(1)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
①経営方針
当行は、「地域から親しまれ、信頼され、地域社会の発展に寄与する銀行」という経営理念に基づき、変わらぬ価値観である「職業倫理と高度の専門性を身につけるよう努めるとともに、真にお客様にとって必要とされる商品、サービスを提供し、お客様の最善の利益を追求する」という顧客本位の業務運営を目指します。
②経営環境
2021年度の国内経済は、4月~9月期は全国的に「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が発出され、旅行や外食などの個人消費が控えられたことから、全体として景気は弱い動きとなりました。10月~12 月期は9月末に「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が全国的に一斉に解除されて人流が回復したことから、景気は持ち直しの動きがみられました。しかし、2022年1月~3月期は再び全国的に「まん延防止等重点措置」が発出されて人流が抑制されたことに加え、東南アジアからの半導体や部品などの供給不足の顕在化、中国経済の回復鈍化による輸出の減少などで、景気は再び弱い動きとなりました。
沖縄県経済は、基本的には全国と同様の動きとなり、4月~9月期は後退局面、10月~12月期は下げ止まり(底這い)局面へ移行、2022年1月~3月期は再び後退局面となりました。沖縄県では「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」に「飲食店の時短営業」まで加えた人流抑制期間が257日にも及び、産業構成比で製造業の割合が低く第三次産業の割合が高いことから、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を色濃く受けました。
③対処すべき課題
当行を取り巻く経営環境はマイナス金利政策の継続や異業種からの金融参入に加え、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う景気後退やウクライナ情勢をきっかけとした資源価格、物価の上昇によってインフレ加速の懸念が高まるなど、金融環境の先行き不透明感が増しており、厳しい環境が続いています。
一方で社会的環境に目を向けますと、新型コロナウイルスの感染症拡大を契機に人々の生活様式や非対面・非接触志向の拡大が急速に高まっていることに加え、気候変動の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取り組みが世界的な潮流となっており、企業活動の中でも気候変動リスクへの対応の重要性が高まっています。これらの環境変化に伴い、デジタル化や脱炭素化への流れは今後さらに加速していくものと思われます。
このような環境下、当行が取り組むべきことは地域社会を下支えすることであり、地域の経済、社会、環境の維持・発展に寄与するため、地域社会やお客さまの課題解決に向けた以下の取り組みを積極的に進めてまいります。
(ア)地域経済再生への取り組み
沖縄県は新型コロナウイルスの感染症拡大により観光関連産業、飲食業を始めとする対面型サービス業を中心に甚大な影響を受けております。当行では銀行の社会的責任である地域社会の持続的な発展に向け、地域経済の再生を図るため、お客さまとのコミュニケーションを密にした上で業況把握の徹底に努め、資金繰り支援や長期借入金の一本化による金融支援の他、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた事業承継・M&A、販路拡大など適切な支援を実施してまいります。
(イ)りゅうぎんグループ間の連携強化
当行では従前からグループ会社間の連携を通じた事業領域の拡大、シナジー創出の実現に取り組んでまいりました。具体的にはリース媒介業務を中心とした株式会社琉球リースとの連携、カード業務を中心とした株式会社OCS、株式会社りゅうぎんディーシーとの連携により、お客さまの機材調達やキャッシュレス化への対応などの課題解決に貢献してまいりました。今後もお客さまの様々なニーズ、課題解決に対応するため、グループガバナンスの高度化を図り、グループ連携による金融分野・非金融分野でのソリューションの提供強化に努めてまいります。
(ウ)サステナビリティに関する取り組み
当行は気候変動への対応を経営上の重要課題として認識しております。今後、気候変動のリスクが事業・財務内容に与える影響を把握・分析し、気候変動リスクに関するガバナンス態勢の確立、脱炭素化への取り組み強化に努めてまいります。
また、地域金融機関には持続可能な地域社会の実現に向け、金融仲介機能の発揮等の本業以外に気候変動の環境問題など地域社会を取り巻くさまざまな課題解決に向けた支援強化が求められています。こうした状況に対応するため、当行ではお客さまのSDGs(脱炭素、健康経営等)への取組状況を診断し、課題解決に向けたサポートを通じて、お客さまの価値向上に貢献してまいります。
(エ)デジタル化の推進
デジタル庁発足など、政府におけるデジタルトランスフォーメーションの取り組みが進められています。当行ではこれまでにも業務のデジタル化を通じて生産性の向上を実現してまいりましたが、引き続き、行内のペーパレス化を推進し、デジタル技術を活用した与信管理やデータマーケティングなどの高度化を図ってまいります。
また、お客さまの非対面・非接触ニーズに対応した金融サービスのデジタル化を推進するとともに、お取引先企業のデジタル化やIT導入の支援を通じて業務効率化などのサポートを展開してまいります。
2021年度より複数の不祥事件が発覚し、株主の皆さま、お客さま、地域の皆さまに多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを改めて深くお詫び申し上げます。公共的な役割を担い、信用を第一とすべき金融機関としてこのような事態を招いたことについて、役職員一同深く反省し、コンプライアンスを経営の最重要課題として位置付け、全行を挙げて信頼の回復と再発防止に取り組んでまいります。
このような取り組みを通じて、今後も地域や地域のお客さまの多様なニーズにお応えする魅力ある商品、サービスを提供するとともに、地方公共団体とも連携を深め、持続可能な「まちづくり」への関与や地域社会の根本的な課題解決に向けた取り組みをより一層強化してまいります。
中期経営計画の4つの基本戦略
Ⅰ.構造改革
経営環境の変化に対応しつつ、新たな分野にチャレンジするため、筋肉質の財務体質への変革を図る
Ⅱ.考動改革
顧客本位の業務運営を徹底するため、研修態勢を充実させるとともに、役職員の意識を変え行動を変える
Ⅲ.IT投資戦略
デジタル技術を積極的に活用し多様化する顧客ニーズに対応するとともに、行員の働き方もサポート
その一方で、既存システム経費や維持更改費用の削減に取り組みメリハリのあるIT投資を実現する
Ⅳ.グループブランド戦略
グループ各社の商品・サービスをいつでも受けられる態勢とし、琉球銀行グループのブランド力および企業価値向上に努める
(2)目標とする経営指標
中期経営計画「SINKA2020」最終年度(2022年度)の目標
※1 顧客向けサービス利益=預貸金収支+役務利益-経費
※2 完全実施ベースの自己資本比率は、土地再評価差額金の資本算入額をゼロとし、無形固定資産および前払年金費用等を資本調整額として全額計上するベース。
