第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 本中金における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 本中金は、次のような経営理念と運営方針に基づき事業運営を行っております。

 

① 経営理念

 信用金庫の中央金融機関として、信用金庫業界の発展につとめ、もってわが国経済社会の繁栄に貢献する。

 

② 運営方針

a.信用金庫の経営基盤の強化、業務機能の補完、信用力の維持・向上につとめる。

b.信用金庫からの安定的な資金調達につとめるとともに、資金調達手段の多様化をはかる。

c.市場運用力の強化、金融サービスの拡充をはかる。

d.金融環境の変化に柔軟に対応するとともに、新規業務にも積極的に取り組む。

e.地域の一員として、信用金庫とともに地域の発展と活性化に貢献する。

f.健全経営の理念のもと、経営の効率化、自己資本の充実、リスク管理の強化につとめる。

g.プロフェッショナルな人材の養成と魅力ある職場づくりをはかる。

h.社会一般に高く評価される金融機関を目指す。

 

(2) 経営環境

 わが国経済は、各国金融政策の動向や地政学リスクの高まりに引き続き留意する必要があるものの、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い経済活動の正常化が進んでいるほか、賃金上昇率が30年振りの高水準を記録するなど、経済の好循環が期待される局面を迎えております。

 一方、地域経済を支える中小企業においては、原材料価格や人件費の上昇に見合った価格転嫁を十分に行うことができず、業況回復の重荷となっております。加えて、労働人口の減少や雇用流動性の高まりを背景に人材不足が一段と深刻化しており、依然として厳しい経営環境が続いております。

 こうした中、地域金融の重要な担い手として信用金庫に寄せられる期待は高まっており、信用金庫業界の中央金融機関である本中金においては、信用金庫と連携して地域や中小企業の課題解決に資する実効性の高いソリューションを提供していくことが求められております。

 

(3) 対処すべき課題

① 経営戦略

 本中金は、2022年度から2024年度までの3か年を計画期間とする中期経営計画「SCBストラテジー2022」を策定し、各種施策に取り組んでおります。

 

a.中期経営計画の全体像

 

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b.4つのストラテジー

 (a) ストラテジー1「地域の課題を解決する機能の向上」

  ・コロナ禍で高まった地域からの期待に応えるべく、地域の課題解決に対する貢献度の高い

   取組みに重点を置き、施策の実効性を高めてまいります。

  ・信用金庫業界がこれらの取組みに対する適正な対価を受領し、持続的に地域に対して良質

   なサービスを提供する仕組みの構築を目指します。

 

 (b) ストラテジー2「信用金庫の収益力・リスク対応力の強化」

  ・信金中金グループが一体となって、資金運用・リスク管理サポートをはじめとする信用金

   庫に対するコンサルティング機能の深化を図ります。

  ・信用金庫の収益源の多様化に資する商品・サービスの提供を進めます。

 (c) ストラテジー3「持続的かつ効率的な業務運営態勢の構築」

  ・限られた経営資源の有効活用に向けて、共同化・集中化・外部委託の促進による業務効率

   化に取り組むとともに、業務の堅牢性・持続性の維持・向上に取り組みます。

  ・信用金庫業界のビジネスモデル変革の土台となる環境の整備を進めます。

 

 (d) ストラテジー4「信金中金の財務基盤の強化」

  ・信用金庫業界の機能強化にかかる相応のコスト負担が見込まれる中、リスクアペタイト・

   フレームワーク運営の高度化や専門人材の育成等を通じて、収益力強化を目指します。

  ・わが国有数の機関投資家として、ESG投融資の推進等を通じて、社会の持続可能性の向上に

   寄与する取組みを進めます。

 

c.HaNDによる変革

 環境・社会の持続可能性の危機やデジタル化の急速な進展といった社会変容の中で、信用金庫業界の競争力を高めていくためには、現状維持や既存事業の改善・改良に留まることなく組織能力を改革し、ビジネスモデルそのものを変革していくことが必要と考えております。

 本中金では、信用金庫業界にとって強み・機会となりうるテーマである人財、ネットワーク、デジタルを3つの軸として変革を生み、業界の競争力を高めることで、「2030年までに目指す姿」の実現を目指します。

 

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d.しんきんグリーンプロジェクト

・2021年9月に策定した「信金中央金庫グループ環境方針」に則り、信用金庫とともに、環境問

 題の解決に向けた取組みを推進してまいります。

・信用金庫業界独自のグリーン戦略を通じて、「信用金庫=グリーン」のブランドイメージの

 定着を企図しております。

 

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② 中期的な目標収益水準および維持すべき経営指標

 本中金は、リスクアペタイト・フレームワークを活用し、収益・リスク・資本のバランスを重視した財務基盤の構築につとめることとし、本中計期間(2022~2024年度)において、次のとおり中期的な目標収益水準および維持すべき経営指標を設定しております。

 2024年度は、世界経済が緩やかながら着実に成長するとの見通しのもと、各国の金融政策が転換点を迎えており、日銀による正常化に向けた追加利上げも見込まれております。一方で、粘着質なインフレや地政学リスクの高まり等、リスク要因も散在しており、依然として「先行き不透明感の強い市場環境」の継続が想定されております。こうした環境のなか、本中金としては、リスクアペタイト・フレームワークのもと、市場環境の変化に機動的かつ臨機応変に対応してまいります。また、2024年3月に実施した増資対応も踏まえ、収益力強化につとめることで、中長期的に安定した収益の確保に取り組んでまいります。

 こうした見通しのもと、2024年度における連結の業績予想は、経常利益550億円、親会社株主に帰属する当期純利益400億円、自己資本比率(国内基準)20%台としております。

 なお、今後、金融政策の大幅な変更や地政学リスクの高まり等により、資金運用収支等が変動し、本中金の業績が予想から乖離する可能性があります。

 

・中期的な目標収益水準(2022~2024年度)

 親会社株主に帰属する当期純利益 400億円程度

 

・維持すべき経営指標

 連結自己資本比率(国内基準)  15%以上

 配当可能限度額         2,000億円以上

 

③ 優先的に対処すべき課題

 中小企業を取り巻く環境が厳しさを増す中、地域金融の重要な担い手として信用金庫に寄せられる期待は高まっており、取引先の経営改善といった優先分野に注力することはもとより、中長期的な視点に立って、DXやGXを通じた地域社会全体の変革を促していくことが求められております。また、信用金庫が将来にわたって地域からの期待に応えるためには、信用金庫自身のビジネスモデルの持続可能性を高めていくことも必要となっております。

 こうした中、本中金では、信用金庫の収益力および健全性の維持・向上に向けた取組みを一層強化してまいります。また、2030年までに目指す姿としている「信用金庫と信金中金の各々が強みとする分野への経営資源の適正配分」の考え方にもとづき、生成AIなどデジタル技術の活用による生産性向上や、バックオフィス業務の共同化といった人材不足に対応する施策を拡充するとともに、信用金庫と連携して地域や中小企業の課題解決に資する実効性の高いソリューションの提供につとめてまいります。

 加えて、信用金庫業界の中央金融機関としての機能を安定的に発揮していくため、リスクアペタイト・フレームワーク運営の高度化による安定的な収益確保につとめつつ、中長期的な視点で収益力向上を目指してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 本中金グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

 なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)ガバナンス

 本中金は、サステナビリティにかかるリスクや機会を含めた取組みにつきまして、サステナビリティ推進部(2024年4月に「SDGs推進部」から改組)が中心となって組織横断的に推進しております。

 本中金におけるサステナビリティにかかる対応方針につきましては、経営会議で審議のうえ、理事会で決議しております。理事会の方針を踏まえた取組状況につきましては、経営会議で審議のうえ、年1回以上理事会に報告しております。また、気候変動リスクにつきましては、経営会議の下部機関であるリスク管理委員会等に定期的に付議しております。加えて、グループ一体経営の観点から、本中金の理事長およびサステナビリティ推進部担当役員ならびに連結子会社の社長で構成する「グループサステナビリティ推進協議会(2024年4月に会議名を「グループSDGs推進協議会」から変更)」を年2回開催し、本中金グループにおけるサステナビリティにかかる取組方針等について協議しております。

