本項に記載した業績予想等の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、経営環境の変化等により異なる可能性もあります。
(1) 会社の経営の基本方針
七十七グループ(当行及び当行の関係会社)は、地域社会の繁栄のため、最良のソリューションで感動と信頼を積み重ね、ステークホルダーとともに、宮城・東北から活躍のフィールドを切り拓いていくリーディングカンパニーを目指すことを基本方針としております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当行では、2021年度から2030年度までの10年間を計画期間とする「『Vision 2030』~未来を切り拓くリーディングカンパニー~」を策定しております。
「Vision 2030」では、七十七グループが長期的に目指す「なりたい姿」を定めるとともに、その大きな目標に向けて地域と七十七グループがともに成長していくための方向性を4つの基本戦略として具体化しております。
また、積極的な情報開示に努め、より透明性の高い経営を実践し、地域・顧客・株主・投資家の皆さまから強く支持される銀行の実現に努めてまいります。

(3) 目標とする経営指標
「『Vision 2030』~未来を切り拓くリーディングカンパニー~」では、財務基盤の強化(キーファクター)として、次の目標を掲げております。
(4) 経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、物価高の影響などがみられたものの、雇用・所得環境が改善するもとで個人消費が緩やかな増加基調となったほか、好調な企業業績に支えられ、全体として緩やかな回復の動きとなりました。一方、主要営業基盤である宮城県の景況は、生産に持ち直しの動きがみられたものの、人手不足や物価高などが企業や家計の重しとなり、設備投資や個人消費が弱めの動きとなるなど、総じて足踏みする状況で推移しました。
こうしたなか、金利情勢については、日本銀行による二度の無担保コール翌日物金利の誘導目標引き上げに伴い、短期金利が上昇しましたほか、長期金利は、日本銀行の追加利上げ観測の高まりを受け、当連結会計年度期首の0.7%台から当連結会計年度末には1.4%台まで上昇しました。また、為替相場は、当連結会計年度期首の1ドル=151円台から7月に162円台まで円安が進行しましたが、その後は円買い・ドル売りが進み、当連結会計年度末には1ドル=149円台となりました。
株価については、日経平均株価が当連結会計年度期首の4万円台から8月には3万1千円台まで下落し、その後は4万円台前後で推移しましたが、米国の関税政策への警戒感から2月後半より下落し、当連結会計年度末には3万5千円台となりました。
今後は、国内の景気は、物価高の継続に伴う消費者マインドの低下などを通じた下振れリスクが懸念されるものの、雇用・所得環境の改善や人手不足を背景としたデジタル関連投資などが緩やかな回復を支えていくことが見込まれます。また、主要な営業基盤である宮城県の景気は、引き続き人手不足や物価高などから回復の足取りが重いものの、仙台圏での再開発プロジェクトの進展などに伴う投資意欲の高まりなどから、総じて緩やかな持ち直しの動きに向かうものと見込まれます。
一方、米国の関税政策を発端とした各国の対立や金融資本市場の変動の影響などから、足元では、景気の下振れリスクが一段と高まっている状況にあります。
(5) 会社の対処すべき課題
当行及び当行の関係会社は、創業より受け継がれる「地域の繁栄を願い、地域社会に奉仕する」という行是の理念に則り、持続可能な社会の実現に向けてグループ全体で解決に取り組むべき「七十七グループの重要課題(マテリアリティ)」を特定しております。
2021年4月からスタートした期間10年の経営計画「Vision 2030」に基づき、政策金利の段階的な引上げや、物価高騰・人手不足の影響などを踏まえ、地域に対して十分な資金供給を図り、金融仲介機能を発揮するとともに、グループ一体でコンサルティング機能をより一層強化し、お客さまの資産形成支援や経営改善・事業再生支援に向けて最良のソリューションを提供することで、地域経済の成長に貢献してまいります。また、コンプライアンスに対する全役職員の意識啓蒙およびコーポレートガバナンス体制の強化にも、より一層積極的に取り組み、地域金融機関としての使命を果たせるよう、役職員一同取り組んでまいる所存であります。
当行及び当行の関係会社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであり、サステナビリティ全般、気候変動、人的資本に分けて記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行及び当行の関係会社が判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般
当行では、適切かつ十分なサステナビリティ推進管理を行うことを目的として、「サステナビリティ推進管理方針」を策定するとともに、頭取を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティ推進管理にかかる重要事項等を審議・報告のうえ、結果を経営戦略やリスク管理へ反映させているほか、総合企画部内に「サステナビリティ推進室」を設置し、施策推進の実効性を確保しております。
また、当事業年度は「サステナビリティ委員会」を3回開催し、サステナビリティ経営の実践に向けた審議・報告を行い、その内容を取締役会へ報告することにより、取締役会がサステナビリティへの取組状況を監督する体制を確立しております。
更に「七十七グループのマテリアリティ」の特定において、監査等委員とサステナビリティ経営と経営計画との整合等について意見交換を実施するなど、監査等委員会がサステナビリティ経営全般に関与・監督する体制を確立しております。加えて、内部監査計画に基づく監査において、2024年度はテーマ別監査「SDGsへの取組状況(マテリアリティへの取組状況等)」を実施し、SDGsの実践にかかるPDCAサイクルの発揮状況や、「七十七グループのマテリアリティ」の解決に向けた施策の取組状況等について検証・評価を行うなど、監査部が適切に関与する体制を確立しております。

<サステナビリティ委員会構成>
委 員 長:頭取
副委員長:副頭取、専務取締役
