第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

 

(経営方針)

(1)経営の基本方針

当行は、「地域産業の育成・発展と地域に暮らす人々の豊かな生活の実現」を「企業理念」とし、その実現に向けて、社会に対する経営のコミットメントとして「経営理念」を、役職員が日々の活動において大切にする価値観として「行動理念」を掲げております。

当行は、この3つの理念を心の拠り所として、地域のみなさまにご満足いただける商品・サービスの提供に取り組んでおります。

 

〔企業理念〕 「地域産業の育成・発展と地域に暮らす人々の豊かな生活の実現」

〔経営理念〕 「トライアングル・バランスの実現」

「職員の満足(働きがい)」「お客さま(地域)のご満足」「株主の方々(投資家のみなさま)のご満足」をバランスよく高める経営を実現します

〔行動理念〕 『「誠実」×「情熱」×「行動」』

 

(2)企業統治の基本方針

当行は、企業理念を実現し、そして、株主の方々に当行の株式を安心して保有していただくことを目的として、「コーポレートガバナンスの基本方針」を制定しております。

当行は「指名委員会等設置会社」であり、この基本方針に基づいて、指名委員会等設置会社の特徴である「業務執行と監督の分離によるガバナンス態勢の強化」「業務執行の決定権限の委任による業務執行のスピードアップ」「社外取締役が過半数を占める三委員会の設置による経営の透明性向上(当行では三委員会とも社外取締役が委員長を務めております)」を実現するとともに、経営戦略などの本質的な議論の活性化や、株主のみなさまをはじめとするあらゆるステークホルダーとの対話を深めながら、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

2022年4月より、グループビジョン『Fプロジェクト(※1)Vision 2032 ~私たちは 職員・お客さまの多様なチャレンジに伴走し「地域価値循環モデル(※2)」を実現します~』を掲げ、その実現に向けた中長期戦略として、10年間の「長期経営計画」(2022年4月1日~2032年3月31日)及び「中期経営計画Ⅰ」(2022年4月1日~2025年3月31日)を開始しております。

「中期経営計画Ⅰ」では、「Fプロジェクト Vision 2032」の第Ⅰフェーズとしてスタートダッシュを切る3年間と位置づけ、「ウェルビーイング戦術」、「コンサルティング戦術」、「ユーザビリティ戦術」、「ファンダメンタル戦術」、「機能別戦術」に分けて実行しております。さらに、具体的な取組方針として、11のアクションプランを策定しており、アクションプランに紐づいた施策を実行し、「Fプロジェクト Vision 2032」の実現を目指しております。

(※1)Fプロジェクト:当行及び福邦銀行を含む連結子会社11社及び非連結子会社3社の総称であり、「当行グループ」と同義

(※2)地域価値循環モデル:職員・お客さま・地域のチャレンジへの伴走支援を通して、地域価値(お客さまの企業価値・資産価値、地域の魅力度)を持続的に向上させるモデルのこと

 

<アクションプラン>

長期経営計画

中期経営計画Ⅰの戦術

中期経営計画Ⅰのアクションプラン

ウェルビーイング実現に向けた取組み

ウェルビーイング戦術

01_役職員へのウェルビーイングの浸透

3つのドメインによる事業展開

コンサルティング戦術(地域)

02_ネットワーク(産学官金連携)を活かした「まち・ひと・しごと」の面的支援

コンサルティング戦術(法人)

03_伴走型支援を通じた真の経営課題の発見と解決

コンサルティング戦術(個人)

04_ライフステージに応じたサービスの展開によるQOLの向上

ユーザビリティ戦術(法人・個人)

05_金融インフラサービスの利便性向上とプラットフォームの構築

ファンダメンタル戦術

06_資金運用の多様化とノウハウの蓄積

事業ポートフォリオの構築

機能別戦術(人事)

07_戦略分野への人財配置と計画的育成

機能別戦術(チャネル)

08_地域に根差した「ヒト×デジタル」のハイブリッドチャネルの提供

機能別戦術(デジタル)

09_デジタル利活用による利便性・生産性の向上

経営管理体制

10_収益・ALM・リスクの一体管理とコンプライアンス体制の高度化

グループ体制

11_グループシナジーの最大化

 

 

(4)KPI及び目標とする経営指標

「中期経営計画Ⅰ」では、連結ベースでのKPI(※)及び目標とする経営指標を掲げ、その実現に向け取り組んでおります。本指標を達成し、次代に向けた経営基盤の確保を図ってまいります。

(※)KPI:Key Performance Indicatorの略称。重要業績評価指標のことで、目標の達成に向けた行動・成果を評価するための指標

 

<主なKPI>

項目

KPI

2025年3月期(計画)

2025年3月期(実績)

結果

中小企業向け貸出残高

(※1)8,000億円

9,570億円

観光・まちづくり関連支援件数

(※2)300

561件

SDGs・脱炭素関連支援件数

(※2)500

666件

店舗数

20

26

ATM台数

25

28

地域への人財供給(自然減)

(※2)140

160名

行動

インターネットバンキング・アプリ登録先数

(※1)25万件

26万件

体制

戦略分野への人財配置(※3)

60

+73名

コンサルティング人財投資

100百万円/

120百万円/

デジタル投資

500百万円/

+657百万円/

 

注 +△表記はすべて2022年3月末比

(※1):2025年3月末時点

(※2):2022年4月~2025年3月末の累計

(※3):コンサルティング、デジタル及び新規事業分野への人財配置

 

<目標とする経営指標>

経営指標

2025年3月期(計画)

2025年3月期(実績)

連結当期純利益

40億円以上

71億円

連結自己資本比率

7.0%以上

7.9%

連結コアOHR

77%以下

70.4%

連結ROE

3.0%以上

5.2%

 

 

 

(経営環境及び対処すべき課題)

日本経済がデフレ脱却に向けて着実な歩みを進めている中、当行の経営基盤の中心である福井県では、北陸新幹線の県内延伸の効果により、地域経済の活性化の好機を迎えております。一方で、少子高齢化と都市部への人口集中による労働力の希少化、国際情勢の不安定化、物価上昇に起因する消費者の購買力低下など、経済環境の不確実性は高まっております。

このような環境下において、2026年5月に予定している福邦銀行との合併に向けた準備を着実に進めることを目的として、「中期経営計画Ⅰ」の期間を2026年3月まで1年延長し、新・中期経営計画は、新銀行が誕生する2026年度にスタートすることにいたしました。福邦銀行との合併を経て、地域の課題解決業としての進化を遂げ、当行グループが掲げる「地域価値循環モデル」の実現を目指してまいります。

「中期経営計画Ⅰ」の延長期間である2025年度は、次の施策に取り組んでまいります。

お客さまの事業成長及び資産形成の実現に向けては、引き続き「まるごと支援」の考え方に基づく伴走支援の実践により、地域における当行グループの存在感を向上させてまいります。法人のお客さまには、「金利のある世界」への移行などの環境変化を踏まえ、お客さまとの対話の機会を積極的に増やすとともに、これまで培ってきた課題解決力を活かすことで、「預金」「融資」「決済」といった金融基盤の拡大を目指してまいります。個人のお客さまには、人の安心感とデジタルの利便性を両立したチャネルを提供することにより、お客さまの体験価値の向上に取り組んでまいります。また、資産の運用や承継に関しては、お客さまの最善の利益の追求のために、野村證券株式会社と協働し、質の高いコンサルティングサービスを提供してまいります。

活力ある地域の実現に向けては、地域の構造的な課題解決にはすべてのステークホルダーとの連携が必要であるとの認識のもと、行政などの関係機関とも連携しながら、当行が推進主体となってソリューション・ネットワークを構築し、交流人口の増加やDXの推進、脱炭素化などの課題解決に資する面的支援に取り組んでまいります。

また、「地域価値循環モデル」の起点となる職員のウェルビーイングの実現に向けては、引き続き4つのキーファクターを踏まえた施策の立案・実行と、「D&I推進宣言」に基づく取組みを進めてまいります。

そして、2025年度の最大のプロジェクトである福邦銀行との経営統合については、合併に向けた準備を着実に進めるとともに、「経営統合はあくまで地域の課題解決業として進化するための手段である」との考え方のもと、お客さまの利便性を維持しながら、統合シナジーを早期に実現してまいります。

以上のとおり、今後もグループビジョン「Fプロジェクト Vision 2032」の実現に向け、グループの総力を結集し、地域活性化の中心的役割を担ってまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

 

当行グループは、企業理念である「地域産業の育成・発展と地域に暮らす人々の豊かな生活の実現」のため、持続可能な地域社会の実現に向けて、地域課題の解決に寄与することが使命であると認識し、グループ全体でサステナビリティへの対応に取り組むことを目的として、「サステナビリティ基本方針」を定めております。

サステナビリティ基本方針をもとに、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を特定し、中長期的な目標を設定しております。また、役職員の行動指針や取組方針となる各種規程を整備し、地域社会を取り巻くさまざまな課題の解決に資する取組みを行っております。

 

<サステナビリティ基本方針及び重要課題(マテリアリティ)>


 

<サステナビリティ関連規程体系>


 

〔サステナビリティ全般〕

(1)ガバナンス

当行グループは、サステナビリティへの対応を経営上の重要な課題であると認識しております。サステナビリティに関する課題に対応するため、「サステナビリティ委員会」(以下、「委員会」という。)を設置しております。委員会は代表執行役頭取を委員長とし、委員として全執行役、監査を目的として常勤監査委員及び内部監査部門である監査グループマネージャーが出席しております。委員会は原則3か月に1回以上開催し、気候変動や人的資本経営など、サステナビリティに関する重要事項(マテリアリティ)について議論・検討を行い、その結果を経営戦略やリスク管理に反映しております。委員会の活動内容については、開催の都度取締役会に報告を行い、監督を受ける体制を構築しております。

また、グループ内でサステナビリティの取組みの推進・強化を図るため、組織横断的なワーキンググループとして「サステナビリティ専門部会」(以下、「専門部会」という。)を設置しております。加えて、地域・お客さま向けの支援を強化するため、営業支援グループ内に「サステナビリティ支援室」を新設いたしました。専門部会及びサステナビリティ支援室は重要課題(マテリアリティ)毎に具体的な推進施策を企画・立案し、委員会に提言しております。

