(1)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
①経営方針
当行は、「地域から親しまれ、信頼され、地域社会の発展に寄与する銀行」という経営理念に基づき、変わらぬ価値観である「職業倫理と高度の専門性を身につけるよう努めるとともに、真にお客様にとって必要とされる商品、サービスを提供し、お客様の最善の利益を追求する」という顧客本位の業務運営を目指します。
②経営環境
2024年度の国内経済は、2年連続での賃上げや堅調な夏季・冬季賞与の効果などにより、賃金・所得環境が改善し、個人消費を押し上げました。くわえて、製造業をはじめ、好調な観光産業やインバウンド消費の拡大なども寄与し、企業部門も堅調に推移したことから、経済全体として回復基調が一段と明確になりました。日本銀行はこうした動きから、物価の安定化を図る目的で2024年度は2度にわたり追加の利上げを実施しています。引き続き追加利上げが実施されるとの見方はあるものの、米国の関税政策による世界経済全体の減速も懸念され、政策の不透明感も影響し、国内経済の成長ペースは鈍化するとされ、時期は後遅れする可能性もあります。米国の関税政策による影響等について今後の情勢に注視が必要です。
沖縄県経済は、底堅い消費マインドと堅調な観光需要に支えられ、緩やかな拡大が続きました。消費関連は、物価上昇が継続するなかでも県民の消費意欲が高く、インバウンド需要もあり、回復の動きが強まりました。建設関連では、防衛関連工事などの公共工事が底堅く推移し、ホテルなどの大型民間工事も見られるほか、手持ち工事額も高止まりで推移しており、回復の動きが強まっています。観光関連では、為替動向の影響もあり国内外から観光需要が高まり、入域観光客数は2018年度に次ぐ過去2番目の多さとなりました。日銀短観(3月調査)では、旺盛な観光需要を中心に県内全体で良好な業況が続くと判断している一方、人手不足やコスト上昇などの課題が指摘されています。また、米国の関税政策によって景気減速した場合、沖縄県内においては主に観光業への影響が生じるとみられています。
③対処すべき課題
当行を取り巻く経営環境は、日本銀行の金融政策の正常化に向けた動きにより「金利ある世界」が到来したことに加え、アメリカを中心に世界経済の不確実性が高まったことで、大きく変化しております。このような変化に対応するために、前中期経営計画「Value 2023」を1年前倒しで終了し、2025年度より新たな中期経営計画「Empower 2025」をスタートさせました。沖縄県の魅力ある環境を大きな成長ポテンシャルと捉え、さらに多様な取り組みで県経済の活性化に貢献することで、当行の長期ビジョン「地域経済の好循環サイクルを実現し、地域とともに成長する金融グループ」を実現してまいります。そのためにも、「人こそすべてである」をモットーに人的資本投資を継続し、高い専門性を持った個が強い組織を作ってまいります。
このような考えのもと、以下の重点戦略を推し進めてまいります。
(ア)預貸金・有価証券運用の強化
お客さまとの深度ある対話を通じた長期リレーションの構築に努めてまいります。今年度スタートする新営業支援システムCAFU(琉球銀行と琉球銀行のお客様の「幸せ(沖縄の方言で『かふう』)」に寄与するシステムの意味)をもとに、ライフイベントや事業イベントに適した提案力の向上と、りゅうぎんアプリなどのデジタルを活用した適時適切なアプローチを実践することで、当行をメイン口座とするりゅうぎんファンを増やしてまいります。結果、安定的な預金調達を可能とし、最適なアセットで運用を行うことで収益基盤の拡充を図ります。そのためにマーケット分析を行い、資金需要や成長が期待できる地域・業種には積極的に人材を投入してまいります。有価証券運用では、国債を中心としたベースポートフォリオと株式等を中心とした収益ポートフォリオを構築し、市場リスク管理の高度化を図りながら、中長期的に安定した収益の確保を目指してまいります。
(イ)地域課題解決の先導
ESG経営の実践を通して、沖縄県の自然環境の保護をはじめとした持続的な地域社会の実現に貢献してまいります。産官学金の連携による省エネ・再エネの普及など沖縄県のカーボンニュートラルをけん引する取り組みや、J-クレジット制度をさらに活用した環境活動および事業活動を強化してまいります。また、事業者との脱炭素化に向けた対話を行いながら、温室効果ガス排出量の算定ツールの無償提供や省エネ診断サービスの紹介など、事業者ごとに効果的な対策やサステナブルファイナンス等の提案を行ってまいります。
さらに当行の強みとする個人・法人コンサルティング業務では、引き続き専門的な知見を用いて「お客さま視点」で最適・最善な提案を積み重ねてまいります。アプリなどの非対面取引チャネルを活用することで「お客さまとの多様な接点」を生み出し、取引されたデータの蓄積とこれまで培ってきたコンサルティングスキルを用いて、質の高い金融サービスの提供に努めてまいります。また、キャッシュレス事業では、県内公共交通機関やリゾートホテル、大型観光施設など、決済システムの提供先をさらに拡大していくことで沖縄県の観光産業発展に側面から寄与してまいります。
新たな取り組みとして、県内発スタートアップ企業の創出やグローバル企業の呼び込みをサポートするためにインキュベーション施設を開設いたします。そのほか、台湾を中心とした海外進出支援や、りゅうぎん総合研究所による行政コンサルティングを通したまちづくり支援など、沖縄県の価値創造に向けた取り組みに積極的に挑戦してまいります。
(ウ)グループ連携とアライアンスの強化
2026年には当行の新本店ビルがオープンする予定です。同ビルに当行グループ会社が集約されることで、物理的な距離が縮まり、グループ内での人材交流がさらに活発化し、情報の共有化と適材適所の人員配置が実現されます。これにより、各社の持つ強みを活かしながらグループ全体の収益向上を図ってまいります。また、同ビルの上層には、所有不動産の有効活用と地域の活性化を目的にホテルが入居します。さらに、県外地方銀行との連携(アライアンス)を活かし、人材交流を図りながら専門的な知見や先進的な事例を取り込むことで当行の事業基盤を拡大してまいります。
(エ)人的資本投資の増強と最適化
沖縄県の成長に貢献するためには、役職員一人ひとりの専門性が必要です。そのために当行は人材への積極的な投資を継続し、自律的な学びと越境学習を支援する制度を充実させてまいります。複線型人事制度や希望分野へのチャレンジ制度の導入、研修・出向等の外部派遣の継続等により、視野が広く主体的に考動する人材を輩出してまいります。あわせて行内全体でデジタル分野の知見を高め、業務に活用することで人的余力を創出し、その余力で新規事業領域へ挑戦してまいります。
今後も経営戦略に沿った人材ポートフォリオの構築に努め、組織全体の最適化を図ってまいります。
先行き不確実性が高まる経済環境の中で、当行は「すべては沖縄のために」という考えのもと、地域・お客さまから頼りにされる存在であり続け、地域に寄り添い地域経済の成長や課題解決に向け貢献してまいります。
(2)目標とする経営指標
中期経営計画「Empower 2025」最終年度(2027年度)の目標
(注)目標とする経営指標に関する記述は、当行が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当行として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性がございます。
以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
<サステナビリティへの取り組み>
琉球銀行は、「地域から親しまれ、信頼され、地域社会の発展に寄与する銀行」であることを経営理念とし、地域社会の皆さまとともに、地元の発展に向けた企業活動を行っています。当行の営業基盤である沖縄県は、四方を海に、また豊かな森林やそこで生息する動植物など、多種多様な自然環境に恵まれており、観光業を中心に第三次産業を基盤とする経済圏を形成しています。しかし、近年は気候変動の影響を受け、沖縄県でも自然環境が少なからず破壊されています。
2021年、IPCCにおける気候変動の自然科学的根拠を担当する第1作業部会(WG1)が公表した第6次評価報告書では、「人間の影響が大気・海洋・陸域を温暖化させたことは疑う余地がない」と記載され、この気候変動は人為的な影響に基づくものだと明確に示されています。また、2023年3月にはIPCCによる第6次評価報告書統合報告書の政策決定者向け要約が公表され、「人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことは疑う余地がない」「継続的な温室効果ガスの排出は更なる地球温暖化をもたらし、短期のうちに1.5℃に達する」との厳しい見通しが示されました。
私たち金融機関は、投融資を通じて様々な企業および個人の活動の原動力となっています。そこで、金融機関が温暖化の抑制や廃棄物削減など、環境に配慮した健全な投融資活動を行えば、環境保全に大きく貢献できる一方、配慮しなければ環境破壊を助長することになってしまうと考えます。環境破壊は、観光業やサービス業などの第三次産業はもちろん、建設業、不動産業、製造業、農業、金融業などにも波及し、様々な企業や人々に多大な影響を及ぼします。これは、貧困など沖縄県が抱える社会的な問題の悪化を助長する可能性があります。つまり沖縄県においては、環境破壊は環境問題だけでなく社会的な問題に深刻に繋がっていくということです。
そこで私たち琉球銀行は、“地球環境の負荷軽減・再生”、“地域社会の発展、県民のより豊かな生活への貢献”を目標とし、地元の様々な企業や人々と協力しながら、密接に関連するこれら二つの課題解決に果敢に挑戦してまいります。
(1)TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示
(ア)サステナビリティ委員会
サステナビリティ委員会は、自然資本を含むESG対策等に関する方針・計画・成果指標の設定および取組状況を確認し協議する機関として2021年10月に設立しました。
同委員会では、頭取を委員長、総合企画部担当役員を副委員長、委員に関係各部の部長を任じ、ESG対策等の諸課題について四半期に1回議論され、取締役会への報告も四半期に1回行われています。
また、オブザーバーとして監査役や琉球銀行グループのシンクタンクであるりゅうぎん総合研究所のほか、全部店・全グループ会社より1名が毎回参加しております。
(イ)サステナビリティ小委員会
サステナビリティ小委員会は、関係各部で現状の取り組み状況を四半期に2回議論する機関として、2021年11月に設置しました。
同委員会では、琉球銀行グループおよび沖縄県の脱炭素化や気候変動の対応、自然資本の保護などのESG対策について議論しています。