委 員:常務取締役、総合企画部長、グループ事業戦略部長、リスク統轄部長、営業統轄部長、
コンサルティング営業部長、地域開発部長、人事部長、総務部長
当行及び当行の関係会社は、「七十七グループのマテリアリティ」の解決に向けて、「『Vision 2030』~未来を切り拓くリーディングカンパニー~」において、金融サービスの充実と非金融分野における事業領域の拡大等による最良のソリューションで感動と信頼を積み重ね、ステークホルダーとともに、宮城・東北から活躍のフィールドを切り拓いていく「リーディングカンパニー」を目指しております。
また、「Vision 2030」において、中長期的な時間軸の中で、抜本的な改革に取り組むとともに、事業年度毎にサステナビリティにかかる経営計画である「SDGs実践計画」を策定しております。
<七十七グループのマテリアリティとSDGs宣言>

<七十七グループにおけるサステナビリティ経営のフレームワーク>

<マテリアリティに関連するリスク、機会及び主な取組>
1.宮城・東北の活性化
2.地域のお客さまの課題解決
3.ステークホルダーへの還元
4.気候変動・災害への対応
5.信頼性の高い金融サービスの提供
6.生き生きと働ける職場環境の創出
当行及び当行の関係会社では、サステナビリティを巡る課題への対応が重要な経営課題であるとの認識のもと、サステナビリティにかかるガバナンス体制に基づき、リスク管理へと反映しております。なお、気候変動にかかるリスク管理については、(2)気候変動に記載しております。
また、当行では環境・社会に負の影響を与える恐れのある事業等に対して「特定事業等に対する融資方針」を定めておりますほか、人権の尊重が企業活動における重要な土台であるとの認識のもと、マテリアリティに掲げる「生き生きと働ける職場環境の創出」を実現するため「七十七グループの人権方針」を策定しております。
<特定事業等に対する融資方針>
当行は、「SDGs宣言」を策定し、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け取り組むことで、地域の未来を創造し、持続可能な社会の実現を目指しております。
持続可能な社会の実現に貢献するため、環境・社会課題の解決に資する事業等に積極的な支援を行っていくとともに、環境・社会に負の影響を与える恐れのある事業等に対して、以下の融資方針を定めております。
[環境課題]
1.環境保全
違法な森林伐採や生物多様性を毀損するパーム油農園開発等、環境に重大な負の影響を及ぼす恐れのある案件については、取り組みません。
2.低炭素社会への移行
石炭火力発電所の新規建設を資金使途とする融資は、原則として、取り組みません。リプレースメント案件については、環境に配慮した高効率な発電技術(超々臨界圧以上または同等の発電効率性能)を採用する場合に限り、環境への影響等を総合的に勘案し、慎重に対応を検討します。
[社会課題]
1.人権侵害の防止
人身売買、児童労働または強制労働に関与する事業者に対する融資は、資金使途を問わず、取り組みません。
2.非人道兵器の排除
クラスター弾等の非人道兵器の開発・製造に関与する事業者に対する融資は、資金使途を問わず、取り組みません。
<七十七グループの人権方針>
七十七グループは、創業より受け継がれる「地域の繁栄を願い、地域社会に奉仕する」という行是の理念に則り、人権の尊重は果たすべき重要な責務の一つであるとの認識のもと、お客さま、役職員をはじめ、あらゆるステークホルダーの人権を尊重します。
1.国際規範の尊重
七十七グループは、「世界人権宣言」、「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際規範を尊重します。
2.適用範囲
人権方針は、七十七グループ全役職員に適用されます。また、お客さまを含む、あらゆるステークホルダーに対しても、本方針を理解し、ご支持いただくことを期待します。
3.人権尊重に対するコミットメント
七十七グループは、あらゆる企業活動において、人種、民族、国籍、出身、社会的身分、年齢、宗教、信条、性別、性的指向、性自認、障がいの有無、身体的特徴などを理由とした差別やハラスメント行為、人権侵害を行いません。
4.人権啓発教育の充実
七十七グループは、人権に関するあらゆる課題の解決に向け、役職員一人ひとりが人権に関する正しい知識と理解を深めるために、幅広い人権啓発教育に取り組みます。
5.是正・救済
七十七グループが、人権に対して負の影響を及ぼした場合、もしくは助長していることが認められた場合には、適切に対応し、是正・救済に努めます。
6.情報開示と対話
七十七グループは、積極的な情報開示とステークホルダーとの対話を通じ、人権に関する取組みの改善・向上に努めます。
当行では、事業年度毎に策定する「SDGs実践計画」において、サステナビリティにかかるリスクと機会を管理・評価する指標及び目標を設定しております。気候変動、人的資本にかかる指標及び目標については、(2)気候変動、(3)人的資本に記載しております。
(注)当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を実績としております。
<サステナブルファイナンスの推移>
お客さまとのエンゲージメントを通じて、環境・社会課題の解決に向けたソリューションを強化していきます。

(注) 地域活性化や持続可能な社会の実現に資する投融資の累計実行額(環境、医療、創業、事業承継等の
SDGsへの取組支援・促進にかかる投融資)
(2) 気候変動
当行及び当行の関係会社は、「七十七グループのマテリアリティ」において、「気候変動・災害への対応」を重要課題として明記しており、取組みを強化しております。詳細は、(1)サステナビリティ全般に記載しております。
<リスク>
気候変動リスクについては、お客さまの事業への影響や当行の業務継続において想定されるリスクとして、リスクカテゴリー毎に以下のとおり「物理的リスク」と「移行リスク」を認識のうえ、リスクが顕在化した際の影響等について、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸に基づき分析を進めております。
[シナリオ分析]
「物理的リスク」、「移行リスク」について、以下のとおりそれぞれのリスクが高まるシナリオを想定し、リスクが顕在化した際の影響について分析を実施しております。
[炭素関連資産]
2024年度の当行の貸出金等(貸出金、支払承諾)に占める炭素関連資産の割合は下表のとおりです。
