以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであります。
①経営の基本方針
当行は、「地域の皆さまの信頼をもとに、存在感のある銀行を目指し、豊かな社会づくりに貢献します」を基本理念に掲げ、永年築き上げてきたノウハウや人材、ポテンシャルの高い営業基盤等を最大限に活用し、質の高い金融サービスをお客さまに提供することにより、これまで以上にお客さまから支持される地域金融機関を目指すとともに、収益力の強化と健全な財務基盤の確立を図ることで企業価値の拡大につなげ、株主価値の向上を目指してまいります。
また、従業員が持てる力を遺憾なく発揮し、働きがいがあり、公正に処遇される自由闊達な組織を目指すとともに、金融機関としての社会的責任を自覚し、地域経済活性化・地方創生のために惜しみない貢献を行ってまいります。
②目標とする経営指標
イ.パーパス及び未来戦略デザイン
私たち地域金融機関を取り巻く環境は、人口減少・超高齢化をはじめ、デジタル化の急速な進展やキャッシュレスの高まり、気候変動に伴う災害の激甚化など、予測困難な「非連続の時代」を迎えています。このような時代において、当行の存在意義を改めて見つめ直すとともに、全役職員が心を一つに『あゆみ』続けるため、「パーパス」を明確にしました。
「パーパス」とは、企業の存在意義や社会的意義を指し、企業の原点や経営理念とも深い関係があります。当行の「パーパス」である「~地域のために 未来のために~」は、当行が「何のために存在するのか」を端的に言い表した言葉であり、判断、行動の拠り所として、地域の皆さまと手を取り合い、明るくサステナブルな未来を創ってまいります。
また、筑波銀行グループ経営理念体系図をこれまで以上に親しみがある形にリニューアルするとともに、当行のあるべき姿を明確にすることで持続可能な地域社会の構築にこれまで以上に貢献できるよう、「筑波銀行 未来戦略デザイン」を策定しました。「筑波銀行 未来戦略デザイン」では3年間ごとのフェーズに区切った中期経営計画を積み上げていくことで、2034年3月期に目指すべき指標として、ROE8%以上、当期純利益100億円以上を掲げており、全役職員一丸となって取り組んでまいります。
(筑波銀行グループ経営理念体系図)

(未来戦略デザインの概要)

ロ.第6次中期経営計画
当行は、2025年4月から2028年3月までの3年間を計画期間とする第6次中期経営計画「Rising Innovation 2028」~ツクバ ワクワク、はじまる~を策定し、次の3つの骨子に基づき各施策に取り組んでまいります。
①人的資本~人的資本経営の実践
②経営基盤~経営基盤の変革
③ビジネス~ビジネス戦略の強化
(第6次中期経営計画の骨子)

(第6次中期経営計画における目標とする財務指標(単体))
2024年度の国内経済は、世界的な半導体の需要増を背景に製造業の景況感が改善したほか、宿泊業や飲食業などのサービス業においても原材料費や人件費の上昇分などを価格に転嫁する動きが広がり、収益力の改善がみられました。また、物価上昇の影響を受けつつも、雇用や所得環境の改善が進むなかで個人消費が堅調に推移するなど、全体的に緩やかな回復が続きました。
茨城県経済は、在庫調整の進展や受注環境の持ち直し等により製造業の業況が改善するとともに、サービス業においてもコスト上昇分の価格転嫁が進みました。一方、取り巻く事業環境は、人口減少や少子高齢化、DXおよびGXへの対応など、様々な課題に直面しています。また、「金利ある世界」が本格的に到来するなか、金融環境は大きく変化しており、国内外の金融政策や市場の動向などを注視し適切に対応していく必要があります。加えて、当行の主な取引先である多くの地元中小企業は、原材料コストの上昇や人手不足などの影響を受けて厳しい事業環境に置かれています。足元では一部に持ち直しの動きが見られますが、先行きは物価上昇や利上げによる金融環境の変化が企業業績および家計に与える影響は不確実性が高く、地域金融機関には地元中小企業に対しての継続した支援が求められています。
金融情勢については、国内長期金利は、日本銀行が2024年7月と2025年1月の2回にわたり追加利上げを実施し政策金利を0.5%程度まで引上げたことから上昇基調にあり、年度末には1.5%近傍で推移しました。また、日経平均株価は、2024年7月に一時42,000円を超える水準まで上昇しましたが、年明け以降はトランプ政権による経済政策への懸念等から下降しました。為替相場は、年度を通して円安基調が続きました。今後についても有価証券運用においては、国内外の金融政策ならびに金融市場の動向を十分注視し、慎重かつ適切に対応していく必要があると考えております。
当行は効率的な有価証券運用を行うため、流動性の高い国内債券等の有価証券のほか、信用力の高い外国債券等による有価証券運用を行っておりますが、当連結会計年度においては、海外金利の高止まりや日本銀行の利上げに伴う国内の長期金利の上昇等により、当行の保有する投資信託や国内債を中心にその他有価証券は評価損の状態が続きました。今後も引続き、国内外の金利動向等の金融市場の見通しや有価証券ポートフォリオの運用状況を注視し、リスク管理体制を強化するとともに、金利情勢に応じて有価証券ポートフォリオの再構築を検討し、有価証券評価損の削減と収益性の向上に努めてまいります。
