第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、投資・金融サービス業(金融商品取引、商品先物取引)、生活・環境事業(生命保険、損害保険の募集、広告用電設資材卸売業、LED照明等の販売事業)、スポーツ施設提供業(ゴルフ場関連事業)、不動産業(不動産賃貸業、宅地建物取引業)、インターネット広告業(SEO対策、サイト制作、コンサルティング業務)を事業領域としております。各事業部門ともにお客様の視線に立った公正・公平で誠実な経営を心がけてまいります。また、社会の責任ある一員として、順法精神と倫理観を大切にし、価値ある商品・サービスを提供することにより、すべてのステークホルダーの皆様とともに、豊かな社会の実現に寄与してまいります。

(2)経営戦略等

当社グループでは、不採算事業で将来性の見込めない部門からは早期に撤退を進め、事業再編・組織再編やM&Aなど機動的な再編を行い、安定した収益源の確保に向けて積極的な経営戦略に取り組んでまいります。

また、セグメントごとに新たな収益チャネルを模索しながら、経営資源の適切な配分に努め、安定した経営体制の確立に取り組んでまいります。

(3)経営環境

国内経済につきましては、トランプ政権の通商政策の動向、地政学的リスクの高まり、資源高による企業業績の圧迫や物価高騰による消費者マインドの低下などが、経済活動を抑制し停滞させるリスクとして懸念されます。その影響で、さらなる株価、為替、資源等の価格変動リスクが混在し、経営環境は見通しが立ちにくい状況で推移していくことが予想されます。

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの主たる事業である投資・金融サービス業は、商品市況、株式市況、為替相場等の変動に大きな影響を受ける傾向にあり、先行き不透明な事業環境のなかで今後の見通しを判断することが困難となっております。このような不確定要因が混在している業種の特異性から、経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等はありませんが、安定的な収益源の確保と継続的な営業利益の拡大が当社グループの最優先事項であります。

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社グループは、安定的な収益源の確保と継続的な営業利益の拡大のため、経営資源を最適に配分し、グループ事業の拡大と再編に努めてまいります。

 なお、セグメントごとの対処すべき課題は、次のとおりであります。

《投資・金融サービス業》

 当社グループの営業総利益のうち、投資・金融サービス業による営業収益への依存度が最も高くなっていることから、当該事業の拡大が最優先課題となっております。同部門においては、引き続き即戦力人材の採用等による営業力強化、ウェブサイト活用によるサービスの認知度向上、イベント・展示会への出展等による新規顧客獲得などを通じて顧客基盤の拡大を図るとともに、2025年2月にリリースした「シストレセレクト365」の効果的な販促活動を展開し、市場への浸透を加速させるよう努めてまいります。また、研修などを活用した社員の金融リテラシー向上と、社内業務の効率化による迅速かつ正確なサービス提供を通じて、顧客満足度の向上を図ってまいります。

《生活・環境事業》

 保険募集業務では、引き続き各所属員が各取扱保険商品の特徴を的確に把握し、変化する顧客ニーズに対応した提案力の向上を図るとともに、保険周辺知識、隣接業界等に関する情報や付帯サービスの提供ができる対応力の強化と既契約に対する保全活動の品質向上を図り、顧客基盤の拡大と安定化に取り組んでまいります。広告用電設資材卸売業においては、引き続き顧客ニーズに合った商品をツールにした企画力に重点を置いた営業活動により、需要拡大に注力してまいります。LED照明器具を中心とした販売事業においては、2023年に開催された水銀に関する水俣条約第5回締約国会議(COP5)において、一般照明用蛍光ランプの製造と輸出入が2027年末までに禁止されることが合意されました。代替器具として期待されるLED照明器具は、快適性及び電力経費の節減によるCO₂の削減効果の評価は高く、交換需要はより一層の高まりが見込まれます。国際的な経済情勢が不安定のなか、価格の高騰や供給不足などの懸念に十分留意しつつ、今後も大規模工場・倉庫・病院・商業施設・自治体に向けてLED照明器具のメリットを活かした提案営業を推進し、売上及び収益の拡大に注力してまいります。

