第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当行は、1932年5月の創業以来、基本姿勢である「地域社会の発展に貢献する」ならびに「健全経営に徹する」の2つを経営理念として堅持し続けております。

(2)経営環境

現在の地域金融機関を取り巻く環境は、低金利の長期化により預金と貸出を主体とする従来のビジネスモデルが先細りしていることに加え、異業種からの参入やネット銀行の拡大など、変化への対応が求められる状況にあります。また、気候変動への取り組みがグローバル化しているほか、地政学リスクの高まりに起因したエネルギーや原材料の価格高騰、キャッシュレスの進展やAIをはじめとした新技術の発展など、環境は目まぐるしく変動し予測が困難となっています。

当行が主要な営業基盤とする岩手県におきましては、都市部への人口流出や働き手不足、事業の後継者不在等を理由とした廃業・解散が増加し事業所数が減少するなど、課題がより顕在化・深刻化しています。また、エネルギーや原材料の価格高騰が今後一段と企業収益に影響を与えるものと予想されます。企業や地域社会にとって、生産性向上に向けたデジタル化や働き方改革の推進、カーボンニュートラルへの対応はより重要性を増しており、これらの地域課題に対して官民一丸となった取り組みが急務となっております。

一方、豊かな自然を有する本県は再生可能エネルギーのポテンシャルが高く、食料自給率100%以上を維持する数少ない県であり、エネルギーや食料の生産・供給拠点としての存在感を高めています。また、県南部では半導体・自動車産業などの産業集積が進み、県北部では地域エネルギーや森林・海洋資源を活用した地域循環共生圏の実現に向けた動きが加速するなど、県内全域で産業構造変革や社会経済の変革が進みつつあります。観光資源も充実し、奈良県、鹿児島県と並び、国内最多となる3つの世界遺産を有しています。

また、上場企業においては、より資本効率や株価を意識した経営が求められているところ、当行としましても株主・投資家のみなさまとの実効性のある対話を通じて、経営効率のさらなる向上とガバナンスの高度化に取り組む必要があると認識しております。

(3)対処すべき課題

① 長期ビジョン

2023年4月、当行グループは向こう10年の長期ビジョン「お客さまの課題解決と地域社会の持続的成長を牽引する価値共創カンパニー」を掲げました。この長期ビジョンは、「地域が賑わい、安心して暮らすことができる」「魅力的な企業がある」「身近で便利な金融インフラがある」といった地域住民やお客さまが理想とする地域社会を実現していくため、10年先に当行グループがありたい姿を表現しております。

当行グループは、地域の事業者や行政自治体と連携しながら、岩手特有の地域資源の強みを活かしさらなる可能性を引き出していくことで、地域に新たな価値を生み出し、豊かで活力ある、そしてサステナブルな地域社会を実現していきたいと考えております。



② 中期経営計画

当行グループは長期ビジョンの実現を目指し、2023年4月より「第21次中期経営計画~地域価値共創プラン~」(以下、「今次中計」といいます。)をスタートさせました。今次中計では、前中期経営計画において取り組んだグループ基盤整備や事業再構築等を通じて備わった経営基盤を土台として、CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)の理念を踏襲し、「金融サービス領域の深化」と金融の枠を超えた「新たな事業領域への挑戦」を推し進めております。そして長期目標である連結当期純利益100億円、ROE5%以上の到達に向けた第1フェーズとして、高い水準にある自己資本の有効活用と事業ポートフォリオの変革を通じた利益成長軌道をつくり出します。具体的には、次に掲げる3つの基本方針を柱として、それぞれに実効性のある施策を展開しております。

[基本方針Ⅰ:ソーシャルソリューションビジネスの高度化]

<グループ総合力と外部連携による包括的なソリューション提供>

法人のお客さまに対しては、多様化・複雑化する課題解決を支援していくため、グループ総合力を活かした本業支援や事業承継、事業の再構築などのソリューションやファイナンスの提供、お客さまの商品に対するブランディングや販路拡大に向けたビジネスマッチングの支援、外部専門機関などとの連携によるお客さまの生産性向上などに取り組んでおります。また、環境・社会課題に対応した「いわぎんサステナビリティ・リンク・ローン」を創設し、お客さまのサステナブルな事業を支援しております。

個人のお客さまに対しては、ライフイベント、長寿社会に対応したサービスを提供していくため、投資信託商品や保険商品の充実を図るとともに、職域や教育現場でのセミナー等の開催を通して幅広い世代に対する金融リテラシーの向上に取り組んでおります。また、グループ機能や外部連携を活用して、民事信託や遺言信託などのメニューを提供しているほか、インターネットバンキングによる投資信託取引の取扱時間を延長するなど、非対面チャネルの拡充にも注力しております。

 

データ利活用による金融サービスの革新

当行グループが保有する豊富な情報を活用した広告事業やマーケティング支援事業では、様々なチャネルを通してお客さまの効果的なマーケティング活動を支援しております。また、お客さまのパーソナライズ情報を活用したアプリプッシュ通知・電子メール自動配信機能の導入により、適時適切な商品・サービスのご案内を実施しております。このほか、お客さまとの接点強化のため、「いわぎんアプリ」に住宅ローンの固定金利再選択機能やカード再発行申込機能、家族間で口座の入出金や残高を確認できる「見守りサービス」などを追加し利便性向上に努めております。

環境ビジネスの推進強化

TCFD提言(※1)への対応を促進するため、頭取を委員長とするサステナビリティ推進委員会において気候変動対応に関する施策等を協議・進捗管理しているほか、「生物多様性のための30 by 30アライアンス(※2)」へ参加し、サステナブルな地域社会の実現に向けて各種活動を展開しております。

地域やお客さまの脱炭素化に向けた取り組みを支援するため、岩手県洋野町と住友商事東北とともにJブルーカーボンクレジットの紹介業務を開始したほか、脱炭素経営に向けた多様なファイナンスやビジネスマッチングメニューを提供しております。

※1.TCFD提言…金融市場安定化の観点から、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受けた金融安定理事会が設立した気候関連財務情報開示タスクフォースが公表した気候変動の「リスク」と「機会」に関する財務上の影響を把握・開示すること等を推奨する最終報告書のこと。

※2.生物多様性のための30 by 30アライアンス…生物多様性の損失を食い止め、回復させるというゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標のこと。

フロンティア事業領域への拡大

金融の枠を超えた新たな事業領域への挑戦を推し進めるため、2023年4月に頭取直轄の新事業専担部署として「フロンティア事業室」を新設しました。2023年7月には、当行100%出資の投資専門子会社「いわぎん未来投資」を新設し、出資等を通じた外部パートナーとの連携・協業を目的とした投資ファンドの運営を開始したほか、地域の脱炭素化を推し進めるため、再生可能エネルギー分野に対するコンサルティングに加え、発電・供給を当行グループが担うことを目的として、再生可能エネルギー関連事業へ参入しております。

また、更なる新事業領域創出と新事業挑戦への意欲醸成を目的として、事業アイデア創出から事業化までを行う中長期的な取り組みである「いわぎんインキュベーションプログラム」を開催しております。

[基本方針Ⅱ:地域を支える盤石な経営基盤の確立]

アセットアロケーションの変革

キャピタルアロケーションの最適化とアセットビジネスの強化を図るため、「ストラクチャード・ファイナンス室」を新設し、ストラクチャード・ファイナンスに関する業務や人員などを集約しフロント機能を強化しております。これにより、再生可能エネルギーや秋田・岩手アライアンスによる連携ファイナンス、仕組ローンなどの取り込みを図り、収益機会の多角化を進めております。また、有価証券のポートフォリオ再構築に向けて、マーケット動向を踏まえつつ、円債を中心に積み上げを図っております。

生産性の高い業務運営体制への変革

地域の金融インフラ維持と質の高いコンサルティング機能の提供を両立させる持続可能な店舗体制の構築に向けて、広域型営業体制である「地域統括型店舗運営体制」を導入し、順次体制移行を進めております。地域統括型店舗運営体制では、人員と業務を地域の統括店に集約し、ナレッジ共有による職員のスキルアップを図りつつ、コンサルティング機能の強化と生産性の向上に取り組んでおります。

また、事務レス(効率化・削減)に向けて、事務フローの見直しやテレビ相談窓口による遠隔相談体制を整備しているほか、営業店タブレット端末の機能強化や帳票の電子化によるペーパーレス化を進めております。

ガバナンス態勢の高度化

持続的な成長や企業価値向上に向けての基盤となるガバナンス態勢を高度化していくため、コンプライアンス態勢をはじめ、各種リスク管理態勢の高度化に取り組んでおります。また、株主や機関投資家、個人投資家の皆さまとのコミュニケーション機会の拡充に努め、当年度は新たに、個人投資家向け説明会のWeb配信や決算発表内容の英訳配信を開始するなど、情報開示の充実を図っております。

[基本方針Ⅲ:多様な人材が働きがいを持ち続ける組織づくり]

<地域課題を解決できる人材の育成>

地域毎に異なる課題に対し、ビジネスチャンスを見出し解決に導く人材を育成することを目的に、地域課題を考えるプログラムや対話力向上プログラムを階層別研修に導入しております。また、行員の成長意欲に応えるため、休日セミナーのシーズンプログラム化や本部・グループ会社へのトレーニー派遣などを実施しております。

<チャレンジ性にあふれた企業風土への変革>

職員の自律的なキャリア形成を促進するため、「いわぎんエキスパートパス(IEP)」制度を活用して、中小企業診断士やFP1級などの公的資格取得を支援しているほか、職員が公募により希望する部署やグループ会社での業務従事を可能とする「ジョブチャレンジ制度」を導入しております。また、経営理念や長期ビジョンを具現化するために部下職員のチャレンジ意欲を尊重し、成長支援を行うため、全ての管理職を対象にマネジメントスキル向上に向けた研修会を開催しております。

<働きがいを持ち続け、安心して活躍できる組織の実現~D&I(※3)推進~

当行における人と組織に対する基本的な考え方及び人事施策全般における根幹となる考え方として、「人事ポリシー(※4)」を制定しております。また、約20年ぶりに人事制度を全面改定しております。新しい人事制度の導入により、上司・部下間の対話を通じた人材育成が主眼となる仕組みを構築し、職員の働きがいやエンゲージメントを高め、一人ひとりの実力を最大限に引き出す組織の実現を目指してまいります。

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進にあたっては、意義の理解や無意識の思い込み・偏見(アンコンシャス・バイアス)の排除を目的として女性職員を対象としたキャリア研修や全職員を対象としたアンコンシャス・バイアスをテーマとする勉強会を行っております。また、男性職員の育児休業等の取得推進に向け、グループ内の事例紹介や取得に向けた啓蒙活動に努めた結果、対象となる男性職員の育児休業等取得率は100%となりました。

