第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営方針、経営戦略等
① 経営方針

当社グループは、以下の経営理念のもと、中長期的に目指す姿である「最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」というビジョンの実現を目指してまいります。

 

○お客さまに、より一層価値あるサービスを提供し、お客さまと共に発展する。
○事業の発展を通じて、株主価値の永続的な増大を図る。
○勤勉で意欲的な社員が、思う存分にその能力を発揮できる職場を作る。
○社会課題の解決を通じ、持続可能な社会の実現に貢献する。

 

② 経営環境

足許、世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢によるエネルギー価格の高騰等による下押し圧力を受けながらも、新型コロナウイルス感染症の影響が和らぎ経済活動の正常化が進む中、総じて緩やかな回復基調にあります。わが国におきましても、「With コロナ」の生活様式が浸透する中での個人消費の緩やかな増加、好調な企業収益等を背景とした積極的な設備投資の実施、訪日外国観光客の増加に伴うインバウンド需要の回復等を受け、景気の持ち直しが続いております。今後も、日本を含む世界経済は、緩やかな景気回復が続いていくと見込んでおります。

一方で、地政学リスクの顕在化や経済安全保障の確保・強化の動きといった社会・経済のグローバル化の反転に加え、欧米を中心としたインフレや金利上昇等、これまで長く続いてきた経済・金融環境に大きな変化が生じており、よりその不確実性が高まっております。

また、あらゆる分野においてデジタル化がますます加速し、デジタル完結型のサービスの拡大やIT・デジタル技術を活用したビジネス変革ニーズの高まり等、企業活動や個人の消費行動が大きく変容しております。金融業界においても、プラットフォーマーやFintech、異業種との協業や、互いの業界への参入が活発に実施され、競争が複雑化・激化しております。同時に、様々な規制の見直しも行われており、新たなビジネスへの挑戦余地も生じております。

更に、世界が直面する社会課題についても、気候変動に加えて、人権や貧困、少子高齢化等、課題が多様化・深刻化しており、企業として幅広い社会課題に主体的に取り組むことがより一層求められております。

 

 

③ 経営戦略

こうした当社グループを取り巻く大きな環境変化を踏まえ、当社グループは、2023年度から3年間を計画期間とする中期経営計画「Plan for Fulfilled Growth」を策定しました。本中期経営計画では、グループの総合力を発揮してこれまでの取組みを更に進化させ、前向きにかつ力強く、「質の伴った成長」の実現を目指すべく、次の3つの基本方針を定めております。

第一に、「社会的価値の創造」です。新たな経営の柱の一つとして社会的価値の創造を据え、社会課題の解決を主導していくことにより、経済の成長とともに社会課題が解決に向かい、そこに生きる人々が幸福を感じられる「幸せな成長」、すなわち、Fulfilled Growthに貢献してまいります。第二に、「経済的価値の追求」です。経営資源を大胆に配分し、スピード感をもって各種施策を進めることにより、資本効率の向上を伴った、飛躍的な収益力の強化を図り、経済的価値を追求いたします。第三に、「経営基盤の格段の強化」です。当社グループのあらゆる活動の礎であるお客さまをはじめとするステークホルダーからの信頼を得るべく、経営基盤の格段の強化を進めてまいります。

 


 

 

④ 経営指標

 本中期経営計画では、次の3項目を最終年度の2025年度の財務目標として掲げております。

 

<連結財務目標(2025年度)>

収益性

ROCET1※1

9.5%以上

ボトムライン向上とディシプリンを利かせた資本運営により極大化

効率性

ベース経費※2

2022年度実績比削減

経費額を適切にコントロールし、成長投資を実行

健全性

普通株式等Tier1比率※1

10%程度

規制最終化に対応した十分な資本水準を確保

 

※1 バーゼルⅢ最終化時ベース、その他有価証券評価差額金を除く

※2 営業経費から「収益連動経費」「先行投資に係る経費」等を除いたもの

 

(2) 対処すべき課題

当社グループは、本中期経営計画で掲げた3つの基本方針のもと、次の取組みを進めてまいります。

 

① 社会的価値の創造 : 「幸せな成長」への貢献

当社グループは、三井や住友が長きに亘り企業市民として脈々と受け継いできた、社会的価値の創造を目指す事業の精神を、グループの経営理念に反映しており、これまでもグループ各社が持つ様々な機能や商品・サービスを活用し、社会課題の解決に向けた活動に取り組んでまいりました。

しかし、近年、世界的な流れとして経済活動が優先され、社会的価値の創造が疎かにされてきたことで、環境問題や人権問題、貧困・格差等の社会課題が顕在化し、こうした喫緊の課題の解決に向けた取組みが企業経営の大きなテーマとなっております。足許では、社会的価値の創造が、企業にとっての競争の前提になっていることに加え、わが国では、少子高齢化が進み、低成長が続いていることから、日本の再成長に対する企業の貢献もますます重要になっております。

本中期経営計画のスタートにあわせ、「環境」「DE&I(※)・人権」「貧困・格差」「少子高齢化」「日本の再成長」の5点を、当社グループとして主体的に取り組むべき重点課題として定めました。これらの重点課題に対応して、グループを挙げてこれまでの活動を更に拡大させ、社会的価値を創造し、これを社会への還元に向けていくことで、社会全体や人々を持続的に豊かにし、「幸せな成長」に貢献していく方針です。また、今後、従業員一人ひとりが重点課題に主体的に取り組むことを通じて働きがいを感じられるよう、社会的価値の創造に向けた参画意識をより一層高めてまいります。

(※)Diversity(ダイバーシティ、多様性)、Equity(エクイティ、公正性)、Inclusion(インクルージョン、包括性)の3つを合わせた概念。個々の異なる状況や特性に応じて、企業が適切なサポートを行い、多様な人材がその能力を最大限発揮できる環境を整備すること。

 
② 経済的価値の追求 : Transformation & Growth

前中期経営計画に続き「Transformation & Growth」をキーワードに掲げ、これまでの成長投資や施策の成果を着実に実現させるとともに、大きな環境変化を踏まえた不断のビジネスモデル改革と、海外重点戦略領域におけるフランチャイズの確立に向けた取組みを進めてまいります。これにより、事業ポートフォリオを変革し、資本効率の向上を伴った力強い収益力の強化を目指してまいります。

基本的な考え方としては、次の3点です。

Ⅰ.金利上昇も見据えた国内ビジネス改革

国内ビジネスにおいて、今後の金利上昇の可能性も見据え、デジタル化や決済ビジネスの強化、営業体制の見直し等を通じて、より効果的に顧客基盤を拡充しつつ、安定的かつ効率的なビジネスモデルを再構築してまいります。

Ⅱ.アセット依存ビジネスからの脱却

お客さまに対して資金面のご支援、すなわち当社グループの資産を拡大させるビジネスのみによらず、お客さまのリスクに対する多様な解決策の提供や手数料ビジネスの強化を進めることで、資本効率の向上を図ってまいります。

Ⅲ.成長性を踏まえたグローバルポートフォリオの構築

海外ビジネスにおいて、ポートフォリオの入替えを進めることで資本効率を向上させながら、米国事業の拡大と、アジアにおける第2、第3のSMBCグループの確立を目指す「マルチフランチャイズ戦略」を中心に、グループを牽引する力強い成長を目指してまいります。

そのうえで、これらの基本的な考え方に基づき定めた、次の7つの「重点戦略領域」において、グループ間の更なる連携を通じた相乗効果の追求、時機を捉えた適切なリスクテイク、新たなチャレンジやイノベーションを重視して取組みを進めてまいります。

 


 

③ 経営基盤の格段の強化 : Quality builds Trust

前中期経営計画では、「Quality」をキーワードに掲げ、経営基盤の質の向上に取り組んでまいりました。本中期経営計画では、改めて「Quality builds Trust」をキーワードに掲げ、お客さまをはじめとするステークホルダーからの信頼を得るべく、経営基盤の格段の強化に取り組んでまいります。

まず、昨年、当社グループが受けた行政処分等を踏まえて、経営の大前提である、健全な組織文化の更なる浸透とコーポレートガバナンス・コンプライアンスの質の向上に、グループを挙げて取り組んでまいります。また、グループ役職員の規律意識醸成に向けた取組みや、IT投資や人材投入を通じた内部管理体制の強化を、グループ・グローバルベースで進めてまいります。

加えて、不透明な環境下で、環境の変化への機動的な対応力のある事業運営を実現するため、リスク分析力やリスクコントロール力の向上を図ってまいります。更に、ビジネスモデルの拡大や高度化を実現するための、多様で優秀な人材の確保・育成に向けた人的資本投資と人材マネジメントの強化、従来にない大規模かつ積極的なIT投資を通じたシステムインフラの増強に取り組み、経営基盤の質の向上を進めてまいります。

 

当社グループは、これらの取組みにおいて着実な成果をお示ししたいと考えております。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに対する考え方及び当社グループのマテリアリティ

当社グループは、「社会課題の解決を通じ、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを経営理念に掲げるとともに、サステナビリティ宣言において、サステナビリティを「現在の世代の誰もが経済的繁栄と幸福を享受できる社会を作り、将来の世代にその社会を受け渡すこと」と定め、その実現に向けて、時代の変化に対応しつつ、社会課題の解決に幅広く貢献してまいりました。

しかし、地球の温暖化、人権の侵害、貧困・格差の拡大等、世界が直面する社会課題は拡大・深刻化の一途を辿っております。わが国においても、「失われた30年」とも呼ばれる長期の低成長に陥り、少子高齢化・人口減少は一段と加速しております。社会とは、事業を営む上での礎であり、社会の発展なくして企業の持続的成長はあり得ません。

