第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、2020年10月に、企業理念を「人と社会に貢献し、価値を創造する」といたしました。これは今までの商品先物取引を中心に掲げた企業理念からの脱却を意味します。2020年4月に受領した当社に対する第三者委員会調査報告書の中の再発防止策等の提言にもあるように、当社にはステークホルダー不在の内向きかつ閉鎖的企業風土が醸成されていました。今後はこれを改め、健全な組織風土を醸成してまいります。上場会社グループとして正確な財務情報を開示し、単なる法令にとどまらず社会規範をも順守することで、人と社会に貢献してまいります。

同時に三つの行動指針も掲げております。

 ① 常に人の役に立つために考え、行動しよう

 ② 広く社会の役に立つために、視野を広げよう

 ③ すべてのものごとに、感謝の気持ちで取り組もう

こうした経営理念及び行動指針を社内で共有し、組織風土の改善をより強固なものといたします。

(2) 経営戦略等

前述のとおり、当社グループは企業理念を「人と社会に貢献し、価値を創造する」としており、健全な組織風土の醸成と社会的価値の創出の実現に向け、コーポレートブランドを刷新し、2025年7月に商号をunbanked株式会社へ変更いたしました。

これまで築き上げた金ビジネスに新たな価値観を付加することで社会ニーズにお応えしていきます。国内対面販売だけではなく、インターネット形式での小口販売、ブロックチェーン技術を利用した海外での販売を行い、様々な形式での金に関するニーズにお応えしていきます。

さらに、情報発信力の強化や新商品の開発、グループ子会社を通じた販売チャネルの構築も強化してまいります。また、金地金事業及びノンバンク事業というカテゴリーにこだわることなく、人と社会に貢献することを念頭に新たな分野を開拓していくことも検討してまいります。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは金地金事業とノンバンク事業の2つのセグメントであり、金融政策の動向が収益に大きな影響を与える傾向があるため、適正な収益目標を立てることは困難であります。しかし、健全な財務基盤を確保する観点から、収益の最大化と費用の最小化により収益構造の改革を推し進め、営業利益の黒字化を図ってまいります。

(4) 経営環境

エネルギー価格の上昇や円安の進行により、国内においてインフレ警戒感が徐々に出始めている中、有事への備えやインフレヘッジを目的に金市場への資金流入が続き、金価格は史上最高値を更新しています。このような環境の中、金地金事業においては、富裕層を中心に国内外の金投資需要の取り込みを進めております。海外においては、海外子会社のKinka(BVI), Ltd.が発行する金価格連動型の暗号資産「Kinka(XNK)」の販路拡大を目的に、新たなブロックチェーン上で「Kinka(XNK)」を発行・流通させるため、カルダノブロックチェーン創設企業のEMURGO社とパートナーシップ契約を締結しました。今後も海外でのWeb3.0ビジネスの推進を図ってまいります。

ノンバンク事業においては、当連結会計年度にクラウドバンク株式会社を子会社化したことで、融資型クラウドファンディング事業にも領域を広げ、収益の拡大に努めております。

グループ全体で、事業基盤の強化、及び新たな事業の展開を模索してまいります。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①ガバナンス体制及び内部管理体制の再構築

当社は、2026年5月25日付で、株式会社東京証券取引所より、当社株式について同年5月26日付で特別注意銘柄に指定する旨の通知を受けました。本件は、2025年12月において、金地金取引に係る売上債権13.4億円が未回収となり、多額の貸倒引当金を計上する事態が発生したことに起因するものであります。株式会社東京証券取引所が当社株式を特別注意銘柄に指定した理由(概要)は以下のとおりであります。

・必要な内部統制システムが適切に運用されていなかった。

・業務の適正を確保するために必要な体制が適切に構築・運用されておらず、企業行動規範の遵守すべき事項(業務の適正を確保するために必要な体制整備)の規定に違反した。

・内部管理体制等について改善の必要性が高い。

当社は、当該事案を厳粛に受け止め、ガバナンス体制及び内部管理体制の抜本的な見直し及び強化を最優先課題として位置付け、2026年6月5日開催の臨時株主総会後の新経営体制の下、再発防止策を着実に実行してまいります。