<機会>
当行では、自社のカーボンニュートラルに向けた取組みは勿論のこと、Scope1、2及び3にかかる算定結果を踏まえ、お客さまの脱炭素に向けた取組みを長期かつ持続的に支援することが重要であると認識しております。
お客さまの脱炭素への取組みにかかる支援として、関連するコンサルティング機能や脱炭素にかかる投融資等の金融仲介機能(トランジション・ファイナンス)に関する社会的な要請が高まることにより、新たなビジネス機会が発生・拡大していくものと認識しております。
気候変動対応にかかる「機会」につきましては、「リスク」と同様、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸を認識しながら対応を行ってまいります。
[主な取組]
①サステナビリティ関連商品の導入
・77SDGs私募債(寄付型/カーボンオフセットコース)の導入(2024年4月)
私募債発行手数料の一部でカーボンクレジットを購入し、公共施設や関与するイベント等で排出され
た温室効果ガスに対してオフセットを行うものです(2024年度実績:15件/14億円)。
②再生可能エネルギー関連融資の実行(2024年度実績:45件/56億円)
③各種コンサルティングに関するサービスの導入等
・77SDGs支援サービスの提供(2024年度実績:58件)
・77脱炭素ナビゲーターの提供(2024年度実績:6件)
・77SDGsコネクトサービスの取扱開始(2024年9月、2024年度実績:3件)
④今後のビジネス機会拡大に向けた取組
・取引先の脱炭素に向けたエンゲージメントの強化
環境省の公募事業である「令和6年度移行戦略策定・エンゲージメント実践プログラム」を活用し、FE(ファイナンスド・エミッション)算定結果および貸出ポートフォリオの分析を通じて、「食品」「建設」「自動車」の3セクターをエンゲージメント優先セクターとして特定しました。また、当事業年度は、宮城県内FE上位先と優先セクター該当先を中心に、継続的なエンゲージメントを実施しております。
・脱炭素にかかるエンゲージメントツールの作成
脱炭素への理解促進とエンゲージメントの実効性向上を図る観点から、以下のエンゲージメントツールを作成しております。今後も地域の脱炭素に向けて、取引先とのエンゲージメントを強化してまいります。
・脱炭素支援チラシ
・脱炭素取組状況ヒアリングシート
・脱炭素啓蒙動画
・優先セクターとのディスカッションペーパー
⑤取引先の運用商品の拡充
・77オープン型グリーン外貨定期預金の提供
C.リスク管理
当行では、気候変動に起因する「物理的リスク」や「移行リスク」が、将来的に大きな財務的影響を及ぼす可能性があることを認識しております。
気候変動に関するリスクを適切に捕捉・検証するため、「物理的リスク」「移行リスク」が具現化した場合のリスク資本耐性について、ストレステストによる検証を実施しております。ストレステストの結果については、気候変動以外の信用リスクや市場リスクにかかるストレステストの結果とあわせて、ALM・収益管理委員会に報告を行っております。
D.指標及び目標
<CO2排出量(Scope1、2)>
七十七グループは、2023年度より気候変動への更なる対応強化を図るため、CO2排出量の削減目標にかかるKPIを、「2030年度までのカーボンニュートラル実現を目指す」としております(対象:Scope1,2)。
2024年度のCO2排出量は、2013年度比59.5%削減しており、省エネ設備の導入等による排出量削減に向けた取組みを実施しております。
(単位:t-CO2)
(注)1 当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を実績としております。
2 2023年度までのCO2排出量は、法令に基づく定期報告におけるCO2排出量から、再生可能電力利用分のCO2排出量を「0」として控除し記載しております。
3 今後のCO2排出量の算定・開示につきましては、算定対象範囲の拡大や算定方法の変更、使用データの精緻化等に伴い、変動する可能性があります。
<CO2排出量(Scope3)>
Scope3のうち、カテゴリ6(出張)、カテゴリ7(雇用者の通勤)、カテゴリ15(投融資)の排出量を算定しております。Scope3カテゴリ15は、PCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)スタンダードに基づき算定しております。算定対象は、2024年3月末時点の当行投融資のうち、「国内法人事業性融資」、「国内株式」、「社債」としております。なお、算定対象の全投融資金額に占めるカバー率は91.3%となっております。
(単位:t-CO2)
(注)1 当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を実績としております。
2 今後の排出量等の算定・開示につきましては、算定対象範囲の拡大や算定方法の変更、使用データの精緻化等に伴い、変動する可能性があります。
[算定式]
カテゴリ6:排出量=Σ{(従業員数×排出原単位)}
カテゴリ7:排出量=(勤務形態・都市階級別)Σ { (従業員数×営業日数×排出原単位) }
カテゴリ15:投融資先のGHG排出量であるFE(ファイナンスド・エミッション)および投融資先の売上高あ
たりのGHG排出量である炭素強度は、以下の通り算定しております。
投融資先の排出量=Σ(投融資先への投融資残高/投融資先の資金調達総額×取引先のGHG排出量)
炭素強度=Σ(取引先のGHG排出量)÷ Σ(取引先の売上高)
(注)1 Scope3の算定には、環境省より発行されている「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver2.5)」「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(ver3.4)」を使用しております。
2 PCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)は、 投融資先のGHG排出量を計測・開示する基準を開発する国際的な枠組みです。
[Scope3カテゴリ15の内訳]
(単位)排出量:t-CO2、炭素強度:t-CO2/百万円
(注)「資本財」には、主に建設業(建築・土木)や建設資材関連の商社・流通業が分類されています。
(単位)排出量:t-CO2、炭素強度:t-CO2/百万円
