第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

 

(経営方針)

(1)経営の基本方針

当行は、「地域産業の育成・発展と地域に暮らす人々の豊かな生活の実現」を「企業理念」とし、その実現に向けて、社会に対する経営のコミットメントとして「経営理念」を、役職員が日々の活動において大切にする価値観として「行動理念」を掲げております。

当行は、この3つの理念を心の拠り所として、地域のみなさまにご満足いただける商品・サービスの提供に取り組んでおります。

 

〔企業理念〕 「地域産業の育成・発展と地域に暮らす人々の豊かな生活の実現」

〔経営理念〕 「トライアングル・バランスの実現」

       「職員の満足(働きがい)」「お客さま(地域)のご満足」「株主の方々(投資家のみなさま)

      のご満足」をバランスよく高める経営を実現します

〔行動理念〕 『「誠実」×「情熱」×「行動」』

 

(2)企業統治の基本方針

当行は、企業理念を実現し、そして、株主の方々に当行の株式を安心して保有していただくことを目的として、「コーポレートガバナンスの基本方針」を制定しております。

当行は「指名委員会等設置会社」であり、この基本方針に基づいて、指名委員会等設置会社の特徴である「業務執行と監督の分離によるガバナンス態勢の強化」「業務執行の決定権限の委任による業務執行のスピードアップ」「社外取締役が過半数を占める三委員会の設置による経営の透明性向上(当行では三委員会とも社外取締役が委員長を務めております)」を実現するとともに、経営戦略などの本質的な議論の活性化や、株主のみなさまをはじめとするあらゆるステークホルダーとの対話を深めながら、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

2022年4月より、グループビジョン『Fプロジェクト Vision 2032 ~私たちは 職員・お客さまの多様なチャレンジに伴走し「地域価値循環モデル」を実現します~』を掲げ、その実現に向けた中長期戦略として、10年間の「長期経営計画」(2022年4月1日~2032年3月31日)及び「中期経営計画Ⅰ」(2022年4月1日~2025年3月31日)を開始しております。

「中期経営計画Ⅰ」では、「Fプロジェクト Vision 2032」の第Ⅰフェーズとしてスタートダッシュを切る3年間と位置づけ、「ウェルビーイング戦術」、「コンサルティング戦術」、「ユーザビリティ戦術」、「ファンダメンタル戦術」、「機能別戦術」に分けて実行しております。さらに、具体的な取組方針として、11のアクションプランを策定しており、アクションプランに紐づいた施策を実行し、「Fプロジェクト Vision 2032」の実現を目指しております。

(※)Fプロジェクト:当行及び福邦銀行を含む連結子会社11社及び非連結子会社3社の総称であり、「当行グループ」と同義

 

<アクションプラン>

長期経営計画

中期経営計画Ⅰの戦術

中期経営計画Ⅰのアクションプラン

ウェルビーイング実現に向けた取組み

ウェルビーイング戦術

01_役職員へのウェルビーイングの浸透

3つのドメインによる事業展開

コンサルティング戦術(地域)

02_ネットワーク(産学官金連携)を活かした「まち・ひと・しごと」の面的支援

コンサルティング戦術(法人)

03_伴走型支援を通じた真の経営課題の発見と解決

コンサルティング戦術(個人)

04_ライフステージに応じたサービスの展開によるQOLの向上

ユーザビリティ戦術(法人・個人)

05_金融インフラサービスの利便性向上とプラットフォームの構築

ファンダメンタル戦術

06_資金運用の多様化とノウハウの蓄積

事業ポートフォリオの構築

機能別戦術(人事)

07_戦略分野への人財配置と計画的育成

機能別戦術(チャネル)

08_地域に根差した「ヒト×デジタル」のハイブリッドチャネルの提供

機能別戦術(デジタル)

09_デジタル利活用による利便性・生産性の向上

経営管理体制

10_収益・ALM・リスクの一体管理とコンプライアンス体制の高度化

グループ体制

11_グループシナジーの最大化

 

 

(4)KPI及び目標とする経営指標

「中期経営計画Ⅰ」では、KPI(※)及び目標とする経営指標を掲げ、その実現に向け取り組んでおります。本指標を達成し、次代に向けた経営基盤の確保を図ってまいります。

(※)KPI:Key Performance Indicatorの略称。重要業績評価指標のことで、目標の達成に向けた行動・成果を評価するための指標

 

<主なKPI>

項目

KPI

2024年3月期(実績)

2025年3月期(計画)

結果

中小企業向け貸出残高

9,401億円

(※1)8,000億円

観光・まちづくり関連支援件数

340

(※2)300

SDGs・脱炭素関連支援件数

441

(※2)500

店舗数

20

20

ATM台数

28

25

地域への人財供給(自然減)

116

(※2)140

行動

インターネットバンキング・アプリ登録先数

23万件

(※1)25万件

体制

戦略分野への人財配置(※3)

51

60

コンサルティング人財投資

57百万円/

100百万円/

デジタル投資

534百万円/

500百万円/

 

注 +△表記はすべて2022年3月末比

※1:2025年3月末時点

※2:2022年4月~2025年3月末の累計

※3:コンサルティング、デジタル及び新規事業分野への人財配置

 

<目標とする経営指標>

経営指標

2024年3月期(実績)

2025年3月期(計画)

連結当期純利益

37億円

40億円以上

連結自己資本比率

7.41%

7.0%以上

連結コアOHR

80.1%

77%以下

連結ROE

2.8%

3.0%以上

 

 

 

(経営環境及び対処すべき課題)

マイナス金利政策の解除など、日本経済がデフレを脱却しつつある中、当行が基盤とする福井県では北陸新幹線の県内延伸により交通網も整備され、地域経済の活性化の好機を迎えております。一方で、地域における人口や事業所数の減少等の構造的な問題に加え、国内外の経済・物価・金融政策の動向など、先行きの不確実性が高い状況は続いており、地域やお客さまが抱える課題も多様化・複雑化しています。このような環境下において、当行グループが掲げる「地域価値循環モデル」を実現するためには、これまで以上に地域やお客さまに寄り添い、課題発見・解決に尽力する必要があるとの認識のもと、当行は1グループ2ブランド体制にて共に切磋琢磨してきた福邦銀行との経営統合を選択しました。経営統合により両行の強みを融合することで地域の課題解決業としての進化を遂げ、これまでの金融サービス業を中心とした伝統的なビジネスモデルからの変革と進化を目指してまいります。

2024年度は、「中期経営計画Ⅰ」の最終年度として、スピードをゆるめずに次の施策に取り組んでまいります。

お客さまの事業成長及び資産形成の実現に向けては、「地域まるごと支援」の考え方に基づき、福井県内最大の金融グループとしての責任や役割を果たし、お客さまからの期待に応えるため、地域のすべてのお客さまに対し幅広い支援を実施してまいります。法人のお客さまには、業種・業歴・業況・事業規模を問わず、これまで積み重ねてきたコンサルティングのノウハウやグループ機能を活用して、お客さまのありたい姿と真の経営課題を共有することで、より付加価値の高い伴走支援を実施してまいります。個人のお客さまには、野村證券株式会社との金融商品仲介業務における包括的業務提携による双方の強みを最大限に活かしながら、お客さまの最善の利益の追求のために、資産運用や承継などに関する質の高いコンサルティングサービスを提供してまいります。

活力ある地域の実現に向けては、持続可能な地域社会に転換していくために、当行の基盤である福井県をはじめとする地域の構造的な課題解決に貢献してまいります。具体的には、行政などの関係機関とも連携、協調しながら、当行が民間の推進主体となって交流人口の増加や脱炭素化などの課題解決に積極的に取り組んでまいります。

以上のとおり、今後もグループビジョン「Fプロジェクト Vision 2032」の実現に向け、グループの総力を結集し、地域活性化の中心的役割を担ってまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

 

当行グループは、2021年9月に策定した「サステナビリティ基本方針」に基づき、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を定めております。地域社会を取り巻くさまざまな課題の解決のため、中長期的な目標を設定し、グループ内の推進体制の整備や、サステナビリティに関する機会・リスクの分析をもとにしたお客さま支援のための商品・サービスの拡充などを行っております。

<サステナビリティ基本方針及び重要課題(マテリアリティ)>


 

〔サステナビリティ全般〕

(1)ガバナンス

当行グループは、サステナビリティへの対応を経営上の重要な課題であると認識しております。サステナビリティに関する課題に対応するため、「サステナビリティ委員会」(以下、「委員会」という。)を設置しております。委員会は代表執行役頭取を委員長とし、委員として全執行役、監査を目的として常勤監査委員及び内部監査部門である監査グループマネージャーが出席しております。委員会は原則3か月に1回以上開催し、気候変動や人的資本経営など、サステナビリティに関する重要事項(マテリアリティ)について議論・検討を行い、その結果を経営戦略やリスク管理に反映しております。

委員会の活動内容については、開催の都度取締役会に報告を行い、監督を受ける体制を構築しております。

また、グループ内でサステナビリティの取組みの推進・強化を図るため、組織横断的なワーキンググループとして「サステナビリティ専門部会」(以下、「専門部会」という。)を設置しております。専門部会は重要課題(マテリアリティ)毎に具体的な推進施策を企画・立案し、委員会に提言しております。

 

<サステナビリティ体制図>


<委員会の活動状況>

当事業年度において、サステナビリティ委員会は8回開催いたしました。

当事業年度における委員会での具体的な検討内容は以下のとおりであります。

年月

関連する重要課題

(マテリアリティ)

