(1) 会社の経営の基本方針
当グループは、目指す企業グループ像を明確にするため、次のとおり存在意義(パーパス)、経営理念(ミッション)、目指す姿(ビジョン)、行動規範(バリュー)を定めております。
信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる
①高度な専門性と総合力を駆使して、お客さまにとってトータルなソリューションを迅速に提供してまいります。
②信託の受託者精神に立脚した高い自己規律に基づく健全な経営を実践し、社会からの揺るぎない信頼を確立
してまいります。
③信託銀行グループならではの多彩な機能を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出し、株主の期待
に応えてまいります。
④個々人の多様性と創造性が、組織の付加価値として存分に活かされ、働くことに夢と誇りとやりがいを持てる
職場を提供してまいります。
「The Trust Bank」の実現を目指して
当グループは、信託の受託者精神に立脚し、高度な専門性と総合力を駆使して、銀行事業、資産運用・管理事業、
不動産事業を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出する、本邦最大かつ最高のステイタスを誇る
信託銀行グループとして、グローバルに飛躍してまいります。
当グループの役員・社員は、グループ経営理念を実践するため、以下の6つの行動規範を遵守してまいります。
お客さま本位の徹底 -信義誠実-
私たちは、最善至高の信義誠実と信用を重んじ確実を旨とする精神をもって、お客さまの安心と満足のために
行動してまいります。
社会への貢献 -奉仕開拓-
私たちは、奉仕と創意工夫による開拓の精神をもって、社会に貢献してまいります。
組織能力の発揮 -信頼創造-
私たちは、信託への熱意を共有する多様な人材の切磋琢磨と弛まぬ自己変革で、相互信頼と創造性にあふれる
組織の力を発揮してまいります。
個の確立 -自助自律-
私たちは、自助自律の精神と高い当事者意識をもって、責務を全うしてまいります。
法令等の厳格な遵守
私たちは、あらゆる法令やルールを厳格に遵守し、社会規範にもとることのない企業活動を推進してまいります。
反社会的勢力への毅然とした対応
私たちは、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力に対して、毅然とした姿勢を貫いてまいります。
(2) 金融経済環境
当連結会計年度の金融経済環境を見ますと、国内外ともに新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進展し経済活動の再開が進みましたが、繰り返される感染拡大が依然として経済活動の重石となりました。国内の生産・輸出は、夏場以降、半導体などの部品供給不足等の影響で下振れしました。また、ウクライナ危機の影響で先行きの不確実性が高まったほか、コモディティ価格が高騰しインフレ懸念に拍車をかけました。
金融市場では、米国のインフレ進行や利上げ時期などに注目が集まりました。日経平均株価は、長引く行動制限の影響などから上値の重い展開が続き、ウクライナ危機を受けて一時25,000円前後まで下落しました。10年国債利回りは、概ね0%近辺のプラス圏で推移していましたが、2022年に入ると米金利の上昇に連動して0.2%超まで上昇しました。ドル円レートは、日米金利差の拡大を背景に円安傾向が強まり、3月末には120円を超える水準となりました。
(3) 事業の経過
当グループは、2020年度からスタートさせた中期経営計画の3年間を、継続的・安定的な成長に向けた基盤を確かなものとする期間と位置付けています。
過去より進めてきたビジネスモデル変革をもう一段進めるとともに、我々の存在意義(パーパス)を胸に、個人、法人、投資家のお客さまそれぞれに生じる社会課題に真正面から取り組み、当グループの持続的・安定的な成長に向けて取り組んでいきます。


2021年度は、金融経済環境の不確実性に加え、気候変動問題など社会課題に対する関心が高まりを見せる中、当グループは、変化を捉え、「社会的価値創出と経済的価値創出の両立による持続的・安定的な成長」を果たすべく、以下の取り組みを進めました。
(3つの重点テーマ)
1.お客さまの期待を上回る業務品質の高度化
2.グループのサステナビリティの盤石化
3.成長実現の確度を高める経営インフラの高度化
1.お客さまの期待を上回る業務品質の高度化
お客さまに提供する商品・サービスの品質こそが、お客さまから信任をいただき、当グループの競争優位につながる基盤であるとの考えのもと、商品・サービスの提供状況を定期的に評価し、お客さまのニーズへの対応力・サービス品質を高める取り組みを進めました。
個人のお客さまには、三井住友信託銀行において、人生100年時代を見据えて既存商品を改良し、認知症などの将来不安に備えつつ長期の資産運用を実現する「人生100年パスポートプラス」の取り扱いを開始しました。
お客さまのライフスタイルの多様化に伴う不動産関連のニーズの変化に対しては、グループ各社にて、お客さまの利便性を向上させる様々なサービスを開始しました。三井住友信託銀行において、住宅ローンご契約者さまの万一の場合に、ご自宅の相続を円滑にサポートする「ハウジングウィル」の取り扱いを開始するとともに、三井住友トラスト・ライフパートナーズ株式会社が取り扱う火災保険を、全店舗でご相談・お手続きいただける体制を整えました。また、三井住友トラスト不動産株式会社において、お客さまの住み替えニーズを的確にお伺いし、住宅仲介の取り扱い件数を着実に伸ばしました。
住信SBIネット銀行株式会社においては、テクノロジーを活用した利便性とセキュリティ強化による安全性を追求した高品質なサービスが高く評価され、預金口座数が前年度比約2割増となり500万件を突破するとともに、公益社団法人企業情報化協会のカスタマーサポート表彰制度において「優秀賞」を2年連続で受賞しました。
三井住友トラストクラブ株式会社においては、お客さまのプライベートを豊かにする会員サービスの向上に加え、「ビジネスカード」の刷新や、新商品「プレミアムビジネスカード」を発行し、お客さまのビジネス活動をサポートする取り組みを強化しました。
法人のお客さまには、企業経営において、SDGsやESGへの取り組みが益々重要となる中、グループ各社が連携し、ガバナンス体制の整備や人的資本の充実など、お客さまのサステナブル経営と企業価値の向上を支援するソリューションを拡充しました。
巨額の資金が必要とされるカーボンニュートラル社会の実現に向けては、三井住友信託銀行において、次世代エネルギーなどの優れた技術の社会実装を、自らが投資者となって後押しする「インパクト・エクイティ投資」の枠組みを整備しました。また、国内の再生可能エネルギーの開発についても、高い技術力を有する事業会社や三井住友トラスト・インベストメント株式会社と連携して、開発を加速させるための投資ファンドを設立しました。
三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社においては、資金使途を環境改善効果のある事業に限定するグリーンボンドを発行し、エネルギー効率化に資する施設や再生エネルギー設備の導入などに活用しました。三井住友トラスト・ローン&ファイナンス株式会社においては、グループ各社と連携し、独自の専門的審査ノウハウを強みに、質・量のバランスを重視した貸出運営に努めました。
企業年金・公的年金や金融法人など投資家のお客さまには、三井住友信託銀行において、株・債券以外の非伝統資産や実物資産、地域活性化に資するスタートアップ企業を投資対象とする投資ファンドなど、運用商品の開発・提供を進め、預かり残高を拡大させました。また、確定拠出年金業務では、ESG関連の商品ラインナップ拡充や動画を活用した投資教育に注力し、加入者数や預かり残高を順調に増加させ、業界トップのシェアを堅持しました。
資産運用業務においては、グループ一体での運用戦略の下、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社や日興アセットマネジメント株式会社において、ESG分野における投資ニーズの高まりを捉え、グループ全体で資産運用残高を拡大させました。具体的には、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社において、同社初の設定となる上場投資信託「SMT ETFカーボン・エフィシェント日本株」を東京証券取引所に上場しました。日興アセットマネジメント株式会社においては、先進国や新興国の脱炭素関連企業を投資対象とする複数の新たな公募投資信託を設定しました。