※3.D&I…多様性を意味するダイバーシティと受容を意味するインクルージョンを組み合わせた言葉。性別や年齢、国籍、価値観、ライフスタイルなどのあらゆるちがいを受け入れ、すべての人がそれぞれの個性を発揮して活躍できる社会の実現を目指す考え方。

※4.人事ポリシー…「人こそが最も重要な財産であり、あらゆる価値の源泉」であるとともに、経営理念の実現のためには「職員一人ひとりと銀行がともに成長し続ける」という、当行における人と組織の基本的な考え方。

③ 主要計数目標(中期経営計画、長期目標)

 長期目標達成に向けた第1フェーズとして、以下の主要計数目標を設定しております。

 

指標

2023年度

計画

2023年度

実績

2025年度

計画

長期目標

(2032年度まで)

連結当期純利益 

40億円

42億円

70億円

100億円

連結ROE(株主資本ベース) ※1

2.2%

2.3%

4%以上

5%以上

連結自己資本比率 ※2

11.1%

11.2%

10%程度

OHR(単体) ※3

79.2%

73.0%

60%台

顧客向けサービス業務利益 ※4

△9億円

△0.8億円

10億円以上

 

※1 連結当期純利益÷株主資本平均残高

※2 自己資本の額÷リスクアセット等の額

※3 経費(除く臨時処理分)÷コア業務粗利益

※4 貸出金平残×預貸金利回り差+役務利益-営業経費

 

当行グループは、地域の皆さまからの期待と資本市場からの要請にお応えすることができるよう、今後も「ESG(環境・社会・企業統治)経営」と「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)経営」の実践を通じた企業価値向上に取り組んでまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ方針

当行グループでは、「地域社会の発展に貢献する」の経営理念のもと、社会や環境に配慮した企業活動の展開により、持続可能な地域社会の実現に取り組んでまいりました。

2023年4月に掲げた向こう10年の長期ビジョン「お客さまの課題解決と地域社会の持続的成長を牽引する価値共創カンパニー」においては、サステナビリティ方針に則り、特有の地域資源の強みとさらなる可能性を引き出し、新たな価値を生み出していくことで、サステナブルな地域社会の実現を目指しております。

当行グループは、長期ビジョンの達成に向け、引き続き地域のリーディングカンパニーとして内外のサステナビリティを巡る諸課題に積極的かつ組織的に取り組むとともに、「ESG(環境・社会・企業統治)経営」と「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)経営」の実践を通じた企業価値の向上に取り組んでまいります。

サステナビリティ方針

岩手銀行グループ(以下、当行グループという)は、持続的な地域社会の実現に向けて、地域、お客さま、株主・投資家のみなさま、当行グループ職員をはじめとするすべてのステークホルダーの権利や立場を尊重しながら、事業活動を通じてみなさまとともに環境、社会、経済のそれぞれの共通価値を創造してまいります。

1.地域やお取引先における多様な課題の解決に資する事業活動を通じて、「地域経済の発展」と「当行グループの企業価値の向上」の好循環を創出します。

2.お客さまや地域のニーズに合った良質な金融機能の開発、提供に努め、当行グループの使命である地域経済の活性化や豊かな暮らしの実現を目指します。

3.豊かな自然環境を有する岩手県を主たる営業地盤とする企業グループとして環境に配慮した経営を実践し、経済成長と環境保全の両立を目指します。

4.経営の透明性の向上や監督機能の強化など、より高い水準のコーポレート・ガバナンス体制の確立を目指し、全ての職員が高い倫理観をもって職務を遂行します。

5.人材はあらゆる価値の源泉であるとの認識のもと、職員一人ひとりの能力を最大限に発揮できる環境を整え、多様性、人格、個性を尊重する働き方を実現します。

6.経営情報の積極的かつ公正な開示に努め、あらゆるステークホルダーとの継続的かつ建設的な対話を通じて、当行グループに対する期待と信頼に応えていきます。

 

 

<サステナビリティに関連する当行のこれまでの主な指針・表明事項>

制定・表明時期

内  容

2013年7月

CSRの基本方針

(コンセプトワード「みどりの銀行のイーハトーヴ宣言」を制定)

2017年1月

岩手銀行イクボス宣言

2019年9月

いわぎんグループSDGs宣言

2021年8月

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同

2021年8月

いわぎん健康経営宣言

2022年4月

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進

2023年3月

サステナビリティ方針

2023年4月

人事ポリシー

2023年6月

パートナーシップ構築宣言

2024年3月

マルチステークホルダー方針

 

 

 

(2)マテリアリティ(重点分野)

長期ビジョンを実現していくにあたり、当行グループのサステナビリティ方針を踏まえ、成長分野と経営基盤という観点から5つのマテリアリティを特定しております。特定したマテリアリティは、中期経営計画に落し込み、基本方針および重点戦略として設定しています。

今後は重点戦略の進捗状況を管理し、PDCAサイクルを実践のうえ、ESG&SX経営を推進してまいります。


 

(3)2023年度の主な取組み等

① 「地方創生に資する金融機関等の特徴的な取組事例」としての表彰

「地域の脱炭素社会の実現に向けた面的支援の取組み」について、内閣府特命担当大臣(地方創生担当)より表彰を受けました。

自治体の保有施設を対象に温室効果ガス(GHG)排出量の「見える化」から、課題の認識や解決に向けたサービスの導入・運用に至るまでのプロセスを本部直轄で一元管理したことや、域内企業による地産地消型のカーボンオフセット実現に向け、地域全体を「面」と捉え、地方公共団体のJ-クレジット・J-ブルークレジット®の販売仲介業務の受託やカーボンクレジットの創出・販売支援を行うなど、脱炭素に資する総合的な取組みを展開したことが評価されました。

 

  ② 「東北地方における森林産業の現状と今後の方向性」報告書の発行

株式会社秋田銀行、株式会社日本政策投資銀行、株式会社日本経済研究所と共同し「東北地方における森林産業の現状と今後の方向性」と題した調査レポートを発行しました。

国内外で森林・林業を取り巻く環境が変化する中、豊富な森林資源を持ち、木材加工業の集積が見られる東北地方でも、林業の活性化や持続可能な森林管理が重要な課題となっています。そこで、日本有数の森林資源を有し林業が盛んな岩手県・秋田県の2県を対象として現状と課題を分析し、当地域が有する非常に高いポテンシャルを活かすための成長戦略、および近年注目される制度(J-クレジット制度、森林経営管理制度)を踏まえた持続性向上への方策を検討・提言しました。

 

③ 「生物多様性のための30by30アライアンス」への参加

2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させるというゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全することを目標として、環境省が主導する「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加しました。

 

④  岩手県の「食とエネルギーの総合産地化」プロジェクトの共同推進

東日本電信電話株式会社およびAIスタートアップの株式会社JDSCと共同で、ICT・IoTを活用したスマート農業システムとAI・データサイエンスを活用した岩手県の一次産業およびエネルギーの流通と循環を実現することを目的として、「食とエネルギーの総合産地化プロジェクト」を開始しました。

具体的には、飼料用米の稲作農地近隣または耕作放棄地等に太陽光発電パネルを設置し、営農とエネルギー生産を両立させたうえで、収穫米を県内の畜産、水産施設で飼料として使用する等を検討しています。畜産、水産施設にも太陽光発電パネルを設置し、クリーンエネルギーの創出と農作物の循環を通じ、輸送コストおよびCO排出量の削減および自給率の向上を目指します。

 

⑤ 子会社の再生可能エネルギー関連事業への参入

当行100%子会社であるmanordaいわて株式会社を運営主体として、発電・供給業務を含む再生可能エネルギー関連事業に参入しました。

地域の脱炭素化を取り巻く課題に対して、再生可能エネルギー分野に対するコンサルティング業務にさらに積極的に取り組むことに加え、発電・供給にかかる主体的役割を当行グループが担うことにより、地域の再エネや関連するコスト等の地域内循環や脱炭素化を垂範していくとともに、関連ビジネスの創出や資金需要の掘り起こしなど地域経済の活性化に寄与してまいります。

 

このほか、岩手県内の女性起業家を支援するため経済産業省が運営する「わたしの起業応援団」への入会、環境省の「デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)」への賛同、フードロス削減への取組みとして当行本店の食堂で規格外野菜を使用したメニュー提供の開始など、サステナビリティへの取組みを推進しております。

 

(4)ガバナンス

① サステナビリティ推進委員会の設置

当行は、気候変動がお客さまや当行に及ぼすリスクおよび機会を分析・評価し、地域社会のカーボンニュートラルを実現するため、2021年8月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同しました。2022年8月には、TCFD提言への対応を促進するとともに、ESG経営に関する基本方針や施策を協議・進捗管理することにより持続的な地域社会の実現に資することを目的に、「サステナビリティ推進委員会」(以下、委員会)を設置しています。

委員会は頭取を委員長、取締役専務執行役員を副委員長、その他の常勤取締役や本部各部室長、グループ会社代表者を委員として構成しています。また、施策の企画・立案・研究を行う機関として、本部職員、営業店職員、グループ会社職員で構成する分科会を設置しており、随時開催する分科会において策定した具体的な推進施策等を委員会に対して提言しています。

委員会は原則として年2回開催しており、委員会での協議の内容、進捗状況およびその他必要な事項については取締役会に対し適時・適切に報告していますが、報告を受けた取締役会ではその内容について意見交換のうえ、適宜委員会に対して指示・提言・助言などを行っています。取締役会からの指示等を委員会や分科会の活動はもとより経営全般に反映させていくことで、サステナビリティ全般への取組みの質の向上に努めています。


 

② サステナビリティに係る委員会・取締役会等開催状況(2023年4月~2024年3月)

日 付

会 議

主な協議事項・報告事項等

8月2日

第3回委員会

サステナビリティに関する考え方・取組みの開示内容、GHG排出量算定結果、日本銀行が行う気候変動対応を支援するための資金供給オペレーションに関する事項、SDGs債への投資に際しての投資表明の実施

10月25日

第4回委員会

スコープ1、2のネットゼロ実現に向けての具体策、物理的リスク・移行リスクのシナリオ分析、気候変動対応オペにかかる対象投融資に関する基準および適合性の判断のための具体的な手続きの開示、サステナビリティ・リンク・ローンの創設、人的資本の開示における課題と今後の方向性

11月13日

取締役会

GHG排出量ネットゼロ実現に向けての具体策、物理的リスク・移行のシナリオ分析、日本銀行が行う気候変動対応オペレーションに関する事項、人的資本の開示における今後の方向性

1月24日

第5回委員会

当行グループのGHG排出量削減に向けた具体的対応、気候変動シナリオに基づく財務影響の計測、人材育成方針、社内環境整備方針

分科会

集合形式の分科会を延べ25回開催しています。

随時、電子会議室を用いて書面等での連携も図っています。

 

