当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
1 経営方針
当社グループは、「日本とアジアをつなぐ投資会社として少子高齢化が進む社会に安心・安全で質と生産性の高い未来を創ります」を経営理念として掲げ、全てのステークホルダーへの利益還元を果たして参ります。
2 経営環境と対処すべき課題
A:中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期まで)
当社は、2025年3月期から2027年3月期まで3年間の中期経営計画を2024年8月14日開催の取締役会で決議しております。当計画は、当社グループの投資事業の領域を、投資開発事業、投資運用事業、ファンド・プラットフォーム事業と再定義し、それぞれを新たな事業方針に基づいて拡大していくものです。
投資の実行に当たっては、ファンドの組成や融資(デット)の調達により外部資金を活用します。外部資金を活用した投資を徹底して自己資金の負担を減らすことで、ファンドや投資資産からの安定したフィー収入を増加させると同時に、投資収益から得られる成功報酬(キャリー)により業績のアップサイドを追求し、財務基盤を強固にしながら収益の安定・拡大を目指します。
また、外部環境と収益機会を整理し、補完・代替可能な事業ポートフォリオを構築して、様々な経済環境に対応できる投資資産や金融商品の開発・運用を行います。
投資開発事業の収益機会は、エネルギー価格の高騰、労働力不足によるインフレ圧力、金利上昇と経済をめぐってくすぶり続ける不確実性という外部環境の中で、インフレヘッジ特性やディフェンシブ特性を持ち合わせているプライベート・リアルアセットとして、投資家にとって有力な分散投資先となることです。また、環境問題や社会問題に対応するプライベート・リアルアセットとして、投資家の責任投資目標達成にも貢献します。そこで、当社グループでは、安定収益の確保とファンドの組成に向けたプライベート・リアルアセットのパイプライン開発と投資資産の積み上げを行います。
投資運用事業では、金利やインフレ率が上昇し経済成長性が高まっている現況では、伝統的な資産である上場有価証券への投資に収益機会があります。また、現在の日本経済の環境は、デフレからの脱却、円安の進行、米中対立を背景とした生産や研究拠点としての重要性が高まり、海外から注目を集めています。特にアジアの投資家が、日本国内の有望なテクノロジーやベンチャー企業、上場企業に対して投資機会を求める時代となっています。そこで、当社グループでは、国内外の機関投資家やファミリーオフィス・富裕層向けに伝統的・非伝統的な両資産クラスにおいて、強みを活かした投資手法により資産運用サービス・金融商品を提供します。
また、ファンド・プラットフォーム事業では、VCファンドやCVCファンド、バイアウトファンド等の運営企業に対して、ファンド・アドミニストレーターとして長年の実績を有するジャイク事務サービス㈱が、ファンド組成・募集・運用に必要なファンド運営のミドル・バック業務のソリューションを提供します。
その他詳細は、2024年8月14日付の東京証券取引所への当社開示資料「中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期)の策定、並びに資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応に関するお知らせ」をご覧ください。
B:対処すべき課題
上記に記載した今般の中期経営計画では、対処すべき課題を下記のように認識し、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を行う方針です。
1.現状分析
当社の現状はPBRが1倍を下回る状態が継続しており課題となっています。その要因は投資利益率の低さと資産回転率の低さだと認識しています。
2.目指す姿
当社は、PBRの改善に向けて、資本コスト(約13.4%)並みのROEを実現することを目指し、以下の方策を取ります。
① 安定収益の拡大
フィー収入で固定費をカバーして黒字化を定着させ、資本コストの低減を図ります。
② 収益性の改善
長期滞留資産を早期に回収して資産を入れ替え、資産の回転率の改善を図ります。また、アセットアロケーションや事業ポートフォリオの見直しも行い、収益性の改善を図ります。
③ リファイナンスの実現と財務レバレッジの改善
当社単体の金融機関からの借入金は、返済スケジュールの変更(リスケジュール)を行っています。この借入金についてリファイナンス(借入金の正常化)と新規の借入金による資金調達を実現し、財務レバレッジの改善を図ります。
④ IR活動のアップデート
より積極的なIR活動を行います。
3.主要な業績評価資料(KPI)、重要な目標指標(KGI)
当社は2024年3月期の有価証券報告書において主要な業績評価資料(KPI)を従来連結基準(注)による親会社株主に帰属する当期利益としていましたが、今般の中期経営計画においてこれを変更し、運用資産規模(AUM)増加額と受託資産規模(AUA)残高を重要な成果指標(KPI)と定めました。変更の理由は、今般の中期経営計画では、ファンドの組成や融資資金の調達など外部資金を活用した投資を行い、それによって安定収益であるフィー収入を拡大し固定費をカバーすることで黒字化を定着させる方針としているためです。
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KPI |
2025年3月期 |
2026年3月期 |
2027年3月期 |
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投資開発事業 運用資産規模(AUM)増加額 |
50億円 |
100億円 |
150億円 |
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投資運用事業 運用資産規模(AUM)増加額 |
100億円 |
200億円 |
300億円 |
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ファンド・プラットフォーム事業 受託資産規模(AUA)残高 |
3,000億円 |
3,500億円 |
4,000億円 |
また、当社は、今般の中期経営計画において、従来連結基準(注)による重要な目標指標(KGI)を次のように定めています。
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従来連結基準(注)による重要な目標指標(KGI) |
2024年3月期実績 |
2027年3月期計画 |
将来の目指す姿 |
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安定収益 |
2億円 |
8億円 |
10.8億円 |
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ROE |
-(赤字) |
12.7% |
資本コスト13.4%以上 |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
△16億円 |
10億円 |
黒字化の定着と |
C:2025年3月期の事業計画の進捗
投資開発事業では、11棟の障がい者グループホームプロジェクトに新規投資を実行しましたが、その他の種類のプロジェクトでは採算性を重視して慎重に案件開発を進めた結果、AUMの増加額は14億円に留まりました。
投資運用事業では、上場企業を投資対象とする4本のファンドを組成しましたが、ファンド総額の規模が計画よりも少額だったため、AUMの増加額は15億円に留まりました。
ファンド・プラットフォーム事業では、AUAは2,690億円となり計画を下回りましたが、事務受託1件当たりの採算性向上により、事務受託料は計画を上回りました。
D:2026年3月期の事業方針
投資開発事業では、障がい者グループホームプロジェクトの新規投資を継続するほか、データセンターや再生可能エネルギーのプロジェクトへの投資を検討しています。これらの実現によりAUMの増加額を60億円まで増加させる計画です。
投資運用事業では、既存ファンドの増額や新たなファンドの組成の企画が複数あります。これらの実現によりAUMの増加額を150億円まで増加させる計画です。
ファンド・プラットフォーム事業では、顧客候補先からの引き合いが強いため、人員の補強や業務の効率化によりAUAを2,800億円まで増加させる計画です。