《スポーツ施設提供業》

 ゴルフ場事業では、周辺のゴルフ場との差別化を図り、独自の営業スタイルを確立させ、顧客ニーズに応じたサービスや快適なプレー環境を提供することで、顧客満足度の向上に努めてまいります。

《不動産業》

 不動産業において、既設の賃貸物件については、建物や設備等の経年劣化具合を注視しながら、大規模改修など計画的な改修や設備更新を行うことで、物件の長期維持管理に努め、継続的かつ安定的な収益源の確保に繋げてまいります。また、短期で効率的な資金回転を目指す販売事業と中長期で安定的な賃料収入を確保する運用事業の両事業を推進し、堅固な事業基盤を確立するとともに、いかなる経済環境下においても持続的かつ安定した収益が維持できるよう取り組んでまいります。

《インターネット広告業》

 インターネット広告業では、市場環境の変化や広範な顧客ニーズに対応しながら、既存サービスの拡充と新たな収益チャネルの多様化により、顧客基盤の拡大と収益の向上に繋げてまいります。

 これらの既存事業以外にも、継続的に安定した収益が期待できる事業分野に関しましては新規参入を含めて検討してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社は、次に掲げる事項を経営理念としております。

・お客様第一を旨とします

  私たちは、人と人とのつながり、お客様とのつながりを大切にし、常にお客様の視線に立った行動を心掛けてまいります。

・誠実な経営を歩みます

  私たちは、遵法精神と倫理観を大切にし、公正・公平で誠実な経営を歩んでまいります。そして、お客様をはじめ当社に係る全てのステークホルダーの方々のご期待にお応えしてまいります。

・豊かな社会の実現に寄与します

  私たちは、私たちが行う投資・金融サービスや営業活動を通じて、より豊かな社会を実現する使命を担っています。私たちに今できること、やらなければならないことを考え、行動してまいります。

 これらの経営理念にも通じる、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組んでまいります。

 取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しております。常務会、コンプライアンス委員会等で協議された内容の報告を受け当社グループのサステナビリティのリスク及び機会への対応等を監視しております。

 

(2)戦略

 当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

人材育成方針

 当社グループの主たる事業である投資・金融サービス業においては、入社時における新入社員研修、コンプライアンス研修を実施し、営業社員には必須である外務員研修を行っております。また、金融リテラシーの向上のためFP資格の取得を奨励しております。また、役職に応じた階層別研修も実施しております。

社内環境整備方針

 従業員一人ひとりが働きがいを持って能力を十分に発揮できる仕組みづくりと、安心して働き続けることができる働きやすい職場環境、時間や場所にとらわれない働き方ができる環境の整備に努めてまいります。具体的には、リモートワークへの対応として、コロナ禍を契機に、リモートワークが可能な社員に対しては、組織と個人の生産性を維持・向上させるべく、コミュニケーションツールのデジタル化等を行っております。

 

(3)リスク管理

 当社グループにおいて、全社的なリスク管理は、内部監査室において行っておりますが、サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては業務部門と詳細な検討を行い、共有しております。優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、当社グループに与える財務的影響、当社グループの活動が環境・社会に与える影響、発生可能性を踏まえて行われます。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した内容に係る目標については、投資・金融サービス業においては関連する目標のデータ管理とともに具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載は困難であります。このため次の目標は当社グループの主たる事業である投資・金融サービス業のものを記載しております。

目標

 女性が活躍できる職場であることについての求職者にむけた積極広報、男性労働者中心であった職場への女性労働者の配置拡大と、それによる多様な職務経験の付与等により、営業職の女性労働者の採用を2人以上増員することを目標としておりましたが、計画期間中に達成しております。

 今後の目標としては、女性労働者が活躍できる企業であることをPRし、女性労働者に対してスキルアップ制度を奨励するなどして、管理職(課長級以上)の女性労働者を2人以上増員することであります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資の判断をする上で、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下に記載するとおりであります。

 当社グループはこれらのリスク発生要因を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 市況による影響について

 当社グループの営業総利益のうち商品先物取引における受取手数料が約12%を占めております。当該取引は相場商品を取引の対象としていることから、受取手数料は国内外の金融市場の動向や経済情勢の影響を受けやすい傾向にあり、結果、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。また、これらの要因により長期間にわたって商品市場における売買高の低迷や減少が続いた場合には、当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、金融商品取引(くりっく365及びくりっく株365)の受取手数料は、当社グループの営業総利益の約49%を占めております。当該取引におきましても、為替市場や株式市場の市況動向の影響を受ける傾向があります。

