第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

 

1.経営の基本方針

当行は、地域金融機関として地域経済活性化への貢献を第一義としており、「社会的公共性を重んじ健全経営をすすめる」「お客様に親しまれ、喜ばれ役にたつ銀行をつくる」「人間関係を尊重し働きがいある職場をつくる」という経営理念のもと、地域経済やお客さまとの深度あるリレーションを基にした、地域のお客さまの更なる発展のための付加価値の高い金融サービスを通して、安定的な収益の確保と強固な財務基盤を確立し、企業価値の向上を図ります。

また、株主の皆さまやお取引先の皆さまに対する適時適切な情報開示や企業説明会を通じて、当行の経営内容に対する理解を深めていただくとともに、適切な経営管理のもと、法令等遵守、お客さま保護の徹底及びリスク管理態勢の強化を図り、自己責任原則に基づいた経営を行っております。

 

2.中長期的な経営戦略

2023年4月より、第28次中期経営計画「SHINKA~絆をつむぐ~」をスタートさせました。

地域金融機関として持続的な発展を遂げるため、当行が地域社会に存在している「意義」や未来に向けての「志」をパーパスとして定義し、浸透を図っていくとともに、基本方針として「ソリューション営業の高度化」、「人的資本の充実」、「サステナビリティ経営の実践」の3つを掲げ、実行してまいります。

(1)パーパス

「地域を愛し、お客さまの未来をともに考え、共創します」

(2)ソリューション営業の高度化

お客さまの過去から現在までをよく知ったうえで、お客さまの未来をともに考え、課題の発掘と解決のサイクルを回していきます。ソリューション営業の量的拡大と質的向上を通じて、多様化・高度化するお客さまの顕在ニーズ・潜在ニーズに対応し、当行の企業価値向上につなげてまいります。

(3)人的資本の充実

人財の力を最大限に引き出すための人事制度改定等を進め、人的資本投資を加速していきます。人的資本投資を通じて、従業員エンゲージメント・ウェルビーイングを向上させ、当行に対するお客さまのエンゲージメント・お客さま自身のウェルビーイングにつなげ、当行の企業価値を向上させる好循環を生み出してまいります。

(4)サステナビリティ経営の実践

DXによる業務効率化やアライアンス戦略への取り組みを加速させ、当行が永年培ってきた経営基盤をさらに強化するとともに、地域の「環境」「社会」「経済」の持続的な発展に寄与する事業展開を進めることで、当行の企業価値向上につなげてまいります。

 

3.目標とする経営指標

第28次中期経営計画「SHINKA~絆をつむぐ~」では、2026年3月期に達成すべき指標を以下の通りに定めております。

[コア業務純益40億円以上]

第28次中期経営計画は、創立100周年に向けた2ndフェーズとして、1stフェーズで底上げを図った収益基盤の維持・拡大を図っていく重要な期間と位置づけ、各種施策の展開によるトップライン収益増強と、経営効率化による経費削減を推し進めてまいります。

[当期純利益25億円以上]

臨時的な損益や税金等を加味した最終利益の積み上げにより、内部留保金を確保し、自己資本の充実を図るとともに、株主の皆さまへの安定的な配当を継続してまいります。

[県内中小企業等向け貸出金残高1兆円以上]

静岡県内の中小企業等向け貸出は、当行のコア業務であり、今後もリスクに見合った適正なリターンを確保しつつ、県内の中小企業等に対し積極的な資金供給を行い、収益力の強化を図ってまいります。

[連結自己資本比率8%以上]

地域金融機関として、引き続き中小企業等に対する資金供給を積極的に行い、リスク・アセットを積み上げながらも、自己資本比率8%台を堅持し、健全性を確保してまいります。

 

第150期実績
(2025年3月期)

第151期目標
(2026年3月期)

コア業務純益

18億円

40億円以上

当期純利益

18億円

25億円以上

県内中小企業等向け貸出金残高

9,443億円

1兆円以上

連結自己資本比率

8.53%

8%以上

 

 

4.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当行は、お客さまの経営課題やライフステージの悩み事を解決する金融サービスの提供を通じて、収益力の底上げを図り、お客さまとともに、着実に一歩ずつ前進してまいりました。金融機関を取り巻く環境は、日本銀行による政策金利の引上げや企業による高水準の賃上げなど様々な変化に直面しております。また、物価上昇の継続や海外の通商政策、中東地域を巡る情勢等の影響により、先行き不透明な状況にあります。

このような認識のもと、当行は、2023年4月よりスタートさせた第28次中期経営計画「SHINKA~絆をつむぐ~」において、基本方針に「ソリューション営業の高度化」、「人的資本の充実」、「サステナビリティ経営の実践」を掲げ各種施策を展開しております。成長の源泉となる従業員への投資を加速させ、組織全体の力を高めることで、お客さまへのソリューション営業を高度化させるとともに、地域の「環境」「社会」「経済」の持続的発展に寄与するサステナビリティ経営を実践してまいります。

