文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、〈みずほ〉として行うあらゆる活動の根幹をなす考え方として、基本理念・パーパス・バリューから構成される『〈みずほ〉の企業理念』を制定しております。この考え方に基づきグループが一体となって事業運営・業務推進を行うことで、お客さまと経済・社会の発展に貢献し、みなさまに〈豊かな実り〉をお届けしてまいります。
基本理念:企業活動の根本的考え方
パーパス:みずほグループの存在意義
バリュー:パーパスを実現するための価値観と行動軸
中期経営計画(2023~2025年度)の3年間を『お客さま、社会の課題に対し、様々な挑戦を繋ぎ、新たな解を創造する3年間』とし、サステナビリティを軸とした、メリハリある事業展開により経営資源を最大限に有効活用し、お客さま、社会とともに、その先の持続的な成長、豊かさへの礎を築くことをめざしてまいります。

2024年度に中期経営計画の財務目標(2025年度)を前倒しで達成したことを踏まえ、2027年度に向けた新たな中期財務目標を設定しました。なお、今後の環境変化に応じ前提となるシナリオおよび目指す中期財務目標は適時見直す方針です。
2024年度の経済情勢を顧みますと、欧米先進国は、インフレ鈍化を受けて利下げを開始しました。米国では金融引き締めの影響で労働市場が減速したものの、高所得者層の消費がけん引し、景気は底堅く推移しました。一方、欧州では消費や企業活動の停滞が続きました。中国では不動産市場の調整や個人消費の低迷により、景気は力強さを欠きました。
米国経済は、FRB(連邦準備制度理事会)による急速な金融引き締めの下でも、高所得者層の消費にけん引されて底堅い成長を続けています。一方、金融引き締めの影響で労働市場は減速し、ヒト・モノ不足が緩和する中でインフレは着実に鈍化してきました。2025年1月には米政権が交代し、関税政策によるインフレ再燃や景気悪化への警戒が増しています。こうした状況を踏まえ、FRBは2025年3月のFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利の据え置きを決定しました。先行きの不確実性が増す中で、今後はインフレの状況や景気情勢を見定めつつ、慎重に政策方針を決定していくと考えられます。
欧州経済は、低成長が続きました。個人消費が停滞しているほか、金融引き締めの影響で企業の投資需要が下押しされています。また、エネルギーコストの転嫁の一服や景気低迷、賃金上昇の減速を受けてインフレは鈍化しています。こうした状況を踏まえ、ECB(欧州中央銀行)は、2025年3月の会合で政策金利の引き下げを決定しました。金利が徐々に中立水準に近づく中で、今後は景気への影響を見極めながら政策方針を決定していくと考えられます。
アジア経済は、景気が力強さを欠いています。中国では政府支援策や好調な輸出が景気を下支えしているものの、不動産市場の調整長期化や個人消費の低迷を受け、力強さを欠く景気が続きました。また、米中対立は継続しており、通商や安全保障等をめぐる先行きの不確実性は以前に増して高い状況です。新興国では、電子機器の輸出増加を受けて景気が持ち直しつつあります。ただし、通貨安やインフレ再燃等の懸念が残存する中で、各国の利下げペースは緩やかなものにとどまり、内需の回復は緩慢となっています。
日本経済は、緩やかに回復しています。海外経済の低成長が製造業の生産の重石となっている一方、高水準の企業収益を背景に設備投資や賃金は増加傾向です。同時に人件費増によるコストを価格に転嫁する動きが徐々に広がる中で、日銀は2025年1月に政策金利の引き上げを決定しました。今後も、賃金・物価情勢や景気動向を見極めながら、金融政策の方針を決定していくと考えられます。
世界経済の先行きは、米国による関税賦課が下押し要因となるほか、中国経済の減速も重石になり、緩やかな成長にとどまるものとみられます。また、世界市場における日欧と中国の輸出競争の激化や中東の地域紛争の更なる悪化、米国の政策不透明性等により、景気悪化の懸念や金融資本市場の混乱が広がり、日本経済も悪影響を受ける可能性があります。
■中期経営計画
2023~2025年度の3年間を『お客さま、社会の課題に対し、様々な挑戦を繋ぎ、新たな解を創造する3年間』とし、サステナビリティを軸とした、メリハリある事業展開により経営資源を最大限に有効活用し、お客さま、社会とともに、その先の持続的な成長、豊かさへの礎を築くことを基本方針としています。
〈みずほ〉が描く世界観として、「個人の幸福な生活」と、それを支える「サステナブルな社会・経済」に向け、社会課題の解決や持続的成長に向けた重点分野として、10年後のめざす世界からビジネス面での注力すべきテーマを明確にし、さらに、その実現・成長を支える経営基盤を強化することとしました。
●「資産所得倍増」に向けた挑戦
▶ NISAを契機に資産形成取引を拡大するとともに、グループ一体の強みをいかし、コンサルティング人材の強化を通じて資産運用や資産承継ニーズを取り込み、お客さまとともに成長
●顧客利便性の徹底追求
▶ デジタル・リモート・リアルの三位一体での利便性向上を他社との連携も活用しながら追求することで、預金口座の魅力を高め、安定的な個人預金と将来の資産運用・承継のお客さま層の獲得を実現
●日本企業の競争力強化
▶ 大企業へのサステナビリティ対応を軸とした事業構造転換支援や、中堅上場企業にフォーカスした戦略的アプローチ等、法人のお客さまの企業価値向上や事業成長を徹底的に支援し、日本企業の国際競争力を高めることに貢献
●サステナビリティ&イノベーション
▶ 産業・事業構造のトランジションに対して資金供給体制を確立するとともに、サステナビリティも含むスタートアップ企業や新技術の確立を支援し、金融を超えた新規ビジネスの機会を創出
●グローバルCIBビジネス
▶ 成長領域である米州・アジアへの経営資源を積極的に投入し、米州では〈みずほ〉の強みであるCIB(コーポレート&インベストメントバンキング)モデル(銀行のバランスシートを使った貸出取引と金融資本市場プロダクツを一体的に提供する)をさらに深化させ、アジアでは、域内ネットワークの『面』と、『国ごと』の狙いを明確にしたメリハリある事業展開により地域の成長を取り込み
●企業風土の変革
▶ インターナルコミュニケーション(カルチャー改革)とブランドコミュニケーション(ブランド強化)の一体での推進を通じた社員・お客さまのエンゲージメントを向上
●人的資本の強化
▶ 戦略に即した人材ローテーションや経営リーダーの育成などの戦略人事の徹底と、キャリア形成支援や働く環境作りなど社員ナラティブを大切にするアプローチを通じ、人的資本を強化
●DX推進力の強化
▶ グループの強みを最大限活用したインキュベーション・スケール化の促進、および業務のデジタル化等による生産性向上、DX人材育成やデータ利活用等により、DX推進基盤を強化
▶ 事業戦略実現に必要なIT投資拡大に向けた、システム構造の最適化、およびユーザーと一体で開発・運用および投資運営の高度化等を通じ、IT改革を推進
●安定的な業務運営
▶ システム障害風化防止と平時の危機対応力を強化
‒ 大規模なシステム障害を継続して抑止するため、システム障害の再発防止と障害対応力強化の取り組みの継続・定着化、システム障害の風化防止
▶ G-SIBsにふさわしいサイバーセキュリティ態勢を不断に高度化
▶ マネー・ローンダリング対策・テロ資金供与対策(AML/CFT)態勢をさらに強化・拡充
▶ グローバルガバナンスの徹底強化と、外部環境を踏まえた機動的なリスクコントロール
[カンパニー・ユニットの取り組み]
当社グループは、お客さまの属性に応じた銀行・信託・証券等グループ横断的な戦略を策定・推進する5つのカンパニーと、全カンパニー横断的に機能を提供する2つのユニットを設置し、グループを運営しております。

各カンパニー・ユニットの今後の取り組み方針(対処すべき課題)は次の通りです。
リテール・事業法人カンパニー
個人・中小企業・中堅企業の顧客セグメントを担当するカンパニーとして、銀行・信託・証券等グループ一体となったコンサルティング営業や、先進的な技術の活用や他社との提携等を通じた利便性の高い金融・非金融サービスの提供等に取り組んでおります。
(今後の取り組み方針)
安定的な業務運営体制の構築・持続的強化を継続するとともに、お客さまの課題に対するソリューション提供力強化に向けメリハリのある経営資源配分を通じた事業成長・拡大フェーズへの転換を加速させます。
具体的には、個人のお客さまに対しては、グループ一体での総合資産コンサルティング力を発揮するべく、銀行・信託・証券のそれぞれの役割期待にあわせて、最適な人員配置および人材強化を図りながら、「資産所得倍増」に向けた挑戦に取り組んでいきます。法人のお客さまに対しては、銀行・信託・証券のグループ総力でコーポレートアクションの創出をサポートすることで、お客さまの永続的な成長に貢献し、日本企業の競争力強化に取り組んでいきます。
また、デジタル・リモート・リアルのそれぞれのチャネルの利便性向上や、楽天グループを始めとしたアライアンス先とのオープンな協業による新たな価値提供を通じ、顧客基盤の持続的な拡大に取り組んでいきます。
2024年11月13日に、当社は楽天グループ株式会社の連結子会社である楽天カード株式会社と戦略的な資本業務提携を行うことを合意しました。本提携により、当社は楽天カード株式会社の普通株式14.99%を楽天グループ株式会社より取得しました。決済ビジネスにおいて、より利便性の高い新たなリテール事業モデル構築に向けた取り組みを推進します。
コーポレート&インベストメントバンキングカンパニー
国内の大企業法人・金融法人・公共法人の顧客セグメントを担当するカンパニーとして、お客さまの金融・非金融に関するニーズに対し、M&Aや不動産関連ビジネス等の投資銀行プロダクツ機能を通じて、お客さまごとのオーダーメード型ソリューションをグループ横断的に提供しております。
(今後の取り組み方針)
ボラティリティが増大するマーケット、社会的課題に対する関心の高まり、地政学的リスクの顕在化等により、お客さまを取り巻く環境は、急速且つ急激に変化しています。そうした中、銀行・信託・証券等のグループ力を結集し、産業知見や投資銀行をはじめとしたプロダクツ知見をいかしたソリューション提供力を一層高めることで、サステナビリティ等の社会的課題の解決を通じてお客さまと日本経済の持続的成長につなげ、価値共創パートナーとしての真価を発揮してまいります。
グローバルコーポレート&インベストメントバンキングカンパニー
海外の日系企業および非日系企業等を担当するカンパニーとして、お客さまの事業への深い理解と、銀証連携を軸としたグループ一体でのソリューション提供により、産業の変化・事業構造のトランスフォームを支える金融機能の発揮をめざしてまいります。
(今後の取り組み方針)
