文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
①グループ経営理念
ふくおかフィナンシャルグループ(以下、「FFG」といいます。)は、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、みんなの銀行をグループ傘下に持つ広域展開型地域金融グループとして、営業基盤である九州を中心に、稠密な営業ネットワークを活かし、高度かつ多様な金融商品・サービスを展開しております。
当社グループは、以下の経営理念を基本として、金融サービスの向上を通じて地域社会に対してより多くの貢献を果たすとともに、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
②グループブランド
FFG各社は、グループ経営理念を共通の価値観として行動し、お客さま、地域社会、株主の皆さま、そして従業員にとって真に価値ある存在であり続けるための約束として、『コアバリュー』を表明し、ブランドスローガン『あなたのいちばんに。』を展開してまいります。
FFGは、2007年4月の設立以降、福岡県、熊本県、長崎県を中心とした九州全域に広域なネットワークを有する広域展開型地域金融グループとして、地域経済の発展に資する様々な活動を展開してまいりました。
また、2016年にスタートした第5次中計から、長期ビジョン「持続的に高い競争力・成長力を実現する ザ・ベスト リージョナルバンク」を掲げ、営業基盤の拡大、収益源の多様化、生産性・健全性の向上を進めるとともに、2021年には国内初のデジタルバンクとしてみんなの銀行を立ち上げるなど、これまでにない新しい取組みにもチャレンジしてきました。
この間、テクノロジーの進化やSDGsへの意識の高まりをはじめとした社会の変化がコロナ禍により加速し、世界規模で環境は急速に変化しています。地域社会においても、人口減少や高齢化などの構造的な課題に加え、デジタル化やグローバル化を通じて世界の環境変化が影響し不確実性が増してきました。
このようにFFGを取り巻く事業環境の前提が大きく変わってきたことを踏まえ、2030年を目標とした長期ビジョンを改めて設定しました。
事業環境が大きく変わる一方、福岡・熊本・長崎を中心に九州に根ざした地域金融機関として、地域と利益を一つにしている構図は変わっておらず、持続可能な地域社会を実現していくことは、これからもFFGの使命・サステナビリティそのものであると捉えています。
これを実現するためには、相当なスピードで変化する世界の状況をいち早く捉え、その果実である資本・技術・情報等を活用しながら、FFG自身が変革し、地域課題を解決していく必要があります。
このため、①信頼をベースに多様化する顧客ニーズにストレスなく応えるサービス開発力、②企業・社会課題を解決するソリューション力、③大きく変化する環境・社会課題や働き方に柔軟に対応できる組織力の3点を備えたい力と位置付けました。
これら3つの力を備えることで、「ファイナンスとコンサルティングを通じて全てのステークホルダーの成長に貢献するザ・ベスト リージョナルバンク」になることを2030年の長期ビジョンとし、サステナブルな地域社会とFFGの持続的成長の同時実現を目指してまいります。
2022年度より、長期ビジョンを目指す最初の中計と位置付けた第7次中期経営計画(2022年4月~2025年3月)に取り組んでおります。
第7次中期経営計画では、最終年度である2024年度の目標経営指標として、以下の項目を掲げております。
(*)バーゼルⅢ最終化(完全適用)ベース
2023年度の我が国の経済動向を展望すると、コロナ禍による経済社会活動への制約がほぼ解消され、これまで抑制されていた対面型サービス等による個人消費の増加や、アフターコロナを見据えた企業の設備投資の増加によって、内需を中心に緩やかな景気回復が見込まれます。
他方、足元の事業環境は、地政学リスクの顕在化や各国中央銀行による金融引き締めの継続等、不透明さを増しています。加えて、人口減少等の構造的な課題やChatGPT等に見られるテクノロジーの進化、脱炭素をはじめとしたサステナビリティの潮流、コロナ禍がもたらした働き方や個人の価値観の変化等、パラダイムシフトとも呼ぶべき変化が起こっており、不確実性が高まっています。
こうした中、FFGは、足元の課題や環境変化への対応と将来の持続的な成長に向けて、DX戦略と連携した「既存ビジネスモデルの変革」や「新たな収益源の確立」にスピード感をもって取組み、2024年度の中計目標達成に向けて、施策効果の実現を目指します。
(イ)既存ビジネスモデルの変革
FFGが収益を上げ、成長するためには、お客さまに支持され続ける必要があります。そのためには、コンサルティングの質と営業生産性の向上が欠かせません。「既存ビジネスモデルの変革」はFFGの成長戦略の中核をなすもので、デジタル化・業務改革・営業改革を一気通貫で行う取組みです。
具体的には、2023年度にリリースする個人バンキングアプリ・法人ポータルにより、店頭からオンラインへのチャネルシフトを図りながら、店舗においても取扱業務を拡充した高機能ATM・リモート窓口・WEBサービスコーナー等を設置することで、デジタル化を進めます。これらによって、お客さまの利便性を高めながら店頭業務の効率化を図り、少人数での店舗運営を可能とします。この新たな店舗形態を福岡県内の店舗から始め、その展開とともに相談業務により注力できる体制にシフトします。
これからの店舗は、使いやすく、便利で、気軽に何でも相談できる「コミュニケーションとコンサルティングの場」へと転換していきます。あわせて、お客さまに寄り添った質の高いコンサルティングを可能とすべく、営業担当者のスキル・ノウハウ向上を目指します。OJTによる人財育成とともに、SFA(セールス・フォース・オートメーション)等のデジタルツールの活用や本部・関連会社との連携等により、情報やノウハウを共有する体制を構築します。
こうした取組みによって、地域特性を踏まえた営業活動と高いレベルで標準化されたソリューションの提供を可能とすることで、お客さま・地域の課題解決や新たな価値提供による収益向上を実現します。
(ロ) 環境変化への対応
個人ビジネスは、「貯蓄から投資」への動きが本格化する中、新たなNISA制度を機会と捉え、お客さまの資産形成のサポートに注力します。新たなNISA制度を入口に、資産形成に有用な情報提供をはじめとしたサポートを強化するほか、FFG証券株式会社と連携した銀証一体での総合提案サービスを展開します。また、資産形成サポートにとどまらず、保障・介護・ローン・相続等を含めて、お客さまの豊かな未来を実現するための“人生の伴走者”となり、トータルライフコンサルティングを提供します。
法人ビジネスは、事業承継やM&A、ベンチャー企業の育成・支援等によりニーズが高まっているエクイティ関連ビジネス、“シリコンアイランド九州”復活を目指す半導体関連事業向けのビジネス等をグループ一体で進めます。従来から積極的に取組んでいる資金繰り支援も含め、お取引先の事業成長のための課題解決をサポートする“事業パートナー”として、本業支援を実践します。
(ハ) 新たな収益源の確立
2021年5月にサービスを開始したみんなの銀行は、全国の若年層(将来の顧客基盤)を中心に支持を集め、口座数やローン残高は着実に増加しています。2023年度は、みんなの銀行の決済機能を中心とした金融機能をパートナー企業の黒子となって提供する“BaaS事業”の拡大に向けたサービス開発・営業施策を実施し、お客さまへの新たな価値提供と収益基盤の構築を進めます。
また、2023年5月に総合商社「FFGインダストリーズ株式会社」を設立しました。金属加工を中心とした製造業界において、発注企業と協力工場をつなぐ役割を担うことで、商取引そのものをお手伝いし、お取引先、ひいては地域の生産性向上を目指します。
(ニ) 福岡中央銀行との経営統合
2023年10月1日に予定している株式会社福岡中央銀行(以下、「福岡中央銀行」といいます。)との経営統合に向けて、着実に準備を進めています。統合後は、「中小企業専門金融機関」としての役割を福岡中央銀行が将来に亘って果たすため、業務効率化による最適な体制の構築や、FFGの経営資源を福岡中央銀行の営業へ活用することにより、シナジーの最大化を目指します。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ方針