② 金地金の販売戦略見直しと新サービスの開発

金地金事業においては、世界的なインフレ時代への突入、年々高まる地政学リスク、先行き不透明な国際情勢などにより、国内外ともに金価格が史上最高値を記録する環境下にあるため、円資産の価値の目減りを回避したいと考える富裕層のニーズの掘り起こしを強化し、販売提携先の開拓も視野に入れ取引量の拡大を図ってまいります。一方、日本における金投資の裾野拡大のため、少額資金で金投資を行いたい投資家のニーズに応えるために、新たに「Progmat SaaS」を利用し、100g単位で売買できる金取引サービス「UNBゴールド」の取り扱いを開始しました。日本クラウド証券株式会社との共同事業であるインターネットによる「金スポット取引」及び「純金積立」と併せて、金取引の販売促進により、収益力の強化に努めてまいります。

③ 暗号資産「Kinka」の販路拡大と収益源の多様化

海外子会社のKinka(BVI),Ltd.が発行している金の価格と連動する暗号資産「Kinka(XNK)」は、海外の複数の中央集権型暗号資産取引所(CEX)に上場していますが、今後はさらなる流通量拡大に向け、イーサリアムネットワークに加え、カルダノブロックチェーン上で「Kinka(XNK)」を発行し、流通及び販売を強化していく予定です。そして、「Kinka(XNK)」を販売するだけに留まらず、他のユースケースを提携パートナーと模索しながらWeb3.0ビジネスへの投資を強化し、収益源の多様化を図ってまいります。

④ 貸金業子会社の融資残高を積み上げるための資金支援

都市部を中心に収益性の高い不動産開発案件への投資ニーズが高まっております。当社グループでは、この旺盛な資金需要に応えるべく、貸金業を営むクラウドバンク・キャピタル株式会社による自己資金融資に加え、当連結会計年度に子会社化したクラウドバンク株式会社を通じて融資型クラウドファンディング事業にも進出いたしました。これにより、資金供給手段の多様化を図るとともに、ノンバンク事業のさらなる成長が期待できるものと考えております。

以上の施策により、グループ全体での収益の増加を図り、安定した黒字化の実現を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは次のとおりです。なお、本項における将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

当社グループは、unbanked株式会社において金地金の取扱いを中核事業とし、子会社であるクラウドバンク・キャピタル株式会社及びクラウドバンク株式会社においてノンバンク融資、海外子会社Kinka(BVI),LTD.において金の価格と連動する暗号資産「Kinka(XNK)」の取り扱いサービスを提供しております。

当社グループがサービスを提供し、お客様と社会の課題解決に貢献することで、持続的な社会の実現を目指しております。その取り組みが結果として、当社グループ事業の継続的な強化につながると認識し、サステナビリティ課題への取り組みが重要な経営課題の一つであると考えております。当社グループはサステナビリティ課題への取り組みを推進することによって、株主の皆様との対話を重視し、継続的な企業価値の創造を実現してまいります。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティを推進する体制としております。経営会議では、中長期的な視点に立ちサステナビリティに関する重要課題の特定、リスク及び機会の識別、対応方針の策定等についての協議を行い、取締役会へ報告します。取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会を監督する体制としております。

 

(2)戦略

① サステナビリティに関する戦略

当社グループの資産運用サービスはお客様との対話を重視しており、そのサービスを提供する従業員の育成と

エンゲージメントの向上は、当社グループの企業価値を高める重要な要素であると考えております。

「人的資本への投資と従業員エンゲージメントの向上」を目的として、下記の方針を定めております。

・キャリアアップを支援するための資格取得の奨励

安定的な事業収益の確保のため、将来の事業創出を目的とした、事業に必要となる資格の取得の支援により、従業員へのリスキリングを推奨しています。中でも、当社グループは暗号資産を取り扱うことから、他社との差別化を図る新たなサービスを生み出すためにも、ITリテラシーの向上によるデジタル時代の人材育成も推進しております。

