(1) 業績
当期におけるわが国経済を顧みますと、政府の経済政策を下支えとして、企業収益や雇用・所得環境が改善するなど、緩やかな成長が続きました。
株式市場についてみますと、期初16,164円で始まった日経平均株価は、6月下旬の英国のEU離脱決定に伴う欧州情勢懸念の高まりから、円相場の急伸とともに大幅に下落し、6月24日には当期間の最安値となる14,952円を付けました。7月中旬以降は、欧米株高や国内での大規模な景気対策期待から水準を切り上げ、さらに11月上旬の米大統領選以降は、米国の積極的な財政政策への期待を受けて急激にドル高・円安が進んだことから上昇基調となり、3月13日には当期間の最高値となる19,633円を付け、期末は18,909円で取引を終えました。
この間の東証第一部の売買動向についてみますと、1日平均売買高は22億52百万株と前期比3億53百万株の減少、同売買代金も2兆5,424億円と同3,409億円の減少となりました。
こうしたなか、東京市場の制度信用取引買い残高は、期初の2兆2,000億円台から概ね減少傾向を辿り、11月中旬の株価上昇局面では利益確定売りがみられたことから、当期間のボトムとなる1兆5,000億円台まで落ち込みました。その後は投資家心理が改善する中で増加傾向となり、期末は2兆円台を回復しました。一方、期初3,900億円台でありました同売り残高は、6月下旬の株価急落局面において買戻しが進み当期間のボトムとなる3,400億円台まで減少しました。その後は株価上昇につれて新規売りが増加し、12月中旬に約7年半ぶりの水準となる7,500億円台まで回復しましたが、年明け以降は漸減し、期末は6,200億円台となりました。
このような市場動向の下で、当社グループの貸付金総残高(期中平均)は4,672億円と前期比1,797億円減少しました。
連結営業収益は、債券貸借取引における有価証券貸付料が増収となったことなどから、23,066百万円(前期比4.7%増)となりました。一方、同営業費用は日本銀行によるマイナス金利付き量的・質的金融緩和政策の導入を受けて、資金調達コストが減少したものの、貸借取引および債券貸借取引における有価証券借入料が増加したことから、同営業費用は11,892百万円(同3.1%増)となりました。また一般管理費は8,371百万円(同5.4%増)となりました。
この結果、連結営業利益は2,802百万円(同9.5%増)となりました。同経常利益は、受取配当金が増加したことに加え、持分法による投資利益が拡大したことから、3,611百万円(同7.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は3,078百万円(同16.3%増)となりました。
次に各セグメントの営業概況をご報告いたします。
①証券金融業
貸借取引業務においては、貸借取引貸付金が期中平均で2,654億円と前期比1,359億円減少したことから、貸付金利息は減収となりました。一方、貸借取引貸付有価証券は期中平均で2,913億円と前期比639億円増加し、貸株料および貸株超過銘柄にかかる品貸料が増収となったことなどから、当業務の営業収益は10,721百万円(前期比1.3%増)となりました。
公社債貸付・一般貸付業務においては、金融商品取引業者向け貸付および個人・一般事業法人向け貸付がともに低調に推移し、当業務の貸付金の期中平均は448億円と前期比1,175億円の減少となりました。また、現金担保付株券等貸借取引の利用も金融商品取引業者による資金需要の低下により減少しました。この結果、当業務の営業収益は、907百万円(同48.3%減)となりました。
有価証券貸付業務においては、一般貸株部門が堅調だったことに加え、債券営業部門も貸付残高の増加等により大幅な増収となった結果、当業務の営業収益は4,453百万円(同98.7%増)となりました。
その他の収益は、保有国債等の利息収入が減少した一方で、投資信託の分配金収入および保有国債等の売却益がともに増加したことから3,325百万円(同3.9%増)となりました。
②信託銀行業
信託銀行業務においては、信託銀行貸付金が期中平均残高で1,499億円と前期比953億円増加して貸付金利息が増収となったことに加え、信託報酬が増加したものの、保有国債等の売却益が減少したことから、当業務の営業収益は2,792百万円(同19.1%減)となりました。
③不動産賃貸業
不動産賃貸業務における営業収益は865百万円(同7.3%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当期末における現金および現金同等物は1兆691億円(前期比8,087億円増)となりました。
○営業活動によるキャッシュ・フロー
