第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における我が国経済は、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」に即した金融政策の継続や、公共投資の進捗などを支えに、穏やかな回復基調ではじまりました。8月には事業規模28兆円超の経済対策が閣議決定され、さらに9月には金融緩和強化のための新しい枠組みである「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が導入され、3月に開催された金融政策決定会合でも、現状の政策を維持することを決定しましたが、景気を押し上げるにはまだ不透明な面もあります。

一方、世界経済は、11月に米国大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が勝利を収め新政権への期待感や、堅調な個人消費による米国経済の回復が継続しているものの、英国のEU離脱に伴う先行き不透明感や中国経済の減速により、当面力強さに欠ける状況が続く見込みであります。

証券市場においては、取引所株価指数証拠金取引(くりっく株365)の主要銘柄である日経225は堅調なNYダウに追随する形で上伸していましたが、4月末の日本銀行金融政策決定会合において追加緩和が見送られたことから急落場面となりました。その後、円安・ドル高を背景に徐々に水準を戻しておりましたが、6月末には英国の国民投票でEU離脱派が勝利を収めたことから一時15,000円を割り込みました。7月に入り、参議院選挙において与党である自民党が大勝したことを受けて、政府が大規模な経済対策を打ち出すとの観測が高まったことから上昇、NYダウの上昇も支援要因となり堅調に推移し、9月には約3か月ぶりとなる17,000円台を示現しました。11月には米国大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏勝利の報を受けて瞬間的な急落場面に見舞われましたが、経済政策に対する期待感からリスク選好の流れとなり上昇、年明けには19,700円台を示現しました。その後は堅調なNYダウと円高・ドル安の綱引きとなり、19,000円を中心としたボックス圏での推移となりました。

商品相場においては、原油は米国金融大手ゴールドマンサックス社の強気な原油相場見通しなどが材料視されNY原油が上伸、国内市場も連れ高となりました。しかし、6月のOPEC(石油輸出国機構)の生産量が過去最高水準であったことや、米国内の石油掘削設備稼働数が増加していることが弱材料視され反落場面となりました。調整局面の後、9月末に開催されたOPEC非公式会合で減産合意が伝わり、円安・ドル高も支援要因となり堅調な推移となりました。OPECはロシアなどの非加盟の主要産油国と会合を開き、15年ぶりに協調減産を合意したことから上昇し、40,000円の大台を示現しました。年が明けると、米国で石油掘削設備稼働数が増加基調にあることが上値の重荷となりましたが、協調減産への履行期待が下値支えとなりボックス圏での推移となりました。3月に入ると、米国で原油在庫が過去最高となったことや、ロシアの2月の減産幅が合意した水準に届かなかった事などが嫌気され、急落場面となりました。

金はFRB(米連邦準備制度理事会)が追加利上げに対して慎重な姿勢を示していることなどを背景に、4,300円を中心として推移していましたが、6月末に英国の国民投票でEU離脱派が勝利を収めたことを受けて、安全資産である金が買われる動きとなり、7月中旬には4,500円台を示現しました。その後、米国で堅調な経済指標が発表されたことから、リスク回避の動きが巻き戻され反落場面となり軟調に推移、10月に入ると、米国追加利上げムードの台頭からNY市場が急落、国内市場も4,111円の安値を示現しました。その後は円安・ドル高にサポートされ4,200円後半でのもみ合いとなりましたが、年が明けるとトランプ大統領が日中両国を名指しして自国通貨安批判を行ったことや、フランス大統領選に向けた世論調査で、極右政党の支持率が上昇したことからリスク回避の動きが強まり、約7か月ぶりに4,500円台に乗せました。

穀物は主要産地である米国での作付開始にあたり、天候に対する懸念から堅調なスタートとなりました。更に収穫時期を迎えた南半球の減産が伝えられると、コーン、大豆共に続伸場面となりましたが、6月になると米国の天候が落ち着いたことや、英国のEU離脱問題の影響で投機筋の手仕舞い売りからシカゴ市場が急落、国内市場も追随する動きとなりました。収穫が進む過程で豊作を織込み下値を固める動きとなり、その後は円安・ドル高を背景にレンジを切り上げる展開となりました。