いずれものKPIも、2026年3月期の見込は中期経営計画の目標値を下回ります。しかしながら、翌2027年3月期には中期経営計画の目標値を達成する見込みです。
なお、損益面では、上述のAUMやAUAの増加による寄与はまだ少なく、過去の投資資産の売却による収益が主なものとなります。具体的には、国内未上場株式、ディストリビューションセンタープロジェクト、障がい者グループホームプロジェクト、その他のプロジェクトの売却を見込んでいます。その結果、従来連結基準(注)による親会社株主に帰属する当期純利益を、中期経営計画の数値計画を超えて450百万円と見込んでいます。
(注)従来連結基準
当社グループでは、2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会 2006年9月8日 実務対応報告第20号)を適用し、当社グループで運営している投資事業組合等の一部を連結の範囲に加えて連結財務諸表等を作成しております。しかしながら、投資家及び株主の皆さまに、当社グループの経営成績及び財務状況を正しくご認識いただくためには、従来からの会計基準による財務諸表等の開示も必要と考えております。
以上のことから、従来の会計基準に従って、投資事業組合については、資産、負債及び収益、費用を外部出資者の持分を含まない当社及び関係会社の出資持分に応じて計上し、また、会社型ファンドについては連結の範囲から除いた連結財務諸表等を「従来連結基準」として、決算短信等において継続的に開示しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日時点において当社グループが判断したものです。
1.サステナビリティに関する考え方
当社は「日本とアジアをつなぐ投資会社として、少子高齢化が進む社会に、安心・安全で質と生産性の高い未来を創ります。」という経営理念を掲げています。
また、この経営理念に従い、コーポレートガバナンスに関する基本方針において、サステナビリティ(持続可能性)を巡る課題への対応方針を、次のように定めています。
1)取締役会は、当社のビジネスモデルの持続可能性や長期的な企業価値の向上のために重要な事項や、反対にこれらを毀損する可能性のあるリスクを把握し、当社の経営計画に反映する。その際、重要な事項やリスクと、ESG(Environment(環境)、Social(社会)、Government(ガバナンス))や国際的な共有の社会課題として特定されているSDGs(持続可能な開発目標)との関係性を考慮する。
2)当社は、投資会社としての事業活動を通じて、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティー(持続可能性)を巡る課題について、適切に対応をする。当社の投資する企業やプロジェクトが、当社の供給するリスクマネーやサービスを活用し新たな価値やソリューションを生み出すことが、サステナビリティを巡る課題の解決につながる。具体的には、投資対象先の選定において、社会・環境問題の解決につながる業種を投資重点分野としたり、メガソーラーをはじめとする再生可能エネルギーなど、環境問題の解決に直接つながる分野に、積極的に投資を行う。
3)当社は、当社のESGやSDGsへの取り組み状況を積極的に開示する。
2.サステナビリティに関する取り組み
(1)人的資本に関する取り組み
1)ガバナンス
人的資本を含むサステナビリティに関する課題について、少なくとも半年に1度リスク管理委員会で、その機会及びリスクを識別・評価・管理します。リスク管理委員会は、少なくとも年に1度、その結果に基づくサステナビリティ課題への対応方針を、取締役会に提言します。取締役会は、少なくとも年に1度、当該提言に基づき、現状の経営理念・中期経営計画の見直しの要否を判断し、必要な決定を行います。当該判断・決定を通じて、取締役会は、サステナビリティに関する課題への取り組み状況への監督機能を担っています。
2025年4月には、サステナビリティの人的資本以外に関する戦略と指標及び目標を、リスク管理委員会からの提言に基づき、審議しました。
2)戦略
当社は、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、コーポレートガバナンスに関する基本方針において、社内の多様性の確保と人材の活用につき、次のように定めています。
①当社は、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなり得る、との認識に立ち、社内における多様性の確保を推進すべく、性別や国籍等による差別を排除する。
②当社は、当社の行う投資事業における成功には有能な人材の存在が不可欠であり、競争力の源泉であると位置づけ、その活用のための人事評価制度や労働環境の充実・改善に取り組む。
上記の方針に基づき、人的資本への投資については、目標管理制度を導入して個人の資質、適性、能力、課題を本人と共有し、これらに基づく適切な業務や組織への配置や人事評価により、人的資本を最大限に活用するよう取り組んでいます。また、人的資本を活用する仕組みとして業績連動型の賞与制度を採用し、個人のモチベーション向上を促しています。加えて、自己啓発への援助を人事制度として取り入れています。
また、多様性確保に向けた人材育成方針については次のとおりです。当社はサステナビリティを巡る課題への解決に取り組む企業やイノベーティブな技術及び事業への投資を行うことを事業戦略の柱としています。このような事業の特性上、投資活動を担う人材については、違った価値観や経験を有する人材の多様性が重要となります。当社が持続的成長を果たし、企業価値の向上を図るにあたっては、そのような多様性を前提とした人的資本への投資が不可欠と認識しており、事業戦略と併せた組織体制の構築や人材の確保に取り組む方針です。
社内環境の整備については、当社では多様性を確保すべく女性・外国人・中途採用者などを積極的に受け入れるとともに、それぞれの個性や能力を最大限に発揮できるよう、管理職への登用機会やキャリア形成の機会を公平かつ適正に与えるよう取り組んでいます。
特に、育児と両立しながら長く働き続けられる環境の整備として、男女を問わず利用できる当社独自の育児特別有給休暇制度や育児補助金制度、時差出勤制度、テレワーク制度の導入など、人事制度の充実に向けた取り組みについても積極的に行っています。
3)リスク管理
リスク管理委員会において、当社グループを取り巻く外部環境の変化を反映して、リスクの洗い出しを行っています。その後、洗い出したリスクを、金額的影響度、質的影響度、発生可能性の観点から評価し、当社グループにおける重要性を判断しています。また、重要性の高いリスクについて、対応策の検討とその実施状況の確認を行っています。
人的資本を含むサステナビリティ関連の課題に対して、リスク管理委員会で行うリスクの識別・評価・管理に当たり、当社に与える影響をリスクと事業機会の両面から検証しています。
4)指標及び目標
当社グループは全従業員数が2025年3月末で36名と少なく、また、現在は定期的な採用活動を行っておらず人員の入替が少ないため、特定の属性の数値目標を掲げてコントロールすることは困難であり、数値目標は設けません。しかしながら、採用や人事評価の際は性別や国籍等による差別を排除して公平に行っており、社内の多様性確保に努めています。なお、2025年3月末現在、全管理職20名うち、中途採用者が80%、女性が40%、外国籍者が15%です。
(2)人的資本以外のサステナビリティに関する取り組み
1)ガバナンス
上記
2)戦略
当社では、ESGの区分ごとに以下のリスク・機会を認識しており、これらに対応する主な取り組みは下記のとおりです。
2-1)環境(Environment)
サステナビリティの課題:気候変動
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リスク・機会 |
主な取り組み |
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・金融市場の脱炭素・低炭素志向に対応できず、当社や投資先企業の取引条件が悪化したり、取引先から排除されるリスク ・脱炭素・低炭素志向に対応する環境循環型社会に向けて取り組む企業に対する金融市場からの高評価 |
2024年6月に「サステナビリティに配慮した投資方針」を制定。新規投資時に環境・社会の課題に対する取り組みについても評価を行っている。 |
2-2)社会(Social)
