以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループが判断したものであります。
経営方針
当行は次の方針に基づき経営活動を行っております。
(経営の基本方針)
経営理念:『地域社会の繁栄に貢献するため銀行業務を通じ最善をつくす』
長期ビジョン:Vision2031『地域の持続可能性を高める価値創造カンパニー ~ステークホルダーとともに~』
ブランドスローガン: 『感動を、シェアしたい。』
当行の経営理念は、「社会における役割・責任・目標、そして共通の価値観」を明示しており、行員一人ひとりがこの使命を銘記し、銀行業務を全力で遂行してまいります。
この使命を達成するために、地域の皆さまと一緒になって地域社会の発展に寄与するとともに、お客さまに感動していただけるサービスをお届けするという目標に向かって前進してまいります。
また、「中期経営計画2024」の策定に際して、2031年に目指す姿をVision2031「地域の持続可能性を高める価値創造カンパニー ~ステークホルダーとともに~」といたしました。
(中長期的な経営戦略)
当行では、2021年度に掲げた長期ビジョン「地域の持続可能性を高める価値創造カンパニー」の実現に向けて、2021年度からの3年間において「中期経営計画2021」に取り組んでまいりました。「未来を見据えた変革への挑戦~地域の未来を創る新たなサービス・価値の創造を目指して~」を基本テーマとして、基本戦略「地域特性を踏まえた金融・非金融サービスの提供」とビジョン戦略「SDGsを羅針盤とした新たなビジネスモデルへの挑戦」に取り組み、厳しい経営環境のなかでもしっかりと収益を確保できる経営基盤を築き上げてまいりました。
新たな「中期経営計画2024」の策定にあたり、社会課題の複雑化や、環境変化のスピードが加速するなかで、地域とともに持続的に成長していくためには、ステークホルダーを意識したサステナビリティ経営を実践していくことが必要であり、これらの認識のもと、長期ビジョンのブラッシュアップを実施いたしました。
ブラッシュアップした長期ビジョンからのバックキャストと「中期経営計画2021」や内外環境からのフォアキャストの両面からのアプローチにより策定した「中期経営計画2024」では、「私たちにしかできない『金融+α』~“挑戦”を“あたり前”に~」を基本テーマに、以下4つの基本方針に基づき施策を展開してまいります。
①基本方針Ⅰ:PLAN-Growth コアビジネスの深化、ソリューションビジネスを進化させ、大分銀行グループの強みの磨き上げと新たな挑戦による収益・成長機会を追求します
②基本方針Ⅱ:PLAN-Region 地域共創、地域課題の解決、産業振興機能拡充を通じて、大分銀行グループのプレゼンスを発揮します
③基本方針Ⅲ:PLAN-Transformation 営業態勢革新、デジタルの利活用により構造改革を進化させます
④基本方針Ⅳ:PLAN-Sustainability サステナビリティ経営の実現に向けた経営基盤を強化します
これら活動を通じて、地域やお客さまの課題解決に取り組み続けることによって、当行グループとお客さまの持続的成長とともに地域の持続可能性を高めてまいります。
「中期経営計画2021」において目標とした経営指標についての達成度は、以下のとおりです。
2024年度よりスタートした「中期経営計画2024(2024年4月~2027年3月)」の、最終年度である2026年度における経営指標は、以下のとおりです。
(注1)親会社株主に帰属する当期純利益
(注2)株主資本ベース
(注3)バーゼルⅢ最終化完全実施ベース
(注4)県内中小企業取引先の付加価値額(決算書受領先)
付加価値額:お客さまの営業利益、減価償却費など
(注5)従業員意識調査:「当行の従業員であることを誇りに思う」肯定回答割合
経営環境
2023年度の国内経済は、物価上昇の影響を受けつつも、個人消費が緩やかに増加したことを背景に、緩やかに回復しました。設備投資は一部に弱い動きがみられたものの、デジタル関連・省力化関連設備の堅調な需要を背景に、緩やかに増加しました。生産活動は海外経済の回復鈍化の影響から、横ばい圏内での動きとなり、個人消費は物価上昇の影響を受けつつも、所得環境の改善に支えられ緩やかに増加しました。住宅投資は住宅価格の上昇などから弱い動きとなり、公共投資は国土強靭化関連工事の剝落もあり、横ばいで推移しました。有効求人倍率は高水準ながらも弱めの動きとなりました。金融市場の動向について、まず株式は堅調な企業業績を背景に上昇基調で推移し、史上最高値を更新するなど強い動きとなりました。為替について円は日本銀行の緩和的な政策を受け、他の主要通貨に対して軟調に推移しました。長期金利は、日本銀行による長短金利操作の見直しや早期の金融政策修正への期待感から一時1%程度まで上昇しましたが、修正への期待が薄れたところで低下しました。その後、マイナス金利政策の解除などの大規模な金融政策は終了となりましたが、緩和政策の継続に対する見方から金利は安定して推移しています。
県内経済は、低調な生産活動などによる経済活動の停滞から弱含みました。設備投資は製造業で大規模な設備投資が行われ、前年度を上回りました。生産活動は海外景気の停滞や一部完成車メーカーの操業停止等を背景に弱い動きとなり、個人消費は外出機会の増加に伴い身の回り品が好調であった一方、物価上昇の影響もあり横ばいとなりました。住宅投資は前年にマンション建設が続いたことによる反動から減少し、観光は国内客に加えインバウンド客が増加したことで回復しました。公共投資は昨年からの継続工事に加え、豪雨災害の関連工事などもあり高水準で推移しました。有効求人倍率は高水準ながらも、横ばいで推移しました。
対処すべき課題等
「コンプライアンス」を大前提に、当行が持続的に成長しながら、地域の持続可能性を高めていくことが地域金融機関である当行の最大の経営課題であり、責務であると認識しております。そのなかで、2022年12月に特定しました以下のマテリアリティ(優先すべき重要課題)に対して、「中期経営計画2024」の諸施策を通じ取り組むことにより、当行とお客さまの持続的成長とともに地域の持続可能性を高めてまいります。
当行は収益を確保し存続を図る私企業としての役割に加え、持続可能な地域社会を創造する役割を担う公益性の高い企業として、今後も持続可能な企業価値の向上に努めてまいります。
株主の皆さまには、当行の取組みに対しまして、なお一層のご理解とご支援を賜りますよう心からお願い申し上げます。
当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループが判断したものであります。
これまで当行は経営理念「地域社会の繁栄に貢献するため銀行業務を通じ最善をつくす」のもと、CSRへの取組みやSDGs達成に向けた地域課題解決への取組みを実践してきました。また2024年4月にステークホルダーに「未来世代」を追加した、大分銀行グループのVision2031「地域の持続可能性を高める価値創造カンパニー~ステークホルダーとともに~」を長期ビジョンとして掲げ、地域と当行のサステナビリティを高める取組みを実践しています。
