当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当行は、山梨県及び東京地区を主要な営業基盤とする地域金融機関として、預金業務、貸出業務を中心に、有価証券投資業務、内国為替業務、外国為替業務、国債等公共債・投資信託・保険の窓口販売業務及び各種コンサルティング業務などを、グループ会社では、リース業、クレジットカード業等の金融サービスに係る事業を行っており、地域の皆さまに多様な金融商品・サービスを提供しています。
また、地域に根ざし、地域社会の繁栄と経済発展に寄与するとともに、お客さまから信頼していただける健全な経営姿勢を堅持し、経営内容の充実に努めることを経営理念としており、この実現に向けて、当行及びグループ各社は、多様化・高度化する地域の金融ニーズに的確かつ迅速にお応えすべく、総力を結集しさまざまな施策に取り組んでおります。
(2) 経営環境
金融業界は日本銀行の政策金利引き上げに伴う収益機会の拡大が期待されていますが、一方で、少子高齢化による労働力の減少、円安や長引くウクライナ・中東情勢などを背景とした物価上昇など、当行を取り巻く経済環境の不確実性は高まっています。
(3) 中期経営計画
当行グループでは新たな長期ビジョン「Value Creation Company 2034」を掲げるとともに、2025年4月から2028年3月の3年間を計画期間とした中期経営計画「Value Creation Company~1st Stage」への取組みを開始しました。

具体的な取組みとして、山梨の強靭化に向けた地域企業の皆さまへの成長のご支援、東京地区との情報連携を通じた物的・人的投資の呼込み、なお一層の生産性向上に向けたしごと改革の推進、これら取組みを担う職員に対する人的資本投資などを着実に進めていきます。
本計画においては、「連結ROE」、「親会社株主に帰属する当期純利益」、「OHR(コア業務粗利益経費率)」といった財務指標に加え、人的資本指標や、社会的インパクト指標なども定量目標として掲げております。
定量目標は以下のとおりです。
※1 OHR(コア業務粗利益経費率)=経費(除く臨時処理分)÷(業務粗利益-国債等債券損益)
※2 顧客向けサービス業務利益÷人件費
※3 監督職:検印業務・部下評価業務を担う。管理職の候補層(役職は支店長代理、課長代理等)。
※4 2024年10月調査実績
※5 実績は2023年
※6 実績は2021年度
※7 直接投資件数、LP出資ファンドによる投資件数、ベンチャーデット対応件数、関連イベントの開催件数、ビジネスマッチング紹介件数
※8 実績は2021年~2023年累計
※9 目標対象範囲は、Scope1+Scope2。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当行が対処すべき課題は、地域課題の解決への貢献と、当行グループの持続的な企業価値向上です。
これらの課題に対処するため、当行グループでは新たな長期ビジョン「Value Creation Company 2034」を掲げるとともに、2025年4月から2028年3月の3年間を計画期間とした中期経営計画「Value Creation Company~1st Stage」への取組みを開始しました。
具体的な取組みとして、山梨の強靭化に向けた地域企業の皆さまへの成長のご支援、東京地区との情報連携を通じた物的・人的投資の呼込み、なお一層の生産性向上に向けたしごと改革の推進、これら取組みを担う職員に対する人的資本投資などを着実に進めていきます。
<中期経営計画の取組み>
計画では、「アライアンス(=A)」、「デジタル(=D)」、「コーポレート(=C)」、「グリーン(=G)」の4つの変革ドライバーと、以下の3つの戦略により、当行グループの持続可能な経営に向けて挑戦していきます。
「成長戦略(Growth)」
「基盤戦略(Fundamental)」
「人財戦略(Human resource)」
また、「持続的成長と中長期的な企業価値向上」に向けて、「資本コストや株価を意識した経営の実現」に取り組んでいきます。PBR1倍以上を達成するため、ROEの向上と資本コストの抑制に取り組み、特に連結ROEについては、新長期ビジョンおよび中期経営計画における主軸の目標指標として、3つの戦略を推し進めるなかで着実に上昇を図っていきます。
当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
①ガバナンス
当行グループでは新たな長期ビジョン「Value Creation Company 2034」を掲げるとともに、2025年4月から2028年3月の3年間を計画期間とした中期経営計画「Value Creation Company~1st Stage」への取組みを開始しました。本計画の定量目標には財務指標の他に、人的資本指標や社会的インパクト指標を掲げ、当行の持続可能な経営や持続可能な地域社会の実現に向けて取り組んでおります。
また、頭取が委員長を務めるサステナビリティ委員会を設置しており、持続可能な社会の実現に向けた気候変動関連への対応やSDGs/ESGなどへの取組みについて、原則として毎月開催し、協議・検討しています。
サステナビリティ委員会で協議・検討された事項は、常務会を経て取締役会へ付議・報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制を構築しています。
■2024年度の主な議題
・「人権方針」、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン方針」の制定
・サステナブルファイナンス目標額の引き上げ
・生物多様性保全の取組みについて
■体制図


②戦略
当行グループは、2025年4月にスタートした中期経営計画「Value Creation Company~1st Stage」の基盤戦略の1つにガバナンス戦略を掲げ、持続可能な地域社会の実現や企業価値向上に向けて取り組んでおります。
このような中で、サステナビリティに関連する取組みを進めるうえで基本となる考え方として、「山梨中央銀行グループサステナビリティ方針」を制定するとともに、サステナビリティ経営の実現に向けて6つのマテリアリティを特定し、さまざまな取組みを行っております。
<山梨中央銀行グループサステナビリティ方針>
私たち山梨中央銀行グループは、経営理念「地域密着と健全経営」のもと、地域の皆さまに総合金融サービスを提供するとともに、人口減少問題や気候変動問題等の地域社会を取り巻くさまざまな課題の解決に誠実に取り組み、中長期的な視点で社会価値・経済価値の向上を目指してまいります。
