当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
① 経営方針
激変する事業環境に対して、当行がお客さまから必要とされ、今後も発展していくために、当行が将来にわたってどうあるべきかを明確にすることが重要であり、当行の企業活動の原点である経営理念やブランドを、新しい変化を取り入れ再定義しております。
(経営理念)

(ブランドメッセージ(ブランドの存在意義や使命を明文化したもの))

② 中長期的な経営戦略
当行は、昨年4月よりスタートした「中期経営計画2024」(計画期間2024年4月~2027年3月)に取組んでおります。本計画のスローガンとして「人、まち、地域を『動かす人』がいる銀行へ」を掲げ、「お客さま支援ビジネスの多様化」を基本方針とし、既存ビジネスを深化させるとともに、金融の枠を越えた、あるいは地域の枠を越えた新たな価値の実現に取組んでおります。次表に掲げる数値目標の達成に向けて、役職員一丸となって諸施策を実践してまいります。
注 自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づく2006年金融庁告示第19号に定められた算式に基づき算出した自己資本比率(国内基準)であります。
2024年度の連結当期純利益は、前年比でマイナスとなり、2026年度中計目標比は5億20百万円のマイナスとなっております。また、役務取引等収益(単体)は、前年比でプラスとなるものの、2026年度中計目標比は1億64百万円のマイナスとなっております。コア業務純益(単体)は、前年比でマイナスとなり、2026年度中計目標比は7億47百万円のマイナスとなっております。自己資本比率は、バーゼルⅢ最終化の適用により貸出金のリスク・アセットが減少し、リスク・アセットの額が減少したことから前年比で上昇となり、2026年度中計目標比は0.85ポイントのプラスとなっております。誰でもDCプランの導入件数は、2026年度中計目標比969件のマイナスとなっております。まちのわ関連収益は、前年比でマイナスとなり、2026年度中計目標比は1億23百万円のマイナスとなっております。アライアンス戦略による収益貢献額は、前年比でマイナスとなり、2026年度中計目標比は2億80百万円のマイナスとなっております。2026年度中計目標対比ではマイナスの項目が多くなっておりますが、2024年度での進捗は概ね計画どおりとなっております。
・経営環境
当連結会計年度のわが国経済は、一部に足踏みがみられたものの、全体として緩やかな回復基調を維持しました。個人消費と設備投資は持ち直しの動きを示し、企業収益も改善傾向にありました。雇用・所得環境の改善が続き、これが景気回復を下支えする要因となりました。また、海外経済は、全体としては持ち直しの動きが見られましたが、地域ごとに状況は異なりました。米国では個人消費を中心に景気は拡大を続け、欧州も一部に弱さは残るものの、インフレ圧力が和らぎ個人消費を中心に持ち直しの動きが続きました。一方、中国では不動産市場の低迷などから消費が冷え込み回復に足踏みがみられ、不透明感が残る状況となりました。
金融情勢については、米国では物価上昇率の低下などから政策金利を引き下げました。また、欧州でも経済活動を下支えするため利下げ局面に入りました。中国では景気低迷から政策金利の引き下げ等金融緩和策が取られました。一方、国内では日本銀行が政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整しました。また、米国の通商政策などによる影響等から金融市場の変動は高まりました。当年度末には長期金利の指標である新発10年物国債利回りは1.4%台、ドル円相場は149円台、日経平均株価は35,600円台となりました。
当行の営業基盤である福岡県内の経済は、物価上昇の影響はあるものの、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は回復傾向にあり、設備投資は増加し各種政策の効果もあって景気は緩やかに回復しました。
・優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
わが国経済は、一部に弱めの動きもみられるものの、緩やかに回復しています。日本銀行は、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整しており、「金利のある世界」に変わっています。「金利のある世界」は、銀行経営にとって収益環境となりますが、同時にリスクやコストをコントロールする重要性も高まっています。また、金融市場では、各国の通商政策をはじめとする経済政策運営を巡る不確実性が高まっています。
このような環境の中、当行は、昨年4月より新たにスタートした「中期経営計画2024」(計画期間2024年4月~2027年3月)に取り組んでいます。本計画では、「お客さま支援ビジネスの多様化」を基本方針に、「既存ビジネスの深化」と「新たなビジネスの確立」を目指しています。具体的には、コンサルティングを柱とした伴走型支援の追求による「既存ビジネスの深化」、DX技術やアライアンス戦略を活用した「新たなビジネスの確立」、およびそれを可能にするための「動かす人」の育成や業務改革などの「強靭な経営基盤の構築」の3つに注力しています。