(注)「資本財」には、主に建設業(建築・土木)や建設資材関連の商社・流通業が分類されています。
(3) 人的資本
A.ガバナンス
当行及び当行の関係会社は、「七十七グループのマテリアリティ」において、「生き生きと働ける職場環境の創出」を重要課題として明記しており、取組みを強化しております。詳細は、(1)サステナビリティ全般に記載しております。
B.戦略
当行及び当行の関係会社は、以下の「基本的な考え方」のもと、グループ全体の人的資本価値向上に取り組んでおります。
<七十七グループの人的資本経営にかかる基本的な考え方>
七十七グループでは、人材を価値創造の源泉である「人的資本」と位置づけ、コンサルティング等の専門性と豊かな人間力を兼ね備えた「顧客・地域に役立つ人材」および挑戦的な企業文化の確立に向けたチャレンジ精神溢れる「企業変革に資する人材」の育成、ならびに多様な人材が持てる力を最大限に発揮できる「働きやすい職場環境」および「働きがいのある職場環境」の整備に向けて、「人的資本経営の基本方針」を制定しています。また、「人的資本経営の基本方針」に基づく積極的な人的資本投資による事業基盤の強化と持続的な企業価値向上を図る観点から七十七グループにおける「人材戦略」を策定しています。
<七十七グループにおける人的資本経営のフレームワーク>

[主な取組み]
①人材ポートフォリオ戦略
「人」への積極的な投資と人事運用の高度化を通じ、一人ひとりの挑戦意欲やエンゲージメントを高め、「個の力を最大化し、挑戦し続ける組織」へと成長するために、経営戦略にもとづく人材ポートフォリオの策定や、事業領域の拡大等を見据えた採用およびタレントマネジメントの実践等に取り組んでおります。
②人材育成戦略
挑戦と成長を喜び合う組織風土のもと、一人ひとりの自律的なキャリア形成・スキルアップを支援し、多様な専門性と豊かな人間力・チャレンジ精神を育み、「力を高め、成長や貢献を共感できる組織」へと成長するため、キャリアオーナーシップの定着や多様な専門人材の育成等に取り組んでおります。
③多様性推進戦略
多様性を認め合い尊重する意識の醸成と体制整備を通じ、多様な人材が様々なフィールドで活躍できる職場環境を実現することで、「一人ひとりが個性を発揮できる組織」へと成長するために、女性活躍推進のさらなる強化やシニア人材等の活躍促進に努めております。
④ウェルビーイング推進戦略
健康経営の推進や福利厚生の充実化等を通じ、従業員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮できる職場 環境を実現することで、「働きやすく・働きがいのある組織」へと成長するために、健康保持・増進への積極的支援や働きやすい職場環境の実現等に取り組んでおります。
C.リスク管理
詳細は、(1)サステナビリティ全般に記載しております。
D.指標及び目標
七十七グループにおける「人材戦略」は4つの戦略領域で構成し、戦略毎にKPIを設定のうえ進捗状況を管理しています。
<①人材ポートフォリオ戦略>
(注)1 当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を実績としております。
2 エンゲージメントスコア(挑戦指数)は、当行従業員を対象に実施した「エンゲージメント・サーベイ」における調査結果を実績としております(5点満点)。
3 ジョブトライアルとは、行員が希望する本部・グループ会社・営業店の業務を自らが選択し最大5日間体験することができる制度です。
4 ジョブエントリーとは、事務行員が希望する業務等に直接応募し、書類審査や面接等の選考を経て、その業務を行う部署へ人事異動ができる制度です。
<②人材育成戦略>
(注)1 当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を実績としております。
2 スキルレベルは2023年度より導入した行内基準に基づくスキル評価の値です(最大5.0)。
3 上位資格はFP1級、CFP、中小企業診断士としております。
4 デジタル人材の定義は以下のとおりとしております。
専門人材 :当行におけるデジタル人材のスキル領域を整理した「77DXスキル標準」に定める領
域において、専門的な知識や技術を保有している人材。
コア人材 :ビジネススキルとデジタルスキルを併せ持ち、当行のDXを推進できる人材。
ベース人材:デジタル分野に関する能動的な学びによって自身を常にアップデートし続け、行内外の
DX推進の土台となる人材。
5 より難易度の高い職務へのキャリアアップ等を支援するための行内集合研修を、リスキリング研修と
総称しています。
<③多様性推進戦略>
(注)1 当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を実績としております。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。なお、出生日から事業年度を跨いで育児休業を取得した対象者が含まれているため、取得率は100%を下回っておりますが、全対象者が育児休業を取得しております。
3 障がい者雇用率は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(1960年法律第123号)の規定に基づき、当行と七十七ビジネスウィズ株式会社の2社合算で算出しています。
<④ウェルビーイング推進戦略>
(注)1 当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を実績としております。
2 エンゲージメントスコア(働く環境指数)は、当行従業員を対象に実施した「エンゲージメント・
サーベイ」における調査結果を実績としております(5点満点)。
当行及び当行の関係会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。当行は、これら事業等のリスクの所在を認識したうえで、必要に応じてリスク管理に係る各種規定等を整備し、適正なリスクの管理及びリスク発生時の対応に努めております。
本内容には、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において当行及び当行の関係会社が判断したものであります。
