第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

①グループ経営理念

ふくおかフィナンシャルグループ(以下、「FFG」といいます。)は、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行、みんなの銀行をグループ傘下に持つ広域展開型地域金融グループとして、営業基盤である九州を中心に、稠密な営業ネットワークを活かし、高度かつ多様な金融商品・サービスを展開しております。

当社グループは、以下の経営理念を基本として、金融サービスの向上を通じて地域社会に対してより多くの貢献を果たすとともに、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

ふくおかフィナンシャルグループ経営理念

ふくおかフィナンシャルグループは、

高い感受性と失敗を恐れない行動力を持ち、

未来志向で高品質を追求し、

人々の最良な選択を後押しする、

すべてのステークホルダーに対し、価値創造を提供する金融グループを目指します。

 

 

②グループブランド

当社グループ各社は、グループ経営理念を共通の価値観として行動し、お客さま、地域社会、株主の皆さま、そして従業員にとって真に価値ある存在であり続けるための約束として、『コアバリュー』を表明し、ブランドスローガン『あなたのいちばんに。』を展開してまいります。

 

□ ブランドスローガン

あなたのいちばんに。

 

□ コアバリュー (ブランドスローガンに込められたお客さまへの約束)

・ いちばん身近な銀行

お客さまの声に親身に心から耳を傾け、対話し、共に歩みます。

 

・ いちばん頼れる銀行

豊富な知識と情報を活かし、お客さま一人ひとりに最も適したサービスを提供します。

 

・ いちばん先を行く銀行

金融サービスのプロ集団として、すべての人の期待を超える提案を続けます。

 

 

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、2007年4月の設立以降、福岡県、熊本県、長崎県を中心とした九州全域に広域なネットワークを有する広域展開型地域金融グループとして、地域経済の発展に資する様々な活動を展開してまいりました。

また、2016年にスタートした第5次中計から、長期ビジョン「持続的に高い競争力・成長力を実現する ザ・ベスト リージョナルバンク」を掲げ、営業基盤の拡大、収益源の多様化、生産性・健全性の向上を進めるとともに、2021年には国内初のデジタルバンクとしてみんなの銀行を立ち上げるなど、これまでにない新しい取組みにもチャレンジしてきました。

この間、テクノロジーの進化やSDGsへの意識の高まりをはじめとした社会の変化がコロナ禍により加速し、世界規模で環境は急速に変化しています。地域社会においても、人口減少や高齢化などの構造的な課題に加え、デジタル化やグローバル化を通じて世界の環境変化が影響し不確実性が増してきました。

このように当社グループを取り巻く事業環境の前提が大きく変わってきたことを踏まえ、2030年を目標とした長期ビジョンを改めて設定しました。

 

事業環境が大きく変わる一方、福岡・熊本・長崎を中心に九州に根ざした地域金融機関として、地域と利益を一つにしている構図は変わっておらず、持続可能な地域社会を実現していくことは、これからも当社グループの使命・サステナビリティそのものであると捉えています。

これを実現するためには、相当なスピードで変化する世界の状況をいち早く捉え、その果実である資本・技術・情報等を活用しながら、当社グループ自身が変革し、地域課題を解決していく必要があります。

このため、①信頼をベースに多様化する顧客ニーズにストレスなく応えるサービス開発力、②企業・社会課題を解決するソリューション力、③大きく変化する環境・社会課題や働き方に柔軟に対応できる組織力の3点を備えたい力と位置付けました。

これら3つの力を備えることで、「ファイナンスとコンサルティングを通じて全てのステークホルダーの成長に貢献するザ・ベスト リージョナルバンク」になることを2030年の長期ビジョンとし、サステナブルな地域社会と当社グループの持続的成長の同時実現を目指してまいります。

 

(3) 目標とする経営指標

2022年度より、長期ビジョンを目指す最初の中計と位置付けた第7次中期経営計画(2022年4月~2025年3月)に取り組んでおります。

第7次中期経営計画では、最終年度である2024年度の目標経営指標として、以下の項目を掲げております。

 

目標とする経営指標

最終年度 目標数値

収益性指標

親会社株主に帰属する当期純利益

650億円

ROE(連結自己資本利益率、以下同じ)

6%程度

健全性指標

自己資本比率(*)

10%半ば

効率性指標

OHR(連結)(経費/業務粗利益、以下同じ)

60%程度

 

   (*)バーゼルⅢ最終化(完全適用)ベース

 

(4) 会社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2024年度の我が国の経済動向を展望すると、雇用情勢の回復等を背景に賃金が改善に向かうことで、個人消費は増加し、好調な企業業績を背景に設備投資も底堅く推移する見通しです。また、内需に加えて、訪日外国人旅行者数の回復によるインバウンド需要も増加が続くことが期待されています。

2024年3月、日本銀行は、「賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況に至った」として、マイナス金利の解除やイールドカーブ・コントロールの撤廃等を決定しました。今後のいわゆる「金利のある世界」への対応は、当社グループの業績及び企業価値に影響を与える重要課題です。

また、当社グループの営業基盤である九州・熊本では、国家戦略でもあるTSMC第一工場が今年度稼働予定であり、第二工場の新設計画も公表されました。「新生シリコンアイランド九州の実現」に向けて、具体的な取組みを進めます。

加えて、生成AIをはじめとした、加速度的に進む技術革新を迅速かつ適切に取込むことが、今後の当社グループのビジネスの成長に欠かせません。

こうした課題を踏まえて、2024年度は、「既存ビジネスモデルの変革」を軸とする第7次中期経営計画の完遂とともに、外部収益機会を取込み、あわせて、中長期的な企業価値向上に向けた課題に取組みます。

 

■第7次中期経営計画の完遂

第7次中期経営計画では、高品質で標準化されたコンサルティングの提供を目指して「既存ビジネスモデルの変革」に取組んできました。最終年度となる2024年度は、この変革ストーリーの効果を具現化し、お客さまや地域の課題を解決することで競合との差別化を実現します。

2023年度にリリースした個人向けバンキングアプリ・事業者向けポータル「BIZSHIP」・SFA(セールス・フォース・オートメーション)の機能を更に拡充し、全従業員のデジタルリテラシー向上にも努めます。

あわせて、福岡銀行を中心に営業体制の見直しを進めます。具体的には、営業のカバー範囲を拡大し、複数の支店を一体運営する「エリア・ユニット制」を福岡県内で実施します。これにより、支店間の営業エリアの重複を無くし、複数の支店で柔軟に営業担当者の配置を行う等、お客さまの利便性を損なうことなく効果的・効率的な営業体制を構築します。また、エリア内でのノウハウ・情報共有や、本部担当者によるOJT(人財育成)を通じて営業担当者のレベルアップを図ります。

加えて、M&Aや事業承継、マーケティング、ビジネスマッチング等、本業支援に欠かせない多様なソリューションを適切なタイミングで提供するために、戦略系子会社と連携した営業を実施し、お客さまの課題解決に全力を尽くします。

 

■外部収益機会の取込み

〈国内金利上昇への対応〉

国内金利の上昇が見込まれる中で、そのメリットを最大限享受するために、「粘着性の高い預金」「適切な貸出金利鞘」「有価証券運用におけるリスク・リターンの最適化」が重要です。

国内金利が上昇する中、ネット銀行を含めて預金の獲得競争が激しさを増しています。今後、市場環境に応じた適切な預金金利の設定に加えて、給与振込や口座振替、各種ローンや新NISA等、決済や取引と紐づいた「粘着性の高い預金」が重要です。

そのために、デジタルを活用した利便性の高い金融サービスの提供に加えて、Face to Faceならではの丁寧で温かみのある接客サービスに努め、当社グループをメインとするお客さまの拡大を図ります。

貸出金利の運営についても、営業の基本方針である「お客さま本位」の考え方に変わりはありません。まずは、お客さまの課題解決のお手伝い、個人のお客さまには、新NISAを活用した資産形成や家計の見直し等の「ライフプラン・コンサルティング」、事業者さまには、販路拡大のお手伝い等の「本業支援」に取組みます。そうしたサポートの中で、ご融資金利についても丁寧にご説明させていただきます。また、金利上昇局面では固定金利の借入ニーズや金利の先高感を意識した資金需要も想定されますので、これらのニーズにも適切に対応します。

有価証券運用においては、短期から中期の円債投資を中心に、リスク・リターンの最適化を図りながら、国内金利の上昇によるメリットを享受する方針です。

 

〈半導体関連ビジネスの推進〉

当社グループでは、「新生シリコンアイランド九州」の実現に向けて、企業の資金需要に留まらない様々なニーズへの対応、企業誘致への参画、台湾企業の日本進出支援等に取組みます。

また、九州経済の持続的な成長に向けて締結した「九州・沖縄地銀11行連携協定」を通じて、TSMCを中心とする新たなサプライチェーンへの地場企業の参入支援、シンジケートローン組成による大型資金需要の取込み、地場企業の脱炭素コンサルティング等に取組みます。

 

■みんなの銀行の黒字化に向けた対応

「みんなの銀行」がサービスを開始してから3年が経過しました。

少子高齢化に起因する人口及び預金の都市圏集中という将来の環境変化に対応するため、スマホ専用のデジタルバンクを設立、全国の若年層を中心に顧客基盤を広げています。

また、複数のパートナー企業とBaaS事業による連携を開始しており、中間決済事業者を介さないパートナー企業とお客さまとの口座直接決済、パートナー企業の従業員やお客さまとの預金やローン取引等、一定の成果を上げていますが、現時点で黒字化に向けた蓋然性を高めるには至っていません。