なお、当行は、地域に根差しながら、質の高い商品、サービスを全国へと拡販していくことも重視しています。新たなビジネスとして全国展開している企業型確定拠出年金推進事業の「誰でもDCプラン」は、連携する金融機関や事業所の拡充が図られ、契約件数は順調に増加し、収益性も着実に伸びています。当行は、アライアンス戦略の推進を通して、お客さま支援ビジネスを追求し収益力を高めてまいります。また、このような取り組みにより中長期的に成長し持続可能な経営基盤を更に強化してまいります。
当行は今後も、お客さまのお取引満足度の向上に努めるとともに、変化する金融環境に適応し、地域経済の発展に貢献する銀行として成長してまいります。
当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する考え方
当行は「
(サステナビリティ方針)
当行は、経営理念のもと、すべての人々がゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を安定的に維持する、持続可能な社会の実現に貢献します。
1.地域解題への取り組み(「まち」)
お客さまや地域の課題解決を支援することで、地域社会の持続的な発展に貢献するとともに、当行の企業価値の向上を追求します。
2.人間性ゆたかな社会への取り組み(「ひと」)
人権が尊重され、健康でいきいきとした、人間的に魅力ある地域社会の実現に向けて、正しい倫理観に則った誠実かつ公正な企業活動を遂行します。
3.持続可能な社会づくりへの取り組み(「自然」)
当行の存立基盤である地域社会の反映は、ゆたかな自然環境の恩恵を受け、地球環境の持続可能性のうえに成り立っていることを理解し、気候変動や生物多様性等の自然環境に関する問題に対するお客さまや地域の取り組みを積極的に支援します。また、当行の企業活動によって生じる環境負荷の低減に取り組みます。
4.普及・拡大への取り組み
当行は、地域全体が持続可能な社会となるようにお客さまや地域との対話を深め、お客さまとともに成長できる最良のパートナーとなるよう活動の輪を広げます。
(2) サステナビリティに関する取組の状況
(ガバナンス)
当行グループは、気候変動、生物多様性、人的資本等、多様なサステナビリティ課題に対応するためのガバナンスとして、頭取を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。本委員会は6ヵ月に1回の定例サステナビリティ委員会のほか、必要に応じ臨時サステナビリティ委員会を開催し、サステナビリティに関する事項について協議を行い、取締役会に報告し監督を受ける体制を構築しております。この体制の中で、サステナビリティに関するリスク管理(リスク及び機会の識別、評価、管理)を行うこととしております。
(戦略)
①気候変動
当行グループは、気候変動への対応を含む持続可能な地域環境づくりを、地域の持続可能な発展を実現するための重要課題の一つととらえています。当行グループは、気候変動が地域のお客さまや当行にもたらすリスクと機会を想定しながら、お客さまの気候変動対応への取り組みを支援していくとともに、賛同しております気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った態勢整備や気候変動に関する情報開示の充実に努めてまいります。
また、当行グループは「サステナビリティ方針」を制定し、気候変動への対応について重要な経営課題と認識し、リスク及び機会の両面から取り組みを進めてまいります。
・リスク
気候変動リスクとして物理的リスクと移行リスクを認識しており、当行グループの事業活動への直接的な影響をお客さまが影響を受けることによる間接的な影響の両方に対応する必要があります。
物理的リスクについては、気候変動によってもたらされる当行グループの取引先の事業活動への影響及び業況の変化等による信用リスクや、当行グループの営業店舗の損壊等によるオペレーショナルリスクを想定しています。
移行リスクについては、気候関連の規制強化等への対応など、脱炭素社会への移行の影響を受ける融資先に対する信用リスクの増大等を想定しています。
・機会
気候変動の緩和や脱炭素社会への適応に資する事業やイノベーションが事業機会になると認識しており、再生可能エネルギー事業や省エネ・効率化に向けた設備導入等に対するファイナンス、お客さまの脱炭素化への取り組みを支援するコンサルティング提供等のビジネス機会の増加を想定しています。
・シナリオ分析
気候変動に関する上記のリスクが与信ポートフォリオに及ぼす影響を把握するため、シナリオ分析の実施を検討してまいります。
②人的資本
経営理念やブランドメッセージにおいて『動かす人』(“人を動かし、心を動かし、未来を動かす”人)をキーワードとしているとおり、当行の宝は「人」であります。当行は人材を企業価値向上の重要な資本と位置づけ、お客さまのために高い付加価値を提供できる『動かす人』の育成と、一人ひとりが働きがいをもって能力を最大限発揮することができる社内環境の整備を推進してまいります。
(人材の育成に関する方針)