 

(5)環境課題・社会課題関連

① 戦略

a.リスクと機会

リスクの種類

事業へのインパクト

機  会

移行リスク

・炭素税などの対価の発生・増加

・設備投資や新しい技術への対応

・消費行動の変化

・政策や規制、技術、市場、評判の観点から、当行および企業の財務面に影響を及ぼす短期的、中長期的なリスク

・環境課題や社会課題の解決ならびに持続可能な社会の実現に資する融資等のファイナンス

・気候変動に関する課題の解決に向けたコンサルティングやソリューションの提供

・当行グループのGHG排出量削減を含む脱炭素社会実現に向けた先導的・革新的対応

物理的リスク

・洪水、強風、熱波、雪害など極端な事象の発生頻度の高まり

・平均気温の上昇や海水面の上昇

・不動産担保物件の毀損や事業の停止に伴い当行および企業の財務面への影響を及ぼす急性・慢性の物理的なリスク

 

 

b.特定セクターに対する融資方針

サステナビリティ方針やGHGに関連する指標等の算定を踏まえ、環境・社会に対して負の影響を助長する可能性の高い特定セクターへの融資を制限することについて、次のとおり明確化しています。

特定セクターに対する融資方針

1.石炭火力発電事業

石炭火力発電所の新設案件への融資は、原則としていたしません。

ただし、エネルギー安定供給に必要不可欠で温室効果ガスの削減を実現する案件(※)については、慎重に対応を検討します。

※超々臨界圧などの環境へ配慮した技術を有する案件

2.パーム油農園等開発事業

パーム油農園等の開発事業において、違法な森林伐採や生物多様性を毀損する案件への融資はいたしません。

3.非人道兵器製造関連事業

クラスター弾等の非人道兵器の開発・製造に関与する事業者に対しては、資金使途を問わず融資いたしません。

4.人権侵害に関与する事業

人身売買、児童労働または強制労働に関与する事業者に対しては、資金使途を問わず融資いたしません。

 

 

② リスク管理

a.移行リスク

当行は、一般的に直接的または間接的なGHG排出量が比較的高いとされる炭素関連資産のセクターに限定されることなく、あらゆるセクターにおいて脱炭素社会への移行に関するリスクがあることを認識しています。

例えば、GHG排出量の削減がなされずに炭素税などの対価が発生・増加していくこと、脱炭素化に向けた設備投資や新しい技術が必要となること、消費者がこれまで以上に環境や社会への影響を重視するようになり従来の商品やサービスが利用されなくなることなど、政策や規制、技術、市場、評判の観点から、当行および企業の財務面に影響を及ぼす短期的、中長期的なリスクがあると考えています。

こうしたなか、当行における与信の状況を踏まえ、脱炭素化の影響が最も大きいと考えられるエネルギーセクターを対象としてリスク量を算定しています。なお、算定にあたっては、「2050年IEA(国際エネルギー機関)ネットゼロシナリオ(NZE)1.5℃」を使用しています。

今回の分析の結果、移行リスクによる与信コストの増加は累計16億円を見込んでいます。

b.物理的リスク

当行は、地球温暖化に伴い、洪水、強風、熱波、雪害など極端な事象の発生頻度の高まり、平均気温の上昇や海水面の上昇など、急性・慢性の物理的なリスクがあることを認識していますが、こうしたリスクが顕在化することにより、不動産担保物件の毀損や事業の停止に伴う当行および企業の財務面への影響が懸念されます。

そこで、岩手県内所在の担保取得建物が毀損するケースおよび岩手県内の法人が事業の停止を余儀なくされるケース、当行が保有する店舗への被害を想定し、百年に一度の洪水が今後25年以内に発生するIPCC4℃シナリオにて、リスク量を算定しています。

今回の分析の結果、物理的リスクによる与信コスト等の増加は最大16億円を見込んでいます。

c.対応

当行は、再生可能エネルギー(太陽光・風力・バイオマス・水力が対象、地熱は除く)および火力発電向けのプロジェクトファイナンスについて総与信額や個別案件の取組基準を設定しています。また、「石炭火力発電所の新設案件への融資は行わない。ただし、エネルギー安定供給に必要不可欠で温室効果ガスの削減を実現する超々臨界圧などの環境へ配慮した技術を有する案件については、慎重に対応を検討する」との方針を定めていますが、取組基準や方針の運用状況等について、資金の運用、調達両面にわたる基本方針等を協議することにより収益の向上とリスク管理に資すること等を目的に設置しているALM委員会で協議しています。

今後、炭素関連資産、GHG排出量(特にスコープ3カテゴリー15「投融資」)、移行リスク、物理的リスクの状況を踏まえ、サステナビリティ推進委員会やALM委員会における協議テーマに設定するなどして、気候関連リスクを統合的に管理する予定としています。

 

③ GHGに関連する指標等の算定

a.炭素関連資産

炭素関連資産は、一般的に直接的または間接的なGHG排出量が比較的高い資産または組織とされており、当行では次のセクターに関連する資産を炭素関連資産としています。

〈金額単位:百万円)

セクター

項  目

2022年度

2023年度

 エネルギー

金  額

57,655 

59,393 

貸出金に占める割合

2.85%

2.82%

 運輸

金  額

62,327 

60,895 

貸出金に占める割合

3.08%

2.90%

素材・建築物・資本財

金  額

277,099 

289,957 

貸出金に占める割合

13.73%

13.81%

農業・食料・林産物

金  額

67,382 

68,551 

貸出金に占める割合

3.33%

3.26%

炭素関連資産合計

464,465 

478,797 

貸出金に占める割合

23.01%

22.80%

 

 
<炭素関連資産の算定プロセス>

●  セクターと主な業種

取引先ごとに主たる業種に基づき設定している業種コードおよび業種の名称について、GICS(世界産業分類基準)も参考にして「エネルギー」、「運輸」、「素材・建築物・資本財」、「農業・食料・林産物」、「その他」の5つのセクターに当てはめてから、「その他」を除くセクターごとに複数の主な業種に分類しています。

主な業種について、エネルギーセクターは「石油、ガス」「石炭」「電力事業」、運輸セクターは「航空貨物輸送」「航空旅客輸送」「海運」「鉄道輸送」「トラックサービス」「自動車、部品」、素材・建築物・資本財セクターは「金属、鉱業」「化学品」「建材」「資本財(建物等)」「不動産管理、開発」、農業・食料・林産物セクターは「飲料」「農業」「包装食品、肉」「紙、林産物」としています。

なお、石油卸売業、運輸に附帯するサービス業、産業用機械器具関連事業は炭素関連資産に含めており、再生可能エネルギー関連、上下・工業用水道事業、内陸水運業は炭素関連資産に含めていません

●  金額

各年度末時点で主たる業種が上記のセクター・主な業種に該当する法人および個人事業主向けの事業性貸出金(割引手形、手形貸付、証書貸付、当座貸越)の残高としています。

 

b.GHG排出量

当行は、サステナビリティ推進委員会における温室効果ガス対策分科会と、GHG排出量算定・可視化クラウドサービスを提供する株式会社ゼロボードとの協働により、GHG排出量の算定対象範囲、算定方法等についてGHGプロトコルに則り検討を重ねてきましたが、今回算定・推定したGHG排出量は次のとおりです。なお、温室効果ガスはすべてCO(二酸化炭素)に換算しています。

ア.スコープ1、2(連結子会社を含む、単位:t-CO

区  分

2022年度

2023年度

スコープ1

1,113

1,051

スコープ2

3,547

1,774

合 計

4,660

2,825

 

<スコープ1、2の算定プロセス>

スコープ1は直接排出(ガソリン、灯油、重油、ガス)、スコープ2は間接排出(電気)であり、それぞれの使用量に対して最も適切と考えられる排出原単位を乗じて算定しています。

排出原単位は、環境省が公表している「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」ならびに「電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)」を利用しています。

 

イ.スコープ3(カテゴリー3は連結子会社を含む、それ以外は当行単体、単位:t-CO

カテゴリー

2022年度

2023年度

1.購入した製品・サービス

7,909

8,261

2.資本財

1,502

1,829

3.スコープ1、2に含まれない燃料およびエネルギー活動

710

683

4.輸送、配送(上流)

218

248

5.事業から出る廃棄物

43

30

6.出張

135

167

7.雇用者の通勤

535

557

15.投融資

1,504,455

1,310,629

合 計

1,515,511

1,322,406

 

 

<スコープ3の算定対象範囲、基礎データ、算定方法>

●  カテゴリー2、3、7、15以外の基本的事項

当行で利用している経費管理システムから得られるデータについて、勘定科目と摘要コードの組み合わせをもって、経費支出項目(以下、支出項目)と算定要否を判定したうえで、カテゴリーごとに算定しています。

●  カテゴリー3、15以外の排出原単位

環境省が公開している「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」を利用しています。また、排出原単位については、各支出項目に照らして最も適切と考えられるものを選定しています。

● 消費税の取り扱い

消費税は控除せずに算定しています。

● カテゴリー1「購入した製品・サービス」

当行の経費管理システムにおいて管理されている支出項目のうち、何らかの形でGHG排出を伴う活動かつ他のカテゴリーに属さないと考えられるものを抽出し、その支出金額に排出原単位を乗じています。

●  カテゴリー2「資本財」

各年度において取得した有形固定資産・無形固定資産の金額に、資本形成部門「金融・保険」の排出原単位を乗じています。

●  カテゴリー3「スコープ1、2に含まれない燃料およびエネルギー活動」

ガソリン、ガス、灯油、重油の使用量に対して、「LCIデータベースIDEAv2(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)」の排出原単位を乗じています。なお、電気の使用量に対しては、「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」の排出原単位を乗じています。

●  カテゴリー4「輸送、配送(上流)」

支出項目のうち、通信費(郵便料)、運送費(メール負担金)に排出原単位を乗じています。

●  カテゴリー5「事業から出る廃棄物」

支出項目のうち、廃棄物の収集料・処理料に対し廃棄物処理に係る排出原単位を乗じています。

● カテゴリー6「出張」

出張、研修、会議出席等に係る支出項目(日当を含む)に対して、公共交通機関の利用を優先していることや排出原単位の交通区分および実態面を考慮し、旅客鉄道の排出原単位を乗じています。

●  カテゴリー7「雇用者の通勤」

人事給与情報システムにて管理されている「通勤手当」「嘱託等通勤費」「その他の通勤費」の金額に基づき算定しています。公共交通機関の利用を優先していますが、2022年度に距離範囲の拡大を含む自家用車通勤の要件の見直しを行ったこと、排出原単位の交通区分および実態面を考慮し、支出項目(通勤手当額)に対して自動車・バス(営業用乗合)の排出原単位を乗じています。

 

 

 