これらの取組みを通じて、すべてのステークホルダーの皆さまとのより良い信頼関係を構築し、皆さまとともに持続可能な地域社会を実現してまいります。
<マテリアリティ>
・豊かな自然環境の維持と将来への継承
・さまざまな連携強化と地域経済の活力向上
・DXの実現と地域社会のデジタル化
・質の高いUI/UXを通じた共通価値の創造
・多様な人財の成長と活躍を支える組織づくり
・コーポレート・ガバナンスとコンプライアンスの強化
③リスク管理
当行グループは、さまざまなリスクが経営に及ぼす影響を把握・分析し、リスク管理の強化を図っています。なお、事業全体を取り巻くリスク事象については、
④指標及び目標
中期経営計画「Value Creation Company~1st Stage」においては、「連結ROE(当期純利益ベース)」や、「親会社株主に帰属する当期純利益」などの財務指標のKPIとともに、当行自身の持続可能な経営や持続可能な地域社会の実現に向けて、人的資本指標や社会的インパクト指標をKPIとして掲げております。具体的なKPIにつきましては、
①ガバナンス
サステナビリティ経営の実現に向けて、マテリアリティの1つに「豊かな自然環境の維持と将来への継承」を掲げるとともに、中期経営計画「Value Creation Company~1st Stage」においては、変革ドライバーの1つとして「GX」(グリーン・トランスフォーメーション)のもと、「気候変動問題」および「生物多様性保全」をはじめとする環境課題解決に取り組んでおります。
②戦略
■気候関連のリスクと機会
・当行においてのマテリアリティを特定し、その1つとして「気候変動・温暖化」を掲げ、リスクおよび機会の両面から取組みを実施しております。
・気候関連に伴うリスク(移行リスク・物理的リスク)と機会については、短期(3年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で、定性的な分析を行っています。
■シナリオ分析
・移行リスク
気候変動の影響を受けやすいとされる業種のうち、気候変動への影響と当行の貸出金のポートフォリオを勘案し、「エネルギーセクター」のほか、新たに「鉄道輸送」、「トラックサービス」、「自動車及び部品」を分析対象として選定しました。
国際エネルギー機関(IEA)World Energy OutlookレポートのNet-Zero Emissions by 2050シナリオ(NZEシナリオ)等における炭素価格のデータを使用し、2050年までの融資先に対する財務悪化に関する変化について、予想を行い与信関連費用の変化を分析しました。
※エネルギーセクターは再生可能エネルギー関連を除く。
・物理的リスク
物理的リスクは、当行の事業性与信先を対象に、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)のもとで、水害発生による事業性与信先の財務への影響と担保不動産の毀損に起因した与信関係費用の増加に関する分析を実施しました。
■炭素関連資産
・当行の貸出金に占める炭素関連資産の割合は以下のとおりです。
2025年3月末基準
※エネルギーセクターは再生可能エネルギー関連を除く。
③リスク管理
気候変動に起因する移行リスクや物理的リスクが当行の事業運営や戦略・財務計画に大きな影響を与える重要なリスクと認識しています。今後、当該リスクにかかる影響を把握・分析するとともに、統合リスク管理の枠組みにおいて、気候変動に係る管理体制を整備してまいります。
また、シナリオ分析の移行リスク・物理的リスクの結果等を踏まえ、気候変動への対応や脱炭素社会への移行に向けて、お客さまとの対話を強化し、お客さまの課題やニーズを発掘するとともに、最適なコンサルティングを提供することで、共通価値を創造してまいります。
「山梨中央銀行グループ投融資ポリシー」を制定し、環境・社会に負の影響を与える特定セクターへの投融資を抑制するとともに、環境・社会課題解決に繋がる事業等を積極的に支援することで、お客さまや地域の環境・社会課題解決に取り組んでおります。
④指標と目標
■CO2排出量の削減目標と実績(Scope1、2)
当行は、自ら排出するCO2排出量の削減に積極的に取り組むとともに、脱炭素社会の実現や地域の環境課題解決に向けた取組みに貢献してまいります。
省エネルギー法の定期報告書における当行の温室効果ガス(CO2)排出量(Scope1、Scope2)にガソリン使用による排出量を加算しています。
CO2排出量の対象範囲:Scope1:直接排出量(重油、ガス、ガソリン等) 、Scope2:間接排出量(電気)
CO2排出量の削減目標と実績(Scope1、2)

■Scope3への対応
温室効果ガス排出量の計測範囲の拡大に取り組んでおり、Scope3の算出を行いました。引き続き、計測の高度化に向けて取り組んでまいります。
※カテゴリ8~14は算定による排出量がゼロ。
・開示している排出量等につきましては、今後算出対象範囲の拡大、算出方法の変更や使用データの精緻化等に伴い、変動する可能性があります。
■Scope3のカテゴリ15の算定
Scope3のカテゴリ15については、金融機関にとっては、気候変動におけるリスクと機会を捉えていく重要な指標と考えられることから、PCAFスタンダードの計測手法を参考に、国内事業法人に対する融資を対象に算定を行いました。
カテゴリ15は、金融機関におけるScope3の中でも大きな割合を占めるため、2024年度は、業種別に算定を行いました。なお、上場企業で、排出量を開示している先については、一部公表値をもとに算出しています。
(2024年度、単位:t-CO2)
※算出方法
・カテゴリ15の算出方法は、計測した融資残高は2025年3月末、財務データは2025年3月末までの最新決算データとなります。
・CO2排出量は、「売上高×環境省が公表する排出原単位」にて推計(上場先のうち一部は公表値を採用)し、投融資持ち分を乗じて計算しています。
■サステナブルファイナンス投融資額の目標
持続可能な地域社会の実現に向けて、環境・社会課題解決等への取組みを加速させるため、長期目標として2030年度までに8,000億円以上を掲げています。
・サステナブルファイナンス目標額
■サステナブルファイナンス投融資額の実績
<サステナブルファイナンス>
持続可能な地域社会の実現に向けた、社会課題や環境課題の解決に繋がる投融資。
<環境ファイナンス>
