(1) 業績
当事業年度における我が国経済は、実質GDPで前年比+1.3%と2年連続プラス成長を維持する見込みであります。2017年3月の日銀短観によれば、大企業製造業の業況判断指数(DI)は、鉄鋼や化学の改善が寄与し、前回(2016年12月)から2ポイント改善して12となりました。景況感の回復は中小企業にも広まり、製造業では前回から1ポイント改善の5となりました。日経平均株価の推移につきましては、2016年6月24日の14,864円を底として、企業業績の持ち直しや米国トランプ政権に対する期待と相まって2017年3月2日には19,668円まで上昇しました。しかし、トランプ政権の政策実行力に対する不安や韓国前大統領の逮捕、北朝鮮の軍備増強等、地政学リスクに左右される経済環境が依然として継続しております。
不動産業界におきましては、業態による景況感の違いが現れました。2017年1月1日時点の公示地価は2年連続で上昇し、東京圏では商業地・住宅地ともに上昇しました。一方、2016年4月から2017年3月までの新設住宅着工戸数は974,137戸となり、前年同期比5.8%の増加となっております。マンションが契約率低下により前年比△5.1%となる一方、プレハブやツーバイフォーは相続税対策の貸家着工等で増加となりました。
三鬼商事によれば2017年3月の東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の平均空室率は3.60%となり、前月比0.10%低下しました。旺盛なビジネス需要を背景にして期初の4%台から安定して3%台へと空室率が低下しております。
こうした状況下におきまして当社は収益獲得のさらなる強化に努めてまいりました。不動産投資業務につきましては、自社で新築賃貸マンションを開発し販売、事務所ビルの取得及び販売を行った他、中古区分のマンションを取得し、改装後、販売しました。不動産担保ローン業務につきましては、資金需要の把握に努めて貸し出し残高の伸長を図り、収益を獲得しました。
以上の結果、当事業年度における営業収益は765,828千円(前年同期比88.1%増)、営業損失は23,071千円(前年同期は営業利益12,331千円)、経常損失は27,661千円(前年同期は経常利益10,788千円)、当期純損失は49,882千円(前年同期は当期純利益8,997千円)となりました。
また、セグメント毎の業績につきましては、当社は金融サービス事業のみの単一セグメントであるため、記載すべき事項はありません。
(2) キャッシュ・フロー
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は326,332千円となり、前事業年度末比45,957千円の減少となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は50,853千円(前年同期は102,497千円の使用)となりました。これは主に営業貸付金の増加116,900千円があった一方で、販売用不動産の減少74,970千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は1,168千円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は6,064千円(前年同期は59,065千円の収入)となりました。これは主に借入れによる収入339,500千円があった一方で、借入金の返済による減少333,360千円があったことによるものであります。
(1) 生産実績
当社はファイナンシャル・アドバイザリー事業及び不動産担保ローン事業を主たる事業としており、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
(2) 受注状況
該当事項はありません。
(3) 販売実績
当社は金融サービス事業のみの単一セグメントであるため、当事業年度における販売実績を業務収益別に示すと、次のとおりであります。
|
業務収益別の内訳 |
当事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
アドバイザリー業務収益(千円) |
53,455 |
182.3 |
|
不動産担保ローン業務収益(千円) |
31,134 |
105.3 |
|
不動産投資業務収益(千円) |
681,238 |
195.6 |
|
合計(千円) |
765,828 |
188.1 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.最近2事業年度における、主な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、A社、B社、C社、D社との間で守秘義務を負っているため、社名の公表を控えさせていただきます。
|
相手先 |
前事業年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
A社 |
261,669 |
64.3 |
― |
― |
|
B社 |
― |
― |
279,264 |
36.5 |
|
C社 |
― |
― |
221,496 |
28.9 |
|
D社 |
― |
― |
90,016 |
11.8 |
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「社会が求める金融サービスを提供し、顧客と共に事業を成長・発展させ、もって社会へ貢献すること」を経営理念とし、ファイナンシャル・アドバイザリー事業及び不動産担保ローン事業を主たる事業としております。
当社は、単に事業規模の拡大を目指すのではなく、常に顧客にとって最良(ベスト)の金融サービスを提供していくことで、顧客ならびに市場から評価され信頼される金融サービス会社として企業価値を高めていくことを目指しております。
(2)目標とする経営指標
