第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当行グループは、厳しさを増している経営環境下において、職員一人ひとりが果たすべき役割とそれを通じて北海道の未来に貢献するという使命を明確にするため、グループとしての統一した経営理念を掲げ、その実現のために、4つの行動規範を定めております。

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 この経営理念及び行動規範に基づき、当行グループは、お客さまの信頼の下にあることを意識し、お客さま・地域の多様化するニーズや課題に最善の提案を持って応えるとともに、こうした一つひとつの取組みを通じて、北海道の持続可能な未来のために、自ら困難に立ち向かってまいります。

 

(2)経営戦略

 人口減少に伴い縮小が懸念される北海道マーケットにおいて、道内企業や個人のお客さま、地域社会のサステナビリティの実現をサポートすることが北洋銀行グループの使命と考え、2023年度より中期経営計画「『新たな成長へのチャレンジ』~お客さま、地域と共に持続可能な成長を~」(2023年4月~2026年3月)をスタートさせております。

 「成長」と「環境・社会」をキーワードに、中期経営計画で掲げている3つの全体戦略「①北海道とお客さまのサステナビリティ向上サポート ②お客さまの成長を支える人財の育成 ③店舗機能再構築・事務効率化による生産性の向上」をベースにお客さま本位・従業員本位を実践し、当行の企業価値の向上(社会的価値と経済的価値の両立)を目指してまいります。

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(3)目標とする経営指標

 中期経営計画『新たな成長へのチャレンジ』では、収益性や健全性、効率性などの持続可能性に重要と考えられる以下の指標を目標に掲げ、各種施策に取り組んでおります。

 

目標とする経営指標

2025年度(計画)

3年間増減

親会社株主に帰属する当期純利益   (連結)

(※) 170億円

+74億円

自己資本比率            (連結)

14%程度

+2.2pt程度

(※)2025年度の親会社株主に帰属する当期純利益の業績予想は、計画の170億円を超える243億円としております。

 

中長期的に目指す経営指標

2025年度(計画)

3年間増減

中長期目標

ROE            (連結)

4%程度

+1.7pt程度

5%程度

コアOHR          (連結)

70%程度

△7.3pt程度

60%台

注)1.自己資本比率はバーゼルⅢ最終化(経過措置期間)ベース

2.ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷{(期首自己資本+期末自己資本)÷2}

3.コアOHR=経費÷コア業務粗利益

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

 当行グループが営業基盤とする北海道は、少子高齢化を伴う人口減少の加速や後継者不在による事業所数の減少などの課題を抱える一方で、再生可能エネルギーなどのGX(グリーントランスフォーメーション)や次世代半導体製造企業の進出など、産業構造の変革への節目にあります。

 金融業界においては、日本銀行の金融政策変更のほか、デジタル化の急速な進展やそれらに伴う異業種の参入、CO₂排出量削減をはじめとする環境課題への対応、人生100年時代と言われる老後の長期化など、業界を取り巻く環境も刻一刻と変化しており、対応すべき多くの課題に直面しています。

 このような環境下において、当行グループは経営理念・行動規範の更なる実践とともに、中期経営計画を確実に実践することで、対処すべき課題の解決につなげてまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当行グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ

①ガバナンス

 当行グループは、サステナビリティ経営への取組強化を目的として、頭取を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会では、サステナビリティ方針に基づき、サステナビリティにおける課題の洗い出しとそれに対する施策展開、年度毎のサステナビリティ取組方針の制定ならびに気候変動や生物多様性などの「環境保全」、人財育成などの「人的資本」に関する施策・方針、取組状況などについて協議・報告を行っています。

 決議事項等は取締役会へ報告し、取締役会による監督が適切に図られるよう体制を整備しています。

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②戦略

 経営理念及びサステナビリティ方針のもと、2023年度の中期経営計画「『新たな成長へのチャレンジ』~お客さま、地域と共に持続可能な成長を~」において長期ビジョンを「環境・社会への貢献投資と経済成長投資を両立し、未来志向の豊かな地域社会の実現に貢献する」と定め、道内企業のサステナブル経営や個人のお客さまのサステナブルな生活設計をサポートするとともに、優先的に取り組むべきサステナビリティ経営の重要課題を3つ、人的資本の重要課題を3つ特定しております。

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A.気候変動対応

(a)国内随一の再生可能エネルギー導入ポテンシャルを有する北海道では、洋上風力発電や水素・アンモニアなど多くのGX関連事業が動き出しております。うち、洋上風力発電は日本海沖を中心に「有望な区域」に指定されました。洋上風力の羽や躯体製造等の大型部品は欧米メーカーや国内大手企業になりますが、周辺のインフラ整備などに関しては、道内の企業が参入できる余地があり、当行は投融資による積極的な支援を予定しています。GXを起点として北海道全体の成長につなげるため、2023年6月に発足した産官学金のコンソーシアム「Team Sapporo-Hokkaido」等の官民連携により、再生可能エネルギーなどに関連したお客さまの新たなニーズの発掘、課題の解決に積極的に取組んでおります。また、お客さまの脱炭素社会への移行を支援するサステナブルファイナンスへの取組みを強化してまいります。

 

(b)当行グループのGHG排出量の削減に向けた取組みとして、省エネルギー設備への更新やカーボンフリー電力・ガスの導入を進めています。また、北海道の脱炭素を積極的に進めるため、Scope3計測によるセクター別の分析に基づき、対象先にGHG排出量削減に向けた脱炭素コンサル等のソリューションの提供や、気候変動から創出されるビジネス機会へのサポートを行っていきます。

B.生物多様性保全

 北海道は3つの海に囲まれ、多様な樹種からなる広大な森林、日本最大級の湿原など、豊かな自然環境に恵まれています。北海道の希少種保護や生育環境の整備等に取り組む団体を支援する当行独自の基金(ほっくー基金)を通じて、生物多様性保全や自然環境の維持に取り組んでいきます。

C.金融経済教育

(a)北海道の未来を担う子どもたちへの教育活動は地域に根差した金融機関として重要な取組みと位置づけ、道内大学生向け講義、小・中・高生向けの出前授業及び当行本支店での職場見学受け入れなどを積極的に行っていきます。

(b)人生100年時代に向けた準備の必要性が高まっており、正しい金融知識や資産形成に対する意識の向上がこれまで以上に重要となっています。金融経済教育に対する地域金融機関の役割が重要であると捉えており、高齢化社会における不安の解消や将来の豊かな生活、社会づくりに必要な知識・判断力の醸成に貢献していきます。

(c)広域な北海道に住む道民のあらゆる地域・年代の人に対して、平等・均一な金融経済教育の環境と機会を「オール北海道」で提供することを目的に発足した「北海道金融経済教育推進協議会」に参加しました。本協議会は、4つの金融団体(※)と各団体に加盟する計45金融機関の会員で構成され、学校や職場からの講師派遣依頼に対応していきます。本協議会と連携した講義や金融セミナーの開催を通じて、北海道全体の金融リテラシー向上に寄与してまいります。

(※)4つの金融団体:札幌銀行協会・北海道信用金庫協会・北海道信用組合協会・日本証券業協会北海道地区協会

D.人的資本

 人的資本の戦略は、「(4)人的資本 ①戦略」をご参照ください。

 

「サステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)の特定について」

 北海道はGX関連事業に加えて、次世代半導体産業の進出など産業構造に変革をもたらす大きなチャンスが訪れています。北海道経済に効果を波及させていくためには、企業誘致や道内企業の事業領域拡大、地元企業とのビジネスマッチングといった支援が必要です。一方で、人口減少や少子高齢化、人手不足、原材料・エネルギー価格の高騰、脱炭素化社会の実現に向けたお客さまの意識改革が進んでいない等の多くの課題もあります。

 当行グループは長期ビジョンの実現と北海道の課題に対応するためサステナビリティに関するマテリアリティを特定しました。地域とお客さまの課題を解決し、北海道の持続的な成長に貢献してまいります。

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特定した10個のマテリアリティ

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③リスク管理

 リスク管理の内容については「3 事業等のリスク ⑦気候変動リスク、⑧自然資本に関するリスク」、「(2)気候変動問題への取組 ③リスク管理」及び「(3)生物多様性保全への取組 ③リスク管理」をご参照ください。

④指標及び目標

A.気候変動及び生物多様性保全に関する指標及び目標については、「(2)気候変動問題への取組 ④指標及び目標」「(3)生物多様性保全への取組 ④指標及び目標」をご参照ください。

B.人的資本への対応に関する指標及び目標については、「(4)人的資本 ②指標及び目標」をご参照ください。

C.金融経済教育による金融リテラシー向上

 金融経済教育の対象者数を2023年度から2025年度の対象者延べ50,000人の目標を設定しております。2024年度の実績は17,987人です。

指標

目標

2024年度までの累計実績

金融経済教育対象者数

2023年度から2025年度

対象者50,000人

36,112人

 

(2)気候変動問題への取組

①ガバナンス

 当行グループは「脱炭素化社会の実現」をマテリアリティの一つと特定しており、サステナビリティ委員会において気候変動に関する取組方針や取組みの進捗状況を協議・報告しております。詳細については「(1)サステナビリティ ①ガバナンス」をご参照ください。

②戦略

A.機会

 お客さまの脱炭素社会への移行を支援するファイナンス(サステナビリティ・リンク・ローン、グリーンローン等)やソリューション(SDGsコンサルティング、脱炭素コンサルティング等)の提供を通じて、金融・非金融の両面から、脱炭素化社会の実現に貢献してまいります。

 

B.リスク

 当行では、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で気候変動に伴うリスクとして移行リスクと物理的リスクを以下の通り認識しており、引き続きTCFD提言が推奨するシナリオを活用した分析を実施し、各リスクの定量的な評価を進めてまいります。

