第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第2四半期連結累計期間開始日以降、当四半期報告書提出日までの間において、第81期有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更があった事項はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当第2四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 財政状態の分析

<資産の部>

当第2四半期連結会計期間末の総資産は前年度末比1,715億円(0.8%)減少の20兆9,635億円となりました。内訳は流動資産が同2,199億円(1.1%)減少の20兆2,585億円であり、このうち有価証券が同534億円(5.4%)増加の1兆406億円、営業貸付金が同941億円(6.5%)増加の1兆5,370億円、現金・預金が同1,139億円(3.1%)減少の3兆5,803億円、トレーディング商品が同1,085億円(1.6%)減少の6兆5,585億円、有価証券担保貸付金が同2,014億円(3.1%)減少の6兆2,953億円となっております。固定資産は同484億円(7.4%)増加の7,050億円となっております。

 

<負債の部・純資産の部>

負債合計は前年度末比1,019億円(0.5%)減少の19兆6,625億円となりました。内訳は流動負債が同3,733億円(2.2%)減少の16兆6,617億円であり、このうち有価証券担保借入金が同3,534億円(6.1%)増加の6兆1,293億円、銀行業における預金が同2,290億円(6.8%)増加の3兆6,174億円、トレーディング商品が同3,162億円(6.3%)減少の4兆7,145億円、短期借入金が同5,978億円(54.8%)減少の4,938億円となっております。固定負債は同2,713億円(10.0%)増加の2兆9,968億円であり、このうち社債が同434億円(3.3%)増加の1兆3,588億円、長期借入金が同2,228億円(16.8%)増加の1兆5,506億円となっております。

 

純資産合計は同695億円(5.1%)減少の1兆3,009億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,780億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する四半期純利益を362億円計上したほか、総額242億円の配当金の支払いなどにより、同118億円(1.5%)増加の7,976億円となっております。自己株式の控除額は同71億円(13.1%)増加の614億円、その他有価証券評価差額金は同12億円(2.0%)減少の599億円、為替換算調整勘定は同102億円(402.2%)増加の128億円、非支配株主持分は同854億円(96.4%)減少の31億円となっております。

 

(2) 経営成績の分析

① 事業全体の状況

当第2四半期連結累計期間の営業収益は前年同期比3.4%増の3,477億円、純営業収益は同6.7%減の2,234億円となりました。

受入手数料は1,400億円と、同5.7%の減収となりました。委託手数料は、株式取引が減少したことにより、同4.8%減の313億円となりました。引受業務では、エクイティ引受案件等が減少し、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、同5.8%減の176億円となりました。

トレーディング損益は、外国株式における顧客フローの増加や、デリバティブトレーディングの増加等により前年同期比13.8%増の536億円となりました。

販売費・一般管理費は前年同期比4.3%増の1,857億円となりました。取引関係費は販売促進に関連する費用の増加により同1.7%増の359億円、人件費は国内における給与の増加及び米国のSagent Holdings, Inc.とSignal Hill Holdings LLCを買収統合して昨年度発足させたDCS Advisory Holdings Inc.を連結子会社化したことにより同4.8%増の921億円、減価償却費は新システムの稼働等により同3.3%増の125億円となっております。

以上より、経常利益は同33.3%減の460億円となりました。

これに特別損益、法人税等及び非支配株主に帰属する四半期純損失を差し引いた結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比29.3%減の362億円となりました。

 

② セグメント情報に記載された区分ごとの状況

純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。

                                             (単位:百万円)

 

純営業収益

経常利益又は経常損失(△)

2017年
9月期

2018年
9月期

対前年同期
増減率

構成比率

2017年
9月期

2018年
9月期

対前年同期
増減率

構成比率

リテール部門

100,102

97,924

△2.2%

43.8%

21,017

16,617

△20.9%

36.1%

ホールセール部門

78,331

79,192

1.1%

35.4%

19,331

14,441

△25.3%

31.4%

アセット・マネジメント部門

24,152

24,360

0.9%

10.9%

14,338

14,880

3.8%

32.3%

投資部門

15,715

574

△96.3%

0.3%

14,592

△617

△1.3%

その他・調整等

21,165

21,392

9.6%

△296

693

1.5%

連結 計

239,467

223,444

△6.7%

100.0%

68,982

46,015

△33.3%

100.0%

 

