本項目においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社グループ(以下、本項目において「当社」という。)が判断したものであります。
当社は、公正な価格決定機能等を有する商品市場機構の一構成員として、商品デリバティブ取引業及び金融商品取引業の経済的、社会的役割を認識し、それに基づいて市場参加者(投資者)の信頼と期待に応えるべく事業運営を推進したいと考えております。このような観点から、当社は「お客様第一主義」を企業理念に掲げており、今後もさらにこれを継続し、一層充実したものとして次のような営業活動を展開していく方針であります。
第一に、良質で鮮度のある情報を迅速かつ的確にお客様に提供することであります。動画コンテンツを活用した当社オフィシャルチャンネルでの個人投資家に向けたタイムリーなマーケット情報配信に取り組み、新規顧客獲得及び顧客育成機会として一定の効果を得ていた会場型セミナーを開催しております。また、大手商社や海外の関係会社等(マレーシア等)から入手した情報を分析し、お客様一人ひとりと顔を合わせ、膝と膝を突き合わせた対面営業を通じて提供しておりますが、さらに一層充実したものにいたします。
第二に、多様化する投資ニーズに応じた商品の提供であります。お客様の資産運用方法に従い商品デリバティブ取引、取引所株価指数証拠金取引「ゆたかCFD」、取引所為替証拠金取引「Yutaka24」、及び株価指数先物取引並びに証券媒介取引として株式売買、投資信託及び債券の販売等のサービスを提供してまいります。
第三に、お客様に総合的な企画や提案のできる社員をより多く育成し、さらに一層レベルアップしてまいります。
当社は、このように「お客様重視の営業」を経営方針としてこれからも継続してまいりたいと考えております。
当社は商品市場、証券市場及び為替市場等において多角的に商品デリバティブ取引業及び金融商品取引業を展開しております。ここ数年、業界を取り巻く状況は大きく変化しております。まさに激動する経営環境下において当社は、安定的な収益基盤の確保及び顧客層の拡大を図るべく、取引所株価指数証拠金取引「ゆたかCFD」及び取引所為替証拠金取引「Yutaka24」の預り資産を拡大するとともに、中期経営計画に基づき、早期に㈱東京証券取引所の総合取引参加者資格取得を目指し、経営環境の変化に柔軟に対応できる組織、人材の育成等経営基盤の強化に努め、企業価値を高めるべく、その最大化の実現に向けて努力する所存であります。
当期の経営戦略「安定的な収益基盤の確保及び顧客層の拡大」についての評価及び結果については、取引所株価指数証拠金取引「ゆたかCFD」の預り資産は5,874百万円(前年同期5,258百万円)及び取引所為替証拠金取引「Yutaka24」の預り資産は4,907百万円(前年同期4,987百万円)とほぼ目標を達成しております。
また、株価指数先物取引等は2022年1月17日より取扱いを開始し、新規顧客層の拡大を図るべく努めてまいります。
(3) 目標とする経営指標
当社は、企業価値の拡大を通して株主の皆様へ安定した配当を継続、維持することを基本理念として掲げており、一層の利益還元に努めてまいります。また、自己資本規制比率や純資産額規制比率の充実及び顧客の預り資産、口座数等の拡大に向けて取り組んでおります。
なお、自己資本規制比率及び純資産額規制比率は「3「事業等のリスク」の(4)自己資本規制比率及び純資産額規制比率について」に記載しております。
(4) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(1)及び(2)に記載の経営方針及び経営戦略を実行していくうえで、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
当社の主要な事業である商品デリバティブ取引業は、市場での売買高が減少傾向にあり、業界にとって厳しい事業環境にあります。また、商品デリバティブ取引は「不招請勧誘の禁止」が適用されるため、個人投資家からの招請による場合を除き、当社において一定の金融取引経験者であって、かつ適合性をクリアした個人投資家を対象とした対面営業となります。このような厳しい事業環境に対応すべく、当社は業界最大規模の営業スタッフと全国11本支店のネットワークで、特に㈱大阪取引所の貴金属市場及び東京商品取引所のエネルギー市場においては、今後も十分かつ適切な教育の継続により個人投資家のニーズに応えるとともに、業界最大規模の法人委託者(当業者)からの受託の拡大を図り顧客の預り資産を増大させていくよう努めてまいります。
当社の第二の主要な事業である金融商品取引業は、取引所株価指数証拠金取引「ゆたかCFD」、取引所為替証拠金取引「Yutaka24」及び株価指数先物取引の3つのサービスを提供しております。当社では会場型の金融セミナーの運営を販売チャンネルの軸として、全国各地で金融セミナーを開催し口座数等の拡大及び個人投資家への啓発に努めております。データとデジタル技術を活用した当社の動画コンテンツ「ゆたかTV」にて商品市場、証券市場及び為替市場等を主体としたバリエーション豊富な番組配信を積極的に行い、2021年1月の提供開始から約4年で登録者数3万人となっております。今年度も、ウィズコロナの生活様式が定着する中において、会場型セミナーの主たる集客メディアとして動画コンテンツ「ゆたかTV」の動画配信を主体として集客に努め、会場型セミナーの開催を16回予定し、当社の商品に興味を持つ招請意思のあるお客様に参加していただき、新規口座数を拡大することが重要な課題と考えております。
このような施策により顧客の預り資産、口座数等の拡大による安定的な収益基盤を確保してまいります。
当社は、お客様に信頼頂ける企業集団となるべく、コンプライアンス部による従業員に対するコンプライアンス研修及び外部のオンライン研修等を実施することで、コンプライアンス態勢の強化及び維持に向けて一層注力してまいります。
また、情報ネットワーク社会において大切なお客様情報を守る為に、情報セキュリティ環境の向上及び維持に向けて最大限の努力を図ってまいります。
当社は、これらの課題に真摯に取り組み、実効性があるものにするとともに企業価値の向上に努める所存であります。
当社グループ(以下、本項目において「当社」という。)のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、本項目においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。
(1) ガバナンス
当社は、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティに配慮した経営を目指しており、代表取締役社長安成政文がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有しております。