 

・サステナビリティにかかる推進体制(2024年4月以降)

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・各会議体におけるサステナビリティにかかる主な付議内容

会議体

年月

これまでの主な付議内容

理事会

2019年7月

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同

2019年9月

信金中央金庫グループSDGs宣言の策定

2020年9月

信金中央金庫グループにおけるSDGsへの取組み

2021年4月

赤道原則の採択

2021年7月

気候変動対応の強化

2021年9月

信金中央金庫グループ環境方針の策定

2023年9月

信金中央金庫グループ人権方針の策定

2023年10月

しんきんグリーンプロジェクトにかかる取組状況

経営会議

2020年3月

責任ある投融資を行うための事業別投融資ガイドラインの策定

2023年2月

温室効果ガス排出量実質ゼロに向けたロードマップの策定

2023年11月

気候変動対応におけるScope3の実質ゼロに向けた対応の着手

2024年2月

人権デュー・デリジェンスの実施

グループ

サステナビリティ

推進協議会

2021年7月

信金中央金庫グループ環境方針の策定に向けて

2022年7月

地域の脱炭素化に向けた各社の取組みの共有および連携可能性

2022年7月

信金中央金庫グループの温室効果ガス排出量実質ゼロに向けた課題

2023年1月

信金中央金庫グループの気候変動対応

2023年7月

信金中央金庫グループ人権方針の策定に向けて

2024年1月

優先して取り組むべきサステナビリティ課題への対応

 (注) 1.定期的に付議している内容は、初回分のみ記載しております。

    2.経営会議への付議内容につきまして、経営会議を経て理事会に付議している内容は記載を省略しております。

 

(2)戦略

 本中金グループは、「信金中央金庫グループSDGs宣言」を策定し、信用金庫の中央金融機関を核とするグループとして、協同組織の理念に則り、「地域」、「人々」および「環境」の3つを重要なテーマとし、全国の信用金庫とともに、持続可能な社会の実現に向けた活動に取り組んでおります。また、サステナビリティにかかるリスクや機会につきましては、サステナビリティ推進部が中心となって適切に認識し、対応しております。

 

① 気候変動への対応について

 気候変動を含む環境問題につきましては、「信金中央金庫グループ環境方針」を策定し、自らの事業活動を通じ、その解決に向けて取り組むとともに、本中金グループの環境負荷低減につとめております。

 当該方針に則り、本中金は、持続可能な社会の実現に向けた活動として「しんきんグリーンプロジェクト」を中期経営計画「SCBストラテジー2022」に掲げ、ESG投融資の推進および地域の脱炭素化等に取り組んでおります。そして、これらの取組みを信用金庫業界の成長へとつなげることで、さらなる社会課題の解決を実現するという好循環の創出を目指してまいります。

 ESG投融資の推進につきましては、再生可能エネルギーの普及や技術革新の進展等を投資機会と捉え、SDGsの目標期限である2030年に向けて、ESG投融資額を累計3兆円(2021年度より2030年度まで)とする中長期目標を掲げて取り組んでおります。

 地域の脱炭素化につきましては、地域や中小企業の脱炭素の取組みを促進することは、中小企業にとって新たな事業の創出・成長機会の獲得につながるうえ、地域経済の活性化の観点からも重要であると認識しております。このような認識のもと、サステナビリティ推進部グリーンプロジェクト推進室(2024年4月に「地域創生推進部グリーンプロジェクト推進室」から改組)が中心となり、全国の信用金庫とともに、官公庁や外部機関とも連携して地域の脱炭素化等を推進しております。

 気候変動リスクにつきましては、気候関連の規制強化や技術革新といった低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)および気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等によりもたらされる物理的な被害に伴うリスク(物理的リスク)が想定されると認識しております。

 このような認識のもと、投融資先が気候変動の影響を受けることにより本中金の財務に与える影響を定量的に評価するため、シナリオ分析を実施しております。なお、シナリオ分析につきましては、短期・中期・長期の時間軸を考慮して実施しております。

 また、信用金庫の中央金融機関として、信用金庫をはじめとするステークホルダーの経済活動の維持に必要な金融機能の提供を継続するうえで、風水害その他の災害を業務遂行に重大な影響を及ぼす事象として業務継続計画(BCP)にて認識しており、これらが顕在化した場合にも、重要業務を継続して行うことができる態勢の整備につとめております。

 

② 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

 本中金は、信用金庫業界の役職員が「財産・資産」であることを強く意識し、「人財(Human assets)」の活躍・成長に向けて、女性やシニア層を含む多様な人財が活躍できるよう、組織風土の醸成や働きやすい職場環境の構築等に一層取り組むとともに、専門性を有し、環境変化に柔軟に対応できる人財を育成することで、信用金庫業界の成長や企業価値の向上に繋げていくことを、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針としております。

 上記の人材の育成に関する方針に基づき、以下のとおり社内環境を整備する方針としております。

 

a.多様な人財の活躍に向けた環境の整備

 本中金は、女性やシニア層などの多様な人材がその能力を遺憾なく発揮できるように、各種制度やワークライフバランスの充実、多様な働き方の拡充ならびに仕事と家庭の両立支援等に関する施策に積極的に取り組んでおります。

 具体的な取組みとしては、女性活躍の機会拡大について、2019年度以降、総合職の新卒採用者に占める女性の割合を20%以上とするとともに、両立支援環境の整備等に取り組んでおります。

 また、シニア層の活躍推進については、当事業年度において、シニア職員のうち、一定の実績や高い専門性等を有するとともに、後進の育成に優れる職員をマイスターとして任命し、役職者としての職務権限を委任することで、職責に応じた手当を支給する「マイスター制度」を導入することを決定しており、2024年4月1日より7名の職員を任命しております。

 そのほか、中途採用施策の強化にも取り組んでおり、当事業年度において、転職潜在層へのアプローチや本中金での活躍が期待できる多様な人材の確保を目的として、本中金の業務内容および社風等を理解する本中金職員が本中金にマッチする知人等を紹介するリファラル採用の取扱いについて、2024年4月1日より開始することを決定しております。

 働きやすい職場環境の整備に関しては、各職員が自身や家族の記念日に取得できる「アニバーサリー休暇」や、心身のリフレッシュを目的として2営業日連続で休暇を取得できる「リフレッシュ休暇」等を導入し、年次有給休暇の積極取得を推進しております。そのほか、「スライドワーク」(予め設定された勤務時間の中から職員が選択して勤務する制度)や「テレワーク」に加えて、地方への単身赴任者が一定期間を本店等で勤務する「デュアルワーク制度」を導入するなど、多様な働き方に対応しつつ、生産性の向上を図っております。

 さらに、育児・介護支援制度の拡充を進めており、「育児目的特別休暇」(配偶者の出産立会いや1歳に満たない子の養育などのために取得できる特別休暇)の導入等により、職員の仕事と家庭の両立に向けた環境整備に取り組んでおります。

 

 

b.専門性を有し、環境変化に柔軟に対応できる人財の育成に向けた環境の整備

 本中金は、業界の中央金融機関としての役割を発揮し続けていくため、職員一人ひとりがその役割や社会的使命を認識するとともに、高度な金融知識や業務執行能力等のスキルを獲得することができるように、人財育成に関する施策に取り組んでおります。

 具体的な取組みとしては、職員の自律的なキャリア形成意識に応えつつ、専門的なスキルを有する職員を育成するため、公募のうえ選考された職員について一定期間特定の業務分野に限定して配属する「キャリアチャレンジ制度」を2021年度に導入しております。本制度では、当事業年度までに、マーケットコース、コーポレートファイナンスコースおよびシステムイノベーションコースの3つのコースを設定し、各分野における専門人材の育成に取り組んでおります。

 また、社会的使命の認識について、経営陣から職員に期待する役割や姿を共有することで、職員自身が目指す方向性やキャリアを認識し、人財の活躍・成長を促す環境を構築するため、経営陣との深度あるコミュニケーションの場として「役員座談会」を開催しております。加えて、若手職員が信用金庫業務を経験することで、地域経済や地域社会に対して信用金庫が果たす役割への認識を深めるとともに、信用金庫役職員とのリレーション構築を通じて、信用金庫と一体になって課題解決に取り組むことができる人材を育成するため、「信用金庫研修出向制度」を運営しております。

