以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループが判断したものであります。
当行は、1878年(明治11年)の創業以来、“地域の皆さまに最も愛され、親しまれ、信頼される銀行”を標榜し、 地域と社会の発展に貢献することを使命として歩んでまいりました。
今後とも、長年培ってきた信頼を損なわぬよう、健全経営に徹するとともに、多様化するお客さまのニーズに的確かつ迅速にお応えできるよう、金融を基盤とする質の高いサービスの提供に努め、地域と社会の発展に貢献してまいります。
〔経営理念〕 健全経営に徹し、金融を基盤とするサービスを通じて社会の発展に貢献する。
当連結会計年度のわが国経済は、個人消費には一部足踏みが残るものの、持ち直しの動きもみられました。また、雇用情勢に改善の動きがみられ、公共投資も堅調に推移するなど、景気は緩やかに回復しました。
当行の主要地盤であります四国地区の経済におきましては、住宅投資は弱めの動きとなっているものの、設備投資や個人消費は底堅く推移し、雇用情勢も緩やかに改善するなど全体として景気は緩やかに持ち直しました。
こうした経済環境の中、人口減少・少子高齢化という社会構造問題に加え、デジタル化の進展や、日本銀行の政策金利引き上げに伴う「金利のある世界」への移行など、地域金融機関を取り巻く経営環境は大きな転換期を迎えています。
このような金融経済情勢のもと、当行は、「地域と産業を牽引するベスト&リライアブル カンパニー」の実現に向けた変革の第一歩と位置づけた中期経営計画の2年目として、中期経営計画で掲げた各施策を着実に実施しました。具体的な施策は以下のとおりです。
◇ フルコミット営業を徹底する
・お客さまの課題解決起点に立った活動の強化
・お客さまの企業価値向上に資する高度なコンサルティング力の発揮
・フルコミット営業の徹底に向けた態勢整備(エリア営業2.0)
◇ お客さまのライフプランに応じた資産形成・運用の提案強化を図る
・営業店・本部の連携強化によるお客さま本位の業務運営の徹底
・新NISAの推進による取引基盤の拡大
・大和証券との人財交流やOJT・Off-JTを通じた金融商品仲介業務のスキル向上
◇ 営業店が負担軽減を実感できるオペレーション変革を進める
〈融資業務改革〉
・営業店における融資業務の本部集中試行
・CRAS一次承認権限及び自動判定先の拡大
・個人ローンWeb完結の導入
〈営業店内務事務改革〉
・営業店業務の本部集中拡大
◇ 金融環境の変化に対応した業務運営を徹底する
・金利動向を踏まえたお客さまへの丁寧な説明・交渉
・マネー・ローンダリング等対策の実効性向上
・リスク管理の強化
中期経営計画に掲げる諸施策を確実に遂行することで、「地域と産業を牽引するベスト&リライアブル カンパニー」の実現を目指してまいります。
(3) 「中期経営計画2023」の概要等
① 概要
本中期経営計画は、2023年~2032年の10年ビジョン「地域と産業を牽引するベスト&リライアブル カンパニー」実現に向けた変革の第一歩として位置づけております。
本中期経営計画においては、6つの戦略目標を設定し、10年ビジョンの実現に向けた態勢整備を進めるとともに、経営体質の強化に取り組んでいきます。


② 数値目標
中期経営計画に掲げる財務目標及びコンサルティング機能の発揮に向けた指標における数値目標につきましては、以下のとおりであります。
<財務目標>

(注)1 資金利益+役務取引等利益+その他業務利益-経費(銀行法ベース)-債券関係損益-投資信託解約益
2 当期純利益÷株主資本合計(当事業年度末と前事業年度末の平均値)
3 経費(銀行法ベース)÷コア業務粗利益(資金利益+役務取引等利益+その他業務利益-債券関係損益-投資信託解約益)
<コンサルティング機能の発揮に向けた指標>

(注)1 事業所融資先の企業価値を簡易算出し、2023年3月末基準と比較して企業価値が増加した先の割合
企業価値=直近期の自己資本+(直近3期分の営業利益及び減価償却費の合計)
2 投融資方針に基づく融資、<四銀>サステナブルファイナンス、BCファンド、その他社会課題の解決や持続可能な地域社会の実現に寄与する投融資の実行額
3 役務取引等利益÷コア業務粗利益(投資信託解約益を除く)
4 株式、円建債券(個人向け国債含む)、外国債券、投資信託、ファンドラップ、生命保険の合計残高
③ 2024年度の進捗状況
2024年度の進捗状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載のとおりであります。
④ 2025年度の取組み
中期経営計画の戦略目標に基づく2025年度の取組みにつきましては、以下のとおりであります。

当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
取締役頭取を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ方針に基づく取組施策の評価や、取り巻く環境変化に対する方向性等について審議し、取締役会に報告、監督を受ける体制を構築しております。
(サステナビリティ委員会)
サステナビリティ委員会は、提出日現在、取締役会長、取締役頭取、常務取締役、本部各部部長で構成されており、原則として年2回開催されております。

(サステナビリティ方針)

当行グループは、サステナビリティを巡る課題への対応を中期経営計画の重要施策に織り込むなど、重要な経営課題と位置づけており、経営理念に基づき、地域、お客さま、従業者といったステークホルダーの様々な課題の解決やニーズへの対応に向けた積極的かつ誠実な取組みを通じて、持続可能な地域社会の実現に貢献するとともに、当行グループの中長期的な企業価値の向上を目指しております。
(サステナビリティ方針と中期経営計画との関係性)

① 機会
持続可能な社会の実現に対する機運の高まりにより、サステナビリティに関連する市場規模拡大を想定しております。当行は、サステナビリティ方針や投融資方針に基づく融資等の推進を通じて、お客さまのサステナビリティへの取組みを金融面から積極的に支援する他、設備投資に関する補助金申請サポートやCO2排出量算定サービスといった非金融面のサービスを提供することによって、持続可能な地域社会の実現に貢献していきます。
また、多様な人財が活躍できる職場環境を整備することで、従業者のやりがい・働きがいの向上や、組織の活性化につなげてまいります。
② リスク