今後も金融機関としての社会的責任を十分に認識し、強固なコンプライアンス態勢の維持とガバナンスの強化を進めるとともに、パーパス「地域を愛し、お客さまの未来をともに考え、共創します」のもとで、全従業員がお客さまのサステナブルな未来を考え抜き、ステークホルダーの皆さまの信頼と期待にお応えしてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

 

1.ガバナンス

気候変動をはじめとする環境問題への対応について、清水銀行グループでは環境負荷低減に資する地域経済への支援や地域社会への貢献活動等、様々な取り組みを行っております。

2023年4月より開始した第28次中期経営計画においても、「サステナビリティ経営の実践」を基本方針の一つとし、「清水銀行SDGs宣言」「清水銀行サステナビリティ方針」の具現化に向け、持続可能な社会の実現及びビジネスの構築に向けて取り組んでおります。

2024年4月には、頭取を議長とする拡大経営会議にサステナビリティ部門を新設いたしました。拡大経営会議(サステナビリティ部門)は原則6か月に1回以上開催し、サステナビリティに関する重点施策や開示内容について付議・報告する体制としました。

 

2.戦略

(1)気候変動関連

①リスクと機会

気候変動対策を含む環境保全を重要な経営課題の一つとして捉えるなか、「清水銀行サステナビリティ方針」において「環境方針」を制定し、気候変動に伴う様々なリスク ・機会を以下の通り認識したうえで、適切なリスク管理に取り組んでまいります。

分類

内容

時間軸

移行
リスク

技術や市場、製品・サービスの変化やCO₂排出規制の強化等によるお客さまの財務内容悪化

中・長期

CO2多排出産業への投融資継続による当行のレピュテーショナルリスクの増加

中・長期

物理的
リスク

自然災害の頻発化、激甚化に起因した資産の毀損、事業の停滞等による、お客さまの信用リスクの増加

短期・中・長期

自然災害の頻発化、激甚化に起因した当行営業資産の毀損によるオペレーショナルリスクの増加

短期・中・長期

機会

脱炭素社会の実現に向けたお客さまへのファイナンスやサービス提供等のビジネス機会の増加

短期・中・長期

サステナビリティ経営の実践による当行の企業価値の向上

中・長期

省・再生可能エネルギーの導入による当行の事業コストの削減

短期・中・長期

 

 

②シナリオ分析

TCFD提言に基づき、一定のシナリオのもと、移行リスク・物理的リスクについて、次のとおりシナリオ分析を実施いたしました。

 

 

移行リスク

物理的リスク

 

イベント

炭素税などの対価が発生、増加

脱炭素社会移行に向けた設備投資や新たな技術等の費用

100年に一度の洪水が今後25年以内に発生し、取引先の本社が浸水することで事業停止を余儀なくされる

シナリオ算定方法

2050年IEA(国際エネルギー機関)ネットゼロシナリオ(NZE)1.5℃を使用

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による4℃シナリオを使用

分析対象

貸出のある一般事業法人のうち、電力セクター

貸出のある一般事業法人のうち、与信50百万円以上

信用コスト影響額

2050年までに最大3億円の増加

最大21億円の増加

 

 

③炭素関連資産

当行の与信残高に占める炭素関連資産(電気・ガス・エネルギー等、但し再生可能エネルギー発電事業向けを除く)は2024年3月末現在で0.77%となっております。
 ※2024年度の実績は2025統合報告書にて開示予定です。

(2)人的資本関連

①人材育成方針

当行は、行員一人ひとりを資本として捉えた『人財育成』を経営の最重要テーマと位置付けており、お客さまの未来をともに考えることができる人財の育成を目指しております。一人ひとりが高い『志』を持ち、『考え抜く力』、『苦難に耐え抜く力』、『挑戦し続ける力』を備えた行員の育成に取り組んでまいります。また、性別、年齢、国籍などの属性を問わず採用及び育成し、より一層の活躍の場の提供に努力してまいります。

②社内環境整備方針

当行は、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、従業員エンゲージメント・ウェルビーイング向上のための投資を加速し、人事制度の見直しや研修制度の進化を進めることで、行員一人ひとりの成長と働きがいを組織的にサポートしてまいります。

 

3.リスク管理

気候変動に起因するリスクが、当行グループの事業や財務に影響を及ぼす可能性があることを認識しております。当該リスクに係る情報収集と分析をすすめ、統合的リスク管理の枠組みにおいて管理する態勢の構築を検討してまいります。

「清水銀行サステナビリティ方針」において、「責任ある投融資方針」として、気候変動に影響を与えるセクター(石炭火力発電等)に対するクレジットポリシーを定めております。

 

4.指標及び目標

当行グループでは、地域やお客さまが抱える環境課題・社会課題等の解決に向けた取り組みを支援する投融資を「サステナブル投融資」と定義し、以下の目標を設定しております。

目標金額

サステナブル投融資累計金額 : 3,000億円

期間

2021年度~2030年度(10年間)

実績

2021年度~2024年度:1,252億円

 

 

また、CO2の排出量について2013年度比46%削減することを目標として設定しており、CO2排出量の推移は以下のとおりであります。

    <CO₂排出量(Scope1,2)>                        (単位:t-CO₂)