みんなの銀行が有する「パブリッククラウドを活用した革新的かつ柔軟な勘定系システム」と「新しいビジネスモデル」は、他社にはない先進性であり、今後の当社グループの成長に貢献するものと考えます。

2024年度は当社グループの総力をあげて、ローンビジネスの確立と拡大、全国に顧客基盤を有する企業との連携によるビジネス展開に注力します。

 

■中長期的な企業価値向上に向けて

〈ROEの向上〉

第7次中期経営計画では、目標経営指標にROE6%を掲げています。一方、当社グループの株主資本コストは7-8%と認識しています。したがって、2025年度からスタートする次期中期経営計画ではROE8%、将来的にはROE10%を目指します。

当社グループでは、ROEの向上に向けて、2017年から与信審査における採算のモノサシとしてRORA(リスク・アセット対比収益率)を採用しており、営業担当者を含めて全社に浸透しています。ただし、中長期的な目標であるROE10%の達成には、RORAの引き上げが必要です。そのため、法人部門は、お客さまに対する本業支援の中で、お取引に見合った貸出金利鞘や手数料をいただくことで、RORAの改善につなげます。また、ストラクチャードファイナンス等の強化により、法人部門全体のRORAを引き上げます。個人部門は、ローン残高や投資信託残高の積み上げとともに、人員の適正配置を進め、一人当たりの収益性を改善します。

 

〈技術革新への対応〉

昨今、急速な広がりを見せる生成AIは、業務効率化や営業生産性の向上、新たなビジネス創出のコアテクノロジーとして大きな可能性を秘めています。そのため、当社グループでは、2023年度から社内規程集の参照、融資稟議の作成業務等において、AIの活用を試行し、その有用性の高さを確認しました。

この4月、DX推進本部内にAI戦略グループを新設し、足元のAIを活用したシステム導入による既存業務の効率化に留まらず、AIを前提とした抜本的なビジネスプロセス改革に取組むこととしました。

引き続き、進化する生成AIをはじめとする技術革新を迅速かつ適切に取込み、当社グループの成長につなげます。

 

〈人財戦略〉

当社グループの事業戦略を実現するためには、高度な専門スキルを持った人財が必要です。ここ数年、新卒採用者の育成・配置とあわせてキャリア採用を積極的に進め、事業戦略に必要な人財ポートフォリオの構築を進めています。

2024年度は、「ソリューション人財育成プログラム」等、人財のリスキリングや、デジタル分野・投資銀行部門等を中心にキャリア採用を強化します。

人財戦略におけるもう1つの柱は「従業員エンゲージメント」の向上です。従業員の「FFGへの理解・共感」につながるよう、社内コミュニケーションに努めます。また、過去2回実施したエンゲージメント調査の結果を踏まえて改善策を策定・実行します。

加えて、初任給の引き上げやベースアップ等による従業員の処遇改善、外部出向を含めたオーダーメイド型の人財育成、女性社員のキャリア形成支援等のDE&I推進等、当社グループの成長に向けた人的投資に積極的に取組みます。

 

〈持続可能な地域社会への貢献〉

当社グループは、地域と成長をともにする地域金融機関として、自社のCO2排出量削減はもちろん、地域の脱炭素化を目指しています。

その実現に向けて、2023年度に投融資先のCO2排出量(Scope3 カテゴリー15)を開示しましたが、削減に向けたアクションプランやScope3を含むネットゼロに向けた取組みの具体化が必要です。

2024年度は、当社グループが算出した物理的リスク・移行リスクのシナリオ分析結果や、投融資先のCO2排出量算定結果をもとに、取引先との対話を実施します。また、当社グループ独自のESG/SDGsのスコアリングサービス「Sustainable Scale Index」の活用により、取引先の脱炭素化に向けた課題を見える化し、その解決に向けて、サステナブルファイナンス等のソリューションを提供します。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ方針

当社グループではグループ経営理念の実践にサステナビリティの観点を取り入れ、その考え方を明文化した、「サステナビリティ方針」を以下のように定めております。

ふくおかフィナンシャルグループは、
グループ経営理念に基づく事業活動への取り組みを通じて、
「地域経済発展への貢献」と「FFG企業価値の向上」の
好循環サイクルを創出し、
持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。

 

このサステナビリティ方針のもと、これまで培ってきた強み(財務資本・非財務資本)や技術革新を利活用しながら事業活動を展開(ステークホルダーへの価値提供)し、経済的・物質的・精神的に豊かで持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。

 

(2)ガバナンス

当社グループでは、取締役会の指示・助言の下、経営企画部を統括部署としてFFG本部がグループ全体のサステナビリティ関連施策を推進する体制を構築しております。

 

(参考)サステナビリティ推進体制


気候関連問題については、サステナビリティ推進体制の下、当社グループが捉える重要課題として優先的に取り組んでおります。

気候関連のリスクと機会に関する役割と責任を明確化するため、当社グループでは「リスク管理方針」において、取締役会が気候関連リスクの特徴を踏まえて各種リスク管理態勢を整備・確立することを定めており、気候関連リスクの内容に応じて対応方針等を取締役会やグループリスク管理委員会にて協議する体制としております。

投融資に関しては、地球温暖化防止に向けた国際社会の要請や、持続可能な地域社会の実現に向けた取組への期待を踏まえた、環境・社会に配慮した融資の取組方針を福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行の「与信の基本方針(クレジットポリシー)」に明記し、各行の取締役会で決定しております。

 

 

(3)戦略

①気候変動に関する事項
<リスクと機会>

当社グループはグループの資産構成、ビジネスモデル、及び今後想定される外部環境等の変化を踏まえ、気候関連の「リスク」と「機会」を以下の通り認識しております。

(リスク)

区分

内容

リスク区分

時間軸(※)

物理的

リスク

当社グループの営業基盤である九州における豪雨・台風等の増加による、取引先被害深刻化

信用リスク

短期~長期

当社グループの営業基盤である九州における豪雨・台風等の増加による、子銀行店舗やデータセンター等の被害深刻化

有形資産

リスク

短期~長期

移行

リスク

脱炭素社会への移行に伴い、対応リソースが限られる中小企業取引先を中心に財務や事業継続への悪影響が顕在化

信用リスク

中期~長期

石炭火力発電事業等、環境・社会に負の影響を及ぼす可能性がある事業への規制強化に伴う、同事業向け融資の価値毀損

中期~長期

当社グループの気候変動への取組みがステークホルダーの期待と乖離することによる企業価値減少

風評リスク

短期~長期

 

 ※短期(0~3年)、中期(3~10年)、長期(10年超)

 

(機会)

区分

内容

商品・

サービス

風水災等の増加に備え、取引先への保険等を活用したリスク低減スキーム、BCP策定・診断支援等のサービスの提供

環境課題解決に向けた取引先の事業を支援するサステナブルファイナンスの増加

GHG排出量測定・削減計画実行支援等のコンサルティングサービスの増加

Sustainable Scale Index(※)を起点とした対話により取引先のサステナビリティ経営を支援するサステナブルビジネスの実現

 

 ※当社子会社サステナブルスケールと九州大学が協業で開発した独自のSDGsスコアリングモデルサービス

 

<シナリオ分析・炭素関連資産>

当社グループでは、気候関連リスクが当社グループに及ぼす影響を把握し、戦略のレジリエンスを確立するため、シナリオ分析を活用しております。

シナリオ分析結果を踏まえ、今後は取引先企業による気候変動への適応や脱炭素社会への移行に向け、対話(エンゲージメント)を強化することで事業機会の創出やリスクの低減に繋げてまいります。また、TCFD提言の改定を踏まえた新たな炭素関連資産の割合も算出しております。

シナリオ分析・炭素関連資産の詳細な情報については、当社ウェブサイト(https://www.fukuoka-fg.com/)に公表されている統合報告書2023年度版をご参照ください。

 

②人的資本に関する事項

当社グループでは、積極的な人的投資こそが企業価値向上の源泉との考えのもとで、事業戦略とリンクした人財戦略を展開しています。

人財戦略の柱は「事業戦略を実現する人財ポートフォリオの構築」と「従業員エンゲージメントの向上」です。そして、これらの土台となるのが、一人ひとりが最大限に能力を発揮するための「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」と心理的安全性が確保された「組織風土」です。

これらの好循環を創出し、当社グループが多様な個人が自律・自走する活力ある組織となることで、パフォーマンスを最大化させ、事業戦略を実現します。

事業戦略の実現、お客さまの満足により得られた収益は、更なる成長投資、人的投資へとつなげ、当社グループの持続的な成長を目指します。

 

<DE&I/組織風土>

「さまざまな経験・バックグラウンドを持つ人財の“知・経験”の多様性を尊重し融合させるとともに、組織の成長につなげていく」、これが当社グループのDE&I推進の取組方針です。

地域金融機関として、多様化・高度化するお客さまのニーズに応え、地域社会とともに持続的に成長していくために、DE&Iを全ての経営戦略の根幹をなす考え方と捉え、当社グループの人財一人ひとりが能力を最大限発揮できる環境整備を一層進めてまいります。

また、企業が持続的に成長を続けていくためには、多様なバックグラウンドを有する個々人が、自由闊達に意見が言える「心理的安全性」が確保された組織風土の醸成が必要です。

良好なコミュニケーションを積み重ね、多様な視点を持つ従業員が上司・部下、部署などの立場に関係なく、率直に意見を言うことができれば、リスク管理の強化や不祥事等の予防・早期発見による「信頼」の確保に加え、新たなビジネスの創出や働きがいの向上が期待できると考えています。

DE&Iの実現、組織風土醸成に向けた主な取組は以下の通りです。

・女性の意識向上、マネジメントスキルの習得を目的として、女性役職者向けキャリア研修や外部研修への派遣等を継続実施するとともに、女性役職者に対する「メンター制度」を実施