各地域で培ったCIB(コーポレート&インベストメントバンキング)ビジネス基盤に加え、日本を含む各地域間の連携を加速し、グローバルでのソリューション提供力を一層高めることで、金融面からお客さまをサポートし社会的課題の解決に貢献していきます。
更なる事業ポートフォリオの最適化とリスクマネジメントの強化を通じて、持続的成長を実現してまいります。
グローバルマーケッツカンパニー
お客さまのヘッジ・運用ニーズに対してマーケット商品全般を提供するセールス&トレーディング業務、資金調達やポートフォリオ運営等のALM・投資業務を担当しております。銀行・信託・証券の連携やCIB(コーポレート&インベストメントバンキング)アプローチにより、マーケッツの知見をいかした〈みずほ〉にしかできないソリューション・プロダクトの提供をめざしてまいります。
(今後の取り組み方針)
セールス&トレーディング業務においては、地域ごとの特性に合わせた銀行・証券の実質一体運営の更なる深化により、お客さまへのソリューション提供力向上の継続およびセールス&トレーディングのグローバル連携やDX活用を通じたトレーディング力強化により、更なるプレゼンス向上に取り組んでまいります。
ALM・投資業務においては、グローバルな貿易戦争の激化や内外の金融政策の変更が想定され、不確実性の高い市場環境が継続しうる中、予兆管理と緻密な市場分析を踏まえた、柔軟かつ機動的なリスクコントロールを継続し、安定的な収益を実現します。また、グローバルALM運営を深化させ、安定的で効率的な外貨資金調達を通じて、グループ全体のビジネスに貢献してまいります。
加えて、セールス&トレーディング・ALM・投資の各分野におけるサステナビリティ推進・DX推進に取り組んでまいります。
アセットマネジメントカンパニー
アセットマネジメントに関連する業務を担当するカンパニーとして、銀行・信託・証券およびアセットマネジメントOne株式会社が一体となって、個人から機関投資家まで、幅広いお客さまの資産運用ニーズに応じた商品やサービスを提供しております。
(今後の取り組み方針)
注力分野の人材拡充やインオーガニック戦略等により国内・海外資産の運用力を強化し、お客さまのニーズに応じたプロダクトラインアップ・ソリューション提供の充実を図ることで、中長期志向の資産形成をサポートし、資産運用立国の実現に貢献してまいります。
また、確定給付年金・確定拠出年金関連業務や従業員・役員向けの株式給付信託制度の受託を通じて法人のお客さまの人的資本経営を支援するとともに、金融経済教育等の取り組みにより従業員の皆さまの資産形成を後押ししてまいります。
加えて、リテール・機関投資家向け新規プロダクトの開発、アセットマネジメントビジネスの専門人材強化、資産運用と資産管理一体となったビジネス推進等、持続的成長に不可欠なビジネス基盤強化に取り組んでまいります。
2025年2月28日に、当社は、ステート・ストリート・コーポレーションと、同社に対し、各関係当局への届出および許認可の取得等を前提として、みずほ信託銀行株式会社のルクセンブルク現地法人であるルクセンブルグみずほ信託銀行並びに株式会社みずほ銀行の米国現地法人である米国みずほ銀行のグローバル・カストディおよび関連事業を売却することを合意したと公表しました。
グローバルトランザクションユニット
幅広いセグメントのお客さまに向けた、トランザクション分野のソリューション提供業務を担うユニットとして、国内外決済や資金管理、証券管理等、各プロダクツに関する高い専門性を発揮し、高度化・多様化するお客さまのニーズに応えることをめざしてまいります。
(今後の取り組み方針)
今後もサプライチェーン・生産体制の見直し等の事業構造変化の動きや、政策金利をはじめとする各国の金融政策動向等を機敏に捉え、多様化するお客さまのニーズに柔軟に応えてまいります。国内外各拠点間で緊密に連携しながら、お客さまの課題解決に資するソリューション提供に努め、お客さまとともに〈みずほ〉の成長にも貢献してまいります。
また、金融機関の責務である決済業務の安定的な提供、インフラ基盤の維持・増強に最優先で取り組んでまいります。加えて、決済分野における新技術・インフラの出現といった社会の潮流も踏まえつつ、長期的な視点での次世代・新規ビジネスの創出にも取り組んでまいります。
リサーチ&コンサルティングユニット
産業からマクロ経済まで深く分析するリサーチ機能と、環境・エネルギー等の社会課題の解決支援からお客さまの経営・人事・事業戦略の策定支援にわたるコンサルティング機能を担うユニットとして、各カンパニーと緊密に連携し、グループ一体となってお客さまや社会に対する価値創造の拡大をめざします。
(今後の取り組み方針)
経済・社会の不透明感の高まりや、サステナビリティ・DXの潮流加速等を受けて、リサーチ・コンサルティング領域における人材獲得競争の激化が見込まれる中、高い専門性を有する人材の確保・育成に向けた取り組みを強化してまいります。また、検討中の株式会社みずほ銀行とみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社との統合を通じたグループ一体運営の深化により社会やお客さまへの提供価値のさらなる向上に取り組むとともに、グループ外との連携等にも取り組み、「〈みずほ〉差別化の源泉」として、時代の一歩先を見据えた価値創造を一層拡大してまいります。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
〈みずほ〉は、サステナビリティを「環境の保全および内外の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄、ならびに〈みずほ〉の持続的かつ安定的な成長」と定義しております。サステナビリティへの取り組みを進めることで、様々なステークホルダーの価値創造に配慮した経営と当社グループの持続的かつ安定的な成長による企業価値の向上を実現し、SDGs達成に貢献していくことをめざしております。
本項では、初めにサステナビリティ全般に関し、「ガバナンス」「リスク管理」として経営管理の枠組み、「戦略」としてマテリアリティへの取り組み概要を説明した後、個別テーマである気候変動と人的資本に関する具体的な「戦略」「指標・目標」を概説いたします。
なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであり、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性があります。
当社グループのコーポレート・ガバナンス体制は、有価証券報告書「
取締役会においては、サステナビリティへの取り組みに関する基本方針等の決定ならびに取締役および執行役の職務の執行の監督を行っております。また、取締役会の諮問機関として、リスクガバナンス等に関する決定・監督等に関して取締役会に提言を行うリスク委員会を設置、外部有識者の専門的な知見を活用することで適切な監督機能を発揮可能な態勢を構築しております。取締役会やリスク委員会にて、気候関連リスクをはじめとする主要なサステナビリティ課題について議論のうえ、その内容を定期的に開示しております。
執行においては、経営会議で、サステナビリティに関連する業務執行に関する重要な事項を審議しております。また、経営政策委員会等にて、サステナビリティに関連する全社的な諸課題やグループのビジネス戦略上重要な事項について、総合的に審議・調整を行っております。加えて、執行役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会では、特に気候変動への対応や人権尊重等の環境・社会課題に関する取り組み等に関して、審議・調整を行っております。また、人材戦略会議やダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進委員会*1において、人的資本経営に必要な人材育成方針や社内環境整備方針等の協議、周知徹底、推進を行っております。
また、役員報酬制度では、業績連動報酬である「株式報酬Ⅱ」において、「株主」「お客さま」「経済・社会」「社員」のステークホルダーを評価軸とする評価を行う仕組みを導入しており、主な評価指標には、「サステナブルファイナンス額」や「気候変動への取り組み」「ESG評価機関評価」等のサステナビリティに関する評価指標を採用しております。
*1:多様な価値観をベースにした持続的な価値創造のため、特に、日本における多様な社員の活躍推進に関する方針の協議、周知徹底、推進を行う委員会
当社グループは、事業戦略・財務戦略とリスク管理の一体運営を通じて企業価値の向上を実現する観点から、リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)を導入しております。また、リスクの要因別に「信用リスク」「市場リスク」「オペレーショナルリスク」等のリスクカテゴリーに分類し、各リスク特性に応じた管理を行った上で、リスクを全体として把握・評価しリスクを制御していく、総合的なリスク管理態勢を構築しております。当社グループは、こうしたリスク管理フレームワークの中でサステナビリティに関連するリスクを認識し、業務計画遂行上重要なリスクを特定した上で、各リスクカテゴリーの特性や事業戦略を踏まえてリスクをコントロールしております。
また、当社は、当社グループに重大な影響を及ぼすリスク認識を選定する「トップリスク運営」を導入しております。2025年5月現在のトップリスクには、「気候変動影響の深刻化と不十分な環境対応」や「人材不足等による持続的成長の停滞」等が含まれます。選定したトップリスクについては、未然防止策や事後対応等のリスクコントロール強化策の検討、業務計画への反映等を通じ、リスクコントロールやガバナンスの強化に活用しております。当社のトップリスク運営等の詳細については、有価証券報告書「
気候関連リスクについては、発現の蓋然性、時間軸、影響の不確実性や複数のリスク区分に波及すること等の特性を踏まえ「気候関連リスク管理の基本方針」を制定し、管理を強化しております。また、投融資等を通じた環境・社会に対する負の影響を防止・軽減するため、負の影響を助長する可能性が高い事業やセクターを特定し、「環境・社会に配慮した取引に関する取組方針」を制定しております。また人的リスクについては、「人的リスク管理の基本方針」を制定し、多面的な角度から人事運営にかかるデータをモニタリングすることで、社員に被害が及ぶリスクや当社グループが有形無形の損失を被るリスクに対し、コントロール・削減等の適切な対応を行っています。
