第2【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

 

(経営方針)

当行は、地域社会への安定的資金供給を使命として設立された銀行であり、「地域金融機関として地域社会の発展に尽くし共に栄える」ことを経営理念として、地域経済の中核を担う中小企業等の皆さまを中心に営業活動を展開しております。

(経営環境についての経営者の認識)

当連結会計年度におけるわが国経済は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復しております。企業収益は、価格転換の進展による売上高の増勢などにより改善しております。設備投資は、省力化需要の高まりなどからソフトウェア投資が増加するなど、持ち直しの動きがみられております。個人消費は、物価上昇の影響により、食料品を中心に弱い動きとなっている一方、新車販売台数は持ち直しております。また、サービス消費は外食が緩やかに増加するなど、一部に足踏みが残るものの持ち直しの動きがみられております。今後は、賃金上昇による所得環境の改善などにより、緩やかな景気回復が期待されておりますが、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響や通商政策などアメリカの政策動向、金融資本市場の変動などの影響を注視する必要があります。

金融情勢に目を移しますと、日本銀行は2%の「物価安定の目標」の持続的、安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断し、政策金利を0.50%程度に引き上げております。今後も経済、物価の見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくとしております。

株式市場については、40,000円台でスタートした日経平均株価は、7月に海外投資家の買いが優勢となり、最高値を更新しております。しかしながら、8月には米国景気の先行き不安などを背景に歴史的な下落幅を記録しました。その後、急速に持ち直す展開もありましたが、政策金利の引き上げによる株価の下落、米国の関税政策の影響などからリスクオフ状態となり、2025年3月末の終値は35,617円となりました。

当行グループの主要な営業基盤である岩手県経済においては、設備投資では慎重な需要見通しなどから製造業、非製造業がともに減少しております。生産活動は、生産用機械で海外の半導体メーカーからの受注増加を背景に生産が増加していることなどから、持ち直しております。個人消費は、雇用所得環境が改善するもとで、飲食及び宿泊のサービス消費を中心に緩やかに回復しております。総じて、岩手県内の経済は緩やかに持ち直しております。

 

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

当行を取り巻く経営環境は、人口減少による国内市場の縮小や異業種との競争激化などに加え、金利環境の変化や米国新政権による政策発動に伴う影響等により先行きが不透明な状況となっております。また、デジタル化の急速な進展やそれに伴う異業種の参入、SDGsや気候変動対策、人的資本投資といったサステナビリティへの意識の高まりなど、取り巻く経営環境は刻一刻と変化しており、対応すべき多くの課題に直面しております。

取り巻く環境や当行の課題を踏まえた上で「とうぎんⅤisiоn」の実現に向けては、社会全体の発展と地域との絆の深化を図り、お客さまの期待に応えるとともに、当行自身の成長と健全な経営基盤強化が求められます。

そのような認識のもと、「共感・共鳴・共創」をテーマに掲げた3年間の第2次中期経営計画を策定しました。第2次中期経営計画では、重点戦略として「プロジェクトⅠ ~地域の活性化支援~」、「プロジェクトⅡ ~脱炭素化支援と一次産業支援~」、「プロジェクトⅢ ~収益力の拡大~」、「プロジェクトⅣ ~組織力の強化~」の4つの「プロジェクト」を推進してまいります。

第2次中期経営計画における最終年度(2028年3月期)の経営数値目標(単体)については、当期純利益20億円、お客さまサービス等利益(本業利益)20億円、自己資本比率8.5%以上、総預金残高1兆円、総貸出金残高7,500億円としております。

当行の創立75周年を迎える重要な節目である2025年度のさらなる飛躍に向け、役職員一丸となり第2次中期経営計画における重点戦略を着実に遂行していくとともに、お客さまへの金融支援や本業支援等を通じて地域経済を活性化させ、「地域力の向上」に貢献してまいります。

 

 

(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

・「第2次中期経営計画」における経営数値目標(単体)

[2028年3月期]

当期純利益         ・・・20億円

お客さまサービス等利益(注)・・・20億円

自己資本比率        ・・・8.5%以上

総預金残高         ・・・1兆円

総貸出金残高        ・・・7,500億円

(注)お客さまサービス等利益とは、有価証券関連収益を加味しない預貸金業務及び役務取引等業務から得られる利益とし、次の算式により算出します。

 

お客さまサービス等利益 = 「貸出金平均残高」×「預貸金利回較差」+「役務取引等利益」-「営業経費」

 

なお、経営数値目標は、その達成を当行として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(経営戦略等)

当行では、中期経営計画を「長期経営計画」を達成するための3カ年の戦略と位置付けており、その第2フェーズであることから「第2次中期経営計画」としております。第1次から第5次までの中期経営計画を達成することで、「長期経営計画」の達成を目指します。

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2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループが判断したものであることに加え、算定した各種数値に関しても一定の基準のもと算出したものであり、第三者認証等を取得しているものではございません。今後、分析の精緻化や基準等の変更に伴い、公表数値等を変更する場合があります。

また、人的資本については、当行においては関連する指標データ管理とともに具体的な取組みが行われているものの、連結グループにおける全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、人的資本については当行のものを記載しております。

 

(1)ガバナンス

 当行グループでは、2023年3月に「サステナビリティ方針」を策定し、持続可能な地域社会の実現に向けて取り組んでおります。また、サステナビリティに関する課題を経営上の重要事項として捉えており、頭取を議長とする常務会においてサステナビリティ全般に関わる社会的課題解決のための具体的な取組み等について議論する体制としております。なお、適宜取締役会に報告し、報告された内容に対し、適切に監督する体制を構築しております。

 

(2)戦略

(気候変動対策)

①リスク及び機会

 当行グループは、気候変動に伴うリスクを移行リスク、物理的リスクに分けて捉えており、それぞれのリスク及び機会に関して、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で評価及び特定をしております。移行リスク、物理的リスクの定量化に向け、引続き取り組んでまいります。

 機会に関して、お取引先の脱炭素化等に向けた、各種ソリューションの充実を図っているほか、2024年2月に他業銀行業高度化等会社として「とうぎんリニューアブル・エナジー株式会社」を設立しており、再生可能エネルギー発電事業等を通じて脱炭素化の推進に取り組んでおります。

 

 

 

 

内容

リスクカテゴリ

影響度

時間軸

お取引先の脱炭素化に向けた事業及び投資に係る資金需要の増加

短期~長期

サステナビリティや脱炭素化に向けたお取引先の取組み支援機会の増加

短期~長期

サステナビリティを意識した経営による企業価値向上

短期~長期

当行グループの省エネルギー化及び脱炭素化による事業コストの低下

短期~長期

リスク

移行リスク

炭素税など税制及び政策変更によるお取引先の損失

信用リスク

短期~長期

消費者行動の変化によるお取引先の財務面への影響

信用リスク

短期~長期

脱炭素化に向けた取組みや開示が不十分である場合の当行グループ及びお取引先への風評被害

風評リスク

短期~長期

物理的リスク

気候変動に伴う災害発生頻度の高まり及び平均気温や海水面上昇の懸念

信用リスク

(急性リスク)