 そのほか、本中金の各種業務の遂行に必要なテクニカルスキルやヒューマンスキル等について自発的に学ぶことができる「SCBユニバーシティ」の運営等に取り組んでおります。特に、業界DXの加速に向けた環境の整備として、DXに関するリテラシー向上から、業務課題の洗出し、解決策の企画・立案、実現方法の検討ができるビジネス系スキルを備えた人材の育成を目的として、DX人材育成プログラムを提供しております。当事業年度からは、ビジネス系スキルに加えて、データサイエンティスト等の技術系スキルの習得を目的とした講座を拡充し、さらなるDX人材の育成に取り組んでおります。

 

③ 人権の尊重

 人権課題につきましては、「信金中央金庫グループ人権方針」を策定し、本中金グループが企業として人権尊重責任を果たすことにコミットするとともに、人権を尊重し、自らの事業活動が人権に対し与える影響を考慮して事業活動を行っております。また、当該方針に則り、お客様およびサプライヤーに対しても人権の尊重を期待しております。

 具体的な取組みとしては、人権デュー・デリジェンスの実施、救済措置の整備および役職員への周知・教育等を推進しております。

 

 

(3)リスク管理

 本中金は、気候変動リスクを統合的リスク管理の枠組みにおいて管理しております。具体的には、リスクカテゴリー(市場および信用リスク等)のリスクを発生または増幅させる原因として認識しております。また、「本中金に与えるインパクト」と「発生の蓋然性」の2つの基準により分類・整理したリスクマップに気候変動リスクイベントを追加し、可視化・共有化しております。リスクマップは、役員および関連部門長を構成員として定期的に開催するリスク管理委員会にて、都度見直しのうえ決定しております。リスクイベントにつきましては、インパクトや蓋然性に応じ対応を図っております。

 また、気候変動に関連し財務的影響を受ける蓋然性の高いセクターを識別し、「責任ある投融資を行うための事業別投融資ガイドライン」を制定しております。同ガイドラインは継続的に見直しを行っており、これを踏まえて投融資を行っております。

 加えて、赤道原則を2021年4月に採択し、これにもとづき、プロジェクトファイナンス等の意思決定プロセスにおいて、プロジェクトの環境・社会影響を評価するとともに、プロジェクトの運用開始後においても、環境・社会への配慮の状況を継続的にモニタリングしております。

 

(4)指標及び目標

① ESG投融資について

 本中金は、ESG投融資につきまして、2021年度から2030年度までの累計実行額を3兆円とする目標を設定しております。ESG投融資の対象範囲は、国際原則・政府指針等を参考に、環境・社会課題の解決に資する投融資(債券、融資、ファンド、プロジェクトファイナンス、PFI等)としております。

 

・ESG投融資の実行額

目標

2021年度から2030年度までの累計実行額3兆円

実績

2021年度から2023年度までの累計実行額1兆3,386億円

 (注) 本中金単体の計数を記載しております。

 

・ESG投融資の累計実行額の推移

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② 石炭火力発電所の建設を資金使途とする投融資について

 本中金は、石炭火力発電所の建設を資金使途とする投融資の残高につきまして、2030年度までに2020年度末比50%削減し、2040年度までにゼロとする目標を設定しております。

 

・石炭火力発電所の建設を資金使途とする投融資の残高

目標

2030年度までに2020年度末比50%削減し、2040年度までにゼロ

実績

2023年度末残高59億円

 (注) 1.本中金単体の計数を記載しております。

2.2020年度末残高は59億円であります。

 

③ 温室効果ガス排出量の削減について

 パリ協定および日本政府の掲げる「2050年カーボンニュートラル」実現に貢献するべく、本中金の温室効果ガス排出量(Scope1およびScope2)を2030年度までに実質ゼロとする目標を設定しております。目標に向けたロードマップにもとづき、カーボンニュートラルに向けた取組みを「2025年度まで」の第1段階と「2026年度以降」の第2段階の2つのフェーズに分け、フェーズごとに段階的な目標を設定し、「脱炭素」・「省エネ」・「創エネ」を3つの柱とする各種施策に取り組んでおります。

 第1段階では、2025年度までに温室効果ガス排出量を2,000t-CO2以下に削減することを目標としており、2023年度は、再生可能エネルギー由来の電力への切替えやHV車およびEV車の導入等の脱炭素施策を実施しております。

 

・温室効果ガス排出量

計測項目

目標

実績(当事業年度)

Scope1

2030年度までに

実質ゼロ

1,831 t-CO2

Scope2

7,643 t-CO2

合計

9,474 t-CO2

 (注) 1.本中金単体の計数を記載しております。

2.Scope1は、事業者自らの直接排出(燃料の燃焼等)であり、Scope2は、他者から供給された電気等の使用に伴う間接排出であります。

 

・温室効果ガス排出量の推移

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・温室効果ガス排出量実質ゼロに向けたロードマップ

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 (注) 本中金単体のロードマップであり、今後の外部環境の変化等に応じて改正する可能性があります。

 

 

④ 人材の育成及び社内環境整備に関する方針について

 本中金では、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。

 

戦略

指標

目標

実績(当事業年度)

多様な人材の活躍に向けた環境の整備

総合職の新卒採用者に占める女性の割合

2029年3月末まで20以上を維持

23.0

男性労働者の育児休業等取得率

2026年3月末まで90以上を維持

94.4

有給休暇取得率

2026年3月末まで60以上を維持

61.8

女性役職者比率

11.3

中途採用比率

33

専門性を有し、環境変化に柔軟に対応できる人財の育成に向けた環境の整備

キャリアチャレンジ制度の適用者数

8

役員座談会の開催回数・参加人数

5・28名

信用金庫研修出向の派遣人数

40

DX人材育成プログラム(Level 1、2)の参加人数

71

 (注) 1.本中金単体の計数を記載しております。

2.指標および目標について、各水準の改善、利用者数の拡大および制度の安定的な維持・運営に向けて取り組んでおりますが、定量的な目標を設定していない指標は「-」としております。

3.男性労働者の育児休業等取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。なお、過年度に配偶者が出産した従業員が当事業年度に育児休業等を取得することがあるため、男性労働者の育児休業取得率が100%を超えることがあります。

4.有給休暇取得率は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

5.女性役職者比率は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、係長級にある者に占める女性労働者の割合を算出したものです。

6.中途採用比率は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(昭和41年法律第132号)の規定に基づき算出したものです。

7.キャリアチャレンジ制度の適用者数は、マーケットコース、コーポレートファイナンスコースおよびシステムイノベーションコースの3つのコースの適用者数の合計を開示しております。

8.役員座談会は、職員と経営陣の深度あるコミュニケーションのため、少人数によるディスカッション形式としており、当事業年度は「信用金庫業界の将来と自身の役割」等のテーマに基づき、開催しております。

9.DX人材育成プログラムの参加人数は、ビジネス系スキルおよび技術系スキルの各レベルへの参加人数の合計を開示しております。なお、ビジネス系スキルは、Level 1でデジタル技術を活用した業務の省力化等について、Level 2でBPR・デジタライゼーションの実務等の習得を目標としており、技術系スキルは、Level 1で統計・分析ノウハウ等について、Level 2でプログラミング言語を活用したデータ分析等の習得を目標としております。

 

 

3【事業等のリスク】

 本中金および本中金グループの事業その他に関するリスクにつきまして、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。

 また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、参考になると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。

 本中金グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に万遺漏なきを期してまいります。

 なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本報告書の提出日現在において判断したものであります。

 

 以下に記載した各リスクのうち、本中金および本中金グループの財務状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとして、「(1) 本中金の法的根拠等による特有のリスク」、「(2) 信用金庫業界のセーフティネットの運営に関するリスク」、「(3) 有価証券に関するリスク」、「(4) 貸出金に関するリスク」および「(5) 資金調達に関するリスク」が挙げられます。