・ワークライフバランスの推進による生産性の向上

社会環境の変化にも柔軟に対応できる労働環境を整備するため、クラウド型業務支援システムの導入等のテレワーク環境を整備し、多様な働き方による業務の生産性の向上に努めております。

・人的資本への投資と従業員エンゲージメントの向上

従業員のキャリアアップを支援するための資格取得の奨励や、ワークライフバランスの推進による生産性の向上を図り、経営陣と従業員のビジョン共有、物価上昇に見合うベースアップにより、従業員のモチベーションを高め、企業価値の向上に努めてまいります。

 

② 人的資本の多様性

企業としての持続的成長と経営課題の解決を図るためにも、女性役員、外国籍役員の登用等、多様性確保にも取組んでおります。取締役会における多様性確保の姿勢が、企業全体に影響を与えることとなり、多様性を推進する企業風土の醸成に資するものと考えております。

 

(3)リスク管理

当社グループは、各サービスの担い手である人材が新たなサービスを生み出し、事業の基盤強化につながるものと認識しており、人材が企業価値を向上させる源泉であると認識しております。よって人的資本の不足や人的基盤の縮小が、当社グループにおけるリスクに繋がります。

加えて、全役職員のコンプライアンス意識の向上についても重要な課題であるとして認識しております。そのため、当社におけるコンプライアンスリスクを早期発見し重大化を未然に防ぐためにも、当社グループを取り巻くリスクを定期的に評価し、企業運営における危機管理に取り組んでおります。リスク管理マニュアルに基づき、定期的に各部門のリスクを洗い直し、各リスクを最小化するために対策を議論し、重要なリスク管理については、代表取締役社長が委員長となるリスク管理委員会を開催し、その内容を取締役会に報告する体制としています。

また、社外の弁護士及び公認会計士によって構成されたコンプライアンス委員会を定期的及び必要に応じて開催し、コンプライアンスについて議論を行い、その意見を取締役会に報告する体制としております。

 

(4)人材育成に関する環境整備の方針

当社グループの一人ひとりの社員が事業の基盤強化を目的として、各セグメントにおける付加価値の高いサービスの提供を目指して、知識・スキルの向上に加え、コンプライアンス・モラルの徹底を図るための意識づけを行っております。

グループ全社員に対し、業務に直結する資格取得、外部セミナーへの参加を積極的に推進しております。また、現時点では業務とは直接関係がない分野に関しても、将来の事業拡大を見据え個人の学びたいという意欲に応えるべく、金銭面でのバックアップを行っております。

また、毎年の年間スケジュールに、従業員向けのコンプライアンス研修、役員向けの会計研修を組み込んでおります。

 

 

(5)指標及び目標

当社グループは、コンプライアンス意識の向上を目的として、すべての役職員向けのコンプライアンス等の研修の参加率について100%を目標としております。

2025年度内に実施した役職員向けのコンプライアンス研修等についての参加対象者及び参加状況は以下の通りとなります。

開催日時

研修内容

参加対象人数

参加人数

参加率

2025年5月23日

会計研修:テーマ「不正会計および企業不祥事事例の傾向分析」

16名

15名

93.8%

2025年7月17日

コンプライアンス研修

:テーマ「リスク調査票に基づく当社の抱えるリスクについて」(ディスカッション形式)

 6名

 6名

100%

2025年10月16日

コンプライアンス研修

:テーマ「関連当事者取引について」

19名

18名

94.7%

2026年3月23日~

2026年3月27日

コンプライアンス研修:テーマ「内部通報研修」

44名

41名

93.2%

2026年3月23日~

2026年3月27日

コンプライアンス研修:

テーマ「インサイダー取引規制セミナー」(Web視聴)

44名

41名

93.2%

2026年3月23日~

2026年3月27日

コンプライアンス研修:

テーマ「個人情報の取り扱い」(Web視聴)

11名

11名

100%

 