こうした中、2025年4月にスタートさせた第6次中期経営計画は、当行の10年後の姿を描いた「筑波銀行 未来戦略デザイン」の実現に向けた第1フェーズとして位置付けており、地域・お客さまに「当行ならではの価値」を提供し、ともに発展する持続的なビジネスモデルの構築を目指してまいります。
当行グループ(当行及び連結子会社)のサステナビリティに関する考え方及び取組みは以下のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般及び気候変動にかかる取組み
当行は、「地域のために、未来のために」というパーパスの実現に向け、2019年4月に「筑波銀行SDGs宣言」を策定・宣言し、持続的成長モデルの構築に向けて取組んでおります。また、近年、自然災害による被害が地域経済の大きな課題となっていることなどを踏まえて、2021年8月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明いたしました。
当行は、SDGsの推進が重要な経営課題であると認識し、取締役頭取を委員長とするSDGs推進委員会を設置しております。SDGs推進委員会は3カ月毎に開催し、気候変動を含む環境・社会・ガバナンス等のSDGs推進施策の検討および協議を行っております。また、毎月、タスクフォース会議を開催して特に強化すべき内容を協議し、SDGs推進委員会に上程しております。さらに、SDGs推進委員会における議論については、ビジネスソリューション部を所管部署と定め、常務会及び取締役会に報告しております。
(SDGs推進体制)

当行は、気候変動問題などSDGsへの対応を持続的な企業成長への重要課題として認識するなか、社会的課題の解決を目指した「サステナブルファイナンス」に積極的に取組みました。「サステナブルファイナンス」の実行額については、2025年3月末時点で2,532億円となり、第5次中期経営計画で設定した920億円という目標を大きく上回る実績となりました。
また、当連結会計年度の主な取組みとして、「2024筑波銀行ビジネス交流商談会」を地元つくば市で開催したほか、「テーマ付SDGs私募債による寄贈」を積極的に行いました。その他、2025年4月より本部ビルおよび事務センター、ならびに一部店舗を含む29施設で使用する電力について、非化石化証書が付与された実質再生可能エネルギー電力を導入し、年間1,870トンのCO2排出量の削減を見込んでおります。
当行は、「SDGs推進プロジェクト『あゆみ』」において、地域の抱える社会的課題の解決を通じて地域とともに成長する持続的成長モデルの構築に向けて取組んでおります。特に、気候変動を含む「環境保全」を重要な経営課題と位置付けて、リスクおよび機会の両面から、地域経済の持続的成長に貢献する取組みを進めております。
(SDGs推進プロジェクト『あゆみ』)


(気候変動にかかる対応)
イ.認識しているリスクと機会
ロ.リスクと機会に対処するための取組み
当行では、気候変動に伴うリスクに対処するため、シナリオ分析を実施しております。物理的リスクについては、大規模な洪水が発生した場合に当行の不動産担保が毀損することで発生する信用コスト増加額を推計しております。移行リスクについては、法人先を分析対象とし、各社が公表している温暖化ガス排出量(GHG排出量)、各社の燃料費等の財務データから簡易的に測定したGHG排出量をもとに、SDS(持続可能開発シナリオ)の炭素税シナリオのみを反映した将来の財務への影響を試算し、その結果、発生が見込まれる信用コスト増加額を推計しております。
上記シナリオ分析に基づき信用コストの増加額の把握に取組んでおりますが、一部のリスク要素を対象とした結果であり、今後分析手法の拡充に努めてまいります。また、お客さまと気候変動関連の課題を共有し、お客さまのトランジション課題の解決に取組んでまいります。
当行は、業務上発生するリスクに関しては「統合的リスク管理方針」のもと適切なリスク管理・運営を行っており、気候変動に伴うリスクについても、統合的リスク管理の枠組みで管理する体制となっております。
環境や社会に対し影響を与える可能性がある融資については、気候変動対策を含めた持続可能な成長の観点から、クレジットポリシーと照らして取り上げの可否を判断しております。また、当行では、「環境・社会に配慮した投融資方針」を制定し、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮し、脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギー事業等の気候変動リスクを低減する取組みや森林資源の保護等の生物多様性の保全に向けた取組みなど、持続可能な環境および社会の実現に資する事業を積極的に支援しております。
当行は、サステナビリティに関する重要課題について、以下のとおり指標及び目標を設定しております。なお、人的資本に関する指標及び目標については、「(2)人的資本にかかる取組み ②指標及び目標」をご参照ください。
(気候変動関連)
(注)サステナブルファイナンスとは、持続可能な社会の実現に向けたお客さまのESG(環境・社会・ガバナンス)、SDGsへの取組みを支援するための投融資であります。
(CO2排出量の削減量) (サステナブルファイナンス実行額)

なお、CO2排出量(Scope3)にかかる実績については、2025年9月に当行ウェブサイト