・女性の業務領域を拡げるために、法人融資未経験者を対象とした自主参加の勉強会を企画・実施するとともに、法人融資担当者として営業店に配置

・女性従業員によるプロジェクトチーム「ふわり」において、意識面・環境面の改革について、現場の女性の意見やアイディアを反映した施策提言や、各種イベントの企画・運営を実施

・DE&I推進に関する理解促進を図るための各種セミナー・研修等の開催

・育児休業取得者に対し、定期的な面談や復職前研修等を行う「復職支援プログラム」を実施

・配偶者の転勤に合わせて同居可能な地域に転勤できる 「パートナー帯同制度」を実施

・ベビーシッター等の利用料の一部を補助する「育児サービス利用料補助制度」を実施

・両立中の行員やその上司等の相談に対応する「両立支援相談窓口」を設置

・ロールモデルやマネジメント好事例等を紹介する「両立支援ハンドブック」を発刊

・業務において旧姓の使用を認める「旧姓使用制度」を実施

・育児休業取得者の早期職場復帰を支援するため企業内保育所「ふくぎんきっずらんど petit petit」を設置

・認可外保育料の一部を補助する「認可外保育料補助制度」を実施

・誰もが自分の生活と仕事を大切にしながら両立できる職場の実現に全員で取り組むため、男性の育児休業を一部有給化するとともに、男性の育児休業の10営業日取得を義務化

・社内SNS、職場内コミュニケーションイベントに対する費用補助、家族参観日などコミュニケーション活性化施策を実施

 

<事業戦略を実現する人財ポートフォリオの構築>

当社グループでは、長期ビジョンの実現を目指す経営戦略として「人財力の最大化」に取り組んでおり、多様な個人がその力を最大限発揮して、自律・自走する活力ある組織を構築し、組織の持続的成長を実現したいと考えています。

(人財育成方針)

事業戦略をスピード感を持って実現するためには、急速な事業環境の変化に対応できる多様な人財・スキルを獲得・育成する必要があります。そのために、従来型の採用・人財育成のみならず、採用の多様化、研修や自己啓発メニューの拡充、自律的なキャリア開発に向けた体制整備、専門人財の育成などを実施しながら、戦略的人財ポートフォリオを構築します。

人財育成方針に基づく主な取組は以下の通りです。

・事業戦略の早期実現に向け、スキル・業務ごとの体系的な育成プログラムや、専門人財育成のためのオーダーメイド型プログラム等、育成メニューを拡充

・新卒採用において、銀行本部の専門セクションのプロフェッショナルとして成長していく人財の部門別採用を実施

・銀行業務の即戦力となる人財やデジタル・ITの領域で高い専門性を有する人財のキャリア採用を強化

・営業体制の見直しにより、本部に在籍する専門人財と営業店の担当者をエリアごとに集約し、OJTを実施

・技術革新やビジネスの範囲拡大に対応するため、デジタル人財の育成を強化

 

<従業員エンゲージメントの向上>

当社グループの従業員一人ひとりが、事業戦略の実現に向けて自発的に行動し、最大限のパフォーマンスを発揮するためには、エンゲージメントの向上が不可欠です。

エンゲージメントを向上させる要因は主に、「FFGへの共感」「処遇・仕事内容への満足」「働き方の多様化」だと考えています。各種人事施策と適切な運用によってこれらに対する納得感や満足感を高め、エンゲージメントの向上につなげていきます。

(社内環境整備方針)

様々なバックグラウンドを有する個々人の事情に応じた柔軟な働き方の選択肢を増やし、公私共に充実できる環境を整えることで、単純な働き易さでは無く、生産性ややりがいを高め、エンゲージメントの向上につながるような仕組みづくりを進めてまいります。

社内環境整備方針に基づく主な取組は以下の通りです。

・経営方針に対する理解促進を図るため、毎期初、各拠点・地域ごとに当社グループが目指す姿、注力する取組等について経営陣から従業員に向け直接メッセージを伝える営業店フォーラム/本部フォーラムを実施

・所属長による1on1ミーティングを通じて、従業員一人ひとりのキャリア観を尊重しつつ、個々の状況に応じたキャリア支援を実施

・能動的なキャリア形成を支援するため、社員自ら仕事を選択できるキャリアチャレンジ募集を実施

・専門業務の経験を積んだ社員が自らキャリアを選択できるスペシャリストコースや、事務業務のスペシャリストとしてスキルを蓄積し多様化するお客さまのニーズに応えるカスタマーサービスコースなど、キャリアパスの多様化を実施

・自らの成長・キャリア開発のためや、プライベートな事情に専念し、復職後のキャリアを充実させるための多目的型の休職制度「フレキシブル休職制度」を導入

・配偶者の転勤・結婚・出産・育児・介護等により退職した従業員に対し、再就業の機会を提供する「ジョブリターン(再雇用)制度」を実施

 

(Financial Wellness)

当社グループでは従業員の資産形成を後押しするため、各種資産形成制度を従業員向けに提供しております。特に従業員持株会は、金融機関の従業員として金融リテラシー向上のためにも加入を推進し、より多くの従業員が加入できるよう規定の改定を実施しています。

Financial Wellnessに向けた主な取組は以下の通りです。

・従業員持株会

 (加入率:福岡銀行 31.7%、熊本銀行 50.9%、十八親和銀行 44.2%、福岡中央銀行 81.6%)

・財形制度(一般財形/財形住宅/財形年金)

・貸付制度(住宅貸付/福利厚生貸付)

・(従業員向け)団体保険

・企業年金制度(確定給付年金制度/確定拠出年金制度)

・福利厚生メニュー「ベネフィット・ステーション」による各種メニュー/補助

 

(4)リスク管理

 当社グループでは、経営上、特に重要なリスクを「トップリスク」と位置づけており、その一つとして「気候変動に関するリスク」を選定しております。気候関連リスクは、そのリスクが顕在化した場合、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスクといった各リスク・カテゴリーに波及するという特徴を持っております。当社取締役会は、気候関連リスクのこのような特徴を踏まえ、適切なリスク管理態勢の整備・確立に積極的に関与しております。

気候関連リスクのうち重要と判断されたものについては、顕在化の態様に応じたリスク・カテゴリーのリスクとして、統合的リスク管理の枠組みの中で管理・対応を実施しております。例えば、物理的リスクのうち、風水害による当社グループ店舗網の毀損リスクについては、オペレーショナルリスク管理の枠組みの中でリスク評価を実施し、必要に応じて保険を見直す等、適切にリスクに対処しております。

(環境・社会に配慮した融資の取組方針)

当社グループでは、融資業務における環境・社会への配慮のため、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行において、禁止する融資、取組に際し留意する融資を「与信の基本方針(クレジットポリシー)」に定めております。

また、当社グループにおける石炭火力発電所建設向けプロジェクト・ファイナンスの貸出金残高(2024年3月末時点)は21億円で、2035年度を目処に残高ゼロとします。

 

(5)指標と目標

当社グループでは、環境課題・社会課題への取組みを一層推進するため目標を定め、モニタリングを行っております。

 

①気候変動に関する事項
<サステナブルファイナンス累積実行額(福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行(2023年10月以降実行分)合算)>

当社グループでは、2021年10月にお取引先の環境・社会課題解決、脱炭素社会に資するファイナンスを「サステナブルファイナンス」と位置づけ、その累積実行額目標を「2020年度から2030年度までに2兆円(うち、環境ファイナンス1兆円)」としました。今後、お取引先の課題の解決、支援を通じて目標達成を目指します。

 

 

目標(2020年度-2030年度)

実績(2020年度-2023年度)

サステナブルファイナンス累積実行額

2兆円

6,737億円

 

うち環境ファイナンス累積実行額

1兆円

2,895億円

 

※対象となるファイナンス

・気候変動対応など環境・社会課題解決に資するファイナンス

・お取引先のESG・SDGs対応を支援・促進するファイナンス

 

 

<CO2排出量>
(Scope1,2(FFG連結))

地域の脱炭素に向けた取組を加速させるため、当社グループにおけるCO2排出量(Scope1,2)削減目標を2022年5月に「2030年度までにネットゼロ」としました。

目標達成に向けて、店舗建替え時に環境配慮型店舗へシフトすることや、高効率な空調への切替、LED照明の採用など、省エネ施策を実施しております。加えて、使用電力を再エネ由来電源へ切り替えていくことも検討してまいります。

また、長期目線での取組として、太陽光等の自家発電及びコーポレートPPAや、今後本格化すると見込まれている排出量取引についても検討を行ってまいります。

(単位:t-CO2)

計測項目

2021年度

2022年度

2023年度※

 

Scope1

2,862

2,834

3,000

 

Scope2

21,986

21,762

26,000

Scope1,2合計

24,848

24,596

29,000

 

※概算値、2023年度より福岡中央銀行合算

 

(Scope3(FFG単体、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、みんなの銀行合算))

Scope3の算定方法、排出計数等は「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer2.4(環境省・経済産業省2022年3月)」及び「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位ベースVer3.2(環境省・経産省2022年3月)」より使用しております(カテゴリー8~14は算定による数値がゼロ)。2022年度のScope3については下表の通りです。

カテゴリー15(投融資)については、PCAFスタンダードの計算手法を参考に、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行の事業性融資先(法人・個人事業主)を対象に算定を実施しました。企業が開示している温室効果ガス排出量データから算出する「ボトムアップアプローチ」と、業種ごとの炭素強度を使用して排出量を推計する「トップダウンアプローチ」を併用しています。