ダイバーシティ経営の実践のために、多様な人材の確保が必要と考えているものの、当社グループは少人数(2026年3月期末のグループ従業員31名)と母集団としての従業員数が少数であることから、適切な目標水準の設定が困難なため、指標化による目標管理を行っておりません。適切な目標水準の設定ができる状態となりましたら、目標設定し、指標化による目標管理を行う予定です。

なお、2026年3月期末における子会社を含めた当社グループにおける女性の人数は、従業員7名(管理職を含む全従業員31名中)、取締役及び監査役は1名(全取締役及び監査役17名中)となっております。

※子会社を含めた当社グループの取締役及び監査役には、外国籍の取締役1名を含めております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、主に本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 有価証券上場規程等の違反による制裁

当社は東京証券取引所スタンダード市場に上場しております。有価証券上場規程に違反した場合には処分を受ける可能性があり、悪質なケースでは上場廃止となる場合があります。また、会社法、金融商品取引法、民法及び刑法等に基づく責任を問われる場合があります。

加えて、当社は2026年5月に特別注意銘柄に指定されております。当該指定を受けたことにより、内部管理体制及びコンプライアンス体制の改善・強化並びにその実効性の確保が重要な経営課題となっております。今後、改善計画の遂行状況や内部管理体制等について十分な改善が認められない場合には、当社株式の上場維持に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの信用力、事業活動、財政状態、経営成績及び株価等に重大な影響を与える可能性があります。

当社グループは、事業に関連する各種制度・法令改正に関する情報を日々モニタリングするとともに、弁護士及び公認会計士等の専門家から情報収集を行い、必要に応じて適切な助言を受けながら事前対策を講じる体制を構築しております。また、ガバナンス及びコンプライアンス体制の強化、内部統制の実効性向上並びに業務プロセスに対する監視機能の強化を継続的に推進しております。

 

② 貸金業法の業務規則及び自主規制団体による制裁

当社グループのクラウドバンク・キャピタル株式会社及びクラウドバンク・フィナンシャルサービス株式会社は、貸金業法の適用を受けており、各種の事業規制を受けております。また、貸金業法に定める自主規制機関である日本貸金業協会は自主規制基本規則を設け、過剰貸付け防止等に関する規則や広告及び勧誘に関する規則等を設けております。

当社グループは、高い法令等順守意識をもって、関係法令等に対する正確な理解及び役職員への周知徹底に努めるとともに、法令等違反行為を未然に防止するための内部管理体制及びコンプライアンス体制を整備しております。しかしながら、当社グループが貸金業法その他の関係法令等に違反した場合には、業務改善命令、過怠金及びその他の法的措置の対象となる可能性があります。また、法令等の改正により事業規制が強化された場合には、当社グループの信用力、事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 子会社に関連する事業等のリスク

当社グループの日本クラウド証券株式会社は金融商品取引法に基づく金融商品取引業を営んでおり、金融商品取引法及び金融商品取引業等に関する内閣府令に基づき、自己資本規制比率維持の規制が課されております。

当該比率については120%を下回らないよう管理する必要があり、120%を下回った場合には金融庁から業務の方法の変更等を命じられる可能性があり、100%を下回った場合には業務の全部又は一部の停止を命じられる可能性があります。

当社グループは、当該比率を重要な経営指標の一つとして位置付け、日々のモニタリングを実施することにより、適切な水準の維持に努めております。なお、2025年3月末時点における自己資本規制比率は224.8%となっております。しかしながら、市場環境の変化、保有資産の価格変動、事業拡大に伴うリスク量の増加及びその他の要因により自己資本規制比率が低下した場合には、行政処分の対象となる可能性があり、その結果、当社グループの事業活動、信用力、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 紛議及び訴訟

当社グループは、法令や自主規制等のルールに沿った取引であっても、お客様との意思疎通を欠くことにより苦情につながり、結果的に紛議となる場合があります。その場合、紛議解決のための協議和解金や訴訟の場合の支払い命令等により、損害賠償費用が発生する場合があります。

なお、2026年3月末において、当社グループを被告とする損害賠償請求件数は商品先物取引の受託に関し、1件(請求額129百万円)となっております。

 