 

2013年度

2017年度

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

Scope1

399

290

305

290

266

251

256

251

Scope2

2,953

3,484

3,084

2,819

2,678

1,937

1,066

807

合計

3,353

3,774

3,389

3,109

2,945

2,189

1,323

1,059

2013年度比削減率

-

▲12.5%

▲1.0%

7.2%

12.1%

34.7%

60.5%

68.4%

 

 

   <CO₂排出量(Scope3)>  (単位:t-CO₂)

計測項目

2023年度

カテゴリー6(出張)

26

カテゴリー7(通勤)

443

 

※2024年度の実績は2025統合報告書にて開示予定です。

 

当行グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績
(当連結会計年度)

事業承継・M&Aエキスパート資格保有者数

300

256

正行員に占める女性の割合

35.0

35.7

特定検診受診率

98.0

97.0

ストレスチェック受診率

95.0

90.8

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであります。

 

1.信用リスク及び市場リスク

当行グループは、当該リスクについて、統計的手法であるVaRを用いて、ある確率(信頼区間99%)のもと一定期間(例えば1年間)に被る可能性のある最大損失(リスク量)を見積もり・把握しております。

これらのリスクが顕在化した場合、当行グループの業績・業務運営に影響を及ぼす可能性があるため、当行グループの業務の継続性を確保する観点から、リスク量が自己資本の範囲内に収まるよう資本配賦制度(リスク量に対する資本の割り当て)を用いた業務運営を行い、経営戦略と一体になったリスク管理を実践しております。

なお、経営者は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であり、これらのリスク管理体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。

(1)信用リスク

①不良債権

当行グループの不良債権は、国内景気や地域経済の動向、あるいは不動産価格・株価の変動、並びに融資先の経営状況の変化などによって増加する可能性があります。その結果、与信関係費用が増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

②貸倒引当金の状況

当行グループは、融資先の信用状態、担保の価値・保証の状況並びに貸出金の過去の貸倒実績率に基づき、貸倒引当金を計上しておりますが、経済動向によっては実際の貸倒れが当該見積りと乖離することがあり、計上した貸倒引当金の積み増しが必要となる可能性があります。

③権利行使の困難性

当行グループが、担保設定された不動産や有価証券などの資産を売却して資金回収する場合、不動産市場や有価証券市場の相場変動などにより、即時行使できない可能性があります。

(2)市場リスク

銀行の業務運営は、経済動向、金利、為替などの金融経済環境の変化から大きな影響を受ける可能性があります。当行グループは、市場性のある有価証券を保有していることから、金利、株価及び為替の動向による急激な価格変動により、保有有価証券に評価損が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.自己資本比率に関するリスク

当行グループは、海外営業拠点を有しておりませんので、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を銀行法第十四条の二の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められている国内基準(4%)以上に維持する必要があります。

当行グループの自己資本比率は、現在この基準を大幅に上回っておりますが、貸出先の信用力の変動に伴う与信関係費用の増減、保有する有価証券の価値変動に伴う減損額の計上、貸出金や有価証券等の増減、繰延税金資産計上額の制限などにより、自己資本比率に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.繰延税金資産に関するリスク

当行グループは、現時点の会計基準に基づき、将来実現すると見込まれる税金費用の減少を繰延税金資産として計上しております。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得予想を含む様々な仮定に基づいて行っており、実際の結果と異なる可能性があります。

今後、繰延税金資産の一部又は全部の回収が出来ないと判断した場合や会計基準等が変更された場合、繰延税金資産が減額され、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.流動性リスク

当行グループの資金の運用と調達における期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金の確保が困難となる場合や、市場の混乱により通常よりも不利な条件での取引を余儀なくされる可能性があります。

 

5.事務・システムリスク

当行グループの役職員が正規の事務処理を怠る、あるいは不正を行うことで事故が発生した場合、事後処理及び原状回復、損害補填費用等の発生により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

コンピュータシステムの事故・故障の発生、不正使用やコンピュータ犯罪等による情報の破壊や流出、決済機能をはじめとしたサービスの停止で社会的信用の失墜や不測の損失を被る可能性があります。

 

6.法務リスク

当行グループは、様々な規則・法令等を遵守した上で業務を遂行しており、コンプライアンスを経営の最重要課題としてその徹底に努めております。これらが不十分な場合、あるいは将来における法律、規則、実務慣行、解釈、財政及びその他の政策等が変更された場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

7.当行の経営戦略が奏功しないリスク

当行グループは、「第2 事業の状況 /1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の「1.経営の基本方針」及び「4.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」にかかる認識を踏まえつつ、当行グループの中長期的な経営戦略をより具体化することを目的として、「ソリューション営業の高度化」、「人的資本の充実」、「サステナビリティ経営の実践」を基本方針とする第28次中期経営計画「SHINKA~絆をつむぐ~」を2023年4月からスタートさせました。しかしながら、当該計画に基づく各種施策が奏功しない場合、当初想定した結果が得られない可能性があります。また、そのような可能性が現実化した場合、当行グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