代表取締役社長の諮問機関として経営リスク管理委員会を設置しております。委員会は適宜、サステナビリティに係る当社の在り方を提言することを目的として協議等を行い、代表取締役社長へ報告します。代表取締役社長又は委員会は当該協議等の内容を取締役会へ報告しております。
取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しております。経営リスク管理委員会で協議等された内容の報告を受け、当社のサステナビリティのリスク及び機会への対応方針及び実行計画等についての審議・監督及び決定を行っております。
また、代表取締役社長が議長を務める役付取締役で構成される常務会を設置しており、取締役会で決定された対応方針及び実行計画等の執行状況等に対する審議を行うために適宜開催しております。
(2) 戦略
当社における、サステナビリティに係る中期的な経営戦略は中期経営計画において示しております。具体的には次の通りです。
[計画期間における経営目標]
当社の知的財産である優れた営業力とその基盤である高いコンプライアンス機能を、今後の市場環境で最大限に活かしていくためには、現在の基盤である商品先物、金融先物に加えて、顧客ニーズの高い有価証券、同関連商品を一体として扱い、顧客の資産形成に対応していく必要があります。このため、早期の東京証券取引所会員資格取得を目指し、既存の経営資源・知的財産の更なる充実を図るとともに、有価証券等取扱いのための資源配分を進めることといたします。
従って、本計画は、2023年度から2025年度までを計画期間とし、「お客様第一主義の経営理念の下、顧客の求める金融商品ニーズに幅広く対応し、資産形成に資するとともに、成長を持続し、社会的責任を果たす」ことを目標といたします。
[経営目標を実現するための、戦略・資源投資]
本計画の中期経営目標を達成するためには、経営戦略に基づいて適切な人的物的資源配分を行う必要があります。その際には、各種の国際機関、政府の指針に則った、ESG経営を実現するため、知的財産を活用し持続的成長を引き続き図るとともに、「サステナビリティに配慮した持続可能性」の追求を両立させることにより、経営目標を達成することを目指します。
このため、持続的成長に係る3つの重要課題(マテリアリティ)、持続可能性に係る5つの重要課題(マテリアリティ)を、両立して達成するため、マテリアリティごとに、人的資源・物的資源配分戦略を明らかにいたします。
[持続的成長に向けた施策実現のための資源配分]
① 顧客の資産運用課題の解決に資する幅広い金融サービスの提供
当社は既存顧客層の幅広い金融商品ニーズに対応できるよう、株式・投信等のフルラインの商品提供を可能とする必要があります。
そのため、東証加盟に向けた、売買管理、顧客対応等の組織体制等の整備や規程類、リーガルチェック体制の充実を図る必要があります。また、端末での発注等インフラ整備についても、当初の事務リスク対応が必要と考えられます。これらに係る人的、物的資源の追加配分については、個々のニーズに合わせた職員への訓練対応の他、必要に応じた新規資源の投入を検討いたします。
② 新たな投資家層と既存顧客、それぞれの多様なニーズに対応した金融サービスの提供
当社の顧客層開拓は、資産保有層を対象とし、高度な対面テクニックという知的財産を磨き、実績をあげてまいりました。この知的財産は引き続き維持してまいります。他方、株式・投信等の販売については、マーケットの短期的ボラティリティよりも長期的な投資価値の説明、情報提供が重要であり、異なった知的財産が求められます。
このため、株式・投信等の投資ニーズのある新たな顧客層の開拓と、既存顧客のニーズ対応とのバランスを考えた営業戦略、営業体制を構築し、その基盤として、商品・金融デリバティブで培った知的財産を有する人的資源を引き続き育成しつつ、株式・投信等勧誘という異なった知的財産を形成するための人的資源投資を行ってまいります。
③ 対面アプローチでの多様な金融資産提供を可能とする環境整備
幅広い金融商品を顧客目線で販売できる人材育成に加えて、株式・投信等に求められる、これまでとは異なるコンプライアンスや、ITセキュリティを含めたリスク管理等の分野についても、当社の人的資源を適切に配分する必要があります。
こうした、販売、コンプライアンス、リスク管理等の全社を通じた経営戦略について、人材の獲得、育成、配置を通じた「人材育成基本方針」を策定し、包括的な管理を行います。同方針に基づく、人事管理を全社的に継続して行う仕組みを整備します。
次に顧客にポートフォリオに応じた提案を可能とするためには、商品先物、金融先物、株式・投信を通じた、当社における顧客資産の一貫性ある把握と顧客への開示が可能である必要があります。株式・投信等のストック資産を取扱えるようになったあかつきには、この課題を解決してまいります。顧客へのポートフォリオ説明等を可能とするツールの整備も進めます。
[持続可能なビジネスの推進のための資源配分]
① 行動規範の徹底とコンプライアンスの充実
当社は、顧客利益の最大化と顧客目線での従業員の対応を第一とし、行動規範を定め、研修活動を重ねてまいりました。今後の取り扱い商品の拡大を視野に入れて、一層の徹底と更なる研修の充実を図ります。
また、コンプライアンスについては、これまでも金商法、商先法に基づきコンプライアンス体制を整備してまいりました。今後の株式・投信等を扱う東証加盟会社化を見すえ、営業第一線、本店所管部局、内部監査部局の三者が相互に強力に牽制するスリーラインディフェンスの考え方に基づき、実効性あるコンプライアンス管理体制の構築を図り、PDCAによる不断の改善サイクルを確立します。
② 情報セキュリティ、特に個人情報保護の徹底
当社はこれまでも情報セキュリティの確保に努めてきましたが、今後、取り扱い商品の拡大、更に総合口座管理を目指すため、個人情報保護の徹底、自社及び委託会社を含めた情報セキュリティ体制の整備、必要な資源の追加投資の検討を行ってまいります。
③ 従業員のエンゲージメント(人材、ダイバーシティ、インクルージョンの向上)
当社は、これまでも、従業員の健康保持に努めるとともに、多様な人材が、各々のやりがいをもって、多様な働き方を可能とする体制の構築に努めてきましたが、更なる推進に向けて、「人材育成基本方針」にその考え方、関係諸施策を掲げるほか、関係諸施策のSDGs開示、フォローアップを行います。
④ 気候変動対策への取組、地域・社会・教育活動への参画
当社は、上場企業として、社会的存在としての責任を果たすため、環境負荷低減活動の推進、再生可能エネルギー推進活動への参画、地域社会、福祉活動への参画、助成の推進を進めてきました。
今後も、本社だけでなく、地方拠点も含めて、各施策を展開、SDGs開示を行うとともに、組織的なフォローアップを進めてまいります。
⑤ コーポレートガバナンスの確立、財務健全性の確保、リスクマネジメントの確立