(URL https://www.tsukubabank.co.jp/ir/disclosure/index.html)で公表予定の「
(2)人的資本にかかる取組み
当行では、価値創造の源は「人」であり、『人財』が戦略上最も重要な資本と捉えております。職員一人ひとりが持てる力を最大限発揮し、常に成長し続け、さらに新しい価値を生み出すことで地域の豊かな社会づくりに貢献してまいりたいとの考えのもと、「人財育成方針」と「社内環境整備方針」を策定し、人事施策へ反映させております。

①戦略
イ.人財育成方針
人財育成方針では、親身になってお客さまからの相談に乗るとともに、専門性を活かして解決策等を提案し、お客さまの課題解消や夢の実現等、ソリューション業務を主体的に推進できる人財の育成に取組んでいます。育成においては、法人ソリューションや個人ソリューション、DX等の業務分野ごとに業務スキルの評価を実施し、職員のレベルに応じた研修・OJT等を強化することで、効果的かつ着実な成長を促していきます。
また、高度化が進む銀行業務の中心的な役割を担える高い専門性を持ったスペシャリスト人財を確保・育成するため、本部業務のうち事業承継やM&A、企業再生、市場運用等の高度かつ専門知識を要する業務を対象に「専門人財コース」を導入いたしました。同コースでは、原則異動なしとすることで該当業務に長期間従事し、多様な知見を得るとともに、高度な専門性を発揮し、各分野で活躍できる人財を育成してまいります。
職員の継続的な成長には、自身の課題を自ら設定し、解決することが成長の促進やキャリアの向上につながるため、自ら考え主体的かつ能動的に業務を遂行できる人財を育成してまいります。多様な業務経験(キャリア)によって職員が成長し、その集積として当行の人的資本の拡充につながるとの考えのもと、業務知識・スキル・経験をバランスよく伸ばしていくことで、業務知識と実践能力の両方を備えた人財を継続的に輩出するため、積極果敢にチャレンジする人財を育む企業風土を確立してまいります。
ロ.社内環境整備方針
社内環境整備方針では、職員自らがその役割・責任を自覚し、プロフェッショナルとして学び成長し続けることが必要であると考えており、環境を整備し、職員の成長を支援しております。採用時から若手・中堅・管理職層に至るまで各階層別や業務レベルに応じた研修の実施のほか、営業店・本部トレーニー等により実践力と専門性の向上を図っております。その他、Webセミナー型学習動画の活用や高度資格取得支援等を実施することで、高い成長意欲に応える環境を整備しております。また、行外での新たな知見の獲得やキャリア形成、人脈形成の機会として外部出向や副業制度を設けているほか、現在の所属部署に在籍しながら本部の業務を兼業できる行内兼業制度があります。研修やトレーニー、OJT、各種育成制度と、タレントマネジメントシステムにより集約した人事データを組み合わせることで各職員に応じた適切なキャリア形成支援への取り組みを進めております。
また、多様な人財がその能力を発揮できるよう、キャリア志向や希望職務、適性等により選択できる複線型人事制度をベースに、自らのキャリアを築く公募制度や登用制度等を設け職員がチャレンジできる環境を整備しております。若手の活躍機会のほか、これまで年齢に基づき支店長等の職位からポストオフしていたシニア層について、新たに職位を継続できるよう制度改正を行い、年齢に関わらず能力やモチベーションが高い人財が活躍できる環境を構築しております。その他、多様な価値観や経験を有する人財を確保し活躍できる環境を構築するため、2024年4月に「ダイバーシティ推進グループ」を人事総務部内に新設しました。また、新たにリファラル採用制度やアルムナイ制度を導入したほか、中途採用や専門人財の採用、外部人財の受入等を通じ、業務の効率化・高度化に取組んでおります。変化に柔軟かつスピーディーに対応できる体制の構築のため、多様な人財が活躍できる環境を構築してまいります。
働く環境においては、フレックスタイム制度(コアタイムなし)、短時間勤務制度、在宅勤務制度に加え、新たに導入したサテライトオフィス等により柔軟な勤務が可能であり、また、転居を伴う異動の有無が選択できます。残業時間の削減や、有給休暇の取得促進、「健康経営宣言」の継続等を実施することで働きやすい環境を構築しております。さらに、職員のエンゲージメント向上と働きがいを感じる環境整備のため、従業員満足度調査を実施し、改善に向けた要因分析や新たな施策の検討を行うとともに、2024年6月には全職員を対象として2年連続となる「賃上げ」を実施しました。今後も職員のモチベーション向上やエンゲージメントを高める各種施策を継続してまいります。
②指標及び目標
当行では、上記戦略において記載した、人財の多様性の確保を含む人財育成方針および社内環境整備方針について、次の指標を用いており、当該指標に関する目標および実績は次のとおりです。
(注) 「管理職」とは、部下を持ち職務にあたる者であり、営業店では課長以上、本部では部長代理以上の役職およびそれと同等の職務にある者であります。
また、「役付者」とは、部下を持ち職務にあたる者であり、営業店では支店長代理以上、本部では部長代理以上の役職およびそれと同等の職務にある者(管理職を含む)であります。