8.その他のリスク

(1)格付低下リスク

格付機関が当行グループの格付を引き下げた場合、当行グループの資本・資金調達等において、不利な条件での取引を余儀なくされたり、取引が制約される可能性があります。このような事態が生じた場合、資本・資金調達費用が増加したり、資金調達そのものが困難になる等、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)情報資産に関するリスク

当行グループの顧客情報などの漏洩、紛失、不正使用などが発生した場合、社会的信用が失墜し不測の損失を被る可能性があります。

(3)風評リスク

当行グループに対する悪評、信用不安に繋がる噂などが広がった場合、風評の内容、対処法によっては不測の事態が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)年金債務

当行グループの年金資産等の時価が下落した場合、当行グループの年金資産の運用利回りが低下した場合、予定給付債務を計算する前提となる保険数理上の前提・仮定に変更があった場合、年金制度の変更により未認識の過去勤務費用が発生した場合、金利環境の変動その他の要因などが生じた場合、年金の未積立債務及び年間積立額に影響を及ぼす可能性があります。

(5)固定資産の減損会計

当行グループは、固定資産を保有しており、現時点の会計基準に基づき、固定資産の減損を行っております。保有している固定資産の価格が大幅に下落した場合、固定資産の減損会計基準等が変更された場合、減損損失の計上を余儀なくされ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)災害等に関するリスク

大規模な災害、感染症の流行等が発生した場合は、当行グループの営業インフラが被害を受ける可能性があります。当行グループの営業地域は予想される東海地震の想定震源域上に点在しており、大規模地震の発生等により、社会的ライフラインが被害を被れば、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)競争に伴うリスク

近年の金融制度は大幅な規制緩和が進められており、金融業界は競争が激化しております。規制緩和による業務範囲の拡大で従来想定していないリスクに晒されたり、他業種、他業態を交えた競争において、当行グループが競争優位を得られない場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)地域の経済動向に関するリスク

当行グループは、静岡県を主たる営業基盤としており、静岡県の景気動向及び各産業の動向が貸出金の増減や信用リスクに影響を及ぼした場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)マネーローンダリング及びテロ資金供与対策に係るリスク

マネーローンダリング及びテロ資金供与対策に関連した法令等を遵守できない場合には、当行グループの信用や業績、業務運営に影響を及ぼす可能性があります。当行は、マネーローンダリング及びテロ資金供与対策について、リスクベース・アプローチに基づく強固な内部管理態勢の構築に取り組んでおります。

(10)気候変動に関するリスク

地球温暖化の進行やそれによる自然災害の増加など、気候変動がもたらす被害は年々拡大しており、当行グループの業務運営への影響に加え、当行取引先の事業活動や業況の悪化等による信用リスクの増加などにより、当行の業績や財務内容に影響を及ぼす可能性が増加しております。当行では気候変動問題への対応を進めるため、2022年2月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明しており、気候変動が当行グループの事業活動に与える影響を踏まえてリスクを管理しております

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当行グループ(当行及び連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

[経営成績]

 当期中におけるわが国経済は、物価上昇の継続や海外経済の減速等の影響により、一部で足踏みが見られましたが、高水準の賃上げによる個人消費の下支えや設備投資の増加、インバウンド需要の高まりにより緩やかに回復しました。

 当行の主要営業基盤である静岡県経済につきましても、物価上昇や海外経済の不透明感から輸出や生産などで一部弱さが見られたものの、個人消費の持ち直しや製造業を中心とした設備投資の増加により、総じて緩やかに回復しました。

 金融環境につきましては、日本銀行により政策金利が段階的に0.5%にまで引き上げられ、本格的な金利のある世界

が到来しています。期末における国内長期金利は、1.485%となりました。一方で、国際情勢が不安定化するなか、景

気の先行きに対する不透明感が強まっており、これを背景に、株式市場や債券市場ではボラティリティの高い状況が

続いています。

 

このような状況のなか、当行グループの経常収益は、貸出金利息及び役務取引等収益は増加したものの、有価証券関連収益の減少等により前期比7億61百万円減少の291億43百万円となりました。経常費用は、資金調達費用及び与信費用の減少等により前期比71億93百万円減少の268億42百万円となりました。この結果、経常利益は23億円、親会社株主に帰属する当期純利益は18億61百万円となりました。

 

セグメントについては、次のとおりであります。

<銀行業>

経常収益は、貸出金利息及び役務取引等収益は増加したものの、有価証券関連収益の減少等により前期比8億53百万円減少の228億87百万円、経常利益は、20億34百万円となりました。

<リース業・クレジットカード業>

経常収益は、リース料収入の増加等により、前期比43百万円増加の67億73百万円、経常利益は、前期比87百万円増加の2億72百万円となりました。

<その他>

その他の事業は、信用保証業務等であります。経常収益は、前期比16百万円増加の12億16百万円、経常利益は、前期比16百万円減少の2億45百万円となりました。

 

[財政状態]