なお、これらのリスク管理体制等については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 B.リスク管理体制の整備の状況」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (金融商品関係) 1 金融商品の状況に関する事項 (3) 金融商品に係るリスク管理体制」に記載しております。
(1) 経営環境・事業活動等を踏まえた主要なリスク
A.トップリスク
当行では、各種のリスクシナリオが顕在化した場合の影響度と蓋然性等を整理のうえ、当行及び当行の関係会社に特に重要な影響を与える可能性があるリスク(トップリスク)を踏まえて短期経営計画を策定し、リスクマネジメントに努めております。また、定期的なストレステスト等を通じて、トップリスクに起因するリスクシナリオが発生した際の財務への影響等を検証しております。
2025年度の短期経営計画策定に際してのトップリスクは以下のとおりであります。
B.気候変動に関するリスク
気候変動に起因する「物理的リスク」や「移行リスク」が、将来的に当行および当行の関係会社の業績に影響を与える可能性があります。なお、気候変動に関連するリスクは必ずしも独立して発生するものではなく、信用リスク、市場リスクなど、他の様々なリスクの発生につながり、また、様々なリスクを増大させる可能性があると認識しております。
詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候変動」に記載しております。
(2) その他の主要なリスク
A.信用リスク
a.不良債権の状況
「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(金融再生法)に基づく金融再生法開示債権、及び銀行法に基づくリスク管理債権に係わる資産査定に際しては、適正な内部基準に基づき実施しておりますが、取引先の業況回復の遅れもしくは悪化により不良債権が増加し、当行の保有する資産の質が劣化するリスクがあります。これら不良債権の増加は、一般貸倒引当金及び個別貸倒引当金の増加等を通じて与信関係費用の増加をもたらし、当行及び当行の関係会社の収益を圧迫する要因となる可能性があります。
b.貸倒引当金の状況
当行及び当行の関係会社は、取引先の経営・財務状況や差し入れられた担保等に基づき貸倒引当金を計上しておりますが、経済状態全般の悪化や地価の下落による担保価値の減少又はその他の予期せざる理由により、貸倒引当金を積み増しせざるを得なくなるおそれがあります。
c.貸出先への対応
当行及び当行の関係会社は、貸出先に債務不履行等が生じた場合であっても、回収の効率・実効性その他の観点から当行及び当行の関係会社が債権者として有する法的な権利を行使しない場合があります。また、これらの貸出先に対して、追加貸出等の支援・再起に向けた協力を行うこともあり得ます。この結果、当行及び当行の関係会社の与信関係費用が増加する可能性があります。
B.特定地域の経済動向に影響を受けるリスク
地方銀行である当行及び当行の関係会社には、特定の地域(宮城県)を主な営業基盤としていることに起因する地域特性に係わるリスクがあります。
すなわち、営業基盤が特定の地域に立脚しているため、地域経済が悪化した場合、当行の業容の拡大がはかれなくなるほか、不良債権が増加するなどして、当行及び当行の関係会社の業績に影響を与える可能性があります。
C.金利・価格・為替変動リスク
当行及び当行の関係会社は市場性のある債券・株式及び外貨建資産等に投資を行っておりますが、当該債券等は金利・価格・為替変動リスクを内包しております。したがって、急激な長期金利の上昇や株式相場の下落、為替相場の変動等により、保有債券等にかかる評価額の減少、株式等の減損、為替差損等が発生する場合があり、この結果、当行及び当行の関係会社の業績に影響を与える可能性があります。
D.流動性リスク
市場環境の変化や当行の信用状態の悪化等により、必要な資金が確保できず資金繰りがつかなくなる場合や、資金の確保に通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被る可能性(資金繰りリスク)があります。さらに、市場の混乱等により、市場において取引ができないこと、あるいは、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被る可能性(市場流動性リスク)があります。また、取引を約定した後、何らかの事情により決済が行われないことにより損失を被る可能性(決済リスク)があります。
E.事務リスク
当行及び当行の関係会社は、銀行業務を中心に、幅広い金融サービスを提供しておりますが、役職員が正確な事務を怠ったり、事故・不正等を起こした場合、当行及び当行の関係会社に経済的損失や信用失墜等をもたらす可能性があります。
F.システムリスク
当行及び当行の関係会社は、預金取引、貸出金取引、為替取引等の銀行業務を中心に膨大な事務量を日々正確に処理するという業務を行っておりますが、これらの業務は、コンピューターシステム、ネットワーク機器、回線等を含めたシステムの円滑な運行を前提としております。したがって、システムの停止又は誤作動等によるシステム障害が発生した場合、及び権限のない内部の者又はサイバー攻撃等によりシステムが不正に使用され情報システムの破壊やデータ改ざん等が行われた場合には、当行に経済的損失や信用失墜等をもたらし、当行及び当行の関係会社の経営や業務遂行に影響を与える可能性があります。
G.情報漏洩のリスク
当行及び当行の関係会社は、業務の性格上、お客さまの個人情報をはじめとした重要な情報を多く保有しておりますが、これらの重要な情報が外部に漏洩した場合、信用が失墜し、当行及び当行の関係会社の業績に影響を与える可能性があります。
H.コンプライアンスリスク
当行及び当行の関係会社は、コンプライアンスを経営の重要課題として認識し、体制の整備・強化に努めておりますが、法令等遵守状況が不十分であった場合、信用が失墜し、当行及び当行の関係会社の業績に影響を与える可能性があります。
I.規制変更のリスク
当行及び当行の関係会社は、現時点の各種規制に従って業務を遂行していますが、将来における法律、規則、政策、実務慣行、法解釈、財政及びその他の政策の変更により、当行及び当行の関係会社の業務遂行が困難となり、業績に影響を与える可能性があります。
J.人的リスク
当行及び当行の関係会社は、有能な人材の確保や育成に努めておりますが、人材の流出や喪失等により、当行及び当行の関係会社の業務遂行が困難となり、業績に影響を与える可能性があります。