(慢性リスク)

中期~長期

大規模災害に伴う、当行本支店等への物理的被害、人的被害及び事業継続に係る被害

オペレーショナル・リスク

(急性リスク)

中期~長期

気候変動を起因とした大規模災害により、不動産担保物件の毀損や事業停止によるお取引先の財務面への影響

信用リスク

(急性リスク)

中期~長期

 

 

(ⅰ)重要セクターの特定

 当行の業種分類に基づき、貸出金額、気候変動影響度及び当行が注力している分野等を考慮し、気候変動によって当行グループに与える影響が大きい「重要セクター」は次のとおりであります。

業種

気候変動影響度

貸出金額

重要度

不動産業

建設業

陸運業(注1)

第一次産業(注2)

(注)1.鉄道、バス、陸上貨物輸送、その他道路運輸業、その他運輸業を陸運業と定義しております。

   2.農業、林業、漁業事業者を第一次産業と定義しております。

 

(ⅱ)シナリオ分析

 当行が重要セクターとして定めた、「不動産業」、「建設業」、「陸運業」、「第一次産業」の4業種に対し、2℃シナリオ、4℃シナリオに基づき、定性的な分析を実施しております。

業種

2℃シナリオ(移行リスク)

4℃シナリオ(物理的リスク)

不動産業

・炭素税の導入

・ZEB、ZEH対応による建築コストの上昇

・環境への配慮が不十分な場合の物件価値の低下及び事業者への風評被害

など

・気候変動による海面上昇や自然災害の増加に伴う、既存の不動産の毀損及び価値の低下

など

建設業

・炭素税の導入

・建材コスト等の調達コストの上昇

・脱炭素化に向けた既存機器の更改及び座礁資産化

など

・気温上昇による作業現場における健康被害の増加

・サプライチェーン寸断による建材等の更なる調達コストの増加

など

陸運業

・炭素税の導入

・燃料価格等の高騰によるコスト上昇

・脱炭素化に向けた既存車両の更改及び座礁資産化

・脱炭素化対応の遅れによる風評被害及びサプライチェーンからの締め出し

など

・燃料価格等の更なる高騰によるコスト上昇

・自然災害の激甚化等に伴う、車両等の毀損及び価値の低下

・災害に対する保険料の増加に伴う、コストの増加

など

第一次産業

・炭素税の導入

・低炭素化に向けた、新技術への対応や既存器具の更改及び座礁資産化

・肥料、飼料価格の高騰による耕作、肥育コストの上昇

など

・自然災害の増加による耕作物への影響の増加

・気温上昇や害虫被害、降水量の変化による耕作不良

・既存耕作物が育てられなくなることによる業態転換

・海面、海水温上昇による魚種の変化や漁獲量への影響

など

 

 

②炭素関連資産の特定

 当行の貸出金に占める炭素関連資産の割合は24.47%であります。

(単位:百万円)

セクター

項目

2024年度

エネルギー

金額

10,495

貸出金に占める割合

1.50%

運輸

金額

21,123

貸出金に占める割合

3.03%

素材・建築物・資本財

金額

112,373

貸出金に占める割合

16.09%

農業・食料・林産物

金額

26,903

貸出金に占める割合

3.85%

炭素関連資産合計

170,895

貸出金に占める割合

24.47%

[算定基準について]

・TCFDが提唱している定義に基づき、当行の産業分類を用いて、エネルギー、運輸、素材・建築物・資本財、農業・食料・林産物の4セクターを基に炭素関連資産としております。なお、エネルギーセクターに関して、水道事業者、再生可能エネルギー事業者は除いております。

 

(人的資本)

①人材の採用について

 当行では、行内における多様性の確保が経営理念の継承及び持続的な成長をする上での強みになると認識しており、性別や国籍、出身地などに寄らず、応募者の適性・能力のみを基準とした公正公平な採用活動を基本としております。

 当行のコアバリュー(経営理念)である「地域金融機関として地域社会の発展に尽くし共に栄える」に共感し、パーパス(存在意義)である「地域力の向上」に向けて、学び・考え・行動する人材を採用してまいります。

 

②人材育成方針

 当行では2023年に人材育成方針を策定し、地域の発展を支える人材を「とうぎん型人材」と定義し、

3C(Challenge(挑戦)、Communication(意思疎通)、Conceptual skills(課題解決力))能力を備えた人材の育成に努めております。また、個々のキャリアプランに合わせた幅広い教育研修の機会を提供するなど、「個性・特性を活かした人材育成」に継続して取り組んでおります。

 2025年4月からの第2次中期経営計画においては、人材ポートフォリオを中核とする人材戦略を策定し、将来を見据えた人材の育成に向け、各種研修の充実、他業種との交流事業の推進、各種資格取得の推進を中心に取り組んでまいります。

 キャリアアップのサポートについては、半年に3回上司との面談機会を設け、希望する業務及び将来的に異動したい部署を確認し、キャリアプランの擦り合わせを行うとともに、課題に対する改善策のアドバイスや指導を行っております。

 

③社内環境整備方針

 当行で働くすべての従業員がその能力を十分に発揮し、活躍できる環境づくりの実現に向けて「仕事と家庭の両立支援」及び「健康経営」等を推進し、多様性を尊重する企業文化の醸成に取り組んでおります。

 自宅から通勤圏内の支店に配属するエリア行員制度の制定や短時間勤務制度の導入により、子育て・介護世代のライフプランに合わせた働き方を支援しております。

 また、2018年に「健康宣言」を制定し、「からだの健康づくり」、「こころの健康づくり」及び「職場の健康づくり」を三本柱として、経営のパートナーである東北銀行従業員組合と協力し、安全衛生管理体制をはじめ、健康経営に取り組んでおります。具体的には、保健師による全従業員に対する保健指導や定期健康診断受診率及び定期健康診断実施後の再検査・要精密検査受診率100%を推進し、従業員の健康の維持・増進に取り組んでおります。

 

 

(当行における定期健康診断受診率、再検査・要精密検査受診率)

 

2023年3月末

2024年3月末

2025年3月末

定期健康診断受診率

100%

100%

100%

再検査・要精密検査受診率

92.2%

95.4%

96.9%

 