(2) 法的規制及び改定等による新たな規制の導入について

 当社グループの主事業である商品先物取引は、商品先物取引法、同施行令、同施行規則などの関連法令、日本商品先物取引協会が定めた自主規制ルールなどの適用を受けております。また、これらの他に消費者契約法や個人情報保護法などの適用を受けております。金融商品取引(くりっく365及びくりっく株365)は、金融商品取引法を中心とした法令・諸規則の適用を受けております。なお、財務の健全性を測る指標の一つとして純資産額規制比率(商品先物取引法)、自己資本規制比率(金融商品取引法)の制度があり、それぞれに規制比率を120%以上維持することが義務付けられております。
 これらの適用法令に抵触した場合には、許認可及び登録の取消し、業務停止などの行政処分等が行われることがあり、そのような場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 個人情報について

 当社グループは、業務遂行上の必要性から多くの個人情報をコンピュータシステムなどによって取扱っております。当社グループは、個人情報の管理について、個人情報保護管理責任者を設置し、個人情報保護規程や社内システム管理規程等を設けるとともにコンピュータシステムのセキュリティー強化にも努めており、また役職員への啓蒙活動を行い、当該情報の管理に万全を期しております。
 しかしながら、万が一、外部からの不正アクセスなど何らかの方法により個人情報が漏洩した場合には、当社グループはその責任を問われると同時に社会的な信用を失う怖れがあり業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) コンピュータシステムについて

 当社グループは、お客様からのホームトレードシステムや金融商品取引(くりっく365及びくりっく株365)ツールによる売買注文の受付、商品取引所への売買注文の発注をはじめ、多くの業務でコンピュータシステムを利用しております。当社グループは、費用対効果を考慮しつつ、システム投資を行い安定稼動に努めておりますが、回線障害、機器の誤作動、プログラムの不備、不正アクセス、自然災害などによりシステムに障害が発生した場合、当社グループの業務に支障が生じ、その規模によっては、業績に重大な影響を受ける可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善されるなか、各種政策の効果により、一部に景気の停滞が見られるものの引き続き緩やかな回復傾向にあります。一方で、不動産市場の低迷による中国景気の停滞長期化の懸念に加え、トランプ政権の通商政策による海外景気の下振れリスクや長引く物価高による消費者マインドの低迷などが、わが国の景気を下押しするリスクとなっており、先行きは不透明な環境が続くと見込まれます。

 当社グループの主たる事業である投資・金融サービス業において、国内の商品市場のうち金は、前半は地政学的リスクの高まりや歴史的な円安進行の影響を受け、期先の金価格は随所で12,000円を超えるなど高値圏で推移しました。しかし、日経平均株価が過去最大の下げ幅を記録した8月5日には、投資家の投資意欲の急低下から総リスクオフとなり、ほとんどの金融資産が売られ、その影響で金価格も急落し、翌日には一時11,000円を割り込みました。一方後半は国際情勢の不安定から安全資産として金人気が再燃すると、円安基調も重なり、一気に13,000円を突破し、10月31日には13,819円まで上昇しました。さらに2025年に入り第2次トランプ政権が発足すると、米中の貿易摩擦が激化したことに加え、新たな関税措置が発表されたことを受け、投資家心理は安全資産としての金へシフトしました。その影響で金価格はさらに上昇基調となり、期末の3月31日には、ついに15,000円を突破しました。

 国内の株式市場において、前半の日経平均株価は、米国ハイテク株の上昇基調の影響とは裏腹に、日銀の追加利上げに対する警戒感などから買いを手控える動きもあり、一進一退を繰り返す値動きとなりましたが、34年ぶりの円安水準に進行すると、日経平均株価は7月11日に42,426円77銭まで上昇し、史上最高値を更新しました。しかし、一転ドル安・円高へ反転したことを皮切りに、米国景気の先行き不安が露呈されると、世界の株式市場が大幅に下落し、そこにパニック相場が重なったことで、8月5日の日経平均株価は、前週末比4,451円28銭安の過去最大の下げ幅を記録するなど、短期間で歴史的な乱高下を経験しました。後半は、11月の米国大統領選挙を見据えた値動きから、次期大統領がトランプ氏に決定すると、株式市場における不確実性が投資家の投資判断を慎重にさせ、一進一退のレンジ相場となりました。2025年に入りトランプ政権による関税政策が次々と発表されると、世界経済に与える影響について不確実性がさらに高まり、米国におけるスタグフレーション懸念の再燃も重なったことで、米国株式市場を中心に下落基調となりました。その影響で日経平均株価も期末にかけて下落しました。