 

[リテール部門]

リテール部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。

当第2四半期連結累計期間においては、外国株式については、米国株式市場が堅調に推移した影響を受け売買金額が拡大し、また、ファンドラップについては、保有お客様口座数の増加により、契約資産残高は過去最高水準の2兆円突破後も堅調に推移しております。

一方で、エクイティ募集では複数の大型案件があった前年同期と比べると販売額が減少し、株式投資信託においても、IoTやロボット関連等のテーマ型ファンドの販売が好調だった前年同期と比べると販売額は低調でした。

その結果、当第2四半期連結累計期間のリテール部門における純営業収益は前年同期比2.2%減の979億円、経常利益は同20.9%減の166億円となりました。リテール部門の当第2四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ43.8%及び36.1%でした。

 

[ホールセール部門]

ホールセール部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引き受け、M&Aアドバイザリー業務や上場コンサルティング業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る取引手数料及びトレーディング収益です。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A関連手数料です。グローバル・マーケッツにおいては、国際的な地政学リスクや経済状況等で変化する金融市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。

グローバル・マーケッツにおいては、第1四半期連結累計期間から引き続き堅調な顧客フローや、株式市場における売買金額の増加により、エクイティ収益は前年同期比で増加しました。金融市場では、顧客フローはクレジットを中心に堅調を維持しましたが、米国長期金利の上昇や、政治不安等による新興国通貨下落の影響により減収となりました。これらの結果、当第2四半期連結累計期間の純営業収益は前年同期比3.1%増の592億円、経常利益は同10.5%増の146億円となりました。

グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、複数のエクイティ募集・売出し案件でジョイント・グローバル・コーディネーターや主幹事を務めましたが、複数の大型案件があった前年同期と比べると引受け・売出し手数料は減少しました。M&Aビジネスにおいては、欧州のDC Advisoryや、米国のDCS Advisoryが関与する海外・クロスボーダー案件や、国内の事業再編案件等が収益に貢献しました。一方で、DCS Advisory買収に伴うのれんを含む無形固定資産の償却等により、販売費・一般管理費が増加しました。これらの結果、当第2四半期連結累計期間の純営業収益は前年同期比4.5%減の199億円、経常損失は6億円となりました。

当第2四半期連結累計期間のホールセール部門における純営業収益は前年同期比1.1%増の791億円、経常利益は同25.3%減の144億円となりました。ホールセール部門の当第2四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ35.4%及び31.4%でした。

 

[アセット・マネジメント部門] 

アセット・マネジメント部門の収益は、主に当社連結子会社の大和証券投資信託委託における投資信託の組成と運用に関する報酬と、連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメントの不動産運用収益によって構成されます。また、当社持分法適用関連会社である大和住銀投信投資顧問の投資信託の組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益及び同じく持分法適用関連会社である大和証券オフィス投資法人の不動産運用収益からの利益は、それぞれ当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因としては、マーケット環境によって変動する顧客の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、顧客の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及び大和証券オフィス投資法人の経営成績は、国内の不動産市場・オフィス需要の動向に左右されます。

当第2四半期連結累計期間において、大和証券投資信託委託では、R&Iファンド大賞において複数のファンドが表彰を受けたことに示される運用力の高い商品や、NISA、iDeCo向け資産形成型商品やETFなど、投資家の資産形成ステージに応じた商品の提供を通じて運用資産残高を拡大させ、公募投資信託の運用資産残高は前年同期比7.4%増の16.6兆円となりました。大和住銀投信投資顧問では、アクティブ運用力を生かしたファンドの設定や投資一任において新規の年金顧客との取引を開始したものの、既存ファンドにおける運用資産残高の減少が影響し、公募株式投資信託及び投資顧問の運用資産残高は前年同期比0.1%減の5.0兆円となりました。不動産アセット・マネジメントでは、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントにおけるホテル私募リートの運用開始に伴う物件取得や、大和証券オフィス投資法人における保有物件の入替えの結果、運用資産残高は前年同期比1.3%減の8,188億円となりました。