FFGではグループ経営理念の実践にサステナビリティの観点を取り入れ、その考え方を明文化した、「サステナビリティ方針」を以下のように定めております。
このサステナビリティ方針のもと、これまで培ってきた強み(財務資本・非財務資本)や技術革新を利活用しながら事業活動を展開(ステークホルダーへの価値提供)し、経済的・物質的・精神的に豊かで持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。
この豊かで持続可能な地域社会の実現に向けて「地域成長への貢献」と「FFGの成長」「個人(従業員)の成長」の好循環を創出していくことがFFGのサステナビリティ経営です。
FFGでは、取締役会の指示・助言の下、経営企画部を統括部署としてFFG本部がグループ全体のサステナビリティ関連施策を推進する体制を構築しております。
(参考)サステナビリティ推進体制

気候関連問題については、サステナビリティ推進体制の下、FFGのSDGs重点項目「環境への配慮」の柱として優先的に取り組んでおります。
気候関連のリスクと機会に関する役割と責任を明確化するため、FFGでは「リスク管理方針」において、取締役会が気候関連リスクの特徴を踏まえて各種リスク管理態勢を整備・確立することを定めており、気候関連リスクの内容に応じて対応方針等を取締役会やグループリスク管理委員会にて協議する体制としております。
投融資に関しては、地球温暖化防止に向けた国際社会の要請や、持続可能な地域社会の実現に向けた取組みへの期待を踏まえた「環境・社会に配慮した融資の取組み方針」を福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行の「与信の基本方針(クレジットポリシー)」に明記し、各行の取締役会で決定しております。
FFGはグループの資産構成、ビジネスモデル、及び今後想定される外部環境等の変化を踏まえ、気候関連の「リスク」と「機会」を以下の通り認識しております。
※短期(0~3年)、中期(3~10年)、長期(10年超)
※FFG子会社サステナブルスケールと九州大学が協業で開発した独自のSDGsスコアリングモデルサービス
FFGでは、気候関連リスクがFFGに及ぼす影響を把握し、戦略のレジリエンスを確立するため、シナリオ分析を活用しております。
シナリオ分析結果を踏まえ、今後は取引先企業による気候変動への適応や脱炭素社会への移行に向け、対話(エンゲージメント)を強化することで事業機会の創出やリスクの低減に繋げてまいります。また、TCFD提言の改定を踏まえた新たな炭素関連資産の割合も算出しております。
シナリオ分析・炭素関連資産の詳細な情報については、弊社ウェブサイト(https://www.fukuoka-fg.com/)に公表されている
2022年度よりスタートした第7次中期経営計画において、「事業戦略を実現できる人財の獲得・育成による戦略的人財ポートフォリオの形成」と「多様な人財の尊重と支援による活躍推進」を人財戦略の柱とし、様々な施策に取り組んでおります。 DXの推進による営業スタイルや情報管理の変化に合わせつつ、各人の経験・スキル、評価、適性などを勘案しながら事業戦略を実現するための最適かつ柔軟な人財配置をスピード感を持って実行していくことが課題と考えております。
事業戦略をスピード感を持って実現していくために、従来型の採用・人財育成やライフイベントの影響を受けやすい女性に対する育成施策の拡充に加え、キャリア採用や専門人財等の育成にも積極的に取り組み、事業環境の急速な変化にも対応できる多様性・専門性を備えた人財の早期育成・キャリアアップの取組みを強化します。
・事業戦略の早期実現に向け、スキル・業務ごとの体系的な育成プログラムや、専門人財育成のためのオーダーメイド型プログラム等、育成メニューを拡充
・所属長による1on1ミーティングを通じて、従業員一人ひとりのキャリア観を尊重しつつ、個々の状況に応じたキャリア支援を実施
・女性の意識向上、マネジメントスキルの習得を目的として、女性役職者向けキャリア研修を継続実施するとともに、女性役職者に対する「メンター制度」を実施
・女性の業務領域を拡げるために、法人融資未経験者を対象とした自主参加の勉強会を企画・実施するとともに、法人融資担当者として営業店に配置
様々なバックグラウンドを有する個々人の事情に応じた柔軟な働き方の選択肢を増やし、公私共に充実できる環境を整えることで、単純な働き易さでは無く、生産性ややりがいを高め、エンゲージメントの向上につながるような仕組みづくりを進めてまいります。
・女性従業員によるプロジェクトチーム「ふわり」を立ち上げ、意識面・環境面の改革について、現場の女性の意見やアイディアを反映した施策提言や、各種イベントの企画・運営を実施
・育児休業取得者に対し、定期的な面談や復職前研修等を行う「復職支援プログラム」を実施
・配偶者の転勤に帯同できる「パートナー帯同制度」を実施
・ベビーシッター等の利用料の一部を補助する「育児サービス利用料補助制度」を実施
・両立中の行員やその上司等の相談に対応する「両立支援相談窓口」を設置
・ロールモデルやマネジメント好事例等を紹介する「両立支援ハンドブック」を発刊
・業務において旧姓の使用を認める「旧姓使用制度」を実施
・自らの成長・キャリア開発のためや、プライベートな個別事情に専念し復職後のキャリアを充実させるための多目的型の休職制度「フレキシブル休職制度」を導入
・配偶者の転勤・結婚・出産・育児・介護等により退職した従業員に対し、再就業の機会を提供する「ジョブリターン(再雇用)制度」を実施
・育児休業取得者の早期職場復帰を支援するため企業内保育所「ふくぎんきっずらんど petit petit」を設置
・認可外保育料の一部を補助する「認可外保育料補助制度」を実施
・誰もが自分の生活と仕事を大切にしながら両立できる職場の実現に全員で取り組むため、男性の育児休業を一部有給化するとともに、男性の育児休業の10営業日取得を義務化
FFGでは従業員の資産形成を後押しするため、各種資産形成制度を従業員向けに提供しております。
・財形制度(一般財形/財形住宅/財形年金)
・貸付制度(住宅貸付/福利厚生貸付)
・従業員持株会
・(従業員向け)団体保険
・企業年金制度(確定給付年金制度/確定拠出年金制度)
・福利厚生メニュー「ベネフィット・ステーション」による各種メニュー/補助
FFGでは、経営上、特に重要なリスクを「トップリスク」と位置付けており、その一つとして「気候変動に関するリスク」を選定しております。気候関連リスクは、そのリスクが顕在化した場合、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスクといった各リスク・カテゴリーに波及するという特徴を持っております。当社取締役会は、気候関連リスクのこのような特徴を踏まえ、適切なリスク管理態勢の整備・確立に積極的に関与しております。
気候関連リスクのうち重要と判断されたものについては、顕在化の態様に応じたリスク・カテゴリーのリスクとして、統合的リスク管理の枠組みの中で管理・対応を実施しております。
物理的リスクへの対応として、国内事業性貸出先においてIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)報告書におけるRCP8.5(4℃シナリオ)及びRCP2.6(2℃シナリオ)を使用して、シナリオ分析を実施しております。また、移行リスクへの対応として、ユーティリティ、エネルギーセクター及び自動車セクターにおいて、NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)によるNet Zero 2050(1.5℃シナリオ)及びCurrent Policies(3℃シナリオ)を使用して、シナリオ分析を実施しております。いずれのシナリオ分析においても、2050年までに発生し得る追加信用コストを推計しております。
シナリオ分析手法は確立されていない部分も多く、発展途上であるため、FFGでは今後も引き続きシナリオ分析の高度化及び精緻化に取り組むことでリスク管理の高度化を図ってまいります。
FFGでは、融資業務における環境・社会への配慮のため、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行において、禁止する融資、取組みに際し留意する融資を「環境・社会に配慮した融資の取組み方針」に定めております。
なお、2022年には「石炭採掘」セクターに関して以下の3点の改定を行っております。
ⅰ. 石炭採掘事業に対する方針(新規採掘事業向け融資は慎重に判断)の対象範囲を既存事業にも拡大