今後算定対象の拡大や高度化を進めていくとともに、算定結果を取引先とのエンゲージメントに活用し、排出量削減につなげることで、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

2023年度のScope3の数値については、2024年10月に弊社ウェブサイト(https://www.fukuoka-fg.com/)において公表予定の統合報告書2024年度版をご参照ください。

(単位:t-CO2)

計測項目

2022年度

カテゴリー1

購入した製品・サービス

41,974

カテゴリー2

資本財

29,887

カテゴリー3

Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

2,600

カテゴリー4

輸送、配送(上流)

1,428

カテゴリー5

事業から出る廃棄物

40

カテゴリー6

出張

981

カテゴリー7

雇用者の通勤

3,402

カテゴリー15

投融資

20,077,259

 

 

 

②人的資本に関する事項
<DE&I/組織風土>
・多様な背景を持つ役職者比率(FFG単体、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行(2023年度より)合算)

FFGの持続的成長に向けて、多様化・専門化する事業戦略を実現していくためには、多様な背景を持つ人財の活用が必要と考えております。こうした人財の個性を活かして活躍できるよう、女性に対する育成施策の拡充に加え、キャリア採用にも積極的に取り組むと同時に、適切で公正なマネジメントやサポートを行ってまいります。この取組を可視化する指標として、多様な背景を持つ人財の役職者比率を2030年度までに35%以上とする目標を掲げました。

 

2021年度

2022年度

2023年度

目標

(2030年度)

役職者(管理職+部下を有する役職者等)に占める多様な背景を持つ人財(女性、キャリア採用等)の比率

20.8%

23.8%

24.7

35%以上

 

 

・休暇制度の多様化(男性育児休業取得率)

様々なバックグラウンドを有する個々人の事情に応じた柔軟な働き方の選択肢を増やしていくため、男性育児休業10営業日取得義務化をはじめとして、時間単位での休暇取得や多目的休暇制度を導入しています。これにより公私ともに充実できる環境を整え、従業員エンゲージメントの向上につながるような仕組みづくりを進めております。特に男性育児休業については、取得率100%維持に向けた環境整備を継続して行ってまいります。

男性育児休業取得率の実績については「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)役職者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

<事業戦略を実現する人財ポートフォリオの構築>
・人財育成額(研修関連費用)(FFG単体、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行(2023年度より)合算)

研修関連の人財育成にかかる費用は、単なる経費ではなく、人財という資本への投資と考えております。今後も、従業員のキャリア開発を組織として後押しするため、多種多様な研修を企画・実施してまいります。

2021年度:191百万円 2022年度:228百万円 2023年度:324百万円

 

・サタデーカレッジ・イブニングセミナー延べ参加者数(FFG単体、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行合算)

自律的なキャリア形成を後押しし、生産性・やりがいの向上につなげられるよう、任意で受講可能な、土曜日に開催する「サタデーカレッジ」や、平日業務時間終了後にオンライン開催する「イブニングセミナー」を実施しております。受講者の理解度を把握し、研修の精度・人財育成の実効性を高めるため、アンケート回答やレポート提出までを一受講とカウントする手法を2023年度より採用しております。今後も、より多くの従業員が自らのキャリアアップに必要な研修を選択でき、業務知識やマーケット感覚等の習得に努められるよう、講座の充実を検討してまいります。

サタデーカレッジ 2023年度:26,379人  イブニングセミナー 2023年度: 7,705人

 

・自己啓発奨励金制度(FFG単体、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行(2023年度より)合算)

従業員の自己成長や各自が描くキャリアの実現に向けて、主体的に取り組む自己啓発への支援として最大30万円の自己啓発奨励金等を支給しております。毎年多くの従業員が、自発的に自身の業務のレベルアップを図るため、資格取得に挑戦しております。自己啓発奨励金及び資格・検定試験費用の合算は以下の通りです。今後、本制度の対象範囲の拡大を検討してまいります。

2021年度:55百万円 2022年度:55百万円 2023年度:68百万円

 

<従業員エンゲージメントの向上>
・エンゲージメントスコア

当社、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行(2023年度より導入)に所属する従業員を対象に、会社・仕事・職場・上司に対する「期待度」と「満足度」という観点からエンゲージメントの測定を実施しています。2022年度のスコアを踏まえ、エンゲージメントサーベイ事業者である株式会社リンクアンドモチベーションが主催する「ベストモチベーションカンパニーアワード2024」にて大企業部門で全国6位の表彰を受けました。今後もこのようなモニタリングにより人財戦略の効果検証を行いながら、組織・業務運営の見直しを継続的に行い、スコアの維持・向上を目指してまいります。

2022年度:エンゲージメントスコア59.0 ランク:A(AAA~DDのランクで上から3つ目のランク)

2023年度:エンゲージメントスコア59.1 ランク:A(AAA~DDのランクで上から3つ目のランク)

 

③金融経済教育受講者数(FFG連結)

金融経済教育の長期KPIとして「2020年度から2030年度までの金融経済教育受講者数10万人」を目標に掲げました。自治体や学校と連携し、高校生向けの「資産形成」に関する授業の提供や、社会に出ることを目前とした大学生には従来からの金融講座を通じて理解浸透に貢献します。また、YouTube等のSNSでの発信を通じて、若年層の金融知識の習得を図っております。

 

2021年度

2022年度

2023年度

累計

金融経済教育受講者数

6,852人

26,680人

43,294人

82,189人

 

※累計には2020年度以降の受講者数を記載しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社及び当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクについて記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。各項目に掲げられたリスクは、それぞれが独立するものではなく、ある項目のリスクの発生が関連する他の項目のリスクに結びつき、リスクが増大する可能性があることについてもご留意ください。

なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

<リスクカテゴリー毎の主要なリスク>

1 信用リスク

貸出先の財務状況悪化等に起因する信用リスクは、当社グループの銀行子会社が保有する最大のリスクであり、この信用リスクによって生じる信用コスト(与信関連費用)が増加する要因として以下のものがあります。

 

(1) 不良債権の増加

当社グループの不良債権は、世界経済及び日本経済の動向、不動産価格及び株価の変動、貸出先の経営状況等によっては増加する可能性があります。その結果、現時点の想定を上回る信用コストが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 貸倒引当金の積み増し

当社グループは、貸出先の財務状況、担保等による債権保全及び企業業績に潜在的に影響する経済要因等に基づいて、貸倒引当金を計上しております。貸出先の財務状況等が予想を超えて悪化した場合、現時点で見積もり計上した貸倒引当金が不十分となる可能性があります。また、地価下落等に伴い担保価値が低下し債権保全が不十分となった場合、貸倒引当金の積み増しが必要となる可能性があります。このような場合、信用コストが増加し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 特定の業種における経営環境悪化

当社グループの貸出先の中には、世界経済及び日本経済の動向及び特定の業種における経営環境の変化等により、当該業種に属する企業の信用状態の悪化、担保・保証等の価値下落等が生じる可能性があります。
 このような場合、当社グループのこれら特定の業種における不良債権残高及び信用コストが増加し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 貸出先への対応

当社グループは、貸出先のデフォルト(債務不履行等)に際して、法的整理によらず私的整理により再建することに経済合理性が認められると判断し、これらの貸出先に対して債権放棄又は追加融資を行って支援を継続することもあり得ます。支援継続に伴う損失額が貸倒引当金計上時点の損失見積額と乖離した場合、信用コストが増加し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 また、このような貸出先に対しては、再建計画の正確性や実行可能性を十分に検証した上で支援継続を決定いたしますが、その再建が必ず奏功するという保証はありません。再建が奏功しない場合、これらの貸出先の倒産が新たに発生する可能性があります。その結果、信用コストが増加し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 権利行使の困難性

当社グループは、不動産市場における流動性の欠如又は価格の下落、有価証券価格の下落等の事情により、デフォルト状態にある貸出先に対して担保権を設定した不動産及び有価証券を処分することができない可能性があります。

このような場合、債権保全を厳格に見積もることによる貸倒引当金の積み増しや、バルクセールによるオフバランス化を進めることもあり得ます。その結果、信用コストが増加し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

<対応策>

当社グループでは、景気予測に基づくデフォルト率の推計等将来のリスクを合理的に見積るフォワードルッキングな引当を行っております。

フォワードルッキングな引当を行うことで、より景気変動に左右されない貸出運営を可能とし、資金繰り支援をはじめとした安定的で適切な金融仲介機能の発揮に繋がるものと考えております。

お取引先企業に対しては「迅速かつ十分な資金供給」と「金融の円滑化」に全力を尽くしてまいることは言うまでもありませんが、将来の不確実性に備えた取組みについても万全を期してまいります。

なお、信用リスクの管理体制については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)1 金融商品の状況に関する事項 (3)金融商品に係るリスク管理体制 ①信用リスクの管理」に記載しております。

 

2 市場リスク

当社グループの市場関連業務においては、様々な金融商品での運用を行っており、金利・為替・株式等の相場変動の影響を受けます。これらについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)1 金融商品の状況に関する事項 (3)金融商品に係るリスク管理体制 ②市場リスクの管理」に記載の体制のもと、適時・適切にリスクをコントロールしています。特に金利リスクについては、バーゼル規制における「銀行勘定の金利リスク(IRRBB)」の趣旨に基づき、リスク量が当社グループの自己資本の一定割合を超えないようコントロールしています。

しかしながら、国内外の経済動向・政治情勢及び近年急速に高まっている地政学リスク(特定地域が抱える政治的・軍事的緊張の高まりがその特定地域経済もしくは世界経済全体の先行きを不透明にするリスク)等の影響を受けて市場が混乱を来たす等により金利・為替・株式等のリスク・ファクターが大幅に変動した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3 流動性リスク