気候変動が当行グループの事業活動・財務内容等に影響を与えること及び労働人口の減少によって当行の事業活動を支える人財の確保が困難になることをリスクとして認識しております。
A.気候変動
気候変動が当行グループの事業活動・財務内容等に影響をおよぼすリスクと機会の把握を行いました。
なお、評価の時間軸として、「短期(5年未満)」「中期(15年程度)」「長期(30年程度)」の期間を用いております。
(当行グループが認識する主なリスクと機会)
シナリオ分析
当行グループの財務状況における気候変動の影響を具体的に把握するため、移行リスク及び物理的リスクについて一定のシナリオを用いて分析を行いました。いずれの分析においても、当行グループ財務への影響は限定的であると評価しております。
<移行リスク>
移行リスクについては、分析対象として温室効果ガス排出量が比較的高いエネルギー及び造船・海運セクターを選択しました。分析にあたっては、NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)のシナリオを用いて、2050年までの当行の与信費用の増加額を試算しました。
<物理的リスク>
物理的リスクについては、気候変動に起因する洪水のリスクの影響を分析しました。分析にあたっては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のSSP5-8.5シナリオ(4℃シナリオ)等を用いて、2050年までの当行の与信費用の増加額及び固定資産の毀損額を試算しました。
B.生物多様性
生物多様性に関する取組みにおいても、持続可能な社会を実現する上で重要な課題として捉えております。2025年4月に参画した「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラム」を通じて、国際動向の把握や情報の収集に努め、自然関連の財務情報開示や地域における自然資本や生物多様性の保全に取り組んでまいります。
C.人財
当行グループは、従来より人財という言葉を用いるなど、人を最も大切な経営資本として認識しております。「中期経営計画2023」におきましても、従業者の心身の健康とやりがい・働きがい向上等を実現することとしており、従業者が働きやすく、その個性と能力を十分に発揮できる環境を整備していきます。
また、当行の持続的な発展に向け、従業者一人ひとりの「チャレンジする」「強みを活かす」「強みを伸ばす」取組みを積極的に支援するため、人財開発・育成プログラムを制定し、お客さま・地域の課題解決ができる人財を開発・育成しております。
① 気候変動
当行グループでは、気候変動に起因する移行リスクや物理的リスクは、当行グループの事業運営や戦略、財務計画に大きな影響を与える重要なリスクであると認識し、シナリオ分析等により当該リスクを識別・評価しております。今後も、シナリオ分析の高度化を図りながら、「信用リスク」「オペレーショナル・リスク」等を含めた統合的リスク管理の枠組みのなかで適切に管理する態勢整備を検討してまいります。
また、地域やお客さまの気候変動対応を支援することによって、当行グループの気候変動リスクの低減につなげていきたいと考えております。
② 人財
従業者のエンゲージメント状況を定量的に把握・分析するため、2023年度より全従業者を対象としたエンゲージメントサーベイを半年サイクルで実施しております。
2024年度の結果は、レーティング「A」となり、2023年度の「BBB」から1段階上昇しました。
定期的に継続実施することで従業者のエンゲージメント状況や組織の課題・問題点を把握するとともに、組織改善に向けた適時適切な対策を講じることによって、従業者エンゲージメントの向上につなげ、当行の安定的な事業成長を実現いたします。
① サステナブルファイナンス
累計実行目標 5,000億円以上
対象期間 2023年4月1日から2030年12月31日まで
中期経営計画期間中に累計実行額2,000億円を目指しており、実績は目標に対して順調に推移しております。
(注)サステナブルファイナンスを更に推進するにあたり、累計実行目標を上方修正しております。

② CO2排出量の削減(Scope1及びScope2)
削減目標 2030年度のCO2排出量を2013年度比50%削減
2050年度のカーボンニュートラル
2024年度実績 2013年度比55.94%削減
(CO2排出量推移)
<Scope1、2排出量>
<Scope3排出量>
(注)1 脱炭素社会の実現に向けて、当行の事業活動により排出するCO2(Scope1、2)に加えて、サプライチェーンにおけるCO2排出量(Scope3)を追加しました。なお、カテゴリ8~14の算定対象はありませんのでしたので上表での表示は行っておりません。
2 Scope3(カテゴリ1~7)は、「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインver.2.7(環境省・経済産業省2025年3月)」及び「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースver.3.5(環境省・経済産業省2025年3月)」を使用して計測しております。
3 Scope3カテゴリ15については、事業所融資先に対する融資及び上場企業の社債について算出しております。
③ 職場環境の整備
2024年度は、2022年度の所定外労働時間13時間24分(1人当たり月平均)から1時間短縮することを目標としておりましたが、中期経営計画における様々な施策への対応などから目標未達となりました。営業店においては、BPRの推進や業務の本部集中などにより、前年度比37分短縮しており、引き続き毎週水曜日の早帰り推進、毎月6日は午後6時までに退行する「アフター6(ロク)運動」の実施など労働時間の短縮に向けた施策に取り組むことに加え、デジタル化を一層推し進めるなど業務の効率化にも取り組んでまいります。
(注) 当行グループにおける記載が困難であるため、主要な事業を営む当行について記載しております。
また、従業者が安心して働き続けることができる職場環境を整備するため、「健康経営」「やりがい・働きがいの向上」「ワークライフバランス」「ダイバーシティ」の取組みを実施してまいります。
職場環境の整備に関する指標の実績及び目標につきましては、次のとおりであります。
④ 人財育成
お客さま・地域の課題解決に貢献できる専門性を身につけるため、人財開発・育成プログラムに基づいた計画的な学びの機会創出に取り組んでおります。