移行

リスク

脱炭素社会への移行に伴い、お客さまの事業が影響を受け当行の与信関係費用が増加するなどのリスクを想定

時間軸

法規制リスク

炭素税等、CO₂排出に関する規制強化等

中期~長期

技術リスク

既存製品の低炭素技術への入替に係る投資の失敗等

中期~長期

市場リスク

消費者行動の変化、原材料コストの上昇等

中期~長期

評判リスク

特定セクターへの非難等

短期

物理的

リスク

異常気象により、当行の事業用資産が被災し事業継続が困難となるリスクや、お客さまの業績悪化や事業用資産毀損による当行の与信関係費用が増加するなどのリスクを想定

時間軸

急性リスク

洪水等の増加、異常気象の深刻化

中期~長期

慢性リスク

平均気温の上昇、海面上昇

長期

C.炭素関連資産

 「エネルギーおよびユーティリティー(注1)」セクター向け貸出金等の当行貸出金等に占める割合は1.5%です。なお2021年TCFD改訂付属書に基づく炭素関連資産(注2、3)向け貸出金等の当行貸出金等に占める割合は20.3%です。

(注)1.石油精製・石油製品製造、ガス、石炭製品、大手電力会社等。水道事業者、再生可能エネルギー発電事業者は除きます。

2.「エネルギーおよびユーティリティー」セクターに「運輸」「素材・建築物」「農業・食料・林産物」セクターが追加されました。

3.2024年度より、「素材・建築物」セクターの炭素関連資産の集計において、以下の変更を行っています。

(1)「建設業」を追加。

(2)「住宅売買業」「不動産代理・仲介業」等について、大企業のみを集計対象とする方法から、全ての企業規模を集計対象とする方法に変更。

D.シナリオ分析

 TCFD提言では、気候変動のリスクに対する戦略のレジリエンスを示すために複数のシナリオに基づいた分析の実施を推奨しており、当行では移行リスクと物理的リスクについてシナリオ分析を実施しています。シナリオ分析結果を当行のリスク低減やお客さまの脱炭素社会への移行に向けた対話の強化や支援につなげていくため、引き続き分析手法の高度化に取り組んでまいります。

 

 

移行リスク

物理的リスク

リスク事象

脱炭素社会へ移行によるマクロ経済環境の変化を通じてお客さまの財務が悪化することに伴う当行の信用リスクへの影響

①洪水等の増加による当行不動産担保の毀損やお客さまの事業停滞に伴う業績悪化

②洪水等の増加による当行営業店舗等の毀損を基因とした当行の損失発生

分析対象

エネルギー、ユーティリティー、鉄鋼セクター

①道内事業性貸出先

②当行営業店舗等(ATMを含む)

シナリオ

NGFS(注1)の「Netzero2050」「Delayed Transition」

IPCC(注2)第5次報告書におけるRCP2.6(2℃シナリオ)およびRCP8.5(4℃シナリオ)

分析期間

2050年まで

2050年まで

分析結果

信用コストの増加額:116~176億円

①信用コストの増加額:最大で37億円

②当行損失の増加額:最大で5億円

(注)1.気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク

2.気候変動に関する政府間パネル

 

③リスク管理

 当行では、経営の健全性を確保しつつ収益力を向上できるよう、信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクをはじめ主要なリスクを把握し統合的に管理を行っています。

 気候変動に伴う変化は様々な波及経路を通じて信用リスク等の主要なリスクを増減させ、当行の事業活動や財務内容に重要な影響を与える可能性があることを認識し、行内で共有しています。

 シナリオ分析の活用やお客さまのGHG排出量の算定等を通じて、気候変動による当行財務等及びお客さまの事業活動等への影響について評価を行い、各種ソリューションの提供を中心とするお客さまの気候変動対応への積極的な支援を通じて、中長期的に当行の気候関連リスクの低減を図る体制を統合的なリスク管理の枠組みの中で構築しています。

 

④指標及び目標

A.サステナブルファイナンス累計実行額(環境関連投融資から名称を変更)

 気候変動への対応として脱炭素社会への移行を支援する「環境関連投融資」の2021年度~2030年度までの累計実行目標5,000億円は、2024年度に累計5,541億円と前倒しで達成しました。

 これまでの「環境関連投融資」に、北海道における社会課題への解決に資する投融資(※)を加え、「サステナブルファイナンス」として再定義。環境関連投融資と同様に過去実績を含め、新たな目標を2兆円に引き上げしております。

 ESG投融資への対応を通じて北海道の環境課題や社会課題の解決を目指していきます。

(※)社会課題への解決に資する投融資は、半導体関連産業への支援、新産業育成(創業・スタートアップ)、製造業の合理化支援、食・観光への支援強化等

 

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※環境・社会ともに2021年度からの累計

 

B.GHG排出量削減に向けた取組み

 地域の脱炭素化を積極的に進めていくため、当行グループのGHG排出量(Scope1+2)の削減目標引き上げと投融資先のGHG排出量(Scope3カテゴリー15)の削減目標を新設しました。

 

旧目標

新目標

Scope1+2

2030年度までに

2013年度対比△80%

2030年度までに

実質ゼロ

Scope3(カテゴリー15)

目標なし

2050年度までに

実質ゼロ

 

(a)当行グループのGHG排出量(Scope1.2)は、省エネルギー設備への更新やカーボンフリー電力・ガスの導入により、2024年度は2013年度比66.8%削減しました。

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(b)金融機関に対して Scope3の取組みへの期待が高いことを認識しています。カテゴリー15(投融資先のGHG排出量)は、金融機関におけるGHG排出量の大部分を占めることから、PCAF(※1)スタンダードの計測手法を参考とし、法人融資先を対象に試算しております(一般事業法人向け融資額の85%が集計対象)。

(単位:t-CO2)

Scope3カテゴリー

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

資本財

15,487

Scope1.2に含まれない燃料及びエネルギー活動

2,469

輸送、配送(上流)

2,570

事業活動から出る廃棄物※2

24

18

出張※3

430

462

418

896

400

通勤※4

1,563

1,494

1,425

1,432

914

15

投融資※5

586,103

10,539,301

8,770,278

 

 

Scope3カテゴリー15の内訳

業種

排出量 ※6

(単位:t-CO2)

炭素強度 ※7

(単位:t-CO2/百万円)

農業

196,548

7.74

製紙・林業製品

170,904

7.31

加工食品・加工肉

528,616

5.50

飲料

20,664

3.00

金属・鉱業

251,553

11.61

化学

97,492

5.24

石油及びガス

304,309

2.82

石炭

5,383

5.44

建設資材

552,060

14.09

資本財

2,349,846

4.13

自動車及び部品

59,064

9.82

電力ユーティリティ

556,186

45.06

不動産管理・開発

93,539

1.04

トラックサービス

486,300

3.75

鉄道輸送

12,006

1.99

海上輸送

47,002

12.38

旅客空輸

139,288

281.41

航空貨物

986

2.43

その他

2,898,534

5.09

合計

8,770,278

※1.Partnership for Carbon Accounting Financials 投融資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量を計測・開示する方法を開発する国際的なイニシアティブ

2.カテゴリー5は廃プラスチック類他4種類の開示です。

3.カテゴリー6は、移動手段別による算出から、従業員数による算出に変更しました。

4.カテゴリー7は、移動手段別による算出から、従業員営業日数による算出に変更しました。

5.カテゴリー15が2023年度対比約16.7%程度減少している要因は、GHG算定ツールの導入により、一部使用データが概算値から実測値となったこと等によるものです。

6.排出量の総量に「融資先の資金調達総額に占める当行融資額の割合」を乗じた数値。小数点以下切り捨て。

7.融資先の売上高1百万円あたりの排出量

 

(3)生物多様性保全への取組

 当行は、気候変動対応に加え自然資本の保全・回復に取組むため、2023年12月「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)」に賛同し、TNFDフォーラムに参画しました。2024年度「環境省 脱炭素実現に向けた自然関連情報分析パイロットプログラム」に採択され、金融機関の投融資ポートフォリオにおける自然との接点や自然関連リスク・機会について把握・分析しております。

 TNFDフォーラムやパイロットプログラムで得られた情報を活かし、自然関連の財務情報開示や北海道の気候変動への対応、自然環境保護に取り組むことで、全てのステークホルダーと地域社会の持続的な発展に貢献してまいります。

①ガバナンス

 当行グループは「北海道のネイチャーポジティブへの貢献」をマテリアリティの一つと特定しており、サステナビリティ委員会において生物多様性保全に関する取組方針や取り組みの進捗状況を協議・報告しております。詳細については「(1)サステナビリティ ①ガバナンス」をご参照ください。

②戦略

 自然資本に対する投融資先の依存度・影響度の分析を進めていくにあたり、ENCOREを使用してTNFD優先セクターの「依存」「インパクト」について分析を行い、ヒートマップを作成しました。

 「依存」については、多くのセクターで「水の依存度」が高い結果となりました。その中でも特に「食品・飲料」と「素材」の依存度が高いセクターと分析されました。また、「インパクト」は多くのセクターにおいて「攪乱(騒音・光等)」「有害な土壌および水質汚染物質の排出」「水使用量」が高い結果となりました。その中でも特に「食品・飲料」と「ユーティリティー、商業・専門サービス」のインパクトが大きいセクターと分析されました。

 

「依存」                               0102010_010.png

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「インパクト」

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 TNFD提言では、地域特性を踏まえた分析が推奨されております。北海道は、「GX金融・資産運用特区」に指定され、GX推進の適地として洋上風力や太陽光発電計画が進む中、自然環境への配慮から漁業や希少生物への影響等、環境アセスメントへの重要性が高まっています。さらに、お取引先の融資残高の割合、依存・インパクトが比較的大きいことより、本年度は、電力、ガス、石油、石炭関連事業者等が該当する「エネルギー・ユーティリティー」を優先セクターと特定しました。