 

 

為替市場においては、ドル円相場は110円を中心としたレンジで推移していましたが、4月末の日本銀行金融政策決定会合において追加緩和が見送られたことや、米国が追加利上げに対して慎重な姿勢を示したことから徐々に円高・ドル安が進行しました。6月末には英国の国民投票でEU離脱派が勝利を収め、リスク回避の動きが強まり、瞬間的に99円割れまで急落しましたが、7月に入り、参議院選挙において与党である自民党が大勝したことを受けて、政府が大規模な経済対策を打ち出すとの観測が高まったことから上昇し、9月には日本銀行金融政策決定会合において「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が導入されたものの、懐疑的な見方が強まり100円台前半を中心としたボックス圏での推移となりました。11月には米国大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が勝利を収めると、新政権への期待感から円安・ドル高が堅調に推移し、12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、1年ぶりに0.25%の利上げが決定され、さらに2017年の利上げ実施見通しが2回から3回へ上方修正されたことから、ドル円相場は118円台まで急騰しました。年が明けると、トランプ次期大統領の「ドルが強すぎる」との発言や、就任後も日本の為替政策を批判したことから、111円台半ばまで下落しました。その後は米国の利上げに対する期待感から115円台まで戻しましたが、3月のFOMCで金融危機後3回目となる利上げを決定したものの、年4回の利上げへの期待感が後退する内容だったことから失望売りが入り、ドル円相場は110.08円まで円高・ドル安が進行しました。

このような環境のもとで、当社グループの当連結会計年度の商品先物取引の総売買高は1,875千枚(前年同期比6.1%減)及び金融商品取引の総売買高は2,408千枚(前年同期比28.5%減)となり、受取手数料は3,507百万円(前年同期比18.9%減)、売買損益は25百万円の利益(前年同期比78.5%減)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は営業収益3,536百万円(前年同期比20.6%減)、経常損失384百万円(前年同期は114百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失441百万円(前年同期は447百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

今後の安定的な収益拡大に向け、商品先物取引、取引所株価指数証拠金取引「ゆたかCFD」及び取引所為替証拠金取引「Yutaka24」を3本柱とし、特に取引所株価指数証拠金取引「ゆたかCFD」等の金融商品取引は急成長の途にあり、引き続き大きく成長させるよう注力してまいります。また、証券取引の媒介については、本格的な証券業への参入の為の将来の布石として位置付けております。

なお、後記「第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」「注記事項」の(セグメント情報等)」に掲記したとおり、当社グループの事業セグメントは、主として商品先物取引の受託及び自己売買、並びに金融商品取引の受託及び自己売買の商品先物取引業等の単一セグメントであり重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

 

① 当連結会計年度における商品先物取引業等の営業収益は、次のとおりであります。
1) 受取手数料

 (単位:千円)

区分

金額

前年同期増減比(%)

 

取引名及び市場名

商品先物取引

 

 

 

現物先物取引

 

 

 

農産物市場

109,344

△6.5

 

砂糖市場

31

△46.8

 

貴金属市場

411,367

△32.4

 

ゴム市場

121,724

△33.3

 

石油市場

15,317

△37.9

 

中京石油市場

589

△10.3

 

小計

658,374

△29.5

 

現金決済先物取引

 

 

 

貴金属市場

892,326

15.2

 

石油市場

30,636

△21.9

 

小計

922,962

13.5

 

商品先物取引計

1,581,337

△9.5

金融商品取引

 

 

 

取引所株価指数証拠金取引

1,425,917

△15.0

 

取引所為替証拠金取引

497,281

△44.1

 

証券取引

2,638

△79.9

 

金融商品取引計

1,925,837

△25.3

合計

3,507,174

△18.9

 

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

2) 売買損益

 (単位:千円)

区分

金額

前年同期増減比(%)

 

取引名及び市場名

商品先物取引

 

 

 

現物先物取引

 

 

 

農産物市場

△10,464

 

貴金属市場

183,007

19.2

 

ゴム市場

△4,904

 

