(1)業績
当連結会計年度(平成28年4月1日から平成29年3月31日まで)において、当社グループは以下のような取り組みを行ってまいりました。
当社は、証券関連事業を中心としながらも、事業ポートフォリオの多様化を図ってきたことから、平成28年7月1日に商号を金融業のイメージを持つ商号から現在の「株式会社あかつき本社」に変更いたしました。
また、グループ会社管理等の機能を当社に集中させ、体制の簡略化を図るため、平成28年12月に連結子会社であったキャピタル・エンジン㈱及びNSホールディングス㈱を吸収合併いたしました。
一方で、連結子会社であったウェルス・マネジメント㈱(以下「WM社」といいます。)については、経営戦略の方向性の相違から、平成28年12月に当社が保有するWM社普通株式の大部分をWM社の戦略的パートナーに譲渡し、連結子会社から外れました。
なお、セグメント別の各事業の取組みは以下のとおりです。
証券関連事業では、あかつき証券㈱において、預り資産の増加による収益拡大を目指した営業活動に注力すると共に、平成28年12月に中泉証券㈱を吸収合併する等、顧客基盤の拡充を図りました。
不動産関連事業では、EWアセットマネジメント㈱が運営するファンドにおいて、平成28年8月に川越市、9月に神戸市東灘区に取得した不動産用地で老人ホーム建設に着手いたしました。一方、前述のとおりWM社グループが当社グループから外れることとなり、ホテル運営事業からは撤退いたしました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の営業収益は4,312百万円(前年同期比20.0%減)営業損失は458百万円(前年同期は305百万円の利益)、経常利益は421百万円(前年同期比14.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は239百万円(前年同期は1,464百万円の損失)となりました。
当連結会計年度における業績の内訳は次のとおりであります。
(受入手数料)
受入手数料は1,739百万円(前年同期比28.4%減)となりました。内訳は以下のとおりであります。
①委託手数料
株券委託売買金額が減少したことにより、株式を中心とする委託手数料は1,315百万円(前年同期比19.9%減)となりました。
②募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、投資信託の販売手数料を中心に176百万円(同68.0%減)となりました。
③その他の受入手数料
投資信託の代行手数料が中心のその他の受入手数料は247百万円(同4.7%増)となりました。
(トレーディング損益)
株券等トレーディング損益は、米国株式等の売買高の増加により311百万円(同27.6%増)となりました。また、債券等トレーディング損益は742百万円(同13.9%減)となりました。
(金融収支)
金融収益は、信用取引貸付金の平均残高減少等に伴い84百万円(同43.6%減)となりました。また、金融費用は、信用取引借入金の平均残高増加等に伴い34百万円(同5.6%増)となりました。
(不動産事業売上高)
不動産事業売上高は、当社の保有するウェルス・マネジメント㈱の普通株式譲渡により、同社グループは当社の連結範囲から除外されたため減少した一方で、連結子会社であるEWアセットマネジメント㈱の運営するファンドにおいて、高齢者住宅の竣工や取得が寄与したことから、1,422百万円(同8.8%減)となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、連結子会社の減少等により、3,957百万円(同7.1%減)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は、持分法による投資利益を933百万円計上したこと等により1,031百万円(同186.7%増)となりました。また、営業外費用は、支払利息を84百万円、支払手数料を36百万円計上したこと等により150百万円(同13.8%減)となりました。これにより、営業外損益は880百万円の利益(同376.8%増)となりました。
(特別損益)
特別利益は、保有するウェルス・マネジメント㈱の株式売却に伴い関係会社株式売却益943百万円を計上したこと等により979百万円(同361.9%増)となりました。また、特別損失は新株予約権償還損を405百万円、関係会社清算損を118百万円計上したこと等により578百万円(同65.6%減)となりました。これにより、特別損益は401百万円の利益(前年同期は1,466百万円の損失)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は6,751百万円となり、前連結会計年度末に比べ671百万円の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは1,820百万円の収入(前連結会計年度は110百万円の収入)となりました。主な資金獲得要因は、税金等調整前当期純利益を822百万円、信用取引資産及び信用取引負債の増減額を2,275百万円計上したことであります。また、主な資金支出要因は、預託金の増減額を△1,614百万円計上したことであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは9,855百万円の支出(前連結会計年度は890百万円の収入)となりました。主な資金支出要因は、有形固定資産の取得による支出を10,046百万円計上したことであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは8,512百万円の収入(前連結会計年度は1,091百万円の支出)となりました。主な資金獲得要因は、借入れによる収入を9,316百万円計上したことであります。
あかつき証券㈱においては、内部成長による施策に加え、外部とのアライアンスにより販売チャネルの拡大を進めております。また、伝統的に強みのある日本株に加え、米国株、債券及び投資信託など取扱商品の多様化や、顧客層の高齢化に備えた相続関連サービスによる次世代への顧客資産の継承の推進を図っております。さらに、中長期的には、より幅広い年齢層の顧客獲得が必須であり、対面証券としての差別化ができる新しい付加価値サービス等、様々な試行錯誤をしていく必要があると考えております。
EWアセットマネジメント㈱においても、当社と外部投資家が出資するファンドスキームの形態をとることにより投資リスクを分散させながら、高齢者向け住宅の開発を行っております。介護事業者との長期のマスターリース契約によって安定的な賃料収入によるインカムゲインを得ながら、各ヘルスケアリート等への売却によるキャピタルゲインも合わせて追求しております。今後の成長のために、好条件の不動産の取得と開発の進捗によって資産残高を増加させていくことが重要であると考えております。