その結果、当第2四半期連結累計期間のアセット・マネジメント部門の純営業収益は前年同期比0.9%増の243億円、経常利益は同3.8%増の148億円となりました。アセット・マネジメント部門の当第2四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ10.9%及び32.3%でした。

 

[投資部門]

投資部門は主に、連結子会社である大和企業投資と大和PIパートナーズで構成されます。投資部門の主な収益源は、投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬です。なお、当年7月に、これまで大和PIパートナーズが行ってきた再生可能エネルギー事業の拡大とインフラストラクチャー分野への進出を目的として大和エナジー・インフラ株式会社を設立しました。同社の事業展開を通じて、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献してまいります。

当第2四半期連結累計期間においては、大和企業投資において、国内ベンチャー企業を主な投資対象とする「DCIベンチャー成長支援投資事業組合」を設立するなど、国内外の成長企業への投資を積極的に実行するとともに、投資先企業と大手企業とのマッチングを実施しました。また、大和PIパートナーズは、昨年に引き続き、エネルギー等の重点分野やミャンマー等の重点地域で積極的に投資を実行しながら、複数のエクイティ投資先の売却益による収益を確保したものの、既存投資案件の再評価に伴う損失を計上しました。

その結果、投資部門の純営業収益は前年同期比96.3%減の5億円、経常損失は6億円となりました。投資部門の純営業収益のグループ全体の連結純営業収益に占める割合は、0.3%でした。

 

[その他]

その他の事業には、主に大和総研と大和総研ビジネス・イノベーションからなる大和総研グループによるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務のほか、大和ネクスト銀行による銀行業務などが含まれます。

大和総研は、当社グループのシステム開発を着実に遂行したほか、高付加価値のソリューション提案により、顧客との関係を強化し、当社グループのビジネスに貢献しました。

大和総研ビジネス・イノベーションは、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。

大和ネクスト銀行では、外貨建てローン債権を裏付資産とする資産流動化ローンの積み増しにより貸出金利息が増加しました。昨年11月より定期預金に「金利」以外の魅力を付加するため、企業・団体とタイアップした預金商品である「えらべる預金」の提供を開始し、9月末時点の累計預入件数は17,244件、累計預入金額は188億円となりました。また、本年7月より外貨預金における取扱通貨としては12通貨目となる「中国元」の取り扱いを開始し、商品ラインアップの拡充を図りました。

その結果、その他・調整等に係る純営業収益は213億円(前年同期211億円)、経常利益は6億円(前年同期は経常損失2億円)となりました。その他・調整等の当第2四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ9.6%及び1.5%でした。

 

③ 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、当連結会計年度より3ヵ年の中期経営計画“Passion for the Best” 2020を新たにスタートさせております。前連結会計年度を最終年度とする中期経営計画“Passion for the Best” 2017においては、数値目標として連結自己資本利益率(ROE)10%以上と固定費カバー率75%以上の指標を掲げておりましたが、“Passion for the Best” 2020においては、お客様本位を起点として健全な利益の確保を通じた持続的成長を図るべく、「お客様本位」「業績」「財務」の3つのキー・パフォーマンス・インディケーター(KPI)を設定しています。お客様本位KPIでは、お客様本位の業務運営をさらに進化させるため、「お客様満足度」をKPIのメインフレームに据えています。具体的には、ネット・プロモーター・スコア(NPS)という、お客様のロイヤリティーを数値化した指標を本格的にKPIとして導入します。また、お客様からの信頼の証しである預り資産についてもKPIとして設定し、2020年度に80兆円以上を目指します。業績KPIでは、これまでの取組みにより安定的に収益を上げる基盤ができてきたことから、大きな成長を目指す次なるステージに入ってきたと捉え、従来より掲げておりますROE10%以上に加えて、2020年度における連結経常利益2,000億円以上を新たに設定しました。財務KPIについては、当社グループとしてのハイブリッド化を進める中でも、強固な財務基盤を維持することを示すべく、連結総自己資本規制比率18%以上を掲げています。