サステナビリティについての基本的考え方や推進方法等を定めた「サステナビリティへの取り組みに関する基本方針」のもと、グループ全体で戦略と一体的にサステナビリティへの取り組みを推進してまいります。また、社会の期待*1と、当社グループにとっての重要性*2を踏まえて「マテリアリティ」(〈みずほ〉と、お客さま、社員、経済・社会をはじめとするステークホルダーの持続的な成長・発展にとっての中長期にわたる優先課題) を特定するとともに、〈みずほ〉にとってのリスクと機会、および具体的取り組みを明確化しております。サステナビリティへの取り組みにあたっては、長期的な視点に立ち、「マテリアリティ」に取り組むことで、環境の保全および内外の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄に貢献し、様々なステークホルダーの価値創造に配慮した経営と当社グループの持続的かつ安定的な成長による企業価値の向上をめざしていきます。
*1:当社グループが社会に与えるインパクトに対するステークホルダーの期待
*2:中長期的な企業価値への影響、当社グループの戦略・事業領域との親和性
[〈みずほ〉のマテリアリティ]
マテリアリティに関連する〈みずほ〉にとってのリスクと機会、および主な取り組み等については、
以下、当社のマテリアリティのうち、「環境・社会」に該当する気候変動への取り組み、および「人材」に該当する人的資本への取り組みについて概説します。なお、その他のマテリアリティへの取り組みについては、上述の「有価証券報告書における関連記載箇所」をご参照ください。
「環境方針」や「2050年ネットゼロに向けた〈みずほ〉のアプローチ」において、脱炭素社会の実現に向けた〈みずほ〉の気候変動への取り組み姿勢や、めざす姿・行動(アクション)を明確化し、グループ一体で取り組みを進めております。2050年の脱炭素社会の実現に向けて、ビジネス機会獲得、リスク管理、実体経済の移行の3つの観点を踏まえた「ネットゼロ移行計画」に基づき、より統合的かつ実効的に気候変動への対応を進め、2050年脱炭素社会の実現や気候変動に対して強靭な社会の構築に貢献してまいります。
[ネットゼロ移行計画(概要)]

[気候変動に関する機会・リスクの認識]
・お客さまによる脱炭素に向けた技術開発・ビジネスモデル構築のための投資をビジネス機会と認識し、お客さまとのエンゲージメント(建設的な対話)を起点に、脱炭素化(トランジション)や気候変動対応の支援に注力しております。
・気候関連リスクとして、気候変動に起因する移行リスクと物理的リスクを認識し、リスク区分ごとに想定される影響を整理しております。
-移行リスク:炭素税や燃費規制といった政策強化や脱炭素等の技術への転換の遅れ等に伴う投融資先の業績悪化による信用リスク等を想定
-物理的リスク:気温上昇や災害の変化に起因する、当社グループの資産の毀損や、事業停滞や労働力低下でのお客さまの収益減少等に伴う信用リスク等を想定
[シナリオ分析]
・気候変動が将来にわたって当社グループのポートフォリオに与える影響を把握するため、移行リスクおよび物理的リスクを対象にシナリオ分析を実施しております。気候変動に関する様々な将来の状態に対する計画の柔軟性や戦略のレジリエンスを高めるべく、複数のシナリオを用いて分析しております。
*1 環境・社会に配慮した取引に関する取組方針で禁止している新設・拡張を資金使途とするもの
気候変動に関する戦略および指標・目標の詳細については、2025年6月に発行した
〈みずほ〉の企業価値の源泉である人材に対し、戦略人事を徹底すること、社員ナラティブを重視した人事運営を行うことで、ビジネス戦略に応じた機動的な人事運営の両立を実現させるとともに、社員一人ひとりが自分らしく輝き、会社とともに成長していくことをめざしていきます。具体的には、①企業風土変革の取り組み推進、②社会課題解決に対応可能な人材の育成、③働きやすい職場、インクルーシブな組織づくりに取り組んでまいります。
取り組み詳細につきましては、
[人材・組織運営における取り組み内容]
*1 当グループでの連結ベースでの状況を最も表し得る主要グループ5社(FG・BK・TB・SC・RT)の数値を開示
*2 社員意識調査におけるエンゲージメントおよびインクルージョンに関する各4設問に対する回答の、肯定的回答率(1~5の5段階で4,5を回答した割合)
*3 国内 (FG・BK・TB・SC・RT) 合算
*4 2025年4月入社
*5 海外 (BK・TB・SC・RT) 合算
*6 病気やケガがない状態を100%とした場合、過去4週間の自分の状態が何%か問うもの、100%から欠ける部分(損失割合)を算出
*7
本項は、当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項や、リスク要因に該当しない事項であっても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項について記載しています。これらのリスクは互いに独立するものではなく、ある事象の発生により複数のリスクが増大する可能性があります。当社は、これらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生を回避するための施策を講じるとともに、発生した場合には迅速かつ適切な対応に努める所存です。
なお、本項に含まれている将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
当社グループは、日本国内の各地域および米国や欧州、アジアなどの海外諸国において幅広く事業を行っております。金融経済環境における先行きは、米国の関税政策を起点に、各国・地域でインフレ再燃や景気悪化が懸念される等、不透明な状況です。日本や世界各国・地域における経済状況が悪化した場合、あるいは、金融市場の著しい変動等が生じた場合には、当社グループの事業の低迷や資産内容の悪化等が生じ、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
足元では、各国による保護主義的な政策により自由貿易の後退や米中対立の拡大等が懸念されています。加えて、ウクライナ情勢や中東地域における武力衝突等、国・地域間の紛争も長期化している状況です。こうした対立や分断等により、当社グループの取引先等が事業の縮小やサプライチェーンの見直し等の事業戦略の再考を余儀なくされることや、グローバル経済の減速、地政学情勢の悪化等により、企業業績の悪化や金融市場の混乱が生じる可能性があります。これにより、当社グループにおいて、与信関係費用の増加や、保有資産等の評価損や減損の発生・拡大、資金流動性の低下等につながる可能性があります。また、国家間の対立における各国規制の強化に伴い、規制抵触による法令違反の発生やレピュテーションの悪化が発生する可能性があります。
こうした事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内において事業活動を行ううえで、会社法、独占禁止法や会計基準等、会社経営に係る一般的な法令諸規制や、自己資本比率規制を含む銀行法、金融商品取引法、信託業法等の金融関連法令諸規制の適用を受けております。また、海外での事業活動においては、それぞれの国や地域の法令諸規制の適用も受けております。
これらの法令諸規制は将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては、商品・サービスの提供の制限や、追加のシステム開発負担につながる等、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、金融の円滑化を図り、経済・社会の持続可能な発展に貢献するため、社会的責任と公共的使命の重みを常に認識し、適切なリスク管理態勢のもと、高度なリスクテイク能力を活用した金融仲介機能の発揮に努めています。
昨今、気候変動、自然の損失、人権侵害をはじめとする環境・社会課題の顕在化に伴い、当社グループを取り巻くステークホルダーからは、資金提供者として、環境・社会に一層配慮することが期待されています。かかる背景から、当社グループは「環境・社会に配慮した取引に関する取組方針」を制定して、環境・社会に対する負の影響を助長する可能性が高い取引の禁止やデューデリジェンス実施を定める等、環境・社会への負の影響の防止・軽減に向けた取り組みを強化しています。
しかしながら、ステークホルダーからの期待は多様であり変化しうるため、当社グループ自身や取引先の取り組みが期待から乖離した場合には、レピュテーションの毀損・与信関係費用の増加等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
2015年に「パリ協定」が採択されて以降、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求するという決意のもと、気候変動の原因とされる温室効果ガスの排出量削減を目的とした取り組みが進められています。日本でも2013年度対比の温室効果ガスの排出量を2035年度までに60%、2040年度までに73%削減する目標が掲げられるなど、様々な環境・社会課題の中でも気候変動リスクへの対応が重要と認識しています。
当社グループは、気候変動が環境・社会、人々の生活・企業活動にとっての脅威であり、金融市場の安定にも影響を及ぼしうる最も重要なグローバル課題の一つであると認識しています。気候変動リスクとしては、脱炭素社会への移行に伴う事業環境の変化に起因する移行リスク、気温の変化と災害による被害の変化に起因する物理的リスクが挙げられます。移行リスクについては、炭素税や燃費規制といった政策強化や脱炭素技術への転換の遅れにより、取引先の業績悪化を通じた与信関係費用の増加が代表的なリスクとして想定されます。また、物理的リスクについては、風水災・山火事等の災害の増加・激甚化や気温上昇に伴う労働力低下等が想定されます。これにより当社グループの資産の毀損や取引先の業績悪化を通じた与信関係費用の増加を代表的なリスクとして捉えています。
