当行グループ(当行及び連結子会社)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
① 会社の経営の基本方針
当行は、1954年の創業以来、「健全経営を維持しお客さまから信頼されること」、「地域経済の発展とお客さまのご繁栄を通して社会貢献を図ること」、「創造性、自発性を尊重し明るい企業文化を創ること」を経営理念としており、その基本精神は現在も変わらず引き継がれております。
② 中長期的な会社の経営戦略
社会・経済環境の大きな変化の中、当行は2024年4月より、第7次中期経営計画「Change & Challenge」(2024年4月1日~2029年3月31日)を開始しております。本中期経営計画では、パーパスを新たに制定し、未来への変革ドライバーとなる5つの重点戦略のもと、ステークホルダーとの共通価値の創造を行い、パーパスの実現を目指します。
・パーパス(存在意義)
「地域を愛し、お客さまに常に寄り添い続け、最も頼りにされる銀行を実現します」
・5つの重点戦略
※DE&I…ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
多様な人材が働く組織の中で、それぞれがお互いを尊重しあいながら生き生きと働き、成果を出し続けるための考え方
(2) 目標とする経営指標
第7次中期経営計画の最終年度(2028年度)の目標とする主な指標は以下のとおりであります。
※1 金融セミナーには営業店単位で開催される個別金融セミナーを含んでおります。
※2 従業員数には、出向者、嘱託及び臨時従業員を含み、出向者(受入)を含んでおりません。
※3 主要目標は、2023年度を基準にしております。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
地域金融機関を取り巻く環境は、少子高齢化の進展や人口動向の変化、それに伴う金融資産の移動・事業所の減少等による競争の激化、海外情勢の影響による資源価格の高騰や為替相場の変動など、依然として先行き不透明な状況にあります。加えて、異業種による銀行業務への参入やデジタル化の進展による新たな金融サービス等の進化にも直面しております。また、令和6年能登半島地震ならびに令和6年奥能登豪雨の復旧・復興に向けて、お客さまの状況にあわせた資金繰りや販路拡大などの各種支援や、地域社会全体の持続可能な発展に向けた、いっそうの金融仲介機能の発揮が求められております。
こうした中、当行は、第7次中期経営計画のもとパーパスの実現を目指しながら、ガバナンス態勢の強化や法令等遵守、お客さま本位の事務運営の実践及び各種リスク管理の態勢強化に取組み、地域やお客さまの課題解決を通して、地域社会の持続的な発展に貢献し、すべてのステークホルダーの皆さまから信頼され必要とされ続けるよう努めてまいります。
当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
<サステナビリティについての取組>
当行は2019年8月に「SDGsへの取り組み」を公表し、2021年1月には頭取を委員長とする「SDGs推進プロジェクト」を立ち上げ、持続可能な地域社会の実現に向けて積極的に取組んでおります。
「SDGsへの取り組み」の重点推進項目は以下のとおりであります。
①持続可能な地域社会の実現
質の高い金融サービスの提供を通じ、持続可能な地域経済・社会の発展に貢献します。
②健全な経営管理態勢の確立
当行のビジネスモデルが持続可能となるべく、ガバナンス、コンプライアンス、各種リスク管理の更なる強化により健全な経営管理態勢を確立します。
③働きがいのある職場環境創り
従業員の多様性、人格、個性を尊重する働き方を実現し、健康と安全に配慮した働きやすい職場環境創りに取組みます。
2022年3月には、企業活動において環境への配慮に努め、地域社会の持続的な発展に向けた取組みを強化していくため、気候変動を含む環境・社会への取組みに対する基本的な考え方を示す「富山銀行グループ環境方針」、気候変動に影響を与えるセクターへの方針を示す「富山銀行グループ投融資方針」を制定し取組んでおります。
また同月に、世界各地で異常気象や自然災害による被害が甚大化するなど、気候変動がお客さまや当行の経営基盤に与える影響は徐々に大きくなっていることから、当行は、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」の提言に賛同しました。気候変動のリスク・機会に関する情報開示の充実を図るとともに、ガバナンス体制の強化や法令遵守、資産内容等健全性確保、リスク・機会の把握に努めております。
2024年12月には、資源エネルギー庁が立ち上げた枠組みである「省エネ・地域パートナーシップ」において、パートナー金融機関として参加しております。
当行グループは気候変動に係る対応を経営上の重要課題と認識し、気候変動を含む環境や社会に係るリスク・機会への対応方針や取組計画について、経営会議及び取締役会に定期的に報告・審議しております。
① 気候変動