サステナビリティの課題:少子高齢化、包摂的な社会構築、地域経済の発展、人権尊重
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リスク・機会 |
主な取り組み |
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・金融市場や労働市場の価値観の変化に対応できず、資金調達・調達金利・人材獲得に不利な影響を及ぼすリスク ・これらの課題に取り組むプロジェクトやファンドに対する金融市場からの高評価 ・当社内における多様な人材の活躍機会の増加 |
・2024年6月に「サステナビリティに配慮した投資方針」を制定。新規投資時に環境・社会の課題に対する取り組みについても評価を行っている。 ・障がい者グループホームなど課題に取り組むプロジェクトに投資を行い、建設地域での雇用創出を通じた地域経済へ貢献するとともに、包摂的な社会構築のための資金ニーズを取り纏め機関投資家向けに新たな金融商品として提供する ・地域の企業を投資対象とするファンドを組成し、投資した企業の企業価値を向上することで、地域経済の発展に貢献する。 ・適切な人員配置や公正な人事評価を行い、当社内の人権尊重と多様性を確保する |
2-3)ガバナンス(Governance)
サステナビリティの課題:コンプライアンス、リスク管理、情報セキュリティ、情報開示の充実
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リスク・機会 |
主な取り組み |
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・企業ガバナンスの低下による機能不全 ・情報開示の充実による金融市場からの当社評価の向上 |
・コンプライアンス相談、社外通報制度の運営 ・リスク管理委員会の運営 ・情報セキュリティ意識の徹底 ・IRの拡充 |
3)リスク管理
上記
4)指標及び目標
当社では、上記の主な取り組みのうち特に重要なものを、障がい者グループホームへの投資と地域経済の活性化を志向するファンドの組成と位置付けています。
障がい者グループホームへの投資の指標は、金融商品として機関投資家に提供するためのグループホームの開発棟数であり、2027年3月末までに累計80棟の開発を目指します。
地域の企業を投資対象とするファンドの組成については、ファンドの運用資産規模(AUM)が指標です。当社は、全ファンドの合計で、2025年3月期から2027年3月期までの3年間の中期経営計画において、投資運用事業のKPIとして新規設立するファンドのAUMを総合計で300億円とする目標です。
当社グループの事業等のリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると思われる主要な事項を記載しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項については、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
Ⅰ 事業環境に関するリスク
(1)株式市場に係るリスク
当社グループは、プライベートエクイティ投資を行っております。これは、日本・アジアを中心とした未上場株式等への投資を行い、投資先企業の株式上場による株式市場での売却や第三者等への売却により収益を得る事業です。そのため、投資資金を回収する局面において、株式市場の変動の影響を受ける可能性があります。当社グループでは、投資候補となる未上場企業の将来性を十分に検討し、当該企業が上場時に株式市場から得られるであろう評価額を想定した上で、これに基づいて投資時の株価の妥当性を検証しています。
しかしながら、株式の売却時に株式市場が活況でなく新規株式上場市場も低調である場合には、投資先企業が新規上場したとしても想定したとおりの株価が付かず、又は、新規上場が実現せず、それによって当社グループが得る営業収益が減少し当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、上場企業にも投資を行っているほか、投資先企業の株式上場等により、市場性のある株式を保有しております。また、新規上場銘柄のうち一部の銘柄につきましては、各証券取引所の関連規則又は投資先企業との契約によって上場後一定期間売却が制限されることがあります。加えて、上場企業への投資についても、第三者割当の引受を行う場合などは、一般に中長期保有が求められます。そのため、保有期間中に株式市場において株価が下落した場合、株式売却によって得られる営業収益の減少や保有有価証券の評価損の発生に伴う営業原価の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(2)為替リスク
当社グループは、海外で投資を行い外貨建資産を保有するため、外国為替の変動の影響を受けます。なお、プライベートエクイティ投資の特性上、投資資金の回収期間が長期となり、また、回収金額及び回収時期の特定ができず将来のキャッシュ・フロー予測が困難であるため、原則として、為替予約などによる為替リスクヘッジ取引等は行っておりません。
(3)カントリーリスク
当社グループは、アジア諸国などでも事業活動を行っています。そのため、事業活動を行う国における経済情勢の変化、政治的要因の変化、法制度の変更、テロや伝染病の発生などの社会的混乱等により、投資先企業や当社グループ会社の事業活動に悪影響を及ぼすリスクが内在します。当社グループでは、現地の政府関係機関やパートナー企業とのネットワークを強化し、及び共同で投資活動を行い、事業活動を行う国の情報収集や適切な対応に努めています。
(4)法的規制によるリスク
当社グループの事業活動は以下の法的規制を受けます。当社グループでは、管理グループがこれらの法的規制について常時情報を収集し適切な対応に努めています。しかしながら、当社グループ各社の行う業務においてこれらの規制に抵触した場合には、当該業務の遂行に支障をきたす可能性や、規制に対応するためにファンドの設計を変更することに伴う費用が増加する可能性があります。また、当社グループの社会的信用力が低下することで、事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
①オフショア地域における法的規制
当社グループは、本邦、アジア諸国及びケイマン諸島などのオフショアと呼ばれる地域他各国において、ファンドの管理運営業務及び投資事業等を行っている又は行う可能性があるため、これらの地域における法的規制(会社法・金融商品取引法・独占禁止法・租税法・投資事業有限責任組合契約に関する法律・外国為替管理法・財務会計関連法規等)の適用による影響を受けます。
②適格機関投資家等特例業務関連
当社グループ内には当社をはじめとして、本邦における金融商品取引法第63条に基づく適格機関投資家等特例業務としてファンドの管理運営業務を営むに当たり、管轄財務局に届出を行っている会社があります。この届出により、当社グループが管理運営するファンドは、適格機関投資家等を主とする投資家に出資者を限定するなど一定の要件を満たす必要があります。
(5)競合・参入の状況に係るリスク
当社グループが属する投資業界においては、金融機関、事業会社、外資系企業等による参入があります。当社グループでは、経営理念に基づき特徴のある投資活動を行うことや、競争力のある企業とパートナーシップを組んで投資を行うことで、競争優位性を維持するよう努めています。しかしながら、競合他社による大規模なファンドの組成、積極的な投資活動の拡大、優れたポートフォリオの構築、高い投資リターンの実現、低価格サービスの提供等により、当社グループの競争力が相対的に低下することで、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)自然災害等に係るリスク
当社グループは、当社グループの主な活動地域である日本やアジアにおいて、自然災害や感染症などを原因とする緊急事態が発生した場合には、事業活動の継続が困難となり当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクを有しています。当社グループは、このリスクに対応するため「緊急事態時の事業継続計画(BCP)」を策定し、緊急事態の発生に基づく経営危機を未然に防止することを目的として、緊急事態の発生時においても、従業員及びその家族の安全を確保しながら自社の事業を継続する計画です。
(7)金利の動向に係るリスク
