第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 本中金における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 本中金は、次のような経営理念と運営方針に基づき事業運営を行っております。

 

① 経営理念

 信用金庫の中央金融機関として、信用金庫業界の発展につとめ、もってわが国経済社会の繁栄に貢献する。

 

② 運営方針

a.信用金庫の経営基盤の強化、業務機能の補完、信用力の維持・向上につとめる。

b.信用金庫からの安定的な資金調達につとめるとともに、資金調達手段の多様化をはかる。

c.市場運用力の強化、金融サービスの拡充をはかる。

d.金融環境の変化に柔軟に対応するとともに、新規業務にも積極的に取り組む。

e.地域の一員として、信用金庫とともに地域の発展と活性化に貢献する。

f.健全経営の理念のもと、経営の効率化、自己資本の充実、リスク管理の強化につとめる。

g.プロフェッショナルな人材の養成と魅力ある職場づくりをはかる。

h.社会一般に高く評価される金融機関を目指す。

 

(2) 経営環境

 わが国経済は、個人消費や設備投資の持ち直しに伴い、雇用や所得環境の改善が進むなど「成長と分配の好循環」が定着しつつあります。一方で、地域経済においては、人口および中小企業数の深刻な減少や気候変動等様々な問題に直面しており、地域の成長を支える信用金庫の役割の重要性は一層増しております。

 そうしたなか、信用金庫においては、「金利ある世界」を踏まえた収益力の強化およびリスク管理の高度化を図っていくとともに、有限である人的資本のもと、広範かつ専門的な業務に対応するために生産性向上を図る必要がある等、持続的かつ効率的な業務運営が求められております。

 また、信用金庫業界の中央金融機関である本中金においては、その役割・機能の更なる発揮が求められており、信用金庫と連携して地域や中小企業の課題解決に資する実効性の高いソリューションを提供していくことが重要となっております。

(3) 対処すべき課題

① 経営戦略

 本中金は、2025年度から2027年度までの3か年を計画期間とする中期経営計画「SCBストラテジー2025」を策定し、2030年までに目指す姿の実現に向けて、次の3つのストラテジーに則った各種施策に取り組んでまいります。

 

a.中期経営計画の全体像

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b.3つのストラテジー

 (a) ストラテジー1「信用金庫の経営基盤の強化」

  ・地域の持続的な成長を支えていくため、本中金は、業界団体等と連携し、“信用金庫らし

   さ”を発揮できる生産性の高い業務運営基盤を構築するとともに、個々の信用金庫の特性

   を踏まえたきめ細かな経営コンサルティング活動と信用金庫役職員の人財育成を通じて、

   グループ一体となって信用金庫の経営基盤(財務・収益・人財)の強化に取り組んでまい

   ります。

 

 (b) ストラテジー2「地域の持続可能性の向上」

  ・レジリエント(強靭)で持続可能な地域を築いていくためには、信用金庫業界が有する国

   内外に広がるネットワークを活用し、多様化・複雑化する中小企業・個人・地域の課題解

   決に取り組んでまいります。

  ・商品・サービスの利活用促進に向けた信用金庫に対するサポートを強化するとともに、外

   部専門機関と連携した業界として適正対価を受領できる良質な商品・サービスの提供を通

   じて、地域の課題を解決し、社会的なインパクトを実現してまいります。

 

 (c) ストラテジー3「信金中金の成長」

  ・信用金庫の中央金融機関としての役割・機能を持続的かつ安定的に発揮していくため、協

   同組織金融機関の特性を踏まえたガバナンス改革を「成長」のドライバーとし、人財戦略

   の強化、収益・財務基盤の強化・拡充、生産性の高い業務運営態勢の構築に取り組み、本

   中金の「成長」を加速させてまいります。

 

 

② 中期的な目標収益水準および維持すべき経営指標

 本中金は、リスクアペタイト・フレームワークを活用し、収益・リスク・資本のバランスを重視した財務基盤の構築につとめることとし、本中計期間(2025~2027年度)において、次のとおり中期的な目標収益水準および維持すべき経営指標を設定しております。

 2025年度は、米国トランプ大統領の政権運営が不確実性をもたらす環境において、インフレ・景気動向や、日銀による追加利上げをはじめとした各国金融政策の行方など、依然として「先行き不透明感が強く、振れ幅の大きい市場環境」が想定されます。こうした状況のなか、リスクアペタイト・フレームワークの下、市場環境の変化に機動的かつ臨機応変に対応することでポートフォリオの質の向上につとめ、中長期的に安定した収益を確保するための投融資を推進し、財務基盤の一層の強化を図ります。

 こうした見通しのもと、2025年度における連結の業績予想は、経常利益550億円、親会社株主に帰属する当期純利益400億円、自己資本比率(国内基準)20%台としております。

 なお、今後、国内外の経済情勢、金融市場における金利や株価の動向等様々な要因により、本中金の業績が予想から乖離する可能性があります。

 

・中期的な目標収益水準(2025~2027年度)

 親会社株主に帰属する当期純利益 450億円程度

 

・維持すべき経営指標

 連結自己資本比率(国内基準)  15%以上

 配当可能限度額         2,000億円以上

 

③ 優先的に対処すべき課題

 本中金は、中期経営計画『SCBストラテジー2025』を策定し、2030年までに目指す姿を「信用金庫とともに“1つの金融グループ”として地域経済社会の成長を牽引する」と定義するとともに、本中金グループが取り組むべき重要な社会課題(マテリアリティ)を特定することで、優先的に対処すべき課題を明確化しております。

 2025年度は、“1つの金融グループ”として2030年に向けて前進すべく、信用金庫のミドル・バック業務の集約・効率化を通じて、信用金庫が強みを持つフロント業務へさらに特化できる態勢の構築に取り組んでまいります。併せて、個々の信用金庫の特性を踏まえたきめ細かな経営コンサルティング活動を通じて、信用金庫のより強固で盤石な経営基盤の構築にも取り組んでまいります。

 また、中央金融機関としての役割・機能を今まで以上に発揮していくためには、信金中金自身が「成長」していくことが肝要であるとの考えのもと、人財への積極的な投資と収益・財務基盤の強化・拡充を図ってまいります。

 なお、マテリアリティの詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略」をご参照下さい。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 本中金グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

 なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)ガバナンス

 本中金は、サステナビリティにかかるリスクや機会を含めた取組みにつきまして、サステナビリティ推進部が中心となって組織横断的に推進しております。

 本中金におけるサステナビリティにかかる対応方針につきましては、経営会議で審議のうえ、理事会で決議しております。理事会の方針を踏まえた取組状況につきましては、経営会議で審議のうえ、年1回以上理事会に報告しております。また、気候変動リスクにつきましては、経営会議の下部機関であるリスク管理委員会等に定期的に付議しております。加えて、グループ一体経営の観点から、本中金の理事長およびサステナビリティ推進部担当役員ならびに連結子会社の社長で構成する「グループサステナビリティ推進協議会」を年2回開催し、本中金グループにおけるサステナビリティにかかる取組方針等について協議しております。

 

・サステナビリティにかかる推進体制

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・各会議体におけるサステナビリティにかかる主な付議内容

会議体

年月

これまでの主な付議内容

理事会

2019年7月

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同

2019年9月

信金中央金庫グループSDGs宣言の策定

2020年9月

信金中央金庫グループにおけるSDGsへの取組み

2021年4月

赤道原則の採択

2021年7月

気候変動対応の強化

2021年9月

信金中央金庫グループ環境方針の策定

2023年9月

信金中央金庫グループ人権方針の策定

2023年10月

しんきんグリーンプロジェクトにかかる取組状況

2024年9月

信金中央金庫グループにおけるサステナビリティ推進の取組状況

2025年1月

中期経営計画の策定(信金中央金庫グループのマテリアリティの特定を含む)