(注)目標とする経営指標に関する記述は、当行が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当行として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性がございます。
(3)環境問題に対する対応状況
①サステナビリティへの取り組み
琉球銀行は、「地域から親しまれ、信頼され、地域社会の発展に寄与する銀行」の経営理念のもと、地域社会の皆様と手を携え合いながら、地元発展のため企業活動を行っています。
当行の営業基盤である沖縄県は、四方を海に、また豊かな森林やそこで生息する動植物など、多種多様な自然 環境に恵まれ、観光業を中心に第三次産業を基盤とする経済圏を形成しています。
一方近年は、気候変動の影響を受け、沖縄県においても少なからず自然環境が破壊されています。2021年、IPCCにおける気候変動の自然科学的根拠を担当する第1作業部会(WG1)が公表した第6次評価報告書では「人間の影響が大気・海洋・陸域を温暖化させたことは疑う余地がない」と記載され、この気候変動は人為的な影響に基づくものだと断言されています。
私たち金融機関は、投融資を通じ様々な企業および個人の活動の原動力となっています。そこで、金融機関が 温暖化抑制・廃棄物削減など環境に配慮した健全な投融資活動を行えば、環境保全に大きく貢献できる一方、配慮しなければ環境破壊を助長することになると考えます。
環境破壊は、観光業やサービス業などの第三次産業はもちろん、建設業、不動産業、製造業、農業、金融機関 などにも波及し様々な企業や人々に多大な影響を及ぼします。これは、貧困など沖縄県が抱える社会的な問題の 悪化を助長する可能性があります。つまり、ここ沖縄県においては、環境破壊は環境問題だけでなく社会的な問題に深刻に繋がっていくということです。
そこで私たち琉球銀行は、“地球環境の負担軽減・再生”、“地域社会の発展、県民のより豊かな生活への貢献”を目標とし、地元の様々な企業や人々と協力しながら、環境と社会という密接に関連する2つの課題解決に果敢に挑戦してまいります。
②TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示
ア.ガバナンス
(ア)サステナビリティ委員会
サステナビリティ委員会は、ESG対策等に関する方針・計画・成果指標の設定および取組状況を確認し協議 する機関として2021年10月に設立しました。
同委員会は、頭取を委員長、総合企画部担当役員を副委員長、委員に関係各部の部長を任じ、ESG対策等の 諸課題について四半期に1回議論され、取締役会への報告が定期的に行われています。
また、当行グループのシンクタンクである株式会社りゅうぎん総合研究所がオブザーバーとして毎回参加 しており、県内・国内を取り巻く環境問題について幅広く情報提供が行われています。
(イ)サステナビリティ小委員会
サステナビリティ委員会に諮問する前に、現状の取り組み状況を月1回議論するため、2021年11月にサステナビリティ小委員会を設置しました。
同委員会では、当行融資の約6割は、戸建て住宅、マンション、アパート向けの住宅関連であることから、ゼロエネルギー住宅(ZEH)、ゼロエネルギービルディング(ZEB)や建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)に合致する建築物向けの積極的な融資推進施策や、省エネ建築、設備事業者との連携強化による県内におけるZEB・ZEH推進施策などを議論しています。

イ.戦略
(ア)重要課題の関係整理
“環境保全”と“地域社会の発展・県民の豊かな生活”は相互に依存するものと想定しています。自然環境の破壊は沖縄県の主力産業に多大な影響を及ぼし、結果として貧困・低賃金などを助長する可能性があります。一方、生産性が低ければ十分な環境保全は望めないと考えられます。
琉球銀行は、環境・社会への影響を十分踏まえ投融資活動を行います。また、これまでにない金融サービスを提供し、地域社会の仕事をこなす力を底上げし、様々な社会的課題の解決を目指します。
実現に向けての要は、人財であり、高度なガバナンス機能です。誰もが平等に安心して働くことができる 環境、持続可能な資源利用、積極的な地域社会との関わり、安全な金融商品の提供やリスクマネジメントの徹底が不可欠と考えます。

ウ.リスク管理
(ア)気候変動に関するシナリオ分析
a.物理的リスク
沖縄県は北西太平洋や南シナ海で発生した台風が接近するため風水被害が多い土地です。また、河川は 他都道府県と比較し、流路延長が短く降雨は海へ直接流出するという特徴があるほか、流域面積が小さく、貯水能力が小さいことから洪水リスクが存在します。
よって、台風・豪雨等の風水害による当行不動産(建物)担保の担保価値影響額および当行各営業店に おける設備等への被害額を分析の対象としました。
ハザードマップ情報、治水経済調査マニュアルのデータや2℃シナリオ・4℃シナリオに基づく将来的な台風による被災状況に関する試算等を踏まえ、2050年までの物理リスクの分析を行いました。
b.移行リスク
沖縄県は亜熱帯海洋性気候の下、美しいサンゴ礁が発達した青い海と多様な野生生物が生息・生育する緑豊かな160の島々から構成され、国内有数の観光リゾート地であり観光産業を基幹産業としていることも考慮したほか、TCFDにて推奨するセクター等を対象に定性的な分析を行った結果、最も移行リスクの高いセクターとして「電気・ガス・水道」セクターおよび「飲食・宿泊」セクターを特定しました。
「電気・ガス・水道」セクターは、炭素税導入によるコスト増、エネルギー転換による大幅なビジネスモデルの転換や設備投資が急務であり移行リスクが大きいと考えられること、「飲食・宿泊」セクターは、航空機での移動制限、それに伴う観光客数の減少などを想定しました。
c.移行リスク関連資産割合
(a)全体の融資量に占める炭素関連融資割合(「電力・ガス・水道」セクター)
当行の融資量残高に占める炭素関連資産の割合は約0.3%です。
(b)全体融資量に占める移行リスク関連融資割合(移行リスク分析対象セクター)
当行の融資量残高に占める移行リスク関連融資割合は約3.5%です。
d.組織におけるリスクの特定・管理方法等
当行では適切に気候関連リスクを含む各種リスクを管理するため、取締役会の定めた「融資運用方針」や「信用リスク管理方針」に基づく債務者の支援スキームを策定しています。
気候関連リスクは、銀行経営全般に影響を及ぼす可能性があり、そのリスクが顕在化した場合、信用リスク、市場関連リスク、オペレーションリスク等といった各リスク・カテゴリーに波及するという特徴を持っています。当行取締役会は、気候関連リスクのこのような特徴を踏まえ、「信用リスク管理方針」に基づき適切なリスク管理態勢を整備しています。
気候変動に関連する物理的リスクや移行リスクに関する定性的および定量的な分析結果を踏まえ、当行取引先の事業活動に及ぼす信用リスクや当行拠点にかかるオペレーショナル・リスクを中心に総合的な管理を実施していきます。
エ.指標と目標
(ア)琉球銀行におけるScope1・2 GHG(温室効果ガス)排出量と削減目標
a.Scope1・2 GHG排出量