(ウ)組織改正
気候変動問題への対策や従来から展開してきた地域貢献活動等をより推し進めるため、2021年10月にサステナビリティ推進室を新設しました。

(ア)重要課題(マテリアリティ)と関係整理
“地球環境の負荷軽減・再生”と“地域社会の発展、県民のより豊かな生活”は相互に依存するものと想定しています。自然環境の破壊は沖縄県の主力産業に多大な影響を及ぼし、結果として貧困・低賃金などを助長する可能性があります。一方、生産性が低ければ十分な環境保全は望めないと考えられます。
琉球銀行は、環境・社会への影響を十分踏まえ投融資活動を行います。また、これまでにない金融サービスを提供し、地域社会の仕事をこなす力を底上げし、様々な社会的課題の解決を目指します。
実現に向けての要は、人材であり、高度なガバナンス機能です。誰もが平等に安心して働くことができる環境、持続可能な資源利用、積極的な地域社会との関わり、安全な金融商品の提供やリスクマネジメントの徹底が不可欠と考えます。

(イ)気候変動に関する当行の重要な移行リスク、物理的リスク、機会の認識
(ウ)TCFD提言の定義を踏まえた貸出金ポートフォリオに占める炭素関連資産の割合
(エ)移行リスクの重要セクター選定
脱炭素社会への移行により、当行のお客さまのビジネスに影響がおよぶリスクが想定されます。
当行では移行リスクを対象としたシナリオ分析を実施し、2050年までの影響を評価しました。沖縄県は亜熱帯海洋性気候の下、美しいサンゴ礁が発達した青い海と多様な野生生物が生息・生育する緑豊かな160の島々から構成され、国内有数の観光リゾート地であり観光産業を基幹産業としていることも考慮しました。
上記内容を踏まえ定性的な分析を行った結果、最も移行リスクの高いセクターとして「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」セクターおよび「電気・ガス・水道」セクターを特定しました。
(オ)重要セクターごとのシナリオ策定、気候変動リスク推移の定量評価
移行リスク
a.「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」セクターについて以下のシナリオを想定して評価しました。
(a)4つのシナリオを複合的に考慮した観光客減少シナリオ
Ⅰ.原油価格高騰による航空運賃の上昇に伴う観光コストの増加。
Ⅱ. 航空運賃以外の飲食・宿泊代金等の上昇に伴う観光コストの増加。
Ⅲ. 海外政府による渡航規制や海外旅行に対する世界的なマインドの低下。
Ⅳ. サンゴの白化現象の発生頻度の増加に伴うダイビング等を目的とした観光客の減少。
(b)突発的に発生する与信関係費用
Ⅰ.地球温暖化に伴い、新型コロナウィルスのような、疫病・感染症等の発生頻度が増加。
b. 「電気・ガス・水道」セクターについては以下のシナリオを想定しました。
・炭素税導入によるコスト増、エネルギー転換による大幅なビジネスモデルの転換や設備投資が急務であり、移行リスクが大きいと考えられます。
(カ)気候変動リスクの定量評価
物理的リスク
気候変動に伴う異常気象の増加により、当行のお客さまのビジネスにおよぶリスクや当行所有の各営業店設備に対するリスクが想定されます。
沖縄県は北西太平洋や南シナ海で発生した台風が接近するため風水被害が多い土地です。また、河川は他都道府県と比較し、流路延長が短く降雨は海へ直接流出するという特徴があるほか、流域面積が小さく、貯水能力が小さいことから洪水リスクが存在します。
よって、台風・豪雨等の風水害による当行不動産(建物)担保の担保価値影響額および当行各営業店における設備等への被害額を分析の対象としました。
ハザードマップ情報、治水経済調査マニュアルのデータや2℃シナリオ・4℃シナリオに基づく将来的な台風による被災状況に関する試算等を踏まえ、2050年までの物理的リスクの分析を行いました。
(キ)気候変動リスクの定性評価
参考:移行リスク
サンゴの白化減少の発生頻度の増加に伴う影響の定量評価
沖縄県は、美しいサンゴ礁に囲まれた160の島々から構成されており、ダイビング等を目的とした観光客も多く来県します。
地球温暖化に伴う海水温の上昇によりサンゴの白化現象の発生頻度が増加した場合、それに伴う観光客の減少が懸念され、投融資先のビジネスに影響がおよぶリスクが想定されます。
下図の通り、2024年までのおよそ100年間にわたる海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+1.33℃/100年となっており、サンゴの白化が起こった年には平年以上に海水温が高くなっております。
サンゴの白化現象の発生頻度が増加することによる当行への影響額は、移行リスクに伴う与信関係費用の増加分:最大約110億円のうち約12億円と試算しました。

(ア)サステナブル投融資方針の策定について
気候変動問題、少子高齢化や人口減少による地域活力の低下、事業後継者不足による廃業の増加など、環境・社会的な課題が地域の持続可能性を脅かすものとなりつつあります。
琉球銀行グループは、これまでも持続可能な地域社会の実現に取り組んできましたが、この取り組みをさらに力強く推し進めるため、今般、「サステナブル投融資方針」を定め、これに基づいた投融資を推進いたします。
(イ)環境・社会・経済に肯定的で前向きな影響を与える事業への方針
以下に例示する事業等に対しては、積極的に投融資してまいります。
・気候変動リスクを低減する省エネルギー・再生可能エネルギー事業
・企業の脱炭素化社会への移行対応
・地域経済の持続的発展に資する創業・イノベーション創出・事業承継
・高齢化、少子化等の課題に対応する医療・福祉・教育の充実
・持続可能な社会の形成にポジティブな影響を与える事業
(ウ)環境・社会・経済に負の影響を与える可能性が高い事業への方針
以下に基づき適切に対応することで、環境・社会への影響を低減・回避するよう努めます。
a. 石炭火力発電事業
・沖縄県では地理的・地形的、ならびに系統規模の制約から水力・原子力発電等の開発が難しいため、火力発電に頼らざるを得ないことや、再生可能エネルギーの出力変動性を補う調整力や慣性力対応として一定規模の火力発電が必要であることから、石炭火力発電は引き続き重要な役割を果たすと考えられます。新たな石炭火力発電所建設事業に対する投融資は原則として行いませんが、沖縄エリアの構造不利性を踏まえ、石炭火力発電事業に対する投融資は、環境、地域、社会への影響や発電効率性能等(CCUS(注1) 、混焼等の技術など)を総合的に勘案したうえで、慎重に取り組みを検討します 。
※(注1)二酸化炭素回収・利用・貯留技術(Carbon dioxide Capture,Utilizationand Storage)
b. 兵器製造関連事業
・核兵器・化学兵器・生物兵器等の大量破壊兵器や対人地雷・クラスター弾等の非人道的な兵器の開発・製造・所持に関与する先や、国内外の規制・制裁対象となる先、またはそのおそれのある先への投融資は行いません。
c. パーム油農園開発事業・森林伐採事業
・環境保全や人権保護の観点から、パーム油農園開発事業への投融資については、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)等の認証取得状況などを考慮し慎重に判断します。
・森林伐採事業に対する投融資に関しては国際認証の取得状況や環境に対する配慮などを考慮し慎重に判断します。
(エ)セクター全体にかかる取組方針
・「人身売買等の人権侵害への加担」や「児童労働や強制労働」への直接的または間接的な関与が認められる企業との投融資取引は行いません。
・「ラムサール条約指定湿地」「ユネスコ指定世界遺産」に重大な負の影響を及ぼす事業、「ワシントン条約」に違反する事業には投融資は行いません。
(ア)当行グループにおけるScope1・2のGHG(温室効果ガス)排出量と削減目標
a.Scope1・2のGHG排出量
・琉球銀行グループでは、営業店のZEB化や営業店照明のLED化、老朽化空調機を効率化空調機へ更新するなど、GHG排出量の削減に積極的に取り組んでいます。
・2021年11月に導入した、沖縄電力が提供する非化石証書を用いた再生可能エネルギー由来の電力「うちなーCO2フリーメニュー」の使用量を加味した2024年度GHG排出量は3,917t-co2(2013年度比約64.7%削減)となりました。
b.削減目標
・Scope1・2のGHG排出量を2027年度までに100%削減します。

※2021年度以降のGHG排出量は、沖縄電力が提供する非化石証書を用いた再生可能エネルギー由来の電力「うちなーCO2フリーメニュー」の使用量を加味したGHG排出量を記載しております。
※2022年度、2023年度のGHG排出量につきましては信頼性、正確性、透明性等を確保するため、第三者保証機関による保証を受けております。
※2024年度のGHG排出量につきましては、現在、第三者保証機関による検証作業中です。検証により2024年度のGHG排出量を修正する可能性がございます。
(イ)当行におけるScope3カテゴリー1~15GHG(温室効果ガス)排出量 (t-co2)
※2021年度のScope3カテゴリー15(投融資)の排出量は住宅ローンおよび商業用不動産(アパートローン)のみ算出。
※2022年度、2023年度のGHG排出量につきましては信頼性、正確性、透明性等を確保するため、第三者保証機関による保証を受けております。
※2024年度のGHG排出量につきましては、現在、第三者保証機関による検証作業中です。検証により2024年度のGHG排出量を修正する可能性がございます。
※2024年度のGHG排出量は、GHG排出量可視化プラットフォーム「C-Turtle FE」を利用して算定しました。Scope3カテゴリー15(投融資)の算定で用いる排出係数が2023年度までと異なるため、数値に大幅な変動が生じていますが、今後は2024年度の数字を基準としてGHG排出量を算定し、削減に取り組みます。
(ウ)当行におけるScope3カテゴリー15(投融資) GHG(温室効果ガス)排出量
対象としたセクター:住宅ローン、商業用不動産(アパートローン)、事業ローン
a.住宅ローン
※2023年度のGHG排出量につきましては信頼性、正確性、透明性等を確保するため、第三者保証機関による保証を受けております。
※2024年度のGHG排出量につきましては、現在、第三者保証機関による検証作業中です。検証により2024年度のGHG排出量を修正する可能性がございます。
※住宅ローンのGHG排出量につきましては、当行住宅ローンにおけるZEH専用住宅ローン(データクオリティスコア:3)の割合を高めることで削減に努めます。
b.商業用不動産(アパートローン)
※2022年度、2023年度のGHG排出量につきましては信頼性、正確性、透明性等を確保するため、第三者保証機関による保証を受けております。