そのようななか、気候変動や人権問題をはじめとする環境・社会課題への対応の重要性はさらに高まっており、これらサステナビリティを巡る課題への取組みは重要な経営課題であるとの認識のもと、以下のとおりサステナビリティに関する基本方針を定め推進態勢を整備することで、より高いレベルでのサステナビリティ経営の実践をめざします。
<サステナビリティ基本方針>
大分銀行グループは、サステナビリティを巡る課題への対応を重要な経営課題として認識し、解決に向けて積極的に取り組むことで、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上をめざしてまいります。またサステナビリティに関する取組みについて情報開示や対話を行い、各ステークホルダーとの信頼関係の構築に努めます。
①ガバナンス
イ.当行は、気候変動を含むサステナビリティに関する課題への取組みを推進するため、取締役会においてサステナビリティ委員会及びサステナビリティ基本方針を制定しております。
ロ.取締役会議長を委員長とするサステナビリティ委員会における提言をもとに、サステナビリティワーキンググループをはじめとする各執行部門において全行横断的な協議を行い、取締役会へ報告・付議を行う態勢としています。なお2023年度については、サステナビリティ委員会を2回開催し、「女性活躍の推進への対応(多様性の尊重)」、及び「マテリアリティへの取組み」に関する提言・議論を行っています。
ハ.特に「気候変動」「人的資本・多様性」に関しては、当行の長期ビジョン「地域の持続可能性を高める価値創造カンパニー」実現のために優先すべき重要な課題である「マテリアリティ」の項目として、「気候変動への対応」「従業員エンゲージメントの向上」「多様性の尊重」を特定のうえ、取組みを行っています。
<サステナビリティに関するガバナンス体制>

①戦略
イ.リスク・機会
(イ) 当行は、気候変動に関連して、以下の「リスク」と「機会」を認識しています。なお「リスク」については、顕在化の時期及び事業への影響度を考慮のうえ、「特に重要なリスク」として認識したものです。
ロ.シナリオ分析
(イ) 当行においては気候変動がもたらす将来の与信関係費用の増加額を試算するため、「移行リスク」「物理的リスク」に関するシナリオ分析を以下のとおり実施しております。
(ロ) 分析の結果、「移行リスク」「物理的リスク」による財務影響は限定的と評価しています。
(ハ) 今後もシナリオ分析手法の高度化や対象範囲拡大により、気候変動関連リスクが当行の財務に与える影響の把握に努めてまいります。
ハ.炭素関連資産
炭素関連資産は一般的にCO2排出量が比較的多い資産とされており、当行貸出金における炭素関連セクターの占める割合は以下のとおりとなっています。
イ. 当行は、気候変動に関するリスクが当行の事業運営や財務内容等に影響を及ぼすことを認識しており、統合的リスク管理態勢の枠組み(※)において、シナリオ分析等の実施により識別・評価をしています。今後もシナリオ分析の対象範囲の拡大及び高度化に取り組んでまいります。
※当行では「統合的リスク管理」の定義を、当行の直面するリスクに関して、それぞれのリスクカテゴリー毎(信用リスク、市場リスク、オペレーショナル・リスク等)に評価したリスクを総体的に捉え、当行の経営体力(自己資本)と比較・対照することによって、自己管理型のリスク管理を行うこととしています。
ロ. 気候変動に影響を与えるセクターへの投融資に関しては、「環境・社会に配慮した投融資方針」に則り適切に判断を行っています。
<環境・社会に配慮した投融資方針>
イ.指標
(イ) CO2排出量(SCOPE1~3)の実績推移については、以下のとおりです。
脱炭素社会の実現に向け重要な指標であると認識しており、今後についても分析の強化・高度化を図っていきます。
SCOPE1・2(銀行+グループ会社) (単位:t-CO2)
SCOPE3(銀行単体)
㋑SCOPE1・2(2013年度・2020~2022年度:排出量推移)の対象範囲をグループ会社まで拡大して算定しています。
※CO2排出量の算定プロセスについて
ガソリンにかかる排出量:車両燃料費及び大分県ガソリン単価により算出
その他SCOPE1・2にかかる排出量:「省エネ法定期報告書」における排出量を採用
㋺SCOPE3は対象範囲を銀行単体とし、対象区分はカテゴリー1~7にて算出。
カテゴリー15(投融資)については、今後の開示に向けた算定・試行を進めています。
ロ.目標
(CO2排出量削減)
※CO2排出量の対象範囲:SCOPE1・2
・2050年までのカーボンニュートラルの達成
・2030年度CO2削減目標を「2013年度比△60%」から「同△70%」へ引き上げ
・2026年度CO2削減目標として「2013年度比△65%」を新たに設定
・CO2削減の対象範囲を大分銀行グループに拡大
(SDGs投融資)
当行では、SDGsの趣旨等を踏まえた「環境・社会に配慮した投融資方針」に基づき、地域経済を支える金融機関として行う環境・社会課題の解決に資する投融資を「SDGs投融資」としています。2023年度末時点のSGDs投融資実行額は863億円となりました。そのうち以下に該当するものを「環境関連」投融資として集計を行っています。
※環境関連:再生可能エネルギー、脱炭素社会の実現、生物多様性等、環境問題の解決に資する事業への投融資
(3) 人的資本
①戦略
当行においては、2008年3月に「従業員は銀行の重要な財産である」との経営姿勢を明確にし、人を育てる企業風土及び自ら学び自己実現を促す組織風土の構築を目指し、「人財育成基本計画」を策定しております。また、2011年10月には従業員は「財(たから)」であるという企業風土のもと、人事部を人財開発部へ変更しております。
中長期的な企業価値の向上に向けた人財育成方針及び社内環境整備方針として、「自律的な人財を育てる基盤の構築」及び「スキルが多様な人財が活躍する体制の強化」を実現するために、2019年9月に3つの柱(「自律的な人財を育てる基盤の構築」・「経営戦略・営業戦略との連携」・「ワークライフインテグレーションの実現」)から構成される「人財戦略グランドデザイン」を定めております。具体的には、「セルフキャリアドック」の導入と「キャリア開発プログラム(CDP)」の取組みによって得られる従業員情報を「タレントマネジメントシステム」の導入により集積・分析し、経営戦略や営業戦略で目指す姿を支える人財を計画的に育成するとともに人財の量的質的把握を高度化し、「最適な人財ポートフォリオ」・「適所適材の人財配置」・「計画的な人財育成」の実現に取り組んでおります。これらの取組みにより、「生産性向上」・「働き方改革」・「ダイバーシティ」を連動させた社内環境整備にも取り組んでおります。
また、2024年4月にダイバーシティ&インクルージョンの実現に向け人財開発部内に「ダイバーシティ推進室」を新設するなど、今後も人財育成及び社内環境の充実を図り、従業員一人ひとりが働きがい・やりがいを実感することで、従業員エンゲージメントの向上を目指します。
