第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当行は、1932年5月の創業以来、基本姿勢である「地域社会の発展に貢献する」ならびに「健全経営に徹する」の2つを経営理念として堅持し続けております。

(2)経営環境

国内外で政治経済の不確実性が高まる中、当行が主たる営業基盤とする岩手県においては、少子高齢化や都市部への人口流出による人口減少、働き手不足、事業の後継者不在など、経済・社会構造の変化に伴う課題が急速に顕在化しており、地域に根差す総合金融グループとしての役割を担う当行グループへの期待は、これまで以上に大きくなっています。地域社会の持続可能性を高めるためには、主力産業である一次産業の基盤を維持しながら、製造業・サービス業の人材を確保し、さらに新たな成長領域への投資を行うなど、地域一体で産業振興に向けた対策を講じていく必要があると認識しております。

(3)中期経営計画

① 長期ビジョン

2023年4月、当行グループは向こう10年の長期ビジョン「お客さまの課題解決と地域社会の持続的成長を牽引する価値共創カンパニー」を掲げました。この長期ビジョンは、「地域が賑わい、安心して暮らすことができる」「多くの魅力ある企業があり、身近で便利な金融インフラが揃っている」といった地域のみなさまやお客さまが理想とする地域社会を実現していくため、10年先の当行グループとしてのありたい姿を表現したものです。



 

② 中期経営計画の進捗状況

当行グループは長期ビジョンの実現を目指し、2023年4月より「第21次中期経営計画~地域価値共創プラン~」(以下、「今次中計」といいます。)に取り組んでおります。今次中計は、高い水準にある自己資本の有効活用と事業ポートフォリオの変革を通じて、利益成長軌道をつくりだす期間と位置付け、金融サービス領域と新たな事業領域への挑戦を推し進めています。 今次中計に定める基本方針と主な施策は次のとおりです。

[基本方針Ⅰ:ソーシャルソリューションビジネスの高度化]

<グループ総合力と外部連携による包括的なソリューション提供>

法人のお客さまに対しては、投融資・リース等を通じて地域の事業者のみなさまに円滑な資金供給を行うほか、多様化・複雑化する経営課題の解決に向け、グループ会社機能の活用や外部の専門家との連携による包括的なソリューション提供に努めております。コンサルティング分野では、事業承継・M&Aや事業再構築の支援、人手不足への対応として副業人材の紹介などに取り組むほか、デジタルトランスフォーメーション(DX)による生産性向上を支援するためデジタル事業者と連携し、ICTコンサルティングを展開しております。また、お取引先の本業支援策として、商品のブランディングやビジネスマッチングによる販路拡大にも取り組んでおります。

個人のお客さまに対しては、様々なライフイベントや長寿社会に対応するため、各種ローンや資産形成にかかる商品メニューの充実を図るとともに、民事信託、遺言信託、遺言代用信託などの資産継承ニーズに幅広くお応えできる体制を整備しております。また、NISA制度の拡充などにより資産運用に対する意識が高まるなか、職域や教育現場においてセミナーを開催するなど、幅広い世代を対象とした金融リテラシーの向上に取り組んでおります。

データ利活用による金融サービスの革新

お客さまの利便性向上のため、「いわぎんアプリ」の機能拡充など、非対面サービスの強化に取り組んでおります。また、2025年3月には、実店舗を持たないデジタル専用店舗「ソラ支店」を新設し、口座開設時に印鑑の届出が不要となる「印鑑レス」の普通預金口座の取扱いを始めました。

また、グループが保有するデータを活用し、いわぎんアプリやATMなど当行のチャネルを通じたお取引先の広告・マーケティング支援にも取り組んでおります。

環境ビジネスの推進強化

持続可能な地域社会の実現とESG経営の推進を図るため、頭取を委員長とするサステナビリティ推進委員会において取組の方向性を協議し、各種活動を展開しております。

脱炭素経営に取り組む事業者への資金供給やコンサルティングサービスの提供に加え、県内自治体との連携を広げ、森林資源・海洋資源を活用したJ-クレジットやJブルークレジットの販売仲介業務の推進や、久慈地域における再生エネルギー循環プロジェクトや宮古市などでの太陽光発電設備導入事業への参画など、地域の脱炭素化支援を強化しています。

フロンティア事業領域への拡大

新事業開発の専担部署であるフロンティア事業室を主体とした新たな事業分野への業務展開として、NTT東日本グループ及び自治体と連携して、県内2か所でデジタル技術を活用した道路インフラのマネジメントにかかる実証事業を行ったほか、地域の最重要課題である事業承継問題への対応策としてファンドの組成に向けた準備を進めております。

また、投資専門子会社「いわぎん未来投資」では、当行グループのビジネスパートナーになり得るスタートアップ企業等への投資事業を展開し、2023年10月のファンド組成以降の投資先数は5先(累計)となりました。

[基本方針Ⅱ:地域を支える盤石な経営基盤の確立]

アセットアロケーションの変革

最適なポートフォリオを構築・維持することを目的として、各種資産のリスク・リターン特性を踏まえた資産配分を行っております。貸出部門では、地元中小企業向け貸出への積極的な取組に加えて、秋田・岩手アライアンスによる連携ファイナンスや仕組ローンなどの取り込みを図りながら収益機会の多角化を進めているほか、有価証券部門では、マーケット動向を踏まえつつ、円債を中心とした残高の積み上げによりポートフォリオの再構築を進めております。

生産性の高い業務運営体制への変革

当行では2024年2月より、地域の金融インフラ機能を維持しながら、各地域の統括店に人員と業務を集約し、広範囲に質の高いサービスを提供する「地域統括型店舗運営体制」への移行を進めており、お客さまのご理解ご協力のもと、14地区、26カ店 で移行を完了しました。

事務の効率化・削減を目指す取組としては、テレビ相談窓口による相続業務等の遠隔相談体制を整備するとともに、帳票の電子化によるペーパーレス化を推進しております。また、各業務の生産性改善に向け、生成AIアプリケーションの利用環境を整備し、社内規程類の検索や文書の要約・作成など、行内での活用を開始しております。

ガバナンス態勢の高度化

持続的な成長や企業価値向上の基盤となるガバナンス態勢の高度化を目指し、コンプライアンス態勢をはじめ、各種リスク管理態勢の強化に取り組んでおります。また、近年深刻化するマネー・ローンダリングや特殊詐欺などの金融犯罪被害に対して、岩手県警や県内金融機関との緊密な連携のもとで犯罪情報を迅速に共有する体制を確立し、あわせてサイバー攻撃によるデータ漏洩やシステムダウンのリスクを低減するため、セキュリティの強化に注力しております。

株主や投資家のみなさまとのコミュニケーション機会を拡充する観点から、機関投資家との対話(ワンオンワン)やWeb配信による全国の個人投資家向け説明会を開催しているほか、海外投資家向けに決算発表内容の英訳配信を開始するなど情報開示の充実に努めております。また、株主のみなさまとの一層の価値共有を進めることを目的として役員報酬制度の見直しを行い、譲渡制限付株式報酬制度を導入しました。

[基本方針Ⅲ:多様な人材が働きがいを持ち続ける組織づくり]

<地域課題を解決できる人材の育成>

地域課題にビジネスチャンスを見出し、解決に導く人材を育成することを目的に、コンサルティング能力や対話力の向上をねらいとしたプログラムを階層別研修に導入しております。また、行員の成長意欲に応えるため、休日セミナーのシーズン企画化や本部・グループ会社へのトレーニー派遣などを実施しているほか、研修費等の人材育成への投資を積極的に行っております。

<チャレンジ性にあふれた企業風土への変革>

職員の自律的なキャリア形成を促進するため、「いわぎんエキスパートパス制度(社内公募制度)」を通じて中小企業診断士やファイナンシャル・プランニング技能検定(FP)1級などの公的資格取得を支援しているほか、希望する部署への異動の機会を提供する「ジョブ・エントリー制度」を通じて、職員のチャレンジ意欲の醸成を図っております。

<働きがいを持ち続け、安心して活躍できる組織の実現~D&I推進~

当行における人と組織に対する基本的な考え方となる「人事ポリシー(※)」に基づき、2024年4月に人事制度を全面改定しました。新制度では、従来の年功的な考え方から「仕事基準」の仕組みへ転換し、評価への納得性を高めることで、全職員がプロフェッショナルとして成長し活躍する基盤を整備しました。

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進については、男性職員の育児休業取得率は3年連続で100%を達成しました。また、ライフプランに応じた柔軟な働き方を実現するため、一定の条件下で勤務地を選択できる「エリア選択制度」を新設しました。

※人事ポリシー…当行では「人こそが最も重要な財産であり、あらゆる価値の源泉」であるとともに、経営理念の実現のためには「職員一人ひとりと銀行がともに成長し続ける」と制定しています。

 

③ 主要計数目標(中期経営計画、長期目標)

 長期目標達成に向けた第1フェーズとして、以下の主要計数目標を設定しております。

 

 

指標

2024年度

実績

中計最終年度

(2025年度)

計画

長期目標

(2032年度まで)

連結当期純利益 

69億円

70億円

100億円

連結ROE(株主資本ベース) ※1

3.8%

4%以上

5%以上

連結自己資本比率 ※2

11.3%

10%程度

OHR(単体) ※3

66.6%

60%台

顧客向けサービス業務利益 ※4

9.9億円

10億円以上

 

※1 連結当期純利益÷株主資本平均残高

※2 自己資本の額÷リスク・アセット等の額

※3 経費(除く臨時処理分)÷コア業務粗利益

※4 貸出金平残×預貸金利回り差+役務利益-営業経費

(4)対処すべき課題

当行は、今次中計の最終年度となる2025年度において、預貸ビジネスを基軸とした的確なバランスシート運営や生産性向上に向けた業務体制の整備等により強固な収益基盤を構築し、次のとおり地域活性化と持続的成長に資する取組に一層注力してまいります。

① 地域の活性化に向けた取組

地域のリーディングカンパニーとして、基幹産業である自動車・半導体分野の進出企業や地元サプライヤーへのサポート体制を強化し、設備投資計画の支援、ビジネスマッチング等の付加価値の高いサービスを提供します。成長分野として期待されるヘルステック産業やスタートアップ企業を産学官金の連携体制により支援し、M&Aへの取組やファンド投資事業を通じて地域企業の成長・拡大戦略を支援していきます。お取引先や自治体の生産性向上を支援するため、IT事業者やスタートアップ企業との連携により、地域全体のDX化を推進します。

2025年3月、大和証券株式会社と新たな協業体制構築に向けた包括的業務提携を締結し、2026年4月の協業開始に向け業務体制の構築を進めております。当行は、地域のお客さまに資産形成・資産管理サービスをより身近なものとして提供し、お客さまの豊かな生活の実現、ひいては地域経済の発展に貢献していきます。

② 地域の持続的成長の実現に向けた取組

中小企業経営者の高齢化や後継者不足が深刻化する中、事業承継問題を地域の最重要課題のひとつと捉え、事業承継ニーズに対してグループ総力で取り組みます。2025年10月に設立を予定する「事業承継ファンド」を通じて、経営管理や人材紹介、業務効率化などのハンズオン支援により、地域経済や雇用に貢献している地場企業の円滑な事業承継に取り組んでいきます。多様化・複雑化するお取引先のニーズにお応えできるよう、グループ機能と豊富なネットワークを最大限に活用し、経営改善計画の策定や財務改善に関するアドバイスなど、当行グループの強みである高度なコンサルティング業務を提供していきます。