⑤ 他社との競合リスク

当社グループは主に金地金事業及び事業者金融事業を営んでおり、金地金事業は地金商と競合しており、さらなる競争が激化した場合、地金の仕入代金の上昇や販売先の減少が発生する可能性があります。事業者向け金融事業においては、銀行やその他の貸金業者に加え、異業種からの新規参入などと競合する可能性があります。競争が激化した場合、貸付金利の引き下げ圧力や、よりリスクの高い貸付先への融資増加を招き、将来的に不良債権の増加につながるリスクがあります。その結果、当社における貸倒関連費用が増加する可能性があります。

 

⑥ 海外の暗号資産取引プラットフォームの指定解除リスク

当社グループはブロックチェーン技術を利用した金地金を裏付けとした暗号資産「Kinka(XNK)」を発行しております。全世界的に暗号資産取引の法規制が強化された場合、暗号資産の販売が減少、停止する可能性があります。また、現在、2社の海外暗号資産取引プラットフォームに指定を受けておりますが、主要各国で暗号資産取引に関して規制強化が行われた場合、事業の縮小又は事業からの撤退の可能性があります。

 

⑦ 取引先の契約不履行等に係るリスク

連結子会社であるクラウドバンク・キャピタル株式会社及びクラウドバンク株式会社は、事業者向けの貸金業を営んでおり、景気後退や金利上昇、取引先の業況悪化等の経済情勢の変化により、借入先事業者の資金繰りが悪化し、返済が困難となる事業者が増加する可能性があります。その場合、貸倒関連費用の増加や受取利息の減少が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、経済情勢の悪化に伴う資金需要の低迷等により、融資残高が減少した場合には、受取利息が減少し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが営む地金取引においては、取引先の信用悪化や不正取引等により売掛債権の回収が不能となるリスクがあります。特に、取引先確認が不十分であった場合や、取引先を装った第三者による不正行為等が発生した場合には、損失が発生する可能性があります。これらのリスクに対応するため、当社グループでは、与信管理規程を周知徹底するとともに、取引開始時における取引先確認手続の徹底、継続的な信用状況のモニタリング及び社内承認プロセスの強化を進めております。

しかしながら、これらの対応によってもすべてのリスクを回避できるものではなく、債権回収不能等が発生した場合には、当社グループの信用力、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況について

当社グループは、当連結会計年度において、2025年12月に金地金取引における売上債権13.4億円が未

回収となり、巨額の貸倒引当金を計上する事態に陥るなどした結果、多額な営業損失、経常損失及び親会

社株主に帰属する当期純損失を計上した上、営業活動によるキャッシュ・フローも重要なマイナスの値と

なりました。

このような財務状況の悪化に加え、今回の多額の売上債権の未回収を発生させた事態は企業行動規範の遵守すべき事項(業務の適正を確保するために必要な体制整備)の規定に違反し、内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められるため、当社株式は2026年5月26日から特別注意銘柄に指定されており、当社株式の上場廃止リスクも生じていることから、当社グループの今後の事業運営の見通しは不透明となったと評価せざるを得ません。

これらの状況により、当社グループは、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

当社は、当該状況を解消するために、当社をご支援頂いている株主様をはじめとするステークホルダーの皆様のご支援を受け、当社経営の安定化や今後の事業資金確保に向けた対応策を講じ、当該状況の解消又は改善に努め、グループ拡大に応じた経営監督体制の再構築及び事業基盤の強化を目指し、必ず当社の再生を図ってまいります。また、今回の特別注意銘柄指定を受け、多額の売上債権の未回収を発生させたという事態を厳粛に受け止め、ガバナンス及び内部管理体制の抜本的な見直しと強化を経営の最重要課題として進めるとともに、新経営体制において再発防止策を着実に実行し、その進捗状況の適切な開示を通じて、信頼回復に全力を尽くしてまいります。

しかし、当社の対応策は実施途上ないし計画途上であり、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

なお、当社グループの連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。

 

