本項における経営目標、予測、並びにその他の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、これらの目標や予測の達成及び将来の業績等を保証しまたは約束するものではありません。また今後、予告なしに変更されることがあります。
2018年度の証券・金融市場は、日経平均株価が10月初旬に27年ぶりの高値を更新したものの、その後は調整局面が続くなど、変動の激しい年でありました。
当社グループでは、グループ中期経営計画~“Passion for the Best”2020~において「クオリティNO.1のコンサルティング力による付加価値の高いソリューションの提供」と「ハイブリッド型総合証券グループとしての新たな価値の提供」を基本方針に掲げ、新たな一歩を踏み出した重要な年でもありました。
また、大和版NPS®(注)の導入を契機に「お客様第一の業務運営」の深化を進め、お客様基盤の拡充において一定の成果を得ると共に、グループとしての新たな価値の創出に向けて、再生可能エネルギー、インフラストラクチャー、農業、ヘルスケアといった事業ポートフォリオ拡充への着実な布石を打った1年となりました。
近年、不透明な世界情勢やデジタル・トランスフォーメーションの進展等により、金融業界のみならず各業界における経営を取り巻く環境は劇的に変化しており、企業には来るべき変化への対応やイノベーションが求められ、失敗を恐れず挑戦を継続していくことが必要となっております。
グループ中期経営計画の2年目となる2019年度は、引き続き「お客様第一の業務運営」のクオリティを追求すると共に、新規ビジネス領域と伝統的な証券業との融合による「新たな価値」創出及び拡大に向けた挑戦を続けていきます。
当社は、SDGsの達成に向け積極的に取り組み、経済的価値と社会的価値の両立、すなわち共通価値を創造することにより、サステナブルで豊かな社会・国民生活の実現に貢献していきます。
なお、グループ中期経営計画~“Passion for the Best”2020~における主な数値目標としては、大和証券における預り資産(2020年度において80兆円以上)、当社グループの連結総自己資本規制比率(18%以上)、連結自己資本利益率(ROE)(10%以上)及び連結経常利益(2020年度において2,000億円以上)等を定めております。
2019年度の各事業部門の事業計画は、以下のとおりであります。
① お客様満足に立脚した営業体制の構築
② お客様のあらゆるニーズに応える、属性に応じた最適なサービス・ソリューションの提供
③ 収益基盤の持続的な拡大
④ 外部チャネル・外部リソースを活用したビジネス展開
① 企業の高付加価値化を促進
② お客様ニーズを捉えたプロダクト・サービスの提供
③ 事業構造や日本の産業構造転換を支援
④ アジアのリージョナル・ブローカーとしての汎アジアビジネスサポート
① 運用力の強化・向上によるお客様利益の追求
② 幅広いお客様ニーズを捉えた商品開発力の強化
③ お客様の資産運用に資する商品拡充及び情報発信・サポート力の強化
④ 不動産を中心としたオルタナティブ投資商品の拡大
① 新規産業の発掘・育成によるファンド・エコシステムへの貢献
② アジアへの投資拡大
③ 社会的意義のある投資対象の開拓
④ 運用力の更なる進化による投資リターンの追求
① ハイブリッド型総合証券グループのシンクタンクとして、グループ連携によるビジネス強化へ貢献
② デジタル化の加速による不透明な未来の道標となる経済・金融における先見性の高い情報発信
③ お客様のビジネスへ貢献する、競争力のあるソリューションをスピーディに提供
④ 先端技術の活用による「新たな価値」の創出を通じたビジネスの拡大
① 証銀連携による顧客本位の商品・サービス展開
② グループ全体の将来的な収益基盤構築に向けた仕組み作り
③ 市場環境の変化に即応可能なポートフォリオ運営
④ 健全な利益の確保を通じた持続的成長
(注)NPS®:Net Promoter Scoreの略であり、お客様のロイヤルティを数値化する指標。なお、NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項に関し、以下のようなリスクがあげられます。これらのリスクは必ずしもすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では想定していないリスクや重要性が乏しいと考えられるリスクも、今後当社グループの財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
日本では、長年の懸念とされてきた社会保障の充実安定化と財政健全化の同時達成による日本経済再生を目指し、2014年4月に17年ぶりの消費税率の引上げが行われました。2016年1月には、デフレ脱却のため、日本の金融政策史上初めてマイナス金利政策の導入が決定されました。2016年9月には、日銀が長短金利に操作目標を明示的に設定する「イールドカーブ・コントロール」が導入されました。2019年10月には消費税率10%への引上げが予定されていますが、個人消費が伸び悩む中、景気の下押し圧力となる可能性もあります。堅調な企業業績を背景に景気回復基調が継続する一方、消費税率引上げにより成長が鈍化した場合や金融政策の効果が期待通り得られずデフレからの脱却が実現しない場合には、日本経済が再び低迷の危機に陥る可能性も否定できません。
米国では、2017年12月に大型減税を実現する税制改革法案が成立し、雇用の拡大を背景に景気拡大基調が継続すると見込まれる一方、トランプ政権の保護主義的通商政策による貿易停滞の影響や、米国の財政赤字拡大等に起因する金利上昇が金融市場の不安定性を高める可能性があります。欧州地域においては、低金利と雇用環境の改善などから緩やかな景気回復が広がる一方、地政学リスクの高まりや英国のEU離脱を巡る動向など下振れ懸念も存在します。中国、新興国においても、経済成長率の減速や地政学リスク等、予断を許さない状況が続いています。また、2018年末から続いている米中貿易摩擦問題により、世界経済の見通しの不透明感が強まっています。再び、財政状況や経済状況が悪化した場合には、世界的な金融危機や経済危機に発展する可能性も否定できません。
このように、日本における財政政策、金融政策の効果が期待通り得られない場合や、世界景気や経済情勢の停滞若しくは悪化など、日本を取り巻く経済環境に悪影響を及ぼす事象が発生した場合には、企業業績の悪化、株価の下落、為替の変動、金利の変動等により様々なリスクが顕在化することが想定されます。このような事態は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主たる事業である有価証券関連業務は、マーケットに急激な変動を生じさせる予測不可能な出来事の発生により大きな影響を受ける傾向があります。例えば、2001年9月に発生した米国同時多発テロや、2011年3月に発生した東日本大震災がもたらした社会・経済・金融等の混乱や危機的状況は、いずれも当社グループの業績に重大な影響を及ぼしました。
このように、戦争・テロ行為、地震・津波・洪水等の自然災害、新型インフルエンザの大流行や情報・通信システム・電力供給といったインフラストラクチャーの障害等の外的要因は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
株式の売買委託手数料率の自由化をはじめ、ファイアーウォール規制の見直し等、一連の大幅な規制緩和を契機として、当社グループの主たる事業である有価証券関連業務における競争は、厳しいものとなっています。参入規制がほぼ撤廃されて、銀行その他の証券会社以外の国内外の金融グループは、幅広い金融商品・サービスの提供を行うことにより、顧客基盤及び店舗ネットワークを構築・強化しております。