当社は、上場企業として、コーポレートガバナンスコードを定め、その定めるところにより、株主その他ステークホルダーの利益を保持し、社会的責任を全うするとともに、法令に基づく規制その他を遵守し、財務健全性の維持、リスクマネジメントの確立に努めてまいります。
[経営係数目標管理について]
ESG経営における、持続的成長及び持続可能性に係る重要課題(マテリアリティ)については、常時その進展状況の点検を、戦略・財務指標に基づいて行います。ただし、現在、当社の取り扱う商品・サービスは、市場環境等に大きく影響され、それら指標を開示することは、業績・目標実現状況について誤った認識をもたらすことから、当面、行いません。
※
http://www.yutaka-trusty.co.jp/src/img/chuuki_keiei_keikaku.pdf
また、人材の育成及び社内環境整備に関する方針は、次のとおりであります。
[人材育成基本方針]
当社は中期経営計画に基づき、これまでに培った「デリバティブ市場」での経験に加え、現物株式や投資信託といったさまざまな金融商品の販売等を通じ、お客様の資産形成にさらなる貢献をしていく所存であります。そのためには、「デリバティブ市場」に関するスキルを今まで以上に磨き上げると同時に、新たに取り扱う金融商品の知識取得や勧誘等に向け、社員を教育したり、経験豊富な人材を採用したりする必要があります。もちろん、コンプライアンス部門の重要性が格段に増すことから、コンプライアンス体制を強化しなければなりません。
社内での人事や教育、研修を一元に管理し、司令塔の役割を担う「人事部」を強化し、入社から退職まで一貫して従業員に寄り添うことで、従業員一人ひとりが知識や実践力を深め、切磋琢磨しながら自らの能力を最大限に発 揮して、お客様や社会の信頼に応えてまいります。
[社内環境整備方針]
中長期的な企業価値の向上と当社の企業理念の「お客様第一主義」を遂行するためには、多様化するお客様のニーズに合わせた金融サービスを提供する人材の育成を進めつつ、専門性や経験、感性、価値観といった、知と経験 のダイバーシティを積極的に取り込むことが必要になると考えております。
性別や年齢、国籍などに関係なく様々な人が活躍できる環境や仕組みを整備し、多様な人材が意欲をもって活躍する活力のある組織の構築を推進していくとともに、優秀な人材を確保するため、新卒を対象とした定期採用に加 え、即戦力として期待できる専門知識を有する人材の中途採用も積極的に行っております。具体的には次の環境を整備しております。
① 教育・研修
入社時や昇格時、担務・役職に応じた教育・研修を積極的に実施し、自らがステップアップするとともに、お客様や会社、地域社会等への貢献に対する意欲を高めます。同僚や上司だけでなく、外部から講師を招く講演会を開 催するほか、経済団体等が主催する各種セミナーを少なくとも1年に1回は受講する機会を設けております。
② 資格取得等を支援
営業職は今後の各種金融商品の販売・資産形成プランニングを提供するために、ファイナンシャルプランナーや各種アナリスト資格、内勤職は営業との一体的な人事管理を実施するために証券外務員資格一種及び内部管理責任 者資格、専門性向上のために行政書士や社会保険労務士等の士業資格、英検・TOEIC・TOEFL、簿記や秘書検定などの資格取得の支援を行っております。また、取得した資格が会社にとって有益であると認められる場合には、当該資格に対して手当の支給を行っております。
③ キャリアの採用
イノベーションの創出に向けて、女性活躍を促すことに加え、多様な知識・経験を持ったキャリアの採用を行い、その際登用すべき地位・役職のレベルについても、その能力が最も発揮されるように検討を行っております。
また、従業員の定着率を向上させるため、ワークライフバランスを整えながら、従業員一人ひとりが働きがいを持って能力を十分に発揮できる仕組みづくりと、安心して働き続けることができる働きやすい環境の整備に努めて まいります。具体的には、次の環境を整備しております。
① モチベーション向上
従業員のモチベーション向上に向けた取り組みを強化してまいります。具体的には、次のとおりであります。
・ 初任給引き上げに伴う給与水準の見直し
・ 人事考課制度・内容の見直しによる多角的な評価
・ 福利厚生の充実
② ワークライフバランス
2023年4月より当社従業員の残業時間削減に取り組み、従業員の約7割を占める営業部所属従業員1人1か月当たりの平均残業時間は次のように削減できました。引き続き、残業時間削減を継続してまいります。
③ 副業・兼業の多様な働き方
従業員が企業・社会に貢献しようとする主体的な意思を尊重し、社外の副業・兼業を行えるように環境を整備しております。
④ 女性活躍に向けた取組
女性従業員が働きやすい環境を整備しております。具体的には、次のとおりです。
・ 育児休業を子が3歳に達するまで取得可能
育児休業取得後の職場復帰は2021年度以降、3年連続で100%を達成
・ 子の看護休暇について、子1人につき6日の有給休暇を付与
・ 育児短時間勤務は子が3歳に達した以降、従業員の諸事情を考慮して延長可能
・ 生理休暇を必要日数有給休暇で付与
・ 業務職(主に事務系の女性従業員)の基幹職への職種変更制度(職能給10号相当昇給)
当社において、全社的なリスク管理は経営リスク管理委員会が行っております。
当社では、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の育成及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
※
http://www.yutaka-trusty.co.jp/src/img/jinzai_ikusei_kihon_housin.pdf
本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループ(以下、本項目において「当社」という。)の事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める所存であります。
本項目においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社が判断したものであります。
当社は商品市場、証券市場及び為替市場等において多角的に商品デリバティブ取引業及び金融商品取引業を展開しております。
当該市場には経済情勢、相場環境等に起因するさまざまな不確実性が存在しております。市場主義経済圏の拡大に伴い、商品(コモディティ)や金融商品は、グローバルに展開して行くなかで、取引形態の多様性と相まって価格変動と為替に晒されるリスクを内包しております。この価格変動と為替のリスクをヘッジする手法としての先物取引の重要性が経済的、社会的見地からますます高まってきております。