当社グループの金融機関からの既存の借入金には変動金利によるものが含まれており、これに係る支払利息は金利変動により影響を受けます。よって、金利上昇が当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループがプロジェクト投資を行うに当たり金融機関から借入金で資金を調達する場合には、金利上昇による資金調達コストの増加がプロジェクトの採算性低下につながり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、金利動向に留意しながら、資金調達コストの増加を加味してもなお一定の収益を確保できるように投資時の採算性の検証を慎重に行うことに加え、調達金利の固定化も検討致します。また、販売価格が固定で無いプロジェクトでは、価格転嫁の交渉などによる採算性改善の努力をして参ります。一方で、販売価格が固定されているプロジェクトについては、早期の流動化に努めて資金効率を高めることで、採算を確保して参ります。
(8)物価の動向に係るリスク
当社グループが手掛けるプロジェクト投資では、発電所等の施設や設備の建設や取得を伴うため、人件費、エネルギー価格、物流コスト、資材価格を始めとする物価が上昇する局面においては、施設や設備の建設費や取得費用が上昇し、プロジェクトの採算性低下につながり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。物価の動向に留意しながら、物価の上昇を加味してもなお一定の収益を確保できるように投資時の採算性の検証を慎重に行うほか、販売価格が固定で無いプロジェクトでは、価格転嫁の交渉などによる採算性改善の努力をして参ります。一方で、販売価格が固定されているプロジェクトについては、早期の流動化に努めて資金効率を高めることで、採算を確保して参ります。
Ⅱ 営業活動に関するリスク
(1)プライベートエクイティ投資に係るリスク
当社グループは、プライベートエクイティ投資を行っております。これは、日本・アジアを中心とした未上場株式等への投資を行い、投資先企業の株式上場による株式市場での売却や第三者等への売却により収益を得る事業です。当社グループでは、投資時に投資候補となる未上場企業の将来性を十分に検討し、投資回収時に当該企業が新規上場した場合の株式市場からの評価や未上場の段階で売却する場合に買手から得られるであろう評価を想定し、当社グループの投資する際の投資候補先の企業価値の妥当性を検証しています。また、投資後は、投資先企業に対するモニタリングを綿密に行い、投資先企業の状況を的確に把握することに努めています。また、投資先企業の事業の進捗や経営状況の改善を図るために、投資先企業に対する成長支援を行っています。しかしながら、その投資活動については以下のようなリスクがあります。
当社グループが投資対象とする未上場企業は、成長過程にある企業であるため、収益基盤や財務基盤が不安定であったり、経営資源も限られるといったリスク要因を内包しております。そのため、投資先企業の業績の不振や倒産が生じた場合や、実際の投資先企業の事業進捗や業況が当社の見込みどおりに推移しない場合には、営業投資有価証券評価損や営業投資有価証券引当金繰入額が発生して営業原価が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループによる未上場株式等への投資から株式上場もしくは第三者等への売却に至るまでには通常長期間を要するため、途中で業績悪化等により当該投資先の企業価値が当初の見込みと異なって変動する可能性があります。また、経済環境や株式市場動向等外部要因の影響を受けて投資採算が当初の見込みと大幅に異なる可能性があります。それらの結果、投資回収時に営業収益が減少し、又は、投資回収に至る前に営業投資有価証券評価損や投資損失引当金繰入額が発生して営業原価が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが投資対象とする未上場株式等は、上場企業の株式等に比較して流動性が著しく低いため、投資回収時にその取引参加者の意向により取引条件が大きく変動します。そのため、当社グループの希望する価額・タイミングで売却できる保証はなく、営業収益が減少したり、長期間売却できず、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは未上場株式等への投資を行うに当たり、他社の運営するファンドに出資を行う場合があります。ファンドに出資する目的は、当該ファンドからの持分利益を期待するとともに、他社の運営するファンドに出資を行うことを契機にファンドの運営者である他社との関係を深化し、業界情報の取得や共同投資の機会等を得ることです。当社グループは、他社の運営するファンドに出資を行う場合には、運営会社の投資能力やファンドの企画内容などを慎重に検討しています。しかしながら、ファンドの運営は他社が行っているため、ファンドの運営成績は当該運営者に依存しており、当社の期待に反してファンドの運営成績が低下した場合には、当該ファンドから期待したとおりの持分利益が得られない可能性や、持分損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)プロジェクト投資に係るリスク
当社グループは、再生可能エネルギーを始めとする多様なプロジェクトを投資対象としています。当社グループは、投資判断を行う上で、一定の前提条件のもとに、発電所やその他プロジェクトの投資対象となる施設等の建設費用等の総事業コストや完成後の長期間にわたる発電量やその他の変数を見積もり、慎重に採算性の検証を行っております。しかしながら、これらの前提条件が想定以上に変動したり、自然災害や盗難などの被害、固定価格買取制度やその他各種取引条件の大幅な変更や改正等の想定外の事象が発生した場合には、その内容によっては、プロジェクトの投資採算性が見込みと大幅に異なり、プロジェクトから得られる収入の減少、もしくは、プロジェクトで建設した有形固定資産の減損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、プロジェクトの投資対象となる施設等の自然災害による被害に関しては、施設等に対する動産総合保険等により、これらの被害を最小限に収める対策をしております。
また、当社グループはプロジェクト投資資産の投資検討時に慎重に採算性の検証を行うほか、プロジェクトの開発や運営においても適切な予算管理を行い、プロジェクトの採算性の向上に努めています。しかしながら、当社グループがプロジェクト投資資産を売却する局面において、その売却価額は買手の期待するプロジェクトからの収益の利回りの影響を受けます。そのため、金利の動向や物価の動向などの外部環境や買手が選択し得る他の金融資産の収益の利回りの変動により、買手から見た当社の投資するプロジェクトの収益利回りが相対的に低下し、当社の投資するプロジェクト投資資産を当社グループの希望する価額・タイミングで売却できず、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)役員派遣に係るリスク
当社グループの役職員を投資先企業の非常勤役員として派遣することがありますが、投資先企業に対して派遣した当社役職員が損害賠償請求等をされた場合、当社グループに使用者責任及び当該賠償金額を負担する義務が発生する可能性があります。
原則として投資先企業と派遣者との間で責任限定契約を締結するとともに、当社加入の役員賠償責任保険において派遣されている役職員も補償対象に加えておりますが、当社グループの業績及び財政状態への悪影響を完全には回避できない可能性があります。
(4)ファンド(投資事業組合等)に係るリスク
①ファンド募集について
ファンド(投資事業組合等)は、当社グループにとって投資原資であるだけでなく、管理報酬や成功報酬等の収益源であり、また様々な企業と提携してシナジー効果を生み出す上で有効なビークルでもあります。当社グループは、ファンドの規模を追うことなく当社のリソースを生かした特徴あるファンドを設立していく方針です。しかしながら、ファンドの募集活動において出資者から十分な資金を集められない場合、投資活動に支障をきたす可能性があるほか、営業収益のうち管理報酬が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②ファンド運営に係る訴訟の可能性等について