 

④ 経営成績の前提となる当第2四半期連結累計期間のマクロ経済環境

<海外の状況>

世界経済は緩やかに拡大しているものの、IMF(国際通貨基金)などの国際機関は、米国のトランプ大統領が保護主義的な通商政策を強力に推進したことで米中の貿易摩擦が激化し、さらに金融環境が引き締まったために、世界経済の先行きに対して下振れリスクが高まっているとみています。

米国経済は、2018年1-3月期に落ち込んだ個人消費が再加速したことで、4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率4.2%増と約4年ぶりの高成長となりました。4-6月期に引続き7-9月期も消費の裏付けとなる雇用・所得環境が安定し、消費者マインドも高水準となっています。税制改革の恩恵は、企業業績や企業マインドの改善にも及び、設備投資は堅調に推移していることから、7-9月期も同3.5%増と前期からはやや減速したものの、高い成長となりました。また、トランプ大統領の対外的な強硬姿勢は、中国にとどまらず、EU(欧州連合)や韓国、メキシコ、カナダ、日本などにも拡大しています。中国を除く各国とは妥協が成立したり、新たな貿易交渉を開始するなど、中国との通商摩擦の激化による悪影響も現時点では軽微とみられます。ただ、内外の混乱に対する懸念は払拭できず、トランプ政権の政策がインフレ動向や米国の中長期的な成長力に与える影響については留意が必要です。

金融面では、底堅い景気拡大を受けて、FRB(連邦準備制度理事会)は2018年は9月末までに計3回の利上げを実施し、年内にあと1回の利上げが見込まれています。一方、FOMC(連邦公開市場委員会)参加者の政策金利見通しによると、2019年は3回、2020年は1回の利上げ(いずれも中央値)が想定されており、徐々にペースダウンしていくことが予想されています。6月後半にかけて大きな調整局面に入った米国株式市場では、7月に入ると、米中の貿易摩擦の行方に左右される局面は見られたものの、底堅い米国経済や好調な企業決算を背景に、NYダウ平均株価は上昇を続け、9月下旬には約8ヵ月ぶりに高値を更新して過去最高値を付けました。

欧州経済(ユーロ圏経済)では、2018年4-6月期のユーロ圏の実質GDP成長率は、企業の設備投資など総固定資本形成に牽引されて前期比年率1.8%増と、1-3月期の同1.6%増に続いて1%台後半の成長となりました。ユーロ圏の雇用は拡大しており、賃金上昇率に加速の兆しが見られること等を背景に、個人消費を含めた内需が牽引役になっています。もっとも、7-9月期は同0.6%増と前期から大幅に減速し、欧州委員会が推計する潜在成長率1.5%程度を下回りました。一方、2017年に進んだユーロ高に伴う輸出抑制効果は、2018年4月以降、実効ベースでユーロ高に歯止めがかかっていることから、一服すると想定されます。ただ、米中の貿易摩擦に加え、ユーロ圏と関係が深いトルコなどの新興国の景気が減速していることから、外需の見通しは不透明なままです。

金融面では、ECB(欧州中央銀行)は非伝統的な金融緩和政策の軌道修正を着実に進めています。ECBは2018年1月から資産買取額を毎月300億ユーロに半減させましたが、9月の金融政策理事会では、6月に発表した金融緩和の出口戦略の方針に従って政策を進めていくことが確認されました。すなわち、資産買取額を10月からはさらに毎月150億ユーロに減額した上で、2018年12月末で資産買取を終了する予定です。残高を維持するための再投資をいつまで継続するかは不明ですが、政策金利を少なくとも2019年夏まで据え置く方針も確認されました。これはFRBが実行した出口戦略を踏襲する形となっていますが、ECBは、不透明さが増す世界経済を注視しながら、非伝統的な金融緩和政策の修正を慎重に進めていくものとみられます。

