや格付に応じた利鞘より低い水準で貸出を行うことがあります。

・国内外における経済環境の悪化が生じた場合、あるいは、金融市場の著しい変動等が生じた場合には、当行グループを取り巻く環境や将来の業績に悪影響を与える可能性があります。また、そのような局面においては、管理回収等の強化に伴う人的リソースの配分等により、注力分野の活動に制約が生じる可能性があります。

 

(3)個人顧客向けプラットフォームビジネスの拡充に伴うリスク

 当行グループは、様々な金融商品の提案等を通して、お客さまの中長期な資産形成をお手伝いさせていただいております。加えて、スマートフォンアプリを軸としたマネーサービス「BANK」を中心にスマートフォンやインターネット等を利用した非対面取引機能を拡充し、現役世代のお客さまへのアプローチを強化しております。

 資金調達の面では、2024年3月末の個人のお客さまからの調達について、個人預金残高は3.6兆円(前期末対比97%)、コア調達(預金・譲渡性預金及び社債)に占める割合は61%程度、となっており、引き続き安定的な資金調達の面でも当行グループの中核を担っております。

 当行グループは、お客さま本位の業務運営の実践に基づく資産運用コンサルティングを提供しております。また、財産承継、事業承継等の多様なニーズに対して、当行グループ一体となった付加価値の高いサービスを提供するとともに、「BANK」アプリを通じた金融サービスの提供により、すべてのお客さまが時間や場所にとらわれずにお取引ができ、希望する店舗でコンサルティングが受けられる営業体制を実現してまいります。加えて、個人のお客さま、及び個人のお客さまが所有する中小企業の多様なニーズに対し、事業承継、M&A、不動産関連サービス等、当行グループ全体で課題解決のサービス提供を行ってまいります。しかしながら、以下のとおり、当行グループが個人顧客向けプラットフォームビジネス拡充の計画を成功裡に達成できない可能性があります。

・当行グループは、当行グループ内の配置転換や外部採用等を通じて、また人材開発プログラムの導入や顧客視点の評価制度の導入等を通じて、コンサルティング力の強化に努めていく方針ですが、当該業務に精通した営業員の確保が想定を下回ることで適切な人員配置ができないことや、人材開発プログラムの導入や新しい評価制度の導入をすることが必ずしもコンサルティング力の強化に結びつかない可能性があります。

・個人のお客さま、及び個人のお客さまが所有する企業向けのサービスラインナップを拡充しても、他金融機関のサービスとの差別化が難しく、また、他金融機関より相対的に支店数が少ないため、十分な課題解決のサービスを提供できず、収益の拡大に結びつかない可能性があります。

・当行グループは、競合他金融機関と比較して支店数が少なく、またインターネットバンキング展開においても後発であり、顧客基盤も相対的に小さいことから、新規顧客の獲得やあおぞらブランドの確立が容易ではない可能性があります。

・個人顧客向けプラットフォームビジネスの拡充には、顧客ニーズに応じたサービスラインナップの充実が不可欠であり、顧客へのマーケティングやサービスラインナップの選定等に多大な時間を要する可能性があります。

・当行グループが提供する商品・サービスの種類・条件について、他金融機関との差別化が難しくなるほか、他の種類の投資商品との競争が厳しくなることなどにより、必ずしも預かり資産の量の拡大、収益の拡大に結びつかない可能性があります。

 

上記のような事情から個人顧客向けプラットフォームビジネスを拡充できない場合、収益源及び資金調達源の多様化が十分に実現できず、当行グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)海外業務に関連するリスク

 当行グループの今後の海外投融資は、為替動向、外貨調達環境に引き続き留意し、エクスポージャーコントロールに努めるとともに、以下の点に留意した業務運営を行います。

・北米向けを中心とする海外コーポレートローンは、機動的なリバランスを継続し、ポートフォリオの分散と質の維持を図ります。

・海外の不動産ノンリコースローンは、対象地域の不動産市況を注視しつつ、米国オフィスのワークアウト案件の極大回収を推進してまいります。

 また、加えて、2020年1月に資本・業務提携を締結したベトナムの中堅商業銀行Orient Commercial Joint Stock Bank(以下、「OCB Bank」)を通じて東南アジアの成長を取り込むとともに、OCB Bankの長期的な戦略パートナーとして、よりユニークで専門性の高い金融サービスを日本とベトナム双方のお客さまに提供していきます。

 当行グループが海外業務を展開するにあたり、リスク管理体制として、北米、アジア、欧州の各現地拠点と東京が連携したグローバルでシームレスなモニタリング態勢を強化しておりますが、当行グループにおける海外業務の遂行については、以下のリスクや課題があります。

・長期膠着を想定するウクライナや中東での紛争による影響深刻化、あるいは、これら地域以外での武力衝突リスクが国際政治の不安定化等により顕在化することで、社会的、政治的、経済的な環境の変化や各国の税制、金融政策及び規制環境の相違に起因する金融の安定性全般に渡るリスク。

・金利及び為替変動に関連する取引にかかるリスク。

・商品ノウハウと各々の市場に対する知識等を有する人材を確保できないリスク。

・投融資先の政治経済状況の変化、法制度等の変更によって、投融資の回収が困難となるリスク。

・現地における政治経済状況、法制、規制あるいは税制等に関する情報の入手が遅れる等、質・量の両面で国内貸出と同水準の情報収集を維持することに支障が生じるリスク。

・外貨調達に困難が生じた際の外貨資金繰りに関するリスク。

 なお、海外の不動産ノンリコースローンについては、「2.信用リスク(2)特定先及び特定業種への集中リスク」をあわせてご参照ください。

 

(5)地域金融機関が重要な顧客基盤であること

 当行グループは、これまで多くの地域金融機関に対して、資金運用やリスク管理のニーズに応じた金融商品の提供、地域金融機関の取引先である中小企業への共同支援や地域企業再生支援、地域金融機関の個人のお客さまに対する預り資産ビジネスの支援等、多様な商品・サービスを提供してきております。当行グループは、かかる取引関係において、差別化の源泉である「ワンストップでの対応力」、「地方拠点における機動力・情報収集力」を活かし、同業他社との競争上優位性を確保してまいります。同時に、地域銀行へのエンゲージメントを強化させ、経営層との定期的な情報交換を通じ関係を一層強化し、引き続き地域金融機関の「戦略パートナー」として、地域金融機関のネットワークを当行グループ共通のプラットフォームとして、当行グループが強みを有するソリューションを提供し、相互に機能補完する独自のビジネスモデルの展開を目指していく方針です。しかしながら、かかるビジネスモデルが有効に機能する保証はなく、また、金融環境の変化や当行グループの財政状態、経営成績を起因とした信用力の低下その他の要因により、今後この分野における競争力を失った場合には、地域金融機関との取引の規模及び収益の成長が鈍化し、更には縮小する可能性があります。

 

(6)先進的な商品とサービスの投入

 当行グループの戦略は、すべての商品分野において他金融機関と競合することではなく、他金融機関にはない差別化された先進的な商品・サービスを開発し、投入することにより、事業法人のお客さま向けの業務や地域金融機関との協働によるビジネスを拡大し、収益を獲得していくこととしております。また、デリバティブ取引やリスク管理といった分野での先進的なノウハウを活用した商品・サービスにも力を入れており、地域金融機関の運用ニーズに対応したデリバティブ内蔵型の各種預金商品のほか、個人のお客さま向けにはノーロード投資信託・ESGを考慮した投資信託等の金融商品を提供しております。当行グループは、従来から、お客さまのニーズに合わせた独自の商品性を持った商品・サービスの投入により、一定の成果を上げているものと考えております。

 しかしながら、将来投入される商品・サービスが同じようにお客さまから認知され、お客さまの支持を得ることができる保証はありません。また、競合他金融機関が、当行グループと同様の顧客層をターゲットに、当行グループと同様の商品・サービスの提供を開始すること、また、その他競合する投資商品の出現等を要因とする競争の激化により、当行グループの商品の先進性・独自性が失われ、収益性が低下するおそれがありますが、その際に、当行グループが競争力の低下した商品・サービスに替わる新たな商品・サービスを継続的に供給し続けられるという保証はありません。

 また、かかる先進的な商品・サービスの導入は、当行グループにとって、当行グループが経験したことのない又は経験の少ないリスクや課題をもたらす可能性があります。加えて、かかる先進的な商品・サービスへの過度な集中や依存は、当該商品・サービスの状況により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)業務・資本提携等アライアンス推進に伴うリスク

 当行グループは、長期的な視野における企業価値向上のため、国内外において成長性の高い市場を見極め、戦略的な提携や合併・買収等様々な方策の検討を行っていく方針です。銀行の業務範囲規制緩和等、事業領域拡大の機会を積極的に探り、当行グループの成長につながるビジネス機会を単独又は事業パートナーと協力して開発し、戦略投資を実施しており、その中で2024年5月13日付で、当行は株式会社大和証券グループ本社(以下「大和証券グループ本社」といいます。)との間で資本業務提携契約を締結いたしました。しかしながら、資本業務提携契約その他の提携や合併・買収等が収益の拡大・企業価値の増大に寄与するという保証はありません。

 合併や買収等の場合、統合作業の過程において一時費用が発生しますが、企図した統合成果が上がらず、結果として、検討又は統合等に要した費用、投資資金を回収できない可能性があります。また、提携についても、国内外における経済環境の変化等により、企図した効果があがらない可能性があります。更に、当行グループは提携業務の推進、買収事業の統合・展開において中核となるべき人材の確保等の問題に直面する可能性があります。加えて、そうした場合における通常の営業における人員確保や営業アクティビティの低下等の問題に直面する可能性もあります。

 