●  カテゴリー8「リース資産(上流)」、カテゴリー9「輸送、配送(下流)」、カテゴリー10「販売した製品の加工」、カテゴリー11「販売した製品の使用」、カテゴリー13「リース資産(下流)」、カテゴリー14「フランチャイズ」

該当ございません。

●  カテゴリー12「販売した製品の廃棄」

使用済預金通帳の廃棄などが考えられますが、算定シナリオを組成していないため算定していません。

●  カテゴリー15「投融資」

今回は、事業法人向け融資ならびに住宅ローンを対象に、PCAF(※)スタンダードの方法論に準拠して算定しています。

 ※「Partnership for Carbon Accounting Financials」金融機関の投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量を計測・開示する方法を開発する国際的なイニシアティブ

具体的には次の手順のとおりです。

<事業法人向け融資>

炭素関連資産に関連付け、そのセクターや主な業種ごとに、当行に融資取引がある代表的な事業法人が開示している売上高とそれに対するGHG排出量(スコープ1、2)の割合を算出し、その割合を排出係数(炭素強度)として各事業法人の直近決算時点の売上高に乗じる方法を基本に各事業法人における総排出量を推定しています。そして、その推定結果をアトリビューション・ファクター(各事業法人の負債と純資産の合計に占める当行融資残高)に乗じて算定しています。

事業法人ごとの排出量=炭素関連資産に基づくセクターや主な業種ごとの排出係数(炭素強度)×事業法人ごとの売上高×アトリビューション・ファクター(事業法人ごとの当行融資の寄与度)

したがって、データクオリティはスコア4(企業の売上高とセクターの売上高あたりの排出係数より推計)相当となっています。

<住宅ローン>

住宅ローン1件ごとに、各年度末時点の残高を分子、当行の住宅ローン関連システムから得られる購入時評価額を分母として当行寄与分を算出し、その結果に対して世帯当たりの年間CO排出量を乗じて算定しています。

なお、購入時評価額を管理の対象としていない住宅ローンなど、住宅ローン関連システムから購入時評価額が抽出されないものについては、それを当初貸出額で代替しています。

また、世帯当たりの年間CO排出量は、環境省が公表している「令和4年度 家庭部門のCO排出実態統計調査結果について(確報値)」(東北地方、算定対象年度末において把握できる直近の排出量、2023年度分については2022年度の3.59t-CO/世帯・年)を引用しています。

過去に公表した2022年度の結果と異なっていますが、2021年度の4.02t-CO/世帯・年を引用して算出していたものを、公表にあわせて2022年度の3.59t-CO/世帯・年を適用し算出し直したためです。

 

 

 

また、カテゴリー15「投融資」の詳細は次のとおりです。(単位:t-CO

セクター

主な業種

2022年度

2023年度

エネルギー

・石油、ガス

・石炭

・電力事業

15,421 

780

378,274

14,818

719

342,489

小計

394,476

358,027

運輸

・航空貨物輸送

・航空旅客輸送

・海運

・鉄道輸送

・トラックサービス

・自動車、部品

18,447

1,420

3,617

10,267

8,596

18,326

1,568

4,420

11,770

7,447

小計

42,349

43,533

素材・建築物・資本財

・金属、鉱業

・化学品

・建材

・資本財(建物等)

・不動産管理、開発

200,557

21,735

54,239

39,526

4,399

228,098

22,882

35,881

7,616

5,099

小計

320,457

299,579

農業・食料・林産物

・飲料

・農業

・包装食品、肉

・紙、林産物

3,369

13,086

46,230

86,053

2,738

16,216

43,160

75,935

小計

148,740

138,051

その他の事業法人向け融資

525,607

397,322

住宅ローン

72,824

74,113

合計

1,504,455

1,310,629

 

 

今後は、GHG排出量の大部分を占めるスコープ3カテゴリー15におけるデータクオリティ(スコア)とともに、その他のカテゴリーについても精度・粒度の向上を図っていく予定としています。

<ご留意いただきたい事項>

上述の指標やリスク量の算定結果は、一定の仮定や前提を置いて導き出したものです。また、独立した第三者による保証・検証を取得しているものではありません。

今後、算定や分析対象セクターの範囲の拡大、精度や粒度の向上、リスクシナリオ分析の高度化、適用する排出係数・排出原単位の変更、算定方法に係る国際的な基準の明確化に対する議論の動向等により、当行で把握・公表する数値についても将来的に変更となる可能性があります。

 

 

④ 指標と目標

a.当行グループのGHG排出量の削減

当行グループが地域の脱炭素社会の実現に向けて先導的役割を果たす姿勢を示すため、GHG排出量の削減について次のとおり目標を定めています。

時 期

内   容

2030年度

スコープ1、2 ネットゼロ

2050年度

スコープ1~3 ネットゼロ

 

2023年度においては、再生可能エネルギー由来の電力である「いわて復興パワー水力プレミアム」を当行グループに導入することで、スコープ1、2において基準年(2013年度)対比で▲63%まで削減が図られました。

 

<GHG排出量の推移>


引き続き、豊かな森林・海洋資源の保全や、地域の再生可能エネルギー由来電源開発、CO貯留などへの取組み・関与を通じて、GHG排出量の削減に貢献し、将来的に社会全体のGHG排出量が吸収量を下回る状態「カーボンネガティブ」の実現を目指していきます。

さらに、当行はスコープ3を含むGHG排出量ネットゼロやカーボンネガティブを目指すにあたり、自治体との脱炭素社会の実現に向けた基本合意の推進等、面的企業支援および関係者間の連携強化に向けて積極的に取り組むとともに、事業性理解や本業支援、エンゲージメントを通じて、いわぎんSDGs評価・宣言サポートサービス、GHG排出量算定・可視化サービス、J-クレジット、自家消費型太陽光発電など、取引先の気候変動に関する課題の解決に向けたコンサルティングやソリューションを幅広く提供していきます。

b.サステナブルファイナンス

脱炭素社会への移行にあたって必要となり得る設備投資、技術革新、消費行動の変化については、事業活動における機会にもつながるものであると考えます。

当行では、前述のとおり特定セクターに対する融資を制限する一方で、脱炭素社会実現に向けた先導的・革新的対応をマテリアリティの一つとし、グリーントランスフォーメーションを掲げていることや、地域金融機関にはSDGsやESGに対する地域の取組みを促す役割が期待されており、融資等のファイナンスを通じて環境・社会課題の解決に貢献していくため、ファイナンスの実行目標を設定し積極的に推進しています。

項 目

内   容

サステナブル

ファイナンス

環境課題や社会課題の解決ならびに持続可能な社会の実現に資する投融資・リース取引

目標額

実行等累計額 5,000億円

期間

2021年度~2030年度

 

 

2023年度は、グリーン・ローンへの取組みのほか、環境・社会課題に対応した「いわぎんサステナビリティ・リンク・ローン」の創設、脱炭素関連リフォーム資金の金利優遇など、お客さまのサステナブルな事業や生活を支援するメニューの充実を図りました。

この結果、2023年度のサステナブルファイナンスの実績は775億円(うち再生可能エネルギー関連の融資・リース取引85億円)となり、2021年度からの累計実績は1,740億円となりました。

<サステナブルファイナンスの補足>

●  サステナブルファイナンスは、農林漁業、社会保険・社会福祉、医療・保健衛生、教育・学習支援業ならびに再生可能エネルギー関連に対する融資とリース取引、事業承継・M&A資金、政府・自治体・民間企業などが発行するSDGs債(グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド)への投資、いわぎん脱炭素応援ローン等としています。

● 期間は、当行がTCFD提言に賛同した2021年度からSDGs達成期限の2030年度までの10年間としています。

 

 

 

(6)人的資本

① 人事ポリシー

当行では、当行における人と組織に対する基本的な考え方として、「人事ポリシー」を制定しており、「目指す組織像」や「求める人材像」を実現するための人事制度や各種人事施策の根幹と位置づけています。

<人事ポリシー>

・当行にとって「人」こそが最も重要な財産であり、あらゆる価値の源泉です

・お客さまの信頼と期待に応え、地域の未来を切り拓くために、職員一人ひとりと銀行がともに成長し続けます

 

このポリシーに基づき、当行では次の観点から個人としての成長や組織としての成長を促進するとともに、個人と組織の成長を支える環境・風土の醸成に取り組んでいます。

●  自律と挑戦(個人としての成長)

・自ら考え、自ら行動することを求め、挑戦の機会を提供します

・能力や専門性の向上と発揮を求め、その環境を提供します

●  人材総活躍(組織としての成長)

・対話の重視によりエンゲージメントを高め、一人ひとりの実力を最大限引き出します

・仕事の成果と行動、挑戦と創意の発揮に対し適正に報います

●  多様な個性・価値観の尊重(成長を支える環境・風土)

・多様な個性や価値観を尊重しあい、新たな発想を生み出します

・個人の希望や事情に合わせた、柔軟な働き方を可能とします

 

② 目指す組織像と求める人材像

目指す組織像

求める人材像

・地域・お客さまのために考え、行動する

・一人ひとりの力を掛け合わせる

・職員の頑張りを後押しする

・働きがいがあり、信頼で結びつく

・自ら考え、実践し、成長する

・失敗を恐れずに挑み、やり遂げる

・プロフェッショナルとして成長する

・認め合い、協働する

 

③ 2023年度を始期とする中期経営計画における人的資本に係る基本方針ならびに重点戦略

<人的資本に係る基本方針>

 多様な人材が働きがいを持ち続ける組織づくり

<重点戦略>

・地域課題を解決できる人材の育成

研修プログラムの拡充、グループ内留学制度の実施、マーケティング人材などの育成

・チャレンジ性にあふれた企業風土への変革

社内公募制度の新設、チャレンジを後押しする企業風土変革に向けた管理職育成

・働きがいを持ち続け、安心して活躍できる組織の実現~ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進~

キャリア支援体制の構築、人材育成を主眼とした評価制度の導入、職員のライフプランや価値観などに応じた柔軟な働き方の実現

 

④ 新人事制度の導入(2024年4月)

a.導入の目的

・全職員がプロフェッショナルとして成長し活躍するための土台となる「仕事基準」の仕組みを導入するとともに、より公平で納得性の高い評価や処遇を実現します。

・それにより、職員一人ひとりの意欲と実力を最大限引き出し、当行グループの長期ビジョンである「お客さまの課題解決と地域社会の持続的成長を牽引する価値共創カンパニー」を目指すものです。

 

 

b.新制度の特徴点

・旧人事制度では、全員がマネジメント職を目指す単線型となっていましたが、新人事制度では上位等級について「プロフェッショナル職群」と「マネジメント職群」に複線化し、さらに若年層向けの「アソシエイト職群」を設けています。

