第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績の概況

当連結会計年度におけるわが国経済は足踏み状態が続きました。企業の設備投資は緩やかな増加基調となりましたが、新興国を中心に世界経済が鈍化するなかで輸出は減速感が強まり、生産は一進一退の動きとなりました。訪日外国人旅行者数の高い伸びは継続し、失業率が3%台前半に低下するなど雇用情勢の改善も続きましたが、一方で賃金改善の動きは強まらず、個人消費は伸び悩みました。

為替市場は、ドル円相場においては6月に一時1ドル=125円台の円安水準をつけた後は不安定な動きとなりました。12月にはFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを実施し、対して翌1月には日銀がマイナス金利政策の導入を決定しましたが、リスクオフの流れの中でむしろ円高ドル安が進み、結局1ドル=112円台で当年度の取引を終えました。また、ユーロ円相場は6月に一時1ユーロ=141円台まで円安ユーロ高が進行しましたが、年末以降ECB(欧州中央銀行)が金融緩和姿勢を強めたことが重しとなり、1ユーロ=128円近辺で当年度の取引を終えました。

株式市場は、当初は国内企業の企業統治改革や好業績を好感する海外投資家の買いが日本株の上昇を牽引し、日経平均株価は6月24日に2000年のITバブル高値を超える20,868円3銭をつけました。ただ、8月以降は世界経済の先行きに対する懸念から売りが膨らみました。年末にかけては円相場の下落などを追い風に戻りを試す場面も見られましたが、年明け以降は、中国株式市場の混乱や米国利上げの影響に対する不透明感などから、一時15,000円の大台を下回るなど再び波乱含みで推移し、当年度末の日経平均株価は16,758円67銭となりました。

債券市場は、当初は株価の上昇や米利上げ観測が強まったことを受けて利回りが上昇する場面もありましたが、日銀の強力な金融緩和政策に支えられて、年度を通じて利回りは低下基調となりました。1月には、日銀がマイナス金利政策の導入を決定したことで利回りの低下が一段と進み、10年国債利回りはマイナス0.05%で当年度の取引を終えました。

このような状況のもと、中核子会社の岡三証券株式会社においては、新規出店や既存店舗のリニューアルを実施するなど営業機能を強化するとともに、充実した投資情報と商品ラインアップを活用した地域密着型の営業活動を引き続き展開しました。一方、インターネット取引専業の岡三オンライン証券株式会社においては、発注ツールの機能強化や先物取引の新サービス導入、取引所為替証拠金取引の新商品「くりっく365ラージ」の取扱い開始など、サービスの一層の拡充を図りました。また、岡三アセットマネジメント株式会社においては、ファンダメンタルズを重視した組織的な運用とタイムリーな情報発信を行うとともに、中長期的な投資環境を捉えた商品提案を行い、運用資産の拡大に努めました。

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの営業収益は829億27百万円(前年度比87.6%)、純営業収益は816億17百万円(同87.4%)となりました。販売費・一般管理費は674億59百万円(同100.5%)となり、経常利益は173億96百万円(同63.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は110億68百万円(同78.5%)となりました。

 

① 損益の概況

 受入手数料

 受入手数料の合計は576億65百万円(前年度比91.0%)となりました。主な内訳は次のとおりです。

 

 

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

(百万円)

入手数料

63,341

57,665

 

委託手数料

19,489

20,804

 

引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

454

545

 

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

25,391

15,747

 

その他の受入手数料

18,006

20,568

 

a.委託手数料

当連結会計年度における東証の1日平均売買高(内国普通株式)は29億54百万株(前年度比103.4%)、売買代金は3兆827億円(同115.7%)となりました。こうしたなか、株式委託手数料は192億39百万円(同101.5%)となりました。また、債券委託手数料は5百万円(同75.8%)、その他の委託手数料は15億60百万円(同295.1%)となり、委託手数料の合計は208億4百万円(同106.7%)となりました。

b.引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

当連結会計年度における株式の引受けは、日本郵政グループ3社の上場に際し国内特定区分の主幹事を務めたほか、その他の上場主幹事案件や大型案件も寄与し、引受金額が大幅に増加しました。また、債券の引受けは、一段の金利低下や変動性の高まりを受けて機関投資家を中心に購入意欲減退の動きが見られた一方、個人向け社債の引受けが堅調に推移しました。