気候変動を含む環境・社会への取組みを当行グループ全体で推進するため、「富山銀行グループ環境方針」を制定しております。気候変動が当行グループの経営へもたらすリスク・機会の両面から取り組みを進めております。
・気候変動に伴うリスク・機会を以下のとおり認識しております。
・気候変動がもたらす自然災害による本支店設備への被害額等を試算するため、「物理的リスク」に関するシナリオ分析を行っております。
・今後もシナリオ分析の高度化等により、認識したリスク・機会についてそれぞれの影響度、発生可能性等を考慮し、事業戦略へ反映させてまいります。
・当行グループにおける炭素関連資産(電気、エネルギー等)の貸出金に占める割合は1.4%(2025年3月末現在)です。
② 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当行グループは、経営理念に基づき、人材を「人財」ととらえ、お客さまの課題解決に向けた多様な人材の育成と、従業員一人ひとりが活躍可能な働きがいのある職場環境の整備を推進してまいります。人材総合力の強化により、当行グループの組織力の向上及び地域社会の持続的な発展に取組んでまいります。
人材育成として、職務を効果的・効率的に遂行するため、従業員の各年次、職種、職位、業務別等に応じて求められる能力・専門知識の習得を目的とした行内・行外研修制度を実施するほか、従業員が自由に参加できるセミナーの開催や資格取得等の助成など、キャリア形成の支援も行っております。また、金融機関出身を問わず専門性の高い人材を中途採用することで、地域のお客さまのニーズに合わせた様々なソリューション提供を行っております。
働きがいのある社内環境の整備として、従業員のワークライフバランスを整え、従業員一人ひとりの働きがいを高め長期的に働けるようにするため、リモートワークへの対応、所定外労働時間の削減、特別有給休暇日数の増加等による働きやすい職場環境の整備や、従業員の健康増進のため、各種検診に対する支援強化やメンタルヘルスの研修等を行っております。
当行グループは、気候変動に影響を与えるセクターへの方針「富山銀行グループ投融資方針」に基づき、環境・社会への影響を低減・回避するための取組みを実施しております。
また、気候変動リスクに起因する移行リスクや物理的リスクが当行グループの事業・財務に大きな影響を与える「トップリスク」の1つとして認識しており、今後、統合リスクの管理の枠組みで対応する管理態勢の構築を検討してまいります。
① 気候変動に関する指標及び目標
2030年度までに当行のCO2排出量を2013年度比50%削減します。
(2024年度の削減実績は2013年度比35%削減)
② 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。なお、連結グループにおける記載が困難なため、銀行単体のものを記載しております。
(注) 1.総合職に占める女性の割合の総合職には、執行役員(取締役を兼務する執行役員を除く。)を含んでおります。
2.管理職に占める中途採用者の割合における管理職とは、部店長・次長・企画役以上の役職であり、執行役員(取締役を兼務する執行役員を除く。)を含んでおります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
事業等のリスクのうち、当行グループの業績及び財政状況等に特に重要な影響を及ぼす主要なリスクを、以下に記載した、(1) 信用リスク (2) 市場リスクと認識しております。
(1) 信用リスク
信用供与先の財務状況の悪化等により、資産の価値が減少ないし消失し、損失を被るリスクです。信用リスクが増加すると、不良債権及び与信関連費用が増加するおそれがあり、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、債務者毎に情報収集を行い、その結果を引当てに反映する等、各々の債権に対し、貸倒れが予測される部分については、十分な引当てを行っております。しかしながら、金融経済環境の動向、世界経済や日本経済の動向、不動産価格や株価の動向等に大きな変動が発生することにより、信用供与先の経営状況が悪化し、不良債権が増加する可能性があります。その結果、現時点の想定を上回る信用コストが発生した場合、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・信用リスクの管理体制
信用リスク管理規程に従い、信用リスク管理に関する体制を整備し運営しております。信用リスク管理は、審査部において営業店情報等によりモニタリングを行うとともに、信用格付や自己査定を通じた信用供与にかかるリスクを客観的かつ計量的に把握する「信用リスクの計量化」を行い、その結果を経営会議等に報告しております。
また、中期経営計画の重点戦略として「強固な経営基盤の確立」を掲げ、信用リスクに応じた効果的なリスク管理態勢と手法の強化に取り組んでおります。
(2) 市場リスク