以上の認識の下、当社グループは、2023年度に開始した新中期経営計画「Plan for Fulfilled Growth」において、「社会的価値の創造」を基本方針の一つと定め、時代の変化を先取りし、短期的には経済的価値に直結しない領域にも積極的に取り組んでいくことといたしました。

そして、特に解決を目指すべき喫緊の社会課題として、「環境」「DE&I・人権」「貧困・格差」「少子高齢化」「日本の再成長」の5つを、当社グループの新たな「重点課題(マテリアリティ)」に定め、その解決に向けたゴールを設定し、事業戦略に落とし込みました。

当社グループは、社会的価値の創造を通じ、経済の成長とともに社会課題が解決に向かい、そこで生きる人々が幸福を感じられること、すなわち「幸せな成長」に貢献することを目指してまいります。

 

<当社グループの理念体系>


 

 

<新たな重点課題の考え方と「10のゴール」>


 

(2)ガバナンス

① サステナビリティ経営の全体像

当社グループにおけるサステナビリティ経営は、グループCEO(Chief Executive Officer)を含むグループCxOの責任で推進され、取締役会の監督を受け、強固なガバナンス体制の下で運営されております。サステナビリティを推進するために必要な諸施策に関しては、取締役会のほかサステナビリティ委員会を含む内部委員会が監督を行い、各委員会で審議が行われております。また、サステナビリティに関する具体的な業務戦略は、経営会議等での審議・決定を踏まえて実行されております。


<当社グループのサステナビリティ経営体制>


 

 

② 監督体制

イ.取締役会

当社グループの取締役会は、経営の基本方針等、法令上取締役会の専決事項として定められた事項の決定及び執行役・取締役の職務執行に対する監督を主な役割としております。また、取締役会の監督機能の強化及び業務執行の迅速化等を目的として、専決事項として定められている事項以外の業務執行の決定を、原則として執行役に委任しております。

取締役会は、サステナビリティに関する知見・経験を含む、多様性を備えた取締役で構成されております。取締役会ではサステナビリティ経営の最終的な監督が行われ、サステナビリティに関するリスク及び機会への対応の観点から審議が行われております。

 

ロ.サステナビリティ委員会

サステナビリティ委員会は、社外取締役2名、社内取締役2名、社内外の有識者2名の合計6名で構成されております。サステナビリティ委員会は、サステナビリティ推進施策の進捗に関する事項、サステナビリティを取り巻く国内外の情勢に関する事項、その他サステナビリティに関する重要な事項等について審議し、原則半期に一度、取締役会に報告・助言しております。

グループCSuO(Chief Sustainability Officer)が、サステナビリティを取り巻く国内外の情勢に関する事項と共に、当社グループにおけるサステナビリティ関連施策の進捗報告やサステナビリティ関連の取組方針付議を行い、取締役並びに外部有識者によって監督・審議が行われております。

 

③ 執行体制

イ.経営会議・サステナビリティ推進委員会

サステナビリティへの取組は、グループ経営会議・サステナビリティ推進委員会での決定を踏まえて当社グループの戦略に反映されております。また、当社グループは、グループ全体の業務執行及び経営管理に関する最高意思決定機関として、グループ経営会議を設置しております。グループ全体のサステナビリティ実現に向けた施策はグループ経営会議で協議されるほか、具体的な内容については、サステナビリティ推進委員会においても審議・決定がなされております。サステナビリティ推進委員会はグループCEOを委員長とし、トップのコミットメントのもとで執行の立場からサステナビリティを実現していくことを目的として設立しております。

 

ロ.グループCxO

グループCEOは、グループ経営会議等において、サステナビリティの実現に向けた施策の承認を行っております。これらの施策の強化を図るべく、グループCSuOを設置し、サステナビリティ全般の取組を統括・推進する等、グループCSuOは、サステナビリティに関する施策立案・進捗管理について責任を有しております。なお、取組を着実に実行するため、施策ごとにグループ内横断的なワーキンググループをグループCSuOの下に設置しております。

グループCRO(Chief Risk Officer)は、サステナビリティの観点を踏まえたリスク管理に係る責任を有しております。リスク管理体制の強化のため、グループCROの下、リスク管理部門内に環境社会リスク管理室を設置しております。また、グループCHRO(Chief Human Resource Officer)は、グループベースの人員・人件費計画や人事戦略の策定・管理に係る責任を有しております。
 

ハ.サステナビリティ本部

当社グループは、2022年度より、グループCSuOの下にサステナビリティ本部を設置しております。サステナビリティ本部は、サステナビリティに関する機能・知見をグループベースで集約し、リソースを増強しつつ環境・社会課題への対応力を強化することを目的としており、グループ全体戦略の統括や中期的目線での事業開発を行うサステナビリティ企画部と、サステナブルビジネス推進やお客さまとのエンゲージメント推進を行うサステナブルソリューション部で構成されております。サステナビリティに関する課題に対して、グループCSuOのもと、企画から推進まで一気通貫で対応しております。

 

(参考)ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)推進体制

当社グループは、DE&Iを「グループの成長戦略そのもの」と位置付け、社内外に発信しております。具体的には、グループ一体での推進に向け、ダイバーシティ推進室を設置し、取締役会・経営会議で定期的に議論を行っているほか、社長を委員長、主要グループ各社の頭取・社長を委員とするダイバーシティ推進委員会を開催する等、経営トップ自らがコミットし、推進体制を整備しております。また、管理職に対して、マネジメントの重要性や役割期待、アンコンシャス・バイアスやDE&Iの推進意義等を伝える研修を実施しております。

 
<DE&I推進体制>


 

④ 役員報酬制度

当社グループは、2020年度より中期業績連動報酬における定性項目の一つとして「ESGへの取組」を組み入れ、サステナビリティ関連の長期目標の達成度等を役員報酬に反映させたほか、2022年度には単年度業績連動報酬にもESG評価を拡大いたしました。具体的には、単年度のESGへの取組について、社内目標の単年度の達成度及び主要な外部評価機関の評価結果に応じて、社外取締役が過半数を占める報酬委員会で評価を決定し、最大±10%の範囲で単年度業績連動報酬に反映される形に変更いたしました。

また、2023年4月には、役員報酬制度の中期業績連動型報酬にポートフォリオGHG(温室効果ガス)排出量や従業員エンゲージメントスコアなどのESG定量指標や、環境、従業員、人権などに関する取組への定性評価を組み入れております。

 

<役員報酬制度の概要>


 

(3)戦略

① 気候変動への対応

気候変動への対応は、世界が喫緊に取り組むべき課題の一つです。気候変動問題の解決に向けた世界の取組が加速していくなか、当社グループを取り巻く環境は、政策・規制面の強化や、お客さま・投資家の方々を含むステークホルダーの行動変容、技術革新の進捗等によって大きな変化が見込まれております。このような不確実性を伴う環境下では、2050年GHG排出量ネットゼロ(以下、「ネットゼロ」という)の実現に向けたフォワードルッキングな戦略の下、外部動向を見極めながら段階的に気候変動対策を進めていくことが重要となります。

 

イ.気候変動に伴うリスク・機会の認識

a) 物理的リスク・移行リスク

当社グループでは、気候変動問題の顕在化に伴う外部環境や業務環境の変化をあらかじめ想定し、様々な波及経路に基づいてリスク事象を洗い出すことで、当社グループへの財務的影響を特定しております。当社グループが想定するリスク事象の概要と主な影響は以下のとおりであります。


(物理的リスク)

〇 急性的な気象現象と慢性的な気候変化

地球温暖化の進行は、台風・洪水等の急性的な自然災害の増加や、平均気温上昇に伴う降水量増加等の慢性的な気候変化をもたらす可能性があります。これらの事象に起因し、本支店被災により事業が継続できないリスク、対策・復旧によるコスト増加、自然災害によるお客さまの業績悪化や担保毀損に伴う当社グループの与信関係費用の増加・預金の減少等のリスクが想定されます。

 
(移行リスク)
〇 政策及び法規制の強化や技術・市場の変化

脱炭素社会への移行は、炭素排出目標の厳格化や炭素税の引き上げを始めとする各国の規制強化を伴う可能性があるほか、新たな技術・エネルギー源の導入や消費者嗜好の変化により産業構造の変化を促進する可能性があります。産業構造の変化により、一部のお客さまについて収益減少や既存資産などの減損による業績悪化、当社グループの与信関係費用の増加等のリスクが想定されます。

 
〇 企業の取組に対するレピュテーション

企業は脱炭素社会に適合したビジネスモデル変革や炭素排出量抑制等の取組を求められております。ステークホルダーからの開示要請も高まっており、気候変動問題への取組が企業評価基準の一つになりつつあります。これらの取組不足や情報開示要請への対応の遅れは、当社グループのレピュテーション悪化に繋がり、資金調達環境が悪化する等のリスクを引き起こすことが想定されます。
 

b) カテゴリー別リスク分類

当社グループは、気候変動リスクをカテゴリー別に整理しております。気候変動リスクは広範な波及経路が想定され、かつ様々な時間軸で顕在化する可能性があります。当社グループにおいては下表のような事例が想定されます。

 

 

<気候変動に関するカテゴリー別リスク事象例>


 

c) 気候変動に伴う機会に対する認識

ネットゼロ実現に向けては、大幅なGHG排出量削減のためのビジネスモデルの転換、そのための技術革新や大規模な設備投資が必須となります。IEA(International Energy Agency)の「持続可能な開発シナリオ」(SDSシナリオ/Sustainable Development Scenario)においては、2021年から2023年にかけて、エネルギー関連を中心に世界で年100兆円以上にもおよぶ追加投資が発生するとの可能性が示唆されております。