ⅱ. 山頂除去採掘(MTR)方式に対する方針(新規採掘事業向け融資は禁止)の対象範囲を既存事業にも拡大
ⅲ. 発電事業向け燃料用石炭(一般炭)の新規採掘事業向け融資を禁止
また、当社グループにおける石炭火力発電所建設向けプロジェクト・ファイナンスの貸出金残高(2023年3月末時点)は23億円で、2035年度を目処に残高ゼロとします。
FFGでは、環境課題・社会課題への取組みを一層推進するため目標を定め、モニタリングを行っております。
FFGでは、2021年10月にお取引先の環境・社会課題解決、脱炭素社会に資するファイナンスを「サステナブルファイナンス」と位置づけ、その累積実行額目標を「2020年度から2030年度までに2兆円(うち、環境ファイナンス1兆円)」としました。今後、お取引先の課題の解決、支援を通じて目標達成を目指します。
・気候変動対応など環境・社会課題解決に資するファイナンス
・お取引先のESG・SDGs対応を支援・促進するファイナンス
地域の脱炭素に向けた取組みを加速させるため、FFGにおけるCO2排出量(Scope1,2)削減目標を2022年5月に「2030年度までにネットゼロ」としました。
目標達成に向けて、店舗建替え時に環境配慮型店舗へシフトすることや、高効率な空調への切替、LED照明の採用など、省エネ施策を実施しております。加えて、使用電力を再エネ由来電源へ切り替えていくことも検討してまいります。
また、長期目線での取組みとして、太陽光等の自家発電及びコーポレートPPAについても検討を行ってまいります。
(単位:t-CO2)
※概算値。なお、2022年度から算定範囲を追加しております(賃借店舗、店外ATMなど)。
FFGでは2021年度より、Scope3(カテゴリー1~14)を算出しています。
なお、カテゴリー15(投融資)につきましては、優先的に対応するセクターやGHG排出量削減に向けた取組みを検討し、開示の準備を行ってまいります。
Scope3の算定方法、排出計数等は「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer2.4(環境省・経済産業省2022年3月)」及び「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位ベースVer3.2(環境省・経産省2022年3月)」より使用しております。(カテゴリー8~14は算定による数値がゼロ)
2022年度のScope3の数値については、2023年10月に弊社ウェブサイト(https://www.fukuoka-fg.com/)において公表予定の
(単位:t-CO2)
③金融経済教育受講者数(FFG単体、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行合算)
金融経済教育の長期KPIとして「2020年度から2030年度までの金融経済教育受講者数10万人」を目標に掲げました。自治体や学校と連携し、高校生向けの「資産形成」に関する授業の提供や、社会に出ることを目前とした大学生には従来からの金融講座を通じて理解浸透に貢献します。また、YouTube等のSNSでの発信を通じて、若年層の金融知識の習得を図っております。
FFGの持続的成長に向けて、多様化・専門化する事業戦略を実現していくためには、多様な背景を持つ人財の活用が必要と考えております。こうした人財の個性を活かして活躍できるよう、女性に対する育成施策の拡充に加え、キャリア採用にも積極的に取り組むと同時に、適切で公正なマネジメントやサポートを行ってまいります。この取組みを可視化する指標として、多様な背景を持つ人財の役職者比率を2030年度までに35%以上とする目標を掲げました。
研修関連の人財育成にかかる費用は、単なる経費ではなく、人財という資本への投資と考えております。今後も、従業員のキャリア開発を組織として後押しするため、多種多様な研修を企画・実施してまいります。
・2020年度:237百万円 2021年度:191百万円 2022年度:228百万円
自律的なキャリア形成を後押しし、生産性・やりがいの向上につなげられるよう、任意で受講可能な、土曜日開催の「サタデーカレッジ」や、平日業務時間終了後オンラインで開催される「イブニングセミナー」を実施しております。今後も、より多くの従業員が自らのキャリアアップに必要な研修を選択・参加し、業務知識やマーケット感覚等の習得に努められるよう、講座の充実を検討してまいります。
・サタデーカレッジ 2020年度:22,600人 2021年度:33,441人 2022年度:31,088人
・イブニングセミナー 2020年度: 1,079人 2021年度: 7,449人 2022年度: 8,034人
従業員の自己成長や各自が描くキャリアの実現に向けて、主体的に取り組む自己啓発への支援として最大30万円の自己啓発奨励金等を支給しております。毎年多くの従業員が、自発的に自身の業務のレベルアップを図るため、資格取得に挑戦しております。自己啓発奨励金及び資格・検定試験費用の合算は以下の通りです。今後、本制度の対象範囲の拡大を検討してまいります。
・2020年度:40百万円 2021年度:55百万円 2022年度:55百万円
様々なバックグラウンドを有する個々人の事情に応じた柔軟な働き方の選択肢を増やしていくため、男性育児休業10営業日取得義務化をはじめとして、時間単位での休暇取得や多目的休暇制度を創設しました。これにより公私ともに充実できる環境を整え、従業員エンゲージメントの向上につながるような仕組みづくりを進めております。特に男性育児休業については、取得率100%維持に向けた環境整備を継続して行ってまいります。
男性育児休業取得率の実績については
FFG、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行に所属する従業員を対象に、会社・仕事・職場・上司に対する「期待度」と「満足度」という観点からエンゲージメントの測定を2023年2月に実施しました。このようなモニタリングにより人財戦略の効果検証を行いながら、今後の組織・業務運営の見直しを継続的に行い、スコアの維持・向上を目指してまいります。
・2022年度:エンゲージメントスコア59 ランク:A(AAA~DDのランクで上から3つ目のランク)
当社及び当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクについて記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。各項目に掲げられたリスクは、それぞれが独立するものではなく、ある項目のリスクの発生が関連する他の項目のリスクに結びつき、リスクが増大する可能性があることについてもご留意ください。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
<リスクカテゴリー毎の主要なリスク>
1 信用リスク
貸出先の財務状況悪化等に起因する信用リスクは、当社グループの銀行子会社が保有する最大のリスクであり、この信用リスクによって生じる信用コスト(与信関連費用)が増加する要因として以下のものがあります。
(1) 不良債権の増加
当社グループの不良債権は、世界経済及び日本経済の動向、不動産価格及び株価の変動、貸出先の経営状況等によっては増加する可能性があります。その結果、現時点の想定を上回る信用コストが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 貸倒引当金の積み増し
当社グループは、貸出先の財務状況、担保等による債権保全及び企業業績に潜在的に影響する経済要因等に基づいて、貸倒引当金を計上しております。貸出先の財務状況等が予想を超えて悪化した場合、現時点で見積もり計上した貸倒引当金が不十分となる可能性があります。また、地価下落等に伴い担保価値が低下し債権保全が不十分となった場合、貸倒引当金の積み増しが必要となる可能性があります。このような場合、信用コストが増加し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 特定の業種における経営環境悪化
当社グループの貸出先の中には、世界経済及び日本経済の動向及び特定の業種における経営環境の変化等により、当該業種に属する企業の信用状態の悪化、担保・保証等の価値下落等が生じる可能性があります。