2024年度は、対面形式での階層別研修、業務研修・トレーニー等の行内研修に加え、様々なテーマで開催される全国地方銀行協会主催の行外研修にも積極的に派遣しました。全国各地から集まる他行行員との交流は視野を拡げ、自行の地域特性の理解や地方創生の学びにもつながっております。1人当たりの人財育成投資額は17.8千円増加、研修時間は5.0時間増加し前年度比で伸長いたしました。また、お客さまの関心が高いDXや脱炭素化についてのニーズを把握し、課題解決に向けたご提案ができる従業者を増員するため、2024年度も引き続き資格試験の取得・合格を推奨しました。2025年3月末時点で、DX関連の「ITパスポート」「DXサポート」の合格者は976名、「脱炭素アドバイザーベーシック」の合格者は751名まで増加しております。
人財育成に関する指標の実績及び目標につきましては、次のとおりであります。
(注) 1 当行グループにおける記載が困難であるため、主要な事業を営む当行について記載しております。
2 1人当たりの人財育成投資額及び研修時間につきましては、4月1日時点の従業員数で算出して
おります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。また、主要なリスクのうち、(1)信用リスク及び(2)市場リスクについては、特に重要性の高いリスクとして認識しております。
当行グループは、これらのリスクについて、統計的手法であるバリュー・アット・リスク(ⅤaR)を用いて、ある確率(信頼区間99%)のもと一定期間に被る可能性のある最大損失額(リスク量)を計測・把握しております。
当該リスクが顕在化した場合、当行グループの業績・業務運営に影響を与える可能性があります。当行グループの直面するリスクに見合った十分な自己資本を維持することによって、業務の健全性及び適切性を確保する観点から、リスク量の総量が自己資本の範囲内に収まるようリスクを制御するため、リスク・カテゴリー毎にリスク資本枠を設定し、経営戦略と一体となったリスク管理を実践しております。
当行グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であり、これらのリスク管理体制等については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループが判断したものであります。
〈財務面に関するリスク〉
信用リスクとは、信用供与先の財務状況の悪化等により、資産(オフ・バランス資産を含む)の価値が減少ないし消失し、当行が損失を被るリスクをいいます。
当行では、営業部門から独立した審査部門において、貸出先の財務状況や資金使途、返済能力等を総合的に勘案した審査を行っております。また、信用リスク管理部門においては、業種・格付・地域別の信用リスク量の状況等を定期的に分析・評価し、結果をALM委員会に報告する等、信用リスクの適切な管理に努めております。
国内外の景気動向、不動産価格及び株価の変動、貸出先の経営状況等によっては、当行グループの不良債権及び与信関係費用が増加する可能性があり、その結果、当行グループの業績に影響を与える場合があります。
当行グループは、所定の基準に基づいて貸倒引当金を計上しております。しかしながら、貸出先の経営状況が予想を超えて悪化した場合、現時点で見積もり計上した貸倒引当金が不十分となる可能性があります。また、担保価値の下落、又はその他の予期せざる理由により、貸倒引当金の積み増しを必要とする場合もあります。
当行グループの貸出資産は各業種に分散されているものの、中には、国内外の景気動向等の様々な要因により業況が厳しくなる業種もあります。これらの業種に属する貸出先の経営改善が進展しなかった場合、不良債権及び与信関係費用が増加する可能性があります。
当行グループは、貸出先に債務不履行等が生じた場合においても、回収の効率性・実効性等の観点から、当行グループが債権者として有する法的な権利のすべてを必ずしも実行しない場合があります。また、当行グループがこれらの貸出先に対して債権放棄又は追加貸出を行って支援する可能性もあります。かかる貸出先に対し、追加貸出を行って支援を実施した場合は、当行グループの与信関係費用が増加する可能性があります。
当行グループは、不動産価格や有価証券価格の下落等の要因によって、担保権を設定した不動産や有価証券を換金することが困難となり、与信関係費用が増加する可能性があります。
市場リスクとは、金利、株価等の様々なリスク・ファクターの変動により、資産・負債等の経済価値が変動するリスク、または、生み出される収益が変動するリスクをいいます。
当行では、フロント部門から独立したリスク管理統括部門を設置するなど、牽制機能が有効に働く体制を構築するとともに、厳格な限度枠の設定、日次でのモニタリングの実施などにより、市場リスク顕在化による損失拡大の防止に努めております。
なお、当行グループの業績に影響を与える可能性があると認識している主なリスクは以下のとおりであります。
当行は、預金等による資金調達と、貸出取引や有価証券投資等の資金運用による利鞘収入(資金利益)を主たる収益源としております。調達と運用に期間・金額等のミスマッチが存在している中で、将来の金利変動により、資金利益が縮小する可能性があります。また、資金運用の相当部分を国債、地方債等の市場性のある債券で運用しており、市場金利の上昇により、これらの債券の市場価格が下落することがあります。こうした金利変動により、当行グループの業績に影響を与える可能性があります。
当行グループは、市場性のある株式、投資信託等の有価証券を保有しております。これらの有価証券は、今後、景気低迷等による株価下落、発行体の信用状況の悪化、不動産価格の下落等によって、価格が大幅に下落する可能性があります。この場合、減損又は評価損が発生し、当行グループの業績に影響を与える可能性があります。
貸出取引や有価証券投資等の資金運用と預金等による資金調達の期間のミスマッチや、予期せぬ資金の流出等によって、資金繰りに支障が生じたり、あるいは通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより、当行グループの信用及び業績に影響を与える可能性があります。
このため、当行では、市場流動性の状況を適切に把握し、安定的な資金繰りに努めております。また、資金繰りの逼迫度に応じた想定訓練を実施するなど、不測の事態に備えた態勢を整備しております。