 同セクターのバリューチェーンにおける、「依存」「インパクト」の影響度合い及び機会とリスクについては以下の通り整理しています。

 

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A.機会

 洋上風力発電など脱炭素化社会への移行を支援するファイナンスについては、生態系や自然資本に与える影響を考慮しながら対応してまいります。また、行政や大学等と連携しながら生態系の保護・回復に資する取組みへのサポート等、金融・非金融の両面から、北海道のネイチャーポジティブに貢献してまいります。

B.リスク

 当行では、生物多様性保全に関するリスクとして移行リスクと物理的リスクを以下の通り認識しております。今後もTNFD提言に沿った各リスクの定量的な評価を進めてまいります。

移行

リスク

政策リスク

環境規制等への対応コスト増、周辺環境の再生義務の発生等

評判リスク

周辺環境への影響や環境破壊、災害発生に伴う住民からの反発、社会的評判の低下、それによる利害関係者の忠誠心の低下を通じた運用コスト増、操業停止等

物理的

リスク

急性リスク

有害物質の排出による環境・希少生物への影響。洪水、地滑り、地震、津波、その他自然災害の被害による操業停止、インフラの修復・メンテナンスコスト増等

慢性リスク

操業による温室効果ガスや廃棄物、汚染物質の排出による底生植物・淡水植物、その他希少生物、周辺環境への影響・汚染、種の移動による生態系の変化等

③リスク管理

 移行リスクや物理的リスクに起因する再生可能エネルギーの操業停止は、信用リスクを増減させ、当行の事業活動や財務内容に重要な影響を与える可能性があります。環境アセスメントの観点から、開発エリアにおける周辺の自然資本に与える影響や要注意地域との接点、周辺地域への影響を投融資判断の材料として検討します。また、シナリオ分析では、気候変動と自然資本の関連性について様々なシナリオを考慮し、リスクの特定・評価・管理していく体制を構築していきます。

④指標及び目標

A.サステナブルファイナンス累計実行額(うち環境関連)

 サステナブルファイナンスのうち、脱炭素化社会への移行を支援する環境関連への投融資を指標と目標としました。詳細は「(2)気候変動問題への取組 ④指標及び目標」をご参照ください。

 

2024年度までの累計実績

2030年までの累計目標

サステナブルファイナンス

(うち環境関連)

5,541億円

1.4兆円

 

 

B.ほっくー基金

 北海道の生物多様性保全を目的として2010年に「ほっくー基金」を設立し、道内の希少種保護や生息環境整備などに取り組む様々な団体を助成金により幅広く支援しています。ほっくー基金の原資として、「北洋銀行アプリ」など通帳デジタル化に伴う紙通帳の印刷コスト相当額を拠出しています。

 評価基準には、TNFDで自然資本の対象として定義されている「陸、海、淡水、大気」への寄与、北海道生物多様性保全計画(第2次計画)における圏域別の生物多様性保全方針への該当有無等を取り入れています。

 選定先は、特別天然記念物・絶滅危惧種の生息環境保護、繁殖環境の整備や特定外来生物の駆除、魚道整備や植樹に加え、幅広い世代に生物多様性保全に関する教育を実施する団体を助成しています。指標及び目標は以下の通りです。

 

2024年度実績

2025年度目標

ほっくー基金助成先

19先

20先

 

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<ほっくー基金助成先の魚道整備・植樹の様子>

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(4)人的資本

①戦略

 2023年4月からスタートした中期経営計画では、「成長」と「環境・社会」をキーワードに掲げ、人材戦略を経営戦略の一環として位置づけ、人財戦略の策定と実行を担うCHROの設置(2024年6月)、将来の経営人財の育成を狙いとしたサクセッションプランの策定(2024年12月)など、人財戦略と経営戦略を連動させる取組みを進めております。

 この人財戦略に基づき、法人、地域、個人、デジタルの各戦略に必要な人材の育成と配置を行い、職員が最高のパフォーマンスを発揮できる働きがいのある職場環境を整備しています。さらに、人員シミュレーションを通じて人材ポートフォリオの推移を分析し、新規採用の増加やキャリア採用の強化、不足する分野の人材育成、初級行員の早期育成を進めています。

 一方で、お客さまのニーズが多様化し、それに対応するための銀行のビジネスモデルも変化する中、挑戦することが評価される企業風土の構築が課題と認識しています。そのため、挑戦を後押しする組織風土の一環として、2025年7月より人事制度を改正します。新しい人事制度のもとで、職員一人ひとりが自律的に考え行動し、挑戦することを当行の文化として浸透させ、経営理念や長期ビジョンの達成を目指してまいります。

 

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 「人財育成方針」「社内環境整備方針」につきましては、事業内容が異なる連結グループ全体での記載が困難なため、連結グループの主要な事業を営む北洋銀行単体の内容としております。

 

A.人財育成方針

 サービス業である銀行の最大の差別化要素は職員であり、その質の向上が課題であると認識しています。人財への投資により、その価値を最大限に引き出すことが、中長期的な企業価値の向上につながると捉え、コンサルティング力強化やマネジメント力強化など、実効的な研修を取り入れた育成を行っています。この研修の取組み強化や自律的な育成支援のためのEラーニングツールの充実等により、2024年度の一人当りの育成費用は79.1千円と2023年度比18.9千円増加いたしました。また、一人当りの研修時間は40.3時間と同26.0時間増加しています。

(a)専門性の高い人財の育成

 銀行を取り巻く環境が大きく変化している中、当行はお客さま本位を徹底し、お客さまのニーズに応えるために、専門性の高いスキルを身に付けることに力を入れています。その一環として、リスキリングを推進し、公募制で専門機関に職員を派遣するトレーニー制度を導入しています。この制度では、銀行内の学習機会では十分に対応できないDXや海外支援、マーケット、コンサルティングなどの知識を得るため、社外の学習機会や大学院での修士課程取得等、職員が自身の将来のキャリアを見据えた成長を支援しております。

 新入行員の早期育成を目的として、2024年度からジョブローテーションを廃止し、1年目から本人が希望する業務を担当することにしました。育成の強化のため、新入行員研修を2週間から3ヵ月間に拡大し、支店配属後も約3ヵ月ごとに集合研修を開催するなど、研修とOJTを繰り返し行うことで、1年間で集中的に育成する体制を整えました。

 また、当行グループの北洋証券株式会社(証券業務)や株式会社北海道共創パートナーズ(コンサルティング業務)などと連携し、より専門的なコンサルティング提案を行うとともに、人事交流を通じて職員の専門的能力を高めています。

 さらに、タレントマネジメントシステムを活用して担当者のスキルを可視化し、スキル不足を補うための研修を追加するなど、専門知識の向上を図っています。これにより、SX・DX人材の育成を進め、北海道とお客さまのサステナビリティ向上やデジタル支援を推進してまいります。

 

2023年度実績

2024年度実績

トレーニー制度利用者数

22人

20人

(b)自律性・多様性・創造性の追求

 職員の自律的なキャリア形成を促進するため、挙手制の研修やセミナーを充実させています。研修内容には、業務に直結する具体的なスキルや知識の習得に加え、ケーススタディやロールプレイングなどの実践的なカリキュラムを組み込み、コンサルティング力やマネジメント力の強化、業務ごとのスキル向上を図っています。 また、ブレインストーミングやグループディスカッションをカリキュラムに取り入れ、自由な発想や活発な意見交換を促進しています。これにより、創造的思考を育む環境を整えています。

 加えて、専門性の高い外部講師による個人コンサルティング担当者や法人業務担当者向けの研修や、多様性の尊重と理解を深めるために、高齢者や車いす利用者、耳や目の不自由な人など、さまざまな状況の人への理解や接遇を学ぶ研修も行っています。

 行内で「人事制度の改正」プロジェクトメンバーを公募したところ、募集定員の4倍以上の応募がありました。新たなビジネスを企画する「行内ビジネスアイデアコンテスト」では215案の応募があり、北海道内の農業分野における人手不足解決を目指すアイデアが最優秀賞を取得しました。

 これらの成果は、職員が自由な発想で「まずはやってみよう」と取り組める風土を作り、「挑戦」する一歩を踏み出す機会を積極的に設けたことによるものです。さらに、自己研鑽の支援制度として、各種資格試験や検定試験の取得費用の補助、難関資格合格に対する奨励金の支給、Eラーニングの充実なども行っています。これにより、職員が自らのキャリアを積極的に開発し、成長できる環境を整えています。

 

2024年3月末実績

2025年3月末実績

コンサルティング力強化研修受講者数

17研修/実人数328人

/延べ1,483人

21研修/実人数675人

/延べ 781人

業務別スキル向上研修受講者数

25研修/実人数670人

/延べ1,939人

29研修/実人数1,028人

/延べ 1,047人

FP資格取得者

1級70人、2級1,379人

1級67人、2級1,368人

 

B.社内環境整備方針

 サービス業である銀行の最大の差別化要因であり、その職員が安心してやりがいを持って働ける環境や従業員の多様性を認め、尊重する環境の整備に取組んでおります。

(a)well-beingの実現

 「夫婦帯同転勤制度」「勤務地変更制度」「半日有給休暇制度」「企業内託児所の設置」「育児休暇制度」などのワークライフバランス関連制度を導入しているほか、1週間の連続休暇や勤続年数に応じたリフレッシュ休暇による有給休暇の取得推進や、外部専門家による介護の相談窓口を開設、WEBセミナーや介護制度に関するガイドの発信等も行い、介護と仕事の両立支援にも積極的に取り組んでおります。また、誰もが自分らしく働ける職場環境を目指すことで働きがいを高め、お客さまへのサービス向上を図ることを目的としたビジネスカジュアルを2024年5月に導入したほか、自らのスキル・能力を活かした教育・文化・スポーツ、家業といった分野での活動や地域貢献などを通じて、地域の持続的な成長にも貢献することを目的とした副業制度、就業時間内外を問わず、所属店部室以外の業務を兼ねることを認める社内兼業制度を2024年12月に導入しました。加えて、時間や場所にとらわれない働き方の一環として、リモートで研修受講や会議出席が可能なコミュニケーションツールの活用や、2025年5月からはテレワーク、フレックスタイム制を導入するなど、行内外における多様な働き方を促進するとともに、従業員の能力を最大限発揮できる環境を整え、より付加価値の高いサービスの提供を行ってまいります。