④女性の活躍推進

 当行では、「男女分け隔てなく能力に応じて責任を与える」「意欲・能力の高い女性は支店長や課長に積極的に登用していく」との考えのもと、女性の活躍推進に取り組んでおります。2025年3月末時点では、営業店の内部事務を担当する業務課の課長のうち95.6%が女性であります。また、女性管理職比率も高水準で推移するなど、継続して取り組んできた成果が表れております。

 女性の採用も積極的に行っており、2024年度に入行した行員39名(新卒)の内、女性は16名(41.0%)となっております。

 2006年に非正規行員から正規行員への登用制度を制定し、累計で125名の女性を正規行員へ登用しております。2024年度においても女性1名を登用しております。

 また、女性の活躍推進している企業として、厚生労働省から2012年に「くるみん」、2016年に「えるぼし(最高位)」の認定を受けております。

 2025年4月からの第2次中期経営計画においては、人事制度の改定およびキャリア研修等の開催により、女性活躍の更なる推進に向け取り組んでまいります。

 

(当行における女性管理職比率推移)

 

2023年3月末

2024年3月末

2025年3月末

女性管理職比率

25.9%

25.1%

25.6%

 

(2024年度の当行における採用者数)

 

男性(名)

女性(名)

女性比率

新卒採用者数

23

16

41.0%

 

(2024年度の当行における正行員登用者数)

 

男性(名)

女性(名)

女性比率

正行員登用者数

100%

 

(2025年3月末の当行における正行員男女の勤続年数・男女の勤続年数差異)

 

男性(年)

女性(年)

男女の勤続年数差異

勤続年数

17.58

15.37

87.4%

 

 

 

(3)リスク管理

 当行グループは、気候変動に起因する移行リスク及び物理的リスクが将来的に、財政状態及び営業成績に影響を与える可能性があることを認識しております。

 また、リスク管理に関する内容として、サステナビリティ方針に基づき「投融資方針」を定めております。

 

 

―投融資方針―

[環境、地域社会にポジティブな影響を与える事業及び事業者への投融資方針]

〇次の事業及び事業に携わる事業者への投融資は、積極的に行ってまいります。

・地域脱炭素化につながる再生可能エネルギー開発事業及び当該事業に携わる事業者

・農林水産業等の一次産業事業者の振興につながる事業及び当該事業に携わる事業者

・地域社会や地域経済の持続的な発展に資する事業及び事業者

[環境、地域社会にネガティブな影響を与える事業及び事業者への投融資方針]

〇次の事業及び事業に携わる事業者への投融資については、原則として行いません。

・石炭火力発電所

 石炭火力発電所及び温室効果ガスの排出量増加につながる事業者への新規投融資は原則として行いません。但し、例外的に対応する必要がある場合には、環境への影響、当該事業の自然環境への配慮状況等を総合的に判断した上で、慎重に検討し、対応してまいります。

・パーム油農園開発事業及び森林伐採に関わる事業等

 パーム油農園の開発事業及び違法な森林伐採等によって生物多様性に悪影響を及ぼす恐れがある事業及び事業者への投融資は一切行いません。

・非人道兵器に関わる事業等

 クラスター弾等の非人道兵器の開発、製造に関与する事業及び事業者への投融資は一切行いません。

・人権侵害、強制労働等に関わる事業等

 強制労働、児童労働及び不当労働等に関与する事業及び事業者への投融資は一切行いません。

 

(4)指標及び目標

(気候変動対策)

①SCOPE1・2

当行グループでは、2030年度のCO2排出量について、2013年度比46%削減を目指し、取り組んでおります。

なお、2024年度のCO2排出量は2013年度比34.0%削減となっており、順調に削減が進んでおります。

(単位:t-CO2)

 

2013年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

2030年度

(計画)

SCOPE1(注1)

(直接排出)

1,136

618

662

586

465

(注3)

SCOPE2(注2)

(間接排出)

1,564

1,452

1,490

1,315

1,317

合計

2,700

2,070

2,153

1,902

1,782

1,458

2013年度比

▲23.3%

▲20.3%

▲29.5%

▲34.0%

▲46.0%

(注)1.車両によるガソリン等の使用や店舗におけるガス等の使用に伴う直接排出であります。

2.他社から供給された電気の使用に伴う間接排出であります。

3.2030年度(計画)については、SCOPE1及びSCOPE2で1,242t-CO2のCO2排出量の削減を計画しております。

 

 

②SCOPE3

SCOPE3は、自社の直接排出(SCOPE1)や、購入した電力・熱などの使用による間接排出(SCOPE2)を除いたその他すべての間接的な温室効果ガス排出を指しています。

当行グループは、2024年度より企業の総排出量の大部分を占めることが多いSCOPE3の算定に取り組んでおり、従業員の出張、通勤に伴う排出量を算定しました。

カテゴリ15(投融資)については、今後の開示に向けた検討を進めてまいります。

 

(単位:t-CO2)

SCOPE3カテゴリ

2023年度

2024年度

カテゴリ6(出張)

72

78

カテゴリ7(通勤)

214

220

合計

286

298

 

(人的資本)

当行では、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

指標

目標(2027年3月末

実績(2025年3月末)

女性管理職比率(注1)

27以上

25.6

男性育児休業及び育児目的休暇取得率(注2)

100

100.0

定期健康診断後の再検査・要精密検査受診率

100

96.9

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

 

 

3 【事業等のリスク】

(リスク管理体制)

当行では業務運営上発生が予想されるリスクについて、統合的リスク管理の考え方のもと、取締役会がリスク管理の基本方針及びリスク管理体制を定めております。

リスク管理の基本方針では、リスクを定量化し自己資本と対比して管理する「統合リスク管理」と、統合リスク管理以外の手法による「その他リスク管理」とに区分しております。前者は、資産・負債の総合管理、自己資本管理、流動性リスク管理に係る事項も含め、経営陣と関係部で構成するALM委員会において管理する体制としております。後者は、リスクの種類ごとに主管部署を明確にし、当該主管部署ごとに管理体制の堅確化に努め、リスクの顕在化を抑制する管理体制としております。

(統合リスク管理)

統合リスク管理については、リスクの種類ごとにリスクの顕在化により発生が予想される損失額を統一的な尺度を用いて、統計的な方法で計測を行い、自己資本を原資として主要なリスク(信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスク)にリスク資本を配賦して、設定したリスク管理枠に収まるよう管理する手法としております。

経営陣と関係部で構成するALM委員会では、毎期リスク管理枠の設定を行い、経営体力に見合ったリスクテイクとなっているかを毎月確認しており、定期的にストレステストを実施することにより、自己資本充実度の検証を実施しております。

 

当行のリスク管理組織体制を図で示すと以下のようになります。

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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、信用リスク及び市場リスクであります。