また日本においても、国が掲げる2030年目標の達成に向け、例えば電力セクターでは再生可能エネルギー発電関連で約30兆円、運輸セクターではゼロエミッション車関連で1兆円超の投資が必要になることが見込まれます。こうした中、金融機関においては、資金需要の拡大や事業再編、新たな金融商品・サービス、脱炭素関連設備リース等のニーズが生じるほか、気候関連情報開示の高度化対応や、気候変動戦略・ビジョンの策定、事業開発、リスクマネジメントの高度化への対応など、経営課題に対するコンサルティングニーズが生じると認識しております。

当社グループにおいても様々な金融サービスの提供機会が増大し、グループ内の事業領域におけるノウハウを有機的に結び付けた多面的なソリューションが重要になると考えております。
 

 

<当社グループ事業領域とネットゼロへの移行に伴う成長機会>


 

 

ロ.ネットゼロ実現に向けた移行計画

当社グループは、2021年に「気候変動対策ロードマップ」及び「気候変動対策アクションプラン」を定め、気候変動に対する強靭性の確保・成長機会の獲得に向けた取組を加速させております。「気候変動対策ロードマップ」では、特に前中期経営計画期間中に取り組んだ施策を「アクションプラン STEP1」と位置付けており、本施策はネットゼロを進めるための軸となる戦略的取組です。
  今般、「気候変動対策ロードマップ」を「移行計画」としてアップデートし、ネットゼロ実現に向けた当社グループの一連の目標と行動を体系化しました。なお、2023年度から開始した「アクションプラン STEP2」における施策は、移行計画に包含されております。移行計画の遂行により、移行リスクの低減と脱炭素化に伴う成長機会の拡大に努め、ネットゼロ実現を目指してまいります。


<ネットゼロ実現に向けた移行計画>


 

 

ハ.気候変動に関するシナリオ分析

当社グループでは、グループの中核企業である株式会社三井住友銀行において、物理的リスク・移行リスクに関するシナリオ分析を実施しており、想定されるリスク量を試算しております。なお、このシナリオ分析では、各企業において今後想定される事業モデルの転換や、技術革新といった要素は必ずしも勘案されておらず、試算結果は一定の仮定に基づくものであります。
 2021年度のTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)レポート公表以降、物理的リスクのうち国内の分析においては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次報告書で用いられているSSPシナリオによる分析を実施したほか、各地域別の想定リスク量を明確化いたしました。移行リスクにおいては、脱炭素化に向けた世界観で示されるような、気候変動関連の政策や、脱炭素化に向けた規制の厳格化の動向などに基づき、従来のエネルギー・電力に加えて自動車(OEM)・鉄鋼を分析対象に追加し、4セクターへと拡大いたしました。なお、分析手法の詳細や分析結果の実績値については、「SMBCグループ TCFDレポート 2022」をご参照ください。
 

ニ.脱炭素社会の実現に向けたビジネス推進戦略

前記「イ.気候変動に伴うリスク・機会の認識 c) 気候変動に伴う機会に対する認識」に記載のとおり、脱炭素社会の実現に向けては当社グループにとってさまざまなビジネス機会が想定されます。

こうした中、当社グループは、再生可能エネルギー向けのプロジェクトファイナンスをはじめ、グリーンボンドの引受、太陽光発電設備の信託やリース、TCFD対応コンサルティング等、グループを挙げて環境ビジネスに取り組んでまいります。また、グループ全体のサステナビリティに関するノウハウ、情報を集約し、他業種とも協業しながら、非金融を含めた高度なサービス開発・提供にも注力してまいります。

これらのソリューションをグループ各社が連携しながら提供することで、お客さまの環境に対する取組を総合的に支援し、経済的価値・社会的価値の両面を伴った環境ビジネスを展開してまいります。

 

a) サステナブルファイナンスの拡充

脱炭素社会の実現に向けては、大幅なGHG排出量削減を前提としたイノベーションや大規模な設備投資が必須となり、エネルギー関連を中心に多くの追加投資が見込まれ、資金需要の拡大や新たな金融商品・サービスの発生など、金融機関にとっての成長機会となり得ます。

こうした中、当社グループでは、2020年度から2029年度のサステナブルファイナンス実行額50兆円(うちグリーンファイナンス20兆円)を目標として設定しております。マーケットにおける高いプレゼンスなどを背景として、グリーンファイナンスを中心として順調に実績を積み重ねております。

当事業年度までの実績値は、後記「(5) 指標及び目標 ① 気候変動に関する指標と目標 ニ.サステナブルファイナンス取組額」に記載しております。

 

b)デジタル技術を駆使した脱炭素化支援ツールの提供

当社グループは、デジタル技術を活用した非金融ソリューションをお客さまに提供することで、金融面以外の切り口からも脱炭素社会への移行を支援しております。
 例えば、株式会社三井住友銀行は、サプライチェーン全体のCO2排出量の算定から削減施策の立案・実行まで一連の業務をクラウド上で管理できるサービスである“Sustana”を提供しております。お客さまの活動に関するデータから排出量を推計し、削減施策の実行に向けた支援を行っております。

 

<GHG排出量算定・削減支援クラウドツール“Sustana”>


 

② 自然資本の保全・回復

自然資本とは、植物や動物、大気や水や土壌などの天然資源を意味しております。当社グループのお客さまの事業活動の多くは自然資本によって下支えされており、自然資本の喪失は、金融グループとしての幅広い事業活動に潜在的なリスクとなる可能性があります。一方で、自然資本の適切な保全・回復は、社会の基盤を強固にすることで、人間の生活を豊かにし、健康を促進することにつながります。

このような認識のもと、当社グループではお客さまの企業活動と自然資本との関係を依存・影響の観点から分析し、それを踏まえて自社の事業におけるリスクと機会を認識しております。

また、TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)における優先セクターの自然資本への依存度・影響度のヒートマップを作成し、とくに重視すべき自然資本・生態系サービスの特定に努めております。

 
<自然資本との「依存」と「影響」>


 

イ.自然資本に関するリスクの認識

当社グループは、企業活動と自然資本の接点を依存・影響の両面で整理したうえで、一般的にお客さまに想定されるリスクと機会を整理しております。

 

a) 依存の観点からのリスク

気候変動や、企業活動・社会活動における自然資本の利用方法の変化・過度な利用を通して、特定の自然資本が毀損する可能性があります。

 

(物理的リスク)

水や植物といった自然資本が枯渇し価値が劣化すると、それらが生み出す生態系サービスに依存して事業展開を行っているお客さまは、原材料調達コストの増加や自然災害の激甚化・頻発化などを通して、業績が悪化する可能性があります。

 
(移行リスク)

自然資本の劣化は、お客さまの生産プロセスの変化を促します。こうした環境変化は、お客さまに対し、新たな技術導入に伴う追加的なコストのほか、事業の中断をもたらす可能性があります。

 

b) 影響の観点からのリスク

自然資本に負の影響を与える企業にとって、法規制や政策面が不利になるような形で変更される可能性があります。また、サステナビリティ開示に係る国際的なガイドラインの策定が進む中、ステークホルダーからの自然関連情報の開示要請が今後より高まる可能性があります。

 

(物理的リスク)

お客さまの事業が自然資本に負の影響を与える結果として自然資本が毀損する場合、当社グループのレピュテーション悪化につながる可能性があります。

 
 (移行リスク)

自然資本保全を目的とする各国の規制強化や政策変更などに伴い、環境負荷軽減のための費用負担が企業に求められる場合、一部のお客さまにおいては対応コストが増加する可能性があります。また、自然資本保全に向けた取組や配慮が不十分である場合や対応が不十分とステークホルダーから見做される場合、当社グループのレピュテーション悪化につながる可能性があります。

 

<自然資本に関する主なカテゴリー別リスク事象例>


 

 

ロ.自然関連の機会に対する認識

 2022年に開催された生物多様性条約第15 回締約国会議(COP15)第二回会合では、「2030年までに生物多様性の損失を止め、反転させ、回復軌道に乗せること(ネイチャーポジティブの達成)、2050年に自然と共生する世界を実現する」という世界目標が定められました。本目標の達成に向けては、金融機関には、アライアンスやリスク高度化対応へのサポートなど、お客さまの様々なニーズに対するサービス提供の機会が発生いたします。

 当社グループは、世界経済フォーラムが2020年に発表した報告書において言及されている「食料・土地・海の利用」「インフラ・建築環境」「エネルギー・採掘活動」の3分野で特に大きなビジネス機会が生じうると考え、様々な取り組みを進めてまいります。

 
<ネイチャーポジティブビジネス推進に関する当社グループの取組事例>


 

③ 人的資本経営の実践

イ.「SMBCグループ人財ポリシー」の制定と浸透

経営やビジネスの環境変化に加え、ビジネスの担い手の世代交代や女性活躍推進、キャリア採用の拡大等により従業員の価値観は多様化してきました。これに伴い企業と従業員の関係も「互いに依存する関係」から「選び、選ばれる関係」へと変化しております。

長きにわたり「人の三井」「事業は人なり」と形容され「人」を重視してきた三井と住友の事業精神と文化を受け継ぎ、多様な従業員が集い、育ち、活躍する場であり続けるため、当社グループが「従業員に求めるもの」と「従業員に提供する価値」を「SMBCグループ人財ポリシー」として明文化しました。

従業員には、社会に大きな責任を持つグローバル金融グループの一員としての自覚と、自分と異なる価値観を積極的に受け容れるDE&Iの精神を前提に、「プロフェッショナルとして責任を果たすこと」「お互いを認め合いチームで最高の成果を追求すること」「困難に立ち向かい挑戦し続けること」を求めております。