 「(1) 本中金の法的根拠等による特有のリスク」および「(2) 信用金庫業界のセーフティネットの運営に関するリスク」については、本中金が信用金庫業界の中央金融機関であることに伴う事業上のリスクです。当該リスクについては、本中金が、信用金庫の経営分析や経営相談を通じ、経営悪化の未然防止を図るなど、信用金庫業界のセーフティネットである信用金庫経営力強化制度および信用金庫相互援助資金制度を管理・運営し、業界の信用秩序維持につとめ、リスクの顕在化を未然に防止しております。

 「(3) 有価証券に関するリスク」、「(4) 貸出金に関するリスク」および「(5) 資金調達に関するリスク」については、金融機関に共通するリスクであり、当該リスクが顕在化した場合は、本中金の業績・業務運営に影響を与える可能性があると認識しているため、リスクアペタイト・フレームワークの下、収益・リスク・資本のバランスにかかる一体的な議論を行ったうえで、資本に見合った適切なリスクテイクを実施し、健全性の維持と継続的な利益の確保につとめております。

 また、「(3) 有価証券に関するリスク」および「(4) 貸出金に関するリスク」については、市場リスクおよび信用リスクをVaRなどの統一的な尺度で計測して合算し、自己資本と対比する統合リスク管理の手法を導入しております。更に、市場環境の急変等を想定したストレスシナリオにかかる損失額を算出し、自己資本への影響を検証・評価しております。

 加えて、「(5) 資金調達に関するリスク」については、通貨別および期間別に資金の入出金ギャップにかかるリスク限度額を設定し、日次でモニタリングするとともに、流動性に懸念などが生じた場合においては、調達先確保などの迅速な対応ができる態勢を整えております。

 なお、2024年度においては、各国の金融政策が転換点を迎えるなか、日本銀行による金融政策の正常化へ向けた追加利上げが見込まれる一方、粘着質なインフレや地政学リスクの高まり等、先行き不透明感の強い市場環境の継続が想定されることから、リスクアペタイト・フレームワークの下、柔軟なポートフォリオ運営を実施してまいります。

 

(1) 本中金の法的根拠等による特有のリスク

 本中金は、信用金庫法(昭和26年法律第238号)に基づき、信用金庫が会員となって出資をすることにより設立された協同組織金融機関です。本中金は、信用金庫を基盤としているため、信用金庫の経営成績や財務状態の変動は、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 また、本中金は、信用金庫法に定める信用金庫連合会という特別の法人であり、株式会社形態をとる銀行と比較し、法制面で異なるところがあります。このような法制上の位置づけから、本中金グループの業務は一定の制約を受けております。今後の業務展開の中で、これらの制約によって本中金グループが競争優位を得られない可能性があり、その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。なお、法制面で銀行と異なる主な点は次のとおりです。

 ① 信用金庫法の認可事項

 本中金は、次のいずれかに該当するときは、内閣総理大臣(金融庁長官に権限を委任)の認可を受ける必要があります。

a.定款を変更しようとするとき。

b.業務の種類または方法を変更しようとするとき。

 

 ② 業務の範囲

 本中金の業務は、主に会員である信用金庫に対して行うものであり、会員以外の者からの預金の受入れや会員以外の者に対する資金の貸付けなどの業務については、その取扱いに先立ち内閣総理大臣(金融庁長官に権限を委任)の認可を受けております。また、債務の保証、手形の引受、有価証券の貸付けなど一部の業務については、会員のほか内閣府令で定める者に対してのみ取扱いが認められているなど一定の制限があります。

 

(2) 信用金庫業界のセーフティネットの運営に関するリスク

 本中金は、信用金庫業界の信用秩序維持のために、セーフティネットの枠組みとして信用金庫経営力強化制度および信用金庫相互援助資金制度を運営しております。

 信用金庫経営力強化制度は、信用金庫業界の経営力の一層の強化を図るため、経営分析、経営相談および資本増強制度により構成されており、信用金庫業界のセーフティネットの主要な柱であります。本中金は、この経営力強化制度に基づいて、信用金庫の経営分析を行い、必要に応じて経営相談を実施するほか、一定の限度内で個別信用金庫に対して資本を供与しております。供与先信用金庫の経営状況の変化等によっては、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 信用金庫相互援助資金制度は、資本増強制度による資本供与に加えて、財政的支援が必要と判断される場合において、信用金庫業界として該当信用金庫に援助を行う制度であります。当該制度を適用して支援を行う必要が生じた場合には、本中金は信用金庫業界の一員として応分の負担を行う可能性があります。その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 有価証券に関するリスク

 ① 市場リスク

 本中金グループは、国内外の債券、株式および投資信託等の様々な有価証券を保有しております。これらの有価証券は、金利リスク、為替リスクおよび価格変動リスク等があるため、金融市場の混乱等により、金利、為替レートおよび価格等が変動した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 ② 信用リスク

 本中金グループは、有価証券投資に関し国債、地方債および政府保証債を中心としておりますが、社債や投資信託等の保有による一定の信用リスクを抱えております。これが顕在化した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

 ③ 市場流動性リスク

 本中金グループは、市場で取引される様々な有価証券を保有しておりますが、金融市場の混乱等により、保有有価証券の市場流動性が著しく低下し、価格の下落により評価損が発生した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 貸出金に関するリスク

 ① 不良債権の状況

 本中金グループの不良債権比率(信用金庫法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく不良債権額の対総与信残高比率)は、0.24%(2024年3月末現在、連結ベース)と低い水準となっているものの、国内外の事業会社等に対する債権を保有しており、一定の貸倒リスクを抱えております。かかるリスクへの備えとして、所要の貸倒引当金を計上しておりますが、国内外の経済動向、不動産および株式等の市況の変動、個別の融資先の業況悪化等によっては、本中金グループの不良債権および与信関係費用が増加するおそれがあり、その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

 ② 特定セクターへの集中

 本中金グループは、貸出金全体に対し、本邦政府、地方公共団体および政府関係機関に対する貸出金が一定の割合を占める状況にあります。このため、本邦政府等の財政状況や信用力等の悪化、ネガティブな報道、格付会社による格下げなどがあった場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 資金調達に関するリスク

 本中金グループは、主として信用金庫から余裕資金として預け入れられた預金と金融債により資金を調達しておりますが、市場からの調達も行っております。信用金庫の資金繰りの状況や経済金融環境の変化等によっては、想定を上回る預金の流出や外貨資金調達が困難になること等により、本中金グループの経営成績及び財務状態に影響を与える可能性があります。

 さらに、本中金は、国内外の格付会社4社から格付けを取得しておりますが、その格付けが引き下げられた場合には、資金調達における取引条件が悪化する、あるいは取引が制約される可能性があります。

 

(6) オペレーショナル・リスク

 本中金グループが多様な業務を遂行していくにあたっては、オペレーショナル・リスクが存在しております。オペレーショナル・リスクとは、業務の過程、役職員の活動もしくはシステムが不適切であることまたは外生的な事象により損失を被るリスクです。具体的には、次のとおりです。

 ① 事務リスク

 本中金グループは、事務にかかる規程・要領等の整備、事務処理のシステム化および本部による事務指導や各種研修等を通じて適正な事務処理および不正の防止につとめておりますが、役職員による不正確な事務、あるいは不正や過失等に起因する不適切な事務が行われること等により、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

 ② システムリスク

 本中金グループは、営業支援やリスク管理等を行う情報システムを利用しているほか、信用金庫間および他業態金融機関との間の内国為替取引データの中継を行うサービスを提供しております。本中金グループでは、セキュリティポリシーに基づき、情報資産の適切な保護につとめているほか、外部からのサイバー攻撃に対するセキュリティ対策等を講じております。

 しかしながら、品質不良、人為的ミスおよび災害等の要因により発生するコンピュータシステムの障害のほか、予防策が効果を発揮せず外部からのサイバー攻撃(不正アクセスおよびコンピュータウィルス感染等)に起因する情報漏洩や業務の停止等が発生した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

 ③ コンプライアンス・リスク

 本中金グループは、法令その他諸規則等が遵守されるようコンプライアンス体制および内部管理態勢の強化につとめております。また、マネー・ローンダリング、テロ資金供与および拡散金融の防止を経営の最重要課題の一つとして位置づけ、対策の高度化につとめております。