 

 

<サステナビリティ体制図>


<委員会の活動状況>

当事業年度において、サステナビリティ委員会は7回開催いたしました。

当事業年度における委員会での具体的な検討内容は以下のとおりであります。

年月

回次

主な協議事項・報告事項

2024年5月

第15回

・気候関連情報開示の内容

7月

第16回

・マテリアリティの見直し

タウンホールミーティングの企画案

・D&I関連施策の進捗状況

8月

第17回

・マテリアリティの見直し

9月

第18回

・マテリアリティの見直し

・地域・お客さま向けサステナビリティ推進施策の進捗状況

12月

第19回

・2024年度ウェルビーイング実現のための取組進捗状況

2025年2月

第20回

・地域・お客さま向けサステナビリティ推進施策の進捗状況

・D&I関連施策の進捗状況

3月

第21回

・ウェルビーイング調査結果を踏まえた今後の取組方針

・D&Iロードマップの更新

 

 

(2)戦略

当行グループは、長期ビジョン及び長期経営計画として「Fプロジェクト Vision 2032」(対象期間:2022年4月~2032年3月)(以下、「長期ビジョン」という。)を定めております。長期ビジョンでは「地域価値循環モデル」の実現のため、職員・お客さま・地域のチャレンジを積極的に支援することを掲げております。

サステナビリティへの対応においても、長期ビジョンにて定める戦略や戦術に基づき、基盤である福井県の特徴を分析し、考慮した上で、さまざまなステークホルダーのニーズに伴走支援を行うための施策の立案と実行を行っております。サステナビリティへの対応に関連する長期ビジョンのチャレンジゴール(職員・お客さま・地域のチャレンジを促進するために掲げる高い目標)は次のとおりであります。

項目

チャレンジゴール

ウェルビーイングを実感する職員比率

100%

1人あたりの福井県民所得

+100万円

福井県活力人口

100万人

 

 

長期ビジョンの詳細及び進捗については当行HPをご参照ください。

URL:https://www.fukuibank.co.jp/fproject/vision/

URL:https://www.fukuibank.co.jp/ir/financial/final_accounts/

 

(3)リスク管理

当行グループは、リスク及び機会を識別するために、経営の健全性及び収益の安定性の確保を目的としたリスク管理態勢を整備しております。

具体的には、統合的リスク管理として「信用リスク」、「市場リスク」、「流動性リスク」、「オペレーショナル・リスク」に分類し評価しております。リスクの統括部署及びリスクカテゴリーごとにリスク管理部署を設置し、管理プロセスを確立させ、継続的かつ効果的なリスク管理を実施しております。

サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)の中でも、特に気候変動を含む環境への取組みを経営の重要課題の一つとして認識しております。

 

<投融資方針>

投融資に関しては、2023年6月に制定した「サステナブル投融資方針」において、地域社会の課題解決に資する事業等に積極的な支援を行うとともに、環境や社会にネガティブな影響を与える可能性のある事業等に対しての取組方針を定め、適切に対応を行っております。

「サステナブル投融資方針」については当行HPをご参照ください。

URL:https://www.fukuibank.co.jp/aboutus/sustainability/investment_loan/

 

(4)指標及び目標

当行グループは、上記「(2)戦略」において記載した長期ビジョンにて掲げる職員・お客さま・地域への伴走支援を通して、持続可能な地域社会の実現に貢献するため、以下の指標について目標を設定しております。

指標

目標

2024年度実績

サステナブル・ファイナンス

(※)

2022年度~2031年度まで

実行額累計1兆円

実行額累計3,329億円

(前年度比+1,197億円)

 

(※)当行HPに記載の「サステナブル投融資方針」における「積極的に取り組む分野」に該当する投融資

 

〔気候変動に関する取組み〕

当行グループでは、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)の1つとして気候変動への対応を定め、気候変動が事業にもたらす影響を分析しております。

(1)ガバナンス

気候変動に関するガバナンス態勢は、〔サステナビリティ全般〕と同一であります。

 

(2)戦略

<機会とリスク>

気候変動に関する機会及びリスクについて、短期(3年程度)、中期(10年程度)、長期(30年程度)の時間軸で定性的な分析を行っております。

 

 

分類

主な機会/リスク

時間軸

 

機会

 

・地域・お客さまへの伴走型支援による持続可能な地域社会の実現に資する投融資やコンサルティングサービスの提供などのビジネス機会の増加

・気候変動に対する適切な取組みと開示による企業価値の向上

短期~長期

 

 

短期~長期

 

リスク

移行

リスク

・気候変動に対する規制強化や脱炭素社会への移行に伴うコスト負担増加及び消費者行動の変化によるお客さまの業績悪化に伴う与信関連費用の増加

・脱炭素化などの気候変動問題に対する取組みが他社に劣後することによる企業価値の低下

中期~長期

 

 

短期~長期

 

 

 

 

物理的

リスク

急性

リスク

・気候変動に起因する自然災害の増加により、お客さまの事業活動が中断・停滞し、業績が悪化することによる財務諸表の変化に伴う与信関連費用の増加

・大規模な自然災害等によりお客さまの不動産等の担保価値が毀損することによる与信関連費用の増加

・当行グループ拠点の被災に伴う営業活動の中断

短期~長期

 

 

短期~長期

 

短期~長期

 

慢性

リスク

・平均気温の上昇や海面上昇に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による与信関連費用の増加

中期~長期

 

 

 

<シナリオ分析>

① 移行リスク

移行リスクについては、気候変動や脱炭素社会への移行による影響が大きいセクターの中から、融資ポートフォリオにおけるリスク重要度評価を行い、分析対象セクターとして「電力」を選定しております。また、地場資本の中小企業が多い福井県経済の特徴を捉え、福井県内の中小企業(※)も分析対象セクターとして選定しております。以上2つの分析対象セクターに関して、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)のネットゼロ排出シナリオを踏まえた分析を実施し、財務への影響度を算定しております。

(※)日銀業種分類の定義により「中小企業」に分類される企業

 

項目

内容

シナリオ

IEA/NZEシナリオ(1.5℃)

分析対象

①電力 ②福井県内の中小企業

分析手法

炭素税が導入された場合のお客さまの費用増加や売上減少に伴う業績悪化

対象期間

2050年まで

 

 

分析結果(※)

2023年度(福井銀行単体)

2024年度(福井銀行単体)

移行リスク

与信関連費用増加額 最大21億円

与信関連費用増加額 最大12億円

 

(※)過去に公表した数値より増加しておりますが、算定方法を見直したことによるものであります。

 

② 物理的リスク

物理的リスクについては、異常気象(洪水)の影響による事業性貸出先の営業停止に伴う売上減少や、不動産担保の毀損などが発生した場合の与信関連費用の増加について、気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)の代表濃度経路シナリオを踏まえた分析を実施し、財務への影響度を算定しております。

項目

内容

シナリオ

IPCC/RCP8.5シナリオ(4℃)

分析対象

・福井県内の事業性貸出先

・福井県内の不動産(建物)担保

分析手法

・事業性貸出先の営業停止による売上減少に伴う業績悪化

・不動産担保の毀損

対象期間

2050年まで

 

 

分析結果

2023年度(福井銀行単体)

2024年度(福井銀行単体)

物理的リスク

与信関連費用増加額 最大12億円

与信関連費用増加額 最大12億円

 

 

③ 炭素関連資産

融資ポートフォリオにおける炭素関連資産(※)の総貸出金に占める割合は以下のとおりであります。

セクター

2023年度

(福井銀行・福邦銀行合算)

2024年度

(福井銀行・福邦銀行合算)

エネルギー

1.46%

1.46%

運輸

1.92%

1.92%

素材、建築物

18.38%

19.55%

農業、食料、林産物

1.58%

1.45%

合計

23.33%

24.38%

 

(※)炭素関連セクター4つのうち、水道事業・独立系電力事業・再生可能エネルギー発電事業を除く資産

エネルギーセクター:石油及びガス、石炭、電力ユーティリティ

運輸セクター:航空貨物、旅客空輸、海上輸送、鉄道輸送、トラックサービス、自動車及び部品

素材・建築物セクター:金属・鉱業、化学、建設資材、資本財、不動産管理・開発

農業、食料、林産物セクター:飲料、農業、加工食品・加工肉、製紙・林業製品

 

<気候変動に関する機会及びリスクに対する主な取組内容>

 

2024年度の取組内容

①お客さまの脱炭素経営支援

ふくぎんサステナビリティ経営サポート融資「サステナ応援ローン」の取扱開始

・地域事業者向け脱炭素セミナーの開催

・脱炭素経営に関する企業間交流の実施

②地域の脱炭素化及びESGの取組みを推進するための枠組み作り

環境省「持続可能な社会形成に向けたESG地域金融の普及・促進事業」支援先金融機関として採択(地域再エネ地産地消に向けた小水力発電の普及及び価値の共有知化事業)

・地方公共団体への環境省支援事業(「重点対策加速化事業」「脱炭素先行地域事業」)申請支援及び採択後の実行支援

③自社のCO2排出量削減

新築店舗のNearly ZEB(※)化

・一部の営業車の電気自動車への入替の継続実施

・気候変動に関する分析の高度化に向けたCO2排出量算定ツールの導入

 

(※)省エネルギー及び再生可能エネルギーの活用によるエネルギーの創出により、年間の一次エネルギー消費量を75%以上削減する建物のこと

 

(3)リスク管理

当行グループは、気候変動に起因する移行リスク及び物理的リスクをグループ全体の事業・財務内容に影響を与える重要なリスクとして認識しております。シナリオ分析等の実施により当該リスクを識別・評価することで、信用リスク等に与える影響の程度や蓋然性を把握・分析するとともに、統合的リスク管理の枠組みにおける管理態勢の構築に取り組んでおります。

 

(4)指標及び目標

脱炭素社会の実現に向け、CO2排出量(Scope1、Scope2)削減目標を定めております。今後はサプライチェーンにおけるCO2排出量(Scope3)の算定対象範囲の拡大及び削減目標の設定についても検討してまいります。

なお、CO2排出量(Scope1、Scope2、Scope3)の実績値及び推計値が過去に公表したものと異なっておりますが、CO2排出量算定ツールの導入に伴い、算定対象範囲及び算定方法の見直しを行ったことによるものであります。