当社の主要な事業である商品デリバティブ取引業では、㈱大阪取引所において国際的大型商品である金(ゴールド)及び白金(プラチナ)等の貴金属市場、並びに大豆及びとうもろこし等の農産物市場、並びにゴム市場が取引されております。㈱東京商品取引所においてはガソリン、原油及び電力等のエネルギー市場が取引され、両取引所ともに底堅く推移して行くものと期待されます。
2020年7月には総合取引所の本格稼働に伴い、商品デリバティブ取引の清算機構(アウトハウス型クリアリングハウス)である㈱日本商品清算機構が㈱日本証券クリアリング機構に統合され、信用リスク(取引先リスク)に対する安全性が国際水準程度に高まったことから、今まで信用リスクの観点から取引を見送っていた向きのある、国内はもとより海外の機関投資家の信用リスクに対する不安が一掃されると思われるため、その参加が大いに期待されます。
一方において市場の自由化及び国際化の進展に伴い、異業種、あるいは外資系企業からの参入が拡大する可能性があると予測されますので、既存の商品デリバティブ取引業者間との企業競争も含めて今後の動向次第では当社の経営環境に影響を及ぼす可能性があります。
当社は商品デリバティブ取引業及び金融商品取引業として委託者から受託業務を行うとともに、自己の計算による自己売買業務(自己ディーリング)を行っております。
当社の商品デリバティブ取引業に係る委託者は、リスク・ヘッジを主とする商品保有者(将来保有を含む)である商社等の法人委託者と、一方でリスクをとって収益機会を得ようとするリスク・テーカーと称される一般委託者(一般法人を含むが、大半は個人委託者)で構成されております。また、金融商品取引業に係る委託者はほぼすべてが一般委託者となっております。
商品デリバティブ取引、取引所株価指数証拠金取引、取引所為替証拠金取引及び株価指数先物取引は、実際の商品の総代金ではなく、定められた額の保証金等を担保として預託することにより取引が行われることから、投資運用効率が高いと考えられます。この投資運用効率の高さは、大きな利益を得る機会をもたらす半面、ときにより大きな損失をこうむる場合があるため、一般委託者を中心とする市場参加者の動向は受託取引の多寡に関係し、業績(受入手数料)に影響を与えることとなります。
また、受託取引に伴う「預り証拠金」及び「金融商品取引保証金」、並びに「委託者未収金」及び「委託者未払金」等の債権債務、並びに㈱日本証券クリアリング機構及び取引所への預託額、並びに法人委託者との継続取引に伴う取引保証等の「差入保証金」等の増減は財政状態とキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
一方、自己売買業務(自己ディーリング)は、受託業務に伴う市場流動性を確保するマーケット・メーカーとしての役割からリスクテイクする場合等がありますが、主として、収益機会を獲得するために当社独自の相場観により自己ディーリングを行っております。この自己ディーリングによる損益の状況は業績(トレーディング損益)に影響を及ぼすこととなります。当社は自己ディーリングを行うにあたり、専任部署と専任担当者を定め、社内規程に基づき、厳しい運用管理を行い、かつディーラーの育成強化に努めるなど収益の拡大に取り組んでおります。
当社の主要な事業である商品デリバティブ取引業等を遂行するため、内閣総理大臣より金融商品取引業の登録並びに、農林水産大臣及び経済産業大臣(以下、「主務大臣」といいます。)より商品先物取引業者として許可を受けております。また、金融商品取引所及び商品取引所の定める取引参加資格を取得しております。
事業を遂行する上で金融商品取引法及び同法の関連法令、並びに商品先物取引法及び同法の関連法令、並びに金融商品取引所及び商品取引所の定めた受託契約準則、並びに自主規制機関による自主規制規則等の適用を受けております。また、この他に消費者契約法、個人情報保護法の適用を受けております。
当社は、これらの諸法令規則等に抵触した場合には、許可及び登録の取消し、又は業務停止等の行政処分が行われることがあり、そのような場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
2024年3月末現在、特段に記載すべき重要な訴訟事件はありませんが、顧客との受託取引等に起因する重要な 訴訟やその他重要な請求の対象とされる可能性があります。当社の従業員である外務員が顧客との受託業務活動に おいて、会社が外務員の権限を内部的に制限している場合であっても、外務員の行った権限外の行為により第三者に損害が発生した場合には、所属会社が当該外務員の使用者として、当該第三者に対し損害賠償責任を負う可能性があります。このような損害賠償が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
自己資本規制比率は、金融商品取引法の規定に基づき内閣府令の定めにより算出することとしたものであります。当社の自己資本規制比率は、2024年3月末現在476.2%となっており、金融商品取引業者は、自己資本規制比率が120%を下回ることがないようにしなければならないと定められております。(同法第46条の6)
また、商品先物取引法及び同施行規則に基づき、純資産額規制比率による制限が設けられています。純資産額規制比率とは、純資産額の、商品デリバティブ取引につき生ずる相場の変動その他の理由により発生し得る危険に対応する額として主務省令で定めるところにより算出した額に対する比率であります。当社の純資産額規制比率は、2024年3月末現在870.1%ですが、120%を下回る事態が生じた場合には、主務大臣は商品先物取引業者に対し商品先物取引業の方法の変更を命じ、財産の供託その他監督上必要な措置を命ずることができます。また、100%を下回る場合には3ヶ月以内の期間を定めて業務の停止を命じることができ、業務停止命令後3ヶ月を経過後も100%を下回り、かつ、回復の見込みがないと認められるときは商品先物取引業者の許可を取り消すことができるとされています。(同法第235条)
当社は、自己資本規制比率及び純資産額規制比率が要求される水準を下回った場合には、自己資本規制比率に関しては内閣総理大臣から、純資産額規制比率に関しては主務大臣から業務の停止等を含む様々な命令等を受けることとなります。これらの結果によっては、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、顧客の個人情報を扱う企業であることから、その社会的責任を認識し、個人情報管理に積極的に取り組み、当社における個人情報保護方針を制定し、2005年4月に施行された、いわゆる個人情報保護法に対応してきております。2006年2月には「プライバシーマーク」の認証を取得し、その後現在に至るまで2年ごとの更新審査を受け認証資格を維持しており、個人情報保護管理体制に適切に対処する旨努めております。また、「サイバーセキュリティ」を「情報セキュリティリスク」として明確化し、その対応に努めております。