 健康経営の取り組みとして、健康診断やストレスチェックに加え、定時退行励行週間等による時間外労働削減、保健師によるメンタルヘルスセミナーの実施、さらには、初級行員のメンタル不調や離職を抑制する取組として「メンター制度」を取り入れるなど、職員が心身の健康を保ち、能力を最大限発揮できる環境整備に努めております。一方で、有給休暇の取得については、2020年度に41.6%であった取得率が2024年度には56.6%に上昇したものの、全国平均の65.3%(厚生労働省:2024年「就労条件総合調査」)には及ばず休暇制度の見直しを含めたさらなる利用促進が必要と考えております。

 

 行内のコミュニケーションの充実のために、役職員・職場のトピックスを紹介する行内SNSの積極利用や、上司部下の相互理解、信頼関係の構築のために、定期的な1on1ミーティングを実施しています。

 職員の経済的な安定の支援として積立金額に応じて奨励金を支給する職場積立NISAや、財形制度、持ち株会制度、選択型確定拠出年金などの制度を導入しております。また、定期的に全職員を対象とした研修を実施するなど、金融リテラシーの向上にも取組んでおります。

 

 

2023年度実績

2024年度実績

1on1ミーティング実施回数

7,093回

6,407回

 

(b)ダイバーシティ(Diversity)&インクルージョン(Inclusion)の深化

 女性のキャリア形成支援を目的とした各階層別研修や、育児休業中の職員の職場復帰支援等、出産・子育てをしながら働き続けるためのサポートに加え、女性支店長や副支店長を育成するための研修では、研修参加者に対し先輩女性支店長とのメンター制度を約半年間実施し、精神的サポートを行っています。これら女性の活躍支援に加え、前述「(a)well-beingの実現」で説明した各種支援制度の結果、男性と女性の平均雇用年数の差は2017年度の4.3年から2024年度には2.7年に短縮しております。女性管理職比率についても、2021年度は20%を割り込んでいたものが、2024年度には24.8%に向上しています。

 中長期的な企業価値向上のために、女性活躍を促すことに加え、多様な知・経験を持ったキャリア採用者、外国人材の活躍が必要と考え、人材紹介業務を行っている当行グループの北海道共創パートナーズと連携して、キャリア採用の強化を行っております。2024年8月からはアルムナイ(退職者)と退職後も持続的に繋がることができる公式ネットワークを構築しました。多様な人財がその多様な個性・価値観を互いに認めつつ、能力を最大限発揮していくことで、より付加価値の高いサービスを提供できることに加え、当行からの近況報告・採用情報等の発信や外部で活躍しているアルムナイからの気づきの提供、ビジネス連携の創出などが期待できます。外国人材については2025年4月1日時点で、海外2拠点を含め計9名の外国人職員(海外4名、国内5名)が勤務しております。

 また、人生100年時代に対応するため、希望者全員が満65歳まで引き続き勤務可能な「シニア職員再雇用制度」や、最長70歳まで雇用延長可能な「シニアパートナー制度」により、これまでのキャリアや経験を活かして活躍できる環境の整備に取り組むとともに、障がいのある方が地域の中で安心して暮らせる社会の実現と、社会的自立を支援するために障がい者雇用に取り組んでおります。

 

2024年3月末実績

2025年3月末実績

従業員に占める女性比率

41.8%

42.8%

男性と女性の平均雇用年数の差

2.2年

2.7年

 

女性管理職比率の推移

 

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

女性管理職比率

19.9%

20.8%

23.1%

24.8%

(c)職員エンゲージメントの向上

 人財育成方針及び社内環境整備方針記載の取組みに加え、職員エンゲージメントの更なる向上のため、2025年7月より人事制度を改正します。詳細は、「③新人事制度 愛称ポラリスについて」をご参照ください。

 

2023年度実績

2024年度実績

職員エンゲージメント(総合値)

64点

66点

 

 

②指標及び目標

 事業内容が異なる連結グループ全体での設定が困難なため、当行に関する指標及び目標となっております。

目的

項目

2024年度実績

2025年度目標

人財育成強化

職員一人あたりの研修費用(注1)

79.1千円

85.0千円

人財育成強化

職員一人あたりの研修時間(注2)

40.3時間

40.0時間

人財育成強化

コンサルティング力強化研修の受講人数(注3)

675

550

社内環境整備

(well-beingの実現)

年次有給休暇取得率(注4)

56.6

63.0

社内環境整備

(ダイバーシティ&

インクルージョン深化)

女性管理職比率(注5)

24.8

25.0

注)1.年間の「研修費用」を職員の「平均人数」で除して算出しております。「研修費用」は外部講師費、教材費、外部研修への参加費、資格取得費、宿泊費、交通費等を含んでおります。「平均人数」は2024年4月から2025年3月までの毎月の人数の和を12で除して算出しております。

2.年間の「研修時間」を職員の平均人数で除して算出しております。

3.お客さまに対する話し方やロールプレイングなどコンサルティング力を強化するための研修の受講者数であります。

4.「有給休暇の取得日数」を「有給休暇付与日数」で除して算出しております。

5.女性の「課長」級以上の人数を男女合計の「課長」級以上の人数で除して算出しております。

③新人事制度 愛称「ポラリス」について

<「ポラリス」の全体像> ※制度開始は2025年7月を予定

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 サービス業である銀行においては、職員すなわち人財の質が最大の差別化要素であり、職員の満足≒エンゲージメントを高めることが重要です。そのために職員が「北洋銀行で働いていて本当に良かった」と感じると同時に、当行で働くことに誇りと自信を持てる制度を目指します。

 

A.検討の過程

 職員の満足度を高めるためには意見を幅広く反映させることが必要です。そのため、全職員アンケートやインタビューに加え、「人事制度改正公募プロジェクト」を立ち上げ、人事制度を改革したい職員を募りました。その結果、予定の4倍を超える55人の応募があり、年齢、役職、所属部署の壁を越え、3ヵ月以上にわたり熱い議論を重ねてきました。年齢によるポストオフの廃止や、考課給テーブルの新設など様々な改正案が今回の「ポラリス」には反映されています。

B.制度の愛称に込めた想い

 公募プロジェクトメンバーから愛称を募りました。34個のアイデアの中から、北の大地で輝く北極星のように職員のキャリアの指針となる制度となってほしいとの想いを込め「ポラリス」と命名しました。

C.「ポラリス」の概要

(a)ゴール

 ゴールは当行の人財ポテンシャルを最大限に発揮させ、挑戦する風土を実現することです。その結果、経営理念や長期ビジョン、そしてお客さま・地域・株主・職員・銀行の「五方よし」を実現できると考えています。

(b)ゴールを実現するためにあるべき姿

 ゴールを実現するために必要な「組織と人財のあるべき姿」を定義しました。まずは銀行として、処遇への納得感や挑戦・成長の後押し、自律的なキャリア選択をできる組織、言い換えると職員個々人のポテンシャルを発揮できる環境、挑戦できる環境を用意します。

 その環境の中で、職員は自律的な行動や専門性発揮、お客さま本位を実践し、当行の企業価値を向上させる人財を目指します。

(c)課題と前提条件

ア.課題

 2016年の人事制度改正から9年が経過し、総合職と地域総合職のコース別人事制度への不満、全員がマネジメント層を目指す画一的なキャリアパス、年功序列など多くの問題が顕在化しています。つまり、人事制度そのものが制度疲労を起こし、時代にもマッチしていないという課題が生じています。

イ.前提条件

 対面コンサルティングは当行の生命線である一方で、事務レス化を目指す方向性に変わりはありません。また北海道を活性化するという当行のミッションから、引き続き一定の店舗網も必要となります。

(d)解決の方向性

 前提条件を満たしつつ、あるべき姿と課題のギャップを埋め、ゴールを実現するため、3つのコンセプト「実力本位」「処遇の納得性向上」「自律性」を定めるとともに、そのコンセプトのベースとなる「評価制度」を改正します。

ア.実力本位~年齢ではなく評価によって昇降職、昇降格を実施

 昇降職、昇降格を年齢不問とするとともに、シニアについても現役並みの処遇を維持できる仕組みを新たに導入しました。

イ.処遇の納得性向上~役割やポスト、評価に処遇を紐づけるとともに転居転勤での負担軽減策を拡充

 総合職と地域総合職を統一し「転居を伴う異動の可能性」を軸にした報酬差を廃止し、役割と役職、評価によって報酬を決定する仕組みとする一方で、職員の異動エリアと業務を限定したいとのニーズに応え、オフィスプロフェッショナル職を新設しました。

 あわせて転居転勤による負担軽減と公平性の担保を目的に、実際に転居を伴う異動をする際の手当てや一時金、住居施策を拡充しました。

ウ.自律性~業務領域の自己選択と専門職種を新設

 全員がマネジメント層を目指すキャリアパスを改め、希望と適性に応じて自律的にキャリアパスを描くことを目的として、キャリアフィールド(業務の領域)と専門職種(エキスパート・高度専門人財職)を新設し、全職員が自ら選択できる機会を持てるようにしました。