流動性リスクは、運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になる、又は通常よりも著しく高い金利での調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク(資金繰りリスク)及び市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされたりすることにより損失を被るリスク(市場流動性リスク)です。

当社グループでは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)1 金融商品の状況に関する事項 (3)金融商品に係るリスク管理体制 ③流動性リスクの管理」に記載の体制のもと、流動性リスクを適時・適切に管理しておりますが、外部の格付機関が当社や銀行子会社の格付けを引き下げたり市場環境が悪化したりすると、これらのリスクが顕在化するおそれがあり、この場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4 オペレーショナル・リスク

(1) 事務リスク

当社グループでは、事務規程等に則った正確な事務処理を励行することを徹底し、事務事故の未然防止を図るため事務管理体制の強化に努めております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、重大な事務リスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) システムリスク

当社グループは、銀行子会社における営業店、ATM及び他行とを結ぶオンラインシステムや顧客情報を蓄積している情報システムを保有しております。当社グループでは、コンピューターシステムの停止や誤作動又は不正利用、外部からのサイバー攻撃等のシステムリスクに対してシステムの安全稼働やセキュリティ対策に万全を期すほか、セキュリティポリシーに則った厳格な情報管理を行うなど運用面での対策を実施しております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、重大なシステム障害が発生した場合、あるいは、サイバー攻撃によるシステムの停止等が発生した場合、決済業務に支障をきたす等当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) サイバーセキュリティに関するリスク

当社グループでは、サイバーセキュリティに対する脅威の深刻化等を踏まえ、サイバー攻撃動向や脆弱性等の情報を収集・把握し、迅速な対応を実施するため、FFG情報セキュリティ部会(FFG-CSIRT)を運営し、セキュリティ管理態勢の充実・強化等に取り組んでおりますが、今後、サイバー攻撃により重要情報が流出したり、あるいは重要なシステムが停止したりした場合、不測の損失の発生や信用低下等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 情報漏洩等のリスク

当社グループでは、膨大な顧客情報を保有しており、情報管理に関する規程及び体制の整備や従業員教育の徹底により、情報資産の厳正な管理に努めております。しかしながら、今後、不適切な管理、あるいは、外部からのサイバー攻撃等により顧客情報や経営情報等の漏洩、紛失、改ざん、不正利用等が発生し、損害賠償等に伴う直接的な損失や、当社グループの信用低下等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 有形資産リスク

当社グループが所有及び賃借中の土地、建物、車両等の有形資産について、自然災害、犯罪行為、資産管理上の瑕疵等の結果、毀損、焼失あるいは劣化することにより業務の運営に支障をきたす可能性があります。また、固定資産の減損会計適用に伴い、評価額が低下した場合等には損失が発生する可能性があります。これら有形資産に係るリスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 労務リスク

当社グループでは、労働関連法令に基づき適切な労務管理を行っておりますが、労務管理面及び安全衛生環境面での問題等に起因して損失が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 法務リスク

当社グループは、事業活動を行う上で、会社法、金融商品取引法、銀行法等の法令諸規制を受けるほか、各種取引上の契約を締結しております。当社グループは、これら法令諸規制や契約内容が遵守されるよう法務リスク管理等を行っておりますが、法令解釈の相違、法令手続きの不備、法令違反行為等により法令諸規制や契約内容を遵守できなかった場合、罰則適用や損害賠償等に伴う損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) コンプライアンスに関するリスク

当社グループでは、コンプライアンス(法令等遵守)を経営の重要な課題と位置付け、態勢整備及び役職員に対する教育研修に努めておりますが、今後、役職員による不法行為、社会規範に悖る行為、あるいは利用者視点の欠如した行為等に起因し多大な損失が発生したり、当社グループの使用者責任が問われ信用低下等が生じたりした場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 風評リスク

当社グループや金融業界に対するネガティブな報道や風説・風評の流布が発生した場合、それが事実であるか否かにかかわらず、当社グループの業績及び財務状況並びに当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5 自己資本管理

 当社グループは、連結自己資本比率を2006年金融庁告示第20号に定められる国内基準(4%)以上に維持する必要があります。また、当社の銀行子会社である福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行及びみんなの銀行は、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を2006年金融庁告示第19号に定められる国内基準(4%)以上に維持する必要があります。

当社グループ又は銀行子会社の自己資本比率が求められる水準を下回った場合、金融庁長官から業務の全部又は一部の停止命令等を含む様々な命令を受けることとなります。

当社グループ又は銀行子会社の自己資本比率の低下に影響を与える主な要因として以下のものがあります。

 

(1) 不良債権処理に伴う信用コストの増加

不良債権の発生や処分に伴い発生する信用コストの増加は、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、自己資本比率の低下につながる可能性があります。

 

(2) 繰延税金資産

現時点における会計基準に基づき、一定の条件の下で、将来における税負担額の軽減効果として繰延税金資産を貸借対照表に計上することが認められております。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関するものを含めた様々な予測・仮定に基づいており、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。その結果、当社又は連結子会社が繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合、当社グループの繰延税金資産は減額され、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、自己資本比率の低下につながる可能性があります。

 

(3) その他

その他自己資本比率に影響を及ぼす要因として以下のものがあります。

・有価証券の時価の下落に伴う減損処理の増加

・貸出金等リスクアセットポートフォリオの変動

・自己資本比率の基準及び算定方法の変更

・本項記載のその他不利益項目の発生

 

6 その他のリスク

(1) 気候変動に関するリスク

近年、異常気象等による被害が世界的に甚大化しており、当社グループの営業基盤である九州においても、豪雨・台風等による大きな被害が頻繁に発生するなど、気候変動への対応は企業経営の大きな課題となっております。当社グループでは、気候変動リスクへの対応を経営戦略上重要な要素と位置付け、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動リスクが当社グループに及ぼす影響を把握・評価し、開示の拡充に取り組んでおりますが、当社グループの取組みや情報開示が不十分であると判断された場合は、当社グループの企業価値の毀損により当社グループの業績及び財務状況並びに当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。気候変動リスクとしては、豪雨・台風等の増加により、当社グループの店舗網が毀損し事業継続性に問題が生じることが想定されます。また、与信取引先企業の担保価値毀損や事業停止に伴う財務悪化により、当社グループの信用コストが増加する可能性があります。

さらに、脱炭素社会への移行に伴う政策・規制強化や市場変化等による売上高減少やコスト増加によって、与信取引先企業の財務が悪化し、当社グループの信用コストが増加する可能性があります。また、当社グループでは投融資に際し、「環境・社会に配慮した融資の取組み方針」の下、地球温暖化防止に向けた国際社会の要請や、持続可能な地域社会の実現に向けた取組みへの期待を踏まえた対応を行っておりますが、ステークホルダーの皆様の期待と当社グループの取組みとの乖離が拡大した場合は、当社グループの企業価値の毀損により当社グループの業績及び財務状況並びに当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 金融犯罪等に係るリスク

当社グループでは、キャッシュカードの偽造・盗難や振り込め詐欺等の金融犯罪による被害を防止するため、セキュリティ強化に向けた対策を講じております。また、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止を経営の重要な課題と位置付け、管理態勢の強化に取り組んでおります。しかしながら、高度化する金融犯罪等の発生により、不公正・不適切な取引を未然に防止できなかった場合、不測の損失の発生や信用失墜等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 当社グループの経営統合に関するリスク(期待した統合効果を十分に発揮できない可能性)

2007年4月の当社設立(福岡銀行と熊本ファミリー銀行(現 熊本銀行)の経営統合)以降、2007年10月には親和銀行、2019年4月には十八銀行(2020年10月には親和銀行と十八銀行が合併し、十八親和銀行に商号変更)、2023年10月には福岡中央銀行と経営統合するなど、当社グループは質の高い金融サービスを提供する広域展開型地域金融グループを目指して、事務やIT基盤の共通化等、統合効果を最大限に発揮するために最善の努力をいたしております。
 しかしながら、業務面での協調体制強化や営業戦略の不奏功、顧客との関係悪化、対外的信用力の低下、想定外の追加費用の発生等により、期待した統合効果を十分に発揮できず、結果として当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) ビジネス戦略に関するリスク

当社グループは、中長期的な企業価値向上を目指して様々なビジネス戦略を展開しておりますが、想定を上回る経営環境の変化、あるいは戦略展開に必要なスキルを有する人材の不足等により、想定した通りの収益が計上できない場合、あるいは想定を上回るコスト等が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 内部統制の構築等に係るリスク

当社は、金融商品取引法に基づき、連結ベースの財務報告に係る内部統制が有効に機能しているか否かを評価し、その結果を内部統制報告書において開示しております。

当社グループは、適正な内部統制の構築、維持、運営に努めておりますが、予期しない問題が発生した場合等において、財務報告に係る内部統制の評価手続きの一部を実施できないことや、内部統制の重要な欠陥が存在すること等を余儀なく報告する可能性もあります。そのような場合、当社グループの業績及び財務状況並びに当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 業務範囲拡大に伴うリスク

当社グループは、法令等の規制緩和に伴う業務範囲の拡大等を前提とした多様な営業戦略を実施しております。当該業務の拡大が予想通りに進展せず想定した結果を得られない場合、営業戦略が奏功しないことにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 競争に関するリスク

当社グループが主要な営業基盤とする福岡県、熊本県及び長崎県をはじめ営業戦略の上で広域展開を図る九州地区は、今後、他金融機関の進出や業務拡大に加え、地元金融機関同士の再編も予想されます。また、デジタル技術の急速な進展によって、異業種からの銀行業への新規参入が相次ぐことも想定されます。
 当社グループがこのような事業環境において競争優位を得られない場合、営業戦略が奏功しないことにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 持株会社のリスク