石油市場

4,199

 

小計

171,837

36.8

 

現金決済先物取引

 

 

 

貴金属市場

△221,204

 

石油市場

△11,513

 

小計

△232,718

 

商品先物取引計

△60,880

金融商品取引

 

 

 

CFD取引

 

 

 

取引所株価指数証拠金取引

78,030

 

小計

78,030

 

FX取引

 

 

 

取引所為替証拠金取引

△7,505

 

市場外為替証拠金取引

12,275

△47.2

 

小計

4,769

△54.3

 

金融商品取引計

82,800

商品売買損益

 

 

 

現物売買取引

3,866

△22.1

 

商品売買損益計

3,866

△22.1

合計

25,786

△78.5

 

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3) その他

 (単位:千円)

区分

金額

前年同期増減比(%)

不動産管理業

△100.0

その他

3,954

△6.1

合計

3,954

△61.6

 

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

② 当社及び当社の関係会社の商品先物取引等の売買高に関して当連結会計年度中の状況は、次のとおりであります。
売買高の状況

(単位:枚)

区分

委託

自己

合計

 

取引名及び市場名

 

前年同期
増減比

(%)

 

前年同期
増減比

(%)

 

前年同期
増減比

(%)

商品先物取引

 

 

 

 

 

 

 

現物先物取引

 

 

 

 

 

 

農産物市場

92,777

△8.8

72,054

△3.5

164,831

△6.6

貴金属市場

72,243

△37.0

107,607

1.8

179,850

△18.4

ゴム市場

136,053

△55.3

12,436

△18.2

148,489

△53.6

石油市場

32,796

△37.6

2,551

△65.6

35,347

△41.0

中京石油市場

1,531

△14.7

△100.0

1,531

△14.8

小計

335,400

△41.7

194,648

△4.1

530,048

△31.9

現金決済先物取引

 

 

 

 

 

 

貴金属市場

872,928

13.1

333,739

8.6

1,206,667

11.8

石油市場

123,963

△0.9

15,116

△3.1

139,079

△1.2

小計

996,891

11.2

348,855

8.0

1,345,746

10.3

商品先物取引計

1,332,291

△9.5

543,503

3.3

1,875,794

△6.1

金融商品取引

 

 

 

 

 

 

 

取引所株価指数証拠金取引

1,768,310

△20.7

3,723

△33.8

1,772,033

△20.7

取引所為替証拠金取引等

631,965

△43.9

4,324

△26.2

636,289

△43.8

金融商品取引計

2,400,275

△28.5

8,047

△29.9

2,408,322

△28.5

合計

3,732,566

△22.7

551,550

2.6

4,284,116

△20.1

 

 

(注)1. 商品先物取引の主な商品別の委託売買高とその総委託売買高に対する割合は、次のとおりであります。

(単位:枚)

取引所名

銘柄名

前連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

取引所名

銘柄名

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

委託売買高

割合(%)

委託売買高

割合(%)

東京商品取引所

金限日

753,343

51.2

東京商品取引所

金限日

827,211

62.1

東京商品取引所

ゴム

304,585

20.7

東京商品取引所

ゴム

136,053

10.2

東京商品取引所

東京原油

125,114

8.5

東京商品取引所

東京原油

123,963

9.3

東京商品取引所

白金(標準取引)

82,423

5.6

東京商品取引所

白金(標準取引)

53,043

4.0

 

 

2. 商品先物取引における取引の最低単位を枚と呼び、例えば金(ミニ取引)1枚は100グラム、金(標準取引)1枚は1,000グラムというように1枚当たりの数量は商品ごとに異なります。

 

 

③ 当社及び当社の関係会社の商品先物取引業等に関する売買高のうち、当連結会計年度末において反対売買等により決済されていない建玉の状況は、次のとおりであります。
未決済建玉の状況

(単位:枚)

区分

委託

自己

合計

 

取引名及び市場名

 

前年同期
増減比

(%)

 

前年同期
増減比

(%)

 

前年同期
増減比

(%)

商品先物取引

 

 

 

 

 

 

 

現物先物取引

 

 