上記の統合リスク管理において定量的にリスク量を測定している信用リスク、市場リスク及びオペレーショナル・リスクの中でも、信用リスク及び市場リスクはリスク量が大きいため、主要なリスクと認識しております。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであります。

当行はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適正な対応に努めてまいります。

 

(主要なリスク)

(1)信用リスク

融資先の倒産や経営悪化のほか、不動産市場における流動性の欠如又は不動産価額の下落、有価証券価額の下落等により、債務不履行の状態にある債務者に対し担保権を設定した不動産もしくは有価証券を処分できないなどのさまざまな要因によって新たな不良債権処理費用が発生し業績に悪影響を与える可能性があります。

また、当行は、融資先の状況や差し入れられた担保の価値及び経済状況に関する見積り等に基づいて、貸倒引当金を計上しております。2025年3月31日現在の金融再生法開示債権の保全状況は、担保保証等及び貸倒引当金による保全率が銀行単体で76.49%と高い比率となっております。また、非保全額を十分に上回る自己資本を有しております。しかし、実際の貸倒れが貸倒引当金計上時点における見積り等と乖離した場合や担保価値が下落した場合、貸倒引当金が増加し、業績に悪影響を与える可能性があります。

(信用リスクが顕在化する「可能性の程度」、「時期」及び「顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容」)

当行では、財務内容やご返済の状況等の信用度に応じてお取引先を区分する信用格付を実施しており、格付区分毎のリスクの状況に基づいて信用リスクを定量的に把握しております。

具体的には、バリュー・アット・リスク(VaR)により信用リスク量を計測しており、信頼区間99.0%、保有期間1年として算出しております。2025年3月31日現在の信用リスク量は、10億24百万円(2024年3月31日現在は12億54百万円)であります。

(リスクへの対応策)

当行の信用リスク管理については、融資規程(クレジット・ポリシー)の信用リスク管理基本方針に基づき、信用リスク管理体制の整備、与信審査の客観性の確保、問題債権の管理、与信ポートフォリオ管理による与信集中の排除、信用リスクの定量的把握、適正な収益確保等の方針を定めております。さらに、信用リスク管理規定において、目的、定義、範囲、体制及び役割、管理方法等を定め、適正な信用リスク管理が実現するような体制を整備し実施しております。

与信ポートフォリオについても、四半期ごとに信用リスク量、予測最大損失額の把握、分析を行うとともに、改善策等を指示するなどの管理を行っております。具体的な管理手法としては、融資先支援・管理要領に基づき重点管理先を選定し、営業店のモニタリング等を基に年1回、営業店と本部で取組方針協議を実施し、支援及び管理を行っております。また、本部管理・指導が必要な先については、本部担当部署が直接顧客訪問を実施し、経営改善計画策定等の支援・指導を行っております。

問題債権の管理としては、月例の貸出金延滞報告により管理を強化し、条件変更による長期延滞の未然防止や問題解決に向けた取組みを図っております。実質破綻先以下の管理は、毎年1月末を基準日として営業店より債権管理報告を受け、問題解決に向けた方針協議を行い、再建支援や円滑な処理等への協力を含めた取組みを強化しております。

今後につきましても、信用リスク管理の適正化を図るとともに、取組み方針協議に基づく経営改善や事業再支援を本部と営業店の協業により行ってまいります。

 

(2)市場リスク

① 金利リスク

当行は、主に預金により調達した資金を貸出金や有価証券等で運用しておりますが、運用調達期間のミスマッチが存在している中で金利が変動することにより利鞘が縮小し、業績に悪影響を与える可能性があります。

② 価格変動リスク

当行は、市場性のある債券や株式等の有価証券を保有しておりますが、金利の上昇による債券価格の下落や、株価が長期間にわたって下落した場合には、保有する有価証券に減損又は評価損が発生し、業績に悪影響を与える可能性があります。

(市場リスクが顕在化する「可能性の程度」、「時期」及び「顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容」)

当行では、株式等の価格変動リスクについては、債券を含む投資有価証券全体について、株価や市場金利等の各リスク要因間の相関を考慮したうえで、市場リスク量として一体で計測しております。

市場リスク量はバリュー・アット・リスク(VaR)により計測しており、信頼区間は99.0%、保有期間は他のリスク(信用リスク、金利リスク等)との統一性を考慮し、債券、株式等とも240日(1年間)としております。2025年3月31日現在の市場リスク量は、84億22百万円(2024年3月31日現在は118億86百万円)であります。

(リスクへの対応策)

市場リスク管理については、市場リスクの特定・評価・モニタリング・コントロール等の重要性を認識し、適正な市場リスク管理体制の整備・確立に向けて、リスク管理の方針及び管理体制を整備しております。

具体的には、毎期、資産・負債の総合管理や自己資本管理等に関わるALM運営方針から保有可能な市場リスク量を決定し、また、市場部門が当該方針に基づき検討する戦略目標について、経営陣と関係部で構成するALM委員会において協議を行い決定しております。ALM委員会では、市場部門の戦略目標について、市場リスクを管理可能なリスクに限定する中で安定的な収益を確保することを確認しており、市場運用業務等の方針について月次で確認を行っております。また、過去未確認のリスクを保有する商品を購入する場合には、ミドル部署の承認を必要とする体制とし、フロント部署への牽制を行っております。

 

(その他重要なリスク)

(1)流動性リスク

金融システムが不安定になるなど市場環境が大きく変化したり、当行の信用状況が悪化した場合には、必要な資金の確保が困難になり、通常よりも著しく高い金利での資金調達により、当行の業績に悪影響を与える可能性があります。

(リスクへの対応策)

流動性リスク管理について、流動性リスクの特定・評価・モニタリング・コントロール等の重要性を十分に認識し、リスク管理規程、ALM運営方針、流動性リスク管理規定、市場運用業務等の運用管理基準、業務継続計画等の規定を定めております。月次のALM委員会において、資金の運用・調達状況の予測に基づく中長期的な資金動向の報告を行うほか、流動性リスク管理規定に日次・月次等の定例報告を定め、重要な事項については随時報告する体制としております。また、業務継続計画の実効性の向上を図る目的で、年1回、流動性危機時を想定した訓練を行っております。

 

(2)オペレーショナル・リスク

オペレーショナル・リスクとは、内部プロセス・システム・人が不適切であることもしくは機能しないこと、又は外部要因に起因するリスクの総称であります。

当行では、統合リスク管理における各リスクの定量的な把握においては、自己資本比率算出におけるオペレーショナル・リスク相当額をオペレーショナル・リスク量として認識しております。

① 事務リスク

役職員が正確な事務を怠ったり、事務事故あるいは不正等を起こしたり、顧客情報等の重要情報を外部に漏洩した場合には、損害賠償等の経済的損失や社会的信用の低下により、当行の業績に悪影響を与える可能性があります。