 しかしながら、役職員等が法令その他諸規則等を遵守できなかった場合、予防策が効果を発揮せず役職員等による不正行為が行われた場合、または高度化する金融犯罪の発生によりマネー・ローンダリング等の不適切な取引を未然に防止できなかった場合には、行政処分や罰則に加え、損害賠償請求等による損失の発生や、顧客または市場からの信頼失墜等により、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 自己資本比率規制

 本中金グループは、連結自己資本比率を、信用金庫法第89条第1項において準用する銀行法第14条の2の規定に基づき、信用金庫及び信用金庫連合会がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第21号)により、国内基準(現時点においては4%)以上に維持する必要があります。

 本中金グループの自己資本比率はこれらの基準を大きく上回っておりますが、将来、これらの基準を下回った場合、業務の縮小や新規取扱いの禁止等を含む様々な制約を受ける可能性があります。その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 なお、本中金グループの自己資本比率に影響を与える主な要因は以下のとおりです。

 

・ 有価証券ポートフォリオの価値の低下

・ 不良債権処理や債務者の信用力悪化等による信用コストの増加

 

(8) 各種の規制および法制度等の変更

 本中金グループが国内外において業務を行うにあたって適用されている法律、規則、政策、実務慣行、会計制度および税制等が変更された場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) 風評リスク

 国内外のメディアにより、本中金グループ、信用金庫業界全体や特定の信用金庫に関する否定的な報道が行われた場合には、それが正確であるか否かにかかわらず、または本中金グループに直接関係しない内容であっても、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 競争

 金融業への参入規制緩和や業務範囲の拡大などの規制緩和に伴い、金融業における競争は激化する傾向にあります。このような事業環境において、本中金グループは新たな収益機会を得るために、業務範囲を拡大することがあり、新しいリスクに晒される可能性があります。その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(11) 繰延税金資産の取崩し

 将来の課税所得見積額および無税化スケジュール等の変更により、繰延税金資産の一部又は全部の回収が困難となり、繰延税金資産の額を減額する必要が生じた場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(12) 退職給付債務にかかるリスク

 本中金グループの退職給付費用および債務は、年金資産の期待運用利回りや割引率等の数理計算上の前提条件に基づいて算出しております。年金資産の時価・運用利回りが下落・低下した場合、または数理計算上の前提条件に変更があった場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(13) 個人情報の漏洩

 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)および行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)に基づき、本中金グループは、個人情報取扱事業者や個人番号関係事務実施者として個人情報(特定個人情報を含みます。)の保護にかかる義務等の遵守を求められており、個人情報保護宣言を策定するなど情報管理態勢を整備・運営しております。万が一、外部者による不正なアクセス、役職員の人為的ミスまたは事故などにより、顧客情報が漏洩し、その情報が悪用された場合、顧客に対する損害賠償の費用が発生する可能性があります。また、かかる事件が報道され、顧客または市場からの信頼失墜等により、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(14) 災害等の発生に伴うリスク

 地震等の災害や電力設備等の障害により、本中金グループの店舗等の施設が被害を受ける可能性があります。また、新型インフルエンザ等の感染症の流行により、本中金グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。これら業務遂行に重大な影響を及ぼす事象が発生した場合に備えて、本中金グループでは、業務継続計画の策定、業務継続訓練の実施およびバックアップ拠点の構築など、業務継続体制を整備しておりますが、被害の程度によっては、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(15) 気候変動リスク

 気候関連の規制強化や技術革新といった低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)および気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等によりもたらされる物理的な被害に伴うリスク(物理的リスク)が、投融資先の事業・財務に影響を与えることにより、間接的にポートフォリオが影響を受ける可能性があります。

 なお、本中金では、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明しており、同提言を踏まえた情報開示に取り組んでおります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における本中金グループ(本中金及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

 (金融経済環境)

 当連結会計年度におけるわが国の金融経済環境を振り返りますと、国内景気は、海外景気の回復鈍化による輸出・生産への下押し圧力に加え、個人消費が物価上昇の影響を受けるなか、回復ペースが緩やかなものとなりました。

 金融市場環境においては、4月に日経平均株価が28,000円台でスタートすると、円安の進行に加え、東京証券取引所の要請による企業改革への期待感や海外投資家による資金流入の拡大を背景に、2月に約34年ぶりに史上最高値を更新し、3月には40,000円台まで上昇しました。長期金利(10年国債利回り)は、7月及び10月の日銀による長短金利操作の運用柔軟化を受け、一時0.9%台まで上昇しましたが、3月の日銀によるマイナス金利解除決定後においても、緩和的な金融環境が継続するとの見方から、3月末にかけては0.7%近辺での推移となりました。

 

 (業績)

 当連結会計年度は、リスクアペタイト・フレームワークの下、中長期的に安定した収益を確保するため、市場環境の変化に機動的かつ臨機応変に対応し、強固な財務基盤の構築に取り組みました。

 その結果、当連結会計年度においては、以下のとおりの業績となりました。

 

・損益の状況

 経常収益は、前年度比537億円、14.3%増収の4,274億円となりました。これは、有価証券利息配当金の増加等によるものです。一方、経常費用は同455億円、13.4%増加の3,832億円となりました。これは、外貨調達金利の上昇に伴う債券貸借取引支払利息の増加等によるものです。

 これらの結果、経常利益は、前年度比82億円、22.7%増益の442億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、同59億円、22.5%増益の321億円となりました。

 また、報告セグメントである信金中央金庫の事業における経常収益は、前年度比529億円、15.5%増収の3,933億円となりました。一方、経常費用は、同440億円、14.3%増加の3,511億円となりました。

 これらの結果、経常利益は、前年度比89億円、26.9%増益の421億円、当期純利益は、同61億円、24.9%増益の309億円となりました。

 なお、本中金においては、連結決算に占める単体決算の割合が高いことから、単体決算と連結決算は、ほぼ同様の結果となります。

 

  ・資産、負債等の状況

 資産の部合計は、前年度末比1兆5,270億円増加し47兆6,224億円となりました。このうち、現金及び預け金は、日銀当座預け金の増加等により、同9,187億円増加し19兆9,377億円となりました。また、有価証券は、国債の増加等により、同2兆4,110億円増加し16兆98億円となりました。一方、貸出金は、国・政府関係機関向け貸出の減少等により、同6,529億円減少し8兆8,583億円となりました。

 負債の部合計は、前年度末比1兆3,141億円増加し46兆643億円となりました。このうち、預金は、信用金庫からの要求払預金の減少等により、同1兆5,883億円減少し33兆644億円となりました。また、借用金は、日銀からの借入金の増加等により、同1兆1,313億円増加し5兆1,300億円となりました。

 純資産の部合計は、2024年3月に実施した特定普通出資による増資等により、前年度末比2,129億円増加し1兆5,580億円となりました。

 なお、不良債権比率は、前年度末比0.02ポイント上昇し0.24%となりましたが、貸出資産は引き続き極めて高い健全性を維持しております。

 

 (キャッシュ・フローの状況)

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、資金の運用・調達、貸出金や預金の増減等の「営業活動によるキャッシュ・フロー」が前年度比3兆2,823億円増加の3兆1,104億円の収入、有価証券の取得・売却・償還等の「投資活動によるキャッシュ・フロー」が同4兆5,011億円減少の2兆2,026億円の支出、配当金の支払等の「財務活動によるキャッシュ・フロー」が同375億円増加の178億円の収入となりました。

 その結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前年度末比9,256億円増加し19兆2,436億円となりました。

 また、当連結会計年度末での調達・運用の状況については、借用金の増加等により、資金調達額が1兆1,001億円増加しました。一方で、有価証券の増加等により、資産運用額が1兆2,773億円増加しました。

 

 

 

 

① 国内・海外別収支

 当連結会計年度において、国内では、資金運用収支が前連結会計年度比33億51百万円増加し1,063億57百万円、信託報酬が同1億38百万円増加し25億29百万円、役務取引等収支が同9億8百万円増加し299億63百万円、特定取引収支が同55億95百万円増加し228億83百万円、その他業務収支が同151億65百万円減少し△819億79百万円となりました。