地球温暖化を抑制するとともに、地域経済への影響を減少させるため、環境負荷低減や気候変動対策を目指す取組みに資する投融資。
<人的資本経営の実現に向けた取組み>
当行グループでは、価値創造プロセスに基づき、特定したマテリアリティ・経営課題に対し、強みを支える最も重要かつ本源的な資本として「人的資本」を捉えており、中期経営計画に掲げる戦略を着実に遂行していくため、高い専門性を持つ多様な人財を採用・育成・活用し、価値創造と地域の持続的な発展に繋げていくための経営を実践し、「well-beingな社会」の実現を目指します。
①ガバナンス
人的資本経営の実現に向けた取組みは、当行グループにおける重要課題の1つとして捉え、経営陣が主体的に関わり、取り組んでいます。「人権方針」、「人財育成方針」、「社内環境整備方針」など当行グループの各種方針の制定や人的資本開示の内容については、サステナビリティ委員会※にて協議、検討し、常務会を経て取締役会に付議・報告しており、取締役会の監督が適切に図られる体制を構築しています。
※サステナビリティ委員会については、
②戦略
2025年4月にスタートした中期経営計画「Value Creation Company~1st Stage」では、「人的資本経営の実現」に向けた今後の取組みを明確にするため、3つの基本戦略の1つとして「人財戦略」を掲げ、「人的資本戦略」、「エンゲージメント向上戦略」の2つの個別戦略により取組みを進めています。
戦略遂行に向けた人財を確保・育成するための「人財育成方針」、「社内環境整備方針」を定め、従業員一人ひとりの働きがいやスキル、モチベーションの向上により持続的な企業価値向上に繋げています。また、「人権方針」、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン方針」に基づき、人権、多様性の尊重と、公平性を担保するなかで、活力ある組織作りに注力しています。
※人財育成方針については、後記バリュー(Values)の制定に伴い、一部改定しました。

<人財育成方針>
当行グループのバリュー(Values、大切にする価値観)を定義する中、お客さまや地域社会の多様化・高度化するニーズへの対応、特定しているマテリアリティの解決、地域の持続的な成長を支援するための原動力となる専門性の高い人財を、多様な分野において育成します。そのために、社内外での各種研修、ジョブローテーション、自己研鑽等の機会を積極的に提供し、職員の主体的・自律的な成長支援に取り組んでいきます。
そしてダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進により人財・働き方の多様性を確保しながら、パーパスの実現を目指します。
<社内環境整備方針>
地域の企業・産業の発展を支え、地域を活性化し、well-beingな社会の実現に向け、多様な人財が持つ能力を最大限発揮でき、働きがいを実感できる組織づくり、仕事と家庭・生活の充実を感じることのできる仕組みづくりを目指した職場環境整備を進めていきます。
また、人権や多様性を尊重し、すべての人々が個性と能力を発揮できる活力ある組織の構築を実現していきます。
<バリュー(Values)の制定>
山梨中央銀行グループでは、これまで掲げてきた行動指針等を整理するなか、当行グループが「大切にしている価値観」としてバリュー(Values)を制定しました。

③リスク管理
人的資本経営の実現に向けた取組みにおいて「人財」にかかるリスクについても、リスクの特定、評価等リスク管理の態勢を構築しています。
「人的リスク管理規定」を制定するとともに、「就業規則」や「健康管理規定」等を定め、労働条件の明確化を図り、健康の保持促進や勤務能率の向上および不法行為の防止に努めています。また、リスク管理委員会※において、他のリスクと同様に人的リスクが経営に及ぼす影響とそれへの対応策を検討できる態勢を整えています。
※リスク管理委員会
④指標と目標
人財戦略の2つの個別戦略「人的資本戦略」、「エンゲージメント向上戦略」に基づく、指標を設定し施策の実行を通じてありたい姿の実現に向け取組んでいます。

<人的資本戦略に伴う主な取組み>
人財ポートフォリオの構築と実現
長期ビジョンや中期経営計画の戦略・施策遂行に向け、人的リソースや必要人財を明確にし、人財ポートフォリオの構築・実現に向けた取組みを進めています。

※営業人財:ビジネスアドバイザー(融資係を含む)、マネーアドバイザー(ライフスクエアを含む)
※企画人財:企画部門、システム部門、市場部門
コンサルティング人財育成
地域経済の活力向上、地域社会の課題解決に資する高い専門性を持つ多様な人財(コンサルティング人財)の育成・活用に取り組んでいます。高難度資格取得者を対象とした行内認定制度(※スペシャリスト認定資格)を導入し、人財ポートフォリオや戦略的人員配置の実現を目指します。
※スペシャリスト認定資格については、2025年上半期中に制定予定
高難度資格:中小企業診断士、証券アナリスト、FP1級、宅地建物取引士 等
DX推進人財育成
当行グループでは前中期経営計画「TRANS³2025」において「DX」の取組みを強化し、行内外のDXを支える人財を育成すべく「DX推進人財育成制度」を制定し取り組んできました。現中期経営計画「Value Creation Company~1st Stage」においては「量」から「質」を意識し、より実効性の高い人財育成に取り組んでいきます。
<エンゲージメント向上戦略に伴う主な取組み>
エンゲージメント向上
企業の収益力向上や従業員の帰属意識の強化との相関が強いとされている「従業員エンゲージメントサーベイ」(エクスペリエンスサーベイ)により、組織風土や労働条件など、16の領域を対象に会社への「期待」と「実感」を測定し、その差分(ギャップ)をスコアとして可視化しています。
2023年度サーベイにて組織全体の課題として認識した「目標設定」の改善に向け、全職員を対象とした「評価者・被評価者研修」を実施し、目標設定や評価に対する考え方を共有したことで、2024年度サーベイにおいては目標設定項目の改善もあり、全体スコアが76.8(対前期比+1.9pt)と改善しました。
今後のさらなる改善に向け、組織全体の課題(キャリア形成)だけでなく、職場ごとの課題解決に向けた取組みを促進するための仕組みづくりに取り組んでいきます。
また、様々な場面(行内IRや監督職との意見交換会など)において、経営陣との対話機会を通じて当行グループとしての考え方や取組方針などを共有するなか、エンゲージメント向上に取り組んでいます。
男性育児休業取得率、女性管理・監督職比率の取組み詳細は、