持株会社である当社は、その収入の大部分を当社が直接保有している銀行子会社から受領する配当金に依存しております。一定の状況下では、銀行法及び会社法その他法令上の規制又は契約上の制限等により、当該銀行子会社が当社に支払う配当金が制限される可能性があります。また、銀行子会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当を支払えない状況が生じた場合、当社株主への配当の支払が不可能となる可能性があります。

 

(9) 業績予想及び配当予想の修正

当社が上場する金融商品取引所の規則に基づいて公表する業績予想及び配当予想は、公表時点における入手可能な情報に基づき判断したものであります。従って、外部経済環境が変化した場合や予想の前提となった経営環境に関する条件等に変化があった場合、同規則に基づいて、業績予想及び配当予想を修正する可能性があります。

 

(10) 各種規制の変更リスク

銀行持株会社及び銀行子会社は、事業運営上の様々な公的規制や金融システム秩序維持のための諸規制・政策のもとで業務を遂行しております。仮に一金融機関の経営破綻であっても連鎖反応により金融システム全体に重大な影響が及ぶおそれがある場合、これらの諸規制・政策が変更される可能性があります。現時点でその影響を予測することは困難ですが、コストの増加につながる場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 地域経済の動向に影響を受けるリスク

当社グループは、福岡県、熊本県及び長崎県を中心とした九州地区を営業基盤としていることから、地域経済が悪化した場合は、業容の拡大が図れないほか、信用リスクが増加するなどして当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 他金融機関等との提携等に関するリスク

当社グループは、経営環境の変化を踏まえ、高い企業価値を実現するための経営戦略を立案・策定し、他金融機関等との提携・協力関係を構築しております。しかしながら、金融機関を取り巻く経済・経営環境に関する前提条件が予想を超えて変動する等により、これら提携等が予定したとおりに完了しない可能性があります。また、新たな提携等が実現したとしても、当該提携等が当初想定したとおりの効果を生まない可能性もあります。

 

(13) 退職給付債務に関するリスク

当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件が変更された場合、又は実際の年金資産の時価が下落した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 会計制度変更に伴うリスク

国際会計基準の適用等、会計制度の変更はコストの増加につながる可能性があります。現時点で将来の会計制度変更について、その影響を予測することは困難ですが、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 外的要因により業務継続に支障をきたすリスク

当社グループの本部・営業店及び事務センター・システムセンター等の被災や停電、サイバー攻撃、サードパーティを含めた大規模なシステム障害の発生、テロ、深刻な感染症の流行等の外的要因により、当社グループにおける業務の全部又は一部の継続に支障をきたし、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

<トップリスク>

当社グループでは、経営上、特に重要なリスクを「トップリスク」と位置付け、取締役会において選定しています。トップリスクについては、グループ内でリスク認識を共有するとともに、蓋然性や影響度の低減に向けた対策を講じることにより、リスクガバナンスの強化を図っています。

 

トップリスク

リスク事象の例

信用ポートフォリオの悪化

・資源高や円安の長期化、人手不足、実質無利子融資の本格返済開始等に伴い、取引先の業況が悪化し、信用コストが想定以上に増加

デジタル社会の急速な進展

・技術進展やプラットフォーマー、異業種による革新的な金融サービスの台頭に伴い、既存の収益基盤が毀損

システム障害・ サイバーセキュリティ

・大規模なシステム障害により取引先に不利益を与え、信用が毀損

・サイバー攻撃により顧客情報の流出や業務継続に支障が生じ、信用が毀損

成長戦略に付随するリスク

・成長戦略や高度・専門的業務を遂行する人財の質・量の確保が困難

・新たな戦略に対する事業投資の成否や投資継続判断の見極めを誤り損失が拡大

国内外の金融市場の不安定化

・国内の低金利政策継続に伴い資金収益力が低下

極端な市場変動に伴う評価損拡大や損失処理に伴うポートフォリオ規模及び将来収益縮小

気候変動に関するリスク

・気候変動関連の開示や取引先の脱炭素化支援の遅れにより、自社・取引先の企業価値が低下

・豪雨等の自然災害により、自社・役職員・取引先が罹災

地域の人口減少・ 少子高齢化の加速

・当社グループの営業エリアにおいて想定以上のペースで人口減少や高齢化が進み、地域経済の衰退や、取引先の廃業増加により、ビジネス規模が縮小

コンプライアンスリスク

・法令違反や社会規範から逸脱した行為が発生し信用が毀損

・マネー・ローンダリング等管理態勢の不備により、当社グループの商品等が金融犯罪に悪用され信用が毀損

社会環境の前提を変え得る外的リスク

・地政学リスクの顕在化に伴う国際社会の分断等により、社会環境や事業の前提が大幅に変化し、経営戦略に大きく影響

国内外の流動性リスク

・想定を超えた短期間かつ多額の預金流出による円貨資金繰りの逼迫

・海外金利高止まりや、調達プレミアム拡大による資金収益力の低下、調達額減少による外貨資金繰りの逼迫

 

 

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(金融経済環境)

2023年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による経済社会活動への制約が解消に向かう中で、景気は緩やかに回復しました。また、企業の設備投資の活性化や、春闘における賃上げ率の向上等、前向きな動きがみられました。

当社グループが営業基盤とする九州の経済は、半導体関連をはじめとする企業による設備の新・増設や、各県中心市街地の開発等により、製造業・非製造業ともに設備投資が増加しました。加えて、訪日外客数が回復し、インバウンド需要が好調に推移する中で、外食・宿泊等のサービス支出が増加しました。

金融面では、日本銀行が2023年10月にイールドカーブ・コントロールを柔軟化、2024年3月にはイールドカーブ・コントロールの撤廃やマイナス金利解除等を決定したことで、国内長期金利の指標となる10年国債利回りが上昇しました。一方、米国ではFRBによる政策金利の引き下げが、市場予想よりも後ずれしたため、日米金利差が縮小せず、円相場は年度末に1ドル151円台まで円安ドル高が進みました。日経平均株価は、賃金と物価の好循環の兆しや、資本コストや株価を意識した経営の浸透、新NISA制度の開始等を背景に、34年ぶりに史上最高値を更新しました。

 

(財政状態及び経営成績の状況)

当連結会計年度の経営成績につきましては、以下のとおりとなりました。

連結経常収益は、資金運用収益の増加等により、前年比734億2千万円増加し、4,047億4千3百万円となりました。連結経常費用は、資金調達費用の増加等により、前年比665億3千3百万円増加し、3,478億6百万円となりました。

以上の結果、連結経常利益は、前年比68億8千7百万円増加し、569億3千7百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、福岡中央銀行との経営統合に伴う負ののれん発生益等により、前年比300億2千6百万円増加し、611億7千8百万円となりました。

 

当連結会計年度末の総資産は、前年比2兆7,254億円増加し、32兆6,497億円となりました。また、純資産は、前年比1,199億円増加し、1兆217億円となりました。

主要勘定残高につきましては、預金等(譲渡性預金を含む)は、前年比7,314億円増加し、21兆6,808億円となりました。貸出金は、法人部門を中心に前年比8,547億円増加し、18兆5,431億円となりました。また、有価証券は、前年比1兆240億円増加し、4兆9,775億円となりました。

 

(キャッシュ・フローの状況)

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前年比7,367億6千5百万円増加し、8兆4,451億7千7百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、借用金(劣後特約付借入金を除く)の増加等により、1兆4,808億7千9百万円のプラス(前連結会計年度は1,112億6千1百万円のマイナス)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得等により、7,900億9千万円のマイナス(前連結会計年度は30億8千2百万円のプラス)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、207億2千6百万円のマイナス(前連結会計年度は237億3千2百万円のマイナス)となりました。

 

(参考)

(1) 国内業務部門・国際業務部門別収支

当連結会計年度の資金運用収支は、前年比171億4千9百万円増加して2,012億1千2百万円、役務取引等収支は、前年比48億5千3百万円増加して412億8千1百万円、特定取引収支は、前年比4億9千2百万円減少して1億6千万円、その他業務収支は、前年比137億5千5百万円増加して△136億9千万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

170,182

13,881

184,063

当連結会計年度

190,460

10,751

201,212

うち資金運用収益

前連結会計年度

169,399

59,746

△127

229,272

当連結会計年度

196,777

111,749

△118

308,645

うち資金調達費用

前連結会計年度

△783

45,864

△127

45,208

当連結会計年度

6,316

100,998

△118

107,433

信託報酬

前連結会計年度

0

0

当連結会計年度

0

0

役務取引等収支

前連結会計年度

35,598

830

36,428

当連結会計年度

39,945

1,335

41,281

うち役務取引等収益

前連結会計年度

60,052

1,121

61,174

当連結会計年度

66,046

1,675

67,722

うち役務取引等費用

前連結会計年度

24,454

291

24,746

当連結会計年度

26,101

339

26,441

特定取引収支

前連結会計年度

13

638

652

当連結会計年度

18

142

160

うち特定取引収益

前連結会計年度

13

638

652

当連結会計年度

18

142

160

うち特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

その他業務収支

前連結会計年度

18,226

△45,672

△27,445

当連結会計年度

△12,339

△1,351

△13,690

うちその他業務収益

前連結会計年度

29,136

5,044

34,181

当連結会計年度

20,624

1,552

22,176

うちその他業務費用

前連結会計年度

10,910

50,716

61,626

当連結会計年度

32,963

2,904

35,867

 

(注) 1 「国内」・「海外」の区分に替えて、「国内業務部門」・「国際業務部門」で区分しております。「国内業務部門」は、当社の円建取引及び国内連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借利息であります。