当社グループは複数のファンドを設立しており、無限責任組合員又はゼネラルパートナーとして、その出資額を超える損失を負担する可能性があります。また、ファンドの業務執行組合員としての善管注意義務違反を理由とする訴訟や、ファンド間、当社グループとファンド又は出資者、もしくは出資者間の利益相反等を理由とする訴訟等を提起される可能性があります。当社グループでは、ファンドの受託者責任を全うすべく、ファンド毎にファンドマネージャーやファンド担当役員を設け、加えて、経営管理グループにおいて利益相反等の観点からファンドの運用体制をモニタリングしています。しかしながら、当社グループに対する訴訟等により損害賠償義務を負った場合には、損害賠償そのもののみならず、社会的信用の低下から当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
Ⅲ 会社運営に関するリスク
(1)業績変動リスク
当社グループでは、2024年8月に開示した中期経営計画において、業績の安定化を目的として、運用資産規模(AUM)や事務受託資産規模(AUA)を拡大してこれらの資産から安定的に発生するフィー収入を拡大させる方針を採用しており、現在AUMやAUAの拡大に努めています。しかしながら、充分に規模が拡大するまでの間は、当社の主たる収益は、プライベートエクイティ投資における投資先企業の株式上場による株式市場での売却や第三者等への株式等の売却によるキャピタルゲインや、プロジェクト投資におけるプロジェクト投資資産の売却によるキャピタルゲインとなります。
これらの投資資産の売却の時期や売却価額は、株式市況や個々の投資先企業の特性、金利の動向や物価の動向などの外部環境やプロジェクト投資資産の買手が選択し得る他の金融資産の収益の利回りの変動、その他様々な要因の影響を受けて想定外に変動する可能性があります。株式の売却が想定以上に変動した場合や、プロジェクト投資資産を想定どおりに売却できない場合には、会計年度によって得られる収益の金額が大きく変動し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)資金調達リスク
①当社グループの行う投資業務は、投資してから資金の回収までに長期間を有するため、投資資金の回収を含む資金調達額と投資実行額がアンバランスになり、財政状態及びキャッシュ・フローの状況が短期的に大きく変動したり、あるいは悪影響を被る恐れがあります。
②当社グループは、上記①のような事業の性質上、業務に必要な資金を長期的かつ安定的に調達する必要がありますが、2025年3月期末時点において当社単体で3,495百万円を負債性資金により調達しております。
負債性資金については、当社グループは、2009年3月以降複数回にわたり、全取引金融機関から返済条件の変更等を主としたリスケジュールに同意を頂いており、現在の返済計画は2024年8月から2025年7月末日までとなっています。
今後、2025年7月末日に期限が到来するに当たり当該対象債務の残債務については、再び新たな弁済計画について全取引金融機関から同意を頂くべく協議中です。当社グループは、日頃より取引金融機関と連絡を密に取り当社グループの状況を丁寧に説明し、弁済計画へのご理解を得るよう努めています。
しかしながら、協議が纏まらない場合には、期限の利益を喪失するなど、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、この新たな返済計画は、これまでと同様に融資期間が1年間であり、返済期限を2026年7月末日としています。今後、2026年7月末日の返済期限が到来する際に、当該対象債務の残債務について再び新たな弁済計画について協議を行う必要があり、協議が纏まらない場合には、期限の利益を喪失するなど、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)人材流出及び労務管理のリスク
当社グループの行う投資業務における成功には、有能なキャピタリストやファンドマネージャーの存在とその育成が不可欠であり、当社グループの重要な競争力の源泉であります。人事評価における成果主義の導入と、優秀な人材を確保するため、人件費が増加する可能性があります。また、このような制度を導入したにもかかわらず優秀な人材の流出した場合には、当社グループの将来の成長、事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす場合があります。
また、当社グループは労働環境の充実や改善、適正な労働時間の管理や時間外労働の抑制等に継続的に取り組んでおりますが、万一、過重労働や不適切な労務管理によって当社の信用に著しい低下がみられた場合、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)情報システム及び情報管理に係るリスク
当社グループでは適切なシステム管理体制の構築と運用に継続的に取り組んでおりますが、システム運用上のトラブルの発生により、業務運営に支障をきたす可能性があります。
また、当社グループではコンピューターウィルス対策の整備や、当社グループが保有する取引先の重要な情報並びに個人情報の管理について、各種社内規程等の制定、役職員への周知徹底、情報システムのセキュリティ強化等、情報管理体制の整備を進めておりますが、今後、予測不能のウィルスの侵入や情報への不正アクセスなどの不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合は、業務運営に支障をきたす場合や、損害賠償請求や社会的信用の失墜等により、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)コンプライアンス違反行為等によるリスク
当社グループでは、「私たちの行動規範」を制定し法令遵守の徹底を図っておりますが、当社グループの役職員等による法令違反が発生した場合には、それに伴い社会的信用を失墜し、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)事務リスク
当社グループでは、社内規程や業務マニュアルを整備するなど正確な業務運営の徹底を図っておりますが、当社グループの役職員等による事務ミスが発生した場合には、業務遂行に支障が生じるだけでなく、それに伴い社会的信用を失墜し、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 大株主との関係に関するリスク
当社は、2024年6月28日付で、ガバナンス・パートナーズ株式会社(以下「ガバナンス社」という。)が運用するファンドを割当先とする第三者割当により新株式を発行しており、ガバナンス社は同社の運営する複数のファンド及び同社の子会社を通じて当社の議決権総数の36.90%を間接的に保有する大株主です。また、ガバナンス社の代表取締役である丸山俊氏を当社の代表取締役として招聘しています。
将来において当社とガバナンス社との関係に大きな変化が生じた場合は、ガバナンス社の当社株式の保有・処分方針、議決権の行使状況、役員の派遣状況、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼし、ひいては当社の事業活動や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、ガバナンス社が当社の事業その他に関して有する利益は他の株主の利益と異なる可能性があります。
なお、ガバナンス社は投資会社であり当社と同一の事業を営んでおります。当社では、取締役による競業取引又は利益相反取引に該当する取引につき取締役会において会社法に従い適切な手順で決議を行うことに加え、当社の投資活動の意思決定を投資委員会構成員の全員一致とすることで、ガバナンス社との利益相反を防ぐ方針です。
当社グループは、上記のリスクの中でも次のものを、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しています。
Ⅰ 事業環境に関するリスク(1)株式市場に係るリスク
Ⅰ 事業環境に関するリスク(7)金利の動向に係るリスク
Ⅰ 事業環境に関するリスク(8)物価の動向に係るリスク
Ⅱ 営業活動に関するリスク(1)プライベートエクイティ投資に係るリスク
Ⅱ 営業活動に関するリスク(2)プロジェクト投資に係るリスク
Ⅲ 会社運営に関するリスク(1)業績変動リスク