⑨ 当社株式の上場廃止リスク等について

当社は、株式会社東京証券取引所より、2026年5月25日に、下記のとおり、2026年5月26日から特別注意銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求を行う旨の通知を受けました。特別注意銘柄指定期間は、2026年5月26日から原則1年間とし、1年後に当社から内部管理体制確認書を提出、株式会社東京証券取引所が内部管理体制等の審査を行い、内部管理体制に問題があると認められない場合には指定が解除になります。一方で、内部管理体制に問題があると認められる場合には、原則として上場廃止となります。ただし、指定から1年経過後の審査において、内部管理体制等が適切に整備されていると認められるものの、適切に運用されていると認められない場合(適切に運用される見込みがある場合に限ります。)には、特別注意銘柄の指定を継続し、当該指定の継続を決定した日の属する事業年度(当該指定の継続を決定した日から当該事業年度の末日までの期間が3か月に満たない場合は当該事業年度の翌事業年度)の末日以降の審査までに、内部管理体制等の運用状況の改善を求められ、内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認める場合にはその指定が解除されます。一方で、内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認められない場合には上場廃止となります。なお、内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認められるものの、経過観察の対象銘柄に該当する場合には、最長3事業年度指定が継続され、その間同審査が行われます。

当社は、今回の特別注意銘柄指定を受け、13億4,000万円もの多額の売上債権の未回収を発生させたという事態を厳粛に受け止め、ガバナンス及び内部管理体制の抜本的な見直しと強化を経営の最重要課題として進めるとともに、2026年6月5日以降の新経営体制において再発防止策を着実に実行し、その進捗状況の適切な開示を通じて、信頼回復に全力を尽くしてまいります。株主、投資者の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしますことを、心より深くお詫び申し上げます。

 

1.銘柄 unbanked株式会社 株式 (コード:8746、市場区分:スタンダード市場)

2.特別注意銘柄指定日 2026年5月26日(火)

理由( 関連条項 )

企業行動規範の遵守すべき事項(業務の適正を確保するために必要な体制 整備)の規定に違反し、内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められるため

(有価証券上場規程第503条第1項第4号)

3.上場契約違約金金額 1,440万円

理由( 関連条項 )

企業行動規範の遵守すべき事項(業務の適正を確保するために必要な体制整備)の規定に違反し、当取引所の市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められるため

(有価証券上場規程第509条第1項第2号)

4.理由の詳細

unbanked株式会社(以下「当社」という。)は、2025年7月から11月にかけて行った金スクラップ品の取引(以下「本件取引」という。)における売掛金1,340百万円が未回収となったことを受けて、2026年3月2日(修正版は同年3月4日)、本件取引の事実関係の調査、原因分析及び再発防止策の検討を目的として設置した外部弁護士により構成される調査委員会の調査結果を開示しました。

これにより、同社では、同社が2025年7月まで行っていなかった金スクラップ品の掛取引を販売先の信用情報を十分に確認せずに2025年7月以降繰り返しており、必要な内部統制システムが適切に運用されていなかったことが明らかになりました。

これらの背景として、同社では主に以下の点が認められました。

・2020年7月11日付での特設注意市場銘柄(現「特別注意銘柄」)への指定を受けて策定された改善策について、2022年4月1日付での特設注意市場銘柄の指定解除後、時間が経過する中で、与信管理等の社内規程の理解

・運用等に複数の不備が認められる状況が生じていたものの、指定解除後に就任した経営陣はこれらを省みることがなく、過去の不適切な会計処理が行われた当時と同様にリスクの高い取引に対する牽制体制が機能していなかったこと

・経営陣は、筆頭株主が自社に不利益な取引を提案しないとの思い込みにより、本件取引が同社にとって通常とは異なるリスクの高い取引条件であったにもかかわらず、取引開始に際して取締役会決議を経るなどの慎重な対応が必要との認識に至らず、また、取引開始後も取締役会ではリスクの低い取引であるなどと実態と異なる説明を行い、その後に顕在化した取引先の与信上の問題を報告しないなど、リスク評価と対応において慎重さを欠いていたこと以上を総合的に勘案すると、同社では、業務の適正を確保するために必要な体制が適切に構築・運用されておらず、企業行動規範の遵守すべき事項(業務の適正を確保するために必要な体制整備)の規定に違反したと認められ、かつ、同社は2026年3月6日付で再発防止策に係る開示を行っているものの、未だ、同社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められることから、同社株式を特別注意銘柄に指定することとします。