③ 企業価値の向上への取組

上場企業においては、より資本効率や株価を意識した経営が求められています。当行も「持続的成長に向けた投資」「リスクへの強靭性を備えた適正な自己資本」「株主還元の充実」の観点からバランスのとれた資本運営を進め、PBRやROEの改善に取り組んでいきます。また、株主・投資家のみなさまとの実効性ある建設的な対話に積極的に取り組み、当行グループの成長戦略や財務・非財務情報をより理解いただくための情報開示の拡充に努めていきます。

 

当行グループは、「健全経営に徹する」という企業理念のもとで、長期ビジョンに掲げる「お客さまの課題解決と地域社会の持続的成長を牽引する価値共創カンパニー」として地域経済の発展に向けた取組を一層強化しながら、今後もステークホルダーのみなさまからの期待にお応えできるよう企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ全般

 ① ガバナンス

a.サステナビリティ方針

当行グループでは、「地域社会の発展に貢献する」の経営理念のもと、社会や環境に配慮した企業活動の展開により、持続可能な地域社会の実現に取り組んでおります。

2023年4月に掲げた向こう10年の長期ビジョン「お客さまの課題解決と地域社会の持続的成長を牽引する価値共創カンパニー」においては、サステナビリティ方針に則り、地域資源の強みとさらなる可能性を引き出し、新たな価値を生み出していくことで、サステナブルな地域社会の実現を目指しております。

当行グループは、長期ビジョンの達成に向け、引き続き地域のリーディングカンパニーとして内外のサステナビリティを巡る諸課題に積極的かつ組織的に取り組むとともに、「ESG(環境・社会・企業統治)経営」と「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)経営」の実践を通じた企業価値の向上に取り組んでまいります。

サステナビリティ方針

岩手銀行グループ(以下、当行グループという)は、持続的な地域社会の実現に向けて、地域、お客さま、株主・投資家のみなさま、当行グループ職員をはじめとするすべてのステークホルダーの権利や立場を尊重しながら、事業活動を通じてみなさまとともに環境、社会、経済のそれぞれの共通価値を創造してまいります。

1.地域やお取引先における多様な課題の解決に資する事業活動を通じて、「地域経済の発展」と「当行グループの企業価値の向上」の好循環を創出します。

2.お客さまや地域のニーズに合った良質な金融機能の開発、提供に努め、当行グループの使命である地域経済の活性化や豊かな暮らしの実現を目指します。

3.豊かな自然環境を有する岩手県を主たる営業地盤とする企業グループとして環境に配慮した経営を実践し、経済成長と環境保全の両立を目指します。

4.経営の透明性の向上や監督機能の強化など、より高い水準のコーポレート・ガバナンス体制の確立を目指し、すべての職員が高い倫理観をもって職務を遂行します。

5.人材はあらゆる価値の源泉であるとの認識のもと、職員一人ひとりの能力を最大限に発揮できる環境を整え、多様性、人格、個性を尊重する働き方を実現します。

6.経営情報の積極的かつ公正な開示に努め、あらゆるステークホルダーとの継続的かつ建設的な対話を通じて、当行グループに対する期待と信頼に応えていきます。

 

<サステナビリティに関連する当行のこれまでの主な指針・表明事項>

制定・表明時期

内  容

2013年7月

CSRの基本方針

(コンセプトワード「みどりの銀行のイーハトーヴ宣言」を制定)

2017年1月

岩手銀行イクボス宣言

2019年9月

いわぎんグループSDGs宣言

2021年8月

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同

2021年8月

いわぎん健康経営宣言

2022年4月

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進

2023年3月

サステナビリティ方針

2023年4月

人事ポリシー

2023年6月

パートナーシップ構築宣言

2024年3月

マルチステークホルダー方針

 

 

b.サステナビリティ推進委員会の設置

当行は、気候変動がお客さまや当行に及ぼすリスク及び機会を分析・評価し、地域社会のカーボンニュートラルを実現するため、2021年8月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同しました。2022年8月には、TCFD提言への対応を促進するとともに、ESG経営に関する基本方針や施策を協議・進捗管理することにより持続的な地域社会の実現に資することを目的に、「サステナビリティ推進委員会」(以下、委員会)を設置しております。

委員会は頭取を委員長、取締役専務執行役員を副委員長、その他の常勤取締役や本部各部室長、グループ会社代表者を委員として構成しております。また、施策の企画・立案・研究を行う機関として、本部職員、営業店職員、グループ会社職員で構成する分科会を設置しており、随時開催する分科会において策定した具体的な推進施策等を委員会に対して提言しております。

委員会は原則として年2回開催しており、委員会での協議の内容、進捗状況及びその他必要な事項については取締役会に対し適時・適切に報告し、取締役会では執行状況を監督のうえ、適宜委員会に対して指示・提言・助言などを行っております。取締役会からの指示等を委員会や分科会の活動はもとより経営全般に反映させていくことで、サステナビリティ全般への取組の質の向上に努めております。


<サステナビリティに係る委員会・取締役会等開催状況(2024年4月~2025年3月)>

日 付

会 議

主な協議事項・報告事項等

2024年7月4日

第6回委員会

温室効果ガス(GHG)排出量の実績と削減に向けた取組、地域の脱炭素化に向けた取組、物理的リスクと移行リスクのシナリオ分析結果、サステナブルファイナンスに関する取組と実績、人的資本の開示、2023年度のサステナビリティに関する主な取組

7月23日

取締役会

GHG排出量の実績と削減に向けた取組、物理的リスクと移行リスクのシナリオ分析、人的資本の開示、サステナブルファイナンスの実績

2025年1月21日

第7回委員会

ファイナンスド・エミッションに対応したGHG排出量算定ツールの導入、GX人材育成への取組、人的資本やシナリオ分析の開示方針、当行グループのGHG排出量の削減予想、サステナブルファイナンスの実績、当行のESGスコア、再生可能エネルギー関連事業の進捗状況

2月25日

取締役会

2024年度中の活動状況について「TCFD対応」や「人的資本の最大化」に関する取組を中心に報告

分科会

投融資先の排出量可視化・脱炭素化へ向けた取組支援(ビジネスマッチング、コンサルティング)等

 

 

 ② 戦略

長期ビジョンを実現していくにあたり、当行グループのサステナビリティ方針を踏まえ、成長分野と経営基盤という観点から5つのマテリアリティ(重点分野)を特定しております。特定したマテリアリティは、中期経営計画に落し込み、基本方針及び重点戦略として設定しております。

今後は重点戦略の進捗状況を管理し、PDCAサイクルを実践のうえ、ESG&SX経営を推進してまいります。

<当行グループのマテリアリティ>


<マテリアリティ特定プロセス>

・GRIスタンダード等の各種ガイドライン、SDGs・ESGに関する外部要請事項等を考慮し、当行グループに関連・影響する課題や要因を抽出

・抽出した課題について、類似項目など課題を整理し、「当行グループにとっての優先度」と「ステークホルダーにとっての重要度」の2軸で分析し、優先度の高い順に絞り込み

 ※ 当行グループにとっての優先度:地域企業の課題解決と地方創生への貢献度、企業価値向上への寄与度

 ※ ステークホルダーにとっての重要度:地域社会や経済へのインパクト、持続可能性への貢献度

・主要とする営業エリア(岩手県)のポテンシャルや特徴などを洗い出し

・洗い出した課題と地域のポテンシャルを考慮し、今後、当行グループに求められる事項を洗い出し

・プロセスを踏まえ、マテリアリティを整理するとともに特定

<マテリアリティに関連するリスク、機会及び主な取組>

マテリアリティ

機会

リスク

主な取組

地域創生と地域産業の成長支援

・企業の経営課題の複雑化・高度化に伴うソリューションニーズの増加

・「人生100年時代」を見据えた資産形成ニーズの拡大

・社会構造変化やお客さまニーズへの対応不足による業績悪化

・地域の人口減少、企業の後継者不在等による持続可能性の低下

・企業活動を通じた地域社会の共通価値(CSV)の創出を通じて、新たな課題解決策を提供する

 

 

データ利活用によるサービスと価値の提供

・デジタル化進展に伴う非対面ニーズ、デジタルソリューションニーズの増加

・データを活用した革新的な金融商品や付加価値サービスの創出

・デジタル化への対応遅れや異業種参入などによるグループ競争力の低下

・サイバー攻撃によるシステム障害や情報改ざんリスクの増大

 

・DX事業者等との協業により、地域のお客さまに対して、デジタル技術と地域金融機関の強みである対面サービスとの融合による新たな価値を提供する

 

 

マテリアリティ

機会

リスク

主な取組

脱炭素社会実現に向けた先導的・革新的対応

・地盤とする岩手の強みを活かしたビジネスの創出

・脱炭素社会への移行に伴う新たなファイナンス・サービスの拡大

 

 

・気候変動に関する対応遅延や不足によるステークホルダーからの信認低下

・異常気象に伴う災害発生等による地域企業の財務悪化

 

・グループのCO削減、取引先及び地域に対する脱炭素支援への取組を通じて、脱炭素社会の実現に向けた先導的役割を果たす

 

人材の価値を最大限に引き出す組織づくり

・働きがい向上による多様な人材の確保

・組織風土の変革による新たな発想と価値の創出

 

 

・社会環境の変化への非対応によるエンゲージメントの低下や人材の流出

・優秀な人材の他社流出に伴う、組織の競争力低下

 

・人材は最重要な経営資本との認識のもと、多様な人材がその能力を発揮できる環境を整え、個の力を結集して新たな価値を創造する組織をつくる

コーポレート・ガバナンス態勢の高度化

・持続可能な経営体質へ変革

・内部統制や監査機能の充実によるリスクの早期発見・迅速な対応

 

 

・ガバナンス態勢の整備不足による収益機会の喪失

・サイバーリスクやマネロン等金融犯罪防止への対応コストの増加

・ステークホルダーとのエンゲージメントを重視し、経営の透明性向上や監督機能の強化など、より高い水準のコーポレート・ガバナンスを確立する

 

 ③ リスク管理

当行は、「リスク管理基本規程」を制定し、統合的リスク管理の基本方針を定めるとともに、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスクの4つの管理すべきリスクについて、定義、基本方針、責任体制等を明確に定めております。また、各種リスクの統合的管理部署としてリスク統括部を設置し、リスク管理状況のモニタリング等により、リスクの一元的な管理を実施しております。

 ④ 指標及び目標

当行では、長期ビジョンの実現に向けた当行グループの地域への貢献度を測る指標として、「地域価値共創目標」を設定しております。

なお、気候変動及び人的資本に関する指標及び目標は、(2)気候変動、(3)人的資本に記載しております。

<地域価値共創目標>

指標

長期的目標

当行の取組、関与

岩手県の経済成長率

岩手県の県内総生産(実質)の対前年度増加率が、継続的に国の経済成長率と同等以上を目指す

販路拡大や生産性向上などお客さまの企業価値向上に資する取組や起業創業支援、自治体との連携による企業誘致や地域の開発などの活動を通じて、岩手県の経済成長に貢献する

岩手県の温室効果ガス排出量の削減

「いわてゼロカーボン戦略」に掲げる岩手県の2030年度温室効果ガス排出量2013年度比57%削減

環境対応に資するファイナンス支援や取引先の環境課題解決、再エネ事業への参画などの活動により、地域の脱炭素化を先導する

 