3 資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。

 

 

 

(2) 国内業務部門・国際業務部門別資金運用/調達の状況

資金運用勘定は、平均残高が前年比1兆4,263億2千3百万円増加して23兆1,615億5千1百万円となりました。利息は前年比793億7千3百万円増加して3,086億4千5百万円、利回りは前年比0.28%上昇して1.33%となりました。

資金調達勘定は、平均残高が前年比2兆4,473億4千7百万円増加して30兆6,046億2千4百万円となりました。利息は前年比622億2千5百万円増加して1,074億3千3百万円、利回りは前年比0.19%上昇して0.35%となりました。

 

① 国内業務部門

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

20,504,255

169,399

0.82

当連結会計年度

21,817,022

196,777

0.90

うち貸出金

前連結会計年度

16,573,585

140,457

0.84

当連結会計年度

17,641,268

147,646

0.83

うち有価証券

前連結会計年度

3,012,622

20,176

0.66

当連結会計年度

3,065,560

23,983

0.78

うちコールローン及び
買入手形

前連結会計年度

144,150

△0

△0.00

当連結会計年度

247,821

△10

△0.00

うち預け金

前連結会計年度

929

0

0.00

当連結会計年度

2,265

0

0.00

資金調達勘定

前連結会計年度

27,030,526

△783

△0.00

当連結会計年度

29,348,377

6,316

0.02

うち預金

前連結会計年度

19,814,482

317

0.00

当連結会計年度

20,387,706

395

0.00

うち譲渡性預金

前連結会計年度

570,185

34

0.00

当連結会計年度

619,998

36

0.00

うちコールマネー及び
売渡手形

前連結会計年度

1,720,648

△572

△0.03

当連結会計年度

2,480,690

△669

△0.02

うち売現先勘定

前連結会計年度

1,025,126

△1,376

△0.13

当連結会計年度

301,324

△689

△0.22

うち債券貸借取引受入
担保金

前連結会計年度

392,504

36

0.00

当連結会計年度

101,028

9

0.00

うち借用金

前連結会計年度

3,454,855

59

0.00

当連結会計年度

5,377,960

684

0.01

 

(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、銀行業以外の連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2 「国内業務部門」は、当社の円建取引及び国内連結子会社の円建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。

 

 

② 国際業務部門

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

1,770,147

59,746

3.37

当連結会計年度

2,019,583

111,749

5.53

うち貸出金

前連結会計年度

689,626

21,792

3.16

当連結会計年度

653,434

32,294

4.94

うち有価証券

前連結会計年度

1,040,665

31,442

3.02

当連結会計年度

1,322,870

61,870

4.67

うちコールローン及び
買入手形

前連結会計年度

10,374

336

3.24

当連結会計年度

13,036

709

5.44

うち預け金

前連結会計年度

当連結会計年度

資金調達勘定

前連結会計年度

1,665,926

45,864

2.75

当連結会計年度

1,931,300

100,998

5.22

うち預金

前連結会計年度

283,112

5,576

1.96

当連結会計年度

307,329

12,820

4.17

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー及び
売渡手形

前連結会計年度

5,192

33

0.65

当連結会計年度

うち売現先勘定

前連結会計年度

107,036

3,150

2.94

当連結会計年度

100,666

6,042

6.00

うち債券貸借取引受入
担保金

前連結会計年度

644,406

16,897

2.62

当連結会計年度

774,382

43,176

5.57

うち借用金

前連結会計年度

86,269

2,296

2.66

当連結会計年度

77,175

4,678

6.06

 

(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、銀行業以外の連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2 「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

3 国際業務部門の国内店外貨建取引の平均残高は、月次カレント方式(前月末のTT仲値を当該月のノンエクスチェンジ取引に適用する方式)により算出しております。

 

 

③ 合計

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り

小計

相殺
消去額
(△)

合計

小計

相殺
消去額
(△)

合計

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

22,274,402

539,174

21,735,228

229,145

△127

229,272

1.05

当連結会計年度

23,836,606

675,054

23,161,551

308,527

△118

308,645

1.33

うち貸出金

前連結会計年度

17,263,212

17,263,212

162,250

162,250

0.93

当連結会計年度

18,294,702

18,294,702

179,940

179,940

0.98

うち有価証券

前連結会計年度

4,053,288

4,053,288

51,618

51,618

1.27

当連結会計年度

4,388,430

4,388,430

85,854

85,854

1.95

うちコールローン
及び買入手形

前連結会計年度

154,525

154,525

335

335

0.21

当連結会計年度

260,857

260,857

699

699

0.26

うち預け金

前連結会計年度

929

929

0

0

0.00

当連結会計年度

2,265

2,265

0

0

0.00

資金調達勘定

前連結会計年度

28,696,452

539,174

28,157,277

45,081

△127

45,208

0.16

当連結会計年度

31,279,678

675,054

30,604,624

107,315

△118

107,433

0.35

うち預金

前連結会計年度

20,097,595

20,097,595

5,894

5,894

0.02

当連結会計年度

20,695,036

20,695,036

13,216

13,216

0.06

うち譲渡性預金

前連結会計年度

570,185

570,185

34

34

0.00

当連結会計年度

619,998

619,998

36

36

0.00

うちコールマネー
及び売渡手形

前連結会計年度

1,725,840

1,725,840

△538

△538

△0.03

当連結会計年度

2,480,690

2,480,690

△669

△669

△0.02

うち売現先勘定

前連結会計年度

1,132,163

1,132,163

1,774

1,774

0.15

当連結会計年度

401,990

401,990

5,352

5,352

1.33

うち債券貸借取引
受入担保金

前連結会計年度

1,036,911

1,036,911

16,933

16,933

1.63

当連結会計年度

875,411

875,411

43,186

43,186

4.93

うち借用金

前連結会計年度

3,541,125

3,541,125

2,355

2,355

0.06

当連結会計年度

5,455,136

5,455,136

5,363

5,363

0.09

 

(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。

2 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息であります。

 

 

(3) 国内業務部門・国際業務部門別役務取引の状況

役務取引等収益は、前年比65億4千8百万円増加して677億2千2百万円となりました。

役務取引等費用は、前年比16億9千5百万円増加して264億4千1百万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

60,052

1,121

61,174

当連結会計年度

66,046

1,675

67,722

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

28,368

646

29,015

当連結会計年度

30,506

1,160

31,667

うち為替業務

前連結会計年度

12,188

452

12,641

当連結会計年度

12,289

456

12,746

うち証券関連業務

前連結会計年度

2,444

2,444

当連結会計年度

2,970

2,970

うち代理業務

前連結会計年度

947

947

当連結会計年度

999

999

うち保護預り・
貸金庫業務

前連結会計年度

343

343

当連結会計年度

346

346

うち保証業務

前連結会計年度

349

22

372

当連結会計年度

373

58

431

うち投資信託・

保険販売業務

前連結会計年度

15,409

15,409

当連結会計年度

18,561

18,561

役務取引等費用

前連結会計年度

24,454

291

24,746

当連結会計年度

26,101

339

26,441

うち為替業務

前連結会計年度

4,724

96

4,820

当連結会計年度

4,902

98

5,001

 

(注) 「国内業務部門」は、当社の円建取引及び国内連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

 

(4) 国内業務部門・国際業務部門別特定取引の状況

① 特定取引収益・費用の内訳

特定取引収益は、前年比4億9千2百万円減少して1億6千万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引収益

前連結会計年度

13

638

652

当連結会計年度

18

142

160

うち商品有価証券収益

前連結会計年度

13

638

652

当連結会計年度

18

142

160

うち特定金融派生商品
収益

前連結会計年度

当連結会計年度

うちその他の特定取引
収益

前連結会計年度

当連結会計年度

特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

 

(注) 1 「国内業務部門」は、国内連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 内訳科目は、それぞれ収益と費用で相殺し、収益が上回った場合には収益欄に、費用が上回った場合には費用欄に、上回った純額を計上しております。

 

 

② 特定取引資産・負債の内訳(末残)

特定取引資産は、前年比5億5千3百万円減少して4億9千3百万円となりました。

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引資産

前連結会計年度

1,046

1,046

当連結会計年度

493

493

うち商品有価証券

前連結会計年度

1,046

1,046

当連結会計年度

493

493

うち商品有価証券
派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うちその他の特定
取引資産

前連結会計年度

当連結会計年度

特定取引負債

前連結会計年度

2

2

当連結会計年度

うち商品有価証券
派生商品

前連結会計年度

2

2

当連結会計年度

 

(注) 「国内業務部門」は、国内連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

 

(5) 国内業務部門・国際業務部門別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)

 

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

20,307,495

221,593

20,529,089

当連結会計年度

21,079,479

317,097

21,396,576

うち流動性預金

前連結会計年度

15,390,898

15,390,898

当連結会計年度

16,261,375

16,261,375

うち定期性預金

前連結会計年度

4,710,566

4,710,566

当連結会計年度

4,705,135

4,705,135

うちその他

前連結会計年度

206,031

221,593

427,625

当連結会計年度

112,967

317,097

430,065

譲渡性預金

前連結会計年度

420,362

420,362

当連結会計年度

284,284

284,284

総合計

前連結会計年度

20,727,858

221,593

20,949,452

当連結会計年度

21,363,763

317,097

21,680,861

 

(注) 1 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

2 定期性預金=定期預金+定期積金

3 「国内業務部門」は、国内連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

 

 

(6) 国内・海外別貸出金残高の状況

① 業種別貸出状況(末残・構成比)

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内(除く特別国際金融取引勘定分)