2025年3月

自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言への賛同

2025年3月

人財ポリシーの策定

経営会議

2020年3月

責任ある投融資を行うための事業別投融資ガイドラインの策定

2023年2月

温室効果ガス排出量実質ゼロに向けたロードマップの策定

2023年11月

気候変動対応におけるScope3の実質ゼロに向けた対応の着手

2024年2月

人権デュー・デリジェンスの実施

2024年9月

しんきんグリーンプロジェクトの2030年におけるゴールについて

2024年10月

TNFD提言に沿った対応の着手

2024年11月

Scope3実質ゼロに向けた取組状況

2025年1月

サステナブルファイナンスの基準および中長期目標額の設定

リスク

管理委員会

2021年10月

統合的リスク管理における気候変動リスクの管理

2022年11月

気候変動リスクにかかるシナリオ分析の流れおよび重要度評価

2023年3月

気候変動リスクにかかるシナリオ分析の実施

グループ

サステナビリティ

推進協議会

2021年7月

信金中央金庫グループ環境方針の策定に向けて

2022年7月

地域の脱炭素化に向けた各社の取組みの共有および連携可能性

2022年7月

信金中央金庫グループの温室効果ガス排出量実質ゼロに向けた課題

2023年1月

信金中央金庫グループの気候変動対応

2023年7月

信金中央金庫グループ人権方針の策定に向けて

2024年1月

優先して取り組むべきサステナビリティ課題への対応

2024年7月

信金中央金庫グループのマテリアリティの特定に向けて

2025年1月

インパクトの実現に向けた施策

 (注) 1.定期的に付議している内容は、初回分のみ記載しております。

    2.経営会議への付議内容につきまして、経営会議を経て理事会に付議している内容は記載を省略しております。

 

(2)戦略

 本中金グループは、「信金中央金庫グループSDGs宣言」を策定し、信用金庫の中央金融機関を核とするグループとして、協同組織の理念に則り、「地域」、「人々」および「環境」の3つを重要なテーマとし、全国の信用金庫とともに、持続可能な社会の実現に向けた活動に取り組んでおります。

 また、本中金グループの重要な社会課題(マテリアリティ)を特定し、グループ一体となり、事業活動を通じて企業価値の向上を図るとともに、社会的なインパクトの実現を目指しております。

 

・マテリアリティの全体像

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① 気候変動への対応について

 気候変動を含む環境問題につきましては、「信金中央金庫グループ環境方針」を策定し、自らの事業活動を通じ、その解決に向けて取り組むとともに、本中金グループの環境負荷低減につとめております。

 また、マテリアリティとして「地域産業の発展と日本の成長」および「環境問題への地域一体となった取組み」を掲げており、脱炭素化に資する各種施策を実行しております。

 まず、サステナブルファイナンスにつきましては、再生可能エネルギーの普及や技術革新の進展等を投資機会と認識しており、本中金グループ一体となって環境・社会課題の解決に資するファイナンスに注力しております。なお、本中金は、従前より2021年度から2030年度までの中長期目標として「本中金におけるESG投融資の累計実行額3兆円」を掲げておりましたが、2025年4月より、当該目標を「本中金グループにおけるサステナブルファイナンスの累計実行額5兆円」に変更しております。

 地域の脱炭素化につきましては、地域や中小企業の脱炭素の取組みを促進することで、中小企業にとって新たな事業の創出・成長機会の獲得につながるうえ、地域経済の活性化の観点からも重要であると認識しております。このような認識のもと、サステナビリティ推進部グリーンプロジェクト推進室が中心となり、全国の信用金庫とともに、官公庁や外部機関とも連携して地域の脱炭素化等を推進しております。

 気候変動リスクにつきましては、気候関連の規制強化や技術革新といった低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)および気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等によりもたらされる物理的な被害に伴うリスク(物理的リスク)が想定されると認識しております。このような認識のもと、投融資先が気候変動の影響を受けることにより本中金の財務に与える影響を定量的に評価するため、シナリオ分析を実施しております。なお、シナリオ分析につきましては、短期・中期・長期の時間軸を考慮して実施しております。

 また、信用金庫の中央金融機関として、信用金庫をはじめとするステークホルダーの経済活動の維持に必要な金融機能の提供を継続するうえで、自然災害等が業務遂行に重大な影響を及ぼすリスクを想定した業務継続計画(BCP)を策定し、これらが顕在化した場合にも、重要業務を継続して行うことができる態勢の整備につとめております。

 

② 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

 本中金を取り巻く環境や職員の働き方等が変化・多様化するなか、経営理念の実現に向けた取組みを着実に実行していくためには、人的資本経営の考え方のもと、職員一人ひとりが意欲・能力を最大限に発揮し、一体感をもって業務に取り組むことが不可欠となっております。

 こうした状況を踏まえ、マテリアリティとして、「人財の活躍と成長」および「働きがいのある職場づくり」を掲げており、人財の価値向上や社内環境の整備に資する各種施策に取り組んでいます。

 当事業年度においては、職員と本中金が「人財」に対する考え方を共有し、「人財」の価値の最大化を図ることを目的として、本中金がこれまで大事にしてきた価値観をもとに、人事施策等を実行する際の拠り所となる「人財ポリシー」を策定しました。

 この人財ポリシーでは、職員一人ひとりが重要な財産「人財」であり、あらゆる価値創造の源泉であるという認識のもと、「人財」の価値の最大化に努めることを基本的な考え方としております。そして、職員に求める要素として、「使命感・責任感」、「お客様本位」、「変革志向」および「プロフェッショナル」の4つを掲げ、「人財への積極的投資」、「多様な人財が活躍できる環境」、「能力開発・キャリア形成機会」および「公正な評価・フィードバック」の4つを職員に提供することとしております。

 

 上記の人財ポリシーの策定を踏まえ、本中金は、女性やシニア層を含む多様な人財が活躍できるよう、組織風土の醸成や働きやすい職場環境の構築等に一層取り組むとともに、専門性を有し、環境変化に柔軟に対応できる人財を育成することで、信用金庫業界の成長や企業価値の向上に繋げていくことを、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針としております。

 上記の人財の育成に関する方針に基づき、以下のとおり社内環境を整備する方針としております。

 

a.多様な人財の活躍に向けた環境の整備

 本中金は、女性やシニア層などの多様な人財がその能力を遺憾なく発揮できるように、各種制度やワークライフバランスの充実、多様な働き方の拡充ならびに仕事と家庭の両立支援等に関する施策に積極的に取り組んでおります。

 具体的な取組みとしては、女性活躍の機会拡大について、2019年度以降、総合職の新卒採用者に占める女性の割合を20%以上とするとともに、両立支援環境の整備等に取り組んでおります。

 また、シニア層の活躍推進については、シニア職員のうち、一定の実績や高い専門性等を有するとともに、後進の育成に優れる職員をマイスターとして任命し、役職者としての職務権限を委任することで、職責に応じた手当を支給する「マイスター制度」を運営しており、当事業年度末時点で9名の職員を任命しております。

 そのほか、中途採用施策の強化にも取り組んでおり、転職潜在層へのアプローチや本中金での活躍が期待できる多様な人財の確保を目的として、本中金の業務内容および社風等を理解する本中金職員が本中金にマッチする知人等を紹介するリファラル採用に取り組んでおります。

 働きやすい職場環境の整備に関しては、心身のリフレッシュを目的として2営業日連続で休暇を取得できる「リフレッシュ休暇」や、短期旅行や帰省への活用等、ワークライフバランスの更なる充実を図ることを目的として3営業日連続して取得できる「プレミアム休暇」等を導入し、年次有給休暇の積極取得を推進しております。そのほか、「スライドワーク」(予め設定された勤務時間の中から職員が選択して勤務する制度)や「テレワーク」に加えて、地方への単身赴任者が一定期間を本店等で勤務する「デュアルワーク制度」を導入するなど、多様な働き方に対応しつつ、生産性の向上を図っております。

 さらに、育児・介護支援制度の拡充を進めており、「育児目的特別休暇」(配偶者の出産立会いや1歳に満たない子の養育などのために取得できる特別休暇)の導入等により、職員の仕事と家庭の両立に向けた環境整備に取り組んでおります。

 

b.専門性を有し、環境変化に柔軟に対応できる人財の育成に向けた環境の整備

 本中金は、業界の中央金融機関としての役割を発揮し続けていくため、職員一人ひとりがその役割や社会的使命を認識するとともに、高度な金融知識や業務執行能力等のスキルを獲得することができるように、人財育成に関する施策に取り組んでおります。

 具体的な取組みとしては、職員の自律的なキャリア形成意識に応えつつ、専門的なスキルを有する職員を育成するため、公募のうえ選考された職員について一定期間特定の業務分野に限定して配属する「キャリアチャレンジ制度」を2021年度に導入しております。本制度では、当事業年度までに、マーケットコース、コーポレートファイナンスコースおよびシステムイノベーションコースの3つのコースを設定し、各分野における専門人財の育成に取り組んでおります。