格付機関が当行の格付を引き下げた場合、当行が市場において資本・資金調達を行うことが困難となったり、資金調達コストの増加を招くなど、当行グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
自己資本比率は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)」に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しておりますが、要求される水準を下回った場合、早期是正措置が発動され、監督当局から業務の全部又は一部停止等を含む様々な命令を受けることになります。
なお、自己資本比率の基準及び算定方法の変更や、本項記載の不利益な展開により、自己資本比率が低下する可能性があります。
当行グループの退職給付制度のほとんどは確定給付型であり、年金資産の時価が下落した場合や、退職給付債務を計算する前提となる割引率等数理上の前提に変更があった場合には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また、当行グループの退職給付制度を改定した場合にも、追加負担が発生する可能性があります。その結果、当行グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当行グループが所有する固定資産については、収益性の低下や市場価格の下落、使用範囲又は方法の変更等があった場合には、減損損失が発生する可能性があり、それにより、当行グループの業績に影響を与える可能性があります。
当行グループは、繰延税金資産を将来の業績予測に基づき計上しております。この繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する様々な予測・仮定に基づいており、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。当行グループが、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産を減額することとなり、その結果、当行グループの業績に影響を与える可能性があります。
〈業務面等に関するリスク〉
当行グループは、預金・為替・貸出などの銀行業務に加え、保険・証券・信託など多様な業務を行っております。当行グループでは、これらの各業務について事務取扱規定等を定めるとともに、事務処理状況の定期的な監査や事務指導を実施し、事務水準の向上に努めております。
しかしながら、これらの業務を遂行するにあたって、役職員が不正確な事務又は不正や過失等に起因する不適切な事務を行った場合、当行グループの信用及び業績に影響を与える可能性があります。
当行グループは、預金・貸出・為替等のデータ処理を行うため、各種のコンピュータを利用しております。また、一部のコンピュータは各種決済機関等の外部のコンピュータと接続されております。このため、通信回線の二重化、大規模災害等に備えた基幹システムのバックアップシステムの構築等の措置を講じてシステムの安定稼働に努めております。
また、コンピュータウイルスや外部からの不正アクセス等、増加しているサイバー攻撃の動向や脆弱性情報の把握、システムのセキュリティ対策強化及びサイバー攻撃発生時に適切に対応できるよう演習への参加や対応マニュアルの見直しなど、行内CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を中心とした対応態勢の整備を行っております。
しかしながら、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新等による重大なシステム障害やコンピュータの不正使用が発生した場合、当行グループの信用及び業績に影響を与える可能性があります。
当行グループは、業務を遂行する上で様々な法令等の適用を受けております。当行グループは、コンプライアンスを経営の重要課題の一つとして位置づけ、適切な法令等遵守態勢の構築に努めております。
しかしながら、これらの法令等を遵守できなかった場合には、当行グループの信用、業務運営及び業績に影響を与える可能性があります。
当行グループでは、良好な職場環境の確保と適切な労務管理に努めておりますが、予期せぬ人事運営上の不公平・不公正や差別的行為のほか、人財の流出・喪失、役職員の士気の低下等によって就業環境が悪化し、当行グループの業務運営及び業績に影響を与える可能性があります。
当行グループは、有形資産の状況について適切に把握するとともに、災害等については対応策を策定し被害の最小化に取り組んでおります。
しかしながら、想定を上回る自然災害の発生や不法行為等によって、有形資産の毀損等が発生した場合、当行グループの業務運営及び業績に影響を与える可能性があります。
当行グループに対する否定的な風評により、当行グループの信用、業務運営及び業績に影響を与える可能性があります。
当行グループは、法人・個人のお客さまの情報を多数保有しております。内部者又は外部からの不正アクセスにより、これらの情報の漏洩・紛失や不正利用が発生した場合には、損害賠償等の直接的な損害、あるいは社会的信用の失墜などにより、当行グループの信用、事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(11) マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係るリスク
当行グループは、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策を経営の重要課題の一つとして位置づけ、三つの防衛線の概念に基づく各部門の役割の明確化やリスクベース・アプローチに基づくリスク低減措置の実施、役職員に対する教育の徹底等により実効性のある管理態勢の構築に取り組んでおります。
しかしながら、何らかの原因により不正送金等、不公正・不適切な取引を未然に防止することができなかった場合には、当行グループの信用、業績及び業務運営に影響を与える可能性があります。
当行グループは、中期経営計画をはじめとした様々な事業戦略を展開し、企業価値の向上を目指しております。
しかしながら、種々の要因により、これらの戦略が当初想定していた成果を得られない可能性があります。
〈金融諸環境等に関するリスク〉
(13) 地域経済の動向に影響を受けるリスク