このような場合、当社グループのこれら特定の業種における不良債権残高及び信用コストが増加し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 貸出先への対応
当社グループは、貸出先のデフォルト(債務不履行等)に際して、法的整理によらず私的整理により再建することに経済合理性が認められると判断し、これらの貸出先に対して債権放棄又は追加融資を行って支援を継続することもあり得ます。支援継続に伴う損失額が貸倒引当金計上時点の損失見積額と乖離した場合、信用コストが増加し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、このような貸出先に対しては、再建計画の正確性や実行可能性を十分に検証した上で支援継続を決定いたしますが、その再建が必ず奏功するという保証はありません。再建が奏功しない場合、これらの貸出先の倒産が新たに発生する可能性があります。その結果、信用コストが増加し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 権利行使の困難性
当社グループは、不動産市場における流動性の欠如又は価格の下落、有価証券価格の下落等の事情により、デフォルト状態にある貸出先に対して担保権を設定した不動産及び有価証券を処分することができない可能性があります。
このような場合、債権保全を厳格に見積もることによる貸倒引当金の積み増しや、バルクセールによるオフバランス化を進めることもあり得ます。その結果、信用コストが増加し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
<対応策>
当社グループでは、景気予測に基づくデフォルト率の推計等将来のリスクを合理的に見積るフォワードルッキングな引当を行っております。
フォワードルッキングな引当を行うことで、より景気変動に左右されない貸出運営を可能とし、資金繰り支援をはじめとした安定的で適切な金融仲介機能の発揮に繋がるものと考えております。
お取引先企業に対しては「迅速かつ十分な資金供給」と「金融の円滑化」に全力を尽くしてまいることは言うまでもありませんが、将来の不確実性に備えた取組みについても万全を期してまいります。
なお、信用リスクの管理体制については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)1 金融商品の状況に関する事項 (3)金融商品に係るリスク管理体制 ①信用リスクの管理」に記載しております。
2 市場リスク
当社グループの市場関連業務においては、様々な金融商品での運用を行っており、金利・為替・株式等の相場変動の影響を受けます。これらについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)1 金融商品の状況に関する事項 (3)金融商品に係るリスク管理体制 ②市場リスクの管理」に記載の体制のもと、適時・適切にリスクをコントロールしています。特に金利リスクについては、バーゼル規制における「銀行勘定の金利リスク(IRRBB)」の趣旨に基づき、リスク量が当社グループの自己資本の一定割合を超えないようコントロールしています。
しかしながら、国内外の経済動向・政治情勢及び近年急速に高まっている地政学リスク(特定地域が抱える政治的・軍事的緊張の高まりがその特定地域経済もしくは世界経済全体の先行きを不透明にするリスク)等の影響を受けて市場が混乱を来たす等により金利・為替・株式等のリスク・ファクターが大幅に変動した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
3 流動性リスク
流動性リスクは、運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になる、又は通常よりも著しく高い金利での調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク(資金繰りリスク)及び市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされたりすることにより損失を被るリスク(市場流動性リスク)です。
当社グループでは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)1 金融商品の状況に関する事項 (3)金融商品に係るリスク管理体制 ③流動性リスクの管理」に記載の体制のもと、流動性リスクを適時・適切に管理しておりますが、外部の格付機関が当社や銀行子会社の格付けを引き下げたり市場環境が悪化したりすると、これらのリスクが顕在化するおそれがあり、この場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
4 オペレーショナル・リスク
(1) 事務リスク
当社グループでは、事務規程等に則った正確な事務処理を励行することを徹底し、事務事故の未然防止を図るため事務管理体制の強化に努めております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、重大な事務リスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) システムリスク
当社グループは、銀行子会社における営業店、ATM及び他行とを結ぶオンラインシステムや顧客情報を蓄積している情報システムを保有しております。当社グループでは、コンピューターシステムの停止や誤作動又は不正利用、外部からのサイバー攻撃等のシステムリスクに対してシステムの安全稼働やセキュリティ対策に万全を期すほか、セキュリティポリシーに則った厳格な情報管理を行うなど運用面での対策を実施しております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、重大なシステム障害が発生した場合、あるいは、サイバー攻撃によるシステムの停止等が発生した場合、決済業務に支障をきたす等当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) サイバーセキュリティに関するリスク
当社グループでは、近年のサイバーセキュリティに対する脅威の深刻化等を踏まえ、サイバー攻撃動向や脆弱性等の情報を収集・把握し、迅速な対応を実施するため、情報セキュリティ部会(FFG-CSIRT)を設置するなど、セキュリティ管理態勢の充実・強化に取り組んでおりますが、今後、サイバー攻撃により重要情報が流出したり、あるいは重要なシステムが停止したりした場合、不測の損失の発生や信用低下等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 情報漏洩等のリスク
当社グループでは、膨大な顧客情報を保有しており、情報管理に関する規程及び体制の整備や従業員教育の徹底により、情報資産の厳正な管理に努めております。しかしながら、今後、不適切な管理、あるいは、外部からのサイバー攻撃等により顧客情報や経営情報等の漏洩、紛失、改ざん、不正利用等が発生し、損害賠償等に伴う直接的な損失や、当社グループの信用低下等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 有形資産リスク
当社グループが所有及び賃借中の土地、建物、車両等の有形資産について、自然災害、犯罪行為、資産管理上の瑕疵等の結果、毀損、焼失あるいは劣化することにより業務の運営に支障をきたす可能性があります。また、固定資産の減損会計適用に伴い、評価額が低下した場合等には損失が発生する可能性があります。これら有形資産に係るリスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 労務リスク
当社グループでは、労働関連法令に基づき適切な労務管理を行っておりますが、労務管理面及び安全衛生環境面での問題等に起因して損失が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 法務リスク
当社グループは、事業活動を行う上で、会社法、金融商品取引法、銀行法等の法令諸規制を受けるほか、各種取引上の契約を締結しております。当社グループは、これら法令諸規制や契約内容が遵守されるよう法務リスク管理等を行っておりますが、法令解釈の相違、法令手続きの不備、法令違反行為等により法令諸規制や契約内容を遵守できなかった場合、罰則適用や損害賠償等に伴う損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) コンプライアンスに関するリスク