「管理職に占める女性労働者の割合」および「役付者に占める女性労働者の割合」の詳細については、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当行グループ(当行及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断上、あるいは当行グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する情報開示を積極的に行っております。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
当行は資産の自己査定基準等に基づき適切な引当・償却を行っておりますが、国内外の景気動向、取引先の経営状態の悪化、担保価値の下落等により、不良債権及び信用コスト(不良債権の引当・償却費用)が増加し、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。
当行は、自己査定を行い、その結果に基づいて貸倒引当金を計上しております。実際の貸倒れによる損失が貸倒引当金の見積りと乖離し、貸倒引当金の額を超える場合があります。また、担保価値の下落及びその他予期せぬ理由により、貸倒引当金の積み増しが必要となり、与信費用が増加する場合があります。
当行は、担保価値の下落や不動産市場における流動性の欠如、有価証券の価格の下落等の事情により、担保権を設定した不動産や有価証券の換金、または貸出先の保有するこれらの資産に対する強制執行ができない場合があります。この場合、信用コストが増加するとともに不良債権処理が進まない恐れがあります。
当行は、市場性のある株式、債券等の有価証券を保有しております。これらの有価証券については、市場金利の上昇や株価の下落により、評価損や売却損が生じる可能性があり、これらは当行の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
資産と負債の金利または更改期間が異なることから、金利の変動によって利益が減少ないし損失が発生し、当行の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
外貨建資産・負債について、為替の価格変動により、当行の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
社債、クレジット・デリバティブ等について、信用スプレッドが変動することによって、現在価値および期間損益に影響を与え、当行の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当行の財務内容の悪化や市場の風評等により必要な資金の確保ができなくなり、資金繰りが悪化する場合や、資金の確保に通常よりも著しく不利な条件での資金調達を余儀なくされる可能性があります。
当行の役職員が正確な事務を怠り、または事故を起こし、もしくは不正をはたらくことにより、当行が損失を被り経営成績等に影響を与える可能性がありますが、内部統制・業務フロー等を遵守・適宜見直ししていくことで、事業リスクにつながるような大きな事務リスクの顕在化を防止しております。
コンピュータシステムの停止または誤作動によりシステムの不備等の事態が発生した場合や、サイバー攻撃等により情報の破壊や流出が発生した場合、業務の停止や社会的信用の失墜等により、経営成績に影響を与える可能性があります。これらに対応するため、「セキュリティポリシー」、「システムリスク管理規程」を定め、システムリスクへの体制・対応を整備しつつ、大規模な障害時は、「システム障害対応計画」により対応することとしています。また、ホストオンラインシステムとインターネットバンキングシステムについては、バックアップセンターを設置し、災害時にも業務継続できるよう対策を講じております。
(5) 気候変動リスク
当行グループは、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおり、持続可能な社会への貢献に取組んでおりますが、将来の低炭素社会への移行に伴う規制強化や技術革新が取引先の事業や財務状況に影響を与えるリスク(移行リスク)や、気候変動に起因する自然災害の増加や規模拡大に伴い当行グループ及び取引先の資産が毀損するリスク(物理的リスク)を認識しており、これらが当行グループの業績と財務内容に影響を及ぼす可能性があります。
自己資本比率は、法令等に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。当行グループは、国内基準を適用しており、自己資本比率を4%以上に維持することを求められております。
当行グループの自己資本比率が4%を下回った場合には、業務の全部または一部の停止命令を含む早期是正措置等が発動されることとなります。
当行グループでは、繰延税金資産を現時点の会計基準に基づいて計上しております。この繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する様々な予測・仮定に基づいており、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。法令等の改正により法人税率等の引下げが行われた場合、あるいは、当行グループが将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産を減額することとなり、その結果、当行グループの業績や財務内容に影響を与えるとともに、自己資本比率の低下につながる可能性があります。