17,688,382

100.00

18,543,180

100.00

製造業

820,438

4.64

834,792

4.50

農業,林業

46,848

0.26

48,494

0.26

漁業

32,951

0.19

32,217

0.17

鉱業,採石業,砂利採取業

16,515

0.09

22,862

0.12

建設業

412,239

2.33

465,923

2.51

電気・ガス・熱供給・水道業

458,579

2.59

492,260

2.66

情報通信業

54,379

0.31

87,150

0.47

運輸業,郵便業

825,471

4.67

900,530

4.86

卸売業,小売業

1,374,969

7.77

1,439,439

7.76

金融業,保険業

737,622

4.17

611,159

3.30

不動産業,物品賃貸業

3,299,427

18.65

3,597,142

19.40

その他各種サービス業

1,354,646

7.66

1,400,623

7.55

国・地方公共団体

4,285,406

24.23

4,468,350

24.10

その他

3,968,886

22.44

4,142,233

22.34

海外(特別国際金融取引勘定分)

政府等

合計

17,688,382

18,543,180

 

(注) 「国内」とは、国内連結子会社(特別国際金融取引勘定分を除く)であります。「海外」とは、特別国際金融取引勘定分であります。

 

② 外国政府等向け債権残高(国別)

「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げることとしております。ただし、前連結会計年度及び当連結会計年度の外国政府等向け債権残高は該当ありません。

 

(7) 国内業務部門・国際業務部門別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

1,582,482

1,582,482

当連結会計年度

2,173,163

2,173,163

地方債

前連結会計年度

134,863

134,863

当連結会計年度

147,406

147,406

社債

前連結会計年度

424,207

424,207

当連結会計年度

388,190

388,190

株式

前連結会計年度

192,124

192,124

当連結会計年度

270,221

270,221

その他の証券

前連結会計年度

539,408

1,080,385

1,619,794

当連結会計年度

606,431

1,392,110

1,998,541

合計

前連結会計年度

2,873,087

1,080,385

3,953,472

当連結会計年度

3,585,413

1,392,110

4,977,523

 

(注) 1 「国内業務部門」は、当社の円建取引及び国内連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2 「その他の証券」には、外国債券を含んでおります。

 

(自己資本比率の状況)

(参考)

自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。

なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

(単位:億円、%)

 

2024年3月31日

1.連結自己資本比率(2/3)

11.58

2.連結における自己資本の額

8,819

3.リスク・アセットの額

76,159

4.連結総所要自己資本額(3×8%)

6,092

 

 

 

(資産の査定)

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、株式会社福岡銀行、株式会社熊本銀行、株式会社十八親和銀行、株式会社福岡中央銀行及び株式会社みんなの銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2 危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3 要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4 正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

(単位:億円)

 

株式会社

福岡銀行

株式会社

熊本銀行

株式会社

十八親和銀行

株式会社

福岡中央銀行

株式会社

みんなの銀行

債権の区分

2023年
3月31日

2024年
3月31日

2023年
3月31日

2024年
3月31日

2023年
3月31日

2024年
3月31日

2023年
 3月31日

2024年
 3月31日

2023年
3月31日

2024年
3月31日

金額

金額

金額

金額

金額

金額

金額

金額

金額

金額

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

249

302

32

47

83

90

42

20

1

7

危険債権

940

806

235

215

362

363

62

139

1

2

要管理債権

674

616

95

97

341

353

10

19

正常債権

115,151

116,845

19,605

23,734

41,558

40,256

4,142

4,014

69

133

 

(注) 単位未満は四捨五入しております。

 

(生産、受注及び販売の状況)

「生産、受注及び販売の状況」は、銀行持株会社における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

(経営者の視点による認識及び分析・検討内容)

当年度の経営成績につきましては、資金利益、役務取引等利益の増加等を要因として、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行及び福岡中央銀行単体合算(以下、「銀行単体合算」といいます。)のコア業務純益は前年比121億5千万円増加の1,180億1千8百万円、連結経常利益は前年比68億8千7百万円増加569億3千7百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、福岡中央銀行との経営統合に伴う負ののれん発生益を214億9千6百万円計上したこと等により、前年比300億2千6百万円増加611億7千8百万円となりました。

主要勘定残高につきましては、貸出金は法人部門を中心に前年比8,547億円増加18兆5,431億円となりました。預金等(譲渡性預金を含む)は前年比7,314億円増加21兆6,808億円となりました。また、有価証券は、前年比1兆240億円増加4兆9,775億円となりました。 

 

第7次中期経営計画において目標とする経営指標に照らした当社グループの経営実績は以下のとおりであります。

目標とする経営指標

最終年度

目標水準

当年度実績
(前年比)

認識及び分析・検討内容

収益性

指標

親会社株主

に帰属する
当期純利益

650億円

612億円

(+300億円)

 当年度は、日本銀行による金融政策の見直し等を背景に円金利が上昇する中、お取引先の本業支援を通じた貸出金残高の積上げや市場運用関連収益の増加等により、資金利益は前年比増加となりました。

 また、役務取引等利益は「貯蓄から投資へ」の流れが進む中、投信販売が好調に推移したほか、法人取引の手数料等も堅調に推移したこと等により前年比増加しました。

 以上の結果、銀行単体合算のコア業務純益は前年度に引き続き増加し、過去最高となる1,180億円となりました。

 また、親会社株主に帰属する当期純利益は、コア業務純益の増加に加え、前年度実施した外債ロスカットの剥落等により、前年比300億円増加の612億円となりました。前年度の外債ロスカットや当年度の福岡中央銀行経営統合に伴う負ののれん発生益、将来の収益確保に向けた円債ロスカットやリスク顕在化に備えた信用コスト積み増し等の特殊要因を除いた場合においても、しっかりと成長トレンドを維持できており、全般的に好調な成果を収めることができたと評価しています。

ROE(連結)

(注)1

6%程度

6.4%
(+3.0%)

健全性

指標

自己資本

比率(連結)

(注)2

10%半ば

9.7%

(+0.1%)

 経営指標とする自己資本比率につきましては、バーゼルⅢ最終化(完全適用)ベースで計算しており、当年度実績は前年比+0.1%の9.7%となりました。

また、信用リスクに備えるフォワードルッキングな引当を実施しており、健全性は全く問題ない水準です。

効率性

指標

OHR(連結)

 (注)3

60%程度

65.6%
(△7.0%)

  OHRは、資金利益や役務取引等利益の増加、前年度外債ロスカットの剥落等による業務粗利益の増加を主因に、前年比7.0%改善し65.6%となりました。

 

(注) 1 自己資本利益率

     2 バーゼルⅢ最終化(完全適用)ベース

   3 経費/業務粗利益

 

(資本の財源及び資金の流動性)

当社グループの中核事業は銀行業であり、資金調達はお客さまからお預りする預金を主としており、資金運用はお客さまへの貸出金及び有価証券等であります。

預金につきましては、個人・法人ともに増加しており、今後も増加を見込んでおります。

なお、国際部門における調達についても、外貨流動性リスク等考慮し、安定的な資金繰りに努めております。

設備投資につきましては、通常の店舗投資、システム関連投資に加え、成長分野として「デジタルチャネルの構築」「戦略系子会社の強化」「みんなの銀行」への投資に取組んでおりますが、資金調達につきましては、自己資金により対応する予定であります。

キャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

(銀行単体合算損益の概要)

(百万円)  

 

 

当年度

前年度

前年比

業務粗利益

 

209,008

176,980

32,028

 

資金利益

 

202,736

186,431

16,305

 

 

国内部門

 

191,945

172,401

19,544

 

 

国際部門

 

10,791

14,029

△3,238

 

役務取引等利益

 

28,987

25,460

3,527

 

特定取引利益

 

10

7

3

 

その他業務利益

 

△22,725

△34,918

12,193

 

 

うち国債等債券損益

 

△23,976

△38,182

14,206

経費(除く臨時処理分)

114,966

109,295

5,671

実質業務純益

 

94,042

67,685

26,357

① 一般貸倒引当金繰入額

5,735

△535

6,270

業務純益

 

88,306

68,221

20,085

コア業務純益

 

118,018

105,868

12,150

 

コア業務純益(除く投資信託解約損益)

120,851

107,874

12,977

臨時損益等

 

△5,931

△1,162

△4,769

 

②不良債権処理額

10,093

3,682

6,411

 

 

うち個別貸倒引当金純繰入額

9,302

3,227

6,075

 

 

うち償却債権取立益

 

118

1

117

 

信用コスト(①+②)

15,828

3,146

12,682

 

株式等関係損益

 

6,013

3,338

2,675

 

その他臨時損益等

 

△1,852

△818

△1,034

経常利益

 

82,375

67,058

15,317

特別損益

 

△1,398

△551

△847

 

うち固定資産減損損失

1,186

387

799

税引前当期純利益

 

80,976

66,507

14,469

法人税等合計

18,844

15,826

3,018

当期純利益

 

62,132

50,680

11,452

 

(注) 1 銀行単体合算損益とは、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行及び福岡中央銀行の損益の単純合算であります。

2 なお、当年度の計数には福岡中央銀行の下半期(6か月)の計数を含み、前年度の計数には福岡中央銀行の計数を含んでおりません。

 

(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(貸倒引当金の見積り)

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項 (5) 貸倒引当金の計上基準」に記載しております。

 

当社グループでは、景気予測に基づくデフォルト率の推計等、将来のリスクを合理的に見積るフォワードルッキングな引当を行っております。

フォワードルッキングな引当を行うことで、より景気変動に左右されない貸出運営を可能とし、資金繰り支援をはじめとした安定的で適切な金融仲介機能の発揮に繋がるものと考えております。

 

 (参考)フォワードルッキングな引当の概要

 


 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。