当社グループでは、コンプライアンス(法令等遵守)を経営の重要な課題と位置付け、態勢整備及び役職員に対する教育研修に努めておりますが、今後、役職員による不法行為、社会規範に悖る行為、あるいは利用者視点の欠如した行為等に起因し多大な損失が発生したり、当社グループの使用者責任が問われ信用低下等が生じたりした場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 風評リスク
当社グループや金融業界に対するネガティブな報道や風説・風評の流布が発生した場合、それが事実であるか否かにかかわらず、当社グループの業績及び財務状況並びに当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
5 自己資本管理
当社グループは、連結自己資本比率を2006年金融庁告示第20号に定められる国内基準(4%)以上に維持する必要があります。また、当社の銀行子会社である福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行及びみんなの銀行は、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を2006年金融庁告示第19号に定められる国内基準(4%)以上に維持する必要があります。
当社グループ又は銀行子会社の自己資本比率が求められる水準を下回った場合、金融庁長官から業務の全部又は一部の停止命令等を含む様々な命令を受けることとなります。
当社グループ又は銀行子会社の自己資本比率の低下に影響を与える主な要因として以下のものがあります。
(1) 不良債権処理に伴う信用コストの増加
不良債権の発生や処分に伴い発生する信用コストの増加は、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、自己資本比率の低下につながる可能性があります。
(2) 繰延税金資産
現時点における会計基準に基づき、一定の条件の下で、将来における税負担額の軽減効果として繰延税金資産を貸借対照表に計上することが認められております。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関するものを含めた様々な予測・仮定に基づいており、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。その結果、当社又は連結子会社が繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合、当社グループの繰延税金資産は減額され、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、自己資本比率の低下につながる可能性があります。
(3) その他
その他自己資本比率に影響を及ぼす要因として以下のものがあります。
・有価証券の時価の下落に伴う減損処理の増加
・貸出金等リスクアセットポートフォリオの変動
・自己資本比率の基準及び算定方法の変更
・本項記載のその他不利益項目の発生
6 その他のリスク
(1) 気候変動に関するリスク
近年、異常気象等による被害が世界的に甚大化しており、当社グループの営業基盤である九州においても、豪雨・台風等による大きな被害が頻繁に発生するなど、気候変動への対応は企業経営の大きな課題となっております。当社グループでは、気候変動リスクへの対応を経営戦略上重要な要素と位置付け、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動リスクが当社グループに及ぼす影響を把握・評価し、開示の拡充に取り組んでおりますが、当社グループの取組みや情報開示が不十分であると判断された場合は、当社グループの企業価値の毀損により当社グループの業績及び財務状況並びに当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。気候変動リスクとしては、豪雨・台風等の増加により、当社グループの店舗網が毀損し事業継続性に問題が生じることが想定されます。また、与信取引先企業の担保価値毀損や事業停止に伴う財務悪化により、当社グループの信用コストが増加する可能性があります。
さらに、脱炭素社会への移行に伴う政策・規制強化や市場変化等による売上高減少やコスト増加によって、与信取引先企業の財務が悪化し、当社グループの信用コストが増加する可能性があります。また、当社グループでは投融資に際し、「環境・社会に配慮した融資の取組み方針」の下、地球温暖化防止に向けた国際社会の要請や、持続可能な地域社会の実現に向けた取組みへの期待を踏まえた対応を行っておりますが、ステークホルダーの皆様の期待と当社グループの取組みとの乖離が拡大した場合は、当社グループの企業価値の毀損により当社グループの業績及び財務状況並びに当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 金融犯罪等に係るリスク
当社グループでは、キャッシュカードの偽造・盗難や振り込め詐欺等の金融犯罪による被害を防止するため、セキュリティ強化に向けた対策を講じております。また、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止を経営の重要な課題と位置付け、管理態勢の強化に取り組んでおります。しかしながら、高度化する金融犯罪等の発生により、不公正・不適切な取引を未然に防止できなかった場合、不測の損失の発生や信用失墜等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 当社グループの経営統合に関するリスク(期待した統合効果を十分に発揮できない可能性)
2007年4月の当社設立(福岡銀行と熊本ファミリー銀行(現 熊本銀行)の経営統合)以降、2007年10月には親和銀行と、2019年4月には十八銀行と経営統合(2020年10月には親和銀行と十八銀行が合併し、十八親和銀行に商号変更)するなど、当社グループは質の高い金融サービスを提供する広域展開型地域金融グループを目指して、事務やIT基盤の共通化等、統合効果を最大限に発揮するために最善の努力をいたしております。
しかしながら、業務面での協調体制強化や営業戦略の不奏功、顧客との関係悪化、対外的信用力の低下、想定外の追加費用の発生等により、当初期待した統合効果を十分に発揮できず、結果として当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) ビジネス戦略に関するリスク
当社グループは、中長期的な企業価値向上を目指して様々なビジネス戦略を展開しておりますが、想定を上回る経営環境の変化、あるいは戦略展開に必要なスキルを有する人材の不足等により、想定した通りの収益が計上できない場合、あるいは想定を上回るコスト等が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 内部統制の構築等に係るリスク
当社は、金融商品取引法に基づき、連結ベースの財務報告に係る内部統制が有効に機能しているか否かを評価し、その結果を内部統制報告書において開示しております。
当社グループは、適正な内部統制の構築、維持、運営に努めておりますが、予期しない問題が発生した場合等において、財務報告に係る内部統制の評価手続きの一部を実施できないことや、内部統制の重要な欠陥が存在すること等を余儀なく報告する可能性もあります。そのような場合、当社グループの業績及び財務状況並びに当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 業務範囲拡大に伴うリスク
当社グループは、法令等の規制緩和に伴う業務範囲の拡大等を前提とした多様な営業戦略を実施しております。当該業務の拡大が予想通りに進展せず想定した結果を得られない場合、営業戦略が奏功しないことにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 競争に関するリスク
当社グループが主要な営業基盤とする福岡県、熊本県及び長崎県をはじめ営業戦略の上で広域展開を図る九州地区は、今後、他金融機関の進出や業務拡大に加え、地元金融機関同士の再編も予想されます。また、デジタル技術の急速な進展によって、異業種からの銀行業への新規参入が相次ぐことも想定されます。