当社グループは、これら国内外の金融グループに対して、競合する事業における価格やサービス面等の点で十分な競争力を発揮できるという保証はなく、これが発揮できない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、有価証券関連業務を中核に投資・金融サービスを行うグループ会社群によって構成されており、これらグループ会社が連携することで付加価値の高い投資・金融サービスを提供し、グループ全体の企業価値を最大化することを目指しております。しかしながら、①国内外の経済・金融情勢が悪化した場合、②競争環境の変化により、当社グループの期待する収益を得られない場合、③当社グループ内外との事業提携・合弁関係、業務委託関係が変動あるいは解消した場合、④当社グループ内の組織運営効率化のための施策が想定どおりに進まない場合、及び⑤法制度の大幅な変更があった場合をはじめとする様々な要因により、上記のグループ戦略に変更が生じる場合や、グループ会社間の業務、その他の連携が十分に機能しない場合には、グループ戦略が功を奏しない可能性や想定していた成果をもたらさない可能性があり、その場合、当社グループの事業、財政状態及び経営戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主たる事業である有価証券関連業務をはじめ、その他の主要業務であるアセット・マネジメント業務、投資業務は、お客様との取引から得られる手数料、トレーディング損益、営業投資有価証券関連損益等が大幅に変動するという特性を持っております。当社グループでは業績の安定性を向上させるべく、リテール部門における預り資産の拡大やホールセール部門の収益構造の多様化、アセット・マネジメント部門における契約資産残高の拡大、市場リスクや信用リスクをはじめとする各種リスクの管理強化、経費管理の徹底等の努力を行っておりますが、これらの施策は有価証券関連業務に伴う業績の変動性をカバーすることを保証するものではなく、とりわけ経済・金融情勢が著しく悪化した場合には、当社グループの業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループの過去3連結会計年度における連結業績の推移は次のとおりです。
(単位:百万円)
(6) リテール部門におけるビジネス・リスク
リテール部門では、市況の低迷でお客様の証券投資需要が低調となったり、日本の証券市場のリスクを避ける投資行動が強まったり、リスク資産を保有することそのものに対して消極的な傾向が強まったりすると、収益が大きく低下する可能性があります。また、店舗、営業員、オンライン取引システム等を必要とするため、不動産関係費、人件費、システム投資等に係る減価償却費等の固定的経費を要する傾向があります。したがって、上記のような要因により収益が大きく低下したときは、経費抑制努力では対応しきれず、採算割れとなるリスクがあります。
(7) ホールセール部門におけるビジネス・リスク
ホールセール部門は、グローバル・マーケッツとグローバル・インベストメント・バンキングの各ビジネスにより構成されております。
グローバル・マーケッツにおける現物取引やデリバティブ取引等のトレーディング業務には、市場動向や税制、会計制度の変更等の影響でお客様の取引需要が減少して収益が低下するリスクや、急激かつ大幅な市況変動でディーラーの保有ポジションの時価が不利な方向に変動して損失が発生するリスク、低流動性のポジションを保有していたため市況変動に対応して売却することができず損失が発生するリスク等があります。
これらのうち、主要なものは市場リスク(株式・金利・為替・コモディティ等の相場が変動することにより損失を被るリスク)と信用リスク(与信先の財務状況の悪化等により、資産(オフバランス資産を含む。)の価値が減少ないし消失し、あるいは債務が履行されないことにより損失を被るリスク)です。当社グループでは、各商品のトレーディングにかかるリスクを軽減するために、各商品の過去の市場価格の推移や各商品の価格変動の相関を参考に、必要に応じて様々なヘッジ取引を行っておりますが、予想を超える市場の変動や突発的に発生する個別の事象等により、ヘッジが有効に機能しない可能性もあります。さらに、トレーディング・ポジションの内容が特定の銘柄や業種等に偏ると、ポートフォリオ全体の分散効果が得られにくくなるほか、ポジションの円滑な処分も困難になるため、リスクが顕在化した場合の損失額が大きく膨らむ傾向があります。
グローバル・マーケッツにおけるブローカレッジ業務では、市況の低迷でお客様の証券投資需要が低調となったり、日本の証券市場のリスクを避ける投資行動が強まったり、リスク資産を保有することそのものに対して消極的な傾向が強まったりすると、収益が大きく低下する可能性があります。また、法人のお客様向けの大規模な取引システム等を必要とするため、システム投資等に係る減価償却費等の固定的経費を要する傾向があります。したがって、上記のような要因により収益が大きく低下したときは、経費抑制努力では対応しきれず、採算割れとなるリスクがあります。
また、グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、法人のお客様の財務面でのニーズに対応して、債券、上場株式、新規公開株式、資産流動化証券等の引受け、募集・売出しを行うほか、仕組み証券やストラクチャード・ファイナンスの組成に関する業務、M&A、事業再編や新規公開に関するアドバイザリー業務も行います。これらの業務には、概して証券市況に影響されて取引規模及び取引量が急激に変動する特性があります。また、引受業務には、引受けた証券が市況の下落等で円滑に投資家に販売できない場合、引受けた証券を保有すること等により、市場価値の下落による損失を被るリスクがあります。引受業務におけるポジション・リスクは、単一の銘柄でかつ巨額なポジションとなり、適時に効果的なリスク回避の手段をとることができないため、通常のトレーディングにおけるポジション・リスクよりも重大なリスクとなり得ます。また、引受業務には、有価証券の募集・売出しにかかる発行開示が適切になされなかった場合には、金融商品取引法に基づき引受会社として投資家から損害賠償請求を受けるリスクがあります。
アセット・マネジメント部門の収益は、運用資産の残高に基づく一定料率又は実績連動の報酬です。市場の変動によって運用資産の評価額が下落した場合や、お客様の資産運用の動向が変化(預金等の安定運用志向の高まりを含む。)したり、あるいは当社グループの運用実績が競合他社に比べて低迷する等して、解約等が増加し、運用資産が減少した場合には、当社グループの収益は減少します。
他方、アセット・マネジメント部門の経費構造は、システム関連経費や人件費が中心であって、固定費的な要素が強いため、収益の低下が著しい場合には採算割れとなるリスクがあります。
投資部門では、将来、株式公開が見込まれると判断したベンチャー企業等の株式等を取得し、株式公開時に当該株式を売却し利益を得ることを主たる目的とするベンチャー・キャピタル業務や、自己の資金により企業の株式等を取得・保有し、経営改善等によって投資先企業の価値を高めた上で当該株式等を転売し利益を得ることを主たる目的とするプリンシパル・インベストメント業務等を行っています。
ベンチャー企業等は、一般的に、事業運営の歴史が浅く、多くの場合事業運営モデルが確立しておらず、資金調達手法や商品・サービスに対する長期的な需要の確保に不確実性が見られ、また、優秀な人材の継続的雇用も保証されていない等、経営全体の基盤が安定していない傾向が強いといえます。さらに、創業者等の特定の人物に対する依存度が著しく高い場合が多い等、多種多様なリスク要因を包含しています。したがって、投資後に投資先企業の企業価値が低下する場合や投資先企業が倒産する場合もあり、結果として損失を被る可能性があります。
また、一般的に、ベンチャー企業等が株式公開を目指してから実際の公開に至るまでには相当の期間を要することから、投資期間も長期にわたる傾向があります。さらに、投資先企業のすべてが株式公開を実現する保証はなく、投資先企業の株式公開が実現した場合においても、当該企業の株式等の取得原価を上回る価額で当該株式等を株式市場等で売却できるとは限らないため、期待された売却益が実現しない可能性や売却損又は評価損が発生する可能性もあります。
プリンシパル・インベストメント業務は、保有する有価証券やその他の資産のポジションの流動性が低いこと、投資先の分散によるリスク抑制が行い難いこと、保有期間が長いこと、投資開始時点で経営に何らかのリスク要因のある企業を投資対象とする場合が多いこと、売却時に国内外の規制上の障害があって処分が妨げられたり処分までに長期間を要することがありうること等から、成功した場合のリターンが大きい代わりにリスクも高いビジネスです。保有株式等を転売せずに保有継続する場合には評価損が発生する可能性があり、転売する場合において、取得原価を上回る価額で転売できるとは限らないため、期待された売却益が実現しない可能性や売却損が発生する可能性があります。
当社グループでは、連結子会社である株式会社大和ネクスト銀行(以下、「大和ネクスト銀行」という。)が、同行の銀行代理店である大和証券株式会社(以下、「大和証券」という。)を通じて、お客様向けサービスを提供しております。