資産管理業務においては、株式会社日本カストディ銀行や三井住友信託銀行を中心に、ITやデジタル技術を活用した資産管理のインフラ強化や業務効率化を通じたコスト削減を進め、競争力の強化に取り組みました。
2.グループのサステナビリティの盤石化(経営資源のより有効な活用)
社会やお客さまが抱える中長期の課題に対し、継続的に貢献していくためには、当グループ自身がサステナブルな存在であることが不可欠との認識のもと、守り/攻めの強化領域に、重点的に資本・経費・人員等を投入するなど、経営資源のより有効な活用に向けた取り組みを意識的に進めました。
具体的には、守りの観点では、リスク管理・コンプライアンス体制の強化に向け、人員配置、システム投資を重点的に行いました。一方で、攻めの観点では、新たな成長分野への投資として、2021年8月、「UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント株式会社」の株式49%を取得しました。同社を通じて、UBSグループの資産運用・証券サービスと、当グループの相続・資産承継、不動産等の機能を組み合わせ、企業オーナーを中心とするお客さまへの提供価値を高める活動をスタートさせています。
また、政策保有株式については、当グループの資本効率の改善のみならず、日本の資本市場の健全な発展に寄与することを目的として、「従来型の安定株主としての政策保有株式」は原則すべて保有しない方針へ転換しました。方針発表を行った2021年5月以降、三井住友信託銀行において、法人のお客さまと丁寧な対話を重ね、2021年度における国内上場株式の売却額(取得原価ベース)は538億円となり、これまでを大幅に上回るスピードで削減が進展しました。
なお、グループ全体における資本の十分性確保に目処が立ちつつあることを踏まえ、資本効率性の改善を目的に、自己株式300億円を上限として取得のうえ、消却することを予定しております。
3.成長実現の確度を高める経営インフラの高度化
上記に加え、成長の実現確度をより高めるために、以下の取り組みを進めました。
(1)デジタル・トランスフォーメーション
従来の常識にとらわれない柔軟な発想でのデジタル・トランスフォーメーション(以下、「DX」といいます。)を推進するため、2021年4月、戦略子会社「Trust Base株式会社」を設立しました。専門人材の採用も活用しつつ、体制強化を進め、DX化を牽引する活動を拡大しています。ビジネス面では、家計・資産を一括管理するスマートフォンアプリ「スマートライフデザイナー」の開発や、データの集計・分析等に関する業務プロセスの自動化などを進め、新たなお客さま基盤の拡充と、当グループのコスト構造改革の両立に取り組みました。
(2)人材活躍の推進
当グループでは、多様で専門性の高い社員の一人ひとりが能力を最大限発揮できるよう社員のWell-beingの向上に取り組むとともに、ダイバーシティ&インクルージョンを一層加速するため、女性活躍推進、育児や介護と仕事の両立支援、人権・LGBTQなどに資するインフラの整備拡充に取り組みました。
その結果、Bloomberg社より、男女平等を推進する企業として「Bloomberg Gender-Equality Index」に2022年まで4年連続で選定されるとともに、三井住友信託銀行においては、NPO法人J-Winより、「2022 J-Win ダイバーシティ・アワード」の企業賞・ベーシック部門で準大賞を受賞しました。
さらに、2024年10月までに、マネジメント業務を担う女性比率を30%以上とする行動計画を新たに策定し、能力本位での管理職登用を推進しています。
また、専門人材の融合や交流が新たな価値創造に不可欠なものと捉え、ESGや脱炭素、デジタル等の注力領域では、専門知識を有するエキスパート人材の確保に注力し、多様な人材ポートフォリオの構築を進めました。
(3)サステナビリティ経営
当グループは、社会的価値創出と経済的価値創出の両立を掲げ、社会課題の解決と当グループの経営戦略を統合的に捉えた価値創造に取り組んでおります。
その中でも、全世界で加速する気候変動問題に対して脱炭素社会の構築へ貢献するために、当グループ自身の事業活動と、投融資ポートフォリオ全体から排出される温室効果ガスの、ネットゼロを掲げた「カーボンニュートラル宣言」を公表しました。
具体的な取り組みとしては、サステナブルファイナンス商品や各種コンサルティングの提供に加え、先進技術の社会実装を金融的側面から支援するため、理系博士号を保有する専門家のチームを組成し、水素バリューチェーンの実証事業や、ESG地域金融の枠組み構築などの取り組みを開始しております。
また、責任銀行原則(PRB)の署名機関として、自らがインパクトの創造に主体的に関与することを宣言し、ポジティブ・インパクト・ファイナンス、株式投資、実物資産、ベンチャーキャピタルなど、手法を多様化させつつ、当グループのインパクトファイナンスを拡大させています。
こうした取り組みが評価され、環境省の「第3回ESGファイナンス・アワード・ジャパン」における間接金融部門にて、三井住友信託銀行が銀賞(環境大臣賞)を受賞しました。
(4) 中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題
少子高齢化や格差の拡大、自然災害の激甚化など、様々な社会構造や自然環境の変化が、社会や個人、企業経営との関連性を強め、解決すべき重要テーマとなりつつあります。そして、これら社会課題を解決しようとする動きは、社会インフラや産業構造を根底から大きく変える一大潮流になるものと認識しております。
当グループは、このような時代の転換期において、信託の力を最大限に発揮し、「企業価値の向上による果実を家計にもたらす資金・資産・資本の好循環」を促し、リードしていくことで、将来世代に豊かな社会を承継し、当グループ自身も持続的な成長を遂げることを目指してまいります。
中期経営計画の最終年度となる2022年度は、付加価値の高い商品・サービスの提供と、新たな価値を創造するための投資などを通じ、様々なステークホルダーによる資金の好循環を、当グループ自らが促進・先導していく姿を目指し、以下の3つの重点テーマに取り組んでまいります。
イ.好循環を加速する事業ポートフォリオ強化
社会の変化によって生じるお客さまの新たな課題に対して、最適なソリューションを提供し、また経済主体間の好循環を加速するため、三井住友信託銀行において、個人・法人・投資家のお客さまを軸とした事業体制に再編しました。多彩な信託機能と銀行機能を組み合わせることで、個人のお客さまに対しては、「人生100年時代」の安心・安全と投資運用コンサルティングの提供で投資を促し、法人のお客さまに対しては「ESG/サステナブル経営」の観点で企業価値向上や脱炭素化に向けた事業のトランジション(移行)をサポートし、投資家のお客さまに対しては、当グループ内外の「ネットワーク」を活用した投資機会を提供することで、主体的・能動的に資金の好循環を促してまいります。
併せて、資金循環の要諦となる資産運用ビジネスにおいては、ESG関連の商品開発やオペレーションの共通化など、グループ各社間の連携・協働の実効性を高める枠組みを強化し、グループシナジーをこれまで以上に発揮してまいります。
ロ.持続的成長に向けた戦略投資の推進
社会やお客さまが抱える中長期の課題解決に貢献することと、当グループ自身の持続的な成長を両立して実現するため、資本・経費・人員等に関して戦略的な投資を行い、新たな成長機会や市場を創造する取り組みを進めてまいります。
具体的には、カーボンニュートラルなどの社会課題で、解決には巨額な資金が必要となる領域に対し、自己勘定からの投資を呼び水として、投資家のお客さまの資金を呼び込む取り組みを進めるほか、社会やお客さまの課題を解決しうる企業群のネットワークづくりに資する投資を推進します。同時に、新たな価値を創出するデジタル・トランスフォーメーションや、未来に適合したビジネスを創造できる人材への投資も推進します。
その一方で、政策保有株式については、「従来型の安定株主としての政策保有株式」は原則すべて保有しない方針を維持し、法人のお客さまの理解を得ながら削減することにより、資本効率の高い収益構造への転換を進めてまいります。
ハ.お客さまの信任に応える業務品質の向上・高度化の取り組み
サステナブルな社会実現に向けて企業の役割が拡大する中、創業来、受託者精神に立脚し、社会やお客さまの利益となる価値提供を本業としてきた信託銀行グループへの期待は高まっていると認識しております。当グループでは、その信任に応え続けていくため、業務品質の高度化に向けた取り組みを継続して進めてまいります。
