当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当行は上記経営理念のもと、「地域の皆さま」、「お客さま」、「株主の皆さま」、「従業員」などのステークホルダーを重視した経営を行うとともに、「安全・安心」の銀行として、より一層の信頼を確保することを基本方針としております。また、前長期経営計画では、2030年度に向けた長期ビジョンとして、「お客さまの価値を共に創造し、地域ポテンシャルを最大化する金融・産業参画型ハイブリッドカンパニー」になることを掲げており、今後も引き続き、ビジョンの実現に向けた取り組みを展開してまいります。
(2) 経営環境
国内経済は、総じてみれば緩やかな回復の動きをたどりました。物価上昇が消費マインドを下押しする状況が続いたものの、雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費は緩やかに増加しました。また、価格転嫁の進展や円安を背景に企業収益の改善が続き、省力化需要の高まりなどから設備投資も増加傾向をたどりました。こうしたなか、インバウンド需要は好調となったものの、中国向け財輸出の低迷が続くなかで、企業の生産活動は、一部自動車メーカーの認証不正問題の影響もあって横ばい圏内での推移となりました。
当行グループの主要営業基盤である山形県内経済につきましては、物価上昇が消費マインドを下押しし、個人消費がおおむね横ばいの動きとなるなかで、中国向け輸出の不振等から、電子部品・デバイスを中心に企業の生産活動が弱含みとなり、持ち直しの動きにやや停滞感が広がりました。
(3) 対処すべき課題
当行グループが営業基盤とする山形県は、人口減少および少子高齢化が進む中、企業の後継者難や人手不足といった問題が表面化していることに加え、物価高騰への対応や脱炭素に向けた取り組みの加速など、様々な課題に直面しております。一方、経済面では、伝統的に継承されてきたものづくり産業をはじめ、最先端分野の研究開発、洋上風力発電の事業化へ向けた動きなど、地域のポテンシャルは高まりつつあります。
このような状況を踏まえると、地域金融機関として当行グループが果たすべき役割は、一層重要性が高まっていると認識しております。
これまで以上に多様化・複雑化する地域やお客さまの課題解決を図るため、高いコンサルティング機能と専門性を発揮できるプロフェッショナル人財の育成を強化するとともに、巧妙化する金融犯罪への対策、マネー・ローンダリングやテロ資金供与の防止、サイバーセキュリティ強化への対応など、経営管理態勢の強化にも引き続き取り組んでまいります。
(4) 第21次長期経営計画「Pro-Act」(2024年4月〜2027年3月)について
当行は、2024年4月より第21次長期経営計画「Pro-Act」(2024年度~2026年度)をスタートさせました。本長計は、2030年に向けた長期ビジョンの実現に向けたフェーズ2と位置づけております。前長計で挑戦した変革を踏まえつつ、組織としての専門性(Pro)を更に高めるとともに、役職員一人ひとりが積極的かつ具体的に行動(Act)することで、企業価値の向上を実現してまいります。
加えて、本長計では、サステナビリティ経営の強化を目的として、重点的に取り組む内容およびKPIを定めました。当行グループにおけるサステナビリティへの取り組みを深化させ、ステークホルダーの皆さまの期待に応えるとともに、持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。
《大切にしたい価値観》
本長期経営計画では、当行グループの企業価値向上、ひいては全てのステークホルダーにとって、ウェルビーイングな企業にステップアップすることを目指し、役職員が大切にする3つの価値観を定めております。


(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第21次長期経営計画「Pro-Act」のもと、以下の指標を目標とし、各種施策に取り組んでおります。
《経営目標》
※自己資本平均残高:{(期首純資産-期首非支配株主持分)+(期末純資産-期末非支配株主持分)}÷2
《業容目標》
当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
また、サステナビリティ全般のほか、特に重要と認識している「地方創生」、「気候変動への対応」、「人的資本」、「サイバーセキュリティ」について記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
<サステナビリティ全般>
・当行グループは「地域とともに成長発展する」という経営理念のもと、事業活動を通じて持続可能な地域社会の実現に取り組んでおります。
・経営における推進体制においては、常務会としてサステナビリティ会議(議長:頭取)を設置し、サステナビリティに係る取り組みなどを定期的(6カ月ごと)に報告・協議する体制を構築しております。
・取締役会の監督体制として、サステナビリティに係る取り組み状況等は、年2回以上定期的に取締役会に報告し、取締役(社外取締役を含む)が監督する体制を構築しております。
・実務レベルの推進体制として、経営企画部内にサステナビリティ推進室を設置し、サステナビリティに関する施策を立案・統括する体制を構築しております。
[ガバナンス体制図]

[サステナビリティ会議の主な協議事項]
・マテリアリティごとのKPIの進捗確認と今後の取り組み
・カーボンニュートラルに向けた取組方針について
・サステナビリティに関する情報開示と今後の取組方針について
・TCFD提言における定量的なシナリオ分析結果について
・その他、地方創生、人的資本経営など重要事項の取り組み
(2) 戦略
・当行グループは、持続可能な地域社会の実現と当行グループの中長期的な企業価値向上を目的として、2021年12月に「サステナビリティ方針」および「環境・社会に配慮した投融資方針」を制定しており、今後もサステナビリティを巡る諸課題への取り組みを強化してまいります。
・第21次長期経営計画において、大切にしたい価値観としてサステナビリティ経営の実践を掲げており、5つのマテリアリティ(重要課題)ごとに設定したKPIの達成に向けて、重点的な取り組みによるサステナビリティ経営を実践してまいります。
[サステナビリティ方針]
山形銀行グループは、「地域とともに成長発展する」という経営理念のもと、地域の成長に責任を持つ企業として地域の課題解決に真摯に取り組むことで、持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。
[マテリアリティとKPI]

※ 各KPIは当行独自の指標であり、以下に記載の通り定義し算出しております。
・取引先との経営課題に関する対話率:当行独自の取引先セグメント(基幹取引先、大口預貸先)に対して、対話により課題把握から各種ソリューション提案まで実施した割合
・コンサルティング支援件数:経営コンサル、オーダーメイド型融資、事業承継、M&A、製造業向け、ICT、SDGs等に係るコンサルティングサービス支援件数
・自治体との協働件数:自治体からの事業受託件数(自治体コンサル件数)と企業版ふるさと納税の仲介実施自治体数の合算件数
・サステナブルファイナンス実行額累計:環境課題(脱炭素や気候変動など)、社会課題(教育や医療・福祉、創業や事業承継など)、経済課題(地方創生など)の解決に資するもので、地域や事業等にポジティブな影響を与える融資等金融サービスの累計金額
・エンゲージメントスコア:株式会社Atrae(アトラエ)が提供するクラウドサービス「Wevox」のスコア
・政策投資株式の純資産比保有割合:連結純資産に占める政策保有株式の時価の比率
(3) リスク管理
・当行では、各種リスクを可能な限り統合的に把握・管理するとともに、状況に応じてリスクの分散・回避・圧縮等の方策を実施しながら、収益とリスクのバランスを図ることが経営の健全性と安定収益の確保につながると認識し、リスク管理態勢の整備・充実に取り組んでおります。