 また、社会的使命の認識について、経営陣から職員に期待する役割や姿を共有することで、職員自身が目指す方向性やキャリアを認識し、人財の活躍・成長を促す環境を構築するため、経営陣との深度あるコミュニケーションの場として「役員座談会」を開催しております。加えて、若手職員が信用金庫業務を経験することで、地域経済や地域社会に対して信用金庫が果たす役割への認識を深めるとともに、信用金庫役職員とのリレーション構築を通じて、信用金庫と一体になって課題解決に取り組むことができる人財を育成するため、「信用金庫研修出向制度」を運営しております。

 そのほか、本中金の各種業務の遂行に必要なテクニカルスキルやヒューマンスキル等について自発的に学ぶことができる「SCBユニバーシティ」の運営等に取り組んでおります。特に、業界DXの加速に向けた環境の整備として、DXに関するリテラシー向上から、業務課題の洗出し、解決策の企画・立案、実現方法の検討ができるビジネス系スキルを備えた人財の育成を目的として、「DX人材育成プログラム」を提供しており、ビジネス系スキルに加えて、データサイエンティスト等の技術系スキルの習得を目的とした講座の運営により、さらなるDX人財の育成に取り組んでおります。

 

(3)リスク管理

 本中金は、環境・社会リスクを認識し、評価・管理するための態勢強化に努めております。

 気候変動リスクにつきましては、統合的リスク管理の枠組みにおいて管理しております。具体的には、リスクカテゴリー(市場および信用リスク等)のリスクを発生または増幅させる原因として認識しております。また、「本中金に与えるインパクト」と「発生の蓋然性」の2つの基準により分類・整理したリスクマップに気候変動リスクイベントを追加し、可視化・共有化しております。リスクマップは、役員および関連部門長を構成員として定期的に開催するリスク管理委員会にて、都度見直しのうえ決定しております。リスクイベントにつきましては、インパクトや蓋然性に応じ対応を図っております。

 また、気候変動に関連し財務的影響を受ける蓋然性の高いセクターを識別し、「責任ある投融資を行うための事業別投融資ガイドライン」を制定しております。同ガイドラインは継続的に見直しを行っており、これを踏まえて投融資を行っております。

 加えて、赤道原則を2021年4月に採択し、これにもとづき、プロジェクトファイナンス等の意思決定プロセスにおいて、プロジェクトの環境・社会影響を評価するとともに、プロジェクトの運用開始後においても、環境・社会への配慮の状況を継続的にモニタリングしております。

 人権課題につきましては、「信金中央金庫グループ人権方針」を策定し、本中金グループが企業として人権尊重責任を果たすことにコミットするとともに、人権を尊重し、自らの事業活動が人権に対し与える影響を考慮して事業活動を行っております。また、当該方針に則り、お客様およびサプライヤーに対しても人権の尊重を期待しております。具体的な取組みとしては、人権への負の影響を防止・軽減するために、人権デュー・デリジェンスを実施しているほか、救済措置の整備および役職員への周知・教育等を推進しております。

(4)指標及び目標

 本中金は中期経営計画「SCBストラテジー2025」における非財務目標として、マテリアリティに関連する代表的なKPIを設定しております。

指標

目標

中小企業の販路拡大支援件数

11,000件(中計期間累計)

個人の資産形成・承継にかかる商品・サービス利用者数

80万人(2027年度末)

DX化・共同化による業界全体の業務時間削減効果

120万時間(2027年度)

信用金庫役職員の研修受講人数

80,000人(中計期間累計)

エンゲージメント評価指数

2025年度比向上(2027年度)

サステナブルファイナンス累計実行額

5兆円(2021~2030年度)

温室効果ガス排出量(Scope1,2)

ゼロ/カーボンニュートラル達成(2030年度末)

 

① 気候変動について

 ・サステナブルファイナンス累計実行額

 本中金は、従前より2021年度から2030年度までの中長期目標として「本中金におけるESG投融資の累計実行額3兆円」を掲げておりましたが、2025年4月より、当該目標を「本中金グループにおけるサステナブルファイナンスの累計実行額5兆円」に変更しております。なお、サステナブルファイナンスの対象範囲は、国際原則・政府指針等を参考に、環境・社会課題の解決に資するファイナンス(投融資、プロジェクトファイナンスおよびシンジケートローンの組成、債券の引受、ファンドの組成、調達)としております。

 

(サステナブルファイナンスの累計実行額の推移)

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 (注) 本中金グループの計数を記載しております。

 

 

 

・ 温室効果ガス排出量(Scope1、2)

 パリ協定および日本政府の掲げる「2050年カーボンニュートラル」実現に貢献するべく、本中金グループの温室効果ガス排出量(Scope1、2)を2030年度までに実質ゼロとする目標を設定しております。また、排出量の大半を占める本中金は、目標に向けたロードマップにもとづき、カーボンニュートラルに向けた取組みを「2025年度まで」の第1段階と「2026年度以降」の第2段階の2つのフェーズに分け、フェーズごとに段階的な目標を設定し、「脱炭素」・「省エネ」・「創エネ」を3つの柱とする各種施策に取り組んでおります。

 第1段階では、2025年度までに温室効果ガス排出量を2,000t-CO2以下に削減することを目標としており、再生可能エネルギー由来の電力(グリーン電力)の導入継続に加えて、カーボンオフセット都市ガスの試験導入や、電算センターの省エネ化に向けた外部機関による省エネ診断、建物内の消費エネルギーを削減するZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)店舗の建設に向けた設計などを実施しております。

 加えて、2025年度以降は、自社保有拠点におけるグリーン電力の全面導入や空調設備の高効率化など、カーボンニュートラルの達成に向けた具体的な取組みの実施を予定しております。

 なお、温室効果ガス排出量(Scope1、2)の実績につきましては、2023年度までは本中金単体の計数を、2024年度以降は本中金および国内連結子会社合算の計数を記載しております。

 

(温室効果ガス排出量の推移)

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 (注) 1.温室効果ガス排出量(Scope1、2)の実績の集計範囲は以下のとおりです。

    ・2021年度~2023年度:本中金

    ・2024年度:本中金および国内連結子会社

    2.Scope1は、事業者自らの直接排出(燃料の燃焼等)であり、Scope2は、他者から

      供給された電気等の使用に伴う間接排出です。

 

(温室効果ガス排出量実質ゼロに向けたロードマップ)

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 (注) 本中金単体のロードマップであり、今後の外部環境の変化等に応じて改正する可能性があります。

 

・ 石炭火力発電所の建設を資金使途とする投融資の残高

 本中金は、石炭火力発電所の建設を資金使途とする投融資の残高につきまして、2030年度までに2020年度末比50%削減し、2040年度までにゼロとする目標を設定しております。

 

(石炭火力発電所の建設を資金使途とする投融資の残高)

目標

2030年度までに2020年度末比50%削減し、2040年度までにゼロ

実績

2024年度末残高46億円

 (注) 1.本中金単体の計数を記載しております。

    2.2020年度末残高は59億円であります。

 

② 人材の育成及び社内環境整備に関する方針について

 本中金では、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。

 

戦略

指標

目標

実績(当事業年度)

多様な人財の活躍に向けた環境の整備

総合職の新卒採用者に占める女性の割合

2029年3月末まで20以上を維持

22.0

男性労働者の育児休業等取得率

2026年3月末まで90以上を維持

110.7

有給休暇取得率

2026年3月末まで60以上を維持

69.0

女性役職者比率

11.4

中途採用比率

30

専門性を有し、環境変化に柔軟に対応できる人財の育成に向けた環境の整備

キャリアチャレンジ制度の適用者数

10

役員座談会の開催回数・参加人数

7・50名

信用金庫研修出向の派遣人数

49

DX人材育成プログラム(Level 1、2)の参加人数

50

 (注) 1.本中金単体の計数を記載しております。

2.指標および目標について、各水準の改善、利用者数の拡大および制度の安定的な維持・運営に向けて取り組んでおりますが、定量的な目標を設定していない指標は「-」としております。

3.男性労働者の育児休業等取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。なお、過年度に配偶者が出産した従業員が当事業年度に育児休業等を取得することがあるため、男性労働者の育児休業取得率が100%を超えることがあります。

4.有給休暇取得率は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

5.女性役職者比率は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、係長級にある者に占める女性労働者の割合を算出したものです。

6.中途採用比率は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(昭和41年法律第132号)の規定に基づき算出したものです。