 

(2)気候変動

 ① ガバナンス

当行の気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティのガバナンスに組み込まれております。詳細については「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」をご参照ください。

 ② 戦略

a.気候変動に伴うリスク(移行リスク・物理的リスク)と機会

当行における気候変動に伴うリスクと機会は以下のとおりです。

リスクの種類

事業へのインパクト

機会

移行リスク

・炭素税などの対価の発生・増加

・設備投資や新しい技術への対応

・消費行動の変化

・政策や規制、技術、市場、評判の観点から、当行及び企業の財務面に影響を及ぼす短期的、中長期的なリスク

・環境課題や社会課題の解決ならびに持続可能な社会の実現に資する融資等のファイナンス

・気候変動に関する課題の解決に向けたコンサルティングやソリューションの提供

・当行グループのGHG排出量削減を含む脱炭素社会実現に向けた先導的・革新的対応

物理的リスク

・洪水、強風、熱波、雪害など極端な事象の発生頻度の高まり

・平均気温の上昇や海水面の上昇

・不動産担保物件の毀損や事業の停止に伴い当行及び企業の財務面への影響を及ぼす急性・慢性の物理的なリスク

 

ア.移行リスク

当行は、与信の状況を踏まえ、脱炭素化の影響が最も大きいと考えられるエネルギーセクター及び岩手県の主要な産業である自動車関連セクターを対象としてリスク量を算定しております。

なお、算定にあたっては、「2050年IEA(国際エネルギー機関)ネットゼロシナリオ(NZE)1.5℃」を使用しております。

今回の分析の結果、移行リスクによる与信コストの増加は累計24億円を見込んでおります。

イ.物理的リスク

当行は、岩手県内所在の担保取得建物が毀損するケース及び岩手県内の法人が事業の停止を余儀なくされるケース、当行が保有する店舗への被害を想定し、百年に一度の洪水が今後25年以内に発生するIPCC4℃シナリオにより、リスク量を算定しております。

今回の分析の結果、物理的リスクによる与信コスト等の増加は最大18億円を見込んでおります。

b.炭素関連資産

炭素関連資産は、一般的に直接的または間接的なGHG排出量が比較的高い資産または組織とされており、当行では次のセクターに関連する資産を炭素関連資産としております。

〈金額単位:百万円)

セクター

項  目

2023年度

2024年度

 エネルギー

金  額

59,393 

61,329

貸出金に占める割合

2.82%

2.77%

 運輸

金  額

60,895 

61,821

貸出金に占める割合

2.90%

2.80%

素材・建築物

金  額

289,957 

319,648

貸出金に占める割合

13.81%

14.48%

農業・食料・林産物

金  額

68,551 

71,760

貸出金に占める割合

3.26%

3.25%

炭素関連資産合計

478,797 

514,559

貸出金に占める割合

22.80%

23.31%

 

 

炭素関連資産の算定プロセス

●  セクターと主な業種

取引先ごとに主たる業種に基づき設定している業種コード及び業種の名称について、GICS(世界産業分類基準)も参考にして「エネルギー」、「運輸」、「素材・建築物」、「農業・食料・林産物」、「その他」の5つのセクターに当てはめてから、「その他」を除くセクターごとに複数の主な業種に分類しております。

主な業種について、エネルギーセクターは「石油、ガス」「石炭」「電力事業」、運輸セクターは「航空貨物輸送」「航空旅客輸送」「海運」「鉄道輸送」「トラックサービス」「自動車、部品」、素材・建築物セクターは「金属、鉱業」「化学品」「建材」「資本財(建物等)」「不動産管理、開発」、農業・食料・林産物セクターは「飲料」「農業」「包装食品、肉」「紙、林産物」としております。

なお、石油卸売業、運輸に附帯するサービス業、産業用機械器具関連事業は炭素関連資産に含めており、再生可能エネルギー関連、上下・工業用水道事業、内陸水運業は炭素関連資産に含めておりません。

●  金額

各年度末時点で主たる業種が上記のセクター・主な業種に該当する法人及び個人事業主向けの事業性貸出金(割引手形、手形貸付、証書貸付、当座貸越)の残高としております。

 

当行は、再生可能エネルギー(太陽光・風力・バイオマス・水力が対象、地熱は除く)及び火力発電向けのプロジェクトファイナンスについて総与信額や個別案件の取組基準を設定しております。また、取組基準や方針の運用状況等について、資金の運用、調達両面にわたる基本方針等を協議することにより収益の向上とリスク管理に資すること等を目的に設置しているALM委員会で協議しております。

 ③ リスク管理

サステナビリティ方針やGHGに関連する指標等の算定を踏まえ、環境・社会に対して負の影響を助長する可能性の高い特定セクターへの融資を制限することについて、次のとおり明確化しております。

特定セクターに対する融資方針

1.石炭火力発電事業

石炭火力発電所の新設案件への融資は、原則としていたしません。

ただし、エネルギー安定供給に必要不可欠で温室効果ガスの削減を実現する案件(※)については、慎重に対応を検討します。

※超々臨界圧などの環境へ配慮した技術を有する案件

2.パーム油農園等開発事業

パーム油農園等の開発事業において、違法な森林伐採や生物多様性を毀損する案件への融資はいたしません。

3.非人道兵器製造関連事業

クラスター弾等の非人道兵器の開発・製造に関与する事業者に対しては、資金使途を問わず融資いたしません。

4.人権侵害に関与する事業

人身売買、児童労働または強制労働に関与する事業者に対しては、資金使途を問わず融資いたしません。

 

 

 ④ 指標及び目標

a.GHG排出量

今回算定・推定したGHG排出量は次のとおりです。

ア.スコープ1、2(連結子会社を含む、単位:t-CO

区  分

2023年度

2024年度

スコープ1

1,051

1,034

スコープ2

1,774

1,054

合 計

2,825

2,088

 

<スコープ1、2の算定プロセス>

スコープ1は直接排出(ガソリン、灯油、重油、ガス)、スコープ2は間接排出(電気)であり、それぞれの使用量に対して最も適切と考えられる排出原単位を乗じて算定しております。

排出原単位は、環境省が公表している「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」ならびに「電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)」を利用しております。

 

イ.スコープ3(カテゴリー2、3は連結子会社を含む、それ以外は当行単体、単位:t-CO

カテゴリー

2023年度

2024年度

1.購入した製品・サービス

8,261

8,966

2.資本財

1,829

2,188

3.スコープ1、2に含まれない燃料及びエネルギー活動

683

668

4.輸送、配送(上流)

248

237

5.事業から出る廃棄物

30

18

6.出張

167

190

7.雇用者の通勤

557

530

15.投融資

3,287,763

3,483,580

合 計

3,299,541

3,496,377

 

 

 

<スコープ3の算定対象範囲、基礎データ、算定方法>

●  カテゴリー2、3、7、15以外の基本的事項

当行で利用している経費管理システムから得られるデータについて、勘定科目と摘要コードの組み合わせをもって、経費支出項目(以下、支出項目)と算定要否を判定したうえで、カテゴリーごとに算定しております。

●  カテゴリー3、15以外の排出原単位

環境省が公開している「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」を利用しております。また、排出原単位については、各支出項目に照らして最も適切と考えられるものを選定しております。

● 消費税の取り扱い

消費税は控除せずに算定しております。

● カテゴリー1「購入した製品・サービス」

当行の経費管理システムにおいて管理されている支出項目のうち、何らかの形でGHG排出を伴う活動かつ他のカテゴリーに属さないと考えられるものを抽出し、その支出金額に排出原単位を乗じております。

●  カテゴリー2「資本財」

各年度において取得した有形固定資産・無形固定資産の金額に、資本形成部門「金融・保険」の排出原単位を乗じております。

●  カテゴリー3「スコープ1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動」

ガソリン、ガス、灯油、重油の使用量に対して、「LCIデータベースIDEAv2(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)」の排出原単位を乗じております。なお、電気の使用量に対しては、「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」の排出原単位を乗じております。

●  カテゴリー4「輸送、配送(上流)」

支出項目のうち、通信費(郵便料)、運送費(メール負担金)に排出原単位を乗じております。

●  カテゴリー5「事業から出る廃棄物」

支出項目のうち、廃棄物の収集料・処理料に対し廃棄物処理に係る排出原単位を乗じております。

● カテゴリー6「出張」

出張、研修、会議出席等に係る支出項目(日当を含む)に対して、公共交通機関の利用を優先していることや排出原単位の交通区分及び実態面を考慮し、旅客鉄道の排出原単位を乗じております。

●  カテゴリー7「雇用者の通勤」

人事給与情報システムにて管理されている「通勤手当」「嘱託等通勤費」「その他の通勤費」の金額に基づき算定しております。公共交通機関の利用を優先しておりますが、2022年度に距離範囲の拡大を含む自家用車通勤の要件の見直しを行ったこと、排出原単位の交通区分及び実態面を考慮し、支出項目(通勤手当額)に対して自動車・バス(営業用乗合)の排出原単位を乗じております。

●  カテゴリー8「リース資産(上流)」、カテゴリー9「輸送、配送(下流)」、カテゴリー10「販売した製品の加工」、カテゴリー11「販売した製品の使用」、カテゴリー13「リース資産(下流)」、カテゴリー14「フランチャイズ」

該当ございません。

●  カテゴリー12「販売した製品の廃棄」

使用済預金通帳の廃棄などが考えられますが、算定シナリオを組成していないため算定しておりません。

 

 

●  カテゴリー15「投融資」

PCAFスタンダード(※)の方法論に準拠し、事業法人向け融資及び住宅ローンを対象に算定しております。

※PCAFスタンダード…金融機関が投融資先のGHG排出量を計測・報告する際に活用する国際的な基準

具体的には以下のとおりです。

<事業法人向け融資>

GHG排出量の大部分を占めるスコープ3カテゴリー15の算定において、これまでは投融資先の財務データ等から推計していましたが、投融資先の実排出量にもとづく算定を併用することで、より実態に則したGHG排出量の算定を行いました。

なお、2023年度のGHG排出量についても改めて算定しております。

● 算定式

排出量=Σ[投融資先のGHG排出量×アトリビューション・ファクター(当行の投融資残高/投融資先の資金の調達額)]

● 算定方法

「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」及び投融資先の開示しているGHG排出量等にもとづき算定

 

<住宅ローン>

住宅ローン1件ごとに、各年度末時点の残高を分子、当行の住宅ローン関連システムから得られる購入時評価額を分母として当行寄与分を算出し、その結果に対して世帯当たりの年間CO排出量を乗じて算定しております。

なお、購入時評価額を管理の対象としていない住宅ローンなど、住宅ローン関連システムから購入時評価額が抽出されないものについては、それを当初貸出額で代替しております。

また、世帯当たりの年間CO排出量は、環境省が公表している「家庭部門のCO排出実態統計調査結果について」(東北地方、算定対象年度末において把握できる直近の排出量)を引用しております。