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1) 信用リスク
当行グループでは、債務者ごとの個別管理と、与信資産全体の評価をふまえたポートフォリオ管理によって、信用リスクを管理しております。また、格付別・業種別の与信限度額を設定することで与信集中の回避を図るとともに与信先の現況および融資方針について、定期的あるいは随時検証を行っております。信用リスク量については、四半期ごと計測を行い、その結果をALM委員会等へ報告し、信用リスクの抑制に努めておりますが、以下のリスク事象が顕在化する可能性があります。
① 不良債権等の増加
景気動向等により取引先の財務内容等が悪化した場合、当行グループの不良債権及び与信関係費用が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 貸倒引当金の増加
当行グループでは、取引先の状況や担保価値等に基づいて貸倒引当金を計上しています。取引先の業況の悪化や担保価値の下落等により、貸倒引当金が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 貸出先への対応による貸倒引当金等費用の増加
取引先に債務不履行等が生じた場合であっても、回収の効率・実効性等の観点から当行グループの債権者としての権利を行使しない場合や、取引先への支援のために債権放棄等を実行する場合があり、結果として貸倒引当金等の費用が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 市場リスク
当行グループでは、市場取引の運営方針、運用計画ならびに過去の運用実績や経営指標等をふまえた上で、原則半期ごとに運用限度枠の策定・見直しを行っております。また有価証券取引の公正・妥当な時価評価と、リスク量の計測、損益の算定を定期的に実施しております。市場リスクの状況については、ALM委員会等へ報告し、市場リスクの抑制に努めておりますが、以下のリスク事象が顕在化する可能性があります。
① 金利リスク
資産と負債の金利または期間の不一致がある中で金利が変動した場合、収益の低下や損失が発生する可能性があります。
② 価格変動リスク
当行グループが保有する有価証券等の市場価格の変動により、減損や評価損が発生する可能性があります。
③ 為替リスク
外貨建資産と負債について、為替相場の変動により損失が発生する可能性があります。
(3) 流動性リスク
当行グループでは、信用力の向上と預金流出に備えた一定量の流動性資産の保持、および適切な資金繰りを行い、資金繰りの見通しについては、リスク管理委員会等へ報告し、流動性リスクの回避に努めておりますが、当行グループの財務内容の悪化等により、資金繰りに悪影響を来たしたり、短期借入金等の調達コストが増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、市場の混乱等により市場において取引ができない場合や、通常よりも高い金利での調達を余儀なくされる可能性があります。
(4) オペレーショナル・リスク
当行グループでは、業務の見直しや改善および保険の適用などにより、オペレーショナル・リスクの抑止策・軽減策を講じており、損失規模・発生頻度が極めて大きい場合は、当該業務の停止等を検討します。オペレーショナル・リスクの状況については、リスク管理委員会等へ報告し、リスクの抑制に努めておりますが、以下のリスク事象が顕在化する可能性があります。
① 事務リスク
当行グループの役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより、損失が発生する可能性があります。
② システムリスク
コンピュータシステムのダウンまたは誤作動等、コンピュータシステムの不具合や、コンピュータの不正使用、データ改ざん、情報漏洩、サイバー攻撃による不正アクセスやコンピュータウイルス感染等が発生した場合に、当行グループの信用や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
サイバー攻撃による業務の中断は、お客さまや金融システムの信頼に影響を与える重大なリスクであると認識しており、日々高度化するサイバー攻撃の脅威に対応しています。具体的には、当行グループ内に設置したサイバーセキュリティに関する専任組織にて、サイバー脅威情報の収集・発信、サイバー攻撃検知時の調査・対応を行い、当行グループ全体のセキュリティレベル向上に努めています。
③ 法務リスク
各種取引において、法令違反や不適切な契約等により損失が発生する可能性があります。
④ 風評リスク
当行グループに対する市場やお客さまの間での否定的な世論が広まることによって、収益や資本、顧客基盤等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 人的リスク
労務慣行の問題や職場の安全衛生環境の問題等に関連する訴訟等が発生した場合、当行グループの信用や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 有形資産リスク
自然災害、強盗、事故、資産管理の瑕疵等により、建物、車両、備品等の有形資産が損傷した場合、損失が発生する可能性があります。
(5) 自己資本に関するリスク
① 自己資本比率
2025年3月期の連結自己資本比率は10.21%と、国内基準で要求される4%を上回っていますが、同基準を下回った場合には、金融庁から業務の全部または一部停止等を含む様々な命令を受ける可能性があります。
② 繰延税金資産
当行グループでは、将来の課税所得の見積額を限度として、既に支払った税金のうち将来回収が可能と判断した額に係る繰延税金資産を計上していますが、課税制度の変更等により繰延税金資産の回収ができない場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) その他のリスク
① 戦略リスク
当行グループは「地域密着と健全経営」という経営理念に基づき、中期経営計画に掲げた各種施策に取り組んでおりますが、営業基盤とする山梨県及び東京地区における経済情勢の悪化、あるいは他金融機関との競合激化により、戦略が想定した成果を生まない可能性があります。
② 固定資産の減損会計
「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」を適用し、所有する固定資産に損失が発生した場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 大規模災害のリスク