大和ネクスト銀行においては、大和証券やインターネット等を通じたお客様からの預金受入れ等により調達した資金を、貸出や債券その他有価証券投資等により運用しておりますが、銀行業は、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、システムリスク、コンプライアンスリスク、事務リスク、情報セキュリティリスク、外部委託にかかるリスク、イベントリスク、レピュテーショナルリスク、自己資本比率低下リスク等、様々なリスクへの対応が必要となります。このような広範に渡るリスクの管理態勢の整備・改善等の対応を進めておりますが、これらの対応が不十分であった場合、マイナス金利政策等による運用資産の利回り低迷や調達金利の上昇等により期待された利鞘が確保できない場合、競合する他の銀行との差別化戦略が期待どおりに進まず競争力が発揮できなかった場合等においては、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの持分法適用関連会社である大和証券オフィス投資法人は、投資信託及び投資法人に関する法律に基づく投資法人であり、株式会社東京証券取引所不動産投資信託証券市場に上場し、投資口及び投資法人債の発行並びに金融機関等からの借入れ等により資金調達をし、主としてオフィスビルを中心とした不動産及び不動産を信託財産とする信託受益権等に対して投資し、不動産の賃貸や売却等により回収することを主たる事業としております。
大和証券オフィス投資法人の事業は、市場環境や経済情勢の変動、調達金利の変動、テナントの入退去、賃料の改定・不払い、テナント・信託の受託者その他関係者の倒産等、固定資産税その他諸費用の変動、不動産に係る欠陥・瑕疵の存在、災害等による建物の滅失・劣化・毀損、所有権その他不動産の権利関係、有害物質の存在、環境汚染、行政法規・税法(投資法人と投資主の二重課税を排除するための税法上の要件を含む。)その他法令等の制定・変更、取引所規則等の制定・変更等の様々な事情により影響を受ける可能性があります。これらにより、期待する水準又は時期による賃料や売却収入が得られなかったり、評価損が発生した等の結果、大和証券オフィス投資法人が純損失を計上した場合等には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 投資有価証券に関するリスク
当社グループは、提携・友好関係の維持や構築等を目的として、対象企業等の株式等を保有しております。このうち、市場性のある株式等については市場価格の下落により、それ以外の株式等については当該対象企業等の財政状態及び経営成績の悪化等に起因する減損損失あるいは評価損が発生することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、上記株式等について、保有意義の希薄化等を理由に売却を実行する際、市場環境若しくは対象企業等の財政状態及び経営成績等によっては、期待する価格又は時期に売却できない可能性があります。
当社グループは現在、アジアを中心とする新興国市場を含め、海外における事業基盤の構築に取り組んでおります。
海外の事業基盤は、国内の事業基盤と比較すると、お客様の取引ニーズの変動や市場環境、政治・金融・経済情勢の変動の影響をより強く受け易く、これらの変動の程度やリスク管理の状況によっては減収又は損失を被る可能性があります。また、海外事業については、投下した資本並びに収益が為替リスクに晒されていることや、現地における法規制等の変更により、当社グループ又は当社グループが出資する合弁会社等の事業が制約を受ける可能性があるほか、投下資本の価値が変動する可能性があります。
当社グループは、当社が金融商品取引法上の最終指定親会社に該当するため、「最終指定親会社及びその子法人等の保有する資産等に照らし当該最終指定親会社及びその子法人等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成22年金融庁告示第130号)の適用を受け、同告示第2条に基づいて連結自己資本規制比率を所定の比率(連結普通株式等Tier1比率4.5%、連結Tier1比率6%、連結総自己資本規制比率8%。以下、「最低所要連結自己資本規制比率」と総称する。)以上に維持する必要があります。
また、連結子会社のなかにも同様に類似の規制を受けている会社があります。大和証券及びリテラ・クレア証券株式会社は、金融商品取引法に定める自己資本規制比率を同法に基づいて120%以上に維持する必要があります。大和ネクスト銀行は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)に定める自己資本比率(国内基準)を同告示に基づいて4%以上に維持する必要があります。海外の連結子会社についても同様の会社があります。
当社グループは、2015年3月末より「金融商品取引法第57条の17第1項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性のうち流動性に係る健全性の状況を表示する基準」(平成26年金融庁告示第61号)が適用され、同告示に基づいて連結流動性カバレッジ比率を所定の比率(2015年は60%、以降毎年10%上昇し2019年以降は100%)以上に維持する必要があります。
また、同時に「金融庁長官が定める場合において、最終指定親会社が経営の健全性の状況を記載した書面に記載すべき事項を定める件第3条第1項の規定に基づき、金融庁長官が別に定める連結レバレッジ比率」(平成27年金融庁告示第11号)が適用され、同告示に基づいて連結レバレッジ比率を算出・開示することが求められています。2019年3月末からは「最終指定親会社及びその子法人等の保有する資産等に照らし当該最終指定親会社及びその子法人等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準」(平成31年金融庁告示第13号)が適用され、連結レバレッジ比率を3%以上に維持することが求められています。
また当社グループは、上記の最低所要連結自己資本規制比率の充足に加え、2016年3月末以降は、当社がD-SIBs(Domestic Systemically Important Banks: 国内のシステム上重要な銀行)に指定されたことによる上乗せ分0.5%を加えた最低資本バッファー比率の維持が必要となっています。
当社グループの上記比率又は連結子会社の自己資本規制比率が著しく低下した場合には、レピュテーショナルリスクの波及や信用水準の低下により流動性懸念が生ずる可能性があります。さらに、上記の各規制により要請される最低基準を下回った場合に有効な対策(資本増強策等)を講じられない場合には、内外の監督当局から業務改善命令や業務の全部又は一部の停止等の措置を受ける可能性があります。
当社株式は、東京及び名古屋の各金融商品取引所に上場しており、その売買については金融商品取引法をはじめとする関連法令及び各金融商品取引所が定める諸規則等に基づいて行われております。これらの規則等により、当社に係る重要情報の周知を目的として売買停止の措置がなされ、あるいは当社株式について大量の注文執行により売買が一時的に停止される等、当社株式の売買ができなくなる状況が生じる可能性があります。
当社は、ストック・オプションの目的で新株予約権を発行しておりますが、将来において新株予約権の行使がなされた場合は、1株当たり利益が希薄化する可能性があります。また、当社株式を大量に保有する株主が当社株式を売却することに伴って、株価が下落する可能性があります。
当社グループは、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っております。このため、適切な流動性を確保し、財務の安定性を維持することが必要となります。しかし、市場環境の変化や当社グループ各社の財務内容の悪化などにより、資金繰りに支障をきたすこと、あるいは通常よりも著しく高いコストでの資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクがあります。
当社グループの資金調達が困難になった場合には、保有する資産を圧縮する等の対応が必要となります。しかし、市場環境の悪化により市場全体の流動性が低下すると、当社グループが売却しようとする資産のうち信用度の低い資産の流動性はより一層低下し、保有資産の処分ができなくなったり、取得原価を大幅に下回る価格であっても売却せざるを得なくなるリスクがあります。
こうした流動性リスクが顕在化した場合、当社グループの業務継続が困難になる可能性や、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多様な業務を行うことに伴うオペレーショナルリスクに晒されており、かかるリスクが顕在化した場合には、当社グループが損失を被ること等により、当社グループの業績及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、オペレーショナルリスクを以下のように分類して管理しております。
① 事務リスク
役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより損失を被るリスク