温暖化をめぐる世界的な動向では2016年にパリ協定が発効され、世界共通の長期目標として、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く抑え、1.5℃までに制限する努力を追求すること等が掲げられました。
政府はそれを受け、「地球温暖化対策計画」が策定され、2020年10年には「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2021年4月には2030年度46%削減目標を表明したうえ、2021年10月に新たな削減目標を踏まえる形で「地球温暖化対策計画」が改定されています。
当行では積極的に営業店照明のLED化や老朽化空調機を効率化空調機へ更新したこと、ブランチインブランチ(店舗内店舗)等の施策を展開したことにより、Scope1・2の2021年度CO2排出量は2013年度比約37.1%削減となりました。また、2021年11月に導入した沖縄電力が提供する非化石証書を用いた再生可能エネルギー由来の電力「うちなーCO2フリーメニュー」を控除した場合には2013年度比約42.9%削減となりました。
b.削減目標
Scope1・2のGHG排出量を2030年度までに2013年度比60%削減します。

(イ)琉球銀行におけるScope3 GHG(温室効果ガス)排出量
a.Scope3 GHG排出量
全国と沖縄県の部門別二酸化炭素排出量(2018(平成30)年度)の排出構成を比較すると、沖縄県の産業構造が全国と比べて製造業の割合が小さいという特徴から、産業部門が全国では35%を占めているのに対し、沖縄県では12%となっています。
一方、沖縄県では民生部門(民生家庭部門、民生業務部門)が45%と、全国(32%)と比べて高い割合を占めており、家庭から排出される二酸化炭素を抑制することで、ある一定の排出量抑制が期待できます。
よって当行では、Scope3のカテゴリー15「投融資の運用に関連する排出量」を算出するにあたり、民生部門である「住宅ローン」や「アパートローン等」の個人向け貸出しに絞り、PCAF(※1)基準の計算方法を基に住宅1棟あたりのCO2排出量を各二酸化炭素排出係数を用い、みなし測定し算出しました。
今後は、当行においてゼロエネルギー住宅(ZEH)、ゼロエネルギービルディング(ZEB)や建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)に合致する建築物向けの融資推進施策を展開し、沖縄県全体のGHG排出量削減に積極的に取り組みます。
b.削減目標
カテゴリ15「投融資」におけるGHG排出量は、金融機関において重要であると認識しています。この計測および削減に向けた目標設定はチャレンジングな課題と考えており、引き続きサステナビリティ委員会で検討や議論を深めたうえで削減目標を開示していきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している事業等のリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
当行の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとして、以下に記載したリスクのうち(1)信用リスク及び(2)市場関連リスクがあげられます。
当行グループは、当該リスクについて、統計的手法であるVaRを用いて、ある確率のもと一定期間(例えば1年間)に被る可能性のある最大損失額(リスク量)を見積もり・把握しております。
これらのリスクが顕在化した場合、当行の業績・業務運営に影響を及ぼす可能性があるため、当行では業務の継続性を確保する観点から、リスク量が自己資本の範囲内に収まるよう資本配賦制度(リスク量に対する資本の割り当て)を用いた業務運営を行い、経営戦略と一体となったリスク管理を実践しております。
2021年度は、昨年に引き続き新型コロナウイルスによる緊急事態宣言・まん延防止等重点措置など、感染拡大防止措置が繰り返された1年間でした。度重なる経済活動の制限によって、地域経済の景気が後退し拡大した信用リスク、過剰流動性が引き起こす市場関連リスク、感染症拡大による事業継続リスクなど様々なリスクが顕在化しております。当行グループでは各項目に記載した通りの対応策によりリスクの低減を図っております。
当行グループは沖縄県を主たる営業地盤としていることから、沖縄県における人口・世帯数の動向や産業構造の特徴、経済環境等の変化により、信用供与先の財務状況が悪化し当行グループの不良債権額や与信関連費用が増加する等の信用リスクが顕在化した場合は、当行グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
コロナ禍における信用リスク増加をふまえ、当行グループでは適切に信用リスクを管理するため、取締役会の定めた「融資運用方針」や「信用リスク管理基本方針」に基づく債務者の支援スキームの策定や出口戦略のサポート等、積極的な支援に取組んでおります。
沖縄県は全国でも数少ない人口・世帯数増加県であることから、個人住宅や分譲マンション、アパート等の住宅需要が高くなっております。さらに、これまで入域観光客数の増加を背景にホテル・宿泊施設の建設需要も旺盛であったことから、当行貸出ポートフォリオは、住宅ローンと貸家業・不動産業向け融資が貸出金全体の6割以上を占めております。そのため、不動産市況や入域観光客数の動向の影響を受けやすいリスク特性を抱えており、住宅需要の減少や新型コロナウイルス感染症をはじめとした疫病の流行、テロや地政学的リスクの発生に伴う入域観光客数の減少等が発生した場合は、需給の減退に伴って貸出先の財務状況が悪化し、不良債権額や与信関連費用が増加する可能性があります。
沖縄県を産業構造別でみると、第2次産業の割合が低く、第3次産業が全体の8割以上を占めています。国内有数の観光地であることから、観光関連産業(宿泊・飲食・物販)等のサービス業が主要な産業であり、不動産・建設業など幅広い業種が観光産業に関連していることが沖縄県の産業構造の特徴と言えます。
当行の貸出ポートフォリオは、このような人口・世帯数増加や産業構造を反映する形で構成されております。貸家業・不動産業向け融資と住宅ローンを除いた事業性融資は、貸出金全体の約25%程度の水準で、このうち観光関連産業をはじめとした第3次産業向け融資が約80%を占めています。
製造業など重厚長大産業向け貸出がポートフォリオに占める割合は低く、大口先への与信集中リスクは抑えられております。
沖縄県経済を牽引してきた観光関連産業は「人の動きが制限される」リスクに弱く、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置の適用で、入域観光客数やサービス消費を中心とした個人消費は下押し圧力が継続し、持ち直しの動きも未だ弱い状況にあります。
さらに、コロナ禍による人手不足やサプライチェーン停滞で供給力が低下しているなか、海外を中心とした経済活動の再開による需要の拡大により、資材価格の高騰や品薄、燃料価格が上昇しております。また、ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響で価格上昇が増幅され、幅広い業種において仕入れコスト上昇分を価格転嫁できないなど、信用供与先の財務状況が悪化することで当行グループの不良債権額や与信関連費用が増加する可能性があります。