(8)子会社・関連会社の業務に関するリスク

 当行グループは子会社において銀行業務、金融商品取引業務、投資運用業務、投資助言業務、M&Aアドバイザリー業務、ベンチャーキャピタル業務等の金融サービスに係る事業や債権管理回収業務を行っており、これら子会社の業務の中には、伝統的な銀行業とはリスクの種類や程度の異なる業務も含まれております。例えば、GMOあおぞらネット銀行が営むインターネット銀行事業は、当行グループが従来営んできた銀行業に係るものとは異なる種類や程度のリスクを含んでおり、またOCB Bankの業績はベトナムや東南アジアの経済動向に大きく影響を受けます。当行グループは、こうした業務に伴って発生する種々のリスクについても適切に管理する体制を整備するよう努めておりますが、当行グループの想定を超えるリスクが顕在化すること等により、当行グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 また、既存の子会社、あるいは今後新規に投資を行う会社について、各社の事業が想定通り伸長しなかった場合には、投資を回収できない可能性があり、また、当行グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 なお、GMOあおぞらネット銀行は、2024年4月に新中期経営計画を策定いたしました。当該計画の着実な実行と早期の黒字転換に向け、引き続き当行グループ全体で当社の成長に向けたサポートを行ってまいります。しかしながら、当該計画が予定通りに進捗しなかった場合には、当社の固定資産につき減損損失を認識する可能性があります。

 

2.信用リスク

(1)不良債権残高及び与信関連費用の増加

 当行グループは、個別の与信先について信用状態を継続的にモニタリングするとともに、信用状態の悪化が懸念される場合には貸出金の劣化に対する予防策を講じるよう努めておりますが、以下のような要因により、当行グループの不良債権残高や与信関連費用が増加する可能性があります。

・当行グループの予想以上に内外経済が悪化した場合。

・債務者が属する特定の産業の状況が悪化した場合。

・債務者の個別事情により、債務者の業績が当行グループの予想を下回った場合、あるいは、不測の事態により債務者の業績が悪化した場合。

・当行グループの予想以上に、債務者の経営再建計画が成功裡に実行されず信用リスクが高まる場合や、あるいは、金融機関による支援の打ち切り等により再建中止が余儀なくされる場合。

・当行グループの予想を上回る内外の不動産市況の悪化等により裏付資産の価値が下落し、債務者の信用力が低下した場合。

・脱炭素や人権配慮に関して対応が遅れた債務者の信用力が低下した場合。

・感染症のパンデミック等の影響により、債務者の業績が悪化した場合。

 

(2)特定先及び特定業種への集中リスク

 当行グループの大口債務者上位10先に対する貸出金は、2024年3月末時点の貸出金残高の約17%を占めており、大口債務者による債務不履行があった場合、又は大口債務者の一部若しくは複数との関係に重大な変化が生じた場合には、当行グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 当行グループの国内及び海外の不動産業に対する貸出(不動産ノンリコースローンを除く)は、2024年3月末現在、貸出全体の約8%を占めており、その他の業種に対する貸出で、不動産担保により保全されているものもあります。そのため、当行グループの貸出は、不動産市況の悪化や不動産業界全体が低迷した場合には、不動産業界の債務者の信用力の悪化や、不動産で担保されている保全額の減少から、追加的な引当金が必要となったり、追加的なコストが発生する場合があります。

 当行グループの国内及び海外の不動産ノンリコースローンは、2024年3月末現在、貸出全体の約21%を占めております。不動産ノンリコースローンは、債務者の信用力ではなく、特定の不動産及び当該不動産から生じるキャッシュ・フローのみを返済原資として債務の履行が担保されるもので、当行グループは、不動産賃料、空室率及び地価等のキャッシュ・フローに影響を及ぼす主なリスク要因等をモニタリングすることにより、リスク管理を行っております。しかしながら、不動産市況の悪化、具体的には米国金利の上昇や米国オフィスにおける空室率の上昇、売買市場の冷え込み等により、対象不動産からのキャッシュ・フローが当行グループの予想を超えて悪影響を受ける場合には、当行グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。2023年度において、米国金利上昇やCOVID-19を契機とした在宅勤務シフトの定着化等の影響に伴う米国オフィス不動産市場の状況を踏まえ、当行は、米国オフィス案件にかかる不動産ノンリコースローンについて評価の見直しを行うとともに、今後のワークアウト(物件処分による債権回収等)に備え、貸倒引当金を追加的に計上し、今後損失が発生するリスクを低減させておりますが、不動産市況の悪化や市況の回復の遅れなどにより、更なる貸倒引当金の計上や損失が発生する可能性があります。

 

(3)貸倒引当金が不十分となるリスク

 当行グループは、過去の債務不履行発生状況、与信先の財務状況及び保有する担保の価値並びに景気動向に対する前提及び見通し等に基づいて貸倒引当金を計上しております。特に、今後の管理に注意を要する大口の与信先等については、経済環境の悪化により貸倒費用が増加する可能性も勘案し、債務者区分遷移シナリオや元本・利息の回収について一定の前提を置いてキャッシュ・フロー見積法等により算定した貸倒引当金を追加的に計上する等、十分な水準の貸倒引当金を計上しております。しかしながら、当行グループの想定を超えて経済環境が悪化する等、当行グループの前提及び見通しを変更する必要が生じた場合、当行グループの与信先の財務状況が当行グループの想定を超えて悪化した場合、当行グループが保有する担保の価値が下落した場合、あるいは、その他の要因により予想を超えて当行グループに悪影響が及んだ場合、当行グループは貸倒引当金を増加させる必要が生じる可能性があります。

 なお、上記(2)にて記載の通り、米国オフィス案件にかかる不動産ノンリコースローンにつき、不動産市場の状況を踏まえ、2023年度に貸倒引当金の追加的な計上を行いました。

 

(4)海外向けエクスポージャーに関するリスク

 当行グループの貸出金全体に占める海外向け貸出(最終リスク国が日本以外、連結ベース)の割合は、2024年3月末においては約36%になっております。海外向け貸出の地域別状況については、北米向け貸出が約86%を占めており、残りはアジア向け及び欧州向けとなっております。ロシア及びウクライナ向けの貸出はありません。当行グループは国・地域別のガイドラインを設定するとともに、機動的な債権売却の実施等により、エクスポージャーをコントロールしております。

 海外において、財政状態の悪化や政治・経済の混乱、金融市場における金利上昇等により、国・地域が債務不履行に陥る、あるいは、債権者に対して債務の再編や期限の延長等の支援を要請することを余儀なくされる場合、当行グループが保有するソブリンを含む海外向けエクスポージャーに悪影響が及び、結果として与信関連費用が増加する可能性や当行グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 上記の海外向け貸出については、「2.信用リスク(2)特定先及び特定業種への集中リスク」をあわせてご参照ください。

 

(5)ローン債権等に対する投資に関連するリスク

 当行グループは、債権売買取引及び証券化ビジネスにおいて、事業法人向けローン、住宅ローン、売掛債権、リース債権、不良債権及び仕組商品を含む様々な資産の取得・回収・売却等を行っております。こうした業務は本質的に環境に左右されやすい性質を有しており、市場規模や環境等の変化により当行グループ保有資産の価値や信用力が低下した場合、当行グループの業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(6)エクイティ投資の推進に伴うリスク

 当行グループは、PEファンド投資、不動産ファンド投資、環境インフラ投資、事業法人・金融法人への株式投資(エンゲージメント投資)等を含む様々な形態のエクイティ投資を行っております。これら投資については年度毎に投資計画を策定し、全体及びアセット種別毎の投資残高をコントロールするとともに、個別案件毎の定期的なモニタリングを実施しております。また投資環境に応じて投資計画を随時見直すことによりリスクを抑制することを目指しております。

 しかしながら、こうした業務は、投資先の経営成績その他の財務状況の他、国内外の政治状況、経済状況、株式市況、不動産市況等環境の変化に左右されやすい性質を有しており、また、当行グループの採るリスクの抑制策が功を奏するとは限りません。このため、これら市況・環境の変化や投資先の財務状況の悪化により、当行グループの業績及び財政状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

3.市場リスク

(1)トレーディング及び投資業務における市場リスク

 当行グループは、国内及び海外の債券、ファンド、デリバティブ取引を含む多様な金融商品への投資・運用及びトレーディングを行っております。こうした業務からの収益は、金利・為替レート・債券価格・株価の変動、ボラティリティの変動、各種資産間の相関状況の変化等により影響を受けます。一例をあげれば、金利の上昇は、一般的に当行グループの債券ポートフォリオの価値に対して悪影響をもたらすこととなります。更に、当行グループが保有している国債その他債券について信用格付が格下げされた場合や債務不履行となった場合、また、これらの流動性が著しく低下してポジション調整が困難な場合には、当行グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 当行グループは、こうした業務において、自らの体力に見合った健全なリスクテイクを逸脱せぬよう、例えば、損失を限定するためのロスカット・ルールを設定する等、管理体制の整備に努めております。しかしながら、市場がストレス環境にあるような状況では、ポジションを思うように縮小することが出来ず、損失を想定した範囲に限定することが出来なくなる場合があります。また、金融政策の変化その他の要因により、市場が当行グループの予想を超えて変動した場合、当行グループは予測を超えた損失を被る可能性があります。

 

(2)金利変動によるリスク

貸出金、有価証券等の有利子資産による資金運用収益と、預金、社債等の有利子負債にかかる資金調達費用との差額である資金利益は、当行グループの収益の大きな割合を占めます。有利子資産と有利子負債では満期や金利設定条件等が異なるため、金利の変動により、当行グループの収益性が悪影響を受ける可能性があります。また、金利が上昇した場合には、貸出金への需要が低下する可能性があるほか、借入に係る金利負担の増加により債務者の業績や財政状態が悪化し、不良債権が増加することで当行グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 日本銀行は、2024年3月の金融政策決定会合において、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことを見通せる状況に至ったとし、これまでの「マイナス金利政策」及び「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」など金融政策の枠組みについて見直すことを決定しました。他方、米国においてはインフレ率の減速等を背景に、FRB(米連邦準備理事会)は2023年7月の利上げ実施以降は継続して政策金利を据え置いておりますが、利下げ局面には至っておらず、市場金利は高止まりの状況が継続しております。