エ.評価制度の改正

 経営理念や行動指針に基づいた評価項目へ抜本的に見直すとともに、業務のプロセスや特徴を評価に反映させるべく、評価項目を「共通項目」「専門項目」に分割しました。

 また、フィードバックの充実や中間考課の導入など、透明性を高め、納得感も高まる運用を新たにはじめてまいります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、主に下記の(1)~(5)のとおりであります。

 これらのリスクは独立して発生するとは限らず、あるリスクの発生が他のリスクの発生につながり、様々なリスクを増大させる可能性があります。場合によっては、信用コストの増加や保有有価証券の減損・評価損など、当行及び当行グループ(以下、本項では「当行」という。)の経営成績等に相当の影響を及ぼすものと認識しております。

 当行では、想定される具体的なリスクについて、機動的に(原則毎月)その発生の「影響度」と「蓋然性」を確認の上、その重要性を判定しており、早期予兆管理とコントロールするための施策を講じることに努めております。また、発生した場合には、迅速かつ適切な対応に努める所存であります。

<リスク認識のイメージ図>

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 なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行が判断したものです。

 

(1)信用リスク

① 不良債権の状況

 当行の当連結会計年度末における銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権額(破産更生債権及びこれらに準ずる債権、危険債権、要管理債権)は922億円です。それらは当行の内部基準に照らし判定を行ったものであり、当連結会計年度末現在において償却・引当処理を実施しております。

 銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権額の貸出金に対する比率は低位な水準にありますが、今後の資源・資材の高騰に伴う北海道の景気動向、融資先の経営状況、不動産価格及び株価の変動等によっては、当行の不良債権及び貸倒償却引当費用が増加し、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

2024年3月期

2025年3月期

銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する

法律に基づく債権額

953億円

922億円

与信額に占める割合

1.23%

1.14%

 

 当行では、日常のお客さまとの対話などを通じて、事業内容の変化をその都度把握し、売上・利益の縮小や資金繰りに問題を抱えるお客さまに対して、経営改善支援等のソリューション提供による課題解決に取組むことなどにより、不良債権の増加を抑制する対応を行っております。

② 特定の業種等への与信集中に係るリスク

 当行の業種別貸出状況では、卸売業・小売業、不動産業・物品賃貸業及び地方公共団体に対する貸出金の構成比が比較的高く、それらの業種の経営環境等に変化が生じた場合には、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当行では、特定業種への過度な与信集中を回避するために、与信取引の大口集中排除・小口分散化を基本にポートフォリオのコントロールを行っております。業種全体の悪化が懸念されるような注意を要する業種については、定期的に分析を行い、状況に応じた管理施策を導入し対応しております。

(2)自己資本比率が低下するリスク

 当行は、自己資本比率規制における国内基準行であり、連結自己資本比率及び単体自己資本比率について4%以上の水準を確保することが求められております。

 そのいずれかが4%を下回った場合は、金融庁長官から、その水準如何によって、改善計画の提出及びその実行の命令、自己資本の充実に資する措置に係る命令、業務の全部又は一部の停止の命令等の措置を受けることとなりますが、直近4年間の推移にある通り、現状4%を下回る蓋然性は高くないものと認識しております。なお、2024年3月期以降の連結自己資本比率及び単体自己資本比率は、2024年3月末より最終化されたバーゼルⅢを適用し算出しております。

 

自己資本比率

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

連 結

12.53%

11.78%

14.42%

13.00%

単 体

12.17%

11.48%

14.07%

12.66%

 

 当行の自己資本比率にマイナスに影響する主な要因は以下のとおりです。

・有価証券ポートフォリオの価値の低下

・債務者と株式・債券の発行体に対する内部格付に応じて生じるリスク・アセット及び期待損失の増加

・繰延税金資産の自己資本への算入制限が課せられた場合の自己資本の減少

・繰延税金資産の回収可能性判断に基づく繰延税金資産の取崩しによる自己資本の減少

・債務者の信用力の悪化や不良債権の処分に際して生じうる与信関係費用の増加

・銀行の自己資本比率の基準及び算定方法の変更

・為替レートの不利益な変動

・本項記載のその他の不利益な展開等

 当行は、様々なリスク事象によるストレスが加わった場合にも、十分な自己資本の維持が可能かどうかについて、年に2回「統合ストレステスト」を実施しており、資本の十分性について定点的に検証しております。

 

(3)業務に伴うリスク

① 市場リスク

 当行では有価証券などの市場取引及び投資活動を行っております。したがいまして、当行の業績及び財政状態は、これらの活動に伴うリスク(金利、為替レート、株価及び債券相場の変動等)にさらされております。例えば、金利が上昇した場合、当行の保有する国債をはじめとする債券ポートフォリオの価値に悪影響を及ぼします。また保有している株式の価格が下落した場合には減損又は評価損が発生することにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 流動性リスク

 資金繰りに関して、内外の経済情勢や市場環境等の変化、当行格付の低下及びその他の何らかの理由によって当行の信用力が低下することなどにより、必要な資金が確保できなくなる場合や、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされたり調達が困難となったりすることで損失を被る可能性があります。また債券などの金融商品の売買において、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることで損失を被る可能性があります。

 例えば、2008年のリーマン・ショック時には保有している金融資産を適正な価格で現金化できない、「市場流動性が枯渇」した状況が発生しました。著しく不利な価格での取引を余儀なくされた場合、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 事務リスク

 当行では、各種取引に伴う事務処理について、規程等に則った適宜適切な処理を徹底しておりますが、当行役職員や外部委託先の人為的ミスなどにより事故が生じ、金融資産の喪失や原状回復等に係る対応費用などの発生及び社会的信用の失墜などにより、不測の損害を被る可能性があります。

④ システムリスク(サイバーセキュリティリスクを含みます)

 コンピュータ機器や通信回線の故障、プログラムの不具合などによるコンピュータシステムの停止又は誤作動や、コンピュータの不正使用又は外部からのサイバー攻撃などによる情報の破壊や流出が発生した場合、決済機能やサービス業務の停止、社会的信用の失墜などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行では、コンピュータ機器や通信回線の二重化、バックアップシステムの強化のほか、近年のサイバーセキュリティに対する脅威の深刻化等を踏まえ、サイバー攻撃動向や脆弱性等の情報を収集・把握し、迅速な対応を実施するため、ほくようCSIRTを設置するなど、サイバーセキュリティ管理態勢の充実・強化にも取り組んでおります。

 

⑤ 法務リスク

 当行役職員の法令等違反に起因した多大な損失の発生や当行への訴訟の提起等により信用力の低下等が生じた場合には、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行ではコンプライアンス(法令等遵守)を経営の最重要課題のひとつと位置付け、法令等遵守態勢の充実・強化に取組んでおります。

⑥ 災害等の発生により業務に支障を来たすリスク

 当行が保有する店舗、事務所、電算センター等の施設が、地震等の自然災害の発生、停電等の社会インフラ障害及び犯罪、物理的テロ等の被害を受けることにより、当行の業務運営に支障を来たし、業績及び財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 風評リスク

 当行及び銀行業界に対するネガティブな報道や悪質な風評等により、それが事実であるか否かにかかわらず、流動性リスクを誘発することなどにより、当行の業績や財務内容、株価等に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 情報漏洩に関するリスク

 当行役職員及び外部委託先の人為的ミス・事故等や外部者の不正アクセス等により、お客さまに関する情報が外部に漏洩した場合、お客さまからの損害賠償請求や社会的信用の失墜などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行では、グループ会社情報管理に関する基本方針・取扱規程及び体制を整備し、各部署への「お客さま情報管理責任者」、「お客さま情報管理者」設置のほか、職員教育、セキュリティ対策といった情報漏洩防止策を講じております。

⑨ ビジネス戦略が奏功しないリスク

 当行では収益力増強のため様々なビジネス戦略を実施していますが、これら戦略が功を奏さないか、当初想定していた結果をもたらさない可能性があります。戦略が奏功しない例としては既存の貸出についての利鞘拡大が進まないこと、手数料収入の増大が期待どおりとならないこと、経費削減等の効率化を図る戦略が期待どおりに進まないこと、などが挙げられます。

⑩ 業務の外部委託に伴うリスク

 当行は、様々な業務を外部委託するにあたり、業務委託を行うことの妥当性検証や委託先の情報管理態勢の確認等により、委託先の選定を適切に行うよう努めておりますが、委託先において重要な業務の遂行に支障を来たす事態が発生した場合、当行の業務運営に支障を来たし、業績及び財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)金融環境等に係るリスク

① 競争の激化

 近年、日本の金融制度は大幅に規制が緩和されてきており、これに伴い競争が激化してきております。当行がこうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当行の事業、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 規制変更のリスク

 当行は現時点の規制に従って、また規制上のリスクを伴って業務を遂行しております。将来における法律、規則、政策、実務慣行、解釈、財政及びその他の施策の変更並びにそれらによって発生する事態が、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 地域経済の動向

 当行は、北海道を主要な営業基盤としておりますが、インバウンドや公共事業の大幅な縮小等により地域経済が想定以上に悪化した場合は、収益基盤の拡大が困難となるほか、信用リスクの増加などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行では、事業性理解や経営改善支援など、道内企業の価値向上に向けた取組みを通じて、地域経済の持続可能性に貢献すべく努めております。

 

(5)その他

① 格付低下のリスク

 格付機関が当行の格付を引下げた場合、当行のマーケット部門は、取引において不利な条件を承諾せざるを得なくなったり、又は一定の取引を行うことができなくなり、資本・資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。このような事態が生じた場合には、当行のマーケット部門及びその他業務の収益性に悪影響を与え、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 退職給付債務に関するリスク