また、本件は、過去に策定した改善策の実効性のある運用が継続できていなかった中で、筆頭株主が自社に不利益な取引を提案しないとの思いこみによって、リスク評価と対応が不十分なまま本件取引を繰り返した結果、同社にとって多額の売上債権の未回収を生じさせたという内部管理体制に極めて重大な不備が生じていたものであり、当取引所市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められることから、同社に対して、上場契約違約金の支払いを求めることとします

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、ドナルド・トランプ第47代米国大統領の就任以降、関税政策の動向や地政学的リスクの高まり等を背景として、経済政策全般に不確実性が増しております。これに伴い、エネルギー政策の方向性や中国との通商関係においても不透明な状況が続いております。

一方、我が国経済におきましては、エネルギー価格の上昇および円安の進行等を背景に消費者物価が上昇しており、インフレに対する警戒感が高まっております。また、個人消費マインドの低下が見られ、景気の減速が懸念される状況にあります。

このような環境のもと、金地金事業におきましては、海外市場では中国やインドなどの中央銀行が外貨準備の多様化やドル依存の軽減を目的として金の購入を加速させており、金価格は史上最高値を更新しております。

国内におきましては、景気の先行き不透明感や物価上昇への懸念等を背景に、個人投資家を中心として金投資への関心が急速に高まっており、金への投資は引き続き増加傾向にあります。

このような背景から、当社グループは国内に限らず海外の投資家や富裕層からの金需要の取り込みを進めております。海外子会社の「Kinka(BVI),Ltd.」が発行する金価格連動型の暗号資産「Kinka(XNK)」の販路拡大を目的に、新たなブロックチェーン上で「Kinka(XNK)」を発行・流通させるため、カルダノブロックチェーン創設企業の「EMURGO FINTECH INC.」とパートナーシップ契約を締結しました。今後も海外でのWeb3ビジネスの推進を図ってまいります。

ノンバンク事業においては、当連結会計年度にクラウドバンク株式会社を子会社化したことで、今後は融資型クラウドファンディング事業にも領域を広げ、収益の向上を目指してまいります。

 

この結果、当連結会計年度における売上高は9,394百万円(前年同期9,489百万円)、売上原価は8,169百万円(前年同期8,994百万円)となりました。営業損失は△2,792百万円(前年同期は営業利益187百万円)、経常損失は

△2,827百万円(前年同期は経常利益308百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は△3,808百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益236百万円)となりました。

セグメント別の業績は以下のとおりであります。

(金地金事業)

金地金事業におきましては、実需、投資および中央銀行の各セクターにおいて世界的な需要が増加していることに加え、国内においても長期的なインフレマインドの高まりを背景に金市場への資金流入が継続しており、金投資は引き続き高い関心を集めております。このような状況のもと、当社グループにおきましても投資家からの買い需要には一服感が見られたものの、引き続き堅調に推移しております。

しかしながら、2026年1月から3月にかけて金価格が大幅に変動したことに加え、相場の過熱感に対する警戒感も見られたことから、投資家心理が慎重化し、同期間における販売は低調に推移いたしました。

この結果、売上高8,043百万円(前年同期比△12.1%減)、セグメント損失は△1,067百万円(前年同期はセグメント利益103百万円)となりました。

(ノンバンク事業)

ノンバンク事業におきましては、不動産取引価格の上昇等を背景に、事業者からの不動産担保融資資金およびつなぎ資金に対する旺盛な資金需要が継続しており、貸出残高は増加しております。加えて、新たにクラウドバンク株式会社を取得したことにより、当社グループの収益は拡大しております。

