第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1)経営方針

○セブン銀行グループの存在意義(パーパス)

お客さまの「あったらいいな」を超えて、日常の未来を生みだし続ける。

○経営理念

1.お客さまのニーズに的確に応え、信頼される銀行を目指します。

2.社員一人一人が、技術革新の成果をスピーディーに取り入れ、自己変革に取り組んでいきます。

3.安全かつ効率的な決済インフラの提供を通じて、我が国の金融システムの安定と発展に貢献します。

○経営の基本方針

当社は、セブン‐イレブンをはじめとするグループの2万店以上の店舗インフラを活用し、原則24時間365日利用できるATMネットワークを構築することで、お客さまの暮らしに密着した「おサイフ」代わりの銀行サービスを「安全、確実、迅速」に提供することに努めます。

また、利便性の高い当社ATMネットワークを他の金融機関等に活用いただくことでお客さまサービスの向上や事業効率化に繋げていただく等、共存共栄の理念に基づいたサービスの実現を図ります。

さらに、セブン&アイグループの銀行事業とノンバンク事業が一体となってお客さまの「ふだんの暮らし」に密着した金融サービスを広く提供することにより、幅広いお客さまにより多くご来店いただくように努力するとともに、結果としてグループの収益力を向上させるという相乗効果を追求してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、取巻く事業環境の大きな変化に対応し持続的に企業価値を向上させるため、収益構造に厚みを持たすべく事業の多角化を推進しております。当社グループの長期的な持続可能性・成長性を最大化すべく2021年5月に策定した中期経営計画では、連結経常収益拡大を最重視した施策を推進しております。なお、中期経営計画の実行度合いを評価する指標として、計画最終年度の連結KPIを以下のとおり設定しておりましたが、足元の業績進捗を踏まえ、2023年5月12日にこのKPIをアップデートしております。

 

2023年度実績

2025年度目標

(策定当初)

2025年度目標

(アップデート)

連結経常収益

1,978億円

1,700億円

2,500億円

連結経常利益

305億円

350億円

450億円

自己資本当期純利益率

12.2%

8.0%以上

8.0%以上

 

 

(3)経営環境

当社グループを取巻く事業環境は国内外における物価上昇や金利上昇、デジタル技術進展に伴う決済手段の多様化や異業種の金融事業への新規参入、環境・社会課題への意識の高まり等、急速に変化しております。これまで以上に社会の変化、お客さまのニーズの多様化を敏感に捉え、技術革新の成果をスピーディーに取り入れた柔軟な経営が求められていると認識しております。

加えて格差拡大、気候変動等の社会課題が顕在化・深刻化しており、企業も社会を構成する一員として、その解決に対し、これまで以上に真摯に向き合う時代を迎えております。

 

 

(4)中長期的な経営戦略

当社グループは、「お客さまの『あったらいいな』を超えて、日常の未来を生みだし続ける。」ために存在します。この存在意義に基づきセブン銀行はお客さまの生活に寄り添い「近くて便利」、「信頼と安心」を実現するユニークな銀行として、持続的な成長を目指してまいります。

2025年までの5カ年を当社が持続的に成長し、「第二の成長を具体化していく」期間と位置づけ、中期経営計画(2021年度~2025年度)を策定しております。本中期経営計画では、以下の3つの基本施策を推進してまいります。

<基本施策>

①基幹事業であるATMプラットフォーム事業の変革と積極的な投資を通じた戦略事業分野での事業多角化

②サステナビリティを長期的な経営戦略の根幹と位置づけ、深刻化・顕在化する社会課題に対し事業活動を通じて貢献し、社会・企業双方における新たな価値創造を持続的に推進

③持続的成長の原動力となる事業・運営の両面における企業変革(コーポレート・トランスフォーメーション)の推進

 

(5)対処すべき課題

当社グループは、環境変化を更なる変革と飛躍のチャンスと捉えており、以下の課題に対処することにより、当社グループの持続的成長を実現し、お客さまや社会に必要とされる企業であり続けたいと考えております。

 

<国内事業(銀行業その他)セグメント>

■ATMプラットフォーム戦略

・これまで当社が中核事業としてきたATMの現金プラットフォーム事業は、キャッシュレス化の進展などにより、大きな転換点を迎えておりますが、従来から取り扱ってきた金融機関の現金入出金取引に加え、QRコード決済等事業会社の現金チャージ取引が大きく増加したことなどにより、当社のATM年間総利用件数は今なお増加を続けております。当社は、決済環境の変化は新しいATMサービスが生まれるチャンスであるとの認識のもと、デジタル化、キャッシュレス化の流れの中でも、リアルとバーチャルの貴重な接点として、引続きATMを通じて、お客さまに安心で便利なサービスを提供する取組みを続けてまいります。

・2019年9月に設置を開始し、入替を進めてきた第4世代ATMは全台数のおよそ7割以上にまで達しております。第4世代ATMで新たに実装した機能(本人認証機能、スキャニング機能等)を活用した新サービス「+Connect(プラスコネクト)」は2023年9月より提供を開始し、金融機関などの諸手続きをセブン銀行ATMで行うことが可能となりました。今後も、対象エリアの拡大及びサービスの拡充を図り、セブン銀行ATMがサービスプラットフォームとして、あらゆる手続き・認証の窓口となる世界の実現を目指してまいります。

 

■リテール戦略

・金融リテール分野では従来の金融機関等に加え、Fintech企業等様々な企業がひしめき合い、金融サービスのアンバンドリング化・多様化が進んでいます。このような中、当社は、3,000万人以上の会員数を誇る「7iD」との連携を始めとした、セブン&アイグループとの連携強化を図るとともに、流通グループ発祥の銀行ならではのユニークな金融商品を開発・提供する取組みを拡大してまいります。

・日本に居住する外国人居住者が増加する中、当社グループは、セブン銀行海外送金サービスやセブン銀行ATMを介した海外送金事業者との協業、海外グループ会社との連携といった強みを活かしながら、外国人居住者に使っていただきやすい金融サービスを提供することで、誰もが暮らしやすい社会を目指し、多文化共生の実現に貢献してまいります。

 

■法人戦略

・当社が創業来蓄積し、強みとしている銀行品質の事務処理能力や安心・安全な資金管理・資金移動の仕組み、認証などのセキュリティの高いテクノロジーについて、金融機関や一般事業者に提供するサービスの拡大を図ってまいりました。昨今、進化するDXの技術をいち早く取り入れ、外部事業者とも協力しながら事業規模の拡大に努めてまいります。

 

<クレジットカード・電子マネー事業セグメント>

・2023年7月より当社連結子会社となった株式会社セブン・カードサービスは、セブン&アイグループの決済サービス事業会社として、クレジットカード「セブンカード・プラス/セブンカード」と電子マネー「nanaco」を発行・運営し、お客さまの毎日の便利を支えています。今後は、セブン銀行のバンキング事業と一体運営することで、両社が培ってきたノウハウ・専門性と統合・拡充しつつ、グループ共通の会員基盤である「7iD」との連携を深化させていくことで、「ふだんの暮らし」に密着した金融サービスの提供に挑み続けてまいります。

 

<海外事業セグメント>

■海外戦略

・米国では、米国金利の上昇により資金調達コストが増加しておりますが、ATM機内現金の圧縮対策などにより金利市場の影響を最小化する手段を講じてまいります。また、現在米国セブン‐イレブン店舗に設置している約8,600台のATMに加えて、新たにSpeedway約3,000店舗へのATM設置を開始し、全米でのATMネットワークをさらに強固なものとしてまいります。さらに、この強固なATMネットワークを基盤としながら米国セブン‐イレブンとの協業を拡大し、小売と金融を組み合わせた独自の金融サービスを提供することで、米国市場での顧客基盤の強化と事業の多角化を目指してまいります。