・リスク管理態勢については、「統合的リスク管理規程」を制定しており、定期的に開催する「リスク管理会議」等において各種リスクの発生状況や管理状況、改善状況等について経営陣に報告しております。
・統合的なリスク管理体制の内容については、
・なお、気候関連リスクについては信用リスク等に影響することを踏まえ、重要なリスクの一つと位置付けておりますが、統合的なリスク管理体制への組み入れは今後検討してまいります。
・また、気候関連リスクに係る事項として、「環境・社会に配慮した投融資方針」では、石炭火力発電事業、森林伐採事業等の気候変動にネガティブな影響を与える可能性が高い特定セクターに対する取組方針を策定しております。

(4) 指標及び目標
・サステナビリティ全般に関する指標と目標については、(2)戦略[マテリアリティとKPI]をご参照ください。
・サステナブルファイナンスについては、気候変動問題や脱炭素化社会、地方創生などの取り組みに対し、全行員の共通認識・取組指標としてサステナブルファイナンス目標を掲げ、持続可能な社会を実現するため、地域課題の解決に積極的に取り組んでおります。
・サステナブルファイナンスの対象期間は当行がTCFD提言に賛同した2021年度を起点としております。

<地方創生>
(1) ガバナンス
・<サステナビリティ全般>(1)ガバナンスをご参照ください。
(2) 戦略
・当行の営業基盤とする山形県内は、人口減少、少子高齢化に伴う地域経済の縮小や中小企業における後継者不足など多くの課題を抱えております。
・当行では、サステナビリティ方針において「地域経済の持続的成長・地域産業の育成」を重要課題の一つに位置づけており、地方創生への取り組みを強化しております。
① ものづくり支援
・県内産業競争力の向上に向け、技術力を把握し個々に技術力支援を行っております。「<やまぎん>ものづくり技術力向上支援プログラム(やまぎんMSP)」を立ち上げ、地域産業の成長・発展に向け、外部機関と連携し課題解決や研究開発を支援しております。
② 事業承継・M&Aサポート、プライベートバンキング
・コンサルティング部内にやまぎんM&A相談所、やまぎん事業承継・相続相談所を設置し、経営者の課題解決に対する総合的な支援や、金融資産や不動産といった資産の引き継ぎ支援を行っております。
③ 自治体との協働による地域活性化
・当行では、2012年より、当行自らが産業の主体となり地域資源を活用して新たなビジネスを創出し、地域経済の活性化を図るため、山形成長戦略プロジェクトを推進してきました。豊かな地域社会の実現のためには、自治体との協働が重要であり、山形成長戦略プロジェクトで培ったノウハウを活かし、多面的な課題解決支援を行っております。
④ 地域商社の活用
・山形成長戦略プロジェクトで培ったノウハウを活かし、「地域商社事業」と「コンサルティング事業」を2つの柱に、地域企業の経営をワンストップでサポートしております。
⑤ 投資専門子会社の活用
・資本性資金の供与やハンズオンによる伴走型支援により、事業承継、事業再生、新規事業、地域の活性化など、持続可能な地域社会の実現に向けた活動を行っております。
(3) リスク管理
・<サステナビリティ全般>(3)リスク管理をご参照ください。
(4) 指標及び目標
・<サステナビリティ全般>(4)指標及び目標をご参照ください。
<気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)>
(1) ガバナンス
・<サステナビリティ全般>(1)ガバナンスをご参照ください。
(2) 戦略
・短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で気候変動に伴うリスク(移行リスク・物理的リスク)および機会を定性的に分析するとともに、シナリオ分析による定量的な分析を実施しております。
① 当行における気候変動リスク・機会

※ 時間軸の定義:短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)
② リスク
[シナリオ分析]
ア. 移行リスク
・移行リスクは、当行の融資ポートフォリオにおいて気候変動リスクの影響度が高い「電力」、「石油・ガス」、「石炭」セクターおよび当行の営業基盤である山形県の基幹産業(製造業)を考慮した「機械」セクターを対象として、IEAが公表する1.5℃シナリオ(Net Zero Emissions シナリオ)のもとで、2050年までの規制強化や税制の変更等に伴う個社の財務への影響を試算し、債務者区分の変化に起因した与信関係費用の増加額を評価しております。
イ. 物理的リスク
・物理的リスクは、当行の担保物件、与信先企業に与える洪水被害を対象として、IPCCが公表する4℃シナリオ(RCP8.5シナリオ)のもとで、2050年までの不動産担保の毀損およびお客さまの事業停止・停滞に伴う与信関係費用の増加額を評価しております。
[炭素関連資産]
・2025年3月末時点の、TCFD提言が推奨する定義を踏まえた炭素関連資産(エネルギー*/運輸/素材・建築物/農業・食料・林業製品)の当行貸出金等(極度枠を含む)に占める割合は12.4%です。そのうち、エネルギーセクターの当行貸出金等(極度枠を含む)に占める割合は1.3%です。
* エネルギーセクターおよびユーティリティセクター向け。ただし、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く。
③ 機会
・当行は「環境・社会に配慮した投融資方針」を制定しており、気候変動リスクを低減する省エネルギー・再生可能エネルギーや企業の脱炭素社会への移行対応など、環境にポジティブな影響を与えるお客さまの事業を融資商品やコンサルティング等を通じて積極的に支援してまいります。特に、地域における脱炭素化を着実に進めていくため、「知る・測る・削減する」のステップによりお客さま支援に取り組んでまいります。
[取引先の脱炭素化支援ステップ]
[気候変動などへの対応を支援する融資商品等]
・当行グループ自身の取り組みとして、サステナブルをコンセプトとした新本店ビルが2026年に竣工予定であり、省エネルギーや省資源化によりエネルギー消費量を大幅に抑え、環境に配慮した建物としております。本建物は、国土交通省告示に基づく第三者機関より「ZEB Ready(ゼブ レディー)※」の認証を受けております。
※ ZEB Ready:基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減に適合するもので、外皮の断熱化および高効率な省エネルギー設備を備えた建築物
・また、2008年12月に「環境方針および環境行動指針」を制定しており、やまぎん蔵王国定公園の森などの森林保全活動に継続して取り組んでいくとともに、活動の一層の充実を検討してまいります。
[カーボンニュートラルに向けたロードマップ]

(3)リスク管理
・<サステナビリティ全般>(3)リスク管理をご参照ください。
(4)指標及び目標
① GHG排出量:Scope1、2
・脱炭素社会の実現に向けて、当行では「2030年度までにカーボンニュートラル(Scope1・2、ネットゼロ)」目標を掲げております。
・2024年度の当行のGHG排出量は、本店ビル(仮移転中)での再生可能エネルギーの活用などにより2013年度比53.4%削減となりました。2025年度は、再生可能エネルギーの活用を事務センターおよび研修センターに広げるとともに、2026年度までに高圧受電店舗・施設は再生可能エネルギーに切り替えていく計画としております。また、一部営業車両について電気自動車への入れ替えを進め、2026年度までに20台を配備する計画としており、これまで以上にCO2排出量の削減に取り組んでまいります。
・当行では、CO2吸収量拡大にも取り組んでおります。2024年度のやまぎん蔵王国定公園の森におけるCO2森林吸収量は421.53t-CO2となりました。
② GHG排出量:Scope3