国内外市場の金利、為替、株式等の様々な市場要因の変動により、資産や負債に影響を及ぼすリスクです。市場リスクが増加すると、当行グループの保有する資産の価値が減少し、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・市場リスクの管理体制
市場リスク管理規程等に従い、市場リスク管理に関する体制を整備・運営しております。市場リスク管理は、総合企画部リスク統括室において、ギャップ分析や金利感応度分析等によりモニタリングを日次で行い、その結果を月次で経営会議等に報告しております。
また、中期経営計画の重点戦略として「強固な経営基盤の確立」を掲げ、市場リスクに応じた効果的なリスク管理態勢と手法の強化に取り組んでおります。
① 金利リスク
当行グループの資産及び負債は主要業務である貸出金、有価証券及び預金で形成されており、主たる収益源は資金運用と資金調達の利鞘収入であり、預金金利及び貸出金利は市場金利に基づき改定しております。しかし、市場金利の変動等に対し預貸金の金利改定のタイムラグや資産負債の構成等により預金等の調達利回りと貸出金等の運用利回りの利鞘が縮小した場合、資金利益の減少により当行グループの業績へ影響する可能性があります。従って、金利変動に伴い損失を被るリスクで、資産と負債の金利又は期間のミスマッチが存在している中で金利が変動することにより、利益が低下ないし損失を被るおそれがあり、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 為替リスク
当行グループは、外貨建資産・負債についてネットベースで資産超又は負債超ポジションが造成されている場合があり、為替の価格が当初予定されていた価格と相違することによって損失が発生するおそれがあり、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 価格変動リスク
当行グループは、市場性のある国債等の債券や市場価格のある株式等の有価証券を保有しております。従いまして、将来、それらの価格の変動に伴って資産価格が減少するリスクがあります。
当行グループにおいては、損失管理ライン及び債券の格付管理ラインを規定し、有価証券の損失の拡大が経営に及ぼすリスクの極小化を図っておりますが、ボラタイルな市況が続くような場合、当行グループが保有する資産の価値がさらに減少し、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) オペレーショナルリスク
当行グループは、内部管理態勢強化、コンプライアンス態勢の充実を図っており、事務規程等に沿った正確な事務処理を励行することを徹底し、事務事故の未然防止を図るためグループ全体を挙げて取り組んでおります。しかしながら、これらの対策にも拘らず、業務の過程、役職員の活動若しくはシステムが不適切であること又は外部にて発生した事象により損失を被るおそれがあり、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 事務リスク
役職員が事務ミスや不正など事務の間違い・事故等を起こすことにより損失を被るリスクです。当行グループは、事務の厳格化に努めておりますが、故意又は過失により生じた事故により損失を被り、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
② システムリスク
コンピュータシステムの停止や誤作動などシステム障害にかかわるリスク、コンピュータが不正に使用されることにより損失を被るリスクです。コンピュータシステム障害等により損失が発生し、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 法務リスク
お客さまに対する過失による義務違反及び不適切なビジネス・マーケット慣行から生じる損失・損害などのリスクです。法令等違反行為等の法律上の問題が発生した場合、経済的な損失や社会的な信用の失墜により、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当行グループは現時点の法令・規制等に従い業務を運営しておりますが、将来において法律、規則、政策、実務慣行、解釈等の変更が行われた場合には、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 人的リスク
人事運営上の不公平・不公正・差別的行為から生じる損失・損害などのリスクです。人的リスクに伴う訴訟等が発生した場合、経済的な損失や社会的な信用の失墜により、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 有形資産リスク
災害やその他の事象から生じる有形資産の毀損・損害などのリスクです。被害の程度によっては、業務の一部が停止する等により、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 風評リスク
評判の悪化や風説の流布等により、信用が低下することから生じる損失・損害などのリスクです。悪質な風説等が発生した場合、その内容の正確性にかかわらず、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報資産リスク