具体的には、各ステークホルダーへの価値提供を、当グループのバリューチェーン全体で捉え、商品やサービスの連関を高め、パッケージ化してご提供することで相乗効果を生み出していく取り組みや、品質の高度化に向けた取り組み等について、お客さまからの評価を真摯に受け止めつつ、グループ一体で進めてまいります。
なお、当グループは、付加価値の高い商品・サービスの提供と、新たな価値を創造するための投資等を通じ、様々なステークホルダーによる資金・資産・資本の好循環を促進・先導していくことを目的として、2022年4月1日付で三井住友信託銀行株式会社の改組を実施し、報告セグメントを変更しております。
変更後の報告セグメントにおける目指すべきビジネスモデルは、以下のとおりであります。
イ.個人事業
人生100年時代を迎え、お客さまの「長く充実した人生を過ごすこと」への関心がますます高まるとともに、将来に向けた資産形成・運用や高齢期における資産管理、相続・資産承継に関する悩み・不安が、各世代における社会課題として顕在化してきています。
個人事業では、信託銀行グループならではの高度な専門性と多彩な商品・サービスを駆使しながら、個人のお客さまの世代やライフイベントなどに応じて変化する資産・負債の特性を踏まえたトータル・コンサルティングを通じてお一人お一人に寄り添った最適なソリューションをご提供することで、お客さまの「ベストパートナー」となり、長期間にわたる信頼と安心を培っていくことを目指しています。
ロ.法人事業
革新的なIT技術・産業素材・工業技術の登場とライフサイクルの短期化、デジタル化の急速な進展、ステークホルダーとの対話の重要性拡大、脱炭素化・SDGs実現に向けた対応の加速など、企業を取り巻く環境は従来以上のスピードで変化するとともに、ますます複雑さを増しています。
創業来培ってきた「信託銀行ならではの多彩さ・専門性を強化」し、これらを複雑・高度に融合させ、お客さまと社会の顕在化した課題はもとより、潜在的な課題の解決にも貢献する「トータルソリューションモデルを進化」させることを通じて、お客さまと社会から「ベストパートナー」に指名される金融機関を目指しています。
ハ.投資家事業
投資家事業においては、ESG投資など社会課題解決に繋がる運用商品の開発や社会的価値の創出に注力することに加え、資産管理事業においては、IT・デジタル技術の活用による資産管理・データサービスの強化など資金等の好循環を創出する各種サービスの高度化に取り組みます。また、地産地消型のエネルギー循環など地域経済エコシステム構築への貢献やライフプランマネジメントを通じたFinancial Well-beingサポートなど、多様な投資家のお客さまの経営課題に寄り添いながら社会課題解決に貢献していきます。
ニ.不動産事業
法人向け不動産仲介・コンサルティングは、国内外の金融機関・不動産会社等とのネットワークも生かして、不動産に関する多彩な機能をご提供し、企業価値向上と経営課題の解決を目指します。個人向け不動産仲介は、お客さまのライフステージに即した不動産情報のご提供を拡充し、お客さまの資産価値最大化を追求します。
本邦No.1の規模である不動産証券化信託や不動産投資法人関連業務は、不動産投資市場の拡大を支えるインフラとして、堅確な業務継続を実現し社会的使命を果たします。これらの業務を通じ、お客さまの不動産のベストパートナーを目指します。
ホ.マーケット事業
先進国の金融政策、新興国の景気動向に加えて、世界的な政治情勢、地政学リスク、パンデミック発生など市場を取り巻く不確実性は高まっています。お客さまの保有資産やバランスシートにも市場リスクが存在しており、マーケットボラティリティ(市場変動)を適切にマネージするソリューションをご提供することでお客さまの資産価値を守っていきます。
マーケティング業務・マーケットメイク業務の知見に加えて、投資業務や財務マネージ業務における長年の経験に裏打ちされた市場リスクコントロールの技術も活用するなど、専門家集団によるボラティリティマネージのあらゆるノウハウを活用し、お客さまに最適なソリューションをご提供していきます。
ヘ.運用ビジネス
今後も長期的にグローバルな資産運用ビジネスの成長が見込まれる一方、地政学リスク、新型コロナウイルス感染症などのパンデミックリスクに加え、競争激化や規制強化による運用手数料低下圧力が一層強まっており、短中期的なビジネス環境は不透明さを増しています。こうした環境を機会と捉え、グローバルベースの先駆的なESG活動を含めた海外ビジネスの拡大に加え、海外の運用会社への提携戦略(出資などを含む)を通じ、グループとしてグローバル展開を加速します。
また、グループ内に特長が異なる運用会社を複数持つ強みを生かして、パッシブからアクティブ、オルタナティブまでフルラインをカバーし、国内外の機関投資家から個人投資家まで幅広いお客さまの多様化する投資ニーズにお応えしていきます。
(5) 目標とする経営指標
当グループは、2020年度からスタートさせた中期経営計画の3年間を、持続的・安定的な成長に向けた基盤を確かなものとする期間と位置づけ、最終年度である2022年度及び中長期の財務目標(KPI)として以下を定めております。
※バーゼルⅢ最終化(試算値)ベース
(注)1.実質業務純益:経常利益から与信関係費用や株式等関係損益などの臨時的な要因の影響を控除したもので、実質的な銀行(及びグループ)の本業の収益を表す指標。
2.経費率(OHR):実質業務粗利益(実質業務純益に総経費を足し戻した計数)に対する総経費の比率。利益を稼ぐ効率性を示す指標であり、この比率が低いほど、経費を効率的に使って粗利益を稼いでいることを示します。
3.普通株式等Tier1比率:資本金、資本剰余金及び利益剰余金など、自己資本の中でも中核的な資本に対するリスクの割合を表すもの。資本の十分性を示す規制指標であり、この比率が高いほど、リスクに対する備えが厚いことを示します。
4.自己資本ROE:自己資本に対する当期純利益の比率。利益を稼ぐ効率性を示す指標であり、この比率が高いほど、自己資本を効率的に使って純利益を稼いでいることを示します。
5.手数料収益比率:実質業務粗利益に対する各種手数料収益(受託財産に係る信託報酬や不動産仲介手数料、投資信託の販売手数料等)の比率であり、当グループが注力する手数料ビジネスからの収益量を示す指標。
当グループでは、フォワードルッキングな視点で、1年以内に当グループの事業執行能力や業績目標に重大な影響をもたらす可能性があると考えているリスクをトップリスク、中長期的に重大な影響をもたらす可能性があると考えているリスクをエマージングリスクとして、経営者が定期的に選定のうえ、リスクの状況をモニタリング、コントロールしながら、対応策を講じ、取締役会等への報告を行っております。以下の記載における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当グループが判断したものです。
(2) その他のリスク
トップリスク及びエマージングリスク以外の主要なリスクには以下のものがあります。
イ.事業面に関するリスク
当グループは収益力強化の観点から様々な事業戦略を展開しておりますが、以下の要因により当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(ⅰ) 経済環境・市場環境・企業業績の悪化、同業他社との競争激化等の外部要因の変化等によって、事業戦略が奏功せず、当初想定した成果を生まない可能性があります。
(ⅱ) 当グループは、顧客サービスの向上、コスト競争力の強化等を目的として、他社との提携や合弁等を通じて、効率的なグループ経営を行うことにより、当グループとしての中長期的な収益力強化を図っておりますが、他社との提携や合弁等に伴うコスト、採用する事業・再編戦略や会計方針、事業環境の変化、その他の外部要因等により、期待通りのサービス提供や成果を確保できない可能性があります。また、このような提携や合弁等には、当グループと相手先との利益相反や意見対立、提携や合弁等の解消等様々なリスクがあります。
(ⅲ) 当グループの業務範囲の拡大、金融サービスや管理システムの高度化に伴って、当グループが従来経験のない、もしくは予想されなかったリスクあるいはより複雑なリスクに晒される可能性があります。
当グループは、企業価値の向上を目的として、企業買収、出資、資本提携、子会社の設立等を行っており、今後も同様の企業買収等を行う可能性があります。しかし、これら企業買収等は、法制度の変更、競争環境の変化等により、想定通りの効果が得られない可能性があります。また、企業の財務内容や契約関係等の事前調査を十分に行っておりますが、買収後に未認識の偶発債務が発生した場合や、当該子会社等の利益が、期待した水準を大幅に下回った場合には、子会社株式及びのれんについて、相当の減額を行う必要が生じる可能性があります。これらにより、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