・アジアでは、インドネシア・フィリピンの2カ国で、積極的なATM設置を継続しており、両国ともに国内最大規模のATM事業者にまで成長しております。両国では、利用者にとって日常生活に必要なATMが十分に設置されていないため、引続き高い需要が見込まれます。今後は両国におけるATMネットワーク網を引続き拡大させるとともに、ATMを入り口とした多層的な金融サービスの実現にも取組んでまいります。

 

 当社グループを取り巻く環境は大きく変化し続けておりますが、当社グループが創業から大事にしてきた常にお客さまの想いに寄り添い、お応えする姿勢はこれからも変わることはありません。

 当社グループは、“お客さまの「あったらいいな」を超えて、日常の未来を生みだし続ける。”というパーパスの実現に向けて、更なるサービスの向上に努めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

当社グループはサステナビリティを長期的な経営戦略の根幹と位置づけ、当社におけるサステナビリティの基本的な考え方を定め、持続的に推進することを目的とし、2021年に「サステナビリティ推進基本方針」を策定しました。当社において、サステナビリティとは、「事業活動を通じて環境・社会課題の解決に積極的に取組み、環境・社会と企業双方に価値を創り出すこと」であり、「お客さまや社会から支持され環境や社会と共存する企業として主体的に果たすべき社会的責務」と定義しています。この考え方に基づき、サステナビリティ推進の適切性、妥当性を審議するための機関として「サステナビリティ委員会」を設置しています。

 

「サステナビリティ委員会」は、経営会議の諮問機関として位置付けており、構成メンバーはSDGs推進担当役員を委員長とし、代表取締役社長、代表取締役会長をはじめ、監査役、監査部長、主要グループ会社のサステナビリティ責任者などを含めた多様性のあるメンバーで年4回程度開催しています。委員会にて審議・検討された重要事項については最低でも年1回以上、経営会議および取締役会に付議・報告する体制を整備しています。

 

当社では、2019年にステークホルダーとともに持続的な成長を目指すため、事業を通じた共通価値の創造を掲げ、当社が優先して取り組むべき「5つの重点課題*」を策定しました。策定にあたっては、主要ステークホルダーである株主・投資家や社員、取引先へのアンケートを実施、それらを踏まえた経営層と社員による複数回のディスカッションを経て、当社にとって優先度の高いテーマを選定しました。また、各テーマに沿って、長期目標と達成に向けた主な活動を整理し、本業を通じた社会課題の解決に取り組むことで、SDGsの達成に貢献しています。5つの重点課題のうち、社会・環境に焦点を当てた重点課題は以下の通りです。

*「5つの重点課題」:1.安心・安全な決済インフラの提供、2.新しい金融サービスを通じた生活創造、3.誰もが活躍できる社会づくり、4.環境負荷の低減、5.多文化共生の実現

 

サステナビリティの観点から注力する重点課題:

 

重点課題

主な活動

3.誰もが活躍できる社会づくり

・ダイバーシティ&インクルージョン推進に向けた組織風土改革

・社員の持続的な能力開発のための積極的な投資

・社員の健康管理と健康増進への取組み

4.環境負荷の低減

・CO2排出量の削減への貢献

・環境保全活動を通じた社員の意識醸成

 

 

1.気候変動への取組み

当社グループでは、地球温暖化は企業の持続可能性にも深刻な影響を及ぼすことから、気候変動リスクを重要な経営課題のひとつと認識しております。2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しており、2023年には気候変動リスクおよび機会を把握するため、当社の主力事業であるATMプラットフォーム事業を対象にシナリオ分析を実施しました。気候変動が自社の事業活動や収益等に与える影響を分析し、具体的な対策を講じるとともに、ステークホルダーへの情報開示を拡充しております。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、「サステナビリティ委員会」において、「グループと連動した気候変動対応」を重点項目の一つとしており、気候変動に関する重要事項を協議し、社会課題や環境問題の解決に向けた取組み状況の把握と併せて、サステナビリティ情報開示や外部評価の対応を行っております。

 

また、気候関連リスクについては、全社的なリスク管理統括部署と連携しており、リスク管理に関する経営会議の諮問機関としては「リスク管理委員会」を設置しています。取締役会により毎年度決定される「リスク管理基本方針」に沿って、全社的なリスク管理方針、各種リスク管理方針およびリスク管理組織・体制が定められ、経営会議にてリスク管理に関する諸規定を定めるとともに、四半期ごとに全社的なリスク状況を確認しています。

 

経営会議では、その諮問機関である「サステナビリティ委員会」および「リスク管理委員会」で報告された重要項目に対して、その対応方針を決定するとともに、「サステナビリティ委員会」および「リスク管理委員会」を通して各部やグループ各社の対応進捗や目標の達成状況を監督し、適宜、方針・取組みの見直しを行っております。

一方、取締役会では、経営会議でのサステナビリティに関する議論を踏まえ、会社経営の視点で、サステナビリティに関する基本方針および業務運営における重要事項の決定並びに業務執行について監督しています。

 

(2)戦略

「サステナビリティ委員会」では、主力事業であるATMプラットフォーム事業を対象として、2022年3月期末時点の情報をもとに、2030年時点を想定したシナリオ分析を実施しました。その中で特に事業インパクトの大きいと想定される異常気象による物理的リスクに関しては、財務的インパクトを試算しています。

 

 

■想定するシナリオの条件

気候変動のシナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書をベースとして2℃以下と4℃シナリオを想定し、それぞれの世界で当社ATM事業に与える様々な要因を抽出し、財務的な影響を評価した上で、リスクと機会を特定しました。

 

項目

2℃以下シナリオ

4℃シナリオ

参照シナリオ

(2℃シナリオ)

IEA Sustainable Development Scenario、IPCC RCP2.6

(1.5℃シナリオ)

IEA Net Zero Emissions by 2050

(4℃シナリオ)

IEA Stated Policies Scenario、IPCC RCP8.5

対象年

2030年時点

対象事業

セブン銀行ATM事業   26,253箇所

想定される世界観

2100年時において、産業革命時期比で1.5℃未満の平均気温上昇が想定されるシナリオ。カーボンニュートラル実現を目指し、気候変動問題を抑制するために現状以上の厳しい政策・法規制等が敷かれる。

2100年時において、産業革命時期比で3.2℃~5.4℃(約4℃)の平均気温上昇が想定されるシナリオ。気候変動問題を軽減するための積極的な政策・法規制等は敷かれず、異常気象の激甚化が顕著に表れる。

 

 

■気候変動によるリスク及び機会の特定

リスク・

機会の種類

評価項目

顕在時期

事業インパクト

財務的影響

4℃

1.5℃

移行リスク

政策・法規制

資源循環に関する規制

中期~

長期

・ATM機体に使用している化石燃料由来プラスチックの流通・使用が規制され、バイオプラスチック等の代替材料への転換が必要となる

・リサイクル可能な材料・構造への転換が必要となり、対応コストが増加する

市場の変化

原材料コストの変化

中期~

長期

・原油価格の高騰により、ATM機体に使用している化石燃料由来プラスチックの価格が増加した場合、製造コストが増加する

エネルギーコストの変化

中期~

長期

・再生可能エネルギー需要の増加により、電力価格が上昇し、オフィスやデータセンターでの操業コストが増加する

・ガソリン代の高騰により、警送費等の費用が増加する

物理リスク

急性

異常気象の頻発・激甚化

短期~

長期

・浸水によるATM不良、自然災害による現金輸送網の分断、ATM設置場所の営業停止による利用件数の減少など、主力事業であるATM事業の収益力が低下する

・人々の外出機会の減少に伴う、ATM利用件数の減少により、収益が減少する

慢性

平均気温の上昇

短期~

長期

・オフィスや東西のデータセンターでの空調コストが増加する

機会

製品・サービス

環境配慮意識の高まり

中期~

長期

・省エネ性能に優れたATMの切り替え、リサイクル可能なATMへの関心の高まりにより、当社ATMへの代替需要が増加する

・ATMネットワーク全体での気候変動への取組みが進み、持続可能な社会インフラとしてのATMへの需要が高まる。

市場

平時・有事の現金ニーズ

短期~

長期

・気温上昇により、コンビニへの来店客数が増加し、ATM利用機会が増加する

・災害発生時の適応策として、移動ATM車両派遣サービスの需要が増加する

・災害発生時の現金ニーズが高まり利用件数が増加する

 