・脱炭素分野においては、当行自らのGHG排出量削減に加え、地域金融機関としてお客さまのGHG排出量削減支援を図るためファイナンスド・エミッションを把握することが重要であり、Scope3カテゴリ15(投融資)を含めたScope3全体の算定を実施いたしました。
・算定には、国際的な排出基準であるGHGプロトコルやPCAFに準拠した炭素会計システム「Persefoni」を採用しており、今後も継続して数値の精緻化を図るとともに、分析結果を活用した地域の脱炭素支援を強化してまいります。
・カテゴリ15(投融資)の算定にあたっては当行業種に紐づく日銀業種から世界産業分類(GICS)に読み替えており、実際の業種と一致しないケースもありますが、過小算定とならない代替業種に分類し算定しております。
[GHG排出量(Scope1、2)の推移]

[GHG排出量(Scope1、2、3)実績]
(単位:t-CO2)
※2023年度のScope1とScope2は省エネ法の定例報告書にて集計したCO2排出量に、ガソリン使用による排出量を加算。2024年度のScope1とScope2はパーセフォニ社が提供する炭素会計システムを活用し算定。
※Scope3はパーセフォニ社が提供する炭素会計システムにて算定。2024年度の算定では、一部算定対象や帰属係数の見直し等を行っております。
[Scope3カテゴリ15(ファイナンスド・エミッション)算定における詳細]
※ 対象アセット:法人・個人事業主向け事業性融資(財務データを保有する先)
※ 基準日:2025年3月末時点の融資残高
※ 算定方法:投融資先のGHG排出量(Scope1,2,3)×帰属係数
投融資先のGHG排出量は、CDPデータによるほか、PCAF係数(業種別排出量/売上高等)による
帰属係数は、融資額÷(融資先の負債+資本)による
※ データクオリティスコア:3.23
なお、以下の表におけるスコア1(1a)、スコア2(1b)、スコア4(3a)のデータクオリティによりScope3カテゴリ15を算定しておりますが、データクオリティスコア(加重平均)についてはスコア1、2の判別がシステム上できないためスコア2とし算出しております。

<人的資本>
(1) ガバナンス
・<サステナビリティ全般>(1)ガバナンスをご参照ください。
(2) 戦略
① 人的資本経営の取組方針
・当行は、職員の安定した生活やキャリアにおける成長機会の提供を経営理念に掲げております。
・人財(職員)は競争力の源泉であるとともに、企業価値向上および地域経済発展に資する最も重要な資本であるとの認識のもと、人的資本の充実は、経営戦略を力強く推し進めていくための重点課題と位置付けております。
・こうしたなか、2030年長期ビジョンに向けた人事部門の取り組みにおいて、2023年5月「プロフェッショナル人財(以下、プロ人財)としての成長・活躍」「挑戦・キャリア自律」「ダイバーシティ推進」をコンセプトに人事制度を改定しているほか、人的資本経営を第21次長期経営計画の重点戦略に掲げております。
※プロ人財:お客さまの価値を創造できる人財
・エンゲージメントの向上を図り、職員一人一人の成長・生産性の向上を通じて、当行ならびに地域経済の成長・発展、そして持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。

② 人財育成方針
ア. プロ人財の育成
・法人・個人のコンサルティング能力や専門性を高め、全員が何かしらのプロフェッショナル人財として成長・活躍できるよう5つのキャリアフィールドを設定し、そのキャリア実現に向けて育成・支援する体制を整備しております。
・また、後述する「山形銀行金融大学校」において、職務別研修や専門部署における行内トレーニーの充実、FP1級や中小企業診断士等の高度資格取得支援、Web講座や研修動画の配信といった能力開発コンテンツの拡充などに取り組んでおり、プロ人財の育成に向けた体制を構築しております。
(2025年3月末時点での資格保有者)
イ. 挑戦・キャリア自律
・各人が希望するキャリアを選択しながら、自律的に成長できる仕組みとして、キャリア教育の充実や副業制度によるチャレンジ機会の提供拡大を図っております。
・自律的なキャリア形成支援の一環として「行内インターン」を実施しております。本部各部長からの講話や関連部協議への参加等により、本部業務を「見る」、「知る」機会を提供することで、キャリア自律を促すとともに、職員のモチベーションとエンゲージメント向上を図っております。


ウ. 評価制度の充実
・職員の心理的安全性を確保しながら、コンサルティング能力の強化を図るため、短期的な業績に対する評価割合を見直し、期待する行動や取り組みに対する評価割合を高めております。
・また、挑戦する風土づくりに向け、新たな能力・スキル習得に向けた取り組みや業務外の地域貢献活動など、多様な取り組みを評価する「チャレンジ目標」の設定を可能としております。
エ. 組織的な人財育成への取り組み
(ア) 広域型営業体制下での人財育成
・広域型営業体制のねらいの1つに人財育成の強化があります。各営業店に分散していた人財をブロック統括店に集約することで、組織としてのコンサルティング機能強化と教える文化・育てる文化の醸成を図っております。
(イ) 人財定着に向けた取り組み
・雇用の流動化が進む中、若手職員が当行で働くことのやりがいや意義を感じ成長していくことで、人財の定着につながるよう、2019年から人財育成プログラムを実施しております。
・2024年4月から、業務の早期習得や離職防止の観点で若手育成計画を見直しております。新入行員は、入行後2カ月間実務基礎を学び、その後初年度は業績目標を設定せず、営業課・融資管理、法人・個人渉外のジョブローテーションで業務を習得します。入行後2・3年目は、自身の希望を確認しながら法人担当の業務経験を必須として育成します。
(ウ) 山形銀行金融大学校の運営
・主体的に成長する職員を育成・支援するため2013年に「山形銀行金融大学校」を設立し、経営職層から一般職層まで幅広く、それぞれの目的にあったカリキュラムを受講できる体制を整えております。カリキュラム内容は毎年見直しており、近年はデジタル関連のカリキュラム数を増やし、IT・デジタルリテラシーの向上を図っております。
・また、自律的な能力開発を促すため、資格取得等による自身の能力向上やスキルアップを図る職員に対して、資格等奨励金を支給しております。
オ. 多様な人財の確保
(ア) 中途採用への取り組み
・変化の激しい時代において、経営戦略にあわせた人財ポートフォリオを構築するため、中途採用にも積極的に取り組んでおります。特にシステム部門における専門人財については、当行のプロパー人財では持ちえない能力やスキルを有した人財を採用し、長期経営計画の重点戦略であるデジタル戦略を推し進めております。
(イ) ジョブリターン制度・行員登用制度・リファラル採用制度
・当行を退職した職員が多様なキャリアを実現できるよう2020年にジョブリターン制度(復職制度)を整備するとともに、スタッフ(非正規職員)の行員登用制度を定めております。また、2025年3月にリファラル採用制度(職員による知人・友人等の紹介制度)を導入するなど、多様な人財の確保に努めております。
(2024年度の制度利用者数実績)
カ. 人財輩出による地域社会への貢献
・少子高齢化の進展や地域経済縮小などの影響により、地域企業において経営人財の確保は大きな課題となっております。地域企業の要請に可能な限り応えるため、出向制度の活用や退職者の再就職により人財を輩出し、持続可能な地域社会の実現に取り組んでおります。
(2024年度実績)
キ. ファイナンシャル・ウェルネスへの取り組み
・職員自身による将来への資産形成支援として、「従業員持株制度」「企業型確定拠出年金制度」を導入しております。能動的な資産形成につなげるため、定期的な募集・情報発信やスマートフォンでの操作対応など、利用促進を図るための各種施策を実施しております。また、新入行員に対しては、階層別講座において「職員向け金融教育」を実施しており、人生100年時代における資産形成の重要性を伝えております。