 生活・環境事業において、生保業界は、少子高齢化による人口減や運用難により厳しい収益環境が続きました。また、営業職員の獲得においても高齢化や人手不足で難しくなるなか、代理店網の拡充や海外事業の強化など、事業モデルの見直しが進みました。一方で損保業界は、近年の世界的な異常気象による自然災害の多発により保険金支払いが増加し、収益を圧迫してきましたが、収支改善に向けて契約や審査を厳格化するなか、10月の火災保険料の改定では過去最大級の引き上げとなりました。広告用電設資材卸売業においては、景気回復に向けての動きが進んだことから、広告関連の設備投資需要も増加傾向となりました。また、LED照明販売事業では、蛍光灯からLED照明器具への取り換えが進んでおり、加えて節電意識の高まりから、需要が堅調に推移しました。

 スポーツ施設提供業において、ゴルフ業界は、インドアゴルフの普及や若手女子プロゴルファーの活躍で若年層や女性のゴルファーが増えるなど幅広い層に受け入れられ、再び活性化しました。一方で、今まで当業界を支えてきた団塊の世代の高齢化に伴い、ゴルフ人口が減少する懸念も出てきましたが、都市部を中心とした身近で気軽にゴルフが楽しめるインドアゴルフの需要が伸びており、ゴルフ人気の下支えとなりました。

 不動産業において、ビジネスホテルは、インバウンド需要の回復と円安基調が重なり、引き続き高水準の稼働率で推移しました。また、コロナ禍を経て宿泊者のニーズは多様化・高度化しており、無人のチェックイン・アウトシステムやAIコンシェルジュサービスなどの非接触型サービスの導入が進みました。賃貸用マンションは、建築資材の高騰や人手不足の影響で、都心部のワンルームマンションの発売戸数、着工数ともに減少しました。一方で、単身世帯の増加により、都心部ではワンルームマンションの需要増と希少性から、賃料は上昇基調となりました。

 インターネット広告業において、国内の広告市場は、好調な企業業績や屋内外のイベントなどの増加に加え、コロナ禍前を超えるインバウンド需要の高まりの影響を受け、好調に推移しました。特にインターネット広告につきましては、SNSやCTV上の動画広告の需要が一層高まり、広告市場全体の成長拡大に寄与しました。

このような事業環境のもと、投資・金融サービス業は、8月と3月の2度の相場暴落により、顧客からの預り資産の大幅な減少と、それに伴う手数料収入の減少がありましたが、イベント出展等による新規営業の強化により、顧客基盤の拡大と預り資産の回復に注力した結果、手数料収入、預り資産ともに、年間目標を達成しました。また、システム導入等による業務効率化のための社内管理体制整備を進めたほか、前年度から準備を進めてきた「くりっく365の自動売買サービス(シストレセレクト365)」の提供を2025年2月から開始しました。その結果、金融商品取引の受取手数料は1,560百万円(前連結会計年度比12.1%増)、商品先物取引の受取手数料は382百万円(同28.6%減)となったため、投資・金融サービス業の受取手数料は1,942百万円(同0.8%増)となり、営業収益2,045百万円(同3.6%増)となりました。

生活・環境事業の保険募集事業において、生保は保障を主たる目的とした変額保険の法人・富裕層提案を、損保は既存顧客の継続率維持や新規企業開拓を中心に注力したため、生保の大口契約及び自動車・火災保険の新規契約獲得等に繋がり、手数料収入は年間目標を達成しました。また、2025年4月の分社化・独立に向けて、新たな社内体制の整備を進めてまいりましたが、それに伴う諸経費が年間経費目標の超過要因となったものの、新会社の強固な体制構築に向けて一定の目途をつけることができました。その結果、募集手数料は327百万円(同7.5%増)となりました。また、広告用電設資材卸売業では、売上高494百万円(同19.4%増)となり、LED照明等の販売事業の売上189百万円(同8.2%減)などを加えた、生活・環境事業の営業収益は1,012百万円(同9.3%増)となりました。