② システムリスク
コンピュータシステムのダウン又は誤作動、システムの不備等に伴い、損失を被るリスク、さらにコンピュータが不正に使用されることにより損失を被るリスク
③ 情報セキュリティリスク
情報資産に対する脅威の発現のために、情報セキュリティ(機密性、完全性、可用性の維持)が確保されないリスク
④ コンプライアンスリスク
役職員が企業倫理及び法令諸規則等に従わないことにより損失を被るリスク及び顧客等との法的紛争により損失を被るリスク
⑤ リーガルリスク
不適切な契約締結、契約違反により損失を被るリスク
⑥ 人的リスク
労務管理や職場の安全環境上の問題が発生することにより損失を被るリスク、必要な人的資源が確保されないリスク
⑦ 有形資産リスク
自然災害や外部要因又は役職員の過失などの結果、有形資産の毀損等により損失を被るリスク
特に有価証券関連業務においては、取引の執行や決済等を処理するコンピュータシステムのダウン又は誤作動、システムの不備、システムの新規開発・統合等に起因するシステム障害、サイバー攻撃等によるデータの改竄やお客様の情報の流出等が発生した場合、業務が正常に行えなくなることによる機会損失や損害賠償責任の発生、社会的信用の低下等を通じて当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの各社は、その業務の種類に応じた法令や自主規制団体の規程等による規制を受けております。グループの主たる証券会社である大和証券をはじめ、大和証券投資信託委託株式会社、大和企業投資株式会社等が、金融商品取引業者として金融商品取引法等の規制を受けているほか、大和ネクスト銀行が銀行法等の規制を受けております。
また、大和証券は貸金業等の兼業業務に関して関係法令上の規制にも服しております。さらに、当社グループは金融商品取引法の定めにより、親法人等・子法人等が関与する行為の弊害防止のため、当該関係を利用した一定の取引の制限や、親法人等・子法人等間での情報授受や利用の制限等を受けており、お客様の利益が不当に害されることがないよう、適切な情報管理と内部管理体制の整備が求められております。また、当社は、一部のグループ各社の主要株主として、監督当局が公益又は投資家保護のために必要かつ適当であると認めるときは報告・資料提出命令を受ける等一定の規制を受ける可能性があります。一方、海外の子会社には現地の法制上、証券会社や金融機関としての規制を受けるものもあります。
なお、当社は、特別金融商品取引業者である大和証券の最終指定親会社として監督当局の連結規制・監督の対象となっております。また、当社グループは「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」における「指定親会社グループ」に該当するとともに、大和ネクスト銀行が銀行営業免許を保有していることに伴い、「金融コングロマリット監督指針」における「事実上の持株会社グループ」に該当することとなり、連結自己資本の適切性を含む一定の事項について連結ベースでの監督を受けております。
加えて、G20(金融・世界経済に関する首脳会合)主導の下、各種金融規制・監督の強化が包括的に進む中、これらの国際的な金融規制や各国独自の金融規制が当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
上記のように、当社グループの事業の多くは行政及び自主規制団体による監督・規制やグローバルな金融規制のもとにあり、将来における法規・規程、政策、規制の変更が当社グループの事業活動や経営体制、さらには当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、グループ全体の内部統制機能を強化し、より充実した内部管理体制の構築に努めるとともに、役職員に対する教育・研修等を通じ、インサイダー取引規制を含め法令遵守の徹底に注力しております。しかしながら、事業を進めていく上で、その執行過程に関与する役職員の故意又は過失により法令違反行為が発生する可能性は排除し得ず、周到な隠蔽行為を伴った意図的な違法行為等については、長期間にわたって発覚しない可能性もあるため、当社グループの業績に悪影響を与えるような規模の損害賠償を取引先等から求められる可能性があります。
さらに、役職員の不正行為のみならず、法人としての当社又はグループ会社に法令違反その他の問題が認められた場合には、監督当局から課徴金の納付命令、業務の制限又は停止等の処分・命令を受ける可能性があります。また、当社グループは情報管理の徹底や「個人情報の保護に関する法律」への対応については万全の体制を敷いていると認識しておりますが、過失や不正行為等により当社グループの保有する顧客情報等各種の情報が外部に流出した場合、当社グループの信用が失墜し、クレームや損害賠償請求、監督当局からの処分等を受ける可能性があります。
当社グループの事業は、お客様からの信用に基づく部分が大きいため、法令遵守上の問題が発生し当社グループに対する社会的信用が低下した場合には、お客様との取引が減少し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす事態が生じる可能性があります。
当社は、金融商品取引法の財務報告に係る内部統制に関する規定及び関連する諸規則の施行に伴い、財務報告に係る内部統制に必要な体制整備・運営に努めております。しかしながら、こうした取組みが有効に機能せず、監査法人による内部統制監査の結果、財務報告に係る内部統制に重要な不備が発見された場合等においては、当社グループの社会的信用が低下し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、経営方針等において、お客様本位の営業姿勢を掲げており、今後もより一層のサービスの拡充に努めていく所存ではありますが、お客様に対する説明不足やお客様との認識の不一致等によってお客様に損失が発生した場合には、当社グループが訴訟の対象となることがあります。その損失が当社グループの責任に起因する場合、当社グループは民法上、金融商品取引法上、又はその他の根拠に基づく損害賠償義務を負う可能性があります。このほか当社グループは、広範な事業を行い、複雑な規制に服していることから、多数の当事者を巻き込み、多額の請求金額に上るものを含め、様々な訴訟リスクに晒されており、訴訟に伴う損害賠償そのもののみならず訴訟内容に起因する社会的信用の低下が当社グループの事業活動や経営体制、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが事業に関して使用している商標やビジネスモデル等のなかには、現在出願中のため、権利が確定していないものもあります。当社グループの確認の不備等がなかった場合においても、結果として当社グループが第三者の知的財産権を侵害し、損害賠償請求又は差止請求を受ける可能性があります。
当社グループの事業は、法人、個人のお客様や市場関係者からの信用に大きく依存しております。「2 事業等のリスク」に記載した事象が発生した場合、特に「(17)オペレーショナルリスク」、「(19)法令遵守に関するリスク」、「(20)財務報告に係る内部統制に関するリスク」及び「(21)訴訟リスク」に記載したように、当社グループや役職員の責任に起因する法令違反や訴訟等が発生した場合には、当社グループの社会的信用が低下する可能性があります。また、憶測に基づいたり、必ずしも正確な事実に基づいていない風説・風評の流布に晒された場合、その内容が正確でないにもかかわらず、当社グループの社会的信用が低下する可能性もあります。その結果、お客様による取引停止等が生じ、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、リスク管理方針を踏まえて手続の強化に努めておりますが、リスク管理の有効性は事業内容やグループ内各企業の特性により異なります。また、新しい分野への急速な業務展開に際しては、必ずしも有効に機能しない可能性があります。
リスク管理の前提としては、市場や投資先に関する情報の収集・分析・評価が重要となりますが、その情報自体が不正確、不完全、あるいは最新のものではないことにより、適切な評価が行えない場合があり、また、一部のリスク管理手法においては、過去の動向に基づく定量的判断を伴うものがあるため、予想を超えた変容や突発的事象に対しては、必ずしも有効でない可能性があります。リスク管理が有効に機能しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、有価証券関連業務を中心に高度な専門性を必要とする業務を行っております。いずれの分野でも高いパフォーマンスを発揮するには、優秀な人材の確保が前提となるため、業務特性に応じた人事制度、研修制度の充実及びその継続的な改善に努めております。しかしながら、金融業界内外において、優秀な人材確保への競争は激しく、優秀な人材の採用が困難な状態や外部、特に競合他社への大量流出等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