新興国を代表する、世界第2位の経済規模を持つ中国経済は、2018年7-9月期の実質GDP成長率が前年比6.5%増と、4-6月期の同6.7%増から減速したものの、堅調に成長を続けています。しかし、米国との通商摩擦の激化は、互いに関税率を引き上げ合う状況にエスカレートしており、輸出面を通じて、中国経済への影響が懸念されます。トランプ政権は、中国からの輸入品について、7月および8月の計500億ドル分に続いて、9月下旬には2,000億ドル分に対しても追加関税を課しました。合計すると、中国の対米輸出の約半分相当が対象となったことになります。貿易問題が長期化すると、中国企業だけでなく、中国で製品や部品を生産して米国に輸出していた海外企業が被る打撃も大きくなり、サプライチェーンを見直す動きが加速する可能性があります。さらに、中国の魅力が低下し、海外からの直接投資が減少することになれば、中国の中長期の成長力も抑制されることにつながります。

一方、中国以外の新興国を見ると、原油などの資源価格の上昇は資源国経済にとって追い風になっています。もっとも、原油価格の高止まりは、景気実態を反映した需要要因というよりは、8月から再開された米国によるイランへの経済制裁など中東における緊張の高まりや、産油国の増産見送りを受けたためとみられており、資源の乏しい国々にとっては大きな負担になっています。さらに、米国など先進国の金利上昇によって国外への資本流出が加速し、通貨安に伴う高インフレへの対策や通貨防衛のために、政策金利を引き上げざるを得ないケースも散見されます。米中を中心とした貿易摩擦が、貿易数量の鈍化を通じて世界全体に及ぶことになれば、新興国経済への影響も避けられないと考えられます。

 

<日本の状況>

日本経済は、2018年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率3.0%増と2四半期ぶりのプラス成長に転じ、9四半期ぶりの高成長となりました。ただ、2018年1-6月期を2017年7-12月期と比較すると年率0.5%増にとどまり、1%弱とされる日本経済の潜在成長率を下回る水準です。従って、日本経済は踊り場局面にあるという状況に変化はないとみられています。需要項目ごとにみると、4-6月期の高い成長を牽引したのは内需、中でも個人消費や企業の設備投資でした。一方、外需の寄与度は、2017年10-12月期以降3四半期に亘ってほぼゼロに近い状況となっています。また、7-9月期に関しては、今夏の酷暑に加えて、7月の西日本を中心とした豪雨、9月上旬の大型台風、北海道で発生した大地震といった自然災害が相次いだことが、景気に対してマイナスに作用すると想定されます。

個人消費は、2018年1-3月期の小幅減から、4-6月期は雇用・所得環境の着実な改善に支えられて2四半期ぶりに増加に転じました。ただ、その後一連の自然災害を受けて、生鮮食品の価格の高騰がみられ、消費者の生活に影響を及ぼしていると考えられます。また、これまで順調に拡大してきたインバウンド消費については、2018年に入って訪日外客数の伸びがやや鈍化しているところに、酷暑や自然災害が下押し要因となっており、今後の行方が懸念されます。住宅投資は、2017年7-9月期以降、4四半期連続で前期比マイナス成長となり、2018年7月から8月の新設住宅着工はやや持ち直していますが、住宅投資の緩やかな減速は継続するとみられます。

一方、企業の設備投資は、2018年4-6月期が前期比年率12.8%増と約3年ぶりの高成長となるなど、好調な企業収益や低金利環境、労働需給の逼迫を背景に堅調に推移しています。深刻な人手不足に対応した合理化・省人化投資や、競争力を維持するための機械・設備の更新、研究開発投資などに対する企業の意欲は強く、日銀短観(9月調査)の2018年度の設備投資計画をみても、製造業や非製造業ともに高い伸びを示しています。