経営理念の実現に向け、地域のお客さまの幸せ(発展)を自らの喜び(成長)とする気持ちを持って、日々変化する環境下においてスキル・専門性を高め、お客さまのために高い付加価値を提供できる人材を育成します。そのためには各人のスキルやキャリアに応じた、「人材育成体系表」、「キャリア開発モデルプラン」による①OJT(職場内研修)、②OFFJT(行内外研修)、③自己啓発支援を通じて、従業員の自律的な成長を支援するとともに、主体的に学ぶ企業風土を醸成していきます。また、多様な人材を活かし、その能力を最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造に繋げていきます。
〈上記方針に関する主な取組み〉
・階層別研修(新入行員、若手、中堅層、マネジメント層等)
・キャリアデザイン研修
・女性リーダー養成研修等の実施
・金融ホームドクター制度
・自己啓発奨励金制度
・MBA取得支援
※上記取組みについては、当行単体の取組みを記載しております。
(社内環境整備に関する方針)
従業員一人ひとりが働きがいをもって能力を最大限発揮できる仕組みづくりと、安心して働き続けることができる働きやすい職場環境の整備に努めていきます。また、性別や年齢などに関係なく様々な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、従業員のエンゲージメント(働きがい・愛行心)を高め、明るく笑顔あふれる社内環境を創ってまいります。
〈上記方針に関する主な取組み〉
・ベースアップおよび初任給引き上げを実施。
・2024年度より従業員エンゲージメントサーベイを実施。組織のエンゲージメント状況の可視化をすることで、従 業員満足度とモチベーション向上のための施策を検討・実施。
・総合職を「ゼネラリストコース」、「専門キャリアコース」に区分し、特定総合職を「アテンダントコース」、「営業キャリアコース」に区分。また、高度な専門業務を行うコースとして「エキスパート職」を新設。
・法定以上の育児・介護休業制度
・小学校就学前の子を養育する行員の「短時間勤務制度」
・配偶者出産休暇、参観日休暇、子の看護休暇
・産後パパ育休の10日間の義務化
・ファミリーサポート休業制度
・旧姓使用制度
・保育料補助制度
・キャリアリターン制度
・副業制度
・定期健康診断、メンタルヘルスケアの実施
・ファイナンシャル・ウェルネス(従業員持株会、財形貯蓄制度、貸付制度、従業員向け団体保険、企業年金制度等)
※上記取組みについては、当行単体の取組みを記載しております。
サステナビリティに関するリスクが当行グループの事業活動・財務内容等に影響を及ぼす可能性があることを認識しています。当該リスクにかかる影響を把握・分析するとともに、統合的なリスク管理の枠組みにおける管理体制の構築を検討してまいります。
①気候変動
政府は2050年カーボンニュートラルの目標を掲げており、当行グループにおいても政府の目標に沿ったCO2排出量の削減目標を検討してまいります。
②人的資本
当行では、上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
※上記については、当行単体の指標、目標を記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとして、以下に記載したリスクのうち、特に重要なリスクとして、(1) 信用リスク及び(2) 市場リスクがあげられます。
当該リスクが顕在化した場合、当行グループの経営成績等に影響を与える可能性があるため、当行グループは当該リスクを評価したうえで、適切な範囲・規模で管理・コントロールするとともに、リスク・リターンの関係を踏まえた適切な管理・運営を行うことにより、経営の健全性及び適切性の維持・向上に努めております。なお、これらのリスク管理体制等については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 金融商品関係」に記載しております。
(特に重要なリスク)
(1) 信用リスク
信用供与先の財務状況の悪化、景気動向や不動産価格の変動等により、貸出等の資産の価値が減少し、不良債権や与信費用等が増加し、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、適切な経営資源の配分を行い、安定した収益の確保を図るため、個社別のリスクに加え、大口与信先、特定の業種や地域等への与信集中リスクについても、評価・管理等を行っております。
(2) 市場リスク
金利、為替、株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動により、資産・負債等の価値が変動し損失を被るリスクや、資産・負債等から生み出される収益が変動し損失を被り、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、市場リスクは、金利リスク、価格変動リスク、為替リスクの3つを主要なリスクとして、評価・管理等を行っております。
① 金利リスク
当行グループが保有する資産と負債の金利または期間のミスマッチが存在している中で金利が変動することにより、利益の低下または損失を被り、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 価格変動リスク
当行グループが保有する有価証券等の価格変動に伴い資産価格が減少し、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替リスク