 

また、カテゴリー15「投融資」の詳細は次のとおりです。 (単位:t-CO

セクター

主な業種

2023年度

2024年度

エネルギー

石油及びガス

石炭

電力ユーティリティ

57,476

1,076

771,714

55,202

1,186

840,549

運輸

航空貨物

鉄道輸送

トラックサービス

自動車及び部品

647

6,836

111,803

33,281

6,067

110,123

55,815

素材・建築物

金属・鉱業

化学

建設資材

資本財

不動産管理・開発

117,777

78,208

302,483

490,793

16,041

144,397

82,416

326,842

483,798

16,529

 

 

セクター

主な業種

2023年度

2024年度

農業・食料・林産物

飲料

農業

加工食品・加工肉

製紙・林業製品

5,141

55,527

157,193

69,384

5,524

53,353

178,361

73,458

その他

938,270

977,521

住宅ローン

74,113

72,439

合計

3,287,763

3,483,580

 

今後も、GHG排出量の大部分を占めるスコープ3カテゴリー15におけるデータクオリティ(スコア)とともに、その他のカテゴリーについても精度・粒度の向上を図っていく予定としております。

<参考>2023年度有価証券報告書における算定内容

セクター

主な業種

2023年度

エネルギー

石油、ガス

石炭

電力事業

14,818

719

342,489

小計

358,027

運輸

航空貨物輸送

航空旅客輸送

海運

鉄道輸送

トラックサービス

自動車、部品

18,326

1,568

4,420

11,770

7,447

小計

43,533

素材・建築物・資本財

金属、鉱業

化学品

建材

資本財(建物等)

不動産管理、開発

228,098

22,882

35,881

7,616

5,099

小計

299,579

農業・食料・林産物

飲料

2,738

農業

16,216

包装食品、肉

43,160

紙・林産物

75,935

小計

138,051

その他の事業法人向け

融資

397,322

住宅ローン

74,113

合計

1,310,629

 

<2023年度有価証券報告書における算定方法>

炭素関連資産に関連付け、そのセクターや主な業種ごとに、当行に融資取引がある代表的な事業法人が開示している売上高とそれに対するGHG排出量(スコープ1、2)の割合を算出し、その割合を排出係数(炭素強度)として各事業法人の直近決算時点の売上高に乗じる方法を基本に各事業法人における総排出量を推定しました。そして、その推定結果をアトリビューション・ファクター(各事業法人の負債と純資産の合計に占める当行融資残高)に乗じて算定しました

事業法人ごとの排出量=炭素関連資産に基づくセクターや主な業種ごとの排出係数(炭素強度)×事業法人ごとの売上高×アトリビューション・ファクター(事業法人ごとの当行融資の寄与度)

 

ご留意いただきたい事項

上述の指標やリスク量の算定結果は、一定の仮定や前提を置いて導き出したものです。また、独立した第三者による保証・検証を取得しているものではありません。

今後、算定や分析対象セクターの範囲の拡大、精度や粒度の向上、リスクシナリオ分析の高度化、適用する排出係数・排出原単位の変更、算定方法に係る国際的な基準の明確化に対する議論の動向等により、当行で把握・公表する数値についても将来的に変更となる可能性があります。

 

b.サステナビリティ目標

ア.当行グループのGHG排出量の削減

当行グループが地域の脱炭素社会の実現に向けて先導的役割を果たすため、GHG排出量の削減について次のとおり目標を定めております。

時 期

内   容

2030年度

スコープ1、2 ネットゼロ

2050年度

スコープ1~3 ネットゼロ

 

2024年度においては、再生可能エネルギー由来の電力である「よりそう、再エネ電気」を当行グループに導入することで、スコープ1、2において基準年(2013年度)対比で▲72%まで削減が図られました。

当行は、スコープ3を含むGHG排出量ネットゼロやカーボンネガティブを目指すにあたり、自治体との連携強化を図るとともに、面的企業支援に向けて事業性理解や本業支援を通じて、いわぎんSDGs評価・宣言サポートサービス、GHG排出量算定・可視化サービス、J-クレジットなど、取引先の気候変動に関する課題の解決に向けたコンサルティングメニューを幅広く提供しております。

<GHG排出量の推移>


 

イ.サステナブルファイナンス

脱炭素社会への移行にあたって必要となり得る設備投資、技術革新、消費行動の変化については、事業活動における機会にもつながるものであると考えます。

当行は、融資等のファイナンスを通じて環境・社会課題の解決に貢献していくため、ファイナンスの実行目標を設定し積極的に推進しております。

項 目

内   容

サステナブル

ファイナンス

環境課題や社会課題の解決ならびに持続可能な社会の実現に資する投融資・リース取引

目標額

実行等累計額 5,000億円

期間

2021年度~2030年度

 

2024年度のサステナブルファイナンスの実績は801億円(うち再生可能エネルギー関連の融資・リース取引84億円)となり、2021年度からの累計実績は2,541億円となりました。

<サステナブルファイナンスの補足>

● サステナブルファイナンスは、農林漁業、社会保険・社会福祉、医療・保健衛生、教育・学習支援業ならびに再生可能エネルギー関連に対する融資とリース取引、事業承継・M&A資金、政府・自治体・民間企業などが発行するSDGs債(グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド)への投資、いわぎん脱炭素応援ローン等としております。

● 期間は、当行がTCFD提言に賛同した2021年度からSDGs達成期限の2030年度までの10年間としております。

 

 

 

(3)人的資本

 ① ガバナンス

当行では、「マテリアリティ」において「人材の価値を最大限に引き出す組織づくり」を重点分野として明記しており取組を強化しております。

 ② 戦略

a.人事ポリシー

当行では、当行における人と組織に対する基本的な考え方として、「人事ポリシー」を制定しており、「目指す組織像」や「求める人材像」を実現するための人事制度や各種人事施策の根幹と位置づけております。

<人事ポリシー>

・当行にとって「人」こそが最も重要な財産であり、あらゆる価値の源泉です

・お客さまの信頼と期待に応え、地域の未来を切り拓くために、職員一人ひとりと銀行がともに成長し続けます

 

このポリシーに基づき、当行では次の観点から個人としての成長や組織としての成長を促進するとともに、個人と組織の成長を支える環境・風土の醸成に取り組んでおります。

●  自律と挑戦(個人としての成長)

・自ら考え、自ら行動することを求め、挑戦の機会を提供します

・能力や専門性の向上と発揮を求め、その環境を提供します

●  人材総活躍(組織としての成長)

・対話の重視によりエンゲージメントを高め、一人ひとりの実力を最大限引き出します

・仕事の成果と行動、挑戦と創意の発揮に対し適正に報います

●  多様な個性・価値観の尊重(成長を支える環境・風土)

・多様な個性や価値観を尊重しあい、新たな発想を生み出します

・個人の希望や事情に合わせた、柔軟な働き方を可能とします

 

b.目指す組織像と求める人材像

目指す組織像

求める人材像

・地域・お客さまのために考え、行動する

・一人ひとりの力を掛け合わせる

・職員の頑張りを後押しする

・働きがいがあり、信頼で結びつく

・自ら考え、実践し、成長する

・失敗を恐れずに挑み、やり遂げる

・プロフェッショナルとして成長する

・認め合い、協働する

 

c.2023年度を始期とする中期経営計画における人的資本に係る基本方針及び重点戦略

<人的資本に係る基本方針>

 多様な人材が働きがいを持ち続ける組織づくり

<重点戦略>

・地域課題を解決できる人材の育成

 研修プログラムの拡充、グループ内留学制度の実施、マーケティング人材などの育成

・チャレンジ性にあふれた企業風土への変革

 社内公募制度の新設、チャレンジを後押しする企業風土変革に向けた管理職育成

・働きがいを持ち続け、安心して活躍できる組織の実現~ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進~

キャリア支援体制の構築、人材育成を主眼とした評価制度の導入、職員のライフプランや価値観などに応じた柔軟な働き方の実現

 

 

d.新人事制度の導入(2024年4月)

ア.導入の目的

・全職員がプロフェッショナルとして成長し活躍するための土台となる「仕事基準」の仕組みを導入するとともに、より公平で納得性の高い評価や処遇を実現します。

・それにより、職員一人ひとりの意欲と実力を最大限引き出し、当行グループの長期ビジョンである「お客さまの課題解決と地域社会の持続的成長を牽引する価値共創カンパニー」を目指すものです。

 

イ.新制度の特徴点

・旧人事制度では、全員がマネジメント職を目指す単線型となっていましたが、新人事制度では上位等級について「プロフェッショナル職群」と「マネジメント職群」に複線化し、さらに若年層向けの「アソシエイト職群」を設けております。

・プロフェッショナル職群は、担当業務領域の専門家を目指すものと位置づけ、異動によってマネジメント職群との転換を行っております。

・職群と等級ごとに「目指す組織像」と「求める人材像」から定義した「等級定義書」を設けるとともに、等級別に「伸ばす意識や行動」「抑える意識や行動」を例示しました。

 ●マネジメント職(管理監督者)の行動例

伸ばす意識・行動

• メンバーの動きやお客さまの状況に目を配り、物事のプロセスをつかむ

• メンバーが自分で考えて動けるように、気付きを与えていく

• 嫌われることを厭わずメンバーに向き合い、要望する

• 組織の目標計画・方針を認識し、自分の言葉で部下に伝える

• 専門知識・スキルを磨き続け、自分の強みとする

抑える意識・行動

• 自分で手を下すプレイヤーでありつづけようとする

• 部下に対して細かい所まで全て指示・命令を出す

• 自分の経験や前例に固執する

• 上司や年上のメンバーに遠慮・過剰配慮し、意見具申をしない

• 日々の業務を回す事だけに関心が向き、部下に向き合わない

 

 

 ③ リスク管理

人材育成方針及び社内環境整備方針

当行創立100周年に向けての長期ビジョンを実現するために、前記した人事ポリシーを踏まえながら「人材育成」と「社内環境整備」に取り組んでおります。なお、両方針に対する「機会」と「リスク」は次のとおりです。

機会

リスク

・多様な考え方や発想を持つ人材の活躍推進による新たな価値の創造

・積極的な人材育成投資による生産性の向上

・能力発揮機会の提供による働きがいの向上

・従業員の健康保持増進による生産性の維持向上

・企業競争力の低下、組織における柔軟性の喪失

・採用競争力の低下、人材の流出

・エンゲージメントの低下

・労働意欲の低下、職場離脱

 

 

 ④ 指標及び目標

a.人材育成

価値共創カンパニーを目指すうえで「人」こそが最も重要な財産であるとの認識のもと、従業員の価値観と職場の多様性を重視しながら、地域課題を解決できるプロフェッショナル人材の育成と個人の成長を促す投資を積極的に行っております。

〔指標〕

・年間の人材育成投資額:100百万円(2024年度実績 99百万円)

(注)当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を記載しております。

 

 

ア.経験成長サイクルの促進

2024年度からスタートした新人事制度では、個々の業務経験を学びに変えて、次の業務に生かし成長につなげるという「経験成長サイクルの促進」を人材育成の根幹に据え、このサイクルをまわすために必要となる施策を実施しております。