この結果、売上高1,351百万円(前年同期比299.9%増)、セグメント損失は△1,416百万円(前年同期はセグメント利益255百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ△1,220百万円減少し2,059百万円となりました。なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動の結果、支出した資金は4,041百万円(前年同期は72百万円の支出)となりました。これは主に貸倒引当金の増加による収入3,344百万円及び、減損損失の計上による収入879百万円、関係会社株式評価損の計上による収入636百万円等、があった一方、税金等調整前当期純損失△3,779百万円の計上及び、匿名組合出資預り金の減少による支出4,257百万円、顧客からの預り金の減少による支出1,136百万円等、によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動の結果、支出した資金は246百万円(前年同期は960百万円の収入)となりました。これは主に差入保証金の差入による支出250百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動の結果、得られた資金は375百万円(前年同期は2百万円の支出)となりました。これは主に短期社債の発行による収入330百万円及び、子会社の自己株式の処分による収入46百万円等、によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、生産を行っておりませんので、記載を省略しております。

b.受注実績

当社グループは受注残がなく、販売行為のみとなることから、記載を省略しております。

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年4月1日

  至 2026年3月31日)

前年同期比(%)

金地金(百万円)

8,043

△12.1

ノンバンク(百万円)

1,351

299.9

合計(百万円)

9,394

△1.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手方

前連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

当連結会計年度

(自 2025年4月1日

  至 2026年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

日本マテリアル株式会社

2,282

24.0

4,865

51.8

個人A

4,252

44.8

2,365

25.2

(注)1.前連結会計年度及び当連結会計年度双方について、当該割合が100分の10未満の相手先は、記載を省略しております。

2.顧客個人の氏名については、個人のプライバシーに大きく関わる事項であること、及び顧客や当社の事業運営への影響が懸念されること、並びに当社の事業特性上、特定の個人や法人との継続的な取引に依存していないことに鑑み、公表を控えております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

a.重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたりまして、会計記録が適切であり、当社の役員及び内部統制上重要な役割を有する従業員による、連結財務諸表に重要な影響を与える違法又は不正な行為がないことを十分に調査し、当社監査人たる監査法人アリアに必要な帳簿、証憑等を提示しております。見積りにつきましては、過去の実績や現状等を勘案して合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は見積り自体に不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

また、時価が著しく下落した有価証券及び実質価値が著しく下落した市場価格がない株式及び評価額が著しく下落した不動産につきましては、必要な減損処理をすると共に、取り立て不能のおそれのある債権につきましては、必要と認められる額の引当金を計上しております。

さらに、無担保未収金や貸付金について債務者と取り交わした弁済計画書等による回収予定が滞った場合等は適宜、引当金の追加計上を行う考えであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

子会社であるクラウドバンク・キャピタル株式会社及びクラウドバンク株式会社の主たる事業は、事業者向けの不動産を担保としたローン事業であり、事業者の返済能力や政策金利の影響を受け、グループの業績に重要な影響を及ぼしております。

また、事業者の支払い能力や回収不能債権が増加した場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす要因となっております。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(金地金)

金地金事業は、金価格の持続的な高騰により、投資家からの旺盛な需要が発生しております。

しかし、金価格が大幅に変動したことに加え、相場の過熱感に対する警戒感も見られたことから、投資家心理が慎重化し、当連結会計年度は前年同期と比較し減収減益となりました。

(ノンバンク)

ノンバンク事業は、クラウドバンク・キャピタル株式会社を通じて、当社グループの余剰資金を事業者へ貸し出しております。新たにクラウドバンク株式会社を取得したことにより、収益が拡大しております。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、販売費及び一般管理費等の営業費用、金地金取引に係る仕入代金であります。当社グループの事業活動を行う上で必要な運転資金及び設備投資資金につきましては、主に内部資金から資金調達をしております。なお、当期末日現在における借入金の残高はありません。

 

 

5【重要な契約等】

当社は、2025年7月16日開催の取締役会において、当社を親会社とし、クラウドバンク株式会社を子会社化することを決議するとともに、2025年8月8日に効力を発生とする株式譲渡契約を締結しました。

詳細は「第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。