 当行の年金資産の時価が下落した場合、年金資産の運用利回りが低下した場合、予定給付債務を計算する前提となる保険数理上の前提・仮定に変更があった場合、又は退職給付に係る会計基準が改正された場合には、損失が発生する可能性があります。また、年金制度の変更により未認識の過去勤務費用が発生する可能性があります。金利環境の変動その他の要因も年金の未積立債務及び年間積立額にマイナスの影響を与える可能性があります。これらの結果、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 固定資産の減損会計に関するリスク

 固定資産の減損に係る会計基準及び適用指針を適用し、所有する固定資産に損失が発生した場合には、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 会計制度変更に伴うリスク

 現時点で将来の会計制度変更について影響を測定することは困難ですが、会計制度の変更内容によってはコストの増加につながり、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 財務報告に係る内部統制に関するリスク

 当行は、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制の有効性を評価した「内部統制報告書」の提出、及びその評価内容について監査法人の監査を受けることが求められており、財務報告に係る内部統制の整備・運用を行い有効性を評価する過程で発見された事項は、速やかに改善するよう努めております。

 しかしながら、改善が不十分な場合や、開示すべき事項に重大な不備があると監査法人が評価するような場合には、当局による監督指導や社会的信用の失墜により、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 疫病発生による業務継続に関するリスク

 事前に疫病発生の影響を測定することは困難ですが、社会的混乱により当行の業務運営に支障が生じ、業績及び財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。当行では業務継続計画(BCP)や「緊急時対応要領」を策定のうえ、様々な緊急時の訓練を定期的に実施しています。また、職員の出勤前・出勤時の健康管理チェックを行い体調不良者は自宅待機を徹底するなど、感染予防・感染拡大防止のための対策を講じています。

⑦ 気候変動リスク

 地球温暖化の進行やそれに伴う異常気象等による自然災害の急増など、気候変動リスクがもたらす被害は年々拡大しています。こうした被害の状況によっては、当行の業務運営への影響に加え、当行取引先の事業活動や業況の悪化等による信用リスクの増加などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があることから、当行では気候変動問題への対応を進めるため、2021年5月にTCFD(※)提言への賛同を表明しました。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動問題への取組」をご参照ください。

(※)TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)

Task Force on Climate-related Financial Disclosures の略。2015年12月に金融安定理事会(FSB)により設立された、気候変動リスク・機会の情報開示を推奨する国際的な支援組織。

⑧ 自然資本に関するリスク

 企業活動や社会は、森林、土壌、水、生物多様性などの自然資本に依存・影響しています。自然資源の枯渇や生態系の破壊など自然資本の損失状況によっては、当行の業務運営への影響に加え、当行取引先の事業活動や業況の悪化等による信用リスク等の増加により、当行の業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

 当行では、自然資本の保全や回復への対応を進めるため、2023年12月にTNFD(※)への賛同を表明しました。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)生物多様性保全への取組」をご参照ください。

(※)TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)

Taskforce on Nature-related Financial Disclosuresの略。2021年6月に国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)、国連開発計画(UNDP)、イギリスの環境NGO Global Canopy、および世界自然保護基金(WWF)により発足した国際イニシアティブ。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、一部に足踏みが見られるものの緩やかに回復しています。実質総雇用者所得は、実質賃金がマイナスながら雇用者数の増加により持ち直しています。個人消費は、物価高による節約志向はあるものの緩やかに増加しています。設備投資は、先端半導体工場の新設投資が寄与するとともに、企業収益の改善を背景に持ち直しています。住宅投資は、建築費高騰の影響をうけながらも横ばい圏内で推移しています。公共投資は、底堅く推移しています。輸出は、アジア向けが増加するなど持ち直しています。

 物価面では、国内企業物価、消費者物価ともに上昇しています。金融面では、無担保コールレートは、金融政策の変更を受けて0.4%台後半に上昇しました。新発10年物国債利回りは、1.5%前後となりました。対ドル円相場は、年度末には150円前後となりました。

 次に北海道経済を見ますと、一部に弱さがみられるものの緩やかに回復しています。個人消費は、持ち直しつつも物価高の影響を受け停滞感がみられます。住宅投資は、建築費高騰の影響により減少しています。設備投資は、先端半導体工場新設もあり増加しています。公共投資は、高水準を維持しています。観光関連は、来道者数及び外国人入国者数がコロナ禍前を回復し、持ち直しています。雇用情勢は、人手不足感が強まっています。

 このような金融経済環境のもと、当連結会計年度における当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

経営成績の状況(連結)

 当連結会計年度の経営成績、損益の状況につきましては、中核となる当行の経営成績を主な要因として、経常収益が1,506億円と前年比175億円増加となりました。経常費用は1,225億円と前年比80億円増加となりました。その結果、経常利益は280億円と前年比94億円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益は206億円と前年比77億円増加となりました。

 

<主な損益項目の分析>

 

 

前連結会計年度

(億円)

当連結会計年度

(億円)

増減

(億円)

連結コア粗利益

887

1,004

117

 

資金利益

704

778

73

 

役務取引等利益

154

182

28

 

その他

28

44

15

営業経費

670

683

12

その他経常損益等

△30

△40

△10

 

貸倒償却引当費用

67

39

△28

 

有価証券関係損益

22

△12

△35

 

その他

15

11

△3

経常利益

186

280

94

法人税等調整額

△6

1

8

親会社株主に帰属する当期純利益

128

206

77

 

 

 

 

 

連結コア業務純益

222

317

95

(注)1.連結コア粗利益=[資金運用収益-(資金調達費用-金銭の信託運用見合費用)]+[役務取引等収益-役務取引等費用]+[(その他業務収益-その他業務費用)-国債等債券関係損益]

2.連結コア業務純益=連結コア粗利益-経費(除く臨時処理分)

 なお、セグメントごとの経営成績につきましては、以下のとおりであります。

銀行業(単体)

 当事業年度の経営成績につきましては、経常収益は1,232億円と前年比166億円増加となりました。このうち資金運用収益は、貸出金利息の増加を主因に881億円と前年比152億円増加となりました。役務取引等収益は受入為替手数料の増加などにより253億円と前年比14億円増加となりました。

 経常費用は、965億円と前年比76億円増加となりました。このうち営業経費は人件費や業務委託費、税金の増加を主因に639億円と前年比9億円増加となりました。貸倒引当金繰入額につきましては、26億円と前年比21億円減少となりました。

 その結果、当事業年度の経常利益は266億円と前年比89億円の増益、当期純利益は201億円と前年比72億円の増益となりました。

リース業

 リース業の経営成績につきましては、リース売上の減少により経常収益が237億円と前年比3億円減少となりました。この結果、経常利益は8億円と前年比1億円の減益、当期純利益は5億円と前年比で微減となりました。

 

(営業施策)

 当行は、経営理念に掲げている「お客さま本位を徹底」した、深度あるコンサルティング営業を中心に、お客さま・地域の多様化するニーズや課題に沿った最適なサービスやソリューションの提供を通じて、多様な課題の解決に積極的に取り組んでおります。

イ 個人のお客さまに向けた取組み

 若年層や資産形成層を中心にNISAやiDeCoといった定時定額積立型投資のご提案のほか、TVCM、InstagramなどのSNS、Web広告を通じたプロモーションを展開しております。また、平日の夜間や土曜日・日曜日にお電話でご相談いただけるNISA専用フリーダイヤルを開設するなど、お客さまの将来に向けた資産形成にお役いただくためのサービス向上に努めております。

 個人ローンでは、新築戸建住宅を取得する場合の借入期間を最長40年から50年へ延長しました。資材価格高騰により住宅価格が上昇するなか、近年は新築住宅の耐久性能、断熱性能等が向上しており、若年層世帯のお客さまにゆとりのある返済プランをご提供することで、良質な住宅取得を後押ししております。また、個人ポータルアプリ「北洋銀行アプリ」では、2023年9月のリリース以降、アプリ登録者が35万人(2025年3月末現在)となり、2024年11月から定期預金の新規預入を開始するなど機能面の拡充を順次進めております。

ロ 法人のお客さまに向けた取組み

 本部内に「事業成長サポートグループ」を置き、従来取り組んできた「事業性理解」を発展させ、お客さまが描く将来ビジョンの実現のための「事業成長サポート」に取り組んでおります。また、法人コンサルティング業務全般を担う「北海道共創パートナーズ」との連携を強化するなどグループの総力を結集し、お客さまの経営課題解決に向けた、広範かつ高度なコンサルティングを提供しております。

ハ 地域の活性化に向けた取組み

 2024年6月に北海道・札幌市が国に提案していた「GX/金融資産運用特区」が認められ、北海道・札幌市は金融・資産運用特区の対象地域に決定したほか、国家戦略特区に指定されました。北海道を営業基盤とする当行グループは、次世代半導体や洋上風力発電などのGX分野に正面から向き合い、特区制度や税制優遇制度を活用した北海道への投融資の呼び込みなど、北海道の更なる成長に貢献していく責務があります。

 そのためには、次世代半導体の製造や洋上風力発電事業など大規模開発が行われる地域に投じられる資金や活力を全道に波及させる取組みが欠かせません。「Team Sapporo-Hokkaido」など関係機関との協働も通じ、当行グループの様々なソリューションを地域のお客さまに提供し、北海道の明日をきりひらく活動を引続き全力で展開してまいります。

ニ その他の取組み

 北海道の基幹産業である農業・食品分野に対する取組みとして、農業者向け融資商品の取扱いを開始したほか、道内児童養護施設に牛乳贈答券や北海道米、北海道産のてん菜糖を使用したお菓子を寄贈するなど、北海道産農畜産物の消費拡大に取り組んでおります。