また、その実現に向けた中心的な取組として2024年度より「1on1ミーティング」を導入しており、2024年度は延べ回数で約6,400回のミーティングが開催されております。


イ.プロフェッショナル人材育成の取組実績

当行ではコンサル人材、高度専門人材などの戦略的人材を計画的に育成すべく、有価証券運用やM&Aなどの専門機関への長期トレーニーやグループ内トレーニーに加え、若手行員を主体として中小企業診断士等の公的資格の取得を支援する「いわぎんエキスパートパス(IEP)」の制度を設けており、地域課題を解決できるプロフェッショナル人材の育成と個人の成長を促す人材投資を行っております。

また、人的資本を効果的・効率的に活用することを通じて、組織が目指す目的の実現に貢献するためには、組織とメンバーをつなぐ「管理職」は、事業成果を出しつつ高い従業員エンゲージメント状態を創出するための非常に重要な役割であると考えております。そのため、チャレンジを後押しする企業風土変革に向けて管理職育成に対する人材投資を行っております。

 

2022年度

2023年度

2024年度

中小企業診断士資格取得者数

4名

7名

2名

年間人材育成投資額

61百万円

80百万円

99百万円

管理職研修受講者数

349名

 865

 

(注)当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を記載しております。

ウ.セルフ・キャリアドック

職員のキャリア形成を促進・支援することを目的に、キャリアに関する研修会を入行年次・年齢・役割等級別に実施するとともに、外部のキャリアコンサルティングによる面談を2024年度は340名に対して実施しております。

エ.公募制

本部及びグループ会社で新たな人材を必要とする場合、業務内容や役割、応募条件を提示し、行内から対象者を募集しております。

また、本部や特定の営業店及びグループ会社への異動を希望する行員が志望動機やスキル、自身のアピールポイント等を事前に人事部門へ申請する仕組みを整えており、希望する部署への異動の機会を提供しております。

 

オ.適正な評価運用

評価者ガイダンスを実施し、評価者間の評価目線のばらつきを実感し「評価調整会議」によるすり合わせ手法を習得するとともに、評価後のフィードバックの重要性を理解し、行動変容につなげるフィードバック手法についても習得を進めております。

カ.専門性サーベイ

プロフェッショナルとして求められる専門性の発揮度を多面的に評価することにより、周囲の期待や今後の能力開発の方向性を確認することを目的に実施しております。

キ.360度サーベイ

マネジメントに従事する行員の行動ならびにコンプライアンスへの取組が、上司や同僚、部下にどのように伝わっているかを自身が確認し、自己認識との違いを踏まえてその行動を見直すことにより、マネジメント能力の向上や店内コミュニケーションの良化、ハラスメントのない職場づくりにつなげることを目的に実施しております。

b.社内環境整備

チャレンジ性にあふれた企業風土を組織全体に浸透させ、全ての従業員が誇りと働きがいを持ち続け、自由闊達に意見を述べ、安心して活躍できる組織づくりに取り組みます。

〔指標〕

・エンゲージメントサーベイにおける次の3項目の回答結果4.00以上(従業員は1~5の5段階で回答)

 2024年2月実施結果

エンゲージメントスコア

(全体)

当行で働いていることへの誇り

仕事に対するやりがい

3.59

3.78

3.53

 

・役席者の新規登用女性割合30%以上(2024年度実績 40.9%)

・健康診断等の結果を踏まえた再検査受診率90%以上(2024年度実績 91.5%)

・習慣的な運動実施率20%以上(2024年度実績 21.1%)

(注)当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を記載しております。

 

ア.エンゲージメントサーベイの実施

人事ポリシーで掲げる「職員一人ひとりと銀行がともに成長し続ける」姿を実現するためには、「エンゲージメント」(職員の仕事に関連するポジティブで充実した心理状態、企業に対する共感度合)の向上により、一人ひとりが実力を最大限発揮することが必要不可欠となります。

当行の現状を可視化することで様々な課題を洗い出し、エンゲージメントの向上に向けて必要な施策を実施していくため、2024年2月に非正規を含めた全職員を対象に実施しました。

サーベイ結果を踏まえ、「行外における経営層との対話機会の創出」や「経営へのメッセージBOX設置」などエンゲージメント向上に向けた取組を展開しております。

 

イ.D&Iの推進

当行では、多様な価値観を受け入れ柔軟な発想を創出することや、行員の経営参画意識と生産性の向上により企業価値を高めることなどを目的としてD&Iに取り組んできていますが、2022年度より「目指す姿」ならびに「指標と目標」を次のとおり設定し、取組のさらなる充実に向けて推進しております。

1.目指す姿

  行員一人ひとりが安心して成長と活躍ができる組織づくり

2.推進キーワード

(1)対話機会の創出

(2)キャリア開発の支援

(3)人材の積極的登用

3.2030年度までに向けた指標と目標

(1)女性行員の役席者登用

   役席者の新規登用女性割合   30%以上

※2025年度以降は40%以上としております

(2)男性行員の育児休業等取得

   男性行員の育児休業等取得率  100%以上

 

ウ.いわぎん健康経営宣言

2021年8月、「健康経営」への取組の基本方針として、「いわぎん健康経営宣言」を制定しております。内容は次のとおりです。

1.「いわぎん健康経営宣言」

岩手銀行は「従業員の心身の健康」が「地域社会の発展に対する貢献」と「当行の持続的な成長」に不可欠であるとの考えに立ち、「健康経営」を推進してまいります。

また、健康経営の推進のため、従業員一人ひとりの健康意識の向上と働きやすい環境や体制整備に取り組んでまいります。

2.主な取組

(1)からだ

  ・定期健康診断の完全実施

  ・各種検診、再検査等の受診率向上

  ・禁煙の推進による喫煙率減少と敷地内全面禁煙の継続

  ・運動習慣の定着支援及び情報提供

(2)こころ

  ・ストレスチェックの継続実施によるメンタルヘルス不調の予防

  ・ストレスチェック結果を活用した職場巡回の強化

  ・メンタルヘルス不調者の職場復帰支援(組織的体制の構築)

  ・職場内コミュニケーションの促進による働きやすい職場環境の整備

 

 

エ.岩手銀行イクボス宣言

2017年1月、育児や介護へのさらなる理解、ワーク・ライフ・バランスの充実、多様な人材の活躍をとおした地域貢献について積極的に取り組んでいくため、そして全ての役職員が仕事と生活の両立ならびに充実を促す「イクボス」の理念を実現させていくために「岩手銀行イクボス宣言」を次のとおり策定し宣言しております。

一、 私たちは、「イクボス」の精神に則り、育児や介護と仕事を両立しやすい環境づくりに努めます。

一、 私たちは、共に働く職員のワーク・ライフ・バランスを尊重し、自らもその充実に向けて率先して取り組みます。

一、 私たちは、男女ともに多様な人材の活躍をとおして、地域社会の発展に貢献します。

(ご参考)イクボスについて

職場で共に働く部下・スタッフのワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、仕事でも結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)のことをいいます。

 

オ.年次有給休暇取得への取組

職員の福祉向上を目的として「連続休暇制度」を規定し、年度内に1人1回連続して7日間以上10日間以内で利用しています。なお、フルタイムの職員は原則として全員が利用するルールとしております。

カ.働き方改革(休暇・休職制度など)への取組

導入・新設時期

内 容

備 考

2020年4月

フレックスタイム制度の新設

 

2021年4月

時間単位年休の導入

 

就業時における服装の多様化導入

同時に女子行員事務服を廃止

2022年10月

産後パートナー休暇の新設

出生後8週間以内における28日間を限度とした休暇制度(有給)

あんしん積立休暇制度の新設

時効消滅する年休積立制度の使用目的を拡大

ライフデザイン休職制度の新設

キャリア形成、家族の介護等のイベント発生時における休職選択制度

テレワーク制度の新設

新型コロナウイルス感染症対策として運用していた仕組みを制度化

2024年4月

エリア選択制度の新設

育児・介護など所定の事由に該当する場合には一時的に転居転勤の有無を選択可能

単身赴任手当の新設

転居を伴う異動となり単身により赴任する場合の経済的負担を緩和

 

キ.資産形成支援(ファイナンシャル・ウェルネス)

給与及び賞与支給時に一定の資金を拠出することにより、当行株式を取得することができる従業員持株会を設けています。なお、拠出1口(1,000円)に対して50円の奨励金を付与しております。

2025年3月1日現在の加入者数・加入者割合

加入者数

加入者割合

1,216名

89.2%

 

(注)当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を記載しております。

また、従業員持株会を活性化し、従業員の安定的な財産形成を促進するとともに、従業員のエンゲージメントを高め、経営参画意識の向上と業績向上へのインセンティブを付与することにより、当行の中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として、2023年度に「従業員持株会信託型ESOP」を導入しております。

 

ク.賃上げへの取組

従業員のエンゲージメント向上と人的資本投資の強化に加え、将来の当行を担う優秀な人材を確保することを目的として、2025年7月1日付で定例給与対比約3.5%のベースアップ(初任給の引き上げを含む)を行う旨を労働組合に対し回答しております。なお、ベースアップと初任給の引き上げは2023年4月以降3年連続となります。

ケ.非正規から正規雇用への取組

嘱託から行員へキャリアアップする機会を2013年度より提供しており、2024年度までの累計者数は36名となっております。

2022年度

2023年度

2024年度

28名

31名

36名

 

(注)当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を記載しております。

コ.障がい者雇用への取組

外部機関から講師を招聘し本部における管理職向け研修会を開催するなど、障がい者の雇用促進に向けて積極的に取り組んでおります。なお、2025年3月1日現在の雇用率は2.5%となっております。

(注)当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を記載しております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当行(グループ)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当行は、リスクの管理にあたってコンプライアンスを根幹とし、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める所存であります。

なお、主なリスク管理体制等を「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に、金融商品に係るリスク管理体制、リスク量等を「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(金融商品関係)に記載しております。

以下の項目には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

〈事業等のリスクの概要〉

 

 

 

 

〔トップリスク〕具体的リスク事象

顕在化した場合に経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスク事象

・ サイバー攻撃

・ 世界的な景気低迷

・ 大規模自然災害

・ 地域経済の縮小

・ 人材確保困難化

・ コンダクトリスク

〔事業等のリスク〕リスクカテゴリー、リスク分類

経営者が当行(グループ)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク

<特に重要なリスク>

・ 信用リスク

・ 市場リスク

・ 流動性リスク

・ オペレーショナル・リスク

<その他のリスク>

・ サイバー攻撃に係るリスク

・ 情報漏洩に係るリスク

・ 気候変動に係るリスク

・ 地域経済動向に影響を受けるリスク

・ …… 計14件

 

 

 

 

(1)トップリスク

当行は、顕在化した場合に経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスク事象を「トップリスク」として選定しております。「トップリスク」は、社外取締役を含むすべての取締役および行内関係部署から幅広く意見を収集し、リスクマップにて影響度と発生頻度・可能性を評価し重要度を判定の上、取締役会において選定しております。トップリスクについては、定期的なストレステスト等を通じて当行に与える影響を認識し、リスクが顕在化した場合の耐性検証や機動的な対応が可能となるよう態勢整備に努めております。