③ 社内環境整備方針
ア. ダイバーシティ推進への取り組み
(ア) 多様な働き方の環境整備
・働き方や働くことへの価値観、ライフスタイルが多様化している中、生産性の向上や多様な人財の確保・定着を図るため、2021年度から柔軟な働き方の整備を本格的に進めております。主な取り組みは次のとおりであります。
(2021年4月~)
○ 職員の自主性や多様性を尊重し、オープンで活力ある組織風土を醸成するため、勤務時間中における服装の多様化を実施
○ スタッフ(非正規職員)も含めた全職員対象にテレワークを導入するとともに、時差勤務(全9パターン)の活用を推奨
○ 休職制度の運用を、資格取得や不妊治療等でも利用できるよう拡充
○ 2021年4月の高年齢者雇用安定法の改正にあわせ、シニア人財が能力や経験を存分に発揮できる機会を設けるため、継続雇用期限を65歳から70歳に延長
(2023年5月~)
○ 夫婦共働きの増加など生活スタイルの多様化を踏まえ、配偶者と同居可能なエリアにおいて勤務することができる「パートナー帯同制度」を導入
○ 家族とともに生活しながら働くことを望む場合や、子どもの成長、家族状況など、ライフステージに合わせた働き方が選択できるよう「転居を伴う転勤の有無を選択制(1年ごとに変更可)」とし運用を開始
○ 心身の健康維持・増進やプライベート等の充実を図るため、連続した5日間の有給休暇を取得できる連続休暇制度をはじめとした、各種制度有給休暇の対象者をスタッフ(非正規職員)にも拡大
(2024年4月~)
○ 育児・介護短時間勤務の対象者拡大(子が小学校3年生まで)と柔軟な勤務時間設定の運用開始
(2025年4月~)
○ 看護休暇の取得事由拡大(子の入園式・卒園式、感染症に伴う学級閉鎖等)
(イ) 女性活躍に向けた取り組み
・女性職員の個性と能力が十分に発揮されるよう「女性活躍推進法にもとづく行動計画」を策定し女性の活躍支援に取り組んでおります。
《女性活躍推進法にもとづく行動計画》
計画期:2024年4月1日~2027年3月31日までの3年間
(ウ) 子育て・不妊治療と仕事の両立に向けた取り組み
・男女問わず、職員の子育てと仕事の両立を図る取り組みが認められ、2015年4月に全国初となる「プラチナくるみん」の認定を受けました。
・また、不妊治療を受ける場合、年次有給休暇とは別に、年間5日間の休暇を取得できる「出生サポート休暇」を設定するなど、不妊治療と仕事の両立がしやすい職場環境を整え、2023年5月に「プラチナくるみんプラス」の認定を受けております。
イ. 健康経営への取り組み
・従業員の健康増進による企業価値向上や生産性向上を図るため2017年「やまぎん健康宣言」を策定し、健康経営に取り組んでおります。敷地内全面禁煙や、ウォーキングイベントの実施、メンタルヘルスセミナーの開催など、健康経営への各種取り組みが評価され、8年連続で健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定を受けております。

ウ. エンゲージメントサーベイの実施
・「エンゲージメント向上」に向けた取り組みの一環として、職員の「働きがい」に着目した意識調査を行い、組織の現状を把握するとともに、今後の人事諸施策に反映するため、エンゲージメントサーベイ(Wevox)を実施しております。キャリアフィールドやチャレンジ目標制度の運用、職場環境整備など、人事制度における各種施策に取り組み、エンゲージメントの向上を図ってまいります。
(3) リスク管理
・<サステナビリティ全般>(3)リスク管理をご参照ください。
(4) 指標及び目標
人財の多様性の確保を含む人財育成の方針および社内環境整備方針のほか、第21次長期経営計画にもとづき、以下の指標を目標とし、各種施策に取り組んでおります。
《設定した目標値等》
<サイバーセキュリティ>
(1) ガバナンス
・サイバーリスクを当行のトップリスクの一つとして位置付け、経営者自らが最新情勢への理解を深め、経営主導のもとに継続的にその対策を推進しております。
・当行はサイバーセキュリティ管理委員会を設置し、経営陣を含めてサイバーセキュリティ管理やサイバー攻撃事例等の報告、およびサイバーセキュリティ管理方針の策定にかかる協議を定期的(3カ月ごと)に行う体制を構築しております。また、重要事項については、リスク管理会議、取締役会に報告・協議しております。
・当行はサイバーセキュリティ事案に適切に対応し、お客さまの大切なご資産を守り、預金、融資、為替といった金融サービス・業務を維持するため、組織内CSIRT※を設置し、サイバーセキュリティ管理活動に取り組んでおります。 ※ Computer Security Incident Response Team
(2) 戦略
・サイバーセキュリティはシステム部門のみの問題ではなく、当行グループ全体の問題と認識し、山形銀行CSIRTメンバーとしてシステム部門、リスク・コンプライアンス管理部門、経営企画部門、営業企画部門、事務部門、関連会社から人財・資源を確保しております。
・サイバー攻撃に備え、入口対策、内部対策、出口対策といった多段階のサイバーセキュリティ対策を組み合わせた多層防御策、サイバーセキュリティ事案発生時の被害拡大防止策、システムの脆弱性に対する予防的措置等を講じております。
・ネットワークへの侵入検査や脆弱性診断等を活用し、サイバーセキュリティ管理水準の定期的な評価を実施することで、サイバーセキュリティ管理水準の維持・向上を図っております。
・サイバー攻撃を想定した対応マニュアルを策定し、訓練や見直しを実施することで、管理態勢を整備しております。
(3) リスク管理
・当行では、システムの導入時・更改時や外部のサービス利用時等に以下のステップでサイバーリスク評価を実施しております。また、定期的にリスク評価を実施することで、システムや外部サービスの安全性確保を図っております。
(4) 指標及び目標
・サイバーセキュリティ事案発生時に緊急対応・復旧対応が確実かつ迅速に行えるよう、継続的に以下の演習・訓練に取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、「気候関連リスク」については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 <サステナビリティ全般>(3)リスク管理」に記載しております。
また、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
以下に記載の主要なリスクのうち、地域金融機関である当行は(1)地域経済動向に係るリスクの影響を大きく受けます。そのため地域経済動向等については、経営管理会議等を通じて綿密に分析・評価し、長期展望のなかで想定するリスクをふまえ、経営計画を策定しております。
(2)信用リスク、ならびに(3)市場リスクについては、VaR(バリュー・アット・リスク)により定量化し、資本配賦計画のもと、カテゴリー毎に割り当てた自己資本の範囲内にリスク量をコントロールするよう努めております。また、定期的にストレステストを実施し、仮にストレス事象が発生しリスクが顕在化した場合においても、規制上の所要自己資本比率を維持することを確認しております。(4)流動性リスクについては、円貨・外貨流動性を日次・週次・月次で把握し、必要時に機動的な対応をとるための管理をしております。
それ以外の各種リスクについては、経営管理会議等を通じて管理態勢の計画・評価・整備を行い、予防的管理とリスクが顕在化した場合の対応を実施するなど、リスクの所在を明らかにし、適切に管理するよう努めております。また、重大な事故・不正の発生時においては要因分析をふまえ、再発防止策を徹底しております。
しかしながら、想定を上回る経済情勢の悪化、市場の急激な変動、パンデミックや広域災害などが発生した場合においては、当行の業績および財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当該事象が長期間継続する場合においては、財務内容の継続的な悪化が生じる可能性があります。こうした想定外の事象においても健全な業務運営を継続するべく、財務健全性と経営の効率性の確保に努めております。