一方、その実現に向けて取り組む従業員に対しては、「自分らしさを表現できる環境」「事業基盤を活かしたお客さま・社会へ貢献できる機会」「キャリア形成と成長のサポート」を提供し、自らの夢の実現を後押してまいります。

このポリシーを浸透させ実行に移すためにも、人事評価の基準・項目を「SMBCグループ人財ポリシー」に沿った内容にアップデートするとともに、昇進・昇格については、年次・年齢よりも実力を一層重視してまいります。
 

ロ.当社グループ版人的資本経営モデル

「SMBCグループ人財ポリシー」に基づき、グループ・グローバルでの人的資本経営による人材力の最大化に向けて、「戦略に応じた人材ポートフォリオの構築」と、全従業員を対象とした「従業員の成長とウェルビーイング支援」「チームのパフォーマンス最大化」に資する施策を推進してまいります。
 


 

 

a) 戦略を支える人材ポートフォリオの構築

〇 経営戦略を支える人材ポートフォリオ

当社グループは、経営戦略の実現に必要となる人材確保・戦略領域への人材シフトを実現するための枠組として人材ポートフォリオ管理を高度化いたします。

具体的には、ビジネスをよく知る事業部門と人材をよく知る人事部が連携し、必要となる経験・スキル等の人材要件を重点戦略領域ごとに明確化いたします。目指すべき人材ポートフォリオと所属する従業員の状況とのギャップを事業年度ごとに特定し、キャリア採用・新卒コース別採用を行います。また、経験・スキルを基に全従業員を人材タイプ毎に把握し、育成や機動的な人材の最適配置に取り組んでまいります。
 

〇 注力分野への先行投入

当社グループは、経営戦略の一つである「経営基盤の格段の強化」を確実なものとするために、特に「法務・コンプライアンス」「リスク管理」「IT」等の分野における人材の確保を進めてまいります。

また、「国内ビジネスモデル改革」を推進するための「DX」「アナリティクス」に精通した人材や海外事業展開を支える「グローバル」等のスキル・ノウハウを持ち合わせた人材確保に向け、国内では、具体的な人材要件をビジネスごとに特定し、キャリア採用や社内シフトにより3年間で計1,400人の投入を計画しております。
 

b) 従業員の成長とウェルビーイング支援

〇 グループの発展を支える人材の確保

当社グループでは、全従業員に対して、それぞれの持ち場で責任感を持ち、付加価値の高いサービスを提供できる「プロフェッショナル」であることを求めております。
 2022年度の新卒採用においては、2,000名を超える従業員が採用広報イベントに参加し、学生に対して業務や企業文化の理解を促しました。キャリア採用についても、グループ各社で増加を計画しており、リファラル採用・カムバック採用・ダイレクトリクルーティング等の採用手法の拡充を進めております。
 OJT、研修、自己啓発を通じた人材育成の体制整備に加え、従業員一人ひとりが自身のキャリア希望や目標を設定し、上司との面談におけるフィードバックや1on1の機会を通じて、自律的なキャリア形成に取り組んでまいります。
 

〇 働き方改革

当社グループは、従業員一人ひとりのライフスタイルや価値観が多様化する中、時間や場所にとらわれず柔軟に働くことができる環境を整備しております。従業員が自身のライフスタイルに合った働き方を選択できるようにすることで、勤務以外の活動も含めた従業員の自己実現をサポートいたします。

また、仕事と育児を両立しながら活躍できる職場環境の整備に向け、男性従業員に対して30日以上の育児休業の取得を推奨しております。


 

 

〇 従業員のウェルビーイング

当社グループにおいて「健康経営宣言」を制定し、最高健康責任者(Chief Health Officer)の下、企業・健康保険組合・健康サポートセンターの三位一体で、従業員が健康で活き活きと働くことができる環境を整備しております。

また、従業員が業務に専念できる環境整備の一環として、従業員の資産形成に対する取組(Financial Wellness)も行っております。国内においては、財形制度や持株会制度に加え、寮・社宅制度、団体保険制度、退職金制度、確定給付年金制度(DB)、確定拠出年金制度(企業型DC)を整備しております。また、宿泊施設、飲食店、スポーツ施設、資格取得、育児等、幅広いサービスを優待価格で利用可能な外部サービス等も導入しております。
 

c) チームのパフォーマンス最大化

〇 人材管理の強化

当社グループでは、経営上重要なポジションについて後継者候補を特定し、計画的に育成しております。たとえばグループの経営を担うポストに対しては、即時に継承可能な候補者の特定に加え、準備状況に応じて不足する経験を補う育成プランを作成しております。また、異なる事業や組織、風土に対する理解を深めることを目的に、候補者がグループ各社間で異動する「経営人材交流プログラム」も毎年20名規模で実施しております。

 

〇 DE&I推進

当社グループにとって、DE&I推進は、お客さまにより大きな価値を提供し、ステークホルダーとともに持続的に成長するための成長戦略そのものです。

2023年度は、「ダイバーシティ&インクルージョンステートメント」を変更し、従業員の状況に応じた公正な機会提供を重んじる「エクイティ(公正)」という概念を取り入れ、「多様な視点を持つ革新的な組織」を目指す点を明確化しております。
 

〇 従業員エンゲージメント

当社グループでは、従業員のエンゲージメントを可視化するツールとしてエンゲージメントサーベイを活用し、各組織において組織改善が行われているほか、毎月の1on1ミーティング等によって上司と部下の信頼関係の構築、双方の成長が促されております。

 

④ 人権の尊重

イ.人権尊重の考え方

当社グループは、人権尊重責任は企業が果たすべき責務と認識しております。当社グループでは、「『ビジネスと人権』に関する行動計画」や「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」などの指導原則に沿って、当社グループが人権の権利主体に対し与えうる負の影響と、多岐にわたるステークホルダーから当社グループ自身が被る影響の双方向の人権に関するリスクを踏まえたアプローチにより、当社グループは社会に対する「正の影響(ポジティブインパクト)」を極大化し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

<人権尊重の考え方>


 

ロ.重要な人権リスクの特定・評価

当社グループは、事業活動を通じて関与し得る人権への負の影響について、お客さまとの取引、サプライヤー取引、従業員の3つの観点で分析し、想定されるリスクについて深刻度・発生可能性の観点から重要度の高いものを特定しております。
 2022年度に特定した重要な人権リスクについては、今後も定期的な見直しを行いながら、これらの人権への負の影響の防止・軽減に重点的に取り組んでまいります。
 

<重要な人権リスク事例>


 

(4)リスク管理

① リスクアペタイト・フレームワーク/トップリスク

当社グループは、収益拡大のために取る、あるいは許容するリスクの種類と量(リスクアペタイト)を明確にし、グループ全体のリスクをコントロールする枠組みとして、「リスクアペタイト・フレームワーク」を導入しております。
 当社グループのリスクアペタイト・フレームワークは、業務戦略とともに経営管理の両輪と位置付けられており、経営陣がグループを取り巻く環境やリスク認識を共有した上で、適切なリスクテイクを行う経営管理の枠組みです。このフレームワークに則り、業務戦略・業務運営方針の策定にあたって、経営上特に重大なリスクを「トップリスク」として選定しております。そのうえで、リスクシナリオに基づくストレステストによるリスク分析を実施することで、リスクが顕在化した場合の影響も踏まえながら、リスクアペタイトを決定しております。

当社グループでは、気候変動や自然資本、人権に関するリスクをトップリスクとして位置付けております。特に、気候変動に係るリスクについては、業務計画を達成するためのリスクテイクやリスク管理に係る姿勢を示したリスクアペタイト・ステートメントにおいて、ネットゼロ目標の達成に向け、エンゲージメント促進やポートフォリオコントロール等を通じ気候変動リスクの増加を抑制していく旨を記載しております。
 

<リスクアペタイト・フレームワーク>


 

② デューデリジェンス

当社グループは、グループ与信業務の普遍的かつ基本的な理念・指針・規範等を明示した「グループクレジットポリシー」に、公共性・社会性の観点から問題となる与信を行わないという基本原則とともに、地球環境に著しく悪影響を与える懸念のある与信を行わないことを謳っております。

グループの与信業務の中核を担う株式会社三井住友銀行では、以下のとおり、お客さまの非財務情報の把握による与信への定性的な活用、また個別案件に対する環境社会リスク評価等を通じて、環境・社会リスクを適切に把握し、定期的なモニタリングによる管理を実施しております。

また、サプライヤーとの取引に関して、「持続可能な調達方針」(サプライヤー行動指針)を制定し、サプライヤーに対し、事業を行う各国において適用される法令諸規則の遵守はもとより、当社グループが考える適切な基準への理解と協力を求めております。
 

イ.非財務情報の把握

株式会社三井住友銀行では、お客さまとの対話を通して、財務情報に加え、ESGに代表される非財務情報を把握することにより、お客さまの事業活動による環境や社会への影響を認識しております。環境・社会リスクに影響を与える可能性が高いセクター・事業を対象として、温室効果ガスの排出量や気候変動リスクなどの環境社会リスクへの対応状況を把握し、与信における定性的な判断要素として活用しております。これらの非財務情報は、モニタリングを通して定期的に更新しております。
 この取組を、「エクエーター原則」に基づく環境社会リスク評価とともに実施することで、より高度かつ広範なデューデリジェンスを実施しております。

非財務情報の収集を通して、ESGリスクに関するお客さまとのエンゲージメントの質を深め、環境・社会への配慮に向けた取組を積極的に支援しつつ、懸念されるリスクについてはお客さまとともに改善に努めてまいります。