当行グループの退職給付費用及び債務は、割引率等の数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響額は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。今後の割引率や運用利回りの変動によっては、当行グループの業績と財務内容に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループが保有する固定資産については、「固定資産の減損に関する会計基準」(企業会計審議会)を適用しております。保有する固定資産は、使用範囲又は方法の変更、市場価格の著しい下落、収益性の低下などにより減損損失を計上し、当行グループの業績と財務内容に影響を及ぼす可能性があります。
当行は外部格付機関より格付を取得しておりますが、外部格付機関が自身の評価基準に基づき格付を引き下げた場合、当行の資金調達等に影響を及ぼす可能性があります。主に預金流出や株式の売却が想定されますが、その場合、預金流出防止のための預金金利引上げにより資金調達コストが上昇し、当行の業績と財務内容に影響を及ぼす可能性があります。当行は経営に関する指標や情報について、適切かつタイムリーな開示に努め、経営の透明性を高めてまいります。
当行グループに関して事実に基づかない風評等により預金の流出が発生した場合、預金流出防止のための預金金利の引上げにより資金調達コストが上昇し、当行グループの業績と財務内容に影響を及ぼす可能性があります。当行グループは非常事態や突発的なリスク対応のための行内ガバナンス態勢の整備を図るとともに、有事を想定した訓練等を日ごろから実施しております。
③情報漏洩
当行グループは、業務上、多数の顧客情報を保有しており、法令等に則り内部規程を定め情報管理の徹底を図っております。こうした情報が万一漏洩した場合には、当行グループの業務運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループの業務遂行が法令等に違反したものであった場合、訴訟の提起や行政処分を受ける可能性があります。また、行政処分等によって当行グループの業務遂行が停止した場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当行グループは、内部統制システム構築の基本方針に基づいて、役職員の職務執行の法適合性を確保するため、コンプライアンス基本方針及びコンプライアンス・マニュアルを制定しコンプライアンス重視の組織風土の醸成に取組み、その実践においてはコンプライアンス・プログラムに基づいて実施しております。
将来における法令等の改正並びに、政策、法令解釈及び実務慣行等の変更により、当行グループの業務遂行に影響を及ぼすリスクがあり、当該リスクが顕在化した場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。法令等の改正などにおいては、全ての部門が組織横断的に連携して対応にあたり、その進捗及び結果については経営陣へ報告がなされております。
当行グループの主要な事業拠点やシステム拠点がある地域において、大規模な震災、自然災害等が発生した場合、事業活動に支障が生じ、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。大規模災害発生時は、緊急対策本部を設置し、「業務継続基本規程」や「システム障害対応計画」に基づき、初動対応や業務継続に向けた取組みを行うこととしています。
感染症の流行により、地域の経済活動が停滞し、当行グループの事業活動に支障が生じ、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当行グループ(当行及び連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
総資産は、現金預け金は減少しましたが、貸出金の増加等により前連結会計年度末比357億83百万円増加し、2兆8,898億78百万円となりました。
負債は、預金の増加等により前連結会計年度末比411億82百万円増加し、2兆7,981億33百万円となりました。
純資産は、その他有価証券評価差損の増加等により前連結会計年度末比53億98百万円減少し、917億45百万円となりました。
主要な勘定残高では、預金は、公金預金や法人預金の増加により前連結会計年度末比569億46百万円増加し、2兆6,337億22百万円となりました。
貸出金は、中小企業等貸出金(住宅ローン等の個人向け貸出を含む)や地方公共団体向け貸出の増加等により前連結会計年度末比788億31百万円増加し、2兆1,160億72百万円となりました。
有価証券は、国内債券の増加等により前連結会計年度末比27億41百万円増加し、4,215億57百万円となりました。
(経営成績)
経常収益は、株式等売却益の減少を主因にその他経常収益は減少しましたが、貸出金利息や預け金利息の増加等により前連結会計年度比33百万円増加し、411億26百万円となりました。
経常費用は、預金金利の引上げに伴い預金利息は増加しましたが、国債等債券売却損の減少等によるその他業務費用の減少や与信関係費用の減少等により、前連結会計年度比19億75百万円減少し、366億49百万円となりました。