当グループは、グループ会社間の連携により、顧客基盤の拡大やソリューション提供力の強化等による連結収益の拡大に取り組むとともに、経費削減等を通じた効率性の向上に努めております。当グループがグループ内の連携による収益効果を得られるかどうかについては、将来の事業環境の変化による不確実性を伴うものであり、子会社・関連会社の事業または経営の悪化により、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
④ 信託事業に関するリスク
当グループは、取引先に提供する信託商品のうち一部の合同運用指定金銭信託について、元本補てん契約を結んでおります。信託勘定には債権償却準備金を計上しておりますが、これを充当しても元本に損失が生じた場合には、その補てんのための支払を行う可能性があります。また、元本補てん契約のない信託商品についても、信託事業を遂行する上で、受託者としての責任において負担すべき債務・費用が発生する可能性があります。
また、資産運用業務において、運用成績が市場のベンチマークや他社の運用商品に劣る結果となった場合には、委託者が運用を委託している資金を引き揚げる可能性があり、当グループの業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑤ 規制・制度の変更に関するリスク
当グループは、事業活動を行う上で、様々な法律、規則、政策、実務慣行、会計制度及び税制の法令諸規制等の影響を受けております。これらの法令諸規制等は将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては、商品・サービスの提供が制限される、新たなリスク管理手法の導入その他の体制整備が必要となる等により、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
① 事務リスク
当グループは、内部規定及び事務処理体制の整備、事務処理状況の定期的な点検、本部の事務指導等によって、適正な事務の遂行に努めておりますが、役員・従業員・外部委託先要員が事務処理の過誤や不正等を起こした場合、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
② 外部委託に関するリスク
当グループは、様々な業務の外部委託を行っております。外部委託を行うにあたっては委託先の適格性や委託内容、形態を含め十分な検討を行っておりますが、委託先の選択が不適切であった場合、委託先において重大な事務過誤等が発生した場合等には、当グループにおいても間接的・直接的に悪影響を受ける可能性があり、これにより、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
③ システムに関するリスク
当グループは、様々な業務を遂行するため多様なシステムを活用しております。システムに関しては十分なリスク管理体制を構築しておりますが、コンピュータシステムのダウンや誤作動、システムの不備、さらにコンピュータの不正使用等により、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。
④ 新技術リスク
情報通信技術の変化の勢いは加速し続け、お客さまの行動に影響を与えており、当グループは、従来のビジネスモデルを再定義する場合がございます。クラウドコンピューティングやブロックチェーン、人工知能等の新技術は、大きな機会を提供するだけでなく、慎重に管理する必要がある新しいリスクを生み出しております。当グループは、これら新技術に関しては慎重に管理するようにしておりますが、誤作動や不備等により、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑤ 情報セキュリティリスク
当グループは、内部規定及び情報管理体制の整備や社内教育の徹底等によって、顧客情報や社内機密情報の漏洩への対策を講じておりますが、役員・従業員・外部委託先要員の不注意や不正行為等により顧客情報や社内機密情報が外部に漏洩した場合、当グループが行政処分や損害賠償等の請求を受ける可能性があり、これにより、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑥ 人材に関するリスク
当グループは、幅広い分野で高度な専門性を必要とする業務を行っており、有能な人材の確保・育成に努めておりますが、必要な人材を確保・育成することができない場合には、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑦ コンダクトに関するリスク
当グループ各社・役員または社員の行為が、職業倫理に反していること、またはステークホルダーの期待と信頼(※)に応えていないことにより、当グループ・顧客・市場・金融インフラ・社会及び職場環境に対し悪影響を与える可能性があります。
(※)合理的な期待水準を把握のうえ当グループとして設定する適切なサービスレベル
⑧ 人的リスク
人事運営上の不公平・不公正(報酬・手当・解雇等の問題)、人権問題(ハラスメントを含む)等が発生した場合、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑨ 災害等の発生に伴うリスク
当グループは国内外の営業拠点やシステムセンター等の業務施設において事業活動を行っており、これら施設等や、その他当グループが保有する有形資産(動産・不動産・設備・備品等)及び従事する役員及び従業員は、火災、爆発、停電、戦争、犯罪・テロ、資産管理の瑕疵、あるいは新型インフルエンザ等の感染症等による被害を受ける可能性があります。こうした事態が発生した場合、その被害の程度によっては、当グループの業務の全部または一部の継続が困難になる等、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑩ 風評リスク
当グループや金融業界一般に対して否定的な内容の報道がなされたり、インターネット等の情報媒体において、否定的な内容の風評・風説が流布することがあります。その内容が正確か否かにかかわらず、こうした報道・風評・風説により、金融業界一般または当グループのイメージや株価に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑪ 社会的リスク
当グループは、「三井住友トラスト・グループの社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」を掲げ、持続可能な社会の構築に積極的に貢献することが社会的な責任であると認識し、事業活動が社会に及ぼす影響に十分配慮しております。しかしながら、こうした取り組みが不十分で、お客さまとの取引または外部調達先からの資源調達を通じて、結果的に、お客さまや外部調達先が深刻な人権侵害や健康被害を引き起こしたり、あるいはそのような行為に加担することに関与してしまう可能性があります。
⑫ リスク管理の方針及び手続が有効に機能しないリスク
当グループは、リスク管理の方針及び手続の強化に努めております。しかしながら、新しい分野への業務進出や急速な業務展開、または外部環境の変化により、リスクを特定・管理するための方針及び手続が有効に機能しない可能性があります。また、当グループのリスク管理の方針及び手続の一部は、過去の経験・データに基づいて構築されたものもあること、将来のリスクの顕在化を正確に予測し対処することには限界があることもあり、有効に機能しない可能性があります。こうした当グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない場合には、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
① 信用リスク
(ⅰ) 不良債権の状況
国内外の景気動向、不動産・株式市場を含む金融経済環境の変化及び貸出先の経営状況等により、当グループの不良債権残高や与信関係費用が増加する可能性があります。
(ⅱ) 貸倒引当金
当グループは、貸出先の状況、差入れられた担保の価値及び経済全体に関する前提・見積りに基づいて貸倒引当金を計上しております。従って、実際の貸倒費用が貸倒引当金計上時点における見積りと乖離する可能性があります。また、経済情勢全般の悪化、貸出先の信用状況の変化、担保価値の下落その他予期せざる理由により、貸倒引当金の積み増しが必要となる可能性があります。
(ⅲ) 貸出先への金融支援