㈱マイトランクにおいては、引き続きトランクルームの新規出店、稼働率の向上に注力し、事業拡大に努めております。さらなる成長のためには、潜在ニーズの発掘による新たな需要創出になるような付加価値サービスを生み出すことが重要であると考えております。
当社は、資金調達と、グループ各社に対する適切な資産配分を行いながら、グループ全体としての成長を図ってまいります。また、新規事業の企画推進や、あるいは事業からの撤退や売却等、持株会社としての経営企画機能を担ってまいります。当社においては、これらの業務に必要となる高度な計数管理・企画能力を持った人材の育成と確保が、当社の今後の成長にとって必要不可欠であると考えております。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)子会社及び関連会社の業務のリスク
①証券業務
証券業務につきましては、国内外の経済情勢、金利動向等に大きく影響を受けており、これらの影響により株式市場の低迷などが起こった場合、取引の減少、自己の計算による取引の損失が発生するなどし、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
②アセットマネジメント事業
アセットマネジメント事業につきましても、国内外の経済情勢、税制その他の法的規制、金利動向、相場動向等に大きく影響を受けており、これらの影響により不動産市場の低迷などが起こった場合、受託資産及び取引仲介業務が減少し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)優秀な人材の確保や育成について
当社グループの将来の成長と成功は、有能な人材に大きく依存するため、優れた人材の確保と育成は当社グループの発展には重要であり、優秀な人材の確保または育成ができなかった場合は、当社グループの将来の展望、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
一方、優秀な人材の積極的な確保は人件費の押し上げ要因にもなり、また、採用活動に関するコストも年々増加傾向にあることから、採用活動費も増加する可能性があります。これらのコストの増加は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼすことがあります。
(3)取引注文の執行について
証券業務における受託業務及び自己売買業務に係る取引は、国内外の金融商品取引所において行われております。金融商品取引所がシステム障害等の理由により、証券市場及び外国為替市場における取引を中断または停止した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼすことがあります。
(4)システム・リスク及びその他のオペレーショナル・リスクについて
不適切な内部プロセスや、役職員あるいはコンピューター・システムによる業務運営の中で過誤が発生するリスク(いわゆるオペレーショナル・リスク)も当社グループの業績及び社会的信用に影響し得ます。
グループの各業務の遂行において、コンピューター・システムは必要不可欠なものとなっており、障害や不慮の災害によりコンピューター・システムの停止、誤作動が発生した場合には、業務遂行に支障を来すリスクがあります。
取引の執行や売買代金の計算処理などを行うコンピューターのシステム異常、ハッカー等のコンピューター・システムへの不正アクセスによるデータの改竄等により、業務が正常に行えなくなることによる機会損失の発生、賠償責任、社会的信用の悪化等を通じて当社グループの業績に影響を及ぼす場合があります。また、コンピューター・システムの取得・構築にかかる投資により発生する償却コスト及び維持・運営コストも業績に影響する要因となります。
(5)当社グループの事業に係る法的規制等について
①証券業務
あかつき証券株式会社は証券業を営むにあたり、内閣総理大臣に登録を受けるとともに、自主規制機関である日本証券業協会に加入しております。このため、同社は、金融商品取引法その他の法令のほか、日本証券業協会規則の規制に服しており、その内容を遵守しているか否かについて定期的な検査等を受ける立場にあります。この検査等により、法令諸規則違反を指摘され、行政処分を受けるに至った場合、同社の信用力の低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は同社の親会社として金融商品取引法に定める主要株主に該当するため一定の規制を受けており、当社自身に重要な法令違反があった場合には、当社が「主要株主でなくなるための措置」を受けるなど、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。
②アセットマネジメント事業
EWアセットマネジメント株式会社及びキャピタル・ソリューション株式会社は、アセットマネジメント業務を営むにあたり、内閣総理大臣の登録を受けております。このため、これらの会社は、金融商品取引法その他の関係法令の他、加入協会の規制に服しており、その内容を遵守しているか否かにつき定期的な検査等を受ける立場にあります。この検査等により、法令諸規則違反を指摘され、行政処分を受けるに至った場合、同社の信用力の低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)法令遵守に関するリスクについて
当社グループは、法令遵守に係る問題につきグループ全体の内部統制の整備を図り、より充実した内部管理体制を目指して努力するとともに、役職員の教育・研修等の徹底を通じ、その啓蒙を図っております。しかしながら、当社グループの事業は、役職員の活動を通じて執行されており、そのプロセスに関与する役職員の故意または過失により法令に違反する行為がなされる可能性があります。内部統制の整備やコンプライアンス教育等は役職員の違法行為を未然に防止するための有効な方策ではありますが、違法行為のすべてを排除することを保証するものではありません。また、意図的な違法行為は総じて周到に隠蔽行為がなされ、長期間にわたって発覚しないケースもあり、将来において当社グループの業績に影響を与えるような損害賠償を求められる事案が生じる可能性があります。また、当社グループは大量の顧客情報を保有しており、その取扱いには万全のセキュリティ体制を敷いておりますが、不正行為等により、顧客情報が外部に流出する可能性もあり、当社グループの信用の失墜を招くおそれがあります。
法令遵守上の問題が発生し社会的信用が悪化すると、お客様との取引の減少や発注停止等に繋がり、グループ全体の業績に影響を及ぼす事態が生じることもあり得ます。