(1) 地域経済動向に係るリスク
当行は山形県を中心とする特定の地域を主たる営業基盤としているため、当行の業績はこれらの地域特性に関わるリスクがあり、地域経済の停滞や悪化の場合には、業容の拡大を図ることができなくなるほか、与信関係費用が増加するなど、悪影響を及ぼす可能性があります。特に、将来的な人口減少による営業基盤の縮小は当行の業績に直接的な影響を及ぼすリスクがあります。また、グローバリゼーションのなか、地域経済は首都圏等国内全般ならびに海外の経済動向の影響も強く受けるため、これらの経済動向の停滞や悪化の場合にも、取引先の業況等を通じ、当行の業績および財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 信用リスク
① 不良債権の状況
国内外、特に地域の景気動向、金利・株価等金融経済環境の変動、事業の成否等に基づき取引先の業績および財務内容が悪化した場合は、当行の不良債権および与信関係費用が増加し、当行の業績および財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 貸倒引当金の状況
当行では、債務者区分、債権の保全状況および過去の貸倒実績率に基づき算出した将来の貸倒れによる予想損失額に対して貸倒引当金を計上しておりますが、著しい経済情勢の悪化や不動産等担保価格の下落など、予測を上回る悪影響が生じた場合は、貸倒引当金の積み増しを行わざるを得なくなり、当行の業績および財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 市場リスク(金利リスク、価格変動リスク、為替リスク)
金利、有価証券等の価格、為替等の様々な市場のリスク要因の変動により、保有する資産(オフバランス資産を含む)の価値が変動し、損失を被るリスクがあります。株価の下落による株式の減損または評価損・売却損の発生、内外金利の上昇に伴う債券価格の下落による債券の評価損・売却損の発生、為替変動による外貨建て資産・負債の価値変動等により、当行の業績および財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 流動性リスク
市場環境の変化や当行の信用状態の悪化等により、必要な資金が確保できず資金繰りがつかなくなる場合や、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより、損失を被る可能性(資金繰りリスク)があります。また、市場の混乱等により、市場において取引できないこと、あるいは、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被る可能性(市場流動性リスク)、取引を約定した後に何らかの事情で決済が行われないことにより損失を被る可能性(決済リスク)があります。
(5) オペレーショナル・リスク
業務の過程、役職員の活動もしくはシステム・ネットワーク運営が不適切であること、または外生的な事象により、損失を被る可能性があります。主なリスクとしては以下のものがあります。
① 事務リスク
事務管理態勢や人員配置・内部プロセスの不備または外部要因等により、適切な事務処理や業務執行が行われず、または事故・不正等が生じ、信用失墜や損失が発生するリスクがあります。
② システムリスク
当行は銀行取引に係る事務処理の正確な遂行のためシステムやネットワークの円滑な運営に依拠しています。システム・ネットワークの障害・停止または誤作動、不正使用、サイバー攻撃等が生じた場合においては、決済機能その他サービスの停止、業務処理の停止、情報の流出等により、信用失墜や損失が発生するリスクがあります。
③ 情報資産リスク
顧客情報、経営機密情報等の漏えい、紛失、改ざん、不正利用等により、信用失墜や損失が発生するリスクがあります。
④ 人的リスク
職員の不正・違法行為、人材の流出や担い手の採用困難等に直面した際の業務遂行力・効率性・事務の堅確性低下、職員のエンゲージメント低下等により、信用失墜や損失が発生するリスクがあります。また、職員数が減少していくことが見込まれる中、生産性の向上や業務改革が十分に行われない場合、当行の業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
⑤ 風評リスク
顧客・地域社会・株主・市場からの信用失墜に繋がりかねない否定的評価を受けるリスクがあります。
⑥ サイバー攻撃によるリスク
当行が保有するシステムの一部は、お客さまや各種決済機構等のシステムとネットワークで接続されています。当行は企業内CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置し、各種セキュリティ対策を講じておりますが、こうした対策が奏功せず、サイバー攻撃によりサービス停止、情報漏えい、不正送金などが発生し、信用失墜や損失が発生するリスクがあります。
⑦ マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策に係るリスク
当行はマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止のため、リスクベース・アプローチに基づく適切な管理態勢の構築に取り組んでおりますが、当該対策が有効に機能せず法令違反が発生した場合には、信用失墜や損失が発生するリスクがあります。
⑧ 業務委託に係るリスク
当行は効率的な業務運営を行うため、当行の業務の一部を他社に委託する場合があります。当行業務の委託先において、委託した業務に係るシステム障害、情報漏えい、事務事故等が発生した場合は、当行の信用失墜や損失が発生するリスクがあります。
(6) 自己資本比率に係るリスク
当行は連結自己資本比率および単体自己資本比率を、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められる国内基準の4%以上に維持することが求められています。
当行の自己資本比率が当該水準を下回った場合、金融庁長官から業務の全部または一部の停止等命令を受けることとなり、業務運営に影響を及ぼす可能性があります。
なお、自己資本比率は、リスク・アセットや自己資本の増減、自己資本比率の基準および算定方法の変更等により影響を受けることがあります。
(7) 繰延税金資産に係るリスク
現時点の会計基準に基づき、将来実現すると見込まれる税務上の便益を繰延税金資産として計上しておりますが、今後、計上額の決定基準が変更された場合、あるいは繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断される場合、当行の繰延税金資産は減額され、当行の業績および自己資本比率に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 年金債務に係るリスク
当行の年金資産の時価が下落した場合、当行の年金資産の運用利回りが低下した場合、または予測給付債務計算の前提となる保険数理上の前提・仮定に変更があった場合には、当行の業績および財務内容に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 固定資産の減損等に係るリスク
当行は、営業拠点等の固定資産を保有しておりますが、経済情勢や不動産価格の変動等によって、当該固定資産の価格に大幅な低下又は損失が発生した場合、また固定資産の処分を意思決定した場合には、減損損失が発生し、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 規制変更のリスク
当行は、現時点の各種規制に従って業務を遂行しておりますが、将来における法律、規則、政策、実務慣行、法解釈、財政およびその他の政策の変更、ならびにそれらによって発生する事態が、当行の業績および財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 格付の低下によるリスク