こうした状況に対応するため、当行では2020年6月より「コロナ対応支援」として①中小企業への支援態勢の強化、②大口先(約30社)の定期的なモニタリングの開始、③資本性借入金の積極活用、④沖縄県の主要企業によって構成されるファンドを通じた支援などを展開し、取引先支援を通じ信用リスク顕在化の低減に取り組んでまいりました。さらに、2021年9月からは①個社毎の出口戦略サポートの強化、②ビジネス・マッチングなど営業情報の活用、③長期借入金等の一本化による支援、④債務者区分判定の弾力運用など、信用供与先へのモニタリングと対話を通して、適切な支援が実施できるよう追加の施策を実施しております。
上記取組の結果、条件変更や資金繰り支援などにより信用リスクの顕在化は抑制したものの、結果として当行の貸出ポートフォリオに信用リスクの高い層が内在することとなりました。内在する信用リスクの増加に対しては、2021年3月期より一般貸倒引当金の算出方法を過去の貸倒実績に基づく予想損失額の見積もり方法から、将来の予測を貸倒引当金に反映させる手法(フォワードルッキングな引当)を導入し、予見される信用リスクをより適時・適切に引当金へ反映させ、将来の損失への備えを強化しております。
②担保に関するリスク
当行の貸出ポートフォリオは、住宅、アパート等を含む不動産向け融資が6割以上を占めていることから、不動産関連担保による保全率は高くなっています。その反面で当行が貸出金等の担保として取得している不動産や有価証券などは、市場価格の変動に伴い担保評価額が下落する可能性があります。
沖縄県の地価上昇率は、これまで県内景気の拡大を背景に全国との比較で高い伸び率で推移していましたが、コロナ禍の拡大に伴い足元の地価上昇の勢いは弱含んでおります。不況が長期化するなどの理由により市場価格が下落した場合には、担保評価額が下落し与信関連費用が増加する可能性があります。また担保資産の市場流動性が低下することで担保処分の執行が困難になる場合も与信関連費用が増加する可能性があります。
当行では沖縄県内の地価上昇のピーク近傍と思われる2018年より、不動産取得に関する融資の審査目線に、不動産物件の担保価値と借入金の比率であるLTV(Loan to Value)を採用し、貸出ポートフォリオの地価下落リスクへの耐性強化に努めております。
市場関連リスクとは、金利、有価証券等の価格、為替等の様々な市場の変動により、保有する資産の価値が変動し損失を被るリスクであります。
当行は余剰資金運用を目的に有価証券投資を行っており、日本国債や地方債などの円貨債券、欧米国債などの外貨建債券、株式、投資信託等を保有しております。これらの市場性資産は市況により価値が変動するため、2008年のリーマンショックや2020年の新型コロナショック時に見られたような大幅な相場変動が起きる場合には、以下に示す各リスクの顕在化から保有資産の価値が変動し、当行グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
①金利変動リスク
当行は、日本国債、地方債、欧米各国の国債などの市場リスクのある債券を保有しており、内外金利が大幅に上昇した場合は評価損が発生し、当行グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、新型コロナウイルスの影響による供給制約や、ロシアのウクライナ侵攻による原油先物価格の高騰で物価の急騰が懸念されており、こうした要因を背景とした米政策金利の引き上げが世界の市場金利の上昇につながり、当行の有価証券の評価損益にも大きな影響を与える可能性があります。当行では、市場リスクのVaRに限度額を設定しリスクをコントロールしているほか、有価証券損益を日次で把握しており、市場が急変した場合には速やかに経営陣に報告し対応を協議するなど、過度な損失を抑制する体制を構築しています。
なお2022年3月末時点において保有する円建債券は約3,100億円あり、その内訳は日本国債が約2割、地方債が約6割となっております。元本の平均回収期間を示すデュレーションは約3.3年となっております。外貨建債券はドル建ておよびユーロ建ての海外国債を約250億円保有しており、デュレーションは約2.9年となっております。
②為替変動リスク
当行の為替リスクについては、主に為替スワップ取引および債券レポ取引等を利用し、持高限度額を定めるほか、バランスを調整するなど、為替相場の変動リスクを最小化することとしております。一部円投(外貨買)による外債運用も行っておりますが、運用方針にて取引限度額を定めるほか、リスクの定量的分析等によりモニタリングを行い、過度なリスクテイクを抑制しております。しかしながら、予期せぬ為替変動が生じた場合、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
国内と海外の金融政策の違いから足元では急速に円安が進行するなど為替相場が大きく変動していますが、調達コストとの兼ね合いによる円投以外は原則フルヘッジ対応するなど為替リスクの最小化に努めており、現時点における為替相場変動の影響はございません。
③価格変動リスク
当行グループは、市場リスクのある株式等を保有しております。大幅な株価下落が生じた場合は減損または評価損が発生し、当行グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、市場リスクのある株式等には、保有目的が純投資以外の目的である時価のある政策保有株式も含まれておりますが、これらの政策保有株式は、4「コーポレート・ガバナンスの状況等」(5)「株式の保有状況」に記載のとおり定期的に保有の合理性等の検証及び保有の適否を判断しており、リスクの軽減を図る体制をとっております。なお、2022年3月時点において価格変動リスク資産(株式・投資信託)は有価証券全体の約7%の約25億円となっており、このうち時価のある政策保有株式は10銘柄で約13億円となっております。
④デリバティブ取引のリスク
当行におけるデリバティブ取引は主に外貨建債券運用に係る外貨調達手段としての為替スワップ取引及び顧客向け為替予約に係るカバー取引があります。有価証券運用においてデリバティブを内包するような複雑な商品への投資は行っておりません。
⑤資金調達に係る流動性リスク
当行グループは、資金調達・運用構造に即した適切かつ安定的な資金繰りに加え、安全性・収益性のバランスを考慮した効率的な資金調達・運用を基本方針としております。また、不測の事態に備えて、資金繰りの状況の逼迫度に応じた危機管理対策を予め策定し、速やかに対処できる体制を整えております。
しかしながら、当行グループの業績および財務状況や格付が悪化した場合、あるいは市場環境が大きく変化した場合に、必要な資金の確保が困難になり、通常より著しく高い金利による資金調達を余儀なくされる、または調達が困難となることで、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響等もあり、一部の業種または企業について、預金等が大幅に減少する懸念も考えられますが、預金等動向のモニタリングやそのリスクが顕在化した場合の対応策も定めていることから、当行の資金繰りに及ぼす影響は限定的であると考えております。
(3)自己資本比率に係るリスク
当行グループは、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められた国内基準である自己資本比率4%以上を維持する必要があり、当行グループの現在の自己資本比率は、この最低水準を大幅に上回っております。