当行グループは、膨大な顧客情報を保有しており、情報管理に関する規程及び体制の整備や従業員教育の徹底により、情報資産の厳正な管理に努めております。しかしながら、情報資産の漏洩、紛失、改竄、不適切な取得や取扱及び不適正な第三者への提供等により当行グループに対する信用低下が生じ損失を被るおそれがあり、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ サイバーセキュリティリスク
当行グループは、情報システムや通信ネットワーク上で取扱われる業務データの安全性を確保するためにファイアウォールや侵入防止システム(IPS)の導入をはじめとする様々なセキュリティ対策を講じております。しかしながら、不正侵入や情報の搾取・改竄・暗号化(ランサムウェア)、DDoS攻撃等のサイバー攻撃により、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 経営リスク
① 主要な事業の前提事項に関するリスク
当行は、銀行法第4条第1項の規定に基づき、銀行の免許を受け、銀行法第10条から第12条に規定された業務の範囲内にて銀行業を営んでおります。銀行業については、有効期間その他の期限は法令等で定められておりませんが、銀行法第26条及び同第27条にて、業務の停止等及び免許の取消等となる要件が定められており、これに該当した場合、業務の停止等及び免許の取消等が命じられます。
なお、現時点において、当行はこれらの事由に該当する事実はないと認識しております。しかしながら、将来、何らかの事由により免許の取消等があった場合には、当行の主要な事業活動に支障を来たすとともに、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また当行は、前記の銀行法をはじめとする各種規制及び法制度に基づいて業務を行っております。将来において、法令諸規則、会計制度及び税制等が変更された場合には、当行の業務運営や財政状況等に影響を及ぼす可能性があります。
② 当行の経営戦略、事業戦略が奏功しないリスク
当行は2024年5月10日に公表した第7次中期経営計画に基づき、各経営戦略、事業戦略を打ち出し実施しております。
この計画では、「トップラインおよび課題解決力の強化」「効率経営の追求」「人的資本投資の深化」「強固な経営基盤の確立」「IR・ブランディングの浸透」の重点戦略を打ち出しておりますが、各種要因によりこれらの戦略が当初想定していた結果をもたらさず、収益性が悪化した場合、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自己資本比率に係るリスク
当行グループの連結自己資本比率及び単体自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づく2006年金融庁告示第19号に定められた算式に基づき算出しており、当行グループは国内基準を採用しております。
当行グループの自己資本比率が要求される基準(4%)を下回った場合には、金融庁長官から、業務の全部又は一部の停止等の命令を受けることとなります。当行グループの自己資本比率に影響を与える要因としては以下のもの等が含まれます。
・有価証券ポートフォリオの価値の低下等
・貸出先の信用悪化や不良債権処理等による与信関係費用の増加
・自己資本比率の基準及び算定方法の変更
・繰延税金資産の回収可能性の低下(※)
・本項記載のその他の不利益な展開
※繰延税金資産の計上は、将来の課税所得など様々な予測・仮定に基づくものであるため、当行グループが将来繰延税金資産の一部又は全部が回収できないと判断した場合、繰延税金資産の取り崩しとなり、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を与えるとともに、自己資本比率の低下につながる可能性があります。
(6) 流動性リスク
資金の運用と調達の期間のミスマッチや予期しない資金の流出等により、必要な資金が確保できず資金繰りに支障をきたすリスクです。流動性リスクが増加すると、通常よりも著しく不利なコストでの資金調達を余儀なくされて損失を被り、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、世界的な市場の混乱や金融経済環境の悪化等の外部要因によっても当行グループの国内における資本及び資金調達の条件・流動性の状況が悪化する若しくは取引が制約されるおそれがあります。これらの要因により、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) その他
① 感染症の拡大等により損失を被るリスク
インフルエンザやコロナウイルス等の感染症の拡大による人的被害を最小限にとどめるために止むを得ず業務の縮小を行なった場合には、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 特定地域への依存に伴うリスク