しかしながら、顧客の個人情報や当社の機密情報が、不正なアクセスなど何らかの方法により外部に漏洩し、あるいは悪用された場合等には、損害賠償が発生する可能性があり、加えて当社の信頼を失うおそれがあり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
取引所の取引システムや当社の社内システムにおいて障害が発生した場合には、顧客等に与える影響は予測しがたいものがありますが、当社は、社内システムに関して安全性の確保を図る等、システム管理の徹底に努めております。
当連結会計年度における当社グループ(以下、本項目において「当社」という。)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、本項目において「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和される中において、3月の日銀短観にて発表された業況判断指数(DI)は、大企業・製造業においては一部メーカーの不正問題を受けて4四半期ぶりに低下しましたが、大企業・非製造業はインバウンド需要の回復や価格転嫁によるマージンの拡大により景況感は一段と改善を見せております。先行きの経済は、雇用と所得の改善、株高による資産効果を背景とし、個人消費を中心に内需主導で緩やかな回復が続く見通しであります。
一方、世界経済は、米国では好調な雇用情勢と所得環境を維持する中、製造業、非製造業ともに景況感が改善し、個人消費を中心に堅調に推移しております。中国では春節需要による個人消費の増加や、政府のインフラ整備による固定資産投資の回復により2月の購買担当者景気指数(PMI)は製造業においては横ばいに推移し景況感の悪化は鈍化傾向にあり、非製造業においては持ち直しの動きを見せております。先行きは、米国においては金融環境の引き締めが企業部門の経済活動の下押しとなるものの、良好な雇用・所得環境と供給力の回復が個人消費を下支えに景気は引き続き堅調に推移する見通しであり、中国においては住宅市場の不振と消費の回復力の弱さ、不動産不況の継続が重石となり、景気は再び減速するものと見込まれます。
証券市場においては、取引所株価指数証拠金取引(くりっく株365)は、割安株を中心に買いが集まり堅調な推移となりました。その後も新型コロナウイルスの第5類移行に伴い需要拡大期待が材料となり上昇、海外投資家の買い意欲の高まりも株価を押し上げました。6月に入ると、米国の債務上限問題が決着して投資家心理が改善したことや、日銀金融政策決定会合で金融緩和の維持を決めたことから円安ドル高が進行して輸出関連株を中心に上昇、約33年ぶりに33,000円台を回復しました。7月は修正場面から一時32,000円を割り込みましたが、円安ドル高を背景に反発場面となりました。8月に入ると、米国の追加利上げ警戒感や、中国の軟調な経済指標が圧迫要因となり31,000円台前半となり、後半は米国での金融引き締め警戒感が後退したことから9月前半にかけて値を戻し、再び33,000円台を回復しました。しかし上値の重い展開から利益確定の売りが誘われ下落、10月に入ると堅調な米国雇用統計が示され、米国長期金利が連日高水準で推移したことから日本株にも売りが波及し、31,000円を割り込みました。11月に入り、米国のインフレ鈍化を示す経済指標が相次ぎ、利上げ局面が終了したとの見通しを背景に米国長期金利が低下傾向に転じたことから米国市場が上昇、国内市場も追随し、32,000円を下限としてレンジを切り上げ、33,000円台まで上昇して取引を終えました。1月に入り、新たな少額投資非課税制度(NISA)開始に伴う資金流入や、円安ドル高を背景とした輸出関連株の上昇にけん引され堅調に推移、その後も米国のハイテク株高を受けた半導体関連株の上昇により、3月も続伸場面となり過去最高値を更新、初めて40,000円台に達しました。
商品市場においては、原油は石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国でつくるOPECプラスが、2022年10月に合意した日量200万バレルの協調減産維持を再確認したほか、サウジアラビアなど8ヶ国が自主的な生産削減を明らかにしたことからNY原油が急伸、国内市場も67,000円台後半まで上昇しました。その後は米国で金融システムを巡る不安を背景にエネルギー需要減退懸念が強まり、5月の祝日取引中には57,000円台を割り込むなど値動きの荒い展開となりました。6月に入ると、OPECプラスが現行の協調減産の枠組みを12月末まで延長することで合意し、さらにサウジアラビアが単独で追加減産を表明したことなどから65,000円台を回復、7月にはロシアも原油輸出の削減を表明したことなどを背景に70,000円台に至りました。その後は中国主要経済指標が弱めの内容となったことや、米国で堅調な内容の経済指標の発表が続き、利上げ長期化による需要の減退懸念から保ち合いとなりましたが、9月に入るとサウジアラビアが自主減産を12月末まで3ヶ月延長すると発表、ロシアも原油輸出の削減を12月末まで延長すると表明したことから80,000円台まで上昇しました。10月に入り、円安ドル高を背景にNY原油が下落、高値警戒感からも売り圧力が強まり一時73,000円台を割り込みましたが、イスラエルとイスラム組織ハマスとの武力衝突が激化し、中東の地政学的リスクが意識されたことにより、再度80,000円台を回復しました。しかしその後は、軟調な米中の経済指標を背景に原油需給が緩むとの警戒感から下落、11月30日に延期されたOPECプラスの会合では、追加減産で合意できず、自主減産を実施することで決定したことから、自主減産の履行に懐疑的な見方が拡がり、12月にはNY原油が67.71ドルまで下落し、国内市場も軟調に推移、66,000円を割り込んで取引を終えました。1月に入り、紅海周辺での地政学的リスクが高まり上昇、加えて米国での寒波による需給逼迫懸念を背景に74,000円台まで上値を伸ばしました。2月に入り修正場面から70,000円を割り込む場面も見られましたが、中東情勢の悪化懸念や、ウクライナによるロシア石油施設へのドローン攻撃により、供給不安が台頭して反発場面となり、その後も地政学的リスクへの警戒から77,000円台まで上昇しました。