当グループは、貸出債権等の回収実効性を確保することを目的として、貸出先に債務不履行等が生じた場合においても、債権者として有する法的な権利を必ずしも行使せず、状況に応じて債権放棄や追加貸出等の金融支援を行うことがあります。このような場合には、不良債権残高や与信関係費用が増加する可能性があります。
(ⅳ) 他の金融機関の動向による影響
急速な貸出金回収や取組方針の変更等、他の金融機関の動向によっては、当該貸出先の経営状態が悪化する可能性や追加融資を求められる可能性があります。このような場合には、不良債権残高や与信関係費用が増加する可能性があります。
② 市場リスク
当グループは、バンキング業務またはトレーディング業務として、債券、株式、デリバティブ商品等の多種の金融商品に対し投資活動を行っております。これらの活動による損益は、金利、外国為替、債券及び株式市場の変動等のリスクに晒されており、その結果、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
③ 退職給付債務に関するリスク
当グループの年金資産の価値の下落や退職給付債務の計算の前提となる期待運用利回りの低下等の数理上の仮定に変化があった場合、当グループの未積立退職給付債務が変動する可能性があります。また、金利環境の変化等によって未積立退職給付債務や退職給付費用に悪影響が及ぶ可能性、年金制度の変更によって未認識の過去勤務費用が発生する可能性及び会計基準の変更によって財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
④ 繰延税金資産に関するリスク
繰延税金資産は将来の課税所得の見積額等に基づき計上されております。経営環境の変化等に伴う課税所得の見積額の変更等によって繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑤ 自己資本比率等に関するリスク
当グループには、銀行法に定める自己資本比率等に関する規制が適用されるため、自己資本比率やレバレッジ比率等の規制比率を所要水準以上に維持する必要があります。
当グループの自己資本比率やレバレッジ比率等が、要求される水準を満たすことができなかった場合には、その水準に応じて、金融庁から経営改善計画の提出や業務の全部または一部の停止を含む様々な命令を受けることとなり、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑥ 資金繰りリスク
当グループの財務状況や業績の悪化、当グループに対する悪い風評、経済環境の悪化、市場の流動性の低下等によって、当グループの資金調達コストが上昇したり、資金調達が制限される可能性があります。その結果、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑦ 格付低下のリスク
格付機関が格付を引き下げた場合には、当グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、もしくは取引そのものが制限される可能性があります。また、当グループのデリバティブ取引に関して追加担保を要求される、既存の顧客取引が解約される等の事態が発生する可能性もあります。このような場合には、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(3) リスクガバナンス体制
当グループは、グループ全体のリスクガバナンス体制として、各事業によるリスク管理(ファーストライン・ディフェンス)、リスク統括部およびリスク管理各部によるリスク管理(セカンドライン・ディフェンス)、内部監査部による監査(サードライン・ディフェンス)の三線防御体制(スリーラインズ・オブ・ディフェンス)を構築しております。

(4) リスク管理のプロセス
当グループでは、リスク統括部およびリスク管理各部がセカンドラインとして、以下の手順でリスク管理を行っております。また、このリスク管理プロセスについては、関連するシステムを含め、サードラインの内部監査部により定期的に監査されております。
① リスクの特定
当グループの業務範囲の網羅性も確保した上で、直面するリスクを網羅的に洗い出し、洗い出したリスクの規模・特性を踏まえ、管理対象とするリスクを特定しております。この中で、特に重要なリスクを「重要リスク」として管理しております。
② リスクの評価
管理対象として特定したリスクについて、事業の規模・特性およびリスクプロファイルに見合った適切なリスクの分析・評価・計測を行っております。「重要リスク」については、定期的に、「発生頻度」「影響度」および「重要度」を評価し、トップリスクやエマージングリスクなどに該当するかどうかの判断を行っております。
③ リスクのモニタリング
当グループの内部環境(リスクプロファイル、配分資本の使用状況など)や外部環境(経済、市場など)の状況に照らし、KRI等の指標を設定した上で、リスクの状況を適切な頻度で監視し、状況に応じ、グループ各事業に対して勧告・指導または助言を行っております。モニタリングした内容は、定期的にまたは必要に応じて取締役会、経営会議などへ報告・提言しております。
④ リスクのコントロールおよび削減
リスク量がリスク限度枠を超過したとき、もしくは超過が懸念されるなど、経営の健全性に重大な影響を及ぼす事象が生じた場合には、取締役会、経営会議などに対して適切に報告を行い、リスクの重要度に応じ、必要な対応策を講じております。
当連結会計年度における当グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、以下のとおりであります。
(経営成績の状況)
当連結会計年度の実質業務純益は、不動産仲介関連、投資運用コンサルティング関連及び運用ビジネスの手数料収益が堅調に推移したことに加え、国内外の預貸収支の改善や海外の市場性調達金利の低下等によって実質的な資金関連の損益(※)が増益となり、前年度比513億円増益の3,460億円となりました。
経常利益は、一部取引先の業況悪化に伴う貸倒引当金の計上や経済環境の変化が信用リスクに及ぼす影響に備えた特例引当金の再評価によって与信関係費用が増加した一方、株式関連派生商品損益や政策保有株式の削減に係る株式等関係損益の改善等により、前年度比465億円増益の2,297億円となりました。
その他、前年度に計上した退職給付に係る過去勤務費用の一時損益処理による特別利益の剥落等もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度比268億円増益の1,690億円となりました。
(※)資金関連利益に外国為替売買損益に含まれる外貨余資運用益を加算した損益
(資産負債等の状況)
当連結会計年度の連結総資産は、前年度末比1兆2,646億円増加し64兆6,332億円、連結純資産は、同227億円増加し2兆7,452億円となりました。
主な勘定残高といたしましては、現金預け金は、前年度末比2,653億円減少し18兆2,233億円、貸出金は、同3,695億円増加し30兆8,765億円、有価証券は、同8,957億円増加し7兆8,792億円、また、預金は、同2,375億円減少し33兆2,301億円となりました。当グループの連結貸借対照表は現金預け金、貸出金及び有価証券等の与信、預金等の受信ともに円貨が中心となっておりますが、全通貨ベースでの運用・調達の安定性のバランス確保はもちろん、外貨につきましても顧客性の預金やスワップ市場等を利用した円投取引、社債発行などにより調達構造の多様化・安定化を図る方針としております。当グループの資金調達(社債及び借用金)の状況につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑤連結附属明細表」に記載しております。
なお、当連結会計年度の信託財産額は、前年度末比8兆3,688億円増加し248兆2,154億円となりました。
(キャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは1,202億円の支出(前年度比6兆6,733億円の支出増加)、投資活動によるキャッシュ・フローは8,792億円の支出(同4,037億円の支出増加)、財務活動によるキャッシュ・フローは1,250億円の支出(同946億円の支出減少)となり、現金及び現金同等物の期末残高は15兆7,336億円となりました。
信託報酬は1,105億円、資金運用収支は2,677億円、役務取引等収支は3,114億円、特定取引収支は134億円、その他業務収支は451億円となりました。
うち、国内の信託報酬は1,105億円、資金運用収支は2,845億円、役務取引等収支は3,044億円、特定取引収支は163億円、その他業務収支は209億円となりました。