主な協議事項・報告事項

2023年5月

(2回)

①TCFDへの対応

・TCFD提言に基づく気候関連情報開示の内容

・指標及び目標の設定

・サステナブル投融資方針の制定

6月

③ウェルビーイングの実現

・タウンホールミーティングの企画案

9月

11月

①TCFDへの対応

④事業成長や資産形成の実現/活力にあふれた地域の実現

・地域・お客さま向けサステナビリティ推進施策案及び施策の進捗状況

12月

③ウェルビーイングの実現

・2023年度ウェルビーイング実現のための取組進捗

2024年2月

①TCFDへの対応

④事業成長や資産形成の実現/活力にあふれた地域の実現

・2024年度サステナビリティ経営支援にかかる営業戦略

3月

③ウェルビーイングの実現

・ウェルビーイング調査結果を踏まえた今後の取組方針

 

 

 

(2)戦略

当行グループは企業理念である「地域産業の育成・発展と地域に暮らす人々の豊かな生活の実現」のため、長期ビジョン及び長期経営計画として「FプロジェクトVision2032」(対象期間:2022年4月~2032年3月)(以下、「長期ビジョン」という。)を定めております。長期ビジョンでは「地域価値循環モデル」の実現のため、職員・お客さま・地域のチャレンジを積極的に支援することを掲げております。

サステナビリティへの対応においても、長期ビジョンにて定める戦略や戦術に基づき、基盤である福井県の特徴を分析し、考慮した上で、さまざまなステークホルダーのニーズに伴走支援を行うための施策の立案と実行を行っております。サステナビリティへの対応に関連する長期ビジョンのチャレンジゴール(職員・お客さま・地域のチャレンジを促進するために掲げる高い目標)は次のとおりであります。

項目

チャレンジゴール

ウェルビーイングを実感する職員比率

100%

1人あたりの福井県民所得

+100万円

福井県活力人口

100万人

 

 

長期ビジョンの詳細については当行HPをご参照ください。

URL:https://www.fukuibank.co.jp/fproject/vision/

URL:https://www.fukuibank.co.jp/ir/financial/final_accounts/pdf/2024/keieitougou_koujou.pdf

 

 

(3)リスク管理

当行グループは、リスク及び機会を識別するために、経営の健全性及び収益の安定性の確保を目的としたリスク管理態勢を整備しております。

具体的には、統合的リスク管理として「信用リスク」、「市場リスク」、「流動性リスク」、「オペレーショナル・リスク」に分類し評価しております。リスクの統括部署及びリスクカテゴリーごとにリスク管理部署を設置し、管理プロセスを確立させ、継続的かつ効果的なリスク管理を実施しております。

サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)の中でも、特に気候変動を含む環境への取組みを経営の重要課題の一つとして認識しております。

 

<投融資方針>

当行グループでは、2023年6月に制定した「Fプロジェクト サステナブル投融資方針」において、地域社会の課題解決に資する事業等に積極的な支援を行うとともに、環境や社会にネガティブな影響を与える可能性のある事業等に対しての取組方針を定め、適切に対応を行っております。

「Fプロジェクト サステナブル投融資方針」については当行HPをご参照ください。

URL:https://www.fukuibank.co.jp/aboutus/sustainability/investment_loan/

 

(4)指標及び目標

当行グループは、上記「(2)戦略」において記載した長期ビジョンにて掲げる職員・お客さま・地域への伴走支援を通して、持続可能な地域社会の実現に貢献するため、以下の指標について目標を設定しております。

指標

目標

2023年度実績

サステナブル・ファイナンス

(※)

2022年度~2031年度まで

実行額累計1兆円

実行額累計2,131億円

(前年度比+1,121億円)

 

(※)当行HPに記載の「Fプロジェクト サステナブル投融資方針」における「積極的に取り組む分野」に該当する投融資

 

 

〔気候変動に関する取組み〕

2021年9月に賛同した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づき、気候変動が事業にもたらす影響を分析しております。

(1)ガバナンス

気候変動に関するガバナンス態勢は、〔サステナビリティ全般〕と同一であります。

 

(2)戦略

当行グループでは、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)の1つとして「TCFDへの対応」を定め、気候変動に関する分析を行っております。

<機会とリスク>

気候変動に関する機会及びリスクについて、短期(3年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で定性的な分析を行っております。

 

分類

主な機会/リスク

時間軸

 

機会

 

・お客さま、地域への伴走型支援による持続可能な地域社会の実現に資する投融資やコンサルティングサービスの提供などのビジネス機会の増加

・気候変動に対する適切な取組みと開示による企業価値の向上

短期~長期

 

 

短期~長期

 

リスク

移行

リスク

・気候変動に対する規制強化や脱炭素社会への移行に伴うコスト負担増加及び消費者行動の変化によるお客さまの業績悪化に伴う与信関連費用の増加

・脱炭素化などの気候変動問題に対する取組みが他社に劣後することによる企業価値の低下

中期~長期

 

 

短期~長期

 

 

 

 

物理的

リスク

急性

リスク

・気候変動に起因する自然災害の増加により、お客さまの事業活動が中断・停滞し、業績が悪化することによる財務諸表の変化に伴う与信関連費用の増加

・大規模な自然災害等によりお客さまの不動産等の担保価値が毀損することによる与信関連費用の増加

・当行グループ拠点の被災に伴う営業活動の中断

短期~長期

 

 

短期~長期

 

短期~長期

 

慢性

リスク

・平均気温の上昇や海面上昇に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による与信関連費用の増加

中期~長期

 

 

 

<シナリオ分析>

①移行リスク

移行リスクについては、気候変動や脱炭素社会への移行による影響が大きいセクターの中から、融資ポートフォリオにおけるリスク重要度評価を行い、分析対象セクターとして「電力」を選定しております。また、地場資本の中小企業が多い福井県経済の特徴を捉え、福井県内の中小企業(※)も分析対象セクターとして選定しております。以上2つの分析対象セクターに関して、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)のネットゼロ排出シナリオを踏まえた分析を実施し、財務への影響度を算定しております。

(※)日銀業種分類の定義により「中小企業」に分類される企業

 

項目

内容

シナリオ

IEA/NZEシナリオ(1.5℃)

分析対象

①電力 ②福井県内の中小企業

分析手法

炭素税が導入された場合のお客さまの費用増加や売上減少に伴う業績悪化

対象期間

2050年まで

 

 

 

分析結果

2022年度(福井銀行単体)

2023年度(福井銀行単体)

移行リスク

与信関連費用増加額 最大12億円

与信関連費用増加額 最大13億円

 

 

②物理的リスク

物理的リスクについては、異常気象(洪水)の影響による事業性貸出先の営業停止に伴う売上減少や、不動産担保の毀損などが発生した場合の与信関連費用の増加について、気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)の代表濃度経路シナリオを踏まえた分析を実施し、財務への影響度を算定しております。

項目

内容

シナリオ

IPCC/RCP8.5シナリオ(4℃)

分析対象

・福井県内の事業性貸出先

・福井県内の不動産(建物)担保

分析手法

・事業性貸出先の営業停止による売上減少に伴う業績悪化

・不動産担保の毀損

対象期間

2050年まで

 

 

分析結果

2022年度(福井銀行単体)

2023年度(福井銀行単体)

物理的リスク

与信関連費用増加額 最大10億円

与信関連費用増加額 最大12億円

 

 

③炭素関連資産

融資ポートフォリオにおける炭素関連資産(※)の総貸出金に占める割合は以下のとおりであります。

セクター

2022年度

(福井銀行単体)

2023年度

(福井銀行・福邦銀行合算)

エネルギー

1.92%

1.46%

運輸

2.26%

1.92%

素材、建築物

12.04%

18.38%

農業、食料、林産物

1.77%

1.58%

合計

17.99%

23.33%

 

(※)TCFD提言における炭素関連セクター4つのうち、水道事業・独立系電力事業・再生可能エネルギー発電事業を除く資産

エネルギーセクター:石油及びガス、石炭、電力ユーティリティ

運輸セクター:航空貨物、旅客空輸、海上輸送、鉄道輸送、トラックサービス、自動車及び部品

素材、建築物セクター:金属・鉱業、化学、建設資材、資本財、不動産管理・開発

農業、食料、林産物セクター:飲料、農業、加工食品・加工肉、製紙・林業製品

 

<気候変動に関する機会及びリスクに対する主な取組内容>

 

2023年度の取組内容

①お客さまの脱炭素経営支援

・CO2排出量算定サービスの拡充

・<ふくぎん>サステナブルローンの取扱開始

②地域の脱炭素化及びESGの取組みを推進するための枠組み作り

・環境省の支援事業「地域におけるESG地域金融促進事業」「地域ぐるみでの脱炭素経営支援構築モデル事業」への参画

・環境省中部地方環境事務所と「脱炭素及びローカルSDGs(※1)の実現に向けた連携協定」の締結

③自社のCO2排出量削減

・新築店舗のNearly ZEB(※2)化

・一部の営業車の電気自動車への入替

 

 

(※1) 地域資源を最大限活用しながら、地域が自立して主体的に課題を解決し続け、得意な分野でお互いに支え合う循環共生型のネットワークを形成することで持続可能な地域社会の実現を目指す考え方のこと