 2022年度以降の米国金利上昇等の影響により、当行グループが保有する有価証券の評価損益(ヘッジ手段考慮後)は、2022年3月末時点の52億円の評価益から、2023年3月末は638億円の評価損、2023年9月末は926億円の評価損となりました。当行グループは、売却による評価損の処理を実施するとともに、デリバティブやベアファンドを活用した金利リスク削減オペレーションを実施する等の対策を講じております。しかしながら、金利リスク削減オペレーション等が有効に機能せず、リスク管理が十分に効果的なものとはならない可能性や評価損が更に拡大する可能性があります。2023年度下期には有価証券ポートフォリオの再構築を進め、売却による処理を加速した結果、2024年3月末の評価損は511億円となっております。なお、残存する評価損の大宗は信用力の高い米欧国債、米モーゲージ債等に関するものであり、いずれも償還への懸念は極めて小さいものと考えております。

 今後、各国中央銀行の政策変更やその他の外的要因により、仮に重大な又は予期しない金利変動が生じた場合には、当行グループの業績及び財政状態に更なる悪影響が及ぶ可能性があります。

 

4.流動性リスク

(1)資金流動性リスク

 当行グループの調達資金はスマートフォンアプリを軸としたマネーサービス「BANK」を中心とする流動性預金、順次満期を迎える定期預金や社債であり、当行グループは、継続的に預金を受け入れ、社債を発行し、既存債務の借換を行い、また継続的に一定割合を短期資金で調達する必要があります。当行グループは、十分な手元資金や流動性の高い有価証券等の確保や資金調達手段の分散・多様化、顧客預金の小口分散化、外貨調達の可用性強化のための為替先渡取引の取引枠設定に加え、外貨調達先の拡大を図る等、資金調達の長期化並びに安定性の確保・向上に継続して努めておりますが、流動性リスクを完全に回避することはできません。SNS等を通じた情報伝達スピードが加速する中、当行グループの風評が流布され、また、その他当行グループに対する評価が悪化した場合等、インターネットバンキングで手軽に預金の解約や送金が可能であることにより、想定を上回る規模・スピードでの急速な預金流出が発生する可能性があります。その場合、当行グループが許容できる条件で十分な資金を調達できるという保証はなく、また、決済に必要な追加担保の差入れ等資金負担の増加が生じる可能性があり、再調達が首尾よくいかない場合には、当行グループの業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。また、当行グループの業績又は財政状態の悪化、自己資本比率の低下、信用の低下、格付機関による格下げ等のほか、外貨資金調達における制約、金利環境の著しい変化、景気動向の悪化や金融システム全般の不安定化等により、当行グループが、営業上許容できる水準の利率で預金を獲得できない場合や当行グループの流動性が制限された場合、当行グループは必要な資金を確保するため、より高い資金コストを負担し、あるいは、資産を圧縮する等の対策をとる必要が生じ、業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
 また、当行グループを含む国内基準行に対しては、2017年4月末より流動性カバレッジ比率等の銀行法第24条に基づくモニタリングが開始されております。将来的にこうした枠組みの内容に何らかの変更があった場合、当行グループの調達構造に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2)市場流動性リスク

 当行グループは、市場で取引される様々な資産やデリバティブを保有しておりますが、市場の混乱や取引の厚みの不足等により、市場での取引を行うことができない、又は、著しく不利な価格での取引を余儀無くされることにより、当行グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5.オペレーショナル・リスク

(1)リスク管理体制

 当行グループの業務の遂行には、オペレーショナル・リスクが伴っております。オペレーショナル・リスクは、不適切な内部処理、役職員の過失や不正行為、システムの障害及びその他の外部で発生する事象等、様々な形で顕在化する可能性があります。また当行グループの業務においては法律・規制に関するリスクも存在します。当行グループは、オペレーショナル・リスクについても必要なデータやリスクの顕在化事象を把握し、アセスメントを実施してリスクを特定、評価し、リスクをモニタリング、削減、コントロールする適切なリスク管理体制の整備に努めております。しかしながら、結果的にこの体制が有効に機能せず、リスク管理が十分に効果的なものとはならない可能性があります。業務分野の拡大、新規分野の取組や環境変化等に応じた適切なリスク管理体制を構築できず、当行グループが予想外の損失を被る可能性があります。

(2)システム障害リスク

 当行グループは、お客さまにサービスを提供し、業務を遂行するために様々な情報システムを運営しております。これらの情報システムの安定的な稼動を確保するため、複数年度のIT投資計画に沿って、新規・更新投資や機器等の保守を実施しております。各情報システムの重要性等に応じたバックアップの取得や機器・回線の二重化等の対策を講じるとともに、システム変更・移行時は十分な事前検証を行い障害発生の予防を図っております。不測の事態に備え、コンティンジェンシープランの整備やシステム復旧などシステム障害時の対策を定め訓練を実施しております。また、当行グループは、勘定系システムであるBeSTAcloud(株式会社NTTデータが運営する基幹勘定系システムアウトソーシングサービス)など重要なシステムの運営を外部に委託していることから、運用管理状況を月次・年次で点検するとともに障害発生時には対処内容を検証するなど委託先管理に努めております。また、当行グループ外の第三者(サードパーティ)とのシステムを介した取引や結びつきの拡大に関して、サードパーティへの攻撃によって情報漏洩や、これらが担うサービスの停止の影響が発生する危険性が増しているとの認識の下、かかる事態の発生を防ぐため、サードパーティへの管理態勢の整備に努めております。

 しかしながら、これらの対策や検証作業が十分であるという保証はなく、また、情報システムの新規開発や改修・保守作業における人為的な過失、事故等によりシステム障害が発生し、場合によっては情報システムが適切に稼動しないリスク、内部統制の維持や会計帳簿及び財務諸表の作成に関して問題が発生するリスクがあります。

 また、当行グループは、地震等の自然災害や大規模な停電その他の事故等により、当行グループが使用する情報システムを収容するデータセンターが正常に稼動できなくなる場合に備えて、データセンターの二重化にも取り組んでおります。BeSTAcloudは、現用システムを愛知県名古屋市に設置されたデータセンターに、災害対策用のコンピュータ機器を福岡県福岡市に設置されたデータセンターにそれぞれ収容し、遠隔地の2センター体制としており、ビジネス部門、IT部門、委託先が参加した災対切替訓練を行っております。インターネットバンキング、デビットカード、ホームページなど、お客さま向けサービスに重要なシステムも遠隔地にバックアップセンターを設けております。上記以外の情報システムについては、メインセンターを東京都府中市に、バックアップセンターを東京都千代田区に設置し、重要な情報システムに係る機器等の二重化を実施しております。しかしながら、遠隔地のセンターに直接的な被害がなくても、バックアップセンターとの通信経路が確保できずバックアップ機能が十分に確保できないリスクがあります。また、首都圏で地震が発生した場合、メインセンターとバックアップセンターの両サイトが被災するリスクがあります。更に、これらの当行グループのバックアッププランは、サービスの中断時に生じるおそれのある偶発事象に対処できるものではない可能性があります。

 当行グループは、お客さま向け情報提供のためのホームページ、インターネットバンキング、スマホアプリ、口座開設等のサービスをインターネット環境で提供しております。また、当行グループの業務遂行に必要な外部情報の取得やメール送受信のため当行グループシステムをインターネット環境に接続しており、こうしたところでは、十分なサイバーセキュリティの体制を構築することが必要になります。当行グループでは、ランサムウェア対策を含めた、インターネットに接続するシステムに必要な安全対策として、行内のシステム環境のほか、在宅勤務などのリモートアクセス環境についても、不正侵入防止の入口対策、情報漏えい防止の出口対策等、外部からの攻撃に対し多層的な技術的対策を実施しております。また、日々のサイバー脅威動向の情報収集と共有、ログのモニタリング、破壊を想定したサーバー復旧訓練の実施、脅威ベースを意識したペネトレーションテストの実施、専門的な知見を持つ要員の確保・育成など、サイバーレジリエンス体制の維持・整備に努めております。しかしながらサイバー攻撃の高度化により当行グループが講じている対策が有効に機能せず、システムダウンやサービス停止等により、業務継続に支障が生ずるリスクや内部情報が漏えいするリスクがあります。

 当行グループの情報システムの動作不良は、自然災害やその他の理由にかかわらず、お客さまとの関係を毀損し、訴訟や行政処分を招来し、また、その他の理由により当行グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(3)外部業者により提供を受けている重要なサービス

 当行グループは、業務にとって重要である多くのサービスについて外部業者を利用しております。外部業者の利用に際しては、経営・財務状況の安定性や情報管理態勢、システム障害やサイバーインシデントへの対策等のサイバーセキュリティ管理態勢の確認、人権の尊重や環境への配慮も含めた外部業者の適格性検証、サービス代替策の検討、利用中の継続的な外部業者管理等の方策を講じておりますが、地震等の自然災害、感染症の流行、システム障害やその他の事情により、それらの外部業者のサービスが停止した場合、又はそれらのサービスに問題が生じた場合に、当行グループが同様の条件で同種のサービスをタイムリーに提供できる外部業者を見出すことができるとは限りません。その場合、当行グループの営業が中断し、当行グループの業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、業界又はその他の状況の変化により、外部業者がサービスの料金を引き上げることも考えられ、その場合には、当行グループの業績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)個人情報等の流出等のリスク

 近年、企業や金融機関が保有する個人情報等の流出という事態が、数多く発生しております。当行グループでは、個人情報等の流出等防止のための様々な方策を講じておりますが、保有する個人情報等について、役職員等若しくは委託先の人為的なミスあるいは内部若しくは外部からの不正アクセスにより流出した情報が不正に使用されることを完全に防止することはできません。こうした事態が発生した場合、当行グループはその責任を負い、法令上、民事上の責任等を問われ、あるいは、監督機関の処分を受ける可能性があります。更に、そうした事故が発生することにより、当行グループの業務及びブランド力に対する評価や当行グループに対する顧客や市場の信認に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(5)災害等に対する危機管理及び業務継続に関するリスク