 

ロ.環境社会リスク評価

株式会社三井住友銀行では、環境・社会に多大な影響を与える可能性がある大規模プロジェクトへの融資においては、民間金融機関の環境・社会配慮基準である「エクエーター原則」を採択し、サステナビリティ企画部において、デューデリジェンスを通した環境社会リスク評価を実施しております。

また、プロジェクト事業者に対して、TCFD提言への対応や、地域住民等へのFPIC(Free, Prior and Informed Consent/自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意)の尊重など、気候変動や人権をはじめとする環境社会配慮への取組を求めてまいります。

 

ハ.人権デューデリジェンス

株式会社三井住友銀行では、融資などの事業活動を通じた人権侵害の助長や人権侵害への直接的な関与を防止・軽減する観点で、発生可能性の観点からリスクの高い事業活動について、定期的なモニタリングを実施しております。
 モニタリング対象先について、人権侵害に関する情報の有無を確認し、人権侵害を行っている事実、またそれにより制裁を受けていることが判明した場合、新規の取引を行いません。既に融資取引のあるお客さまも、人権侵害の影響の軽減を促し、改善が見られない場合、与信を減退していく慎重な方針をとっております。その他の先に対しても、日々の取引の中で人権侵害に関する情報を入手した場合、同様の対応を行っております。

また、当社グループでは、サプライチェーン上で労働問題など、様々な人権に関する負の影響が発生することを防止・軽減するため「持続可能な調達方針」への理解と協力を求めるほか、サプライヤーの人権も含めた取組状況を定期的に確認しております。当社グループは、「持続可能な調達方針」の策定に伴い、2022年11月、外部業者取引管理の枠組みにて、外部業者における従業員からの人権侵害等の各種相談を受け付ける社内相談窓口の設置状況の確認を導入しております。

加えて、外部業者に対して「持続可能な調達方針」を案内し、当社グループが考える適切な基準への理解と協力を求めております。その他にも、当社グループは、外部業者取引管理において、人権課題への取組をめぐる会社方針や人権侵害に関するネガティブ情報の有無を定期的に確認しており、サプライチェーン全体での人権配慮に取り組んでおります。
 

③ セクター方針

当社グループは、以下に示した、環境・社会に影響を与える可能性が高いセクター・事業に対する方針をそれぞれ明確化しております。この方針は、株式会社三井住友銀行、株式会社SMBC信託銀行、三井住友ファイナンス&リース株式会社、SMBC日興証券株式会社において、それぞれのビジネスに沿う形で導入し、更なるリスク管理体制の強化を図っております。


 

(5)指標及び目標

① 気候変動に関する指標と目標

当社グループは、気候変動に係るリスク並びに機会を測定・管理するため、またパリ協定への整合/ネットゼロ実現に向けた道筋を示すため、GHG排出量やエクスポージャーなどに関する様々な指標を用いております。なお、本項目における指標の実績値については、2023年5月時点の速報値を掲載しております。正式値については今後「SMBCグループ TCFDレポート2023」にて公表予定です。

 

イ.自社グループにおけるGHG排出量

当社グループは、自社GHG排出量(Scope1,2)における2030年ネットゼロの目標を掲げており、当社及び当社連結子会社の国内外拠点を対象に、GHGプロトコルに沿った精緻な排出量把握と削減に向けた取り組みを進めております。

 


 

ロ.ポートフォリオGHG排出量

当社グループでは、パリ協定への整合と移行リスクの削減に向け、現在は高排出セクターである電力、石油ガス、石炭セクターを対象に、ポートフォリオGHG排出量の中期削減目標を策定しております。これらの削減目標は2℃目標を十分に下回り、1.5℃目標と整合的である水準として、IEAのSDSシナリオ、NZEシナリオに基づき、レンジで策定しております。また、2024年10月までにNZBA(Net-Zero Banking Alliance)ガイドラインで推奨される9セクターにおけるGHG削減目標を設定することを目指し、現在は鉄鋼・自動車セクターにおける中間削減目標の設定を検討しております。

 


 

 

ハ.石炭火力発電/一般炭採掘向けエクスポージャー

当社グループは、石炭火力発電並びに一般炭採掘に対するフェーズアウト戦略を掲げており、2040年までにこれらに係る貸出金残高をゼロにする目標を掲げております。


 

ニ.サステナブルファイナンス取組額

当社グループは、環境配慮事業、社会関連事業、脱炭素社会への移行に関するファイナンスに積極的に取り組んでおります。2020年度から2029年度までの10年間での「グリーンファイナンス及びサステナビリティに資するファイナンス実行50兆円」という目標を設定し、お客さまとともに気候変動問題を始めとする社会課題解決に取り組んでまいります。

 


 

 

② 人的資本に関する指標と目標

当社グループは、前記「(3) 戦略 ③ 人的資本経営の実践」に記載している人的資本に関する取組について、目標達成に向けた進捗を管理するため、様々な指標を用いております。

 

イ.注力分野への人材投入に関する指標

当社グループは、経営基盤の強化を目的として、「法務・コンプライアンス」「リスク管理」「IT」「DX」「アナリティクス」「グローバル」人材の3か年投入計画をKPIとして掲げております。


 

ロ.注力分野への人材投入に関する指標

当社グループは、従業員一人ひとりが、心身ともに健康で、その能力を最大限発揮できる環境づくりを目指し、エンゲージメントサーベイスコア70以上を維持することをKPIとして掲げております。


 

 

3 【事業等のリスク】

当社及び当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項や、その他リスク要因に該当しない事項であっても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項について記載しております。また、これらのリスクは互いに独立するものではなく、ある事象の発生により他の様々なリスクが増大する可能性があることについてもご留意ください。なお、当社は、これらリスクの発生可能性を認識したうえで、発生を回避するための施策を講じるとともに、発生した場合には迅速かつ適切な対応に努める所存であります。
 本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
 

(1) 経営環境等に関するリスク

当社グループを取り巻く経営環境が大きく変動した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。具体的には以下のとおりであります。

 

① 近時の国内外の経済金融環境

当社グループは、国際金融市場の変動や国内外の景気の下振れ、資源価格の急激な変動等の国内外の金融経済環境の変動に対して、リスク管理体制の整備・高度化も含めた様々な対応策を講じております。しかしながら、当社グループの想定を上回る変動が生じた場合には、後記「(2) 当社グループの業務に内包されるリスク」に記載の信用リスク、市場リスク及び流動性リスク等が顕在化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② ロシア・ウクライナ情勢の深刻化・長期化に関するリスク

2022年2月に発生したロシアによるウクライナへの侵攻に対し、日本、米国、欧州などの世界各地で対ロシア制裁措置が講じられたこと、また、ロシアによる西側諸国への対抗措置が講じられたこと等で、ロシア・ウクライナ両国における市民生活や経済活動に甚大な影響が生じております。
 当社グループでは、こうしたロシア・ウクライナをめぐる現下の国際情勢に起因する不透明な事業環境を踏まえて、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報) 1 ウクライナをめぐる現下の国際情勢の影響に係る貸倒引当金の見積りについて」に記載のとおり、ロシア関連与信に対して貸倒引当金を計上しております。また、当社の持分法適用会社であるSMBC Aviation Capital Limitedにおいて、当連結会計年度にロシア向け航空機リース資産の追加減損を実施しております。
 ロシア・ウクライナ情勢については、現時点で収束が見込み難く、その影響が深刻化・長期化した場合、又は資源価格の更なる高騰やサプライチェーンの混乱を通じた世界経済への悪影響が想定以上に大きくなる場合には、更なる与信関連費用の発生や追加減損の実施等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 災害等の発生、各種感染症の流行に関するリスク

当社グループは、国内外の店舗、事務所、電算センター等の施設において業務を行っておりますが、これらの施設が、地震等の自然災害、停電、テロ等による被害を受けた場合、または各種感染症の流行により多数の従業員が罹患した場合には、業務継続が困難となる可能性があります。
 当社グループは、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しておりますが、これらの施設への被害や従業員の罹患状況によっては、業務が停止し、当社グループの業務運営や経営成績及び財政状態に影響を及ぼす、または戦略遂行に支障が生じる可能性があります。
 加えて、大規模な災害等の発生や感染症の流行等により、金融市場の混乱や国内外の経済が悪化した場合、当社グループが保有する金融商品において減損又は評価損の発生や、お客さまの業況悪化等による与信関連費用及び不良債権残高増加等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④ サステナビリティに関するリスク

当社グループは、前記「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおり、持続可能な社会の実現に向けた様々な取組を行っております。
 当社グループの、「気候変動」「自然資本・生物多様性」「人権」のサステナビリティに関する具体的なリスク認識については、前記「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 戦略」、リスク管理体制については、前記「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) リスク管理」に記載しております。

 

⑤ 他の金融機関等との競争

当社グループは、国内外の銀行、証券会社、政府系金融機関、ノンバンク等との間で熾烈な競争関係にあります。また、今後も国内外の金融業界において金融機関同士の統合や再編、業務提携が行われる可能性や、フィンテック等の新技術の台頭により競争環境に変化が生じる可能性、他業種から金融業への進出が加速する可能性があることに加え、金融機関に対する規制や監督の枠組みがグローバルに変更されること等により競争環境に変化が生じる可能性があります。当社では、こうした競争環境の変化も踏まえ、2025年度までの3年間を計画期間とする中期経営計画を策定の上、様々な戦略や施策を実行してまいりますが、当社グループが競争優位を確立できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 各種の規制及び法制度等の変更