(※2) 省エネルギー及び再生可能エネルギーの活用によるエネルギーの創出により、年間の一次エネルギー消費量を75%以上削減する建物のこと

 

(3)リスク管理

当行グループは、気候変動に起因する移行リスク及び物理的リスクをグループ全体の事業・財務内容に影響を与える重要なリスクとして認識しております。シナリオ分析等の実施により当該リスクを識別・評価することで、信用リスク等に与える影響の程度や蓋然性を把握・分析するとともに、統合的リスク管理の枠組みにおける管理態勢の構築に取り組んでおります。

 

(4)指標及び目標

脱炭素社会の実現に向け、CO2排出量(Scope1、2)削減目標を定めております。

今後はサプライチェーンにおけるCO2排出量(Scope3)の計測の拡大及び削減目標の設定についても検討してまいります。

CO2排出量(Scope1、Scope2)

指標

目標

CO2排出量(Scope1+Scope2)

2030年度までに2013年度比70%以上削減

2050年度までにネット・ゼロ

 

                                          (単位:t-CO2

CO2排出量

(福井銀行・福邦銀行合算)

2013年度

2022年度

2023年度

Scope1

797

522

496

Scope2

5,240

2,294

2,200

計(Scope1+Scope2)

6,038

2,817

2,697

2013年度からの削減率

-

△53.3%

△55.3%

 

 

CO2排出量(Scope1、Scope2)の推移


 

CO2排出量(Scope3)                               (単位:t-CO2

CO2排出量(Scope3)

2022年度

(福井銀行単体)

2023年度

(福井銀行・福邦銀行合算)

カテゴリー6 出張

-

192

カテゴリー7 通勤

-

2,762

カテゴリー15 投融資

(ファイナンスドエミッション)

(※)609,752

1,037,282

 

(※)2022年度のファイナンスドエミッションの推計対象は事業性貸出のみ

 

Scope3-カテゴリー15投融資(ファイナンスドエミッション)の推計

PCAF(※)スタンダードの計測手法を参考に、事業性貸出及び政策保有株式を対象として、炭素関連セクター18業種に分類してファイナンスドエミッションの推計を行っております。

今後、お客さまとのエンゲージメントを通して、CO2排出量算定範囲の拡大やデータクオリティスコアの向上に取り組んでまいります。

(※)金融向け炭素会計パートナーシップ(PCAF:Partnership for Carbon Accounting Financials)…金融機関の投融資先の温室効果ガス排出量を整合的に算定するための枠組み

セクター・業種

2023年度

炭素強度

(t-CO2/百万円)

投融資残高

(百万円)

排出量

(t-CO2

エネルギー

20.54

36,750

2.50%

354,157

34.14%

 

石油及びガス

0.85

9,485

0.65%

20,626

1.99%

石炭

-

-

-

-

-

電力ユーティリティ

27.38

27,265

1.86%

333,531

32.15%

運輸

1.66

47,207

3.22%

78,077

7.53%

 

航空貨物

-

-

-

-

-

 

旅客空輸

9.28

9

0.00%

93

0.01%

 

海上輸送

9.78

1,010

0.07%

4,651

0.45%

 

鉄道輸送

0.18

13,527

0.92%

557

0.05%

 

トラックサービス

2.44

26,489

1.81%

71,042

6.85%

 

自動車及び部品

0.23

6,169

0.42%

1,733

0.17%

素材、建築物

0.51

451,620

30.77%

225,641

21.75%

 

金属・鉱業

0.88

17,908

1.22%

14,901

1.44%

 

化学

2.13

36,713

2.50%

72,559

7.00%

 

建設資材

8.51

8,241

0.56%

72,965

7.03%

 

資本財

0.25

162,438

11.07%

58,648

5.65%

 

不動産管理・開発

0.11

226,317

15.42%

6,566

0.63%

農業、食料、林産物

0.92

39,230

2.67%

30,976

2.99%

 

飲料

0.32

1,603

0.11%

265

0.03%

 

農業

3.00

1,440

0.10%

2,228

0.21%

 

加工食品・加工肉

0.51

23,579

1.61%

12,737

1.23%

 

製紙・林業製品

1.54

12,606

0.86%

15,745

1.52%

その他

1.10

892,688

60.83%

348,428

33.59%

総計

1.42

1,467,496

100%

1,037,282

100%

 

 

 

<気候変動に関する分析を踏まえた取組方針>

当行グループは、福井県内で50%以上の貸出金シェアをもつ地域金融機関として、炭素関連資産の集計や投融資によるCO2排出量(ファイナンスドエミッション)の推計を通して、福井県内の地域特性や経済の特徴を定量的に把握し、当行グループの投融資がCO2排出にどの程度影響を及ぼしているかを確認しております。また、気候変動が引き起こす可能性のあるリスクを特定し、最終的に当行グループの与信関連費用への影響額を算定することで、リスク軽減のための戦略を策定し、実行に移してまいります。

当事業年度の分析の結果、福井県の特徴であるものづくりを中心とした製造業は、当行の投融資に占める割合が大きいこと、また、炭素強度の高い電力業はCO2排出量が多く、気候変動リスクの影響も大きいと考えられます。

今後は、これらの算出プロセスや集計結果を用いて、「地域まるごと支援」の考え方に基づき、お客さまとのエンゲージメントを図りながら、より効果的な気候変動対策を進めてまいります。

 

〔人的資本経営に関する取組み〕

(1)ガバナンス

人的資本経営に関するガバナンス態勢は、〔サステナビリティ全般〕と同一であります。

 

(2)戦略

当行グループは、「銀行及びグループ会社は職員が仕事を通じて成長するステージであり、当行グループの成長は、職員の成長によって決まる」と考えております。

この人的資本経営の考えは、当行グループのサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)の1つとして位置付けており、長期ビジョンにおいても人的資本経営の実現に向けた各種の施策に取り組んでいくこととしております。

当行グループでは、多様な人財が高い目標へのチャレンジを通じて自ら成長し、そしてウェルビーイングを実感することができる企業風土の実現に向けて、以下の人財育成方針と社内環境整備方針を整備し人的資本経営を実践しております。

 

<人財育成方針>

①人事ポリシー

当行グループでは、人事ポリシーとして「厳しさと温かさ」を定めております。「厳しさ」とは、企業理念の実現に向けて当行グループや職員が目指す姿勢や行動のレベル感を表しております。「温かさ」とは、「厳しさ」に沿って取り組む職員を支える組織運営の考え方を表しております。職員の心理的安全性を確保し、また、人財育成も行いながら、職員を組織(チーム)として支えていくことを大切に考えており、この温かさを実感しながら、強い使命感や高い目標を持ち、結果を出そうと取り組むことができる職員を増やしていきたいと考えております。

厳しさ

(銀行や行員が目指すレベル感)

温かさ

(組織運営の考え方)

・使命感(企業理念)

・誠実で情熱を持った行動(行動理念)

・高い目標

・少数精鋭

・成果(収益・アウトプット)

・取り巻く環境打破

・マネジメント(心理的安全性)

・人財育成(人づくり革命)

・人間関係(チームワーク・サポート)

・新しいワークスタイル

・プロセス重視

・多様な働き方(育児・介護制度)

 

 

 

②求める人財像

当行グループは、求める人財像として「謙虚」「自責」「意欲」「執念」「主体」「挑戦」の6つの項目を定めております。これは当行グループの行動理念に掲げております「誠実」「情熱」「行動」の3つの項目をより具体的な行動に落とし込んだものになります。

職員の人事評価ではプロセスを重視しており、プロセス評価は求める人財像に定める行動の有無で判断しております。求める人財像をプロセス評価の判断基準にすることで、当行グループ内に求める人財像を浸透させるとともに、企業理念の実現に向けて行動理念(求める人財像)に従い行動する職員を増やすことを目的としております。

 

『誠実』相手を大切に思い、とは

  相手の意見を素直に受け止め学ぶこと <謙虚>

  自分の仕事に責任を持ち、相手のせいにしないこと <自責>

 

『情熱』強い信念を持ち最後まであきらめず、とは

  常により高いゴール(目標)を目指すこと <意欲>

  途中で諦めず最後まで考えやり遂げること <執念>

 

『行動』実際の働きで示す、とは

  自ら進んで主体的に行動すること <主体>

  新しいことに果敢に挑戦し切り拓くこと <挑戦>

 

 

③一人ひとりの成長計画

当行グループでは、「一人ひとりの成長計画」を導入しております。「一人ひとりの成長計画」は、職員一人ひとりの中期的な成長計画を策定し、人事部門が各部署と連携して職員の成長をサポートすることで、職員の自己実現及び職員の成長状況を踏まえた人員配置を実現していくことを目的としております。

具体的には、期初に所属長と職員の間で将来のキャリアプラン(実現したい姿)を共有し、それを実現するために「どう成長したいか」「必要な経験をどう積んでいくか」を話し合います。そのうえで所属長は「どのような業務に就かせ、どのように成長させるか」の計画を策定し、職員は研修、検定試験、通信講座等を受講する自己啓発の計画を策定します。その後は、研修等での業務知識習得や日々の業務でのスキル取得、所属長や上長からのOJT、1on1ミーティング等を繰り返し行っていきます。

策定された「一人ひとりの成長計画」は人事部門にも共有され、人事部門のキャリア担当者が所属長や職員と定期的に面談を行い、職員の成長度合いやキャリアプランを確認・把握します。また、それらを踏まえ、人財配置案を組み立てております。

 