当社グループはこれらのリスクを管理するために、グローバルな潮流・動向も捕捉しながら、戦略やリスク管理態勢の見直しを実施しておりますが、こうした取り組みが奏功せず気候変動リスクが顕在化した場合には、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外の大手金融機関やノンバンク等との激しい競争環境に晒されています。また、昨今はAIをはじめとする様々なテクノロジーの進展や新たなサービス提供方法等により、業種の垣根を越えて非金融事業者による金融領域への新規参入が相次ぐなど、当社グループを取り巻く競争環境はますます激化する可能性があります。さらに、これまで進められてきた金融規制改革により、競合他社との戦略の差別化が難しくなり、特定のビジネスにおける競争環境が激化していく恐れもあります。当社グループが、テクノロジーへの対応不足等により競争に十分対応することができない場合には、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、競争激化等に伴い、金融業界において金融機関の再編が進み、当社グループの競争力や当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外において店舗、事務所や電算センター等の施設等を保有しておりますが、このような施設等は常に地震や台風等の災害やテロ・犯罪等の発生による被害を受ける可能性があります。また、感染症の流行により、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。当社グループは、各種緊急事態を想定したコンティンジェンシープランを策定し、バックアップオフィスの構築等、緊急時における態勢整備を行っておりますが、被害の程度によっては、当社グループの業務の一部が停止する等、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、2011年3月に発生した東日本大震災のような大規模な災害や新型コロナウイルスのような感染症の流行に起因して、景気の悪化、多数の企業の経営状態の悪化、株価の下落等が生じる可能性があります。その結果、当社グループの不良債権および与信関係費用が増加したり、保有株式や金融商品等において売却損や評価損が生じること等により、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多くの与信先についてメインバンクとなっているとともに、相当程度大口の与信先があります。また、与信先の業種については分散に努めておりますが、不動産業、製造業、金融・保険業向けの与信の割合が相対的に高い状況にあります。
当社グループは、個々の与信先の信用状態や再建計画の進捗状況を継続的にモニタリングするとともに、企業グループやリスク事象発現時に影響が想定される特定業種への与信集中状況等を定期的にモニタリングするポートフォリオ管理を実施しているほか、クレジットデリバティブの活用によるヘッジおよび信用リスクの減殺を行っております。また、与信先から差入れを受けている担保や保証の価値についても定期的に検証しております。
しかしながら、国内外のクレジットサイクルの変調、特定の業界における経営環境の変化、不動産等の資産価格下落等によっては、想定を超える新たな不良債権の発生、メインバンク先や大口与信先の信用状態の急激な悪化、特定の業界の与信先の信用状態の悪化、担保・保証の価値下落等が生じる可能性があります。こうした事象によって、与信関係費用が増加する等追加的損失が発生し、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自己査定基準、償却・引当基準に基づき、与信先の状況、差入れられた担保の価値および経済動向を考慮したうえで、貸倒引当金を計上しております。
償却・引当の計上にあたっては、貸出資産を適正に評価し、市場売却を想定した厳正な担保評価を行っておりますが、国内外の経済情勢の悪化、与信先の業況の悪化、担保価値の下落等により、多くの与信先で貸倒引当金および貸倒償却等の与信関係費用や不良債権残高が増加する可能性があり、その結果、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内上場企業の普通株式を中心に、市場性のある株式を大量に保有しております。当社グループでは、「上場株式の政策保有に関する方針」を掲げ、株価変動リスクが財務状況に大きな影響を与えうることに鑑み、その保有の意義が認められる場合を除き、上場株式を政策保有しないことを基本方針としており、売却を計画的に進めております。また、必要に応じて部分的にヘッジを行うことによりリスクを削減します。しかしながら、これらの保有株式の株価が下落した場合には評価損や売却損が発生する可能性があります。
また、当社グループの自己資本比率の計算においては、自己資本の算出にあたり、保有株式の含み損益を勘案していることから、株価が下落した場合には、自己資本比率が低下する可能性があります。
その結果、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
「上場株式の政策保有に関する方針」および政策保有株式の保有意義検証等の概要については、当社の「コーポレートガバナンスに関する報告書」をご覧ください。
https://www.mizuho-fg.co.jp/company/structure/governance/pdf/g_report.pdf
当社グループは、投資等を目的として国債をはじめとする市場性のある債券等を大量に保有しているため、金利上昇に伴う価格の下落により、評価損や売却損が発生する可能性があります。また、当社グループの金融資産と負債の間では満期等に違いがあるため、金利変動により損失が発生する可能性があります。当社グループは、厳格なリスク管理体制の下、必要に応じて債券の売却や銘柄の入れ替え、デリバティブ取引等によるヘッジを行う等、適切な管理を行っておりますが、金融政策の変更や、財政悪化等によるソブリンリスク顕在化、その他市場動向等により大幅に金利が変動した場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、資産および負債の一部を米ドル等の外貨建てで有しております。外貨建ての資産と負債が通貨ごとに同額ではなく互いに相殺されない場合には、その資産と負債の差額について、為替相場の変動により円貨換算額が変動し、評価損や実現損が発生する可能性があります。当社グループでは、必要に応じ適切なヘッジを行っておりますが、予想を超える大幅な為替相場の変動が発生した場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、市場で取引される様々な資産を保有しておりますが、金融市場の混乱等により保有資産の市場流動性が著しく低下し、その結果、保有資産の価値が下落する可能性があります。グローバルな金融市場混乱や経済・金融環境の悪化等により、保有資産の市場流動性が著しく低下した場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヘッジ目的等で利用するクレジットデリバティブや株式関連デリバティブ等の金融取引については、ヘッジ対象資産と会計上の取り扱いや評価方法が異なる場合があります。そのため、市場の変動等により、ある特定の期間において、ヘッジ対象資産の評価が上昇しても、当該金融取引から損失のみが発生する場合があり、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの資金調達は、主に預金、債券発行および市場からの調達により行っております。特に、外貨資金は、円貨資金に比べ市場からの調達の依存度が高くなっております。そのため、資金調達の安定性の観点から、流動性ストレス状況下における資金繰り逼迫の影響分析や資金繰りの状況に応じた対応方針の策定等、厳格な管理を行っております。
しかしながら、国内外の景気悪化、金融システム不安、金融市場の混乱等により資金流動性が低下した場合、あるいは当社グループの業績や財務状況の悪化、格付の低下や風説・風評の流布等が発生し、予想外の資金流出が発生した場合には、資金調達コストの増加や、外貨資金調達等に困難が生じることがあり、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社や銀行子会社等、当社グループの一部の会社は、格付機関から格付を取得しております。格付の水準は、当社グループから格付機関に提供する情報のほか、格付機関が独自に収集した情報に基づいています。また、日本国債の格付や日本の金融システム全体に対する評価等の影響も受けているため、常に格付機関による見直し・停止・取下げが行われる可能性があります。
仮に格付が引き下げられた場合には、資金調達コストの上昇や資金調達の困難化、市場関連取引における追加担保の提供、既存取引の解約等が発生する可能性があり、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
例えば、当社グループのデリバティブ契約に基づき格下げによる追加担保の金額を試算すると、他の条件が不変であれば、2025年3月末に1ノッチの格下げがあった場合は約41億円、2ノッチの格下げの場合は約152億円となります。
当社グループおよび銀行子会社には、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢテキスト(銀行の自己資本と流動性に係る国際的な基準の詳細を示すもの)に基づき、金融庁の定める自己資本比率規制(当社グループがグローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)に選定されていることに伴う、G-SIBsバッファーに係る規制を含む)が適用されております。また、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢの見直しに係る最終規則文書に基づく改正後の自己資本比率規制は、2024年3月末から当社グループに適用されています。
仮に当社グループや銀行子会社の自己資本比率が一定基準を下回った場合には、その水準に応じて、金融庁から社外流出の制限や資本の増強を含む改善計画の提出、さらには総資産の圧縮又は増加の抑制、一部業務の縮小、子会社等の株式の処分、業務の全部又は一部の停止等の是正措置を求められる可能性があります。加えて、当社グループの一部銀行子会社は、米国その他の事業を行う諸外国・地域において、現地の自己資本比率規制に服しており、当該規制に抵触した場合には、現地当局から様々な規制および命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループおよび銀行子会社には、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢテキストに基づき、金融庁の定めるレバレッジ比率規制が適用されております。また、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢの見直しに係る最終規則文書に基づき、G-SIBsに対するレバレッジ比率の上乗せ措置(レバレッジ・バッファー)に係る規制が2023年3月末から適用され、さらに当該最終規則文書に基づくレバレッジ比率の算出方法の改正については、2024年3月末から実施されています。
仮に当社グループや銀行子会社のレバレッジ比率が一定基準を下回った場合には、その水準に応じて、金融庁から社外流出の制限や、資本の増強に係る措置を含む改善計画の提出、さらには総資産の圧縮又は増加の抑制、一部業務の縮小、子会社等の株式の処分、業務の全部又は一部の停止等の是正措置を求められる可能性があります。加えて、当社グループの一部銀行子会社は、米国その他の事業を行う諸外国・地域において、現地のレバレッジ比率規制に服しており、当該規制に抵触した場合には、現地当局から様々な規制および命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