*短期:1年、中期:1年~5年、長期:5年~30年

 

 

■財務インパクトの試算

また、シナリオ分析の結果、事業インパクトが大きいと評価された異常気象による当社設置ATMへの被害と影響については、ハザードマップから全国のATM設置場所で洪水・高潮の発生頻度や発生確率を割り出し、被害を受けた場合のATM実機の損害についてATM復旧費用および稼働停止による損失を算出し、財務インパクトを試算しました。

 

前提条件

試算項目

試算結果
(単位:百万円/年)

2030年時点の4℃シナリオおよび2℃以下シナリオの両シナリオにおいて、異常気象の激甚化に伴い、洪水・高潮による物理的被害が増加。当社ATMは全国に多く展開しており、洪水・高潮の発生増加により、財務的な影響を及ぼすことを想定。

 

治水経済調査マニュアル(国交省)などを参考に以下の項目を試算した。

・浸水によるATM資産額への被害

・復旧費用

・稼働停止による損失額

 

※想定される浸水深などの被害情報は、ハザードマップにてATM設置箇所ごとに特定。

805~1,408

※洪水・高潮発生時の想定被害額に年超過確率を乗じて、年平均の被害額(単年)を算出

 

 

■当社の主な取組みについて

気候変動関連のリスクおよび機会に対応し、当社グループでは脱炭素社会の実現に向けた様々な取組みを行っています。

リスク・

機会の種類

評価項目

主な取組

移行リスク

政策・法規制

資源循環に関する規制

既存ATMの対応策

次世代ATMの対応策

・ATMは設計段階から、リサイクル素材の導入やメンテナンスしやすい構造などを積極的に採用しています。不具合が起きた場合は、パーツごとの取替えやメンテナンスを行い、長く使えるような工夫も取り入れています。

・セブン‐イレブン店舗の改装・閉店や、第4世代ATMへの入替えに伴い撤去・回収したATMは、再利用可能な機体であればメンテナンスを行ってリユースするほか、パーツ単位でも再利用を行います。

・再利用ができない古くなったATMは、リサイクル業者を通じて再資源化し、リサイクル率約100%を達成しています。

・次世代のATM検討に向けては、産学連携した新素材の発掘やリサイクル素材の研究・開発を視野に入れて取組みを進めています。

市場の変化

原材料コストの変化

エネルギーコストの変化

・ATM内の現金を適正なレベルに維持するために、現在ではAIを活用して、ATMの利用状況を1台ごとに分析し、資金需要のタイミングを予測しています。その情報をベースに警送会社と協働で最適な現金輸送のルートおよび回数を確定し、輸送時のエネルギー使用量および排出されるCO2にも配慮した効率運用を実現しています。

・2022年には再生可能エネルギーだけで使用電力を調達しているデータセンターおよび持続可能に配慮したクラウドを併用し、2025年にはデータセンターのCO2排出量の完全ゼロ化を目指し、将来的なエネルギーコストの変化にも対応しています。

物理リスク

急性

異常気象の頻発・激甚化

・従来システム拠点を東西に分散させることで業務継続可能な態勢を構築しておりましたが、2021年に大部分の基幹システムをクラウドに移行、事業パートナーと連携しながら、システムの二重化や東西交互運用を継続するとともに、災害時においても、障害部位の迅速な切り離し対応やリモート保守環境の強化など障害時の早期復旧対策も強化しています。

・ATM本体にUPS(無停電電源装置)を搭載して災害による停電に備える等の対策を講じています。

・セブン‐イレブンとは、自然災害による被害を最小限にするため、災害発生エリアの店舗統括部署と事前に連携するとともに店舗の情報共有の仕組み「7VIEW」を活用してリアルタイムに状況を把握し、早期対応を図る仕組みを構築しています。

慢性

平均気温の上昇

・オフィスの服装をカジュアル化し、冷暖房機器の電力削減を推進しています。

機会

製品・サービス

環境配慮意識の高まり

・2019年にリリースした第4世代ATMは、お客さまや社会のニーズにより幅広く応えるため、機能や性能アップにとどまらず、社会・環境への貢献を高めることを開発当初から目指しました。ATMの回路設計の見直しや各部品を徹底して低消費電力のものを採用するなど、事業パートナーと協働して取組み、消費電力の40%削減に成功しました。現在、第4世代ATMは日本全国で順次導入を進めており、第3世代ATMから切り替わることでCO2排出量の削減につながっています。

市場

平時・有事の現金ニーズ

・自然災害による銀行店舗およびATMの被害を最小限にするため、金融機関からのATM代替が増加することも想定し、社会インフラとしてのATMサービスの拡充に努めています。

・大規模災害でATMが広範囲に渡って稼働できない場合には、移動ATM車両を派遣し決済インフラの提供を通じた地域支援に取組みます。

 

 

 

(3)リスク管理

当社グループでは、気候関連リスクについて「リスク管理基本方針」内の統合的リスク管理方針として、リスク評価結果・モニタリングを通じて外部・内部環境の変化に即応した機動性の高いリスク管理を実践することを定めており、全社的なリスク管理体制の中で気候関連リスクを把握・管理するプロセスに組み込まれています。

(リスク管理体制の整備状況は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております)

一方、機会については、「サステナビリティ委員会」にて、重点課題の一つである「環境負荷の低減」について各事業部での取組状況を定期的にヒアリングしており、環境に配慮したATMの更なる取組みについて関連部署との連携を強化しております。また、ATM事業に関わるパートナー企業とも連携して、サステナブルなATMネットワークの構築についても議論を始めております。

 

(4)指標及び目標

セブン銀行は、セブン&アイグループの環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」で掲げた「店舗運営に伴うCO2排出量実質ゼロ」という目標の達成に向けて環境負荷低減活動に積極的に取組んでおり、環境負荷を定量的に把握するため、年度ごとにCO2排出量を算出しています。

セブン銀行単体のオフィス4拠点およびATM直営店3拠点のCO2排出量は以下のとおりです。

 

対象範囲:

・オフィス4拠点:東京都千代田区、東京都墨田区、神奈川県横浜市、大阪府豊中市

・ATM直営店3拠点:東京都新宿区、東京都港区、大阪府大阪市

(単位:t-CO2)

 

2020年度

2021年度

2022年度

Scope1+2

他社から供給された間接排出量/

電気/熱などの利用

638

596

663(*1)

Scope3

カテゴリー1,5,6,7,12,13,その他(*2)

20,630

17,293

17,787

 

*1:2022年度より蒸気・温水・冷水のCO2排出量を加算

*2:その他として主に「従業員の家庭での電力使用による排出」を加算

 

今後は連結子会社まで対象範囲を拡大することを視野に入れ、さらにScope3についてもパートナー企業との連携を強化し、ATMネットワーク全体でのCO2削減の取組みへと進展させていく予定です。

 

2.人財戦略

(1)人財育成方針、社内環境整備方針

当社は、多様な人財が多様な形で活躍できる社会づくりに貢献することが、企業としての責務であると認識しています。そして、性別・年齢・国籍等を問わず活躍できる機会を創出し、さまざまな従業員の能力強化による生産性の向上や多様な人財の育成、また、誰もが活躍できる環境をつくることが、人々の豊かな生活と社会の継続的な発展につながると考えております。