※2024年度のGHG排出量につきましては、現在、第三者保証機関による検証作業中です。検証により2024年度のGHG排出量を修正する可能性がございます。
c.事業ローン ※2024年度(TCFDの開示推奨セクターを参考に分類)
※住宅ローン、商業用不動産(アパートローン)を除く。
※Scope3カテゴリー15計測に関する補足(住宅ローン、商業用不動産(アパートローン)、事業ローン)
・2024年度のGHG排出量は、GHG排出量可視化プラットフォーム「C-Turtle FE」を利用して算定しました。Scope3カテゴリー15(投融資)の算定で用いる排出係数が2023年度までと異なるため、数値に大幅な変動が生じていますが、今後は2024年度の数字を基準としてGHG排出量を算定し、削減に取り組みます。
・2024年度のScope3カテゴリー15(投融資)につきましては、現在、第三者保証機関による検証作業中です。検証により2024年度のGHG排出量を修正する可能性がございます。
・PCAFスタンダードのメソドロジーの変更・高度化や、計測・目標設定上の実務的な基準(各種定義・計測範囲・時点等)の明確化等により、将来的に計測方法を変更する可能性があります。その場合には、変更点を明らかにした上で計測結果を開示していきます。
・事業ローンの計測については推計値(加重平均DC:3.7)となっているため、取引先の実際の排出量とは少なからず乖離がございます。今後は取引先とのエンゲージメントを通じてGHG排出量の削減に努めてまいります。
(エ)目標
琉球銀行グループはGHG(温室効果ガス)排出量の削減に向けて以下の目標を設定し、段階的な目標達成を目指しています。
Scope1・2の排出量について、2025年4月に削減目標を修正し、沖縄電力が提供する非化石証書を用いた再生可能エネルギー由来の電力「うちなーCO2フリーメニュー」の導入拡大等により、2027年度までにカーボンニュートラル達成を目標に掲げています。
さらに、Scope3においても、2050年度までにカーボンニュートラルを目標とし、特に住宅ローンに関連する排出量については、2030年度までに2021年度比で35%削減することを掲げています。
加えて、サステナブル投融資についての目標は、2023年度から2030年度までに、5,000億円の投融資を行うことを掲げています。
これらの目標は、事業の持続可能性と地域経済の発展を両立させるための重要な指標であり、目標の達成を通じて環境負荷の低減に取り組んでまいります。
(オ)Scope3カテゴリー15(投融資)GHG(温室効果ガス)の削減に向けた取り組みについて
・全国と沖縄県の部門別二酸化炭素排出量の排出構成を比較すると、沖縄県の産業構造が全国と比べて製造業の割合が小さいという地域性から、産業部門が全国では34%を占めているのに対し、沖縄県では11%となっています。
・一方、沖縄県では民生部門(民生家庭部門、民生業務部門)が52%と、全国(32%)と比べて高い割合を占めており、家庭から排出される二酸化炭素を抑制することで、一定の排出量の抑制が期待できます。
・また当行の融資ポートフォリオは住宅ローンおよびアパートローン等のレジデンス関連融資が約6割を占めているため、レジデンス関連融資先のGHG排出量を削減することで社会全体に一定のインパクトが与えられると認識しております。
・当行は沖縄県の特徴、マーケット、課題等に適した脱炭素社会実現への取り組みとして、ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)や建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)に合致する建物建築を推進することで、沖縄県全体のGHG排出量削減に寄与してまいります。
・また金融機関において、Scope3カテゴリー15(投融資) GHG排出量削減は重要であると認識しているため、サステナビリティ委員会で検討や議論を重ね、2025年3月にカテゴリー15(投融資)を含めたScope3GHG排出量の削減目標を掲げました。
・目標の達成に向け、事業ローンについても、取引先とのエンゲージメントを通じてScope3GHG排出量の削減に努めてまいります。
(カ)移行計画
・2025年3月、琉球銀行グループは脱炭素化や気候変動への対応について、具体的にどのように取り組むかを示す「移行計画」を策定しました。
・移行計画を策定する目的は、環境対応にとどまらず、持続可能な経済成長と地域課題の解決を両立させることにあります。
✓琉球銀行グループにおけるカーボンニュートラル実現の道筋を明確化
➢2050年度のカーボンニュートラル達成に向けた中長期的なロードマップを策定し、具体的な削減施策を示します。
✓ステークホルダーとの協働による円滑な移行
➢企業・自治体などと連携し、地域の脱炭素化を加速します。
✓透明性の向上と信頼性の維持
➢ステークホルダーに対し、移行計画の進捗や対応状況を適切に開示し、透明性を向上させることで信頼性を維持します。
※移行計画の詳細は、
(https://www.ryugin.co.jp/common/uploads/ecarbonization_plan.pdf)
(キ)PRB(責任銀行原則)署名
・2024年3月29日、持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定と整合した事業活動を銀行に促すことを目的に、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱する「責任銀行原則(PRB=Principles for Responsible Banking)」に署名しました。
※国内の地方銀行(地方銀行グループ)が署名するのは琉球銀行が3番目です。
(ク)地域課題解決の先導(サステナビリティに向けた取り組み)
・カーボンニュートラルへの取り組みをはじめとしたESG経営の実践により、沖縄県の自然環境の保護や持続可能な地域社会の実現に貢献します。

(2)人的資本に関する開示
①人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略(当行)
当行は経営理念の実現に向けて、事業環境の変化と顧客ニーズの多様化に対応するため、絶えず経営戦略を進化させ続けています。また、経営戦略と連動した人事戦略実践のため、頭取を委員長とした人材育成委員会を設置し、価値の源泉である人材の獲得、専門人材への育成、戦略的配置による人材ポートフォリオの最適化、高度化を図ります。併せて、多様な価値観やライフスタイルを持つ職員のエンゲージメント、ウェルビーイングの向上も経営理念の実現に欠かせない要素であると位置付け、各種人事施策を展開してまいります。
図1

②経営戦略と人事戦略の連動
(ア)戦略的人材ポートフォリオの構築
高度金融サービスの提供や新規事業領域への挑戦に向け、研修目的の外部出向を増やすなど職員の幅広い専門スキル習得機会を増やしています。2024年度研修派遣者数は52名となっており、今後も研修派遣者数を維持していきます。動的な人材ポートフォリオ構築のため、経営戦略に連動させ、順次見直しを行い、最適化、高度化を図っていきます。
図2

③人材育成及び社内環境整備
(ア)人材育成方針
a.『自身の強みを磨き上げる』
職員一人ひとりの強みを磨き上げ、成長し続けるための人材育成を行っています。育成段階に応じて必要なスキルを身に付けられるよう、効果的な育成施策を実施しています。
近年の採用増加により若手職員の層が厚くなっています。サービスの高度化を目指す中で、若手層の健全かつ早期の育成が今後5~10年の組織の強化につながるとともに、 地域へのサービス・ソリューション提供の基盤となるため、重要項目として位置づけています。
図4

人材育成を制度面(育成プログラムの体系化・環境づくり)、心理面(学ぶ意識・意欲への豊かな土壌づくり)、設計面(育成支援フローの構築)の3点を意識して取り組みを行っています。若手層には業務スキルと基礎ビジネススキルの定着を優先し、3年以内で標準レベルまでの引上げを支援しています。中堅層以上には自発的・自律的な学びを推進し、学びの幅を広げてもらい、高度な専門性を自主的につける支援をしています。
図5

〇若手行員の集中的な研修プログラム
近年の採用増加に伴う若手層の育成に対し、各種プログラムを実施しています。
<3年育成プログラム>
図6

できる業務を増やす‘’成長実感‘’と2~3年後の業務をイメージできる‘’成長予感‘’を得られるカリキュラムを実施するとともに、各段階で求められる業務スキルとビジネススキル、ヒューマンスキルの両方を習得できるカリキュラムを実施しています。
図7

<事業性営業担当者のスキルアッププログラム>
〇専門人材の育成
競争の激しい市場で勝ち抜く他社にない独自の能力確保(競争優位の確立)、リソースを最も効果的に活用するための能力確保(効果的な資源配分)、経営環境の変化に柔軟に対応できる能力確保(組織の柔軟性と適応力)が重要であり、その能力を育成する環境の確保も重要だと考えています。
<外部出向派遣>
高度金融サービスを拡大するには、職員一人ひとりの専門性を高める必要があります。また、盤石な業務基盤構築のために、他業種の知見を取り入れることでより多角的な視点を持つことが必要だと考えています。専門人材の増加が営業現場のスキルアップにつながり、銀行全体のレベルアップにつながると考えるため、長期の研修・出向者数を増やしています。
(外部研修派遣先内訳:2024/4~2025/3)
(外部研修派遣終了後の配置:2024/4~2025/3)
研修派遣者と収益の連動
<デジタル人材の育成>
デジタル技術は常に進化しており、システムと業務の一体化は加速しています。
サービスの提供を検討するうえで、データ利活用やシステム導入スキルは不可欠だと考えています。昨今デジタル化について課題を持っている取引先企業も増加しており、その支援も重要だと捉えています。
デジタル人材の育成にあたって、分野毎、役割毎に必要なスキルや目指す人物像を明確にしています。行員のデジタルスキルやマインドを可視化し、レベルに合った人材育成を進めています。
図10

今年度初めて、全職員向けDXアセスメントを実施。
全職員のITリテラシーおよびデジタルマインドを可視化しています。
DXアセスメント結果を活用しながらデジタル人材育成研修を実施しています。
〇キャリア自律制度
専門人材を確保・定着させるため、またスタッフ職として専門性を磨いていくことを希望する職員の働きがいやモチベーション向上のため、マーケットバリューに合った専門コースを2025年4月新設しました。併せて、職員一人ひとりが主体的に考動し、目指すポジションに挑戦できるよう自律的なキャリア形成を行う機会を提供するため、キャリア自律制度(マイキャリア)を新設しています。