④人財育成・研修体系

当行グループでは、職員の各資格に求める役割を定義した役割定義書を制定しております。職員が役割を果たすため、営業店・本部ともに各現場にて、仕事を通じて所属長・先輩が部下・後輩に知識やスキルの伝授を行うOJTを基本としつつ、各種の研修の機会を設けております。現場でのOJTの補完として、「より広い視野」「より深い意義」のある内容で行内研修、行外研修を実施することで、受講者の「気付き」「刺激」「職員の位置確認」等に繋げております。

(行内研修)

・ 階層別研修・・・各資格別に、求める役割を果たすための基本的な考え方、行動について集合研修を実施しております。

・ 業務別研修・・・預金・為替、個人コンサルティング、事業性融資、法人コンサルティング、外国為替などの各業務について習得度合いに応じて集合研修を実施しております。

(行外研修(外部トレーニーを含む))

・より専門的な知識やスキルを得ることを目的として、外部団体が主催する研修に職員を派遣しております。また、外部企業に直接職員を派遣し、外部企業で勤務するトレーニー制度も導入しております。

 

(能動的に学び、自らキャリア形成できる環境の整備)

能動的に学び、自らキャリア形成できる環境を整えることで、組織全体の人財の能力向上に取り組んでおります。

・e-ラーニングシステムのコンテンツ拡充

・社内公募制度の拡充

・多様な応募型研修の実施

・社内副業制度の導入

・自己啓発支援制度の導入 等

 

⑤戦略分野への人財配置と計画的育成<中期経営計画Ⅰのアクションプラン>

(戦略分野における人財の専門スキル向上に向けた取組み)

・コンサルティング人財・・・お客さま・地域のニーズが多いコンサルティング分野に対して、外部トレーニー等を通じてコンサルティング人財を育成しております。

・デジタル人財・・・3階層(全役職員:ITリテラシーの向上、プロモーター層:デジタルの利活用スキル・推進力の向上、スペシャリスト層:デジタルの専門スキル・課題解決力の向上)でデジタル人財を育成しております。

 

(戦略分野の人財確保に向けた環境整備)

戦略分野における人財の専門スキルを高めるため、採用チャネルの拡大(リファラル採用制度、アルムナイ採用制度導入など)に取り組むことにより、多様な人財・高度な専門性を持った人財の採用を強化しております。

 

(戦略分野への人財配置)

Fプロジェクトの本部機能統合や店舗数の削減により捻出した人員を、戦略分野にシフトしております。

人員配置

目標(2024年度)

2023年度実績(※)

コンサルティング

30名

17名

デジタル

20名

13名

新規事業

10名

21名

合計

60名

51名

 

(※)中期経営計画期間中の戦略分野人員数の純増数

 

<社内環境整備方針>

①ウェルビーイングの実現のための取組み

当行グループでは、長期ビジョンのチャレンジゴールの1つとして「ウェルビーイングを実感する職員比率100%」を掲げ、「地域価値循環モデル」の実現のために企業の資本である役職員の満足度を高める施策を実施しております。

長期ビジョンでは、ウェルビーイング実現のためのキーファクターを「理念・方針」、「組織・風土」、「環境・処遇」、「意欲・成長」の4つに分類し、年1回実施する「ウェルビーイング調査」の結果分析をもとに各キーファクターに紐づく施策の立案・実施を行っております。

 


 

「理念・方針」

職員一人ひとりが自身の役割や行うべき行動を理解できるように、長期ビジョン及び長期経営計画の浸透を目的として、役員が各部署の職員と意見を述べ合う「タウンホールミーティング」を実施しております。また、職員が当行グループの方針や仕事に対する考え方や向き合い方を理解し、前向きに仕事に取り組むヒントや気づきを得て、活力向上に繋げることを目的として、e-ラーニングシステムで頭取自らが説明を行う動画を定期的に配信しております。

 

「組織・風土」

多様性を認め合う組織風土・心理的安全性の高い組織風土を確立するために、上司と部下のコミュニケーション向上及び部下の人財育成を目的とした「1on1ミーティング」や、職員が互いに褒め合いモチベーションを高めることを目的とした「褒めらLETTER」という仕組みを導入しております。また、部下が上司を評価する「360度評価」を導入し、上司がマネジメント方法を考える機会を設けております。

 

「環境・処遇」

職員が安心して働くことができる環境づくりや働きがいの向上を目的として初任給の引上げを含めたベースアップの実施を決定いたしました。

また、職員の長期的な資産形成を支援する観点から、職員持株会制度及び企業型確定拠出年金制度を導入しております。

職員持株会制度では、拠出1口(1,000円)に対するインセンティブを30円から50円に引き上げることで持株会会員の資産形成の支援に取り組んでおります。

企業型確定拠出年金制度では、市況や運用環境、投資ニーズが大きく変化し、投資商品の多様化が進んでいる状況を踏まえ、既存運用商品ラインナップの見直しに取り組んでおります。

さらに、当行は2018年に「ふくぎん健康経営宣言」を制定し、定期健康診断100%受診、ストレスチェックによるメンタルヘルスケア、健康マスター検定の資格取得推奨等を通じた役職員の健康維持や増進に取り組んだ結果、「健康経営優良法人」に6年連続で認定されております。

 

「意欲・成長」

仕事を中心とした人生における自身のキャリアを様々な視点から考え、対話を通して考えを深めることや将来のありたい姿に向けて、主体的な行動計画を策定することを目的として、「キャリア研修」を実施しております。また、職員一人ひとりが主体的に考え、行動する習慣を習得することを目的として、「考え方教育」を実施しております。

職員の多様な働き方を支援するとともに、主体的なキャリア形成やスキルアップを通じて自己成長を実感することによるウェルビーイングの実現を目的として、「社外副業制度」を導入しております。制度導入後、6名の職員が社外副業を実施しております。

 

②ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進のための取組み

当行グループは、性や国籍、年齢、採用形態などに関係なく、様々な知識、スキル、経験、経歴、価値観などを有する人財を積極的に採用し、その多様性を受け入れることで多様性の確保を図っております。

また、多様な人財のチャレンジを促進し、職員一人ひとりが能力を最大限発揮することで組織力を最大化させるため、2022年10月に「D&I推進宣言」を定め、多様なキャリア形成に合わせた人財育成と働きがいをもって活躍できる職場環境の整備に取り組んでおります。

「D&I推進宣言」では、長期ビジョンに合わせた10年間のロードマップを作成し、10年を「意識醸成期」「風土定着期」「進化・変革期」に分け、それぞれのフェーズに合わせた施策の立案・実施とKPIの策定による進捗管理を行っております。

D&Iの取組みについては当行HPをご参照ください。

URL:https://fukuibank.co.jp/aboutus/social/diversity_inclusion/


 


 

 

(3)リスク管理

人的資本経営に関するリスク管理は、〔サステナビリティ全般〕と同一であります。

 

(4)指標及び目標

当行グループでは、上記「(2)戦略」において記載した人財育成方針及び社内環境整備方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

指標

定義

目標

2022年度実績

2023年度実績

人的投資額

2022年度実績と比較した以下の合計額の増加率

①研修費用、②外部トレーニー費用、③高度人財育成費用、④資格取得・維持管理費用、⑤自己啓発費用

2024年度までに

30以上増加

63百万円

2022年度比

9.4%増加

(69百万円)

定着率

1年後に在籍している正規雇用労働者の割合(定年退職者、定年退職再雇用者は退職者には含めない)

2024年度まで

95.0以上維持

96.2%

96.9

職員満足度

ウェルビーイング調査結果

2024年度までに

ポジティブ回答60.0以上

ポジティブ回答

45.8%

ポジティブ回答53.4

1on1ミーティング実施率

月1回以上上司と1on1ミーティングを実施している職員割合

2024年度までに

80.0以上

64.4%

53.0

総労働時間削減率

2021年度実績と比較した総労働時間の削減率(正規雇用労働者+嘱託契約労働者)

2024年度までに

6.0以上削減

2021年度比

2.8%削減

2021年度比

2.8%削減

管理職多様性比率

管理職(※1)に占める以下の項目の多様性比率

①性

②国籍

③年齢(※2)

④勤務年数(※2)

⑤中途採用者

2024年度までに

30.0以上

27.8%

32.0

 

(※1)管理職には労働基準法上の管理監督者に加え、管理監督者の一つ手前の職階である代理職を含める

(※2)年齢、勤続年数は標準的な登用と比較して早期に登用された人数を対象とするための項目

 

3 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

 

(1) 信用リスク

① 不良債権の状況

 当行グループの不良債権及び与信関係費用は、景気の動向、当行グループの融資先の経営状況、不動産価格の変動等によっては増加する可能性があり、この結果、当行グループの業績等に影響を及ぼし、自己資本を減少させる可能性があります。

② 貸倒引当金の状況

 当行グループは、貸出先の状況、担保の処分可能見込額、及び保証による回収可能見込額に関する前提、見積りに基づき、一定の方法により貸倒引当金を計上しております。実際に貸倒れとなった場合に、貸倒引当金計上時点における前提や見積りと大きく乖離すると、貸倒引当金が不十分となり、貸倒引当金の積増し、あるいは多額の償却をせざるを得なくなる可能性があります。また、経済状態全般の悪化に起因する担保価値の下落、あるいはその他の事由により、貸倒引当金の積増しが必要となる可能性があります。この結果、当行グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