貸付有価証券代り金の増加、信託勘定借の増加および有価証券・投資有価証券の売却および償還による収入等により、8,181億円の流入超(前連結会計年度2,471億円の流入超)となりました。
○投資活動によるキャッシュ・フロー
投資有価証券の取得および無形固定資産の取得による支出等により、75億円の流出超(前連結会計年度99億円の流出超)となりました。
○財務活動によるキャッシュ・フロー
配当金の支払および自己株式の取得による支出等により、19億円の流出超(前連結会計年度36億円の流出超)となりました。
(3) 当社グループ業務別営業収益の状況
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|
|
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
|
|
|
|
金額(百万円) |
構成比(%) |
金額(百万円) |
構成比(%) |
|
証券金融業 |
17,776 |
80.6 |
19,407 |
84.1 |
||
|
|
貸借取引業務 |
10,579 |
48.0 |
10,721 |
46.5 |
|
|
|
|
貸借取引貸付金利息 |
2,720 |
12.3 |
1,694 |
7.3 |
|
|
|
借入有価証券代り金利息 |
575 |
2.6 |
887 |
3.8 |
|
|
|
有価証券貸付料 |
6,840 |
31.0 |
7,771 |
33.7 |
|
|
公社債貸付・一般貸付業務 |
1,753 |
7.9 |
907 |
3.9 |
|
|
|
有価証券貸付業務 |
2,241 |
10.2 |
4,453 |
19.3 |
|
|
|
|
株券 |
907 |
4.1 |
941 |
4.1 |
|
|
|
債券 |
1,334 |
6.1 |
3,512 |
15.2 |
|
|
その他 |
3,201 |
14.5 |
3,325 |
14.4 |
|
|
信託銀行業 |
3,451 |
15.7 |
2,792 |
12.1 |
||
|
|
貸付金利息 |
144 |
0.7 |
147 |
0.6 |
|
|
|
信託報酬 |
627 |
2.8 |
668 |
2.9 |
|
|
|
その他 |
2,679 |
12.2 |
1,977 |
8.6 |
|
|
不動産賃貸業 |
807 |
3.7 |
865 |
3.8 |
||
|
合計 |
22,035 |
100.0 |
23,066 |
100.0 |
||
(4) 当社グループ貸付金の状況(平均残高)
|
|
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
|
金額(億円) |
構成比(%) |
金額(億円) |
構成比(%) |
|
|
貸借取引貸付金 |
4,014 |
62.0 |
2,654 |
56.8 |
|
公社債貸付金・一般貸付金 |
1,623 |
25.1 |
448 |
9.6 |
|
(うち一般信用ファイナンス) |
(155) |
(2.4) |
(95) |
(2.0) |
|
信託銀行貸付金 |
545 |
8.4 |
1,499 |
32.1 |
|
その他 |
287 |
4.5 |
70 |
1.5 |
|
合 計 |
6,470 |
100.0 |
4,672 |
100.0 |
|
(参考) 貸借取引貸付有価証券 |
2,274 |
― |
2,913 |
― |
(5) 当社グループ貸付金の状況(期末残高)
|
|
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
|
金額(億円) |
構成比(%) |
金額(億円) |
構成比(%) |
|
|
貸借取引貸付金 |
3,241 |
57.1 |
3,685 |
62.7 |
|
公社債貸付金・一般貸付金 |
950 |
16.7 |
408 |
7.0 |
|
(うち一般信用ファイナンス) |
(114) |
(2.0) |
(113) |
(1.9) |
|
信託銀行貸付金 |
1,360 |
24.0 |
1,763 |
30.0 |
|
その他 |
125 |
2.2 |
20 |
0.3 |
|
合 計 |
5,677 |
100.0 |
5,877 |
100.0 |
|
(参考) 貸借取引貸付有価証券 |
2,586 |
― |
3,936 |
― |
(6) 貸借取引金利・貸株料の推移
|
年月日(約定日) |
貸借金利融資金利 |
貸株等代り金金利 |
貸株料 |
|
平成13年5月1日 |
0.60% |
0.00% |
- |
|
平成14年5月7日 |
0.60% |