 

CO2排出量(Scope1、Scope2)

指標

目標

CO2排出量(Scope1+Scope2)

2030年度までに2013年度比70%以上削減

2050年度までにネット・ゼロ

 

                                          (単位:t-CO2

CO2排出量(グループ合算)

2013年度

2022年度

2023年度

2024年度

Scope1

901

616

568

553

Scope2

ロケーション基準

6,159

3,296

3,133

2,989

マーケット基準

5,312

2,353

2,250

2,090

合計

(Scope1+Scope2(マーケット基準))

6,213

2,970

2,818

2,643

2013年度からの削減率

△52.2%

△54.6%

△57.4%

 

 

CO2排出量(Scope1、Scope2)の推移


 

CO2排出量(Scope3)                               (単位:t-CO2

カテゴリー

2022年度

2023年度

2024年度

1. 購入した製品・サービス

6,045

6,813

7,475

2. 資本財

1,558

3,268

2,554

3. 燃料及びエネルギー関連活動

610

574

593

4. 輸送・配送(上流)

1,475

1,133

1,052

5. 事業から出る廃棄物

732

1,009

425

6. 出張

219

218

216

7. 雇用者の通勤

658

648

639

15.投融資

(ファイナンスドエミッション)

(※)―

2,952,833

2,848,484

合計

11,299

2,966,500

2,861,442

 

(※)2022年度のカテゴリー15投融資(ファイナンスドエミッション)は、算定対象範囲及び算定方法の見直しに伴い、過去のデータの取得が困難であるため、算定対象外としております。

 

Scope3-カテゴリー15投融資(ファイナンスドエミッション)の詳細

セクター・業種

2024年度

排出量

(t-CO2)

データ

クオリティスコア

件数

算定対象

投融資残高

(百万円)

算定

カバー率

エネルギー

339,815

2.8

138

62,521

100.0%

 

石油及びガス

45,704

3.4

81

11,619

100.0%

石炭

電力ユーティリティ

294,110

2.6

57

50,901

100.0%

運輸

126,362

2.8

257

49,115

99.9%

 

航空貨物

4,193

4.0

4

1,305

100.0%

 

旅客空輸

835

4.0

4

47

100.0%

 

海上輸送

6,953

2.4

3

946

100.0%

 

鉄道輸送

6,980

2.2

6

8,712

100.0%

 

トラックサービス

87,524

4.0

206

19,276

99.7%

 

自動車及び部品

19,874

1.8

34

18,826

100.0%

素材、建築物

1,074,098

3.4

2,768

371,679

99.4%

 

金属・鉱業

70,782

3.1

54

9,832

95.2%

 

化学

86,995

2.1

113

39,410

100.0%

 

建設資材

71,319

3.0

43

8,129

100.0%

 

資本財

802,396

3.6

1,851

176,422

99.9%

 

不動産管理・開発

42,604

3.5

707

137,883

98.9%

農業、食料、林産物

133,254

3.5

293

28,862

100.0%

 

飲料

3,499

4.0

27

2,643

100.0%

 

農業

5,857

4.0

47

2,082

100.0%

 

加工食品・加工肉

82,128

3.7

150

15,062

99.9%

 

製紙・林業製品

41,769

2.7

69

9,073

100.0%

その他

1,174,954

2.8

3,866

859,794

97.5%

総計

2,848,484

3.0

7,322

1,371,972

98.3%

 

 

 

<Scope3の算定対象範囲、算定方法>

・Scope3の算定対象範囲

カテゴリー1、2、4、5、6、7は福井銀行単体、カテゴリー3はグループ合算、カテゴリー15は福井銀行・福邦銀行合算で算定しております。また、福井銀行単体において、カテゴリー8~14に該当する排出量はございません。

・カテゴリー1、4、5の基本的事項

当行で利用している経費管理システムから得られるデータを用いて、経費支出項目と算定要否を判断したうえで、カテゴリーごとに算定しております。なお、消費税は控除せずに算定しております。

・カテゴリー1、2の排出原単位

環境省が公開している「1次データを活用したサプライチェーン排出量算定ガイド」を参考に、サプライヤーの組織ベース排出量を総売上高で除したものを排出原単位としております。なお、1次データが取得できない場合は、「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」を利用し

て算定しております。

・カテゴリー4、5、6、7の排出原単位

環境省が公開している「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」を利用しております。また、排出原単位については、各支出項目に照らして最も適切と考えられるものを選定しております。

・カテゴリー1「購入した製品・サービス」

当行の経費管理システムにて管理されている経費支出項目のうち、CO2排出を伴う活動、かつ、他のカテゴリーに属さないものを抽出し、サプライヤー別の支払金額に排出原単位を乗じております。

・カテゴリー2「資本財」

各年度において取得した固定資産を抽出し、サプライヤー別の取得金額に排出原単位を乗じております。

・カテゴリー3「燃料及びエネルギー関連活動」

Scope1の算定に用いた燃料の使用量及びScope2の算定に用いた電力使用量に排出原単位を乗じております。

・カテゴリー4「輸送・配送(上流)」

経費支出項目のうち、郵便費及び輸送・配送にかかる費用に排出原単位を乗じております。

・カテゴリー5「事業から出る廃棄物」

経費支出項目のうち、廃棄物の収集費用・処理費用に廃棄物処理に係る排出原単位を乗じております。

・カテゴリー6「出張」

従業員数に排出原単位を乗じております。

・カテゴリー7「雇用者の通勤」

従業員数に営業日数を乗じたものに排出原単位を乗じております。

・カテゴリー15「投融資(ファイナンスドエミッション)」

PCAF(※)スタンダードの計測手法を参考に、2023年度より法人向け事業性貸出及び政策保有株式を対象としてファイナンスドエミッションの推計を行っております。具体的には、各事業法人の排出量をアトリビューション・ファクター(各事業法人の負債と自己資本の合計に占める当行グループ投融資残高)に乗じて、ファイナンスドエミッションを算定しております。1次データが取得できない場合は、産業連関表上の産業分類ごとの排出原単位を各事業法人の直近決算時点の売上高に乗じて、各事業法人の排出量を推定しております。

お客さまのCO2排出量の開示拡大や算定対象範囲の拡大等により、今後算定結果が大きく変更になる可能性がございます。引き続き、お客さまとのエンゲージメントを通して、データクオリティスコアの向上に取り組んでまいります。

(※)金融向け炭素会計パートナーシップ(PCAF:Partnership for Carbon Accounting Financials)…金融機関の投融資先の温室効果ガス排出量を整合的に算定するための枠組み

 

 

<気候変動に関する分析を踏まえた取組方針>

当行グループは、福井県内で50%以上の貸出金シェアをもつ地域金融機関として、炭素関連資産の集計や投融資によるCO2排出量(ファイナンスドエミッション)の推計を通して、福井県内の地域特性や経済の特徴を定量的に把握し、当行グループの投融資がCO2排出にどの程度影響を及ぼしているかを確認しております。また、気候変動が引き起こす可能性のあるリスクを特定し、最終的に当行グループの与信関連費用への影響額を算定することで、リスク軽減のための戦略を策定し、実行に移してまいります。

当事業年度の分析の結果、昨年度に引き続き、福井県の特徴であるものづくりを中心とした製造業は、当行の投融資に占める割合が大きいこと、また、炭素強度の高い電力業はCO2排出量が多く、気候変動リスクの影響も大きいと考えられます。

引き続き、これらの算出プロセスや集計結果を用いて、「まるごと支援」の考え方に基づき、お客さまとのエンゲージメントを図りながら、より効果的な気候変動対策を進めてまいります。

 

〔人的資本経営に関する取組み〕

(1)ガバナンス

人的資本経営に関するガバナンス態勢は、〔サステナビリティ全般〕と同一であります。

 

(2)戦略

当行グループは、「銀行及びグループ会社は職員が仕事を通じて成長するステージであり、当行グループの成長は、職員の成長によって決まる」と考えております。

この人的資本経営の考えは、当行グループのサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)の1つとして位置付けており、長期ビジョンにおいても人的資本経営の実現に向けた各種の施策に取り組んでいくこととしております。

当行グループでは、職員一人ひとりが高い目標へのチャレンジを通して成長することで、ウェルビーイングを実感できる企業風土を目指して、人的資本経営を実践しております。

 

<人事ポリシー>

当行グループでは、人事ポリシーとして「厳しさと温かさ」を定めております。「厳しさ」とは、企業理念の実現に向けて当行グループや職員が目指す姿勢や行動のレベル感を表しております。「温かさ」とは、「厳しさ」に沿って取り組む職員を支える組織運営の考え方を表しております。職員の心理的安全性を確保し、また、人財育成も行いながら、職員を組織(チーム)として支えていくことを大切に考えており、この温かさを実感しながら、強い使命感や高い目標を持ち、結果を出そうと取り組むことができる職員を増やしていきたいと考えております。

厳しさ

(銀行や行員が目指すレベル感)

温かさ

(組織運営の考え方)

・使命感(企業理念)

・誠実で情熱を持った行動(行動理念)

・高い目標

・少数精鋭

・成果(収益・アウトプット)

・取り巻く環境打破

・マネジメント(心理的安全性)

・人財育成(人づくり革命)

・人間関係(チームワーク・サポート)

・新しいワークスタイル

・プロセス重視

・多様な働き方(育児・介護制度)

 

 

 

<人財育成方針>

① 求める人財像/目指す人財像

当行グループは、全役職員に求める人財像として「謙虚」「自責」「意欲」「執念」「主体」「挑戦」の6つの項目を定めております。これは当行グループの行動理念に掲げております「誠実」「情熱」「行動」の3つの項目をより具体的な行動に落とし込んだものになります。

職員の人事評価ではプロセスを重視しており、プロセス評価は求める人財像に定める行動の有無で判断しております。これにより、当行グループ内に求める人財像を浸透させるとともに、企業理念の実現に向けて行動理念(求める人財像)に従い行動する職員を増やすことを目的としております。

 

『誠実』相手を大切に思い、とは

  相手の意見を素直に受け止め学ぶこと <謙虚>

  自分の仕事に責任を持ち、相手のせいにしないこと <自責>

 