 地震、台風等の大規模自然災害や、重大なシステム障害、サイバー攻撃、テロ、武力攻撃等による被害、感染症の流行によるパンデミック等の影響により、当行グループの業務の一部もしくは全体に深刻な影響が及び、これらが停止するおそれがあります。

 当行グループは、かかる事象が発生した場合においても業務継続を可能とすべく、業務継続計画(BCP)の策定・整備、バックアップ体制の構築等を行うとともに、継続的に各種訓練等を実施し、危機管理体制の実効性向上、オペレーショナル・レジリエンス確保に努めております。

 しかしながら、かかる努力によってもあらゆる事態に対応できるとは限らず、当行グループの業務運営、業績及び財政状態への悪影響を回避しきれない可能性があります。

 

(6)人材に関するリスク

 当行グループは、「新たな金融の付加価値を創造し社会の発展に貢献する」という経営理念を実現するため、「あおぞら型投資銀行ビジネス」に注力し、顧客や地域社会が抱える課題の解決に取り組むとともに、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を通じて当行グループ自身のビジネスや企業文化を変革していくことを目指しております。経営理念を実現するために、人材が企業価値創造の最大の原動力であるとの認識のもと人的資本の強化を重点課題とし、経営戦略・ビジネス戦略の実現に向けて、注力分野に重点的に人的リソースを配分していく方針です。今後、ビジネス環境の変化に対応できる人材や注力分野に必要なスキルセットを持つ人材が不足又は流出した場合、当行グループの業務運営やビジネス戦略の実現を通じた持続的成長に支障をきたすリスクがあります。

 当行グループでは、注力分野への人材リソースシフトに向けて、戦略的な人事異動と処遇の見直し、外部採用活動の強化及び多様化による人材登用の継続、従業員の自律的なキャリア形成の後押しなど、継続的に人的資本投資に取り組んでおります。また、従業員アンケートやエンゲージメントサーベイによる満足度の把握とそれを受けた人事制度の見直しや人事施策の実施を通じ、企業価値向上の源泉である従業員の働きがい向上に尽力しております。これからも人的資本への投資に注力することで人材に関するリスクの削減を目指してまいりますが、かかる努力によっても業務遂行上必要な人材の不足・流出を防止できるとは限らず、当行グループの業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)係争中の訴訟

 当行グループは、当行グループ全体の訴訟について一元的に管理を行い、グループの法務リスクの極小化に努めており、現在のところ経営に重大な影響を及ぼす可能性のある訴訟案件はありません。しかし、当行グループは銀行業務を中心に各種金融サービスを提供しており、このような業務遂行の過程で、損害賠償請求訴訟等を提起され、損害を補償する可能性があります。このような訴訟等の動向によっては、当行グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)法令等遵守に関するリスク

当行グループは、法令等の遵守を徹底し、業務の適法性とともに適切性を確保するために、経営理念に基づき全役職員が遵守すべき「倫理・行動基準」を定め、毎年全役職員に遵守することの誓約を求めること等により、金融機関への社会的要請に適合したコンプライアンスを実現することを最優先とする企業文化の構築に取り組んでおります。しかしながら、必ずしもこのような取組のすべてが有効に機能するとは限りません。お客さま情報の管理不備その他の事情に起因して、各種法令違反等が発生するおそれや、お客さまとの多面的な取引の展開が優越的地位の濫用とみなされるおそれもあります。このように今後仮に法令違反等が発生した場合には、当行グループの業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)金融犯罪に関するリスク

当行グループは、口座開設時においてお客さまの取引時確認を厳格に行うことに加え、その後も継続的にお客さまの状況確認や取引のモニタリングを行うことにより、口座不正利用の防止に努めるとともに、お客さまに特殊詐欺等の注意喚起をする等により、お客さまの取引の安全と口座の保護に取り組んでおります。また、新規の取引に先立ち、反社会的勢力等との関係等に関する情報の有無を確認することに加え、その後も継続的に確認を行う等、反社会的勢力等とのあらゆる取引を排除すべく必要な手続きを行っております。

こうした金融犯罪を防止する取組は従前から行っておりますが、近年の本邦における金融犯罪の増加等を踏まえ、モニタリング態勢の高度化を継続的に実施するとともに、グループ会社における金融犯罪防止態勢強化・整備のサポートを行うなど、当行グループ全体として実効性を確保する取組を進めております。

しかし、厳格なチェックにもかかわらず、反社会的勢力等との関係を持つ者が口座を開設する等の可能性があり、また、これらの者等が自らの口座を詐欺等に使用したり、マネー・ローンダリングや租税回避行為又は他の不正行為を行う可能性もあります。また、大規模な金融犯罪に巻き込まれた場合には、その対策にかかるコストやお客さまへの補償のほか風評等により、当行グループの業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)外為法上の経済制裁措置等に関するリスク

 当行グループは、お客さまとの取引に際しては、資産凍結・経済制裁措置の対象者に該当するか否かの確認や、資金使途規制・貿易規制、特定国との取引規制の確認等、外国為替及び外国貿易法その他の適用法令上必要な対応をとることで、拡散金融を含む各種規制に抵触しないよう体制を整備しております。しかしながら、手続きの不備等の結果、法令違反等が発生するおそれがあります。法令違反等が発生した場合には、当行グループが行政処分その他の制裁を受け、当行グループの評判が毀損される可能性や業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)従業員又は外部者による不正や過失等によって損失が発生する可能性

 当行グループは、上記のリスク以外にも、従業員又は外部者による不正、懈怠及び過失によって損失を被る可能性があります。当行グループでは、従業員に対して社内規定等の適正な運用の徹底を図っておりますが、従業員が、予め許容された範囲を超え、また、許容できないリスクのある取引を実行したり、規定等に反する行為を隠蔽したり、秘密情報を不適切に使用・漏えいしたり、お客さまに対する詐欺的誘引行為又はその他お客さまの信頼を損なう行為を行う可能性があります。また、盗難若しくは偽造されたキャッシュカードの不正利用及びインターネットバンキング不正送金や、デビットカードの不正利用等による被害に対し、当行グループがお客さまに対する賠償責任を負担する可能性等も存在します。従業員又は外部者による不正や過失等を防ぐため、コンプライアンス体制を強化しておりますが、このような問題行為の結果、当行グループが行政処分その他の制裁を受け、又は当行グループの評判が毀損される可能性もあります。

 

(12)風説・風評の発生による悪影響

 当行グループの事業全般や金融業界等に対して、その信頼を毀損するような風説・風評が発生し、また、報道機関により否定的な報道が行われる場合には、当行グループの株価や業績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、インターネット上の掲示板やソーシャル・ネットワーキング・サービスへの書き込まれた情報は短時間で不特定多数に拡散されるため、想定外の影響を及ぼす可能性もあります。

 

6.自己資本にかかるリスク

(1)自己資本比率規制

 当行グループは海外営業拠点を有しない国内基準適用行として、4.0%以上の自己資本比率を維持することが求められており、規制上求められる自己資本比率を維持できなくなった場合、金融庁から業務の全部又は一部の停止等を含む様々な行政処分等を受ける可能性があります。

 当行グループの2024年3月末時点ではバーゼルⅢ最終化ベースで連結自己資本比率は9.23%と規制上求められる自己資本比率としては十分な水準を維持しておりますが、今後の利益水準、リスク・アセット水準の変動、戦略的な資本提携や買収・合併の実施、自己資本比率規制の更なる強化その他の要因により、自己資本比率が低下する可能性があり、その場合、行政処分の他、市場からの信認の低下等により、業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

7.当行グループの財務に関するリスク

(1)信用格付の低下が当行グループの業績に悪影響をもたらす可能性

 格付機関により当行グループの格付が引下げられた場合、インターバンク市場での短期資金調達あるいは資本調達等においてより不利な条件で取引を行わざるを得なくなる若しくは取引そのものが行えなくなる可能性があります。また、デリバティブ取引等の一定の取引行為が制限され若しくは行えなくなる可能性があるほか、現在締結しているその他の契約を解消される可能性もあります。このような事象のいずれもが、当行グループの財務や業務の執行に悪影響を与え、業績や財政状態に不利な影響を与える可能性があります。

(2)退職給付制度及び年金資産に関連するリスク

 当行グループの年金資産の時価が下落した場合や、年金資産の長期期待運用収益率が低下する等退職給付債務に関する予測計算の前提条件に変更が生じた場合には、退職給付費用が増加する可能性があります。また、当行グループの退職給付制度の変更により、退職給付債務が追加的に発生する可能性があるほか、金利環境の変化や会計基準の変更その他の要素によって、退職給付債務が増加したり、年度毎の退職給付費用が増加する可能性があります。

(3)繰延税金資産に関するリスク

 当行グループでは、繰延税金資産は、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もった上で計上しております。将来、実効税率引下げ等の税制改正や課税所得の見積額の変更等によって繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、税金費用が発生し、当行グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、現在の金融経済環境を踏まえ、監査法人との協議のうえ繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、2024年3月期において、繰延税金資産の算定にかかる将来所得の見積り期間を短縮することといたしました。これに伴い、2024年3月期決算において繰延税金資産を取り崩し、それにかかる税金費用を計上いたしました。

 

8.日本の金融サービス業界に関連するリスク

(1)日本及び世界の経済状況が悪化することで当行グループが受ける悪影響

 当行グループの業績は、日本国内だけでなく世界的な金融経済環境の状況に大きく影響され、また、そうした日本国内及び世界的な金融経済環境は、金融・財政政策や地政学的要因等様々な要素によって影響を受けます。