金はインフレ懸念を背景にNY金市場が2,000ドル台へ到達、国内市場も追随して上昇し、8,870円に至りました。5月に入ると、米国雇用統計で失業率が改善、非農業部門就業者数も市場予想を上回るなど労働市場の根強さを示唆したことから、利上げ観測が台頭してNY金市場は2,000ドルを割り込みましたが、円安ドル高基調が下支えとなり高値圏での推移となりました。その後、6月の米国連邦公開市場委員会(FOMC)では11会合ぶりに政策金利を据え置いたために金市場には買いが入り、国内市場は一時8,900円台に至りました。7月に入り、NY金市場は堅調に推移したものの、急激な円高ドル安を背景に一時8,700円を割り込みましたが、月末には日銀の臨時オペにより円安ドル高が進み、8月初めには9,000円台の高値となりました。その後は修正場面を経て再度上昇、9月のFOMCでは予想通り政策金利が据え置かれたことや、欧州中央銀行(ECB)の利上げ打ち止め観測を背景に再度9,000円台まで上昇しましたが、米国長期金利が16年ぶりとなる高値水準に至ったことから急落場面となりました。10月に入ると、イスラエルとイスラム組織ハマスによる戦闘が激化したことから、地政学的リスクの高まりを背景に急伸、円安ドル高も支援要因となり11月には一時9,700円台に至りました。高値圏でのもみ合いを経た後、12月に入った週初めのマーケット参加者が少ない時間帯に大口買い注文が入り、NY金は一時2,100ドル台へ到達し、国内市場も呼応して10,000円台に至りました。しかしその後は高値更新による達成感から利食い売りが殺到、大幅に円高ドル安に振れたことも売りに拍車をかけて9,200円台まで下落しました。その後は、中東の地政学的リスクの高まりや、2024年半ばまでにはFRBが利下げを開始するとの期待感から徐々に下値を切り上げて3月には10,000円台を回復、その後も中国を中心としたアジア勢の中央銀行の金保有量増加や円安ドル高を背景に、連日史上最高値を更新して一時10,976円まで上昇しました。
トウモロコシは3月末に米国農務省より発表された作付け意向面積と四半期在庫ともに事前予想通りとなったことから相場への影響は軽微なものとなり、42,000円を挟んだ小動きとなりました。6月に入り、米国の穀物地帯で作付けが順調に進んでいたことや、ブラジルで生産高が過去最高になるとの見方で売り圧力が強まり急落、一時40,000円を割り込みました。しかし米国で2011年以来の観測となる熱波が到来し穀物の生育にダメージを与えるとの見方から急伸、46,770円の高値を付けました。7月に入ると一転、降雨予報を受けて38,000円台前半まで急落する天候相場特有の動きとなりました。その後は修正場面から40,000円台を回復しましたが、授粉期を終えて材料難の中、狭いレンジの動きに終始しました。10月に入り、円安ドル高を背景に一時41,000円台に至りましたが、南米の作付けが順調に進んでいることや、中国からの需要が鈍化していることで売り圧力が強まり下落、39,000円から40,000円のレンジで推移しました。12月に入ると、米国の利下げ期待と日本銀行のマイナス金利解除への期待感から円高ドル安が進行、手仕舞い売りから一時36,610円の安値を付け、その後は値を戻す場面も見られましたが、上値の重い展開が続きました。1月に入り、南米産トウモロコシの生産高が過去最高と予想されたことから、シカゴ市場が軟調に推移し、国内市場も圧迫を受けましたが円安ドル高がサポート要因となり、37,000円を中心としたもみ合いとなりました。3月に入り、米国産地での作付けを控えて天候不安を織り込んだ買いが集まり上昇、引き続き円安ドル高にも支えられて40,000円台を回復しました。
為替市場においては、植田日銀総裁が就任後初の記者会見で、現行の緩和政策を当面維持する方針を示したことから、日米の金融政策の方向性の違いが意識され、円安ドル高基調となりました。その後も米国長期金利が上昇したことから日米金利差の拡大を意識した円売りドル買いが優勢となり円安ドル高が進行、6月のFOMCでは、市場予想通り政策金利は据え置かれましたが、年内にあと2回の利上げが示唆されたことや、日銀金融政策決定会合で金融政策が据え置かれたことから、月末には145円台まで円安ドル高が進行しました。7月に入ると、米国での経済指標がインフレ率の鈍化を示したため、利上げ打ち止め観測が広がり、一時137円台前半へとドルが急落しました。その後は修正場面に入り140円台を回復、堅調な米国経済指標を背景として徐々に円安ドル高が進行し、9月のFOMCでは、政策金利を据え置いた一方で来年の金利見通しを引き上げたことから、150円の大台を試す展開となりました。しかしその後は米国消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことなどから早期の利下げ観測が高まり円高ドル安が進行し、140円台前半まで下落しました。しかし1月に入り、米国経済指標が市場予想を相次いで上回ったことから、一転して早期利下げ観測が後退して148円台後半まで円安ドル高が進行、2月に発表された米国経済指標は、引き続き堅調な数字を示したことから150円台まで上昇しました。3月に入ると、米国経済指標の軟化や、市場予想を上回る日本の春闘での賃上げ要求を受けて、146円台半ばまで円高ドル安が進行しましたが、その後は日銀会合でマイナス金利が解除されたものの、緩和的な金融政策の継続が示唆されたことを背景に、151円台後半での推移となりました。
このような環境のもとで、当社グループの当連結会計年度の商品デリバティブ取引の総売買高1,223千枚(前年同期比1.6%減)及び金融商品取引の総売買高2,916千枚(前年同期比25.9%減)となり、受入手数料7,333百万円(前年同期比5.2%増)、トレーディング損益16百万円の損失(前年同期は153百万円の損失)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は営業収益7,402百万円(前年同期比7.7%増)、純営業収益7,386百万円(前年同期比7.7%増)、経常利益2,098百万円(前年同期比30.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,430百万円(前年同期比61.0%増)となりました。
当社の経営成績の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の営業収益は7,402百万円(前年同期比7.7%増・527百万円増加)となりました。受入手数料は7,333百万円(前年同期比5.2%増・360百万円増加)、トレーディング損益は16百万円の損失(前年同期は153百万円の損失)、その他の営業収益は85百万円(前年同期比53.0%増・29百万円増加)となりました。
当連結会計年度の金融費用は15百万円(前年同期比16.3%減・2百万円減少)となりました。
当連結会計年度の純営業収益は7,386百万円(前年同期比7.7%増・530百万円増加)となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は5,392百万円(前年同期比1.2%増・66百万円増加)となりました。この主な内訳は、取引関係費が772百万円(前年同期比0.6%減・4百万円減少)、人件費が3,450百万円(前年同期比4.6%増・152百万円増加)、減価償却費が153百万円(前年同期比45.4%減・128百万円減少)、租税公課が99百万円(前年同期比10.2%増・9百万円増加)となっております。