当行グループは、富山県を主要な営業基盤としており、地域別与信額においても富山県は大きな割合を占めています。富山県は、全国と比較して第2次産業のウエイトが高く、また全体としてバランスの取れた産業構造となっておりますが、日本経済はもとより、富山県の経済状態が悪化した場合には、信用リスクが増加し、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 他金融機関等との競争激化に伴うリスク
当行グループが主要な営業基盤とする富山県において、地元競合他行及びメガバンクのほか近隣他県の地域金融機関、ノンバンク等との間で競争関係にあります。また、政府系金融機関の民営化、ゆうちょ銀行の業務範囲拡大の動き、小売業等異業種からの銀行業参入など近年の金融制度の大幅な緩和を通じ激化した競争環境のなかで、当行グループが競争優位を得られない場合、調達コストの上昇を資金運用面でカバーできない等の事態も想定され、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 業務範囲拡大に伴うリスク
当行グループは、法令等の規制緩和に伴う業務範囲の拡大等を前提とした多様な営業戦略を実施しております。当該業務の拡大が予想通りに進展せず、想定した結果を得られない場合、営業戦略が奏功しないことにより、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 退職給付債務に係るリスク
当行グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件が変更された場合、又は実際の年金資産の時価が下落した場合、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 固定資産の減損等に係るリスク
当行グループは、固定資産の減損会計を適用しております。その適用に伴い、市場価格の下落、使用方法または範囲の変更、収益性の低下等により損失が発生する可能性があり、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 金融犯罪に係るリスク
当行グループは、金融犯罪防止への各種対策を実施しておりますが、金融犯罪が発生した場合、お客さまへの補償や損害金の発生等によって、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 子会社に係るリスク
当行グループは、連結子会社と協力体制を構築し営業活動を行っております。これらの子会社は、銀行業と異なる種類のリスクを内包しております。これら子会社の業績悪化や信用不安が発生した場合、子会社に対する投資からの便益が得られなくなったり、協力体制が十分に機能しなくなる可能性があります。また、信用不安の程度によっては、当行グループの業務運営や業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行及び当行グループでは、経営の健全性を維持していくため、上記のリスク管理を経営の最重要課題の一つとして捉え、リスク管理態勢の充実に努めております。
当連結会計年度における当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の国内経済は、為替変動や資源価格の上昇が続く中、輸出・生産ともにおおむね横ばいで推移し、個人消費は雇用や所得環境の改善を背景に持ち直しの動きがみられ、一部に足踏みが残るものの緩やかな回復の動きとなりました。
富山県経済は、横ばいの動きとなりました。製造業では、医薬品を中心とする化学工業の生産は増加し、プラスチック、アルミニウム、パルプ・紙・紙加工品、繊維、一般機械工業は横ばいに推移し、鉄鋼業は減少しました。製造業以外では情報サービス業が堅調に推移しました。
金融面では、日本銀行による金融政策変更により、短期金利は0.4%を超える水準まで上昇しました。長期金利も政策金利の引き上げなどを受けて、期末には1.5%近傍まで上昇しました。
このような環境の中、当行グループの2025年3月期の連結ベースの経営成績は以下のとおりとなりました。
主要勘定では、預金は、引続き地域に密着した営業基盤の拡充に努めた結果、期末残高は期中3,373百万円増加して502,052百万円となりました。貸出金は、中小企業等貸出金が増加した結果、期末残高は期中3,889百万円増加して383,136百万円となりました。また、有価証券は、金利リスクに配意するとともに安定収益と流動性確保を目的に資金の効率的な運用に努めた結果、期末残高は期中4,986百万円減少して123,008百万円となりました。
経常収益は、有価証券関係収益が減少したこと等から、前期比470百万円減少し、9,675百万円となりました。一方、経常費用は、与信費用が減少したこと等から、前期比974百万円減少して8,384百万円となりました。この結果、経常利益は前期比503百万円増加して1,291百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比322百万円増加して954百万円となりました。