・世界経済について、インフレはピークアウトしつつあるも、金融政策の引き締めから、米国のリセッション懸念、中国の回復鈍化といった成長鈍化に繋がる要素を踏まえ、企業業績や米国をはじめとする各国の経済に与える影響に留意する必要があります。特に、2024年度は米国を含む47ヶ国で大規模な選挙が行われるため、選挙結果によっては、政局の不安定化や大幅な政策修正等を招くおそれもあります。また、長期膠着を想定するウクライナや中東での影響深刻化、あるいは、これら地域以外での武力衝突リスクによる国際政治の不安定化等により、世界経済が一層減速する可能性もあります。

・日本経済は、2024年3月のマイナス金利政策解除及びYCC撤廃により、長らく続いた超低金利時代からの転換期を向かえております。今後、追加の政策金利引き上げが急速に行われていった場合、急速な円高と株安を引き起こすなど、日本銀行の金融政策の動向、日本政府の景気対策の効果等により、国内経済に変調がもたらされる可能性があります。また、引き続き、世界経済と同様に広い範囲でコストが上昇しており、インフレが長期化した場合には、経済状況が悪化する可能性があります。今後、米国をはじめとする各国の金融政策の動向、景気対策の効果や経済の行方など、マクロの金融経済動向がミクロ経済へ波及し、影響を及ぼす点について留意する必要があります。


 このような環境下、日本及び世界の金融市場や経済の状況がさらに悪化し、又はその回復が遅れた場合、金融資本市場における信用収縮の動き、債券・株式市場や外国為替相場の大幅な変動、景気の停滞や悪化に伴う地価や株価の下落、企業倒産や個人の破産の増加等により、貸出資産の劣化や業務の停滞が生じ、当行グループの資金調達や業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。

 

(2)日本の金融サービス市場の競争激化

 人口減少や高齢化等により、他国と比べても我が国のGDP成長率は鈍化しており、金融サービス市場の競争環境は厳しさを増しております。加えて、先進テクノロジーの出現による新規事業創出の加速、規制緩和等を要因として、通信業者や小売業者をはじめ、他業界からも銀行業をはじめとする金融サービス市場への参入が見られ、場合によっては、既存金融サービスを大きく浸食する可能性もあります。また、当行グループは、数多くの金融サービス企業と競争関係にあり、当行グループに比べ優位に立つと考えられる企業も存在しております。当行グループの主要な競争相手には以下のものが含まれると考えております。

・国内大手銀行グループ:三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ及び三井住友フィナンシャルグループは、資産、顧客基盤、支店数、及び従業員数等の様々な面において、当行グループに比べ相当に大きな規模を有しております。また、これらの銀行グループは、子会社又は関係会社として証券会社をはじめとした様々な機能を有しており、当行グループ同様その収益源を多様化する戦略を採っております。

・主要な投資銀行:国内外の投資銀行との間でも当行グループは、コーポレートアドバイザリー業務、スペシャルティファイナンス及びデリバティブ商品販売業務等様々な事業分野において、競争関係に立っております。

・その他の金融機関:三井住友トラストグループ、りそな銀行グループ、SBI新生銀行、インターネット銀行及び地方銀行等が含まれます。

・ゆうちょ銀行、政府系金融機関:当行グループは、ゆうちょ銀行のほか、日本政策投資銀行等の政府系金融機関とも競争関係にあります。

・その他の金融サービス提供者:当行グループは、証券会社、資産運用会社、M&Aアドバイザリー会社、債権回収会社、消費者金融業者及びその他の金融サービス業者とも競争関係にあります。

・当行グループは、数多くの金融サービス企業と競争関係にあり、当行グループに比べ優位に立つと考えられる企業も存在しております。また、デジタライゼーションの進展や規制緩和等を背景に従来には見られなかった異業種から参入も活発化し、一層の競争激化が見込まれます。

 

 国内金融サービス市場をめぐる競争は一層激化することが予想される中で、当行グループが現在又は将来の競合他社と効果的に伍していけるという保証はありません。これまで当行グループは、シンジケートローン、LBOファイナンス、貸出及びコミットメントラインの供与、投資信託の販売等で手数料等の収入を増加させてきましたが、競争の激化に伴う手数料の低下が収益の下押し要因となるおそれがあります。また、当行グループは貸出金利及び預金金利の面でも競合他行と競争関係に立たされており、競争の激化が貸出金利の低下及び預金金利の上昇を促し当行グループの収益性を圧迫する可能性もあります。

 

(3)金融機関として広範な規制に服していること

 当行グループは、金融機関として、広範な法令上の制限及び政府機関による監督を受ける立場にあります。更に、当行並びに当行の子会社及び関連会社は、金融当局による自己資本比率規制、銀行法、その他の銀行としての業務規制を受けております。また、銀行業以外の業務範囲については一部見直しが為されているものの引き続き制限を受けております。こうした制約から、ビジネスチャンスに対し適時に対応することが困難となる可能性があります。

 仮に当行グループが、関連法規及び規制の違反を犯したような場合には、行政処分の対象とされ、また当行グループの評価が悪影響を受ける可能性があります。

 

(4)各種の規制及び法制度等の変更

 当行グループは現行法による規制に従って業務を遂行しておりますが、当行グループが国内外において業務を行うにあたって適用されている法律、規則、政策、実務慣行、会計制度及び税制等が変更、又は新たに導入された場合には、当行グループの業務運営に影響を与え、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

9.環境・社会課題に係るリスク

(1)環境・社会課題に配慮しない投融資等に係るリスク

 当行グループは、経営理念において「新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する」ことをミッションに掲げ、適切なリスク管理態勢のもとで金融仲介機能を発揮し、社会のサステナブルな発展に積極的に貢献することに努めております。
 昨今、金融業界においても気候変動対応、自然資本・生物多様性の保全、人権尊重をはじめとする持続可能な社会の実現に向けた取組が加速していることに加え、各方面のステークホルダーから、事業者としての活動にととまらずサプライチェーン全体を通じて、環境・社会に関する様々な課題に配慮することが期待されております。

 投融資ビジネスにおいては、「環境・社会に配慮した投融資方針」を策定の上、近時の地政学リスクからの影響も考慮しながら、環境・社会に対し負の影響を助長する可能性が高いセクターへのファイナンスに際してはその適切性について検討を行うとともに、お客さまの環境・社会課題への取組を支援するサステナブルファイナンスの実行/組成額に目標を設定し、積極的な取組を行っております。また、大規模な開発を伴うプロジェクトファイナンスは自然環境や地域社会に大きな影響を与える可能性があり、これらの負の影響を回避・緩和するための適切な配慮を確認した上でファイナンスを実行するため、「赤道原則」を採択しております。

 しかしながら、これらの当行グループの投融資等に係る取組が、規制強化や政策の多様化に十分に対応できない場合や、投資家やお客さまなどのステークホルダーの期待から大きく乖離した場合などには、ビジネス機会の逸失、ポートフォリオの質の低下、調達力の低下、レピュテーションの低下等により、当行グループの業務運営や業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)気候変動に係るリスク

 気候変動の原因とされる温室効果ガスの削減や2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組が加速しており、金融業界では、様々な環境・社会課題の中でも気候変動リスクへの対応の重要性が高まっております。当行グループは、気候変動が環境・社会、企業活動、個人の生活にとっての脅威であり、当行の業績・財政状況へ影響を及ぼしうる重要な課題の一つであると認識しております。


 気候変動リスクとしては、移行リスクと物理的リスクがあります。

(移行リスク)脱炭素経済への移行に伴う政策・法規制・技術・市場の変化が生じることに起因する、次のようなリスクを当行グループは認識しております。

・脱炭素社会への移行に伴う炭素税等の政策等が与信先の事業や財務状況に影響し、与信ポートフォリオが影響を受けるリスク

・脱炭素技術の進歩や消費者の嗜好変化による既存の製品・サービスの代替の進展により投融資先の業績が悪化し、与信ポートフォリオが影響を受けるリスク

・新たな技術開発を志向する企業との取引を十分取り込むことが出来ず、当行グループの業績に悪影響が及ぶとともに当行グループの評価が低下するリスク

(物理的リスク)温暖化の進行により、資産に対する直接的な損傷や、サプライチェーンの寸断による間接的な影響等が生じる、次のようなリスクを当行グループは認識しております。

・風水害の頻度・規模の増大等、気候変動に伴う自然災害や異常気象によってもたらされる物理的な被害から与信ポートフォリオが影響を受けるリスク

・社会インフラあるいは当行グループの事業施設や従業員が被害を受け、当行グループ又は当行グループの取引先の事業に重大な悪影響が及ぶリスク

・温暖化の進行で熱中症や疫病のパンデミック等の発生頻度が高まり、当行グループ又は当行グループの取引先の事業に重大な悪影響が及ぶリスク

 

 これらの事象が生じた場合には、当行グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 当行グループは、こうした気候変動に関するリスクの把握・評価、情報開示の重要性を認識し、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)が策定した気候変動関連財務情報開示に関する提言に賛同し、移行リスクと物理的リスクが当行に与える影響について分析し、当行の与信関連費用への影響額を開示しております。

 

 2050年カーボンニュートラル社会の実現に向け、当行グループ自社の脱炭素化の取組を加速するとともに、お客さまの気候変動対応や脱炭素社会への移行を積極的に支援するため、外部業者と協業した脱炭素コンサルティングサービスの展開や国内外における環境ファイナンスを推進しております。加えて、投融資先に関するTCFDに沿った脱炭素化の働きかけやリスクの把握・評価、情報開示の拡充にも取り組んでおりますが、これらの気候変動に関するリスクへの対策や情報開示が不十分であった場合又はそのように見做された場合などには、ビジネス機会の逸失、ポートフォリオの質の低下、調達力の低下、レピュテーションの低下などにより、当行グループの業務運営や業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

10.その他

(1)財務報告に係る内部統制に関するリスク

 当行グループは、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制の有効性を評価した「内部統制報告書」の提出、及びその評価内容について監査法人の監査を受けることが求められております。

 当行グループは、財務報告に係る内部統制の整備・運用を行っており、有効性を評価する過程で発見された事項は速やかに改善するよう努めております。

 しかしながら、改善が不十分な場合や経営者が内部統制を有効と評価しても監査法人が開示すべき重要な不備があると評価するような場合があり、当行グループの財務報告の信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)重要な経営陣への依存

