独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

 

2024年6月27日

株式会社阿波銀行

取 締 役 会  御中

有限責任 あずさ監査法人

 

大阪事務所

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

黒    木     賢 一 郎

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

三  井   孝  晃

 

 

 

<連結財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社阿波銀行の2023年4月1日から2024年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社阿波銀行及び連結子会社の2024年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

貸出金等の債権に対応する貸倒引当金の見積り

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

株式会社阿波銀行の連結貸借対照表において、貸出金残高2,342,731百万円が計上されており、これは連結総資産3,922,560百万円の59.72%という重要な割合を占めている。この貸出金を含む与信残高に対して貸倒引当金19,397百万円が計上されている。

 

(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4会計方針に関する事項 (4)貸倒引当金の計上基準及び(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、株式会社阿波銀行は、自己査定基準に基づき資産査定を実施し、債務者区分に応じて、償却・引当基準に則り貸倒引当金を計上している。

 

債務者区分の判定は、財務指標等の定量要因に加えて、将来の業績見通しやキャッシュ・フローの状況等の定性要因に関連する情報を基礎として行われる。特に定性要因に基づく債務者区分の判定には業界特有の専門的知識が必要となるほか、融資先の経営改善計画の達成状況の評価など経営者による重要な判断を伴う。

株式会社阿波銀行では「顧客と世代を超えた息の永い取引を継続し、永続的な発展に寄与していく」という伝統的営業方針である「永代取引」の考えに基づいて中小企業向け融資を拡大している。その結果、中小企業等貸出金残高1,839,659百万円(総貸出金残高に占める比率78.62%)が計上されており、貸出金残高の重要な割合を占めるに至っている。

一般的に中小企業は大企業・中堅企業に比して物価高、人件費上昇などの景気の影響を受けやすく、一時的な要因により赤字・債務超過に陥りやすい面がある。

特に「道路貨物運送業」においては燃料費や人件費の上昇に加えて2024年度以降は運転手の労働時間に上限が課せられるため、さらなるコスト増加などの懸念があることから、株式会社阿波銀行は、「(重要な会計上の見積り)」に記載のとおり、「道路貨物運送業」の一定の条件に該当する債務者に係る債権について1,106百万円の貸倒引当金を追加計上している。

債務者区分の判定にあたっては、財務状況のみならず、技術力、販売力や成長性、代表者等の収入状況や資産内容、保証状況と保証能力等を総合的に勘案し、その経営実態を踏まえて判断することが必要となる。

「永代取引」は中小企業に対して、その業績が景気等に左右されることを前提として、指導・育成及び健全化を通して支え続けていくビジネスモデルであり、指導・育成及び健全化を通じた深い債務者理解のもとでその経営実態を的確に把握した債務者区分の判定を行い得る。

しかし、次の与信先の債務者区分の判定については、より慎重な判断を要する。

 

(1)大口の要注意先

中小企業向け融資は小口に分散されているものの、その中には与信額が一定額以上の大口与信先が含まれており、この大口与信先についても「永代取引」のビジネスモデルのもと、業績が悪化した時を含めてその経営を支えていくことを考慮すると、大口の要注意先は債務者区分が破綻懸念先に下方遷移することで引当額が大きく増加する懸念がある。

 

(2)「道路貨物運送業」で業績悪化の影響が懸念される与信先

中小企業は一時的な要因により赤字・債務超過に陥りやすい面があり、特に「道路貨物運送業」の与信先は燃料費や人件費の上昇などにより業績悪化の影響を大きく受ける懸念がある。

 

以上から、当監査法人は、大口の要注意先及び「道路貨物運送業」で業績悪化の影響が懸念される与信先に対する貸出金等の債権に対応する貸倒引当金の見積りが、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

当監査法人は、貸出金等の債権に対応する貸倒引当金の見積りの合理性を検証するため、主に以下の監査手続を実施した。

 

(1)内部統制の評価

貸出金の評価における債務者区分の判定に関連する、内部統制の整備・運用状況の有効性を評価した。

評価にあたっては、特に以下の点に焦点を当てた。

●自己査定に関する諸規程並びに貸倒償却及び貸倒引当金の計上に関する諸規程の会計基準等への準拠性

●自己査定システムに入力される債務者の財務情報についての信頼性

●信用格付に係るIT業務処理統制の有効性

●債務者区分の判定における二次査定部署による検証作業の有効性

 

(2)債務者区分の判定に関する実証手続

①要注意先のうち与信額が一定額以上の債務者を抽出し、債務者区分の判定の妥当性を検討するために、以下を含む監査手続を実施した。

●債務者区分の判定の基礎となる財務数値等の債務者情報が十分かつ最新の情報に基づくものであるかについて、関連資料の閲覧及び二次査定部署の担当者への質問を行った。

●経営改善計画が作成されている場合には、その合理性と実現可能性について評価が十分に行われているかについて、関連資料の閲覧及び二次査定部署の担当者への質問を行った。

●随時査定後に発生した債務者に関する重要な信用状況の変化が反映されているかについて、関連資料の閲覧及び二次査定部署の担当者への質問を行った。

 

②「道路貨物運送業」で業績悪化の影響が懸念される与信先のうち、与信額が一定額以上の債務者を抽出し、債務者区分の判定の妥当性を検討するために、以下を含む監査手続を実施した。

●債務者区分の判定の基礎となる財務数値等の債務者情報が十分かつ最新の情報に基づくものであるかについて、関連資料の閲覧及び二次査定部署の担当者への質問を行った。

●燃料費や人件費の上昇などの影響を加味した将来見通し及び資金繰りの状況について、関連資料の閲覧及び二次査定部署の担当者への質問を行った。

●随時査定後に発生した債務者に関する重要な信用状況の変化が反映されているかについて、関連資料の閲覧及び二次査定部署の担当者への質問を行った。

 

 

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

 

・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 

監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 

監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<内部統制監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社阿波銀行の2024年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

当監査法人は、株式会社阿波銀行が2024年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

内部統制報告書に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

監査等委員会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

 

・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 

監査人は、監査等委員会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 

<報酬関連情報>

当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以  上

 

 

※1  上記の監査報告書の原本は当行(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2  XBRLデータは監査の対象には含まれておりません。

 

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