セグメントの業績については、グループ全体として経営全般の効率化と業績の向上に努めた結果、銀行業の経常収益は、438百万円減少して8,069百万円、セグメント利益(経常利益)は468百万円増加して1,212百万円となりました。リース業の経常収益は、11百万円減少して1,623百万円、セグメント利益は33百万円増加して47百万円となりました。報告セグメント以外の「その他」の経常収益は前期比1百万円増加して46百万円、セグメント利益は前期比1百万円増加して31百万円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、貸出金が増加したことを主因に前期比6,683百万円減少して、△4,042百万円となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却による収入が増加したことを主因に前期比895百万円増加して、1,867百万円となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出が増加したことを主因に前期比181百万円減少して、△454百万円となりました。
④ 現金及び現金同等物の増減状況
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比2,628百万円減少して、29,795百万円となりました。
(経営成績の説明)
当連結会計年度の資金運用収支は前連結会計年度比189百万円増加して5,364百万円、役務取引等収支は前連結会計年度比36百万円減少して1,025百万円、その他業務収支は前連結会計年度比278百万円増加して△37百万円となりました。
(注) 1.「国内業務部門」とは、当行の国内店及び国内子会社の円建取引であります。
「国際業務部門」とは、当行の国内店の外貨建取引であります。
2.資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
3.相殺消去額は、当行及び子会社相互間においての取引を相殺消去額として記載しております。
(経営成績の説明)
資金運用勘定全体では、平均残高は貸出金の減少を主要因として前連結会計年度比4,486百万円減少し、利息は貸出金利息の増加を主要因に前連結会計年度比496百万円増加し、利回りは貸出金利回りの上昇を主要因に前連結会計年度比0.10ポイント上昇しました。
資金調達勘定全体では、平均残高はコールマネー及び売渡手形の減少を主要因として前連結会計年度比5,724百万円減少し、利息は預金利息の増加を主要因に前連結会計年度比307百万円増加し、利回りは預金利回りの上昇を主要因に前連結会計年度末比0.06ポイント上昇しました。
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、国内子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2.「国内業務部門」とは、当行の国内店及び国内子会社の円建取引であります。
3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度453百万円、当連結会計年度483百万円)を控除して表示しております。
4.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
(注) 1.国際業務部門の国内店外貨建取引の平均残高は、月次カレント方式により算出しております。
2.「国際業務部門」とは、当行の国内店の外貨建取引であります。
3.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
(注) 1.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度453百万円、当連結会計年度483百万円)を控除しております。
2.国内業務部門と国際業務部門の資金貸借の平均残高及び利息は、相殺して記載しております。
3.相殺消去額は、当行及び子会社相互間においての取引を相殺消去額として記載しております。
(経営成績の説明)
役務取引等収益は前連結会計年度比22百万円減少して1,383百万円、役務取引等費用は前連結会計年度比13百万円増加して357百万円となりました。
(注) 1.「国内業務部門」とは、当行の国内店及び国内子会社の円建取引であります。
「国際業務部門」とは、当行の国内店の外貨建取引であります。
2.相殺消去額は、当行及び子会社相互間においての取引を相殺消去額として記載しております。
(注) 1.「国内業務部門」とは、当行の国内店及び国内子会社の円建取引であります。
「国際業務部門」とは、当行の国内店の外貨建取引であります。
2.流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3.定期性預金=定期預金+定期積金