③ 貸出先の状況の変化

 当行グループの貸出先の一部には、法的整理手続き、あるいは任意整理により再建を行っている企業もあります。当行グループの事業基盤とする地域の景気回復が遅れる場合、あるいは、こうした企業に対する他の債権者からの支援が打ち切られ、又は縮小した場合には、これらの企業の再建が奏功せず、新たな倒産が発生する可能性があります。この結果、当行グループの与信関係費用が発生したり、不良債権が増加したりする可能性があります。

④ 貸出先への権利行使の困難性

 当行グループは、貸出先に貸倒れや債務不履行が発生した場合において、貸出金の回収の効率・実効性の観点から、あるいは地域金融機関として企業の再建可能性を見極める観点から、当行グループが債権者として有する法的な権利のすべてを必ずしも直ちに実行できない可能性があります。また、有価証券市場や不動産売買市場における流動性の欠如、又は価格の大幅な下落等の事情により、担保権を設定した有価証券や不動産を換金し、又は貸出先の有するこれらの資産に対して強制執行することが事実上できない可能性があります。

⑤ 他の要因の影響

 貸出先が、法令等を遵守せず社会的信頼を失墜した場合等、通常の想定外の事由により借入債務等の返済能力に問題が生じる可能性があります。この結果、当行グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、信用リスクは業務運営において不可避のリスクであり、かつ迅速な対応が必要であることを十分認識した上で、信用リスクをコントロールできる態勢を築くことを目指しております。

 とりわけ、与信集中リスクについては、信用リスクの集中を回避し、バランスのとれた与信ポートフォリオを構築するため、「与信集中リスク管理基準」を制定し、与信集中リスクの把握・改善に取り組んでおります。

 また、信用供与にかかるリスクを客観的かつ計量的に把握するため、「信用リスク計測基準」を制定し「信用リスクの計量化」に取り組んでおります。

 なお、計測した信用リスク量については信用格付別・業種別・地域別などの信用リスクの状況を分析・評価するとともに、「リスク資本制度」のもとでリスク量による量的な管理、コントロールを行っております。

 

(2) 市場リスク

 当行グループは、債券、株式、投資信託、デリバティブ等の金融商品に対する市場業務を行っております。かかる業務は、金利、株価、為替等の変動リスクに晒されていることから、当行グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。たとえば、内外の金利が上昇した場合には、保有する国債等の価値が下落することによって想定以上の評価損や売却損が生じる可能性があります。また、極めて著しく株価が下落した場合には、保有する株式に評価損または減損が発生する可能性があります。

 そのため、当行グループでは、市場リスク管理をALM(資産・負債の総合的管理)の一環として位置付け、自己資本、収益力、預貸動向や有価証券保有状況等を踏まえたうえで、リスクとリターンのバランスを適切に保つことを方針としております。

 具体的には、預金、貸出金、有価証券等の資産・負債について銀行勘定の金利リスクに基づき、金利リスク量をコントロールしております。市場投資部門における市場リスクについては、半期毎に「経営会議」において「有価証券運用計画」を審議したうえで、ポジション枠や損失限度を設定することで市場リスク量を一定の範囲内にコントロールしております。

 また、市場関連取引の相互牽制のために、市場リスクの管理部署(ミドル・オフィス)は、フロント・オフィス、バック・オフィスとは組織的に分離し、日次でリスクの状況をモニタリングしております。

 

(3) 流動性リスク

 当行グループの業績や財務状況の悪化、格付機関による当行の格付の引き下げ、金融市場環境の悪化等が発生した場合には、通常より著しく不利な条件による資金調達を余儀なくされたり、一定の取引を行うことができなくなることにより資金調達が制限される可能性があります。特に外貨調達においては、調達コスト増加の恐れがあります。この結果、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、組織的に独立したフロント・オフィス、バック・オフィス、ミドル・オフィスを設置することで、相互牽制を図りながら資金繰りリスクの管理を行っております。

 具体的には、資金繰りの状況に応じて、「平常時」「懸念時」「危機時」の区分を設定し、それぞれの区分に応じた管理手法、報告体制、決裁方法を整備しております。また、短期間で資金化可能な資産を一定額以上確保する流動性準備高の管理を通じたモニタリングを行っております。

 

(4) オペレーショナル・リスク

① 事務リスク

 当行グループ及び当行グループの役職員は、根拠となる法令や諸規則に基づいて、業務遂行及び事務処理を行っておりますが、故意又は過失による重大な事務事故が発生した場合には、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、事務管理態勢の充実強化を図り、厳正に事務を行うための内部環境の整備に取り組んでおります。

 具体的には、以下のような枠組みにより事務リスクの管理を行っております。事務ミス情報、事務事故情報、内外監査等の指摘内容、及びリスクに関する主な指標の収集を行い、傾向分析、原因分析を行っております。分析結果に基づき、リスク軽減のための対策を検討し、事務フロー・事務処理規程・事務体制面の見直し、事務指導臨店、自店検査、教育・研修、事務機器の整備、システム化、営業店事務の本部集中化、ルール遵守の徹底などを行っております。

 事務リスクの管理状況については、オペレーショナル・リスクの総合的管理部署、担当執行役及び経営会議等に報告しております。

② システムリスク

 当行グループは業務を遂行するにあたり、株式会社NTTデータが運営する地銀共同センターをはじめとして様々なシステムを用いております。これらのシステムは、ホスト・コンピュータ、サーバー等のハードウェア、ハードウェアを動作させ業務上の必要な処理を行うプログラム等のソフトウェア、及び通信回線等のネットワークから成り立っております。これらのシステムにおいて、当行グループはハードウェアの2重化、バックアップ等必要な措置を講じておりますが、ハードウェアの老朽化による障害、あるいはハードウェア、ソフトウェアの入替、更新の際の不具合を原因とする障害が発生する可能性があります。

 現在のコンピュータシステムは外部ネットワークとの連係による業務遂行の比重が高くなっておりますが、こうした外部ネットワークの障害を原因として、当行グループのコンピュータシステムに障害が発生する可能性があります。

 また、地震等の天災によりコンピュータシステムが被害を受ける可能性があります。こうした障害・被害が大規模、あるいは広範囲である場合においては、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 お客さまに質の高い金融サービスを提供していくためには、これらのシステムリスクを回避し、コンピュータシステムを安全かつ安定して稼動させることが必要不可欠であり、当行グループでは、コンピュータシステムと保有する情報の適切な保護に努めております。

 具体的には、主要機器及びネットワークに関しては常時稼動監視を行っており、障害発生時には自動的にバックアップに切替えるなど、ソフト面ハード面の両面での対応を実施しております。

 今後も情報技術の高度化やネットワークの拡大に伴い、システムリスクの多様化・複雑化が予想されますが、引き続き適切な対策を講じることにより、コンピュータシステムの安全で安定した稼動に努めてまいります。

③ 法務リスク

 当行グループは、コンプライアンスを経営の最重要課題の一つと位置づけ、法令等遵守態勢の強化を図るとともに、役職員に対するコンプライアンスの徹底に努めておりますが、これら法令等遵守が適切になされなかった場合には、罰金、違約金及び損害賠償金等の支払いを余儀なくされ、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、法令等遵守態勢の整備、お客さまからのご意見を適時・適切に反映させる仕組みを通した顧客保護等管理態勢の整備と、これら態勢整備にかかる検証を通して、態勢不備に起因する事象、損失、損害の迅速かつ適切な把握・分析を行い、法務リスクの削減に努めております。

④ 人的リスク

 当行グループは、労務関連法規・法令を踏まえた人事制度の設定及び運用を通して、適切な労務管理・人員配置・研修・教育を実施しておりますが、報酬・手当・解雇等、人事運営上の不公平・不公正から発生する問題により、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、労務関連法規・法令を踏まえた人事制度の設定及び運用、公平な人事考課、適切な人員配置、平等な成長機会提供により、人的リスクの削減に努めております。

⑤ 有形資産リスク

 当行グループは、災害等に起因する損害を最小限に抑えるため、内外の情報に基づき、そのリスクを適切に管理しておりますが、大規模な災害が発生した場合には、店舗、システム等の損壊により一部の営業が阻害され、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、災害等に起因する損害を最小限に抑えるために、内外の情報に基づき災害等の有形資産への影響を把握・分析することに努め、適切な保守・投資を継続的に実施し、資産の耐久性を保持することで、有形資産リスクの削減に努めております。

⑥ 風評リスク

 当行グループは、適切な情報開示を実施し経営の透明性を確保することにより、風評リスクの削減に努めておりますが、評判の悪化や風説の流布等で信用が低下することにより、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、適切な情報開示の実施により経営の透明性を確保するとともに、本部と営業店との間の迅速な指示・連絡体制の確立を通して、風評リスクの削減に努めております。

⑦ サイバーセキュリティリスク

 当行グループは、サイバーセキュリティの観点において、情報システムや通信ネットワーク上で取り扱われる業務データの安全性を保つためにファイアウォールの設置やウイルス対策をはじめとする様々なセキュリティ対策を講じております。しかし、サイバー空間を経由して行われる、不正侵入や情報の搾取・改ざん、DDoS攻撃等のいわゆる「サイバー攻撃」により、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、サイバー攻撃によるお客さまへの被害を防止し、安定したサービスを提供するため、サイバーセキュリティ管理態勢を構築し、サイバー攻撃に備えたセキュリティ対策、及びサイバー攻撃を受けた場合の被害の拡大防止に努めてまいります。