・プロフェッショナル職群は、担当業務領域の専門家を目指すものと位置づけ、異動によってマネジメント職群との転換を行います。

・職群と等級ごとに「目指す組織像」と「求める人材像」から定義した「等級定義書」を設けるとともに、等級別に「伸ばす意識や行動」「抑える意識や行動」を例示しました。

 ●マネジメント職(管理監督者)の行動例

伸ばす意識・行動

• メンバーの動きやお客さまの状況に目を配り、物事のプロセスをつかむ

• メンバーが自分で考えて動けるように、気付きを与えていく

• 嫌われることを厭わずメンバーに向き合い、要望する

• 組織の目標計画・方針を認識し、自分の言葉で部下に伝える

• 専門知識・スキルを磨き続け、自分の強みとする

抑える意識・行動

• 自分で手を下すプレイヤーでありつづけようとする

• 部下に対して細かい所まで全て指示・命令を出す

• 自分の経験や前例に固執する

• 上司や年上のメンバーに遠慮・過剰配慮し、意見具申をしない

• 日々の業務を回す事だけに関心が向き、部下に向き合わない

 

 

 

⑤ 人材育成方針および社内環境整備方針

当行創立100周年に向けての長期ビジョンを実現するために、前記した人事ポリシーを踏まえながら「人材育成」と「社内環境整備」に取り組んでいます。また、両方針に対する「機会」と「リスク」は次のとおりです。

機会

リスク

・多様な考え方や発想を持つ人材の活躍推進による新たな価値の創造

・積極的な人材育成投資による生産性の向上

・能力発揮機会の提供による働きがいの向上

・従業員の健康保持増進による生産性の維持向上

・企業競争力の低下、組織における柔軟性の喪失

 

・採用競争力の低下、人材の流出

・エンゲージメントの低下

・労働意欲の低下、職場離脱

 

a.人材育成

 価値共創カンパニーを目指すうえで「人」こそが最も重要な財産であるとの認識のもと、従業員の価値観と職場の多様性を重視しながら、地域課題を解決できるプロフェッショナル人材の育成と個人の成長を促す投資を積極的に行います。

〔指標〕

・年間の人材育成投資額:100百万円(2023年度実績 80百万円)

 

 

ア.経験成長サイクルの促進

2024年度からスタートした新人事制度では、個々の業務経験を学びに変えて、次の業務に生かし成長につなげるという「経験成長サイクルの促進」を人材育成の根幹に据え、このサイクルをまわすために必要となる施策を実施する予定です。また、その実現に向けた中心的な取組みとして2024年度より「1on1ミーティング」を導入しています。


イ.プロフェッショナル人材育成の取組実績

当行ではコンサル人材、高度専門人材などの戦略的人材を計画的に育成すべく、専門機関等への長期トレーニー派遣に加え、若手行員を主体として中小企業診断士等の公的資格の取得を支援する「いわぎんエキスパートパス(IEP)」の制度を設けており、地域課題を解決できるプロフェッショナル人材の育成と個人の成長を促す人材投資を行っております。

また、人的資本を効果的・効率的に活用することを通じて、組織が目指す目的の実現に貢献するためには、組織とメンバーをつなぐ「管理職」は、事業成果を出しつつ高い従業員エンゲージメント状態を創出するための非常に重要な役割であると考えております。そのため、チャレンジを後押しする企業風土変革に向けた管理職育成に向けた人材投資を行っております。

 

2021年度

2022年度

2023年度

中小企業診断士資格取得者数

3名

4名

7名

年間人材育成投資額

55百万円

61百万円

80百万円

管理職研修受講者数

 349

 

b.社内環境整備

チャレンジ性にあふれた企業風土を組織全体に浸透させ、全ての従業員が誇りと働きがいを持ち続け、自由闊達に意見を述べ、安心して活躍できる組織づくりに取り組みます。

〔指標〕

・役席者の新規登用女性割合30%以上(2023年度実績 31.1%)

・健康診断等の結果を踏まえた再検査受診率90%以上(2023年度実績 94.7%)

・習慣的な運動実施率20%以上(2023年度実績 20.2%)

 

 

 

⑥ D&Iの推進

当行では、多様な価値観を受け入れ柔軟な発想を創出することや、行員の経営参画意識と生産性の向上により企業価値を高めることなどを目的としてD&Iに取り組んできていますが、2022年度より「目指す姿」ならびに「指標と目標」を次のとおり設定し、取組みのさらなる充実に向けて推進しています。

1.目指す姿

  行員一人ひとりが安心して成長と活躍ができる組織づくり

2.推進キーワード

(1)対話機会の創出

(2)キャリア開発の支援

(3)人材の積極的登用

3.2030年度までに向けた指標と目標

(1)女性行員の役席者登用

   役席者の新規登用女性割合   30%以上

※2025年度以降は40%以上としています

(2)男性行員の育児休業等取得

   男性行員の育児休業等取得率  100%以上

 

⑦ いわぎん健康経営宣言

2021年8月、「健康経営」への取組みの基本方針として、「いわぎん健康経営宣言」を制定しています。内容は次のとおりです。

1.「いわぎん健康経営宣言」

岩手銀行は「従業員の心身の健康」が「地域社会の発展に対する貢献」と「当行の持続的な成長」に不可欠であるとの考えに立ち、「健康経営」を推進してまいります。

また、健康経営の推進のため、従業員一人ひとりの健康意識の向上と働きやすい環境や体制整備に取り組んでまいります。

2.主な取組み

(1)からだ

  ・定期健康診断の完全実施

  ・各種検診、再検査等の受診率向上

  ・禁煙の推進による喫煙率減少と敷地内全面禁煙の継続

  ・運動習慣の定着支援および情報提供

(2)こころ

  ・ストレスチェックの継続実施によるメンタルヘルス不調の予防

  ・ストレスチェック結果を活用した職場巡回の強化

  ・メンタルヘルス不調者の職場復帰支援(組織的体制の構築)

  ・職場内コミュニケーションの促進による働きやすい職場環境の整備

 

⑧ 岩手銀行イクボス宣言

2017年1月、育児や介護へのさらなる理解、ワーク・ライフ・バランスの充実、多様な人材の活躍をとおした地域貢献について積極的に取り組んでいくため、そして全ての役職員が仕事と生活の両立ならびに充実を促す「イクボス」の理念を実現させていくために「岩手銀行イクボス宣言」を次のとおり策定し宣言しています。

一、 私たちは、「イクボス」の精神に則り、育児や介護と仕事を両立しやすい環境づくりに努めます。

一、 私たちは、共に働く職員のワーク・ライフ・バランスを尊重し、自らもその充実に向けて率先して取り組みます。

一、 私たちは、男女ともに多様な人材の活躍をとおして、地域社会の発展に貢献します。

(ご参考)イクボスについて

 職場で共に働く部下・スタッフのワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、仕事でも結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)のことをいいます。

 

⑨ 働き方改革(休暇・休職制度など)への取組み

導入・新設時期

内 容

備 考

2020年4月

フレックスタイム制度の新設

 

2021年4月

時間単位年休の導入

 

就業時における服装の多様化導入

同時に女子行員事務服を廃止

2022年10月

産後パートナー休暇の新設

出生後8週間以内における28日間を限度とした休暇制度

あんしん積立休暇制度の新設

時効消滅する年休積立制度の使用目的を拡大

ライフデザイン休職制度の新設

キャリア形成、家族の介護等のイベント発生時における休職選択制度

テレワーク制度の新設

新型コロナウイルス感染症対策として運用していた仕組みを制度化

2024年4月

エリア選択制度の新設

育児・介護など所定の事由に該当する場合には一時的に転居転勤の有無を選択可能

単身赴任手当の新設

転居を伴う異動となり単身により赴任する場合の経済的負担を緩和

 

⑩ エンゲージメントサーベイの実施

人事ポリシーで掲げる「職員一人ひとりと銀行がともに成長し続ける」姿を実現するためには、「エンゲージメント」(職員の仕事に関連するポジティブで充実した心理状態、企業に対する共感度合)の向上により、一人ひとりが実力を最大限発揮することが必要不可欠となります。

当行の現状を可視化することで様々な課題を洗い出し、エンゲージメントの向上に向けて必要な施策を実施していくため、2024年2月に非正規を含めた全職員を対象に実施しました。

⑪ 資産形成支援(ファイナンシャル・ウェルネス)

当行の従業員持株会を活性化し、従業員の安定的な財産形成を促進するとともに、従業員のエンゲージメントを高め、経営参画意識の向上と業績向上へのインセンティブを付与することにより、当行の中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として、2023年度に「従業員持株会信託型ESOP」を導入しております。

⑫ 賃上げへの取組み

当行における最も重要な経営資本は「人」であるとの認識のもと、昨今の物価上昇により多大な影響を受けている従業員の生活を守るとともに、従業員が働きがいを持ち、安心して活躍できる環境を整えること、および優秀な人材確保を目的として、2024年7月1日付で定例給与対比約4%のベースアップ(初任給の引き上げを含む)を行う旨を労働組合に対し回答しております。なお、ベースアップと初任給の引き上げは2023年4月に引き続き2年連続となります。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当行(グループ)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク(経営に重大な影響を及ぼす主要なリスク)は、以下のとおりであります。当行は、リスクの管理にあたってコンプライアンスを根幹とし、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める所存であります。

なお、主なリスク管理体制等を「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に、金融商品に係るリスク管理体制、リスク量等を「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(金融商品関係)に記載しております。

以下の項目には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

当行は、経営に重大な影響を及ぼす主要なリスクについて、影響度と発生頻度・可能性に基づき重要度を判定し、ALM委員会において協議のうえ、経営上特に注意すべきリスク事象をトップリスクとして選定しております。トップリスクについては、定期的なストレステスト等を通じて当行に与える影響を認識し、リスクが顕在化した場合の耐性検証や機動的な対応が可能となるよう態勢整備に努めております。

当行が、特に注意すべきリスク事象として認識しているトップリスクは次のとおりであります。

・ 金融政策変更による急激な金利上昇

・ 地政学リスクの高まりによる供給網分断・金融市場不安定化

・ 大規模自然災害の発生

・ サイバー攻撃による情報セキュリティインシデント発生

・ コンダクトリスク事象の発生

(1)特に重要なリスク

経営に重大な影響を及ぼす主要なリスクのうち、信用リスク、市場リスク、流動性リスクおよびオペレーショナル・リスクを特に重要なリスクと認識しております。これらのリスクは統合リスク管理の手法を用い、各リスクをVaR(バリュー・アット・リスク)等の統一的な尺度で図り、各リスクを統合して経営体力(自己資本)と対比することや、ストレステストの手法を用いて当行が受ける影響を把握することで管理しております。また、モニタリング結果を信用リスク委員会、ALM委員会およびオペレーショナル・リスク委員会に報告し、リスク管理態勢の整備・確立を図っております。