K.風評リスク
市場や顧客の間において、事実と異なる風評が発生・拡大した場合、その内容や対処方法によっては、当行及び当行の関係会社の業績に影響を与える可能性があります。
L.サードパーティリスク
当行及び当行の関係会社は、サードパーティにおいて、事務ミス、システムトラブル及び不正取引等が発生し、損失を被る可能性があります。
M.災害等のリスク
本店、事務センター及び営業店等、当行及び当行の関係会社の施設及び役職員が、災害、犯罪等の被害を受けることにより、当行及び当行の関係会社の業務遂行が困難となり、業績に影響を与える可能性があります。
特に、当行の主要営業基盤である宮城県周辺における巨大地震等の発生により、当行及び当行の関係会社の被災による損害のほか、取引先の被災による業績の悪化等が発生した場合、当行及び当行の関係会社の業績に影響を与える可能性があります。
また、感染症の流行により、当行及び当行の関係会社の業務運営に支障が生じる可能性があります。
N.財務報告に係る内部統制に関するリスク
金融商品取引法により、当行は、財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その結果を記載した内部統制報告書の提出及び監査人による監査を受けることが義務付けられております。
当行及び当行の関係会社は、企業価値向上に向け、財務報告に係る内部統制の有効性を確保するための態勢を整備しており、評価の過程で発見された問題点等は速やかな改善に努めております。しかしながら、想定外の開示すべき重要な不備が発生し期末日までに是正されない場合や、監査人より、財務報告に係る内部統制が十分に機能していないと評価されるような事態が発生した場合には、当行に対する市場の評価の低下等、当行及び当行の関係会社の業績に影響を与える可能性があります。
O.自己資本比率
a.自己資本比率が悪化するリスク
当行グループは、当行の単体自己資本比率及び連結自己資本比率について「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められる国内基準の4%以上を維持することが求められております。
当行の単体及び連結自己資本比率が上記の水準を下回った場合は、早期是正措置の対象として業務の一部停止等の命令を金融庁長官から受けることとなります。なお、自己資本比率に影響を与えるものとして、以下の例が挙げられます。
・与信先の信用状態の悪化に伴う貸倒引当金等の与信関係費用の増加
・不良債権処理による与信関係費用の増加
・有価証券ポートフォリオの変化に伴うリスク・アセットの増加及び価値の変動
b.繰延税金資産に係わるリスク
繰延税金資産の計上額の決定基準が変更された場合は、当行及び当行の関係会社の業績および自己資本比率に影響を及ぼす可能性があります。
また、上記の決定基準に変更がない場合であっても、当行及び当行の関係会社が将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収可能性がないものと判断した場合も同様であります。
P.退職給付制度に係わるリスク
当行は、確定給付型の企業年金基金制度及び退職一時金制度を設け、これに係る必要な退職給付引当金を計上しておりますが、年金資産の運用利回りが低下した場合や予定給付債務を計算する前提となる数理計算上の基礎率に変更があった場合等には、退職給付費用が増加し、当行の収益を圧迫する要因となる可能性があります。
Q.固定資産の減損会計
当行及び当行の関係会社は、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、当該会計基準等に何らかの変更がある場合や、所有する固定資産に損失が発生した場合、当行及び当行の関係会社の業績に影響を与える可能性があります。
R.格付けの低下による影響
外部格付機関が当行の格付けを引き下げた場合、当行及び当行の関係会社は市場取引において不利な条件を承諾せざるを得なくなったり、一定の取引を行うことができなくなるおそれがあり、資金繰りの悪化や資金調達コストの上昇等により、当行及び当行の関係会社の業績に影響を与える可能性があります。
また、格付けの低下に伴い、預金者等に心理的悪影響を与える可能性もあります。
S.経営戦略が奏功しないリスク
2021年度から2030年度までの10年間を計画期間とする「『Vision 2030』~未来を切り拓くリーディングカンパニー~」に基づき展開する経営戦略が奏功しない場合、当初想定した結果が得られない可能性があります。
T.競争に伴うリスク
日本の金融制度における大幅な規制の緩和に伴い、業態を超えた競争が激化しており、こうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当行及び当行の関係会社の業績に影響を与える可能性があります。
U.業務範囲拡大に伴うリスク
当行及び当行の関係会社は、法令等の規制緩和に伴い、新たな収益機会を得るために業務範囲を拡大することがあります。業務範囲を拡大することに伴い、新たなリスクに晒されるほか、当該業務の拡大が予想どおりに進展しない場合、当初想定した結果が得られない可能性があります。
七十七グループ(当行及び当行の関係会社)は、創業より受け継がれる「地域の繁栄を願い、地域社会に奉仕する」という行是の理念に則り、持続可能な社会の実現を目指しております。2011年3月に発生した東日本大震災による甚大な被害を踏まえ、地域と共にある金融機関として、金融サービスの安定的な提供と継続的な金融仲介機能の発揮に努めるとともに、コンサルティング機能の発揮や生産性の向上に取り組んでまいりました。
以上のような状況のなか、「Vision 2030」において掲げる4つの基本戦略に基づく事業活動の推進に努めてまいりました結果、当行及び連結子会社による当連結会計年度における財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりとなりました。
預金(譲渡性預金を含む)は、当連結会計年度中257億円増加し、当連結会計年度末残高は8兆9,608億円となりました。
一方、貸出金は、当連結会計年度中3,160億円増加し、当連結会計年度末残高は6兆1,705億円となり、有価証券は、当連結会計年度中1,579億円減少し、当連結会計年度末残高は2兆9,192億円となりました。
なお、総資産は、当連結会計年度中783億円減少し、当連結会計年度末残高は10兆4,227億円となりました。