 

人財育成方針と社内環境整備方針に関しては、以下の通りです。

① 採用

採用にあたっては、「差別的な取扱いは行わず、雇用における機会均等に努める」ことを原則としています。また、豊富な知見と経験を有するキャリア人財の積極的な採用も進めています。

 

② 育成・登用

当社では、一人ひとりのポテンシャルを見極めるため、適切なローテーションを通じて適性を確認しながら中長期的な視点で育成を行います。

自律型人財が活躍できるよう、各ステージに必要な知識やスキルを習得するための研修を実施しています。

また、社員の成長を促すべく、公平な評価を行い、それに基づいた登用を行っております。

③ 社内環境整備方針

「お客さまの『あったらいいな』を超えて、日常の未来を生みだし続ける。」というパーパスのもと、一人ひとりが個性を活かし、力を発揮し成長することが会社の成長につながると考え、「社員登用制度」「マスターズ社員制度」「在宅勤務制度」「育児・介護休業制度」等の施策の活用促進に努めています。

 

(2)指標と目標

当社グループでは上記に記載した、人財育成方針及び社内環境整備方針に関する指標について、以下の指標を用いています。当該指標に関する目標及び実績は下記の通りです。

なお、当社では、当該指標に関する関連データの管理と共に具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難です。このため、以下の指標に関する目標及び実績は、特に明記した場合を除き提出会社のものを記載しています。

① 女性管理職:2025年度末に30%を目指してまいります(2023年度末時点 17.7%)

② 中途採用管理職:2023年度末時点において90%超となっております。

③ 外国人管理職:成長戦略の一つとして、海外事業を展開しております。海外子会社の役員・管理職は海外雇用社員を登用するなどグローバルな展開を推進しています。海外子会社役員・管理職の海外雇用社員登用比率は2023年度末時点において60%を超えており、現状維持に今後も努めてまいります。

 

3 【事業等のリスク】

 

以下において、当社の事業その他に関するリスクについて、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社の事業その他に関するリスクは、これらのものに限られるものではなく、当社の認識していないリスクを含め、これら以外のリスクが無いという保証はありません。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末において判断したものであります。

なお、経営に係る各種リスクを適切に認識・管理するための枠組みとして、当社は取締役会により決定される「リスク管理基本方針」のもと、全社的なリスク管理方針、各種リスク管理方針及びリスク管理組織・体制を定めております。また、リスクに関する経営会議の諮問機関として「リスク管理委員会」、「ALM委員会」及び「セキュリティ委員会」を設置し、全社的なリスク管理統括部署としてリスク統括部を設置するとともに各種リスクの管理統括部署を設置し、適切なリスク管理を実践しております。

 

1.事業戦略上のリスク

 

(1)国内事業(銀行業その他)セグメント

当社の国内事業(銀行業その他)の収入は、ATMプラットフォーム事業に大きく依存しております。お客さまの利便性、安心感の向上を実現するために、堅実なATM台数の増加及び独自の新ATMサービスの開発・提供、セキュリティの強化等を推進しておりますが、ATMプラットフォーム事業のビジネスモデルを脅かす以下のような変化があった場合、当社の損益及び財務状況に影響が及ぶおそれがあります。

① 現金に代替する決済の普及

将来、キャッシュレス化が更に進んだ場合は、ATM利用件数が減少し、当社の損益に影響が及ぶおそれがあります。

このような環境下においても、従来の概念にない新たなATMサービス(交通系電子マネー、コード決済等へのチャージ取引やATM受取(現金受取サービス)、マイナンバーを活用した取引、新型ATMを活用した新サービス「+Connect」等)を創造するなどして、ATMの社会的価値を拡大し、利用件数の向上を目指してまいります。

② ATMサービスに関する競争の激化

当社は、グループ外のコンビニエンスストア等に対してATMを設置する会社等との間では競合関係にあります。また、ATMネットワークを有する金融機関等がATM展開を積極化する場合には、当社との競合関係が拡大するおそれがあります。

将来、これらの会社等との競争が激化し、当社ATM利用者又はATM受入手数料の減少等が生じる場合、当社の損益及び財務状況に影響が及ぶおそれがあります。

③ 経済条件の変更

当社が提携先から受取るATM受入手数料は、双方の事業にとって合理的と判断される水準に定めておりますが、ATM受入手数料の水準が引下げられた場合、またはATM受入手数料の水準が折合わず提携関係が解消された場合、当社の損益及び財務状況に影響が及ぶおそれがあります。

④ ATM設置場所確保の環境悪化

当社はグループ内の各店舗を始め、商業施設等のグループ外にもATM設置を拡大し、安定的にATM設置場所を確保、拡大しておりますが、将来、ATM設置場所の確保、拡大に支障を来す場合、当社の損益に影響が及ぶおそれがあります。

⑤ 法律改正等による提携先ビジネスへの影響

提携先のビジネスに関連する法令・規則等の改正により、提携先のお客さまの当社ATM利用が大幅に減少した場合には、ATM受入手数料収入の減少等により、当社の損益に影響が及ぶおそれがあります。

 

⑥ 金利上昇

当社では、ATMプラットフォーム事業を行うために必要な現金を、預金や社債等により調達しておりますが、これらの資金調達コストは市場の金利動向に影響を受けております。

当社では、金利変動の影響を小さくするため長期固定金利での調達を行う等、相応の対策を講じておりますが、大幅な金利変動により予期せぬ資金調達コストの上昇が生じた場合には、当社の損益及び財務状況に影響が及ぶおそれがあります。

 

また、当社は、普通預金や定期預金、個人向けローンサービス、海外送金サービス、デビットサービス等の提供を行っているほか、国内の連結子会社を通じて他金融機関等からの事務受託事業等に取組んでおります。しかし、これらのサービスが順調に拡大する保証はありません。

事業領域拡大のために、現在取扱っていない他の金融サービスの提供等、新事業を開始する可能性がありますが、これらが成功する保証はありません。新事業の展開に際し、連結子会社設立やM&A及び他社との資本提携を実施する可能性があります。しかし、これらの戦略的投資について、当初期待した効果が得られず戦略目的が達成できない場合、当社の損益及び財務状況に影響が及ぶおそれがあります。

 

(2)クレジットカード・電子マネー事業セグメント

① クレジットカードに関する競争の激化

クレジットカード業界では、規制緩和及び技術の進展により異業種からの新規参入等で競争が激化するとともに、競合他社との戦略の差別化が難しくなっており、当社グループが競争に十分対応することができない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 経済条件の変更

当社グループがセブン&アイグループのセブン‐イレブン、イトーヨーカドー等の店舗や、グループ外企業から受け取る加盟店手数料は、双方の事業にとって合理的と判断される水準に定めておりますが、加盟店手数料の水準が引下げられた場合、または加盟店手数料の水準が折合わず提携関係が解消された場合、当社グループの損益及び財務状況に影響が及ぶおそれがあります。

③ 各種規制及び法制度の変更

当社グループは、現時点の規制に従って、また、規制上のリスクを伴って業務を遂行しております。当社グループの事業は、会社経営に係る一般的な法令諸規則のほか、金融関連法令諸規則の適用を受けておりますが、これらの法令諸規則は将来において改正もしくは解釈の変更や厳格化、又は新たな法的規制によって、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)海外事業セグメント
① カントリーリスク

当社は、海外にATM運営を行う連結子会社を有しております。今後、これら連結子会社を取巻く政治・経済環境に大きな変化、あるいは自然災害等の不測の事態が生じた場合や、これら連結子会社の業績が不振に陥った場合は、当社の損益に影響が及ぶおそれがあります。

② 金利上昇及び為替リスク

海外事業では、ATM事業を行うために必要な現金を金融機関等から調達しておりますが、市場金利が上昇した場合には、当社の損益に影響が及ぶおそれがあります。加えて、為替レートの変動により、当社の利益が減少する可能性があります。