① 信用リスク

a.不良債権の状況

当行の2024年3月31日現在における金融再生法に基づく連結不良債権比率は2.45%、単体不良債権比率は2.42%となっております。景気動向、不動産価格および株価の変動、融資先の経営状況の悪化等によっては予想以上に不良債権が増加し、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

b.貸倒引当金の状況

当行は、融資先の経営状況、担保価値、過去の貸倒実績率等に基づき貸倒引当金を計上しておりますが、著しい経済情勢の悪化、融資先の経営状況の悪化、担保価値の下落、その他予期せざる理由等によって貸倒引当金の積み増しが必要になり、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

c.地域経済動向に影響を受けるリスク

当行は、地域金融機関として主たる営業基盤を岩手県を中心とした周辺地域に置いております。このため信用リスクの増減等はこれらの地域における経済の影響を受けやすく、地域経済情勢が悪化した場合は、取引先の経営状況の悪化を通じて、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 市場リスク

a.金利リスク

当行の資産および負債は主要業務である貸出金、有価証券および預金であり、主たる収益源は資金運用と資金調達の利鞘収入であります。これらの資産と負債の金利または期間のミスマッチが存在している中で、金利が変動することによって利益の低下ないし損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

b.価格変動リスク

当行は、市場性のある国債等の債券や市場価格のある株式等の有価証券を保有しております。これらの債券や株式等の価格変動に伴い資産価値が減少することによって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

c.為替リスク

当行は、外貨建ての資産・負債を保有しております。外貨建ての資産・負債についてネットベースで資産超または負債超のポジションが造成されていた場合に、為替の価格が当初予定されていた価格と相違することによって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 流動性リスク

a.資金繰りリスク

当行は、信用力の向上、緊急時の体制整備等の適切な資金繰り管理を行っておりますが、予期せぬ資金の流出等により資金繰りがつかなくなる場合や、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることによって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

b.市場流動性リスク

当行は、市場で取引される債券等の資産を保有しておりますが、市場の混乱等により市場において取引が出来なかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることによって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ オペレーショナル・リスク

a.事務リスク

当行は、正確な事務処理は銀行業の基本であることを認識のうえ、事務リスクの顕在化による経済的損失および信用失墜等を回避するため、厳正な事務リスク管理態勢の確立、維持発展に取り組んでおりますが、役職員が正確な事務を怠る、または事故・不正等を起こすことによって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

b.システムリスク

当行は、コンピュータシステムの機密性、完全性、可用性を確保するとともに、障害発生時の影響を最小限に抑え、早期の回復を図るための安全対策を講じる等、システムリスク管理態勢の確立、維持発展に取り組んでおりますが、コンピュータシステムのダウン、誤作動、システムの不備、コンピュータの不正使用等によって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

c.法務リスク

当行は、法令遵守を業務遂行上遵守すべき基本事項であることを認識し、厳格な法務リスク管理態勢の確立、維持発展に取り組んでおりますが、法令遵守違反や契約不履行の行為等によって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

d.人的リスク

当行は、役職員の雇用形態等に応じた適切な人事管理および人事運営を行い、適切な人的リスク管理態勢の確立、維持発展に取り組んでおりますが、人事運営上の不公平・不公正・差別的行為等によって当行が損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

e.有形資産リスク

当行は、所有または賃借する動産・不動産の管理を適切に行い、災害や不法行為等による被害を最小限に抑える等、有形資産リスク管理態勢の確立、維持発展に取り組んでおりますが、想定を超える災害、不法行為等の影響を受け有形固定資産の毀損等によって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

f.風評リスク

当行は、風評による預金の流出や株価の下落等被害を未然に防止するため、透明性の高い情報開示を積極的に行う等、風評リスク管理態勢の確立、維持発展に取り組んでおりますが、事実と異なる風説、風評の影響を受け評判が悪化すること等によって当行の信用が低下し損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)その他のリスク

① 情報漏洩に係るリスク

当行は、お客さまの情報の取扱いについて「個人情報保護宣言」により基本方針を策定し、顧客情報の適切な利用と厳正な管理の徹底により漏洩等の発生を未然に防ぐよう努めておりますが、顧客情報等の漏洩や不正利用等が発生した場合には、当行の財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② サイバー攻撃に係るリスク

当行は、デジタル技術を活用した顧客サービスの向上や業務の効率化に取り組んでいくうえでサイバー攻撃に対応するため、岩手銀行CSIRTを常設のうえ原則隔月で定例会を開催し、情報セキュリティインシデント管理態勢強化に努めておりますが、サイバー攻撃により、情報漏洩やシステムダウン等が発生した場合には、損害賠償や行政処分等により、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 退職給付債務に係るリスク

当行は、企業年金基金制度および退職一時金制度を設けておりますが、運用利回り低下に伴い年金資産の時価が下落した場合や、退職給付債務を計算する前提となる数理上の前提条件に変更があった場合には、数理計算上の差異が発生し、これに伴って将来の退職給付費用が増加する可能性があり、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 気候変動に係るリスク

当行は、炭素税等の対価が発生すること等により企業の財務面に影響を与える移行リスクと、地球温暖化に伴い洪水等が発生し企業の事業停止による財務面への影響や当行保有店舗が被害を受ける物理的リスクがあると認識しております。サステナビリティ推進委員会等において気候関連リスクを統合的に管理するよう努めておりますが、想定を超える気候変動による移行リスクおよび物理的リスクに起因した与信コストの増加等により、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、移行リスクおよび物理的リスクの詳細やリスク量を「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」の(5)環境問題・社会問題関連 ②リスク管理に記載しております。

⑤ 自然災害、感染症等のリスク

地震、洪水、津波等の自然災害や感染症の流行により、当行の正常な業務運営に支障が生じる可能性があります。こうした事態に備え、当行では「業務継続計画」、感染症発生時の対応計画等を策定し、緊急時の体制整備に努めておりますが、想定を超える状況となった場合は業務の全部または一部が停止し、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 自己資本比率に係るリスク

当行の連結自己資本比率および単体自己資本比率は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき算出しております。当行は同告示の国内基準が適用され、連結自己資本比率および単体自己資本比率を4%以上に維持する必要がありますが、2024年3月31日現在の連結自己資本比率は11.29%、単体自己資本比率は10.95%となっております。当行では健全性の維持に努めておりますが、仮に自己資本比率が要求される水準の4%を下回った場合には、早期是正措置により、業務の全部または一部停止等を含む様々な命令を金融庁長官から受けることとなり、その結果、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

具体的には、次のような要因により影響を受ける可能性があります。

・ 融資先の経営状態の悪化等に伴う不良債権処理費用の増加
  ・ 有価証券ポートフォリオの価値の低下
  ・ 自己資本比率の基準および算出方法の変更等
  ・ 繰延税金資産の回収可能性
  ・ 退職給付債務
  ・ その他の不利益な展開

 

⑦ 格付に係るリスク

当行は、外部格付機関から格付を取得しております。当行では中期経営計画等の諸施策の実行により、収益性および健全性の向上に鋭意取り組んでおりますが、その進捗の状況によっては格付機関の判断により格付が引き下げとなり、資金調達コストの上昇や資金調達が困難になることで財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 繰延税金資産に係るリスク

当行は、合理的かつ保守的な条件の下で繰延税金資産を計上しておりますが、この計算は将来の課税所得などの様々な予測・仮定に基づいているため、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。仮に繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断された場合には、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 経営戦略に係るリスク

当行は、2023年度から向こう10年の長期ビジョン「お客さまの課題解決と地域社会の持続的成長を牽引する価値共創カンパニー」を掲げ、その第1フェーズとして「第21次中期経営計画~地域価値共創プラン~」を策定し、3つの基本方針「ソーシャルソリューションビジネスの高度化」「地域を支える盤石な経営基盤の確立」「多様な人材が働きがいを持ち続ける組織づくり」のもと業績向上に取り組んでおりますが、外部環境の大幅な変化等により、想定どおり進捗しない場合には、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、長期ビジョンおよび中期経営計画の詳細を「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(3)対処すべき課題に記載しております。

⑩ 規制・制度変更に係るリスク

当行は、各種の規制・制度下において業務を遂行しており、今後、法令や実務慣行、解釈等の変更があった場合には、当行の業務運営や財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なかでも、バーゼル銀行監督委員会および金融監督当局等による自己資本規制の強化や、国際的な会計基準とのコンバージェンスおよびIFRS(国際財務報告基準)の強制適用等の時期と内容次第では、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑪ 固定資産の減損等に係るリスク

当行は「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しておりますが、当行が保有する固定資産について、経済情勢の変動や使用方法の変更に伴う収益性の低下、市場価格の著しい下落等があった場合には、減損処理に伴う損失が発生し、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑫ 競争激化に係るリスク

当行は、主要な営業基盤である岩手県において他の金融機関と競争関係にあるほか、異業種からの参入やネット銀行とも競争関係にあり、様々な施策により競争優位となるよう取り組んでおりますが、施策が奏功しないこと等により当行が競争優位を得られない場合には、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑬ マネー・ローンダリング等に係るリスク

当行は、マネー・ローンダリング等の対策にあたり、当行の業務分野、営業地域、マネー・ローンダリング等に関する動向等を踏まえたリスクを勘案したうえで方針・手続・計画を作成し、リスクベース・アプローチに基づきリスク低減策を実施・運用しておりますが、何らかの原因より関係法令に抵触した場合には、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  この「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」は、当行グループ(当行及び連結子会社)の経営成績等(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況)に重要な影響を与えた事象や要因を経営者の視点から分析・検討したものです。

  なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態

① 預金等(譲渡性預金を含む)及び預り資産

預金等(譲渡性預金を含む)は、公金預金が減少したものの、法人及び個人預金が増加したことから、当年度中440億円増加し、当年度末残高は3兆4,769億円となりました。

個人預金については、2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に引き下げられ、消費活動の自粛が解消された一方で、物価上昇により実質賃金のマイナスが続いたことなどにより経済全体で個人消費が弱い足取りとなったことが増加要因と考えております。

当面は、現状の水準を維持できるよう当行店舗ネットワークの優位性を活用するほか、デジタルチャネルの利便性向上等に努めてまいります。

預り資産は、公共債や仲介が減少しましたが、投資信託や保険が増加したことから、当年度中205億円増加し、当年度末残高は4,016億円となりました。保険は、海外金利の上昇を主因に外貨建保険の販売が堅調に推移したことで、概ね計画通りの結果となりました。投資信託は、販売額の大半を非対面の「インターネット投資信託サービス」(以下、「ネット投信」といいます。)が占めております。ネット投信に関しては、当日注文時間の延長や、新NISAキャンペーンを実施するなど、サービスを強化しており、その効果が表れた結果と言えます。