今後も安定した経営を継続するには、なお一層の自己資本比率の上昇は必要不可欠と考えており、当行グループでは、リスク・ウエイト判定の高度化等のリスク・アセットコントロールを中心に、自己資本比率の上昇に資する諸施策を継続的に実施しており、その結果として、各事業年度末の自己資本比率は上昇傾向にあります。
本項に示した事業等に係る各種リスクが顕在化することにより、自己資本比率は低下する可能性がありますが、上述したとおり現在の自己資本比率は自己資本比率規制上の最低水準を大幅に上回っていること、近年の自己資本比率が上昇傾向にあること等から、国内基準行に求められる最低水準を下回る可能性は低いと考えております。
(4)オペレーショナル・リスク
①事務リスク
当行グループは、業務の多様化や取引量の増加に適切に対処し、想定される事務リスクを回避するために、機械化投資の拡充と営業店後方事務の集中処理を積極的に進め、業務の効率化と事務リスクの圧縮に努めております。また、事務水準の向上や事務事故の未然防止の観点から、事務指導の強化や研修等を実施し、内部監査を厳格に実施しております。しかしながら、役職員による不正確な事務、あるいは不正や過失等により、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
②システムリスク
(ア)当行グループは、システムリスク管理方針やバックアップ体制等を整備し、コンピューターシステムの安全稼働に万全を期しております。しかしながら、万が一重大なシステム障害や不正使用等が発生した場合には、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(イ)当行グループは、外部からのサイバー攻撃等への対応としてサイバーセキュリティ作業部会(CSIRT)を設置し、「システムの脆弱性診断」や「サイバーセキュリティに関する訓練の実施」等、システムの安全稼働とセキュリティ強化に努めております。しかしながら、サイバー攻撃等によりシステムの停止等が発生した場合には、決済業務に支障をきたす等、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、情報の漏えい・改ざん等が発生した場合には、当行グループの社会的信用の失墜などにより、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)当行グループは、非対面取引を安心・安全にご利用いただくうえで、インターネットバンキングのセキュリティ強化に努めております。対策としてワンタイムパスワードやリスクベース認証の導入、ホームページや新聞紙面にSMSからフィッシングサイトへ誘導する手口等について注意喚起などを実施しております。また、他金融機関、警察と連携して犯罪の抑止となる情報収集にも努めております。しかし、犯罪者による不正送金が行われた場合、当行グループの信用失墜となり、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(エ)当行グループはカード発行業務(イシュイング業務)を通じて、沖縄県内のキャッシュレス化に取り組んでおります。安全性確保のため、セキュリティサービスの導入による不正取引の排除や、国際ブランド、同業他社との連携による取引のモニタリング精度の高度化等により、日々、不正対策の強化を図っております。しかしながら、クレジットマスター等の外部からの攻撃や、デジタル技術の発展で巧妙化する新たな手法による不正取引が大量に発生した場合は、当行グループの信用失墜となり、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③コンプライアンスリスク
当行グループは、業務を遂行する上でさまざまな法令等を遵守することが求められるだけでなく、関係するさまざまなステークホルダー(利用者・役職員・社会・市場・株主等)からの信頼・信用を保持し、その期待に応えることも求められており、これらを実現できるよう、役職員に対するコンプライアンスの徹底に努めております。
しかしながら、これらの取り組みが不十分であるために、コンプライアンス違反や不祥事件等が発生した場合には、当行グループの信用が失墜し、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
2021年度より、当行において複数の不祥事が発覚しており、当行はこれを非常に厳粛に受け止めております。そこで、外部の有識者を加えた「不祥事再発防止に係る特別委員会」を設置し、企業風土の変革を含めた実効的な対策を講じることを経営の最重要課題の一つとして取り組んでおります。
④マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策上の不備に係るリスク
当行グループは、事業活動を行う上で、国内外の法令諸規制の適用及びそれに基づく国内外の金融当局の監督を受けております。近年、金融犯罪が多様化かつ高度化し、本邦金融当局や海外の規制当局から要請されるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の基準は急速に高まっております。当行グループでは、国内外のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止態勢の高度化のため、法人口座開設時の審査厳格化や、海外送金取扱店舗の集約化など各種施策の実施に取り組む一方、AML/CFTに関する先進的かつ実用的な取り組みのあるTSUBASAアライアンスに参加し、情報及びスキルの収集に努めています。
しかしながら、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止態勢の高度化が有効に機能せず、仮に法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、当行グループの信用失墜等により、当行グループの業務運営や、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑤風評リスク
当行グループの業務は、預金者等のお客様や市場関係者からの信用に大きく依存しております。そのため、当行グループや金融業界等に対する風説・風評が、マスコミ報道・市場関係者への情報伝播・インターネット上の掲示板への書き込み等により発生・拡散した場合には、お客様や市場関係者が当行グループについて事実と異なる理解・認識をされ、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスク
①自然災害に関するリスク
当行グループでは「危機管理計画(コンティンジェンシープラン)」をはじめ各種の対応マニュアルを整備し、災害対応訓練等を通じてその実効性向上を図っております。しかしながら、近年大型化している台風の直撃や大規模な地震等の自然災害の発生により、業務の全部または一部の継続が困難となり、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当行グループ自身の被災による損害のほか、取引先が自然災害により業績が悪化した場合、信用リスクの上昇などを通じて、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、通常想定されるレベルの台風では当行グループの建物は構造上重要な被害を受けるものではなく、被害は限定的なものと想定しております。