 

 

 

 

農産物市場

5,143

△69.5

1,056

△55.4

6,199

△67.8

貴金属市場

3,901

△6.8

2,028

172.2

5,929

20.3

ゴム市場

1,175

△34.2

6

1,181

△33.9

石油市場

3,345

163.2

15

3,360

164.4

中京石油市場

24

△88.0

24

△88.0

小計

13,588

△44.1

3,105

△0.3

16,693

△39.1

現金決済先物取引

 

 

 

 

 

 

貴金属市場

80,536

71.3

9,531

36.2

90,067

66.8

石油市場

4,044

△25.9

69

1,280.0

4,113

△24.8

小計

84,580

61.2

9,600

37.0

94,180

58.3

商品先物取引計

98,168

27.8

12,705

25.5

110,873

27.6

金融商品取引

 

 

 

 

 

 

 

取引所株価指数証拠金取引

268,747

59.5

760

4.8

269,507

59.3

取引所為替証拠金取引等

41,433

△32.9

△100.0

41,433

△33.1

金融商品取引計

310,180

34.7

760

△11.1

310,940

34.5

合計

408,348

33.0

13,465

22.7

421,813

32.6

 

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて2,289百万円の減少となり、2,815百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の使用は、2,259百万円(前年同期は138百万円の取得)となりました。これは、「委託者未払金」の増加による資金の収入等が増加したものの、「委託者先物取引差金」の増加及び「預り証拠金」の減少による資金の支出等が増加したものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の取得は、157百万円(前年同期は499百万円の取得)となりました。これは、「投資有価証券」及び「無形固定資産」の取得による支出等があったものの、「定期預金」の払戻し及び「投資有価証券」の売却による収入等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の使用は、185百万円(前年同期は396百万円の使用)となりました。これは、「短期借入」による収入等があったものの、「短期借入金」の返済及び「配当金」の支払による支出等によるものであります。

 

なお、当企業集団のキャッシュ・フロー指標のトレンドは、下記のとおりであります。

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

 

平成25年3月期

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期

自己資本比率(%)

25.3

24.2

22.5

22.2

18.3

時価ベースの自己資本比率(%)

6.8

6.8

10.3

8.9

6.5

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(%)

341.2

452.6

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

13.2

8.4

 

 

(注)1. 各指標の算定方法は次のとおりです。

・自己資本比率

自己資本÷総資産

・時価ベースの自己資本比率

株式時価総額÷総資産

・キャッシュ・フロー対有利子負債比率

有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

・インタレスト・カバレッジ・レシオ

営業キャッシュ・フロー÷利払い

 

2. 各指標は連結ベースの財務数値に基づいて算出しております。

3. 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(連結上の自己株式控除後)により計算しております。

4. 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

5. 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子の支払いを要する全ての負債を対象としております。

6. 利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

7. 平成26年3月期、平成27年3月期及び平成29年3月期において、営業キャッシュ・フローがマイナスとなっておりますので、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。

 

 

2 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本項目においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(平成29年3月31日)現在において当社グループ(以下、本項目において「当社」という。)が判断したものであります。

(1) 経営方針

当社は、公正な価格決定機能等を有する商品市場機構の一構成員として、商品先物取引業及び金融商品取引業の経済的、社会的役割を認識し、それに基づいて市場参加者(投資者)の信頼と期待に応えるべく事業運営を推進したいと考えております。このような観点から、当社は「お客様に信頼される営業活動」を基本方針に掲げており、今後もさらにこれを継続し、一層充実したものとして次のような営業活動を展開していく方針であります。

第一に、良質で鮮度のある情報を迅速かつ的確に顧客に提供することであります。大手商社や海外の関係会社等(シンガポール等)から入手した情報と他のルートからの情報とを一元的に収集・分析し、インターネットを通じてお客様に提供しておりますが、さらに一層充実したものにいたします。

第二に、お客様のニーズに応じた商品の提供であります。お客様の資産運用方法に従い商品先物取引、取引所株価指数証拠金取引「ゆたかCFD」及び取引所為替証拠金取引「Yutaka24」、また証券媒介取引として株式売買、投資信託及び債券の販売等のサービスを提供してまいります。