外需に目を向けると、海外経済の緩やかな成長に合わせて、輸出額は増加基調にありました。もっとも、EU向けやアジア向けの輸出数量は2017年末頃から横ばいで推移しており、米国向けの輸出数量も2018年5月から7月にかけて前月比で若干減少ないし横ばいとなっています。米国の保護主義的な通商政策によって、世界貿易の縮小につながるリスクがある点には留意が必要です。また、9月下旬には、日米の両首脳が、物品貿易協定の締結に向けた交渉を開始することで合意し、日本側が懸念していた米国による自動車への追加関税は、当面回避されることになりました。

金融面では、日本銀行による「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の下で、強力な金融緩和措置が続いてきましたが、2018年7月末に、日本銀行は、短期金利のマイナス金利、長期金利(10年物国債金利)のゼロ%程度という大枠を維持しながら、長期金利の一定程度の変動を容認する姿勢に転じました。同時に、日本銀行は、政策金利のフォーワードガイダンスを導入することで、「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を図っています。この結果、2018年4-6月期にかけて0.05%前後で安定していた長期金利は小幅上昇し、8月以降は概ね0.1%台で推移するようになり、7-9月期の期間平均では0.09%になりました。

一方、為替レートは、リスク回避の動きから円高が加速し、2018年3月下旬に1年4ヵ月ぶりの円高水準となる104円台を記録しましたが、4月に入ると緩やかに円安・ドル高に転じ、5月から6月にかけて概ね109円~111円という狭いレンジで推移しました。7-9月期は、米中の貿易摩擦激化への警戒感から円高に振れる場面はあったものの、米国の金利上昇による日米金利差拡大も手伝って円安が進み、9月末には約9ヵ月ぶりの円安水準となりました。また、対ユーロでは、欧州の景気減速やイタリアの政局不安を背景に、4月から5月にかけて円高・ユーロ安が進み、5月末には2017年6月以来となる円高水準となりました。6月以降は、政治リスクが後退したこともあり、ユーロは上昇基調となりました。7月半ばから円高・ユーロ安に転じ、さらに8月に入ると、米国とトルコの対立激化からトルコ・リラが急落したことを受けて、ユーロ安も加速し、8月半ばには5月末と同水準まで円高が進みました。その後、ユーロが対ドルで上昇したことから、対円でも上昇し、9月下旬には5ヵ月ぶりの円安水準となりました。もっとも、9月末にかけては、イタリアに対する財政懸念の再燃や北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の合意によって、ドル高・ユーロ安に大きく振れました。

2018年9月末の日経平均株価は24,120円4銭(同年6月末比1,815円53銭高)、10年国債利回りは0.134%(同0.094ポイントの上昇)、為替は1ドル113円44銭(同2円80銭の円安)となりました。

 

 

(3) 繰延税金資産の状況

① 繰延税金資産の算入根拠

当社グループでは、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。

 

② 過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)

(単位:百万円)

回次

第77期

第78期

第79期

第80期

第81期

決算年月

2014年3月

2015年3月

2016年3月

2017年3月

2018年3月

連結納税グループの課税所得

16,566

△19,262

89,190

31,973

97,467

 

(注) 提出会社を連結納税親会社とする連結納税グループの所得を記載しております。また、記載した課税所得は法人税確定申告書上の繰越欠損金控除前の数値であり、その後の変動は反映されておりません。

 

なお、当第2四半期連結会計期間に係る四半期連結貸借対照表上の繰延税金資産62億円のうち、提出会社を親会社とする連結納税会社の計上額合計は32億円であります。

 

③ 見積りの前提とした税引前当期純利益の見込額

提出会社を連結納税親会社とする連結納税グループの課税所得見積期間を3年とし、同期間の税引前当期純利益を2,502億円と見積もっております。

 

④ 繰延税金資産・負債の主な発生原因

当第2四半期連結会計期間末現在、四半期連結貸借対照表上の繰延税金資産及び繰延税金負債の内訳は次のとおりであります。

 

                    (単位:百万円)

                     当第2四半期連結会計期間

                         (2018年9月30日)

繰延税金資産

 