〇自律的に学習する環境整備・リスキリング
銀行内の研修プログラム以外にも職員が自律的に学習する環境整備を進めています。
自律的に学ぶ体制、自己啓発の支援策も充実させており、学び続ける職員と学びを応援し続ける会社が伴走することで学びの持続性を高めています。
2024年度には「学ぶ企業文化の再構築プロジェクト」を発足し、学びに対する新たな取り組みを実施しています。
<新たな取り組み>
〇りゅうぎんグループ連携強化
地域経済の好循環サイクルを実現し、地域とともに成長する金融グループを目指しています。グループ企業の連携を強化することで、りゅうぎんグループの金融機能拡充による取引先への貢献が図れると考えています。
b.『個の力を組織の力に』
一人ひとりの磨き上げた力を結束し、チームが一丸となることで、より高いパフォーマンスを発揮することができます。管理職のマネジメントを中心として、組織と個人のビジョンを重ねるコミュニケーションを重視しています。
〇管理職マネジメントスキル強化
各職位に必要とされるスキルを意識した研修を実施しています。
○対話機会の創出
従業員が組織の方向性に納得感を持って働くために、経営層の考えを従業員まで浸透させる施策を 実施しています。
(イ)社内環境整備
経営戦略を支える人材の獲得、多様な人材の能力を最大限に活かす社内環境を整備します。
a. Diversity〈多様な人材の獲得〉
新卒採用やキャリア採用など採用活動の幅を拡げ、多様な人材の獲得に努めています。
(注)厚生労働省へ報告する障がい者雇用率は2.52%(2024年6月1日基準)です。
b. Equity〈公平な活躍機会(働きやすさの追求)〉
多様な働き方を実現するワークライフバランス両立支援施策の充実を図り、組織のパフォーマンス向上を目指します。
図11

(注)育休取得平均日数は、2021年度より集計を開始しています。
c. Inclusion〈個を活かした活躍〉
多様な価値観を持つ職員が、能力を十分に発揮し活躍できる環境・制度の充実化に注力しております。
(注)営業店は副支店長職以上、本部は課長職以上を対象としています。
〇TSUBASAダイバーシティ&インクルージョン宣言
TSUBASAアライアンス参加行による「TSUBASAダイバーシティ&インクルージョン宣言」を実施し、参加行共同で研修を開催するなど、ダイバーシティに関する理解の浸透に努めています。
図12

〇ジェンダーダイバーシティへの理解促進
多様化する価値観への理解や、無意識の思い込み、差別の解消に努める職場づくりに注力しています。主に、管理職向けダイバーシティセミナーの実施、男性職員の育児休業取得推進、女性臨時職の正社員登用や、女性管理職割合の増加等に取り組んでいます。
また、福利厚生として導入している保養所利用において、同性パートナー等を家族扱いとするなど、セクシャルマイノリティへの対応を開始しています。
d. Belonging〈組織への帰属意識〉
職員の状態を通した環境の可視化、その動的ウォッチを通じて常に改善策を講じるため、定期的なエンゲージメントサーベイ(従業員満足度調査)を開始しました。また、これらの人事戦略には、職員が心身ともに健康で高い意欲を持つことが重要であり、その実現のため、健康経営に積極的に取り組んでいます。
健康経営に関する取り組みの詳細は、
④人材の育成及び社内環境整備に関する指標と目標(当行)
(ア)人材育成に関する指標および目標
(注)1 人材育成に関する指標及び目標は、グループの主たる事業会社である琉球銀行単体を対象としています。
2 外部研修派遣者数は、各年度4月1日から3月31日までの出向者のうち、副参事未満かつ50歳未満の出向者および長期派遣者の合計を育成目的の外部派遣者として計上しています。(副参事:支店長クラスの経営者層)
3 公募制による配置人数は、行内の公募制を活用して異動配置を行った人数を計上しています。
4 行内開催研修の参加人数(延べ人数)は、業務時間内に開催した研修の参加人数について、研修後の受講報告件数をもとに算出した人数を計上しています。
(イ)社内環境整備に関する指標及び目標
(注)1 社内環境整備に関する指標及び目標は、グループの主たる事業会社である琉球銀行単体を対象としています。
2 厚生労働省へ報告する障がい者雇用率は2.52%(2024年6月1日基準)です。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している事業等のリスクは、以下のとおりであります。当行グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努めてまいります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
■ 最近の経営環境と事業等のリスク
新型コロナの「5類感染症」移行に伴い、沖縄県経済は入域観光客数の増加を背景に順調に回復しております。加えて、大型テーマパークや大型リゾートホテルの開業、世界遺産に指定されている首里城正殿の復元などが予定されており、地域経済の堅調な発展が期待されます。
また、国際情勢の変化が地域経済に影響を与える可能性があります。沖縄県周辺において、軍事的緊張が高まった場合、沖縄県への入域観光客数が減少する可能性があります。
このような国内外の状況に加えて、台風の激甚化のような大規模な自然災害の発生や脱炭素社会への移行対応、人口減少やデジタル化の推進など社会構造の変化も急速に進んでいることから、経営環境の先行きを予測することが複雑な状況が続いております。
これらの変化が社会・経済活動へ影響を及ぼす場合、当行取引先の財務内容等が悪化することで当行グループの不良債権、与信関連費用の増加や市場環境の悪化による損失の発生等の事業等のリスクが、当行グループの業績、業務運営および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、地域金融機関として引き続き円滑な金融仲介機能を発揮し、取引先への資金繰り支援に取り組むほか、経営改善や事業再生、雇用の維持を通じ、与信関係費用の抑制を図るとともに、取締役会の定めた「リスク管理基本方針」に基づき、以下の各項目に記載する管理体制とリスクへの対応策を実施するなど、事業等のリスク発生の回避および発生した場合の適切な対応に努めております。
■ リスク管理基本方針
当行は、「リスク管理態勢の一層の充実および強化」を経営上の重要課題のひとつに位置づけ、銀行経営で生じる各種リスクを統合的に管理する組織体制を整備、強化するとともに、経営戦略、経営体力に応じた適切なリスクテイクおよび想定外の損失を最小限にするための適切なリスク管理を行うことにより、経営の健全性および適切性の確保と安定した収益の確保とのバランスを重視した経営を目指していくことをリスク管理基本方針としております。
■ リスクのモニタリングとコントロール
当行が認識している主要なリスクのうち、(1)信用リスクおよび(2)市場関連リスクについては、統計的手法であるVaRを用いて、ある確率のもと一定期間(例えば1年間)に被る可能性のある最大損失額(リスク量)を計測し、把握しております。これらのリスクが顕在化した場合、当行の業績・業務運営に影響を及ぼす可能性があるため、当行では業務の継続性を確保する観点から、リスク量が自己資本の範囲内に収まるよう資本配賦制度(リスク量に対する資本の割当て)を用いた業務運営を行うとともに、リスク量に対して限度額やアラームポイントを設定のうえ、定期的にモニタリングしております。また、モニタリング結果および分析結果については、適時に経営陣へ報告し、必要な対応策を講じております。
■ RAF(リスクアペタイト・フレームワーク)
当行は、取るべきリスクの種類と総量(リスクアペタイト)を明確化し、フォワード・ルッキングな視点で経営管理やリスク管理を行う枠組みであるRAF(リスクアペタイト・フレームワーク)の運用に取り組んでおります。RAFの取組みを通してリスクガバナンスの強化、経営戦略・収益・リスクの一体管理の強化を図っております。
① 地域経済の動向による影響
当行グループは沖縄県を主たる営業地盤としていることから、沖縄県における人口・世帯数の動向や産業構造の特徴、経済状況等の変化により、取引先の財務状況が悪化し、当行グループの不良債権額や与信関連費用が増加する等の信用リスクが顕在化した場合は、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
沖縄県は全国的にも人口減少の影響が少なく、好調な沖縄県経済を背景に個人住宅や分譲マンション、アパート等の住宅需要が高くなっております。さらに、入域観光客数の増加を背景にホテル・宿泊施設の建設需要も旺盛であることから、当行貸出ポートフォリオは、住宅ローンおよび貸家業・不動産業向け融資が貸出金全体の約6割を占めており、不動産市況や入域観光客数の動向の影響を受けやすいリスク特性となっております。これらのリスク特性をふまえ、当行では住宅ローンおよび貸家業・不動産業向け融資の定期的なモニタリングと分析をふまえ、必要に応じて融資スタンスを見直しするなど、リスクの低減に努めております。
② 特定の大口先、特定の業種に対する与信集中
特定の大口先や特定の業種へ与信が集中し、当該取引先の信用状況が悪化した場合は、与信関連費用が増加し、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
沖縄県を産業構造別でみると、第2次産業の割合が低く、第3次産業が全体の8割以上を占めております。国内有数の観光地であることから、宿泊・飲食・物販等の観光関連サービス業が主要な産業であるものの、不動産業や建設業など幅広い業種が観光に関連していることが沖縄県の産業構造の特徴と言えます。
当行の貸出ポートフォリオについても上記の特徴を反映する形で構成されており、住宅ローン等の個人消費性ローンを除いた事業性融資では、約9割が第3次産業向け融資となっております。これら事業性融資のうち、貸家業・不動産業向け融資が約5割と大きなウェイトを占めておりますが、宿泊・飲食・物販等の観光関連産業等を含め、融資先は小口に分散されております。また、貸出ポートフォリオにおいては、製造業など重厚長大な産業向け融資の割合が低いため、特定の大口先、特定の業種に対する与信集中リスクは低く抑えられております。
当行では、特定の大口先および特定の業種に対する与信集中状況について、取締役会の定めた「融資運用方針」に基づき、定期的にその集中状況を取締役会へ報告し、必要に応じて融資運用方針を見直すなど、適切に管理しております。
③ 担保価値の下落および不動産市場の流動性低下