G-SIBsに選定されている当社グループおよび主要子会社には、FSBが公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の破綻時の損失吸収および資本再構築に係る原則」等に基づき、金融庁の定めるTLAC規制が適用されております。
仮に当社グループの外部TLAC比率や主要子会社の内部TLAC額が一定基準を下回った場合には、金融庁から外部TLAC比率の向上や内部TLAC額の増加に係る改善策の報告を求められる可能性に加えて、業務改善命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 資本調達
普通株式等Tier1資本を除き、当社グループの資本調達(TLAC規制に対応した調達を含む)は、主に債券発行により行っております。
仮に当社グループの業績や財務状況の悪化、格付の低下や風説・風評の流布等のほか、国内外の景気悪化、金融システム不安や金融市場の混乱等が生じた場合には、資本調達コストの増加や、十分な資本調達ができないことにより、企図した水準への自己資本比率等の向上が図れない事象等が生じる可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
持株会社である当社は、その収入の大部分を傘下の銀行子会社等から受領する配当金に依存しておりますが、会社法の制限等により、当該銀行子会社等が当社に対して配当金を支払わない可能性があります。また、当社の業績および財務状況の悪化や、会社法の制限や銀行の自己資本規制の強化に伴う配当制限等により、当社株主への配当の支払いや当社グループが発行する一部の資本性証券の配当又は利払いが困難もしくは不可能となる可能性があります。
当社グループの退職給付費用および債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、株式相場ならびに金利環境の急変等により、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件に変更があった場合には、退職給付費用および債務が増加する可能性があります。また、当社グループの退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得見積りを合理的に行ったうえで計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、保有する有形固定資産および無形固定資産について、現行の会計基準に従い減損会計を適用しておりますが、当該資産に係る収益性の低下や時価の下落等により、投資額の回収が見込めなくなった場合は減損損失を認識する可能性があります。減損損失を認識した場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、勘定系・決済系等の巨大なコンピュータシステムを保有しており、国内外の拠点をはじめ、お客さまや各種決済機構等のシステムとグローバルなネットワークで接続されています。また、近年では外部委託を利用した自社開発型のシステムに加えて、社外の事業者が提供するクラウドサービス等の利用も増加しております。
当社グループは、日頃よりシステムの安定稼動の維持に努めるとともに、重要なシステムについては、原則としてバックアップを確保する等、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しております。また、外部委託先やクラウドサービスを提供するクラウド事業者等のサードパーティに対しても当社グループが必要とする管理水準を示し、その管理態勢・対応状況を事前および定期的に確認する等、適切な対応に努めております。
しかしながら、過失、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新等により重大なシステム障害が発生した場合には、こうした対策が有効に機能しない可能性があります。
2021年2月以降、株式会社みずほ銀行(同年8月20日の障害は、みずほ信託銀行株式会社も含む)において複数のシステム障害が発生し、営業部店やATMでの取引、インターネットバンキング取引、内為・外為取引等が一部不能となりました。これに伴い、当社および株式会社みずほ銀行は、2021年9月22日および同年11月26日に銀行法第52条の33第1項および同法第26条第1項に基づき、金融庁より業務改善命令を受けました。その後、11月26日付の業務改善命令に基づき、当社および株式会社みずほ銀行は、2022年1月17日に金融庁へ業務改善計画を提出いたしました。なお、同命令に基づく当該業務改善計画の実施状況については、2022年3月末の実施状況を初回として、以降3ヶ月ごとに報告を実施し、2024年1月15日付の報告書をもって定期報告は終了しております。
このような事案を含め、システムリスクが顕在化した場合には、情報の流出、誤作動、業務の停止およびそれに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有する多くのシステムは、国内外の拠点をはじめ、お客さまや各種決済機構等のシステムと、グローバルなネットワークで接続されております。当社グループは、サイバー攻撃がさらに高度化する中、サイバーセキュリティの強化を経営の重要課題として認識し、経営主導のもと、金融という重要な社会インフラの担い手として、安心・安全なサイバー空間の構築に貢献することを「サイバーセキュリティ経営宣言」にて意思表明を行い、継続的にグループ・グローバルおよびサードパーティを含めた対策を推進しています。
具体的なサイバーセキュリティ対策としては、Mizuho-CIRT*1を中心に、高度なプロフェッショナル人材を配置し、外部の専門機関とも連携したインテリジェンスや先進技術を駆使しながら、統合SOC*2等による24時間365日の監視体制を整備しています。当社システムでは、ウイルス解析や多層的防御体制等を導入しており、これら技術的な対策の有効性や対応プロセスの実効性をテストするためにTLPT*3を実施する等、レジリエンス態勢の強化に取り組んでいます。
また、外部委託先やクラウドサービスを提供するクラウド事業者等のサードパーティにおけるサイバーインシデント発生時の対応を含めたサイバーセキュリティリスク管理態勢等を契約締結時および契約期間中において、定期的に確認しています。サードパーティからサイバーインシデントの発生報告を受けた際は、当社グループへの影響を把握・分析し、当社グループに対する影響が懸念される場合には、迅速にサイバーインシデント対応を実施します。
当社では、サイバーセキュリティ態勢等の有効性について、NIST*4のCybersecurity Framework等のサイバーセキュリティに関する外部フレームワークや金融庁が公表したサイバーセキュリティに関するガイドライン等を参考に確認するとともに、第三者による評価も受けています。
しかしながら、このようなサイバーセキュリティの強化が奏功せず、外部からの不正アクセスやコンピュータのウイルス感染、新技術への対応が不十分な場合等に起因するサイバー攻撃を受けた際に、電子データの漏えい・改ざんや業務停止、情報漏えい、不正送金等が発生し、お客さまに不便・不利益を与える可能性があります。また、それに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
*1 Cyber Incident Response Team(組織内の情報セキュリティ上の問題を専門に扱うインシデント対応
チーム)
*2 Security Operation Center(企業などの組織において、情報システムに対する脅威の監視や分析などを
行う役割や専門チーム)
*3 Threat-Led Penetration Testing(実際の技術を使用してシステム侵害を試みることで、セキュリティ
の強度を確認するテスト)
*4 National Institute of Standards and Technology(米国立標準技術研究所)
当社グループは、幅広い金融業務において大量の事務処理を行っております。これらの多様な業務の遂行に際して、役員・社員による過失等に起因する不適切な事務が行われることにより、損失が発生する可能性があります。
当社グループは、各業務の事務取扱を明確に定めた事務手続を制定するとともに、事務処理状況の定期的な点検を行っており、さらに本部による事務指導の強化や管理者の育成、システム化等を推進しておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。今後、仮に重大な事務リスクが顕在化した場合には、損失の発生、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多数の従業員を雇用しており、日頃より多様な人材の確保や育成等に努めております。しかしながら、十分に人材を確保・育成できない場合には、当社グループの競争力や効率性が低下し、業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外において銀行業務を中心に様々な金融業務を行っておりますが、こうした業務を行うにあたり、損害賠償請求訴訟等の提起を受ける可能性があり、その場合、訴訟の動向によっては、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多数の法人・個人のお客さまの情報を保有しているほか、様々な内部情報を有しております。特に、個人情報については、個人情報保護法の下で、情報の漏えいや不正なアクセスを防止するため、より厳格な管理が要求されております。当社グループにおいても情報管理に関するポリシーや事務手続を策定しており、役員・社員に対する教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策等を行い、外部委託先についても同様に情報管理態勢を監督しておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。今後、仮に重要な情報が外部に漏えいした場合には、損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
多様化かつ高度化する金融犯罪は増加の一途をたどり、世界各所でテロ犯罪が継続的に発生する等、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策(以下「マネロン対策」という)の重要性が急速に高まっております。またFATFの第5次相互審査を2028年に迎えるにあたり、マネロン対策の強化ならびにその有効性を検証することが求められています。当社グループは、国内外において事業活動を行ううえで、国内外の法令諸規制の適用およびそれに基づく国内外の金融当局の監督を受けており、当社グループでは、国内外の法令諸規制を遵守する態勢を整備するとともに、マネロン対策の更なる強化を継続的に実施しております。