当社グループは、2026年3月期において、投資の回収では、プライベートエクイティ投資資産及びプロジェクト投資資産の売却による収益を見込んでいます。また、AUMの拡大を目指していることから、プロジェクトへの投資も積極的に行う計画です。そのため、プライベートエクイティ投資資産やプロジェクト投資資産の回収を進める局面で発生する可能性があるリスクや、プロジェクト投資資産に投資を実行する局面で発生する可能性があるリスクは顕在化する可能性が高く、発生時期は2026年3月期中となる可能性があります。
また、当社グループは、スマートアグリ(植物工場)プロジェクトの営業活動から生じる損益が継続してマイナスとなっているため、当該プロジェクトに係る固定資産には減損損失の兆候があると判断したものの、減損損失を認識するには至っておりません。減損損失の計上の判断は、当社グループによる見積りの要素が大きく、減損損失の発生時期及び金額を正確に予測することは困難ですが、リスクへの対応策として予定販売量の確保のための施策を継続し、プロジェクトの投資採算を改善させるべく鋭意努めています。
文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断、予測したものです。
Ⅰ 経営成績の状況の分析
当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の当社グループの経営成績の状況は、営業収益3,092百万円(前連結会計年度比 26.5%増)、営業総利益1,206百万円(同 629.6%増)、営業利益105百万円(前連結会計年度 営業損失1,150百万円)、経常利益141百万円(前連結会計年度 経常損失1,302百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益400百万円(前連結会計年度 親会社株主に帰属する当期純損失1,700百万円)となりました。前連結会計年度に比べてプロジェクトの売却が好調だったことから増収となりました。加えて、中華圏での営業投資有価証券評価損や投資損失引当金繰入額が減少したことや販管費の削減により、黒字回復しました。その内訳や背景となる営業活動の状況は次のとおりです。
(a) 営業収益・営業原価内訳 (単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 自 2023年4月 1日~ 至 2024年3月31日 |
当連結会計年度 自 2024年4月 1日~ 至 2025年3月31日 |
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営業収益合計 |
2,444 |
3,092 |
|
うち 管理運営報酬等 |
123 |
134 |
|
うち 営業投資有価証券売却高 |
1,244 |
1,258 |
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うち 組合持分利益・インカムゲイン等 |
1,023 |
1,649 |
|
うち その他営業収益 |
53 |
50 |
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|
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|
営業原価合計 |
2,279 |
1,886 |
|
うち 営業投資有価証券売却原価 |
621 |
837 |
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うち 営業投資有価証券評価損・投資損失引当金繰入額 合計 |
777 |
138 |
|
うち 組合持分損失等 |
863 |
891 |
|
うち その他営業原価 |
16 |
18 |
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|
営業総利益 |
165 |
1,206 |
(管理運営報酬等)
管理運営報酬等は、前連結会計年度から増加し134百万円(前連結会計年度比 8.7%増)となりました。新設ファンドからの管理報酬や、ファンドの事務受託報酬が増加しました。
(投資損益)
営業投資有価証券売却高は、前連結会計年度並みの1,258百万円(同 1.1%増)となりました。このうちプロジェクトの売却では、メガソーラープロジェクトの売却件数が前連結会計年度の1件から3件に増加しました。一方株式の売却では、前連結会計年度に比べて利益率の高い上場株式の売却が減少しました。その結果、全体では利益率が低下して、売却高から売却原価を差し引いた実現キャピタルゲインは前連結会計年度から減少して420百万円(同 32.5%減)となりました。
営業投資有価証券評価損及び投資損失引当金繰入額の合計は、前連結会計年度から減少して138百万円(同 82.2%減)となりました。前連結会計年度は中華圏で回収見込み額が低下した銘柄に対する計上額がありましたが、これらの損失処理が完了したため減少しました。以上の結果、投資損益(実現キャピタルゲインから営業投資有価証券評価損及び投資損失引当金繰入額の合計を控除した額)は、281百万円の利益(前連結会計年度 155百万円の損失)となりました。
(組合持分利益・インカムゲイン等)
組合持分利益・インカムゲイン等には、当社グループが運営するプロジェクトの収入(売電収益や、野菜の販売額、障がい者グループホームの賃貸収入等)、他社が運営するプロジェクトの持分利益(プロジェクトの運営による純利益や、プロジェクトの売却益)、他社が運営するプライベートエクイティファンドの持分利益、利息・配当収入、及び、その他の収益が含まれています。
組合持分利益・インカムゲイン等の合計額は、前連結会計年度から増加して1,649百万円(前連結会計年度比 61.2%増)となりました。
前連結会計年度はプロジェクトの売却がありませんでしたが、当連結会計年度はディストリビューションセンタープロジェクト1件、ヘルスケアプロジェクト(高齢者施設)1件の売却による利益を計上しました。また、新規稼働したメガソーラープロジェクトの売電収益が増加しました。
(組合持分損失等)
営業原価のうち組合持分損失等には、当社グループが運営するプロジェクトの原価(売電原価や、野菜の製造原価、障がい者グループホームの賃貸原価等)、他社が運営するプロジェクトの持分損失、及び他社が運営するプライベートエクイティファンドの持分損失等が含まれています。
組合持分損失等の合計額は、前連結会計年度から増加して891百万円(同 3.3%増)となりました。主に、新規稼働したメガソーラープロジェクトや障がい者グループホームプロジェクトの原価が増加しました。
以上の結果、営業収益は3,092百万円(同 26.5%増)、営業原価は1,886百万円(同 17.2%減)、営業総利益は1,206百万円(同 629.6%増)となりました。
(b) 販売費及び一般管理費、営業損益
販売費及び一般管理費は、役員報酬の減額を始めとしてコスト削減を進めたことにより、前連結会計年度から減少して1,100百万円(同 16.4%減)となりました。
その結果、営業利益は105百万円(前連結会計年度 営業損失1,150百万円)となりました。
(c)その他の損益項目
上記(a)(b)以外の特筆すべき損益項目は、固定資産売却益(特別利益)、及び非支配株主に帰属する当期純損益です。特別利益のうち、固定資産売却益は649百万円となりました。ヘルスケアプロジェクトで、障がい者グループホーム16棟を譲渡したことに伴う利益です。非支配株主に帰属する当期純損益は、当社グループが運営するファンドやプロジェクトの損益のうち、当社グループ以外の出資者に帰属する額です。当連結会計年度は、これらのファンドやプロジェクトの利益が減少したため、前連結会計年度から減少して89百万円の利益(同 77.0%減)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は400百万円(前連結会計年度 親会社株主に帰属する当期純損失1,700百万円)となりました。
Ⅱ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末において現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から1,650百万円増加して3,047百万円となりました。主な増減要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