『情熱』強い信念を持ち最後まであきらめず、とは

  常により高いゴール(目標)を目指すこと <意欲>

  途中で諦めず最後まで考えやり遂げること <執念>

 

『行動』実際の働きで示す、とは

  自ら進んで主体的に行動すること <主体>

  新しいことに果敢に挑戦し切り拓くこと <挑戦>

 

また、長期ビジョンの達成のためには、能動的に学び、自らキャリア形成ができる人財(目指す人財像)に育成する必要があると考えております。そのため、目指す人財像に必要なスキルや能力を特定し、そのスキルや能力の取得・成長に資する研修の実施や育成環境の整備を行っております。

 

② 人財育成・研修体系

前述の求める人財像及び目指す人財像を踏まえ、当行グループでは、職員の各資格に求める役割を定義した役割定義書を制定しております。職員が役割を果たすため、営業店・本部ともに各現場にて、仕事を通じて所属長・先輩が部下・後輩に知識やスキルの伝授を行うOJTを基本としつつ、各種の研修の機会を設けております。

(行内研修)

・ 階層別研修・・・各資格別に、求める役割を果たすための基本的な考え方、行動について集合研修を実施しております。

・ 業務別研修・・・預金・為替、個人コンサルティング、事業性融資、法人コンサルティング、外国為替などの各業務について習得度合いに応じて集合研修を実施しております。

(行外研修(外部トレーニーを含む))

 より専門的な知識やスキルを得ることを目的として、外部団体が主催する研修に職員を派遣しております。また、外部企業に直接職員を派遣し、外部企業で勤務するトレーニー制度も導入しております。

 

(能動的に学び、自らキャリア形成できる環境の整備)

・e-ラーニングシステムのコンテンツ拡充

・社内公募制度の拡充

・多様な応募型研修の実施

・社内/社外副業制度の導入

・自己啓発支援制度の導入 等

 

 

③ 戦略分野への人財配置と計画的育成<中期経営計画Ⅰのアクションプラン>

(戦略分野における人財の専門スキル向上に向けた取組み)

・コンサルティング人財・・・お客さま・地域のニーズが多いコンサルティング分野に対して、外部トレーニー等を通じてコンサルティング人財を育成しております。

・デジタル人財・・・3階層(全役職員:ITリテラシーの向上、プロモーター層:デジタルの利活用スキル・推進力の向上、スペシャリスト層:デジタルの専門スキル・課題解決力の向上)でデジタル人財を育成しております。

 

(戦略分野の人財確保に向けた環境整備)

戦略分野における人財の専門スキルを高めるため、採用チャネルの拡大(リファラル採用制度、アルムナイ採用制度導入など)に取り組むことにより、多様な人財・高度な専門性を持った人財の採用を強化しております。

 

(戦略分野への人財配置)

Fプロジェクトの本部機能統合や店舗数の削減により捻出した人員を、戦略分野にシフトしております。

人員配置

目標(2024年度)

2024年度実績(※)

コンサルティング

30名

33名

デジタル

20名

14名

新規事業

10名

26名

合計

60名

73名

 

(※)中期経営計画期間中の戦略分野人員数の純増数

 

<社内環境整備方針>

当行グループでは、長期ビジョンのチャレンジゴールの1つとして「ウェルビーイングを実感する職員比率100%」を掲げております。長期ビジョンで目指す「地域価値循環モデル」は、職員のウェルビーイングの向上が起点となります。そのため、職員一人ひとりが個性を発揮し、多様性を認め合い、成長や働きがいを実感しながら、いきいきと働ける環境をつくることを目指し、企業の資本である役職員の満足度を高める施策を実施しております。

 

① ウェルビーイングの実現のための取組み

ウェルビーイング実現のためのキーファクターを「理念・方針」、「組織・風土」、「環境・処遇」、「意欲・成長」の4つに分類し、各キーファクターに紐づく施策の立案・実施を行っております。年1回実施する「ウェルビーイング調査」にて、各施策の効果検証及び結果のモニタリングを行っております。

 

当事業年度に実施した各キーファクターに紐づく施策は以下のとおりであります。

「理念・方針」

職員一人ひとりが自身の役割や行うべき行動を理解できるように、長期ビジョン及び長期経営計画の浸透を目的として、役員が各部署の職員と意見を述べ合う「タウンホールミーティング」を実施しております。また、職員が当行グループの方針や仕事に対する考え方や向き合い方を理解し、前向きに仕事に取り組むヒントや気づきを得て、活力向上に繋げることを目的として、e-ラーニングシステムで頭取自らが説明を行う動画を定期的に配信しております。

 

「組織・風土」

多様性を認め合う組織風土・心理的安全性の高い組織風土を確立するために、上司と部下のコミュニケーション向上及び部下の人財育成を目的とした「1on1ミーティング」や、職員が互いに褒め合いモチベーションを高めることを目的とした「褒めらLETTER」という仕組みを導入しております。また、部下が上司を評価する「360度評価」を導入し、上司がマネジメント方法を考える機会を設けております。

 

 

「環境・処遇」

職員が安心して働くことができる環境づくりや働きがいの向上を目的として、初任給の引上げを含めたベースアップを実施いたしました。

また、職員の長期的な資産形成を支援する観点から、職員持株会制度及び企業型確定拠出年金制度を導入しております。企業型確定拠出年金制度では、市況や運用環境、投資ニーズが大きく変化し、投資商品の多様化が進んでいる状況を踏まえ、既存運用商品ラインナップの見直しを実施いたしました。

さらに、当行は2018年に「ふくぎん健康経営宣言」を制定し、定期健康診断100%受診、ストレスチェックによるメンタルヘルスケア、健康マスター検定の資格取得推奨等を通じた役職員の健康維持や増進に取り組んだ結果、「健康経営優良法人」に7年連続で認定されております。

 

「意欲・成長」

仕事を中心とした人生における自身のキャリアを様々な視点から考え、対話を通して考えを深めることや、将来のありたい姿に向けて主体的な行動計画を策定することを目的として、「キャリアデザイン研修」を実施しております。加えて、キャリアデザイン研修の受講者の上司を対象に、キャリア支援の考え方と具体的な手法を学び、部下の能力開発とモチベーションの維持向上に繋げることを目的として、「キャリア支援研修」を実施しております。

また、職員のスキルアップを通じて自己成長を実感することによるウェルビーイングの実現を目的として、「自己啓発支援制度」や「社内/社外副業制度」を導入しております。

 

② ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進のための取組み

ウェルビーイングの実現のためには、職員一人ひとりの個性を活かし、多様性を認め合う環境と風土が必要であると認識し、D&Iを推進しております。

当行グループは、性や人種、国籍、年齢、障がいの有無、採用形態などに関係なく、様々な知識、スキル、経験、経歴、価値観などを有する人財を積極的に採用し、その多様性を受け入れることで多様性の確保を図っております。

また、多様な人財のチャレンジを促進し、職員一人ひとりが能力を最大限発揮することで組織力を最大化させるため、「D&I推進宣言」を定め、多様なキャリア形成に合わせた人財育成と働きがいをもって活躍できる職場環境の整備に取り組んでおります。

「D&I推進宣言」では、長期ビジョンに合わせた10年間のロードマップを作成し、10年を「意識醸成期」「風土定着期」「進化・変革期」に分け、それぞれのフェーズに合わせた施策の立案・実施とKPIの策定による進捗管理を行っております。

D&Iの取組みについては当行HPをご参照ください。

URL:https://www.fukuibank.co.jp/aboutus/social/diversity_inclusion/

 

(3)リスク管理

人的資本経営に関するリスク管理は、〔サステナビリティ全般〕と同一であります。

 

 

(4)指標及び目標

当行グループでは、上記「(2)戦略」において記載した人財育成方針及び社内環境整備方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

指標

定義

目標

2023年度実績

2024年度実績

人的投資額

2022年度実績と比較した以下の合計額の増加率

①研修費用、②外部トレーニー費用、③高度人財育成費用、④資格取得・維持管理費用、⑤自己啓発費用

2024年度までに

30以上増加

(2022年度63百万円)

2022年度比

+9.4%

(69百万円)

2022年度比

+64.8

(105百万円)

定着率

1年後に在籍している正規雇用労働者の割合(定年退職者、定年退職再雇用者は退職者には含めない)

2024年度まで

95.0以上維持

96.9%

97.3

職員満足度

ウェルビーイング調査結果

2024年度までに

ポジティブ回答60.0以上

ポジティブ回答

53.4%

ポジティブ回答57.0

1on1ミーティング実施率

月1回以上上司と1on1ミーティングを実施している職員割合

2024年度までに

80.0以上

53.0%

70.1

総労働時間削減率

2021年度実績と比較した総労働時間の削減率(正規雇用労働者+嘱託契約労働者)

2024年度までに

6.0以上削減

2021年度比

2.8%削減

2021年度比

2.6%削減

管理職多様性比率

管理職(※1)に占める以下の項目の多様性比率

①性

②国籍

③年齢(※2)

④勤務年数(※2)

⑤中途採用者

2024年度までに

30.0以上

32.0%

32.5

 

(※1)管理職には労働基準法上の管理監督者に加え、管理監督者の一つ手前の職階である代理職を含める

(※2)年齢、勤続年数は標準的な登用と比較して早期に登用された人数を対象とするための項目

 

3 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

 

(1) 経営統合に関するリスク

 当行グループは、福井銀行と福邦銀行の経営統合によりマーケットシェアの拡大やリソースの追加投入が可能となることを活かし、安定した営業基盤の拡充や収益力の向上により経営環境の変化に対応するとともに、将来にわたり持続可能なビジネスモデルを構築することで、当行グループの企業価値を高め、ステークホルダーの期待に応えることを目指しておりますが、当初期待した統合効果を十分に発揮できないことにより、結果として当行グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。統合効果の十分な発揮を妨げる要因として以下が考えられますが、これらに限定するものではありません。

・サービス・商品開発の遅れ、お客さまとの関係悪化、対外的信用の低下、効果的な人員・営業拠点配置の遅延等、様々な要因により収益面における統合効果が実現できない可能性があります。

・当行グループの経営統合に伴うサービス、商品、業務及び情報システムの見直し・統一化、並びに営業拠点・従業員の再配置等により想定外の追加費用が発生する可能性があります。