当行が、特に注意すべきリスク事象として認識しているトップリスクは次のとおりであります。

トップリスク

主な想定シナリオ

主に該当する事業等のリスク

サイバー攻撃

サイバー攻撃による情報漏洩や業務停止

サイバー攻撃に係るリスク

世界的な景気低迷

急激な金利上昇や世界的な貿易戦争激化による景気低迷・金融市場不安定化

信用リスク

市場リスク

流動性リスク

大規模自然災害

地震や洪水などの自然災害による店舗の毀損や業務への影響

気候変動に係るリスク

自然災害、感染症等に係るリスク

地域経済の縮小

地域経済の縮小に伴う経営基盤の不安定化

地域経済動向に影響を受けるリスク

人材確保困難化

人口減少を背景とした人材不足による生産性・競争力の低下

地域経済動向に影響を受けるリスク

コンダクトリスク

役職員の不適切な行為による信用毀損、ビジネス機会の喪失

オペレーショナル・リスク

情報漏洩に係るリスク

マネー・ローンダリング等に係るリスク

 

 

(2)事業等のリスク

① 特に重要なリスク

経営者が当行(グループ)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクのうち、信用リスク、市場リスク、流動性リスクおよびオペレーショナル・リスクを特に重要なリスクと認識しております。これらのリスクは統合リスク管理の手法を用い、各リスクをVaR(バリュー・アット・リスク)等の統一的な尺度で図り、各リスクを統合して経営体力(自己資本)と対比することや、ストレステストの手法を用いて当行が受ける影響を把握することで管理しております。また、モニタリング結果を信用リスク委員会、ALM委員会およびオペレーショナル・リスク委員会に報告し、リスク管理態勢の整備・確立を図っております。

a 信用リスク

ア 不良債権の状況

当行の2025年3月31日現在における金融再生法に基づく連結不良債権比率は2.58%、単体不良債権比率は2.55%となっております。景気動向、不動産価格および株価の変動、融資先の経営状況の悪化等によっては予想以上に不良債権が増加し、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

イ 貸倒引当金の状況

当行は、融資先の経営状況、担保価値、過去の貸倒実績率等に基づき貸倒引当金を計上しておりますが、著しい経済情勢の悪化、融資先の経営状況の悪化、担保価値の下落、その他予期せざる理由等によって貸倒引当金の積み増しが必要になり、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

b 市場リスク

ア 金利リスク

当行の資産および負債は主要業務である貸出金、有価証券および預金であり、主たる収益源は資金運用と資金調達の利鞘収入であります。これらの資産と負債の金利または期間のミスマッチが存在している中で、金利が変動することによって利益の低下ないし損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

イ 価格変動リスク

当行は、市場性のある国債等の債券や市場価格のある株式等の有価証券を保有しております。これらの債券や株式等の価格変動に伴い資産価値が減少することによって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

ウ 為替リスク

当行は、外貨建ての資産・負債を保有しております。外貨建ての資産・負債についてネットベースで資産超または負債超のポジションが造成されていた場合に、為替の価格が当初予定されていた価格と相違することによって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

c 流動性リスク

ア 資金繰りリスク

当行は、信用力の向上、緊急時の体制整備等の適切な資金繰り管理を行っておりますが、予期せぬ資金の流出等により資金繰りがつかなくなる場合や、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることによって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

イ 市場流動性リスク

当行は、市場で取引される債券等の資産を保有しておりますが、市場の混乱等により市場において取引が出来なかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることによって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

d オペレーショナル・リスク

ア 事務リスク

当行は、正確な事務処理は銀行業の基本であることを認識のうえ、事務リスクの顕在化による経済的損失および信用失墜等を回避するため、厳正な事務リスク管理態勢の確立、維持発展に取り組んでおりますが、役職員が正確な事務を怠る、または事故・不正等を起こすことによって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

イ システムリスク

当行は、コンピュータシステムの機密性、完全性、可用性を確保するとともに、障害発生時の影響を最小限に抑え、早期の回復を図るための安全対策を講じる等、システムリスク管理態勢の確立、維持発展に取り組んでおりますが、コンピュータシステムのダウン、誤作動、システムの不備、コンピュータの不正使用等によって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

ウ 法務リスク

当行は、法令遵守を業務遂行上遵守すべき基本事項であることを認識し、厳格な法務リスク管理態勢の確立、維持発展に取り組んでおりますが、法令遵守違反や契約不履行の行為等によって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

エ 人的リスク

当行は、役職員の雇用形態等に応じた適切な人事管理および人事運営を行い、適切な人的リスク管理態勢の確立、維持発展に取り組んでおりますが、人事運営上の不公平・不公正・差別的行為等によって当行が損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

オ 有形資産リスク

当行は、所有または賃借する動産・不動産の管理を適切に行い、災害や不法行為等による被害を最小限に抑える等、有形資産リスク管理態勢の確立、維持発展に取り組んでおりますが、想定を超える災害、不法行為等の影響を受け有形固定資産の毀損等によって損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

カ 風評リスク

当行は、風評による預金の流出や株価の下落等被害を未然に防止するため、透明性の高い情報開示を積極的に行う等、風評リスク管理態勢の確立、維持発展に取り組んでおりますが、事実と異なる風説、風評の影響を受け評判が悪化すること等によって当行の信用が低下し損失を被り、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

② その他のリスク

a サイバー攻撃に係るリスク

当行は、デジタル技術を活用した顧客サービスの向上や業務の効率化に取り組んでいくうえでサイバー攻撃に対応するため、岩手銀行CSIRTを常設のうえ原則隔月で定例会を開催し、情報セキュリティインシデント管理態勢強化に努めておりますが、サイバー攻撃により、情報漏洩やシステムダウン等が発生した場合には、損害賠償や行政処分等により、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

b 情報漏洩に係るリスク

当行は、お客さまの情報の取扱いについて「個人情報保護宣言」により基本方針を策定し、顧客情報の適切な利用と厳正な管理の徹底により漏洩等の発生を未然に防ぐよう努めておりますが、顧客情報等の漏洩や不正利用等が発生した場合には、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

c 気候変動に係るリスク

当行は、炭素税等の対価が発生すること等により企業の財務面に影響を与える移行リスクと、地球温暖化に伴い洪水等が発生し企業の事業停止による財務面への影響や当行保有店舗が被害を受ける物理的リスクがあると認識しております。サステナビリティ推進委員会等において気候関連リスクを統合的に管理するよう努めておりますが、想定を超える気候変動による移行リスクおよび物理的リスクに起因した与信コストの増加等により、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、移行リスクおよび物理的リスクの詳細やリスク量を「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」の(5)環境問題・社会問題関連 ②リスク管理に記載しております。

d 地域経済動向に影響を受けるリスク

当行は、地域金融機関として主たる営業基盤を岩手県を中心とした周辺地域に置いており、地域経済情勢の影響を受けやすい特性を持っています。この地域は国内でも人口減少率が高い地域であり、人口減少や地域経済が縮小した場合は、人材確保の困難化や取引先の経営状況悪化を受けた信用リスク増加等により経営基盤が不安定となり、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

e 退職給付債務に係るリスク

当行は、企業年金基金制度および退職一時金制度を設けておりますが、運用利回り低下に伴い年金資産の時価が下落した場合や、退職給付債務を計算する前提となる数理上の前提条件に変更があった場合には、数理計算上の差異が発生し、これに伴って将来の退職給付費用が増加する可能性があり、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

f 自然災害、感染症等のリスク

地震、洪水、津波等の自然災害や感染症の流行により、当行の正常な業務運営に支障が生じる可能性があります。こうした事態に備え、当行では「業務継続計画」、感染症発生時の対応計画等を策定し、緊急時の体制整備に努めておりますが、想定を超える状況となった場合は業務の全部または一部が停止し、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

g マネー・ローンダリング等に係るリスク

当行は、マネー・ローンダリング等の対策にあたり、当行の業務分野、営業地域、マネー・ローンダリング等に関する動向等を踏まえたリスクを勘案したうえで方針・手続・計画を作成し、リスクベース・アプローチに基づきリスク低減策を実施・運用しておりますが、何らかの原因により関係法令に抵触した場合には、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

h 自己資本比率に係るリスク

当行の連結自己資本比率および単体自己資本比率は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき算出しております。当行は同告示の国内基準が適用され、連結自己資本比率および単体自己資本比率を4%以上に維持する必要がありますが、2025年3月31日現在の連結自己資本比率は11.39%、単体自己資本比率は11.09%となっております。当行では健全性の維持に努めておりますが、仮に自己資本比率が要求される水準の4%を下回った場合には、早期是正措置により、業務の全部または一部停止等を含む様々な命令を金融庁長官から受けることとなり、その結果、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

具体的には、次のような要因により影響を受ける可能性があります。

・ 融資先の経営状態の悪化等に伴う不良債権処理費用の増加
  ・ 有価証券ポートフォリオの価値の低下
  ・ 自己資本比率の基準および算出方法の変更等
  ・ 繰延税金資産の回収可能性
  ・ 退職給付債務
  ・ その他の不利益な展開

i 格付に係るリスク

当行は、外部格付機関から格付を取得しております。当行では中期経営計画等の諸施策の実行により、収益性および健全性の向上に鋭意取り組んでおりますが、その進捗の状況によっては格付機関の判断により格付が引き下げとなり、資金調達コストの上昇や資金調達が困難になることで、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

j 繰延税金資産に係るリスク

当行は、合理的かつ保守的な条件の下で繰延税金資産を計上しておりますが、この計算は将来の課税所得などの様々な予測・仮定に基づいているため、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。仮に繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断された場合には、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

k 経営戦略に係るリスク

当行は、2023年度から向こう10年の長期ビジョン「お客さまの課題解決と地域社会の持続的成長を牽引する価値共創カンパニー」を掲げ、その第1フェーズとして「第21次中期経営計画~地域価値共創プラン~」を策定し、3つの基本方針「ソーシャルソリューションビジネスの高度化」「地域を支える盤石な経営基盤の確立」「多様な人材が働きがいを持ち続ける組織づくり」のもと業績向上に取り組んでおりますが、外部環境の大幅な変化等により、想定どおり進捗しない場合には、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、長期ビジョンおよび中期経営計画の詳細を「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

l 規制・制度変更に係るリスク

当行は、各種の規制・制度下において業務を遂行しており、今後、法令や実務慣行、解釈等の変更があった場合には、当行の業務運営や財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なかでも、バーゼル銀行監督委員会および金融監督当局等による自己資本規制の強化や、国際的な会計基準とのコンバージェンスおよびIFRS(国際財務報告基準)の強制適用等の時期と内容次第では、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

m 固定資産の減損等に係るリスク

当行は「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しておりますが、当行が保有する固定資産について、経済情勢の変動や使用方法の変更に伴う収益性の低下、市場価格の著しい下落等があった場合には、減損処理に伴う損失が発生し、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

n 競争激化に係るリスク

当行は、主要な営業基盤である岩手県において他の金融機関と競争関係にあるほか、異業種からの参入やネット銀行とも競争関係にあり、様々な施策により競争優位となるよう取り組んでおりますが、施策が奏功しないこと等により当行が競争優位を得られない場合、当行の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  この「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」は、当行グループ(当行及び連結子会社)の経営成績等(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況)に重要な影響を与えた事象や要因を経営者の視点から分析・検討したものです。

  なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態

① 預金等(譲渡性預金を含む)及び預り資産

預金等(譲渡性預金を含む)は、法人預金及び公金預金が減少したことなどから、当年度中631億円減少し、当年度末残高は3兆4,137億円となりました。

2024年3月に日銀のマイナス金利政策が解除されたことで、金利上昇局面での預金獲得の重要性が増し、インターネット銀行や県外他行を含めた金融機関同士の預金獲得競争が激化していることが減少要因の一つと考えております。預金は運用原資(収益の源)であるとの再認識のもと、預金確保に取り組んでいく方針であり、特に、粘着性の高い個人預金の確保に向けて全年齢層へのアプローチを展開し、生活口座としての集約化や各種サービスの高度化を促進してまいります。

預り資産は、保険や公共債の残高が増加したことから、当年度中141億円増加し、当年度末残高は3,778億円となりました。海外金利の上昇を主因に外貨建保険の販売が堅調に推移したことや、当年度後半以降、国内金利の上昇から円建保険や個人向け国債の販売額が大きく増加したことが増加要因と考えております。地域のお客さまの資産形成や資産寿命の長寿化に寄与していくことは、長期ビジョン「価値共創カンパニー」の実現につながるという考えのもと、引き続き、お客さまの多様なニーズに対応した商品・サービスを提供し、より一層残高の積み上げを図ってまいります。

(単位:億円)

 

2023年度

2024年度

増減額

預金等残高(連結)

34,769

34,137

△631

預金等残高(単体)

34,852

34,222

△629

 

個人預金

22,545

22,556

11

 

法人預金

7,280

6,904

△375

 

公金預金

4,784

4,507

△277

 

金融機関預金

242

253

11

 

 

預り資産残高

3,637

3,778

141

 

投資信託

905

902

△2

 

公共債

284

355

70

 

保険

2,447

2,520

73

 

 

② 貸出金

貸出金は、法人及び個人、地方公共団体向け貸出がそれぞれ増加したことから、当年度中1,065億円増加し、当年度末残高は2兆1,976億円となりました。当年度は、貸出業務の競争力強化に向けた全行プロジェクトを立ち上げ、営業活動により注力できるフロント体制の整備や、営業戦略の再構築による行員の行動改革と意識改革を実施しました。

中期経営計画の目標である「連結当期純利益70億円」「連結ROE4%以上」を達成するためには、より一層貸出金の強化に注力していく必要があります。引き続き、事業性理解を丁寧に行うことで資金ニーズを汲み取っていくほか、岩手県の主力産業である自動車・半導体分野の進出企業に対する支援や交流人口増加による不動産需要の取込を強化してまいります。

(単位:億円)

 

2023年度

2024年度

増減額

貸出金残高(連結)

20,911

21,976

1,065

貸出金残高(単体)

20,993

22,066

1,073

 

法人向け

12,135

12,982

847

 

(中小企業向け)

7,186

7,837

650

 

個人向け

5,356

5,518

162

 

地方公共団体向け

3,501

3,565

64

 

 

③ 有価証券

有価証券は、国債を中心に債券が増加したことなどから、当年度中547億円増加し、当年度末残高は1兆1,942億円となりました。当年度は、金利上昇局面に応じ国内長期債の積み増しを軸にポートフォリオの再構築に取り組んでまいりました。

グローバル経済は不確実性の高い状態が続いており、分散投資が機能しない局面(株安・債券安)も生じ得るため、各種リスクに十分注意した運用が求められる環境にあります。償還再投資にあたっては、イールドカーブの形状を注視しながら柔軟に対応するほか、エクイティ資産については、平準買いも含め時間分散しながら慎重に残高積み上げを図ってまいります。

(単位:億円)

 

2023年度

2024年度

増減額

有価証券残高

11,395

11,942

547

 

債券

8,124

8,599

474

 

株式

508

491

△16

 

その他の証券

2,761

2,851

89

 

 

④ 自己資本比率

自己資本の充実度合については、各リスクカテゴリーに配賦したリスク資本の範囲内にリスク量が収まっていることを月次でモニタリングしており、その結果から十分な水準を維持していると評価しております。今次中期経営計画では、適正な自己資本水準を確保しつつ、リスク・アセットの積み上げと成長分野への戦略的投資に資本を活用していく方針としております。当年度は、自己資本が増加したことなどから、連結自己資本比率は前年度末比0.10ポイント上昇11.39%、単体自己資本比率は同0.14ポイント上昇11.09%となりました。

「成長投資」「適正な自己資本の水準の確保」「株主還元の充実」の3つをバランスよく運用し企業価値向上を目指してまいります。

 

(連結)                                     (単位:億円、%)

 

2023年度

2024年度

増減額

自己資本(a)

1,774

1,817

42

リスク・アセット(b)

15,718

15,946

227

自己資本比率(a/b)

11.29

11.39

0.10

 

 

  (単体)

自己資本(a)

1,711

1,759

47

リスク・アセット(b)

15,629

15,857

228

自己資本比率(a/b)

10.95

11.09

0.14

 

 

(2)経営成績

① 概要

経常収益は、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益が増加したことなどにより、前年度比52億92百万円増収491億78百万円となりました。

経常費用は、預金利息などの資金調達費用が増加したことなどにより、前年度比24億67百万円増加393億97百万円となりました。

この結果、経常利益は前年度比28億25百万円増益97億80百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度比27億51百万円増益69億76百万円となりました。

2025年度の業績見通しにつきましては、貸出金利息や有価証券利息配当金など資金運用収益の増加を織り込み、連結経常利益109億円、親会社株主に帰属する当期純利益は75億円を予想しております。また、当行単体では、経常利益108億円、当期純利益75億円を予想しております。

 

また、セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

○銀行業

経常収益は、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益が増加したことなどにより、前年度比50億36百万円増収437億4百万円となりました。預金利息などの資金調達費用が増加しましたが、資金運用収益の増加が資金調達費用の増加を上回ったことから、セグメント利益は同29億24百万円増益95億49百万円となりました。

○リース業

リース業については、リース業務を行う連結子会社「いわぎんリース株式会社」で構成しています。

経常収益は、リース料収入が増加したことなどにより、前年度比1億61百万円増収46億6百万円となりましたが、資金調達費用や経費が増加したことなどにより、セグメント利益は同30百万円減益の1億67百万円となりました。

○クレジットカード業・信用保証業

クレジットカード業・信用保証業については、クレジットカード業務及び信用保証業務を行う「株式会社いわぎんディーシーカード」及び「株式会社いわぎんクレジットサービス」の連結子会社2社で構成しています。

経常収益は、受入保証料が減少したことなどにより、前年度比79百万円減収の11億56百万円となりました。また、与信費用が増加したことなどから、セグメント利益は同1億38百万円減益の2億2百万円となりました。

○その他の業務

 その他の業務については、コンサルティング業務を行う「いわぎんリサーチ&コンサルティング株式会社」、地域商社業務を行う「manordaいわて株式会社」、投資業務を行う「いわぎん未来投資株式会社」及び「いわぎん事業創造キャピタル株式会社」の連結子会社4社で構成しております。なお、「いわぎん事業創造キャピタル株式会社」は、前年度は持分法非適用の関連会社でしたが、株式の追加取得により、当年度より連結の範囲に含めております。

経常収益は、М&A業務や事業承継業務収入が増加したことから、前年度比1億48百万円増収の7億39百万円となりました。また、セグメント利益は同96百万円増益の1億98百万円となりました。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

a.与信関係費用

貸倒引当金の計上や、不良債権の処理等により発生する与信関係費用は、個別貸倒引当金繰入額や貸出金償却が減少したことなどから、前年度比6億35百万円減少8億94百万円となりました。

(単位:百万円)

 

2023年度

2024年度

増減額

与信関係費用

1,529

894

△635

 

一般貸倒引当金繰入額

△530

△309

220

 

不良債権処理額

2,059

1,221

△838

 

 

貸出金償却

158

3

△154

 

 

個別貸倒引当金繰入額

1,791

1,042

△749

 

 

偶発損失引当金繰入額

90

160

69

 

 

債権売却損

19

15

△4

 

貸倒引当金戻入益(△)

 

償却債権取立益(△)

0

17

17

 

 

 

b.有価証券関係損益

有価証券の売却や償還、または時価の著しい下落等から生じる有価証券関係損益は、株式等売却益が減少したほか、国債等債券償還損が増加したことなどから、前年度比11億82百万円減少△14億99百万円となりました。

(単位:百万円)

 

2023年度

2024年度

増減額

有価証券関係損益

△317

△1,499

△1,182

 

国債等債券損益

△1,210

△1,505

△295

 

 

売却益

1

1

 

 

償還益

 

 

売却損(△)

935

462

△473

 

 

償還損(△)

274

1,044

770

 

 

償却(△)

 

株式等損益

893

6

△886

 

 

売却益

1,022

132

△890

 

 

売却損(△)

123

121

△1

 

 

償却(△)

6

4

△2

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

① 概要

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度は339億44百万円のマイナスでしたが、当年度は1,524億28百万円のマイナスとなりました。これは、前年度、当年度ともに貸出金が増加したことなどによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度は470億21百万円のマイナスでしたが、当年度は907億90百万円のマイナスとなりました。これは、有価証券運用において、前年度、当年度ともに売却・償還による収入が取得による支出を下回ったことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度は22億76百万円のマイナスでしたが、当年度は15億99百万円のマイナスとなりました。これは、配当金の支払などによるものです。

以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は当年度中2,448億19百万円減少し、3,180億39百万円となりました。

② 資本の財源及び資金の流動性

当行では、適切な水準の流動性を維持することが事業活動において極めて重要であると認識しており、お客さまからお預かりした預金を主な源泉とし、地域の中小企業等向け融資を中心とした貸出金及び有価証券への運用を行うなかで、円滑な決済等に必要な水準の流動性を確保しています。

また、当面の設備投資及び株主還元等は自己資金で対応する予定です。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

(5)生産、受注及び販売の実績

「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載していません。

 

(参考)

(1) 国内・国際業務部門別収支

資金運用収支は、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益が増加したことから、前連結会計年度比35億92百万円増312億39百万円となりました。内訳を見ますと、国内業務部門が前連結会計年度比33億94百万円増290億4百万円、国際業務部門が前連結会計年度比1億99百万円増22億35百万円となりました。

役務取引等収支は、為替受入手数料や預り資産関連手数料が増加したことなどにより、前連結会計年度比1億14百万円増61億99百万円となりました。

その他業務収支は、国債等債券償還損の増加などにより、前連結会計年度比1億79百万円減△22億95百万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

25,610

2,036

27,647

当連結会計年度

29,004

2,235

31,239

うち資金運用収益

前連結会計年度

26,162

2,087

28,250

当連結会計年度

31,844

2,304

65

34,084

うち資金調達費用

前連結会計年度

551

50

602

当連結会計年度

2,840

69

65

2,844

役務取引等収支

前連結会計年度

6,071

13

6,085

当連結会計年度

6,187

11

6,199

うち役務取引等収益

前連結会計年度

9,639

35

9,675

当連結会計年度

9,912

33

9,946

うち役務取引等費用

前連結会計年度

3,567

21

3,589

当連結会計年度

3,724

21

3,746

その他業務収支

前連結会計年度

△466

△1,649

△2,116

当連結会計年度

△1,021

△1,274

△2,295

うちその他業務収益

前連結会計年度

4,297

4,297

当連結会計年度

4,480

4,480

うちその他業務費用

前連結会計年度

4,764

1,649

6,414

当連結会計年度

5,501

1,274

6,775

 