これらの結果、株式の手数料は4億1百万円(前年度比128.2%)、債券の手数料は1億43百万円(同102.2%)となり、株式・債券を合わせた引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料の合計は5億45百万円(同120.2%)となりました。

c.募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料につきましては、投資信託関連収益がその大半を占めています。

当連結会計年度においては、アジア地域に投資するファンドや医療関連株ファンド、ハイイールド債券ファンド、インド株ファンドなどの販売が比較的堅調でした。また、ラップ型ファンドを新規に設定したほか、ロボット関連やセキュリティ関連等のテーマ株に投資するファンドの取扱いを開始するなど、品揃えの拡充に努めました。しかしながら、販売金額は前年度の実績に及ばず、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は157億47百万円(前年度比62.0%)となりました。一方、その他の受入手数料につきましては、投資信託の残高が高水準を維持したことで信託報酬が増加し、205億68百万円(同114.2%)となりました。

 

 トレーディング損益

 

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

(百万円)

レーディング損益

28,180

22,233

 

株券等トレーディング損益

16,327

9,875

 

債券等トレーディング損益

11,836

12,122

 

その他のトレーディング損益

16

235

 

株券等トレーディング損益は主に米国株式を中心とした外国株式の国内店頭取引、債券等トレーディング損益は外国債券の顧客向け取扱いに伴う収益がその大半を占めています。

当連結会計年度においては、前半は比較的好調だった米国経済の影響で株高、円安基調が続きましたが、後半は中国市場の急変に端を発する混乱や新興国通貨の下落に加え、米国利上げや原油価格下落の影響も波及して世界の株式市場は軟調な展開となりました。これらの結果、株券等トレーディング損益は98億75百万円(前年度比60.5%)、債券等トレーディング損益は121億22百万円(同102.4%)となり、その他のトレーディング損益2億35百万円(同14.6倍)を含めたトレーディング損益の合計は222億33百万円(同78.9%)となりました。

 

金融収支

金融収益は22億37百万円(前年度比95.6%)、金融費用は13億9百万円(同106.4%)となり、差引の金融収支は9億28百万円(同83.6%)となりました。

その他の営業収益

金融商品取引業及び同付随業務に係るもの以外の営業収益は、7億90百万円(前年度比102.7%)となりました。

販売費・一般管理費

販売費・一般管理費は、人件費等が減少した一方で取引関係費等が増加し、674億59百万円(前年度比100.5%)となりました。

営業外損益及び特別損益

営業外収益は持分法による投資利益の計上等により36億68百万円、営業外費用は4億31百万円となりました。また、特別利益は投資有価証券売却益等により18億7百万円、特別損失は2億27百万円となりました。

② セグメント別の業績状況

  セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 証券ビジネス

証券ビジネスにおいては、株式市況が波乱含みとなる中、国内株式等の委託手数料が堅調に推移した一方、投資信託の募集や外国株式国内店頭取引の取扱いに係る収益が減少しました。これらの結果、当連結会計年度における証券ビジネスの営業収益は710億49百万円(前年度比83.5%)、セグメント利益は111億40百万円(同46.3%)となりました。

 

アセットマネジメントビジネス

アセットマネジメントビジネスにおいては、ファンダメンタルズを重視した組織的な運用とタイムリーな情報発信を行うとともに、中長期的な投資環境を捉えた商品提案を行い、運用資産の拡大に努めました。これらの結果、当連結会計年度におけるアセットマネジメントビジネスの営業収益は164億17百万円(前年度比116.7%)、セグメント利益は26億71百万円(同170.1%)となりました。

 