 

(2) 信用リスク

① 不良債権の状況

 当行グループの不良債権及び与信関係費用は、景気の動向、当行グループの融資先の経営状況、不動産価格の変動等によっては増加する可能性があり、この結果、当行グループの業績等に影響を及ぼし、自己資本を減少させる可能性があります。

② 貸倒引当金の状況

 当行グループは、貸出先の状況、担保の処分可能見込額、及び保証による回収可能見込額に関する前提、見積りに基づき、一定の方法により貸倒引当金を計上しております。実際に貸倒れとなった場合に、貸倒引当金計上時点における前提や見積りと大きく乖離すると、貸倒引当金が不十分となり、貸倒引当金の積増し、あるいは多額の償却をせざるを得なくなる可能性があります。また、経済状態全般の悪化に起因する担保価値の下落、あるいはその他の事由により、貸倒引当金の積増しが必要となる可能性があります。この結果、当行グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

③ 貸出先の状況の変化

 当行グループの貸出先の一部には、法的整理手続き、あるいは任意整理により再建を行っている企業もあります。当行グループの事業基盤とする地域の景気回復が遅れる場合、あるいは、こうした企業に対する他の債権者からの支援が打ち切られ、又は縮小した場合には、これらの企業の再建が奏功せず、新たな倒産が発生する可能性があります。この結果、当行グループの与信関係費用が発生したり、不良債権が増加したりする可能性があります。

④ 貸出先への権利行使の困難性

 当行グループは、貸出先に貸倒れや債務不履行が発生した場合において、貸出金の回収の効率・実効性の観点から、あるいは地域金融機関として企業の再建可能性を見極める観点から、当行グループが債権者として有する法的な権利のすべてを必ずしも直ちに実行できない可能性があります。また、有価証券市場や不動産売買市場における流動性の欠如、又は価格の大幅な下落等の事情により、担保権を設定した有価証券や不動産を換金し、又は貸出先の有するこれらの資産に対して強制執行することが事実上できない可能性があります。

⑤ 他の要因の影響

 貸出先が、法令等を遵守せず社会的信頼を失墜した場合等、通常の想定外の事由により借入債務等の返済能力に問題が生じる可能性があります。特に、米国による関税措置は世界経済に与える影響が多岐にわたり、福井県内をはじめとする地域産業にどのような形で影響が生じてくるのか見定めにくく、先行きの不確実性が高まっています。この結果、当行グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、信用リスクは業務運営において不可避のリスクであり、かつ迅速な対応が必要であることを十分認識した上で、信用リスクをコントロールできる態勢を築くことを目指しております。

 とりわけ、与信集中リスクについては、信用リスクの集中を回避し、バランスのとれた与信ポートフォリオを構築するため、「与信集中リスク管理基準」を制定し、与信集中リスクの把握・改善に取り組んでおります。

 また、信用供与にかかるリスクを客観的かつ計量的に把握するため、「信用リスク計測基準」を制定し「信用リスクの計量化」に取り組んでおります。

 なお、計測した信用リスク量については信用格付別・業種別・地域別などの信用リスクの状況を分析・評価するとともに、「リスク資本制度」のもとでリスク量による量的な管理、コントロールを行っております。

 

(3) 市場リスク

 当行グループは、債券、株式、投資信託、デリバティブ等の金融商品に係る市場業務を行っており、当該業務においては、金利、株価、為替等の変動リスクが当行グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。特に、米国による関税措置は世界経済に与える影響が多岐にわたり、日本銀行の政策金利引上げをはじめとする金融政策にどのような形で影響が生じてくるのか見定めにくく、先行きの不確実性が高まっています。こうした金融市場環境の下、内外の金利が上昇した場合には、保有する国債等の価値に想定以上の損失が生じる可能性があります。また、著しく株価が下落した場合、保有する株式に損失が生じる可能性もあります。一定の為替リスクを有しているため過度な円高の進行によっても損失が生じる可能性があります。

 そのため、当行グループでは、市場リスク管理をALM(資産・負債の総合的管理)の一環として位置付け、自己資本、収益力、預貸動向や有価証券保有状況等を踏まえたうえで、リスクとリターンのバランスを適切に保つことを方針としております。

 具体的には、預金、貸出金、有価証券等の資産・負債について銀行勘定の金利リスクに基づき、金利リスク量をコントロールしております。市場投資部門における市場リスクについては、半期毎に「経営会議」において「有価証券運用計画」を審議したうえで、ポジション枠や損失限度を設定することで市場リスク量を一定の範囲内にコントロールしております。また、市場関連取引の相互牽制のために、市場リスクの管理部署(ミドル・オフィス)は、フロント・オフィス、バック・オフィスとは組織的に分離し、日次でリスクの状況をモニタリングしております。月次では、毎月実施している「市場部門月次報告」を通じて、密なリスクコミュニケーションを行い、市場リスクのコントロールの実効性を高めるよう努めております。

 

(4) 流動性リスク

 当行グループの業績や財務状況の悪化、それに起因する当行株価の著しい下落、格付機関による当行格付の引下げ、金融市場環境の悪化等が発生した場合には、通常より著しく不利な条件で資金調達を余儀なくされる可能性があります。更には、取引を行うことができなくなることにより資金調達が制限される可能性もあります。特に米ドルをはじめとした外貨調達コストが大きく増加することで当行グループの業務遂行や業績等に影響が生じるおそれがあります。

 そのため、当行グループでは、組織的に独立したフロント・オフィス、バック・オフィス、ミドル・オフィスを設置することで、相互牽制を図りながら資金繰りリスクの管理を行っております。

 具体的には、資金繰りの状況に応じて、「平常時」「懸念時」「危機時」の区分を設定し、それぞれの区分に応じた管理手法、報告体制、決裁方法を整備しております。また、短期間で資金化可能な資産を一定額以上確保する流動性準備高の管理を通じたモニタリングを行っております。

 

(5) オペレーショナル・リスク

① 事務リスク

 当行グループ及び当行グループの役職員は、根拠となる法令や諸規則に基づいて、業務遂行及び事務処理を行っておりますが、故意又は過失による重大な事務事故が発生した場合には、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、事務管理態勢の充実強化を図り、厳正に事務を行うための内部環境の整備に取り組んでおります。

 具体的には、以下のような枠組みにより事務リスクの管理を行っております。事務ミス情報、事務事故情報、内外監査等の指摘内容、及びリスクに関する主な指標の収集を行い、傾向分析、原因分析を行っております。分析結果に基づき、リスク軽減のための対策を検討し、事務フロー・事務処理規程・事務体制面の見直し、事務指導臨店、自店検査、教育・研修、事務機器の整備、システム化、営業店事務の本部集中化、ルール遵守の徹底などを行っております。

 事務リスクの管理状況については、オペレーショナル・リスクの総合的管理部署、担当執行役及び経営会議等に報告しております。

② システムリスク

 当行グループは業務を遂行するにあたり、株式会社NTTデータが運営する地銀共同センターをはじめとして様々なシステムを用いております。これらのシステムは、ホスト・コンピュータ、サーバー等のハードウェア、ハードウェアを動作させ業務上の必要な処理を行うプログラム等のソフトウェア、及び通信回線等のネットワークから成り立っております。これらのシステムにおいて、当行グループはハードウェアの2重化、バックアップ等必要な措置を講じておりますが、ハードウェアの老朽化による障害、あるいはハードウェア、ソフトウェアの入替、更新の際の不具合を原因とする障害が発生する可能性があります。

 現在のコンピュータシステムは外部ネットワークとの連係による業務遂行の比重が高くなっておりますが、こうした外部ネットワークの障害を原因として、当行グループのコンピュータシステムに障害が発生する可能性があります。

 また、地震等の天災によりコンピュータシステムが被害を受ける可能性があります。こうした障害・被害が大規模、あるいは広範囲である場合においては、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 お客さまに質の高い金融サービスを提供していくためには、これらのシステムリスクを回避し、コンピュータシステムを安全かつ安定して稼動させることが必要不可欠であり、当行グループでは、コンピュータシステムと保有する情報の適切な保護に努めております。

 具体的には、主要機器及びネットワークに関しては常時稼動監視を行っており、障害発生時には自動的にバックアップに切替えるなど、ソフト面ハード面の両面での対応を実施しております。

 今後も情報技術の高度化やネットワークの拡大に伴い、システムリスクの多様化・複雑化が予想されますが、引き続き適切な対策を講じることにより、コンピュータシステムの安全で安定した稼動に努めてまいります。

③ 法務リスク

 当行グループは、コンプライアンスを経営の最重要課題の一つと位置づけ、法令等遵守態勢の強化を図るとともに、役職員に対するコンプライアンスの徹底に努めておりますが、これら法令等遵守が適切になされなかった場合には、罰金、違約金及び損害賠償金等の支払いを余儀なくされ、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、法令等遵守態勢の整備、お客さまからのご意見を適時・適切に反映させる仕組みを通した顧客保護等管理態勢の整備と、これら態勢整備にかかる検証を通して、態勢不備に起因する事象、損失、損害の迅速かつ適切な把握・分析を行い、法務リスクの削減に努めております。

④ 人的リスク

 当行グループは、労務関連法規・法令を踏まえた人事制度の設定及び運用を通して、適切な労務管理・人員配置・研修・教育を実施しておりますが、報酬・手当・解雇等、人事運営上の不公平・不公正から発生する問題により、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、労務関連法規・法令を踏まえた人事制度の設定及び運用、公平な人事考課、適切な人員配置、平等な成長機会提供により、人的リスクの削減に努めております。

⑤ 有形資産リスク

 当行グループは、災害等に起因する損害を最小限に抑えるため、内外の情報に基づき、そのリスクを適切に管理しておりますが、大規模な災害が発生した場合には、店舗、システム等の損壊により一部の営業が阻害され、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、災害等に起因する損害を最小限に抑えるために、内外の情報に基づき災害等の有形資産への影響を把握・分析することに努め、適切な保守・投資を継続的に実施し、資産の耐久性を保持することで、有形資産リスクの削減に努めております。