7.キャリアチャレンジ制度の適用者数は、2025年3月31日時点における、マーケットコース、コーポレートファイナンスコースおよびシステムイノベーションコースの3つのコースの適用者数の合計を開示しております。

8.役員座談会は、職員と経営陣の深度あるコミュニケーションのため、少人数によるディスカッション形式としており、当事業年度は「信用金庫業界の将来と自身の役割」等のテーマに基づき、開催しております。

9.DX人材育成プログラムの参加人数は、ビジネス系スキルおよび技術系スキルの各レベルへの参加人数の合計を開示しております。なお、ビジネス系スキルは、Level 1でデジタル技術を活用した業務の省力化等について、Level 2でBPR・デジタライゼーションの実務等の習得を目標としており、技術系スキルは、Level 1で統計・分析ノウハウ等について、Level 2でプログラミング言語を活用したデータ分析等の習得を目標としております。

 

3【事業等のリスク】

 本中金および本中金グループの事業その他に関するリスクにつきまして、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。

 また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、参考になると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。

 本中金グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に万遺漏なきを期してまいります。

 なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本報告書の提出日現在において判断したものであります。

 

 以下に記載した各リスクのうち、本中金および本中金グループの財務状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとして、「(1) 本中金の法的根拠等による特有のリスク」、「(2) 信用金庫業界のセーフティネットの運営に関するリスク」、「(3) 有価証券に関するリスク」、「(4) 貸出金に関するリスク」および「(5) 資金調達に関するリスク」が挙げられます。

 「(1) 本中金の法的根拠等による特有のリスク」および「(2) 信用金庫業界のセーフティネットの運営に関するリスク」については、本中金が信用金庫業界の中央金融機関であることに伴う事業上のリスクです。当該リスクについては、本中金が、信用金庫の経営分析や経営相談を通じ、経営悪化の未然防止を図るなど、信用金庫業界のセーフティネットである信用金庫経営力強化制度および信用金庫相互援助資金制度を管理・運営し、業界の信用秩序維持につとめ、リスクの顕在化を未然に防止しております。

 「(3) 有価証券に関するリスク」、「(4) 貸出金に関するリスク」および「(5) 資金調達に関するリスク」については、金融機関に共通するリスクであり、当該リスクが顕在化した場合は、本中金の業績・業務運営に影響を与える可能性があると認識しているため、リスクアペタイト・フレームワークの下、収益・リスク・資本のバランスにかかる一体的な議論を行ったうえで、資本に見合った適切なリスクテイクを実施し、健全性の維持と継続的な利益の確保につとめております。

 また、「(3) 有価証券に関するリスク」および「(4) 貸出金に関するリスク」については、市場リスクおよび信用リスクをVaRなどの統一的な尺度で計測して合算し、自己資本と対比する統合リスク管理の手法を導入しております。更に、市場環境の急変等を想定したストレスシナリオにかかる損失額を算出し、自己資本への影響を検証・評価しております。

 加えて、「(5) 資金調達に関するリスク」については、通貨別および期間別に資金の入出金ギャップにかかるリスク限度額を設定し、日次でモニタリングするとともに、流動性に懸念などが生じた場合においては、調達先確保などの迅速な対応ができる態勢を整えております。

 なお、2025年度においては、米国における政権運営が不確実性をもたらす環境において、インフレ・景気動向や、日銀による追加利上げをはじめとした各国金融政策の行方など、先行き不透明感が強く、振れ幅の大きい市場環境が想定されることから、リスクアペタイト・フレームワークの下、柔軟なポートフォリオ運営を実施してまいります。

 

(1) 本中金の法的根拠等による特有のリスク

 本中金は、信用金庫法(昭和26年法律第238号)に基づき、信用金庫が会員となって出資をすることにより設立された協同組織金融機関です。本中金は、信用金庫を基盤としているため、信用金庫の経営成績や財務状態の変動は、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 また、本中金は、信用金庫法に定める信用金庫連合会という特別の法人であり、株式会社形態をとる銀行と比較し、法制面で異なるところがあります。このような法制上の位置づけから、本中金グループの業務は一定の制約を受けております。今後の業務展開の中で、これらの制約によって本中金グループが競争優位を得られない可能性があり、その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。なお、法制面で銀行と異なる主な点は次のとおりです。

 ① 信用金庫法の認可事項

 本中金は、次のいずれかに該当するときは、内閣総理大臣(金融庁長官に権限を委任)の認可を受ける必要があります。

a.定款を変更しようとするとき。

b.業務の種類または方法を変更しようとするとき。

 

 ② 業務の範囲

 本中金の業務は、主に会員である信用金庫に対して行うものであり、会員以外の者からの預金の受入れや会員以外の者に対する資金の貸付けなどの業務については、その取扱いに先立ち内閣総理大臣(金融庁長官に権限を委任)の認可を受けております。また、債務の保証、手形の引受、有価証券の貸付けなど一部の業務については、会員のほか内閣府令で定める者に対してのみ取扱いが認められているなど一定の制限があります。

 

(2) 信用金庫業界のセーフティネットの運営に関するリスク

 本中金は、信用金庫業界の信用秩序維持のために、セーフティネットの枠組みとして信用金庫経営力強化制度および信用金庫相互援助資金制度を運営しております。

 信用金庫経営力強化制度は、信用金庫業界の経営力の一層の強化を図るため、経営分析、経営相談および資本増強制度により構成されており、信用金庫業界のセーフティネットの主要な柱であります。本中金は、この経営力強化制度に基づいて、信用金庫の経営分析を行い、必要に応じて経営相談を実施するほか、一定の限度内で個別信用金庫に対して資本を供与しております。供与先信用金庫の経営状況の変化等によっては、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 信用金庫相互援助資金制度は、資本増強制度による資本供与に加えて、財政的支援が必要と判断される場合において、信用金庫業界として該当信用金庫に援助を行う制度であります。当該制度を適用して支援を行う必要が生じた場合には、本中金は信用金庫業界の一員として応分の負担を行う可能性があります。その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 有価証券に関するリスク

 ① 市場リスク

 本中金グループは、国内外の債券、株式および投資信託等の様々な有価証券を保有しております。これらの有価証券は、金利リスク、為替リスクおよび価格変動リスク等があるため、金融市場の混乱等により、金利、為替レートおよび価格等が変動した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 ② 信用リスク

 本中金グループは、有価証券投資に関し国債、地方債および政府保証債を中心としておりますが、社債や投資信託等の保有による一定の信用リスクを抱えております。これが顕在化した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

 ③ 市場流動性リスク

 本中金グループは、市場で取引される様々な有価証券を保有しておりますが、金融市場の混乱等により、保有有価証券の市場流動性が著しく低下し、価格の下落により評価損が発生した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 貸出金に関するリスク

 ① 不良債権の状況

 本中金グループの不良債権比率(信用金庫法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく不良債権額の対総与信残高比率)は、0.22%(2025年3月末現在、連結ベース)と低い水準となっているものの、国内外の事業会社等に対する債権を保有しており、一定の貸倒リスクを抱えております。かかるリスクへの備えとして、所要の貸倒引当金を計上しておりますが、国内外の経済動向、不動産および株式等の市況の変動、個別の融資先の業況悪化等によっては、本中金グループの不良債権および与信関係費用が増加するおそれがあり、その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

 ② 特定セクターへの集中

 本中金グループは、貸出金全体に対し、本邦政府、地方公共団体および政府関係機関に対する貸出金が一定の割合を占める状況にあります。このため、本邦政府等の財政状況や信用力等の悪化、ネガティブな報道、格付会社による格下げなどがあった場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 資金調達に関するリスク

 本中金グループは、主として信用金庫から余裕資金として預け入れられた預金と金融債により資金を調達しておりますが、市場からの調達も行っております。信用金庫の資金繰りの状況や経済金融環境の変化等によっては、想定を上回る預金の流出や外貨資金調達が困難になること等により、本中金グループの経営成績及び財務状態に影響を与える可能性があります。

 さらに、本中金は、国内外の格付会社4社から格付けを取得しておりますが、その格付けが引き下げられた場合には、資金調達における取引条件が悪化する、あるいは取引が制約される可能性があります。

 

(6) オペレーショナル・リスク

 本中金グループが多様な業務を遂行していくにあたっては、オペレーショナル・リスクが存在しております。オペレーショナル・リスクとは、業務の過程、役職員の活動もしくはシステムが不適切であることまたは外生的な事象により損失を被るリスクです。具体的には、次のとおりです。