当社グループが国内外において業務を行う際には、様々な法律、規則、政策、実務慣行、会計制度及び税制等の適用を受けております。当社グループではこれらの規制・法制度の動向を随時モニタリングし、適切な対応を行っておりますが、これらが変更された場合や新たな規制等が導入された場合に、当社グループの業務運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

イ.自己資本比率規制

当社グループ及び銀行子会社には、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢに基づく自己資本比率規制が適用されております。また、バーゼルⅢの見直しに係る最終規則文書がバーゼル銀行監督委員会より公表され、当該見直し後の自己資本比率規制の実施時期については、国際情勢や関係者との対話を踏まえ、国際統一基準行等は、2024年3月、内部モデルを採用しない国内基準行は、2025年3月とすることが、2022年3月に金融庁より公表されております。

当社グループは海外営業拠点を有しておりますので、連結自己資本比率を平成18年金融庁告示第20号に定められる国際統一基準以上に維持する必要があります。また、当社の連結子会社である株式会社三井住友銀行も海外営業拠点を有しておりますので、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を平成18年金融庁告示第19号に定められる国際統一基準以上に維持する必要があります。

加えて、当社の連結子会社のうち海外営業拠点を有していない株式会社SMBC信託銀行は、平成18年金融庁告示第19号に定められる国内基準以上に自己資本比率を維持する必要があります。また、証券業を営むSMBC日興証券株式会社は、単体ベース及びその子法人等も含めた連結ベースの自己資本比率を、金融商品取引法等に定められている基準以上に維持する必要があります。

当社グループでは、2025年度までの3年間を計画期間とする中期経営計画の中で、バーゼルⅢの見直しに係る最終規則文書に則った普通株式等Tier1比率(※)で10%程度を確保することを財務目標の一つとして掲げております。また当社の国内銀行子会社(株式会社三井住友銀行、株式会社SMBC信託銀行)及びSMBC日興証券株式会社においても、十分な資本水準の維持に努めております。

 

しかしながら、当社グループ、当社の国内銀行子会社(株式会社三井住友銀行、株式会社SMBC信託銀行)又はSMBC日興証券株式会社の自己資本比率が上記の基準を下回った場合、金融庁から、自己資本の充実に向けた様々な実行命令を自己資本比率に応じて受けるほか、業務の縮小や新規取扱いの禁止等を含む様々な命令を受けることになります。また、海外銀行子会社については、現地において自己資本比率規制が適用されており、現地当局から様々な規制及び命令を受けることになります。その場合、業務が制限されること等により、取引先に対して十分なサービスを提供することが困難となり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(※) その他有価証券評価差額金を除く

 

ロ.TLAC規制他

2015年11月、金融安定理事会(FSB)はG-SIBsに対して適用される新たな規制である総損失吸収力(TLAC)規制の枠組みを公表いたしました。2019年3月より、本邦における当該規制の適用が開始され、当社グループは、一定比率以上の総損失吸収力(TLAC)を維持することが求められております。

また、バーゼル銀行監督委員会は、2010年12月に、銀行の流動性に関する国際的な基準の詳細を示す「バーゼルⅢ:流動性リスク計測、基準、モニタリングのための国際的枠組み」を公表しており、新たな規制である流動性カバレッジ比率(LCR)が適用されているほか、安定調達比率(NSFR)についても、2014年10月に最終規則文書が公表され、2021年9月末より本邦でも導入されております。

2017年12月には、バーゼルⅢの見直しに係る最終規則文書の中で、G-SIBsに対する追加的要件を含むレバレッジ比率規制の枠組みが最終化されており、2019年3月から当社を含む国際統一基準行に対して導入されているレバレッジ比率の最低比率基準について、一定の上乗せ幅(レバレッジ・バッファー)が求められる措置が2023年3月末から適用されております。

こうした金融規制強化の動向を踏まえ、当社グループでは、強靭な資本基盤の構築等の施策に取り組んでおりますが、これらの施策が、企図するとおりの十分な成果を発揮しない可能性があります。

 

ハ.LIBOR等の金利指標に関するリスク

当社グループは、お客さまの多様なニーズに的確にお応えするために各種金融サービスを提供しておりますが、これらの中にはロンドン銀行間取引金利(LIBOR)等の金利指標を参照する金融商品が含まれております。また、当社グル―プは、金利リスク・為替リスクのコントロールの観点から、このような金利指標を参照する金融商品を保有しております。

2011年以降に顕在化した、一連のLIBOR不正操作問題などを背景に、2017年7月には、英国の金融行動監視機構(FCA)長官が、2021年末以降はLIBOR維持のためにパネル行にレート呈示を強制する権限を行使しない旨を表明いたしました。この表明を受け、日本を初めとする各国において、LIBORの公表停止に向けた取組が進められました。具体的には、2021年3月に、FCA及びLIBOR運営機関であるICE Benchmark Administrationが公表した、現行のパネル行が呈示するレートに基づき算出するLIBORの公表停止時期に従い、日本円、英ポンド、ユーロ、スイスフランの全ての公表対象期間と米ドルの一部の公表対象期間(1週間物、2ヶ月物)については、2021年12月末をもって既に公表が停止された他、米ドルの残りの公表対象期間については、2023年6月末をもって、公表が停止される予定です。

当社グループでは、全社的な取組として、適切な社内ガバナンス体制の下、お客さまへの対応や内部管理の高度化、システム開発等の対応をグループ横断的に行っております。2023年6月末に公表が停止される予定の米ドルの残りの公表対象期間に係るLIBORを参照する契約につきましても、代替金利指標への移行等、お客さまへの対応を適切に進めておりますが、その対応が十分ではない場合、お客さまとの取引等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、参照金利の変更等により、当社グループの保有する金利指標を参照する金融商品に損失が発生する可能性があります。これらの結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 当社グループの業務に内包されるリスク

当社グループは、銀行業務を中心に、リース業務、証券業務、コンシューマーファイナンス業務等の各種金融サービスを行うグループ会社群によって構成されており、これらの会社で相互に協働して営業活動を行っておりますが、業務遂行にあたり以下のようなリスクを認識しております。

 

① 信用リスク

信用リスクとは、与信先の財務状況の悪化等のクレジットイベント(信用事由)に起因して、資産(オフバランス資産を含む)の価値が減少又は滅失し、損失を被るリスクであります。当社グループでは、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (金融商品関係) 1 金融商品の状況に関する事項 (3) 金融商品に係るリスク管理体制 ① 信用リスクの管理」に記載のとおり、適切なリスク管理体制を構築しておりますが、取引先の業況の悪化やカントリーリスクの高まり等に伴い、幅広い業種で貸倒引当金及び貸倒償却等の与信関係費用や不良債権残高が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

イ.取引先の業況の悪化

当社グループの取引先の中には、当該企業の属する業界が抱える固有の事情等の影響を受けている企業がありますが、国内外の経済金融環境及び特定業種の抱える固有の事情の変化等により、当該業種に属する企業の財政状態が悪化する可能性があります。また、当社グループは、債権の回収を極大化するために、当社グループの貸出先に対する債権者としての法的権利を必ずしも行使せずに、状況に応じて債権放棄、デット・エクイティ・スワップ又は第三者割当増資の引受、追加貸出等の金融支援を行うことがあります。これら貸出先の信用状態が悪化する、又は企業再建が奏功しない場合には、当社グループの与信関係費用や不良債権残高が増加する可能性があります。

 

ロ.他の金融機関における状況の変化

世界的な市場の混乱等により、国内外の金融機関の経営状態が悪化し、資金調達及び支払能力等に問題が生じた場合には、当社グループが問題の生じた金融機関への支援を要請される可能性がありますが、当該金融機関の信用状態に改善が見られない場合には、当社グループの与信関係費用や不良債権残高が増加する可能性があります。また、他の金融機関による貸出先への融資の打ち切りや回収があった場合にも、当該貸出先の経営状態の悪化により、当社グループの与信関係費用や不良債権残高が増加する可能性があり、それらの結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 市場リスク

市場リスクとは、金利・為替・株式等の相場が変動することにより、金融商品の時価が変動し、損失を被るリスクであります。当社グループでは、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (金融商品関係) 1 金融商品の状況に関する事項 (3) 金融商品に係るリスク管理体制 ② 市場リスク・流動性リスクの管理」に記載のとおり、適切なリスク管理体制を構築しておりますが、急激な相場の変動等により、保有する金融資産で多額の評価損・減損等が発生し、結果として当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

イ.金利変動リスク

当社グループは、国債等の市場性のある債券やデリバティブ等の金融商品を保有しております。これらは金利変動によりその価格が変動するため、主要国の金融政策の変更や、債券等の格付の低下、世界的な市場の混乱や金融経済環境の悪化等により金利が変動した場合、多額の売却損や評価損等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ.為替変動リスク

当社グループは、保有する外貨建資産及び負債について、必要に応じて、為替リスクを回避する目的からヘッジ取引を行っておりますが、為替レートが急激に大きく変動した場合等には、多額の為替差損等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

ハ.株価変動リスク

当社グループは、市場性のある株式等、大量の株式を保有しております。国内外の経済情勢や株式市場の需給関係の悪化、発行体の経営状態の悪化等により株価が低下する場合には、保有株式に減損又は評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、大幅な株価下落をもたらすストレス環境下においても十分に金融仲介機能を発揮できる財務基盤を確保する観点から、政策保有株式の削減計画を策定し、本計画に取り組んでおります。この株式削減に伴い、売却損失が発生する可能性があるほか、取引先が保有する当社株式が売却されることで、当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 流動性リスク