② システムリスク

コンピュータシステムの停止又は誤作動等システム上の不備や、不正アクセス等コンピュータが不正に使用されることにより、当行の業務遂行や業績に悪影響を与える可能性があります。

③ その他オペレーショナル・リスク

イ.規制・制度変更に関するリスク

当行は、現時点における法律・規則等に従い業務を遂行しておりますが、将来において法律・規則等の新設・変更・廃止によって生じる事態が、業務遂行や業績に悪影響を与える可能性があります。

ロ.コンプライアンスリスク

役職員の法令等違反に起因した損失の発生や、当行に対する訴訟の提起等により信用力の低下等が生じた場合には、当行の業績に悪影響を与える可能性があります。

ハ.風評リスク

取引先、投資家、報道機関、インターネット等を通じて、当行に対する悪評、信用不安につながる噂等が広まった場合、これらが正確な事実に基づいたものか否かにかかわらず、当行の業績に悪影響を与える可能性があります。

(リスクへの対応策)

オペレーショナルリスク管理については、事務リスク・システムリスク、その他オペ・リスク(法務リスク・人的リスク・有形資産リスク・風評リスク)の区分ごとに主管部を定め、管理を行う体制としております。

事務リスクについては、事務規程の整備、研修及び営業店事務指導等により、厳正な事務取扱の定着に努めております。システムリスクに関して、当行は基幹システムの運営・管理を外部へ委託しておりますが、委託先との定例会を実施するとともに、委託先と共同で管理体制の整備を図るなど、システムリスクの顕在化防止に努めております。その他オペ・リスクについては、区分ごとに主管部を定め、当該主管部ごとに管理体制の堅確化に努めております。

 

 

 

(3)自己資本に関するリスク

当行は、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められた国内基準4%以上に維持しなければなりませんが、連結・単体の自己資本比率が基準である4%を下回った場合には、金融庁から、業務の全部又は一部の停止等を含む様々な行政処分を受ける可能性があります。連結・単体の自己資本比率は、本項に記載した様々な不利益な展開に伴い自己資本が毀損した場合、自己資本比率の基準及び算定方法が変更された場合、繰延税金資産が会計上の判断又は何らかの制約により減額された場合において悪化する可能性があります。

(リスクへの対応策)

自己資本の充実度に関する評価方法として、資本金をはじめとする自己資本は、銀行がさらされているリスクが損失として顕在化した場合の最終的な受け皿となることから、当行では、信用リスク、市場リスク及びオペレーショナル・リスクを定量的に把握したうえで、経営陣と関係部で構成するALM委員会において、市場リスク、信用リスク及びオペレーショナル・リスクの各リスクカテゴリー単位で自己資本を原資としたリスク管理枠を設定し、経営体力に見合ったリスクテイクとなっているか、管理しております。

 

(4)地方経済の動向に影響を受けるリスク

地方銀行である当行は、岩手県を主要な営業地域としておりますが、岩手県経済が悪化した場合には、取引先の信用状況の悪化や貸出金の減少等により、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(5)銀行業免許に関するリスク

当行は、銀行法第4条第1項に基づく銀行業免許(免許番号 大蔵大臣 蔵銀第1075号)の交付を受け、銀行業務を行っております。銀行業の免許には、有効期間その他の期限が法令等で定められておりませんが、銀行法第27条及び第28条に免許の取消等の事由が定められております。

当行の主要な事業活動の継続には前述のとおり銀行業免許が必要ですが、現時点において、当行はこれらの免許の取消等の事由に該当する事実はありません。しかしながら、将来、何らかの理由により免許取消等があった場合には、当行の主要な事業活動に支障をきたすとともに業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(6)優先株式による希薄化リスク

当行は、当連結会計年度末現在において、第一種優先株式を4,000,000株発行しており、第一種優先株主は2037年9月28日までの間、当行に対し、当行普通株式と引換えに第一種優先株式の取得を請求することができます(以下、「第一種優先株式取得請求権」といいます。)。

当行は、2037年9月28日までに第一種優先株式取得請求権が行使されなかった第一種優先株式を、2037年9月29日をもって当行普通株式と引換えに取得致します(以下、「一斉取得」といいます。)。

以上のとおり、第一種優先株式に係る第一種優先株式取得請求権の行使及び一斉取得により、当行は最大で12,360,939株(当連結会計年度末現在の発行済普通株式数9,509,963株に対して129.97%)の普通株式を第一種優先株主に対し交付する可能性があり、その場合、当行普通株式の既存持分の希薄化が生じる可能性があります。

なお、当行は、2022年9月29日以降、取締役会が別に定める日が到来した時は、法令上可能な範囲で第一種優先株式の全部又は一部を取得することができます。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当行グループ(当行及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(財政状態)

預金等(譲渡性預金を含む)は、法人預金の減少などにより、前連結会計年度末比77億88百万円減少し9,217億28百万円となりました。

公共債、投資信託及び保険商品を対象とした預り資産残高合計は、前連結会計年度末比63億14百万円増加し884億73百万円となりました。

貸出金は、中小企業向け貸出及び個人向け貸出の増加などにより、前連結会計年度末比340億17百万円増加し6,947億63百万円となりました。

有価証券は、前連結会計年度末比32億31百万円減少し2,154億11百万円となりました。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末(A)

当連結会計年度末(B)

増減(B)-(A)

預金等

929,516

921,728

△7,788

 

個人

594,771

592,015

△2,756

 

法人

325,388

320,515

△4,873

 

公金

9,356

9,197

△159

預り資産

82,159

88,473

6,314

貸出金

660,746

694,763

34,017

有価証券

218,642

215,411

△3,231

 

(経営成績)

連結粗利益は、役務取引等利益及び資金利益の増加などにより、前連結会計年度比2億80百万円増益の119億80百万円となりました。

経常利益は、与信関連費用の増加などにより同1億74百万円減益の19億74百万円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、同3億7百万円減益の10億69百万円となりました。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度(A)

当連結会計年度(B)

増減(B)-(A)

連結粗利益

11,700

11,980

280

 

資金利益

9,505

9,641

136

 

役務取引等利益

1,949

2,125

176

 

その他業務利益

246

213

△33

営業経費

8,982

8,932

△50

貸倒償却引当費用

1,451

1,635

184

 

貸出金償却

255

3

△252

 

個別貸倒引当金繰入額

995

902

△93

 

一般貸倒引当金繰入額

168

109

△59

 

延滞債権等売却損

△0

639

639

 