 スポーツ施設提供業において、当社が所有するゴルフ場(ゴールデンクロスカントリークラブ)では、行楽シーズンは、さまざまな娯楽への選択肢が増えるなか、集客に苦戦を強いられる結果となりましたが、前年と同様に記録的猛暑に見舞われた夏場は、プレースタイルの多様化などが功を奏し、売上、来場者数ともに好調に推移しました。また、ハイシーズンや冬場においても比較的天候に恵まれたことから、期間を通して、売上、来場者数は前年を上回ることができました。その結果、売上高は493百万円(同4.0%増)となりました。

 不動産業において、不動産賃貸では、当社グループが所有する賃貸用マンションの入居率は、引き続き高水準で推移しました。また、物件の長期維持管理と入居者の満足度向上を目的とした修繕及び設備更新に注力しました。ビジネスホテルにおいては、訪日外客数の累計が過去最多を記録するなど、インバウンド需要が活況するなかで、引き続き稼働率や宿泊単価は高水準で推移しました。また、不動産売買では、新築アパート等の大型物件の売却や計画より高値での売却など、販売用不動産の売却も順調に進んだ結果、年間目標を大きく上回る業績となりました。販売用不動産の仕入については、引き続きリフォーム費用を含めた価格の高騰という厳しい環境が続きましたが、主力の区分マンション以外にも視野を広げながら、慎重に物件を選別して購入を進めた結果、次年度の計画達成を見通せる水準まで在庫を確保できました。その結果、売上高は781百万円(同4.0%増)となりました。

 インターネット広告業においては、動画広告需要の高まりやデジタルプロモーション市場の拡大など好調な事業環境が続くなか、アフィリエイト広告の運用代行やテレビコマーシャルの受注に注力するなど、収益の確保に努めてまいりました。その結果、売上高は348百万円(同3.6%減)となりました。

 これらの結果、営業収益は4,680百万円(同4.3%増)、営業総利益は3,182百万円(同3.5%増)となりました。

一方、営業費用は3,001百万円(同8.4%増)と増加したため、営業利益は181百万円(同40.7%減)、経常利益は255百万円(同30.2%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は239百万円(同35.4%減)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりです。

a 投資・金融サービス業

 当連結会計年度の投資・金融サービス業の営業収益は2,045百万円(前連結会計年度比3.6%増)、セグメント利益は229百万円(同19.4%減)となりました。

 当連結会計年度における投資・金融サービス業の営業収益は、次のとおりであります。

イ 受取手数料

区分

金額(千円)

前年同期比(%)

金融商品取引

 

 

 

取引所株価指数証拠金取引

1,035,389

0.6

 

取引所為替証拠金取引

524,946

44.8

金融商品取引計

1,560,335

12.1

商品先物取引

 

 

 

現物先物取引

 

 

 

貴金属市場

341,373

△32.0

 

農産物市場

193

△77.2

 

ゴム市場

796

129.8

 

エネルギー市場

 

小計

342,363

△32.0

 

現金決済取引

 

 

 

貴金属市場

37,597

33.6

 

エネルギー市場

2,063

△45.6

 

小計

39,661

24.2

商品先物取引計

382,024

△28.6

合計

1,942,360

0.8

 

ロ その他

区分

金額(千円)

前年同期比(%)

その他

102,920

119.4

合計

102,920

119.4

 

 当社グループの金融商品取引及び商品先物取引の売買高に関して当連結会計年度中の状況は、次のとおりであります。

ハ 金融商品取引の売買高の状況

区分

委託(枚)

前年同期比(%)

取引所株価指数証拠金取引

1,839,376

18.3

取引所為替証拠金取引

997,444

117.6

小計

2,836,820

40.9

 

 

ニ 商品先物取引の売買高の状況

市場名

委託(枚)

前年同期比(%)

現物先物取引

 

 