しかしながら、マネロン対策が有効に機能せず、仮に法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
米国法上、米国人は、米国国務省によりテロ支援国家と指定された国(イラン、シリア、北朝鮮、キューバ。以下「指定国」という)と事業を行うことが一般的に禁止されており、当社グループは、関係する米国法を遵守する態勢を整備しております。ただし、米国外の拠点において、関係法令の遵守を前提に、顧客による輸出入取引に伴う貿易金融やコルレス口座の維持等、指定国に関連する業務を限定的に行っております。なお、イランには、駐在員事務所を設置しています。指定国に関係するこれらの業務は、当社グループ全体の事業、業績および財務状態に比し小規模であり、また、関係する日本および米国の法令を遵守する態勢を整備しております。
指定国が関与する取引に関わる規制は今後強化もしくは改定されていく可能性があり、当社グループの法令遵守態勢が米国における規制に十分対応できていないと米国政府に判断された場合には、当社グループの業務運営に悪影響を及ぼすような、米国政府による何らかの規制上の措置の対象となる可能性があります。また、顧客や投資家を失う、ないしは当社グループのレピュテーションが毀損することで、当社グループの業務運営又は当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外において市場業務を行ううえで、不公正な市場取引に係る本邦および他国の法令諸規制や取引所規則等の適用とともに国内外の金融当局の監督を受けております。
当社グループは、不公正な市場取引に係る法令諸規制や取引所規則等が遵守されるよう、役員・社員に対するコンプライアンスの徹底やコンプライアンス・リスク管理等を行っておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。
今後、仮に不公正な市場取引に係る法令諸規制の違反等が発生した場合には、関係当局からの処分やレピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内において事業活動を行ううえで、会社法や独占禁止法等、会社経営に係る一般的な法令諸規制や、銀行法、金融商品取引法、信託業法等の金融関連法令諸規制の適用、金融当局の監督を受けております。また、海外での事業活動については、それぞれの国や地域の法令諸規制の適用とともに金融当局の監督を受けております。さらに、当社グループおよびグループ役員・社員は、法令諸規制やルールを遵守することのみならず、「顧客や社会から期待される水準」、「社会的規範や目線」に即した行動を取ることが求められていますが、その水準や目線は日々高まるとともに内容は変容していくことが想定されます。
当社グループは、上記を踏まえ、役員・社員に対するコンプライアンスの徹底や健全なリスクカルチャーの浸透および醸成に向けた取り組み、法務リスク管理等を行っておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。
今後、仮に法令違反等や役員・社員による不適切な行為・不作為が発生した場合には、行政処分やレピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、2023年5月に発表した、2023年度から2025年度までの3年間を計画期間とする当社グループの経営計画等、様々な戦略や施策を実行しております。
しかしながら、こうした戦略や施策が実行できない、あるいは、たとえ戦略や施策が実行できた場合でも当初想定した成果の実現に至らない可能性、本項に示した各種リスクの顕在化又は経済環境の変化等により発表した数値目標を達成できない可能性があります。
なお、当社グループの経営計画の内容につきましては、有価証券報告書「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご覧ください。
当社グループは、銀行業・信託業・証券業をはじめとする様々な業務を行っております。さらに、お客さまのニーズの高度化や多様化、ないしは規制緩和の進展等に応じた新たな業務分野への進出や各種業務提携、資本提携を実施しております。当社グループは、こうした新たな業務等に伴って発生する種々のリスクについても適切に管理する体制を整備しております。しかしながら、想定を超えるリスクが顕在化すること等により、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業は、お客さま、社員の他、経済・社会における様々なステークホルダーからの信用に大きく依存しております。そのため、当社グループおよびその役員・社員が提供するサービス・活動が、ステークホルダーの期待・要請から大きく乖離していると評価された場合には、当社グループの信用またはブランドに対して負の影響がおよび、有形無形の損失を被る可能性があります。当社グループは、こうしたレピュテーショナルリスクを早期に捕捉し、適切に対応することで、リスクの顕在化を未然に防止するよう努めております。しかしながら、こうした取り組みが十分に機能せず、ステークホルダーの期待・要請に沿わない結果となった場合には、当社グループの業務運営や、業績および財務状況、ないしは当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業の広範化・複雑化と人工知能等の技術革新を背景に、モデルを活用する機会が広がり、その重要性や影響度は増しています。そのため、モデルを利用する業務において、モデルの誤り又は不適切な使用に基づく意思決定によって、当社グループが有形無形の損失を被る可能性があります。当社グループは、グループ全体で包括的かつ実効的なモデルリスク管理の取り組みを進めております。しかしながら、内部環境や外部環境の変化などから誤ったモデルや不適切な使用に基づく意思決定により、当社グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、ニューヨーク証券取引所上場企業であり、当社グループは、米国サーベンス・オクスリー法に準拠した開示体制および内部統制の強化を行っております。同法により、当社経営者および監査法人はそれぞれ当社の財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その評価結果をForm20-Fにより報告することが求められています。
また、金融商品取引法においても、当社経営者による財務報告に係る内部統制の有効性の評価、および経営者評価に対する監査法人の意見を内部統制報告書および内部統制監査報告書により報告することが求められています。
当社グループは、上記に従い財務報告に係る内部統制の構築を行っており、評価の過程で発見された問題点は速やかに改善するべく努力しております。しかしながら、改善が間に合わない場合や、経営者が内部統制を適正と評価したとしても監査法人は不適正とする場合があり、その場合、当社グループの財務報告の信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、リスク管理の方針および手続にのっとりリスク管理の強化に注力しております。しかしながら、急速な業務展開に伴い、リスクを特定・管理するための方針および手続が、必ずしも有効に機能するとは限りません。また、当社グループのリスク管理手法は、過去の市場動向に基づいている部分があることから、将来発生するリスクを正確に予測できるとは限りません。当社グループのリスク管理の方針および手続が有効に機能しない場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、「1.経営環境等に関するリスク」、「2.財務面に関するリスク」、「3.業務面に関するリスク」に記載されている各リスク事象を含めた企業価値毀損につながるリスク事象について、当社の脆弱性や外部環境変化等を踏まえて幅広く収集した後、リスクの波及経路や蓋然性・影響度等を評価し、リスクコントロールの難度も勘案のうえ、トップリスクを選定しております。この運営を通じて当社グループ内のリスクコミュニケーションを深めるとともに、未然防止策や事後対応等のリスクコントロール強化策の検討、業務計画への反映等を通じ、ガバナンスの強化に活用しています。
トップリスクの選定や期中におけるコントロール状況は経営陣での議論に加え、リスク委員会や取締役会等にも報告し、外部委員や社外取締役を含めた多面的な議論を行っております。また、期中においても必要に応じて内外環境変化を踏まえた機動的な見直しを行っております。
2025年3月現在、以下をトップリスクとして選定しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況は以下の通りと分析しております。
なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであり、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性があります。
[総論]
・当連結会計年度の連結粗利益は、好調な非金利収益や政策金利の引き上げ効果等により、前連結会計年度比2,170億円増加し、2兆9,204億円となりました。
・営業経費は、適切な経費コントロールを継続した一方、インフレ等の環境要因に加え、成長領域やガバナンス等の経営基盤への資源投下等により、前連結会計年度比1,767億円増加し、1兆8,407億円となりました。
・これらの結果、連結業務純益は、前連結会計年度比620億円増加し、1兆989億円となりました。
なお、連結業務純益に銀行単体合算ベースのETF関係損益とみずほ証券連結の営業有価証券等損益を加えた連結業務純益+ETF関係損益等は、前連結会計年度比1,384億円増加し、1兆1,442億円となりました。
・与信関係費用は、足元の不透明な環境等を踏まえたフォワード・ルッキングな引当を実施した一方、国内外の個社で戻入益を計上したこと等により、前連結会計年度比547億円減少し、516億円の費用計上となりました。
・株式等関係損益は、政策保有株式売却益の増加等により、前連結会計年度比1,175億円増加し、1,412億円の利益となりました。
・これらの結果、経常利益は、前連結会計年度比2,540億円増加し、1兆1,681億円となりました。
・特別損益は、前連結会計年度に計上した大口の退職給付信託の返還益の剥落等により、前連結会計年度比190億円減少し、219億円の利益となりました。
・税金関係費用は、前連結会計年度比296億円増加し、3,014億円となりました。
・以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比2,064億円増加し、8,854億円となりました。