 ① 事務リスク

 本中金グループは、事務にかかる規程・要領等の整備、事務処理のシステム化および本部による事務指導や各種研修等を通じて適正な事務処理および不正の防止につとめておりますが、役職員による不正確な事務、あるいは不正や過失等に起因する不適切な事務が行われること等により、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

 ② システムリスク

 本中金グループは、営業支援やリスク管理等を行う情報システムを利用しているほか、信用金庫間および他業態金融機関との間の内国為替取引データの中継を行うサービスを提供しております。本中金グループでは、セキュリティポリシーに基づき、情報資産の適切な保護につとめているほか、外部からのサイバー攻撃に対するセキュリティ対策等を講じております。

 しかしながら、品質不良、人為的ミスおよび災害等の要因により発生するコンピュータシステムの障害のほか、予防策が効果を発揮せず外部からのサイバー攻撃(不正アクセスおよびコンピュータウィルス感染等)に起因する情報漏洩や業務の停止等が発生した場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

 ③ コンプライアンス・リスク

 本中金グループは、法令その他諸規則等が遵守されるようコンプライアンス体制および内部管理態勢の強化につとめております。また、マネー・ローンダリング、テロ資金供与および拡散金融の防止を経営の最重要課題の一つとして位置づけ、対策の高度化につとめております。

 しかしながら、役職員等が法令その他諸規則等を遵守できなかった場合、予防策が効果を発揮せず役職員等による不正行為が行われた場合、または高度化する金融犯罪の発生によりマネー・ローンダリング等の不適切な取引を未然に防止できなかった場合には、行政処分や罰則に加え、損害賠償請求等による損失の発生や、顧客または市場からの信頼失墜等により、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 自己資本比率規制

 本中金グループは、連結自己資本比率を、信用金庫法第89条第1項において準用する銀行法第14条の2の規定に基づき、信用金庫及び信用金庫連合会がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第21号)により、国内基準(現時点においては4%)以上に維持する必要があります。

 本中金グループの自己資本比率はこれらの基準を大きく上回っておりますが、将来、これらの基準を下回った場合、業務の縮小や新規取扱いの禁止等を含む様々な制約を受ける可能性があります。その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 なお、本中金グループの自己資本比率に影響を与える主な要因は以下のとおりです。

 

・ 有価証券ポートフォリオの価値の低下

・ 不良債権処理や債務者の信用力悪化等による信用コストの増加

 

(8) 各種の規制および法制度等の変更

 本中金グループが国内外において業務を行うにあたって適用されている法律、規則、政策、実務慣行、会計制度および税制等が変更された場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) 風評リスク

 国内外のメディアにより、本中金グループ、信用金庫業界全体や特定の信用金庫に関する否定的な報道が行われた場合には、それが正確であるか否かにかかわらず、または本中金グループに直接関係しない内容であっても、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 競争

 金融業への参入規制緩和や業務範囲の拡大などの規制緩和に伴い、金融業における競争は激化する傾向にあります。このような事業環境において、本中金グループは新たな収益機会を得るために、業務範囲を拡大することがあり、新しいリスクに晒される可能性があります。その結果、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(11) 繰延税金資産の取崩し

 将来の課税所得見積額および無税化スケジュール等の変更により、繰延税金資産の一部又は全部の回収が困難となり、繰延税金資産の額を減額する必要が生じた場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(12) 退職給付債務にかかるリスク

 本中金グループの退職給付費用および債務は、年金資産の期待運用利回りや割引率等の数理計算上の前提条件に基づいて算出しております。年金資産の時価・運用利回りが下落・低下した場合、または数理計算上の前提条件に変更があった場合には、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(13) 個人情報の漏洩

 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)および行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)に基づき、本中金グループは、個人情報取扱事業者や個人番号関係事務実施者として個人情報(特定個人情報を含みます。)の保護にかかる義務等の遵守を求められており、個人情報保護宣言を策定するなど情報管理態勢を整備・運営しております。万が一、外部者による不正なアクセス、役職員の人為的ミスまたは事故などにより、顧客情報が漏洩し、その情報が悪用された場合、顧客に対する損害賠償の費用が発生する可能性があります。また、かかる事件が報道され、顧客または市場からの信頼失墜等により、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(14) 災害等の発生に伴うリスク

 地震等の災害や電力設備等の障害により、本中金グループの店舗等の施設が被害を受ける可能性があります。また、新型インフルエンザ等の感染症の流行により、本中金グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。これら業務遂行に重大な影響を及ぼす事象が発生した場合に備えて、本中金グループでは、業務継続計画の策定、業務継続訓練の実施およびバックアップ拠点の構築など、業務継続体制を整備しておりますが、被害の程度によっては、本中金グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(15) 気候変動リスク

 気候関連の規制強化や技術革新といった低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)および気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等によりもたらされる物理的な被害に伴うリスク(物理的リスク)が、投融資先の事業・財務に影響を与えることにより、間接的にポートフォリオが影響を受ける可能性があります。

 なお、本中金では、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明しており、同提言を踏まえた情報開示に取り組んでおります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における本中金グループ(本中金及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

 (金融経済環境)

 当連結会計年度の金融経済環境を振り返りますと、国内においては、雇用や所得環境の改善が進み、日銀が7月及び1月に政策金利を引き上げました。これにより、「金利ある世界」が到来したことで、金融環境は、大きな転換点を迎えることとなりました。

 金融市場において、長期金利(10年国債利回り)は、日銀が政策金利を引き上げた後も、追加利上げ観測の高まり等から上昇基調での推移が続き、3月には1.5%を超える水準まで上昇しました。日経平均株価は、4月に39,000円台でスタートすると、企業業績の改善期待や海外投資家による資金流入の拡大を背景に、7月には史上最高値となる42,000円台まで上昇しました。その後、国内外の政局動向や景気を巡る不確実性が一段と高まるなか、3月には35,000円台まで下落しました。

 

 (業績)

 当連結会計年度は、リスクアペタイト・フレームワークの下、中長期的に安定した収益を確保するため、市場環境の変化に機動的かつ臨機応変に対応し、強固な財務基盤の構築に取り組みました。

 その結果、当連結会計年度においては、以下のとおりの業績となりました。

 

・損益の状況

 経常収益は、前年度比551億円、12.9%増収の4,825億円となりました。これは、有価証券利息配当金の増加等によるものです。一方、経常費用は同407億円、10.6%増加の4,239億円となりました。これは、預金利息及び債券貸借取引支払利息の増加等によるものです。

 これらの結果、経常利益は、前年度比143億円、32.4%増益の585億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、同103億円、32.0%増益の424億円となりました。

 また、報告セグメントである信金中央金庫の事業における経常収益は、前年度比538億円、13.6%増収の4,471億円となりました。一方、経常費用は、同409億円、11.6%増加の3,920億円となりました。

 これらの結果、経常利益は、前年度比129億円、30.5%増益の550億円、当期純利益は、同96億円、31.0%増益の405億円となりました。

 なお、本中金においては、連結決算に占める単体決算の割合が高いことから、単体決算と連結決算は、ほぼ同様の結果となります。

 

  ・資産、負債等の状況

 資産の部合計は、前年度末比6,164億円増加し48兆2,388億円となりました。このうち、現金及び預け金は、日銀当座預け金の減少等により、同8,180億円減少し19兆1,196億円となりました。一方、有価証券は、外国証券の増加等により、同1兆438億円増加し17兆537億円となりました。また、貸出金は、事業会社向け貸出の増加等により、同4,273億円増加し9兆2,856億円となりました。

 負債の部合計は、前年度末比6,620億円増加し46兆7,264億円となりました。このうち、預金は、定期性預金の減少等により、同1兆7,592億円減少し31兆3,052億円となりました。また、借用金は、日銀からの借入金の減少等により、同7,827億円減少し4兆3,473億円となりました。一方、売渡手形及びコールマネーは、同2兆2,370億円増加し、2兆2,552億円となりました。

 純資産の部合計は、その他有価証券評価差額金の減少等により、前年度末比456億円減少し1兆5,124億円となりました。

 なお、不良債権比率は、前年度末比0.02ポイント低下し0.22%となり、貸出資産は引き続き極めて高い健全性を維持しております。

 

 (キャッシュ・フローの状況)

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、資金の運用・調達、貸出金や預金の増減等の「営業活動によるキャッシュ・フロー」が前年度比2兆7,109億円減少の3,994億円の収入、有価証券の取得・売却・償還等の「投資活動によるキャッシュ・フロー」が同9,304億円増加の1兆2,722億円の支出、配当金の支払等の「財務活動によるキャッシュ・フロー」が同375億円減少の196億円の支出となりました。