 

(5) 自己資本比率

 当行グループは、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年(2006年)金融庁告示第19号)に基づき、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を国内基準である4%以上に維持すべくリスク管理態勢の強化・充実に努めなければなりません。

 当行グループの自己資本比率がこの水準を下回るような場合には、金融庁長官から、業務の全部、又は一部の停止等を含む様々な命令を受けることになります。この結果、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。 

 当行グループの自己資本比率に影響を与える要因には以下のものが含まれます。

 ・ 貸出先の信用力低下に伴うリスクアセットの増加

 ・ 貸出金及び有価証券等の増加に伴うリスクアセットの増加

 ・ 不良債権処理や貸出先の信用力低下等による与信関係費用の増加

 ・ 有価証券評価損益の著しい悪化に伴う減損額の増加

 ・ 自己資本比率の基準及び算定方法の変更

 ・ 本項記載のその他の不利益な展開

 

(6) その他のリスク

① 当行グループの経営戦略、事業戦略が奏功しないリスク

 当行グループは、2022年4月よりスタートさせた「FプロジェクトVision 2032」の達成に向けて、様々な経営戦略、事業戦略を実施しておりますが、各種要因によりこれらの戦略が当初想定していた結果をもたらさず、収益性が悪化した場合、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

② 退職給付債務

 当行グループは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における退職給付債務の見込額に基づき、退職給付に係る負債を計上しております。退職給付費用及び退職給付債務は、割引率、予定昇給率、退職率及び死亡率等の数理計算において用いる前提条件に基づいて算出されております。

  実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は数理計算上の差異あるいは過去勤務費用として累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。

  また、制度内容の変更により未認識の過去勤務費用が発生する可能性があります。

③ 固定資産の減損会計

 当行グループが保有する固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。

 同会計基準では、減損の兆候が認められる資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合に帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減額した当該金額を減損損失として損益計算書に計上することとされています。今後の地価の動向や収益状況によって固定資産の減損損失を計上することとなる場合には、当行グループの業績等に影響を与える可能性があります。

④ 繰延税金資産

 当行グループは、ある一定の状況において将来の合理的な期間内の課税所得に関する見通しをはじめとする様々な予測・前提に基づき、繰延税金資産を計上することが認められております。また、繰延税金資産に計上することとなった資産の内容についても、それぞれ資産として計上すべきかどうかの検討を加えて計上しております。

 実際の課税所得の結果が当初の予測・前提と大きく乖離する場合があり、また、内容面の検討の結果、繰延税金資産を認識すべきでない金額が発生する場合があります。こうした状況において、当行グループが繰延税金資産の一部、又は全額の回収ができないと判断した場合には、当行グループの繰延税金資産は減額され、この結果、当行グループの業績等に影響を与えるとともに自己資本比率の低下を招く可能性があります。

⑤ 情報管理リスク

 当行グループが管理している顧客情報や経営情報について、情報漏えい、紛失、改ざん、不正利用等が発生した場合には、社会的信用の失墜等により当行グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 外部委託に伴うリスク

 当行グループ業務の委託先において、委託業務の遂行に支障をきたした場合や、顧客情報等の漏えい、紛失、改ざん、不正利用等が発生した場合には、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 特定地域への依存に係るリスク

 当行グループは、特定の地域(福井県)を主な営業基盤としていることによる地域特性に係るリスクがあります。

⑧ マネー・ローンダリング及びテロ資金供与等に係るリスク

 当行グループは、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与等の防止が、国際社会において金融機関に求められる責務であることを認識し、直面するリスクを特定・評価し、リスクに見合った低減措置を講じております。しかし、これら対策が適切になされなかった場合には、罰金・課徴金、さらには許認可の取消しの可能性もあり、この結果、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 感染症の流行

 当行グループは、感染症の流行により、地域の経済活動が停滞することに加え、政府・行政の要請による活動の自粛や、職員に感染が広まった場合の営業活動の縮小・停止等により、当行グループの事業活動に支障が生じ、前述の各リスク発生の可能性も高まり、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑩ 気候変動に係るリスク

 当行グループは、気候変動に伴う異常気象や自然災害の激甚化により、当行グループの営業拠点等の損壊、担保物件の毀損、取引先の事業停滞や資産の毀損等が発生し、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、気候関連の規制強化や脱炭素社会への移行により、取引先の事業や業績に影響が発生した場合、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑪ その他

 当行グループは、現時点の規制に従って、また、当行グループが事業を営む地域、日本国における法律、規則、政策、実務慣行、解釈、財政及びその他の政策の変更の影響をはじめとする規制上のリスクを伴って、業務を遂行しています。規制上の変更によりどのような影響が発生し得るかについて、その種類、内容、程度等を予測することは困難であり、当行グループがコントロールし得るものではありません。将来における法律、規則、政策、実務慣行、解釈、財政及びその他の政策の変更、並びにそれらによって発生する事態が、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当行グループ(当行、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

(業績等の概要)

・業績

当連結会計年度の当行及び連結子会社11社の連結ベースでの業績は、次のとおりとなりました。

損益状況につきましては、経常収益は、グループ全体でお客さまの本業支援や資金繰り支援に継続して注力したことによる貸出金利息及び役務収益の増加により、前年度比5億26百万円増加して、554億23百万円となりました。また、経常費用は、質の高いコンサルティングサービスの提供に向けた先行投資の実施のため物件費が増加したものの、国債等債券売却損が減少したことなどから、前年度比43億円減少して498億8百万円となりました。

この結果、経常利益は、前年度比48億27百万円増加して56億15百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度比19億14百万円増加して、37億17百万円となりました。

なお、当行グループは、総合金融サービス業の単一セグメントであるため、セグメントの業績は記載しておりません。

 

・キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により303億77百万円増加し、投資活動により2,413億27百万円減少し、財務活動により10億1百万円減少し、この結果、現金及び現金同等物は2,119億52百万円の減少となり、期末残高は8,948億66百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動においては、預金の増加による収入と借用金の増加による収入が、貸出金の増加による支出を上回ったことを主因に、303億77百万円の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動においては、有価証券の取得による支出が、有価証券の売却及び償還による収入を上回ったことを主因に、2,413億27百万円の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動においては、配当金の支払を主因に、10億1百万円の支出となりました。

 

 

① 国内業務・国際業務部門別収支

資金運用収支は、資金運用収益が304億19百万円、資金調達費用が7億92百万円296億27百万円の利益となりました。役務取引等収支は、役務取引等収益が103億84百万円、役務取引等費用が34億81百万円69億3百万円の利益となりました。その他業務収支は、その他業務収益が97億42百万円、その他業務費用が134億48百万円37億5百万円の損失となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

28,109

1,023

29,132

当連結会計年度

28,532

1,094

29,627

うち資金運用収益

前連結会計年度

28,251

2,003

30,254

当連結会計年度

28,647

1,772

30,419

うち資金調達費用

前連結会計年度

141

980

1,121

当連結会計年度

114

677

792

役務取引等収支

前連結会計年度

5,692

40

5,732

当連結会計年度

6,856

47

6,903

うち役務取引等収益

前連結会計年度

8,997

81

9,079

当連結会計年度

10,300

84

10,384

うち役務取引等費用

前連結会計年度

3,305

41

3,346

当連結会計年度

3,444

36

3,481

その他業務収支

前連結会計年度

△7,397

△2,241

△9,638

当連結会計年度

△3,385

△319

△3,705

うちその他業務収益

前連結会計年度

8,700

439

9,139

当連結会計年度

9,742

9,742

うちその他業務費用

前連結会計年度

16,097

2,680

18,778

当連結会計年度

13,128

319

13,448

 

(注) 1 国内業務部門は当行及び国内に本店を有する連結子会社(以下、「国内連結子会社」という。)の円建取引、国際業務部門は当行及び銀行業務を営む連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度1百万円)を控除して表示しております。

3 資金運用収益及び資金調達費用の相殺消去額は、当行の国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。

 

 

② 国内業務・国際業務部門別役務取引の状況

役務取引等収益は103億84百万円となり、役務取引等費用は34億81百万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

8,997

81

9,079

当連結会計年度

10,300

84

10,384

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

3,329

3,329

当連結会計年度

3,272

3,272

うち為替業務

前連結会計年度

2,097

77

2,174

当連結会計年度

2,097

80

2,178

うち証券関連業務

前連結会計年度

715

715

当連結会計年度

1,400

1,400

うち代理業務

前連結会計年度

234

234

当連結会計年度

199

199

うち保証業務

前連結会計年度

395

4

399

当連結会計年度

368

3

372

うち保険販売業務

前連結会計年度

490

490

当連結会計年度

391

391

役務取引等費用

前連結会計年度

3,305

41

3,346

当連結会計年度

3,444

36

3,481

うち為替業務

前連結会計年度

364

6

370

当連結会計年度

374

8

382

 

(注) 国内業務部門は当行及び国内連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行及び銀行業務を営む連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

 

③ 国内業務・国際業務部門別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

3,270,153

20,412

3,290,566

当連結会計年度

3,299,444

16,776

3,316,221

うち流動性預金

前連結会計年度

2,168,568

2,168,568

当連結会計年度

2,247,075

2,247,075

うち定期性預金

前連結会計年度

1,039,977

1,039,977

当連結会計年度

1,003,156

1,003,156

うちその他

前連結会計年度

61,608

20,412

82,020

当連結会計年度

49,212

16,776

65,988

譲渡性預金

前連結会計年度

79,489

79,489

当連結会計年度

95,020

95,020

総合計

前連結会計年度

3,349,643

20,412

3,370,055

当連結会計年度

3,394,465

16,776

3,411,241

 