③ 犯罪等によるリスク

上記連結子会社ではATM設置への強い需要に対応して設置台数を拡大しておりますが、設置場所は国内と比べ治安が不安定な地域も含まれております。さまざまな犯罪を想定のうえ、十分な安全対策を講じておりますが、ATMへの物理的な攻撃その他想定外の犯罪に遭遇し、ATM損傷又はATM機内現金を盗取された場合、損失が生じるおそれがあります。

 

(4)固定資産の減損

当社は、有形固定資産やのれん等の無形固定資産を保有しております。保有資産・連結子会社等の収益性悪化やその他資産価値の毀損等により減損処理が必要になった場合、当社の損益及び財務状況に影響が及ぶおそれがあります。

 

 

2.システム障害

当社では、システムリスク管理についての基本的な考え方を「システムリスク管理規程」に定め、規程に基づきシステム開発・運用を行うことで、効率的な開発・品質向上及び安定運用を実現できるよう努めております。また、常時2センターが稼働するシステム構成の採用、サーバ・ネットワーク機器の冗長化、24時間365日の運用監視等、システム障害への対策を実施するとともに、重要度に応じたファイル・プログラム等のバックアップを行い、不測の事態に備え隔地保管を実施しております。

しかし、大地震、台風等の自然災害、停電、ネットワーク障害、コンピュータウィルス等による障害又は人為的なミスによるシステム機能停止等の危険性を完全に排除することはできず、その場合には、当社の損益に影響が及ぶおそれがあります。

 

3.外部委託先

当社は、ATM装填用現金の交換や各種システムの開発・運用のほか、ATMの保守・管理、コールセンター業務等の重要な業務を外部委託しております。また、預金口座開設に係る業務のうち、キャッシュカード発行・郵送業務等も外部委託しております。

現在、これらの外部委託先との関係は良好ですが、外部委託先の事業環境悪化等により委託手数料が高騰した場合や何らかの事情により外部委託先のサービス提供が困難になった場合等には、当社の損益に影響が及ぶおそれがあります。

 

4.グループとの関係

当社の事業戦略、人事政策、資本政策等は、全て当社が独立して主体的に検討の上、決定しておりますが、当社は、グループ内の店舗を中心にATMを設置することでATMプラットフォーム事業を展開しております。

 

(1)資本関係 

当社は株式会社セブン&アイ・ホールディングス(東証プライム上場)の連結子会社であり、当連結会計年度末現在において、同社は当社議決権の46.43%を所有しております。同社は、今後も引続き大株主であり続けるものと想定され、当社の方針決定に何らかの影響を与えないという保証はありません。

 

(2)取引関係

当社の2024年3月末時点のATM設置台数は、グループ内においては23,445台(内訳は、セブン‐イレブン店舗内22,776台、その他669台)となっております。また、グループ外においては3,977台となっております。このように、当社ATMの約85%はグループ内に設置されていることから、グループ内にATMを設置し続けることが困難になった場合やグループの店舗の来客数が著しく減少した場合には、当社の損益に影響が及ぶおそれがあります。

また、当社は、グループに対してATM設置手数料を支払っておりますが、条件の大幅な変動により当社の損益に影響が及ぶおそれがあります。

グループ各社に関連する重要な取引は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」に記載しております。

 

5.マネー・ローンダリング及びテロ資金供与等、金融犯罪への対応

当社は、ATMを中心とした非対面取引を基本とした銀行としての特殊性を認識し、口座開設時の取引時確認を厳正に行っております。また、ATM利用状況、口座利用状況を随時監視し、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与等の金融犯罪防止に係る態勢強化に努め、お客さまの保護に注力しております。また、クレジットカード業、貸金業を営む株式会社セブン・カードサービス等の当社連結子会社においても、その業態のリスクに基づいたリスクベースのリスク管理態勢構築の更なる強化に取り組んでおります。しかし、犯罪手口の急激な高度化・巧妙化より一時的に対策が追いつかない場合には、風評の悪化等により社会的評価や損益に影響が及ぶおそれがあります

 

 

6.訴訟

主に予防法務に重点を置き、弁護士等の専門家等と連携を取りながら、リスクの極小化に努めております。しかし、将来に亘って法令違反や不完全な契約締結等の法律上の問題を原因として、当社の損益及び財務状況に影響を及ぼす訴訟や係争が発生しない保証はありません。

 

7.法律改正等の影響

当社は、現行の法令・規則等に従い業務を遂行しておりますが、将来の法令改正等の内容及びその影響を予測しコントロールすることは困難であり、将来に亘り当社の想定どおりに事業を遂行できる保証はありません。

 

8.監督官庁の規制等

当社は、銀行法第4条第1項の規定に基づき、銀行業を営むことについての免許(免許書番号金監第1812号)の交付を受け、預金、為替、貸付業務をはじめとした種々の業務を営んでおります。ただし、銀行法第4条第4項の規定(注)に基づき当社の免許には一定の条件が付されており、今後、外貨預金等の新たな業務を行う場合には、改めて、監督官庁の長たる金融庁長官の承認が必要となります。

したがって、承認申請の進捗状況によっては、当社の事業計画どおりに新事業を展開できないおそれがあり、当社の損益に影響が及ぶおそれがあります。

また、銀行業については、銀行法第26条において業務の停止等及び同第27条において免許の取消し等の要件が定められており、当該要件に該当した場合、業務の停止及び免許の取消しを命じられるおそれがあります。

現時点で、当社はこれらの事由に該当する事実はないと認識しておりますが、将来、何らかの事由により業務の停止及び免許の取消し等があった場合には、当社の事業活動に支障を来し、会社の損益に重大な影響を与えるおそれがあります。

(注)銀行法第4条第4項:内閣総理大臣は、前二項の規定による審査の基準に照らし公益上必要があると認めるときは、その必要の限度において、第一項の免許に条件を付し、及びこれを変更することができる。

 

9.自己資本比率

当社は、海外営業拠点を有していないため、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)」に定められた国内基準である自己資本比率4%以上を維持する必要があります。

現状、当社の自己資本比率はこの水準を大幅に上回っております。しかし、本項に示した事業等に係る各種リスクが顕在化した場合、もしくは将来的に当該規制等が変更された場合に、その結果として要求される自己資本比率の水準を充足できなくなる可能性があります。

 

10.個人情報漏洩

当社は、銀行業務を行うに際して、多数の個人情報をはじめとするお客さまの情報を保有しております。当社は、「個人情報の保護に関する法律」に定められる個人情報取扱事業者として同法に基づき個人情報の利用目的の公表または通知、個人データの安全管理、本人からの保有個人データの開示請求等には十分留意し、その旨を「個人情報管理規程」に定め社内に周知徹底しております。さらに外部委託先との間で個人情報の取扱いに関する覚書を締結し、厳格な管理を徹底しておりますが、大規模な情報漏洩等により、お客さま等に甚大な被害を及ぼす事態が生じた場合には、監督官庁からの命令、罰則等の適用を受けるほか、当社への損害賠償請求や風評の悪化等により、当社の損益及び財務状況に影響が及ぶおそれがあります。

 

11.格付け低下等に伴う資金流動性等の悪化

現在、当社は、S&Pグローバル・レーティングから発行体格付けとして、長期「A」(アウトルック「安定的」)及び短期「A-1」を得ているほか、株式会社格付投資情報センターから発行体格付け「AA-」(格付けの方向性は「ポジティブ」)を得ております。

しかし、この格付けが将来に亘って維持できる保証はなく、引下げがあった場合には、当社の資本・資金調達に影響が及ぶおそれがあります。

 

12.人財の確保

当社では、ATMプラットフォーム事業を中心とした業容の継続的な拡大に加え、新たな事業開拓のために必要とされる人財を確保することが、事業戦略上必要であると考えております。