地域のお客さまの資産形成や資産寿命の長寿化に寄与していくことは、長期ビジョン「価値共創カンパニー」の実現につながるという考えのもと、引き続き、お客さまの多様なニーズに対応した商品・サービスを提供してまいります。また、職域・教育現場でのセミナー開催や、グループ会社との連携強化による相続・終活支援に取り組むことでより一層残高の積み上げを図ってまいります。

(単位:億円)

 

2022年度

2023年度

増減額

預金等残高(連結)

34,328

34,769

440

預金等残高(単体)

34,415

34,852

437

 

個人預金

22,321

22,545

224

 

法人預金

6,887

7,280

392

 

公金預金

4,986

4,784

△201

 

金融機関預金

219

242

22

 

 

預り資産残高

3,811

4,016

205

 

投資信託

858

905

46

 

公共債

332

284

△47

 

保険

2,192

2,447

254

 

仲介

427

379

△48

 

 

② 貸出金

貸出金は、中小企業向け貸出や住宅ローンを中心に個人向け貸出が増加したことから、当年度中803億円増加し、当年度末残高は2兆911億円となりました。当年度は、ストラクチャード・ファイナンスを強化するため、企画・推進・管理・人材育成まで一気通貫で担う専担部署を新設しました。その結果、残高の積み上げは堅調に推移いたしました。また、脱炭素経営やサステナブル経営に取り組むお客さまの支援に注力するため、「いわぎん脱炭素応援ローン」や「いわぎんサステナビリティ・リンク・ローン」などの取扱いを開始いたしました。

中期経営計画の目標である「連結当期純利益70億円」「連結ROE4%以上」を達成するためには、より一層貸出金の強化に注力していく必要があります。特に、地域の中小企業貸出も増強させていくため、事業性理解を丁寧に行うことで資金ニーズを汲み取っていくほか、脱炭素経営・サステナブル経営の支援に一段と注力した活動を展開し、収益性とボリュームのバランスのとれた取り組みを行ってまいります。

 

(単位:億円)

 

2022年度

2023年度

増減額

貸出金残高(連結)

20,108

20,911

803

貸出金残高(単体)

20,182

20,993

811

 

法人向け

11,447

12,135

688

 

(中小企業向け)

6,946

7,186

240

 

個人向け

5,210

5,356

146

 

地方公共団体向け

3,524

3,501

△22

 

 

③ 有価証券

有価証券については、これまで国際分散投資の拡大による有価証券ポートフォリオの構築を目指してきましたが、今次中期経営計画では、円債への回帰とエクイティ資産の積み増しを軸にポートフォリオの再構築をしていく方針であります。当年度は、マイナス金利政策やイールド・カーブ・コントロールの解除を受けて、一部長期債投資を行いました結果、国債や社債が増加したことなどから、当年度中663億円増加し、当年度末残高は1兆1,395億円となりました。

2024年度以降については、中期経営計画の計数目標達成に向け、長期金利上昇の機を捉えて長期国債の積み増しを図るとともに、アロケーションの最適化に取り組んでまいります。

(単位:億円)

 

2022年度

2023年度

増減額

有価証券残高

10,731

11,395

663

 

債券

7,841

8,124

283

 

株式

354

508

154

 

その他の証券

2,535

2,761

226

 

 

④ 自己資本比率

自己資本の充実度合については、各リスクカテゴリーに配賦したリスク資本の範囲内にリスク量が収まっていることを月次でモニタリングしており、その結果から十分な水準を維持していると評価しております。今次中期経営計画では、適正な自己資本水準を確保しつつ、リスク・アセットの積み上げと成長分野への戦略的投資に資本を活用していく方針としております。当年度は、リスク・アセットが増加したことなどから、連結自己資本比率は前年度末比0.35ポイント低下11.29%、単体自己資本比率は同0.38ポイント低下10.95%となりました。

「成長投資」「適正な自己資本の水準の確保」「株主還元の充実」の3つをバランスよく運用し企業価値向上を目指してまいります。

 

(連結)                                     (単位:億円、%)

 

2022年度

2023年度

増減額

自己資本(a)

1,757

1,774

17

リスク・アセット(b)

15,091

15,718

626

自己資本比率(a/b)

11.64

11.29

△0.35

 

 

  (単体)

自己資本(a)

1,700

1,711

11

リスク・アセット(b)

15,002

15,629

627

自己資本比率(a/b)

11.33

10.95

△0.38

 

 

(2)経営成績

① 概要

経常収益は、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益が増加したものの、国債等債券売却益や株式等売却益が減少したことから、前年度比37億5百万円減収438億86百万円となりました。

経常費用は、国債等債券売却損及び償還損が減少したことなどにより、前年度比42億3百万円減少369億30百万円となりました。

この結果、経常利益は前年度比4億98百万円増益69億55百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失や法人税等が増加したことなどから、前年度比11億56百万円減益42億25百万円となりました。

2024年度の業績見通しにつきましては、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益の増加を織り込み、経常利益は79億円、親会社株主に帰属する当期純利益は55億円を予想しております。

 

また、セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

○銀行業

経常収益は、貸出金利息などの資金運用収益が増加した一方で、国債等債券売却益や株式等売却益が減少したことから、前年度比33億90百万円減収386億68百万円となりました。国債等債券売却損や償還損などのその他業務費用が減少したことなどから、セグメント利益は同5億56百万円増益66億25百万円となりました。

○リース業

リース業については、リース業務を行う連結子会社「いわぎんリース株式会社」で構成しています。

経常収益は、前年度にあった電算機処理受託業務の事業譲渡(2023年1月1日付)による売上高の減少などから前年度比6億67百万円減収44億45百万円となりました。また、貸倒引当金戻入益の減少などにより、セグメント利益は同1億37百万円減益の1億98百万円となりました。

 ○クレジットカード業・信用保証業

クレジットカード業・信用保証業については、クレジットカード業務及び信用保証業務を行う「株式会社いわぎんディーシーカード」及び「株式会社いわぎんクレジットサービス」の連結子会社2社で構成しています。

経常収益は、受入保証料が減少したことなどにより、前年度比75百万円減収の12億35百万円となりました。この結果、セグメント利益は同74百万円減益の3億40百万円となりました。

○その他の業務

 その他の業務については、コンサルティング業務を行う「いわぎんリサーチ&コンサルティング株式会社」、地域商社業務を行う「manordaいわて株式会社」、投資業務を行う「いわぎん未来投資株式会社」の連結子会社3社で構成しております。なお、「いわぎん未来投資株式会社」は、2023年7月に設立し、当年度より連結の範囲に含めております。

経常収益は、М&A業務や事業承継業務収入が減少したことから、前年度比30百万円減収の5億91百万円となりました。また、セグメント利益は同49百万円減益の1億2百万円となりました。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

a.与信関係費用

貸倒引当金の計上や、不良債権の処理等により発生する与信関係費用は、一般貸倒引当金繰入額や偶発損失引当金繰入額が減少しましたが、個別貸倒引当金繰入額が大きく増加したことなどから、前年度比5億81百万円増加15億29百万円となりました。

(単位:百万円)

 

2022年度

2023年度

増減額

与信関係費用

947

1,529

581

 

一般貸倒引当金繰入額

118

△530

△648

 

不良債権処理額

828

2,059

1,230

 

 

貸出金償却

7

158

150

 

 

個別貸倒引当金繰入額

623

1,791

1,168

 

 

偶発損失引当金繰入額

177

90

△86

 

 

債権売却損

21

19

△1

 

貸倒引当金戻入益(△)

 

償却債権取立益(△)

0

0

△0

 

 

 

b.有価証券関係損益

有価証券の売却や償還、または時価の著しい下落等から生じる有価証券関係損益は、株式等売却益が減少した一方で、国債等債券売却損や償還損が減少したことなどから、前年度比1億56百万円増加△3億17百万円となりました。

(単位:百万円)

 

2022年度

2023年度

増減額

有価証券関係損益

△473

△317

156

 

国債等債券損益

△5,447

△1,210

4,237

 

 

売却益

1,181

△1,181

 

 

償還益

 

 

売却損(△)

1,661

935

△725

 

 

償還損(△)

4,967

274

△4,693

 

 

償却(△)

 

株式等損益

4,973

893

△4,080

 

 

売却益

5,191

1,022

△4,168

 

 

売却損(△)

184

123

△61

 

 

償却(△)

32

6

△25

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

① 概要

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度は1,117億円のマイナスでしたが、当年度は339億44百万円のマイナスとなりました。これは、前年度、当年度ともに貸出金が増加したことなどによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度は588億85百万円のプラスでしたが、当年度は470億21百万円のマイナスとなりました。これは、有価証券運用において、前年度は売却・償還による収入が取得による支出を上回った一方で、当年度は売却・償還による収入が取得による支出を下回ったことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度は16億76百万円のマイナスでしたが、当年度は22億76百万円のマイナスとなりました。これは、配当金の支払などによるものです。

以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は当年度中832億41百万円減少し、5,628億58百万円となりました。

② 資本の財源及び資金の流動性

当行では、適切な水準の流動性を維持することが事業活動において極めて重要であると認識しており、お客さまからお預かりした預金を主な源泉とし、地域の中小企業等向け融資を中心とした貸出金及び有価証券への運用を行うなかで、円滑な決済等に必要な水準の流動性を確保しています。

また、当面の設備投資及び株主還元等は自己資金で対応する予定です。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

(5)生産、受注及び販売の実績

「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載していません。

 

(参考)

(1) 国内・国際業務部門別収支

資金運用収支は、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益が増加したことから、前連結会計年度比17億5百万円増276億47百万円となりました。内訳を見ますと、国内業務部門が前連結会計年度比9億31百万円増256億10百万円、国際業務部門が前連結会計年度比7億73百万円増20億36百万円となりました。

役務取引等収支は、融資関連手数料が増加したことなどにより、前連結会計年度比2億42百万円増60億85百万円となりました。

その他業務収支は、国債等債券償還損の減少などにより、前連結会計年度比35億91百万円増△21億16百万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

24,679

1,263

25,942

当連結会計年度

25,610

2,036

27,647

うち資金運用収益

前連結会計年度

25,244

1,351

26,596

当連結会計年度

26,162

2,087

28,250

うち資金調達費用

前連結会計年度

564

88

653

当連結会計年度

551

50

602

役務取引等収支

前連結会計年度

5,832

11

5,843

当連結会計年度

6,071

13

6,085

うち役務取引等収益

前連結会計年度

9,318

34

9,353

当連結会計年度

9,639

35

9,675

うち役務取引等費用

前連結会計年度

3,486

23

3,509

当連結会計年度

3,567

21

3,589

その他業務収支

前連結会計年度

△3,388

△2,319

△5,707

当連結会計年度

△466

△1,649

△2,116

うちその他業務収益

前連結会計年度

5,889

5,889

当連結会計年度

4,297

4,297

うちその他業務費用

前連結会計年度

9,278

2,319

11,597

当連結会計年度

4,764

1,649

6,414

 