また、海外の資金運用収支は568億円、役務取引等収支は493億円、特定取引収支は△29億円、その他業務収支は243億円となりました。
(注)1.「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内に本店を有する連結子会社(以下、「国内連結子会社」という。)であります。
「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下、「海外連結子会社」という。)であります。
2.相殺消去額は、連結会社間の内部取引相殺消去額及び国内店・海外店間の本支店取引相殺消去額を表示しております。
3.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を控除しております。
資金運用勘定の平均残高は58兆686億円、利息は3,756億円、利回りは0.64%となりました。
資金調達勘定の平均残高は57兆9,106億円、利息は1,078億円、利回りは0.18%となりました。
うち、国内の資金運用勘定の平均残高は48兆5,245億円、利回りは0.76%となり、資金調達勘定の平均残高は46兆7,540億円、利回りは0.19%となりました。
また、海外の資金運用勘定の平均残高は13兆4,676億円、利回りは0.66%となり、資金調達勘定の平均残高は13兆5,941億円、利回りは0.24%となりました。
イ.国内
(注)1. 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の国内連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2. 「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内連結子会社であります。
3. 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度586,176百万円、当連結会計年度455,166百万円)を、資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度99百万円、当連結会計年度99百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)をそれぞれ控除しております。
ロ.海外
(注)1. 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、海外連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2. 「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外連結子会社であります。
3. 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度186,213百万円、当連結会計年度155,957百万円)を控除しております。
ハ.合計
(注)1. 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2. 相殺消去額は、「平均残高」については連結会社間の債権債務の相殺金額の平均残高を、「利息」については連結会社間の内部取引相殺消去額及び国内店・海外店間の本支店取引相殺消去額を表示しております。
3. 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度692,485百万円、当連結会計年度535,674百万円)を、資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度99百万円、当連結会計年度99百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)をそれぞれ控除しております。
役務取引等収益は4,446億円、役務取引等費用は1,331億円となりました。
うち、国内の役務取引等収益は4,757億円、役務取引等費用は1,712億円となりました。
また、海外の役務取引等収益は589億円、役務取引等費用は96億円となりました。
(注)1.「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2.相殺消去額は、連結会社間の内部取引相殺消去額及び国内店・海外店間の本支店取引相殺消去額を表示しております。
特定取引収益は134億円となりました。
うち、国内の特定取引収益は132億円、特定取引費用は△30億円となりました。
また、海外の特定取引収益は1億円、特定取引費用は30億円となりました。
(注)1.「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2.相殺消去額は、連結会社間の内部取引相殺消去額及び国内店・海外店間の本支店取引相殺消去額を表示しております。
3.特定取引収益及び費用は、国内・海外の合計で内訳科目ごとの収益と費用を相殺した純額を計上しております。
特定取引資産は9,675億円、特定取引負債は9,066億円となりました。
うち、国内の特定取引資産は9,843億円、特定取引負債は8,531億円となりました。
また、海外の特定取引資産は638億円、特定取引負債は535億円となりました。
(注)1.「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2.相殺消去額は、連結会社間の内部取引相殺消去額及び国内店・海外店間の本支店取引相殺消去額を表示しております。
3.デリバティブ取引に係る担保の有無による信用リスクを適切に表示するため、当連結会計年度よりデリバティブ取引の時価評価による金融資産と金融負債に係る表示方法を変更しております。この表示方法の変更を反映させるため、2020年度の連結財務諸表の組替えを行っており、変更による特定取引資産及び特定取引負債への影響は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(表示方法の変更)」に記載のとおりであります。
信託財産額は、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む連結子会社の信託財産額であります。なお、連結子会社のうち、該当する信託業務を営む会社は三井住友信託銀行株式会社であります。
(注)1.上記残高表には、金銭評価の困難な信託を除いております。
2.「信託受益権」に含まれる資産管理を目的として再信託を行っている金額
前連結会計年度末 179,783,587百万円
当連結会計年度末 181,438,894百万円
3.共同信託他社管理財産 前連結会計年度末 187,868百万円
当連結会計年度末 193,265百万円
金銭信託
(注)1.信託財産の運用のため再信託された信託を含みます。
2.リスク管理債権の状況
リスク管理債権について、「銀行法施行規則等の一部を改正する内閣府令」(令和2年1月24日内閣府令第3号)が2022年3月31日から施行されたことに伴い、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律の「リスク管理債権」の区分等を、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく開示債権の区分等に合わせて表示しております。
(参考)
資産の査定は、貸出金等の各勘定について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
○ 預金の種類別残高(末残)
(注)1.「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2.相殺消去額は、連結会社間の内部取引相殺消去額を表示しております。
3.預金の区分は次のとおりであります。
① 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
② 定期性預金=定期預金
○ 業種別貸出状況(末残・構成比)
(注)「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外連結子会社であります。
○ 外国政府等向け債権残高(国別)
該当ありません。
(注)「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げております。
○ 有価証券残高(末残)