 当行グループでは、経営陣の業務遂行能力が、今後の当行グループの事業の成否に関する重要な要因となる場合があるものと考えております。重要な経営陣の退社等により、当行グループの事業遂行が悪影響を受け、また事業戦略の実施能力が低下する可能性があります。

 

(3)大株主の状況及び株主構成に係るリスク

 当行は、2024年5月13日開催の取締役会において大和証券グループ本社との間で資本業務提携契約を締結し、大和証券グループ本社を割当予定先とする第三者割当増資を決議いたしました。第三者割当増資後(2024年7月1日払込予定)における大和証券グループ本社は、当該第三者割当増資によって当行の議決権所有割合15.58%(なお、2024年6月17日付で大和証券グループ本社から提出された大量保有報告書に記載されている当行株式の取得と当該第三者割当増資をあわせた議決権所有割合は23.95%)を保有する当行の大株主(筆頭株主)となることが見込まれます。

 また、資本業務提携契約に基づき、当行の第91期定時株主総会において、第三者割当増資に関する払込総額の払込みが完了したことを条件として、大和証券グループ本社が指名する1名を取締役に選任する旨の取締役選任議案について承認可決されております。

 かかる大株主は、当行の業務運営等に対し一定の影響を与える場合がありえ、この場合、大株主の利益が当行の業務に関する他の株主の利益と相違する可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 文中における財務数値の記載金額は、単位未満を切捨てにて表示しております。

 

(1)金融経済環境

 当連結会計年度における世界経済を見ると、インフレに伴い利上げを継続的に実施していた欧米主要国の中央銀行が、景気減速等への懸念を背景に年度半ば以降は軒並み政策金利を据え置きました。また、地政学リスクへの警戒感は継続しており、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の悪化等による世界経済への影響が懸念されております。国内経済においては、経済正常化へ向けた動きにより回復基調が継続し、物価上昇を背景に大手企業では賃上げ率が30年ぶりの高水準となりました。これに伴い、日本銀行は賃金と物価の好循環が強まり、2%の物価安定目標が持続的・安定的に実現する見通しとなったとして、「マイナス金利政策」の解除など大規模な金融緩和政策の終了を決定しました。

 金融市場においては、国内の長期金利(10年国債利回り)が期初0.3%台でしたが、10月の日銀金融政策決定会合において長期金利の1%超えを許容することが決定されると0.9%台まで上昇しました。その後は低下に転じ、3月に大規模金融緩和政策の終了が決定されたものの期末は0.7%台となりました。日経平均株価は、東証の低PBR改善要請等を背景に堅調に推移、期初の28,000円台から6月には33,000円台まで回復しました。その後も上昇が継続、2月には1989年以来の史上最高値を更新、期末は40,000円台を上回りました。ドル円相場は、米国長期金利の上昇を背景に円安進行が継続、期初の130円台前半から11月には150円台前半となりました。その後、米国長期金利の低下に伴い円高に転じたものの、3月の日銀金融政策変更後も当面緩和的な金融環境の継続が確認されると期末には再び150円台前半となりました。

 米国では、年度前半においてFRB(米連邦準備理事会)が景気の底堅さを背景に利上げを実施し、長期金利(10年米国債利回り)は期初の3.3%台から10月には5%を超える水準まで上昇しました。その後FRBは政策金利据え置きを継続、利下げ観測が強まり期末には4%台前半となりました。米国オフィス不動産市況は、このような金利上昇やCOVID-19による在宅勤務の浸透を背景に価格は下落、市場の流動性は極めて低い状況が継続しましたが、金利上昇ペースの落ち着きや一部地域で在宅勤務からオフィス回帰が進むなどにより徐々に売買事例が出始める動きもみられています。米国株式市場は、堅調に推移しダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価は期初の33,000ドル台から7月には35,000ドルまで回復しました。その後、長期金利上昇を背景に下落基調となりましたが、利下げ観測が強まると再び上昇し2月には史上最高値を更新、期末は39,000ドル台まで上昇しました。

 

(2)経営成績の状況の概要、及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

以下、「(2)経営成績の状況の概要、及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」において、「親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失」は「親会社株主純利益」と記載しております。

また、「連結粗利益」、「連結実質業務純益」及び「ビジネス利益」は以下の通り定義しております。なお、表中及びグラフ中の「1Q」、「2Q」、「3Q」及び「4Q」はそれぞれ以下の各期を示しております。

 連結粗利益=(資金運用収益-資金調達費用)+(信託報酬+役務取引等収益-役務取引等費用)

      +(特定取引収益-特定取引費用)+(その他業務収益-その他業務費用)

 連結実質業務純益=連結粗利益-経費+持分法による投資損益

 ビジネス利益=連結実質業務純益+株式等関係損益

 1Q:4-6月期 2Q:7-9月期 3Q:10-12月期 4Q:1-3月期

決算のポイント

・顧客関連のビジネス利益(マーケット・リテール業務除く)は、前期比89億円増加の428億円と、あおぞら型投資銀行ビジネスを中心に大幅増加

・米国オフィス向け不動産ノンリコースローンは、第3四半期にフォワードルッキングの観点から評価を見直し、追加引当を実施。第4四半期で新たに破綻懸念先となった案件はなく、足元ではワークアウトによる回収が進む

・有価証券は計画通り売却処理を進め、残高は2023年12月末比1,894億円減少し、第4四半期には250億円の売却損を計上。ヘッジ考慮後の有価証券評価損は12月末比304億円減少し511億円。残存する含み損の太宗は信用力の高い米欧国債・米モーゲージ債及びETF(米国投資適格社債)

・上記2つのバランスシート上の課題対応に加え、繰延税金資産の取崩しに伴い、親会社株主純利益は△499億円

・自己資本比率(国内基準)は9.23%、CET1比率は概算で7.1%

 

 

経営成績及び財政状態の分析

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③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

2023年3月期

(億円)

2024年3月期

(億円)

比較

(億円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

△613

1,339

1,953

投資活動によるキャッシュ・フロー

2,139

1,674

△465

財務活動によるキャッシュ・フロー

△180

21

202

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

1,344

3,035

1,690

現金及び現金同等物の期首残高

10,617

11,962

1,344

現金及び現金同等物の期末残高

11,962

14,997

3,035

 

 当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、預金の増加等により1,339億円の収入(前期は613億円の支出)となり、投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却・償還による収入が取得による支出を上回ったこと等により1,674億円の収入(同2,139億円の収入)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入が配当金の支払による支出を上回ったこと等により21億円の収入(同180億円の支出)となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当期末の残高は、前期末比3,035億円増加し、1兆4,997億円となりました。

 

 当行の主要な資金調達手段は、預金、譲渡性預金及び社債です。これらについて継続的に既存債務の借り換えを行うとともに、一定割合について短期資金での調達を行っております。当行は、資金調達方法を分散・多様化させることにより、資金調達の安定性の確保・向上に努めております。

 重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。今後の配当を含む株主還元については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(イ)貸倒引当金

(ⅰ)当連結会計年度に係る連結財務諸表に計上した額

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

貸倒引当金

44,052百万円

87,929百万円

(ⅱ)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報

A 算出方法

 貸倒引当金の算出方法は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項」中の「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」 4.「(6)貸倒引当金の計上基準」に記載しております。

B 主要な仮定

(a)債務者区分の判定における債務者の将来の業績見通し
 個別債務者の債務者区分の判定については、外部環境の影響を勘案し各債務者の収益獲得能力、キャッシュ・フロー創出力を個別に検討し評価しております。特に、事業買収を行ったことにより、のれんが計上されている債務者については、買収対象となった事業が生み出すキャッシュ・フローの実現可能性を個別に検討し評価しております。

(b)不動産ノンリコースローン(特定の不動産及び当該不動産から生じるキャッシュ・フローのみを返済原資とする貸出金)における対象不動産の将来キャッシュ・フローの見積り

 対象不動産の将来キャッシュ・フローの見積りは、不動産ノンリコースローンの債務者区分判定における重要な要素であり、不動産賃料、空室率、割引率等を個別に検討し評価しております。

 なお、海外不動産ノンリコースローンについては、主に米国不動産市場の環境悪化等により市場の流動性が低下しており、中でも米国オフィス市場については、市場動向を踏まえ、市況の安定化まで1~2年程度時間を要すると仮定しております。アフターコロナで働き方が変化する中、市況が低迷している米国のオフィスを裏付資産とするノンリコースローンについては、物件売却等による処分の本格化に備えるため、今後1~2年程度の価格下落リスクを勘案した物件評価を行った上で、将来、物件処分による債権回収等へ移行する可能性を考慮して債務者区分を判定し、物件処分による債権回収等へ移行する可能性の高い債権については、当該価格下落リスクを想定した処分価格の見積りをもとに貸倒引当金を計上しております。

C 翌連結会計年度に係る連結財務諸表に及ぼす影響

 個別債務者の業績変化や、米国不動産市場の動向変化等により、当初の見積りに用いた仮定が変化した場合は、翌連結会計年度に係る連結財務諸表における貸倒引当金に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(ロ)繰延税金資産の回収可能性

(ⅰ)当連結会計年度に係る連結財務諸表に計上した額

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

繰延税金資産

53,577百万円

44,580百万円

(ⅱ)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報

A 算出方法

 繰延税金資産は、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号)に基づく企業分類に応じて、将来の課税所得を見積り、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金のスケジューリングの結果、その回収可能性を判断し計上しております。

B 主要な仮定

 将来の課税所得の見積りは、当行グループの事業計画を基礎としており、これには各ビジネスの過去実績や直近の事業環境、事業方針を考慮しております。また、顧客関連ビジネスの収益性や与信関連費用の見通し、マイナス金利政策解除後の金利見通し等を主要な仮定としております。