当行は格付機関より格付を取得しておりますが、今後、当行の財務内容、収益力の悪化等により格付が引き下げられた場合、当行の資金調達等の妨げとなることが考えられ、当行の業績および財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) ビジネス戦略のリスク
当行は銀行業を中心とした金融サービスの提供のため様々なビジネス戦略を実施し、企業価値の向上を目指しておりますが、経営計画に記載した各種施策について、限られた経営資源の配分が適切に行われなかった場合など、当初想定した結果をもたらさない可能性があります。
また、連結子会社のTRYパートナーズ株式会社については、商社業を行っており、保有する商品在庫のリスクを短期間抱えることがありますが、当社の自己資本対比過度なリスクとならない管理を行っております。
(13) 災害等のリスク
当行の役職員ならびに保有する営業拠点等の保有施設が、地震等の自然災害、停電等の社会インフラ障害、犯罪、感染症の流行等の被害を受けることにより、業務遂行が困難もしくは制限されることがあります。また、当該リスク発生の規模や期間が甚大である場合は、経済情勢や取引先業況の悪化などを通じて、信用リスクや市場リスクの増大につながる可能性があります。
(14) コンプライアンスに係るリスク
当行は企業倫理の重要性を認識し、コンプライアンス態勢の整備に努めておりますが、法令等遵守状況が不十分であった場合や、取引先等との法的関係が不確定または不適切であった場合には、信用失墜や損失が発生する可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当行グループ(当行及び連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営環境
2024年度におけるわが国経済は、総じてみれば緩やかな回復の動きをたどりました。物価上昇が消費マインドを下押しする状況が続いたものの、雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費は緩やかに増加しました。また、価格転嫁の進展や円安を背景に企業収益の改善が続き、省力化需要の高まりなどから設備投資も増加傾向をたどりました。こうしたなか、インバウンド需要は好調となったものの、中国向け財輸出の低迷が続くなかで、企業の生産活動は、一部自動車メーカーの認証不正問題の影響もあって横ばい圏内での推移となりました。
当行グループの主要営業基盤である山形県内経済につきましては、物価上昇が消費マインドを下押しし、個人消費がおおむね横ばいの動きとなるなかで、中国向け輸出の不振等から、電子部品・デバイスを中心に企業の生産活動が弱含みとなり、持ち直しの動きにやや停滞感が広がりました。
金融面をみますと、短期金利は、昨年3月に日本銀行がマイナス金利の解除や長短金利操作の撤廃を含む金融緩和の大幅修正を決定し、7月に政策金利を0.25%程度へ、今年1月に0.50%程度へ2回の追加利上げを実施したことをうけ、期末にかけて0.47%台後半で推移しました。長期金利もこれに伴って上昇し、10年物国債利回りは期末にかけておおむね1.5%台の高水準となりました。円相場は、マイナス金利解除後も緩和的な環境が続くとの見方から、昨年6月に約37年ぶりとなる1ドル=161円の円安水準に達しましたが、2回の追加利上げ後は円高傾向に転じ、期末にかけては150円前後の水準となりました。こうしたなか、日経平均株価は、昨年7月に史上最高値となる4万2,000円の大台を記録した後は水準を落とし、期末には3万5,000円台となりました。
こうした環境のなか、当行グループは、株主の皆さまはもとより、お客さまのご支援のもと、役職員一体となり一層の経営体質強化と業績向上努力を継続しました結果、当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりとなりました。
② 財政状態
ア.貸出金
貸出金は、国・地方公共団体向け貸出が減少したものの、事業性貸出や個人向け貸出が増加したことから、当連結会計年度中897億円増加し、当連結会計年度末残高は2兆315億円となりました。
イ.有価証券
有価証券は、投資信託や外貨建外国証券等その他の証券が減少したことなどから、当連結会計年度中804億円減少し、当連結会計年度末残高は8,133億円となりました。
ウ.預金等(譲渡性預金含む)
預金ならびに譲渡性預金は、法人預金や金融機関預金は減少したものの、個人預金や公金預金が増加したことから、当連結会計年度中417億円増加し、当連結会計年度末残高は2兆8,812億円となりました。また、預かり金融資産は、公共債は減少したものの、投資信託や生命保険が増加したことから、全体では当連結会計年度中75億円増加し、当連結会計年度末残高は3,425億円となりました。なお、生命保険は有効契約残高にて集計しております。
エ.純資産
純資産の部は、その他有価証券評価差額金が減少したことなどから、当連結会計年度中78億円減少し、当連結会計年度末残高は1,360億円となりました。
③ 経営成績
ア.損益状況
経常収益は、有価証券利息配当金などの資金運用収益の減少を主な要因として、前連結会計年度比22億35百万円減収の528億61百万円となりました。経常費用は、国債等債券売却損などのその他業務費用の減少を主因に前連結会計年度比49億78百万円減少し、463億55百万円となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度比27億42百万円増益の65億5百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同23億32百万円増益の44億12百万円となりました。
イ.セグメント業績
銀行業では、経常収益は前連結会計年度比27億47百万円減少し、458億99百万円となり、セグメント利益は同21億97百万円増加し、56億17百万円となりました。リース業では、経常収益は前連結会計年度比8百万円増加し、58億90百万円となり、セグメント利益は同19百万円減少し、2億10百万円となりました。信用保証業では、経常収益は前連結会計年度比23百万円増加し、9億0百万円となり、セグメント利益は同21百万円増加し、7億32百万円となりました。また、その他事業では、経常収益は前連結会計年度比62百万円増加し、17億29百万円となり、セグメント利益は同55百万円増加し、3億64百万円となりました。
④ キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、貸出金の増加などから、427億円の支出(前連結会計年度比1,025億円支出減)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却・償還による収入が有価証券の取得による支出を上回ったことなどから、569億円の収入(前連結会計年度比372億円収入減)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払や自己株式の取得による支出などから、16億円の支出(前連結会計年度比5億円支出増)となりました。
この結果、現金及び現金同等物は当連結会計年度中125億円増加し、当連結会計年度末残高は2,011億円となりました。
(国内・国際部門の状況)
(1) 国内・国際業務部門別収支
(国内業務部門)
資金運用収支は、資金運用収益が前連結会計年度に比べ4億13百万円減少し、資金調達費用が同18億37百万円増加したため、同22億50百万円減少し、239億40百万円となりました。
役務取引等収支は、役務取引等収益が前連結会計年度に比べ4億52百万円増加し、役務取引等費用が同69百万円減少したため、同5億22百万円増加し、60億38百万円となりました。