(注)1. 「国内」とは、当社、三井住友信託銀行株式会社(海外店を除く。)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、三井住友信託銀行株式会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2. 相殺消去額は、連結会社間の資本連結等に伴う相殺消去額を表示しております。
3. 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(参考)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては先進的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク規制を導入しております。
また、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準(平成31年金融庁告示第12号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
(単位:億円、%)
(単位:%)
(注)詳細は、当社ウェブサイト(https://www.smth.jp/investors/report/basel)に記載しております。
(生産、受注及び販売の状況)
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行持株会社における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、2022年5月時点において判断したものであります。
① 当連結会計年度総括
実質業務純益は、対顧客手数料ビジネスの好調に加え、市況の押上げ効果による資金関連利益の増益もあり、前年度比513億円増加し、3,460億円となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、ヘッジ投信について期間損益へのリスク縮減に向けた削減を進めるとともに、特例引当金の再評価等により与信リスクへの備えも実施したうえで、前年度比268億円増加し、1,690億円となりました。
(主なKPI)
(実質業務純益及び親会社株主純利益の増減)

② 経営成績の分析
その他の利益(参考情報)
イ.実質業務純益
資金関連利益については、市況押上げ効果の他、国内外の預貸収支改善も寄与した結果、前年度比445億円増加し、3,048億円となりました。外貨余資運用益を加えた実質的な資金関連の損益は同307億円増加し、3,202億円となりました。
手数料関連利益については、不動産仲介、投資運用コンサルティングなど対顧客関連の好調に加え、市況の堅調な推移を追い風とした運用ビジネスの好調により、前年度比457億円増加し、4,369億円となりました。
一方、総経費は、連結子会社における粗利連動の経費増加を主因として、前年度比175億円増加し、4,620億円となりました。
上記に所要の調整を加えて計算した、いわゆる実勢ベースの利益を表す実質業務純益は前年度比513億円増加し、3,460億円となりました。
ロ.与信関係費用
「与信関係費用」は、一部取引先の債務者区分の悪化を踏まえた個別貸倒引当金の計上等により、前年度比337億円増加し、415億円の損失計上となりました。
ハ.株式等関係損益
「株式等関係損益」は、政策保有株式削減の着実な進展に伴い、政策保有株式売却益872億円を計上した一方で、ヘッジ投信について期間損益へのリスク縮減に向けた削減を進めたことによる実現損1,267億円の計上等により、383億円の損失計上となりました。
ニ.特別損益
「特別損益」は、前年度に計上した退職給付債務に係る一時損益処理による377億円の利益計上及びソフトウェア等の減損処理による193億円の損失計上の剝落等により、17億円の損失計上となりました。
③ セグメント別損益の内容
(注)1.法人事業は、法人トータルソリューション事業及び法人アセットマネジメント事業の合計であります。
2.「運用ビジネス」は、連結子会社である三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社(連結)、日興アセットマネジメント株式会社(連結)及び資産運用業務を行う持分法適用関連会社2社の合計であります。なお、前連結会計年度まで「運用ビジネス」を「受託事業」の内数として開示しておりましたが、当連結会計年度より、「運用ビジネス」を「受託事業」から切り出し、独立した報告セグメントとして開示しております。前連結会計年度のセグメント情報は、変更後のセグメントの区分方法に基づいております。
3.金額が損失又は減益の項目には△を付しております。
4.2022年4月1日より報告セグメントを変更しております。変更後の報告セグメント区分によった場合の当連結会計年度の報告セグメントごとの実質業務粗利益、総経費、実質業務純益の金額に関する情報は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載しております。
報告セグメントごとの実質業務純益の主な増減要因は次のとおりであります。
(個人トータルソリューション事業)
投資運用コンサルティング関連において、投信・保険販売回復により販売手数料が大幅に改善したことに加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた前年度に比して、住宅ローンの実行額が増加した結果、実質業務純益は三井住友信託銀行(単体)では前年度比149億円増加の137億円、連結では同166億円増益の322億円となりました。
(法人事業)
前年度好調であったシンジケートローン・起債関連手数料が減少した一方、資金関連利益における組合出資関連収益の利益押上げ寄与等により、実質業務純益は三井住友信託銀行(単体)では前年度比4億円増益の1,028億円、連結では同28億円増益の1,349億円となりました。
(証券代行事業)
上場受託社数及び株主数の増加により証券代行手数料収入が堅調に推移した結果、実質業務純益は三井住友信託銀行(単体)では197億円、連結では210億円といずれも概ね前年度並みとなりました。
(不動産事業)
個人向け仲介が好調を維持するとともに、法人向け仲介も獲得した案件の成約が着実に進捗した結果、実質業務純益は三井住友信託銀行(単体)では前年度比79億円増益の293億円、連結では同113億円増益の369億円となりました。
(受託事業)
新規受託の着実な積み上げや時価上昇による資産管理残高の増加により、実質業務純益は三井住友信託銀行(単体)では前年度比51億円増益の360億円、連結では同75億円増益の422億円となりました。
(運用ビジネス)
資金流入や時価上昇により資産運用残高は増加しました。収益増加等に伴い一部経費が増加したものの、実質業務純益は前年度比107億円増益の405億円となりました。
(マーケット事業)
投資業務における収益の減少を主因に、実質業務純益は前年度比178億円減益の365億円となりました。
④ 損益の内容(参考情報)
(注)1.業務粗利益=信託報酬+(資金運用収益-資金調達費用)+(役務取引等収益-役務取引等費用)+(特定取引収益-特定取引費用)+(その他業務収益-その他業務費用)
2.実質業務純益は実質業務粗利益から総経費を除いたものであります(実質業務粗利益及び総経費は持分法適用会社の損益等も考慮した社内管理ベースの計数)。なお、実質業務粗利益と業務粗利益の差額及び総経費と経費の差額は主に持分法適用会社の経常利益(臨時要因調整後)×持分割合等であります。
3.金額が損失又は減益の項目には△を付しております。
⑤ 財政状態の分析
イ.貸出金
銀行勘定の貸出金は、前年度末比3,695億円増加し、30兆8,765億円となりました。また、信託勘定(元本補てん契約のある信託)の貸出金は、同26億円減少し、133億円となり、銀行勘定との合計では同3,668億円増加し、30兆8,898億円となりました。なお、三井住友信託銀行株式会社(単体・国内店)の中小企業等貸出金残高は、同2,406億円増加し、17兆8,171億円となり、住宅ロ-ン残高は、同4,019億円増加し、10兆5,437億円となりました。
(三井住友信託銀行株式会社単体・国内店)
(注)1.銀行勘定・元本補てん契約のある信託勘定合計の計数。
2.特別国際取引勘定分を除いております。
リスク管理債権について、「銀行法施行規則等の一部を改正する内閣府令」(令和2年1月24日 内閣府令第3号)が2022年3月31日から施行されたことに伴い、銀行法の「リスク管理債権」の区分等を、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく開示債権の区分等に合わせて表示しております。