損益状況につきましては、貸出金利息及び有価証券利息配当金の増加等により資金運用収益が増加したほか、国債等債券売却益の増加等によりその他業務収益が増加したこと等から、経常収益は前連結会計年度比210億1百万円増加の1,715億53百万円となりました。他方、経常費用は、国債等債券売却損の増加等によりその他業務費用が増加したこと等から、前連結会計年度比89億69百万円増加の1,152億80百万円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度比120億32百万円増加の562億73百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比94億68百万円増加の392億70百万円となり、1株当たり当期純利益は529円50銭となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、次のとおりとなりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、△3,371億81百万円となり、前連結会計年度比2,334億60百万円減少しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、690億96百万円となり、前連結会計年度比110億91百万円減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、△108億28百万円となり、前連結会計年度比29億91百万円減少しました。
以上の結果、現金及び現金同等物は当連結会計年度中2,789億14百万円減少し、当連結会計年度末残高は1兆6億82百万円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容につきましては、次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
預金(譲渡性預金を含む)は、公金預金が減少したものの、個人預金及び法人預金が増加したこと等から、前連結会計年度末比0.2%、257億円増加して、8兆9,608億円となりました。
うち宮城県内においては、前連結会計年度末比△0.1%、84億円減少しました。
なお、預り資産残高(単体)は公共債が増加したこと等から、前事業年度末比11.6%、660億円増加し、うち宮城県内においても、前事業年度末比12.3%、662億円増加しました。
(参考)
(注) 預り資産は、投資信託、保険、公共債、外貨預金、仕組債等(仲介)の合計。ただし、外貨預金は金融預金及びオフショア勘定を含まない。
(うち宮城県内)
(参考)
② 貸出金
貸出金は、中小企業向け貸出及び住宅ローンを中心に個人向け貸出が増加したこと等から、前連結会計年度末比5.3%、3,160億円増加して、6兆1,705億円となりました。
うち宮城県内においても、前連結会計年度末比4.3%、1,787億円増加しました。
(うち宮城県内)
③ 有価証券
有価証券は、地方債及び社債が減少したこと等から、前連結会計年度末比△5.1%、1,579億円減少して、2兆9,192億円となりました。
当連結会計年度末の連結自己資本比率は10.60%となり、必要とされる水準を大きく上回っております。
(2) 経営成績
国債等債券損益を主因にその他業務収支が悪化したものの、貸出金利息及び有価証券利息配当金の増加等により資金運用収支が増加したこと等から、連結業務粗利益は前連結会計年度比6.8%、58億72百万円の増益となりました。
営業経費は、人件費が減少したこと等から、前連結会計年度比18億60百万円減少しました。
与信関係費用の減少等により、経常利益は前連結会計年度比27.1%、120億32百万円増益の562億73百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益についても前連結会計年度比31.7%、94億68百万円増益の392億70百万円となりました。
(注)1 連結業務粗利益=(資金運用収益-資金調達費用)+(役務取引等収益(信託報酬含む)-役務取引等費用)
+(その他業務収益-その他業務費用)
なお、資金調達費用から金銭の信託運用見合費用を控除しており、金銭の信託運用見合費用は「その他」に含めております。
2 与信関係費用の内訳は次のとおりであります。
与信関係費用は前連結会計年度比減少しました。なお、当連結会計年度は、一般貸倒引当金及び個別貸倒引当金の合計額が取崩となったことから、取崩超過額を貸倒引当金戻入益に計上しております。
(注) ( )内は、貸倒引当金戻入益を計上する前の金額。
資金運用収支は、国内業務部門において資金運用収益の増加を主因に前連結会計年度比107億56百万円増加したことから、合計で前連結会計年度比103億75百万円増加し1,031億4百万円となりました。
また、役務取引等収支は、国内業務部門での収益の増加を主因に前連結会計年度比18億24百万円増加の175億80百万円となり、その他業務収支は、国債等債券損益を主因に前連結会計年度比63億35百万円悪化の△295億35百万円となりました。
(注) 1 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度63百万円)を控除して表示しております。
3 相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息等であります。
資金運用勘定においては、平均残高が貸出金を主因に前連結会計年度比1,994億円増加し、利回りが前連結会計年度比0.15ポイント上昇した結果、資金運用利息は前連結会計年度比160億12百万円増加しました。
一方、資金調達勘定においても、平均残高が借用金を中心に前連結会計年度比1,523億円増加し、利回りが前連結会計年度比0.05ポイント上昇した結果、資金調達利息は前連結会計年度比52億55百万円増加しました。
(注) 1 平均残高は、当行については日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については月毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度87,458百万円、当連結会計年度88,062百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度111,437百万円、当連結会計年度112,761百万円)及び利息(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度63百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