当社は、人財採用に関して、他の金融機関のみならず、インターネットサービス関連企業やシステム関連企業と競合関係にあるために、必要とされる人財を採用・育成し定着を図ることができない場合には、当社の損益や今後の事業展開に影響が及ぶおそれがあります。

 

13.風評等

当社では、「風評リスク管理規程」を定め、当該規程において、認識すべき風評リスクの範囲を以下のとおり定めております。

顧客やマーケット、インターネット、ソーシャル・ネットワーキング・サービスや電子メール等における当社
    グループに関する風評、風説の類

マスコミの誤報もしくは恣意的な報道等によって発生する当社グループに関する風評等

システム障害、顧客情報漏洩、事務ミス等の当社グループにて発生した事故もしくは経営の根幹に関する問題
  等についての当社グループの不適切な外部対応に起因する外部からのネガティブな評価

提携先、外部委託先、その他取引先等に関する風評等

これらの風評リスクに対し、事実に基づき的確かつ緊急に対応することを基本方針とし、当社グループに損害をもたらし得る風評等の発生を抑止するとともに、万一の発生時には適切な対処をすること、および当社グループにおいて事故もしくは経営の根幹に関わる問題等が発生した場合に適切な外部対応を実施することで、当社グループの損害発生を最小限にとどめることができるよう体制を整備しております。

しかし、当社グループは、提携先や外部委託先も多く、必ずしも当社に責めがない場合においても様々なトラブルに巻込まれるおそれがあり、その結果として風評等の悪化により社会的評価や損益に影響が及ぶおそれがあります。

 

14.感染症の発生及び拡大

当社では、感染症の発生及び拡大時の対応として、在宅勤務・時差出勤の推進、社内外を問わないオンライン会議の実施等により当社及び外部委託先の従業員の感染を防止する体制を整備していますが、感染が拡大することで事業運営に支障を来し、当社の損益に影響が及ぶおそれがあります。

 

15.物価・人件費の高騰

地政学的な緊張の高まり等を背景とした資源価格上昇等や構造的な人手不足等に起因する人件費上昇などにより、ATM運営費用や部材調達コスト等も上昇した場合、事業運営に支障を来すほか、当社の損益に影響が及ぶおそれがあります。

 

16.気候変動の影響

気候変動により大雨・台風・洪水といった自然災害の頻度が増加した場合、ATMをはじめとする当社設備が損傷することで営業活動に支障を来すほか、影響が長引けば経済活動が制限されATMの利用低下等を招くなど、当社の損益に影響が及ぶおそれがあります。

当社では、気候変動は経営上重要な課題の一つと位置付け、2021年12月にTCFD提言に賛同しました。TCFDの枠組みに準拠し、事業活動に与える影響を検証するとともに、順次開示を進めてまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 (1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類感染症」に移行する等、行動制限の緩和が一層進み、経済活動の正常化による個人消費の持ち直しの動きが見られました。一方、エネルギーコストや原材料価格の高騰に伴う物価上昇や金利・為替変動による影響に加え、世界的な金融引締めによる景気への影響が懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続きました。

このような環境の中、当社グループは、「安心・安全」なATMサービス等を提供し続ける社会インフラとしての使命を果たすことに努めてまいりました。人流回帰や資金需要の回復によりATM総利用件数が増加したことや、2023年7月1日付で株式会社セブン・カードサービスを連結子会社化した影響などにより増収となりました。一方で、新型の第4世代ATMへの更改や新紙幣対応に伴うソフトウェア更新、また連結子会社のFCTI, Inc.において米国金利の上昇に伴う資金調達費用の増加などがあったことから費用も増加いたしましたが、費用を上回る増収となったことから、経常利益は増益となりました。なお、特別利益として株式会社セブン・カードサービスの連結子会社化による負ののれん発生益などを計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益も増益となりました。

以上の結果、当連結会計年度の当社連結業績は、経常収益197,877百万円(前連結会計年度比27.6%増)、経常利益30,526百万円(同5.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益31,970百万円(同69.5%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

 

国内事業(銀行業その他)セグメントにおきましては、経常収益133,574百万円(前連結会計年度比8.3%増)、経常利益29,227百万円(同2.1%減)となりました。ATM総利用件数は1,039百万件(同6.0%増)となりました。

クレジットカード・電子マネー事業セグメントにおきましては、経常収益26,836百万円、経常利益3,583百万円となりました。

海外事業セグメントにおきましては、経常収益38,862百万円(同22.1%増)、経常損失1,771百万円となりました。

 

当連結会計年度の当社財政状態は、総資産1,717,818百万円(前連結会計年度末比405,545百万円増)、負債1,441,962百万円(同383,930百万円増)、純資産275,856百万円(同21,614百万円増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、988,721百万円(前連結会計年度末比38,464百万円増)となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に預金の純増減94,010百万円、コールマネー等の純増減60,000百万円等の増加要因が、ATM未決済資金の純増減△43,217百万円及びコールローン等の純増減△22,000百万円等の減少要因を上回ったことにより、100,751百万円の収入(前連結会計年度比34,173百万円増)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券の取得による支出△37,590百万円、無形固定資産の取得による支出△21,534百万円等の減少要因が、有価証券の償還による収入18,048百万円等の増加要因を上回ったことにより51,937百万円の支出(同15,746百万円減)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払額△12,966百万円、自己株式の取得による支出△1,873百万円等の減少要因により、12,090百万円の支出(同882百万円増)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 

銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

 

 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたっての重要な事項は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表」の「注記事項」に記載のとおりであります。

 

② 国内事業(銀行業その他)セグメント

 

当連結会計年度は、預貯金金融機関の取引件数の増加に加え、引続き当社ATMを利用した各種キャッシュレス決済の現金チャージ取引件数が順調に増加したことにより、ATM総利用件数は前年度期を大きく上回る水準で推移いたしました

2024年3月末現在のATM設置台数は27,422台(2023年3月末比1.8%増)、当連結会計年度のATM1日1台当たり平均利用件数は105.0件(前連結会計年度比3.4%増)、ATM総利用件数は1,039百万件(同6.0%増)となりました。

なお、2024年3月末現在の提携金融機関等は676先(注)、第4世代ATMの2024年3月末時点での設置台数は19,771台(2023年3月末比47.3%増)となりました。

また、ATMの共同運営やグループ外への積極的な設置を通じ、いつでもどこでもサービスが受けられる環境づくりに加え、ATMによるマイナンバーカードの健康保険証利用申込みや、マイナポータル情報連携サービスの開始、さらには、金融機関などの諸手続をATMで受け付ける新サービス「+Connect(プラスコネクト)」の提供開始など、ATMの可能性を広げるサービスプラットフォーム戦略も着実に進めております。

今後も物価上昇や金利・為替相場の変動、キャッシュレス化の進展等により、依然として先行き不透明な事業環境が予想されますが、ATMの社会的価値を現金プラットフォームからサービスプラットフォームへと進化させ、社会の変化・お客さまニーズの変化に柔軟に対応したATMプラットフォーム戦略を引続き推進してまいります。

(注)JAバンク及びJFマリンバンクについては、業態としてそれぞれ1つとしております。

 

2024年3月末現在、個人のお客さまの預金口座数は3,037千口座(2023年3月末比10.2%増)と順調に増加し、個人向け預金残高は5,983億円(同3.9%増)となりました。また、個人向けローンサービスの残高は、2024年3月末現在で443億円(同26.2%増)となりました。

なお、「セブン銀行後払いサービス」の当連結会計年度における累計取扱高は606億円(前連結会計年度比32.0%増)となりました。

当社は社会の変化に伴い顕在化・深刻化する社会課題解決への貢献をビジネス機会と捉え、これまで培ったノウハウに加え、外部企業とも連携し、さまざまなお客さまのニーズに応じた新たな金融サービスを提供することを目指してまいります。