当行グループが保有する外貨建資産・負債についてネット・ベースで資産超または負債超ポジションとなった場合に、為替の価格が当初予定していた価格と相違することによって損失が発生し、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ その他
信用スプレッドが変動することにより有価証券等の現在価値や期間収益に影響を与える可能性があります。
(重要なリスク)
(3) 流動性リスク
運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金の確保が困難になる、又は通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクや、市場の混乱等により市場で取引ができなかったり、通常より著しく不利な価格での取引を余儀なくされたりすることにより損失を被り、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) オペレーショナル・リスク
業務の過程、役職員の活動若しくはシステムが不適切であること、又は外生的な事象により損失を被り、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、事務リスク、システムリスク、人的リスク、有形資産リスク、風評リスク、法務リスクなどを主要なリスクとして、評価・管理等を行っております。
① 事務リスク
役職員が正確な事務を怠る、または事故・不正等を起こすことにより損失を被り、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
② システムリスク
コンピュータシステムのダウンまたは誤作動、システム不備等またはコンピュータ及びデータが不正に使用されることにより損失を被り、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 人的リスク
人事運営上の不公平・不公正・差別的行為等により損失を被り、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 有形資産リスク
自然災害や外部要因または役職員の過失による土地・建物・什器備品等の有形資産の損傷等により損失を被り、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 風評リスク
当行に対する報道、記事、噂などにより、当行の評判・信用が著しく低下し、当行の経営上重大な影響を及ぼす又は経営危機につながる恐れがあり、当行グループの経営成績等及び当行の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 法務リスク
業務の決定、執行、契約の締結等において、法律関係に不確実性、不備があることにより、コンプライアンスの欠如、不徹底により信用の毀損または損失を被り、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自己資本比率に関するリスク
告示に定められた算式に基づき算出した自己資本比率は、国内基準である4%以上を維持する必要がありますが、各種のリスク等が顕在化した場合に業績や財務内容に影響を与え、自己資本比率が4%を下回り、経営の健全性を確保するための改善計画の提出、業務の全部若しくは一部の停止等の命令を受ける可能性があります。
当行グループの自己資本比率の低下に影響を与える主な要因として以下のものがあります。
① 有価証券ポートフォリオの価値の低下
② 不良債権処理や貸出先の信用力低下等に伴う与信関係費用の増加
③ 自己資本比率の基準及び算定方法の変更
(6) 繰延税金資産に関するリスク
繰延税金資産は、過去の業績や将来の収益力に基づく課税所得の十分性等を勘案して、将来の税金負担額を軽減する効果を有していると見込まれる場合にのみ、回収可能性があるものとして貸借対照表に計上しておりますが、将来事象の予測や見積りに依存していることから、将来の税金負担額を軽減する効果を有していると見込まれなくなった場合には、過大となった繰延税金資産を取り崩すことになり、将来の当行グループの経営成績等及び自己資本比率に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 退職給付債務に関するリスク
当行グループの退職給付債務及び費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件等に基づき算出されております。これらの前提条件等が変更された場合、又は実際の年金資産の時価が下落した場合、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 固定資産の減損会計に関するリスク
当行グループが所有する固定資産については、今後の地価動向、固定資産の収益状況及び使用目的の変更等により減損処理に伴う損失が発生し、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 金融犯罪等に関するリスク