当社グループがこのような事業環境において競争優位を得られない場合、営業戦略が奏功しないことにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 持株会社のリスク
持株会社である当社は、その収入の大部分を当社が直接保有している銀行子会社から受領する配当金に依存しております。一定の状況下では、銀行法及び会社法その他法令上の規制又は契約上の制限等により、当該銀行子会社が当社に支払う配当金が制限される可能性があります。また、銀行子会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当を支払えない状況が生じた場合、当社株主への配当の支払が不可能となる可能性があります。
(9) 業績予想及び配当予想の修正
当社が上場する金融商品取引所の規則に基づいて公表する業績予想及び配当予想は、公表時点における入手可能な情報に基づき判断したものであります。従って、外部経済環境が変化した場合や予想の前提となった経営環境に関する条件等に変化があった場合、同規則に基づいて、業績予想及び配当予想を修正する可能性があります。
(10) 各種規制の変更リスク
銀行持株会社及び銀行子会社は、事業運営上の様々な公的規制や金融システム秩序維持のための諸規制・政策のもとで業務を遂行しております。仮に一金融機関の経営破綻であっても連鎖反応により金融システム全体に重大な影響が及ぶおそれがある場合、これらの諸規制・政策が変更される可能性があります。現時点でその影響を予測することは困難ですが、コストの増加につながる場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 地域経済の動向に影響を受けるリスク
当社グループは、福岡県、熊本県及び長崎県を中心とした九州地区を営業基盤としていることから、地域経済が悪化した場合は、業容の拡大が図れないほか、信用リスクが増加するなどして当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 他金融機関等との提携等に関するリスク
当社グループは、経営環境の変化を踏まえ、高い企業価値を実現するための経営戦略を立案・策定し、他金融機関等との提携・協力関係を構築しております。しかしながら、金融機関を取り巻く経済・経営環境に関する前提条件が予想を超えて変動する等により、これら提携等が予定したとおりに完了しない可能性があります。また、新たな提携等が実現したとしても、当該提携等が当初想定したとおりの効果を生まない可能性もあります。
(13) 退職給付債務に関するリスク
当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件が変更された場合、又は実際の年金資産の時価が下落した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14) 会計制度変更に伴うリスク
国際会計基準の適用等、会計制度の変更はコストの増加につながる可能性があります。現時点で将来の会計制度変更について、その影響を予測することは困難ですが、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15) 外的要因により業務継続に支障をきたすリスク
当社グループの本部・営業店及び事務センター・システムセンター等の被災や停電、サイバー攻撃、サードパーティを含めた大規模なシステム障害の発生、テロ、深刻な感染症の流行等の外的要因により、当社グループにおける業務の全部又は一部の継続に支障をきたし、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
<トップリスク>
当社グループでは、経営上、特に重要なリスクを「トップリスク」と位置付け、取締役会において選定しています。トップリスクについては、グループ内でリスク認識を共有するとともに、顕在化防止や影響度の軽減に向けた対策を講じることにより、リスクガバナンスの強化を図っています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(金融経済環境)
2022年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染抑制と経済活動の両立が進み、景気は緩やかに回復しました。FFGの営業基盤である九州においても、政府による「全国旅行支援」等の需要喚起策やインバウンドの回復による個人消費の増加、企業の底堅い設備投資によって、持ち直しの動きが続きました。
金融面では、グローバルなインフレ環境がロシアによるウクライナ侵攻により加速し、米欧のみならず日本銀行も金融政策の見直しを実施する等、国内外で変動が見られました。
国内長期金利の指標となる10年国債利回りは、日本銀行が2022年12月の金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロールの許容変動幅を拡大したことを受けて、0.2%台から一時0.5%を超える水準まで上昇しました。
円相場は、日米金利差の拡大から円安ドル高が進行し、2022年10月には1ドル150円を超えました。その後は、米国金利の上昇に頭打ち感が見られたことや、日本銀行による金融政策のさらなる修正期待等を受けて反転し、2023年3月末には1ドル133円台となりました。
日経平均株価は、海外市場の影響等もあり、年間を通じて概ね2万6千円から2万9千円の間での推移となり、2023年3月末には2万8千円台となりました。
(財政状態及び経営成績の状況)
当連結会計年度の経営成績につきましては、以下のとおりとなりました。
連結経常収益は、資金運用収益の増加等により、前年比508億9千6百万円増加し、3,313億2千3百万円となりました。連結経常費用は、国債等債券売却損等のその他業務費用の増加等により、前年比769億3千2百万円増加し、2,812億7千3百万円となりました。
以上の結果、連結経常利益は、前年比260億3千6百万円減少し、500億5千万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年比229億6千6百万円減少し、311億5千2百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前年比7,523億円増加し、29兆9,242億円となりました。また、純資産は、前年比393億円減少し、9,017億円となりました。
主要勘定残高につきましては、預金等(譲渡性預金を含む)は、前年比4,664億円増加し、20兆9,494億円となりました。貸出金は、法人部門を中心に前年比9,847億円増加し、17兆6,883億円となりました。また、有価証券は、前年比1,567億円減少し、3兆9,534億円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前年比1,318億5千1百万円減少し、7兆7,084億1千2百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、貸出金の増加等により、1,112億6千1百万円のマイナス(前連結会計年度は2兆1,635億4千5百万円のプラス)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出に対し、有価証券の売却及び償還による収入が上回ったこと等により、30億8千2百万円のプラス(前連結会計年度は3,726億3千9百万円のマイナス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、237億3千2百万円のマイナス(前連結会計年度は269億5千6百万円のマイナス)となりました。
(1) 国内業務部門・国際業務部門別収支
当連結会計年度の資金運用収支は、前年比28億4千6百万円増加して1,840億6千3百万円、役務取引等収支は、前年比7億3千4百万円増加して364億2千8百万円、特定取引収支は、前年比5億5千2百万円減少して6億5千2百万円、その他業務収支は、前年比304億6千1百万円減少して△274億4千5百万円となりました。
(注) 1 「国内」・「海外」の区分に替えて、「国内業務部門」・「国際業務部門」で区分しております。「国内業務部門」は、当社の円建取引及び国内連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借利息であります。