第三にお客様に総合的企画提案のできる社員をより多く育成し、さらに一層レベルアップしてまいります。

当社は、このように「お客様重視の営業」を経営方針としてこれからも継続してまいりたいと考えております。

(2) 経営戦略等

ここ数年、商品先物業界を取り巻く状況は、大きく変化しております。まさに激動する経営環境下において、当社は、安定的な収益基盤の確保及び顧客層の拡大を図るべく、取引所株価指数証拠金取引「ゆたかCFD」及び取引所為替証拠金取引「Yutaka24」の預り資産を拡大するとともに、本格的な証券取引業への参入を視野にいれ、経営環境の変化に柔軟に対応できる組織、人材の育成等経営基盤の強化に努め、企業価値を高めるべく、その最大化の実現に向けて努力する所存であります。

(3) 目標とする経営指標

当社は、企業価値の拡大を通して株主の皆様へ安定した配当を継続、維持することを基本理念として掲げており、業績の状況により一層の利益還元に努めてまいりたいと考えております。また、純資産額規制比率や自己資本規制比率の充実及び顧客の預り資産、口座数等の拡大に向けて取り組んでおります。

(4) 経営環境及び対処すべき課題

当社は商品市場、証券市場及び為替市場等において多角的に商品先物取引業及び金融商品取引業を展開しており、また当該市場には経済情勢、相場環境等に起因するさまざまな不確実性が存在しております。当社の主要な事業である商品先物取引業は、市場での売買高が減少傾向にあり、業界にとって厳しい事業環境にあります。

取引所株価指数証拠金取引「ゆたかCFD」及び取引所為替証拠金取引「Yutaka24」等の金融商品取引業は当社の収益基盤の柱として急成長の途にあり、引き続き大きく成長させることが重要な課題と考えております。

また、証券取引の媒介については、本格的な証券取引業への参入の為の将来の布石として位置付けております。このような施策により安定的な収益基盤を確保し、顧客層の拡大を図ってまいります。

当社は、お客様に信頼頂ける企業集団となるべく、コンプライアンス態勢の確立及び維持に向けて一層注力してまいります。

また、情報ネットワーク社会において大切なお客様情報を守る為に、情報セキュリティ環境の向上及び維持に向けて最大限の努力を図ってまいります。

当社は、これらの課題に真摯に取り組み、実効あるものにしてまいりますとともに企業価値の向上に努める所存であります。

 

 

3 【事業等のリスク】

本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループ(以下、本項目において「当社」という。)の事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

本項目においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(平成29年3月31日)現在において当社が判断したものであります。

(1) 当社の事業内容

① 商品先物取引業界の動向

市場主義経済圏の拡大に伴い、商品(コモディティ)や金融商品は、グローバルに展開して行くなかで、取引形態の多様性と相俟って価格変動と為替に晒されるリスクを内包することから、この価格変動と為替のリスクをヘッジする手法としての先物取引の重要性が経済的、社会的見地からますます高まってきております。我が国の商品先物取引市場は、国内を代表する㈱東京商品取引所において、国際的大型商品である金(ゴールド)及び白金(プラチナ)等の貴金属、大豆及びとうもろこし等の農産物、ガソリン及び原油等の石油、ゴム等が取引され、底堅く推移して行くものと期待されます。 

先般の改正法令の施行に伴い、勧誘行為等の受託業務活動の規制強化と併せて、委託者資産保全の充実化が図られております。清算機構(アウトハウス型クリアリングハウス)である㈱日本商品清算機構の設立により、取引の安全性が国際水準程度に高まったことから今まで信用リスク(取引先リスク)の観点から取引を見送っていた向きのある、国内はもとより海外の機関投資家にとって信用リスクの不安が一掃されると思われるため、その参加が大いに期待されますが、一方において市場の自由化及び国際化の進展に伴い、異業種、あるいは外資系企業からの参入が拡大する可能性があると予測されますので、既存の商品先物取引業者間との企業競争も含めて今後の動向次第では当社の経営環境に影響を及ぼす可能性があります。