偶発損失引当金繰入額

32

△18

△50

株式等関係損益

540

338

△202

貸倒引当金戻入益

                 -

                 -

償却債権取立益

37

64

27

その他

303

164

△139

経常利益

2,148

1,974

△174

特別損益

△171

△285

△114

税金等調整前当期純利益

1,977

1,688

△289

法人税、住民税及び事業税

866

569

△297

法人税等調整額

△265

49

314

法人税等合計

601

619

18

当期純利益

1,376

1,069

△307

親会社株主に帰属する当期純利益

1,376

1,069

△307

(注)連結粗利益={資金運用収益-(資金調達費用-金銭の信託運用見合費用)}

+(役務取引等収益-役務取引等費用)+(その他業務収益-その他業務費用)

 

(キャッシュ・フローの状況)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フロ-は、資金運用による収入を貸出金の増加による支出が上回ったことを主な要因として150億86百万円の支出となりました。前連結会計年度比では、749億96百万円の減少となりました。

投資活動によるキャッシュ・フロ-は、有価証券の償還及び売却による収入を、有価証券の取得による支出が上回ったことを主な要因として、44億51百万円の支出となりました。前連結会計年度比では、148億15百万円の増加となりました。

財務活動によるキャッシュ・フロ-は、配当金の支払及び自己株式の取得による支出により5億34百万円の支出となりました。前連結会計年度比では、57百万円の減少となりました。

以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比200億72百万円減少し623億98百万円となりました。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度(A)

当連結会計年度(B)

増減(B)-(A)

営業活動によるキャッシュ・フロー

59,910

△15,086

△74,996

投資活動によるキャッシュ・フロー

△19,266

△4,451

14,815

財務活動によるキャッシュ・フロー

△477

△534

△57

現金及び現金同等物期末残高

82,471

62,398

△20,072

 

(セグメント情報)

当連結会計年度におけるセグメントごとの業績は次のとおりであります。

「銀行業務」の経常収益は、貸出金利息及び役務取引等収益の増加などにより前連結会計年度比5億85百万円増収の136億76百万円、セグメント利益は、預金利息の増加などにより同2億34百万円減益の18億68百万円となりました。また、セグメント資産は、前連結会計年度末比44億96百万円減少し1兆58億18百万円、セグメント負債は、同4億59百万円減少し9,715億37百万円となりました。

「リース業務」の経常収益は、割賦収入の減少などにより、前連結会計年度比2億88百万円減収の10億31百万円、セグメント利益は、割賦利益の減少などにより同17百万円減益の56百万円となりました。また、セグメント資産は、前連結会計年度末比7億62百万円増加し48億99百万円、セグメント負債は、同7億24百万円増加し41億43百万円となりました。

 

① 国内・国際業務部門別収支

当連結会計年度の資金運用収支、役務取引等収支及びその他業務収支の合計額(業務粗利益)は、国内業務部門119億51百万円、国際業務部門28百万円であり、合計では119億80百万円となりました。

資金運用収益の主なものは、国内業務部門では貸出金利息85億13百万円、有価証券利息配当金15億49百万円などです。国際業務部門では、有価証券利息配当金28百万円などです。また、資金調達費用は、国内業務部門がほぼ全額を占めており、預金利息5億41百万円、債券貸借取引支払利息75百万円などです。

役務取引等収支は、内国為替手数料や投資信託等の預り資産販売に係る手数料を中心として、国内業務部門による収支がほぼ全額を占めており、合計で21億25百万円となりました。

その他業務収支は、国内業務部門がほぼ全額を占めており、国債等債券損益(5勘定尻)74百万円や連結子会社の業務に係る収支1億40百万円などであり、合計で2億13百万円となりました。

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

9,484

20

9,505

当連結会計年度

9,615

25

9,641

うち資金運用収益

前連結会計年度

9,514

21

0

9,535

当連結会計年度

10,230

29

3

10,255

うち資金調達費用

前連結会計年度

29

0

0

29

当連結会計年度

614

3

3

614

役務取引等収支

前連結会計年度

1,948

0

1,949

当連結会計年度

2,123

1

2,125

うち役務取引等収益

前連結会計年度

2,657

2

2,659

当連結会計年度

2,849

2

2,852

うち役務取引等費用

前連結会計年度

708

1

710

当連結会計年度

725

1

727

その他業務収支

前連結会計年度

243

2

246

当連結会計年度

211

2

213

うちその他業務収益

前連結会計年度

1,558

2

1,561

当連結会計年度

1,114

2

1,116

うちその他業務費用

前連結会計年度

1,315

1,315

当連結会計年度

903

903

(注)1.国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。

2.資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度4百万円)を控除して表示しております。

3.資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。

② 国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況

当連結会計年度の国内業務部門の資金運用勘定平均残高は、貸出金、有価証券を中心に、9,822億12百万円、資金運用利息は102億30百万円、資金運用利回りは1.04%となりました。一方、資金調達勘定平均残高は、預金を中心に9,699億12百万円、資金調達利息は6億14百万円、資金調達利回りは0.06%となりました。

国際業務部門の資金運用勘定平均残高は、有価証券を中心に56億74百万円、資金運用利息は29百万円、資金運用利回りは0.51%となりました。また、資金調達勘定平均残高は56億74百万円となり、資金調達利息は3百万円、資金調達利回りは0.06%となりました。

イ.国内業務部門

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

(5,731)

(0)

0.98

961,869

9,514

当連結会計年度

(5,615)

(3)

1.04

982,212

10,230

うち貸出金

前連結会計年度

658,071

8,011

1.21

当連結会計年度

673,047

8,513

1.26

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

232,404

1,512

0.65

当連結会計年度

232,553

1,549

0.66

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

56,479

△11

△0.02

当連結会計年度

15,605

46

0.30

うち預け金

前連結会計年度

9,182

0

0.01

当連結会計年度

55,390

116

0.21

資金調達勘定

前連結会計年度

952,158

29

0.00

当連結会計年度

969,912

614

0.06

うち預金

前連結会計年度

933,935

26

0.00

当連結会計年度

939,528

540

0.05

うち譲渡性預金

前連結会計年度

3,150

0

0.00

当連結会計年度

3,154

0

0.02

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

2

当連結会計年度

2

0

0.25

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

20,872

2

0.01

当連結会計年度

33,775

75

0.22

うち借用金

前連結会計年度

1,470

1

0.08

当連結会計年度

1,125

1

0.17

(注)1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しております。

2.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度579百万円、当連結会計年度491百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度7,273百万円、当連結会計年度7,674百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度4百万円)を、控除して表示しております。

3.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。

ロ.国際業務部門

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

5,797

21

0.36

当連結会計年度

5,674

29

0.51

うち貸出金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

5,183

20

0.40

当連結会計年度

5,003

28

0.57

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

0

当連結会計年度

5

資金調達勘定

前連結会計年度

(5,731)

(0)