マネー・ローンダリング及びテロ資金供与等の金融犯罪防止を経営の重要な課題と位置付け、管理態勢の強化に取り組んでおります。しかしながら、高度化する金融犯罪等により、不公正・不適切な取引を未然に防止することができなかった場合、不測の損失や信用失墜等により、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 競争に関するリスク
近年の金融制度の規制緩和に伴い、他業態・他業種との競争が激しさを増しております。当行グループがこうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 格付低下に関するリスク
格付機関が当行グループの格付を引き下げた場合、当行グループの資本・資金調達等の条件が悪化したり、取引が制約される可能性があります。このような事態が生じた場合、当行グループの資本・資金調達費用が増加するなど、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 各種規制に関するリスク
当行グループが業務を行うにあたっては、様々な法律、規則、政策、実務慣行、会計制度及び税制等の適用を受けております。これらの法令等及びその解釈は将来変更される可能性があり、その内容によっては、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13) 特定地域への依存に関するリスク
当行グループは、福岡県を主要な営業基盤としております。福岡県の経済が悪化した場合は、与信関係費用が増加するなど、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14) 経営戦略等が奏功しないリスク
当行グループは、様々な経営戦略、アライアンス戦略を実施しております。各種要因によりこれらの戦略が奏功しない場合、当初想定していた結果をもたらさず、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15) 気候変動リスク
気候変動に伴う自然災害や異常気象が増加した場合は、当行営業店舗等への物理的な被害による損失や信用供与先へ悪影響を及ぼし与信関連費用が増加するなど、当行グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当行グループ(当行、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
・財政状態
主要勘定の連結会計年度末残高は、預金等(譲渡性預金を含む)は、法人預金や公金預金が増加したことから、前連結会計年度末比135億円増加の8,243億円となりました。貸出金は、地元の中小・中堅企業や個人事業主を中心とした取引の拡大や、住宅ローンをはじめとした個人のお客さまの資金ニーズにお応えするなど積極的な営業活動に努めた結果、中小企業等向けや地方公共団体向けの貸出金が増加したことから、前連結会計年度末比67億円増加の5,664億円となりました。有価証券は、株式や投資信託が減少したことから、前連結会計年度末比60億円減少の2,140億円となりました。なお、純資産は、その他有価証券評価差額金が減少したことなどから、前連結会計年度末比65億円減少の324億円となりました。
なお、連結自己資本比率(国内基準)は、前連結会計年度末比0.64ポイント上昇の9.15%となりました。
・経営成績
損益につきましては、経常収益は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加により資金運用収益が増加したことに加えて、連結子会社のちくぎんリースで営業収益が増加したことなどから、前連結会計年度比11億50百万円増収の191億73百万円となりました。一方、経常費用は、不良債権の処理費用は減少したものの、預金等利息の増加により資金調達費用が増加したことに加えて、営業経費が増加したことなどから、前連結会計年度比11億80百万円増加の180億21百万円となりました。この結果、経常利益は、前連結会計年度比30百万円減益の11億52百万円となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産処分損が増加したことなどから、前連結会計年度比76百万円減益の9億80百万円となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが113億90百万円のプラス、投資活動によるキャッシュ・フローが22億円のマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローが3億8百万円のマイナスとなりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比88億81百万円増加の636億19百万円となりました。
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
当連結会計年度の資金運用収支は、資金運用収益が95億2百万円、資金調達費用が5億26百万円となったことから、89億76百万円となりました。役務取引等収支は、役務取引等収益が21億75百万円、役務取引等費用が10億13百万円となったことから、11億61百万円となりました。その他業務収支は、その他業務収益が64億49百万円、その他業務費用が67億2百万円となったことから、△2億52百万円となりました。