・当連結会計年度の普通株式1株当たり期末配当金について、直近予想の65円00銭から10円00銭増額し、75円00銭としました。これにより、普通株式1株当たり年間配当金は140円00銭となり、直近予想から10円00銭、前連結会計年度実績から35円00銭の増配となっております。
・また、1,000億円を上限とする自己株式取得(普通株式)及び自己株式の消却を決議しております。
・なお、来期より、「自己資本充実、成長投資、株主還元強化の最適なバランスを実現」するとの資本政策の基本方針を維持しつつ、株主還元については「累進的な一株あたりの増配に加え、機動的な自己株式取得を実施する」ことといたします。さらに、配当については、安定的な収益基盤の着実な成長に基づき、毎期5円を目安に増配を実施し、自己株式取得は、業績と資本の状況、株価水準、成長投資機会等を勘案して、総還元性向50%以上を目安に決定してまいります。
前述の経営成績等の結果、中期経営計画における経営指標の実績は以下の通りとなっております。
・連結ROE*1は、利益成長等により、前連結会計年度比1.7ポイント上昇し、9.4%となりました。
・連結業務純益*2は、トップラインの拡大等により1兆1,442億円となり、中間期に1,000億円上方修正した通期業績見通し1兆1,700億円に対し、97.7%の達成率となりました。
・なお、中期経営計画として掲げた2025年度の財務目標については、連結ROE「8.0%超」に対しては9.4%、連結業務純益「1~1.1兆円」に対しては1兆1,442億円と、2024年度に一年前倒しで達成しました。
・エンゲージメントスコア*3は、前連結会計年度比3ポイント上昇し、62%となりました。
・インクルージョンスコア*3は、前連結会計年度比7ポイント上昇し、67%となりました。
*1 その他有価証券評価差額金を除く
*2 連結業務純益+ETF関係損益等(銀行単体合算ベースのETF関係損益+みずほ証券連結の営業有価証券等損益)
*3 社員意識調査におけるエンゲージメント及びインクルージョンに関する各4設問に対する回答の肯定的回答率(1~5の5段階で4,5を回答した割合)
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、第5 経理の状況、1.連結財務諸表等、(1)連結財務諸表の(重要な会計上の見積り)に記載しております。
前連結会計年度及び当連結会計年度における損益状況は以下の通りです。
(図表1)
当連結会計年度の連結粗利益は、前連結会計年度比2,170億円増加し、2兆9,204億円となりました。項目ごとの収支は以下の通りです。
(資金利益)
資金利益は、有価証券利息配当金の増加等により、前連結会計年度比1,576億円増加し、1兆452億円となりました。
(信託報酬)
信託報酬は、前連結会計年度比8億円増加し、622億円となりました。
(役務取引等利益)
役務取引等利益は、海外連結子会社の手数料収益の増加等により、前連結会計年度比501億円増加し、9,067億円となりました。
(特定取引利益・その他業務利益)
株式会社みずほ銀行の特定取引利益の増加及び外国為替売買益の減少等により、特定取引利益は、前連結会計年度比3,208億円増加し1兆474億円、その他業務利益は、前連結会計年度比3,124億円減少し1,413億円の損失となりました。
営業経費は、適切な経費コントロールを継続した一方、インフレ等の環境要因に加え、成長領域やガバナンス等の経営基盤への資源投下等により、前連結会計年度比1,767億円増加し、1兆8,407億円となりました。
不良債権処理額(含:一般貸倒引当金純繰入額)に、貸倒引当金戻入益等を加算した与信関係費用は、足元の不透明な環境等を踏まえたフォワード・ルッキングな引当を実施した一方、国内外の個社で戻入益を計上したこと等により、前連結会計年度比547億円減少し、516億円の費用計上となりました。
株式等関係損益は、政策保有株式売却益の増加等により、前連結会計年度比1,175億円増加し、1,412億円の利益となりました。
持分法による投資損益は、前連結会計年度比205億円増加し、467億円の利益となりました。
その他は、479億円の損失となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度比2,540億円増加し、1兆1,681億円となりました。
特別損益は、前連結会計年度に計上した大口の退職給付信託の返還益の剥落等により、前連結会計年度比190億円減少し、219億円の利益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比2,350億円増加し、1兆1,900億円となりました。
税金関係費用は、前連結会計年度比296億円増加し、3,014億円となりました。
当期純利益は、前連結会計年度比2,053億円増加し、8,886億円となりました。
非支配株主に帰属する当期純損益(利益)は、前連結会計年度比10億円減少し、32億円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比2,064億円増加し、8,854億円となりました。
包括利益は、その他有価証券評価差額金の減少等により、前連結会計年度比7,268億円減少し、6,181億円(利益)となりました。
-参考-
(図表2)損益状況 (株式会社みずほ銀行及びみずほ信託銀行株式会社2行合算ベース(以下「銀行単体合算ベース」))
当社グループは、顧客セグメント別のカンパニー制を導入しており、これに伴って報告セグメントを5つのカンパニーに分類しております。
前連結会計年度及び当連結会計年度におけるセグメント情報の概要は、以下の通りです。
なお、詳細につきましては、第5 経理の状況、1.連結財務諸表等、(1)連結財務諸表の(セグメント情報等)に記載しております。
(図表3)報告セグメントごとの業務粗利益+ETF関係損益等、業務純益+ETF関係損益等及び固定資産の金額に関する情報
* 業務粗利益は、信託勘定償却前の計数であり、業務純益は、信託勘定償却前及び一般貸倒引当金繰入前の計数であります。
各カンパニーの2024年度の取り組み内容は次の通りです。
(リテール・事業法人カンパニー)
個人のお客さまには、インフレ・円金利上昇等の環境変化を背景とした運用ニーズの拡大も踏まえ、グループ一体となった総合資産コンサルティングの充実に向け、銀行・信託・証券のそれぞれの強みや特性を活かした総合的な金融サービスの提供を行うとともに、法人のお客さまには、東証改革や国内外の金利上昇等、社会・経済の環境変化を受け多様化するお客さまニーズへの対応力を強化し、グループ一体でのソリューション提供に取り組みました。ビジネス領域を拡げるアライアンスにおいては、楽天カード株式会社との戦略的な資本業務提携を行いました。
また、安定的な業務運営体制の構築・持続的強化のため、企業風土の改革、お客さまや現場の「声」の活用、システム障害の再発防止・未然防止に向けた点検等について継続的に取り組みました。
(コーポレート&インベストメントバンキングカンパニー)
東証改革等の資本市場の変化、カーボンニュートラル等のサステナビリティ重視の潮流、国際情勢の不安定化に伴う内外市場における不確実性の高まり等により、社会・経済において様々な構造転換が加速しております。多種多様な課題に起因するお客さまのニーズに対して、深い業界知見とプロダクツ専門知識を活かし、グループ横断的なセクター別営業体制を通じて企業の競争力強化に資するソリューション提供を行いました。お客さまの資金ニーズへの対応に加え、M&A、不動産等をはじめとする仲介機能やコンサルティング力を発揮するとともに、メザニンファイナンスやエクイティの提供を通じて、お客さまとの事業リスクシェアにも積極的に対応しました。
(グローバルコーポレート&インベストメントバンキングカンパニー)
地政学リスクの高まりや金利環境の変化など、海外事業を取り巻く不確実性が高まる中、お客さまの事業戦略の見直しやサプライチェーンの再構築に対して、金融面からサポートを行ってまいりました。地域ごとのCIB(コーポレート&インベストメントバンキング)戦略の深掘りを通じた資本市場ビジネスやトランザクションバンキングの拡大、買収したGreenhill社のM&A機能とグローバルネットワークの活用により、お客さまの幅広いニーズに応えてまいりました。
また、〈みずほ〉のセクター知見を活かしたエンゲージメントを通じて、お客さまのトランジション・脱炭素への取り組みをサポートし、サステナブルファイナンスやアドバイザリーサービスを提供してまいりました。
なお、拡大する海外ビジネスを支えるコーポレート機能の高度化にも取り組んでいます。
(グローバルマーケッツカンパニー)
セールス&トレーディング業務においては、国内外で銀行・証券の実質一体運営の推進、「ソリューションアプローチ」の強化、プロダクツラインの多様化によりお客さまのニーズに対応し、フローを的確に捉えることで、収益化してまいりました。ALM・投資業務においては、上期には相場変動を捉えた機動的なオペレーションにより収益を積み上げた一方、不確実性の高い市場環境となった下期には、抑制的なポートフォリオ運営を基本としてリスクコントロールに注力しました。また、安定的かつ効率的な外貨資金調達を通じて、お客さまのグローバルビジネスのサポートに努めるとともに、海外でのグリーンボンド発行等でサステナビリティ推進に取り組みました。
(アセットマネジメントカンパニー)
リテールのお客さまに対しては、資産運用立国の実現に向けてますます高まっていく資産運用ニーズに対応すべく、幅広い層に向けた外株ファンドや金利変動局面等の金融市場の変化を見据えたファンドの新規設定を含め、多様なニーズに応じたソリューションを提供してまいりました。また、商品提供力強化の取り組みとして、有力なオルタナティブ資産運用会社であるGolub Capital社との業務提携を行いました。
機関投資家のお客さまには資産・負債の両面を踏まえたポートフォリオの分析・助言を、年金基金等のお客さまには年金制度・運用にかかるコンサルティング提案等によるサポートを行ってまいりました。
前連結会計年度及び当連結会計年度における財政状態のうち、主なものは以下の通りです。
(図表4)
(図表5)
有価証券は34兆3,075億円と、前連結会計年度末比3兆9,378億円減少しております。うち国債(日本国債)が2兆7,038億円減少しております。
(図表6)
(銀行単体合算ベース:銀行勘定+信託勘定)
*1 「中小企業等」とは、資本金3億円(ただし、卸売業は1億円、小売業、飲食業、物品賃貸業等は5千万円)以下の会社又は常用する従業員が300人(ただし、卸売業、物品賃貸業等は100人、小売業、飲食業は50人)以下の企業等であります。
*2 海外店貸出金残高には、特別国際金融取引勘定を含んでおります。