日本の会計基準は国際財務報告基準(IFRS)とのコンバージェンスを進めているところであり、ここ数年の間に数多くの改正が行われ、今後もさらなる改正が予定されております。また、IFRS任意適用を促進する方策も打ち出されており、将来日本においてIFRSが強制適用される、あるいは当社がIFRSの任意適用を行う可能性もあります。これらの改正、強制適用あるいは任意適用が行われた場合、当社グループの事業運営や業績等の実体に変動がない場合であっても、例えば収益の認識、資産・負債の評価、連結範囲の見直し等に係る会計処理方法が変更されることに伴い、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、税制等が変更されることとなった場合においても、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、コンピュータシステムの取得・構築に係る投資により発生する償却コスト及び維持・運営コストの増大が業績に悪影響を及ぼす可能性があるほか、店舗・オフィス等の不動産やコンピュータシステム等について、資産の陳腐化や収益性若しくは稼働率の低下が生じた場合又はこれらの処分が行われた場合には、減損処理による損失計上や除売却損失の計上が必要となる可能性もあります。
このほか、当社グループは税効果会計に係る会計基準に基づいて、税務上の便益を将来の課税所得等に関する見積もりや仮定に基づき繰延税金資産として計上しております。実際の課税所得等は見積もりや仮定と異なる可能性があり、将来において繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合には繰延税金資産は減額され、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすことになります。
本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されております。また、当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積もりを行っており、これらの見積もりは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積もりと異なることがあり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。
当社グループでは、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって連結貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として連結損益計算書に計上しております。評価に用いる時価は、市場で取引が行われている有価証券やデリバティブ取引については当連結会計年度末時点の市場価格を、市場価格のない有価証券やデリバティブ取引については理論価格を、それぞれ使用しております。理論価格を算出する際には、対象となる商品や取引について最も適切と考えられるモデルを採用しております。
当社グループでは、投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。このうち時価のある有価証券については、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当連結会計年度末における時価の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、時価の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがないと判断したものについては、減損処理を行っております。また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、実質価額が著しく低下し、かつ、回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理を行っております。
当社グループでは、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、継続使用資産のうち、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。
(ⅰ)繰延税金資産の算入根拠
当社グループでは、会計基準に従い、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
(ⅱ)過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)
(単位:百万円)
注) 提出会社を連結納税親会社とする連結納税グループの所得を記載しております。また、記載した課税所得は法人
税確定申告書上の繰越欠損金控除前の数値であり、その後の変動は反映されておりません。
なお、当連結会計年度末に係る連結貸借対照表上の繰延税金資産69億円のうち、提出会社を親会社とする連結納税会社の計上額合計は38億円であります。
(ⅲ)見積りの前提とした税引前当期純利益の見込額
提出会社を連結納税親会社とする連結納税グループの課税所得見積期間を3年とし、同期間の税引前当期純利益を2,098億円と見積もっております。
(ⅳ)繰延税金資産・負債の主な発生原因
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 税効果会計関係 1」に記載のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は前年度末比83億円(0.0%)減少の21兆1,267億円となりました。内訳は流動資産が同728億円(0.4%)減少の20兆4,055億円であり、このうち現金・預金が同4,589億円(12.4%)増加の4兆1,532億円、有価証券が同1,748億円(17.7%)減少の8,123億円、トレーディング商品が同490億円(0.7%)増加の6兆7,160億円、営業貸付金が同1,219億円(8.4%)増加の1兆5,648億円、有価証券担保貸付金が同5,229億円(8.0%)減少の5兆9,737億円となっております。固定資産は同645億円(9.8%)増加の7,211億円となっております。
当連結会計年度末の負債合計は前年度末比1,057億円(0.5%)増加の19兆8,702億円となりました。内訳は流動負債が同468億円(0.3%)増加の17兆819億円であり、このうちトレーディング商品が同2,830億円(5.6%)減少の4兆7,477億円、有価証券担保借入金が同1,720億円(3.0%)増加の5兆9,479億円、銀行業における預金が同2,441億円(7.2%)増加の3兆6,325億円、短期借入金が同2,496億円(22.9%)増加の1兆3,414億円となっております。固定負債は同588億円(2.2%)増加の2兆7,843億円であり、このうち社債が同465億円(3.5%)増加の1兆3,619億円、長期借入金が同90億円(0.7%)増加の1兆3,367億円となっております。
当連結会計年度末の純資産合計は同1,140億円(8.3%)減少の1兆2,564億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,780億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益を638億円計上したほか、配当金435億円の支払いを行ったこと等により、同200億円(2.5%)増加の8,057億円となっております。自己株式の控除額は同330億円(60.8%)増加の873億円、その他有価証券評価差額金は同135億円(22.1%)減少の476億円、為替換算調整勘定は同33億円(133.0%)増加の59億円、非支配株主持分は同853億円(96.4%)減少の32億円となっております。
① 事業全体の状況
当連結会計年度の営業収益は前年度比1.1%増の7,205億円、純営業収益は同12.7%減の4,412億円となりました。
受入手数料は2,830億円と、同9.8%の減収となりました。委託手数料は、日本株取引等の減少により、同21.0%減の583億円となりました。引受業務では、複数の大型エクイティ募集案件等が貢献し、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、同18.8%増の418億円となりました。
