第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 当事業年度におけるわが国経済は、為替相場の緩やかな円安により企業業績が伸びるとの期待感から株式相場も上昇し、平成27年6月には日経平均が2万円を回復しました。その後は新興国経済の伸び悩みや資源価格の低下等を要因として株式相場は平成27年12月まで狭い範囲でのボックス相場が続きました。消費者物価指数は、平成25年1月に日本銀行が発表した2%上昇の目標には程遠く、ほぼ0%付近で推移しました。これを受けて日本銀行は平成28年1月にマイナス金利導入を発表しましたが、米国経済の減速やテロリズム台頭等による地政学的リスクの高まりによって日本経済だけでなく全世界の金融マーケットは平成28年の年明け以降、度々乱高下が続き、現在でも不安定な経済環境が続いております。

 不動産市況につきましては、金融マーケットの動揺とは対照的に緩やかな回復を続けました。オフィスビルの空室率は平成27年通年で東京地区では4.5%と見込まれる等、回復基調が継続しております。また訪日外国人観光客の増加は、ホテル稼動率の上昇さらには新たな宿泊施設の建築需要や地価の上昇といった形で、ホテル業界はもとより建設業界、不動産業界等、幅広い業種へと影響を及ぼしております。

 このような環境のもと、当社は、事業領域の拡大ならびに収益源の多様化を図るため、不動産売買・運用を中心とした不動産投資業務の強化・拡充に努めてまいりました。かかる取り組みの一環として、リフォーム等の付加価値を高めて販売することを目的として中古区分マンション等を取得・販売したほか、新築賃貸マンション開発プロジェクトに取り組みました。一方で、都心駅前立地の商業ビルを売却し運用収益を獲得いたしました。また、不動産投資業務を推進していくうえで資金効率を高めるため、物件取得資金の一部を調達すべく、金融機関取引の拡大に努めました。アドバイザリー業務につきましては、企業の資金調達に関する助言業務及び不動産仲介業務等に取り組み、収益向上に努めました。不動産担保ローン業務につきましては、中古区分マンションや戸建住宅等の居住用不動産の売買を手掛ける不動産事業会社の資金調達ニーズの捕捉に努め、貸出残高の伸長及び業務収益の獲得に努めました。ヘルスケア(医療・介護)事業分野におきましては、ファイナンシャル・アドバイザリー事業強化・拡充の観点から、医療・介護事業会社の財務リストラクチャリング案件等に取り組みました。

 以上の結果、当事業年度における営業収益は407,149千円(前事業年度比275.4%増)、営業利益は12,331千円(前事業年度は営業損失48,365千円)、経常利益は10,788千円(前事業年度は経常損失48,930千円)、当期純利益は8,997千円(前事業年度は当期純損失49,220千円)となりました。

 また、セグメント毎の業績につきましては、当社は金融サービス事業のみの単一セグメントであるため、記載すべき事項はありません。

 

(2) キャッシュ・フロー

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は372,290千円となり、前事業年度末比43,432千円の減少となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は102,497千円(前事業年度は130,806千円の収入)となりました。これは主にたな卸資産の増加165,333千円があった一方で、営業貸付金の減少58,300千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、取得または使用した資金はありません(前事業年度もなし)

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は59,065千円(前事業年度は83,905千円の収入)となりました。これは主に借入れによる収入143,000千円があった一方で、借入金の返済による減少83,935千円があったことによるものであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当社はファイナンシャル・アドバイザリー事業及び不動産担保ローン事業を主たる事業としており、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

(2) 受注状況

 該当事項はありません。

(3) 販売実績

  当社は金融サービス事業のみの単一セグメントであるため、当事業年度における販売実績を業務収益別に示すと、次のとおりであります。

業務収益別の内訳

当事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

アドバイザリー業務収益(千円)

29,315

59.9

不動産担保ローン業務収益(千円)

29,561

3.3

 不動産投資業務収益(千円)

348,271

466.3

合計(千円)

407,149

275.4

(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 2.最近2事業年度における、主な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、A社との間で守秘義務を負っているため、社名の公表を控えさせていただきます。

相手先

前事業年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社プロポライフ

31,785

29.3

個人(不動産購入者)

18,953

17.5

有限会社HONJIN

11,237

10.4

A社

261,669

64.3

 

3【対処すべき課題】

 当社の対処すべき課題は、各事業における収益力の強化であります。

 ファイナンシャル・アドバイザリー事業における収益力の強化は、最重点課題であると認識しております。同事業におきましては、主として不動産売買・運用を中心とする不動産投資業務の強化・拡充を推進し、ストラクチャリング業務及びアドバイザリー業務における新たな案件及び顧客の開拓に努めてまいります。

 次に、不動産担保ローン事業におきましては、融資先である不動産事業会社の資金需要に臨機応変に対応しながら、不動産事業会社の業況と個別案件の事業性ならびに同業他社動向等を慎重に見極めることで、業務収益の積み上げに努めてまいります。

 

4【事業等のリスク】

 当社の事業展開上のリスク要因となりうる事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(平成28年6月27日)において当社が判断したものであります。

 

(1) 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況について

 当事業年度において当社は、営業利益、経常利益及び当期純利益を計上いたしましたが、営業キャッシュ・フローについてはマイナスとなったため、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりますが、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないものと判断しております。

    なお、詳しい内容につきましては、「7 財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策」に記載しております。

 