預金につきましては、地域に密着した営業基盤の拡充に努めた結果、前期末比530億円増加の1兆5,950億円となりました。

個人預かり資産につきましては、お客さまの多様化するニーズにお応えするなか、投資信託、個人年金保険等が増加した結果、前期末比311億円増加の1兆4,114億円となりました。

貸出金につきましては、地域金融機関としてお客さまの資金需要に積極的にお応えした結果、前期末比81億円増加
1兆2,532億円となりました。

有価証券につきましては、市場動向を注視しつつ、機動的な運用を行った結果、前期末比134億円減少の2,633億円となりました。

 

[キャッシュ・フローの状況]

営業活動によるキャッシュ・フローは、預金の増加等により、前期比2,171億48百万円増加の738億52百万円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却による収入の減少等により、前期比562億62百万円減少の47億42百万円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出の増加等により、前期比4億22百万円減少の△11億18百万円となりました。

これらの結果、「現金及び現金同等物」の当期末残高は、前期末774億76百万円増加の2,424億82百万円となりました。

 

① 国内業務部門・国際業務部門別収支

国内業務部門の資金運用収支は132億69百万円、役務取引等収支は49億54百万円、その他業務収支は△7億60百万円となりました。

また、国際業務部門の資金運用収支は10億91百万円、役務取引等収支は47百万円、その他業務収支は△13億49百万円となりました。

この結果、全体の資金運用収支は143億61百万円、役務取引等収支は50億2百万円、その他業務収支は△21億10百万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

13,453

194

13,647

当連結会計年度

13,269

1,091

14,361

うち資金運用収益

前連結会計年度

13,748

2,254

△5

15,997

当連結会計年度

14,747

1,133

△37

15,843

うち資金調達費用

前連結会計年度

295

2,059

△5

2,349

当連結会計年度

1,477

42

△37

1,482

役務取引等収支

前連結会計年度

4,758

41

4,800

当連結会計年度

4,954

47

5,002

うち役務取引等収益

前連結会計年度

11,386

54

11,440

当連結会計年度

11,413

60

11,473

うち役務取引等費用

前連結会計年度

6,627

12

6,639

当連結会計年度

6,458

12

6,471

その他業務収支

前連結会計年度

90

△8,111

△8,020

当連結会計年度

△760

△1,349

△2,110

うちその他業務収益

前連結会計年度

119

119

当連結会計年度

54

54

うちその他業務費用

前連結会計年度

28

8,111

8,140

当連結会計年度

815

1,349

2,164

 

(注) 1.国内業務部門は国内店の円建取引、国際業務部門は国内店の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。

2.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を控除して表示しております。

3.資金運用収益及び資金調達費用の相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。

 

 

② 国内業務部門・国際業務部門別資金運用/調達の状況

国内業務部門の資金運用勘定平均残高は1兆7,641億49百万円、利回りは0.83%、資金調達勘定平均残高は1兆7,503億79百万円、利回りは0.08%となりました。

また、国際業務部門の資金運用勘定平均残高は474億93百万円、利回りは2.38%、資金調達勘定平均残高は486億48百万円、利回りは0.08%となりました。

その結果、全体の資金運用勘定平均残高は1兆7,645億43百万円、利回りは0.89%、資金調達勘定平均残高は1兆7,519億28百万円、利回りは0.08%となりました。

 

a. 国内業務部門

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

1,698,990

13,748

0.80

当連結会計年度

1,764,149

14,747

0.83

うち貸出金

前連結会計年度

1,207,677

11,759

0.97

当連結会計年度

1,210,126

12,112

1.00

うち商品有価証券

前連結会計年度

596

2

0.39

当連結会計年度

561

2

0.38

うち有価証券

前連結会計年度

271,795

1,737

0.63

当連結会計年度

259,402

1,954

0.75

うちコールローン

前連結会計年度

当連結会計年度

17,131

64

0.37

うち預け金

前連結会計年度

168,183

207

0.12

当連結会計年度

229,788

486

0.21

資金調達勘定

前連結会計年度

1,852,820

295

0.01

当連結会計年度

1,750,379

1,477

0.08

うち預金

前連結会計年度

1,534,769

225

0.01

当連結会計年度

1,564,833

1,276

0.08

うち譲渡性預金

前連結会計年度

3,423

0

0.00

当連結会計年度

31,321

19

0.06

うちコールマネー

前連結会計年度

141,368

△33

△0.02

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

120,496

49

0.04

当連結会計年度

118,235

88

0.07

 

(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2.資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度1,750億68百万円、当連結会計年度39億36百万円)を、資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度10億円、当連結会計年度10億円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を、それぞれ控除して表示しております。

 

 

b. 国際業務部門

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

91,420

2,254

2.46

当連結会計年度

47,493

1,133

2.38

うち貸出金

前連結会計年度

27,011

977

3.62

当連結会計年度

31,016

1,001

3.22

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

63,480

1,266

1.99

当連結会計年度

14,515

122

0.84

うちコールローン

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

当連結会計年度

資金調達勘定

前連結会計年度

92,713

2,059

2.22

当連結会計年度

48,648

42

0.08

うち預金

前連結会計年度

1,517

5

0.35

当連結会計年度

1,517

4

0.30

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

当連結会計年度

 