(注) 1 国内業務部門は当行及び国内連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

3 定期性預金=定期預金+定期積金

 

④ 国内業務・国際業務部門別貸出金残高の状況

a 業種別貸出状況(末残・構成比)

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内業務部門

2,205,949

100.00

2,330,130

100.00

製造業

214,850

9.74

222,745

9.56

農業、林業

1,391

0.06

1,625

0.07

漁業

181

0.01

202

0.01

鉱業、採石業、砂利採取業

524

0.02

512

0.02

建設業

86,287

3.91

93,392

4.01

電気・ガス・熱供給・水道業

54,849

2.49

55,148

2.37

情報通信業

10,053

0.46

13,710

0.59

運輸業、郵便業

42,785

1.94

41,131

1.76

卸売業、小売業

201,170

9.12

195,172

8.38

金融業、保険業

163,076

7.39

221,412

9.50

不動産業、物品賃貸業

285,919

12.96

303,398

13.02

各種サービス業

164,311

7.45

179,207

7.69

地方公共団体

272,667

12.36

305,277

13.10

その他

707,881

32.09

697,192

29.92

国際業務部門

8,537

100.00

10,185

100.00

政府等

金融機関

その他

8,537

100.00

10,185

100.00

合計

2,214,487

―――

2,340,316

―――

 

(注) 国内業務部門は当行及び国内連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

 

b 外国政府等向け債権残高(国別)

該当ありません。

 

⑤ 国内業務・国際業務部門別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

35,900

35,900

当連結会計年度

249,437

249,437

地方債

前連結会計年度

97,151

97,151

当連結会計年度

76,837

76,837

短期社債

前連結会計年度

当連結会計年度

社債

前連結会計年度

175,946

175,946

当連結会計年度

189,625

189,625

株式

前連結会計年度

40,514

40,514

当連結会計年度

51,097

51,097

その他の証券

前連結会計年度

157,835

63,130

220,965

当連結会計年度

208,220

49,248

257,469

合計

前連結会計年度

507,348

63,130

570,478

当連結会計年度

775,218

49,248

824,467

 

(注) 1 国内業務部門は当行及び国内連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

(自己資本比率の状況)

(参考)

自己資本比率は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年(2006年)金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。また、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の算出においては、基礎的手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

(単位:億円、%)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

1 連結自己資本比率(2/3)

7.59

7.41

2 連結における自己資本の額

1,287

1,302

3 リスク・アセットの額

16,947

17,554

4 連結総所要自己資本額

677

702

 

 

単体自己資本比率(国内基準)

(単位:億円、%)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

1 自己資本比率(2/3)

7.67

7.43

2 単体における自己資本の額

1,112

1,120

3 リスク・アセットの額

14,506

15,057

4 単体総所要自己資本額

580

602

 

 

(資産の査定)

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年(1998年)法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年(1948年)法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

2 危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

3 要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

4 正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

 

債権の区分

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

3,373

3,034

危険債権

18,655

21,263

要管理債権

398

248

正常債権

1,872,810

2,000,380

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たっては、連結財務諸表に含まれる金額が、将来事象の結果に依存するために確定できない場合又は既に発生している事象に関する情報を適時に入手できないために確定できない場合等に、会計上の見積り及び仮定設定を行わなければなりません。当行グループは、過去の実績や状況を分析し合理的であると考えられる様々な要因を考慮して見積りや判断を行い、その結果が、連結財務諸表における資産・負債及び収益・費用の計上金額の基礎となります。当行グループは、連結財務諸表に含まれる会計上の見積り及び判断の適切性、必要性に対して、継続して評価を行っておりますが、実際の結果は、見積りに特有の不確実性があるために、これら見積り時の計上金額と異なる結果となる可能性があります。

当行グループは、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

a 貸倒引当金

 当行グループは、適切な償却・引当を実施するための準備作業として、自己査定を実施しております。自己査定とは、金融機関が信用リスクを管理するための手段であり、当行グループが保有する全資産の実態を、自己責任原則のもと自ら査定し、回収の危険性又は毀損の危険性の度合いに従って分類区分するプロセスであります。当行グループは、この自己査定の結果に基づき、期末現在の債権を、正常先債権、要注意先債権、破綻懸念先債権、実質破綻先債権及び破綻先債権の5つに区分し、それぞれの区分に応じて、貸倒等の実態を踏まえ債権の将来の予想損失額等を適時かつ適切に見積ることにより、信用リスクの程度に応じた貸倒引当金を計上しております。

 また、エネルギー価格等の高騰や円安による物価上昇の継続に伴う急激な経済環境の悪化等による信用リスクの高まりに対応するために、当行及び銀行業務を営む連結子会社においては、要管理先以外の要注意先債権のうち、急激な経済環境の悪化等の影響が大きいと想定している債務者に対する債権については、当該債権に要管理先債権相当の予想損失額を見込んで計上しております。

なお、貸出先等の財政状態が当初予想した範囲以上に悪化し、その支払能力が低下した場合には、貸倒引当金の積増しが必要となる可能性があります。

b 繰延税金資産

当行グループは、将来の合理的な期間内の課税所得に関する見通しをはじめとする様々な予測・前提に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有していると判断した将来減算一時差異等について、繰延税金資産を計上しております。

 繰延税金資産の計上に関する判断は、毎決算期末時点において実施しておりますが、実際の課税所得の推移等により、前連結会計年度に計上した繰延税金資産の一部、又は全額の回収ができないと判断した場合には、当行グループの繰延税金資産を取り崩し、同額を費用として計上することとなります。また、将来の課税所得は十分見込めるとしても、期末時点において、将来の一定の事実の発生が見込めないこと又は当行グループによる将来の一定の行為の実施についての意思決定又は実施計画等が存在しないことにより、将来の税金負担額の軽減の要件を充足することが見込めない場合には、同様に当行グループの繰延税金資産を取り崩し、同額を費用として計上することとなります。

c 投資の減損

当行グループは、金融機関として一定の運用収益を確保していくため、有価証券を保有しております。これらの有価証券には市場価格又は合理的に算定された価額のある有価証券と市場価格のない株式が含まれます。当行グループでは、市場価格又は合理的に算定された価額のある有価証券の時価が取得原価に比べて著しく下落しており、時価が取得原価まで回復する見込みがないものと判断したものについては、当該時価をもって連結貸借対照表価額とするとともに、評価差額を当該連結会計年度の損失として費用処理しております。また、市場価格のない株式において、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には、相当の減額を行い、同様に評価差額を当該連結会計年度の損失として費用処理しております。

将来の市況悪化や投資先の業績不振等により、現在の帳簿価額に反映されていない損失又は帳簿価額の回収不能が発生した場合には、追加的な減損処理が必要となる可能性があります。

d 退職給付に係る負債

当行グループは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における退職給付債務の見込額に基づき、退職給付に係る負債を計上しております。退職給付費用及び退職給付債務は、割引率、予定昇給率、退職率及び死亡率等の数理計算において用いる前提条件に基づいて算出されております。

実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は数理計算上の差異あるいは過去勤務費用として累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

e 固定資産の減損

当行グループは、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産の帳簿価額を、回収可能価額まで減額する会計処理を適用しております。

 同会計処理の適用に当たっては、営業活動から生ずる損益の継続的低下や地価の著しい下落等によって減損の兆候が見られる場合に減損の有無を検討しております。減損の検討には将来キャッシュ・フローの見積額を用いており、減損の認識が必要と判断された場合には、帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を減損しております。なお、回収可能価額は将来キャッシュ・フローの見積額の現在価値、又は正味売却価額のいずれか高い金額によって決定しております。

将来の営業活動から生ずる損益の悪化、使用範囲又は方法についての変更、経営環境の著しい悪化、市場価格の著しい下落等により減損の認識が必要となった場合、また、見積りの前提条件の変更等により将来キャッシュ・フローの見積額が減少することとなった場合には、追加的な減損処理が必要となる可能性があります。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績の分析

 

 

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

資金運用収支 

29,132

29,627

494

資金運用収益

 

30,254

30,419

165

資金調達費用
(金銭の信託運用見合費用控除後)

 

1,121

792

△328

役務取引等収支

5,732

6,903

1,170

  役務取引等収益

 

9,079

10,384

1,305

  役務取引等費用

 

3,346

3,481

134

その他業務収支

△9,638

△3,705

5,933

その他業務収益

 

9,139

9,742

603

  その他業務費用

 

18,778

13,448

△5,330

連結業務粗利益(=A+B+C)

25,227

32,825

7,598

営業経費

27,660

29,943

2,283

人件費

 

14,096

14,314

217

物件費

 

12,019

13,962

1,942

税金

 

1,544

1,666

122

貸倒償却引当費用

2,166

1,944

△221

貸出金償却

 

568

635

67

  個別貸倒引当金繰入額

 

1,145

2,320

1,175

  その他の債権売却損等

 

44

36

△7

  偶発損失引当金繰入額等(注)

 

96

186

89

一般貸倒引当金繰入額

 

311

△1,234

△1,546

株式等関係損益

4,949

4,125

△823

償却債権取立益

278

211

△66

その他損益

160

341

180

経常利益

(=D-E-F+G+H+I)