(7)売買目的有価証券取引及び信用取引に係るリスクについて
投資収益を確保するため、当社グループでは国内株式等に関する売買目的有価証券取引及び信用取引を行う場合があります。これら投資資産は金利及び市場価格変動リスクに晒されており、株式市場の変化や投資対象企業を取り巻く事業環境の変化により、期待した利益が獲得できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)顧客に対する与信について
あかつき証券㈱が取り扱う信用取引及び先物・オプション取引では、顧客に対する信用供与が発生し、株式市況の変動によっては顧客に対する信用リスクが顕在化する可能性があります。
(9)投資資産に係るリスクについて
投資収益を確保するため、当社グループでは不動産投資を行う場合があります。これら投資資産は市場価格変動リスクに晒されており、不動産・金融市場の変化や投資対象物件を取り巻く事業環境・社会状況の変化により、資産価格が下落した場合には、評価損や売却損が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)資金調達に係るリスクについて
当社グループは、金融機関からの借り入れや社債の発行などにより事業展開に必要な資金を調達しております。当社グループの業績や財務状況の悪化、信用力の低下や風説・風評の流布等が発生した場合、あるいは国内外の景気悪化や金融市場の混乱等により資金調達市場そのものが縮小した場合には、通常より高い金利による資金調達を余儀なくされる、あるいは必要な資金を確保できず資金繰りが困難になる可能性があります。その結果、資金調達コストが増加すること等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)訴訟について
当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟・紛争・その他の法律的手続きの対象となる場合があります。
平成29年3月末日現在において、当社グループの事業に重要な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来、重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(12)持株会社としてのリスク
持株会社である当社の収入は、当社が直接保有している子会社からの受取配当金及び経営管理料に影響を受けております。当該子会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当を支払えない状況が発生した場合には、当社株主への配当の支払いが不可能となる可能性があります。
(13)災害等によるリスク
地震、火災等の災害により、当社グループの業務体制に支障が生じたり、役職員が被害を受けた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)投資活動について
当社グループは、経営基盤(預り資産及び運用資産)の拡大という経営戦略のもと、資本提携、子会社の設立及びファンド等への出資など積極的に投資活動を行う予定であります。当社グループが当初想定していた計画が達成されず、投資に見合うリターンが計上できない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、平成29年4月5日開催の取締役会において、株式会社トータルエステート及びそのグループ会社の株式取得による連結会社化を決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載しております。
特記すべき事項はありません。
文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、固定資産の減損会計、貸倒引当金、賞与引当金、投資有価証券の評価などの資産・負債及び収益・費用の状況に影響を与える見積り及び判断については、過去の実績やその時点において入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる要因を考慮した上で行っております。
なお、見積り及び判断並びに評価につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
(2)当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析
①経営成績の分析
経営成績の分析につきましては1[業績等の概要](1)業績に記載しております。
②財政状態の分析
(イ)資産の状況
当連結会計年度末の資産合計は27,868百万円と、前連結会計年度末に比べ5,934百万円の増加となりました。主な増加要因は、有形固定資産が4,286百万円、預託金が1,875百万円増加したことであります。また、主な減少要因は、営業投資有価証券が1,346百万円減少したことであります。
(ロ)負債の状況
当連結会計年度末の負債合計は18,840百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,342百万円の増加となりました。主な増加要因は、ノンリコース長期借入金が2,580百万円、信用取引負債が2,379百万円、預り金が1,444百万円増加したことであります。
(ハ)純資産の状況
当連結会計年度末の純資産合計は9,027百万円となり、前連結会計年度末に比べ407百万円の減少となりました。主な増加要因は、その他有価証券評価差額金が368百万円増加したことであります。また、主な減少要因は、非支配株主持分が637百万円減少したことであります。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては3[事業等のリスク]に記載しております。
(4)経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しにつきましては2[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]に記載しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
資本の財源及び資金の流動性についての分析につきましては1[業績等の概要](2)キャッシュ・フローの状況に記載しております。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては2[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]に記載しております。