イ.「自律的な人財を育てる基盤の構築」・「経営戦略・営業戦略との連携」について
(イ)「セルフキャリアドック」の導入
㋑行員全員を対象とした「キャリア研修」・「キャリア面談」・「1on1ミーティング」等の施策を通じて、体系的かつ継続的に行員のキャリア形成、促進を支援し「キャリア自律の実現」に取り組んでおります。
㋺キャリアビジョンを考える上で、「求められること(Must)」と「自身がありたい姿(Will)」の適合する部分を見出し、その上で「自身ができること(Can)」を計画的に能力開発していくプロセスを組織として支援する仕組みとして「セルフキャリアドック」を導入しております。
(ロ)「キャリア開発プログラム(CDP)」の取組み
㋑組織が経営戦略を実現するうえで必要な専門性や能力等を定義し、行員が目指すべきキャリアビジョンやキャリアパスを結び付け、行員一人ひとりに合った能力開発の支援に取り組んでおります。
㋺新入行員から管理職までの一貫した育成体系として3つの領域(ファンダメンタル・プロフェッショナル・マネジメント)にセグメントし、各行員が目指したい専門領域の職務へのチャレンジのため、自律的に能力開発を行うことを目指しております。また、CDPに応じた育成プログラムと連動する仕組みとして企業内大学を設立し、多くの研修、セミナーメニューを準備することで「キャリア形成支援」と「専門能力の開発支援」を行っております。
㋩特に女性人財に関しては、特定の業務に偏ることによるキャリア形成への心理的な障壁の解消が課題の一つであると考えており、この課題に対してもCDPの取組みは有効であると考えております。すなわち、キャリア開発に必要な基礎的能力(知識・スキル・経験)を営業店ジョブローテーションにより一通り習得する領域(ファンダメンタル)、その後目指す分野における専門的能力を高める領域(プロフェッショナル)、管理職・役職者層を中心としたマネジメント能力の向上を図る領域(マネジメント)の各CDP領域において、必要な能力開発に取り組む仕組みとしており、行員が自律的に多様なキャリア形成を目指すことを支援するものです。これらの取組みにより、女性人財の能力向上、女性管理職の増加に取り組んでおります。
(ハ)「タレントマネジメントシステム」の導入
㋑「人財戦略グランドデザイン」における「経営戦略に応じた人員計画」や「計画的な人財育成」等を実現するため、人財データを一元管理・分析し、戦略的な人財育成や配置をサポートするシステムである「タレントマネジメントシステム」を導入しております。
㋺同システムは当行CDPにも対応した「キャリア形成支援機能」を搭載しており、ベンダーとの共同開発・機能強化に取り組んでおります。
ロ.「ワークライフインテグレーション(「仕事」と「生活」を別のものではなく統合的にとらえ、双方を充実させる考え方)の実現」について
(イ)「生産性向上」・「働き方改革」・「ダイバーシティ」を連動させる仕組みづくり
㋑営業店事務の本部集中やペーパーレス推進等の各種業務効率化策による「生産性向上」への取組みや、モバイルツール(タブレット端末・業務用スマートフォン)活用やテレワーク浸透等による「働き方改革」に係る諸施策にて、労働時間の削減やモチベーション向上につなげる仕組みづくりを進めております。
㋺また、転居を伴う異動のないコースでの昇進範囲の拡大や夫婦帯同制度の新設、育児休業制度の充実等、多様な人財が能力を発揮できるような取組みも継続的に強化しております。
㋩従業員を最大の経営資源と位置づけ、持続的な成長の実現には従業員の心身の健康とウェルビーイングが不可欠であるとの考えのもと、「健幸経営」の実現に向けて取り組み、経済産業省の顕彰制度である「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)ホワイト500」に6年連続で認定されております。引き続き、従業員が「仕事」と「生活」の双方を充実させることができるようウェルビーイングの向上に取り組んでまいります。

ハ. 「ダイバーシティ&インクルージョン」の実現
(イ)「ダイバーシティ推進室」の新設(「多様な人財の活躍」・「女性活躍の推進」に向けた取組み強化)
㋑多様な人財一人ひとりを尊重することで新たな価値や発想を生み出し、個性と能力を最大限発揮できる組織の実現に取り組んでおります。
㋺女性活躍の推進に向け、人事管理・人財育成体系の見直し、従業員の意識改革に取り組むことにより、女性が活躍できる組織の実現に取り組んでおります。
②指標と目標
イ.『従業員エンゲージメント』
(イ) 従業員は「財(たから)」であるという企業風土のもと、人財戦略グランドデザインをはじめとする各種施策を通じ従業員エンゲージメント向上を図っており、「従業員エンゲージメント」を指標として、2023年度は85%以上維持を目標として取り組んでまいりました。
(ロ) 「従業員エンゲージメント」につきましては、年1回従業員意識調査の中で実施しており(設問内容:当行の従業員であることを誇りに思う⇒回答:①そう思う、②まあそう思う、③あまりそう思わない、④そう思わない、のうち①②の肯定的な回答割合)、2023年度実績については87.5%(目標対比+2.5%・前年度対比+3.3%)でありました。
(ハ) 引き続き各種施策を実施することにより、「従業員エンゲージメント」の向上を目指し、2024年度についても85%以上維持を目標として取り組んでまいります。
ロ.『キャリア開発支援に関する従業員満足度』
(イ) 「キャリア研修」・「キャリア面談」・「1on1ミーティング」により、キャリア形成・促進を支援し「キャリア自律の実現」に取り組んでおります。これらを通じて、行員が明確な夢や目標を持てるよう支援を行うことから、「キャリア開発支援に関する従業員満足度」を指標として、2023年度は80%を目標として取り組んでまいりました。
(ロ) 「キャリア開発支援に関する従業員満足度」につきましては、年1回従業員意識調査の中で実施しており(設問内容:当行のキャリア開発支援について満足していますか⇒回答:①満足している、②まあ満足している、③あまり満足していない、④満足していない、のうち①②の肯定的な回答割合)、2023年度実績については83.6%(目標対比+3.6%・前年度対比+6.2%)でありました。
(ハ) 引き続き従業員のキャリア開発支援により、「キャリア開発支援に関する従業員満足度」の向上を目指し、2024年度については85%以上維持を目標として取り組んでまいります。
ハ.『プロフェッショナルカテゴリー(法人「融資・事業性評価」)のレベル2以上の総合1級~5級の行員数』
(イ) 新入行員から管理職までの一貫した育成体系を構築し、経営戦略・営業戦略等を実現する上で必要な専門性や能力等を定義することで行員一人ひとりの保有能力の見える化(レベル判定)に取り組んでおります。行員が目指したい営業店リレーションシップマネジャー(以下営業店RM)(法人・個人営業)や専門領域の職務に対して、企業内大学や実践的な育成プログラムを構築し自律的な能力開発を促すことにより、法人・個人・専門の各領域で一定レベル以上の人員数確保を目指しております。