 その結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前年度末比8,924億円減少し18兆3,511億円となりました。

 また、当連結会計年度末での調達・運用の状況については、売渡手形及びコールマネーの増加等により、資金調達額が4,339億円増加しました。一方で、有価証券や貸出金の増加等により、資産運用額が1兆394億円増加しました。

 

 

 

 

① 国内・海外別収支

 当連結会計年度において、国内では、資金運用収支が前連結会計年度比254億円減少し809億57百万円、信託報酬が同52百万円増加し25億81百万円、役務取引等収支が同9億64百万円増加し309億27百万円、特定取引収支が同107億51百万円減少し121億32百万円、その他業務収支が同721億44百万円増加し△98億35百万円となりました。

 海外では、資金運用収支が前連結会計年度比1億37百万円増加し4億5百万円、役務取引等収支が同84百万円増加し3億82百万円、特定取引収支が同1百万円減少し2億89百万円、その他業務収支が同2百万円増加し2百万円となりました。

 以上により、合計では、資金運用収支が前連結会計年度比252億65百万円減少し812億94百万円、信託報酬が同52百万円増加し25億81百万円、役務取引等収支が同9億33百万円増加し294億29百万円、特定取引収支が同107億50百万円減少し124億21百万円、その他業務収支が同721億21百万円増加し△104億70百万円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

106,357

268

66

106,559

当連結会計年度

80,957

405

68

81,294

うち資金運用収益

前連結会計年度

283,736

271

92

283,914

当連結会計年度

399,516

412

109

399,819

うち資金調達費用

前連結会計年度

177,378

2

26

177,355

当連結会計年度

318,559

7

41

318,525

信託報酬

前連結会計年度

2,529

2,529

当連結会計年度

2,581

2,581

役務取引等収支

前連結会計年度

29,963

298

1,765

28,496

当連結会計年度

30,927

382

1,880

29,429

うち役務取引等収益

前連結会計年度

48,253

316

4,646

43,923

当連結会計年度

50,213

406

4,571

46,048

うち役務取引等費用

前連結会計年度

18,289

18

2,880

15,427

当連結会計年度

19,285

23

2,690

16,619

特定取引収支

前連結会計年度

22,883

290

2

23,171

当連結会計年度

12,132

289

0

12,421

うち特定取引収益

前連結会計年度

23,020

290

139

23,171

当連結会計年度

12,189

289

58

12,421

うち特定取引費用

前連結会計年度

136

136

当連結会計年度

57

57

その他業務収支

前連結会計年度

△81,979

△0

611

△82,591

当連結会計年度

△9,835

2

637

△10,470

うちその他業務収益

前連結会計年度

49,349

5

732

48,622

当連結会計年度

18,480

6

758

17,729

うちその他業務費用

前連結会計年度

131,329

6

121

131,213

当連結会計年度

28,316

4

121

28,200

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内に本店を有する連結子会社(以下「国内連結子会社」という。)であります。

2.「海外」とは、海外に本店を有する連結子会社(以下「海外連結子会社」という。)であります。

3.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

4.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度39百万円、当連結会計年度166百万円)を控除して表示しております。

 

② 国内・海外別資金運用/調達の状況

 当連結会計年度における資金運用勘定平均残高(相殺消去前)は、国内で前連結会計年度比8兆2,952億40百万円増加し45兆7,259億97百万円、海外で同11億88百万円増加し101億3百万円となりました。

 また、資金調達勘定平均残高(相殺消去前)は、国内で同4兆4,369億42百万円減少し44兆9,429億22百万円となりました。

 利回りについては、合計の資金運用勘定の利回りは、有価証券の利回りが上昇したこと等により、前連結会計年度比0.11ポイント上昇し0.87%となりました。また、合計の資金調達勘定の利回りは、預金の利回りが上昇したこと等により、同0.35ポイント上昇し0.70%となりました。

 

a.国内

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

37,430,757

283,736

0.75

当連結会計年度

45,725,997

399,516

0.87

うち貸出金

前連結会計年度

9,112,539

24,050

0.26

当連結会計年度

8,226,193

39,849

0.48

うち預け金

前連結会計年度

10,164,919

8,227

0.08

当連結会計年度

19,323,268

45,057

0.23

うち買入手形及び

コールローン

前連結会計年度

2,203,644

3,117

0.14

当連結会計年度

452,863

5,205

1.14

うち買現先勘定

前連結会計年度

666,238

△562

△0.08

当連結会計年度

23,349

77

0.33

うち債券貸借取引

支払保証金

前連結会計年度

59,156

0

0.00

当連結会計年度

15,827

18

0.11

うち有価証券

前連結会計年度

14,718,792

245,410

1.66

当連結会計年度

17,041,307

304,218

1.78

資金調達勘定

前連結会計年度

49,379,864

177,378

0.35

当連結会計年度

44,942,922

318,559

0.70

うち預金

前連結会計年度

39,381,851

42,004

0.10

当連結会計年度

31,928,390

80,073

0.25

うち譲渡性預金

前連結会計年度

11,576

当連結会計年度

13,314

うち債券

前連結会計年度

1,376,085

1,559

0.11

当連結会計年度

1,276,415

2,698

0.21

うち借用金

前連結会計年度

4,359,186

2,399

0.05

当連結会計年度

4,963,455

1,686

0.03

うち売渡手形及び

コールマネー

前連結会計年度

48,883

545

1.11

当連結会計年度

1,737,481

4,382

0.25

うち売現先勘定

前連結会計年度

2,395,375

29,754

1.24

当連結会計年度

2,405,862

61,439

2.55

うち債券貸借取引

受入担保金

前連結会計年度

1,619,609

80,632

4.97

当連結会計年度

2,407,176

117,939

4.89

(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高に基づいて算出しておりますが、金融業以外の国内連結子会社については、月末毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

3.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度79,986百万円、当連結会計年度79,328百万円)及び利息(前連結会計年度39百万円、当連結会計年度166百万円)を、それぞれ控除して表示しております。

 

b.海外

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

8,915

271

3.04

当連結会計年度

10,103

412

4.08

うち貸出金

前連結会計年度

232

6

2.80

当連結会計年度

523

13

2.61

うち預け金

前連結会計年度

1,100

42

3.88

当連結会計年度

1,028

55

5.40

うち買入手形及び

コールローン

前連結会計年度

当連結会計年度

うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引

支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

7,581

221

2.92

当連結会計年度

8,551

343

4.01

資金調達勘定

前連結会計年度

131

2

2.22

当連結会計年度

279

7

2.75

うち預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

66

1

2.46

当連結会計年度

143

1

0.78

うち売渡手形及び

コールマネー

前連結会計年度

当連結会計年度

うち売現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引

受入担保金

前連結会計年度

当連結会計年度

(注) 1.海外連結子会社の平均残高は、月末毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高を控除して表示しております。

 

c.合計

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り(%)

小計

相殺

消去額

(△)

合計

小計

相殺

消去額

(△)