トレーディング損益は、外国株及び債券の顧客フロー減少等に伴い大幅な減益となり、前年度比15.4%減の922億円となりました。
販売費・一般管理費は前年度比1.0%増の3,739億円となりました。取引関係費は同0.7%減の719億円、人件費は業績に連動する賞与等の減少により同0.2%減の1,854億円、不動産関係費は同4.1%増の373億円、減価償却費は同4.1%増の253億円となっております。
以上より、経常利益は同46.6%減の831億円となりました。
また、投資有価証券売却益等により特別利益が143億円(前年度102億円)、国内子会社のその他事業に係る製品補償関連費用の計上等により特別損失が23億円(前年度120億円)となり、法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比42.3%減の638億円となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
[リテール部門]
リテール部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当連結会計年度においては、大和版NPS®(注)の全店導入をはじめ、お客様満足度を踏まえた営業店の評価制度の拡充などに取り組みました。お客様の幅広いニーズに応える最適なサービスを提供してきたことや、大型の引受け案件が貢献し、資産導入額については2008年度以降最高となりましたが、時価要因等により預り資産は前年度末比で減少しました。ラップ口座サービスの契約資産残高は拡大し、2019年3月末の契約資産残高は前年度末比8.8%増の2兆1,456億円となりました。
市場環境の悪化に伴い、お客様のアクティビティが低下し、特に投信募集手数料が減少した影響で、当連結会計年度のリテール部門における純営業収益は前年度比13.2%減の1,858億円、経常利益は同51.9%減の246億円となりました。リテール部門の当連結会計年度の純営業収益および経常利益のグループ全体の連結純営業収益および連結経常利益に占める割合は、それぞれ42.1%および29.3%でした。
(注)NPS®:Net Promoter Scoreの略であり、お客様のロイヤルティを数値化する指標。なお、NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
[ホールセール部門]
ホールセール部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引受けやM&Aのアドバイザリー業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る顧客フロー収益及びトレーディング収益です。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料です。グローバル・マーケッツにおいては、国際的な地政学リスクや経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツは減収減益となりました。エクイティ収益は、年末にかけての米国株の下落や、英国の欧州連合(EU)離脱問題の混迷など、世界経済の先行き不透明感の高まりによる日本株の下落により顧客のアクティビティが低調に推移し、減収減益となりました。フィクスト・インカム収益も、金融市場において低ボラティリティが継続し収益が低調に推移したため、減収減益となりました。その結果、当連結会計年度の純営業収益は前年度比13.3%減の1,072億円、経常利益は同49.9%減の171億円となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングは増収減益となりました。エクイティ引受けでは、複数の大型エクイティ募集・売出し案件でJGC(ジョイント・グローバル・コーディネーター)や主幹事を務めたこと等により、当連結会計年度の引受け・売出し手数料は、前年度比18.8%増の418億円となりました。M&Aビジネスにおいては、前連結会計年度に、米国のSagent Holdings, Inc.とSignal Hill Holdings LLCを買収統合してDCS Advisory Holdings Inc.(現 Daiwa Corporate Advisory Holdings Inc.)を発足させており、欧州における大和証券キャピタル・マーケッツヨーロッパリミテッド傘下のDaiwa Corporate Advisory Holdings Limitedや各海外拠点との連携により、今後増加が見込まれる日本とのクロスボーダー案件や、市場規模の大きい欧米間の案件に対応できる体制をより強化しています。一方で、統合による給与の増加や、買収に伴うのれんを含む無形固定資産の償却により、販売費・一般管理費が増加しました。これらの結果、グローバル・インベストメント・バンキングの当連結会計年度の純営業収益は前年度比8.8%増の516億円となりましたが、経常利益は同27.9%減の72億円となりました。
当連結会計年度のホールセール部門における純営業収益は前年度比7.2%減の1,589億円、経常利益は同44.0%減の254億円となりました。ホールセール部門の当連結会計年度の純営業収益および経常利益のグループ全体の連結純営業収益および連結経常利益に占める割合は、それぞれ36.0%および30.1%でした。
[アセット・マネジメント部門]
アセット・マネジメント部門の収益は、主に当社連結子会社の大和証券投資信託委託における投資信託の組成と運用に関する報酬と、連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメントの不動産運用収益によって構成されます。また、当社持分法適用関連会社である大和住銀投信投資顧問(現三井住友DSアセットマネジメント)の投資信託の組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益および同じく持分法適用関連会社である大和証券オフィス投資法人の不動産運用収益からの利益は、それぞれ当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因としては、マーケット環境によって変動する顧客の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、顧客の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及び大和証券オフィス投資法人の経営成績は、国内の不動産市場・オフィス需要の動向の影響を受けます。
当連結会計年度において、大和証券投資信託委託では、複数のファンドにおいてR&Iファンド大賞の基準を満たす高パフォーマンスを維持するなど運用力の強化を図ったほか、SDGs関連ファンド、ジェロントロジー・ファンドなどを設定し、ラインナップ拡充に注力しましたが、株式市場が下期にかけて調整した影響等により、営業収益は前年度比7.8%減の767億円、経常利益は同9.5%減の169億円となりました。不動産アセット・マネジメントでは、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントは2018年10月にミカサ・アセット・マネジメントと合併し、運用する不動産及びインフラ資産の運用残高が拡大しました。大和リアル・エステート・アセット・マネジメントが運用する2019年3月末時点の運用資産残高は0.9兆円となりました。
その結果、当連結会計年度のアセット・マネジメント部門の純営業収益は前年度比2.3%減の482億円、経常利益は同2.6%減の283億円となりました。アセット・マネジメント部門の当連結会計年度の純営業収益および経常利益のグループ全体の連結純営業収益および連結経常利益に占める割合は、それぞれ10.9%および33.7%でした。
[投資部門]
投資部門は主に、連結子会社である大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラで構成されます。投資部門の主な収益源は、投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬です。
当連結会計年度においては、大和企業投資において国内外の成長企業への投資を積極的に実行するとともに、旗艦ファンドとして、DCIベンチャー成長支援投資事業有限責任組合を設立しました。大和PIパートナーズは、ローン、不良債権、不動産、国内外のPE投資を実行したほか、2018年7月に設立した大和エナジー・インフラでは、再生可能エネルギー等へ投資を行いました。