3 資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。
(2) 国内業務部門・国際業務部門別資金運用/調達の状況
資金運用勘定は、平均残高が前年比8,528億9千4百万円増加して21兆7,352億2千8百万円となりました。利息は前年比377億7千7百万円増加して2,292億7千2百万円、利回りは前年比0.14%上昇して1.05%となりました。
資金調達勘定は、平均残高が前年比9,217億2千5百万円増加して28兆1,572億7千7百万円となりました。利息は前年比349億3千万円増加して452億8百万円、利回りは前年比0.13%上昇して0.16%となりました。
① 国内業務部門
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、銀行業以外の連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 「国内業務部門」は、当社の円建取引及び国内連結子会社の円建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
② 国際業務部門
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、銀行業以外の連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
3 国際業務部門の国内店外貨建取引の平均残高は、月次カレント方式(前月末のTT仲値を当該月のノンエクスチェンジ取引に適用する方式)により算出しております。
③ 合計
(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
2 「相殺消去額」は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息であります。
(3) 国内業務部門・国際業務部門別役務取引の状況
役務取引等収益は、前年比5億6千6百万円増加して611億7千4百万円となりました。
役務取引等費用は、前年比1億6千7百万円減少して247億4千6百万円となりました。
(注) 「国内業務部門」は、当社の円建取引及び国内連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
(4) 国内業務部門・国際業務部門別特定取引の状況
① 特定取引収益・費用の内訳
特定取引収益は、前年比5億5千2百万円減少して6億5千2百万円となりました。
(注) 1 「国内業務部門」は、国内連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 内訳科目は、それぞれ収益と費用で相殺し、収益が上回った場合には収益欄に、費用が上回った場合には費用欄に、上回った純額を計上しております。
② 特定取引資産・負債の内訳(末残)
特定取引資産は、前年比3億4千8百万円減少して10億4千6百万円となりました。
特定取引負債は、前年比2百万円増加して2百万円となりました。
(注) 「国内業務部門」は、国内連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
(5) 国内業務部門・国際業務部門別預金残高の状況
○ 預金の種類別残高(末残)
(注) 1 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
2 定期性預金=定期預金+定期積金
3 「国内業務部門」は、国内連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
(6) 国内・海外別貸出金残高の状況
① 業種別貸出状況(末残・構成比)
(注) 「国内」とは、国内連結子会社(特別国際金融取引勘定分を除く)であります。「海外」とは、特別国際金融取引勘定分であります。
② 外国政府等向け債権残高(国別)
「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げることとしております。ただし、前連結会計年度及び当連結会計年度の外国政府等向け債権残高は該当ありません。
(7) 国内業務部門・国際業務部門別有価証券の状況
○ 有価証券残高(末残)
(注) 1 「国内業務部門」は、当社の円建取引及び国内連結子会社の円建取引であります。「国際業務部門」は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 「その他の証券」には、外国債券を含んでおります。
(参考)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法を採用しております。また、オペレーショナル・リスク相当額に係る額の算出は、標準的計測手法を採用しております。
当社は、2023年3月末からバーゼルⅢ最終化の早期適用をしております。
連結自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、株式会社福岡銀行、株式会社熊本銀行、株式会社十八親和銀行及び株式会社みんなの銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
(注) 単位未満は四捨五入しております。
(生産、受注及び販売の状況)
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行持株会社における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(経営者の視点による認識及び分析・検討内容)
当年度の経営成績につきましては、資金利益、役務取引等利益の増加及び経費の減少等を要因として、福岡銀行、熊本銀行及び十八親和銀行単体合算(以下、「3行単体合算」といいます。)のコア業務純益は前年比83億3千3百万円増加の1,058億6千8百万円となりましたが、連結経常利益は有価証券のポートフォリオ再構築に伴う損失計上を主因に前年比260億3千6百万円減少の500億5千万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年比229億6千6百万円減少の311億5千2百万円となりました。
主要勘定残高につきましては、貸出金は法人部門を中心に前年比9,847億円増加の17兆6,883億円となりました。預金等(譲渡性預金を含む)は前年比4,664億円増加の20兆9,494億円となりました。また、有価証券は、前年比1,567億円減少の3兆9,534億円となりました。
第7次中期経営計画において目標とする経営指標に照らした当社グループの経営実績は以下のとおりであります。
(注) 1 自己資本利益率
2 バーゼルⅢ最終化(完全適用)ベース
なお、2022年度実績より上記基準を採用しているため、対前年度増減は記載しておりません。
3 経費/業務粗利益
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの中核事業は銀行業であり、資金調達はお客さまからお預りする預金を主としており、資金運用はお客さまへの貸出金及び有価証券等であります。
預金につきましては、個人・法人ともに増加しており、今後も増加を見込んでおります。
なお、国際部門における調達についても、外貨流動性リスク等考慮し、安定的な資金繰りに努めております。
設備投資につきましては、通常の店舗投資、システム関連投資に加え、成長分野として「デジタルチャネルの構築」「戦略系子会社の強化」「みんなの銀行」への投資に取組んでおりますが、資金調達につきましては、自己資金により対応する予定であります。
キャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
(3行単体合算損益の概要)
(百万円)
(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(貸倒引当金の見積り)
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項 (5) 貸倒引当金の計上基準」に記載しております。
当社グループでは、景気予測に基づくデフォルト率の推計等、将来のリスクを合理的に見積るフォワードルッキングな引当を行っております。