その他業務収支は、その他業務収益が前連結会計年度に比べ7億20百万円減少し、その他業務費用が同25億91百万円増加したため、同33億11百万円減少し、△55億60百万円となりました。
(国際業務部門)
資金運用収支は、資金運用収益が前連結会計年度に比べ19億42百万円減少し、資金調達費用が同20億76百万円減少したため、同1億33百万円増加し、20億10百万円となりました。
役務取引等収支は、役務取引等収益が前連結会計年度に比べ51百万円減少し、役務取引等費用が同6百万円減少したため、同45百万円減少し、32百万円となりました。
その他業務収支は、その他業務収益が前連結会計年度に比べ変動がなく、その他業務費用が同80億49百万円減少したため、同80億49百万円増加し、△39億62百万円となりました。
(注) 1. 「国内」とは、国内店の円建取引及び国内(連結)子会社の取引であります。
2. 「国際」とは、国内店の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は「国際」に含めております。
3.資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度15百万円、当連結会計年度29百万円)を控除して表示しております。
4. 相殺消去額は、「国内業務部門」と「国際業務部門」の間の資金貸借の利息であります。
(2) 国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況
国内業務部門においては、資金運用勘定は主に貸出金、有価証券、預け金で構成されております。前連結会計年度に比べ平均残高は742億61百万円増加し、2兆9,913億3百万円となりました。資金調達勘定は主に預金、譲渡性預金、借用金で構成されております。前連結会計年度に比べ平均残高は679億61百万円増加し、2兆9,303億17百万円となりました。
国際業務部門においては、資金運用勘定は有価証券、貸出金、コールローンで構成されております。前連結会計年度に比べ平均残高は476億46百万円減少し、1,454億60百万円となりました。資金調達勘定は預金、コールマネー、借用金で構成されております。前連結会計年度に比べ平均残高は476億76百万円減少し、1,454億54百万円となりました。
① 国内業務部門
(注) 1. 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、金融業以外の国内(連結)子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2. 「国内」とは、国内店の円建取引、及び国内(連結)子会社の取引であります。
3. 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度22,357百万円、当連結会計年度17,045百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度12,337百万円、当連結会計年度18,408百万円)及び利息(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度13百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
② 国際業務部門
(注) 1. 「国際」とは、国内店の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は「国際」に含めております。
2. 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度95百万円、当連結会計年度77百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度545百万円、当連結会計年度792百万円)及び利息(前連結会計年度14百万円、当連結会計年度16百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
③ 合計
(注) 1. 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度22,453百万円、当連結会計年度17,122百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度12,882百万円、当連結会計年度19,200百万円)及び利息(前連結会計年度15百万円、当連結会計年度29百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
2. 平均残高および利息の相殺消去額は、「国内業務部門」と「国際業務部門」の間の資金貸借であります。
(3) 国内・国際業務部門別役務取引の状況
国内業務部門においては、役務取引等収益は前連結会計年度に比べ4億52百万円増加し、84億16百万円となりました。役務取引等費用は前連結会計年度に比べ69百万円減少し、23億78百万円となりました。
国際業務部門においては、役務取引等収益は前連結会計年度に比べ51百万円減少し、76百万円となりました。役務取引等費用は前連結会計年度に比べ6百万円減少し、43百万円となりました。
(注) 1. 「国内」とは、国内店の円建取引及び国内(連結)子会社の取引であります。
2. 「国際」とは、国内店の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は「国際」に含めております。
(4) 国内・国際業務部門別預金残高の状況
○ 預金の種類別残高(末残)
(注) 1. 「国内」とは、国内店の円建取引及び国内(連結)子会社の取引であります。
2. 「国際」とは、国内店の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は「国際」に含めております。
(5) 国内・国際業務部門別貸出金残高の状況
① 業種別貸出状況(末残・構成比)
(注) 「国内」とは、当行及び国内(連結)子会社であります。
② 外国政府等向け債権残高(国別)
該当する債権はありません。
(6) 国内・国際業務部門別有価証券の状況
○ 有価証券残高(末残)
(注)1.「国内」とは、国内店の円建取引及び国内(連結)子会社の取引であります。
2.「国際」とは、国内店の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は「国際」に含めております。
3.「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(参考)
(注) 1. 業務粗利益=資金運用収支+役務取引等収支+その他業務収支
2. コア業務純益=実質業務純益-債券関係損益-金融派生商品損益(債券関係)
3. 業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
4. 債券関係損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5. 株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準) (単位:億円、%)
単体自己資本比率(国内基準) (単位:億円、%)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態
ア.主要勘定の状況
預金等(譲渡性預金含む)の期中平均残高については、主に個人預金が増加したことから当連結会計年度中359億10百万円増加し、2兆8,500億90百万円となりました。
これは、個人の普通預金等流動性預金が増加した結果であります。
貸出金の期中平均残高については、主に法人向け貸出や個人向け貸出が増加したことから当連結会計年度中1,123億73百万円増加し、1兆9,766億6百万円となりました。