当連結会計年度には、前期にあった大型投資案件の回収がなかったことに加え、既存投資案件の再評価に伴う損失を計上したことから、投資部門の純営業収益は前年度比93.6%減の17億円、経常損失は10億円となりました。投資部門の純営業収益のグループ全体の連結純営業収益に占める割合は0.4%でした。
[その他]
その他の事業には、主に大和総研と大和総研ビジネス・イノベーションからなる大和総研グループによるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務のほか、大和ネクスト銀行による銀行業務などが含まれます。
大和総研は、大型システム案件を継続して着実に実行したほか、社内外の連携強化による、付加価値の高いソリューションの提供により顧客との関係を強化し、当社グループのビジネスに貢献しました。
大和総研ビジネス・イノベーションでは、地域金融機関が共同で設立したFintech企業よりAIを活用したシステム導入案件を獲得しました。
大和ネクスト銀行では、引き続き、銀行代理業者である大和証券と連携して各種キャンペーンを実施し、当連結会計年度末の預金残高(譲渡性預金含む)は前年度比3.5%増の3兆6,789億円、銀行口座数は前年度比5.8%増の136万口座となりました。
その結果、その他・調整等に係る純営業収益は464億円(前年度431億円)、経常利益は58億円(前年度53億円)となりました。
③ 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループでは、2018年度から2020年度にかけての中期経営計画“Passion for the Best”2020において、お客様本位KPIとしてお客様満足度及び大和証券預り資産、業績KPIとして自己資本利益率(ROE)及び経常利益、財務KPIとして連結総自己資本規制比率を数値目標として掲げています。お客様満足度は「大和版NPS®(注)」を中心とした指標を計測しており、お客様目線に立脚した営業体制の構築を進めています。
中期経営計画初年度である当連結会計年度においては、2020年度の目標である業績KPIはROE10%以上目標に対し5.1%、経常利益2,000億円以上目標に対し831億円となりました。財務KPIの連結総自己資本規制比率は21.64%と、目標の18%以上を上回って推移しています。お客様本位KPIのうちお客様満足度については、「大和版NPS®」の全店導入が完了し、更なる浸透の段階に移行しています。大和証券預り資産は、厳しい相場環境ではあったものの、資産導入が堅調であり、2020年度80兆円以上とする目標に対し、66.3兆円となっています。
2018年度は、「大和版NPS®」の導入を契機に「お客様第一の業務運営」の深化を進め、お客様基盤の拡充において一定の成果を得ることができたとともに、グループとしての新たな価値の創出に向けて、再生可能エネルギー、インフラストラクチャー、農業、ヘルスケアといった事業ポートフォリオ拡充への着実な布石を打った1年であったと評価しています。
(注)NPS®:Net Promoter Scoreの略であり、お客様のロイヤルティを数値化する指標。なお、NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
世界経済は緩やかに拡大しているものの、IMF(国際通貨基金)などの国際機関は、米国のトランプ大統領が保護主義的な通商政策を強力に推進したことで米中間の貿易摩擦が激化し、世界経済の先行きに対する下振れリスクが一段と高まっているとみています。IMFによると、2018年の世界経済成長率は3.6%と前年を下回る伸びにとどまり、2019年は3.3%とさらに鈍化すると見込まれています。2018年の成長率は1年前の予想に比べて下方修正されましたが、その背景には、先進国では、ユーロ圏やイギリス、新興国地域では、中東欧やブラジル、中東・北アフリカなどの低成長がありました。
米国経済は、2018年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率4.2%増と約4年ぶりの高成長となった後、2四半期連続で減速しましたが、2019年1-3月期は同3.1%増と再び加速しました。もっとも、1-3月期の中身をみると、個人消費や設備投資といった民間需要の減速を、輸入の減少に伴う外需の寄与や在庫要因、政府支出がカバーしており、国内最終需要は約3年ぶりの低成長でした。総じてみると、米国経済は、雇用・所得環境が安定して推移していることから、個人消費主導の景気拡大が続いています。しかし、トランプ大統領の政権運営は米国内外の混乱を招いており、先行きに対する懸念が高まっています。米国内では、政府機関の一部閉鎖が起こったように、野党である民主党とトランプ大統領の対立は激しさを増しています。また、対外的には、トランプ大統領の強硬姿勢は、中国にとどまらず、EU(欧州連合)やメキシコ、カナダ、日本などに対しても広がっています。中国以外の各国とは妥協が成立したり、新たな貿易交渉を開始するなど一定の成果を挙げているものの、中国との貿易摩擦の行方はむしろ再び激化する様相が見られます。中国からの輸入品に対する追加関税の対象が更に拡大すれば、輸入コストの増加を通じて米国の家計や企業の負担を増し、米国経済に悪影響を及ぼす恐れがあります。
金融面では、底堅い景気拡大を受けて、FRB(連邦準備制度理事会)は2018年に計4回の利上げを実施しました。しかし、先行きの世界経済の減速懸念が強まったことを受けて、2019年に入ると、景気に配慮した姿勢にシフトしました。3月のFOMC(連邦公開市場委員会)では、2019年中の利上げを見送る見通しを示すと同時に、バランスシート縮小を9月末で停止することが決定され、引き締め姿勢を大きく後退させて市場に「ハト派」化したという印象を与えました。
欧州経済(ユーロ圏経済)では、当初の見込みを下回るものの緩やかな成長が続いています。ユーロ圏の実質GDP成長率は、10年ぶりの高成長となった2017年の2.4%から2018年は1.9%となり、特に年後半にかけては、イタリアやドイツ等が明らかに減速しました。その要因としては、米中の貿易摩擦の激化に加え、ユーロ圏と関係が深いトルコなどの新興国の景気減速が重石となり、2018年の後半以降、外需の落ち込みが景気に悪影響を与えたことが挙げられます。2019年1-3月期に入ると、ドイツやスペイン、フランス等の主要国において個人消費を中心に成長が持ち直しました。ただし、鉱工業生産と輸出には下げ止まりの兆しが見られるものの、米中貿易摩擦やイギリスのEU離脱問題の混迷に加えて、EUと米国の通商交渉も控えており、先行きの不透明感は払拭されていません。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)は、2018年末まで非伝統的な金融緩和政策の軌道修正を進めてきました。2018年12月末で資産買取を終了し、残高を維持するための再投資を継続しました。しかしながら、世界経済の不透明さが増し、ユーロ圏の景気減速が鮮明になる中で、2019年3月、ECBは次の利上げの可能性を2019年秋から2020年以降に先送りしました。これにより、ECBの金融政策は、非伝統的な金融緩和の終了ではなく継続へ軸足を移したことになります。
新興市場国・発展途上国経済は、成長率が2017年の4.8%から2018年は4.5%に減速しました。世界第2位の経済規模を持つ中国は、2019年1-3月期の実質GDP成長率が6.4%と、2018年10-12月期から横ばいとなり、2018年1-3月期の6.8%を直近のピークとする成長率の低下に歯止めがかかりました。個人消費や総資本形成などの内需の鈍化を、外需の寄与度のプラス転換がカバーしました。ただ、輸出以上に輸入が落ち込んだことが外需の寄与を押し上げたとみられ、米国との通商摩擦の激化が中国経済に打撃を及ぼしていると考えられます。2019年に入って、中国政府は、景気失速を回避すべく財政・金融の両面から大規模な経済対策を打ち出しており、景気を下支えする効果が期待されます。中国以外の新興国を見ると、原油などの資源価格の上昇は資源国経済にとって追い風になりましたが、世界景気の減速懸念を背景に資源価格は下落に転じ、11月以降、原油価格は前年水準を下回って推移しており、資源国は逆風に直面しています。さらに、米中を中心とした貿易摩擦の激化の影響は世界全体に及んでおり、新興国経済も大きな打撃を受けています。