788

5,615

4,827

特別損益

△196

△135

61

  特別利益

 

44

81

36

  特別損失

 

241

216

△24

税金等調整前当期純利益(=J+K)

591

5,480

4,888

法人税、住民税及び事業税

392

1,445

1,052

法人税等調整額

△372

70

443

法人税等合計(=M+N)

20

1,515

1,495

当期純利益(=L-O)

571

3,964

3,393

非支配株主に帰属する当期純利益

又は非支配株主に帰属する当期純損失(△)

△1,231

247

1,478

親会社株主に帰属する当期純利益(=P-Q)

 

1,803

3,717

1,914

 

(注) 偶発損失引当金繰入額等には、信用保証協会責任共有制度負担金を含んでおります。

 

 

a 連結業務粗利益(資金運用収支+役務取引等収支+その他業務収支)

・資金運用収支

資金運用収益は、貸出金残高及び貸出金利回りが順調に推移したことによる貸出金利息収入の増加により、前年度比1億65百万円増加しました。資金調達費用は、外貨調達手段の変化により、前年度比3億28百万円減少しました。資金運用収支は前年度比4億94百万円増加して296億27百万円の収益となりました。

・役務取引等収支

役務取引等収支は、当行と野村證券株式会社との金融商品仲介提携開始による手数料収入の増加により、11億70百万円増加して69億3百万円の収益となりました。

・その他業務収支

債券関係損益は、国債等債券売却損益の改善により、その他業務収支は前年度比59億33百万円増加して37億5百万円の損失となりました。

以上の結果、連結業務粗利益は、前年度比75億98百万円増加して328億25百万円となりました。

b 営業経費

野村證券株式会社との提携にかかる初期コスト等の先行投資を実施しており、計画に沿って物件費が増加したことから、前年度比22億83百万円増加して299億43百万円となりました。

c 貸倒償却引当費用

貸倒償却引当費用は、当初計画の範囲内で収まり、前年度比2億21百万円減少して19億44百万円となりました。

d 株式等関係損益

株式等関係損益は、前年度に計上した売却益の剥落により、前年度比8億23百万円減少して41億25百万円の利益となりました。

e 経常利益

以上の結果、経常損益は、前年度比48億27百万円増加して56億15百万円の利益となりました。

f 特別損益

固定資産処分損益の改善により、前年度比61百万円増加して1億35百万円の損失となりました。

g 法人税等調整額

繰越欠損金に係る繰延税金資産の解消により、法人税等調整額は前年度比4億43百万円増加70百万円となりました。

h 親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度比19億14百万円増加して37億17百万円となりました。

 

③ 当連結会計年度の財政状態の分析

 

 

前連結会計年度

(億円)(A)

当連結会計年度

(億円)(B)

増減(億円)

(B)-(A)

預金等

33,700

34,112

411

 うち預金

32,905

33,162

256

 うち譲渡性預金

794

950

155

貸出金

22,144

23,403

1,258

有価証券

5,704

8,244

2,539

総資産

40,017

41,643

1,626

純資産

1,287

1,415

127

 

 

a 預金・譲渡性預金

譲渡性預金を含めた預金等は、法人預金・個人預金がともに順調に推移したことから、前連結会計年度末比411億円増加して当連結会計年度末残高は3兆4,112億円となりました。

また、預り資産に関しては、当連結会計年度より、野村證券株式会社との金融商品仲介業務における包括的業務提携を開始いたしました。同社との業務提携を契機に、お客さまへのより質の高い資産形成サービスの提供を行ってまいります。

(預金の残高(末残))

 

種類

前連結会計年度
(億円)(A)

当連結会計年度
(億円)(B)

増減(億円)
(B)-(A)

預金残高(末残)

32,905

33,162

256

  うち個人預金

22,074

22,159

84

  うち法人預金

10,830

11,002

171

譲渡性預金残高(末残)

794

950

155

総合計

33,700

34,112

411

 

 

(預り資産の残高(末残))

 

種類

前連結会計年度
(億円)(A)

当連結会計年度
(億円)(B)

増減(億円)
(B)-(A)

公共債

309

73

△235

投資信託

725

145

△580

個人年金保険等

922

929

6

金融商品仲介業務における預り資産残高(注)

4,503

4,503

      総合計

1,957

5,652

3,694

 

(注)当行の証券口座は、野村證券株式会社との包括的業務提携により、2023年11月13日付けで野村證券株式会社を委託元とする金融商品仲介口座へ移管しました。金融商品仲介業務における預り資産残高は、当行と野村證券株式会社旧福井支店からの移管口座の残高等を合算して記載しております。

 

 

b 貸出金

貸出金は、中小企業向け貸出金を中心とした事業性貸出金が順調に推移したことから、前連結会計年度末比1,258億円増加して当連結会計年度末残高は2兆3,403億円となりました。

(貸出金の残高(末残))

 

 

前連結会計年度
(億円)(A)

当連結会計年度
(億円)(B)

増減(億円)
(B)-(A)

貸出金残高(末残)

22,144

23,403

1,258

 うち中小企業等向け残高

15,155

16,219

1,063

  うち消費者ローン残高

6,988

6,891

△97

   うち住宅ローン残高

6,568

6,458

△110

   うちその他ローン残高

420

433

13

 

 

c 有価証券

有価証券は、市場動向を注視しつつ安定的な収益確保に努めた結果、前連結会計年度末比2,539億円増加して当連結会計年度末残高は8,244億円となりました。

(有価証券の残高(末残))

 

種類

前連結会計年度
(億円)(A)

当連結会計年度
(億円)(B)

増減(億円)
(B)-(A)

国債

359

2,494

2,135

地方債

971

768

△203

短期社債

社債

1,759

1,896

136

株式

405

510

105

その他の証券

2,209

2,574

365

合計

5,704

8,244

2,539

 

 

d 不良債権額

当行グループの金融再生法開示債権の合計は、前連結会計年度末比23億94百万円増加して384億31百万円となりました。総与信残高に占める割合は、前連結会計年度末比0.02ポイント増加して1.60%となりました。

(リスク管理債権の状況)

 

 

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権額

 

5,600

5,854

254

危険債権額

 

27,533

30,047

2,513

三月以上延滞債権額

 

78

38

△40

貸出条件緩和債権額

 

2,824

2,490

△334

リスク管理債権合計

36,037

38,431

2,394

総与信残高(末残)

2,268,580

2,401,276

132,695

金融再生法開示債権比率

=①/②×100(%)

1.58

1.60

0.02

 

 

 

e 繰延税金資産

繰延税金資産については、貸倒引当金に係るものが大部分を占めております。当連結会計年度においては、その他有価証券評価差額金にかかる繰延税金負債が増加したことから、繰延税金資産と繰延税金負債の差額は41億63百万円減少して、純額で20億36百万円の繰延税金資産となりました。

(繰延税金資産及び繰延税金負債の合計額)

 

 

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

繰延税金資産合計

7,337

7,068

△268

  繰延税金資産小計

 

15,648

14,925

△723

    うち貸倒引当金

 

7,773

7,800

26

  評価性引当額

 

△8,311

△7,857

454

繰延税金負債合計

1,136

5,031

3,895

繰延税金資産の純額
繰延税金負債の純額(△)

①-②

6,200

2,036

△4,163

 

 

④ 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析

営業活動によるキャッシュ・フローは、預金の増加による収入と借用金の増加による収入が、貸出金の増加による支出を上回ったことを主因に、303億77百万円の収入となりました。また、前年度比では、借用金が純減から純増に転じたことなどから、2,891億41百万円の収入の増加となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出が、有価証券の売却及び償還による収入を上回ったことを主因に、2,413億27百万円の支出となりました。また、前年度比においては、有価証券の取得による支出が増加したことから、4,102億34百万円の支出の増加となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払を主因に、10億1百万円の支出となりました。また、前年度比では、前年度に実施した子会社株式の追加取得による支出及び自己株式の取得による支出が減少したことから、15億32百万円の支出の減少となりました。

以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前年度比2,119億52百万円減少して8,948億66百万円となりました。

当行グループの収益の根源となる貸出金や有価証券の運用資金については、大部分をお客さまからの預金にて調達しており、必要に応じて日銀借入金や金融市場から資金調達を行っております。

なお、当面の設備投資、成長分野への投資並びに株主還元等は自己資金で対応する予定であります。

 

(連結キャッシュ・フローの状況)

 

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

営業活動によるキャッシュ・フロー

△258,764

30,377

289,141

投資活動によるキャッシュ・フロー

168,906

△241,327

△410,234

財務活動によるキャッシュ・フロー

△2,533

△1,001

1,532

現金及び現金同等物に係る換算差額

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

△92,391

△211,952

△119,561

現金及び現金同等物の期首残高

1,199,210

1,106,819

△92,391

現金及び現金同等物の期末残高

1,106,819

894,866

△211,952

 

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(経営方針)をご参照ください。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当行は、2023年11月10日開催の取締役会において、福邦銀行との間で、経営統合の実現を目指すことについて基本合意することを決議し、同日、両行の間で基本合意を締結いたしました。

また、2024年5月10日開催の取締役会において、福邦銀行の株主総会の承認が得られることを前提として、本株式交換を行うことを決議し、同日、両行の間で株式交換契約書を締結いたしました。なお、2024年6月19日に開催された福邦銀行の定時株主総会において、株式交換契約は承認されております。本件の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。