フォワードルッキングな引当を行うことで、より景気変動に左右されない貸出運営を可能とし、資金繰り支援をはじめとした安定的で適切な金融仲介機能の発揮に繋がるものと考えております。
(参考)フォワードルッキングな引当の概要

当社と株式会社福岡中央銀行(以下、「福岡中央銀行」といい、当社と福岡中央銀行を併せ、以下、「両社」といいます。)は、2023年3月14日に開催したそれぞれの取締役会において、福岡中央銀行の株主総会の承認及び関係当局の認可等を得られることを前提として、2023年10月1日を効力発生日とする株式交換(以下、「本件株式交換」といいます。)による経営統合(以下、「本件経営統合」といいます。)を行うことを決議し、同日付けで、株式交換契約書(以下、「本件株式交換契約」といいます。)を締結いたしました。
1.本件経営統合の目的・理念
両社は、本件経営統合を通じて、グループとしての総合力を一段と発揮し、地域のあらゆる層のお客さまをサポートすることによって、地域経済の持続的な発展に貢献してまいります。
2.本件株式交換の方式
当社を株式交換完全親会社、福岡中央銀行を株式交換完全子会社とする株式交換となります。なお、本件株式交換は、当社については、会社法第796条第2項の規定に基づく簡易株式交換の手続きにより、株主総会の承認を受けずに行います。福岡中央銀行については、2023年6月29日に開催予定の定時株主総会及び普通株主様による種類株主総会にて、本件株式交換契約の承認を受ける予定です。
3.株式交換に係る割当ての内容
① 普通株式
(注)1 株式交換に係る割当ての詳細
福岡中央銀行の普通株式1株に対して当社の株式0.81株を割当て交付いたします。本件株式交換により、福岡中央銀行の普通株主に交付される当社の普通株式の数に1株に満たない端数が生じた場合には、会社法第234条その他関連法令の規定に従い、当該株主に対し1株に満たない端数部分に応じた金額をお支払いいたします。なお、上記株式交換比率は、算定の基礎となる諸条件に重大な変更が生じ若しくは判明した場合には、両社で協議の上、変更することがあります。
2 株式交換により、当社が交付する株式数
普通株式:1,890,824株(予定)
上記普通株式数は、2022年12月31日時点における福岡中央銀行の普通株式の発行済株式総数(自己株式を含み、2,737,160株)を前提として算出しております。但し、本件株式交換の効力発生時点の直前時(以下、「基準時」といいます。)までに、福岡中央銀行は、保有する自己株式(本件株式交換に関する会社法第785条第1項に基づく反対株主の株式買取請求に応じて取得する株式を含みます。)の全部を消却する予定であるため、福岡中央銀行の2022年12月31日時点における自己株式数(551株)は、上記普通株式数の算出において、対象から除外しております。なお、役員報酬BIP信託が保有する福岡中央銀行の株式は、上記自己株式数には含めておりません。また、本件株式交換に先立ち、当社の子会社である福岡銀行が、その保有する福岡中央銀行普通株式402,258株及び第1回A種優先株式30,000株を当社に対して配当として交付する予定であるため、福岡銀行が保有する福岡中央銀行普通株式402,258株についても、上記普通株式数の算出において、対象から除外しております。
なお、福岡中央銀行の自己株式の取得等の理由により、福岡中央銀行の2022年12月31日時点における自己株式数が基準時までに変動した場合は、当社の交付する株式数が変動することがあります。本件株式交換により当社が交付する株式は、全て当社が保有する自己株式を用いる予定ですが、不足する場合には、本件株式交換による株式の交付に際し、当該不足分に相当する数の普通株式を新たに発行する予定です。
3 単元未満株式の取扱いについて
本件経営統合が実現された場合、本件株式交換により、1単元(100株)未満の当社の普通株式(以下、「単元未満株式」といいます。)の割当てを受ける福岡中央銀行の株主の皆さまにつきましては、その保有する単元未満株式を株式会社東京証券取引所(以下、「東京証券取引所」といいます。)及び証券会員制法人福岡証券取引所(以下、「福岡証券取引所」といいます。)その他の金融商品取引所において売却することはできません。そのような単元未満株式を保有することとなる株主の皆さまは、会社法第192条第1項の規定に基づき、当社に対し、自己の保有する単元未満株式を買い取ることを請求することが可能です。また、会社法第194条第1項及び定款の規定に基づき、当社が売渡しの請求に係る数の自己株式を有していない場合を除き、当社に対し、自己の有する単元未満株式の数と併せて単元株式数となる数の株式を売り渡すことを請求することが可能です。
② 第1回A種優先株式
福岡中央銀行の第1回A種優先株式(以下、「本優先株式」といいます。)における株式交換については、変動性株式交換比率方式を採用しております。変動性株式交換比率方式とは、株式交換決定時に福岡中央銀行の本優先株式価値を確定し、福岡中央銀行の本優先株式1株につき対価として交付される当社普通株式の割当株数を、効力発生日の直前の一定期間における当社株式の平均株価を基に決定するものであります。
福岡中央銀行の本優先株式における株式交換においては、当社は、基準時における福岡中央銀行の本優先株式の株主に対し、福岡中央銀行の本優先株式に代わり、その所有する福岡中央銀行の本優先株式の数に、以下の算式により算出される株式交換比率を乗じて得た数の当社の普通株式を割当てます。
株式交換比率=10,000円/当社の普通株式の平均株価
(注)1 株式交換比率の計算方法
株式交換比率は、小数第3位まで算出し、その小数第3位を四捨五入いたします。なお、当社の普通株式の平均株価は、効力発生日前に必要とされる事務対応期間を設け、東京証券取引所プライム市場における2023年9月4日から同年9月15日までの10取引日の間の各取引日(但し、取引が行われなかった日は除きます。)の当社の普通株式1株あたりの終値の単純平均値(小数第1位まで算出し、その小数第1位を四捨五入いたします。)といたします。
2 株式交換により、当社が交付する株式数
当社は、福岡中央銀行の本優先株式の株主の所有する福岡中央銀行の本優先株式数の合計数(但し、上記①「普通株式」(注)2記載の本件株式交換に先立つ福岡銀行の配当により当社が保有する予定の本優先株式30,000株を除きます。)に、上記株式交換比率を乗じて得た数の当社普通株式を交付します。また、本件株式交換により当社が交付する株式は、全て当社が保有する自己株式を用いる予定ですが、不足する場合には、本件株式交換による株式の交付に際し、当該不足分に相当する数の普通株式を新たに発行する予定です。本件株式交換により、福岡中央銀行の本優先株式の株主に交付される当社の普通株式の数に1株に満たない端数が生じた場合には、会社法第234条その他関連法令の規定に従い、当該株主に対し1株に満たない端数部分に応じた金額をお支払いいたします。
3 単元未満株式の取扱いについて
本件経営統合が実現された場合、本件株式交換により、当社の単元未満株式の割当てを受ける福岡中央銀行の株主の皆さまにつきましては、その保有する単元未満株式を東京証券取引所及び福岡証券取引所その他の金融商品取引所において売却することはできません。そのような単元未満株式を保有することとなる株主の皆さまは、会社法第192条第1項の規定に基づき、当社に対し、自己の保有する単元未満株式を買い取ることを請求することが可能です。また、会社法第194条第1項及び定款の規定に基づき、当社が売渡しの請求に係る数の自己株式を有していない場合を除き、当社に対し、自己の有する単元未満株式の数と併せて単元株式数となる数の株式を売り渡すことを請求することが可能です。
4.本件経営統合の日程
2022年11月11日(金) 本件経営統合に関する基本合意書締結
2023年3月14日(火) 両社取締役会決議、本件株式交換契約締結
2023年6月29日(木)(予定) 福岡中央銀行定時株主総会及び普通株主様による種類株主総会開催
2023年9月28日(木)(予定) 福岡中央銀行上場廃止日
2023年10月1日(日)(予定) 本件株式交換効力発生日
上記日程は、本件経営統合に係る手続進行上の必要性その他の事由によって必要となる場合には、両社が協議し合意の上、変更されることがあります。
5.本件経営統合の相手会社についての事項
(1)会社概要
(2023年3月末時点)
(2)直近3年間の業績概要(単体)
(単位:百万円)
該当事項はありません。