貴金属市場

85,601

△5.8

農産物市場

117

△85.2

ゴム市場

1,051

145.0

エネルギー市場

小計

86,769

△5.8

現金決済取引

 

 

貴金属市場

65,633

40.5

エネルギー市場

1,291

△35.5

小計

66,924

37.4

合計

153,693

9.1

 

 

 (注)1.主な商品別の委託売買高とその総委託売買高に対する割合は、次のとおりです。

前連結会計年度

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

当連結会計年度

自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

取引所名

銘柄名

委託売買高

(枚)

割合(%)

取引所名

銘柄名

委託売買高

(枚)

割合(%)

㈱大阪取引所

69,768

49.5

㈱大阪取引所

59,042

38.4

白金

20,833

14.8

金ミニ

34,093

22.2

金ミニ

20,511

14.6

白金

26,504

17.2

金限日

18,822

13.4

金限日

23,072

15.0

白金ミニ

4,291

3.0

白金ミニ

5,197

3.4

2.商品先物取引における取引単位の最低単位を枚と呼び、例えば金は1枚1kg、白金は1枚500gというように1枚当たりの数量は商品ごとに異なります。

 当社グループの金融商品取引及び商品先物取引に関する売買高のうち、当連結会計年度末において反対売買により決済されていない建玉の状況は、次のとおりであります。

ホ 金融商品取引の未決済建玉の状況

区分

委託(枚)

前年同期比(%)

取引所株価指数証拠金取引

68,181

27.5

取引所為替証拠金取引

108,226

42.3

小計

176,407

36.2

 

へ 商品先物取引の未決済建玉の状況

市場名

委託(枚)

前年同期比(%)

現物先物取引

 

 

貴金属市場

725

△57.4

ゴム市場

10

△73.0

小計

735

△58.7

現金決済取引

 

 

貴金属市場

1,729

△41.5

エネルギー市場

46

△37.0

小計

1,775

△41.4

合計

2,510

△47.8

 

b 生活・環境事業

当連結会計年度の生活・環境事業の営業収益は1,012百万円(前連結会計年度比9.3%増)、セグメント利益は31百万円(同45.3%減)となりました。

区分

金額(千円)

前年同期比(%)

生命保険・損害保険事業

327,875

7.5

広告用電設資材卸売業

494,690

19.4

LED照明等の販売事業

189,455

△8.2

合計

1,012,021

9.3

 

c スポーツ施設提供業

当連結会計年度のスポーツ施設提供業の営業収益は493百万円(前連結会計年度比4.0%増)、セグメント利益は36百万円(同15.2%減)となりました。

d 不動産業

当連結会計年度の不動産業の営業収益は781百万円(前連結会計年度比4.0%増)、セグメント利益は253百万円(同1.3%増)となりました。

区分

金額(千円)

前年同期比(%)

不動産賃貸料収入

252,625

△0.2

不動産販売収入

528,497

6.2

合計

781,122

4.0

 

e インターネット広告業

当連結会計年度のインターネット広告業の営業収益は348百万円(前連結会計年度比3.6%減)、セグメント利益は26百万円(同42.4%減)となりました。

 

財政状態については次のとおりです。

 当連結会計年度の総資産は20,878百万円、純資産は9,767百万円、自己資本比率は46.8%、1株当たり純資産額は784.6円となっております。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースのキャッシュ・フローは、営業活動による収入443百万円(前連結会計年度は240百万円の収入)、投資活動による支出327百万円(前連結会計年度は342百万円の支出)及び財務活動による支出92百万円(前連結会計年度は36百万円の収入)でありました。この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,722百万円(前連結会計年度末比23百万円増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果得た資金は、443百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益312百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、327百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出123百万円の計上等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、92百万円となりました。これは主に、配当金の支払額62百万円の計上によるものであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループは、過去の実績及び判断により合理的と考えられる数値に基づいて評価及び見積りを行っております。ただし、見積りによる不確実性のため異なる結果となる可能性があり、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は次のとおりであります。

(営業収益)