サポートビジネス

当連結会計年度におけるサポートビジネスの営業収益は118億83百万円(前年度比96.6%)、セグメント利益は11億83百万円(同114.4%)となりました。

 

 上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれており、セグメント利益は連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前年度末に比べ26億83百万円増加し、532億49百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、137億34百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加189億76百万円、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減295億60百万円による資金の獲得と、トレーディング商品の増減257億33百万円、預り金の減少117億32百万円による資金の使用との差し引きによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、103億95百万円となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入32億21百万円による資金の獲得と、無形固定資産の取得による支出42億95百万円、投資有価証券の取得による支出40億12百万円、関係会社株式取得による支出25億88百万円による資金の使用との差し引きによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、3億41百万円となりました。これは主に、短期借入金の純増減99億20百万円による資金の獲得と、配当金の支払額48億73百万円、長期借入金の返済による支出29億61百万円、子会社の自己株式取得による支出26億74百万円による資金の使用との差し引きによるものであります。

 

(3)トレーディング業務の概要

当連結会計年度の年度末日時点のトレーディング商品の残高は以下のとおりであります。

 

平成27年3月31日現在

(百万円)

平成28年3月31日現在

(百万円)

資産の部のトレーディング商品

216,338

170,851

 

商品有価証券等

216,262

170,823

 

 

株式・ワラント

1,943

3,915

 

 

債券

211,277

165,561

 

 

CP及びCD

2,998

999

 

 

その他

43

346

 

デリバティブ取引

76

28

 

 

オプション取引

4

15

 

 

先物取引

71

12

負債の部のトレーディング商品

145,105

77,206

 

商品有価証券等

145,102

77,194

 

 

株式・ワラント

819

1,592

 

 

債券

141,278

74,602

 

 

CP及びCD

2,998

999

 

 

その他

6

 

デリバティブ取引

2

11

 

 

オプション取引

2

3

 

 

先物取引

0

8

 

 なお、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載の消費税等の課税取引額については、消費税等を含んでおりません。

2【対処すべき課題】

(1)対処すべき課題

中長期の視点で金融市場を振り返ってみますと、リーマンショック以降にヘッジファンドを始めとする世界の運用会社の資産規模が増大するなど、金融経済はさらに膨張をして実体経済を大きく上回り、その影響力は増幅されてきました。しかしながら、米国の超金融緩和政策の転換により、世界に溢れていたマネーの流れが変わり、加えて中国経済、原油価格等の不確実性が拡がったため、金融市場の変動性が高まりました。そして今、わが国のアベノミクスに象徴されるデフレ脱却への流れについても、その成否を見極める上で大切な局面にあると考えます。更に、コーポレートガバナンス改革等を通じ、わが国の企業経営が戦後、初めてとも言えるダイナミズムを持ち始めています。今後、株式の持ち合い解消、事業部門の売却、買収等を通じて、企業の優勝劣敗が一層鮮明となっていく可能性があります。

このような環境下、お客さまのニーズに応じた最適な投資アドバイスと金融商品を提供する当社グループの果たすべき社会的な役割が益々、高まっていると感じております。今後一層、幅広いお客さまにご支持をいただくためには、当社グループらしい独自のブランドを構築していくことが大切であり、そのために様々な施策を打ち出し、実践しております。特に、当社グループの主軸である対面ビジネスの基盤を一層強固にするため、中期経営計画に掲げる「投資アドバイスのプロフェッショナル集団」を目指して、投資情報力の強化や人材育成、営業の質的強化を推進しております。対面ビジネスという中核ビジネスに加えてアセットマネジメント、アライアンス、オンライン等のビジネス領域も強化しております。例えば、アセットマネジメントではグループ内外への商品提供による岡三ブランドの浸透、アライアンスでは業務資本提携による独自の証券会社ネットワークの拡大、そしてオンラインビジネスでは新しい層のお客さまへのアプローチにも取り組んでおります。こうした施策を通じて、当社グループの企業価値の持続的な向上に努めてまいります。

 