0.00% |
0.40% |
|
平成18年7月27日 |
0.74% (+0.14%) |
0.00% |
0.40% |
|
平成18年9月22日 |
0.86% (+0.12%) |
0.00% |
0.40% |
|
平成19年3月15日 |
1.02% (+0.16%) |
0.00% |
0.40% |
|
平成19年4月5日 |
1.11% (+0.09%) |
0.00% |
0.40% |
|
平成21年1月29日 |
0.97%(△0.14%) |
0.00% |
0.40% |
|
平成22年11月22日 |
0.77%(△0.20%) |
0.00% |
0.40% |
|
平成26年8月6日 |
0.64%(△0.13%) |
0.00% |
0.40% |
|
平成28年3月9日 |
0.60%(△0.04%) |
0.00% |
0.40% |
|
平成29年3月31日現在 |
0.60% |
0.00% |
0.40% |
(1)会社の経営の基本方針
[企業理念]
当社は、証券金融の専門機関として、常にその公共的役割を強く認識するとともに、証券界、金融界の多様なニーズに積極的に応え、証券市場の参加者、利用者の長期的な利益向上を図ることで、証券市場の発展に貢献することを使命とする。
[経営方針]
①証券金融会社としての社会的責任を常に認識し、コンプライアンス、企業統治および経営リスクの管理を徹底することにより健全な業務運営を実践し、以って、揺るぎない社会的信頼を確立する。
②証券市場のインフラの担い手として求められる経営の安定性および財務の健全性を確保するため、強固な自己資本を維持しながら企業価値の増大を図るとともに、収益環境や投資計画などを総合的に勘案し、株主への利益還元を充実したものとしていく。
③証券金融会社の根幹である貸借取引業務をより強化し、あわせて当社・グループ会社が提供する金融・証券関連サービスの拡充と新規展開に努め、グループ全体のビジネス基盤を一層拡大し堅固なものとする。
④経営環境の変化に機動的に対応するため、グループ内の組織・業務運営の一層の効率化を推進する。
(2)中長期的な会社の経営戦略
①第4次中期経営計画(平成26年度~28年度)
当社は、平成26年5月に、平成26年度から28年度までの3年間を対象とした中期経営計画を策定し、鋭意取り組んでまいりました。各戦略の達成状況は以下のとおりです。
[事業戦略]
イ.証券市場のインフラとしての貸借取引業務等の拡大
発行会社へのアプローチ活動を強化し、貸借銘柄の拡大に努めた結果、平成29年3月末の貸借銘柄数は2,322銘柄(平成26年3月末比263銘柄増)と、着実に増加しております。また、貸借取引における営業力強化の一環として設置した営業推進担当を中心に金融商品取引業者の利用向上を図った営業活動を行ったほか、信用・貸借取引制度に関する理解・利用の促進のため貸借取引情報専用サイトの開設や証券会社の営業担当者等を対象としたセミナー・研修を実施するなど情報発信活動の強化に取組みました。
ロ.金融商品取引業者等の多様なニーズへの対応
定期的な訪問活動を継続し、取引先ニーズに応じた貸付商品の提案、貸付条件の弾力化等による利用の拡大に努めました。また、当社および子会社である日証金信託銀行株式会社の営業面での連携をさらに進め、当社グループの取引先に総合的な金融サービスを提供するため、営業目的で相互に法人顧客に関する情報を共有する体制を整備しました。
ハ.システム基盤の強化
取引先に高い利便性を提供するとともに、業務の効率化によるコスト削減と業務運営の安定性の向上を図り、各事業戦略をシステム面から支援する態勢を強化すべく、平成29年1月に基幹システムの全面リニューアルを実施しました。
ニ.その他の事業戦略
新たなビジネスチャンスの獲得を目指すため、アジアをはじめとする海外の証券関連企業とのネットワークの構築に努めました。また、資金運用については運用対象の多様化を図ることでリスクの分散と運用利回りの向上に努めました。
[経営管理体制の強化]
イ.内部統制の充実
コンプライアンス・プログラムに基づき、役職員の倫理・コンプライアンス意識の向上を図る施策を実施するとともに、コンプライアンス・リスク等の把握に努めました。また、内部監査品質の維持・向上のための継続的な自己評価を実施しました。
運用対象の拡大に対応した市場リスク管理体制の整備や非居住者との取引、外国有価証券等の取扱い開始に伴う信用リスク管理体制の充実を図り、多様化・複雑化するリスクに応じたリスク管理の一層の充実に努めました。
ロ.業務運営体制の強化