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度比20億9百万円増加の44億76百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加等により前連結会計年度比19億7百万円増加の41億3百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、預金は増加しましたが、貸出金の増加などにより230億37百万円の支出(前連結会計年度比302億29百万円の収入減)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却や償還による収入により増加しましたが、有価証券の取得による支出などにより151億30百万円の支出(前連結会計年度比335億74百万円の収入減)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより4億19百万円の支出(前連結会計年度比45百万円の支出減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比385億87百万円減少し、3,035億42百万円となりました。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
地域金融機関においては、地域企業・地域経済の持続的な成長に向け、資金面を含め様々な支援を提供することを通じ、お客さまの経営課題の解決を支援することが期待されています。特に、当行の主な取引先である多くの地元中小企業は、原材料コストの上昇や人手不足などの影響を受けて厳しい事業環境に置かれており、当行はその金融仲介機能を十分に発揮していくことが求められております。
このような状況のなか、2022年4月から2025年3月までの3年間を計画期間とする第5次中期経営計画「Rising Innovation 2025」 ~ 未来への懸け橋 ~“つながり”に基づき、当行が目標とする5つの経営指標(「コア業務純益」、「当期純利益」、「ROE」、「コアOHR」、「自己資本比率」)の達成に向けて取組んでまいりました。
計画最終年度の経営指標(単体)に対する実績は以下のとおりです。
第5次中期経営計画では、お客さま、地域社会、従業員との“つながり”を強みとして、「小回り」と「質」の高いサービスを提供し続けることにより、「ビジネスモデルを深化」させ「共通価値の創造」へつなげ、「サステナブル経営」への転換を図る3年間とし、3つの基本戦略(①地域の課題解決やお客さまのニーズへの対応②経営効率性の向上と行動プロセスの新化③「人づくり」とエンゲージメント向上)を推進しました。その結果、業容が拡大し、計画最終年度の5つの経営指標全てを達成いたしました。さらに、「地元中小企業の徹底的な支援」を重要施策に据え、本支店一体となったコンサルティングによる最適なソリューション提案や、事業性評価に基づくお客さまに寄り添った本業支援・事業承継支援を全行あげて実践したこと、住宅ローンについては旺盛な資金需要に的確に対応したことなどにより、貸出金残高は個人向け貸出を含む中小企業等貸出金を中心に増加し、2兆1,160億円(単体)と過去ピークを更新しました。また、「お客さまのライフイベントに応じた人生伴走型の提案」を行い、職域における説明会を開催するなどお客さまの資産形成支援に積極的に取組んだ結果、預金残高と預り資産残高は増加し、貸出金残高に預金残高と預り資産残高を合わせた残高は5兆999億円(単体)となり、年度末として最大の残高となるなど、将来の収益基盤をしっかりと築き上げることができました。
今後は、2025年4月にスタートさせた第6次中期経営計画「Rising Innovation 2028」 ~ ツクバ ワクワク、はじまる ~(計画期間2025年4月~2028年3月)に掲げた諸施策を着実に履行するとともに、地域金融機関として金融仲介機能を十分発揮することにより、経営指標達成に向けて取組んでまいります。なお、当行グループの報告セグメントは「銀行業」のみであるため、セグメント別の業績は記載しておりません。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び流動性に係る情報
当行グループの中核事業は銀行業であり、主に茨城県を中心とした地域のお客さまからお預かりした預金を貸出金、有価証券等で運用しております。
資金の流動性については行内に設置したリスク管理委員会で適切に管理しております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は「(1)経営成績等の状況の概要」、重要な資本的支出は「第3 設備の状況」に記載のとおりです。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度の資金運用収支は264億3百万円、部門別では国内業務部門が260億69百万円、国際業務部門が3億34百万円となりました。役務取引等収支は41億98百万円、部門別では国内業務部門が44億94百万円、国際業務部門が△34百万円となりました。その他業務収支は△24億21百万円、部門別では国内業務部門が△2億9百万円、国際業務部門が△22億12百万円となりました。