 繰越欠損金

33,954

 退職給付に係る負債

13,164

 減損損失

6,521

 投資有価証券評価損

6,260

 賞与引当金

5,383

 未実現利益の消去

4,960

 営業投資有価証券関連損益

4,078

 減価償却超過額

3,976

 商品有価証券・デリバティブ

2,305

 貸倒引当金

1,739

 関係会社株式評価損

1,552

 事業税・事業所税

1,386

 ストック・オプション 

1,219

 金融商品取引責任準備金

1,208

 その他

9,949

繰延税金資産小計

97,661

評価性引当額

△73,704

繰延税金資産合計

23,957

繰延税金負債

 

 その他有価証券評価差額金

24,449

 その他

4,866

繰延税金負債合計

29,315

繰延税金資産の純額

△5,355

 

 

(4) キャッシュ・フローの状況

 営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物

当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

2017年9月期

2018年9月期

営業活動によるキャッシュ・フロー

△87,793

464,961

投資活動によるキャッシュ・フロー

57,598

△97,049

財務活動によるキャッシュ・フロー

371,338

△483,994

現金及び現金同等物に係る換算差額

1,417

7,431

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

342,561

△108,650

現金及び現金同等物の期首残高

3,766,145

3,653,464

現金及び現金同等物の四半期末残高

4,109,634

3,540,184

 

 

当第2四半期連結累計期間において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減、営業貸付金の増減、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減、銀行業における預金の増減及び預り金の増減などにより4,649億円の増加(前年同四半期は877億円の減少)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出、有価証券の売却及び償還による収入及び有形固定資産の取得による支出などにより970億円の減少(同575億円の増加)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減、長期借入れによる収入や長期借入金の返済による支出、社債の発行による収入や社債の償還による支出などにより4,839億円の減少(同3,713億円の増加)となりました。これらに為替変動の影響等を加えた結果、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,132億円減少し、3兆5,401億円となりました。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更及び新たに生じた事項はありません。  

 

(6) 研究開発活動

該当事項はありません。

 

 

(7) 資本の財源及び流動性に係る情報

① 流動性の管理

<財務の効率性と安定性の両立>

当社グループは、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。

当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。

財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めております。特に近年においては、世界的金融危機及び信用危機による不測の事態に備え、市場からの資金調達、金融機関からの借入等により、手元流動性の更なる積み増しを行っております。同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。

当社は、平成26年金融庁告示第61号による連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」)の最低基準(2015年3月末から段階的に導入)の遵守が求められております。当社の当第2四半期日次平均のLCRは142.0%となっており、上記金融庁告示による要件を満たしております。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCRのほかに、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理態勢を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。その他、1年以上の長期間に亘りストレス環境が継続することを想定した場合に、保有資産を維持するための長期性資金調達状況の十分性を計測及びモニタリングしており、1年間無担保資金調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように取り組んでおります。

当第2四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。

(単位:億円)

 

 

日次平均
(自 2018年7月
    至 2018年9月)

適格流動資産

(A)

26,756

資金流出額

(B)

37,381

資金流入額

(C)

18,550

連結流動性カバレッジ比率(LCR)

 

算入可能適格流動資産の合計額

(D)

26,756

純資金流出額

(B)-(C)

18,831

連結流動性カバレッジ比率

(D)/((B)-(C))

142.0%

 

 

 

<グループ全体の資金管理>

当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。当社は、当社固有のストレス又は市場全体のストレスの発生により新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、短期の無担保調達資金について、当社グループの流動性ポートフォリオが十分に確保されているかをモニタリングしております。また、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。

 

<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>

当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。

当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。

また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。

なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。

 

② 株主資本

当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。

当第2四半期連結会計期間末の株主資本は、前連結会計年度末比47億円増加し、1兆2,142億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,780億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する四半期純利益362億円を計上したほか、配当金242億円の支払いを行った結果、前連結会計年度末比118億円増加の7,976億円となりました。自己株式の控除額は同71億円増加し、614億円となっております。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第2四半期連結会計期間において、該当事項はありません。