(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2.資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度3百万円、当連結会計年度3百万円)を控除して表示しております。

3.国際業務部門の外貨建取引の平均残高は、月次カレント方式(前月末TT仲値を当該月のノンエクスチェンジ取引に適用する方式)により算出しております。

 

 

c. 合計

 

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り
(%)

小計

相殺
消去額
(△)

合計

小計

相殺
消去額
(△)

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

1,790,410

△50,680

1,739,730

16,002

△5

15,997

0.91

当連結会計年度

1,811,642

△47,099

1,764,543

15,880

△37

15,843

0.89

うち貸出金

前連結会計年度

1,234,689

1,234,689

12,737

12,737

1.03

当連結会計年度

1,241,143

1,241,143

13,114

13,114

1.05

うち商品有価証券

前連結会計年度

596

596

2

2

0.39

当連結会計年度

561

561

2

2

0.38

うち有価証券

前連結会計年度

335,275

335,275

3,003

3,003

0.89

当連結会計年度

273,917

273,917

2,077

2,077

0.75

うちコールローン

前連結会計年度

当連結会計年度

17,131

17,131

64

64

0.37

うち預け金

前連結会計年度

168,183

168,183

207

207

0.12

当連結会計年度

229,788

229,788

486

486

0.21

資金調達勘定

前連結会計年度

1,945,534

△50,680

1,894,853

2,355

△5

2,349

0.12

当連結会計年度

1,799,027

△47,099

1,751,928

1,519

△37

1,482

0.08

うち預金

前連結会計年度

1,536,286

1,536,286

231

231

0.01

当連結会計年度

1,566,350

1,566,350

1,280

1,280

0.08

うち譲渡性預金

前連結会計年度

3,423

3,423

0

0

0.00

当連結会計年度

31,321

31,321

19

19

0.06

うちコールマネー

前連結会計年度

141,368

141,368

△33

△33

△0.02

当連結会計年度

-

-

うち借用金

前連結会計年度

120,496

120,496

49

49

0.04

当連結会計年度

118,325

118,325

88

88

0.07

 

(注) 1.相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息であります。

2.資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度1,750億72百万円、当連結会計年度39億40百万円)を、資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度10億円、当連結会計年度10億円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を、それぞれ控除して表示しております。

 

③ 国内業務部門・国際業務部門別役務取引の状況

国内業務部門の役務取引等収益は114億13百万円、役務取引等費用は64億58百万円となりました。

また、国際業務部門の役務取引等収益は60百万円、役務取引等費用は12百万円となりました。

この結果、全体の役務取引等収益は114億73百万円、役務取引等費用は64億71百万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

11,386

54

11,440

当連結会計年度

11,413

60

11,473

うち預金・
貸出業務

前連結会計年度

1,047

1,047

当連結会計年度

1,024

1,024

うち為替業務

前連結会計年度

739

54

793

当連結会計年度

786

33

819

うち証券関連業務

前連結会計年度

945

945

当連結会計年度

1,189

1,189

うち代理業務

前連結会計年度

977

977

当連結会計年度

912

912

うち保護預り・
貸金庫業務

前連結会計年度

68

68

当連結会計年度

65

65

うち保証業務

前連結会計年度

395

395

当連結会計年度

403

27

431

うちリース業務

前連結会計年度

4,745

4,745

当連結会計年度

4,720

4,720

役務取引等費用

前連結会計年度

6,627

12

6,639

当連結会計年度

6,458

12

6,471

うち為替業務

前連結会計年度

64

12

76

当連結会計年度

99

12

112

 

(注)   国内業務部門は国内店の円建取引、国際業務部門は国内店の外貨建取引から各々発生した役務取引であります。ただし、円建対非居住者取引から発生した役務取引は国際業務部門に含めております。

 

④ 国内業務部門・国際業務部門別預金残高の状況

○  預金の種類別残高(末残)

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

1,540,875

1,098

1,541,974

当連結会計年度

1,593,450

1,567

1,595,017

うち流動性預金

前連結会計年度

851,233

851,233

当連結会計年度

921,885

921,885

うち定期性預金

前連結会計年度

678,740

678,740

当連結会計年度

654,794

654,794

うちその他

前連結会計年度

10,901

1,098

12,000

当連結会計年度

16,770

1,567

18,338

譲渡性預金

前連結会計年度

 ―

 ―

当連結会計年度

 ―

 ―

総合計

前連結会計年度

1,540,875

1,098

1,541,974

当連結会計年度

1,593,450

1,567

1,595,017

 

(注) 1.国内業務部門は国内店の円建取引、国際業務部門は国内店の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。

2.流動性預金には、当座預金、普通預金、貯蓄預金、通知預金を、定期性預金には、定期預金、定期積金を記載しております。

 

 

⑤ 貸出金残高の状況

〇 業種別貸出状況(末残・構成比)

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金  額(百万円)

構成比(%)

金  額(百万円)

構成比(%)