(ロ) 「キャリア開発プログラム(CDP)」において、専門性を高めるためプロフェッショナルカテゴリー(営業店RMと本部プロフェッショナルカテゴリー)を設定しており、営業店RMは法人・個人領域、本部プロフェッショナルカテゴリーは本部専門領域を対象としております。
(ハ) 営業店RMのうち、特に法人営業(融資・事業性評価)分野については、多様な資金ニーズへの対応、地域・産業・企業への貢献、コンサルティング機能等の発揮の観点より、優先して対応する必要があると判断していることから、「プロフェッショナルカテゴリー(法人<融資・事業性評価>)のレベル2以上の総合1級~5級の行員数」を指標として、2023年度は269名(当行の営業店得意先係の基準人員数)を目標とし、実績は233名(目標対比△36名・前年度対比+7名)でありました。
(ニ) レベル判定につきましては、知識・スキル・経験を問う設問によりレベル0~4の5段階で評価しております。レベル0~1は育成ステージ、レベル2以上は推進ステージとし「一通りの専門性を備えた人財」と定義しております。また、総合1級~5級の行員につきましては、実務を担う行員層(管理職等除く)であることから、毎年昇進等により行員層におけるレベル2以上の行員は減少しますが自律的な能力開発を通じた育成により、2023年度は前年度対比+7名と増加しております。
(ホ) 今後も継続した能力開発により、2024年度は263名(当行の営業店得意先係の基準人員数)を目標として取り組んでまいります。
ニ.『1on1ミーティング実施回数』
(イ) 「セルフキャリアドック」の取組みとして、対象者(行員<管理職等除く>)に対して毎月1回以上の1on1ミーティングを実施することにより、「キャリアビジョン(ありたい姿)」実現に向けて行員一人ひとりが自律的な自己成長に取り組む風土を醸成しております。
(ロ) 2023年度は実施回数12,290回を目標とし、実績は13,416回(目標対比+1,126回・前年度対比+634回)でありました。
(ハ) 引き続き行員一人ひとりが自律的な自己成長に取り組む風土を醸成するため、2024年度の目標につきましては、実施回数11,800回として取り組んでまいります。なお、対象者につきましては、期中の退職・昇進・育児休業等により変動することから、目標については2024年4月1日現在の対象者数1,093名×12回×90%=11,800回としております。
ホ.『3年目以内の離職率』
(イ) 「セルフキャリアドック」「キャリア開発プログラム(CDP)」等を通じ、従業員エンゲージメント向上を図り、若手行員の離職防止に取り組んでおります。新入行員から3年目までを対象とした「ファンダメンタルCDP」により、基礎知識・基礎スキルを習得するとともにジョブローテーションを行いながら必要な業務経験を一通り積むことで、基礎となる能力(知識・スキル・経験)を習得させております。
(ロ) 「セルフキャリアドック」を充実させ、行員の「Will(ありたい姿・やりたいこと)」を育むと同時に、「キャリア開発プログラム(CDP)」の取組みを通じて行員の「Can(できること)」を増やしております。「できること」が増えれば自信となり、周囲の信頼を得ることができるようになります。仕事の中に「やりたいこと」が見つけられたり、「やりたいこと」を仕事にできれば、もっとやりたいと感じることになり、「Must(求められること)」が「できて」、「やりたいこと」であれば「やりがい」や「働きがい」を感じることから、これらを通じて離職防止を図ってまいります。
(ハ) 2022年度の3年目以内の離職率が10.8%であったことから、2023年度は10%以内を目標としておりましたが、実績は12.9%(目標対比+2.9%・前年度対比+2.1%)でありました。「ファンダメンタルCDP」の履行状況やジョブローテーションが不十分であったこと等に起因し、結果として「やりがい」「働きがい」を醸成させることが不足していたことなどが原因であると考えております。
(ニ) 引き続き「セルフキャリアドック」等の取組みを通じて、3年目以内の離職率改善を図りたく、2024年度につきましても10%以内を目標として取り組んでまいります。
ヘ.『男女間の平均継続勤務年数の差異』
(イ) 転居を伴う異動のないコースでの昇進範囲の拡大(人事制度において転居を伴う異動の有無によりコース設定を行っている)や夫婦帯同制度(行員夫婦が帯同して異動可能な制度)を新設する等主体的なコース選択を促すことにより、平均継続勤務年数の伸長を図っております。
(ロ) 女性人財に関しては、特定の業務に偏ることによるキャリア形成への心理的な障壁解消のため、「セルフキャリアドック」「キャリア開発プログラム(CDP)」等を実施することにより、平均継続勤務年数の伸長に取り組んでおります。
(ハ) 2023年度は90%以上を目標とし、実績は82.1%(目標対比△7.9%・前年度対比△2.0%)でありました。男性・女性ともに平均継続勤務年数は伸長しておりますが、在籍出向制度開始(2022年6月より、55歳以降人財が他社へ異動する場合、転籍扱いから在籍扱いへ変更)により勤続年数の長い男性が増加したこともあり、男性に比べ女性の伸長率が低かったことが原因であると考えております。
(ニ) 引き続き男女間の平均継続勤務年数の差異を改善したく、2024年度につきましても90%以上を目標として取り組んでまいります。
ト.『月平均時間外労働時間』
(イ) ワークライフインテグレーション(「仕事」と「生活」を別のものではなく統合的にとらえ、双方を充実させる考え方)の実現により、仕事においても活力を生み出し、収益拡大等の生産性向上に取り組んでおります。
(ロ) ワークライフインテグレーションの実現のためには、長時間労働の見直しや業務効率の改善が必要となります。行員の時間外労働時間を削減することができればプライベートを充実させやすくなり、結果としてモチベーション向上や仕事と家庭の両立が期待できることから、2023年度の行員一人当たりの月平均時間外労働時間を2022年度実績11時間43分より43分削減し、11時間以内を目標として取り組み、実績は9時間50分(目標対比△1時間10分・前年度対比△1時間53分)でありました。
(ハ) 引き続き生産性向上や働き方改革により、2024年度の行員一人当たりの月平均時間外労働時間の削減を目指し、2024年度は10時間以内を目標として取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループが判断したものであります。
これらのリスクは将来の様々な要因により変動することがありますが、当行グループではこれらのリスクの抑制と顕在化回避を図るとともに、万一、リスクが顕在化した場合の対応に努めております。
(1) 信用リスク