②気候変動に係るリスク
当行グループは、気候変動が環境・社会、人々の生活・企業活動にとっての脅威であり、金融市場の安定にも影響を及ぼしうる最も重要な課題の一つであると認識しています。気候変動リスクとしては、低炭素経済移行に伴う政策・法務・技術・市場の変化等に起因する移行リスク、気候変動による資産に対する直接的な損傷やサプライチェーンの寸断による財務損失等の物理的リスクが挙げられます。当行グループおよび投融資先への気候変動リスクのうち、GHG(温室効果ガス)排出対策として、移行リスクおよび物理的リスクの定量分析、GHG排出量削減に係るScope1~3の算出等の取組みを推進するサステナビリティ推進室及び、頭取が委員長を務めるサステナビリティ委員会を2021年10月に設室しました。サステナビリティ委員会において、気候変動リスクを含むサステナビリティに関する方針やそれらを実践するための体制の構築・整備を行っております。Scope1~3の中で、特に金融機関に削減が求められている投融資先のGHG排出量(Scope3)削減につきまして、当グループはZEB/ZEHの推進による削減を実施しております。しかし、当行グループの取組みがステークホルダーの期待から大きく乖離した場合等には、レピュテーションの毀損等により、業務運営や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③感染症による業務継続リスク
新型コロナウイルス感染症のような感染症が世界的に流行し、当行グループ役職員に多数の感染者が発生した場合、業務の全部または一部の継続が困難となり、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当行グループは新型コロナウイルス感染症の流行下において、飛沫防止パーティションの設置、マスク着用の徹底ならびに本部各部における拠点分散や在宅勤務等、業務の継続性を確保するための各種施策を実施しました。
また、役職員の感染を防止するため、当行グループの役職員及び家族を対象とする新型コロナウイルスワクチンの職域接種を実施しました。
④当行グループのビジネス戦略が奏功しないリスク
当行は、収益力増強のために様々なビジネス戦略を実施しておりますが、規制緩和による多業種との競合やその他の外部要因が発生した場合には、これらの戦略が功を奏しない、当初想定していた結果をもたらさない、又は変更を余儀なくされ、当行グループの財政状態及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
しかしながら、当行は新規ビジネスについて、事業の将来性や銀行全体の資産に対する新規投資額の割合等を十分に検討したうえで投資を決定しており、仮にビジネス戦略が奏功しないリスクが顕在化した場合でもその影響は限定的なものであると考えております。
⑤固定資産減損リスク
当行グループは、保有する有形固定資産及び無形固定資産について、現行の会計基準に従い減損会計を適用しておりますが、当該資産に係る収益性の低下や時価の下落等により、投資額の回収が見込めなくなった場合は減損損失を認識する可能性があります。減損損失を認識した場合、当行グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑥繰延税金資産に係るリスク
現時点におけるわが国の会計基準に基づき、一定の条件の下で、将来実現すると見込まれる税金負担額の軽減効果を、繰延税金資産として貸借対照表に計上することが認められております。当行グループは、現時点において想定される金融経済環境等のさまざまな予測・仮定を前提に将来の課税所得を合理的に見積り計上しておりますが、実際の課税所得が想定と異なること等により、繰延税金資産が減額された場合には、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑦退職給付債務等の変動に係るリスク
当行グループの退職給付費用や債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、実際の結果が予測値と異なる場合や前提条件に変更があった場合には追加損失が発生する可能性があります。
なお、当行は2021年10月より在職中の職員の「確定給付企業年金(DB)」のすべてを「確定拠出年金(DC)」へ移行しております。これらにより、退職給付債務及び年金資産等の残高が前期比約72億円減少(2022年3月末時点の残高約154億円)しており、利回りの変動等から発生するリスク量は軽減されております。
⑧規制変更のリスク
当行グループは、現時点の規制(法律、規則、政策、会計制度、実務慣行等)に従って業務を遂行しております。将来、これらの規制の新設、変更、廃止ならびにそれらによって発生する事態が、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑨格付低下のリスク
格付機関が当行の格付を引き下げた場合、当行の市場部門は、取引において不利な条件を承諾せざるを得ない、あるいは一定の取引の実施が困難となる可能性があります。このような事態が生じた場合、資金調達費用の増加や資金調達そのものが困難となる等、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお株式会社格付投資情報センター(R&I)による発行体格付は「A+」(信用力は高く、部分的に優れた要素がある)、格付の方向性は「安定的」との評価を得ているほか、株式会社日本格付研究所(JCR)による長期発行体格付は2022年4月28日に前回格付「A」から「A+」(債務履行の確実性は高い)へと格上げされており、格付の見通しについても「安定的」との評価を受けております。
⑩顧客情報に係るリスク
当行グループは、個人情報・機密情報等のデータを有しており、その管理につきましては、マニュアルで管理方法を明確に定めるとともに、本人確認システムを導入する等、不正利用・流出を防止する体制を強化しております。しかしながら、これらの対策にも関わらず、重要な情報が外部に漏洩した場合には当行グループの信用が失墜し、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑪重要な訴訟によるリスク
当行グループは、法令諸規則の遵守の徹底に努め、法令違反の未然防止体制を強化しております。しかしながら、今後、様々な業務遂行にあたり、法令違反およびこれに対する訴訟が提起された場合には、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当行グループの財務状況、経営成績およびキャッシュフロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
経常収益は、住宅ローンに係る手数料収入や預け金利息の増加があるものの、リース業における売上高や貸出金利息の減少により前期を2億66百万円下回る570億11百万円となりました。
一方、経常費用は、元金据置を行った事業者の返済再開等による債務者区分の良化や景気指標の改善に伴い予想損失率が低下したことにより、一般貸倒引当金が繰入から戻入に転じたことなどから、前期を43億52百万円下回る490億81百万円となりました。