前連結会計年度に比べて純営業収益は530百万円増加し、販売費及び一般管理費は66百万円増加した結果、当連結会計年度の営業利益は1,994百万円(前年同期比30.3%増・464百万円増加)となりました。
当連結会計年度の営業外収益は110百万円(前年同期比30.9%増・26百万円増加)となりました。この主な内訳は、受取利息が37百万円(前年同期比99.4%増・18百万円増加)、受取配当金が50百万円(前年同期比25.9%増・10百万円増加)となっております。
当連結会計年度の営業外費用は6百万円(前年同期比25.6%減・2百万円減少)となりました。この主な内訳は、投資事業組合運用損が6百万円(前年同期比65.7%増・2百万円増加)となっております。
前連結会計年度に比べて営業外収益は26百万円増加し、営業外費用は2百万円減少したものの、営業利益が464百万円増加したため、当連結会計年度の経常利益は2,098百万円(前年同期比30.7%増・492百万円増加)となりました。
当連結会計年度の特別利益は180百万円(前年同期比2,182.2%増・172百万円増加)となりました。この主な内訳は投資有価証券売却益が173百万円(173百万円増加)となっております。
当連結会計年度の特別損失は83百万円(前年同期比44.1%減・65百万円減少)となりました。この主な内訳は、訴訟損失引当金繰入額が65百万円(前年同期比52.4%減少・72百万円減少)となっております。
前連結会計年度に比べて特別利益は172百万円増加し、特別損失は65百万円減少したものの、経常利益が492百万円増加したため、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は2,195百万円(前年同期比49.9%増・730百万円増加)となりました。
当連結会計年度の法人税等は765百万円(前年同期比32.9%増・189百万円増加)となりました。この主な内訳は、法人税、住民税及び事業税が802百万円(前年同期比41.3%増・234百万円増加)、法人税等調整額が△36百万円(前連結会計年度は8百万円)となっております。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,430百万円(前年同期比61.0%増・541百万円増加)となりました。営業収益合計に対する比率は19.3%(前連結会計年度は12.9%)となっております。自己資本利益率は12.3%(前連結会計年度は8.4%)となりました。また、1株当たり当期純利益は259.93円(前連結会計年度は161.83円)となりました。
以上の結果、当社の財政状態の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産総額は99,476百万円、負債総額は87,005百万円、純資産12,471百万円となっております。
当連結会計年度末の資産総額99,476百万円は、前連結会計年度末70,773百万円に比べて28,703百万円増加しております。この内訳は、流動資産が28,014百万円、固定資産が688百万円それぞれ増加したものであり、主に「保管有価証券」が10,302百万円、「差入保証金」が10,899百万円、「委託者先物取引差金」が5,126百万円それぞれ増加したものであります。
当連結会計年度末の負債総額87,005百万円は、前連結会計年度末59,916百万円に比べて27,089百万円増加しております。この内訳は、流動負債が26,746百万円、固定負債が334百万円それぞれ増加したものであり、主に「預り証拠金」が13,408百万円、「預り証拠金代用有価証券」が10,302百万円、流動負債の「その他」の未払先物取引差金が1,728百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産12,471百万円は、前連結会計年度末10,857百万円に比べて1,613百万円増加しております。この内訳は、主に株主資本が1,128百万円、及びその他の包括利益累計額が484百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の自己資本比率は12.5%(前連結会計年度末は15.3%)となっております。
なお、後記「第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」「注記事項」の(セグメント情報等)」に掲記したとおり、当社グループの事業セグメントは、主として商品デリバティブ取引の受託及び自己売買、並びに金融商品取引の受託及び自己売買の商品デリバティブ取引業等の単一セグメントであり重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1,688百万円の増加となり、7,654百万円となりました。
当連結会計年度における営業活動による資金の取得は、1,951百万円(前年同期は2,054百万円の取得)となりました。これは「差入証拠金」、「委託者先物取引差金」の増加による資金の使用等があったものの、「税金等調整前当期純利益」による資金の取得等によるものであります。
当連結会計年度における投資活動による資金の取得は、16百万円(前年同期は127百万円の使用)となりました。これは、投資有価証券の取得による支出等があったものの、投資有価証券の売却による収入等によるものであります。
当連結会計年度における財務活動による資金の使用は、308百万円(前年同期は1,012百万円の使用)となりました。これは主に配当金の支払額によるものであります。
(単位:千円)
(注) 商品デリバティブ取引には、金融商品取引法及び商品先物取引法に基づく取引を含めて記載しております。
(単位:千円)
(注) 商品デリバティブ取引には、金融商品取引法及び商品先物取引法に基づく取引を含めて記載しております。
(単位:枚)
(注)1. 商品デリバティブ取引には、金融商品取引法及び商品先物取引法に基づく取引を含めて記載しております。
2. 商品デリバティブ取引の主な商品別の委託売買高とその総委託売買高に対する割合は、次のとおりであります。
(単位:枚)
3. 商品デリバティブ取引における取引の最低単位を枚と呼び、例えば金(標準取引)1枚は1,000グラムというように1枚当たりの数量は商品ごとに異なります。
(単位:枚)
(注) 商品デリバティブ取引には、金融商品取引法及び商品先物取引法に基づく取引を含めて記載しております。
経営者の視点による当社グループ(以下、本項目において「当社」という。)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
本項目においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社が判断したものであります。