 海外では、資金運用収支が前連結会計年度比1億41百万円増加し2億68百万円、役務取引等収支が同75百万円増加し2億98百万円、特定取引収支が同55百万円減少し2億90百万円、その他業務収支が同19百万円減少し△0百万円となりました。

 以上により、合計では、資金運用収支が前連結会計年度比34億94百万円増加し1,065億59百万円、信託報酬が同1億38百万円増加し25億29百万円、役務取引等収支が同7億97百万円増加し284億96百万円、特定取引収支が同55億38百万円増加し231億71百万円、その他業務収支が同152億11百万円減少し△825億91百万円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

103,006

127

68

103,065

当連結会計年度

106,357

268

66

106,559

うち資金運用収益

前連結会計年度

208,214

129

91

208,252

当連結会計年度

283,736

271

92

283,914

うち資金調達費用

前連結会計年度

105,207

1

22

105,186

当連結会計年度

177,378

2

26

177,355

信託報酬

前連結会計年度

2,391

2,391

当連結会計年度

2,529

2,529

役務取引等収支

前連結会計年度

29,055

223

1,579

27,699

当連結会計年度

29,963

298

1,765

28,496

うち役務取引等収益

前連結会計年度

47,096

239

4,561

42,775

当連結会計年度

48,253

316

4,646

43,923

うち役務取引等費用

前連結会計年度

18,041

16

2,982

15,075

当連結会計年度

18,289

18

2,880

15,427

特定取引収支

前連結会計年度

17,288

345

0

17,633

当連結会計年度

22,883

290

2

23,171

うち特定取引収益

前連結会計年度

17,506

346

32

17,819

当連結会計年度

23,020

290

139

23,171

うち特定取引費用

前連結会計年度

218

0

32

186

当連結会計年度

136

136

その他業務収支

前連結会計年度

△66,814

19

586

△67,380

当連結会計年度

△81,979

△0

611

△82,591

うちその他業務収益

前連結会計年度

92,579

21

718

91,882

当連結会計年度

49,349

5

732

48,622

うちその他業務費用

前連結会計年度

159,393

1

131

159,263

当連結会計年度

131,329

6

121

131,213

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内に本店を有する連結子会社(以下「国内連結子会社」という。)であります。

2.「海外」とは、海外に本店を有する連結子会社(以下「海外連結子会社」という。)であります。

3.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

4.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度76百万円、当連結会計年度39百万円)を控除して表示しております。

 

② 国内・海外別資金運用/調達の状況

 当連結会計年度における資金運用勘定平均残高(相殺消去前)は、国内で前連結会計年度比354億35百万円増加し37兆4,307億57百万円、海外で同14億19百万円増加し89億15百万円となりました。

 また、資金調達勘定平均残高(相殺消去前)は、国内で同1兆7,959億20百万円増加し49兆3,798億64百万円となりました。

 利回りについては、合計の資金運用勘定の利回りは、有価証券の利回りが上昇したことにより、前連結会計年度比0.21ポイント上昇し0.76%となりました。また、合計の資金調達勘定の利回りは、債券貸借取引受入担保金の利回りが上昇したこと等により、同0.13ポイント上昇し0.35%となりました。

 

a.国内

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

37,395,322

208,214

0.55

当連結会計年度

37,430,757

283,736

0.75

うち貸出金

前連結会計年度

8,540,053

19,489

0.22

当連結会計年度

9,112,539

24,050

0.26

うち預け金

前連結会計年度

10,448,226

8,249

0.07

当連結会計年度

10,164,919

8,227

0.08

うち買入手形及び

コールローン

前連結会計年度

1,822,905

885

0.04

当連結会計年度

2,203,644

3,117

0.14

うち買現先勘定

前連結会計年度

743,683

△616

△0.08

当連結会計年度

666,238

△562

△0.08

うち債券貸借取引

支払保証金

前連結会計年度

12,134

0

0.00

当連結会計年度

59,156

0

0.00

うち有価証券

前連結会計年度

15,399,774

178,530

1.15

当連結会計年度

14,718,792

245,410

1.66

資金調達勘定

前連結会計年度

47,583,944

105,207

0.22

当連結会計年度

49,379,864

177,378

0.35

うち預金

前連結会計年度

38,906,867

37,238

0.09

当連結会計年度

39,381,851

42,004

0.10

うち譲渡性預金

前連結会計年度

15,153

当連結会計年度

11,576

うち債券

前連結会計年度

1,485,278

1,166

0.07

当連結会計年度

1,376,085

1,559

0.11

うち借用金

前連結会計年度

3,953,680

1,792

0.04

当連結会計年度

4,359,186

2,399

0.05

うち売渡手形及び

コールマネー

前連結会計年度

13,515

237

1.75

当連結会計年度

48,883

545

1.11

うち売現先勘定

前連結会計年度

1,494,515

7,049

0.47

当連結会計年度

2,395,375

29,754

1.24

うち債券貸借取引

受入担保金

前連結会計年度

1,620,295

31,897

1.96

当連結会計年度

1,619,609

80,632

4.97

(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高に基づいて算出しておりますが、金融業以外の国内連結子会社については、月末毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度109,172百万円、当連結会計年度79,986百万円)及び利息(前連結会計年度76百万円、当連結会計年度39百万円)を、それぞれ控除して表示しております。

 

b.海外

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

7,496

129

1.72

当連結会計年度

8,915

271

3.04

うち貸出金

前連結会計年度

32

0

2.37

当連結会計年度

232

6

2.80

うち預け金

前連結会計年度

1,661

17

1.03

当連結会計年度

1,100

42

3.88

うち買入手形及び

コールローン

前連結会計年度

当連結会計年度

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引

支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

5,801

111

1.92

当連結会計年度

7,581

221

2.92

資金調達勘定

前連結会計年度

77

1

2.00

当連結会計年度

131

2

2.22

うち預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

0

0

0.00

当連結会計年度

66

1

2.46

うち売渡手形及び

コールマネー

前連結会計年度

当連結会計年度

うち売現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引

受入担保金

前連結会計年度

当連結会計年度

(注) 1.海外連結子会社の平均残高は、月末毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高を控除して表示しております。

 

c.合計

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り(%)

小計

相殺

消去額

(△)

合計

小計

相殺

消去額

(△)

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

37,402,818

102,261

37,300,557

208,344

91

208,252

0.55

当連結会計年度

37,439,672

112,840

37,326,832

284,007

92

283,914

0.76

うち貸出金

前連結会計年度

8,540,086

3,569

8,536,516

19,489

21

19,468

0.22

当連結会計年度

9,112,772

3,276

9,109,495

24,057

22

24,034

0.26

うち預け金

前連結会計年度

10,449,888

54,396

10,395,492

8,266

0

8,265

0.07

当連結会計年度

10,166,020

65,268

10,100,751

8,270

0

8,269

0.08

うち買入手形及び

コールローン

前連結会計年度

1,822,905

1,822,905

885

0

885

0.04

当連結会計年度

2,203,644

2,203,644

3,117

0

3,117

0.14

うち買現先勘定

前連結会計年度

743,683

743,683

△616

△616

△0.08

当連結会計年度

666,238

666,238

△562

△562

△0.08

うち債券貸借取引

支払保証金

前連結会計年度

12,134

12,134

0

0

0.00

当連結会計年度

59,156

59,156

0

0

0.00

うち有価証券

前連結会計年度

15,405,575

44,295

15,361,280

178,642

68

178,573

1.16

当連結会計年度

14,726,373

44,295

14,682,078

245,632

68

245,563

1.67

資金調達勘定

前連結会計年度

47,584,021

56,756

47,527,265

105,209

22

105,186

0.22

当連結会計年度

49,379,996

64,144

49,315,851

177,381

26

177,355

0.35

うち預金

前連結会計年度

38,906,867

53,198

38,853,668

37,238

0

37,237

0.09

当連結会計年度

39,381,851

60,890

39,320,961

42,004

0

42,004

0.10

うち譲渡性預金

前連結会計年度

15,153

15,153

当連結会計年度

11,576

11,576

うち債券

前連結会計年度

1,485,278

1,485,278

1,166

0

1,165

0.07

当連結会計年度

1,376,085

1,376,085

1,559

2

1,556

0.11

うち借用金

前連結会計年度

3,953,681

3,557

3,950,124

1,793

21

1,771

0.04

当連結会計年度

4,359,253

3,254

4,355,999

2,400

22

2,377

0.05

うち売渡手形及び

コールマネー

前連結会計年度

13,515

13,515

237

237

1.75

当連結会計年度

48,883

48,883

545

545

1.11

うち売現先勘定

前連結会計年度

1,494,515

1,494,515

7,049

7,049

0.47

当連結会計年度

2,395,375

2,395,375

29,754

29,754

1.24

うち債券貸借取引

受入担保金

前連結会計年度

1,620,295

1,620,295

31,897

31,897

1.96

当連結会計年度

1,619,609

1,619,609

80,632

80,632

4.97

(注) 1.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

2.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度109,172百万円、当連結会計年度79,986百万円)及び利息(前連結会計年度76百万円、当連結会計年度39百万円)を、それぞれ控除して表示しております。