2024年3月末の当行単体の金融再生法に基づく不良債権比率は1.89%です。なお、各々の債権に対し、貸倒れが予測される部分については、十分な引当てを行っております。しかしながら、世界的な市場の混乱や金融経済環境の悪化を含む世界経済及び日本経済の動向、不動産価格及び株価の変動、貸出先の経営状況及び信頼性を失墜させる不祥事等の問題の発生によって不良債権が増加する可能性があります。また、海外向け信用供与について、与信先の属する国の外貨事情や政治・経済情勢等により当行が損失を被り、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、現時点の想定を上回る信用コストが発生した場合、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 市場リスク
当行は、金利、為替、株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動により、資産・負債(オフバランスを含む)の価値が変動し損失を被るおそれ及び資産・負債から生み出される収益が変動し損失を被るおそれがあり、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
・金利リスク
当行の資産・負債は主要業務である貸出金、有価証券及び預金で形成されており、主たる収益源は資金運用と資金調達の利鞘収入であり、預金金利及び貸出金利は市場金利等に基づき改定しております。しかし、市場金利の変動等に対し預貸金の金利改定のタイムラグや資産・負債の構成等により、預金等の調達利回りと貸出金等の運用利回りの利鞘が縮小した場合、資金利益の減少により当行の業績へ影響する可能性があります。従って、金利変動に伴い損失を被るリスクで、資産・負債の金利又は期間のミスマッチが存在している中で金利が変動することにより、利益が低下ないし損失を被るおそれがあり、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
・為替リスク
当行は、外貨建資産・負債についてネット・ベースで資産超又は負債超ポジションが造成されている場合があり、さらに為替の価格が当初予定されていた価格と相違することによって損失が発生するおそれがあり、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
・価格変動リスク
当行は、市場性のある国債等の債券や市場価格のある株式等の有価証券を保有しております。従いまして、将来、それらの価格の変動に伴って資産価格が減少するリスクがあり、減損又は評価損が発生することにより、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 流動性リスク
当行の財務内容の悪化等により必要な資金が確保できなくなる可能性や、資金の確保に通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされる可能性があります。また、市場の混乱等により市場において取引が出来なくなる可能性、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被る可能性があります。また、金融経済環境の悪化等の外部要因によっても当行の資金調達の条件・流動性の状況が悪化するもしくは取引が制約されるおそれがあります。これらの要因により、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) オペレーショナル・リスク
当行は、内部管理態勢強化、コンプライアンス態勢の充実を図っており、事務規程等に沿った正確な事務処理を励行することを徹底し、事務事故の未然防止を図るため全行を挙げて取り組んでおります。しかしながら、これらの対策にも拘らず、業務の過程、役職員の活動もしくはシステムが不適切であること又は外部にて発生した事象により損失を被るおそれがあり、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
・事務リスク
当行は、各種規程等を遵守した正確な事務取扱を徹底するとともに事務処理の集中化やコンピュータシステムによるチェックの強化により、堅実な事務処理態勢を構築しておりますが、役職員が正確な事務を怠ること、あるいは事故・不正等を起こすことにより当行が損失を被るおそれがあり、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
・システムリスク
当行は、業務の多様化、高度化、取引量の増大に伴い、様々な業務をコンピュータによって処理しております。従って、コンピュータシステムのダウン又は誤作動等、システムの不備等に伴い当行が損失を被るおそれがあります。さらにコンピュータが不正に使用されることにより当行が損失を被るおそれがあります。これらの要因により、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
・サイバー攻撃リスク
近年のサイバーセキュリティに対する脅威の深刻化等を踏まえ、サイバー攻撃動向や脆弱性等の情報を収集・把握し、セキュリティ管理態勢の強化に取り組んでおります。しかしながら、サイバー攻撃によるサービスの停止、データの改ざん、情報の漏洩、不正利用などが発生した場合、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
・法務リスク
当行は、事業活動を行う上で、会社法、金融商品取引法、銀行法等の諸法令による規制を受けるほか、各種取引上の契約を締結しております。当行が関与する取引・訴訟等において法律関係に不確実性、不備等があることにより信用の毀損又は損失が発生するおそれやコンプライアンスの欠如により不正行為が行なわれた場合には、信用の失墜及び罰則費用や損害賠償等に伴う損失が発生し、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
・人的リスク
当行は、人材の流出・喪失等や士気の低下、労務問題を含める人事運営上の不公平・不公正(報酬・手当・解雇等の問題)、差別的行為(セクシュアルハラスメント等)、役職員による法令等の遵守に関して問題となる業務上の行為(業務上横領・交通事故等)から生じる損失・損害などを被るおそれがあります。また、業務継続のための人材確保が困難となることから生じる適切な営業態勢・陣容を構築できないおそれがあります。これらの要因により、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
・イベントリスク
犯罪・自然災害等偶発的に発生する事件・事故等により店舗等の有形資産の損傷による損失の他、当行の業務運営への支障が生じる可能性があり、損失を被るおそれがあります。それにより当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
・風評リスク
その誘因となる事象の発生により当行に対する否定的な世論(悪い評判)が、事実に基づく、基づかないに拘らず、結果的に当行の収益や資本、顧客基盤等に重大な損失をもたらすおそれがあり、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