 

③ クレジットカード・電子マネー事業セグメント

 

当社は、クレジットカード事業・電子マネー事業を営む株式会社セブン・カードサービスを2023年7月1日付で連結子会社化いたしました。

2024年3月末時点でのクレジットカード会員数は354万人、クレジットカードキャッシング残高は105億円となりました。なお、連結対象期間(2023年7月~2024年3月)のクレジットカードショッピング取扱高は6,179億円となりました。

また、2024年3月末時点での電子マネー「nanaco」会員数は8,216万人、連結対象期間(2023年7月~2024年3月)の電子マネー取扱高は1兆3,550億円となりました。

 

④ 海外事業セグメント

 

当社連結子会社のFCTI, Inc.は、米国セブン‐イレブン店舗内にATMを設置しており、2023年12月末時点でのATM設置台数は8,602台(2022年12月末比0.4%減)となりました。

インドネシアにおける当社連結子会社PT. ABADI TAMBAH MULIA INTERNASIONALは、インドネシア現地のコンビニチェーン店舗内を中心にATMを設置しており、2023年12月末時点のATM設置台数は7,959台(2022年12月末比43.2%増)となっております。

また、フィリピンにおける当社連結子会社Pito AxM Platform, Inc.は、フィリピン国内のセブン‐イレブン店舗内にATMを設置しており、2023年12月末時点のATM設置台数は3,017台(2022年12月末比29.8%増)となっております。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性

 

当社グループの運転資金・設備資金については、預金を主とする負債及び自己資本により充当しております。

当社グループの資金調達は、ATM装填用現金等の運転資金及びATM・システム関連投資等の設備投資資金の調達に大別され、金利動向等を踏まえてベースとなる資金を預金、長期借入や社債発行等により確保した上で、日々の調達額の変動をコール市場からの調達により賄っております。

当連結会計年度末における現金預け金は988,932百万円であり、上記運転資金・設備資金を十分な水準にて確保しており、また、資金流動性確保に懸念はないものと考えております。

なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、上記「(1)② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 

「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)目標とする経営指標」に記載のとおり、当社は、取巻く事業環境の大きな変化に対応し持続的に企業価値を向上させるため、収益構造に厚みを持たすべく事業の多角化を推進しております。2021年5月に長期的な当社グループの持続成長を果たすための戦略や目標を示す為に策定した中期経営計画では、連結経常収益拡大を最重視した施策を推進しており、2023年5月には中期経営計画の中で掲げた2025年度までの目標値をアップデートすることを発表いたしました。次期の連結業績については、経常収益215,000百万円(前年同期間比8.6%増)、経常利益28,000百万円(同8.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益19,500百万円(同39.0%減)を予想しております。

また、セブン銀行単体では、経常収益133,500百万円(同3.5%増)、経常利益27,500百万円(同5.5%減)、当期純利益19,000百万円(同1.6%減)を予想しております。

 

次期は、引続き日本国内及び海外でのATM設置台数の拡大と利用促進に努めてまいります。また、新型の第4世代ATMへの入れ替えを推進し、第4世代ATMの本人確認機能を活用した新サービス「+Connect」の提携先・サービス拡大を図ってまいります。合わせて、グループの共通会員基盤である「7iD」との連携を柱に、子会社の株式会社セブン・カードサービスが展開するクレジットカードの会員獲得を積極的に進めることも計画しております。

 

 

(3)国内・海外別収支

 

当連結会計年度の資金運用収支は前連結会計年度比2,867百万円増加6,984百万円、役務取引等収支は同27,829百万円増加132,816百万円、その他業務収支は同179百万円減少309百万円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

4,414

△297

4,116

当連結会計年度

7,450

△465

6,984

うち資金運用収益

前連結会計年度

4,882

49

4,932

当連結会計年度

7,724

434

8,158

うち資金調達費用

前連結会計年度

468

346

815

当連結会計年度

274

899

1,173

役務取引等収支

前連結会計年度

93,960

11,026

104,987

当連結会計年度

117,315

15,501

132,816

うち役務取引等収益

前連結会計年度

116,898

30,847

△27

147,718

当連結会計年度

147,890

38,344

186,235

うち役務取引等費用

前連結会計年度

22,937

19,820

△27

42,730

当連結会計年度

30,575

22,843

53,418

その他業務収支

前連結会計年度

184

303

488

当連結会計年度

313

△3

309

うちその他業務収益

前連結会計年度

184

303

488

当連結会計年度

313

△3

309

うちその他業務費用

前連結会計年度

当連結会計年度

3

△3

 

(注)1.「国内」とは、当社及び国内に本店を有する連結子会社(以下、「国内連結子会社」という。)でありま
す。

 2.「海外」とは、海外に本店を有する連結子会社(以下、「海外連結子会社」という。)であります。

 3.特定取引収支はありません。

 4.資金調達費用は、金銭の信託運用見合を控除しております。

 5.「相殺消去額」には、「国内」、「海外」間の内部取引の相殺消去額等を記載しております。

 6.当連結会計年度より、一部の海外連結子会社において従来営業経費に計上しておりました費用を、役務取引等費用として計上しております。これは、当該海外連結子会社の事業規模の拡大に伴い、より取引を適切に反映した連結財務諸表の開示を行うために表示方法の変更を行ったものであります。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (表示方法の変更)」をご参照ください。

 

 

 

(4)国内・海外別資金運用/調達の状況

 

当連結会計年度の資金運用勘定平均残高は前連結会計年度比100,185百万円増加320,901百万円、利息は同3,226百万円増加8,158百万円、利回りは2.54%となりました。また、資金調達勘定平均残高は同61,382百万円増加し1,083,616百万円、利息は同358百万円増加1,173百万円、利回りは0.10%となりました。

 

① 国内

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

234,287

4,882

2.08

当連結会計年度

328,272

7,724

2.35

うち貸出金

前連結会計年度

31,404

4,669

14.86

当連結会計年度

51,557

7,442

14.43

うち有価証券

前連結会計年度

117,496

85

0.07

当連結会計年度

124,407

147

0.11

うちコールローン

前連結会計年度

26,410

39

0.15

当連結会計年度

56,415

49

0.08

うち預け金

前連結会計年度

58,975

87

0.14

当連結会計年度

95,891

84

0.08

資金調達勘定

前連結会計年度

1,014,564

468

0.04

当連結会計年度

1,069,447

274

0.02

うち預金

前連結会計年度

843,305

33

0.00

当連結会計年度

844,706

32

0.00

うち譲渡性預金

前連結会計年度

776

0

0.00

当連結会計年度

851

0

0.01

うちコールマネー

前連結会計年度

66,139

△25

△0.03

当連結会計年度

150,093

△59

△0.03

うち借用金

前連結会計年度

1

0

0.22

当連結会計年度

423

4

1.00

うち社債

前連結会計年度

104,342

460

0.44

当連結会計年度

79,371

298

0.37

 

(注)1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しております。

 2.「国内」とは、当社及び国内連結子会社であります。

 3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息をそれぞれ控除して表示しております。

 

 

② 海外

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

3,611

49

1.36

当連結会計年度

10,572

434

4.10

うち貸出金

前連結会計年度

当連結会計年度

34

10

29.31

うち有価証券

前連結会計年度

18

当連結会計年度

19

うちコールローン

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

3,592

49

1.37

当連結会計年度

10,517

423

4.03

資金調達勘定

前連結会計年度

7,669

346

4.52

当連結会計年度

14,168

899

6.34

うち預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

7,669

346

4.52

当連結会計年度

14,168

899

6.34

うち社債

前連結会計年度

当連結会計年度

 

(注)1.一部の海外連結子会社については、原則として月末毎の残高に基づく平均残高等を利用しております。

 2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

 

 

③ 合計

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り
(%)