当行グループは、高知県を中心に四国地区を主な地盤として事業活動を営んでおり、高知県内及び四国地区の経済が悪化した場合には、当行グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
日本の金融制度は大幅に規制緩和されており、また、近年では異業種の金融分野への進出などにより、競争が一段と激化しております。こうした競争的な事業環境が、当行グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15) 規制変更リスク
当行グループは、現時点の規制(法律、規則、政策、実務慣行等)に従って業務を遂行しておりますが、将来においてこれらの規則が変更された場合、若しくは新たな規制等が導入された場合に、その内容によっては、当行グループの業績に影響を与える可能性があります。
(16) 気候変動リスク(移行リスク、物理的リスク)
近年、地球温暖化に起因する洪水などの自然災害は激甚化、頻発化しております。当行グループでは、気候変動に関連する以下のリスクについて、当行グループの業績等に影響を与えるリスクとして認識しております。
(移行リスク)
脱炭素社会への移行に向けた気候関連政策や規制強化、技術革新の進展等が貸出先の事業や業績に及ぼす影響により、当行グループの業績に影響を与える可能性があります。
(物理的リスク)
気候変動に伴う自然災害や異常気象の発生による貸出先の経営状況の悪化や担保資産の毀損、営業店舗等の損壊等が発生した場合、当行グループの業績及び業務運営に影響を与える可能性があります。
(17) 自然災害等のリスク
当行グループが営業基盤とする高知県においては、今後、南海トラフ地震の発生が予想されております。当行グループでは、当該地震や集中豪雨等による自然災害、停電等によるインフラ障害が発生した場合にも、現金の供給や資金決済サービス等の重要業務を継続できる態勢を整備しております。
しかしながら、想定を上回る状況が発生した場合には、当行グループの業務運営及び業績に影響を与える可能性があります。
(18) 感染症の流行のリスク
新型インフルエンザ等の感染症が流行した場合には、国内外の社会・経済活動の停滞、株価・金利・不動産価格の変動、貸出先の業績悪化等を通じて、当行グループの業績に影響を与える可能性があります。また、役職員の感染等により、当行グループの業務運営に影響を与える可能性もあります。
当行グループでは、新型インフルエンザ等の感染症が流行した場合に備えて、在宅勤務等、事業継続性を確保する就業環境の整備に引き続き取り組んでまいります。
当連結会計年度における当行グループ(当行、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりとなりました。
① 財政状態及び経営成績の状況
主要勘定につきましては、預金は、地方公共団体預金は増加しましたが、法人預金や個人預金の減少により、前連結会計年度末比476億円減少の2兆9,500億円となりました。また、譲渡性預金を含めた預金等は、前連結会計年度末比615億円減少の2兆9,785億円となりました。貸出金は、個人向け貸出金や事業性貸出金の増加等により、前連結会計年度末比176億円増加の2兆1,034億円となり、連結会計年度末ベースで過去最高となりました。有価証券は、ポートフォリオ改善のために国債の入替売買や投資信託の売却を実施しました結果、前連結会計年度末比1,006億円増加の1兆128億円となりました。
損益につきましては、経常収益は、有価証券利息配当金や貸出金利息の増加等により、前連結会計年度比13億47百万円増加の538億33百万円となりました。経常費用は、国債等債券売却損は減少しましたが、与信費用や預金利息の増加等により、前連結会計年度比3億86百万円増加の435億52百万円となりました。この結果、経常利益は、前連結会計年度比9億62百万円増加の102億81百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、同4億72百万円減少の68億13百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、借用金の増加等により864億10百万円のプラスとなりました。前連結会計年度比では1,720億38百万円増加しております。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出が売却や償還による収入を上回ったこと等により1,217億55百万円のマイナスとなりました。前連結会計年度比では258億90百万円減少しております。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により19億95百万円のマイナスとなりました。前連結会計年度比では44億95百万円増加しております。この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、当連結会計年度中に373億39百万円減少し1,777億27百万円となりました。
(参考)
資金運用収支は、前連結会計年度に比べ27億3百万円増加し275億52百万円となりました。
役務取引等収支は、前連結会計年度に比べ1億12百万円増加し69億88百万円となりました。
その他業務収支は、前連結会計年度に比べ30億1百万円減少し44億円の支出超過となりました。
資金運用収支は、前連結会計年度に比べ10億18百万円増加し90億10百万円となりました。
役務取引等収支は、前連結会計年度に比べ49百万円減少し34百万円の支出超過となりました。
その他業務収支は、前連結会計年度に比べ37億1百万円増加し55億37百万円の支出超過となりました。
(注) 1 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
3 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度2百万円)を控除して表示しております。
4 その他業務収益及びその他業務費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間で相殺した金融派生商品損益であります。
(参考)
資金運用勘定の平均残高は、前連結会計年度に比べ960億円増加し3兆2,011億円となりました。同利回りは、前連結会計年度に比べ0.13ポイント上昇し0.95%となりました。