国内
(除く特別国際金融取引勘定分)

1,245,101

100.00

1,253,228

100.00

  製造業

178,868

14.37

183,577

14.65

  農業、林業

1,591

0.13

1,568

0.12

  漁業

186

0.01

690

0.06

  鉱業、採石業、砂利採取業

79

0.01

65

0.00

  建設業

64,756

5.20

63,043

5.03

  電気・ガス・熱供給・水道業

15,269

1.23

14,629

1.17

  情報通信業

5,679

0.46

5,343

0.42

  運輸業、郵便業

49,373

3.96

48,501

3.87

  卸売業、小売業

108,870

8.74

106,910

8.53

  金融業、保険業

82,805

6.65

86,952

6.94

  不動産業、物品賃貸業

278,017

22.33

282,792

22.57

  各種サービス業

128,226

10.30

128,061

10.22

  地方公共団体

74,375

5.97

71,080

5.67

  その他

257,000

20.64

260,009

20.75

特別国際金融取引勘定分

  政府等

  金融機関

  その他

合計

1,245,101

1,253,228

 

(注)  国内とは、当行及び連結子会社であります。

 

⑥ 国内業務部門・国際業務部門別有価証券の状況

○  有価証券残高(末残)

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

55,348

55,348

当連結会計年度

49,213

49,213

地方債

前連結会計年度

76,086

76,086

当連結会計年度

69,994

69,994

社債

前連結会計年度

60,766

60,766

当連結会計年度

62,985

62,985

株式

前連結会計年度

20,865

20,865

当連結会計年度

18,074

18,074

その他の証券

前連結会計年度

50,529

13,217

63,746

当連結会計年度

46,946

16,129

63,076

合計

前連結会計年度

263,597

13,217

276,814

当連結会計年度

247,214

16,129

263,344

 

(注) 1.国内業務部門は国内店の円建取引、国際業務部門は国内店の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。

2.「その他の証券」には、外国債券を含んでおります。

 

 

(自己資本比率の状況)

(参考)

自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適
当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の算出においては標準的計測手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

(単位:百万円、%)

 

2025年3月31日

1.連結自己資本比率(2/3)

8.53

2.連結における自己資本の額

78,041

3.リスク・アセットの額

913,865

4.連結総所要自己資本額

36,554

 

 

単体自己資本比率(国内基準)

(単位:百万円、%)

 

2025年3月31日

1.自己資本比率(2/3)

8.35

2.単体における自己資本の額

75,641

3.リスク・アセットの額

904,832

4.単体総所要自己資本額

36,193

 

 

(資産の査定)

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

なお、区分対象となる社債のうち、「その他有価証券」目的で保有しているものは、時価(貸借対照表計上額)で区分されております。

 

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2.危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3.要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4.正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

債権の区分

2024年3月31日

2025年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

58

71

危険債権

66

62

要管理債権

9

11

正常債権

12,681

12,740

 

 

(生産、受注及び販売の実績に係る情報)

「生産、受注及び販売の実績に係る情報」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

①経営成績の分析

a.主な収支

連結粗利益は、資金利益は資金調達費用の減少等により前期比7億13百万円増加、役務取引等利益は個人役務収益の増加等により前期比2億1百万円増加、その他業務利益は国債等債券売却損の減少等により前期比59億10百万円増加した結果、前期比68億25百万円増加の172億53百万円となりました。

連結業務純益は、経費が前期比6億41百万円増加、一般貸倒引当金繰入額が前期比26百万円減少した結果、前期比62億10百万円増加し、14億14百万円となりました。

経常利益は、不良債権処理額が前期比5億20百万円減少、株式等関係損益が前期比7億10百万円減少した結果、前期比64億32百万円増加し、23億円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比51億62百万円増加し、18億61百万円となりました。

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

比較(百万円)
(B)-(A)

連結粗利益          ①

10,427

17,253

6,825

  資金利益

13,647

14,361

713

  役務取引等利益

4,800

5,002

201

  その他業務利益

△8,020

△2,110

5,910

経費(除く臨時処理分)     ②

15,151

15,793

641

一般貸倒引当金繰入額     ③

72

45

△26

連結業務純益(①-②-③)

△4,796

1,414

6,210

不良債権処理額        ④

1,520

1,000

△520

(与信関係費用(③+④))

1,592

1,046

△546

株式等関係損益

2,075

1,365

△710

その他

110

521

411

経常利益(△は経常損失)

△4,131

2,300

6,432

特別損益

△170

0

171

税金等調整前当期純利益

(△は税金等調整前当期純損失)

△4,302

2,301

6,603

法人税等合計

△1,046

372

1,418

当期純利益(△は当期純損失)

△3,255

1,929

5,185

非支配株主に帰属する当期純利益

46

68

22

親会社株主に帰属する当期純利益

(△は親会社株主に帰属する当期純損失)

△3,301

1,861

5,162

 

 

b.与信関係費用

与信関係費用は、一般貸倒引当金繰入額が前期比26百万円減少、個別貸倒引当金繰入額が前期比5億10百万円減少、債権売却損が前期比18百万円減少した結果、与信関係費用総額は前期比5億46百万円減少の10億46百万円となりました。