0.00

5,797

0

当連結会計年度

(5,615)

(3)

0.06

5,674

3

うち預金

前連結会計年度

62

0

0.00

当連結会計年度

56

0

0.00

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

当連結会計年度

(注)1.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。

2.国際業務部門の国内店外貨建取引の平均残高は月次カレント方式(前月末T.T.仲値を当該月のノンエクスチェンジ取引に適用する方式)により算出しております。

ハ.合計

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

961,935

9,535

0.99

当連結会計年度

982,271

10,255

1.04

うち貸出金

前連結会計年度

658,071

8,011

1.21

当連結会計年度

673,047

8,513

1.26

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

237,588

1,533

0.64

当連結会計年度

237,557

1,578

0.66

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

56,479

△11

△0.02

当連結会計年度

15,605

46

0.30

うち預け金

前連結会計年度

9,183

0

0.01

当連結会計年度

55,395

116

0.21

資金調達勘定

前連結会計年度

952,224

29

0.00

当連結会計年度

969,972

614

0.06

うち預金

前連結会計年度

933,998

26

0.00

当連結会計年度

939,585

540

0.05

うち譲渡性預金

前連結会計年度

3,150

0

0.00

当連結会計年度

3,154

0

0.02

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

2

当連結会計年度

2

0

0.25

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

20,872

2

0.01

当連結会計年度

33,775

75

0.22

うち借用金

前連結会計年度

1,470

1

0.08

当連結会計年度

1,125

1

0.17

(注)1.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度579百万円、当連結会計年度491百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度7,273百万円、当連結会計年度7,674百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度4百万円)を、控除して表示しております。

2.国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息は、相殺して記載しております。

③ 国内・国際業務部門別役務取引の状況

当連結会計年度の役務取引等収益は、国内業務部門28億49百万円、国際業務部門2百万円、合計で28億52百万円となりました。

一方、役務取引等費用は、国内業務部門7億25百万円、国際業務部門1百万円、合計で7億27百万円となり、国内業務部門の役務取引等収支がほぼ全額を占めております。

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

2,657

2

2,659

当連結会計年度

2,849

2

2,852

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

349

349

当連結会計年度

326

326

うち為替業務

前連結会計年度

565

2

568

当連結会計年度

603

2

606

うち証券関連業務

前連結会計年度

229

229

当連結会計年度

322

322

うち代理業務

前連結会計年度

719

719

当連結会計年度

789

789

うち保護預り・貸金庫業務

前連結会計年度

14

14

当連結会計年度

13

13

うち保証業務

前連結会計年度

101

101

当連結会計年度

82

82

役務取引等費用

前連結会計年度

708

1

710

当連結会計年度

725

1

727

うち為替業務

前連結会計年度

53

1

54

当連結会計年度

52

1

53

(注) 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。

④ 国内・国際業務部門別預金残高の状況

預金の種類別残高(末残)

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

929,468

47

929,516

当連結会計年度

921,644

83

921,728

うち流動性預金

前連結会計年度

618,801

618,801

当連結会計年度

619,562

619,562

うち定期性預金

前連結会計年度

308,239

308,239

当連結会計年度

298,308

298,308

うちその他

前連結会計年度

2,427

47

2,475

当連結会計年度

3,774

83

3,857

譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

総合計

前連結会計年度

929,468

47

929,516

当連結会計年度

921,644

83

921,728

(注)1.流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

2.定期性預金=定期預金+定期積金

3.国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行及び連結子会社の外貨建取引であります。

⑤ 国内・海外別貸出金残高の状況

イ.業種別貸出状況(末残・構成比)

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内(除く特別国際金融取引勘定分)

660,746

100.00

694,763

100.00

製造業

42,837

6.48

42,989

6.19

農業、林業

9,314

1.41

8,816

1.27

漁業

1,470

0.22

1,551

0.22

鉱業、採石業、砂利採取業

1,444

0.22

452

0.07

建設業

48,459

7.33

52,141

7.50

電気・ガス・熱供給・水道業

27,048

4.09

29,939

4.31

情報通信業

2,549

0.39

1,979

0.28

運輸業、郵便業

13,737

2.08

16,109

2.32

卸売業・小売業

39,166

5.93

42,651

6.14

金融業・保険業

37,419

5.66

45,875

6.60

不動産業、物品賃貸業

112,202

16.98

112,747

16.23

各種サービス業

87,216

13.20

86,892

12.51

地方公共団体

139,336

21.09

138,892

19.99

その他

98,542

14.92

113,723

16.37

海外及び特別国際金融取引勘定分

政府等

金融機関

その他

合計

660,746

694,763

(注)「国内」とは、当行及び連結子会社であります。

ロ.外国政府等向け債権残高(国別)

該当事項はありません。

⑥ 国内・国際業務部門別有価証券の状況

有価証券残高(末残)

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

34,816

34,816

当連結会計年度

45,775

45,775

地方債

前連結会計年度

66,492

66,492

当連結会計年度

59,018

59,018

社債

前連結会計年度

88,483

88,483

当連結会計年度

82,334

82,334

株式

前連結会計年度

4,169

4,169

当連結会計年度

3,565

3,565

その他の証券

前連結会計年度

18,155

6,525

24,680

当連結会計年度

20,719

3,999

24,718

合計

前連結会計年度

212,116

6,525

218,642

当連結会計年度

211,412

3,999

215,411

(注)1.国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。

2.「その他の証券」には、外国証券を含んでおります。

(自己資本比率の状況)

(参 考)

自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。

連結自己資本比率(国内基準)

 

 

(単位:百万円、%)

 

2024年3月31日

2025年3月31日

1.連結自己資本比率(2/3)

8.94

9.05

2.連結における自己資本の額

40,324

40,703

3.リスク・アセットの額

450,648

449,333

4.連結総所要自己資本額

18,025

17,973

 

単体自己資本比率(国内基準)

 

 

(単位:百万円、%)

 

2024年3月31日

2025年3月31日

1.自己資本比率(2/3)

8.74

8.99

2.単体における自己資本の額

38,940

39,804

3.リスク・アセットの額

445,098

442,499

4.単体総所要自己資本額

17,803

17,699

 

(資産の査定)

(参 考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

2.危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

3.要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

4.正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

資産の査定の額

債権の区分

2024年3月31日

2025年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

3,366

3,705

危険債権

16,289

14,346

要管理債権

648

1,849

正常債権

647,341

682,157

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

(経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

当行は、地域社会への安定的資金供給を使命として設立された銀行であり、「地域金融機関として地域社会の発展に尽くし共に栄える」をコアバリュー(経営理念)として、地域経済の中核を担う中小事業者の皆さまを中心に営業活動を展開しております。