② 受託業務と自己売買業務(自己ディーリング)

当社は商品先物取引業及び金融商品取引業として委託者から受託業務を行うとともに、自己の計算による自己売買業務(自己ディーリング)を行っております。

イ. 受託業務

当社の商品先物取引業に係る委託者は、リスク・ヘッジを主とする商品保有者(将来保有を含む)である商社等の法人委託者と、一方でリスクをとって収益機会を得ようとするリスク・テーカーと称される一般委託者(一般法人を含むが、大半は個人委託者)で構成され、受託取引の比率は概ね4分の1が前者で、4分の3が後者となっております。また、金融商品取引業に係る委託者はほぼ全てが一般委託者となっております。

商品先物取引、取引所株価指数証拠金取引及び取引所為替証拠金取引は、実際の商品の総代金ではなく、定められた額の証拠金を担保として預託することにより取引が行われることから、投資運用効率が高いと考えられます。この投資運用効率は、大きな利益を得る機会をもたらす半面、ときにより損失をこうむる場合があるため、一般委託者を中心とする市場参加者の動向は受託取引の多寡に関係し、業績(受取手数料)に影響を与えることとなります。

また、受託取引に伴う「預り証拠金」(取引所株価指数証拠金取引及び取引所為替証拠金取引の場合は「金融商品取引保証金」)、「委託者未収金」や「委託者未払金」等の債権債務、㈱日本商品清算機構や取引所への預託額及び法人委託者との継続取引に伴う取引保証等の「差入保証金」等の増減は財政状態とキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

ロ. 自己売買業務(自己ディーリング)

一方、自己売買業務(自己ディーリング)は、受託業務に伴う市場流動性を確保するマーケット・メーカーとしての役割からリスクテイクする場合等がありますが、主として、収益機会を獲得するために当社独自の相場観により自己ディーリングを行っております。当社は自己ディーリングを行うにあたり、専任部署と専任担当者を定めて社内規程に基づき、厳しい運用管理を行っておりますが、売買損益の状況は業績に影響を及ぼすこととなります。当社は、自己売買業務(自己ディーリング)に対し、ディーラーの育成強化に努めるなど収益の拡大に取組んでおります。

 

(2) 大幅な相場変動に伴うリスクについて

その他有価証券(「有価証券」及び「投資有価証券」)の保有に関しては、株価の変動という証券市場のリスクを伴っております。その他有価証券の評価については、時価のあるものについて時価法で、時価のないものについては移動平均法による原価法でそれぞれ評価し、時価又は実質価額が取得原価より著しく下落し、かつ回復可能性がないと判断したものについては、当社の減損処理基準に従い時価又は実質価額まで減損処理を行うこととしております。

(3) 当社の事業における法的規制

当社の主要な事業である商品先物取引業は、商品先物取引法の規定に基づき、商品先物取引業者として主務大臣より許可を受けるとともに、商品先物取引法、同法施行令、同法施行規則等の関連法令、各商品取引所が定めた受託契約準則、自主規制機関の日本商品先物取引協会が定めた自主規制ルール等の適用を受けております。

取引所株価指数証拠金取引及び取引所為替証拠金取引等の金融商品取引業については、金融商品取引法の規定に基づき、金融商品取引業の登録を受けるとともに、金融商品取引法、同法施行令、金融商品販売法等の関連法令、㈱東京金融取引所が定めた受託契約準則、自主規制機関の(一社)金融先物取引業協会、日本証券業協会及び(一社)第二種金融商品取引業協会が定めた自主規制ルール等の適用を受けております。

また、この他に消費者契約法、個人情報保護法の適用を受けております。

当社は、これらの諸法令規則等に抵触した場合には、許認可及び登録の取消し、業務停止などの行政処分等が行われることがあり、そのような場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 訴訟について