C 翌連結会計年度に係る連結財務諸表に及ぼす影響

 将来の金融経済環境の変化等により、当初の見積りに用いた仮定が変化した場合は、翌連結会計年度に係る連結財務諸表における繰延税金資産に重要な影響を与える可能性があります。

 

(ハ)固定資産の減損判定

(ⅰ)当連結会計年度に係る連結財務諸表に計上した額

 当行は、減損会計の適用において、連結子会社であるGMOあおぞらネット銀行株式会社(以下、「(ハ)固定資産の減損判定」において「GMOあおぞら」という)を、1つの資産グループとして識別しており、GMOあおぞらの固定資産の減損判定を会計上重要な見積りと判断しております。

 なお、GMOあおぞらの固定資産計上額は以下のとおりです。

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

有形固定資産

438百万円

566百万円

無形固定資産

8,383百万円

9,036百万円

合計額

8,821百万円

9,602百万円

 

(ⅱ)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報

A 算出方法

 GMOあおぞらは、営業活動から生じる損益が継続してマイナスとなっているため、固定資産について減損の兆候があると判断しておりますが、割引前将来キャッシュ・フローの総額が対象資産の帳簿価額を上回ったことから、事業承継を決定した事業に係る固定資産を除き減損損失は認識しておりません。

B 主要な仮定

 GMOあおぞらの固定資産において、減損判定するための割引前将来キャッシュ・フローは、GMOあおぞらの中期経営計画を基礎として、直近事業年度における実績推移等を踏まえた今後の増加を考慮した法人口座数、為替取引件数、デビットカード取引利用額、ローン残高を主要な仮定としております。

C 翌連結会計年度に係る連結財務諸表に及ぼす影響

 金融経済環境の変化等により、GMOあおぞらの中期経営計画における主要な仮定に変更が生じ、割引前キャッシュ・フローの総額が対象資産の帳簿価額を下回った場合は、翌連結会計年度に係る連結財務諸表において、固定資産の帳簿価額から回収可能価額を控除した額を減損損失として認識する可能性があります。

 

(参考)

① 国内・海外別収支

 

 当連結会計年度の「国内」の資金運用収支は318億円、信託報酬は3億円、役務取引等収支は221億円、特定取引収支は16億円、その他業務収支は△138億円となりました。

 「海外」においては、資金運用収支は117億円、役務取引等収支は△19億円、その他業務収支は△6億円となりました。

 この結果、相殺消去後の合計は、資金運用収支は420億円、信託報酬は3億円、役務取引等収支は200億円、特定取引収支は16億円、その他業務収支は△132億円となりました。

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

42,629

9,973

1,522

51,080

当連結会計年度

31,817

11,758

1,502

42,074

うち資金運用収益

前連結会計年度

105,254

41,649

33,333

113,570

当連結会計年度

156,903

71,042

61,509

166,436

うち資金調達費用

前連結会計年度

62,625

31,676

31,811

62,490

当連結会計年度

125,085

59,283

60,006

124,362

信託報酬

前連結会計年度

379

1

377

当連結会計年度

370

370

役務取引等収支

前連結会計年度

14,446

△1,290

199

12,955

当連結会計年度

22,150

△1,948

151

20,050

うち役務取引等収益

前連結会計年度

20,688

5,453

8,803

17,338

当連結会計年度

28,656

5,641

8,502

25,794

うち役務取引等費用

前連結会計年度

6,242

6,743

8,603

4,383

当連結会計年度

6,506

7,589

8,351

5,744

特定取引収支

前連結会計年度

4,196

4,196

当連結会計年度

1,633

1,633

うち特定取引収益

前連結会計年度

15,346

514

14,832

当連結会計年度

11,552

247

11,304

うち特定取引費用

前連結会計年度

11,150

514

10,636

当連結会計年度

9,918

247

9,671

その他業務収支

前連結会計年度

△9,509

23

△448

△9,036

当連結会計年度

△13,812

△691

△1,299

△13,204

うちその他業務収益

前連結会計年度

31,678

158

8,038

23,798

当連結会計年度

36,373

20

8,804

27,590

うちその他業務費用

前連結会計年度

41,187

134

8,486

32,835

当連結会計年度

50,186

712

10,103

40,794

(注)1.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内に本店を有する(連結)子会社(以下「国内(連結)子会社」という。)であります。

2.「海外」とは、当行の海外店及び海外に本店を有する(連結)子会社(以下「海外(連結)子会社」という。)であります。

3.「相殺消去額(△)」には、収益・費用の相殺消去額及びその他の連結調整による増減額を含んでおります。

 

② 国内・海外別資金運用/調達の状況

 

 当連結会計年度の「国内」の資金運用勘定平均残高は6兆1,533億円、利息は1,569億円、利回りは2.54%となり、資金調達勘定平均残高は6兆8,353億円、利息は1,250億円、利回りは1.82%となりました。

 「海外」においては、資金運用勘定平均残高は9,879億円、利息は710億円、利回りは7.19%となり、資金調達勘定平均残高は9,633億円、利息は592億円、利回りは6.15%となりました。

 この結果、相殺消去後の合計は、資金運用勘定平均残高は6兆864億円、利息は1,664億円、利回りは2.73%となり、資金調達勘定平均残高は6兆8,021億円、利息は1,243億円、利回りは1.82%となりました。

(イ)国 内

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

5,898,407

105,254

1.78

当連結会計年度

6,153,349

156,903

2.54

うち預け金

前連結会計年度

30,973

693

2.24

当連結会計年度

32,716

1,346

4.11

うちコールローン
及び買入手形

前連結会計年度

286,996

348

0.12

当連結会計年度

222,980

812

0.36

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

4

△0

△0.10

うち債券貸借取引
支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

1,511,661

23,415

1.54

当連結会計年度

1,509,125

26,997

1.78

うち貸出金

前連結会計年度

3,791,834

78,745

2.07

当連結会計年度

4,115,238

121,920

2.96

資金調達勘定

前連結会計年度

6,314,236

62,618

0.99

当連結会計年度

6,835,372

125,078

1.82

うち預金

前連結会計年度

5,265,320

11,407

0.21

当連結会計年度

5,703,390

15,101

0.26

うち譲渡性預金

前連結会計年度

28,563

3

0.01

当連結会計年度

42,539

12

0.02

うちコールマネー
及び売渡手形

前連結会計年度

19,996

184

0.92

当連結会計年度

14,237

463

3.25

うち売現先勘定

前連結会計年度

61,179

1,654

2.70

当連結会計年度

51,450

2,838

5.51

うち債券貸借取引
受入担保金

前連結会計年度

287,040

7,058

2.45

当連結会計年度

286,182

15,050

5.25

うち借用金

前連結会計年度

485,360

1,273

0.26

当連結会計年度

547,784

1,469

0.26

うち社債

前連結会計年度

146,251

1,517

1.03

当連結会計年度

179,213

5,407

3.01

(注)1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、銀行業以外の国内(連結)子会社については、四半期毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内(連結)子会社であります。

3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を控除しております。

(ロ)海 外

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

895,384

41,649

4.65

当連結会計年度

987,925

71,042

7.19

うち預け金

前連結会計年度

36,200

201

0.55

当連結会計年度

51,690

871

1.68

うちコールローン
及び買入手形

前連結会計年度

当連結会計年度

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引
支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

△5,091

当連結会計年度

うち貸出金

前連結会計年度

864,274

41,448

4.79

当連結会計年度

936,234

70,170

7.49

資金調達勘定

前連結会計年度

884,360

31,676

3.58

当連結会計年度

963,361

59,283

6.15

うち預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー
及び売渡手形

前連結会計年度

当連結会計年度

うち売現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引
受入担保金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

884,360

31,676

3.58

当連結会計年度

963,361

59,283

6.15

うち社債

前連結会計年度

当連結会計年度

(注)1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、海外(連結)子会社については、四半期毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2.「海外」とは、当行の海外店及び海外(連結)子会社であります。

3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を控除しております。

(ハ)合 計

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り

(%)

小計

相殺消去額

(△)

合計

小計

相殺消去額

(△)

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

6,793,791

968,958

5,824,833

146,904

33,333

113,570

1.94

当連結会計年度

7,141,275

1,054,794

6,086,481

227,945

61,509

166,436

2.73

うち預け金

前連結会計年度

67,174

10,642

56,531

894

129

765

1.35

当連結会計年度

84,407

23,937

60,469

2,218

694

1,523

2.51

うちコールローン
及び買入手形

前連結会計年度

286,996

286,996

348

348

0.12

当連結会計年度

222,980

222,980

812

812

0.36

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

4

4

△0

△0

△0.10

うち債券貸借取引
支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

1,506,569

73,723

1,432,846

23,415

17

23,397

1.63

当連結会計年度

1,509,125

67,805

1,441,320

26,997

33

26,964

1.87

うち貸出金

前連結会計年度

4,656,109

884,592

3,771,517

120,193

33,187

87,006

2.30

当連結会計年度

5,051,472

963,051

4,088,421

192,090

60,781

131,308

3.21

資金調達勘定

前連結会計年度

7,198,596

908,898

6,289,698

94,294

31,811

62,483

0.99

当連結会計年度

7,798,733

996,596

6,802,136

184,361

60,006

124,354

1.82

うち預金

前連結会計年度

5,265,320

24,178

5,241,142

11,407

129

11,278

0.21

当連結会計年度

5,703,390

32,785

5,670,605

15,101

717

14,384

0.25

うち譲渡性預金

前連結会計年度

28,563

28,563

3

3

0.01

当連結会計年度

42,539

42,539

12

12

0.02

うちコールマネー
及び売渡手形

前連結会計年度

19,996

19,996

184

184

0.92

当連結会計年度

14,237

14,237

463

463

3.25

うち売現先勘定

前連結会計年度

61,179

61,179

1,654

1,654

2.70

当連結会計年度

51,450

51,450

2,838

2,838

5.51

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

287,040

287,040

7,058

7,058

2.45

当連結会計年度

286,182

286,182

15,050

15,050

5.25

うち借用金

前連結会計年度

1,369,720

884,720

485,000

32,950

31,682

1,268

0.26

当連結会計年度

1,511,146

963,811

547,334

60,752

59,289

1,462

0.26

うち社債

前連結会計年度

146,251

146,251

1,517

1,517

1.03

当連結会計年度

179,213

179,213

5,407

5,407

3.01

(注)1.「相殺消去額(△)」は、グループ内取引として相殺消去した金額であります。また、利息についてはその他の連結調整による増減額を含んでおります。

2.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を控除しております。

③ 国内・海外別役務取引の状況

 