4.相殺消去額は、当行及び子会社相互間においての取引を相殺消去額として記載しております。
(注) 1.「国内」とは、当行及び国内子会社であります。
「海外及び特別国際金融取引勘定分」については当行は該当ありません。
2.国内には国内・国際業務部門の貸出金残高を含んでおります。
該当事項はありません。
(注) 1.「国内業務部門」とは、当行の国内店及び国内子会社の円建取引であります。
「国際業務部門」とは、当行の国内店の外貨建取引であります。
2.「その他の証券」には、外国債券を含んでおります。
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年(2006年)金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年(1998年)法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年(1948年)法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付を行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
なお、区分対象となる社債のうち、「その他有価証券」目的で保有しているものは、時価(貸借対照表計上額)で区分されております。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
・貸倒引当金
貸倒引当金は、貸出先の状況、差入れられた担保の価値及び経済全体に関する前提及び見積りに基づいて算出しております。
当該見積り及び当該仮定について、将来不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において追加の与信コスト(その他経常費用)が発生する可能性があります。
なお、当連結会計年度末の貸倒引当金の算定に用いた仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)5会計方針に関する事項 (5) 貸倒引当金の計上基準」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の財政状態・経営成績の分析
当行は、2024年5月に公表した第7次中期経営計画のもと、営業基盤の確立や収益力の強化等に取組んでまいりました。当該経営計画については、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略等②中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、重点戦略として「トップラインおよび課題解決力の強化」「効率経営の追求」「人的資本投資の深化」等を掲げており、本年度の経営成績は以下のとおりとなりました。
「トップラインおよび課題解決力の強化」のうち、融資・ソリューションにおいては、お客さまとの伴走による課題解決型融資への取り組み強化を図る等の付加価値の高い融資への取り組みを行い、貸出金残高及び利息ともに増加しました。市場運用においては、リスクリターンを最適化した基準ポートフォリオの構築等を行い資金運用力の向上に努めた結果、有価証券利息配当金が前期比増加しました。
「効率経営の追求」のうち、店舗戦略において、支店同士が近隣にあった福光支店と福光中央支店を店舗内店舗へ移行し、利便性の高い場所へ移転の決定、投資を行いました。
「人的資本の深化」として、給与改定や専門人材の育成や採用に取組んだ結果、前期比人件費が増加しました。
・預金
法人預金が増加したことから、期末残高は期中3,373百万円増加して502,052百万円となりました。
・貸出金
事業性貸出金が増加したことから、期末残高は期中3,889百万円増加して383,136百万円となりました。
・有価証券
金利リスクに配意するとともに安定収益と流動性確保を目的に資金の効率的な運用に努めた結果、期末残高は期中4,986百万円減少して123,008百万円となりました。
・連結自己資本比率(国内基準)
連結自己資本比率は、0.88%上昇して9.10%となりました。国内基準行に求められる健全性基準である4%を大きく上回っております。
・連結業務粗利益
連結業務粗利益は、資金運用収支やその他業務収支が増加したことから、前期比431百万円増加して6,352百万円となりました。
・経常利益等
連結業務粗利益が増加したことや与信費用が減少したこと等から、経常利益は前期比503百万円増加して1,291百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期比322百万円増加して、954百万円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
翌連結会計年度以降の設備投資等につきましては、原則として自己資本により対応する予定であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。