資金調達勘定の平均残高は、前連結会計年度に比べ638億円増加し3兆1,140億円となりました。同利回りは、前連結会計年度に比べ0.08ポイント上昇し0.10%となりました。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建対非居住者取引等を除いた円建取引であります。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度6,289百万円、当連結会計年度17,954百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度2,495百万円、当連結会計年度2,995百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度2百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
4 ( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
資金運用勘定の平均残高は、前連結会計年度に比べ382億円増加し3,049億円となりました。同利回りは、前連結会計年度に比べ0.02ポイント上昇し3.25%となりました。
資金調達勘定の平均残高は、前連結会計年度に比べ378億円増加し3,029億円となりました。同利回りは、前連結会計年度に比べ0.07ポイント上昇し0.30%となりました。
(注) 1 国際業務部門は外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 ( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度6,289百万円、当連結会計年度17,954百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度2,495百万円、当連結会計年度2,995百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度2百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
2 国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息は相殺して記載しております。
(3) 国内・国際業務部門別役務取引の状況
役務取引は、そのほとんどを国内業務部門で占めており、主要な役務取引の内訳は次のとおりであります。
(注) 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
(参考)
(注) 1 国内業務部門は円建取引、国際業務部門は外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3 定期性預金=定期預金+定期積金
(5) 貸出金残高の状況
該当事項はありません。
(参考)
(注) 1 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(7) 「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況
連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は提出会社1社であります。
(注) 1 共同信託他社管理財産 前連結会計年度―百万円 当連結会計年度―百万円
2 元本補填契約のある信託については、前連結会計年度及び当連結会計年度の取扱残高はありません。
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を、オペレーショナル・リスク相当額については標準的計測手法を採用しております。
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討結果内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
当行の中期経営計画2023の2年目となる当連結会計年度は、以下の内容に取り組みました。
◇10年ビジョンの実現に向けた態勢整備
〈戦略目標Ⅰ 地域・産業の牽引に向けた態勢整備〉
地域経済の発展と活性化に向けて、シンクタンク機能と地域デザイン機能を活用した多面的な支援に取り組んでいます。シンクタンク機能では、高知県内の産業や経済動向に関する調査・分析を行い、その成果を掲載する「ピックアップレポート」の作成を開始しました。また、高知県内自治体や地元大学との意見交換を通じて、産学官連携を強化するとともに、経済団体等とも情報交換を実施し、地域経済の課題把握に努めました。
地域デザイン機能では、一次産業分野における新規参入支援やDXの提案、観光分野での市場調査への参画、脱炭素の分野ではカーボンクレジットの創出支援など、地域の基幹産業の活性化に取り組みました。また、地域特化型クラウドファンディング「EINEE高知」を通じて、地域資源を活用した新たな取組みの実現をサポートしました。
起業や事業承継等、企業の成長・発展に資する支援を行うために、昨年10月、当行100%出資による投資専門子会社「しぎんキャピタルパートナーズ株式会社」を設立し、当行子会社の四銀地域経済研究所にて投資活動を行っていた「しぎん地域活性化2号ファンド(出資枠10億円)」の運営を同社に変更しました。また、今年1月に、事業承継に課題を抱える中小・中堅企業等を投資対象とした「しぎんみらいファンド(出資枠20億円)」を新設し、運営を開始しました。
経済活動や金融政策の正常化が進む一方で、原材料・エネルギー価格の高止まり、円安の継続、深刻な労働力不足等を背景に、多様化するお客さまの経営課題に対し、お客さま視点に立ったコンサルティング活動を徹底しました。
法人のお客さまに対しましては、営業店と本部が連携し、資金繰り支援や経営改善支援に取り組むとともに、事業承継・M&A、ビジネスマッチング、カーボンニュートラルや人財サービスに関するサービス等を提供し、お客さまの課題解決や成長支援に積極的に取り組みました。
〈戦略目標Ⅱ 個人に対する新たな価値創造に向けた態勢整備〉
個人のお客さまへの高付加価値な金融サービス・ソリューションの提供を目指し、2023年4月から大和証券株式会社との包括的業務提携を開始しています。提携にあわせて設立したファイナンシャルアドバイザー部と営業店が一体となって、多くのお客さまに対し幅広い商品・サービスラインナップ、高度なコンサルティングを提供しました。