(注) 1.「国内業務部門」は当行及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は当行の外貨建取引であります。ただし、円建外国証券及び円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
2.「相殺消去額」は、連結相殺仕訳として消去した金額であります。
3.資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度1百万円)を控除して表示しております。
4.資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、「国内業務部門」と「国際業務部門」の間の資金貸借の利息であります。
当連結会計年度の資金運用勘定の平均残高は2兆8,490億9百万円、部門別では国内業務部門が2兆8,487億99百万円、国際業務部門が194億61百万円となりました。利回りは0.99%、部門別では国内業務部門が0.97%、国際業務部門が2.02%となりました。資金調達勘定の平均残高は2兆8,004億79百万円、部門別では国内業務部門が2兆7,991億84百万円、国際業務部門が202億81百万円となりました。利回りは0.06%、部門別では国内業務部門が0.06%、国際業務部門が0.29%となりました。
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、金融業以外の連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2.「国内業務部門」は当行及び連結子会社の円建取引であります。
3.資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度2,651百万円、当連結会計年度2,649百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度1百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
4.( )内は、「国内業務部門」と「国際業務部門」の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
(注) 1.平均残高は、日々の残高の平均に基づいて算出しております。
2.「国際業務部門」とは、当行の外貨建取引であります。
3.( )内は、「国内業務部門」と「国際業務部門」の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
(注) 1.平均残高欄の「相殺消去額」は、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しており、利息欄の「相殺消去額」は連結相殺仕訳として消去した金額であります。
2.資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度2,651百万円、当連結会計年度2,649百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度1百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
3.「国内業務部門」と「国際業務部門」の間の資金貸借の平均残高及び利息は、相殺して記載しております。
当連結会計年度の役務取引等収益は92億7百万円、部門別では国内業務部門が94億49百万円、国際業務部門が23百万円となりました。役務取引等費用は50億9百万円、部門別では国内業務部門が49億55百万円、国際業務部門が57百万円となりました。
(注) 1.「国内業務部門」は当行及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
2.「相殺消去額」は、連結相殺仕訳として消去した金額であります。
○ 預金の種類別残高(末残)
(注) 1.「国内業務部門」は当行及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
2.流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3.定期性預金=定期預金+定期積金
4.「相殺消去額」は、連結相殺仕訳として消去した金額であります。
(注) 1.「国内業務部門」は当行及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は当行の外貨建取引であります。ただし、円建外国証券は「国際業務部門」に含めております。
2.「その他の証券」には、外国債券を含んでおります。
3.「相殺消去額」は、連結会社相互間の取引その他連結上の調整であります。
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
(単位:億円、%)
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(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
該当ありません。
該当ありません。