東海地震等の大規模な災害で、当行グループの被災による損害のほか、取引先の業績悪化による信用リスクの上昇等を通じて、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 感染症の流行
新型インフルエンザ等感染症が大流行した場合、当行グループ役職員の欠勤の増加等により、業務縮小等の可能性があるほか、経済活動への悪影響による取引先の業績悪化により、信用リスクが増加する等、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 気候変動リスク
気候変動に伴う異常気象や自然災害の発生、脱炭素社会への移行に伴う政策や法規制、市場の変化等は、当行グループの事業の停滞や担保資産の価値毀損のほか、取引先の業績悪化による与信費用の増加など、当行グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 外的要因に起因するリスク
特定の地域が抱える政治的、軍事的、社会的な緊張が高まり地政学リスクが顕在化することで、その地域や世界の経済活動が停滞した場合、取引先の業績悪化に伴う信用リスクの増加等により、当行グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当行グループ(当行及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当行グループは、報告セグメントが「銀行業」のみであり、セグメント情報の記載を省略しているため、セグメント別の経営成績等の状況の概要は記載しておりません。
① 金融経済環境
2024年度のわが国経済は、年度前半は一部自動車メーカーの出荷停止などを背景に生産が停滞したほか、物価上昇に伴う節約志向の高まりにより個人消費も弱含むなど、回復の動きが鈍化しました。夏以降は、生産に持ち直しの動きがみられ、賃上げに伴う所得環境の改善や企業の底堅い投資需要が下支えとなり、緩やかな回復基調が続きました。
山梨県経済は、生産面において、半導体製造装置が回復傾向にあった一方、電子部品や自動車部品、工作機械が弱含むなど全体では横ばい圏での推移となりました。需要面においては、資材価格の高騰や供給制約などにより設備投資の増勢が鈍化し、長引く物価高に伴う生活防衛意識の高まりから個人消費も力強さを欠きました。なお、観光関連産業においては、外国人観光客の入込みが過去最高となるなど、好調に推移しました。
この間の金融情勢をみますと、為替相場は日米金利差の影響などにより円安傾向で推移し、一時は161円台まで下落しました。その後は、為替介入や追加利上げにより円高に転じる場面もあるなど、一進一退の動きとなりました。また、国内長期金利は上昇基調で推移し、追加利上げ観測が高まるなかで年度末には1.5%台にまで上昇しました。日経平均株価は、一時は4万2千円を超え史上最高値を更新しましたが、米国の関税政策による景気悪化や企業業績の下振れ懸念が強まるなかで、年度末にかけて軟調な相場となりました。
② 事業の経過等
このような金融経済環境のなか、中期経営計画「TRANS3 2025」(2022年4月~2025年3月)の最終年度にあたり、「3つの変革ドライバー(AX・DX・SX)と3つの基本戦略による変革と挑戦」の総仕上げとして、次のような施策を積極的に展開しました。
<“事業体積”増加戦略>
●コア事業の深化・拡大
(Yamanashi Policy)
地域社会や地元企業の持続的な発展に貢献するため、当行グループが有する知見やネットワークを活かし、お客さまのニーズやライフステージに応じた最適なコンサルティングの提供に取り組みました。
創業・成長・再生・事業承継などさまざまなステージにおける「真の経営課題」を把握し、お客さまと「将来ビジョン」を共有するなかで、課題の解決支援に努めました。
特に事業承継においては、営業店長を中心に100名超が「M&Aシニアエキスパート」資格を取得するなど支援体制を強化しました。
(Tokyo Policy)
山梨の魅力発信と東京の営業基盤活用により、山梨と東京をつなぐ活動に取り組みました。自動車ブランド「MINI」の愛好家を集めたイベントの県内誘致や、都心の歌舞伎公演会場への県内事業者招致などにより、お客さまの販路拡大支援や山梨・東京間の双方向での事業活性化に努めました。
また、商流の川上に位置する事業者への営業活動や事業創業家などウェルス層のニーズを捉えた提案活動を通じ、取引の拡大に取り組みました。
(Common Policy)
さまざまな環境変化やお客さまのニーズが多様化するなかにあっては、個々の課題に応じた金融支援が不可欠であることから、プロジェクトファイナンスなどのオーダーメイド型の融資案件組成などにも積極的に取り組みました。
また、ベンチャー企業やスタートアップ企業向けには、さまざまな金融支援や成長支援に取り組みました。
(Market Policy)
有価証券運用においては、中長期的な視点で設定した基本ポートフォリオをもとに、投資助言子会社であるやまなし未来インベストメント株式会社と連携し、市場局面分析や個別資産分析などを活用して機動的に資産配分を変更することにより、安定した収益の確保とポートフォリオの質の向上に努めました。
(住宅取得ニーズへの対応)
個人のお客さま向け商品を取扱うライフスクエアへ専門スタッフを配置するとともに、融資期間拡充などの商品性の改善や事務の見直しによる審査スピード向上を図るなど、お客さまの住宅取得ニーズに対して、サポートの充実と利便性の向上に努めました。
(資産形成ニーズへの対応)
「well-being(ウェルビーイング)な社会」の実現に貢献するため、お客さまのライフスタイルに応じた金融サービス提供に取り組みました。資産形成や相続に関連した各種セミナーなどによる情報提供や、お客さまに寄り添ったコンサルティングを積極的に実施しました。
●新事業の探索
(やまなし地域デザイン株式会社の設立に向けて)
「地域課題の解決支援による新たな収益源」の探索を行うとともに、金融教育旅行の開催、山梨県内の林業事業者とのJ-クレジット創出に向けた検討、動画のSNSとして人気の高いTikTokにおける「とある地方の銀行員」の運用や、情報伝達のスピードが速いInstagramにより山梨県内の観光情報を発信するなどの各種実証実験に取り組みました。