⑥ 風評リスク

 当行グループは、適切な情報開示を実施し経営の透明性を確保することにより、風評リスクの削減に努めておりますが、評判の悪化や風説の流布等で信用が低下することにより、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、適切な情報開示の実施により経営の透明性を確保するとともに、本部と営業店との間の迅速な指示・連絡体制の確立を通して、風評リスクの削減に努めております。

⑦ サイバーセキュリティリスク

 当行グループは、サイバーセキュリティの観点において、情報システムや通信ネットワーク上で取り扱われる業務データの安全性を保つためにファイアウォールの設置やウイルス対策をはじめとする様々なセキュリティ対策を講じております。しかし、サイバー空間を経由して行われる、不正侵入や情報の搾取・改ざん、DDoS攻撃等のいわゆる「サイバー攻撃」により、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、サイバー攻撃によるお客さまへの被害を防止し、安定したサービスを提供するため、金融庁が示す「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」への対応を進めることでサイバーセキュリティ管理態勢の構築・強化を図り、サイバー攻撃に備えたセキュリティ対策、及びサイバー攻撃を受けた場合の被害の拡大防止に努めてまいります。また、これらの取り組みの基盤となる「サイバーセキュリティリスク管理の基本方針」の策定も進めております。

 

(6) 自己資本比率

 当行グループは、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年(2006年)金融庁告示第19号)に基づき、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を国内基準である4%以上に維持すべくリスク管理態勢の強化・充実に努めなければなりません。

 当行グループの自己資本比率がこの水準を下回るような場合には、金融庁長官から、業務の全部、又は一部の停止等を含む様々な命令を受けることになります。この結果、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。 

 当行グループの自己資本比率に影響を与える要因には以下のものが含まれます。

・ 貸出金及び有価証券等の増加に伴うリスクアセットの増加

・ 投融資先の信用力低下に伴うリスクアセットの増加

・ リスクアセットの増加に対する収益が想定より減少

・ 不良債権処理や貸出先の信用力低下等による与信関係費用の増加

・ 有価証券評価損益の著しい悪化に伴う減損額の増加

・ 自己資本比率の基準及び算定方法の変更

・ 本項記載のその他の不利益な展開

 

(7) その他のリスク

① 当行グループの経営戦略、事業戦略が奏功しないリスク

 当行グループは、様々な経営戦略、事業戦略を実施しておりますが、各種要因によりこれらの戦略が当初想定していた結果をもたらさず、収益性が悪化した場合、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

② 退職給付債務

 当行グループは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における退職給付債務の見込額に基づき、退職給付に係る負債を計上しております。退職給付費用及び退職給付債務は、割引率、予定昇給率、退職率及び死亡率等の数理計算において用いる前提条件に基づいて算出されております。

 実際の結果が前提条件と異なる場合、前提条件が変更された場合、退職給付制度の変更が生じた場合、その影響は数理計算上の差異あるいは過去勤務費用として累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。

 また、制度内容の変更により未認識の過去勤務費用が発生する可能性があります。

③ 固定資産の減損会計

 当行グループが保有する固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。

 同会計基準では、減損の兆候が認められる資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合に帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減額した当該金額を減損損失として損益計算書に計上することとされています。今後の地価の動向や収益状況、異なる用途への転用決定によって固定資産の減損損失を計上することとなる場合には、当行グループの業績等に影響を与える可能性があります。

④ 繰延税金資産

 当行グループは、ある一定の状況において将来の合理的な期間内の課税所得に関する見通しをはじめとする様々な予測・前提に基づき、繰延税金資産を計上することが認められております。また、繰延税金資産に計上することとなった資産の内容についても、それぞれ資産として計上すべきかどうかの検討を加えて計上しております。

 実際の課税所得の結果が当初の予測・前提と大きく乖離する場合があり、また、内容面の検討の結果、繰延税金資産を認識すべきでない金額が発生する場合があります。こうした状況において、当行グループが繰延税金資産の一部、又は全額の回収ができないと判断した場合には、当行グループの繰延税金資産は減額され、この結果、当行グループの業績等に影響を与えるとともに自己資本比率の低下を招く可能性があります。

⑤ 情報管理リスク

 当行グループは、業務の特性上、多くの顧客情報や経営情報を保有しております。これらの情報管理については管理態勢を整備し、各種規程を設けるとともに研修・指導等を通じて役職員への徹底を図っておりますが、万一、外部からの不正アクセスを含め情報漏えい、紛失、改ざん、不正利用等が発生した場合には、社会的信用の失墜等により当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 外部委託に伴うリスク

 当行グループ業務の委託先について、業務の健全性及び適切性を確保し、顧客情報の管理や顧客対応が適切に行われるよう、リスク統括グループを統括部署として外部委託先管理を実施しております。この外部委託先管理に反して、委託先において委託業務の遂行に支障をきたした場合や、顧客情報等の漏えい、紛失、改ざん、不正利用等が発生した場合には、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 特定地域への依存に係るリスク

 当行グループは、特定の地域(福井県)を主な営業基盤としていることによる地域特性に係るリスクがあります。

⑧ マネー・ローンダリング及びテロ資金供与並びに経済制裁違反に係るリスク

 当行グループは、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与並びに経済制裁違反の防止が、国際社会において金融機関に求められる責務であることを認識し、国内外の法令等を遵守する態勢を整備するとともに、直面するリスクを特定・評価し、リスクに見合った低減措置を講じております。しかし、これら対策が有効に機能せず、法令違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、社会的信用の失墜等により、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 気候変動に係るリスク

 当行グループは、気候変動に伴う異常気象や自然災害の激甚化により、当行グループの営業拠点等の損壊、担保物件の毀損、取引先の事業停滞や資産の毀損等が発生し、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、気候関連の規制強化や脱炭素社会への移行により、取引先の事業や業績に影響が発生した場合、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、気候変動が事業にもたらす影響を分析し、分析を踏まえた取組を行っております。

 詳細は2「サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。

⑩ 災害等の発生に関するリスク

 当行グループは、地震、台風等の大規模自然災害や、感染症の流行、その他予測不可能な事象により、地域の経済活動が停滞することに加え、政府・行政の要請による活動の自粛や、行動制限による職員の営業活動の縮小・停止等により、当行グループの事業活動に支障が生じ、前述の各リスク発生の可能性も高まり、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当行グループでは、災害や障害等の緊急事態に陥った際に業務の早期回復を行うために、「危機管理計画」を定めて統一的な危機管理対応を実施することとしております。

⑪ その他

 当行グループは、現時点の規制に従って、また、当行グループが事業を営む地域、日本国における法律、規則、政策、実務慣行、解釈、財政及びその他の政策の変更の影響をはじめとする規制上のリスクを伴って、業務を遂行しています。規制上の変更によりどのような影響が発生し得るかについて、その種類、内容、程度等を予測することは困難であり、当行グループがコントロールし得るものではありません。将来における法律、規則、政策、実務慣行、解釈、財政及びその他の政策の変更、並びにそれらによって発生する事態が、当行グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当行グループ(当行、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

(業績等の概要)

・業績

当連結会計年度の当行及び連結子会社11社の連結ベースでの業績は、次のとおりとなりました。

損益状況につきましては、経常収益は、地域の課題解決業としてお客さまの真の課題解決に寄り添い、グループ一体となった粘り強い支援・伴走の結果として、利回り改善を図りつつ貸出金利息及び役務取引等収益を増加させたことや、過年度に償却した債権の回収による取立益を計上した結果、前年度比89億42百万円増加して、643億66百万円となりました。また、経常費用は、市場変動を考慮した有価証券ポートフォリオ再構築に向けた国債等債券売却損の計上及び預金利息の増加を主因に、前年度比58億56百万円増加して556億64百万円となりました。

この結果、経常利益は、前年度比30億86百万円増加して87億1百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度比34億49百万円増加して、71億66百万円となりました。

なお、当行グループは、総合金融サービス業の単一セグメントであるため、セグメントの業績は記載しておりません。

 

・キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により1,120億72百万円増加し、投資活動により1,333億86百万円減少し、財務活動により23億57百万円減少し、この結果、現金及び現金同等物は236億71百万円の減少となり、期末残高は8,711億94百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動においては、債券貸借取引受入担保金の増加による収入が、貸出金の増加による支出と借用金の減少による支出を上回ったことを主因に、1,120億72百万円の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動においては、有価証券の取得による支出が、有価証券の売却及び償還による収入を上回ったことを主因に、1,333億86百万円の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動においては、配当金の支払及び子会社株式の追加取得による支出、自己株式の取得による支出を主因に、23億57百万円の支出となりました。

 

 

① 国内業務・国際業務部門別収支

資金運用収支は、資金運用収益が383億24百万円、資金調達費用が29億20百万円354億3百万円の利益となりました。役務取引等収支は、役務取引等収益が114億95百万円、役務取引等費用が35億8百万円79億86百万円の利益となりました。その他業務収支は、その他業務収益が108億89百万円、その他業務費用が152億91百万円44億1百万円の損失となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

28,532

1,094

29,627

当連結会計年度

34,392

1,010

35,403

うち資金運用収益

前連結会計年度

28,647

1,772

30,419

当連結会計年度

36,624

1,736

△36

38,324

うち資金調達費用

前連結会計年度

114

677

792

当連結会計年度

2,231

725

△36

2,920

役務取引等収支

前連結会計年度

6,856

47

6,903

当連結会計年度

7,943

43

7,986

うち役務取引等収益

前連結会計年度

10,300

84

10,384

当連結会計年度

11,414

81

11,495

うち役務取引等費用

前連結会計年度

3,444

36

3,481

当連結会計年度

3,471

37

3,508

その他業務収支

前連結会計年度

△3,385

△319

△3,705

当連結会計年度

△4,870

468

△4,401

うちその他業務収益

前連結会計年度

9,742

9,742

当連結会計年度

10,198

691

10,889

うちその他業務費用

前連結会計年度

13,128

319

13,448

当連結会計年度

15,069

222

15,291

 

(注) 1 国内業務部門は当行及び国内に本店を有する連結子会社(以下、「国内連結子会社」という。)の円建取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度5百万円)を控除して表示しております。

3 資金運用収益及び資金調達費用の相殺消去額は、当行の国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。

 

 

② 国内業務・国際業務部門別役務取引の状況

役務取引等収益は114億95百万円となり、役務取引等費用は35億8百万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