 

③ 国内・海外別役務取引の状況

 当連結会計年度における役務取引等収益は、前連結会計年度比11億48百万円増加し439億23百万円、役務取引等費用は、同3億52百万円増加し154億27百万円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

47,096

239

4,561

42,775

当連結会計年度

48,253

316

4,646

43,923

うち預金・債券・

貸出業務

前連結会計年度

771

0

771

当連結会計年度

702

0

702

うち為替業務

前連結会計年度

398

1

397

当連結会計年度

460

1

459

うち証券関連業務

前連結会計年度

13,744

35

3,140

10,638

当連結会計年度

13,562

64

3,063

10,564

うち代理業務

前連結会計年度

2,026

2

2,024

当連結会計年度

1,885

1

1,883

うち確定拠出年金

業務

前連結会計年度

113

113

当連結会計年度

135

135

うち保証業務

前連結会計年度

7,670

7,670

当連結会計年度

7,602

7,602

うち受託業務

前連結会計年度

21,282

836

20,446

当連結会計年度

22,473

875

21,597

役務取引等費用

前連結会計年度

18,041

16

2,982

15,075

当連結会計年度

18,289

18

2,880

15,427

うち為替業務

前連結会計年度

167

167

当連結会計年度

157

157

うち代理貸付業務

前連結会計年度

553

553

当連結会計年度

399

399

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

 

④ 国内・海外別特定取引の状況

a.特定取引収益・費用の内訳

 当連結会計年度における特定取引収益は、前連結会計年度比53億52百万円増加し231億71百万円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引収益

前連結会計年度

17,506

346

32

17,819

当連結会計年度

23,020

290

139

23,171

うち商品有価証券

収益

前連結会計年度

314

346

32

627

当連結会計年度

386

290

139

537

うち特定取引

有価証券収益

前連結会計年度

当連結会計年度

17

17

うち特定金融

派生商品収益

前連結会計年度

17,137

17,137

当連結会計年度

22,550

22,550

うちその他の

特定取引収益

前連結会計年度

54

54

当連結会計年度

66

66

特定取引費用

前連結会計年度

218

0

32

186

当連結会計年度

136

136

うち商品有価証券

費用

前連結会計年度

32

0

32

当連結会計年度

136

136

うち特定取引

有価証券費用

前連結会計年度

186

186

当連結会計年度

うち特定金融

派生商品費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うちその他の

特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

 

b.特定取引資産・負債の内訳(末残)

 当連結会計年度における特定取引資産は、前連結会計年度末比1,349億20百万円減少し3,507億66百万円、特定取引負債は、同684億98百万円増加し1,552億円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引資産

前連結会計年度

491,386

5,700

485,686

当連結会計年度

350,766

0

350,766

うち商品有価証券

前連結会計年度

25,595

5,700

19,895

当連結会計年度

5,758

5,758

うち商品有価証券

派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引

有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引

有価証券派生商品

前連結会計年度

3

3

当連結会計年度

1

1

うち特定金融派生

商品

前連結会計年度

86,771

86,771

当連結会計年度

171,016

0

171,016

うちその他の

特定取引資産

前連結会計年度

379,014

379,014

当連結会計年度

173,990

173,990

特定取引負債

前連結会計年度

86,702

86,702

当連結会計年度

155,200

0

155,200

うち売付商品債券

前連結会計年度

5,895

5,895

当連結会計年度

4,280

4,280

うち商品有価証券

派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引売付

債券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引

有価証券派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定金融派生

商品

前連結会計年度

80,807

80,807

当連結会計年度

150,920

0

150,919

うちその他の

特定取引負債

前連結会計年度

当連結会計年度

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

 

⑤ 国内・海外別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

34,703,462

50,645

34,652,817

当連結会計年度

33,102,046

37,550

33,064,496

うち流動性預金

前連結会計年度

4,480,794

39,698

4,441,095

当連結会計年度

2,940,784

26,209

2,914,575

うち定期性預金

前連結会計年度

29,676,864

10,940

29,665,923

当連結会計年度

29,598,283

11,340

29,586,942

うちその他

前連結会計年度

545,804

6

545,797

当連結会計年度

562,978

0

562,978

譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

総合計

前連結会計年度

34,703,462

50,645

34,652,817

当連結会計年度

33,102,046

37,550

33,064,496

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.流動性預金=当座預金+普通預金+通知預金

4.定期性預金=定期預金+積立定期預金

5.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

 

 

⑥ 国内・海外別債券残高の状況

○ 債券の種類別残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

利付信金中金債

前連結会計年度

1,458,660

5,700

1,452,960

当連結会計年度

1,302,170

1,302,170

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

 

 

⑦ 国内・海外別貸出金残高の状況

a.業種別貸出状況(末残・構成比)

(a) 直接貸出

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内

(除く特別国際金融取引勘定分)

9,262,676

100.00

8,646,178

100.00

製造業

697,476

7.53

779,270

9.01

農業,林業

漁業

鉱業,採石業,砂利採取業

314

0.00

212

0.00

建設業

49,455

0.54

56,514

0.65

電気・ガス・熱供給・水道業

358,354

3.87

387,042

4.48

情報通信業

61,165

0.66

109,891

1.27

運輸業,郵便業

316,490

3.42

322,177

3.73

卸売業,小売業

485,375

5.24

522,660

6.05

金融業,保険業

1,688,628

18.23

1,582,000

18.30

不動産業,物品賃貸業

1,325,682

14.31

1,393,217

16.11

地方公共団体

261,498

2.82

232,483

2.69

その他

4,018,235

43.38

3,260,705

37.71

海外及び特別国際金融取引勘定分

149

100.00

330

100.00

政府等

金融機関

その他

149

100.00

330

100.00

合計

9,262,826

8,646,508

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.「国内」の「その他」には、国・政府関係機関を含んでおります。

 

(b) 代理貸付

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内

248,483

100.00

211,810

100.00

製造業

28,289

11.38

24,071

11.36

農業,林業

230

0.09

171

0.08

漁業

77

0.03

55

0.03

鉱業,採石業,砂利採取業

59

0.02

59

0.03

建設業

14,380

5.79

12,730

6.01

電気・ガス・熱供給・水道業

1,331

0.54

1,156

0.55

情報通信業

1,688

0.68

1,446

0.68

運輸業,郵便業

5,758

2.32

4,847

2.29

卸売業,小売業

21,543

8.67

17,674

8.34

金融業,保険業

336

0.14

406

0.19

不動産業,物品賃貸業

137,162

55.20

115,626

54.59

地方公共団体

その他

37,624

15.14

33,565

15.85

合計

248,483

211,810

(注) 「国内」とは、本中金のみであります。

(c) 合計

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内

(除く特別国際金融取引勘定分)