人口減少、少子高齢化の進行、経済状況の変化等の要因で市場価格が下落した場合および担保資産の市場流動性が低下することによって担保処分の執行が困難になる場合は、担保評価額が下落することで与信関連費用が増加し、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当行の貸出ポートフォリオは、住宅ローンおよび貸家業・不動産業融資が約6割を占めていることから、不動産担保による保全率は高くなっております。
また、近年の沖縄県における地価動向は、県内景気の拡大を背景に全国比較で高い上昇率で推移しており、観光需要の回復に伴い、地価の上昇傾向が継続しております。
当行では、担保に関するリスクへの対応として、担保物件の処分および取得時の売買情報を月次で本部にて収集するなど市場動向を継続して注視しているほか、審査目線の一つとして不動産物件の担保価値と借入金の比率であるLTV(Loan to Value)および不動産の収益と元利金返済の比率であるDSCR(Debt Service Coverage Ratio)を重視するなど、安全性の高い良質な貸出ポートフォリオの構築に努めております。
④ 信用リスク低減に向けた各支援策の実施と将来への備え
当行では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大期においては「コロナ対応支援」として①中小企業への支援態勢の強化、②大口先(約30社)の定期的なモニタリングの開始、③資本性借入金の積極活用、④沖縄県の主要企業によって構成されるファンドを通じた支援などを展開し、取引先支援を通じ信用リスク顕在化の低減に取り組んでまいりました。新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行で同感染症を直接的な理由とした取引先支援の活動は収束しておりますが、中小企業支援の観点から必要な支援につきましては従来通り実施しております。
また、信用リスク低減に向けた将来の備えとして当行では2021年3月期より一般貸倒引当金の算出方法を過去の貸倒実績に基づく予想損失額の見積もり方法から、将来の予測を貸倒引当金に反映させる手法(フォワード・ルッキングな引当)を導入し、予見される信用リスクをより適時・適切に引当金へ反映させております。
市場関連リスクとは、金利、有価証券等の価格、為替等の様々な市場の変動により、保有する資産の価値が変動し損失を被るリスクであります。
当行グループは経営体力を踏まえたリスクテイクによる安定的な収益の確保を目的に有価証券投資を行っており、日本国債や地方債などの円貨債券、米国債などの外貨建債券、株式、投資信託等を保有しております。これらの市場性資産は市況により価値が変動するため、大幅な相場変動が起きる場合には、以下に示す各リスクの顕在化から保有資産の価値が変動し、当行グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当行グループの有価証券ポートフォリオは、国内外の国債や地方債、格付の高い社債への投資が中心となっております。債券の保有比率は、保有する有価証券の9割超となっています。2025年3月末時点において保有する円貨債券は約6,028億円あり、その内訳は日本国債が約7割、地方債が約2割となっています。元本の平均回収期間を示すデュレーションは約2.7年となっております。外貨建債券はドル建ておよびユーロ建ての海外国債を中心に約221億円保有しており、デュレーションは約3.5年となっております。
価格変動リスクのある資産(株式・投資信託)は有価証券全体の約9%程度を占めており、金額で約661億円となっています。このうち時価のある政策保有株式は10銘柄で約13億円となっております。
① 金利変動リスク
当行グループは、日本国債、地方債、米国債など金利リスクのある債券を保有しているため、国内外の金融政策の変更等により市場金利が大幅に上昇した場合に評価損が発生するほか、調達コストが運用収益を上回る場合は逆ザヤが発生し、当行グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループでは、運用方針にて取引限度額を定めるほか、リスクの定量的分析等によりモニタリングを行い、過度なリスクテイクを抑制しております。また、市場リスクのVaRに限度額を設定しリスクを経営体力の範囲にコントロールしているほか、有価証券損益を日次で把握しており、市場が急変した場合には運用部門と経営陣・関連部署が速やかに対応を協議するなど、損失を抑制する体制を構築しています。
② 為替変動リスク
当行グループは、外貨調達において主に為替スワップ取引および債券レポ取引等を利用しているほか、顧客取引等で生じる外貨持高について限度額を定め、バランスを調整するなど、為替相場の変動リスクを最小化することとしております。ただし、保有する投資信託には外国為替の変動を受ける商品があり、予期せぬ為替変動が生じた場合、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 価格変動リスク
当行グループは、価格変動リスクのある株式や投資信託を保有しております。保有する投資信託には、国内外の株式に投資するものが含まれているため、大幅な株価下落が生じた場合は減損または評価損が発生し、当行グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループでは、保有する価格変動リスクのある商品については、運用方針にて取引限度額を定めるほか、評価損に対するモニタリング・ラインの設定、保有可否を判断する下落アラーム・ポイントを設けるなど、評価損の拡大抑制に努めています。
なお、価格変動リスクのある株式等には、保有目的が純投資以外の目的である時価のある政策保有株式も含まれておりますが、これらの政策保有株式は、4「コーポレート・ガバナンスの状況等」(5)「株式の保有状況」に記載のとおり定期的に保有の合理性等の検証および保有の適否を判断しており、リスクの軽減を図る体制をとっております。
④ デリバティブ取引のリスク
当行グループにおけるデリバティブ取引は主に外貨建債券運用に係る外貨調達手段としての為替スワップ取引および顧客向け為替予約に係るカバー取引があります。有価証券運用において保有する投資信託にはデリバティブを内包する銘柄もありますが、取引内容が複雑な商品への投資は行っておりません。
⑤ 資金調達に係る流動性リスク
当行グループは、資金調達・運用構造に即した適切かつ安定的な資金繰りに加え、安全性・収益性のバランスを考慮した効率的な資金調達・運用を基本方針としており、不測の事態に備えて、資金繰り状況の逼迫度に応じた危機管理対策を予め策定し、速やかに対処できる体制を整えております。
しかしながら、当行グループの業績および財務状況や格付が悪化した場合、あるいは市場環境が大きく変化した場合に、必要な資金の確保が困難になり、通常より著しく高い金利による資金調達を余儀なくされる、または調達が困難となることで、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
国内外の金利変動状況に加え、物価および為替水準の変動等により、一部の業種または企業等で預金等が大幅に減少する懸念も考えられますが、預金等動向のモニタリングやそのリスクが顕在化した場合の対応策を定めていることから、資金繰りに及ぼす影響は限定的であると考えております。
また、流動性リスク・リミットについては、インターネットバンキングやモバイルアプリ等の普及を考慮した実質現預金へのリスク・リミットの設定や、インターネットバンキング等の契約先の預金額等をベースにした必要資金の目線を設けるなど、流動性リスク管理の高度化を継続的に検討し、適切なリスク管理の見直しを実施しております。
(3)自己資本比率に係るリスク
当行グループは、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められた国内基準である自己資本比率4%以上を維持する必要があり、当行グループの現在の自己資本比率は、この最低水準を大幅に上回っております。
今後も安定した経営を継続するには、なお一層の自己資本比率の上昇は必要不可欠と考えており、当行グループでは、リスク・ウエイト判定の高度化等のリスク・アセットコントロールを中心に、自己資本比率の上昇に資する諸施策を継続的に実施しております。
本項に示した事業等に係る各種リスクが顕在化することにより、自己資本比率は低下する可能性がありますが、上述したとおり現在の自己資本比率は自己資本比率規制上の最低水準を大幅に上回っており、国内基準行に求められる最低水準を下回る可能性は低いと考えております。
(4)オペレーショナル・リスク
① 事務リスク
当行グループは、業務の多様化や取引量の増加に適切に対処し、想定される事務リスクを回避するために、機械化投資の拡充および営業店事務の本部集中化を引き続き図ることにより、業務の効率化と事務リスクの圧縮に努めております。また、事務水準の向上や事務事故の未然防止の観点から営業店臨店や研修等による事務指導を強化し、内部監査を厳格に実施しております。しかしながら、役職員による不正確な事務や不正、過失、あるいは外部者による窃盗や詐欺などにより、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② システムリスク
(ア)当行グループは、システムリスク管理方針やバックアップ体制等を整備し、預金・為替・融資などの業務を行う勘定系システムをはじめとしたコンピューターシステムの安全稼働に万全を期しております。しかしながら、万が一重大なシステム障害や不正使用等が発生した場合には、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(イ)当行グループは、外部からのサイバー攻撃等への対応としてサイバーセキュリティ作業部会(CSIRT)を設置し、外部機関との情報連携やサイバーセキュリティに関する訓練の実施、システムの脆弱性への対応等、システムの安全稼働とセキュリティ強化に努めております。しかしながら、サイバー攻撃等によりシステムの停止や情報漏えい、データの改ざん・破壊等が発生した場合には、決済機能や各種サービスの停止、社会的信用の失墜などにより、当行グループの業務運営や業績および財務状-況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)当行グループは、非対面取引を安心・安全にご利用いただけるよう、インターネットバンキングのセキュリティ強化に努めております。対策としてワンタイムパスワードやリスクベース認証の導入、ホームページやメールマガジン・テレビCMで、SMSからフィッシングサイトへ誘導する手口等について注意喚起などを実施しております。また、他金融機関、警察、外部協力団体等と連携して犯罪の抑止となる情報収集にも努めております。しかしながら、犯罪者による不正送金が行われた場合、当行グループの信用失墜となり、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(エ)当行グループはカード業務(イシュイング・アクワイアリング)を通じて、沖縄県内のキャッシュレス化に取り組んでおります。また、当該業務における安全性確保のため、セキュリティサービスの導入、国際ブランドや同業他社との連携による取引モニタリング精度の高度化により、カード番号等の漏洩防止や不正取引防止に努めています。