(注) 1 「国内業務」とは、当行及び連結子会社の円建取引であります。「国際業務」とは、当行及び連結子会社の外貨建取引であります。
2 資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、国内業務と国際業務の間の資金貸借の利息であります。
3 相殺消去額については、当行及び連結子会社間の取引を相殺消去した額を記載しております。
資金運用勘定は、有価証券残高や預け金残高の減少を主因に平均残高が前連結会計年度比3億41百万円減少したものの、利回りが0.11ポイント上昇したことから、前連結会計年度比で利息は8億84百万円増加しました。
また、資金調達勘定は、預金残高や譲渡性預金残高の増加を主因に平均残高が前連結会計年度比23億42百万円増加したことに加えて、利回りが0.05ポイント上昇したことから、前連結会計年度比で利息は4億77百万円増加しました。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については四半期毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 「国内業務」とは、当行及び連結子会社の円建取引であります。
3 ( )内は、国内業務と国際業務の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
資金運用勘定は、平均残高が前連結会計年度比45億96百万円減少したことに加え、利回りが1.20ポイント低下したことから、前連結会計年度比で利息は1億27百万円減少しました。
一方、資金調達勘定は、平均残高が前連結会計年度比46億6百万円減少したことに加え、利回りが0.65ポイント低下したことから、前連結会計年度比で利息は59百万円減少しました。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については四半期毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 「国際業務」とは、当行及び連結子会社の外貨建取引であります。
3 ( )内は、国内業務と国際業務の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については四半期毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 国内業務と国際業務の間の資金貸借の平均残高及び利息は、相殺して記載しております。
3 相殺消去額については、当行及び連結子会社間の取引を相殺消去した額を記載しております。
役務取引等収益は前連結会計年度比84百万円増加して21億75百万円、役務取引等費用は前連結会計年度比1億21百万円増加して10億13百万円となりました。
(注) 1 「国内業務」とは、当行及び連結子会社の円建取引であります。「国際業務」とは、当行及び連結子会社の外貨建取引であります。
2 相殺消去額については、当行及び連結子会社間の取引を相殺消去した額を記載しております。
(注) 「国内業務」とは、当行及び連結子会社の円建取引であります。「国際業務」とは、当行及び連結子会社の外貨建取引であります。
(注) 「国内業務」とは、当行及び連結子会社の円建取引であります。「国際業務」とは、当行及び連結子会社の外貨建取引であります。
該当事項はありません。
(注) 1 「国内業務」とは、当行及び連結子会社の円建取引であります。「国際業務」とは、当行及び連結子会社の外貨建取引であります。
2 「その他の証券」は、外国債券を含んでおります。
(自己資本比率の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
単体自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるものについて債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容)
・財政状態
① 預金等残高
当連結会計年度末の預金等残高は、譲渡性預金の増加を主因に279億44百万円増加したことなどから、前連結会計年度末比135億23百万円増加して8,243億49百万円となりました。
注 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については四半期毎の残高に基づく平均残高を利用しております。以下、「財政状態」において同様であります。
② 貸出金残高
当連結会計年度末の貸出金残高は、前連結会計年度末比67億19百万円増加して5,664億30百万円となりました。また、中小企業等貸出金は前連結会計年度末比6億65百万円増加し、中小企業等貸出金比率は前連結会計年度末比0.86ポイント低下して81.91%となりました。
③ 有価証券残高
当連結会計年度末の有価証券残高は、株式やその他の証券が減少したことから、前連結会計年度末比60億57百万円減少して2,140億45百万円となりました。
・経営成績
① 業務粗利益
当連結会計年度の業務粗利益は、資金運用収支が増加したものの、役務取引等収支及びその他業務収支が減少したことから、前連結会計年度比1億28百万円減少して98億84百万円となりました。