(注) 1 国内業務部門とは当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門とは当行及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、当行の円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度4百万円)を控除して表示しております。

3 資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。

 

 

(2) 国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況

① 国内業務部門

資金運用勘定の平均残高は、貸出金や預け金が増加したことにより前連結会計年度比1,236億円増3兆7,006億円となりました。また、利回りは、貸出金及び有価証券の利回り上昇を主因として、前連結会計年度比0.13ポイント上昇0.86%となりました。この結果、資金運用利息は、前連結会計年度比56億82百万円増318億44百万円となりました。

資金調達勘定の平均残高は、預金等の減少により前連結会計年度比247億円減3兆6,142億円となりました。資金調達利息は、前連結会計年度比22億89百万円増28億40百万円となりました。また、利回りは、前連結会計年度比0.06ポイント上昇0.07%となりました。

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

(122,438)

3,576,983

()

26,162

0.73

当連結会計年度

(130,415)

3,700,600

(65)

31,844

0.86

うち貸出金

前連結会計年度

2,043,182

18,099

0.88

当連結会計年度

2,142,925

21,022

0.98

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

1,040,469

7,805

0.75

当連結会計年度

1,046,402

9,872

0.94

うちコールローン及び
買入手形

前連結会計年度

148,330

21

0.01

当連結会計年度

29,361

79

0.27

うち預け金

前連結会計年度

215,414

218

0.10

当連結会計年度

346,421

787

0.22

資金調達勘定

前連結会計年度

3,639,020

551

0.01

当連結会計年度

3,614,247

2,840

0.07

うち預金

前連結会計年度

3,252,293

91

0.00

当連結会計年度

3,232,351

2,099

0.06

うち譲渡性預金

前連結会計年度

175,138

3

0.00

当連結会計年度

138,487

102

0.07

うちコールマネー及び
売渡手形

前連結会計年度

21,499

△12

△0.05

当連結会計年度

794

1

0.21

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

39,823

3

0.01

当連結会計年度

23,640

2

0.00

うち借用金

前連結会計年度

158,268

0

0.00

当連結会計年度

223,282

41

0.01

 

(注) 1 国内業務部門とは当行及び連結子会社の円建取引であります。ただし、当行の円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度155,241百万円、当連結会計年度20,972百万円)を、資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度8,214百万円、当連結会計年度5,902百万円)及び利息(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度4百万円)を控除して表示しております。

3 ( )内は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。

 

 

② 国際業務部門

資金運用勘定の平均残高は、有価証券の増加などにより前連結会計年度比70億円増1,326億円となりました。資金運用利息は、前連結会計年度比2億17百万円増23億4百万円となりました。また、利回りは、前連結会計年度比0.07ポイント上昇1.73%となりました。

資金調達勘定の平均残高は、前連結会計年度比68億円増1,323億円となりました。資金調達利息は、前連結会計年度比19百万円増69百万円となりました。また、利回りは、前連結会計年度比0.01ポイント上昇0.05%となりました。

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

125,647

2,087

1.66

当連結会計年度

132,649

2,304

1.73

うち貸出金

前連結会計年度

4,452

78

1.76

当連結会計年度

3,199

23

0.73

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

117,368

1,991

1.69

当連結会計年度

125,625

2,263

1.80

うちコールローン及び
買入手形

前連結会計年度

41

2

5.67

当連結会計年度

62

3

5.22

うち預け金

前連結会計年度

当連結会計年度

資金調達勘定

前連結会計年度

(122,438)

125,506

()

50

0.04

当連結会計年度

(130,415)

132,351

(65)

69

0.05

うち預金

前連結会計年度

2,163

2

0.13

当連結会計年度

1,849

1

0.10

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー及び
売渡手形

前連結会計年度

831

47

5.72

当連結会計年度

45

2

5.22

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

当連結会計年度

 

(注) 1 国際業務部門とは当行の外貨建取引であります。なお、当行の円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度4百万円、当連結会計年度4百万円)を控除して表示しております。

3 ( )内は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。

4 国際業務部門の国内店外貨建取引の平均残高は、月次カレント方式(前月末TT仲値を当該月の外貨建取引に適用する方式)により算出しております。

 

 

③ 合計

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

3,580,192

28,250

0.78

当連結会計年度

3,702,834

34,084

0.92

うち貸出金

前連結会計年度

2,047,634

18,178

0.88

当連結会計年度

2,146,124

21,045

0.98

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

1,157,838

9,797

0.84

当連結会計年度

1,172,027

12,136

1.03

うちコールローン
及び買入手形

前連結会計年度

148,372

23

0.01

当連結会計年度

29,424

82

0.28

うち預け金

前連結会計年度

215,414

218

0.10

当連結会計年度

346,421

787

0.22

資金調達勘定

前連結会計年度

3,642,088

602

0.01

当連結会計年度

3,616,184

2,844

0.07

うち預金

前連結会計年度

3,254,457

94

0.00

当連結会計年度

3,234,201

2,101

0.06

うち譲渡性預金

前連結会計年度

175,138

3

0.00

当連結会計年度

138,487

102

0.07

うちコールマネー
及び売渡手形

前連結会計年度

22,330

35

0.15

当連結会計年度

839

4

0.48

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

39,823

3

0.01

当連結会計年度

23,640

2

0.00

うち借用金

前連結会計年度

158,268

0

0.00

当連結会計年度

223,282

41

0.01

 

(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度155,246百万円、当連結会計年度20,976百万円)を、資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度8,214百万円、当連結会計年度5,902百万円)及び利息(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度4百万円)を控除して表示しております。

2 国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息は、相殺して記載しております。

 

 

(3) 国内・国際業務部門別役務取引の状況

役務取引等収益は、為替受入手数料や預り資産関連手数料の増加などにより、前連結会計年度比2億71百万円増99億46百万円、役務取引等費用は、住宅ローン関連手数料の増加などにより、同1億57百万円増37億46百万円となりました。

内訳を見ますと、役務取引等収益は国内業務部門が前連結会計年度比2億73百万円増99億12百万円、国際業務部門が同2百万円減33百万円となりました。役務取引等費用は国内業務部門が前連結会計年度比1億57百万円増37億24百万円、国際業務部門が前年度並み21百万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

9,639

35

9,675

当連結会計年度

9,912

33

9,946

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

2,047

2,047

当連結会計年度

1,879

1,879

うち為替業務

前連結会計年度

2,046

35

2,081

当連結会計年度

2,221

32

2,254

うち代理業務

前連結会計年度

1,884

1,884

当連結会計年度

1,808

1,808

うち証券関係業務

前連結会計年度

367

367

当連結会計年度

493

493

うち保護預り・貸金庫業務

前連結会計年度

25

25

当連結会計年度

24

24

うち保証業務

前連結会計年度

344

0

344

当連結会計年度

311

0

311

うちクレジット
カード業務

前連結会計年度

796

796

当連結会計年度

773

773

役務取引等費用

前連結会計年度

3,567

21

3,589

当連結会計年度

3,724

21

3,746

うち為替業務

前連結会計年度

150

8

158

当連結会計年度

204

8

213

 

(注) 国際業務部門には、当行の外国為替業務等に関する収益、費用を計上しております。

 

 

(4) 国内・国際業務部門別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)
 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

3,235,110

1,693

3,236,803

当連結会計年度

3,196,210

1,811

3,198,021

うち流動性預金

前連結会計年度

2,317,377

2,317,377

当連結会計年度

2,292,252

2,292,252

うち定期性預金

前連結会計年度

897,435

897,435

当連結会計年度

876,989

876,989

うちその他

前連結会計年度

20,296

1,693

21,989

当連結会計年度

26,968

1,811

28,780

譲渡性預金

前連結会計年度

240,126

240,126

当連結会計年度

215,715

215,715

総合計

前連結会計年度

3,475,236

1,693

3,476,929

当連結会計年度

3,411,926

1,811

3,413,737

 

(注) 1 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

2 定期性預金=定期預金+定期積金

3 国内業務部門とは当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門とは当行の外貨建取引であります。ただし、当行の円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

 

(5) 国内・特別国際金融取引勘定別貸出金残高の状況

① 業種別貸出状況(末残・構成比)
 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内
(除く特別国際金融取引勘定分)

2,091,126

100.00

2,197,657

100.00

製造業

189,897

9.08

213,209

9.70

農業,林業

8,381

0.40

9,214

0.42

漁業

744

0.04

834

0.04

鉱業,採石業,砂利採取業

2,965

0.14

2,365

0.11

建設業

61,831

2.96

64,034

2.91

電気・ガス・熱供給・水道業

122,686

5.87

124,729

5.68

情報通信業

10,895

0.52

13,334

0.61

運輸業,郵便業

40,987

1.96

40,864

1.86

卸売業,小売業

133,687

6.39

144,131

6.56

金融業,保険業

264,142

12.63

283,749

12.91

不動産業,物品賃貸業

227,839

10.90

246,777

11.23

各種サービス業

136,436

6.52

142,459

6.48

地方公共団体

350,154

16.74

356,571

16.23

その他

540,475

25.85

555,379

25.27

特別国際金融取引勘定分

政府等

 

 

金融機関

 

 

その他

 

 

合計

2,091,126

2,197,657

 

 

 

② 外国政府等向け債権残高(国別)

該当ありません。

 

(6) 国内・国際業務部門別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

187,348

187,348

当連結会計年度

238,895

238,895

地方債

前連結会計年度

279,111

279,111

当連結会計年度

286,005

286,005

社債

前連結会計年度

346,038

346,038

当連結会計年度

335,043

335,043

株式

前連結会計年度

50,838

50,838

当連結会計年度

49,165

49,165

その他の証券

前連結会計年度

160,373

115,825

276,198

当連結会計年度

160,572

124,555

285,128

合計

前連結会計年度

1,023,709

115,825

1,139,534

当連結会計年度

1,069,682

124,555

1,194,237

 

(注) 1 国内業務部門とは当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門とは当行の外貨建取引であります。

2 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

(自己資本比率の状況)

(参考)

自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

(単位:億円、%)

 

2025年3月31日

1.連結自己資本比率(2/3)

11.39

2.連結における自己資本の額

1,817

3.リスク・アセットの額

15,946

4.連結総所要自己資本額

637

 

 

単体自己資本比率(国内基準)

(単位:億円、%)

 

2025年3月31日

1.自己資本比率(2/3)

11.09

2.単体における自己資本の額

1,759

3.リスク・アセットの額

15,857

4.単体総所要自己資本額

634

 

 

(資産の査定)

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2 危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3 要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4 正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

 

債権の区分

2024年3月31日

2025年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

79

82

危険債権

348

399

要管理債権

87

87

正常債権

20,716

21,694

 

 

 

 

5 【重要な契約等】

該当ありません。

 

6 【研究開発活動】

該当ありません。