当社の収益力向上に向けた業務戦略、新規業務の開発・戦略等の取組みを強化する観点から、業務戦略部門を主管する部署を新設するとともに、最近のコーポレートガバナンス強化の動きや経営管理の重要性に鑑み、取締役会を含むガバナンスの強化を図る観点から経営企画部門を主管する部署を新設する組織変更を行いました。
昨今、ビジネスのIT化が進むなかで、サイバー攻撃の脅威は当社においても重大なリスクであるとの認識の下、セキュリティ対策の強化などシステム面での対応に加えて、サイバー攻撃等を想定したコンティンジェンシープランの策定や金融機関を対象とした情報共有機関への加入など、サイバーセキュリティ態勢の整備を推進しました。
ハ.人材育成の推進
当社グループ会社や証券関係団体、大手金融機関等への出向・派遣および社内外での研修等により、金融の高度化・IT化に対応できる人材の育成に取組みました。
②第5次中期経営計画(平成29年度~31年度)
平成29年3月に、上記「(1)会社の経営の基本方針」に基づき、第5次中期経営計画として次の戦略を策定いたしました。
[計画策定にあたっての考え方]
当社は、大阪証券金融(株)との合併後3年超が経過しますが、この間、当社グループは業務および組織・システムの一体化に取組み、効率的で活力のある体制づくりを進めてきました。
一方で、当社グループを取り巻く事業環境は、大きく変化しています。すなわち、商品やサービスに人工知能(AI)を活用する技術向上とも相俟って金融のグローバル化と高度化が加速し、また、金融市場の安定化に向けた国際金融規制や有価証券決済制度の見直しがさらに進められ、その下で新たな金融取引のニーズも生まれつつあります。
当社グループは、現下の超低金利が継続する可能性にも留意しつつ、これまで培ってきた資金・有価証券関連業務の運営能力と高い信用力、市場における中立性を活かして、既存ビジネスの強化に取組むとともに、内外の新たな取引ニーズを積極的に取り込むことで、当社の存立基盤をより強固なものとし、市場や投資家の信認に応えていきたいと考えています。
こうした考え方に立って、平成29年度を初年度とする新たな中期経営計画を策定しました。
[戦略]
イ.証券市場のインフラとしての貸借取引業務の強化
株式市場を取り巻く環境変化に適切に対応し貸借取引業務の安定的な運営および利便性向上を図る。また、市場参加者の動向を的確に把握し、貸借取引の利用促進を図るとともに、制度信用・貸借取引にかかる情報発信を強化し、投資家のすそ野を拡大する。
ロ.内外の金融商品取引業者等への柔軟な対応
既存取引先の海外法人をはじめとした非居住者との直接取引の拡大を図るとともに、外国有価証券の担保受入により取引拡大を目指すなど、内外の金融商品取引業者等との多様な取引に積極的に対応し、収益機会の拡大を図る。
また、有価証券の決済期間短縮化に伴う新たな取引ニーズに積極的に応え有価証券貸付業務の拡大を図る。
ハ.新規業務の開発
証券金融会社としての業歴を背景とした当社の特長を活かし、内外の関係先やグループ会社との連携の下で、長期的視野に立って新規業務を開発する。
ニ.資金の効率的活用としての有価証券運用の多様化
外部環境の変化に対し、適切なリスクコントロールの下、機動的にポートフォリオの見直しを実施することで、安定した収益を確保する。また、外国国債など外貨建て有価証券による運用拡大や、外貨を利用したビジネス展開をサポートするため、外貨調達手段の整備を進める。
ホ.グループ連携の強化
子会社を中心とするグループ会社との連携を強化し、多様化する取引ニーズに積極的に対応する。また、当社および子会社の一体的な取組みによりグループ全体としての収益基盤を一層強固なものとする。
ヘ.業務運営管理体制の強化
当社に求められている社会的要請に積極的に対応し、企業理念を実現していくため、コンプライアンスを経営の前提と位置付けていることをあらためて確認する。
当社に対する揺るぎない社会的信頼を確立するため、内部監査の実効性を確保し、金融業務に付随するリスクの多様化・複雑化に対応してリスク管理の一層の充実を図る。
重大な災害発生時においても最重要業務である貸借取引業務を継続するため、金融・証券業界の動向を注視しながら、遠隔地バックアップ態勢の整備を推進する。
ト.働きやすい職場環境の整備と企業活力の向上
働きがいがあり、かつ、働きやすい職場環境を整備することにより、職員ひとりひとりの生産性を高め、企業活力を向上させる。
(3)会社の対処すべき課題
近年、商品やサービスに人工知能(AI)を活用する技術向上とも相俟って、金融のグローバル化と高度化が加速しており、また、金融市場の安定化に向けた国際金融規制や有価証券決済制度の見直しがすすめられるなど、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しております。