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

比較(百万円)
(B)-(A)

一般貸倒引当金繰入額    ①

72

45

△26

不良債権処理額        ②

1,520

1,000

△520

貸出金償却

個別貸倒引当金繰入額

1,455

944

△510

債権売却損

△9

△27

△18

その他

74

83

8

与信関係費用(①+②)

1,592

1,046

△546

 

 

 

c.株式等関係損益

株式等関係損益は、株式等売却益が前期比7億92百万円減少、株式等売却損が前期比81百万円減少した結果、前期比7億10百万円減少の13億65百万円となりました。

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

比較(百万円)
(B)-(A)

株式等関係損益

2,075

1,365

△710

    株式等売却益

2,157

1,365

△792

    株式等売却損

81

△81

    株式等償却

 

 

②財政状態の分析

a.貸出金

貸出金は、大企業等向け貸出金の増加により、前期末比81億26百万円増加の1兆2,532億28百万円となりました。

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

比較(百万円)
(B)-(A)

貸出金(末残)

1,245,101

1,253,228

8,126

 

    <参考>銀行法・金融再生法に基づく開示債権の状況

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

比較(百万円)
(B)-(A)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権額

6,090

7,320

1,230

危険債権額

6,643

6,223

△419

要管理債権額

944

1,198

253

 

三月以上延滞債権額

113

388

275

貸出条件緩和債権額

831

810

△21

合計               ①

13,678

14,743

1,064

総与信              ②

1,273,853

1,280,055

6,201

比率(①/②)

1.07%

1.15%

0.08%

 

 

b.預金

預金は、個人預金は減少したものの、前期末比530億43百万円増加の1兆5,950億17百万円となりました。

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

比較(百万円)
(B)-(A)

預金

1,541,974

1,595,017

53,043

  うち個人預金

1,057,522

1,053,327

△4,194

譲渡性預金

 ―

 ―

 

 

c.有価証券

有価証券は、前期末比134億70百万円減少の2,633億44百万円となりました。

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

比較(百万円)
(B)-(A)

有価証券

276,814

263,344

△13,470

    国債

55,348

49,213

△6,135

    地方債

76,086

69,994

△6,091

    社債

60,766

62,985

2,219

    株式

20,865

18,074

△2,791

    その他証券

63,746

63,076

△670

 

 

 

③キャッシュ・フローの状況の分析

営業活動によるキャッシュ・フローは、預金の増加等により、前期比2,171億48百万円増加の738億52百万円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却による収入の減少等により、前期比562億62百万円減少の47億42百万円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前期比4億22百万円減少の△11億18百万円となりました。

これらの結果「現金及び現金同等物」の当期末残高は、前期末比774億74百万円増加2,424億82百万円となりました。

なお、当面の設備投資等については自己資金で対応する予定であります。また、当行では、主にお客さまから預入れいただいた預金にて資金を調達し、地域の中小企業等向け融資を中心とした貸出金及び有価証券への運用を行うなかで、適切な水準の流動性を確保しております。

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

比較(百万円)
(B)-(A)

営業活動によるキャッシュ・フロー

△143,296

73,852

217,148

  うち譲渡性預金の純増減(△)

△79,550

-

79,550

  うち預金の純増減(△)

△962

53,043

54,006

投資活動によるキャッシュ・フロー

61,004

4,742

△56,262

  うち有価証券の取得による支出

△38,572

△77,906

△39,333

  うち有価証券の売却による収入

79,594

38,099

△41,494

財務活動によるキャッシュ・フロー

△695

△1,118

△422

現金及び現金同等物の期末残高

165,007

242,482

77,474

 

 

 ④目標とする経営指標

 

第150期実績
(2025年3月期)

第151期目標
(2026年3月期)

コア業務純益

18億円

40億円以上

当期純利益

18億円

25億円以上

県内中小企業等向け貸出金残高

9,443億円

1兆円以上

連結自己資本比率

8.53%

8%以上

 

 コア業務純益は、資金調達費用の減少等により資金利益が前期比4億円の増加、個人役務収益の増加等により役務取引等利益が前期比1億円の増加、その他業務利益が前期比58億円の増加、国債等債券損益が前期比51億円の増加となった結果、前期比7億円増加の18億円となりました。当期純利益は、与信関係費用が前期比5億円の減少、株式等関係損益が前期比7億円の減少となった結果、前期比48億円増加の18億円となりました。県内中小企業等向け貸出金残高は、製造業向け貸出金等の減少により前期比62億円減少の9,443億円となりました。連結自己資本比率は、自己資本の額が前期比1億円の減少、リスク・アセットの額が前期比560億円の減少となった結果、前期比0.47ポイント上昇の8.53%となりました。

引き続き、第28次中期経営計画「SHINKA~絆をつむぐ~」にて掲げた各種施策を展開することで、収益力の向上及び健全性の強化を進めて参ります。

 

 ⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 /1 連結財務諸表等」中、「(1) 連結財務諸表」の「(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。