平成29年3月末現在、特段に記載すべき重要な訴訟事件はありませんが、顧客との受託取引等に起因する重要な訴訟やその他重要な請求の対象とされる可能性があります。当社の従業員である外務員が顧客との受託業務活動において、会社が外務員の権限を内部的に制限している場合であっても、外務員の行った権限外の行為により第三者に損害が発生した場合には、所属会社が当該外務員の使用者として、当該第三者に対し損害賠償責任を負う可能性があります。このような損害賠償が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 純資産額規制比率及び自己資本規制比率について

当社は、商品先物取引法及び同施行規則に基づき、純資産額規制比率による制限が設けられています。純資産額規制比率とは、純資産額の、商品デリバティブ取引につき生ずる相場の変動その他の理由により発生し得る危険に対応する額として主務省令で定めるところにより算出した額に対する比率であります。

当社の純資産額規制比率は、平成29年3月末現在598.6%ですが、120%を下回る事態が生じた場合には、主務大臣は商品先物取引業者に対し商品先物取引業の方法の変更等を、また、100%を下回る場合には3ヶ月以内の期間の業務の停止を命じることができ、業務停止命令後3ヶ月を経過しても100%を下回り、かつ、回復の見込みがないときは商品先物取引業者の許可を取り消すことができるとされています。(同法第235条)

また、自己資本規制比率は、金融商品取引法の規定に基づき内閣府令の定めにより算出することとしたものであります。当社の自己資本規制比率は、平成29年3月末現在240.0%となっており、金融商品取引業者は、自己資本規制比率が120%を下回ることがないようにしなければならないと定められております。(同法第46条の6)

当社は、純資産額規制比率及び自己資本規制比率が要求される水準を下回った場合には、純資産額規制比率に関しては農林水産大臣及び経済産業大臣から、自己資本規制比率に関しては内閣総理大臣から業務の停止等を含む様々な命令等を受けることとなります。これらの結果によっては、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 個人情報保護に関して

当社は、顧客の個人情報を扱う企業であることから、その社会的責任を認識し、個人情報管理に積極的に取組み、当社における個人情報保護方針を制定し、平成17年4月に施行された、いわゆる個人情報保護法に対応してきており、平成18年2月に「プライバシーマーク」を取得するなど、個人情報保護管理体制に適切に対処する旨努めております。

しかしながら、顧客の個人情報や当社の機密情報が、不正なアクセスなど何らかの方法により外部に漏洩し、あるいは悪用された場合等には、損害賠償が発生する可能性があり、加えて当社の信頼を失うおそれがあり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) システム障害について

取引所の取引システムや当社の社内システムにおいて障害が発生した場合には、顧客等に与える影響は予測しがたいものがありますが、当社は、社内システムに関して安全性の確保を図る等、システム管理の徹底に努めております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

 

6 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

本項目においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(平成29年3月31日)現在において当社グループ(以下、本項目において「当社」という。)が判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社の経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」「注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度の経営成績は、取引所株価指数証拠金取引、取引所為替証拠金取引による手数料収入及び自己売買取引による利益がそれぞれ減少した結果、営業損益、経常損益ともに損失を計上し、親会社株主に帰属する当期純損益は441百万円の損失(前年同期は447百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)を計上しました。

① 営業収益

当連結会計年度の営業収益は3,536百万円(前年同期比20.6%減・919百万円減少)となりました。受取手数料は3,507百万円(前年同期比18.9%減・819百万円減少)、売買損益は25百万円の利益(前年同期比78.5%減・93百万円減少)となりました。

その他の営業収益は主に収入家賃の減少により3百万円(前年同期比61.6%減・6百万円減少)となりました。

② 販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4,007百万円(前年同期比8.4%減・365百万円減少)となりました。この主な内訳は、取引所関係費が246百万円(前年同期比17.6%減・52百万円減少)、人件費が2,244百万円(前年同期比10.7%減・269百万円減少)、地代家賃が248百万円(前年同期比1.5%減・3百万円減少)、通信費が213百万円(前年同期比1.5%減・3百万円減少)、広告宣伝費が112百万円(前年同期比29.7%増・25百万円の増加)、減価償却費が134百万円(前年同期比10.3%減・15百万円減少)、その他(電算機費等)が807百万円(前年同期比5.5%減・47百万円減少)となっております。