1,427百万円の収入(前連結会計年度 456百万円の収入)となりました。税金等調整前当期純利益を計上したことや投資資産の回収が進捗したため、収入額が前連結会計年度から増加しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入金の返済を行った一方で、2024年6月28日付で第三者割当増資を行ったことから株式の発行による収入があ ったため、179百万円の収入(同 828百万円の支出)となりました。
Ⅲ 財政状態の分析
(資産)
資産合計は、前連結会計年度末から減少して15,419百万円(前連結会計年度末 16,796百万円)となりました。主な減少要因は、プロジェクトの売却に伴い有形固定資産が前連結会計年度末から減少して4,512百万円(同 5,977百万円)となったためです。
また、当社グループが当連結会計年度末に保有する現金及び預金は、2024年5月24日開催の当社取締役会において第三者割当による新株式発行を決議し、2024年6月28日に、割当先であるガバナンス・パートナーズASIA投資事業有限責任組合から998百万円を調達したことや投資の回収が進捗したことにより前連結会計年度末から増加して4,302百万円(同 2,544百万円)となりました。なお、当社グループの運営するファンドに帰属する預金は、各ファンドの組合契約に従い運用しなければならない資金であり、当社グループに帰属する資金と明確に分別して管理しています。現金及び預金のうち当社グループに帰属する流動性の高い資金は、連結キャッシュ・フロー計算書の現金及び現金同等物の期末残高の3,047百万円(同 1,396百万円)です。加えて、当社グループが展開するプライベートエクイティ投資はその事業特性上株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、加えて昨今の変動の激しい環境下においては合理的な業績予想が困難な事業です。そのため、プライベートエクイティ投資からの資金回収額が大きく下振れすることも想定されます。そのような状況の中、経費や利息の支払い及び借入金の返済だけでなく、将来の成長に向けた投資を確実に行うために、当社グループは常に一定の現預金残高を保有する必要があります。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末から減少して8,260百万円(同 10,663百万円)となりました。主な減少要因は、プロジェクトの売却に伴う借入金の減少です。借入金と社債の残高合計は、前連結会計年度末から減少して7,417百万円(同 9,833百万円)となりました。
このうち、当社単体の金融機関からの借入額は3,495百万円(同 4,314百万円)です。残額は、当社グループが運営するプロジェクトにおけるプロジェクトファイナンスと社債の残高3,921百万円(同 5,519百万円)です。メガソーラープロジェクトや障がい者グループホームプロジェクトの売却に伴い、前連結会計年度末から残高が減少しました。
なお、当社グループの運営するプロジェクトにおけるプロジェクトファイナンス・社債は、プロジェクトの資産や収益のみを返済原資としているため、当社グループの財務健全性に与える影響は限定的です。そのため、当社は、今後も当社グループの運営する再生可能エネルギー等の多様なプロジェクトにおいて、プロジェクトファイナンス・社債による資金調達を組み合わせてレバレッジを効かせた投資を行い、財務健全性を損ねることなく収益性を高めていく方針です。
(単位:百万円)
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前連結会計年度末 (2024年3月31日現在) |
当連結会計年度末 (2025年3月31日現在) |
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借入金・社債残高合計 |
9,833 |
7,417 |
|
うち 当社単体借入額 |
4,314 |
3,495 |
|
うち プロジェクト投資におけるプロジェクトファイナンス・社債他 |
5,519 |
3,921 |
(純資産)
純資産のうち自己資本は、前連結会計年度末から増加して6,817百万円(同 5,536百万円)となりました。主な増加要因は、2024年6月28日に第三者割当増資により998百万円を調達したこと、及び親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことです。その結果、当連結会計年度末における自己資本比率は前連結会計年度末から11.2ポイント上昇し44.2%(同 33.0%)となりました。また、純資産全体も前連結会計年度末から増加して7,158百万円(同 6,132百万円)となりました。
Ⅳ 営業活動の状況
(a)IPO(新規上場)の状況
当社グループによる自己勘定並びに当社グループが運営の任にある、又は運営の為に必要な情報の提供を行っているファンドから投資を行った投資先企業の新規上場の状況は以下のとおりです。
① 新規上場(IPO)の状況(自己勘定分及びファンド勘定分)
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前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
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IPO社数(国内・海外 合計) |
1社 |
1社 |
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初値換算投資倍率(国内・海外 平均) |
1.4倍 |
1.4倍 |
(注)初値換算投資倍率=初値換算による保有株式の時価/保有株式への投資額(IPO時簿価残高)。なお、初値換算投資倍率の計算には株式交換等による上場株式取得分は含めておりません。
② 新規上場した投資先企業の一覧
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
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社数 |
投資先企業名 |
上場年月日 |
上場市場 |
事業内容 |
本社 |
|
国内:1社 海外:-社 |
日本システムバンク株式会社 |
2023年4月14日 |
名古屋証券取引所メイン |
コインパーキングの運営、駐車場機器の販売・保守 |
福井県 |
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
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社数 |
投資先企業名 |
上場年月日 |
上場市場 |
事業内容 |
本社 |
|
国内:1社 海外:-社 |
株式会社ケイ・ウノ |
2024年10月8日 |
名古屋証券取引所ネクスト |
ジュエリー・時計の製造販売、オーダーメイド、リフォーム、修理 |
愛知県 |
③ 営業投資有価証券のうち上場株式の含み損益(注)
(単位:百万円)
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前連結会計年度末 (2024年3月31日現在) |
当連結会計年度末 (2025年3月31日現在) |
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含み損益 |
△0 |
1 |
(注)当社グループ及び当社グループが運営するファンドが営業投資有価証券として保有している株式のうち、証券取引所に上場している銘柄の、取得原価と連結貸借対照表計上額との差額のうち当社グループに帰属する金額を示しています。
(b)ファンドの状況
当連結会計年度末における当社グループが管理、運用又は投資情報の提供を行っているファンドの運用残高は、10ファンド、14,130百万円(前連結会計年度末8ファンド、15,497百万円)となりました。
当連結会計年度中に、清算期間中であった2ファンド(ファンド総額合計 2,885百万円)が終了しました。また、運営中の1ファンドで、ファンド総額を50百万円減額しました。一方で、4ファンド(ファンド総額合計 1,569百万円)を設立しました。
①運用残高
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|
前連結会計年度末 (2024年3月31日現在) |