 また、お客さまの利便性向上と店頭業務の効率化を目的として、店頭業務タブレット「TSUBASA Smile」を導入しました。新規口座の開設や住所・名義変更などの手続きをタブレット端末で受付、お客さま負担を軽減し、お手続時間の短縮を図るとともに、事務処理等のペーパーレス化が可能となりました。今後もお客さまの幅広いニーズにお応えできるよう、利便性の向上とサービスの充実に取り組んでまいります。

 

財政状態の状況(連結)

(主要勘定残高)

 2025年3月末の総資産は、13兆4,467億円と前年比2,021億円増加(1.5%)いたしました。貸出金は、7兆8,561億円と前年比3,684億円増加(4.9%)いたしました。有価証券は、2兆5,986億円と前年比2,134億円増加(8.9%)いたしました。

 預金・譲渡性預金は、11兆1,704億円と前年比775億円増加(0.6%)いたしました。

 純資産は、3,844億円と前年比631億円減少(△14.1%)いたしました。

(単位:億円)

 

2024年3月末

2025年3月末

増減

総資産

132,445

134,467

2,021

貸出金

74,877

78,561

3,684

有価証券

23,852

25,986

2,134

預金・譲渡性預金

110,928

111,704

775

純資産

4,475

3,844

△631

 

(銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権)

 2025年3月末の銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権は、922億円と前年比30億円減少いたしました。

 また、債権が与信額に占める割合は、1.14%と前年比0.09ポイント改善いたしました。

(単位:億円)

 

2024年3月末

2025年3月末

増減

 

 

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

365

362

△2

 

 

危険債権

427

453

26

 

 

要管理債権

160

106

△54

 

 

三月以上延滞債権

2

3

1

 

 

貸出条件緩和債権

158

102

△55

合計

953

922

△30

(与信額に占める割合)

(1.23%)

(1.14%)

(△0.09%)

 

 

(有価証券の評価損益)

 2025年3月末の有価証券の評価損益は、52億円の評価損となり、前年比1,067億円減少いたしました。内訳としては、株式は1,000億円と前年比443億円減少、債券は△1,068億円と同605億円の減少、その他は16億円と同17億円減少いたしました。

 

 

 

 

(単位:億円)

 

 

2024年3月末

2025年3月末

増減

その他有価証券

1,015

△52

△1,067

 

株式

1,444

1,000

△443

 

債券

△463

△1,068

△605

 

その他

33

16

△17

 

 

 

 

 

日経平均株価(円)

40,369.44

35,617.56

△4,751.88

長期国債利回(%)

0.725

1.485

0.760

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ4,050億円減少し2兆6,335億円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、貸出金の増加及び譲渡性預金の減少等により674億円の支出(前連結会計年度は9,881億の収入)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出等により3,285億円の支出(前連結会計年度は7,030億の支出)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いによる支出及び自己株式の取得による支出等により90億円の支出(前連結会計年度は191億の支出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

(国内・海外別収支)

 国内業務部門では、資金運用収支が貸出金利息及び預け金利息の増加等を主因として前連結会計年度比73億55百万円増加の774億52百万円、役務取引等収支が受入為替手数料の増加及び住宅ローン団信保険料の減少等を主因として同28億38百万円増加の180億76百万円、その他業務収支が国債等債券売却損の増加等を主因として同40億9百万円減少し△5億68百万円となりました。

 国際業務部門では、資金運用収支が有価証券利息配当金の減少等を主因として前連結会計年度比18百万円減少の3億68百万円、役務取引等収支が同10百万円増加の1億74百万円、その他業務収支が国債等債券売却損の減少等を主因として同30億2百万円増加の△7億87百万円となりました。

 この結果、合計では、資金運用収支が前連結会計年度比73億37百万円増加の778億21百万円、役務取引等収支が同28億49百万円増加の182億51百万円、その他業務収支が同10億6百万円減少の△13億55百万円となり、収支合算では同91億79百万円増加の947億17百万円となりました。

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

相殺消去額

(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

70,096

386

70,483

当連結会計年度

77,452

368

77,821

うち資金運用収益

前連結会計年度

70,652

907

1

71,559

当連結会計年度

86,046

496

14

86,527

うち資金調達費用

前連結会計年度

555

520

1

1,075

当連結会計年度

8,593

127

14

8,706

役務取引等収支

前連結会計年度

15,237

164

15,401

当連結会計年度

18,076

174

18,251

うち役務取引等収益

前連結会計年度

27,627

211

27,838

当連結会計年度

30,095

216

30,311

うち役務取引等費用

前連結会計年度

12,389

47

12,436

当連結会計年度

12,019

41

12,060

その他業務収支

前連結会計年度

3,441

△3,789

△348

当連結会計年度

△568

△787

△1,355

うちその他業務収益

前連結会計年度

24,953

348

25,301

当連結会計年度

25,017

552

25,570

うちその他業務費用

前連結会計年度

21,512

4,138

25,650

当連結会計年度

25,586

1,339

26,926

(注)1.当行及び連結子会社は海外拠点を有していないので、(国内・海外別貸出金残高の状況)を除き、以下の各表とも「国内業務部門」「国際業務部門」に区分して記載しております。なお、「国内業務部門」とは当行及び連結子会社の円建取引であり、「国際業務部門」とは当行及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。

2.「資金調達費用」は、金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。

3.相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。

 

(国内・海外別資金運用/調達の状況)

 国内業務部門では、資金運用勘定は、平均残高が預け金の増加等を主因として前連結会計年度比1兆6,955億79百万円増加の12兆5,476億89百万円、利回りが貸出金で上昇したこと等により同0.03ポイント上昇の0.68%となり、受取利息は同153億94百万円増加の860億46百万円となりました。また、資金調達勘定は、平均残高が債券貸借取引受入担保金の増加等を主因として前連結会計年度比3,319億14百万円増加の12兆5,329億23百万円、利回りは同0.06ポイント上昇の0.06%となり、支払利息は同80億38百万円増加の85億93百万円となりました。

 国際業務部門では、資金運用勘定は、平均残高が有価証券の減少等を主因として前連結会計年度比301億76百万円減少の255億1百万円、利回りが同0.31ポイント上昇の1.94%となり、受取利息は同4億11百万円減少の4億96百万円となりました。また、資金調達勘定は、平均残高が売現先勘定及び債券貸借取引受入担保金の減少等を主因として前連結会計年度比301億19百万円減少の255億17百万円、利回りが同0.43ポイント低下の0.50%となり、支払利息は同3億93百万円減少の1億27百万円となりました。

 この結果、合計では、資金運用勘定は平均残高が前連結会計年度比1兆6,892億58百万円増加の12兆5,579億27百万円、利回りが同0.03ポイント上昇の0.68%となり、受取利息が同149億68百万円増加の865億27百万円となりました。資金調達勘定は平均残高が前連結会計年度比3,256億49百万円増加の12兆5,431億76百万円、利回りが同0.06ポイント上昇の0.06%となり、支払利息は同76億31百万円増加の87億6百万円となりました。

 

(① 国内業務部門)

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

10,852,110

70,652

0.65

当連結会計年度

12,547,689

86,046

0.68

うち貸出金

前連結会計年度

7,675,030

57,941

0.75

当連結会計年度

7,596,721

66,847

0.87

うち商品有価証券

前連結会計年度

1,955

5

0.26

当連結会計年度

1,872

4

0.24

うち有価証券

前連結会計年度

1,855,613

11,327

0.61

当連結会計年度

2,528,608

13,497

0.53

うちコールローン

及び買入手形

前連結会計年度

62,226

2

0.00

当連結会計年度

157,301

442

0.28

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引

支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

1,209,305

1,218

0.10

当連結会計年度

2,239,534

5,089

0.22

資金調達勘定

前連結会計年度

12,201,009

555

0.00

当連結会計年度

12,532,923

8,593

0.06

うち預金

前連結会計年度

10,507,378

105

0.00

当連結会計年度

10,599,978

6,436

0.06

うち譲渡性預金

前連結会計年度

283,670

6

0.00

当連結会計年度

264,848

206

0.07

うちコールマネー

及び売渡手形

前連結会計年度

90,524

△22

△0.02

当連結会計年度

うち売現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引

受入担保金

前連結会計年度

383,466

46

0.01

当連結会計年度

661,199

1,609

0.24

うちコマーシャル・

ペーパー

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

924,925

418

0.04

当連結会計年度

987,646

313

0.03

(注)1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2.「資金調達勘定」は、金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息をそれぞれ控除して表示しております。

 

(② 国際業務部門)

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

55,677

907

1.63

当連結会計年度

25,501

496

1.94

うち貸出金

前連結会計年度

2,066

52

2.53

当連結会計年度

140

3

2.32

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

43,780

788

1.80

当連結会計年度

15,617

425

2.72

うちコールローン

及び買入手形

前連結会計年度

520

22

4.30

当連結会計年度

603

26

4.42

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引

支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

当連結会計年度

資金調達勘定

前連結会計年度

55,636

520

0.93

当連結会計年度

25,517

127

0.50

うち預金

前連結会計年度

8,110

74

0.91

当連結会計年度

9,258

73

0.79

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー

及び売渡手形

前連結会計年度

当連結会計年度

うち売現先勘定

前連結会計年度

3,526

187

5.33

当連結会計年度

221

12

5.51

うち債券貸借取引

受入担保金

前連結会計年度

4,617

257

5.58

当連結会計年度

487

27

5.59

うちコマーシャル・

ペーパー

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

当連結会計年度

 

(③ 合計)

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り

(%)

小計

相殺消去額

(△)

合計

小計

相殺消去額

(△)