これらの実証実験で得たノウハウを活用し、2025年4月1日に地域課題解決に取り組む「観光価値創造業」「脱炭素関連事業」「広告宣伝・マーケティング事業」の3事業を柱とする銀行業高度化等会社「やまなし地域デザイン株式会社」を設立しました。
同社は、県内外の事業者、地域の自治体、および大学などと連携するなか、当行グループとのシナジー効果を発揮し、地域に新たな価値を創出するとともに、地域社会の繁栄や経済の発展に寄与していきます。
(地域課題解決に向けた取組み)
地域全体の脱炭素化を支援するための仕組みづくりや、地方公共団体との「山梨中銀やまなし ふるさと応援プロジェクト」においては、課題解決の実績を積み上げており、提案活動において寄せられたご意見やニーズなどを踏まえてさらなる支援メニューの充実を図っています。
また、リニア中央新幹線山梨県駅(仮称)の開業に向けて、山梨県内における官民の動きが活発化するなか、行内の横断的な組織として「リニア中央新幹線地域創造推進プロジェクトチーム」を設置し、新駅周辺地域のまちづくりについて関連する地方公共団体や民間事業者との対話を行うなど、地域の将来を見据えた取組みを進めました。
<“生産性”倍増戦略>
●事務ゼロへの挑戦
(営業店事務ゼロ化の実現に向けて)
シンプル化・集中化・システム化の3つをポイントとして各種施策を展開し、生産性向上を実現するとともに、取組みを通じて創出した人財については、リスキリングを展望するなか、戦略的な再配置を行いました。
シンプル化においては、「窓口専用タブレット端末」の機能改善や、各事務手続きの簡略化などを行い、お客さまの負担軽減を図ったほか、当行内部の合理化、効率化にもつなげました。
集中化においては、営業店後方で発生する各種事務について、本部集中部門での取扱業務を拡大しました。これにより、専門性の高い人財が業務を行うことで事務品質の向上が実現しました。
システム化においては、お客さまの利便性向上および営業店受付事務の効率化を目的とした、「セミセルフ端末」を全店に導入しました。また、口座振替手続きをスマートフォンなどで実現する、WEB口座振替受付サービス「山梨中銀かんたん口振」の導入などを行いました。
●次世代チャネル改革
(デジタルチャネルの強化)
スマートフォンアプリ「山梨中銀アプリ」の利用者は順調に拡大しており、お客さまからご要望のあった家族口座照会など新たな機能も追加しました。今後も、お客さまを起点とした機能拡充を図ることなどで、より使い勝手の良いサービスを目指します。
(リアルチャネルの改革)
営業店を中心としたリアルチャネルにおいては、営業店人員の集中化による質の高いサービスの提供とマーケットに応じた効率的な店舗・ATM網の再構築を目指し、甲府駅前支店を本店営業部内に移転しました。また、お客さまの利便性向上を図るため、株式会社セブン銀行との共同ATMの設置を進めました。
<“サステナ”追求戦略>
●人的資本経営の実現
(人的資本経営の実践)
さまざまな環境変化や変革に対応していくための企業風土の醸成にあたり、その基盤となる人的資本経営の実現に取り組みました。
特に、持続的な企業価値向上を図るため、引き続き、自主性・自律性の醸成やキャリア形成支援を目的とした本部専門部署への異動公募(ポストチャレンジ)、本部業務を経験する取組み(社内兼業)を行いました。また、他業界のビジネスパーソンとの合同研修を通じて、論理的思考力や説得力のあるコミュニケーションの手法、部下育成にかかる高度なスキルなどを身につける派遣型研修(他流試合)などに取り組みました。
(DX人財の育成)
少子高齢化や人口減少といった地域課題を解決するためには、DXによる生産性向上が不可欠であり、その推進人財の育成が重要です。当行では、お客さまおよび当行自身のDX実現に向け、DX推進人財にかかる行内認定制度を創設し、実際に案件に取り組むために必要な基礎的なスキルに関する資格である「DXプランナー」を、2025年3月末時点で522名認定しました。
さらに、デジタルを通じて課題を解決する「DXマネージャー」、当行だけでなく地域企業や地域社会におけるDXを推進する「DXプロフェッショナル人財」の育成を進めており、地域全体の競争力を高め、持続可能な成長を実現することを目指しています。
●ガバナンスの高度化
(ステークホルダーとの対話)
株主の皆さまと長期安定的な信頼関係を構築することの重要性を踏まえ、当事業年度においても積極的に対話を実施しました。
対話を通じて認識した課題については、行内で共有することで今後の施策へ反映させ、中長期的な企業価値向上につなげていきます。
また、頭取が全従業員へ成長戦略などを直接説明する「行内向けIR」を開催し、従業員エンゲージメントの向上に取り組みました。
(政策保有株式の縮減)
当行では、コーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏まえ、株式の政策保有に関する方針を定め、個別銘柄毎の保有意義を定期的に検証するなか、政策保有株式の縮減を順次進めました。
2023年5月に縮減目標として、「2025年3月末までに上場政策保有株式を時価ベースで100億円程度縮減(2022年3月末比・時価変動を除く)」を設定し、2025年3月末までに126億円を縮減しました。
引き続き、取引先企業との対話を強化し、新中期経営計画「Value Creation Company~1st Stage」期間の2028年3月末までに連結純資産比率(時価ベース)15%未満とします。なお、中長期的には10%未満へ縮減していく予定です。
(アライアンスの取組み)
2020年10月にスタートした「静岡・山梨アライアンス」は、法人ファイナンス分野や静銀ティーエム証券との銀証連携などにより、両行合計(5年累計)の提携効果は、2025年3月末で約137億円となり、2023年11月に上方修正した目標の120億円を上回りました。
こうした状況のなか、2025年3月、静岡銀行および八十二銀行と新たな包括業務提携「富士山・アルプス アライアンス」を締結しました。
本提携は、「静岡・山梨アライアンス」の枠組みに八十二銀行が加わるものであり、引き続き「経営の独立性」や「ブランド・顧客基盤」を維持しながら、各行との協業を進めていきます。
今後は、「山梨・静岡・長野3県の人口増加(社会増)」を目指し、以下3点の主要施策(地域課題の解決)に取り組むとともに、「3行合計(5年累計)200億円のシナジー効果」を目指します。
「富士山・アルプスアライアンス」の主要施策
・人口減少・労働力不足に対する関係人口の増加
・海外資本・人財を呼び込むための新事業の展開
・ベンチャー・グロース分野の協業拡大やM&A・事業承継の強化
(サステナビリティ経営)