 営業収益は、受取手数料2,273百万円(前年同期比41百万円増)、売上高2,307百万円(前年同期比99百万円増)、その他の営業収益99百万円(前年同期比52百万円増)となりました。当社グループの中核事業である投資・金融サービスにおいて金融商品取引の受取手数料は1,560百万円(前年同期比168百万円増)、商品先物取引の受取手数料は382百万円(前年同期比153百万円減)となりました。売上高は、生活・環境事業1,012百万円、スポーツ施設提供業493百万円、不動産業781百万円、インターネット広告業348百万円であります。

(営業費用)

 厳しい経営環境が続いている状況をふまえて事業経費の見直しを進めておりますが、営業費用は3,001百万円(前年同期比233百万円増)となりました。主な営業費用の内訳は、人件費が1,838百万円(前年同期比59百万円増)、電算機費が211百万円(前年同期比29百万円増)、取引所関係費が86百万円(前年同期比23百万円増)、広告宣伝費が68百万円(前年同期比21百万円増)であります。

(営業損益)

 増収となりましたが営業費用の大幅な増加により営業利益は181百万円(前年同期比124百万円減)となりました。

(経常損益)

 経常利益は255百万円(前年同月比110百万円減)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は239百万円(前年同期比131百万円減)となりました。

 

前連結会計年度

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

当連結会計年度

自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

区分

金額(百万円)

営業収益に占める割合(%)

金額(百万円)

営業収益に占める割合(%)

 営業収益

4,486

100.0

4,680

100.0

 内訳 受取手数料

2,232

49.8

2,273

48.6

売上高

2,207

49.2

2,307

49.3

その他の営業収益

46

1.0

99

2.1

 売上原価

1,412

31.5

1,497

32.0

 営業費用

2,768

61.7

3,001

64.1

 営業利益

305

6.8

181

3.9

 経常利益

365

8.1

255

5.5

親会社株主に帰属する当期純利益

370

8.3

239

5.1

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」の項目をご参照ください。

(資産、負債及び純資産の状況)

 当連結会計年度末の総資産額は、前期末と比べ2,408百万円増加し20,878百万円となりました。これは主に、差入保証金の増加1,944百万円及び投資有価証券の増加271百万円によるものであります。
 負債総額は、前期末と比べ2,162百万円増加し11,110百万円となりました。これは主に、預り証拠金の増加1,441百万円によるものであります。
 純資産額は、親会社株主に帰属する当期純利益239百万円及びその他有価証券評価差額金の増加68百万円により、9,767百万円となりました。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。

(キャッシュ・フロー)

 当社グループの資金状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照ください。

(契約債務)

 2025年3月31日現在、該当事項はありません。

 

(財務政策)

 当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または金融機関からの借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、賃貸不動産に係る設備投資などの長期資金は、変動金利の長期借入金で調達しております。

 2025年3月31日現在、長期借入金の残高はありません。また、当連結会計年度において、取引銀行1行との間で合計400,000千円の当座貸越契約を締結しております(借入未実行残高330,000千円)。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(投資・金融サービス業)

 営業収益は、金融商品取引の受取手数料1,560百万円(前連結会計年度比12.1%増)、商品先物取引の受取手数料382百万円(同28.6%減)、その他の営業収益と合わせて2,045百万円(同3.6%増)となりました。

セグメント損益は、営業費用167百万円の増加で229百万円の利益(同19.4%減)となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度に比べ1,988百万円増加し11,800百万円となりました。

(生活・環境事業)

売上高は、86百万円増の1,012百万円(同9.3%増)となりました。

セグメント損益は、営業費用の増加51百万円により31百万円の利益(同45.3%減)となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度に比べ328百万円増加し1,952百万円となりました。

(スポーツ施設提供業)

売上高は、18百万円増の493百万円(前連結会計年度比4.0%増)となりました。

セグメント損益は、営業費用の増加19百万円により36百万円の利益(同15.2%減)となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度に比べ25百万円増加し1,058百万円となりました。

(不動産業)

売上高は、30百万円増の781百万円(同4.0%増)となりました。

セグメント損益は、253百万円の利益(同1.3%増)となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度に比べ116百万円増加し5,943百万円となりました。

(インターネット広告業)

売上高は、12百万円減の348百万円(同3.6%減)となりました。

セグメント損益は、26百万円の利益(同42.4%減)となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度に比べ17百万円減少し241百万円となりました。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。