〈戦略目標Ⅲ お客さまと繋がり続けるオムニチャネル〉
事業者さま向けのデジタル化支援では、「デジタルプランニングデスク」が生産性向上・業務効率化を目的に、お客さまごとのコンサルティングを実施しました。
また、デジタル化に関する情報発信の機会として、レジシステムとキャッシュレス決済を連携することにより得られる効果やデジタル化による業務の効率化について紹介する「デジタルツールを活用した店舗経営の効率化セミナー」や、建設業の事業者さま向けの「業務効率化セミナー」「労務管理の効率化セミナー」を開催しました。
店舗につきましては移転や統廃合を実施しておらず、2024年度末の有人店舗数は、前連結会計年度末と同じく、86店(本支店79店、出張所1店及び代理店6店)となっています。
非対面チャネルの強化としては、オウンドメディアとの連携など、お客さまに当行を身近に感じていただくための取組みを引き続き行いました。四国銀行アプリの機能拡充に積極的に取り組むとともに、パソコンやスマートフォン上でお申込みからご融資実行までの一連の手続きを行う「Web完結ローン」の取扱いを拡大し、大半の個人ローン商品でご利用いただけるようになりました。
〈戦略目標Ⅳ 経営インフラの整備〉
人財開発に関しましては、2024年度から通信講座の受講料を全額銀行負担とし、従業者のリスキリングや能力を高める自己啓発への積極的な取組みを支援しました。また、中期経営計画の取組みにも関連するIT・DX、脱炭素をはじめとするサステナビリティに関する資格取得を推奨し、資格取得者はいずれも目標を上回りました。
ウェルビーイング実現に向けた取組みにつきましては、従業者がやりがい・働きがいを感じ、活躍できる環境の実現に向け、育児休職の一部有給化や、育児サポート休暇の対象範囲及び付与日数を拡大するなど、夫婦でともに育児参画できる環境整備を実施しました。さらに、高知県のリーディングカンパニーとして、少子化の急速な進行に対応し地域の活性化を目指すことを目的に、昨年10月に子育て一時金・不妊治療支援金を新設し、従業者が安心して出産・育児できる職場環境を整備し、育児や不妊治療と仕事の両立支援を一層強化しました。
また、多様な人財が活躍できる職場環境を構築するため、人事部内に障がい者雇用専用執務室「業務連携グループ」を新設しました。
◇経営体質の強化
〈戦略目標Ⅴ 収益力の向上・戦略目標Ⅵ 効率性の向上〉
収益力の向上の取組みとして、後継者不在企業の事業承継問題に貢献するために、LBOローンなどの高度金融領域の態勢強化に取り組みました。
また、生産性を高めるため全社オペレーション変革の取組みを進めています。融資業務の本部集中拡大とオペレーションの自動化を行うとともに、営業店内務事務の本部集中拡大と非対面取引の推進を行い、営業店における事務手続きの簡素化を加速させました。これらの生産性向上に向けた取組みにより、人財増強が必要な部門へ人財の再配置を行いました。
また、市場動向や調達量に鑑みた物件費の最適化に継続して取り組みました。取組みにより確保された投資原資は、アプリ・個人ローンWeb完結申込などのデジタル・非対面チャネルの拡充や、データ・システム基盤の最適化に向けたハードウェア・ソフトウェアの整備、組織・人財の変革に向けた従業者の確保・育成など、10年ビジョンの実現に向けた態勢整備に充当しました。
〈地方創生への取組み〉
地域社会に対しては、活力あふれた地域を実現するために、様々な取組みを行いました。当行は、1978年10月に創立100周年を記念して基金を設立し、高知県内の福祉団体に助成を行っています。第46回目となる2024年度は、2団体に総額68万円の助成を実施し、助成の累計は293件、約1億53百万円になりました。
四国アライアンスにおいては、四国創生の実現に向けて、若手人財の定着・育成を支援することを目的に、昨年6月に、「四国アライアンス奨学金返還支援制度」を設立しました。複数の金融機関による奨学金返還支援制度の設立は、全国で初の取組みとなります。4行合計で120社を超える賛同企業さまにご登録いただき、2024年度は43名の支援対象者を採択しました。また子供食堂等を支援するフードバンクへ食品寄贈を行うフードドライブや、清掃活動とジョギングを組み合わせたプロギングに参加するなど、社会貢献活動にも取り組みました。
2024年8月から、当行と高知銀行とで取り組む「預金等の相続手続の共通化」に幡多信用金庫が参加し、地域のお客さまの利便性向上と負担軽減を図りました。
〈サステナビリティへの取組み〉
サステナビリティへの取組みとしては、「サステナビリティ方針」に基づき、2050年度のカーボンニュートラル実現を表明するとともに、2030年までにCO2排出量を2013年度比で50%削減する目標を定めています。南国事務センターをはじめとした設備更新時の省エネ設備と高効率機器の導入などを通じて、カーボンニュートラル実現に向けた取組みを着実に進め、2024年度の排出量は2013年度比で55.94%削減となりました。
サステナブルファイナンスは2023~2024年度累計で1,494億円を実行し、1年前倒しで2026年3月末の目標を達成したため、2030年12月末までの推進目標を3,000億円から5,000億円に引き上げました。お客さまのサステナビリティに対する取組みへの金融面からの支援を強化し、持続可能な地域社会の実現につなげてまいります。
また、国立研究開発法人科学技術振興機構の“共創の場形成支援プログラム”に採択された「しまんと海藻エコイノベーション共創拠点」(代表機関:高知大学)に参画するなど、地域の様々な課題解決に向けた取組みを進めました。
これらの取組みにより、中期経営計画の実績(単体ベース)及び進捗は以下のとおりであります。
中期経営計画に基づく各施策に取り組んだ結果、最終年度の目標に向けて各項目ともに伸長しました。
<財務目標>

(注)1 コア業務純益=資金利益+役務取引等利益+その他業務利益-経費(銀行法ベース)-債券関係損益-投資信託解約益
2 ROE(株主資本ベース)=当期純利益÷株主資本合計(当事業年度末と前事業年度末の平均値)
3 OHR(コア業務粗利益ベース)=経費(銀行法ベース)÷コア業務粗利益(資金利益+役務取引等利益+その他業務利益-債券関係損益-投資信託解約益)
<コンサルティング機能の発揮に向けた指標>

(注)1 お客さまの企業価値の向上:事業所融資先の企業価値を簡易算出し、2023年3月末基準と比較して企業価値が増加した先の割合