 当連結会計年度は、役務取引等収益は257億円、役務取引等費用は57億円となりました。

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

20,688

5,453

8,803

17,338

当連結会計年度

28,656

5,641

8,502

25,794

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

5,784

473

113

6,145

当連結会計年度

8,284

541

417

8,409

うち為替業務

前連結会計年度

2,088

0

2,088

当連結会計年度

3,755

0

3,754

うち証券関連業務

前連結会計年度

4,644

1,060

3,584

当連結会計年度

4,981

90

4,891

うち代理業務

前連結会計年度

3,518

4,964

7,432

1,050

当連結会計年度

4,095

5,056

7,793

1,358

うち保証業務

前連結会計年度

137

17

119

当連結会計年度

147

12

134

役務取引等費用

前連結会計年度

6,242

6,743

8,603

4,383

当連結会計年度

6,506

7,589

8,351

5,744

うち為替業務

前連結会計年度

783

783

当連結会計年度

1,441

0

1,441

(注)1.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内(連結)子会社であります。

2.「海外」とは、当行の海外店及び海外(連結)子会社であります。

3.「相殺消去額(△)」には、収益・費用の相殺消去額及びその他の連結調整による増減額を含んでおります。

 

④ 国内・海外別特定取引の状況

(イ)特定取引収益・費用の内訳

 当連結会計年度は、特定取引収益は113億円、特定取引費用は96億円となりました。

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引収益

前連結会計年度

15,346

514

14,832

当連結会計年度

11,552

247

11,304

うち商品有価証券収益

前連結会計年度

514

514

当連結会計年度

247

247

うち特定取引有価証券収益

前連結会計年度

10,943

10,943

当連結会計年度

8,275

8,275

うち特定金融派生商品収益

前連結会計年度

3,888

3,888

当連結会計年度

3,029

3,029

うちその他の特定取引収益

前連結会計年度

当連結会計年度

特定取引費用

前連結会計年度

11,150

514

10,636

当連結会計年度

9,918

247

9,671

うち商品有価証券費用

前連結会計年度

11,150

514

10,636

当連結会計年度

9,918

247

9,671

うち特定取引有価証券費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定金融派生商品費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うちその他の特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

(注)1.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内(連結)子会社であります。

2.「海外」とは、当行の海外店及び海外(連結)子会社であります。

3.「相殺消去額(△)」には、収益・費用の相殺消去額及びその他の連結調整による増減額を含んでおります。

(ロ)特定取引資産・負債の内訳(末残)

 当連結会計年度は、特定取引資産は1,737億円、特定取引負債は1,650億円となりました。

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引資産

前連結会計年度

151,285

151,285

当連結会計年度

173,713

173,713

うち商品有価証券

前連結会計年度

55

55

当連結会計年度

うち商品有価証券派生商品

前連結会計年度

7,811

7,811

当連結会計年度

うち特定取引有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引有価証券派生商品

前連結会計年度

4,493

4,493

当連結会計年度

1,566

1,566

うち特定金融派生商品

前連結会計年度

138,924

138,924

当連結会計年度

172,146

172,146

うちその他の特定取引資産

前連結会計年度

当連結会計年度

特定取引負債

前連結会計年度

121,877

121,877

当連結会計年度

165,078

165,078

うち売付商品債券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち商品有価証券派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引売付債券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引有価証券派生商品

前連結会計年度

14,001

14,001

当連結会計年度

1,607

1,607

うち特定金融派生商品

前連結会計年度

107,876

107,876

当連結会計年度

163,470

163,470

うちその他の特定取引負債

前連結会計年度

当連結会計年度

(注)1.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内(連結)子会社であります。

2.「海外」とは、当行の海外店及び海外(連結)子会社であります。

3.「相殺消去額(△)」は、グループ内取引として相殺消去した金額であります。

⑤ 国内・海外別預金残高の状況

○預金の種類別残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

5,494,858

31,506

5,463,352

当連結会計年度

5,659,004

24,012

5,634,992

うち流動性預金

前連結会計年度

3,111,448

5,109

3,106,338

当連結会計年度

3,309,047

9,277

3,299,769

うち定期性預金

前連結会計年度

2,243,512

2,243,512

当連結会計年度

2,283,223

2,283,223

うちその他

前連結会計年度

139,897

26,396

113,501

当連結会計年度

66,733

14,734

51,999

譲渡性預金

前連結会計年度

34,000

34,000

当連結会計年度

141,380

141,380

総合計

前連結会計年度

5,528,858

31,506

5,497,352

当連結会計年度

5,800,384

24,012

5,776,372

(注)1.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内(連結)子会社であります。

2.「海外」とは、当行の海外店及び海外(連結)子会社であります。

3.「相殺消去額(△)」は、グループ内取引として相殺消去した金額であります。

4.流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

5.定期性預金=定期預金

 

⑥ 国内・海外別貸出金残高の状況

(イ)業種別貸出状況(末残・構成比)

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内(除く特別国際金融取引勘定分)

3,000,048

100.00

3,098,275

100.00

製造業

258,789

8.63

300,950

9.71

農業、林業、漁業

3,119

0.10

152

0.00

鉱業、採石業、砂利採取業

建設業

12,769

0.43

16,668

0.54

電気・ガス・熱供給・水道業

141,507

4.72

126,090

4.07

情報通信業

105,336

3.51

128,199

4.14

運輸業、郵便業

49,774

1.66

42,792

1.38

卸売業、小売業

86,957

2.90

85,987

2.78

金融業、保険業

342,472

11.42

363,825

11.74

不動産業

760,426

25.35

758,169

24.47

物品賃貸業

148,798

4.96

183,255

5.91

その他サービス業

155,215

5.17

162,957

5.26

地方公共団体

8,588

0.29

813

0.03

その他

926,292

30.86

928,411

29.97

海外及び特別国際金融取引勘定分

881,324

100.00

973,019

100.00

政府等

金融機関

その他

881,324

100.00

973,019

100.00

合計

3,881,373

  ――

4,071,295

  ――

(注)1.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内(連結)子会社であります。

2.「海外」とは、当行の海外店及び海外(連結)子会社であります。

(ロ)外国政府等向け債権残高(国別)

 該当ありません。

 

⑦ 国内・海外別有価証券の状況

○有価証券残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

18,381

18,381

当連結会計年度

52,528

52,528

地方債

前連結会計年度

38,985

38,985

当連結会計年度

29,080

29,080

短期社債

前連結会計年度

10,999

10,999

当連結会計年度

社債

前連結会計年度

116,961

116,961

当連結会計年度

107,551

107,551

株式

前連結会計年度

61,267

31,113

30,154

当連結会計年度

46,143

15,018

31,125

その他の証券

前連結会計年度

1,104,064

40,796

1,063,267

当連結会計年度

990,904

24,627

966,276

合計

前連結会計年度

1,350,660

71,910

1,278,749

当連結会計年度

1,226,208

39,646

1,186,561

(注)1.「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内(連結)子会社であります。

2.「海外」とは、当行の海外店及び海外(連結)子会社であります。

3.「相殺消去額(△)」には、投資と資本の消去及びその他の連結調整による増減額を含んでおります。

4.「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

⑧ 「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況

 

 連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、当行1社です。

 

  (イ)信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表/連結)

資   産

科目

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

貸出金

35,642

4.09

53,897

5.95

有価証券

173,256

19.88

170,977

18.87

信託受益権

5,083

0.58

4,806

0.53

受託有価証券

220,168

25.27

221,189

24.41

金銭債権

231,970

26.62

302,209

33.36

有形固定資産

109,934

12.62

73,263

8.09

その他債権

2,384

0.27

739

0.08

現金預け金

92,974

10.67

78,903

8.71

合計

871,414

100.00

905,987

100.00

 

負   債

科目

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金銭信託

199,429

22.88

183,079

20.21

金銭信託以外の金銭の信託

115,653

13.27

132,401

14.61

有価証券の信託

220,348

25.29

221,372

24.43

金銭債権の信託

59,306

6.81

35,565

3.93

包括信託

276,676

31.75

333,569

36.82

合計

871,414

100.00

905,987

100.00

(注)1. 「信託受益権残高」は、信託勘定全体の信託受益権残高から、当行を委託者兼受託者とする信託から取得した信託受益権額を二重信託として控除しております。また、負債のうち対応する信託種別の元本残高から同額を控除しております。

   2. 元本補填契約のある信託については、前連結会計年度及び当連結会計年度の取扱残高はありません。

 

(ロ)貸出金残高の状況(業種別貸出状況)(末残・構成比)

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

製造業

10

0.03

10

0.02

農業、林業、漁業

鉱業、採石業、砂利採取業

建設業

27

0.08

26

0.05

電気・ガス・熱供給・水道業

16,025

29.73

情報通信業

25

0.07

23

0.04

運輸業、郵便業

5

0.01

5

0.01

卸売業、小売業

48

0.14

149

0.28

金融業、保険業

不動産業

31,830

89.30

34,034

63.15

物品賃貸業

その他サービス業

3,492

9.80

3,448

6.40

地方公共団体

その他

203

0.57

172

0.32

合計

35,642

100.00

53,897

100.00

 

(ハ)有価証券残高の状況(末残・構成比)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国債

5,764

3.33

5,764

3.37

地方債

9,075

5.24

9,075

5.31

短期社債

社債

19,802

11.43

21,159

12.38

株式

その他の証券

138,614

80.00

134,977

78.94

合計

173,256

100.00

170,977

100.00

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。