(2)会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

① 基本方針の内容の概要

 当社は、上場企業である以上、本来、当社株券等の大規模買付行為は自由であり、誰が当社を支配するかは、最終的には当社株主の皆さまの判断に委ねられるべきもので、当社の経営方針とそれにより実現される企業価値をご理解いただいた上で、当社株主の皆さまに、適切に判断いただくべきものであると考えます。また、当社株券等に対する大規模な買付行為が行われた場合には、その大規模買付行為の内容、大規模買付行為が当社及び当社グループに与える影響、大規模買付者が考える当社及び当社グループの経営方針や事業計画の内容、お客さま、従業員等の当社及び当社グループを取り巻く多くの利害関係者に対する影響、そして、大規模買付行為以外の代替案の有無等について、大規模買付者及び当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供され、かつ提供された情報を十分に検討するための期間と機会が確保されることが必要だと考えます。

 そのためには、大規模買付行為に際して、a.大規模買付者は当社取締役会に対して大規模買付行為に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならず、b.当社取締役会が当該情報を検討するために必要な一定の評価期間が経過した後にのみ、大規模買付者は大規模買付行為を開始することができるという「大規模買付ルール」を設けるとともに、当該ルールが有効に機能するために必要な方策を整え、明らかに当社の企業価値及び当社株主の皆さまの共同の利益を害するような濫用的買収に対して、会社として対抗策をとることができなければならないと考えております。

 

② 基本方針実現のための取組みの具体的な内容の概要

 当社は、上記基本方針実現のための取組みとして、次に掲げる内容の「大規模買付行為への対応方針」を導入し、平成28年6月29日開催の当社第78期定時株主総会において承認決議されております。

a.大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合は、以下の「大規模買付ルール」に従わなければならないこと。

(ア)大規模買付者は当社取締役会に対して大規模買付行為に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならないこと。

(イ)必要な情報提供を受けた後、当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成及び代替案立案のための期間(以下、「評価期間」といいます。)として、60日間又は90日間が与えられること。

(ウ)大規模買付行為は、評価期間経過後にのみ開始されるべきこと。

b.大規模買付ルールを遵守しない大規模買付者に対しては、新株予約権の無償割当を内容とする対抗策をとりうること。

c.大規模買付ルールが遵守されても、大規模買付者による会社の支配が会社に回復しがたい損害をもたらすとき等には、当社は新株予約権の無償割当を内容とする対抗策をとりうること。

d.当社取締役会は、対抗策の発動については社外取締役及び社外有識者により構成される独立委員会の勧告に原則として従うこと。

③ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

a.当該取組みが基本方針に沿うものであること

(ア)大規模買付ルールが遵守される限り、原則として対抗策はとらないこととなっており、誰が会社を支配するかは当社株主の皆さまにおいて決める仕組みとなっております。

(イ)大規模買付者に十分な情報の提供を求めるとともに、情報の提供をしない大規模買付者には対抗策を発動することを警告することによって、情報提供のインセンティブを与えております。

(ウ)濫用的買収に対しては、会社は対抗策をとりうる制度設計となっております。

b.当該取組みが株主共同の利益を損なうものではないこと

 対抗策をとりうるのは、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しないか、会社に回復しがたい損害をもたらすなどの濫用的買収の場合に限定されており、対抗策は基本的には情報提供のインセンティブを与えるものであります。

c.当該取組みが当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと

 対抗策をとりうる場合が厳しく限定されており、しかも、当社取締役会は独立委員会の勧告に原則として従わなければならないため、当社取締役会の恣意的判断が排除される仕組みとなっております。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの事業その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項は、以下のとおりであります。当該記載事項については、必ずしもリスク要因に該当しない場合もありますが、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性等を考慮し記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業活動に係るリスクについて

① 金融商品取引業の収益変動リスク

 当社グループの主要事業であります金融商品取引業は、日本国内のみならず世界各地の市況動向や経済動向により投資需要が変化し、顧客からの受入手数料、トレーディング損益等が大幅に変動しやすいという特性があり、これら国内外の金融商品市況の動向や金融商品取引所における取引の繁閑が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 市場リスク