当連結会計年度末 (2025年3月31日現在) |
||||
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|
ファンド数 |
ファンド総額 (百万円) |
ファンドの 純資産額 (百万円) |
ファンド数 |
ファンド総額 (百万円) |
ファンドの 純資産額 (百万円) |
|
運用期間中 |
6 |
12,612 |
3,928 |
10 |
14,130 |
7,320 |
|
満期延長中 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
|
清算期間中 |
2 |
2,885 |
881 |
- |
- |
- |
|
合計 (うち当社グループ出資額) |
8 |
15,497 (2,428) |
4,809 |
10 |
14,130 (1,707) |
7,320 |
②当連結会計年度中の新設ファンド(当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日))
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ファンド名 |
設立時期 |
ファンド満期 |
当連結会計年度末のファンド総額 (百万円) |
特徴 |
|
投資事業有限責任組合JAICパートナーズファンド |
2024年6月 |
2033年12月 |
179 |
当社と共同で事業シナジー創出に取り組む国内の上場企業及び未上場企業を投資対象とするファンド |
|
投資事業有限責任組合JAICスペシャルティファンド |
2025年1月 |
2027年12月 |
160 |
日本国内のお土産品業界、小売業界、観光業界において、事業成長と地方創生の好循環に取り組む上場企業等を投資対象とするファンド |
|
投資事業有限責任組合JAICサプライチェーンファンド |
2025年1月 |
2027年12月 |
830 |
製造業におけるサプライチェーン関連の上場企業を投資対象とするファンド |
|
投資事業有限責任組合JAIC-Web3ファンド |
2025年2月 |
2027年12月 |
400 |
Web3(NFT 等)関連の国内上場企業を投資対象とするファンド |
(注) 1 外貨建によるファンドは、各連結会計年度末日現在の為替レートを乗じて計算した金額を記載しております。従って、運用資産の増減額には為替による影響額も含まれております。
2 ファンド総額につきましては、コミットメントベース(契約で定められた出資約束金額ベース)の金額を記載しております。
Ⅴ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(当社グループの資金状況)
「Ⅱ キャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりです。
(借入金の状況)
「Ⅲ 財政状態の分析 (負債)」に記載のとおりです。
(手許資金の状況)
「Ⅲ 財政状態の分析 (資産)」に記載のとおりです。
(ファンドの状況)
「Ⅳ 営業活動の状況(b)ファンドの状況」に記載のとおりです。
(株主還元の状況)
「第4 提出会社の状況、3. 配当政策」に記載のとおりです。
Ⅵ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、投資損失引当金と固定資産の減損です。その詳細は「第5経理の状況、1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
当該見積り及び当該仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績に生じる影響など、その記載内容を補足する情報は、「第2事業の状況、3事業等のリスク Ⅱ営業活動に関するリスク (1)プライベートエクイティ投資に係るリスク、及び(2)プロジェクト投資に係るリスク」に記載しています。
Ⅶ 上記ⅠからⅥの分析等に基づく対応及び、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
Ⅷ 主要な販売先の状況
最近2連結会計年度の主な相手先別の売上高及び当該売上高の総売上高に対する割合は次のとおりであります。
1. 前連結会計年度
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
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金額(百万円) |
割合(%) |
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株式会社モーベルファーム |
285 |
11.7 |
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PHOTONサステナブルソーラー投資事業有限責任組合 |
262 |
10.7 |
2. 当連結会計年度
|
相手先 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
|
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
PHOTONサステナブルソーラー投資事業有限責任組合 |
722 |
23.3 |
|
KIC厚木特定目的会社 |
384 |
12.4 |
|
株式会社モーベルファーム |
320 |
10.4 |
1.資本業務提携契約
当社は、First Eastern (Holdings) Limited(以下「FE社」といいます。)との間で、資本業務提携契約を締結しております。その概要は下記のとおりであります。
当社は、2015年12月11日開催の取締役会において、FE社との間での資本業務提携契約の締結及びFirst Eastern Asia Holdings Limitedを割当予定先とした第三者割当(以下「本第三者割当」といいます。)の方法による取得条項付第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行を行うこと(以下「本資本業務提携」といいます。)を決議し、2015年12月29日付で本資本業務提携を開始致しました。
(1)業務提携の内容
当社及びFE社は、相互に協力して、以下の各項目を中心として、両社にとって有益な共同事業を検討して参ります。また、FE社から当社への取締役又は顧問及びその他の人材の派遣についても今後検討して参ります。
①日本での成長企業への投資におけるファンドの設立及び運営を中心とした協力
②日本におけるM&A及び不動産投資に関する助言業務
③中国及び東南アジアにおけるファンドの設立及び運営を中心とした協力
④インフラ及びエネルギーに関連する投資事業における、ファンドの設立及び運営を中心とした協力
(2)資本提携及び本第三者割当の概要
資本提携の具体的な方法は、First Eastern Asia Holdings Limitedが保有する当社に対する貸付金債権835百万円をデット・デット・スワップの方法により、取得条項付無担保転換社債型新株予約権付社債に交換するものです。なお、本新株予約権付社債は2016年2月26日付で当社普通株式に転換されました。
その後、First Eastern Asia Holdings Limitedは、当社普通株式を2016年11月及び12月に一部売却した後、2020年3月以降複数回にわたり追加取得しています。
これらの結果、2024年3月期末現在では、First Eastern Asia Holdings Limitedは当社の議決権を10%以上保有しており、主要株主となっていました。
その後、当社は、2024年6月28日付で、ガバナンス・パートナーズASIA投資事業有限責任組合を割当先として、第三者割当による新株式の発行を行いました。その結果、2025年3月末時点のFirst Eastern Asia Holdings Limitedの議決権所有割合は8.86%となり、主要株主に該当しなくなりました。
2.財務上の特約その他提出会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある特約が付された金銭消費貸借契約
当社の連結子会社において財務上の特約が付された金銭消費貸借契約を締結しておりますが、2024年4月1日前に締結された契約については、記載を省略しております。
該当事項はありません。