持続的な地域社会の発展と企業価値の向上を実現するため、サステナビリティ経営に取り組みました。
~豊かな自然環境の維持と将来への継承~
豊かな自然環境の未来世代への継承は私たちの重要な社会的責務であるとの認識のもと、「気候変動問題」および「生物多様性保全」をはじめとする環境課題の解決に積極的に取り組み、持続可能な地域社会の実現に努めました。
この取組みの一環として、山梨県笛吹市の森林を「山梨ちゅうぎん生物多様性の森」として、植樹を行うなど生物多様性保全を目的とした活動を開始しました。
また、当行の「脱炭素化」に向けて、引き続き、再生可能エネルギー電気の活用などに取り組みました。
~多様な人財の成長と活躍を支える組織づくり~
2024年5月に、「山梨中央銀行グループ人権方針」および「山梨中央銀行グループダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン方針」を制定し、働きがいのある企業風土の醸成に取り組みました。
③ 財政状態の状況の概要
当連結会計年度末の財政状態について、預金は、個人預金は増加しましたが、公金・法人預金の減少により、期中に303億円減少し、期末残高は3兆5,473億円となりました。譲渡性預金を含めた総預金は期中に131億円減少し、期末残高は3兆6,194億円となりました。貸出金は、中小企業向け貸出や個人ローンの増加などにより、期中に2,357億円増加し、期末残高は2兆7,488億円となりました。有価証券は、国債の増加などにより、期中に1,001億円増加し、期末残高は1兆1,187億円となりました。
④ 経営成績の状況の概要
当連結会計年度の経営成績について、資金利益(資金運用収支)は、預金利息は増加したものの、貸出金利息及び有価証券利息配当金、預け金利息が増加したことから、前期比30億48百万円増加しました。役務取引等利益(役務取引等収支)は、投資信託等の販売による証券関連業務手数料収入は増加しましたが、保険等の販売による代理業務手数料収入の減少などにより、前期比1億83百万円減少しました。その他業務利益(その他業務収支)は、国債等債券損益の増加などにより、前期比16億15百万円増加しました。営業経費は前期比2億88百万円増加し、与信関係費用は前期比14億75百万円増加しましたが、株式等関係損益は前期比3億97百万円増加しました。以上の結果、経常利益は前期比29億79百万円増加し、106億20百万円となりました。
特別損益は前期比25百万円増加し、法人税等合計は前期比9億11百万円増加しました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比20億11百万円増加し、76億69百万円となりました。
⑤ キャッシュ・フローの状況の概要
A 営業活動によるキャッシュ・フロー
債券貸借取引受入担保金が1,313億円、借用金が588億円増加しましたが、預金等が131億円減少し、貸出金が2,357億円増加したことなどから、144億円のキャッシュアウト(前期は2,907億円のキャッシュアウト)となりました。
B 投資活動によるキャッシュ・フロー
有価証券の売却・償還が4,994億円ありましたが、取得を6,178億円行ったことなどから、1,245億円のキャッシュアウト(前期は926億円のキャッシュイン)となりました。
C 財務活動によるキャッシュ・フロー
配当金の支払19億円などにより、19億円のキャッシュアウト(前期は27億円のキャッシュアウト)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、5,544億円(前期比1,409億円減少)となりました。
⑥ 生産、受注及び販売の実績
「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における当行グループ経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
また、当行グループは、報告セグメントが「銀行業」のみであり、セグメント情報の記載を省略しているため、セグメント別の分析・検討内容は記載しておりません。
① 財政状態
当連結会計年度末の財政状態について、譲渡性預金を含めた総預金は期中に131億円減少しましたが、貸出金は期中に2,357億円増加しました。有価証券は、国債の増加などにより、期中に1,001億円増加しました。
② 経営成績
当連結会計年度の経営成績について、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比20億11百万円増加し、76億69百万円となりました。
日本銀行の政策金利引き上げを受け、預金等利息の支払いが増加しましたが、中小企業向け貸出や住宅ローンを中心とした個人ローンなど貸出金残高の増加を背景に貸出金利息が順調に増加しました。また、有価証券利息配当金および預け金利息も増加しました。
引き続き有価証券ポートフォリオの最適化を進めた結果、国債等債券損益は増加しました。
営業経費は、生産性向上に向けた物件費の増加などにより増加し、与信コストも前期の戻入の反動から増加しました。
貸出金の増加やコンサルティング分野における非金利収入の拡大によるトップライン増強および業務の抜本的な見直しやDX化による生産性向上などにより、持続可能な収益構造を確立していきます。
有価証券運用についても、中長期的な視点で設定した基本ポートフォリオをもとに、投資助言子会社である「やまなし未来インベストメント」と連携し、市場局面分析や個別資産分析などを活用して機動的に資産配分を変更することにより、安定した収益の確保とポートフォリオの質の向上を進めます。
③ 中期経営計画における目標と実績
2022年4月からスタートした中期経営計画「TRANS3 (トランス キューブ)2025」(2022年4月~2025年3月)における最終年度(2025/3)の目標と実績は以下のとおりであります。
※1 OHR(コア業務粗利益経費率)=経費(除く臨時処理分)÷(業務粗利益-国債等債券損益)
※2 2023年度で当初目標を達成したため、2025/3目標を「15%以上」から「20%以上」に引き上げました。
※3 持続可能な地域社会の実現に資する投融資(環境・教育・創業・事業承継など)
2024年5月に、2025/3目標を「2,500億円以上」から「3,500億円以上」に引き上げました。
※4 2013年度比。目標対象範囲は、Scope1+Scope2。