当社は未だ業歴が浅く、今後一層の経営基盤の強化・安定化を進めていく必要があります。そのために当社は、着実な利益の成長と資本効率の向上を図る必要があると考えており、具体的には、①営業収益及び経常利益の絶対水準の増加及び②自己資本利益率の向上を目指すことを目標としてまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は創業来、不動産流動化・証券化に関するストラクチャリング業務を中心とした金融サービスを提供してまいりました。今後もその創業来培った金融サービス力をベースに、「人材」・「資金」といった経営資源の活用を通じ事業領域及びサービスの幅を広げていくことを目指しております。
ファイナンシャル・アドバイザリー事業においては、不動産投資業務の強化・拡充を推進するとともに、投資不動産の管理や不動産ファンドの組成・運用等、当社の金融サービス力を活かしながら業容の拡大に努めてまいります。
不動産担保ローン事業においては、変転する不動産市況と金融市場環境の両面を睨み、融資先である不動産事業会社の業況と個別案件の事業性ならびに同業他社動向等を慎重に見極めつつ、着実に融資実績を積み重ねてまいります。
(4)会社の対処すべき課題
当社の対処すべき課題は、各事業における収益力の強化であります。
ファイナンシャル・アドバイザリー事業における収益力の強化は、最重点課題であると認識しております。同事業におきましては、主としてとして不動産売買・運用を中心とする不動産投資業務の強化・拡充を推進し、ストラクチャリング業務及びアドバイザリー業務における新たな案件及び顧客の開拓に努めてまいります。
(5)その他、会社の経営上重要な事項
該当事項はありません。
当社の事業展開上のリスク要因となりうる事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(平成29年6月26日)において当社が判断したものであります。
(1) 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況について
当事業年度において当社は、当期純損失を計上し、営業キャッシュ・フローについてもマイナスになったため、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりますが、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないものと判断しております。
なお、詳しい内容につきましては、「第2 事業の状況 7 財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策」に記載しております。
(2)経済情勢の動向
当社業務の対象とする不動産への需要は景気の動向に左右されうることから、国内外の経済情勢が悪化した場合には、当社の事業に影響を及ぼし、また所有資産の価値の低下につながる可能性があります。また、貸出金の担保対象となる不動産価値が低下した場合には、当社の財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)金利の変動
将来において、金利が急激に上昇した場合には、資金調達コストの増加や不動産への投資期待利回りの上昇、また住宅購入顧客の購買意欲の減退等により、当社の事業に影響を及ぼし、また所有資産の価値の低下につながる可能性があります。
(4)不動産及び金融関連税制の変更
将来において、不動産及び金融関連税制が変更された場合には、資産保有および取得・売却時のコストの増加、また住宅購入顧客の購買意欲の減退等により、当社の事業に影響を及ぼし、また所有資産の価値の低下につながる可能性があります。
(5)不動産及び金融関連法制の変更
不動産流動化・証券化関連業務及び不動産投資業務においては、「金融商品取引法」「宅地建物取引業法」「不動産特定共同事業法」等、不動産担保ローン業務においては「貸金業法」等の法律が関係してまいります。将来これらの法律が改廃された場合や新たに制定される場合、又は外部環境の変化等に伴う現行法の解釈の変化が生じた場合には、当社業務が影響を受ける可能性があるほか、所有資産の価値の低下につながる可能性があります。
(6)天変地異等の災害・環境問題等
将来において、天変地異・環境問題・土壌汚染や不動産の瑕疵が判明した等の場合には、所有資産の毀損や仲介・売主責任による補償の義務履行等により、当社の事業に影響を及ぼし、また所有資産の価値の低下につながる可能性があります。
(7)不動産開発等
当社が不動産開発等を行う場合、当社役員・従業員が直接業務を行う場合を除き、建設会社等、一定の技術を有する第三者に業務を委託するほか、地価や開発コストの上昇や工事等の不備等を含む多くの外部要因に左右され、想定外の多額の費用の発生または開発計画の遅延もしくは中止を余儀なくされる場合があり、その結果、当社の事業が影響を受ける可能性があります。
(8)少数大口の売上で構成されていることについて
当社の事業特性上、各業務の1案件あたりの金額が全売上高に占める割合が高く、各案件の受注状況並びに業務完了の時期により当社業績が大きく変動する可能性があります。
(9)小規模組織であることについて
当社は有価証券報告書提出日(平成29年6月26日)現在、取締役5名、監査役3名、従業員8名の小規模組織であり、内部管理体制についても組織の規模に応じたものとなっております。当社は今後、業容の拡大に応じて人員の採用を行うとともに社内管理体制の見直しを図っていく方針でありますが、適時・適切に体制構築が進まなかった場合には、当社の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、現状の人的資源に限りがある中、一人一人の役職員の能力に依存している面があり、役職員に何らかの業務遂行上の支障が生じた場合、あるいは役職員が社外へ流出した場合には、当社業務に支障を来たすおそれがあります。
当会計年度において締結している経営上の重要な契約は次のとおりであります。