(注) 1 国内業務部門とは当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門とは当行及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、当行の円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度1百万円)を控除して表示しております。

3 資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。

 

 

(2) 国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況

① 国内業務部門

資金運用勘定の平均残高は、預け金は減少したものの、貸出金が増加したことにより前連結会計年度比126億円増3兆5,769億円となりました。また、利回りは、有価証券及び貸出金の利回り上昇を主因として、前連結会計年度比0.03ポイント上昇0.73%となりました。この結果、資金運用利息は、前連結会計年度比9億18百万円増261億62百万円となりました。

資金調達勘定の平均残高は、預金の増加等により前連結会計年度比592億円増3兆6,390億円となりました。資金調達利息は、前連結会計年度比13百万円減5億51百万円となりました。また、利回りは、前年度並みの0.01%となりました。

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

(121,273)

3,564,350

()

25,244

0.70

当連結会計年度

(122,438)

3,576,983

()

26,162

0.73

うち貸出金

前連結会計年度

1,963,851

17,245

0.87

当連結会計年度

2,043,182

18,099

0.88

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

1,054,227

7,631

0.72

当連結会計年度

1,040,469

7,805

0.75

うちコールローン及び
買入手形

前連結会計年度

141,246

39

0.02

当連結会計年度

148,330

21

0.01

うち預け金

前連結会計年度

273,337

309

0.11

当連結会計年度

215,414

218

0.10

資金調達勘定

前連結会計年度

3,579,778

564

0.01

当連結会計年度

3,639,020

551

0.01

うち預金

前連結会計年度

3,214,160

118

0.00

当連結会計年度

3,252,293

91

0.00

うち譲渡性預金

前連結会計年度

178,281

3

0.00

当連結会計年度

175,138

3

0.00

うちコールマネー及び
売渡手形

前連結会計年度

14,724

△9

△0.06

当連結会計年度

21,499

△12

△0.05

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

13,051

1

0.00

当連結会計年度

39,823

3

0.01

うち借用金

前連結会計年度

168,551

0

0.00

当連結会計年度

158,268

0

0.00

 

(注) 1 国内業務部門とは当行及び連結子会社の円建取引であります。ただし、当行の円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度103,194百万円、当連結会計年度155,241百万円)を、資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度9,213百万円、当連結会計年度8,214百万円)及び利息(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度1百万円)を控除して表示しております。

3 ( )内は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。

 

 

② 国際業務部門

資金運用勘定の平均残高は、有価証券の減少などにより前連結会計年度比29億円減1,256億円となりました。資金運用利息は、前連結会計年度比7億36百万円増20億87百万円となりました。また、利回りは、前連結会計年度比0.61ポイント上昇1.66%となりました。

資金調達勘定の平均残高は、前連結会計年度比29億円減1,255億円となりました。資金調達利息は、前連結会計年度比38百万円減50百万円となりました。また、利回りは、前連結会計年度比0.02ポイント低下0.04%となりました。

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

128,563

1,351

1.05

当連結会計年度

125,647

2,087

1.66

うち貸出金

前連結会計年度

5,572

95

1.72

当連結会計年度

4,452

78

1.76

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

119,359

1,250

1.04

当連結会計年度

117,368

1,991

1.69

うちコールローン及び
買入手形

前連結会計年度

34

0

2.40

当連結会計年度

41

2

5.67

うち預け金

前連結会計年度

当連結会計年度

資金調達勘定

前連結会計年度

(121,273)

128,455

()

88

0.06

当連結会計年度

(122,438)

125,506

()

50

0.04

うち預金

前連結会計年度

2,986

3

0.10

当連結会計年度

2,163

2

0.13

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー及び
売渡手形

前連結会計年度

1,512

36

2.38

当連結会計年度

831

47

5.72

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

2,626

49

1.88

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

当連結会計年度

 

(注) 1 国際業務部門とは当行の外貨建取引であります。なお、当行の円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度6百万円、当連結会計年度4百万円)を控除して表示しております。

3 ( )内は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。

4 国際業務部門の国内店外貨建取引の平均残高は、月次カレント方式(前月末TT仲値を当該月の外貨建取引に適用する方式)により算出しております。

 

 

③ 合計

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

3,571,640

26,596

0.74

当連結会計年度

3,580,192

28,250

0.78

うち貸出金

前連結会計年度

1,969,423

17,341

0.88

当連結会計年度

2,047,634

18,178

0.88

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

1,173,587

8,881

0.75

当連結会計年度

1,157,838

9,797

0.84

うちコールローン
及び買入手形

前連結会計年度

141,280

40

0.02

当連結会計年度

148,372

23

0.01

うち預け金

前連結会計年度

273,337

309

0.11

当連結会計年度

215,414

218

0.10

資金調達勘定

前連結会計年度

3,586,960

653

0.01

当連結会計年度

3,642,088

602

0.01

うち預金

前連結会計年度

3,217,146

121

0.00

当連結会計年度

3,254,457

94

0.00

うち譲渡性預金

前連結会計年度

178,281

3

0.00

当連結会計年度

175,138

3

0.00

うちコールマネー
及び売渡手形

前連結会計年度

16,236

26

0.16

当連結会計年度

22,330

35

0.15

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

15,678

50

0.32

当連結会計年度

39,823

3

0.01

うち借用金

前連結会計年度

168,551

0

0.00

当連結会計年度

158,268

0

0.00

 

(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度103,201百万円、当連結会計年度155,246百万円)を、資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度9,213百万円、当連結会計年度8,214百万円)及び利息(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度1百万円)を控除して表示しております。

2 国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息は、相殺して記載しております。

 

 

(3) 国内・国際業務部門別役務取引の状況

役務取引等収益は、融資関連手数料の増加などにより、前連結会計年度比3億22百万円増96億75百万円、役務取引等費用は、住宅ローン関連手数料の増加などにより、同80百万円増35億89百万円となりました。

内訳を見ますと、役務取引等収益は国内業務部門が前連結会計年度比3億21百万円増96億39百万円、国際業務部門が同1百万円増35百万円となりました。役務取引等費用は国内業務部門が前連結会計年度比81百万円増35億67百万円、国際業務部門が前連結会計年度比2百万円減21百万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

9,318

34

9,353

当連結会計年度

9,639

35

9,675

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

1,720

1,720

当連結会計年度

2,047

2,047

うち為替業務

前連結会計年度

1,962

34

1,996

当連結会計年度

2,046

35

2,081

うち代理業務

前連結会計年度

1,895

1,895

当連結会計年度

1,884

1,884

うち証券関係業務

前連結会計年度

364

364

当連結会計年度

367

367

うち保護預り・貸金庫業務

前連結会計年度

16

16

当連結会計年度

25

25

うち保証業務

前連結会計年度

358

0

358

当連結会計年度

344

0

344

うちクレジット
カード業務

前連結会計年度

811

811

当連結会計年度

796

796

役務取引等費用

前連結会計年度

3,486

23

3,509

当連結会計年度

3,567

21

3,589

うち為替業務

前連結会計年度

149

10

159

当連結会計年度

150

8

158

 

(注) 国際業務部門には、当行の外国為替業務等に関する収益、費用を計上しております。

 

 

(4) 国内・国際業務部門別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)
 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

3,181,936

2,600

3,184,537

当連結会計年度

3,235,110

1,693

3,236,803

うち流動性預金

前連結会計年度

2,224,665

2,224,665

当連結会計年度

2,317,377

2,317,377

うち定期性預金

前連結会計年度

939,430

939,430

当連結会計年度

897,435

897,435

うちその他

前連結会計年度

17,840

2,600

20,441

当連結会計年度

20,296

1,693

21,989

譲渡性預金

前連結会計年度

248,326

248,326

当連結会計年度

240,126

240,126

総合計

前連結会計年度

3,430,262

2,600

3,432,863

当連結会計年度

3,475,236

1,693

3,476,929

 

(注) 1 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

2 定期性預金=定期預金+定期積金

3 国内業務部門とは当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門とは当行の外貨建取引であります。ただし、当行の円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

 

(5) 国内・特別国際金融取引勘定別貸出金残高の状況

① 業種別貸出状況(末残・構成比)
 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内
(除く特別国際金融取引勘定分)

2,010,807

100.00

2,091,126

100.00

製造業

179,539

8.93

189,897

9.08

農業,林業

8,155

0.41

8,381

0.40

漁業

639

0.03

744

0.04

鉱業,採石業,砂利採取業

2,963

0.15

2,965

0.14

建設業

65,112

3.24

61,831

2.96

電気・ガス・熱供給・水道業

115,516

5.74

122,686

5.87

情報通信業

13,137

0.65

10,895

0.52

運輸業,郵便業

43,670

2.17

40,987

1.96

卸売業,小売業

136,412

6.78

133,687

6.39

金融業,保険業

212,425

10.56

264,142

12.63

不動産業,物品賃貸業

213,630

10.62

227,839

10.90

各種サービス業

140,950

7.01

136,436

6.52

地方公共団体

352,434

17.53

350,154

16.74

その他

526,216

26.17

540,475

25.85

特別国際金融取引勘定分

政府等

 

 

金融機関

 

 

その他

 

 

合計

2,010,807

2,091,126

 

 

 

② 外国政府等向け債権残高(国別)

該当ありません。

 

(6) 国内・国際業務部門別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

170,455

170,455

当連結会計年度

187,348

187,348

地方債

前連結会計年度

290,195

290,195

当連結会計年度

279,111

279,111

社債

前連結会計年度

323,538

323,538

当連結会計年度

346,038

346,038

株式

前連結会計年度

35,419

35,419

当連結会計年度

50,838

50,838

その他の証券

前連結会計年度

143,882

109,700

253,582

当連結会計年度

160,373

115,825

276,198

合計

前連結会計年度

963,491

109,700

1,073,191

当連結会計年度

1,023,709

115,825

1,139,534

 

(注) 1 国内業務部門とは当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門とは当行の外貨建取引であります。

2 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

(自己資本比率の状況)

(参考)

自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

(単位:億円、%)

 

2024年3月31日

1.連結自己資本比率(2/3)

11.29

2.連結における自己資本の額

1,774

3.リスク・アセットの額

15,718

4.連結総所要自己資本額

628

 

 

単体自己資本比率(国内基準)

(単位:億円、%)

 

2024年3月31日

1.自己資本比率(2/3)

10.95

2.単体における自己資本の額

1,711

3.リスク・アセットの額

15,629

4.単体総所要自己資本額

625

 

 

(資産の査定)

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2 危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3 要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4 正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

 

債権の区分

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

61

79

危険債権

338

348

要管理債権

57

87

正常債権

19,974

20,716

 

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当ありません。

 

6 【研究開発活動】

該当ありません。