・情報資産リスク
当行は、膨大な顧客情報を保有しており、情報管理に関する規程及び体制の整備や従業員教育の徹底により、情報資産の厳正な管理に努めております。しかしながら、情報資産の漏えい、紛失、改ざん、不適切な取得や取扱い及び不適正な第三者への提供等により当行に対する信用低下が生じ損失を被るおそれがあり、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関するリスク
当行は、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止を経営上の最重要課題の一つとして位置づけ、基本方針に基づきマネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止に取り組んでおります。しかしながら、防止対策が有効に機能せず、不公正・不適切な取引を未然に防止できなかった場合、不測の損失の発生や信用失墜等により、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 経営リスク
当行が、2024年4月より取組みを行っている「中期経営計画2024」に基づき展開する経営戦略等が奏功しない場合、当初想定した結果が得られない可能性があります。
(7) 特定地域への依存
当行は大分県を主要な営業基盤としており、地域別与信額においても大分県は大きな割合を占めています。大分県の経済状態が悪化した場合には、信用リスクが増加し、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 他金融機関等との競争激化
当行が主要な営業基盤とする大分県において、地元競合他行及びメガバンクのほか近隣他県の地域金融機関、ノンバンク等との間で競争関係にあります。また、政府系金融機関の民営化、ゆうちょ銀行の業務範囲拡大の動き、小売業等異業種からの銀行業参入など近年の金融制度の大幅な緩和を通じ激化した競争環境のなかで、当行が競争優位を得られない場合、調達コストの上昇を資金運用面でカバーできない等の事態も想定され、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 業務範囲拡大に伴うリスク
当行は、法令等の規制緩和に伴う業務範囲の拡大等を前提とした多様な営業戦略を実施しております。当該業務の拡大が予想通りに進展せず、想定した結果を得られない場合、営業戦略が奏功しないことにより、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)自己資本比率規制
当行の連結自己資本比率及び単体自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づく2006年金融庁告示第19号に定められた算式に基づき算出しており、当行は国内基準を採用しております。
当行の自己資本比率が要求される基準(4%)を下回った場合には、金融庁長官から、業務の全部又は一部の停止等の命令を受けることとなります。当行の自己資本比率に影響を与える要因としては以下のもの等が含まれます。
・有価証券ポートフォリオの価値の低下等
・債務者の信用悪化や不良債権処理等による与信関係費用の増加
・自己資本比率の基準及び算定方法の変更
・繰延税金資産の回収可能性の低下(※)
・本項記載のその他の不利益な展開
(※)繰延税金資産の計上は、将来の課税所得など様々な予測・仮定に基づくものであるため、当行が将来繰延税金資産の一部又は全部が回収できないと判断した場合、繰延税金資産の取り崩しとなり、当行の業績に悪影響を与えるとともに、自己資本比率の低下につながる可能性があります。
(11)退職給付債務
当行の退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件が変更された場合、又は実際の年金資産の時価が下落した場合、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)固定資産の減損等
当行が所有及び賃借中の土地、建物、車両等の有形固定資産について、自然災害、犯罪行為又は資産管理上の瑕疵等の結果、毀損、焼失あるいは劣化することにより業務の運営に支障をきたす可能性があります。また、有形固定資産の減損会計適用に伴い、評価額が低下した場合等には損失が発生する可能性があります。これら有形固定資産に係るリスクが顕在化した場合、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)外部格付
当行は外部格付機関より格付を取得しておりますが、外部格付機関が格付を引き下げた場合、資金・資本調達に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当行グループ各社は大分県を中心として、福岡県、宮崎県、熊本県、大阪府及び東京都に営業基盤を有し、堅実経営を基本方針として業容の拡大、内容の充実に努め、地域経済の発展に奉仕し、地方銀行の企業集団としての使命を達成すべく努力しております。
マイナス金利政策の継続や人口減少等、金融機関を取り巻く厳しい経営環境の中で、当行グループは積極的な営業活動を展開し、業績向上に努めました結果、次のような結果となりました。
(財政状態)
預金及び譲渡性預金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末対比793億円増加し、3兆6,196億円となりました。
貸出金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末対比619億円増加し、2兆1,540億円となりました。
有価証券の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末対比84億円増加し、1兆3,966億円となりました。
(経営成績)
連結ベースの経常収益は、株式等売却益及び貸出金利息の増加等により、前連結会計年度対比3億35百万円増加し、732億40百万円となりました。経常費用は、外貨調達コストが増加したものの、国債等債券売却損の減少等により、前連結会計年度対比9億50百万円減少し、641億57百万円となりました。
この結果、経常利益は、前連結会計年度対比12億86百万円増加し、90億83百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加等により、前連結会計年度対比11億27百万円増加し、65億36百万円となりました。
(セグメント別業績)
当行グループの中心である「銀行業」では、経常収益は、国債等債券売却益の減少等により、前連結会計年度対比3億7百万円減少し、617億25百万円となりました。セグメント利益は、国債等債券売却損の減少等による経常費用の減少が、経常収益の減少を上回ったことから、前連結会計年度対比10億83百万円増加し、76億4百万円となりました。