(2)経済情勢の動向

 当社業務の対象とする不動産への需要は景気の動向に左右されうることから、国内外の経済情勢が悪化した場合には、当社の事業に影響を及ぼし、また所有資産の価値の低下につながる可能性があります。また、貸出金の担保対象となる不動産価値が低下した場合には、当社の財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)金利の変動

 将来において、金利が急激に上昇した場合には、資金調達コストの増加や不動産への投資期待利回りの上昇、また住宅購入顧客の購買意欲の減退等により、当社の事業に影響を及ぼし、また所有資産の価値の低下につながる可能性があります。

 

(4)不動産及び金融関連税制の変更

 将来において、不動産及び金融関連税制が変更された場合には、資産保有および取得・売却時のコストの増加、また住宅購入顧客の購買意欲の減退等により、当社の事業に影響を及ぼし、また所有資産の価値の低下につながる可能性があります。

 

(5)不動産及び金融関連法制の変更

 不動産流動化・証券化関連業務及び不動産投資業務においては、「金融商品取引法」「宅地建物取引業法」「不動産特定共同事業法」等、不動産担保ローン業務においては「貸金業法」等の法律が関係してまいります。将来これらの法律が改廃された場合や新たに制定される場合、又は外部環境の変化等に伴う現行法の解釈の変化が生じた場合には、当社業務が影響を受ける可能性があるほか、所有資産の価値の低下につながる可能性があります。

 

(6)天変地異等の災害・環境問題等

 将来において、天変地異・環境問題・土壌汚染や不動産の瑕疵が判明した等の場合には、所有資産の毀損や仲介・売主責任による補償の義務履行等により、当社の事業に影響を及ぼし、また所有資産の価値の低下につながる可能性があります。

 

(7)不動産開発等

 当社が不動産開発等を行う場合、当社役員・従業員が直接業務を行う場合を除き、建設会社等、一定の技術を有する第三者に業務を委託するほか、地価や開発コストの上昇や工事等の不備等を含む多くの外部要因に左右され、想定外の多額の費用の発生または開発計画の遅延もしくは中止を余儀なくされる場合があり、その結果、当社の事業が影響を受ける可能性があります。

 

(8)少数大口の売上で構成されていることについて

 当社の事業特性上、各業務の1案件あたりの金額が全売上高に占める割合が高く、各案件の受注状況並びに業務完了の時期により当社業績が大きく変動する可能性があります。

 

(9)小規模組織であることについて

 当社は有価証券報告書提出日(平成28年6月27日)現在、取締役4名、監査役3名、従業員6名の小規模組織であり、内部管理体制についても組織の規模に応じたものとなっております。当社は今後、業容の拡大に応じて人員の採用を行うとともに社内管理体制の見直しを図っていく方針でありますが、適時・適切に体制構築が進まなかった場合には、当社の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、現状の人的資源に限りがある中、一人一人の役職員の能力に依存している面があり、役職員に何らかの業務遂行上の支障が生じた場合、あるいは役職員が社外へ流出した場合には、当社業務に支障を来たすおそれがあります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

  当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社はこの財務諸表の作成に当たりまして、貸倒引当金や繰延税金資産の計上、投資その他の資産の評価及び偶発債務の認識等に関して、過去の実績や取引の状況に照らし合理的と考えられる見積り及び判断を行っております。当該見積り及び判断について当社は継続的に評価を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2) 財政状態の分析

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産の残高は874,157千円となり、前事業年度末比69,684千円の増加となりました。これは主に営業貸付金が58,300千円、有価証券が200,028千円減少した一方で、現金及び預金が156,596千円、販売用不動産が66,583千円、仕掛販売用不動産が98,750千円増加したことなどによるものであります。

(固定資産)

  当事業年度末における固定資産の残高は25,115千円となり、前事業年度末比807千円の減少となりました。これは減価償却によるものであります。

(流動負債)

  当事業年度末における流動負債の残高は155,304千円となり、前事業年度末比142,634千円の増加となりました。これは主に短期借入金が143,000千円増加したことなどによるものであります。

(純資産)

 当事業年度末における純資産の残高は743,968千円となり、前事業年度末比8,997千円の増加となりました。これは当期純利益8,997千円の計上によるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要  (2)キャッシュ・フロー」をご参照下さい。

 

(4) 経営成績の分析

  経営成績の分析につきましては「第2 事業の状況 1業績等の概要(1)業績をご参照下さい。

 

(5) 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善する

   ための対応策

 「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおり、当事業年度において当社は、営業利益、経常利益及び当期純利益を計上いたしましたが、営業キャッシュ・フローについてはマイナスとなったため、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。当社は当該状況を解消すべく、新たなサービス開発や顧客開拓に努め、当社の強みである金融・不動産を軸としたサービス力を高めて、クライアントに対し付加価値の高い提案・サービス提供を行い、企業価値・株主価値の向上を目指してまいります。

 ファイナンシャル・アドバイザリー事業においては、当社の有する金融サービス力をその事業の拡大に活かせるような新たな顧客開拓に努めるとともに、不動産投資業務への取り組みを強化・拡充し、事業領域の拡大、サービスの多様化を図っていく所存であります。不動産担保ローン事業においては、顧客である不動産事業会社の資金需要に臨機応変に対応していくことで、業務収益の積み上げに努めてまいります。

 当社では、以上のような事業展開を進めていく方針であり、その過程において営業キャッシュ・フローについても改善を見込んでいること、また当該事業を展開するに十分な現預金を有していることから、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況を解消することが可能であると考えており、したがって現時点において継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。