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

37,439,672

112,840

37,326,832

284,007

92

283,914

0.76

当連結会計年度

45,736,100

80,265

45,655,835

399,929

109

399,819

0.87

うち貸出金

前連結会計年度

9,112,772

3,276

9,109,495

24,057

22

24,034

0.26

当連結会計年度

8,226,717

2,357

8,224,359

39,862

17

39,845

0.48

うち預け金

前連結会計年度

10,166,020

65,268

10,100,751

8,270

0

8,269

0.08

当連結会計年度

19,324,297

33,613

19,290,684

45,113

23

45,089

0.23

うち買入手形及び

コールローン

前連結会計年度

2,203,644

2,203,644

3,117

0

3,117

0.14

当連結会計年度

452,863

452,863

5,205

0

5,205

1.14

うち買現先勘定

前連結会計年度

666,238

666,238

△562

△562

△0.08

当連結会計年度

23,349

23,349

77

77

0.33

うち債券貸借取引

支払保証金

前連結会計年度

59,156

59,156

0

0

0.00

当連結会計年度

15,827

15,827

18

18

0.11

うち有価証券

前連結会計年度

14,726,373

44,295

14,682,078

245,632

68

245,563

1.67

当連結会計年度

17,049,858

44,295

17,005,563

304,562

68

304,493

1.79

資金調達勘定

前連結会計年度

49,379,996

64,144

49,315,851

177,381

26

177,355

0.35

当連結会計年度

44,943,202

36,576

44,906,625

318,566

41

318,525

0.70

うち預金

前連結会計年度

39,381,851

60,890

39,320,961

42,004

0

42,004

0.10

当連結会計年度

31,928,390

34,236

31,894,153

80,073

23

80,050

0.25

うち譲渡性預金

前連結会計年度

11,576

11,576

当連結会計年度

13,314

13,314

うち債券

前連結会計年度

1,376,085

1,376,085

1,559

2

1,556

0.11

当連結会計年度

1,276,415

1,276,415

2,698

0

2,697

0.21

うち借用金

前連結会計年度

4,359,253

3,254

4,355,999

2,400

22

2,377

0.05

当連結会計年度

4,963,599

2,340

4,961,258

1,688

16

1,671

0.03

うち売渡手形及び

コールマネー

前連結会計年度

48,883

48,883

545

545

1.11

当連結会計年度

1,737,481

1,737,481

4,382

4,382

0.25

うち売現先勘定

前連結会計年度

2,395,375

2,395,375

29,754

29,754

1.24

当連結会計年度

2,405,862

2,405,862

61,439

61,439

2.55

うち債券貸借取引

受入担保金

前連結会計年度

1,619,609

1,619,609

80,632

80,632

4.97

当連結会計年度

2,407,176

2,407,176

117,939

117,939

4.89

(注) 1.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

2.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度79,986百万円、当連結会計年度79,328百万円)及び利息(前連結会計年度39百万円、当連結会計年度166百万円)を、それぞれ控除して表示しております。

 

③ 国内・海外別役務取引の状況

 当連結会計年度における役務取引等収益は、前連結会計年度比21億25百万円増加し460億48百万円、役務取引等費用は、同11億92百万円増加し166億19百万円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

48,253

316

4,646

43,923

当連結会計年度

50,213

406

4,571

46,048

うち預金・債券・

貸出業務

前連結会計年度

702

0

702

当連結会計年度

740

0

740

うち為替業務

前連結会計年度

460

1

459

当連結会計年度

517

1

515

うち証券関連業務

前連結会計年度

13,562

64

3,063

10,564

当連結会計年度

13,783

113

2,891

11,005

うち代理業務

前連結会計年度

1,885

1

1,883

当連結会計年度

1,821

1

1,819

うち確定拠出年金

業務

前連結会計年度

135

135

当連結会計年度

150

150

うち保証業務

前連結会計年度

7,602

7,602

当連結会計年度

7,547

7,547

うち受託業務

前連結会計年度

22,473

875

21,597

当連結会計年度

23,718

837

22,881

役務取引等費用

前連結会計年度

18,289

18

2,880

15,427

当連結会計年度

19,285

23

2,690

16,619

うち為替業務

前連結会計年度

157

157

当連結会計年度

153

153

うち代理貸付業務

前連結会計年度

399

399

当連結会計年度

335

335

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

 

④ 国内・海外別特定取引の状況

a.特定取引収益・費用の内訳

 当連結会計年度における特定取引収益は、前連結会計年度比107億50百万円減少し124億21百万円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引収益

前連結会計年度

23,020

290

139

23,171

当連結会計年度

12,189

289

58

12,421

うち商品有価証券

収益

前連結会計年度

386

290

139

537

当連結会計年度

144

289

58

376

うち特定取引

有価証券収益

前連結会計年度

17

17

当連結会計年度

14

14

うち特定金融

派生商品収益

前連結会計年度

22,550

22,550

当連結会計年度

11,074

11,074

うちその他の

特定取引収益

前連結会計年度

66

66

当連結会計年度

956

956

特定取引費用

前連結会計年度

136

136

当連結会計年度

57

57

うち商品有価証券

費用

前連結会計年度

136

136

当連結会計年度

57

57

うち特定取引

有価証券費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定金融

派生商品費用

前連結会計年度

当連結会計年度

うちその他の

特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

 

b.特定取引資産・負債の内訳(末残)

 当連結会計年度における特定取引資産は、前連結会計年度末比2,276億1百万円増加し5,783億67百万円、特定取引負債は、同1,331億89百万円増加し2,883億89百万円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引資産

前連結会計年度

350,766

0

350,766

当連結会計年度

578,367

578,367

うち商品有価証券

前連結会計年度

5,758

5,758

当連結会計年度

27,865

27,865

うち商品有価証券

派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引

有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引

有価証券派生商品

前連結会計年度

1

1

当連結会計年度

うち特定金融派生

商品

前連結会計年度

171,016

0

171,016

当連結会計年度

362,580

362,580

うちその他の

特定取引資産

前連結会計年度

173,990

173,990

当連結会計年度

187,922

187,922

特定取引負債

前連結会計年度

155,200

0

155,200

当連結会計年度

288,389

288,389

うち売付商品債券

前連結会計年度

4,280

4,280

当連結会計年度

19,133

19,133

うち商品有価証券

派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引売付

債券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち特定取引

有価証券派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

37

37

うち特定金融派生

商品

前連結会計年度

150,920

0

150,919

当連結会計年度

269,219

269,219

うちその他の

特定取引負債

前連結会計年度

当連結会計年度

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

 

⑤ 国内・海外別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

33,102,046

37,550

33,064,496

当連結会計年度

31,334,531

29,326

31,305,205

うち流動性預金

前連結会計年度

2,940,784

26,209

2,914,575

当連結会計年度

2,434,648

18,995

2,415,652

うち定期性預金

前連結会計年度

29,598,283

11,340

29,586,942

当連結会計年度

28,021,555

10,330

28,011,224

うちその他

前連結会計年度

562,978

0

562,978

当連結会計年度

878,328

0

878,327

譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

総合計

前連結会計年度

33,102,046

37,550

33,064,496

当連結会計年度

31,334,531

29,326

31,305,205

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.流動性預金=当座預金+普通預金+通知預金

4.定期性預金=定期預金+積立定期預金

5.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

 

 

⑥ 国内・海外別債券残高の状況

○ 債券の種類別残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

利付信金中金債

前連結会計年度

1,302,170

1,302,170

当連結会計年度

1,250,410

1,250,410

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

 

 

⑦ 国内・海外別貸出金残高の状況

a.業種別貸出状況(末残・構成比)

(a) 直接貸出

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内

(除く特別国際金融取引勘定分)

8,646,178

100.00

9,109,217

100.00

製造業

779,270

9.01

776,096

8.52

農業,林業

漁業

鉱業,採石業,砂利採取業

212

0.00

10,211

0.11

建設業

56,514

0.65

59,095

0.65

電気・ガス・熱供給・水道業

387,042

4.48

431,680

4.74

情報通信業

109,891

1.27

107,704

1.18

運輸業,郵便業

322,177

3.73

357,475

3.93

卸売業,小売業

522,660

6.05

561,419

6.16

金融業,保険業

1,582,000

18.30

1,966,976

21.59

不動産業,物品賃貸業

1,393,217

16.11

1,515,585

16.64

地方公共団体

232,483

2.69

201,300

2.21

その他

3,260,705

37.71

3,121,671

34.27

海外及び特別国際金融取引勘定分

330

100.00

550

100.00

政府等

金融機関

その他

330

100.00

550

100.00

合計

8,646,508

9,109,768

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.「国内」の「その他」には、国・政府関係機関を含んでおります。

 

(b) 代理貸付

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内

211,810

100.00

175,929

100.00

製造業

24,071

11.36

19,795

11.25

農業,林業

171

0.08

141

0.08

漁業

55

0.03

40

0.02

鉱業,採石業,砂利採取業

59

0.03

37

0.02

建設業

12,730

6.01

10,339

5.88

電気・ガス・熱供給・水道業

1,156

0.55

1,056

0.60

情報通信業

1,446

0.68

1,084

0.62

運輸業,郵便業

4,847

2.29

3,703

2.11

卸売業,小売業

17,674

8.34

13,388

7.61

金融業,保険業

406

0.19

368

0.21

不動産業,物品賃貸業

115,626

54.59

97,767

55.57

地方公共団体

その他

33,565

15.85

28,207

16.03

合計

211,810

175,929

(注) 「国内」とは、本中金のみであります。

(c) 合計

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内

(除く特別国際金融取引勘定分)