株式会社合人社計画研究所との業務提携に関するお知らせ
当社は、平成28年8月31日開催の取締役会で株式会社合人社計画研究所との間での業務提携に関する基本合意書締結を決議し、締結いたしました。
1.提携の目的
当社は、事業領域の拡大ならびに収益源の多様化を図るため、不動産売買・運用を中心とした不動産投資業務の強化・拡充に努めてまいりました。その一環として、中古区分マンションをはじめ1棟収益物件の売買および新築賃貸マンション開発プロジェクト等において着実に実績を積み重ねてきており、今後更なる業容拡大に向け、情報収集力、案件獲得力の強化を図ってまいりたいと考えております。
業務提携先である株式会社合人社計画研究所(本社:広島県広島市、代表取締役:福井 滋)は、独立系の分譲マンション総合管理会社として全国規模で事業展開をしており、売上高334億円(2016年3月期グループ合計)、管理戸数209,289戸(同)、同社が分譲マンション居住者向けに配布する月刊生活情報紙「Wendy」は発行部数105万部を誇るなど、強固な顧客基盤を有する業界最大手の一角となっております。
このたび、当社がファイナンシャル・アドバイザリー事業で積み重ねた実績と独自性の高い専門領域を株式会社合人社計画研究所の持つ顧客基盤と高いレベルのノウハウと融合することにより、両社の新規・既存事業の拡大に期するものとして業務提携いたしました。
2.提携の内容
当社および株式会社合人社計画研究所は、区分マンション流動化事業での業務提携を端緒として、両社の持つ特性を活かした事業シナジー効果を最大限に有効化するべく、発展的な事業提携を進めてまいりたいと考えております。なお、今後の具体的な運営体制および業務の実施方法等については、今後両社協議のうえ決定いたします。
3.提携先の概要
(1)名称
株式会社合人社計画研究所
(2)本店所在地
広島市中区袋町4番31号
(3)代表者の役職・氏名
代表取締役 福井 滋
(4)設立年月日
昭和55年1月9日
(5)資本金
3億円
(6)事業内容
分譲マンション、リゾートマンション、プール、アスレチックジム、コンドミニアム、市街地再開発ビル等区 分所有建物の企画立案及び管理受託、PFI事業における公共建築物の企画・立案と管理・運営受託、建築設計・ 監理、公園緑地設計、地域環境計画
4.日程
業務提携に関する基本合意書の締結日
平成28年8月31日
業務開始日
平成28年9月1日
該当事項はありません。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社はこの財務諸表の作成に当たりまして、貸倒引当金や繰延税金資産の計上、投資その他の資産の評価及び偶発債務の認識等に関して、過去の実績や取引の状況に照らし合理的と考えられる見積り及び判断を行っております。当該見積り及び判断について当社は継続的に評価を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 財政状態の分析
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は862,819千円となり、前事業年度末比11,338千円の減少となりました。これは主に販売用不動産が74,970千円、現預金が44,955千円減少した一方で、営業貸付金が116,900千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は6,294千円となり、前事業年度末比18,820千円の減少となりました。これは主に投資有価証券が18,909千円減少したことによるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は171,464千円となり、前事業年度末比16,160千円の増加となりました。これは主に未払消費税が8,606千円,短期借入金が6,140千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は694,010千円となり、前事業年度末比49,958千円の減少となりました。これは主に当期純損失49,882千円の計上によるものであります。
(3) キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照下さい。
(4) 経営成績の分析
経営成績の分析につきましては「第2 事業の状況 1 業績等の概要(1)業績」をご参照下さい。
(5) 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善する
ための対応策
「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおり、当事業年度において当社は、当期純損失を計上し、営業キャッシュ・フローもマイナスとなったため、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。当社は当該状況を解消すべく、新たなサービス開発や顧客開拓に努め、当社の強みである金融・不動産を軸としたサービス力を高めて、お客さまに対し付加価値の高い提案・サービス提供を行い、企業価値・株主価値の向上を目指してまいります。
ファイナンシャル・アドバイザリー事業においては、当社の有する金融サービス力をその事業の拡大に活かせるような新たな顧客開拓に努めるとともに、不動産投資業務への取り組み一層を強化・拡充し、事業領域の拡大、サービスの多様化を図っていく所存であります。
当社では、以上のような事業展開を進めていく方針であり、その過程において営業キャッシュ・フローについても改善を見込んでいること、また当該事業を展開するに十分な現預金を有していることから、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況を解消することが可能であると考えており、現時点において継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。