当社は商品市場、証券市場及び為替市場等において多角的に商品デリバティブ取引業及び金融商品取引業を展開しております。
当連結会計年度における当社の状況は、商品デリバティブ取引部門の国内委託売買高は、前年同期1,065千枚に対し当期1,124千枚と59千枚増加しております。これは、貴金属市場の委託売買高が56千枚増加(前年同期比10.72%増加)したことが主因となっております。また、貴金属市場の主要銘柄である金市場ではインフレ懸念を背景にNY金市場が2,000ドル台へ到達、国内市場も追随して始まりました。10月に入ると、地政学的リスクの高まりを背景に急伸、円安ドル高も支援要因となり11月には一時9,700円台に至りました。12月に入ると、NY金は一時2,152.3ドルの史上最高値を更新し、国内市場も呼応して10,028円と史上最高値を更新しました。その後も中東の地政学的リスクの高まり、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを開始するとの期待感、中国を中心としたアジア勢の中央銀行の金保有量増加、円安ドル高を背景に、連日史上最高値を更新して一時10,976円まで上昇するなど大きな値動きがあったことから前年度と同様に取引が集中しました。貴金属市場の取引手数料収入は前年同期比6.6%増加となり、国内商品デリバティブ取引手数料収入が前年同期比6.5%増加したことの主因となっております。
また、金融商品取引部門の国内委託売買高は、前年同期3,799千枚に対し当期2,855千枚と944千枚減少しております。これは前年度に引き続き取引所株価指数証拠金取引におけるNYダウリセット付証拠金取引の委託売買高の大幅な減少によるものであります。主力商品である日経225リセット付証拠金取引は、割安株を中心に買いが集まり堅調な推移となりました。その後も新型コロナウイルスの第5類移行に伴い需要拡大期待が材料となり上昇、海外投資家の買い意欲の高まりも株価を押し上げました。6月に入ると約33年ぶりに33,000円台を回復しました。1月に入り、新たな少額投資非課税制度(NISA)開始に伴う資金流入や、円安ドル高を背景とした輸出関連株の上昇にけん引され堅調に推移、その後も米国のハイテク株高を受けた半導体関連株の上昇により、3月も続伸場面となり過去最高値を更新、初めて40,000円台に達するなど、27,000円台後半から40,000円台まで大幅に上昇したことにより委託売買高は増加したものの、取引所株価指数証拠金取引全体の委託売買高は、前年同期比37.5%減少となっております。しかし、取引所為替証拠金取引における主力商品である米ドル円の証拠金取引は、植田日銀総裁就任後、現行の緩和政策を当面維持する方針を示し、3月に入ると日銀会合でマイナス金利が解除されたものの、緩和的な金融政策の継続が示唆されたのに対し、FRBにおいては米国連邦公開市場委員会(FOMC)による政策金利の引き上げは終了したものの米国経済指標が引き続き堅調な数字を示し、早期利下げ観測が後退するなど日米の金融政策の方向性の違いが意識されました。従って、130円台から150円台へと円安ドル高方向へ大きく相場が動いたことから大幅に委託売買高が増加しました。取引所為替証拠金取引の委託売買高は、前年同期比81.4%増加しており取引手数料収入も23.5%増加したことから、金融商品取引部門の国内取引手数料収入が小幅ながら前年同期比1.6%増加したことの主因となっております。
このような結果、当連結会計年度の経営成績は、トレーディング損益が16百万円の損失(前年度は153百万円の損失)だったものの、商品デリバティブ取引業及び金融商品取引業ともに受入手数料が前連結会計年度に比べそれぞれ増加し、営業損益、経常損益ともに利益を計上、親会社株主に帰属する当期純利益は1,430百万円(前年同期は888百万円の利益)を計上しました。
当社の収益の柱は、商品デリバティブ取引業及び金融商品取引業の2つに分けられます。収益比率では、前連結会計年度に引続き、金を中心とした商品デリバティブ取引業の手数料収入が収益の大きな割合を占めました。おおよその割合は商品デリバティブ取引業が78%、金融商品取引業が22%となっております。
当社の当連結会計年度末における連結ベースのキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要の②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。また、株主還元につきましては、「第4「提出会社の状況」の3「配当政策」」に記載しております。
当社の資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、巨額の資金需要に対応する場合などは、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保、財務の健全性及び安定性を維持するため、銀行等から借入を行う方針です。資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向総合的に勘案しながら最適な調達を実施しております。
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社の経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産は、将来の事業計画に基づく課税所得の発生時期及び金額によって認識し、繰延税金負債は、将来加算一時差異について認識しております。当該課税所得の見積りは、将来の不確実な経済条件の変動などによって影響を受ける可能性があり、実際に発生した課税所得の時期及び金額が見積りと異なった場合、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
訴訟損失引当金の認識は、商品取引事故及び金融商品取引事故等による損失に備えるため、損害賠償請求等に伴う損失の見込額のうち、商品取引責任準備金及び金融商品取引責任準備金の期末残高を勘案して訴訟損失引当金を計上しておりますが、当社に対する新たな訴訟の提起や判決等により見積りと異なった場合、訴訟損失引当金の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、重要な会計上の見積りについての詳細は「第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」「注記事項」の(重要な会計上の見積り)」に記載されております。
また、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」「注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。