流動性リスクとは、運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、決済に必要な資金調達に支障をきたす、もしくは通常より著しく高い金利での調達を余儀なくされるリスクです。当社グループでは、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (金融商品関係) 1 金融商品の状況に関する事項 (3) 金融商品に係るリスク管理体制 ② 市場リスク・流動性リスクの管理」に記載のとおり、適切なリスク管理体制を構築しておりますが、当社グループ各社の格付が低下した場合には、当社グループの国内外における資本及び資金調達の条件が悪化する、もしくは取引が制約される可能性があります。また、世界的な市場の混乱や金融経済環境の悪化等の外部要因によっても、当社グループの国内外における資本及び資金調達の条件が悪化する、もしくは取引が制約される可能性があります。このような事態が生じた場合、当社グループの資本及び資金調達費用が増加したり、外貨資金調達等に困難が生じたりする等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ オペレーショナルリスク

オペレーショナルリスクとは、内部プロセス・人・システムが不適切であること、もしくは機能しないこと、又は外生的事象が生起することから生じる損失にかかるリスクであり、具体的には、以下のとおりであります。

 

イ.事務リスク

当社グループは、事務に関する社内規程等の整備、事務処理のシステム化、本部による事務指導及び事務処理状況の点検等により適正な事務の遂行に努めておりますが、役職員等が事務に関する社内規程等に定められたとおりの事務処理を怠る、あるいは事故・不正等を起こした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ.情報システム・サイバー攻撃に関するリスク

当社グループが業務上使用している情報システムにおいては、安定的な稼働を維持するためのメンテナンス、バックアップシステムの確保等の障害発生の防止策を講じ、また、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定し、システムダウンや誤作動等の障害が万一発生した場合であっても安全かつ速やかに業務を継続できるよう体制の整備に万全を期しております。しかしながら、これらの施策にもかかわらず、品質不良、人為的ミス、サイバー攻撃等外部からの不正アクセス、コンピューターウィルス、災害や停電、テロ等の要因によって、情報システムに、システムダウン、誤作動、不備、不正利用を含む障害が発生する可能性があります。

特に、近年のデジタル技術の著しい発展により、インターネットやスマートフォンを利用した取引が増加している一方、サイバー攻撃手法の高度化・巧妙化も急速に進展しており、金融機関をとりまくサイバーリスクはより一層深刻化しております。加えて、取引先や業務委託先等の第三者のシステムを経由したサイバーリスクにも直面しております。

以上の認識の下、当社グループは、経営主導でサイバー攻撃に対するセキュリティ対策の強化をより一層推進することを定めた「サイバーセキュリティ経営宣言」を策定しており、経営会議・取締役会での議論・検証の下、適切なリソースを配分するほか、サイバーセキュリティ専担組織を設置し、外部機関と連携した脅威情報の収集、24時間365日監視体制の構築、サイバー攻撃に対する多層防御やウイルス侵入も想定したセキュリティ対策の導入等、継続的なレベルアップ施策を講じてきておりますが、これらの方策も最新の攻撃に対しては万全でない可能性があります。

これらの要因により、当社の情報システムに障害が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

ハ.お客さまに関する情報の漏洩

当社グループは、情報管理に関する規程及び体制の整備や役職員に対する教育の徹底等により、お客さまに関する情報の管理には万全を期しております。また、業務委託先である外部業者が、お客さまに関する情報を取り扱う場合には、外部業者の情報管理体制やシステムセキュリティ管理体制を検証し、情報管理が適切になされていることを確認しております。しかしながら、内部又はサイバー攻撃等外部からのコンピューターへの不正アクセスや、役職員や外部業者等の人為的ミス、事故、不正等が原因で、お客さまに関する情報が外部に漏洩した場合、お客さまからの損害賠償請求やお客さま及び市場等からの信頼失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

ニ.重要な訴訟等

当社グループは、国内外において、銀行業務を中心に、リース業務、証券業務、コンシューマーファイナンス業務等の各種金融サービスを行うグループ会社群によって構成されており、付加価値の高い金融サービスを幅広く提供しております。こうした業務遂行の過程で、損害賠償請求訴訟等を提起されたり、損害に対する補償が必要となる可能性があります。当社グループでは、訴訟が提起された場合等においては、弁護士の助言等に基づき、事態の調査を行い、適切な対応方針を策定の上、代理人を選任し、適切に訴訟手続を遂行しております。また、経営に重大な影響を与えると認められる訴訟等については、監査委員会、取締役会及びグループ経営会議に報告しております。しかしながら、これらの取組にも関わらず、訴訟等の結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ コンダクトリスク

コンダクトリスクとは、法令や社会規範に反する行為等により、顧客保護・市場の健全性・公正な競争・公共の利益及び当社グループのステークホルダーに悪影響を及ぼすリスクを指します。当社グループは、経営上の重大なリスクを特定・評価し、コントロール策によるリスクの低減・制御を図っております。また、役職員に対する研修等を通じ、健全なリスクカルチャーの浸透・醸成に努めております。しかしながら、これらの取組にも関わらず、役職員等の不適切な行為が原因で、市場及び公共の利益等に悪影響を与えた場合、お客さま及び市場等からの信用失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクの内、法令等に違反するリスク、経済制裁対象国との取引に係るリスクについては以下のとおりであります。

 

イ.法令等に違反するリスク

当社グループは業務を行うにあたり、会社法、銀行法、独占禁止法、金融商品取引法、貸金業法、外為法、犯罪収益移転防止法及び金融商品取引所が定める関係規則等の各種法規制の適用を受けております。また、海外においては、それぞれの国や地域の規制・法制度の適用、及び金融当局の監督を受けております。加えて、各国当局は、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止に関連し、FATF等の国際機関の要請に基づいた各種施策を強化しており、当社グループは、国内外で業務を行うにあたり、これらの各国規制当局による各種規制の適用を受けております。さらに、当社は、米国証券取引所上場会社として、米国サーベンス・オクスリー法や米国証券法、米国海外腐敗行為防止法等の各種法制の適用を受けております。

当社グループは、法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンス体制及び内部管理体制の強化を経営上の最重要課題のひとつとして位置付け、グループ各社の役職員等に対して適切な指示、指導及びモニタリングを行う体制を整備するとともに、不正行為の防止・発見のために予防策を講じております。しかしながら、当社グループにおいて、法令その他諸規則等を遵守できなかった場合、法的な検討が不十分であった場合又は予防策が効果を発揮せず役職員等による不正行為が行われた場合には、不測の損失が発生したり、行政処分や罰則を受けたり、業務に制限を付されたりするおそれがあり、また、お客さまからの損害賠償請求やお客さま及び市場等からの信頼失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、2022年3月24日及び4月13日、東京地方検察庁により、当社の連結子会社であるSMBC日興証券株式会社の元役職員並びに法人としての同社が、違法な安定操作取引の疑いにて、それぞれ東京地方裁判所へ起訴されました。

また、違法な安定操作取引に関して、2022年10月7日に当社に対して改善措置命令が、SMBC日興証券株式会社に対して業務停止命令及び業務改善命令が、金融庁より発令されました。そして、これらの行政処分に基づき、当社及びSMBC日興証券株式会社は、2022年11月4日に報告書を金融庁へ提出いたしました。
 加えて、SMBC日興証券株式会社は、当社の連結子会社である株式会社三井住友銀行との間において、顧客から情報共有の停止を求められていること又は情報共有の同意を得ていないことを認識しながら、当該顧客に関する非公開情報の授受を複数回にわたって行ったことに関して、2022年10月7日に当社に対して報告徴求命令が、SMBC日興証券株式会社に対して業務改善命令が、株式会社三井住友銀行に対して報告徴求命令が、金融庁よりそれぞれ発令されました。そして、これらの行政処分及び報告徴求命令に基づき、当社、SMBC日興証券株式会社及び株式会社三井住友銀行は、2022年11月4日に報告書を金融庁へ提出いたしました。

 

その後、2023年2月13日、SMBC日興証券株式会社に対して東京地方裁判所より、罰金7億円及び44億7,114万2,420円を追徴する判決が下されました。

これらの事態を踏まえ、当社グループでは、再発防止に向けて、経営管理体制、内部管理体制及び顧客情報管理体制の抜本的な強化や、健全な組織文化・コンプライアンス意識の醸成に努めております。

具体的には、SMBC日興証券株式会社におきまして、法令理解のための研修の実施や、外部知見を活用したコンプライアンス部門及び監査部門の機構改革、新たな理念体系を策定したほか、タウンホールミーティングの開催等の施策を進めております。株式会社三井住友銀行におきましては、銀証連携ビジネスに関するリスク認識の向上を図るために研修機会を充実させたほか、顧客情報管理に関する体制強化に向け、モニタリング体制の高度化や、非公開情報の取扱いに関するルールの整備等に取り組んでおります。また、当社におきましては、SMBC日興証券株式会社及び株式会社三井住友銀行における再発防止策の着実な履行を検証するとともに、子会社の異例事態等を早期に察知するための体制を整備し、有事への対応力を強化しております。
 今後も改善計画に基づく施策を着実に進めていくことで、お客さま及び市場等からの信頼回復に努めてまいりますが、信頼回復までに時間を要した場合、ビジネス機会の喪失等が発生する可能性があります。これらにより当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ.経済制裁対象国との取引に係るリスク