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

10,907,787

39,117

10,868,669

71,560

1

71,559

0.65

当連結会計年度

12,573,191

15,264

12,557,927

86,542

14

86,527

0.68

うち貸出金

前連結会計年度

7,677,096

7,677,096

57,994

57,994

0.75

当連結会計年度

7,596,861

7,596,861

66,850

66,850

0.87

うち商品有価証券

前連結会計年度

1,955

1,955

5

5

0.26

当連結会計年度

1,872

1,872

4

4

0.24

うち有価証券

前連結会計年度

1,899,393

1,899,393

12,116

12,116

0.63

当連結会計年度

2,544,225

2,544,225

13,922

13,922

0.54

うちコールローン

及び買入手形

前連結会計年度

62,747

62,747

24

24

0.03

当連結会計年度

157,904

157,904

469

469

0.29

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引

支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

1,209,305

1,209,305

1,218

1,218

0.10

当連結会計年度

2,239,534

2,239,534

5,089

5,089

0.22

資金調達勘定

前連結会計年度

12,256,645

39,117

12,217,527

1,076

1

1,075

0.00

当連結会計年度

12,558,440

15,264

12,543,176

8,721

14

8,706

0.06

うち預金

前連結会計年度

10,515,489

10,515,489

179

179

0.00

当連結会計年度

10,609,237

10,609,237

6,509

6,509

0.06

うち譲渡性預金

前連結会計年度

283,670

283,670

6

6

0.00

当連結会計年度

264,848

264,848

206

206

0.07

うちコールマネー

及び売渡手形

前連結会計年度

90,524

90,524

△22

△22

△0.02

当連結会計年度

うち売現先勘定

前連結会計年度

3,526

3,526

187

187

5.33

当連結会計年度

221

221

12

12

5.51

うち債券貸借取引

受入担保金

前連結会計年度

388,083

388,083

304

304

0.07

当連結会計年度

661,686

661,686

1,636

1,636

0.24

うちコマーシャル・ペーパー

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

924,925

924,925

418

418

0.04

当連結会計年度

987,646

987,646

313

313

0.03

(注)1.相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息であります。

2.「資金調達勘定」は、金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息をそれぞれ控除して表示しております。

 

(国内・海外別役務取引の状況)

 国内業務部門の役務取引等収益は前連結会計年度比24億68百万円増加の300億95百万円、役務取引等費用は同3億70百万円減少の120億19百万円となりました。この結果、合計の役務取引等収益は前連結会計年度比24億72百万円増加の303億11百万円、役務取引等費用は同3億76百万円減少の120億60百万円となり、役務取引等収支は同28億49百万円増加の182億51百万円となりました。

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

27,627

211

27,838

当連結会計年度

30,095

216

30,311

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

11,002

54

11,057

当連結会計年度

11,689

56

11,745

うち為替業務

前連結会計年度

5,936

142

6,078

当連結会計年度

6,504

143

6,647

うち証券関連業務

前連結会計年度

1,706

2

1,709

当連結会計年度

2,183

4

2,187

うち代理業務

前連結会計年度

5,663

5,663

当連結会計年度

5,952

5,952

うち保護預り・貸金庫業務

前連結会計年度

238

238

当連結会計年度

227

227

うち保証業務

前連結会計年度

917

11

929

当連結会計年度

852

11

863

役務取引等費用

前連結会計年度

12,389

47

12,436

当連結会計年度

12,019

41

12,060

うち為替業務

前連結会計年度

552

0

552

当連結会計年度

728

0

729

 

(国内・海外別預金残高の状況)

○預金の種類別残高(末残)

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

10,908,789

6,257

10,915,046

当連結会計年度

11,088,578

7,652

11,096,231

うち流動性預金

前連結会計年度

9,080,819

9,080,819

当連結会計年度

9,224,409

9,224,409

うち定期性預金

前連結会計年度

1,723,953

1,723,953

当連結会計年度

1,693,644

1,693,644

うちその他

前連結会計年度

104,015

6,257

110,273

当連結会計年度

170,525

7,652

178,178

譲渡性預金

前連結会計年度

177,789

177,789

当連結会計年度

74,198

74,198

 総合計

前連結会計年度

11,086,578

6,257

11,092,836

当連結会計年度

11,162,776

7,652

11,170,429

(注)1.流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

2.定期性預金=定期預金

 

(国内・海外別貸出金残高の状況)

○業種別貸出状況(末残・構成比)

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内

(除く特別国際金融取引勘定分)

7,487,752

100.00

7,856,186

100.00

製造業

370,964

4.95

408,256

5.20

農業,林業

31,095

0.42

30,602

0.39

漁業

1,440

0.02

1,518

0.02

鉱業,採石業,砂利採取業

4,127

0.06

4,760

0.06

建設業

261,065

3.49

267,227

3.40

電気・ガス・熱供給・水道業

112,099

1.50

152,396

1.94

情報通信業

58,806

0.79

60,871

0.78

運輸業,郵便業

180,044

2.40

185,513

2.36

卸売業,小売業

561,636

7.50

604,379

7.69

金融業,保険業

266,893

3.56

445,404

5.67

不動産業,物品賃貸業

653,272

8.72

729,016

9.28

各種サービス業

536,994

7.17

522,284

6.65

地方公共団体等

2,279,430

30.44

2,204,744

28.06

その他

2,169,881

28.98

2,239,211

28.50

特別国際金融取引勘定分

政府等

金融機関

その他

 合計

7,487,752

――

7,856,186

――

(注) 「国内」とは当行及び連結子会社であります。

 

(国内・海外別有価証券の状況)

○有価証券残高(末残)

種類

期別

国内業務部門

国際業務部門

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

732,581

732,581

当連結会計年度

1,000,319

1,000,319

地方債

前連結会計年度

852,266

852,266

当連結会計年度

815,068

815,068

短期社債

前連結会計年度

4,997

4,997

当連結会計年度

4,992

4,992

社債

前連結会計年度

475,032

475,032

当連結会計年度

476,341

476,341

株式

前連結会計年度

189,519

189,519

当連結会計年度

143,448

143,448

その他の証券

前連結会計年度

107,693

23,196

130,890

当連結会計年度

150,692

7,827

158,520

合計

前連結会計年度

2,362,092

23,196

2,385,288

当連結会計年度

2,590,862

7,827

2,598,690

(注) 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

(自己資本比率等の状況)

 自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

 2024年3月末より最終化されたバーゼルⅢを適用しており、2025年3月末の自己資本比率は、連結ベースでは13.00%、単体ベースでは12.66%となりました。

 なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

 

 

(単位:億円、%)

 

2024年3月31日

2025年3月31日

1.連結自己資本比率(2/3)

14.42

13.00

2.連結における自己資本の額

3,540

3,647

3.リスク・アセットの額

24,540

28,054

4.連結総所要自己資本額

981

1,122

 

単体自己資本比率(国内基準)

 

 

(単位:億円、%)

 

2024年3月31日

2025年3月31日

1.単体自己資本比率(2/3)

14.07

12.66

2.単体における自己資本の額

3,393

3,494

3.リスク・アセットの額

24,114

27,595

4.単体総所要自己資本額

964

1,103

 

 

(資産の査定)

 資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

 破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

2.危険債権

 危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

3.要管理債権

 要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

4.正常債権

 正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

債権の区分

2024年3月31日

2025年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

354

351

危険債権

427

453

要管理債権

160

106

正常債権

76,109

79,803

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当行グループの当連結会計年度の経営成績は、経常収益が貸出金利息や預け金利息の増加などから1,506億円と175億円の増加となりました。経常費用は預金利息の増加などにより1,225億円と80億円の増加となりました。その結果、経常利益は280億円と94億円の増益、また、親会社株主に帰属する当期純利益は206億円と77億円の増益となりました。この主な要因分析等につきましては、前段「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 当行グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであり、これらのリスクは独立して発生するとは限らず、あるリスクの発生が他のリスクの発生につながり、様々なリスクを増大させる可能性があります。場合によっては、信用コストの増加や保有有価証券の減損・評価損など、相当の影響を及ぼすものと認識しております。

 当行では、想定される具体的なリスクについて、機動的に(原則毎月)その発生の「影響度」と「蓋然性」を確認の上、その重要性を判定しており、早期予兆管理とコントロールするための施策を講じることに努めております。また、発生した場合には、迅速かつ適切な対応に努める所存であります。

 

 2023年度よりスタートした中期経営計画『新たな成長へのチャレンジ』で掲げた、目標となる経営指標の進捗状況は以下のとおりです。

目標とする経営指標

2024年度実績(前年比)

2025年度計画

親会社株主に帰属する当期純利益   (連結)

206億円( 77億円)

170億円

自己資本比率            (連結)

13.00% (△1.42%)

14%程度

 

長期的に目指す経営指標

2024年度実績(前年比)

2025年度計画

長期目標

ROE           (連結)

5.00% (1.97%)

4%程度

5%程度

コアOHR         (連結)

68.42%(△6.52%)

70%程度

60%台

 親会社株主に帰属する当期純利益は前年比増益となり、中期経営計画の最終年度である2025年度計画を前倒しで達成しました。また、長期的に目指す経営指標として掲げているROE、コアOHRは、2025年度計画、そして長期目標も達成しました。2025年度の親会社株主に帰属する当期純利益の業績予想は、計画の170億円を超える243億円としております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当行グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況並びに資本の財源及び資金の流動性につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローが674億円の支出(前年比1兆556億円の支出増加)となりました。これは、貸出金の増加及び譲渡性預金の減少が主因となります。このほか、有価証券の取得による支出等により、投資活動によるキャッシュ・フローは、3,285億円の支出(前年比3,744億円の支出減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いによる支出及び自己株式の取得による支出等により、90億円の支出(前年比101億円の支出減少)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、2兆6,335億円と前連結会計年度に比べ4,050億円減少しておりますが、資本の財源や資金の流動性は十分に維持されております。なお、当行グループの主な設備投資の内容については、「第3 設備の状況」に記載のとおりであり、設備投資の資金源は自己資金であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。