8,857,989

100.00

9,285,146

100.00

製造業

803,342

9.07

795,891

8.57

農業,林業

171

0.00

141

0.00

漁業

55

0.00

40

0.00

鉱業,採石業,砂利採取業

272

0.00

10,249

0.11

建設業

69,245

0.78

69,435

0.75

電気・ガス・熱供給・水道業

388,199

4.38

432,737

4.66

情報通信業

111,338

1.26

108,788

1.17

運輸業,郵便業

327,024

3.69

361,178

3.89

卸売業,小売業

540,334

6.10

574,807

6.19

金融業,保険業

1,582,406

17.87

1,967,344

21.19

不動産業,物品賃貸業

1,508,843

17.03

1,613,352

17.38

地方公共団体

232,483

2.63

201,300

2.17

その他

3,294,270

37.19

3,149,878

33.92

海外及び特別国際金融取引勘定分

330

100.00

550

100.00

政府等

金融機関

その他

330

100.00

550

100.00

合計

8,858,319

9,285,697

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.「国内」の「その他」には、国・政府関係機関を含んでおります。

 

 

b.外国政府等向け債権残高(国別)

   「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げることとしておりますが、前連結会計年度末(2024年3月31日)及び当連結会計年度末(2025年3月31日)とも、該当はありません。

 

⑧ 国内・海外別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

5,120,372

5,120,372

当連結会計年度

5,548,701

5,548,701

地方債

前連結会計年度

2,027,994

2,027,994

当連結会計年度

1,758,510

1,758,510

短期社債

前連結会計年度

当連結会計年度

社債

前連結会計年度

2,083,023

2,083,023

当連結会計年度

1,497,353

1,497,353

株式

前連結会計年度

119,514

36,373

83,141

当連結会計年度

112,554

36,373

76,181

その他の証券

前連結会計年度

6,696,128

7,153

7,922

6,695,359

当連結会計年度

8,172,225

8,702

7,922

8,173,005

合計

前連結会計年度

16,047,032

7,153

44,295

16,009,891

当連結会計年度

17,089,345

8,702

44,295

17,053,752

(注) 1.「国内」とは、本中金及び国内連結子会社であります。

2.「海外」とは、海外連結子会社であります。

3.「相殺消去額」は、連結会社間の内部取引等によるものであります。

4.「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

⑨ 「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況

 連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は本中金のみです。

a.信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表)

資産

科目

前連結会計年度

(2024年3月31日)

当連結会計年度

(2025年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

信託受益権

2,587,013

85.75

2,580,671

85.16

受託有価証券

63,000

2.09

63,000

2.08

金銭債権

321,382

10.65

342,591

11.31

その他債権

1

0.00

0

0.00

銀行勘定貸

45,418

1.51

43,977

1.45

現金預け金

128

0.00

120

0.00

合計

3,016,944

100.00

3,030,362

100.00

 

 

 

 

 

負債

科目

前連結会計年度

(2024年3月31日)

当連結会計年度

(2025年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金銭信託

47,569

1.58

46,544

1.53

投資信託

57,947

1.92

31,733

1.05

金銭信託以外の金銭の信託

5,639

0.19

5,033

0.17

有価証券の信託

66,100

2.19

66,100

2.18

金銭債権の信託

321,447

10.65

342,646

11.31

包括信託

2,518,240

83.47

2,538,304

83.76

合計

3,016,944

100.00

3,030,362

100.00

(注) 1.共同信託他社管理財産については、前連結会計年度末及び当連結会計年度末の取扱残高はありません。

2.自己信託に係る信託財産については、前連結会計年度末の残高は307,282百万円、当連結会計年度末の残高

  は332,658百万円であり、上記に掲げた金額に含めて記載しております。

 

b.元本補填契約のある信託の運用/受入状況(末残)

科目

前連結会計年度

当連結会計年度

金銭信託

(百万円)

貸付信託

(百万円)

合計

(百万円)

金銭信託

(百万円)

貸付信託

(百万円)

合計

(百万円)

銀行勘定貸

45,358

45,358

43,924

43,924

資産計

45,358

45,358

43,924

43,924

元本

45,353

45,353

43,899

43,899

その他

4

4

24

24

負債計

45,358

45,358

43,924

43,924

(注) 信用金庫法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権については、前連結会計年度末及び当連結会計年度末の残高はありません。

 

(自己資本比率の状況)

 

(参考)

 自己資本比率は、信用金庫法第89条第1項において準用する銀行法第14条の2の規定に基づき、信用金庫及び信用金庫連合会がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第21号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

 なお、本中金は、国内基準を適用のうえ、2025年3月末よりバーゼルⅢ最終化を適用し、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては標準的計測手法、マーケット・リスク相当額の算出においては標準的方式を採用しております。2024年3月末については最終化適用前であり、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては基礎的手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

 

 

(単位:億円、%)

 

2024年3月31日

2025年3月31日

(1)連結自己資本比率 (2)/(3)

25.46

23.40

(2)連結における自己資本の額

16,288

16,536

(3)リスク・アセットの額

63,960

70,644

(4)連結総所要自己資本額

2,558

2,825

 

単体自己資本比率(国内基準)

 

 

(単位:億円、%)

 

2024年3月31日

2025年3月31日

(1)単体自己資本比率 (2)/(3)

25.75

24.01

(2)単体における自己資本の額

15,992

16,192

(3)リスク・アセットの額

62,089

67,438

(4)単体総所要自己資本額

2,483

2,697

 

(資産の査定)

 

(参考)

 資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、本中金の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、債務保証見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

 破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2.危険債権

 危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3.要管理債権

 要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4.正常債権

 正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

 

債権の区分

2024年3月31日

2025年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

0

1

危険債権

33

29

要管理債権

184

183

正常債権

88,908

93,256

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

 「生産、受注及び販売の実績」は、信金中央金庫の事業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による本中金グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 本中金グループの当連結会計年度の経営成績等は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 本中金は、信用金庫業界の中央金融機関としての役割を永続的に発揮し続けるために、リスクアペタイト・フレームワーク運営の高度化等を通じた収益力強化を目指すとともに、強固な財務基盤の構築に向けて取り組んでおります。

 当連結会計年度においては、中長期的に安定した収益の確保を念頭に、国債や外貨建変動債等への投融資を通じて、着実な利鞘収支の向上につとめました。その結果、中期経営計画「SCBストラテジー2022」における中期的な目標収益水準及び維持すべき経営指標に対して、以下の成績を収めております。

 

中期的な目標収益水準

2025年3月期(実績)

親会社株主に帰属する当期純利益:400億円程度

424億円

 

 

維持すべき経営指標

2025年3月期(実績)

連結自己資本比率(国内基準)  :15%以上

23.40%

配当可能限度額         :2,000億円以上

3,097億円

 

 2025年度は、米国トランプ大統領の政権運営が不確実性をもたらす環境において、インフレ・景気動向や、日銀による追加利上げをはじめとした各国金融政策の行方など、依然として「先行き不透明感が強く、振れ幅の大きい市場環境」が想定されます。こうした状況のなか、リスクアペタイト・フレームワークの下、市場環境の変化に機動的かつ臨機応変に対応することでポートフォリオの質の向上につとめ、中長期的に安定した収益を確保するための投融資を推進し、財務基盤の一層の強化を図ります。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 本中金グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しており、資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当面の設備投資及び出資者配当等は自己資金で対応する予定であるとともに、健全経営の確保の観点から、リスクテイクの余力の拡充や金融規制等への対応に向けた内部留保の充実を図ることとしております。また、本中金は、会員である信用金庫からの普通出資や東京証券取引所に上場している優先出資により資本を調達しており、加えて、主として信用金庫からの預金や金融債の発行等により調達した資金を、有価証券や貸出金等によって運用しております。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5【重要な契約等】

本中金は、1958年12月に代理貸付制度を創設し、全ての信用金庫と貸付業務委託契約を締結しており、その主な内容は次のとおりであります。

(1) 本中金は、信用金庫の会員または会員となることができる者に対する資金の貸付、貸付債権の管理、回収ならびにこれらに付随する業務を信用金庫に委任する。

(2) 本中金は、信用金庫の取扱いにかかる貸付金について所定の委託手数料を支払う。

(3) 信用金庫が受託業務を処理するに要する費用は、信用金庫が負担する。

(4) 信用金庫は、債権保全に必要な費用を信用金庫の責任において支出する。

(5) 信用金庫は、その取扱いにかかる貸付元利金について期日までに返済がなかったときは、債務者にかわって、遅滞なく本中金に弁済する。

 

6【研究開発活動】

 該当ありません。