銀行勘定は、前年度末比835億円増加し、2,201億円となり、債権残高に対する比率は、同0.25%上昇し、0.67%となりました。債権区分別では、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が同56億円、三月以上延滞債権が同30億円の減少、危険債権が同718億円、貸出条件緩和債権が同202億円の増加となりました。
また、信託勘定(元本補てん契約のある信託)においては、前年度末比6億円増加し、7億円となり、債権残高に対する比率は、同4.73%上昇し、5.75%となりました。債権区分別では、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が同0億円の減少、貸出条件緩和債権が同0億円の減少、危険債権が同6億円の増加となりました。
○リスク管理債権の状況(部分直接償却実施後)
(参考)金融再生法開示債権の状況等(三井住友信託銀行株式会社単体)
金融再生法開示債権は、銀行勘定・信託勘定(元本補てん契約のある信託)合算で前年度末比860億円増加し、1,994億円となりました。また、開示債権比率(総与信に占める割合)は、同0.2%上昇し、0.6%となりました。
債権区分別では、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が前年度末比48億円の減少、危険債権が同733億円、要管理債権が同175億円の増加となりました。
銀行勘定の債務者区分毎の引当率につきましては、要管理先債権の非保全部分に対する引当率は10.4%、その他要注意先債権の債権額に対する引当率は6.1%となりました。
○ 金融再生法に基づく資産区分の状況(三井住友信託銀行株式会社単体・部分直接償却実施後)
(億円・四捨五入)
(注)( )内は前事業年度の計数であります。
(注)( )内は前事業年度の計数であります。
○ 債務者区分毎の引当額と引当率の状況(三井住友信託銀行株式会社単体・銀行勘定)
ロ.有価証券
有価証券は、国債の増加等により、前年度末比8,957億円増加し、7兆8,792億円となりました。
保有上場株式につきましては、「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」における保有規制の対象となる取得原価ベースでの金額は、前年度末比562億円減少し、5,489億円となりました。
(注)その他には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
○ 保有上場株式の残高
ハ.繰延税金資産
繰延税金資産・繰延税金負債の純額は、その他有価証券評価差額金の減少等により、前年度末比386億円増加し、284億円の繰延税金負債の計上となりました。
ニ.預金
預金は、前年度末比2,375億円減少し、33兆2,301億円となりました。
(注)預金は、譲渡性預金を除いております。
(三井住友信託銀行株式会社単体・国内店)
(注)1.「その他」は、公金、金融機関であります。
2.預金は、譲渡性預金及び特別国際金融取引勘定分を除いております。
ホ.純資産の部
純資産の部合計は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加等により、前年度末比227億円増加し、2兆7,452億円となりました。
(注)収益認識会計基準等及び時価算定会計基準等を当連結会計年度の期首から適用しております。収益認識会計基準等及び時価算定会計基準等の適用による利益剰余金への影響は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
⑦ 連結自己資本比率(国際統一基準)
当社は、信用リスクについては「先進的内部格付手法(注1)」、マーケット・リスクは「内部モデル方式」、オペレーショナル・リスクは「先進的計測手法(注2)」を採用しております。
当連結会計年度末の「普通株式等Tier1比率」は12.31%、「Tier1比率」は13.71%、「総自己資本比率」は15.61%と、いずれも規制上の所要水準の7.50%、9.00%並びに11.00%(注3)を上回っております。
(注1)重要性の低い小規模子会社等は、「標準的手法」を適用しております。
(注2)重要性の低い小規模子会社等は、「基礎的手法」を適用しております。
(注3)各比率の所要水準に資本保全バッファー、カウンター・シクリカル・バッファー及び国内の金融システム上重要な銀行に対する追加的な資本賦課を勘案・加算したものであります。
(注)連結自己資本比率については、銀行法第52条の25の規定に基づく平成18年金融庁告示第20号に定められた算式により算出しております。
⑧ キャッシュ・フローの状況
イ.キャッシュ・フローの状況
「(1)経営成績等の状況の概要(キャッシュ・フローの状況)」に記載しております。
ロ.経営方針・経営戦略の遂行にあたっての資本の十分性について
「社会的価値創出と経済的価値創出の両立」を経営の根幹に据え、持続的・安定的な成長を企図する当グループとしては、銀行の自己資本規制において最重視される「普通株式等Tier1比率」(バーゼルⅢ最終化ベース)を「安定的に10%以上」の水準で確保することを十分性の目線としております。
中期経営計画においては、利益創出による資本蓄積やバランスシートの効率運営、政策保有株式の削減等を通じて、同比率を9%台後半から10%台半ばへと引き上げることを財務目標としておりますが、2022年3月末時点においては、前年比0.5%上昇の9.9%程度となっております。これは、政策保有株式の削減やマーケット事業におけるリスクアセットコントロールを推進したこと等によるものです。引き続き、社会課題の解決や将来成長に資する投資等とのバランスに留意しつつ、十分性の確保をはかってまいります。
ハ.成長投資、手元資金、株主還元のバランス、並びに資本コストに関する経営者の考え方について
持続的・安定的な成長、それに伴う株主還元の着実な強化を図るべく、当グループ資本戦略においては、(ⅰ)事業戦略を通じた規制資本コスト対比の収益性向上、(ⅱ)資本の有効活用、(ⅲ)配当による株主還元の強化の三本柱によって、資本の十分性と効率性のベストバランスを実現することをゴールとしています。
中期経営計画においては、最終年度である2022年度に目指すベストバランスの水準として、「普通株式等Tier1比率10%台半ば(バーゼルⅢ最終化ベース)」「自己資本ROE7%程度」を設定しておりますが、それらの達成に向けて、(ⅰ)については手数料ビジネスの強化、資金ビジネスの収益性・効率性向上、コスト構造改革に加え政策保有株式削減などを推進していきます。(ⅱ)については、外部成長機会の追求や各事業の効率性改善を企図した戦略的投資に積極的に取り組んでいく方針です。(ⅲ)については、業績に応じた株主への利益還元策として、当グループの連結配当性向を2022年度を目処に40%程度に引き上げるとともに、自己株式取得につきましても資本の有効活用の観点から、柔軟かつ機動的に実施していく方針としています。
なお、2021年度において資本の十分性の確保に一定の目途がたったことから、今後はより一層、競争力強化・事業基盤の拡充などを通じた持続的成長・企業価値向上に向けて、株主・お客さま・従業員・社会などの各ステークホルダーに留意した資本活用を進めてまいります。
当社は、UBS証券株式会社から、同社がウェルス・マネジメント事業を会社分割して設立した、ウェルス・マネジメント特化の証券会社である「UBS SuMi TRUST ウェルス・マネジメント株式会社」(以下、「UBS SuMi TRUST ウェルス・マネジメント」という。)の株式(49%)を2021年8月7日に取得し、2021年8月10日より、UBS SuMi TRUST ウェルス・マネジメントは営業を開始しました。
今般のUBS SuMi TRUST ウェルス・マネジメントの営業開始により、当グループは、グローバルなウェルス・マネジメント事業におけるトップブランドで、かつ既に日本で実績のあるUBSグループの世界有数の資産運用・証券サービスと、国内信託銀行として最大クラスの三井住友信託銀行株式会社の有する相続・資産承継、不動産等の幅広い商品・サービスを有機的に組み合わせることで、お客さまの多様かつ複雑な課題やニーズに対して、「UBS SuMi TRUST」だからこそできる、商品提供に留まらない最適なソリューションを提供し、他に類を見ない「トータル・ウェルス・マネジメント」の実現に向け取り組んでまいります。
<UBS SuMi TRUST ウェルス・マネジメントの概要>
該当事項はありません。