こうした中、当社は現下の超低金利が継続する可能性にも留意しつつ、これまで培ってきた資金・有価証券関連業務の運営能力と高い信用力や市場における中立性を活かして既存ビジネスを強化するとともに、内外の新たな取引ニーズを積極的に取り込むことで、当社の存立基盤をより強固なものとし、市場や投資家の信認に応えていきたいとの考え方に基づき、平成29年3月に第5次中期経営計画を策定いたしました。
第5次中期経営計画の下、貸借取引業務については、証券市場のインフラとして安定的な運営と利便性向上を図るとともに、制度信用・貸借取引にかかる情報発信を強化し投資家のすそ野拡大に努めます。また、非居住者との直接取引や外国有価証券の担保受入により取引拡大を目指すなど、内外の金融商品取引業者等との多様な取引に積極的に対応することで収益機会の拡大を図り、有価証券の決済期間短縮化に伴う新たな取引ニーズにも積極的に応えていく所存です。重大な災害発生時における業務継続体制のさらなる対応強化を図るほか、サイバーセキュリティ対策についても整備・強化をすすめてまいります。
当社グループでは、以上のような取組みを通じて中長期的な業績の向上と企業価値の増大を実現し、株主の皆様への利益還元を引き続き充実したものとしてまいりたいと考えております。
事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりです。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努めてまいります。
なお、記載事項のうち将来に関する事項は当期末(平成29年3月31日)現在において当社が判断したものです。
①制度信用取引残高の変動に伴うリスク
当社は、証券金融の専門機関として証券市場の発展に貢献することを使命とし、貸借取引業務の競争力強化を図るため、制度、運用両面での改善を推進するとともに、当社および関係会社で証券関連サービスの拡充に努め、グループの収益基盤を一層堅固なものとすることを目指しております。しかしながら、現在は、営業収益の大半が貸借取引に依存する構造となっており、株式市場の動向等により制度信用取引残高が減少し、これに伴い貸借取引残高が減少した場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
②市場リスク
当社は日中流動性の確保および収益補完を目的とした債券等(外貨建てを含む)や政策投資を目的とした株式を保有しているほか、一部デリバティブ取引を行っています。これら市場リスクについて、リスクを計量化して管理するとともにストレステストを実施するなど厳格な管理体制を整備していますが、金利、為替レートおよび株価の変動等により市場価格が急落した場合は、想定以上の評価損や実現損が発生する可能性があります。
③信用リスク
当社の貸付業務では、信用リスクの顕在化に備え流動性の高い有価証券を担保として受入れています。さらに資産の健全性の維持・向上を図るため、保有資産について厳格な自己査定を実施しているほか、信用供与先については社内格付により信用リスクを評価するとともに、信用リスクについて計量化による管理やストレステストを実施するなど厳格な管理態勢を整備しています。しかしながら、信用供与先の経営状況の急激な悪化に加え担保として受入れている株券等の価格が想定を超えて下落した場合は、貸出債権を回収できないおそれがあります。その結果、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④資金調達に関するリスク
当社は主として、コールマネーやコマーシャル・ペーパー、銀行からの短期借入金等により、貸付等に必要な資金を調達しています。当社では、調達手段の多様化、安定した調達先の確保に努めるとともに、厳格な資金繰り管理を行っておりますが、金融市場の混乱や当社格付の引下げ等により資金調達コストが上昇するおそれがあります。その結果、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤システムリスク
当社はシステムの安定稼動に万全を期すべく、ネットワーク・機器類の二重化等によりシステム障害発生の未然防止に努めています。システム開発・運用面では、これを安全かつ効率的に行うため、作業手順を明確化するとともに監視体制を整備しています。また、サイバー攻撃の脅威に備えて、システム面での対応やサイバーセキュリティ態勢の整備を実施しております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず不測の要因により業務継続に支障が生じる重大なシステム障害が生じた場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥関係会社の業績に関するリスク