本邦を含む各国当局は、経済制裁対象国や特定の団体・個人等との取引を制限しております。例えば、米国関連法規制の下では、米国政府が経済制裁対象国と指定している国等と米国人(米国内の企業を含む)が事業を行うことを、一般的に禁止又は制限しております。また、米国政府は、イラン制裁関連法制等により、米国以外の法人、個人に対しても、イランの指定団体や指定金融機関との取引等を規制しております。当社グループは、本邦・米国を含む各国の法規制を遵守する体制を整備しておりますが、既に米国財務省外国資産管理室(OFAC)に自主開示している取引を含めて、当社グループが行った事業が法規制に抵触した場合には、関連当局より過料等の処分を受ける可能性や厳しい行政処分等を受ける可能性があります。なお、取引規模は限定的でありますが、当社の銀行子会社の米国以外の拠点において、米国法令等を含む各国関連法規の遵守を前提として、経済制裁対象国と銀行間取引を行う場合があり、経済制裁対象国との取引が存在すること等により当社グループの風評が悪化し、お客さまや投資者の獲得あるいは維持に支障を来す可能性があります。それらにより、当社グループの株価、業務、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 決済リスク

当社グループは、国内外の多くの金融機関と多様な取引を行っております。大規模なシステム障害や災害が発生した場合、政治的な混乱等により取引相手である金融機関の決済が行われないような事態等が発生した場合、又は金融システム不安が発生した場合に、金融市場における流動性が低下する等、決済が困難になるリスクがあります。また、非金融機関の取引先との一定の決済業務においても取引先の財政状態の悪化等により決済が困難になるリスクがあります。

当社グループでは、勘定系システム等の重要なシステムについては、バックアップサーバーを東日本・西日本に分散して設置するとともに、定期的な訓練を実施する等、システム障害や災害発生時に迅速に対応できる体制の構築に努めているほか、日中の流動性について、定期的なモニタリングやストレステストの実施等、当社グループの決済が滞らないよう管理する体制を構築しております。

しかしながら、想定を上回る事態が発生した場合には、決済が困難になることで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑦ レピュテーショナルリスク

当社グループでは、レピュテーショナルリスクが顕在化するおそれがある事態に関する情報を適切に収集すると共に、このような事態に対して適切な措置を講ずることにより、リスクの制御及び削減に努めております。しかしながら、これらの取組にも関わらず、当社グループの事業や従業員その他関係者の行為により、お客さまや株主をはじめとするステークホルダーからの高い期待に応えられず、当社グループの企業価値の毀損や信頼低下に繋がる可能性があります。

 

⑧ モデルリスク

モデルリスクとは、モデル(※)の開発若しくは実装での作業ミス、または、モデルの前提や限界を超えた利用等により、経営判断・業務判断等を誤り、損失・不利益を被るリスクを指します。当社グループでは、リスク管理や時価評価等にモデルを活用しており、モデルの開発・使用等の各プロセスに応じた適切な管理を実施することで、モデルリスクの低減を図っておりますが、モデル開発時の想定を超えた金融経済環境、事業環境の変化に直面したり、役職員による不適切なモデル利用がなされた場合等は、モデルのアウトプットの不確実性が高まり、経営判断・業務判断を誤る可能性があります。

(※) 理論・仮定を用いて、入力データを処理し、推定値・予測値・スコア・分類等を出力する定量的手法。

 

⑨ 戦略リスク

イ.当社グループのビジネス戦略に関するリスク

当社グループは、銀行業務を中心に、リース業務、証券業務、コンシューマーファイナンス業務等の各種金融サービスを行うグループ会社群によって構成されており、中長期ビジョン、「最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」のもと、2023年5月に公表した、2023年度から2025年度までの3年間を計画期間とする中期経営計画においても、引き続きこのビジョンの実現に向けた様々なビジネス戦略を実施してまいります。これらのビジネス戦略は、後記「(3) トップリスク」に記載の、経営上特に重要なリスク事象も踏まえ策定しておりますが、想定外の金融経済環境、事業環境の変化等により、必ずしも奏功するとは限らず、当初想定した成果をもたらさない可能性があります。

 

ロ.当社の出資、戦略的提携等に係るリスク

当社グループはこれまで、銀行業務、リース業務、証券業務、コンシューマーファイナンス業務等における様々な戦略的提携、提携を視野に入れた出資、買収等を国内外で行ってきており、今後も同様の戦略的提携等を行っていく可能性があります。当社グループでは、これらの戦略的提携等を行うにあたっては、そのリスクや妥当性を十分に検討しておりますが、①法制度の変更、②金融経済環境の変化や競争の激化、③提携先や出資・買収先の業務遂行に支障をきたす事態が生じた場合等には、期待されるサービス提供や十分な収益を確保できない可能性があります。また、当社グループの提携先又は当社グループのいずれかが、戦略を変更し、相手方との提携により想定した成果が得られないと判断し、あるいは財務上・業務上の困難に直面すること等によって、提携関係が解消される場合には、当社グループの収益力が低下したり、提携に際して取得した株式や提携により生じたのれん等の無形固定資産、提携先に対する貸出金の価値が毀損したりする可能性があります。これらの結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

ハ.戦略遂行に必要な有能な人材の確保

当社グループは幅広い分野で高い専門性を必要とする業務を行っておりますので、各分野において有能で熟練した人材が必要とされます。当社グループでは、前記「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 戦略 ③人的資本経営の実践」に記載のとおり、役職員の積極的な採用及び役職員の継続的な研修等により、多様な人材の確保・育成を行っておりますが、有能な人材を継続的に採用し定着を図ることができなかった場合には、戦略・主要分野での人材確保が困難となり、策定したビジネス戦略が想定通りに実施できない可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑩ 財務報告に係る内部統制に関するリスク

当社は、金融商品取引法に基づいて、財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その結果を記載した内部統制報告書の提出を義務付けられております。また、当社は、米国証券取引所上場会社として、米国サーベンス・オクスリー法に基づいて、財務報告に係る内部統制等の評価も義務付けられております。

当社は、会計処理の適正性及び財務報告の信頼性を確保するため、財務報告に係る内部統制評価規程等を制定し、財務報告に係る内部統制について必要な体制を整備しております。しかしながら、財務報告に係る内部統制が有効でない場合には、当社の財務報告に対するお客さま及び投資者等からの信頼を損ない、その結果、当社の株価が悪影響を受ける可能性があります。

 

⑪ リスク管理方針及び手続の有効性に関するリスク

当社グループは、リスク管理方針及び手続を整備し運用しておりますが、新しい分野への急速な業務の進出や拡大に伴い、リスク管理方針及び手続が有効に機能しない可能性があります。また、当社グループのリスク管理方針及び手続の一部は、過去の経験に基づいた部分があることから、将来発生する多様なリスクを必ずしも正確に予測することができず、有効に機能しない可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) トップリスク

当社グループでは、「(1) 経営環境に関するリスク」及び「(2) 当社グループの業務に内包されるリスク」で記載されている各リスクに関して、当社グループにとって、経営上特に重要なリスク事象を「トップリスク」として選定しております。「トップリスク」は、リスク委員会やグループ経営会議等での活発な議論を踏まえて選定しており、リスクアペタイト・フレームワークの設定や業務戦略の策定などの際に活用しております。

有価証券報告書提出日時点で、当社グループが、特に重要なリスク事象として認識している「トップリスク」は次のとおりであります。

 

トップリスク

シナリオ例

世界的な景気後退

・クレジットサイクル転換や中国経済低迷等による世界的な景気後退

資源価格、金融・為替市場

の急激な変動

・主要国の金融引締めによる金融システムへの悪影響、グローバル金融危機の顕在化

突発的な外貨調達環境の 悪化

・市場混乱等に伴う突発的な外貨調達環境の悪化

日本経済低迷

・金融緩和転換による債務調整等を伴う景気悪化、労働力減少による潜在成長力低下

日本の財政不安

・政府債務利払い費増加や防衛費増大等に伴う財政悪化よる日本売り顕在化

米中覇権争い

・米中間の政治的な対立や安全保障環境を巡る懸念の高まりによるビジネス環境悪化

ロシア・ウクライナ情勢 の緊迫化

・欧米によるウクライナへの支援強化等に伴う核利用を含むロシアの軍事行動過激化

中東・アジアにおける   情勢不安定化

・朝鮮半島情勢緊迫化による有事発生、日本の政策を巡る近隣諸国の反発

各国の政治混乱、社会不安定化

・米国次期大統領選を巡る社会混乱、中国の指導部変更による政策運営の不透明化

深刻な感染症の流行

・ヒトへの強力な感染力を有するウイルスや細菌の出現によるパンデミック発生

大規模地震、風水害等の 災害の発生

・大規模地震・噴火等発生、異常気象や自然災害の増加、自然資本毀損による悪影響

サイバー攻撃や金融犯罪への対応不備

・国家的なサイバー攻撃や重要インフラへの被害増加、攻撃手法の多様化

技術革新による産業構造の変化

・金融サービス(フィンテック、デジタル通貨等)の急速なデジタル化による
 競争力低下

気候変動リスク、環境問題への対応不備

・GHG排出削減や自然資本保護等への不十分な対応による風評悪化、座礁資産発生

人権問題への対応不備

・強制労働や人種差別等への不十分な対応による風評悪化

不適切な労務管理

・ジェンダー問題や働き方改革への不十分な対応による風評悪化

不適切な営業行為等の  ミスコンダクト

・従業員の不適切行為や重大な規律違反による行政処分、風評悪化

オペレーショナルレジリエンス態勢整備不備

・情報漏洩やシステム障害等によるお客さまへの悪影響甚大化、風評悪化

規制・監督目線の高まりに対する態勢整備不備

・AML/CFT体制への目線の高まりや金融監督・規制強化による
 当社ビジネスへの影響

人材確保困難化

・人員数、専門人材不足による業務運営の制約、当社競争力の低下

 

(注) 上記は認識しているリスクの一部であり、上記以外のリスクによっても経営上、特に重大な悪影響が生ずる可能性があることにご留意ください。