企業価値=直近期の自己資本+(直近3期分の営業利益及び減価償却費の合計)
2 サステナブルファイナンス実行額:投融資方針に基づく融資、<四銀>サステナブルファイナンス、BCファンド、その他社会課題の解決や持続可能な地域社会の実現に寄与する投融資の実行額
3 非金利収益比率=役務取引等利益÷コア業務粗利益(投資信託解約益を除く)
4 預り資産等残高:株式、円建債券(個人向け国債含む)、外国債券、投資信託、ファンドラップ、生命保険の合計残高
① 経営成績の分析
資金運用収支は、資金運用収益が前連結会計年度比63億39百万円増加し、資金調達費用が同26億20百万円増加したため、同37億18百万円増加し365億59百万円となりました。ポートフォリオ改善を目的とした国債の入替売買等により有価証券利息配当金が増加したことやLBOローンをはじめとする高度金融への取組みや中小企業向け融資の増加等により貸出金利息が増加したことが主な要因です。
役務取引等収支は、役務取引等収益が前連結会計年度比4億33百万円増加し、役務取引等費用が同3億72百万円増加したため、同61百万円増加し69億53百万円となりました。本部と営業店が一体となって、お客さま一人ひとりのライフステージに応じた資産運用や資産形成のアドバイスに努めました結果、個人コンサルティング収益は増加しました。法人コンサルティング収益は、前年度の大幅増加の反動はありましたが、計画どおりに推移しました。
その他業務収支は、その他業務収益が国債等債券売却益の減少等により前連結会計年度比45億円減少しましたが、その他業務費用が国債等債券売却損の減少等により同52億円減少したため、同7億円増加し99億37百万円の支出超過となりました。
営業経費は、ベースアップ等の実施による人件費の増加や本店等建替え計画に基づく諸費用の増加により、前連結会計年度比7億79百万円増加し238億4百万円となりました。
その他経常収支は、その他経常収益が株式等売却益の減少等により前連結会計年度比9億24百万円減少し、その他経常費用が与信費用の増加等により同18億15百万円増加したため、同27億38百万円減少し5億10百万円となりました。
特別損益は、減損損失の増加等により前連結会計年度比2億21百万円減少し2億52百万円の損失となりました。
上記の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比4億72百万円減少し68億13百万円となりました。
貸出金は、LBOローンをはじめとする高度金融への取組みのほか、事業性評価を軸としたコンサルティング活動の継続等により中小企業向けが増加し、個人向けも住宅ローンを中心に増加したことにより前連結会計年度末比176億円増加の2兆1,034億円となりました。
金融再生法開示債権(リスク管理債権)は、前連結会計年度末比37百万円増加し533億円となりました。総与信残高に対するリスク管理債権の比率は、同0.01ポイント低下し2.48%となりました。
有価証券は、国債をはじめ分散投資を実施しました結果、前連結会計年度末比1,006億円増加の1兆128億円となりました。
なお、その他有価証券に係る評価損益は、日本銀行による政策金利引上げによる国内金利の上昇に伴い、円建債券の評価損が増加したことにより、前連結会計年度末比255億円減少し69億円の評価損となりました。
譲渡性預金を含めた預金等は、預り資産等へのシフトもあり、前連結会計年度末比615億円減少の2兆9,785億円となりました。
預り資産等は、大和証券株式会社との包括的業務提携以降、充実した商品・サービスラインナップ、お客さまへより高度なコンサルティングの提供により、前連結会計年度末比655億円増加の5,466億円となりました。
連結自己資本比率は、自己資本の額が利益剰余金の増加等により前連結会計年度末比41億円増加し、リスク・アセットの額がバーゼルⅢ最終化の影響により同292億円減少したことにより、同0.40ポイント上昇し8.94%となりました。
なお、国内基準で求められている4%の基準は大幅に上回っており、十分な健全性を確保しております。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、当行グループは銀行業務を中心に金融サービスを提供していることから、主にお客さまからお預かりした預金等を中心に、また必要に応じて市場等からも資金調達を行い、貸出金や有価証券等により資金運用を行っております。資金の調達・運用状況は、月1回開催するALM委員会に報告されており、適切にコントロールしております。
なお、設備投資、株主還元等につきましては自己資金で対応しております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行グループが連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
〈貸倒引当金〉
当行グループは、金融機関が自ら自行の保有する資産を個別に検討して、回収の危険性または価値の毀損の危険性の度合に従って区分する自己査定を実施し、予め定めている償却・引当基準に則り、貸倒引当金を計上しております。債務者区分別の具体的な内容につきましては、「第5 経理の状況 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項 (4)貸倒引当金の計上基準」に記載のとおりであります。
また、見積りに用いた主要な仮定については、「第5 経理の状況 注記事項(重要な会計上の見積り) 1 貸倒引当金 (2)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報 ②主要な仮定」に記載のとおりであります。
会計上の見積りを決定する際に使用した測定のプロセスは当行グループの状況から見て適切であり、適切な貸倒引当金を計上していると判断しておりますが 、貸出先の経営状況が予想を超えて悪化した場合、現時点で見積もり計上した貸倒引当金が不十分となる可能性があります。また、担保価格の下落、またはその他の予期せざる理由により、貸倒引当金の積増しを必要とする場合もあり、これらの場合には当行グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当行グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。