 当社グループでは、自己の計算において株式・債券・為替及びそれらの派生商品などの金融資産を保有しておりますが、急激な市況変動・金利変動等により、これら金融資産の価値が変動した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 取引先又は発行体の信用力悪化に伴うリスク

 当社グループの取引先が決済を含む債務不履行に陥った場合、また、当社グループが保有する有価証券の発行体の信用状況が著しく悪化した場合には、元本の毀損や利払いの遅延等により損失を被り、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ オペレーショナル・リスク

 業務処理のプロセスが正常に機能しないこと、役職員の行動が不適切であること、又は災害・犯罪等の外部的事象の発生により、当社グループに対する賠償請求や信用力の低下等を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 災害等に関するリスク

 自然災害の発生や病原性感染症の拡大等により、当社グループの事業の縮小を余儀なくされた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ システムに関するリスク

 当社グループの業務遂行に際しては、コンピュータ・システムの利用は不可欠なものとなっております。インターネット取引や当社グループが業務上使用するコンピュータ・システムや回線が、品質不良、外部からの不正アクセス、災害や停電等の諸要因によって障害を起こした場合、障害規模によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 情報セキュリティに関するリスク

 コンピュータ・システムの不正利用等による顧客及び役職員の個人情報、経営情報等機密情報の漏洩が生じた場合、当社グループに対する賠償請求や信用力の低下等を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 流動性リスク

 当社グループの主要な事業であります金融商品取引業においては、事業の特性上、業務遂行に必要となる大量の資金を機動的かつ安定的に調達する必要があります。財政状態の悪化、資産の流動性悪化、信用格付低下等の要因により短期金融市場・資本市場等からの資金調達が困難となる、あるいは資金調達コストが上昇するなどにより流動性リスクが顕在化した場合、事業遂行に制約を受ける可能性があります。

(2)法的規制について

 当社グループは、その業務の種類に応じて法令・諸規則の規制を受けております。岡三証券株式会社をはじめ国内で金融商品取引業を営む証券子会社等は、金融商品取引法の規制を受けるほか、各金融商品取引所、日本証券業協会等の自主規制機関による諸規則等の規制を受けます。また、海外の子会社については、現地法上の規制を受けます。さらに、将来において法的規制が強化されたり、現在予期し得ない法的規制等が設けられる可能性があります。

 当社グループの主たる業務である金融商品取引業を営む国内の証券子会社は、金融商品取引法及び金融商品取引業等に関する内閣府令に基づき自己資本規制比率を120%以上に維持することが求められております。万一、定められた自己資本規制比率を維持できない場合、業務停止等を命じられる可能性があります。また、経営環境の悪化による損失計上等により自己資本規制比率が著しく低下した場合には、比率を維持する観点から、積極的にリスクをとり収益を追求することが困難となり、収益機会を逸する可能性があります。その結果、当社グループの営業活動に影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの事業は、これら関連法令・諸規則の定めに従って行われなければなりませんが、自己資本規制比率以外にも、関連法令等を遵守できなかった場合、規制、命令により業務改善や業務停止の処分を受けるなど、事業活動が制限される可能性があります。

 

(3)重要な訴訟等について

 当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟・紛争・その他の法律的手続きの対象となる場合があります。これら法的なリスクについては、グループ各社が個別に管理しており、必要に応じて当社取締役会等に報告する管理体制となっております。当連結会計年度末日現在において当社グループの事業に重要な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来、重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(4)競合について

 証券業界においては、同業他社に加えて銀行等との競合、異業種からの参入及び業界再編等により、今後も激しい競争環境が続くことが予想されます。このような状況下、当社グループの競争力の優位性が維持できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(5)インターネット専業証券会社について

 当社は、平成18年1月にインターネットチャネル専業の証券会社である岡三オンライン証券株式会社を設立いたしました。同社は平成18年12月に営業を開始し、業容拡大に努めておりますが、将来その事業が計画どおりに進行しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。