一方、クレジットマスター等の外部からの攻撃により、カード番号等の漏洩や不正取引が発生した場合は、当行グループの信用失墜となり、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ コンプライアンスリスク
当行グループは、銀行業務を遂行する上でさまざまな法令等を遵守することが求められるだけでなく、関係するさまざまなステークホルダー(利用者・役職員・社会・市場・株主等)からの信頼・信用を保持し、その期待に応えることも求められています。過去の不祥事件の経験を踏まえ、企業風土の変革を含む再発防止策の導入とその後の実効性確保を、最重要の経営課題の一つとして定期的にフォローアップし、改善に取り組んでおります。
しかしながら、これらの取り組みが不十分であるために、コンプライアンス違反や不祥事件等が発生した場合には、当行グループの信用が失墜し、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策上の不備に係るリスク
当行グループは、事業活動を行う上で、国内外の法令諸規制の適用およびそれに基づく国内外の金融当局の監督を受けております。近年、金融犯罪が多様化かつ高度化し、本邦金融当局や海外の規制当局から要請されるマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策の基準は急速に高まっております。当行グループでは、国内外のマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止態勢の高度化に向けて、本邦金融当局から要請されているAML/CFTガイドライン対応として「法人口座開設時の審査厳格化」、「お客様の取引状況の定期的確認」等の各種施策の実施に取り組んでいます。一方、AML/CFTに関する先進的かつ実用的な取り組みのあるTSUBASAアライアンスに参加し、情報およびスキルの収集に努めています。
マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止態勢の高度化が有効に機能せず、仮に法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、当行グループの信用失墜等により、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 風評リスク
当行グループの業務は、預金者等のお客様や市場関係者からの信用に大きく依存しております。そのため、当行グループや金融業界等に対する風説・風評が、マスコミ報道・市場関係者への情報伝播・インターネット上の掲示板への書き込み等により発生・拡散した場合には、お客様や市場関係者が当行グループについて事実と異なる理解・認識をされ、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスク
① 自然災害に関するリスク
当行グループでは「危機管理計画(コンティンジェンシープラン)」をはじめ各種の対応マニュアルを整備し、災害対応訓練等を通じてその実効性向上を図っております。しかしながら、近年大型化している台風の直撃や大規模な地震等の自然災害の発生により、業務の全部または一部の継続が困難となり、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当行グループ自身の被災による損害のほか、取引先が自然災害により業績が悪化した場合、信用リスクの上昇などを通じて、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、通常想定されるレベルの台風では当行グループの建物は構造上重要な被害を受けるものではなく、被害は限定的なものと想定しております。
② 気候変動に係るリスク
当行グループは、気候変動が環境・社会、人々の生活・企業活動にとっての脅威であり、金融市場の安定にも影響を及ぼしうる最も重要な課題の一つであると認識しています。当行グループは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が策定した気候変動関連財務情報開示に関する提言に賛同するとともに、TCFDに沿ったリスクの把握・評価や情報開示の拡充に取り組んでおります。それと同時に、気候変動対策や脱炭素社会への移行をサポートする取り組みも進めております。気候変動リスクとしては、低炭素経済移行に伴う政策・法務・技術・市場の変化等に起因する移行リスク、気候変動による資産に対する直接的な損傷やサプライチェーンの寸断による財務損失等の物理的リスクが挙げられます。
移行リスクにつきましては気温上昇による当地の主要産業である観光産業セクター(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)および電気・ガス・水道セクターへの影響を試算し、与信関連費用を計測しました。
物理的リスクにつきましては台風・豪雨等の風水害による当行不動産(建物)担保の担保価値影響額および当行各営業店における設備等への被害額を試算し、与信関係費用における追加信用コストや各営業店における設備等への被害額(累積)を計測しました。
当行グループのGHG(温室効果ガス)排出量(Scope1,2)につきましては、2030年度までに2013年度比60%削減および2050年度までにカーボンニュートラルを目指しております。排出量削減策として本支店の省エネ化およびZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ゼブ))化(認定取得:6本支店)を推進しています。また投融資先のGHG排出量(Scope3)削減も推進しており、2050年度までにカーボンニュートラルを目指しております。また、住宅ローンについては、中間目標として2030年度までに2021年度比35%削減を目指しております。排出量削減策として、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)普及を目的としたアライアンス(ZEP-Ryukyu)の構築、サステナブルファイナンスの推進、J-クレジットの運営管理業務等に取り組んでおります。ZEP-Ryukyuの取り組みにつきましては2025年3月末で加盟事業者数が135先となり、加盟事業者向けセミナーの開催による啓蒙活動を強化しております。サステナブルファイナンスの推進につきましては、2023年度から2030年度までに累計5,000億円の「サステナブル投融資目標」を設定しました。
当行グループの気候変動に関するリスクへの取り組みや情報開示が不十分であった場合又はそのように見做された場合などには、当行グループの業務運営や業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 感染症による業務継続リスク
新型コロナウイルス感染症のような感染症が世界的に流行し、当行グループ役職員に多数の感染者が発生した場合、業務の全部または一部の継続が困難となり、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当行では衛生対策の徹底による感染防止策を講じるとともに業務継続体制の整備を図ることでリスクの軽減に努めております。
④ 当行グループのビジネス戦略が奏功しないリスク
当行は、収益力増強のために様々なビジネス戦略を実施しておりますが、規制緩和による多業種との競合やその他の外部要因が発生した場合には、これらの戦略が功を奏しない、当初想定していた結果をもたらさない、又は変更を余儀なくされ、当行グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
しかしながら、当行は新規ビジネスについて、事業の将来性や銀行全体の資産に対する新規投資額の割合等を十分に検討したうえで投資を決定しており、仮にビジネス戦略が奏功しないリスクが顕在化した場合でもその影響は限定的なものであると考えております。
⑤ 固定資産減損リスク
当行グループは、保有する有形固定資産および無形固定資産について、現行の会計基準に従い減損会計を適用しておりますが、当該資産に係る収益性の低下や時価の下落等により、投資額の回収が見込めなくなった場合は減損損失を認識する可能性があります。減損損失を認識した場合、当行グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 繰延税金資産に係るリスク
現時点におけるわが国の会計基準に基づき、一定の条件の下で、将来実現すると見込まれる税金負担額の軽減効果を、繰延税金資産として貸借対照表に計上することが認められております。当行グループは、現時点において想定される金融経済環境等のさまざまな予測・仮定を前提に将来の課税所得を合理的に見積り計上しておりますが、実際の課税所得が想定と異なること等により、繰延税金資産が減額された場合には、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 退職給付債務等の変動に係るリスク
当行グループの退職給付費用や債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、実際の結果が予測値と異なる場合や前提条件に変更があった場合には追加損失が発生する可能性があります。
なお、当行は2021年10月より在職中の職員の「確定給付企業年金(DB)」のすべてを「確定拠出年金(DC)」へ移行しております。これにより、当行における退職給付債務等は、在職中の職員の退職金にかかるもの約75億円(資産と負債の合計額)と、DC移行前に退職した職員の年金(閉鎖DB)の約59億円(資産と負債の合計額)となっております。
このうち閉鎖DBについては、低リスクでの運用方針としていることおよび年金資産が退職給付債務を大幅に上回っていることから利回りの変動等から発生するリスクや積立不足による追加拠出等が発生するリスクは大幅に軽減されております。
⑧ 規制変更のリスク
当行グループは、現時点の規制(法律、規則、政策、会計制度、実務慣行等)に従って業務を遂行しております。将来、これらの規制の新設、変更、廃止ならびにそれらによって発生する事態が、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 格付低下のリスク