小計

相殺消去額(△)

合計

小計

相殺消去額(△)

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

237,898

△17,182

220,716

4,932

4,932

2.23

当連結会計年度

338,844

△17,942

320,901

8,158

8,158

2.54

うち貸出金

前連結会計年度

31,404

31,404

4,669

4,669

14.86

当連結会計年度

51,592

51,592

7,453

7,453

14.44

うち有価証券

前連結会計年度

117,514

△17,182

100,332

85

85

0.08

当連結会計年度

124,427

△17,942

106,484

147

147

0.13

うちコールローン

前連結会計年度

26,410

26,410

39

39

0.15

当連結会計年度

56,415

56,415

49

49

0.08

うち預け金

前連結会計年度

62,568

62,568

137

137

0.21

当連結会計年度

106,409

106,409

508

508

0.47

資金調達勘定

前連結会計年度

1,022,233

1,022,233

815

815

0.07

当連結会計年度

1,083,616

1,083,616

1,173

1,173

0.10

うち預金

前連結会計年度

843,305

843,305

33

33

0.00

当連結会計年度

844,706

844,706

32

32

0.00

うち譲渡性預金

前連結会計年度

776

776

0

0

0.00

当連結会計年度

851

851

0

0

0.01

うちコールマネー

前連結会計年度

66,139

66,139

△25

△25

△0.03

当連結会計年度

150,093

150,093

△59

△59

△0.03

うち借用金

前連結会計年度

7,670

7,670

346

346

4.52

当連結会計年度

14,591

14,591

903

903

6.19

うち社債

前連結会計年度

104,342

104,342

460

460

0.44

当連結会計年度

79,371

79,371

298

298

0.37

 

(注)「相殺消去額」とは、連結会社間に係る相殺消去額であります。

 

 

(5)国内・海外別役務取引の状況

 

当連結会計年度の役務取引等収益は、ATM関連業務149,446百万円及び為替業務3,744百万円等により合計で前連結会計年度比38,517百万円増加186,235百万円となりました。役務取引等費用は、ATM関連業務41,728百万円及び為替業務1,808百万円等により合計で同10,688百万円増加53,418百万円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

116,898

30,847

△27

147,718

当連結会計年度

147,890

38,344

186,235

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

222

222

当連結会計年度

221

221

うち為替業務

前連結会計年度

3,312

3,312

当連結会計年度

3,744

3,744

うちATM関連業務

前連結会計年度

104,402

30,720

135,122

当連結会計年度

111,289

38,156

149,446

役務取引等費用

前連結会計年度

22,937

19,820

△27

42,730

当連結会計年度

30,575

22,843

53,418

うち為替業務

前連結会計年度

1,508

1,508

当連結会計年度

1,808

1,808

うちATM関連業務

前連結会計年度

18,583

18,768

37,351

当連結会計年度

20,172

21,556

41,728

 

(注)1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社であります。

 2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

 3.当連結会計年度より、一部の海外連結子会社において従来営業経費に計上しておりました費用を、区分掲記しているATM関連業務として計上しております。これは、当該海外連結子会社の事業規模の拡大に伴い、より取引を適切に反映した連結財務諸表の開示を行うために表示方法の変更を行ったものであります。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (表示方法の変更)」をご参照ください。

 

 

(6)国内・海外別預金残高の状況

 

○預金の種類別残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

820,758

820,758

当連結会計年度

914,768

914,768

うち流動性預金

前連結会計年度

593,606

593,606

当連結会計年度

695,654

695,654

うち定期性預金

前連結会計年度

227,018

227,018

当連結会計年度

218,748

218,748

うちその他

前連結会計年度

132

132

当連結会計年度

365

365

譲渡性預金

前連結会計年度

750

750

当連結会計年度

650

650

総合計

前連結会計年度

821,508

821,508

当連結会計年度

915,418

915,418

 

(注)1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社であります。

 2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

 3.流動性預金=普通預金

 4.定期性預金=定期預金

 

(7)国内・海外別貸出金残高の状況

 

業種別貸出状況(末残・構成比)

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内

35,111

100.00

56,219

100.00

 個人

35,111

100.00

56,219

100.00

 その他

海外

69

100.00

 個人

69

100.00

 その他

合計

35,111

56,289

 

(注)1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社であります。

 2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

 

 

(8)国内・海外別有価証券の状況

 

○有価証券残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

当連結会計年度

地方債

前連結会計年度

39,710

39,710

当連結会計年度

65,327

65,327

短期社債

前連結会計年度

当連結会計年度

社債

前連結会計年度

53,536

53,536

当連結会計年度

46,181

46,181

株式

前連結会計年度

3,219

18

3,238

当連結会計年度

2,470

19

2,490

その他の証券

前連結会計年度

20,940

△17,774

3,165

当連結会計年度

23,218

△19,140

4,077

合計

前連結会計年度

117,408

18

△17,774

99,651

当連結会計年度

137,198

19

△19,140

118,077

 

(注)1.「国内」とは、当社及び国内連結子会社であります。

 2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

 3.「その他の証券」には、外国株式を含んでおります。

 4.「相殺消去額」には、当社及び海外連結子会社の資本連結に伴い相殺消去した金額を記載しております。

 

 

(自己資本比率の状況)

 

(参考)

自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

 

(単位:百万円、%)

 

2024年3月31日

1.連結自己資本比率(2/3)

30.74

2.連結における自己資本の額

230,356

3.リスク・アセットの額

749,130

4.連結総所要自己資本額

29,965

 

 

単体自己資本比率(国内基準)

 

(単位:百万円、%)

 

2024年3月31日

1.自己資本比率(2/3)

42.37

2.単体における自己資本の額

214,329

3.リスク・アセットの額

505,773

4.単体総所要自己資本額

20,230

 

 

 

(資産の査定)

 

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当社の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2.危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3.要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4.正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

債権の区分

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(百万円)

金額(百万円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

71

78

危険債権

要管理債権

正常債権

132,556

257,589

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

(1)基本契約

会社名

契約内容

契約期間

手数料

株式会社セブン‐イレブン・ジャパン

同社の主宰するセブン‐イレブンコンビニエンスストアに対する当社のATM設置及び管理業務に関する契約

2001年5月7日から5年間とし、期間満了日の6ヶ月前までに双方の書面による契約終了の意思表示のない限り、自動的に5年間更新されることになっており、現在自動更新期間中であります。

ATM設置支払手数料として、ATM1台毎の月額固定手数料と金融取引1件毎の従量手数料を支払っております。

株式会社イトーヨーカ堂

同社の店舗等への当社のATM設置及び管理業務に関する契約

2001年5月7日から1年間とし、期間満了日の2ヶ月前までに双方いずれからも更新拒絶の意思表示のない限り、自動的に1年間更新されることになっており、現在自動更新期間中であります。

ATM設置支払手数料として、ATM1台毎の月額固定手数料と金融取引1件毎の従量手数料を支払っております。

 

 

(2)業務提携契約

当社は、ATM業務提携先の金融機関等と提携契約を締結しております。当該契約に基づき、当社は、提携金融機関等に代わって、提携金融機関等のお客さまに、当社ATMを介した出金、入金及び残高照会等のサービスを提供しております。

当社は、ATMを利用した本サービスの対価として、提携金融機関等からATM受入手数料を受取っており、当社の主要な収益源となっております。なお、提携金融機関のうち、当社が各地域で現金準備等を依頼している提携先には、ATM支払手数料を支払っております。

 

(3)ATM設置契約

当社連結子会社のFCTI, Inc.は、7-Eleven, Inc.との間で、米国内のセブン‐イレブン店舗を対象とするATM設置契約、また、当社連結子会社のPito AxM Platform, Inc.は、Philippine Seven Corporationとの間でATM設置契約を締結しております。

 

6 【研究開発活動】

 

該当事項はありません。