この結果、経常利益は前期を40億85百万円上回る79億30百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期を30億10百万円上回る55億90百万円となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
①銀行業
経常収益は前連結会計年度比13億10百万円増加の386億88百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比47億1百万円増加の69億96百万円となりました。
②リース業
経常収益は前連結会計年度10億34百万円減少の160億92百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比1億71百万円増加の5億35百万円となりました。
③クレジットカード業
経常収益は前連結会計年度比4億11百万円減少の37億18百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比2億13百万円減少の6億68百万円となりました。
④信用保証業
経常収益は前連結会計年度8百万円増加の9億11百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比1億25百万円増加の7億91百万円となりました。
⑤その他
経常収益は前連結会計年度比16百万円減少の4億38百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比3百万円減少の15百万円となりました。
主要勘定としては、預金等(譲渡性預金を含む)の期末残高は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による貯蓄性向の高まり等により個人預金を中心に増加したことから、前連結会計年度末を1,190億52百万円上回る2兆5,982億59百万円となりました。貸出金の期末残高は、個人向け貸出が住宅ローンを中心に好調に推移したことに加え、地公体向け貸出も増加したことから、前連結会計年度末を255億23百万円上回る1兆8,044億14百万円となりました。有価証券は、地方債等の取得により前連結会計年度末を311億31百万円上回る3,641億79百万円となりました。
キャッシュ・フローの状況については次の通りであります。
現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比2,452億74百万円増加の7,699億63百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、借用金や預金の増加により2,861億17百万円の収入(前連結会計年度は2,953億74百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、債券を中心とした有価証券の取得等により386億63百万円の支出(前連結会計年度は747億2百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い等により22億29百万円の支出(前連結会計年度は17億44百万円の支出)となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
中期経営計画「SINKA 2020」の2年目である2021年度は新型コロナウイルス感染症による環境の変化で経済的苦境に陥っているお客さまに対する積極的な支援の取り組みなど、地域活性化に貢献するための各種取り組みを進めてまいりました。
①お取引先事業者への取り組み
当行では財務体質を強化する観点から2020年度に「フォワードルッキングな引当」を導入したことで、今後の追加引当を恐れることなく、腰を据えてお客さまの再生支援に取り組む態勢を構築しました。これにより、新型コロナウイルス感染症による影響を受けられたお客さまに対しては、財務面での借入金の元金返済据え置きや資金繰り支援の他、事業継続・再生に向けた経営改善計画策定や営業面でのトップライン支援など伴走型支援を実施いたしました。
また、2020年度に事業継続・雇用維持など「沖縄のリソースを守る」ことを目的として当行と県内有力企業で設立した「株式会社琉球キャピタル」とともに、県内大型ホテルの投資案件を実行いたしました。
今後も事業性評価を起点としたお客さまとの深度あるコミュニケーションの強化によりお客さまの多様なニーズの把握を図るとともに、お客さまの課題解決に向けた各種ソリューションの提案力強化に努めてまいります。
②個人のお客さまへの取り組み
お客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)を実践する中、お客さまのライフプランに沿った商品・資産運用サービスの提供を展開いたしました。特に、高齢化の進展に伴い今後ニーズが増えると想定される相続分野においての遺言信託や遺産整理業務に注力してまいりました。
また、スマートフォンの普及とともにコロナ禍で高まった非対面での金融取引へのニーズに対応した「りゅうぎんアプリ」をリリースし、個人ローンについてもインターネットを利用した来店不要のローン契約を4商品から9商品に拡充しました。今後もアプリ機能の順次拡張などデジタル技術を活用した顧客利便性の向上に努めてまいります。
③キャッシュレスに関する取り組み
長引く新型コロナウイルス感染症の影響で、消費活動のキャッシュレス決済の利用が促進されたのを受け、店舗や施設では現金にとらわれない多様な決済手段への対応が求められております。そのような中、当行ではコロナ禍前よりVisaデビットカードの発行、電子マネーやQR決済にも対応したカード決済端末の普及に取り組んでまいりました。カード加盟店数は年々順調に増加し、2021年度のカード取扱高は過去最高を記録しました。また、2021年度に海外ブランド「銀聯カード」の取扱いを開始したのに加え、2022年度は台湾で浸透している電子マネー「悠遊カード」の取扱開始を予定しております。当行では今後もカード利用者と加盟店の拡大を図るとともに、カードサービスの魅力を高め、地域のキャッシュレス化に貢献してまいります。
④店舗運営効率化に関する取り組み
2021年度では、お客さまの待ち時間短縮や窓口サービスの向上を目的として、従前より進めてまいりましたタブレットを活用した新受付システムやお客さまからの電話問い合わせを本部に集中する「営業店受電集中」の全店展開が完了しました。
また、店舗に来店するお客さまと本部専門行員とを結び、遠隔から専門性の高い取引相談への対応を可能とする「リモート相談窓口」の運用を開始しました。これによりお客さまに質の高い相談対応を提供するとともに、営業店窓口事務の効率化を実現いたします。
これらの結果、顧客向けサービス利益は前年度を12億62百万円上回る50億97百万円となりました。
銀行以外のセグメントの経常利益について、与信コストの減少等によりリース業セグメントは前年度を1億71百万円上回る5億35百万円、信用保証業セグメントは前年度を1億25百万円上回る7億91百万円となり、一方で新型コロナウイルス感染症拡大の影響による経済活動の低迷等によりクレジットカード業セグメントは前年度を2億13百万円下回る6億68百万円となりました。
当行グループの資本の財源及び資金の流動性については以下の通りです。