② 経常利益
当連結会計年度の経常利益は、株式等関係損益が増加したものの、業務粗利益が減少したことに加えて、営業経費が増加したことなどから、前連結会計年度比30百万円減少して11億52百万円となりました。
③ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が減益となったことに加えて、固定資産処分損が増加し特別損益が減少したことなどから、前連結会計年度比76百万円減少して9億80百万円となりました。
(注) 1 業務粗利益=資金運用収支+役務取引等収支+その他業務収支
2 債券関係損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
3 与信関係費用=貸出金償却+一般貸倒引当金繰入額+個別貸倒引当金繰入額+債権売却損+偶発損失引当金繰入額-貸倒引当金戻入益-償却債権取立益+その他
4 株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
5 その他=(その他経常収益-株式等売却益)-(その他経常費用-与信関係費用-株式等売却損-株式等償却)
④ その他有価証券(市場価格のない株式等を除く)の評価差額
当連結会計年度のその他有価証券(市場価格のない株式等を除く)の評価差額は、債券の含み損が国内金利の上昇により拡大したことに加えて、株式の評価差額が減少したことなどから、前連結会計年度比71億66百万円減少して71億43百万円の評価損となりました。
(経営成績に重要な影響を与える要因)
① 与信関係費用
当連結会計年度の与信関係費用は、一般貸倒引当金繰入額や個別貸倒引当金繰入額が減少したことなどから、前連結会計年度比1億2百万円減少して6億28百万円となりました。
② 有価証券関係損益
当連結会計年度の有価証券関係損益については、債券関係損益は国債等債券売却損が増加したことなどから、前連結会計年度比4億52百万円減少して△5億93百万円となりました。一方、株式等関係損益は、株式等売却益が増加したことなどから、前連結会計年度比1億71百万円増加して6億51百万円となりました。
(セグメントごとの経営成績)
報告セグメントの経営成績は次のとおりであります。
① 銀行業
銀行業では、経常収益は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加により資金運用収益が増加したことに加えて、役務取引等収益や株式等売却益が増加したことなどから、前連結会計年度比10億59百万円増収の126億円となりました。また、セグメント利益(経常利益)は、預金等利息の増加により資金調達費用が増加したことに加えて、国債等債券売却損が増加したものの、与信関係費用が減少したことなどから、前連結会計年度比15百万円増益の10億79百万円となりました。
② リース業
リース業では、経常収益は、リース売上高が増加したことなどから、前連結会計年度比1億44百万円増収の67億35百万円となりました。また、セグメント利益(経常利益)は、リース売上原価や与信関係費用が増加したものの、経常収益が増収となったことなどから、前連結会計年度比2百万円増益の65百万円となりました。
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
・キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、預金の減少による144億20百万円の減少及び貸出金の増加による67億19百万円の減少はあったものの、譲渡性預金の増加による279億44百万円の増加などから、前連結会計年度比27億27百万円増加の113億90百万円のプラスとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却による収入78億39百万円や有価証券の償還による収入180億5百万円はありましたが、有価証券の取得による支出270億90百万円などから、前連結会計年度比111億21百万円減少の22億円のマイナスとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払3億11百万円などから、前連結会計年度比5百万円減少の3億8百万円のマイナスとなりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比88億81百万円増加の636億19百万円となりました。
・資本の財源及び資金の流動性
設備投資等は原則として自己資金で対応する予定であります。貸出金及び有価証券等の運用につきましては、大部分をお客さまからお預かりした預金で調達するとともに、必要に応じて日銀借入金等により資金調達を行っております。なお、資金の流動性の状況等については、毎月ALM常務会等で報告しております。
(経営方針等に照らした、経営者による経営成績等の分析、検討内容)
経営方針等に照らした、経営者による経営成績等の分析、検討内容については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)
当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。