③ 営業損益

前連結会計年度に比べて営業収益は919百万円減少し、販売費及び一般管理費は365百万円減少した結果、当連結会計年度の営業損益は470百万円の損失(前年同期は83百万円の営業利益)となりました。

④ 営業外収益

当連結会計年度の営業外収益は102百万円(前年同期比106.4%増・52百万円増加)となりました。この主な内訳は、貸倒引当金戻入額が56百万円(前年同期額1百万円・55百万円増加)、受取配当金が22百万円(前年同期比43.2%増・6百万円増加)、その他(雑収入等)が19百万円(前年同期比29.2%減・8百万円減少)となっております。

⑤ 営業外費用

当連結会計年度の営業外費用は16百万円(前年同期比8.9%減・1百万円減少)となりました。この主な内訳は、支払利息が14百万円(前年同期比13.3%減・2百万円減少)となっております。

⑥ 経常損益

前連結会計年度に比べて営業外収益は52百万円増加し、営業外費用は1百万円減少した結果、当連結会計年度の経常損益は384百万円の損失(前年同期は114百万円の経常利益)となりました。

⑦ 特別利益

当連結会計年度の特別利益は4百万円(前年同期比99.3%減・668百万円減少)となりました。この主な内訳は、投資有価証券売却益4百万円(前年同期比14.2%減・0.7百万円減少)となっております。

 

⑧ 特別損失

当連結会計年度の特別損失は29百万円(前年同期比77.0%減・100百万円減少)となりました。この主な内訳は、訴訟損失引当金繰入額が24百万円(前年同期比40.7%増・7百万円増加)となっております。

⑨ 税金等調整前当期純損益

前連結会計年度に比べて特別利益は668百万円、特別損失は100百万円それぞれ減少した結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純損益は410百万円の損失(前年同期は657百万円の税金等調整前当期純利益)となりました。

⑩ 法人税等

当連結会計年度の法人税等は31百万円(前年同期比85.1%減・178百万円減少)となりました。この主な内訳は、法人税、住民税及び事業税が20百万円(前年同期比63.2%減・34百万円減少)、法人税等調整額が11百万円(前年同期比92.9%減、143百万円減少)となっております。

⑪ 親会社株主に帰属する当期純損益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損益は441百万円の損失(前年同期は447百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。営業収益に対する比率は△12.5%(前連結会計年度は10.0%)となっております。自己資本利益率は△4.8%(前連結会計年度は4.7%)となりました。また、1株当たり当期純損益は54.60円の損失(前連結会計年度は54.51円の利益)となりました。

(3) 財政状態に関する分析

当社の当連結会計年度末の資産総額は48,980百万円、負債総額は40,006百万円、純資産は8,974百万円となっております。

当連結会計年度末の資産総額48,980百万円は、前連結会計年度末42,928百万円に比べて6,052百万円増加しております。この内訳は、流動資産が5,774百万円増加、固定資産が277百万円それぞれ増加したものであり、主に「現金及び預金」が2,488百万円、「差入保証金」が495百万円それぞれ減少した一方、「保管有価証券」が7,084百万円、「委託者先物取引差金」が1,102百万円それぞれ増加したことによるものであります。

当連結会計年度末の負債総額40,006百万円は、前連結会計年度末33,393百万円に比べて6,612百万円増加しております。この内訳は、流動負債が6,587百万円、固定負債が22百万円それぞれ増加したものであり、主に「預り証拠金」が1,185百万円減少した一方、「預り証拠金代用有価証券」が7,084百万円、「委託者未払金」が1,018百万円それぞれ増加したことによるものであります。

当連結会計年度末の純資産8,974百万円は、前連結会計年度末9,534百万円に比べて560百万円減少しております。この内訳は、主に「その他の包括利益累計額」が65百万円増加したものの、「株主資本」が625百万円減少したことによるものであります。

なお、当連結会計年度末の自己資本比率は18.3%(前連結会計年度末は22.2%)となっております。

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の当連結会計年度末における連結ベースのキャッシュ・フローの状況につきましては、前記「第2「事業の状況」1「業績等の概要」の(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。