④ 資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ⑤ キャッシュ・フローの状況の概要」に記載のとおりであります。なお、資本的支出の予定は「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであり、その資金は自己資金を予定しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の資金運用収支は、預金利息は増加したものの、貸出金利息及び有価証券利息配当金、預け金利息が増加したことから、前期比30億48百万円増加し、337億64百万円となりました。役務取引等収支は、投資信託等の販売による証券関連業務手数料収入は増加しましたが、保険等の販売による代理業務手数料収入の減少などにより、前期比1億83百万円減少し、91億9百万円となりました。その他業務収支は、国債等債券損益の増加などにより、前期比16億15百万円増加し、△87億41百万円となりました。
(注) 1 「国内業務部門」は国内店の円建取引、「国際業務部門」は国内店の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 「相殺消去額(△)」は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借取引の利息であります。
3 「資金調達費用」は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度4百万円)を控除して表示しております。
当連結会計年度の資金運用勘定の平均残高は、貸出金及び有価証券、預け金の増加などにより前年比3,851億円増加し、4兆3,779億円となりました。資金運用勘定利息は、貸出金利息及び有価証券利息配当金、預け金利息の増加などにより前年比55億47百万円増加し、367億1百万円となりました。
資金調達勘定の平均残高は、コールマネーの減少などにより前年比568億円減少し、4兆2,426億円となりました。資金調達勘定利息は、預金利息の増加などにより前年比24億98百万円増加し、29億37百万円となりました。
(注) 1 「平均残高」は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、金融業以外の国内連結子会社については、期首と期末の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 「国内業務部門」は国内店の円建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
3 「資金運用勘定」は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度451,616百万円、当連結会計年度23,765百万円)を、「資金調達勘定」は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度3,939百万円、当連結会計年度6,837百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度4百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
(注) 1 「国際業務部門」は国内店の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 国際業務部門の国内店外貨建取引の平均残高は月次カレント方式(前月末TT仲値を当該月のノンエクスチェンジ取引に適用する方式)により算出しております。
3 「資金運用勘定」は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度13百万円、当連結会計年度13百万円)を控除して表示しております。
(注) 1 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息であります。
2 「資金運用勘定」は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度451,630百万円、当連結会計年度23,778百万円)を、「資金調達勘定」は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度3,939百万円、当連結会計年度6,837百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度4百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
当連結会計年度の役務取引等収益は、保険等の販売による代理業務手数料は減少しましたが、預金・貸出業務に係る手数料及び投資信託等の販売による証券関連業務手数料の増加などにより前期比46百万円増加し、119億37百万円となりました。このうち国内業務部門は、前年比39百万円増加し118億34百万円、国際業務部門は、前年比7百万円増加し1億3百万円となりました。
役務取引等費用は前年比2億29百万円増加し28億27百万円となりました。このうち国内業務部門は前年比2億41百万円増加し27億89百万円、国際業務部門は前年比12百万円減少し38百万円となりました。
(注) 1 「国内業務部門」は国内店の円建取引、「国際業務部門」は国内店の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 相殺消去額については、該当ありません。
(注) 1 「国内業務部門」は国内店の円建取引、「国際業務部門」は国内店の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
定期性預金=定期預金
3 相殺消去額については、該当ありません。
(注) 「国内」とは、当行及び国内連結子会社であります。
該当ありません。
(注) 1 「国内業務部門」は国内店の円建取引、「国際業務部門」は国内店の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
3 相殺消去額については、該当ありません。
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の算出においては標準的計測手法を採用しております。
(単位:億円、%)
(単位:億円、%)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
該当ありません。
該当ありません。