格付機関が当行の格付を引き下げた場合、当行の市場部門は、取引において不利な条件を承諾せざるを得ない、あるいは一定の取引の実施が困難となる可能性があります。このような事態が生じた場合、資金調達費用の増加や資金調達そのものが困難となる等、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、株式会社格付投資情報センター(R&I)および株式会社日本格付研究所(JCR)による長期発行体格付はいずれも「A+」を取得しており、格付の方向性も「安定的」との評価を得ていることから、格付低下によるリスク顕在化の懸念は低いものと考えております。
⑩ 顧客情報に係るリスク
当行グループは、個人情報・機密情報等のデータを有しており、その管理につきましては、マニュアルで管理方法を明確に定めるとともに、本人確認システムを導入する等、不正利用・流出を防止する体制を強化しております。しかしながら、これらの対策にも関わらず、重要な情報が外部に漏洩および滅失、毀損した場合には当行グループの信用が失墜し、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 重要な訴訟によるリスク
当行グループは、法令諸規則の遵守の徹底に努め、法令違反の未然防止体制を強化しております。しかしながら、今後、様々な業務遂行にあたり、法令違反およびこれに対する訴訟が提起された場合には、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 外部委託によるリスク
当行では、お客様宛のご案内発送に関わる業務や外国為替等の対外取引業務、情報システムの運用・保守に関わる業務、ATMの管理業務等を外部企業へ委託しております。外部委託先に対しては、選定の際に、経営状況や業務遂行能力、個人情報保護の観点による情報管理態勢等のチェックを実施し、委託後も定期的な情報管理態勢等のチェックの実施や、業務遂行能力の把握に努めております。
しかしながら、外部委託先において重要な情報の外部漏洩や、業務遂行能力の低下が生じた場合には当行グループの信用失墜や、業務運営の混乱などが生じ、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 地政学的リスク
当行グループが拠点とする沖縄県周辺において、軍事的な紛争などの当行グループのコントロールが及ばない地政学リスクが生じた場合には、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当行グループは、これらのリスクを踏まえ、有事の際の従業員の避難や事業継続についての対応策などを業務手順に明記できるように取り組んでいます。
当連結会計年度における当行グループの財務状況、経営成績およびキャッシュフロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
経常収益は、貸出金利息および株式等売却益、リース業における売上高の増加等により前期を32億42百万円上回る691億93百万円となりました。
一方、経常費用は、預金利息および営業経費の増加等により前期を33億65百万円上回る608億64百万円となりました。
この結果、経常利益は前期を1億24百万円下回る83億28万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期を1億円上回る57億51百万円となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
①銀行業
経常収益は前連結会計年度比19億22百万円増加の450億74百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比71百万円増加の69億65百万円となりました。
②リース業
経常収益は前連結会計年度比14億85百万円増加の186億81百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比17百万円増加の5億56百万円となりました。
③クレジットカード業
経常収益は前連結会計年度比3億8百万円増加の40億91百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比3億72百万円増加の7億66百万円となりました。
④信用保証業
経常収益は前連結会計年度比41百万円減少の6億45百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比33百万円減少の5億5百万円となりました。
⑤IT事業
経常収益は前連結会計年度比1億66百万円減少の35億23百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比31百万円減少の1億円となりました。
⑥その他
経常収益は前連結会計年度比2億80百万円減少の1億54百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比18百万円減少の14百万円となりました。
主要勘定としては、預金等(譲渡性預金を含む)の期末残高は、個人預金は増加しましたが、公金預金の減少により前連結会計年度末を535億30百万円下回る2兆7,827億18百万円となりました。貸出金の期末残高は、個人の住宅ローンや法人向け貸出が増加したことから、前連結会計年度末を981億71百万円上回る1兆9,801億17百万円となりました。有価証券は前連結会計年度末を46億79百万円下回る6,875億66百万円となりました。
キャッシュ・フローの状況については次の通りであります。
現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比1,704億96百万円減少の1,707億81百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、貸出金の増加、預金等の減少、外貨調達(債券貸借取引受入担保金)の減少により1,515億55百万円の支出(前連結会計年度は372億59百万円の支出)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、日本国債を中心とした有価証券の取得等により166億85百万円の支出(前連結会計年度は2,178億22百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当等により22億49百万円の支出(前連結会計年度は18億13百万円の支出)となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
中期経営計画「Value 2023」の2年目となった2024年度は、日本銀行の金融政策の正常化等の環境変化に対応するために、「学び、行動するグループ(組織)」をテーマに掲げ、地域課題解決に向けた様々な取り組みを推し進めてまいりました。
①基本戦略1:事業基盤の拡大(ソリューション)
預貸金業務を中心に資産と負債を総合的に管理するALM戦略をより重要視し、資金利益の増強に向けた取り組みを強化いたしました。当行がコントロールできるリスクを定めたうえで県外のシンジケートローンを増強しながら、当行融資ポートフォリオの地域分散・業種分散によるリスク低減と収益性の向上を図っております。さらに有価証券運用においては、円債を中心に残高を積み増しながら債券デュレーションの短期化を継続するとともに、株式やREITなどのリスク性資産の組み入れによる分散を図るなどし、中長期的に安定した運用収益を確保できるようポートフォリオの改善を行いました。米国債運用の逆ザヤが解消されたことにより、収益面も改善しております。
法人コンサルティング業務では、県内で長年の実績をもつ企業の事業課題に対して、M&Aを活用した事業承継支援を複数件実施いたしました。また、石垣島のリゾートホテルに対して、離島案件としては初となる不動産ノンリコースローンを実行いたしました。今後も地域の成長・発展に寄与するため、柔軟なファイナンス手法の提案を行ってまいります。
また、キャッシュレス事業では、沖縄都市モノレールでのキャッシュレス乗車サービスの取り扱いを開始するなど、離島を含む県内全域の公共交通機関へサービスをさらに拡充させました。くわえて、長年培ってきたノウハウが認められ佐賀銀行との包括加盟店契約が実現するなど、県内外のキャッシュレス化の取り組みを大きく加速させました。
②基本戦略2:ESG経営の実践(サステナビリティ)
ESG関連では、「気候変動リスクの把握と対策」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして位置づけ、琉球銀行グループおよび沖縄県全体の脱炭素化に向けた取り組みを強化してまいりました。県全体に向けた取り組みとしては、これまでの省エネ住宅などの普及を目的とした地域連携「ZEP-Ryukyu」の活動等に加え、太陽光発電を軸とした再生可能エネルギー普及に向けた施策の検討も進めております。琉球銀行グループ自身も脱炭素化(Scope1・2)の早期達成に取り組んでおります。国際的なESG評価機関であるCDPにおける評価は、昨年に引き続き上位から2番目の「A-」評価に認定されており、当行の取り組みが高く評価されていると認識しております。
さらに3月には、当行グループのカーボンニュートラルに向けた取り組みを体系化した移行計画を策定したことに加え、企業が自然資本に関するリスク管理と情報開示を行うための枠組みを提供する国際的な組織であるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づく情報開示を行いました。どちらも沖縄県内の金融機関では当行が初となる、全国的に見ても先進的な取り組みとなります。当行は、今後も沖縄県の脱炭素化や気候変動への対応、ならびに自然資本や生物多様性の保護に取り組むことで、沖縄県の持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
また、当行は「持続可能な社会の創り手」となる県内の学生や子供たちへの金融教育にも積極的に取り組んでおります。県内の小学校・中学校・高校を対象に出前授業を実施したほか、琉球大学への寄付講座を開始しております。今後も未来を担う学生・子供たちの金融リテラシー向上に努めてまいります。
③基本戦略3:変革への挑戦(トランスフォーメーション)