これは、法人向け貸出については、金融・保険業向け貸出や不動産・物品賃貸業向け貸出等が増加した結果であります。また、個人向け貸出については、主に山形県内の住宅ローンが増加した結果であります。
有価証券の期中平均残高については、主に投資信託や外貨建外国証券が減少したことから、当連結会計年度中882億58百万円減少し、8,780億1百万円となりました。
これは、国内外の投資環境や市場動向に留意しながら、評価損益の改善に軸足を置き、リスク抑制的な運用を進めた結果であります。
なお、リスク管理債権残高については、当連結会計年度中2億10百万円減少し、208億21百万円となりました。また、総与信残高に占める比率については、当連結会計年度中0.06ポイント低下し、1.00%となり、引き続き良好な水準を維持しております。
これは、厳格な基準に基づいた自己査定を実施するとともに、お取引先の経営改善支援に積極的に取り組んだ結果であります。
(注)表中( )内は、総与信残高に占める比率であります。
② 経営成績
ア.連結業務粗利益
連結業務粗利益は、資金運用収支は減少したものの、その他業務収支や役務取引等収支が増加したことから、前連結会計年度比30億97百万円増加し、224億99百万円となりました。
資金運用収支は、前連結会計年度比21億16百万円減少し、259億51百万円となりました。これは、貸出金利息が増加した一方、有価証券利息配当金が減少し、預金利息が増加したためであります。
役務取引等収支は、前連結会計年度比4億77百万円増加し、60億71百万円となりました。これは、融資関連手数料等の法人関連手数料が増加したためであります。
その他業務収支は、前連結会計年度比47億37百万円増加し、△95億23百万円となりました。これは、国債等債券売却損や外国為替売買損が減少したためであります。
イ.連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前)
連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前)は、営業経費が増加したものの、連結業務粗利益が増加したことなどから、前連結会計年度比24億88百万円増加し、11億51百万円となりました。
ウ.経常利益
経常利益は、その他経常収支は減少したものの、連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前)が増加したことなどから、前連結会計年度比27億42百万円増加し、65億5百万円となりました。
エ.親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が増加したことなどから、前連結会計年度比23億32百万円増加し、44億12百万円となりました。
<主要な損益の状況の増減状況>
(注) 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度15百万円、当連結会計年度29百万円)を控除して表示しております。
オ.業績の達成状況
2025年2月3日に公表しました当連結会計年度の業績予想と実績について、経常利益は、資金運用収支やその他経常収支が増加し、業績予想比6億5百万円増加の65億5百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加などから、業績予想比4億12百万円増加の44億12百万円となりました。
カ.セグメント業績
銀行業では、経常収益は前連結会計年度比27億47百万円減少し、458億99百万円となり、セグメント利益は同21億97百万円増加し、56億17百万円となりました。リース業では、経常収益は前連結会計年度比8百万円増加し、58億90百万円となり、セグメント利益は同19百万円減少し、2億10百万円となりました。信用保証業では、経常収益は前連結会計年度比23百万円増加し、9億0百万円となり、セグメント利益は同21百万円増加し、7億32百万円となりました。また、その他事業では、経常収益は前連結会計年度比62百万円増加し、17億29百万円となり、セグメント利益は同55百万円増加し、3億64百万円となりました。
今後においても、当行グループ一体となって「総合金融サービス力」を強化し、収益力の向上に取り組んでまいります。
③ キャッシュ・フローの状況
当行グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローについては、貸出金の増加などから、427億円の支出(前連結会計年度比1,025億円支出減)となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローについては、有価証券の売却・償還による収入が有価証券の取得による支出を上回ったことなどから、569億円の収入(前連結会計年度比372億円収入減)となりました。さらに、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払や自己株式の取得による支出などから、16億円の支出(前連結会計年度比5億円支出増)となりました。
この結果、現金及び現金同等物は当連結会計年度中125億円増加し、当連結会計年度末残高は2,011億円となりました。
なお、当面の設備投資や株主還元等については自己資金で対応する予定であります。
④ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の見積りの判断が当行グループの財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(貸倒引当金)
当行グループにおける貸出金、支払承諾見返等の債権の残高は多額であり、経営成績等に対する影響が大きいため、会計上の見積りにおいて重要なものと判断しております。
貸倒引当金は、将来の貸倒れによる予想損失額を、債務者区分、債権の保全状況及び過去の貸倒実績率等を基礎に算出し計上しております。また、債務者区分は、債務者の業績、財務内容及び返済状況等の実績、並びにこれらの将来見通し等に基づき判定しております。
貸倒引当金の算出に係る仮定は、債務者区分の判定における個別債務者の業績等の将来見通し、担保の処分可能見込額の算定に使用する担保掛目、破綻懸念先の予想損失額の算定における合理的に見積られたキャッシュ・フローであります。なお、債務者区分の判定において、債務者が経営改善計画等を作成している場合には、当該経営改善計画等の評価も考慮の上、業績等の将来見通しを仮定しております。
当行グループの貸倒引当金の具体的な算定方法等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(固定資産の減損)
当行グループは、固定資産のうち営業利益の減少によるキャッシュ・フローの低下、地価の下落及び店舗統廃合の決定等の減損の兆候がある資産グループまたは資産について、当該資産グループまたは資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しており、会計上の見積りにおいて重要なものと判断しております。
固定資産の減損に係る仮定は、割引前将来キャッシュ・フローであります。
割引前将来キャッシュ・フローは、人口動態による将来的な収益減少を加味し保守的に算出しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当行グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できること等に基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しており、会計上の見積りにおいて重要なものと判断しております。
繰延税金資産の計上に係る仮定は、将来の利益計画に基づく課税所得、将来減算一時差異及び将来加算一時差異の解消時期と金額であります。
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。