「リース業」では、経常収益は、割賦収入の増加等により前連結会計年度対比4億61百万円増加し、91億64百万円となりました。セグメント利益は、経常収益の増加が、割賦原価の増加等による経常費用の増加を上回ったことから、前連結会計年度対比1億54百万円増加し、3億43百万円となりました。
「銀行業」、「リース業」を除く「その他」の経常収益は、その他経常収益の増加等により、前連結会計年度対比1億26百万円増加し、36億43百万円となりました。セグメント利益は、経常収益の増加により、前連結会計年度対比51百万円増加し、11億46百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、預金の増加等により、1,326億94百万円のプラス(前連結会計年度は959億40百万円のマイナス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の償還による収入等により、153億94百万円のプラス(前連結会計年度は1,200億81百万円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、14億83百万円のマイナス(前連結会計年度は12億63百万円のマイナス)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末対比1,466億80百万円増加し、8,703億66百万円となりました。
資金運用収支は、前連結会計年度対比24億96百万円減少して396億69百万円、役務取引等収支は、前連結会計年度対比1億89百万円増加して79億7百万円、その他業務収支は、前連結会計年度対比62百万円減少して△179億5百万円となりました。
(注) 1 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。以下同様であります。
2 資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度0百万円)を控除しております。
3 「相殺消去額」欄は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息を記載しております。
資金運用勘定の平均残高は、3兆7,311億円となり、利回りは0.85%となりました。資金調達勘定の平均残高は、4兆1,408億円となり、利回りは0.01%となりました。
(注) 1 平均残高は、当行については日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、月毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度431,083百万円、当連結会計年度522,798百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度16,040百万円、当連結会計年度3,991百万円)及び利息(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度0百万円)を、それぞれ控除しております。
資金運用勘定の平均残高は、2,804億円となり、利回りは4.30%となりました。資金調達勘定の平均残高は、2,776億円となり、利回りは1.38%となりました。
(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度-百万円、当連結会計年度-百万円)を控除して表示しております。なお、資金調達勘定より控除すべき金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息はありません。
2 国際業務部門の国内店外貨建取引の平均残高は、月次カレント方式(前月末のTT仲値を当該月の取引に適用する方式)により算出しております。
(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度431,083百万円、当連結会計年度522,798百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度16,040百万円、当連結会計年度3,991百万円)及び利息(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度0百万円)を、それぞれ控除しております。
2 「相殺消去額」欄は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息を記載しております。
役務取引等収益は、前連結会計年度対比2億16百万円増加して98億57百万円となりました。また、役務取引等費用は、前連結会計年度対比27百万円増加して19億49百万円となりました。
預金の種類別残高(末残)
(注) 1 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
2 定期性預金=定期預金+定期積金
ロ.外国政府等向け債権残高(国別)
「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げることとしておりますが、前連結会計年度及び当連結会計年度は該当ありません。
有価証券残高(末残)
(注) 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(自己資本比率等の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準) (単位:億円、%)
単体自己資本比率(国内基準) (単位:億円、%)
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績並びに事業計画の合理性等を基礎として債務者区分を決定し、その債務者区分に応じて次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
(注)金額は億円未満を四捨五入して表示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①財政状態の分析
(預金等)
預金等は、個人預金、法人預金及び公金預金が増加したことから、前連結会計年度末対比793億11百万円増加し、3兆6,196億30百万円となりました。
(貸出金)
貸出金は、事業性貸出金及び個人ローンの増加により、前連結会計年度末対比619億31百万円増加し、2兆1,540億42百万円となりました。
(有価証券)
有価証券は、株式及び国債の増加により、前連結会計年度末対比84億25百万円増加し、1兆3,966億27百万円となりました。
(金融再生法開示債権の状況)
金融再生法開示債権及び引当・保全の状況は以下のとおりであります。
金融再生法開示債権は、前連結会計年度末対比41億91百万円減少し、428億81百万円となりました。
開示債権比率は、前連結会計年度末対比0.25ポイント低下し、1.94%となりました。