9,511,160

100.00

8,857,989

100.00

製造業

725,766

7.63

803,342

9.07

農業,林業

230

0.00

171

0.00

漁業

77

0.00

55

0.00

鉱業,採石業,砂利採取業

373

0.01

272

0.00

建設業

63,835

0.67

69,245

0.78

電気・ガス・熱供給・水道業

359,686

3.78

388,199

4.38

情報通信業

62,853

0.66

111,338

1.26

運輸業,郵便業

322,248

3.39

327,024

3.69

卸売業,小売業

506,918

5.33

540,334

6.10

金融業,保険業

1,688,965

17.76

1,582,406

17.87

不動産業,物品賃貸業

1,462,844

15.38

1,508,843

17.03

地方公共団体

261,498

2.75

232,483

2.63

その他

4,055,859

42.64

3,294,270

37.19

海外及び特別国際金融取引勘定分

149

100.00

330

100.00

政府等

金融機関

その他

149

100.00

330

100.00

合計

9,511,310

8,858,319

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.「国内」の「その他」には、国・政府関係機関を含んでおります。

 

 

b.外国政府等向け債権残高(国別)

   「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げることとしておりますが、前連結会計年度末(2023年3月31日)及び当連結会計年度末(2024年3月31日)とも、該当はありません。

 

⑧ 国内・海外別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

3,156,602

3,156,602

当連結会計年度

5,120,372

5,120,372

地方債

前連結会計年度

1,889,103

1,889,103

当連結会計年度

2,027,994

2,027,994

短期社債

前連結会計年度

当連結会計年度

社債

前連結会計年度

2,733,951

2,733,951

当連結会計年度

2,083,023

2,083,023

株式

前連結会計年度

101,716

36,373

65,343

当連結会計年度

119,514

36,373

83,141

その他の証券

前連結会計年度

5,755,468

6,246

7,922

5,753,793

当連結会計年度

6,696,128

7,153

7,922

6,695,359

合計

前連結会計年度

13,636,842

6,246

44,295

13,598,793

当連結会計年度

16,047,032

7,153

44,295

16,009,891

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

4.「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

⑨ 「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況

 連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は本中金のみです。

a.信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表)

資産

科目

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

信託受益権

2,564,599

85.06

2,587,013

85.75

受託有価証券

63,000

2.09

63,000

2.09

金銭債権

343,778

11.40

321,382

10.65

その他債権

0

0.00

1

0.00

銀行勘定貸

43,534

1.44

45,418

1.51

現金預け金

145

0.01

128

0.00

合計

3,015,058

100.00

3,016,944

100.00

 

 

 

 

 

負債

科目

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金銭信託

45,681

1.51

47,569

1.58

投資信託

129,645

4.30

57,947

1.92

金銭信託以外の金銭の信託

7,567

0.25

5,639

0.19

有価証券の信託

67,100

2.23

66,100

2.19

金銭債権の信託

343,878

11.41

321,447

10.65

包括信託

2,421,185

80.30

2,518,240

83.47

合計

3,015,058

100.00

3,016,944

100.00

(注) 1.共同信託他社管理財産については、前連結会計年度末及び当連結会計年度末の取扱残高はありません。

2.自己信託に係る信託財産については、前連結会計年度末の残高は313,271百万円、当連結会計年度末の残高

  は307,282百万円であり、上記に掲げた金額に含めて記載しております。

 

b.元本補填契約のある信託の運用/受入状況(末残)

科目

前連結会計年度

当連結会計年度

金銭信託

(百万円)

貸付信託

(百万円)

合計

(百万円)

金銭信託

(百万円)

貸付信託

(百万円)

合計

(百万円)

銀行勘定貸

43,435

43,435

45,358

45,358

資産計

43,435

43,435

45,358

45,358

元本

43,431

43,431

45,353

45,353

その他

4

4

4

4

負債計

43,435

43,435

45,358

45,358

(注) 信用金庫法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権については、前連結会計年度末及び当連結会計年度末の残高はありません。

 

(自己資本比率の状況)

 

(参考)

 自己資本比率は、信用金庫法第89条第1項において準用する銀行法第14条の2の規定に基づき、信用金庫及び信用金庫連合会がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第21号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

 なお、本中金は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

 

 

(単位:億円、%)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

(1)連結自己資本比率 (2)/(3)

22.09

25.46

(2)連結における自己資本の額

14,478

16,288

(3)リスク・アセットの額

65,521

63,960

(4)連結総所要自己資本額

2,620

2,558

 

単体自己資本比率(国内基準)

 

 

(単位:億円、%)

 

2023年3月31日

2024年3月31日

(1)単体自己資本比率 (2)/(3)

22.40

25.75

(2)単体における自己資本の額

14,250

15,992

(3)リスク・アセットの額

63,592

62,089

(4)単体総所要自己資本額

2,543

2,483

 

(資産の査定)

 

(参考)

 資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、本中金の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、債務保証見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

 破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2.危険債権

 危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3.要管理債権

 要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4.正常債権

 正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

 

債権の区分

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

0

0

危険債権

32

33

要管理債権

187

184

正常債権

95,394

88,908

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

 「生産、受注及び販売の実績」は、信金中央金庫の事業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による本中金グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 本中金グループの当連結会計年度の経営成績等は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 本中金は、信用金庫業界の中央金融機関としての役割を永続的に発揮し続けるために、リスクアペタイト・フレームワーク運営の高度化等を通じた収益力強化を目指すとともに、強固な財務基盤の構築に向けて取り組んでおります。

 当連結会計年度においては、さらなる円金利上昇リスクへの対応として、前連結会計年度に引き続き円債の売却を進める一方、国債や外貨建変動利付債への投資により利息収入が増加した結果、2023年5月に公表した業績予想とほぼ同水準の利益を確保いたしました。なお、中期経営計画「SCBストラテジー2022」における中期的な目標収益水準及び維持すべき経営指標に対して、以下の成績を収めております。

 

中期的な目標収益水準

2024年3月期(実績)

親会社株主に帰属する当期純利益:400億円程度(*)

321億円

 

(*) 2024年3月期の業績予想は、高水準のインフレ環境の下、欧米中央銀行が金融引締め政策を継続するなか、日本銀行においても金融政策の正常化に着手することが見込まれているほか、欧米金融システム不安や地政学リスクの高まり等、極めて不確実性の高い市場環境が想定されるため、市場環境の変化に機動的かつ臨機応変に対応して強固な財務基盤の構築に取り組むこととしたため、300億円としました。

 

 

維持すべき経営指標

2024年3月期(実績)

連結自己資本比率(国内基準)  :15%以上

25.46%

配当可能限度額         :2,000億円以上

3,675億円

 

 2024年度においては、世界経済が緩やかながら着実に成長するとの見通しの下、各国の金融政策が転換点を迎えており、日銀による正常化に向けた追加利上げも見込まれる一方、粘着質なインフレや地政学リスクの高まり等、リスク要因も散在しており、依然として「先行き不透明感の強い市場環境」の継続が想定されます。こうした状況のなか、リスクアペタイト・フレームワークの下、市場環境の変化に機動的かつ臨機応変に対応しつつ、2024年3月の増資対応も踏まえ、中長期的に安定した収益を確保するための収益力強化を推進し、強固な財務基盤の構築に取り組みます。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 本中金グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しており、資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当面の設備投資及び出資者配当等は自己資金で対応する予定であるとともに、健全経営の確保の観点から、リスクテイクの余力の拡充や金融規制等への対応に向けた内部留保の充実を図ることとしております。また、本中金は、会員である信用金庫からの普通出資や東京証券取引所に上場している優先出資により資本を調達しており、加えて、主として信用金庫からの預金や金融債の発行等により調達した資金を、有価証券や貸出金等によって運用しております。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

本中金は、1958年12月に代理貸付制度を創設し、全ての信用金庫と貸付業務委託契約を締結しており、その主な内容は次のとおりであります。

(1) 本中金は、信用金庫の会員または会員となることができる者に対する資金の貸付、貸付債権の管理、回収ならびにこれらに付随する業務を信用金庫に委任する。

(2) 本中金は、信用金庫の取扱いにかかる貸付金について所定の委託手数料を支払う。

(3) 信用金庫が受託業務を処理するに要する費用は、信用金庫が負担する。

(4) 信用金庫は、債権保全に必要な費用を信用金庫の責任において支出する。

(5) 信用金庫は、その取扱いにかかる貸付元利金について期日までに返済がなかったときは、債務者にかわって、遅滞なく本中金に弁済する。

 

6【研究開発活動】

 該当ありません。