10,300

84

10,384

当連結会計年度

11,414

81

11,495

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

3,272

3,272

当連結会計年度

3,844

0

3,844

うち為替業務

前連結会計年度

2,097

80

2,178

当連結会計年度

2,158

79

2,237

うち証券関連業務

前連結会計年度

1,400

1,400

当連結会計年度

1,829

1,829

うち代理業務

前連結会計年度

199

199

当連結会計年度

197

197

うち保証業務

前連結会計年度

368

3

372

当連結会計年度

349

1

351

うち保険販売業務

前連結会計年度

391

391

当連結会計年度

381

381

役務取引等費用

前連結会計年度

3,444

36

3,481

当連結会計年度

3,471

37

3,508

うち為替業務

前連結会計年度

374

8

382

当連結会計年度

398

8

406

 

(注) 国内業務部門は当行及び国内連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

 

③ 国内業務・国際業務部門別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

3,299,444

16,776

3,316,221

当連結会計年度

3,295,905

18,355

3,314,260

うち流動性預金

前連結会計年度

2,247,075

2,247,075

当連結会計年度

2,254,430

2,254,430

うち定期性預金

前連結会計年度

1,003,156

1,003,156

当連結会計年度

989,366

989,366

うちその他

前連結会計年度

49,212

16,776

65,988

当連結会計年度

52,108

18,355

70,463

譲渡性預金

前連結会計年度

95,020

95,020

当連結会計年度

96,673

96,673

総合計

前連結会計年度

3,394,465

16,776

3,411,241

当連結会計年度

3,392,578

18,355

3,410,934

 

(注) 1 国内業務部門は当行及び国内連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

3 定期性預金=定期預金+定期積金

 

④ 国内業務・国際業務部門別貸出金残高の状況

a 業種別貸出状況(末残・構成比)

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内業務部門

2,330,130

100.00

2,349,523

100.00

製造業

222,745

9.56

226,888

9.66

農業、林業

1,625

0.07

1,309

0.05

漁業

202

0.01

179

0.01

鉱業、採石業、砂利採取業

512

0.02

400

0.02

建設業

93,392

4.01

94,462

4.02

電気・ガス・熱供給・水道業

55,148

2.37

56,309

2.39

情報通信業

13,710

0.59

14,303

0.61

運輸業、郵便業

41,131

1.76

40,617

1.73

卸売業、小売業

195,172

8.38

202,509

8.62

金融業、保険業

221,412

9.50

220,246

9.37

不動産業、物品賃貸業

303,398

13.02

334,736

14.25

各種サービス業

179,207

7.69

172,162

7.33

地方公共団体

305,277

13.10

303,285

12.91

その他

697,192

29.92

682,111

29.03

国際業務部門

10,185

100.00

11,596

100.00

政府等

金融機関

その他

10,185

100.00

11,596

100.00

合計

2,340,316

―――

2,361,120

―――

 

(注) 国内業務部門は当行及び国内連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

 

b 外国政府等向け債権残高(国別)

該当ありません。

 

⑤ 国内業務・国際業務部門別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

249,437

249,437

当連結会計年度

447,013

447,013

地方債

前連結会計年度

76,837

76,837

当連結会計年度

96,302

96,302

社債

前連結会計年度

189,625

189,625

当連結会計年度

113,419

113,419

株式

前連結会計年度

51,097

51,097

当連結会計年度

45,270

45,270

その他の証券

前連結会計年度

208,220

49,248

257,469

当連結会計年度

189,524

48,642

238,166

合計

前連結会計年度

775,218

49,248

824,467

当連結会計年度

891,530

48,642

940,172

 

(注) 1 国内業務部門は当行及び国内連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

(自己資本比率の状況)

(参考)

自己資本比率は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年(2006年)金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。なお、自己資本比率規制に関する告示(平成18年(2006年)金融庁告示第19号)の改正を踏まえ、2025年3月末より、最終化されたバーゼルⅢを適用し、自己資本比率を算出しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

(単位:億円、%)

 

2024年3月31日

2025年3月31日

1 連結自己資本比率(2/3)

7.41

7.96

2 連結における自己資本の額

1,302

1,343

3 リスク・アセットの額

17,554

16,872

4 連結総所要自己資本額

702

674

 

 

単体自己資本比率(国内基準)

(単位:億円、%)

 

2024年3月31日

2025年3月31日

1 自己資本比率(2/3)

7.43

8.10

2 単体における自己資本の額

1,120

1,171

3 リスク・アセットの額

15,057

14,466

4 単体総所要自己資本額

602

578

 

 

(資産の査定)

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年(1998年)法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年(1948年)法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

2 危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

3 要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

4 正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

 

債権の区分

2024年3月31日

2025年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

3,034

3,838

危険債権

21,263

24,901

要管理債権

248

83

正常債権

2,000,380

2,038,558

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たっては、連結財務諸表に含まれる金額が、将来事象の結果に依存するために確定できない場合又は既に発生している事象に関する情報を適時に入手できないために確定できない場合等に、会計上の見積り及び仮定設定を行わなければなりません。当行グループは、過去の実績や状況を分析し合理的であると考えられる様々な要因を考慮して見積りや判断を行い、その結果が、連結財務諸表における資産・負債及び収益・費用の計上金額の基礎となります。当行グループは、連結財務諸表に含まれる会計上の見積り及び判断の適切性、必要性に対して、継続して評価を行っておりますが、実際の結果は、見積りに特有の不確実性があるために、これら見積り時の計上金額と異なる結果となる可能性があります。

当行グループは、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

a 貸倒引当金

 当行グループは、適切な償却・引当を実施するための準備作業として、自己査定を実施しております。自己査定とは、金融機関が信用リスクを管理するための手段であり、当行グループが保有する全資産の実態を、自己責任原則のもと自ら査定し、回収の危険性又は毀損の危険性の度合いに従って分類区分するプロセスであります。当行グループは、この自己査定の結果に基づき、期末現在の債権を、正常先債権、要注意先債権、破綻懸念先債権、実質破綻先債権及び破綻先債権の5つに区分し、それぞれの区分に応じて、貸倒等の実態を踏まえ債権の将来の予想損失額等を適時かつ適切に見積ることにより、信用リスクの程度に応じた貸倒引当金を計上しております。

 また、エネルギー価格等の高騰や円安による物価上昇の継続に伴う急激な経済環境の悪化等による信用リスクの高まりに対応するために、当行及び銀行業務を営む連結子会社においては、要管理先以外の要注意先債権のうち、急激な経済環境の悪化等の影響が大きいと想定している債務者に対する債権については、当該債権に要管理先債権相当の予想損失額を見込んで計上しております。

なお、貸出先等の財政状態が当初予想した範囲以上に悪化し、その支払能力が低下した場合には、貸倒引当金の積増しが必要となる可能性があります。

b 繰延税金資産

当行グループは、将来の合理的な期間内の課税所得に関する見通しをはじめとする様々な予測・前提に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有していると判断した将来減算一時差異等について、繰延税金資産を計上しております。

 繰延税金資産の計上に関する判断は、毎決算期末時点において実施しておりますが、実際の課税所得の推移等により、前連結会計年度に計上した繰延税金資産の一部、又は全額の回収ができないと判断した場合には、当行グループの繰延税金資産を取り崩し、同額を費用として計上することとなります。また、将来の課税所得は十分見込めるとしても、期末時点において、将来の一定の事実の発生が見込めないこと又は当行グループによる将来の一定の行為の実施についての意思決定又は実施計画等が存在しないことにより、将来の税金負担額の軽減の要件を充足することが見込めない場合には、同様に当行グループの繰延税金資産を取り崩し、同額を費用として計上することとなります。

c 投資の減損

当行グループは、金融機関として一定の運用収益を確保していくため、有価証券を保有しております。これらの有価証券には市場価格又は合理的に算定された価額のある有価証券と市場価格のない株式が含まれます。当行グループでは、市場価格又は合理的に算定された価額のある有価証券の時価が取得原価に比べて著しく下落しており、時価が取得原価まで回復する見込みがないものと判断したものについては、当該時価をもって連結貸借対照表価額とするとともに、評価差額を当該連結会計年度の損失として費用処理しております。また、市場価格のない株式において、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には、相当の減額を行い、同様に評価差額を当該連結会計年度の損失として費用処理しております。

将来の市況悪化や投資先の業績不振等により、現在の帳簿価額に反映されていない損失又は帳簿価額の回収不能が発生した場合には、追加的な減損処理が必要となる可能性があります。

d 退職給付に係る負債

当行グループは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における退職給付債務の見込額に基づき、退職給付に係る負債を計上しております。退職給付費用及び退職給付債務は、割引率、予定昇給率、退職率及び死亡率等の数理計算において用いる前提条件に基づいて算出されております。

実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は数理計算上の差異あるいは過去勤務費用として累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

e 固定資産の減損

当行グループは、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産の帳簿価額を、回収可能価額まで減額する会計処理を適用しております。

 同会計処理の適用に当たっては、営業活動から生ずる損益の継続的低下や地価の著しい下落等によって減損の兆候が見られる場合に減損の有無を検討しております。減損の検討には将来キャッシュ・フローの見積額を用いており、減損の認識が必要と判断された場合には、帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を減損しております。なお、回収可能価額は将来キャッシュ・フローの見積額の現在価値、又は正味売却価額のいずれか高い金額によって決定しております。

将来の営業活動から生ずる損益の悪化、使用範囲又は方法についての変更、経営環境の著しい悪化、市場価格の著しい下落等により減損の認識が必要となった場合、また、見積りの前提条件の変更等により将来キャッシュ・フローの見積額が減少することとなった場合には、追加的な減損処理が必要となる可能性があります。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績の分析

 

 

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

資金運用収支 

29,627

35,403

5,776

資金運用収益

 

30,419

38,324

7,905

資金調達費用
(金銭の信託運用見合費用控除後)

 

792

2,920

2,128

役務取引等収支

6,903

7,986

1,082

  役務取引等収益

 

10,384

11,495

1,110

  役務取引等費用

 

3,481

3,508

27

その他業務収支

△3,705

△4,401

△696

その他業務収益

 

9,742

10,889

1,146

  その他業務費用

 

13,448

15,291

1,843

連結業務粗利益(=A+B+C)