当社グループは銀行業務や不動産業務、情報処理サービス業務の事業を展開しており、金融・証券市況や不動産市況等が著しく悪化した場合は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦情報漏洩リスク
取引先の情報等の情報資産の保護については、さまざまなセキュリティ対策を整備するとともにその取扱いを役職員に周知徹底しています。しかしながら、人為的ミスや不正行為、外部犯罪等によって重要な情報が漏洩した場合は、当社の信用力が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧法令遵守に関するリスク
コンプライアンスを企業経営の前提と位置づけ、コンプライアンス統括部を中心に当社全般のコンプライアンスを推進しております。役職員に対しては、投資家保護の意識を高め、公正かつ適切な業務運営を行うため、定期的にコンプライアンス研修を実施するほか、随時、業務に即した研修、指導を行うことにより、コンプライアンス意識の徹底を図っております。しかしながら、役職員の故意または過失により法令違反が発生した場合、または法人として法令違反が発生した場合は、取引先との信頼関係の低下や、損害賠償、行政処分等に直面するおそれがあります。その結果、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨法令等の変更に伴うリスク
当社は金融商品取引法上の証券金融会社の免許および登録金融機関業務の登録を受けて、貸借取引業務等を行っております。従って、法令・規則等が変更された場合は、当社業績に影響が生じる可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社及び連結子会社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適正に表示しております。
この連結財務諸表の作成にあたって、財務諸表等及びその作成の基礎となる会計記録に適切に記録していない重要な取引はありません。当社及び連結子会社の経営者や内部統制に重要な役割を果たしている従業員等による財務諸表等に重要な影響を与える不正及び違法行為はありません。また、契約不履行の場合に財務諸表等に重要な影響をもたらすような契約諸条項をすべて遵守しております。行政官庁からの通告・指導等で財務諸表等に重要な影響を与える事項、財務諸表等の資産又は負債の計上額や表示に重要な影響を与える経営計画や意思決定はありません。財務諸表等に計上又は注記している事項を除き、重要な偶発事象及び後発事象、所有権に制約がある重要な資産はありません。
(2) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
資産合計額は4兆6,450億円と前期末に比べて1兆3,958億円、負債合計額は4兆5,053億円と前期末に比べて1兆3,982億円それぞれ増加し、純資産合計額は1,397億円と前期末に比べて23億円減少しました。この主な要因は以下のとおりです。
①資産
現金及び預金…日証金信託銀行株式会社の信託勘定における待機資金の増加に伴い、前期末に比べて8,103億円増加しました。
有価証券および投資有価証券…保有国債の償還および売却等により、前期末に比べてそれぞれ1,930億円、2,099億円減少しました。
借入有価証券代り金…債券貸借取引に伴う差入担保金が増加したことから、前期末に比べて9,051億円増加しました。
②負債
短期借入金…資金調達の減少により、前期末に比べて1,850億円減少しました。
貸付有価証券代り金…債券貸借取引に伴う受入担保金が増加したことから、前期末に比べて9,429億円増加しました。
信託勘定借…日証金信託銀行株式会社の信託勘定における待機資金の増加に伴い、前期末に比べて6,422億円増加しました。
③純資産
株主資本…当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加により、前期末に比べて12億円増加しました。
その他の包括利益累計額…保有する有価証券等の価格変動に伴い、繰延ヘッジ損益が増加したものの、その他有価証券評価差額金が減少したことから、前期末に比べて35億円減少しました。
当期におけるキャッシュ・フローの概況については「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主要業務である貸借取引業務では、その貸付残高が制度信用取引の残高水準次第で大きく変動することがあり、証券・金融環境の変化によって大きく影響を受ける可能性があります。