資金運用等に関しては、主要な運用手段である貸出金が順調に推移する一方で、金銭の信託等による資金運用の多様化を行っております。有価証券運用においては債券の償還が進む中で金融市場の動向を睨みながら、機動的な運用を行っております。一方で主要な資金調達手段である預金についても好調に推移しており、債券の償還等による調達と合わせて増加する運用資金に対応しております。
また、当行は「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり投資を計画しておりますが、これらに必要な資金は自己資金で対応する予定であります。
当行は中期経営計画「SINKA2020」における最終年度である2022年度の目標として親会社株主に帰属する当期純利益55億円ほか下表の項目を掲げております。
当連結会計年度において親会社株主に帰属する当期純利益(①)は一般貸倒引当金が繰入から戻入に転じたことを主因として前年比30億円増加の55億円となりました。また、経費が減少した結果、顧客向けサービス利益(③)の増加とともに単体コアOHR(④)も改善しました。カード加盟店グループ総取扱高(⑥)においてはコロナ禍の影響を受けておりますが、着実に増加しております。また、お客様に寄り添った支援を継続した結果、事業性評価シートによるソリューション提案件数(⑦)は前年に続き中期経営計画最終年度目標数値を上回りました。
新連結会計年度となる2022年度は、中期経営計画「SINKA2020」の最終年度となります。経営目標である「顧客本位の収益モデルの実現」に向け、グループ総合力を発揮し、経営計画に掲げる施策を一つ一つ丁寧に実行に移していくことで、中期経営計画最終年度目標数値の達成に努めてまいります。
今後も引き続き、「地域から親しまれ、信頼され、地域社会の発展に寄与する銀行」という経営理念を達成すべく、地域の課題解決に努め、お客様が真に求める商品・サービスの提供に努めてまいります。
※1 顧客向けサービス利益=預貸金収支+役務利益―経費
※2 完全実施ベースの自己資本比率は、土地再評価差額金の資本算入額をゼロとし、無形固定資産および前払年金費用等を資本調整額として全額計上するベース。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行の貸倒引当金は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表」の「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4 会計方針に関する事項(5)貸倒引当金の計上基準」に記載のとおり、「破綻先」「実質破綻先」「破綻懸念先」に係る債権については、取立不能額及び担保や保証による回収見込額を控除した額に対し、全額または必要額を個別に計上しております。
それ以外の債権については、主として今後1年間の予想損失額又は今後3年間の予想損失額を見込んで計上しており、予想損失額は、将来に関するマクロ経済指標の予想に基づき予想損失率を求め、これに将来見込み等必要な修正を加えて算定しております。
連結子会社の貸倒引当金は、一般債権については過去の貸倒実績率等を勘案して必要と認めた額を、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額をそれぞれ計上しております。
当行及び一部の連結子会社において今後の見通しについては、新型コロナウイルス感染症の影響を含め、経済活動は2022年度以降ごく緩やかな回復シナリオを想定していますが、貸倒引当金の見積りに用いた仮定については現時点における最善の見積りであるものの、当該仮定には不確実性が存在しております。そのため、新型コロナウイルス感染症の感染状況等による影響の変化によっては、翌年度以降の連結財務諸表において当該貸倒引当金は増減する可能性があります。
当連結会計年度における資金運用収支は276億15百万円、役務取引等収支は59億70百万円、その他業務収支は11億43百万円となっております。
部門別にみますと、国内部門の資金運用収支は277億53百万円、国際部門の資金運用収支は5億81百万円となっております。
(注) 1 国内業務部門は当行の円建取引及び子会社取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
2 資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
3 相殺消去額欄は、連結会社間の内部取引消去額を計上しております。
当連結会計年度における資金運用勘定の平均残高は2兆6,781億1百万円、そのうち貸出金が1兆7,878億68百万円、有価証券が3,459億91百万円となっております。資金運用利回りは1.03%、そのうち貸出金が1.47%、有価証券が0.33%となっております。
一方、資金調達勘定の平均残高は2兆6,700億96百万円、そのうち預金が2兆5,221億22百万円となっております。資金調達利回りは0.00%、そのうち預金が0.00%となっております。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、当行以外の子会社については、当連結会計年度末と前連結会計年度末の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 ( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、当行以外の子会社については、当連結会計年度末と前連結会計年度末の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 ( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
(注) 相殺消去額欄は、連結会社間の内部取引消去額を計上しております。
(注) 1 国内業務部門は当行の円建取引及び子会社取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。
2 相殺消去額欄は、連結会社間の内部取引消去額を計上しております。
(注) 1 国内業務部門は当行の円建取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3 定期性預金=定期預金
4 相殺消去額欄は、連結会社間の内部取引消去額を計上しております。
(注) 1 国内とは当行及び国内子会社であります。
2 海外及び特別国際金融取引勘定分については、該当ありません。
該当ありません。
(注) 1 国内業務部門は円建有価証券、国際業務部門は外貨建有価証券であります。ただし、円建外国債券は国際業務部門に含めております。
2 外貨建有価証券及び円建外国債券は、「その他の証券」に計上しております。
連結会社のうち「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、当行のみです。
なお、前連結会計年度末及び当連結会計年度末においては、信託の受託残高はありません。
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
(単位:億円、%)
(単位:億円、%)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
該当ありません。
該当ありません。