りゅうぎんアプリに投資信託の取引機能を追加し、NISAを含む投資信託口座の開設から商品の購入・解約といった一連の取引がアプリで完結できるようになりました。利便性を高めたことで、りゅうぎんアプリは足元で20万人のお客さまにご登録いただいております。アプリを活用した非対面取引の拡充により、営業店業務のさらなる効率化が図られ、お客さまと向き合う時間の増加と多様化するニーズに対応した質の高い金融サービスの提供につながっております。
専門人材の育成にも継続して取り組んでおります。研修・出向による外部金融機関等への派遣者を目標とする年間50人に増やしながら、行内においても人材育成の取り組みを強化しております。
あわせて新規事業にも着手しております。近年PPP/PFI(官民連携)の動きが強まっていたことから、グループ企業のりゅうぎん総合研究所内に行政コンサルティング業務の受託部署を設置いたしました。琉球銀行グループにて行政および事業者と連携し、地域課題の解決を図ってまいります。
これらの結果、様々な取り組みにより利益は大きく増加しましたが、経費の増加を主要因に顧客向けサービス利益は前年度を3億6百万円下回る45億78百万円となりました。
銀行以外のセグメントの経常利益について、リース業セグメントは売上高の増加等により前年度を17百万円上回る5億56百万円、信用保証業セグメントは前年度を33百万円下回る5億5百万円、クレジットカード業セグメントは与信コストの減少等により前年度を372百万円上回る7億66百万円となりました。IT事業セグメントは売上高の減少等により前年度を31百万円下回る1億円となりました。
当行グループの資本の財源及び資金の流動性については以下の通りです。
資金運用等に関しては、主要な運用手段である貸出金が順調に推移する一方で、金銭の信託等による資金運用の多様化を行っております。有価証券運用においては債券の償還が進む中で金融市場の動向を睨みながら、機動的な運用を行っております。一方で主要な資金調達手段である預金については、指定金融機関の交代時期が重なる等の特殊要因による公金の減少があり末残は減少となりました。なお、外貨建ての債券(主に米国債)の運用については、主に為替スワップ取引および債券レポ取引等の調達で対応しております。
また、当行は「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり投資を計画しておりますが、これらに必要な資金は自己資金で対応する予定であります。
当行は中期経営計画「Value 2023」における最終年度である2025年度の目標として、親会社株主に帰属する当期純利益75億円ほか下表の項目を掲げておりました。
当連結会計年度において、経費の増加を主要因に顧客向けサービス利益(④)は前年比減少しましたが、その他の財務指標の各項目(親会社株主に帰属する当期純利益(①)、連結ROE(②)、連結自己資本比率(③)、単体コア業務純益(⑤))は、資金利益の増加を主要因に前年比増加となりました。単体コアOHR(⑥)については、経費増加を利益の伸びが大きく上回り前期比減少しました。
また、基本戦略指標においては、お客さまと向き合う時間を創出しお客さま本位の提案を実践したことで、ライフプランサポート件数(⑦)、事業主のお客さまで生産性等が向上した先数(⑧)の各項目で着実に実績を積み上げており、役務収益の増加につながっていると評価しております。同様に、GHG排出量(Scope1・2)(⑨)、職員の1人当たり研修時間(⑩))の項目においても、関連施策を推し進め順調に推移しております。
中期経営計画「Value 2023」の目標
(注)1 顧客向けサービス利益=預貸金収支+役務利益―経費
しかしながら、当行を取り巻く経営環境が大きく変化していることから、前中期経営計画「Value 2023」を1年前倒しで終了し、2025年度より新たな中期経営計画「Empower 2025」をスタートさせました。本計画の最終年度である2027年度の目標として、親会社株主に帰属する当期純利益90億円ほか、新たに下表の項目を掲げております。沖縄県の魅力ある環境を大きな成長ポテンシャルと捉え、さらに多様な取り組みで県経済の活性化に貢献してまいります。当行の長期ビジョン「地域経済の好循環サイクルを実現し、地域とともに成長する金融グループ」の実現を目標に、グループ総合力を発揮し、経営計画に掲げる施策を一つ一つ丁寧に実行に移していくことで、中期経営計画最終年度目標数値の達成に努めてまいります。
今後も引き続き、「地域から親しまれ、信頼され、地域社会の発展に寄与する銀行」という経営理念を達成すべく、地域の課題解決に努め、お客様が真に求める商品・サービスの提供に努めてまいります。
中期経営計画「Empower 2025」最終年度(2027年度)の目標
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行の貸倒引当金は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表」の「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4 会計方針に関する事項(5)貸倒引当金の計上基準」に記載のとおり、「破綻先」「実質破綻先」「破綻懸念先」に係る債権については、取立不能額及び担保や保証による回収見込額を控除した額に対し、全額または必要額を個別に計上しております。
それ以外の債権については、主として今後1年間の予想損失額又は今後3年間の予想損失額を見込んで計上しており、予想損失額は、将来に関するマクロ経済指標の予想に基づき予想損失率を求め、これに将来見込み等必要な修正を加えて算定しております。
連結子会社の貸倒引当金は、一般債権については過去の貸倒実績率等を勘案して必要と認めた額を、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額をそれぞれ計上しております。
当行及び一部の連結子会社において今後の見通しについては、経済活動は2025年度も緩やかな拡大シナリオを想定していますが、貸倒引当金の見積りに用いた仮定については現時点における最善の見積りであるものの、当該仮定には不確実性が存在しております。そのため、資源価格高騰や人手不足による個別貸出先への影響等によっては、翌年度以降の連結財務諸表において当該貸倒引当金は増減する可能性があります。
当連結会計年度における資金運用収支は293億15百万円、役務取引等収支は68億12百万円、その他業務収支は6億68百万円となっております。
部門別にみますと、国内部門の資金運用収支は288億34百万円、国際部門の資金運用収支は10億32百万円となっております。
(注) 1 国内業務部門は当行の円建取引及び子会社取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
2 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用、前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円を控除して表示しております。
3 資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
4 相殺消去額欄は、連結会社間の内部取引消去額を計上しております。
当連結会計年度における資金運用勘定の平均残高は2兆8,490億19百万円、そのうち貸出金が1兆8,975億59百万円、有価証券が7,561億17百万円となっております。資金運用利回りは1.10%、そのうち貸出金が1.46%、有価証券が0.40%となっております。
一方、資金調達勘定の平均残高は2兆8,361億66百万円、そのうち預金が2兆7,879億40百万円となっております。資金調達利回りは0.07%、そのうち預金が0.06%となっております。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、当行以外の子会社については、当連結会計年度末と前連結会計年度末の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 ( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、当行以外の子会社については、当連結会計年度末と前連結会計年度末の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 ( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
(注) 1 相殺消去額欄は、連結会社間の内部取引消去額を計上しております。
2 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高、前連結会計年度11,248百万円、当連結会計年度9,170百万 円を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高、前連結会計年度3,911百万円、当連結会計年度920百万円及び利息、前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円を、それぞれ控除して表示しております。
(注) 1 国内業務部門は当行の円建取引及び子会社取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。
2 相殺消去額欄は、連結会社間の内部取引消去額を計上しております。
(注) 1 国内業務部門は当行の円建取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3 定期性預金=定期預金
4 相殺消去額欄は、連結会社間の内部取引消去額を計上しております。
(注) 1 国内とは当行及び国内子会社であります。
2 海外及び特別国際金融取引勘定分については、該当ありません。
該当ありません。
(注) 1 国内業務部門は円建有価証券、国際業務部門は外貨建有価証券であります。ただし、円建外国債券は国際業務部門に含めております。
2 外貨建有価証券及び円建外国債券は、「その他の証券」に計上しております。
3 「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引消去額を計上しております。
連結会社のうち「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、当行のみです。
なお、前連結会計年度末及び当連結会計年度末においては、信託の受託残高はありません。
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
(単位:億円、%)
(単位:億円、%)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
該当ありません。
該当ありません。