6【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に際しては、連結決算日における資産・負債及び連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える会計上の見積り及び仮定設定を行う必要があり、過去の実績やそれぞれの状況に応じて合理的と考えられる仮定設定に基づいて、継続して判断・評価及び見積りを行っております。

 なお、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。特に以下の重要な会計方針については、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りに大きな影響を及ぼすことがあります。

① 未収配当金

 当社グループは、市場価格のある株式に係る株式配当金については、各銘柄の配当落ち日(配当権利付き最終売買日の翌日)をもって、前回の配当実績又は公表されている一株当たり予想配当額に基づいて未収配当金を見積り計上しております。従って、見積り計上額と実際配当額とに差異が生じた場合、配当金を受入した期の収益に影響を与えることとなります。

② 貸倒引当金

 当社グループは、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別の回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。従って、債務者の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には、追加の引当が必要となることがあります。

③ 投資有価証券(その他有価証券)の減損

 当社グループは、その他有価証券で時価のある株式については、連結決算日の時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には、原則として減損処理を行い、30%以上50%未満下落した場合には、回復可能性があると認められるものを除き、減損処理を行っております。従って、将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、当連結会計年度末現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が生じた場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

④ 退職給付債務

 退職給付債務及び退職給付費用の計算に用いる、割引率、退職率、死亡率、昇給率、長期期待運用収益率などは合理的に見積ることとされているため、見積数値と実績には差異が生じることとなります。この数理計算上の差異については、当社グループでは5年の定額法により処理することとしているため、翌期以降の業績に影響を与えることとなります。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績の概況」に記載のとおりであります。

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループのコア事業であります証券ビジネスの営業収益は、株式、債券、金利、為替等の市況環境変動の影響を受けるため、当社グループの経営成績は連結会計年度毎に大きく変動する傾向にあります。

 このため、当社といたしましては、グループ企業それぞれの事業の強みを活かし、多様化する資産運用ニーズに迅速かつ的確に対応できる体制の確立を目指すことにより、安定した成長を実現できる経営体質の構築に努めております。

(4)資本の財源及び資金の流動性について

① 資金需要及び資金の流動性

 当社グループのコア事業であります証券ビジネスの資金需要の主なものは、信用取引買付代金の顧客への貸付及びトレーディングのロングポジションであり、逆に資金調達の主なものは信用取引売却代金の顧客からの借入及びトレーディングのショートポジションであります。これらは、市況環境の変動の影響を受け、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与えることとなります。なお、岡三証券株式会社では、安定的かつ機動的な財務運営のため、株式会社みずほ銀行をアレンジャーとしたコミットメントラインを総額210億円として更新いたしました。

② キャッシュ・フローの状況

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(5)経営者の問題認識と今後の方針について

① 中期経営計画について

 当社は、創業95周年、創業100周年に向かってさらに飛躍するための施策として、平成26年4月から平成29年3月までを対象期間とする中期経営計画を策定し、実践しております。中期経営計画では、「お客さま大事」の経営哲学のもと、投資アドバイスのプロフェッショナル集団として企業価値を高め、いかなる環境下においても安定的な成長を実現できるよう経営体質を強化することを目標としております。

 計画2年目にあたる当連結会計年度においては、前年度末に業務資本提携に関する覚書を締結した同業2社を持分法適用会社化し、独自の証券会社ネットワークを拡大いたしました。また、監査等委員会設置会社への移行やコーポレートガバナンス・ガイドラインの制定など、コーポレートガバナンス充実のための施策を実施し、経営体制並びに経営監視体制の強化を図りました。そのほか、岡三証券株式会社など各子会社において、営業機能の強化やプロフェッショナル人材養成のための取り組みを推進いたしました。当社グループでは引き続き、顧客利益の追求を通じた事業基盤の拡充を図ってまいります。

 

② 対処すべき課題

 当社グループの対処すべき課題については、「第2 事業の状況 2 対処すべき課題」に記載のとおりであります。