当連結会計年度末の連結ベースの貸出金残高は、国内店貸出金の増加を主因に、前連結会計年度末比1兆3,299億円増加し、94兆1,087億円となりました。
なお、銀行単体合算ベースの貸出金は94兆6,743億円と前事業年度末比9,769億円減少しております。国内店貸出金残高は、金融業・保険業向け貸出金が減少したこと等で、4,826億円減少(うち金融業・保険業向け2兆1,861億円減少)しております。海外店貸出金残高(含む特別国際金融取引勘定)は欧州を中心に減少したこと等により、4,942億円減少しております。
預金
(図表7)
(銀行単体合算ベース)
* 海外店分及び特別国際金融取引勘定分は含まれておりません。
当連結会計年度末の連結ベースの預金は、前連結会計年度末比1兆1,079億円減少し、158兆7,467億円となりました。銀行単体合算ベースの国内預金は、一般法人預金の減少等により、前事業年度末比1兆4,649億円減少しております。
また、連結ベースの譲渡性預金は14兆3,987億円と、前連結会計年度末比2兆8,082億円増加しております。
(図表8)
当連結会計年度末の純資産の部合計は、前連結会計年度末比2,116億円増加し、10兆5,237億円となりました。主な変動は以下の通りです。
株主資本合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金の支払い等により、前連結会計年度末比5,076億円増加し、9兆4,236億円となりました。
その他の包括利益累計額合計は、繰延ヘッジ損益の減少等により、前連結会計年度末比2,979億円減少し、1兆185億円となりました。
非支配株主持分は、前連結会計年度末比19億円増加し、815億円となりました。
[不良債権に関する分析(銀行単体合算ベース)]
(図表9)銀行法及び再生法に基づく債権(銀行勘定+信託勘定)
当事業年度末の不良債権残高(要管理債権以下(A))は、前事業年度末比2,376億円減少し、1兆185億円となりました。不良債権比率((A)/(B))は0.93%となっております。不良債権残高・比率ともに減少となりました。
前事業年度及び当事業年度における銀行法及び再生法に基づく債権(要管理債権以下)の保全及び引当は以下の通りであります。
(図表10)保全状況(銀行勘定)
(参考)要管理先債権に対する引当率・保全率
破産更生債権及びこれらに準ずる債権については、前事業年度末比、担保・保証等が46億円減少、引当金が2億円増加しております。信用部分全額を個別貸倒引当金として計上、ないしは直接償却を実施しており、その結果、信用部分に対する引当率、保全率ともに100%となっております。
危険債権については、前事業年度末比、担保・保証等が271億円減少、引当金が282億円減少しております。また、信用部分に対する引当率は12.7ポイント上昇し87.4%に、保全率は9.9ポイント上昇し90.4%となっております。
要管理債権については、前事業年度末比、担保・保証等が285億円減少、引当金が412億円減少しております。また、信用部分に対する引当率は5.2ポイント低下し33.2%に、保全率は4.0ポイント低下し51.6%となっております。
前記債権以外の債権に対する引当率は、以下の通りであります。
(図表11)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社グループは、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の算出においては標準的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク相当額に係る額の算出においては標準的方式及び簡易的方式を採用しております。
また、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準(平成31年金融庁告示第12号)に定められた算式に基づき、算出しております。
(図表12)
連結自己資本比率(国際統一基準)
持株レバレッジ比率(国際統一基準)
普通株式等Tier1資本の額は、前連結会計年度末比2,462億円増加し、9兆5,062億円となりました。一方、リスク・アセットの額は、信用リスク・アセットの額の減少等により、前連結会計年度末比8,758億円減少し、71兆8,444億円となりました。この結果、連結普通株式等Tier1比率は前連結会計年度末比0.50ポイント上昇し、13.23%となりました。
また、持株レバレッジ比率は前連結会計年度末比0.07ポイント上昇し、4.77%となりました。
前連結会計年度及び当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下の通りです。
(図表13)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、コールローン等の増加等により3兆8,208億円の支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却・償還等により3兆7,930億円の収入となり、財務活動によるキャッシュ・フローは、劣後特約付社債の償還等により2,990億円の支出となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比4,424億円減少して、70兆7,233億円となりました。
外貨につきましては、対顧預金の獲得に加え、TLAC債等の中長期調達等により十分な流動性を確保しております。
「生産、受注及び販売の実績」は、銀行持株会社としての業務の特殊性から該当する情報がないため、記載しておりません。
(参考)
当連結会計年度において、資金運用収支・信託報酬・役務取引等収支・特定取引収支・その他業務収支の合計は2兆9,204億円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当社及び国内に本店を有する連結子会社(海外店を除く。以下「国内連結子会社」という)であります。
2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下「海外連結子会社」という)であります。
3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。
4.資金調達費用は金銭の信託運用見合費用を控除しております。
当連結会計年度において、資金運用勘定の平均残高は231兆1,156億円、利息は6兆2億円、利回りは2.59%となりました。資金調達勘定の平均残高は236兆5,573億円、利息は4兆9,548億円、利回りは2.09%となりました。
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の国内連結子会社については、四半期ごとの残高に基づく平均残高を利用しております。
2.「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。
3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息をそれぞれ控除して表示しております。
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、海外連結子会社については、四半期ごとの残高に基づく平均残高を利用しております。
2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息をそれぞれ控除して表示しております。
③ 合計
(注) 「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。
当連結会計年度において、役務取引等収益は1兆1,154億円、役務取引等費用は2,086億円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。
2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。
当連結会計年度において、特定取引収益は1兆474億円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。
2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。
4.内訳科目はそれぞれの収益と費用で相殺し、収益が上回った場合には収益欄に、費用が上回った場合には費用欄に、国内・海外・合計ごとの純額を表示しております。
当連結会計年度末において、特定取引資産は22兆2,407億円、特定取引負債は14兆2,905億円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。
2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。
(注) 1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。
2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
3.「相殺消去額」には内部取引金額等を記載しております。
4.預金の区分は次の通りであります。
① 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
② 定期性預金=定期預金+定期積金
(注) 1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。
2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
(注) 「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げております。
(注) 1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。
2.「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
3.「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
当社および楽天カード株式会社による戦略的な資本業務提携について
当社は、楽天グループ株式会社の連結子会社である楽天カード株式会社と戦略的な資本業務提携を行うことについて、2024年11月13日に合意いたしました。本提携に伴い、当社と楽天グループ株式会社は同日付で株式譲渡契約を締結の上、当社は楽天カード株式会社の普通株式の14.99%を楽天グループ株式会社から取得いたしました。また、当社と楽天グループ株式会社は、同日付で株主間契約を締結しております。決済ビジネスにおいて、より利便性の高い新たなリテール事業モデルの構築に向けた取り組みを推進してまいります。
該当ありません。