資金運用勘定においては、平均残高が有価証券を中心に前連結会計年度比119億円増加したものの、利回りが前連結会計年度比0.28ポイント低下した結果、資金運用利息は前連結会計年度比2億27百万円減少しました。
一方、資金調達勘定においては、平均残高が国内業務部門との資金貸借を中心に前連結会計年度比190億円増加し、利回りが前連結会計年度比0.01ポイント上昇した結果、資金調達利息は前連結会計年度比1億54百万円増加しました。
(注) 1 当行の外貨建取引の平均残高は、月次カレント方式(前月末のTT仲値を当該月のノンエクスチェンジ取引に適用する方式)により算出しております。
2 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度72百万円、当連結会計年度62百万円)を控除して表示しております。
(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度87,531百万円、当連結会計年度88,124百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度111,437百万円、当連結会計年度112,761百万円)及び利息(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度63百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
2 資金運用勘定及び資金調達勘定における平均残高及び利息の相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借によるものであります。
役務取引等収益は、預金・貸出業務にかかる収益の増加を主因に前連結会計年度比22億95百万円増加して237億5百万円となりました。
また、役務取引等費用は、前連結会計年度比4億70百万円増加して61億24百万円となりました。
(注) 1 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
2 定期性預金=定期預金+定期積金
「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げることとしておりますが、前連結会計年度及び当連結会計年度ともに該当ありません。
(注) 「その他の証券」には、外国証券を含んでおります。
連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、当行1社であります。
A.信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表)
(注) 共同信託他社管理財産については、取扱残高はありません。
B.元本補填契約のある信託の運用/受入状況(末残)
(自己資本比率等の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の算出においては標準的計測手法を採用しております。
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付を行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、貸出金の増加等により3,371億81百万円のマイナスとなりました。また、前連結会計年度との比較では、借用金の減少等により2,334億60百万円減少しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却及び償却による収入等により690億96百万円のプラスとなりました。また、前連結会計年度との比較では、有価証券の取得による支出の増加等により110億91百万円減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により108億28百万円のマイナスとなりました。また、前連結会計年度との比較では、配当金の支払額の増加等により29億91百万円減少しました。
以上の結果、現金及び現金同等物は当連結会計年度中2,789億14百万円減少し、当連結会計年度末残高は1兆6億82百万円となりました。
なお、当行及び連結子会社の主な設備投資の内容につきましては、「第3 設備の状況」に記載しております。設備投資の資金調達方法は自己資金であります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5) 目標とする経営指標の達成状況
「『Vision 2030』~未来を切り拓くリーディングカンパニー~」において掲げる財務基盤の強化にかかる指標およびKPIについて、「顧客満足度ナンバーワン戦略」、「生産性倍増戦略」、「地域成長戦略」及び「企業文化改革戦略」の4点を基本戦略として取り組んだ結果、2024年度における実績は次のとおりであります。
当行では、中長期的な時間軸の中で、抜本的な改革に取り組むとともに、足元の経営環境を踏まえた短期経営計画を通じて、持続的な成長の実現を目指していきます。
①財務基盤の強化にかかる指標及び目標
(注)2023年3月末より、最終化されたバーゼルⅢを早期適用し、自己資本比率を算出しております。
②KPI
(注) 1 株式会社帝国データバンクによる「メインバンク動向調査」
2 (貸出金利息+役務取引等利益-預金等利息-経費+人件費+減価償却費)/従業員数(パートタイマーは0.4人換算)
3 非対面チャネル利用率(法人)について2023年度に定義を見直し、2023年度実績、2024年度実績、2025年度目標及び2030年度なりたい姿は、分母から個人事業主を除外し算出しております。
4 2030年度までのカーボンニュートラル実現を目指しております(対象:Scope1、2)。
5 2023年度までに10件立ち上げ済みであり、将来的に事業化が見込まれる新事業・新分野の開拓を継続しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。