2022年4月より「中小事業者支援の深化と未来への挑戦」をテーマに掲げてスタートした第1次中期経営計画が2025年3月末で終了いたしました。『「成長予備軍先」のランクアップ支援』、『「収益力」の強化』、『「とうぎん型人材」の育成』、『「地域活性型ビジネスモデル」の確立』の4つの「とうぎんチャレンジ」のもと、最終年度の経営数値目標の達成と各チャレンジの完遂に向けて各種施策に積極的に取り組んでまいりました。

収益状況については、経常収益は、貸出金利息及び役務取引等収益の増加などにより、前連結会計年度比3億1百万円増収の150億28百万円となりました。経常費用は、預金利息の増加などにより同4億74百万円増加し130億53百万円となりました。経常利益は、同1億74百万円減益の19億74百万円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、同3億7百万円減益の10億69百万円となりました。

当連結会計年度におけるセグメントごとの状況に関する分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要(セグメント情報)」に記載しております。

銀行単体の貸出金残高は、中小企業向け貸出及び個人向け貸出の増加などにより、2024年3月末比343億83百万円増加し6,982億68百万円となり、期末残高として過去最高残高を更新いたしました。中小事業者への積極的な支援は、当行の地域におけるパーパス(存在意義)であるため、引き続き金融支援のみならず本業支援に取り組んでまいります。

また、融資先の信用リスク管理態勢として、信用リスク管理規定において、目的、定義、範囲、態勢、役割及び管理方法等を定め、適正な信用リスク管理が実現するような態勢を整備し実施しております。

信用リスクについては、「3 事業等のリスク(主要なリスク)」に記載しております。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

資本の財源については、当行グループの中心業務は銀行業務であるため、お客さまから預け入れいただいた預金等で資金調達し、主に貸出金及び有価証券で運用しております。

各項目の分析内容等については、「(1)経営成績等の状況の概要(財政状態)」に記載しております。

財務活動によるキャッシュ・フロ-における主な支出要因である、株式の配当につきましては「安定配当の継続」を基本方針としており、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を実施しております。

資本の財源を、中小事業者への支援と地域活性化に活用するとともに、安定的かつ効率的な運用を心掛けてまいります。

資金の流動性の状況などについては、月次のALM委員会において、資金の運用・調達状況の予測に基づく中長期的な資金動向の報告を行うほか、市場運用業務等の運用管理基準に日次・月次等の定例報告を定め、重要な事項については随時報告する態勢としております。

資金の流動性のキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要(キャッシュ・フローの状況)」に記載しております。

 

(経営方針等に照らした、経営者による経営成績等の分析・検討内容)

2022年4月よりスタートした第1次中期経営計画において設定した計画数値(単体)と実績は次のとおりであります。

本業利益(有価証券関連収益を加味しない、預貸金業務及び役務取引等業務から得られる利益)は、12億96百万円となりました。計画始期比では、貸出金平残の増加及び役務取引等利益の増益などにより5億76百万円増益となりました。

当期純利益は、15億35百万円となりました。計画始期比では、2億55百万円の増益となりました。

自己資本比率は、自己資本の額には利益剰余金を着実に積み上げておりますが、中小企業向け貸出及び個人向け貸出の増加等に伴うリスク・アセットの増加により、計画始期比0.17ポイント低下し8.99%となりました。

なお、第1次中期経営計画で掲げていた2025年3月期の計画数値は全項目達成しております。

第1次中期経営計画において設定した計画数値(単体)と及び実績

 

計画

2025年3月期

2022年3月期

計画始期(A)

2025年3月期

(実績)(B)

計画始期比

(B)-(A)

本業利益(注)

7億円以上

7.20億円

12.96億円

5.76億円

当期純利益

10億円以上

12.80億円

15.35億円

2.55億円

自己資本比率

8.5%以上

9.16%

8.99%

△0.17ポイント

(注)本業利益 = 貸出金平残 × 預貸金利回り較差 + 役務取引等利益 - 経費

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

(貸倒引当金)

当行において与信業務は最大の収入源であり、連結財務諸表の貸出金などに見られる信用リスク資産の占める重要性が金額的に大きいため、会計上の見積りにおいて重要なものと判断しております。

① 貸倒引当金の見積り及び仮定の不確実性の内容

貸倒償却及び貸倒引当金の計上の基礎となる自己査定で使用する情報には、将来キャッシュ・フローの見込、財政状態、収益性等の定量的要素、経営者の資質等の定性的要素があります。定量的要素、定性的要素のいずれについても見積りが介在する余地があるため、不確実性が存在する可能性があります。

また、貸倒引当金は、将来の事象に対する見積りにより決定され、経営者の判断に依存している事項であるため、会計上の見積りの不確実性が存在する可能性があります。

さらに、経済環境の変化によって担保不動産価値が短期間に著しく変動することがあり、貸倒引当金として計上すべき額はその影響を受ける可能性があります。

② 貸倒引当金の見積り及び仮定の不確実性の変動により経営成績などに生じる影響

上記の「貸倒引当金の見積り及び仮定の不確実性の内容」などによる、予測不能な前提条件の変化などにより債権の評価に関する見積りが変動する可能性があり、この場合には、将来当行グループにおける連結財務諸表における貸倒引当金に重要な影響を及ぼす可能性があります。

すべての債権は、資産の自己査定基準に基づき、営業関連部署が資産査定を実施し、当該部署から独立した資産監査部署が査定結果を監査しております。

(繰延税金資産)

繰延税金資産は、当行の業種の特性上、貸倒引当金等による将来減算一時差異が多額に発生することで財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があるため、会計上の見積りにおいて重要なものと判断しております。

① 繰延税金資産の見積り及び仮定の不確実性の内容

繰延税金資産は、将来の課税所得を見積り、その課税所得の範囲内でスケジューリング可能な将来減算一時差異について回収可能性があると認められる場合に計上しております。

将来の課税所得の見積りにおける中期経営計画をベースにした5年間の収益シミュレーションは、過去の実績や将来の経営環境等を考慮して策定されているため、会計上の見積りの不確実性が存在する可能性があります。

また、有税償却した貸倒引当金の将来減算一時差異のスケジューリングについては、税務上の損金算入時期が明確となった場合に、回収可能性を判断し繰延税金資産を計上しております。

② 繰延税金資産の見積り及び仮定の不確実性の変動により経営成績などに生じる影響

上記の「繰延税金資産の見積り及び仮定の不確実性の内容」などによる、予測不能な前提条件の変化などにより、将来において一時差異を解消させるほどの十分な課税所得が見積もれない場合、または、将来の課税所得は十分見込める場合であっても、期末時点において、将来減算一時差異のスケジューリングが不能と判断された場合、繰延税金資産を取り崩すことになるため、将来当行グループにおける連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。