2018年度の日本経済は、当初は内需を中心に緩やかな回復基調にありましたが、後半は足踏み状態に入りました。2018年7月から9月にかけては、酷暑に加えて、豪雨や台風、大地震といった自然災害が相次いだため、個人消費やインバウンド需要が低迷するとともに、生産・輸送面で企業活動が一時的に制約を受けました。また、2018年度後半には、海外経済の減速を受けて輸出や生産が落ち込み、経済成長率は伸び悩みました。2019年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率2.2%増となりましたが、その内容をみると、輸入の減少に伴う外需の寄与が成長を押し上げており、個人消費や設備投資は振るわず、在庫要因を除くと内需はゼロ成長にとどまりました。この結果、2018年度全体では0.7%の成長と2017年度の1.9%から減速し、4年ぶりの低い伸びとなりました。2017年度は内外需バランスの取れた成長であったのに対して、2018年度は、外需の寄与度が△0.1%ポイントと5年ぶりにマイナスとなり、個人消費や設備投資、住宅投資といった民間需要の伸び率も前年を下回りました。
需要項目ごとに見ると、失業率は低水準で推移し、賃金も緩やかに増加するなど雇用・所得環境の改善が進み、個人消費は、夏場の一連の自然災害による落ち込みから、その後家電販売や旅行、外食などを中心に持ち直しました。もっとも、2019年1-3月期の個人消費は、前期の反動による自動車販売の減少が響き、2四半期ぶりのマイナス成長となりました。住宅投資は、貸家建設の減速感が強まったものの、2019年10月に予定される消費増税に向けた駆け込み需要が徐々に顕在化したことから、2018年7-9月期以降は持ち直しの動きが見られ、3四半期連続で増加しました。
一方、企業の設備投資については、堅調な企業収益や低金利、労働需給の逼迫など企業を取り巻く環境に変化はなく、人手不足に対応した合理化・省人化投資や、競争力を維持するための機械・設備の更新、研究開発投資などが増加しました。しかし、2018年度後半にかけては、海外経済の減速から、情報関連財や資本財を中心に輸出・生産が落ち込みました。中でも、中国などアジア向けの輸出数量は減少しました。また、米中の通商交渉やイギリスのEU離脱の行方など先行きの不透明感が高まったために、企業の景況感は悪化し、設備投資に対する態度にも慎重さが見られるようになりました。引き続き、米国の保護主義的な通商政策によって、世界貿易の縮小につながるリスクがある点には留意が必要です。
金融面では、日本銀行による短期金利に加えて長期金利も操作対象とする金融緩和措置が継続したことから、金利は極めて低位で推移しました。2018年7月末に、日本銀行が長期金利の一定程度の変動を容認する姿勢に転じると、4-6月期にかけて0.05%前後で安定していた10年国債利回りは緩やかに上昇し、8月以降は概ね0.1%台で推移しました。もっとも、12月に入ると、世界経済の減速懸念を背景に世界的に金利が低下する中、日本の長期金利も大幅に低下し、2019年2月以降は概ねマイナス圏で推移しました。この結果、2019年3月末には10年国債利回りは△0.08%前後と、2016年9月以来の低水準になりました。
株式市場においては、引き続き海外の動向に左右される展開となりました。2018年度前半は、先進国は日米欧いずれも景気が拡大していたことから、株価は上昇基調を辿り、2018年9月下旬から10月初めにかけて日経平均株価は約8ヵ月ぶりに24,000円台を回復し、1991年11月以来の高値を更新しました。しかし、12月には、米中の通商交渉の先行き懸念や、中国をはじめとする世界全体の景気減速懸念の強まりを受けて、世界的な株安となり、日経平均株価は1年3ヵ月ぶりに2万円を割り込みました。2019年に入ると、米欧の中央銀行が景気に配慮した金融政策の姿勢を強め、中国も大規模な景気刺激策を発表したことから、先行きに対する過度な悲観的見方が後退しました。この結果、株価は3月末にかけて再び上昇基調となりました。
一方、為替市場をみると、対ドルでは、2018年度に入って円安・ドル高が進み、5月から6月にかけて概ね109円~111円という狭いレンジで推移しました。7月以降は、米中の貿易摩擦激化への警戒感から円高に振れる場面はあったものの、米国の金利上昇による日米金利差拡大も手伝って円安が進み、10月初めには114円台と約11カ月ぶりの円安水準となりました。年末にかけては、先行きの世界経済の減速懸念からリスク回避の動きが強まり、108円台まで円高が進む場面が見られました。そして、2019年に入ると、世界経済の先行きに関する過度に悲観的な見方の後退に伴って円安に回帰し、概ね110~112円で推移しました。また、対ユーロでも対ドルと同様に、2018年末にかけてリスク回避の動きから円高が加速し、2019年1-3月期には円安に振れました。ただ、2019年に入っても、ドル高・ユーロ安のトレンドが続いたことから、対円でみたユーロ高の振れ幅は限定的であり、2018年度全体で見ると、緩やかに円高・ユーロ安が進みました。
2019年3月末の日経平均株価は21,205円81銭(前年3月末比248円49銭安)、10年国債利回りは△0.082%(同0.125ポイントの低下)、為替は1ドル110円75銭(同4円56銭の円安)となりました。
① 営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減、営業貸付金の増減、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減、銀行業における預金の増減などにより、3,048億円(前年度は△1兆3,192億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却及び償還による収入などにより、1,082億円(同7,778億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入などにより、557億円(同4,328億円)となりました。これらに為替変動の影響等を加えた結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比4,686億円増加の4兆1,221億円となりました。
当社グループは、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
当社は、平成26年金融庁告示第61号による連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)の最低基準の遵守が求められております。当社の当第4四半期日次平均のLCRは141.5%となっており、上記金融庁告示による要件を満たしております。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCRのほかに、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理態勢を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。その他、1年以上の長期間に亘りストレス環境が継続することを想定した場合に、保有資産を維持するための長期性資金調達状況の十分性を計測及びモニタリングしており、1年間無担保資金調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように取り組んでおります。
当第4四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。
(単位:億円)
当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。当社は、当社固有のストレス又は市場全体のストレスの発生により新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、短期の無担保調達資金について、当社グループの流動性ポートフォリオが十分に確保されているかをモニタリングしております。また、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。
当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。
なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。
当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。
当連結会計年度末の株主資本は、前連結会計年度末比130億円減少し、1兆1,964億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は4,780億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益638億円を計上したほか、配当金435億円の支払いを行った結果、前連結会計年度末比200億円増加の8,057億円となりました。自己株式の控除額は同330億円増加し、873億円となっております。
当連結会計年度において、該当事項はありません。
該当事項はありません。