32,825

38,988

6,162

営業経費

29,943

30,773

830

人件費

 

14,314

14,718

404

物件費

 

13,962

14,425

462

税金

 

1,666

1,630

△36

貸倒償却引当費用

1,944

2,656

711

貸出金償却

 

635

948

312

  個別貸倒引当金繰入額

 

2,320

3,008

688

  その他の債権売却損等

 

36

48

11

  偶発損失引当金繰入額等(注)

 

186

181

△4

一般貸倒引当金繰入額

 

△1,234

△1,531

△296

株式等関係損益

4,125

1,092

△3,033

償却債権取立益

211

1,808

1,596

その他損益

341

243

△97

経常利益

(=D-E-F+G+H+I)

5,615

8,701

3,086

特別損益

△135

111

246

  特別利益

 

81

269

188

  特別損失

 

216

158

△57

税金等調整前当期純利益(=J+K)

5,480

8,813

3,332

法人税、住民税及び事業税

1,445

1,648

203

法人税等調整額

70

5

△65

法人税等合計(=M+N)

1,515

1,654

138

当期純利益(=L-O)

3,964

7,159

3,194

非支配株主に帰属する当期純利益

又は非支配株主に帰属する当期純損失(△)

247

△7

△254

親会社株主に帰属する当期純利益(=P-Q)

 

3,717

7,166

3,449

 

(注) 偶発損失引当金繰入額等には、信用保証協会責任共有制度負担金を含んでおります。

 

 

a 連結業務粗利益(資金運用収支+役務取引等収支+その他業務収支)

・資金運用収支

資金運用収益は、貸出金残高及び貸出金利回りが順調に推移したことによる貸出金利息収入の増加及び有価証券利息配当金の増加により、前年度比79億5百万円増加しました。資金調達費用は、預金利回りが上昇したことによる預金利息の増加により、前年度比21億28百万円増加しました。資金運用収支は前年度比57億76百万円増加して354億3百万円の収益となりました。

・役務取引等収支

役務取引等収支は、お客さまの資産形成実現のための野村證券株式会社との業務提携が順調に推移していること、及び高度化する金融ニーズへの対応としてストラクチャードファイナンスへの取組が着実に実を結んでいることによる手数料収入の増加により、10億82百万円増加して79億86百万円の収益となりました。

・その他業務収支

その他業務収支は、国債等債券売却損益の悪化により、前年度比6億96百万円減少して44億1百万円の損失となりました。

以上の結果、連結業務粗利益は、前年度比61億62百万円増加して389億88百万円となりました。

b 営業経費

営業経費は、株式会社福邦銀行との経営統合関連費用の計上による物件費の増加及びベースアップ等の実施による人件費の増加により、前年度比8億30百万円増加して307億73百万円となりました。

c 貸倒償却引当費用

貸倒償却引当費用は、再生支援と債権管理の早期着手を実施し、前年度比7億11百万円増加して26億56百万円となりました。

d 株式等関係損益

株式等関係損益は、株式等売却益が減少したことから、前年度比30億33百万円減少して10億92百万円の利益となりました。

e 償却債権取立益

償却債権取立益は、過年度に償却した債権の回収により、前年度比15億96百万円増加18億8百万円となりました。

f 経常利益

以上の結果、経常利益は、前年度比30億86百万円増加して87億1百万円の利益となりました。

g 特別損益

特別損益は、固定資産処分損益の増加等により、前年度比2億46百万円増加して1億11百万円の利益となりました。

h 親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度比34億49百万円増加して71億66百万円となりました。

 

③ 当連結会計年度の財政状態の分析

 

 

前連結会計年度

(億円)(A)

当連結会計年度

(億円)(B)

増減(億円)

(B)-(A)

預金等

34,112

34,109

△3

 うち預金

33,162

33,142

△19

 うち譲渡性預金

950

966

16

貸出金

23,403

23,611

208

有価証券

8,244

9,401

1,157

総資産

41,643

42,867

1,224

純資産

1,415

1,364

△50

 

 

a 預金・譲渡性預金

譲渡性預金を含めた預金等は、前連結会計年度末比3億円減少して当連結会計年度末残高は3兆4,109億円となりました。

(預金の残高(末残))

 

種類

前連結会計年度
(億円)(A)

当連結会計年度
(億円)(B)

増減(億円)
(B)-(A)

預金残高(末残)

33,162

33,142

△19

  うち個人預金

22,159

22,080

△79

  うち法人預金

11,002

11,062

59

譲渡性預金残高(末残)

950

966

16

総合計

34,112

34,109

△3

 

 

(預り資産の残高(末残))

 

種類

前連結会計年度
(億円)(A)

当連結会計年度
(億円)(B)

増減(億円)
(B)-(A)

公共債

73

70

△3

投資信託

145

133

△11

個人年金保険等

929

875

△53

金融商品仲介業務における預り資産残高(注)

4,503

4,875

371

      総合計

5,652

5,955

303

 

(注)当行の証券口座は、野村證券株式会社との包括的業務提携により、2023年11月13日付けで野村證券株式会社を委託元とする金融商品仲介口座へ移管しました。金融商品仲介業務における預り資産残高は、当行と野村證券株式会社旧福井支店からの移管口座の残高等を合算して記載しております。

 

 

b 貸出金

貸出金は、事業性貸出が順調に推移したことから、前連結会計年度末比208億円増加して当連結会計年度末残高は2兆3,611億円となりました。

(貸出金の残高(末残))

 

 

前連結会計年度
(億円)(A)

当連結会計年度
(億円)(B)

増減(億円)
(B)-(A)

貸出金残高(末残)

23,403

23,611

208

 うち中小企業等向け残高

16,219

16,209

△10

  うち消費者ローン残高

6,891

6,741

△150

   うち住宅ローン残高

6,458

6,289

△169

   うちその他ローン残高

433

452

19

 

 

c 有価証券

有価証券は、市場動向を注視しつつ安定的な収益確保に努めた結果、前連結会計年度末比1,157億円増加して当連結会計年度末残高は9,401億円となりました。

(有価証券の残高(末残))

 

種類

前連結会計年度
(億円)(A)

当連結会計年度
(億円)(B)

増減(億円)
(B)-(A)

国債

2,494

4,470

1,975

地方債

768

963

194

社債

1,896

1,134

△762

株式

510

452

△58

その他の証券

2,574

2,381

△193

合計

8,244

9,401

1,157

 

 

d 不良債権額

当行グループの金融再生法開示債権の合計は、前連結会計年度末比32億90百万円増加して417億22百万円となりました。総与信残高に占める割合は、前連結会計年度末比0.11ポイント増加して1.71%となりました。

(金融再生法開示債権の状況)

 

 

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権額

 

5,854

6,509

654

危険債権額

 

30,047

33,935

3,887

三月以上延滞債権額

 

38

71

33

貸出条件緩和債権額

 

2,490

1,205

△1,285

金融再生法開示債権合計

38,431

41,722

3,290

総与信残高(末残)

2,401,276

2,432,834

31,558

金融再生法開示債権比率

=①/②×100(%)

1.60

1.71

0.11

 

 

 

e 繰延税金資産

繰延税金資産については、貸倒引当金に係るものが大部分を占めております。当連結会計年度においては、その他有価証券評価差額金にかかる繰延税金負債が減少したことから、繰延税金資産と繰延税金負債の差額は41億円増加して、純額で61億37百万円の繰延税金資産となりました。

(繰延税金資産及び繰延税金負債の合計額)

 

 

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

繰延税金資産合計

7,068

6,917

△151

  繰延税金資産小計

 

14,925

13,891

△1,034

    うち貸倒引当金

 

7,800

6,911

△888

  評価性引当額

 

△7,857

△6,974

882

繰延税金負債合計

5,031

779

△4,251

繰延税金資産の純額
繰延税金負債の純額(△)

①-②

2,036

6,137

4,100

 

 

④ 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析

営業活動によるキャッシュ・フローは、債券貸借取引受入担保金の増加による収入が、貸出金の増加による支出と借用金の減少による支出を上回ったことを主因に、1,120億72百万円の収入となりました。また、前年度比では、債券貸借取引受入担保金が純減から純増に転じたことなどから、816億95百万円の収入の増加となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出が、有価証券の売却及び償還による収入を上回ったことを主因に、1,333億86百万円の支出となりました。また、前年度比では、有価証券の取得による支出が減少したことから、1,079億41百万円の支出の減少となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払及び子会社株式の追加取得による支出、自己株式の取得による支出を主因に、23億57百万円の支出となりました。また、前年度比では、子会社株式の追加取得による支出及び自己株式の取得による支出が増加したことから、13億55百万円の支出の増加となりました。

以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前年度比236億71百万円減少して8,711億94百万円となりました。

当行グループの収益の根源となる貸出金や有価証券の運用資金については、大部分をお客さまからの預金にて調達しており、必要に応じて日銀借入金や金融市場から資金調達を行っております。

なお、当面の設備投資、成長分野への投資並びに株主還元等は自己資金で対応する予定であります。

 

(連結キャッシュ・フローの状況)

 

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

営業活動によるキャッシュ・フロー

30,377

112,072

81,695

投資活動によるキャッシュ・フロー

△241,327

△133,386

107,941

財務活動によるキャッシュ・フロー

△1,001

△2,357

△1,355

現金及び現金同等物に係る換算差額

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

△211,952

△23,671

188,280

現金及び現金同等物の期首残高

1,106,819

894,866

△211,952

現金及び現金同等物の期末残高

894,866

871,194

△23,671

 

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(経営方針)をご参照ください。

 

 

5 【重要な契約等】

当行は、2024年5月10日開催の取締役会において、株式会社福邦銀行(以下「福邦銀行」といい、当行と福邦銀行を総称して「両行」という。)の株主総会の承認が得られることを前提として、株式交換を行うことを決議し、同日、両行の間で株式交換契約書を締結いたしました。なお、2024年6月19日に開催された福邦銀行の定時株主総会にて、株式交換契約は承認され、2024年10月1日付で株式交換を実施いたしました。本件の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

また、2024年11月8日開催の両行の取締役会において、必要となる関係当局の許認可の取得等を前提として、当行を吸収合併存続会社、福邦銀行を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、同日付で両行の間で合併契約書を締結いたしました。本件の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。