債権区分別では、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が9億84百万円、危険債権が31億99百万円、要管理債権が7百万円それぞれ減少しております。
当連結会計年度の開示債権の保全状況は、開示債権428億81百万円に対し、引当金による保全が194億98百万円、担保保証等による保全が203億94百万円で、開示債権全体の保全率は、前連結会計年度末対比0.4ポイント上昇し、93.0%となっております。
(連結自己資本比率(国内基準))
自己資本額は、当期純利益の計上等により、前連結会計年度末対比54億97百万円増加し、1,843億58百万円となりました。
リスク・アセットは、貸出金の増加等により、前連結会計年度末対比499億73百万円増加し、1兆7,686億37百万円となりました。
以上の結果、連結自己資本比率は、前連結会計年度末対比0.02ポイント上昇し、10.42%となりました。
今後、「収益確保に向けたリスク資産の増強」や「地域への積極的なリスクテイク」を通じたリスク・アセットの増加により、自己資本比率は低下することも想定されますが、その適正水準についてはリスク・リターンのバランスをみながら随時検討を行います。
②経営成績の分析
損益の状況
(注) 連結粗利益=(資金運用収益-資金調達費用)+(役務取引等収益-役務取引等費用)
+(その他業務収益-その他業務費用)
(連結粗利益)
連結粗利益は、売現先利息の増加による資金利益の減少等により、前連結会計年度対比23億68百万円減少し、296億71百万円となりました。
(営業経費)
営業経費は、物件費の増加等により、前連結会計年度対比3億81百万円増加し、275億12百万円となりました。
(連結与信費用)
連結与信費用は、貸倒引当金戻入益の減少等により、前連結会計年度対比12億76百万円増加し、8億10百万円のマイナスとなりました。
(株式等損益)
株式等損益は、株式等売却益の増加等により、前連結会計年度対比53億54百万円増加し、60億60百万円のプラスとなりました。
以上の結果、「中期経営計画2021」の経営指標である「連結当期純利益」については、2023年度の目標である47億円を上回りました。
③資本の財源及び資金の流動性
当行グループの資産及び負債は主要業務である貸出金、有価証券及び預金で形成されています。
当行グループの運転資金・設備資金については、預金を主とする負債及び自己資本により充当しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は8,703億66百万円であり、上記運転資金・設備資金を十分な水準にて確保しており、また、資金流動性確保に懸念はないものと考えております。
資本の財源及び資金の流動性についての分析については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。当行が連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであると認識しております。
(貸倒引当金の計上)
当行グループにおける貸出金、支払承諾見返等の債権は連結貸借対照表上の資産に占める割合が大きく、経営成績等に対する影響も大きいため、会計上の見積りとして重要なものと判断しております。
当行の経営者は、貸倒引当金の計上にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は合理的であり、貸倒引当金は債権に対して十分に計上されていると判断しております。ただし、貸倒引当金の計上には不確実性が含まれており、将来の景気変動や債務者の業況の変化等により、将来、当行グループの貸倒引当金を増額又は減額する可能性があります。
なお、貸倒引当金の計上基準等への影響については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4会計方針に関する事項(5)貸倒引当金の計上基準及び(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
(繰延税金資産)
当行グループは、繰延税金資産について、将来の収益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しており、会計上の見積りにおいて重要なものと判断しております。
当行の経営者は、繰延税金資産の計上にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は合理的であると判断しております。
ただし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額又は減額する可能性があります。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(税効果会計関係)」をご参照ください。
(退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債)
当行グループは、退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債を数理計算に使用される前提条件に基づいて計算しております。これらの前提条件には退職給付債務の割引率、退職率、予想昇給率及び年金資産の長期期待運用収益率等の見積りを用いております。
当行の経営者は、退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債の計算にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は合理的であると判断しております。
ただし、前提条件に変動が生じ退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債が増減した場合、その影響は将来の一定期間にわたって損益処理されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4会計方針に関する事項(9)退職給付に係る会計処理の方法及び(退職給付関係)」をご参照ください。
⑤次期(年間)の業績の予想
当行グループの2024年度の業績につきましては、経常収益681億円、経常利益94億円、親会社株主に帰属する当期純利益66億円を予想しております。このうち当行単体では、経常収益569億円、経常利益84億円、当期純利益59億円を予想しております。
なお、日経平均株価を33,000円~43,000円、与信費用(一般貸倒引当金繰入額+不良債権処理額)を連結ベースで年間16億円、単体ベースで年間13億円と見込んでおります。
業績予想については、当行が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく変動する可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。